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技術 ゴム補強材用スチルコード及びその製造方法

出願人 ホンダクスチールコードシーオー.,エルティーディー.
発明者 リービュン-ホセオンイン-グン
出願日 2002年2月15日 (18年9ヶ月経過) 出願番号 2002-038607
公開日 2003年5月30日 (17年6ヶ月経過) 公開番号 2003-155676
状態 特許登録済
技術分野 タイヤ一般 ロープ又はケーブル一般
主要キーワード 開放隙間 中央芯 略線接触 形態不良 空気注入式 外層線 供給テンション 構造改
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (10)

課題

特性の低下がなく生産性面で有利であり、高いゴム浸透性によりゴム接着性及び耐疲労性が向上し、芯線移動の防止ができるゴム補強材スチルコード及びその製造方法を提供する。

解決手段

加硫成形したゴムの中に埋設されるスチルコードにおいて、2本の芯線10aと、芯線10aに比べて相対的に太い線径の4〜6本の側線10bを撚線結合させた2/(4〜6)の二層偏平束撚構造を有し、側線10bは表面黄銅鍍金層の損傷がなく、側線は隣接側線と隙間を維持したままで撚線され、側線の長径型付け率が少なくとも1本はほかの側線と相違し、芯線10aはコードの長手方向に不均一な自然型付けが加わって芯線間線接触撚合され、前記コードの横断面は偏平形である。

概要

背景

一般に、車両のタイヤ及び工業用ベルトを初めとする各種ゴム製品補強用として用いられる様々な補強材のなかで、スチルコードは強度、モジュラス耐熱性熱伝達率耐疲労性及びゴム接着性などが、補強材に要求される特性面で無機繊維又は有機繊維等のほかの補強材に比べて優れるため、特にタイヤ補強材として広く使用されており、日に日にその使用量が急速に増大している趨勢にある。

一方、自動車用ラジアルタイヤあるいは運搬用コンベヤの補強材として用いられるスチルコードは、通常は円形断面を有する多数本の鋼線で構成されるフィラメント素線が撚られた構造であるか、多数本のフィラメント素線が撚られたストランド多数本がさらに撚られた構造の撚線体である。このようなスチルコードが効果的なゴム補強材として使用されるためには、何よりもゴム物理的及び化学的に強力に接着される特性、つまりゴム接着性が要求される。特に、自動車用タイヤの場合は、車両の高速走行によりタイヤが湿気高温雰囲気露出されるため、タイヤゴムとスチルコード間時効接着性がさらに重要に作用する。

内部空間が空気で充填されたラジアルタイヤは放射状のカーカス(carcass)コードを有するラジアルカーカス部位と、このラジアルカーカスの半径方向外側に配列されるトレッド部位を補強するベルト層とからなる。このベルト及びカーカス層には0.12〜0.40mm直径の略円形断面を有する極細鋼線を2〜40本撚線結合して構成したスチルコードが埋設されて、このベルト層とカーカス層の補強となるようにしている。

このようなタイヤ補強用スチルコードは、互いに撚線結合されたフィラメント素線で取り囲まれた内部に空隙が形成される構造的特性を有する。このような空隙はタイヤの走行の際に、タイヤゴムの損傷により形成された隙間を通じて水分が浸透するに際して、フィラメント素線としての鋼線に対する腐食増幅させる通路として作用してゴムとスチルコード間の接着層を損傷させることになり、ベルト層とスチルコードを分離させる致命的な問題を引き起こすことになる。

そして、タイヤの回転時に伴う反復的な屈伸運動の結果で引張と圧縮が繰り返される苛酷外圧がスチルコードに伝達されると、素線同士の接触により接触部の表面が摩滅されるフレッティング(fretting)現象が発生して、耐疲労性が急激に低下し、それによりタイヤの耐久力が低下する構造的問題点がスチルコードに存在してきたのは周知のようである。

最近は、車両の走行速度の増大の傾向にしたがい、より高い水準耐久性を有するタイヤに対する要求があり、このような要求を充足させ得る新たな構造のスチルコードの出現に対する期待が高くなっている。

このように、タイヤを初めとするゴム製品の内部に埋設されて補強材の役割をする代表的ないくつかの従来のスチルコードを図1ないし図3に基づいて説明する。

まず、図1は従来の3+6密閉形スチルコードの断面図である。同図に示すように、3本の内側素線1aを撚合させた下撚1の周囲に6本の外側素線2bを撚合させたいわゆる二層撚3+6構造を取っている。

前記従来の二層撚構造のスチルコードは、コードを構成する素線の本数が多いため(合計9本)、構造自体の複雑化を避けようがないし、また製造工程面では下撚1の形成のための第1工程ストランド撚線工程に続いて、そのうえに外側素線2bを撚線させる第2工程にわたる撚線工程を必要とするため、製造工程が複雑であり、それにより製造費用が増加する問題がある。

そして、前記3+6構造のスチルコードは、ゴムの中に埋設して加硫接着させたゴム補強材で製作すると、下撚1を構成する3本の内側素線1aで取り囲まれた中心空間部“B”にゴムが充填されずに、空気が残存することになる。

このように、内部に空気が残存するゴム補強材をタイヤのベルトに使用する場合には、走行中にタイヤの発熱残存空気相乗作用でゴムの劣化が促進されて、スチルコードとゴム間の接着界面層が分離する現象が発生し、路面の石又はなどによりタイヤトレッド部位が損傷する場合には、その損傷部位を通じて水分が毛細管現象により侵入してスチルコードの中心空間部“B”に到達し、中心空間部に到達した水分は中心空間に沿ってスチルコードの長手方向に拡散することによりスチルコードの発錆が急速に進行するという問題がある。

さらに、タイヤの内部のスチルコード中心空間部“B”に侵入した水分は、スチルコード自体の発錆を誘発させるだけでなく、ゴムとコード間の接着界面層を破壊させ、ひいては二つの部材間剥離を起こしてタイヤの耐久性を低下させ、結局、物的及び人的損失の原因となり得る。

また、前記3+6構造のスチル構造は、それ自体の単位長さ当たり重量が大きくてコード径が大きいため、自動車燃料消費率のためにタイヤの軽量化が要求されている最近の趨勢に適合していないのが実情である。

この従来技術の問題を解決するため、コード径が小さいながら下撚工程を省略した単一工程でコードの製造ができるスチルコード構造が提案されている。そのひとつとして、日本国特開平6−65877号公報が挙げられる。

図2は前記日本国特開平6−65877号公報に開示されている構造の1×6偏平開放形構造のスチルコードの断面図である。同図に示すように、1×6偏平開放形スチルコードはそれぞれの素線3aに過度型付けをして撚合させた後、外力を加えてコード全体を偏平にすることにより、隣接する素線間に隙間“c”が形成され、略楕円形の断面を有する。

前記偏平開放形スチルコードは1回の撚線工程のみでスチルコードを製造するため、前述した3+6構造に比べて経済的であるという利点とともに、過度な型付けによる素線間に緩まった撚合をなしているため、隣接する素線の間にゴムが侵入できるようにする隙間“c”が形成されているので中心空間部へのゴムの侵入が容易になり、またコードの偏平面がコードの全長にわたってほぼ同じ方向を維持するため、ゴムにコードを埋設するに際して、ゴムの厚さを薄くすることができるので、タイヤの軽量化に有利であるという利点も有するものとして知られている。

一方、従来の一般的な開放形スチルコードは各素線の型付け率が互いに均一な場合、特に圧延工程時にコードに作用する引張力により素線間の隙間が喪失してゴム浸透性が急に喪失する特性があるに対し、前記偏平開放形スチルコードは構造的偏平化により長径方向垂直方向へのゴム浸透性面で相対的に有利であるという面がある。

しかし、前記従来の偏平開放形スチルコードはそれぞれの素線が過度に型付けされ緩く撚っているため、構造的形態が不安定であって、低荷重伸率が非常に大きくてタイヤの製造時に取扱性が不利であるだけでなく、各素線に所定の範囲で一定の型付けを加えるため、硬板型付け機などの特殊な治工具を使用して機械的な屈曲加工変形を加える。この際に、素線と型付け機間の接触部で強い摩擦が発生するため、ゴム接着性と耐食性の向上のために素線の表面に鍍金された黄銅鍍金層が削られる損傷を被って接着特性及び疲労特性の低下が起こる問題が指摘されている。

特に、前記偏平開放形スチルコードは低荷重伸率が非常に大きくて取扱性が極めて不利であり、各コード間の微細な低荷重伸率の違いのため、トッピングシート内に均一な長さで配列されにくいため、トッピングシートの品質分布が大きくなる問題点とともに、このようなスチルコードがベルト部に使用されるタイヤの場合、走行中にスチルコードが容易に伸び、形態の崩壊可能性が高くて操縦応答性が低下するおそれが高いという問題点がある。

このように、前記偏平開放形スチルコードが構造的に不安定である根本的な理由は、内部に芯線がないからであり、それにより偏平コードの中心部に芯線を位置させる必要性が考慮される。

次いで、図3は従来の1+6構造のスチルコードの断面図である。図1に示す3+6構造のスチルコードにおいて、下撚を構成する3本の内側素線を1本の芯線4aで代替し、その周囲に6本の外側素線4bを撚合させた構造である。

図3に示すように、1+6構造のスチルコードはその中心部に位置する芯線4aによりコード構造の安定性が向上し、コードの引張の際に伸びる低荷重伸率が減少することは可能であるが、外側素線4bが芯線4aと連続的に線接触をなしているため、芯線と外側素線間の空間にゴムが侵入しにくくなる。

前記1+6構造のスチルコードにおいては、芯線と外側素線で取り囲まれてゴムの侵入ができなかった内部空間が空いている状態となり、それにより芯線はゴムと接着されなかったままで自由状態となり、タイヤの走行中に前記芯線がベルトの端部に移動することになるいわゆる芯線移動(core migration)現象が発生する問題点がある。

概要

特性の低下がなく生産性面で有利であり、高いゴム浸透性によりゴム接着性及び耐疲労性が向上し、芯線移動の防止ができるゴム補強材用スチルコード及びその製造方法を提供する。

加硫成形したゴムの中に埋設されるスチルコードにおいて、2本の芯線10aと、芯線10aに比べて相対的に太い線径の4〜6本の側線10bを撚線結合させた2/(4〜6)の二層偏平束撚構造を有し、側線10bは表面黄銅鍍金層の損傷がなく、側線は隣接側線と隙間を維持したままで撚線され、側線の長径型付け率が少なくとも1本はほかの側線と相違し、芯線10aはコードの長手方向に不均一な自然型付けが加わって芯線間に線接触で撚合され、前記コードの横断面は偏平形である。

目的

本発明は、従来のスチルコードの問題を解決するため、単位重量又は構造的安定性の面では従来のコード構造に比べてその特性の低下を起こさないとともに、生産性面で有利であり、高いゴム浸透性を有してゴム接着性及び耐疲労性が向上し、芯線移動の防止ができるタイヤ補強材としての新たな構造のゴム補強材用スチルコード及びその製造方法を提供することにその目的がある。

また本発明は、スチルコードの断面形態において、偏平な楕円形断面構造を取るようにしてタイヤの軽量化を可能にするとともに、特に素線の表面黄銅鍍金層の損傷を抑制してゴムとの接着性が高水準に維持されるようにすることで、空気注入式ラジアルタイヤなどの補強材として適したスチルコード及びその製造方法を提供することに別の目的がある。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
2件

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請求項1

加硫成形したゴムの中に埋設されるスチルコードにおいて、2本の芯線と、前記芯線に比べて相対的に太い線径の4〜6本の側線撚線結合させた2/(4〜6)の二層偏平束撚構造を有し、前記側線は表面黄銅鍍金層の損傷がなく、側線は隣接側線と隙間を維持したままで撚線され、側線の長径型付け率が少なくとも1本はほかの側線と相違し、前記芯線はコードの長手方向に不均一な自然型付けが加わって芯線間線接触撚合され、前記コードの横断面が偏平形であることを特徴とするゴム補強材用スチルコード。

請求項2

前記コードの偏平率は105〜150%であり、長径は1.0〜2.0mmであり、短径は0.8〜1.5mmであり、偏平束撚コードのピッチは長径の5〜50倍であり、コードの撚方向はS撚又はZ撚のいずれかである請求項1に記載のゴム補強材用スチルコード。

請求項3

前記側線の長径型付け率が100〜140%であり、側線の少なくとも1本は10%以上の相違した比率を有し、同じ素線においても長手方向で型付け率が相違する請求項1または2に記載のゴム補強材用スチルコード。

請求項4

前記側線の長径型付け率が100〜140%であり、側線の少なくとも1本は15%以上の相違した比率を有する請求項1〜3のいずれかに記載のゴム補強材用スチルコード。

請求項5

前記芯線の直径は0.1〜0.25mmであり、側線の直径は0.28〜0.40mmであり、芯線と側線は引張強度が330〜450kgf/mm2である請求項1〜4のいずれかに記載のゴム補強材用スチルコード。

請求項6

前記スチルコードを構成する全ての素線が同一の撚方向及び撚ピッチを有する請求項1〜5のいずれかに記載のゴム補強材用スチルコード。

請求項7

加硫成形したゴムの中に埋設されるスチルコードの製造方法において、2本の芯線と、前記芯線に比べて相対的に太い線径の4〜6本の側線を、型付けなしに撚線結合させる工程と、前記芯線の周囲に前記側線が撚線結合された撚線体をじり用回転体回転数の2.5〜4.5倍の回転比で回転するプレオーバーツイスターを通過させて、芯線に比べ側線の剰余供給長さが確保されるようにする工程と、2セットの捻じり用回転体を通過することにより2度の連続捻じりが加わるようにする工程と、撚線機を出たコードがポストオーバーツイスターの後方又は前後方に設けられた、外周面矩形の溝が形成された偏平用校正ローラーを通過させて2/(4〜6)偏平束撚コードになるようにする工程とを含むことを特徴とするゴム補強材用スチルコードの製造方法。

技術分野

0001

本発明は車両のタイヤ及び工業用ベルトを初めとする各種ゴム製品補強材として使用されるスチルコードの構造改善に係り、より詳しくは2本の芯線の周囲に4〜6本が1工程により撚線結合される偏平開放型束撚構造で、撚線工程でプレオーバーツイスター(pre over twister、前OT)の回転比制御による型付けにより、芯線と側線間及び隣接側線相互間に隙間が形成されるように構成して、ゴム浸透性の向上、芯線の移動現象防止及び時効接着性の改善を図るゴム補強材用スチルコード及びその製造方法に関する。

背景技術

0002

一般に、車両のタイヤ及び工業用ベルトを初めとする各種ゴム製品の補強用として用いられる様々な補強材のなかで、スチルコードは強度、モジュラス耐熱性熱伝達率耐疲労性及びゴム接着性などが、補強材に要求される特性面で無機繊維又は有機繊維等のほかの補強材に比べて優れるため、特にタイヤ補強材として広く使用されており、日に日にその使用量が急速に増大している趨勢にある。

0003

一方、自動車用ラジアルタイヤあるいは運搬用コンベヤの補強材として用いられるスチルコードは、通常は円形断面を有する多数本の鋼線で構成されるフィラメント素線が撚られた構造であるか、多数本のフィラメント素線が撚られたストランド多数本がさらに撚られた構造の撚線体である。このようなスチルコードが効果的なゴム補強材として使用されるためには、何よりもゴム物理的及び化学的に強力に接着される特性、つまりゴム接着性が要求される。特に、自動車用タイヤの場合は、車両の高速走行によりタイヤが湿気高温雰囲気露出されるため、タイヤゴムとスチルコード間の時効接着性がさらに重要に作用する。

0004

内部空間が空気で充填されたラジアルタイヤは放射状のカーカス(carcass)コードを有するラジアルカーカス部位と、このラジアルカーカスの半径方向外側に配列されるトレッド部位を補強するベルト層とからなる。このベルト及びカーカス層には0.12〜0.40mm直径の略円形断面を有する極細鋼線を2〜40本撚線結合して構成したスチルコードが埋設されて、このベルト層とカーカス層の補強となるようにしている。

0005

このようなタイヤ補強用スチルコードは、互いに撚線結合されたフィラメント素線で取り囲まれた内部に空隙が形成される構造的特性を有する。このような空隙はタイヤの走行の際に、タイヤゴムの損傷により形成された隙間を通じて水分が浸透するに際して、フィラメント素線としての鋼線に対する腐食増幅させる通路として作用してゴムとスチルコード間の接着層を損傷させることになり、ベルト層とスチルコードを分離させる致命的な問題を引き起こすことになる。

0006

そして、タイヤの回転時に伴う反復的な屈伸運動の結果で引張と圧縮が繰り返される苛酷外圧がスチルコードに伝達されると、素線同士の接触により接触部の表面が摩滅されるフレッティング(fretting)現象が発生して、耐疲労性が急激に低下し、それによりタイヤの耐久力が低下する構造的問題点がスチルコードに存在してきたのは周知のようである。

0007

最近は、車両の走行速度の増大の傾向にしたがい、より高い水準耐久性を有するタイヤに対する要求があり、このような要求を充足させ得る新たな構造のスチルコードの出現に対する期待が高くなっている。

0008

このように、タイヤを初めとするゴム製品の内部に埋設されて補強材の役割をする代表的ないくつかの従来のスチルコードを図1ないし図3に基づいて説明する。

0009

まず、図1は従来の3+6密閉形スチルコードの断面図である。同図に示すように、3本の内側素線1aを撚合させた下撚1の周囲に6本の外側素線2bを撚合させたいわゆる二層撚3+6構造を取っている。

0010

前記従来の二層撚構造のスチルコードは、コードを構成する素線の本数が多いため(合計9本)、構造自体の複雑化を避けようがないし、また製造工程面では下撚1の形成のための第1工程ストランド撚線工程に続いて、そのうえに外側素線2bを撚線させる第2工程にわたる撚線工程を必要とするため、製造工程が複雑であり、それにより製造費用が増加する問題がある。

0011

そして、前記3+6構造のスチルコードは、ゴムの中に埋設して加硫接着させたゴム補強材で製作すると、下撚1を構成する3本の内側素線1aで取り囲まれた中心空間部“B”にゴムが充填されずに、空気が残存することになる。

0012

このように、内部に空気が残存するゴム補強材をタイヤのベルトに使用する場合には、走行中にタイヤの発熱残存空気相乗作用でゴムの劣化が促進されて、スチルコードとゴム間の接着界面層が分離する現象が発生し、路面の石又はなどによりタイヤトレッド部位が損傷する場合には、その損傷部位を通じて水分が毛細管現象により侵入してスチルコードの中心空間部“B”に到達し、中心空間部に到達した水分は中心空間に沿ってスチルコードの長手方向に拡散することによりスチルコードの発錆が急速に進行するという問題がある。

0013

さらに、タイヤの内部のスチルコード中心空間部“B”に侵入した水分は、スチルコード自体の発錆を誘発させるだけでなく、ゴムとコード間の接着界面層を破壊させ、ひいては二つの部材間剥離を起こしてタイヤの耐久性を低下させ、結局、物的及び人的損失の原因となり得る。

0014

また、前記3+6構造のスチル構造は、それ自体の単位長さ当たり重量が大きくてコード径が大きいため、自動車燃料消費率のためにタイヤの軽量化が要求されている最近の趨勢に適合していないのが実情である。

0015

この従来技術の問題を解決するため、コード径が小さいながら下撚工程を省略した単一工程でコードの製造ができるスチルコード構造が提案されている。そのひとつとして、日本国特開平6−65877号公報が挙げられる。

0016

図2は前記日本国特開平6−65877号公報に開示されている構造の1×6偏平開放形構造のスチルコードの断面図である。同図に示すように、1×6偏平開放形スチルコードはそれぞれの素線3aに過度な型付けをして撚合させた後、外力を加えてコード全体を偏平にすることにより、隣接する素線間に隙間“c”が形成され、略楕円形の断面を有する。

0017

前記偏平開放形スチルコードは1回の撚線工程のみでスチルコードを製造するため、前述した3+6構造に比べて経済的であるという利点とともに、過度な型付けによる素線間に緩まった撚合をなしているため、隣接する素線の間にゴムが侵入できるようにする隙間“c”が形成されているので中心空間部へのゴムの侵入が容易になり、またコードの偏平面がコードの全長にわたってほぼ同じ方向を維持するため、ゴムにコードを埋設するに際して、ゴムの厚さを薄くすることができるので、タイヤの軽量化に有利であるという利点も有するものとして知られている。

0018

一方、従来の一般的な開放形スチルコードは各素線の型付け率が互いに均一な場合、特に圧延工程時にコードに作用する引張力により素線間の隙間が喪失してゴム浸透性が急に喪失する特性があるに対し、前記偏平開放形スチルコードは構造的偏平化により長径方向垂直方向へのゴム浸透性面で相対的に有利であるという面がある。

0019

しかし、前記従来の偏平開放形スチルコードはそれぞれの素線が過度に型付けされ緩く撚っているため、構造的形態が不安定であって、低荷重伸率が非常に大きくてタイヤの製造時に取扱性が不利であるだけでなく、各素線に所定の範囲で一定の型付けを加えるため、硬板型付け機などの特殊な治工具を使用して機械的な屈曲加工変形を加える。この際に、素線と型付け機間の接触部で強い摩擦が発生するため、ゴム接着性と耐食性の向上のために素線の表面に鍍金された黄銅鍍金層が削られる損傷を被って接着特性及び疲労特性の低下が起こる問題が指摘されている。

0020

特に、前記偏平開放形スチルコードは低荷重伸率が非常に大きくて取扱性が極めて不利であり、各コード間の微細な低荷重伸率の違いのため、トッピングシート内に均一な長さで配列されにくいため、トッピングシートの品質分布が大きくなる問題点とともに、このようなスチルコードがベルト部に使用されるタイヤの場合、走行中にスチルコードが容易に伸び、形態の崩壊可能性が高くて操縦応答性が低下するおそれが高いという問題点がある。

0021

このように、前記偏平開放形スチルコードが構造的に不安定である根本的な理由は、内部に芯線がないからであり、それにより偏平コードの中心部に芯線を位置させる必要性が考慮される。

0022

次いで、図3は従来の1+6構造のスチルコードの断面図である。図1に示す3+6構造のスチルコードにおいて、下撚を構成する3本の内側素線を1本の芯線4aで代替し、その周囲に6本の外側素線4bを撚合させた構造である。

0023

図3に示すように、1+6構造のスチルコードはその中心部に位置する芯線4aによりコード構造の安定性が向上し、コードの引張の際に伸びる低荷重伸率が減少することは可能であるが、外側素線4bが芯線4aと連続的に線接触をなしているため、芯線と外側素線間の空間にゴムが侵入しにくくなる。

0024

前記1+6構造のスチルコードにおいては、芯線と外側素線で取り囲まれてゴムの侵入ができなかった内部空間が空いている状態となり、それにより芯線はゴムと接着されなかったままで自由状態となり、タイヤの走行中に前記芯線がベルトの端部に移動することになるいわゆる芯線移動(core migration)現象が発生する問題点がある。

発明が解決しようとする課題

0025

本発明は、従来のスチルコードの問題を解決するため、単位重量又は構造的安定性の面では従来のコード構造に比べてその特性の低下を起こさないとともに、生産性面で有利であり、高いゴム浸透性を有してゴム接着性及び耐疲労性が向上し、芯線移動の防止ができるタイヤ補強材としての新たな構造のゴム補強材用スチルコード及びその製造方法を提供することにその目的がある。

0026

また本発明は、スチルコードの断面形態において、偏平な楕円形断面構造を取るようにしてタイヤの軽量化を可能にするとともに、特に素線の表面黄銅鍍金層の損傷を抑制してゴムとの接着性が高水準に維持されるようにすることで、空気注入式ラジアルタイヤなどの補強材として適したスチルコード及びその製造方法を提供することに別の目的がある。

課題を解決するための手段

0027

前記目的を達成するため、本発明のゴム補強材用スチルコードは、加硫成形したゴムの中に埋設されるスチルコードにおいて、2本の芯線と、前記芯線に比べて相対的に太い線径の4〜6本の側線を撚線結合させた2/(4〜6)の二層偏平束撚構造を有し、前記側線は表面黄銅鍍金層の損傷がなく、側線は隣接側線と隙間を維持したままで撚線され、側線の長径型付け率が少なくとも1本はほかの側線と相違し、前記芯線はコードの長手方向に不均一な自然型付けが加わって芯線間に線接触で撚合され、前記コードの横断面が偏平形であることを特徴とする。

0028

次に本発明のゴム補強材用スチルコードの製造方法は、加硫成形したゴムの中に埋設されるスチルコードの製造方法において、2本の芯線と、前記芯線に比べて相対的に太い線径の4〜6本の側線を、型付けなしに撚線結合させる工程と、前記芯線の周囲に前記側線が撚線結合された撚線体をじり用回転体回転数の2.5〜4.5倍の回転比で回転するプレオーバーツイスターを通過させて、芯線に比べ側線の剰余供給長さが確保されるようにする工程と、2セットの捻じり用回転体を通過することにより2度の連続捻じりが加わるようにする工程と、撚線機を出たコードがポストオーバーツイスターの後方又は前後方に設けられた、外周面矩形の溝が形成された偏平用校正ローラーを通過させて2/(4〜6)偏平束撚コードになるようにする工程とを含むことを特徴とする。

発明を実施するための最良の形態

0029

以下、本発明を添付図面に基づいて説明する。

0030

本発明のゴム補強材用スチルコードは、2本の芯線と芯線に比べて相対的に太い線径の4〜6本の側線を1工程で撚線結合させた2/(4〜6)の二層撚偏平束撚構造である。型付け機を用いなくプレオーバーツイスターの回転比制御により表面黄銅鍍金層の損傷がない素線で構成される。側線の長径型付け率が少なくとも1本はほかの側線と相違する。芯線はコードの長手方向に不均一な自然型付けが加わって芯線間に線接触で撚合され、コードの横断面は偏平形である。

0031

前記のような構造の本発明の偏平形スチルコードにおいて、偏平率は105〜150%の範囲が適切である。ここで、長径は1.0〜2.0mm、短径は0.8〜1.5mmであり、偏平束撚コードのピッチは長径の5〜50倍が適切である。

0032

実質的に楕円径の断面を有する本発明のスチルコードにおいて、偏平率を105〜150%に限定した理由は、偏平率が105%未満である場合にはコードの断面形状が偏平化による効果が得られなく、150%を超える場合には長径が相対的に増加してトッピングシートの単位面積当たり投入本数EPI)が減少してゴム製品の強度を低下させるためである。

0033

そして、偏平コードの最大直径が長径に対し1.0mm未満とあまり小さい場合には補強材として十分な引張強度満足させることができなく、反対に2.0mmを超えてあまり太くなるとタイヤのベルト層のゴム厚さが増加してタイヤの軽量化に逆行し、また走行時の乗車感が不利になるため、長径は1.0〜2.0mmの範囲に制限することが好ましい。

0034

コードの短径は0.8mm未満となると前記長径の範囲に関連してあまり平たい形状となり構造的形態安定性が低下する問題点があり、反対に1.5mmを超えるとトッピングシートの厚さの増加が不可避であってタイヤの軽量化に悪影響を与えるので、短径の範囲は0.8〜1.5mmが適切である。

0035

そして、コードの撚ピッチを長径の5〜50倍に制限した理由は、5倍未満とあまり小さいと生産性の面で不利であり、反対にピッチを50倍以上にあまり大きくすると撚線形態が不安定になるためである。

0036

つぎに、本発明のスチルコードを構成する素線において、側線は長径型付け率が100〜140%であり、側線の少なくとも1本は10%以上、より好ましくは15%以上の相違した比率を有し、同じ素線においても長手方向に区間別に型付け率が相違したものが有利である。ここで、側線の長径型付け率が100%未満となると側線を通じたゴム浸透性が低下し、140%を超える場合には過度な型付けにより撚線の構造的安定性に欠ける。

0037

そして、側線の少なくとも1本以上がほかの側線に比べ10%以上の型付け率の差を有すると、特に非常に低い低荷重区間優先的に型付け率が最も低い素線がまず荷重を受け、相対的に均一な型付け率を有する構造に比べて低荷重伸率が低くなる。相違した型付け率を有する側線がほかの側線に比べ15%以上の型付け率の差を持たせることがより好ましい。

0038

本発明のスチルコードを構成する素線において、芯線の直径は0.1〜0.25mm、側線の直径は0.28〜0.40mmが適切であるが、仮に芯線の直径が0.1mm未満となると十分なコード切断力を得ることができなく、芯線の塑性加工工数が相対的に多くなって費用面で不利であり、0.25mmより大きいとコード径が大きくなりコードの柔軟性が低下する欠点がある。

0039

そして、側線径が0.28mmより小さいと切断強度が低下して側線本数を増大する必要性が生じ、0.4mmを超えると柔軟性の低下とともに耐疲労特性が低下し、側線間の隙間が小さくなってゴム浸透性面で不利になる。

0040

一方、スチルコードを構成する芯線と側線は引張強度が330kgf/mm2以上、より好ましくは330〜450kgf/mm2であり、破断伸率は2.0〜3.5%の範囲が適切である。前記のような機械的性質を有する鋼線はJIS規格ピアノ線材SWRS 82A(C=0.82%)であるが、より高い強度を得るために最終湿式伸線工程で総加工量を増大するか過共析鋼ピアノ線材(C≧0.9%)を原材料として用い、反復的な冷間伸線加工パテンチング熱処理を行い、湿式伸線工程を経た後、最終工程の撚線工程で仕上げる。

0041

前記のような構造を有する本発明のスチルコードの製造方法は次のとおりである。

0042

本発明による2/(4〜6)の偏平束撚構造のスチルコードを製造することにおいて、まず従来の方式とおりに型付け機をもって素線の型付けをした状態で素線間の撚線結合がなされるようにし、次いで撚線体に圧力を加えて偏平化する工程が考えられるが、このような方式においては、素線が型付け機を通過する過程で表面鍍金層が損傷してゴムとの接着性が低下する問題点があるので、本発明者は前記型付け機を使用しなくても素線に適切に型付けすることができる方法に対して多くの施行錯誤により、本発明によるスチルコード構造を素線の損傷なしに得る方法を完成した。

0043

本発明のゴム補強材用スチルコードの製造方法は、従来の型付け機を用いて素線に型付けすることにより、素線の表面に形成された黄銅鍍金層が削られる現象を防止するための方法として、2度捻じり撚線機の最初撚線が行われる撚合点直後に設置されたプレオーバーツイスターの回転比を制御することにより、素線、特に外側線に適切な型付けをするとともに、隣接する側線間にゴム浸透経路としての隙間が確保されるようにすることにその技術的特徴がある。

0044

本発明の方法は、2本の芯線と芯線より太い直径の4〜6本の側線を供給し一度に1工程で撚線結合することにおいて、前記芯線と側線が撚合する撚合点直後に設置されたプレオーバーツイスターの回転比を捻じり用回転体の回転数の2.5〜4.5倍の回転比で回転させて偏平束撚構造に必要とする側線の剰余供給長さが確保されるようにする。それとともに、側線が好ましい範囲内の型付けがされるように構成される。

0045

一般に、円形断面を有する従来の多層撚スチルコードを偏平多層撚構造に製造するためには相対的に外層撚の単位長さ当たり所要素線長さが最外層にいくほどに段々多く供給しなければならない。

0046

すなわち、各素線間の撚線結合がなされた状態で捻じり用回転体とオーバーツイスターを通過し、最終に巻取りボビン移送される撚線体が、巻取りボビンの直前に設置された偏平用校正ローラーを通過する前、コードの形態が膨らもうとする傾向が高いほどに偏平化に有利である。

0047

仮に、そうでないと、偏平用校正機を通過するに際して、側線の剰余長さが足りなくてコードが偏平化しにくく、却って内部層の素線が最外層に露出して、撚線形態が歪む形態不良となる。

0048

前記のような理由で、通常層別素線供給長さを相対的に異ならせて供給するため、撚合点の直前に型付け機をさらに設置し、素線に事前屈曲応力を与えて、型付け率の差により素線供給長さを余分に供給する方法が採用できる。

0049

すなわち、撚合点を通過した後、素線の型付け率が大きいほどに相対的な素線供給量が多くなるので、スチルコードの外層コードを構成する素線に対しては相対的に型付け率を大きくすることにより、後続工程としての偏平化が容易になる。

0050

本発明の偏平束撚スチルコード構造の場合にも、型付け機を用いてコードの偏平化が成し得るが、型付け機の使用による素線の黄銅鍍金層の損傷と機械的屈曲塑性変形による素線の物性値低下などに鑑みて型付け機を使用する代わりにプレオーバーツイスターの回転比制御方式を採用した。

0051

本発明のスチルコード構造は、一工程で一度に素線を撚線結合させるため、全ての素線が同一の撚方向及び撚ピッチを有する。同一の撚方向である場合は、外層線の相対的な剰余供給長さの増大はプレオーバーツイスター治工具の作動範囲の変更により達成できる。

0052

一般に、プレオーバーツイスターは、2度撚線機により従来の円形断面を有する多層撚構造を製造するとき、回転比を捻じり用回転体の回転数を基準としておよそ2倍前後に設定して使用している。

0053

因みに、本発明による偏平束撚スチル構造を製造するにおいては、側線の剰余供給長さの確保のため2倍より大きい2.5〜4.5倍の回転比を付与することを製造工程上の主な技術的特徴としている。

0054

本発明のゴム浸透性に優れたゴム補強材用スチルコード及びその製造方法についてのより詳細な事項は、本発明の好ましい実施例を示す図面を参照するつぎの説明から明らかに理解できるであろう。

0055

(実施の形態1)まず、図4は本発明の一実施形態によるスチルコード構造の断面図で、図4Aは2/5構造であり、図4Bは2/4構造である。

0056

図4Aは内側に長手方向に互いに線接触状態を維持する2本の芯線10aの周囲に芯線より大きい線径を有する5本の側線10bが隣接する側線間に隙間を維持した状態で撚線結合された構造であり、図4Bは2本の芯線10aの周囲に4本の側線10bが撚線結合された構造である。

0057

本発明の一実施形態による2/5構造及び2/4構造のスチルコードは、共に全体的に楕円形横断面構造を有し、側線10bの間には隙間が形成され、その内側に位置する芯線10aは前記隙間を通じて外部と連通された開放形構造を有する。前記側線10b間の開放隙間はゴムとの接着の際に、芯線10aの周囲にゴムが充填できるようにするゴム流入通路として機能する。

0058

本発明による偏平束撚スチルコードは、その横断面が全体として楕円形で、その幅方向の最大直径である長径(a)と厚さ方向の最小直径である短径(b)を有する。ここで、短径(b)に対する長径(a)の比、つまり偏平率(a/b)は105〜150%が好ましく、長径(a)の大きさは1.0〜2.0mmが好ましく、短径は0.8〜1.5mmが好ましく、コードの撚ピッチは長径の5〜50倍の範囲が好ましく、撚方向はS又はZのいずれかであってもよい。

0059

そして、芯線10aの線径は0.1〜0.25mmの範囲が適切であり、側線の線径はそれより大きい0.28〜0.40mmが好ましい。

0060

本発明のスチルコードを構成する芯線及び側線は、通常のタイヤ補強用スチルコード用素線がゴムとの接着性向上のため、表面に黄銅鍍金層が形成されるものと同様に、表面に黄銅鍍金層が形成されたものが使用される。ここで、鍍金層の厚さは0.07〜1.5μmの範囲が好ましく、黄銅鍍金層の銅含量は55〜70質量%が適切である。より好ましくは黄銅鍍金に第3元素であるCo、Fe、Niなどが0.1〜5.0質量%含有された3元合金で鍍金して鋼線の耐食性を一層改善させるとともに、ゴム接着性、特に時効接着性を向上させることもできる。

0061

(実施の形態1)図5は本発明の偏平束撚スチルコードを製造する2度捻じり撚線機の全体構造を概略的に示すもので、これに基づいて本発明のスチルコードの製造方法を説明するとつぎのとおりである。

0062

まず、撚線機の内部のクレードル(cradle)に装着された2台の芯線用供給部20から解徐されて出る2本の芯線10aと五つの側線用供給部21から供給される5本の側線10bはポイズ22の入口で最初に撚合点を形成しながらこれら7本の素線を撚線形態に構成してポイズ22を通過する。

0063

ついで、ポイズ22から出た撚線体は捻じり用回転体23と同一方向に回転するが捻じり用回転体の2.5〜4.5倍の回転比で回転するプレオーバーツイスター24を通過することになる。この際に、前記プレオーバーツイスター24は相対的に高い回転比で回転するため、側線10bの供給長さが芯線10aに比べて増大した状態、つまり側線が剰余供給長さを維持した状態となる。

0064

つぎに、プレオーバーツイスター24を通過した撚線体は、2セットの捻じり用回転体23を経ながら2度の連続捻じりが形成され撚線機の外部に出る。

0065

撚線機の外部に出たコードは、ポストオーバーツイスターと呼ばれる過撚機25を通過して自転性(トーション)を校正し、次いで偏平用校正ローラー26を経ながらコードの偏平加工がなされた後、最終に巻取機27に巻き取られる。これにより本発明の一実施例による偏平束撚2/5構造のスチルコードが得られる。なお、図5において符号28は、コードの位相駆動源としての引出キャプスタンである。

0066

この際に、前記偏平用校正ローラー26はコード偏平化加工のために外周面が平坦面である一般のローラーとは異なり、図6の断面図に示すように、ローラーの表面に矩形の溝26aを全体の外周面にわたり形成し、その溝26の内部を通過しながらコードの偏平化がなされるようにして、コードが校正ローラー26を通過する過程で離脱することを防止することが好ましい。

0067

前記図5は偏平用校正ローラー26がポストオーバーツイスター25の後方に設けられた例を示すが、場合によってはポストオーバーツイスター25を中心としてその前方に偏平用校正ローラー26を設置するか、またはポストオーバーツイスター25の前方及び後方に偏平用校正ローラー26を設置することもできる。

0068

本発明のように、型付け機の代わりにプレオーバーツイスター24等の治工具を使用すると、芯線2本は最終のスチルコード製品において2度撚線機の捻じり工法により自然的に型付けされる、いわゆる不均一な自然型付けがなされ、側線5本はそのなかでも少なくとも1本の長径型付け率の相違した2/5偏平束撚構造を形成できる。

0069

本発明の方法により製造されるスチルコードが前記のような構造的特性を有する理由を、図7に示す本発明の一実施形態による2/5構造スチルコードの撚合点初期撚線形態の断面図に基づいて説明すると、つぎのようになる。

0070

図7に示すように2/5構造は、構造特性幾何学的に稠密充填構造でないため、撚合点で最初に撚線される時点では、5本の側線10bがすべて略対称的に芯線10aの周囲を取り囲みながら供給されるのではなく、少なくとも1本の素線の中心とコード中心点までの距離(L1)は、ほかの素線とコードの中心点までの距離(L2)と異なることになる。言い替えれば層芯半径の長さが異なることになる(L1≠L2)。

0071

任意の素線において、層芯半径は2/5構造が非対称構造を有することにより随時変化する。すなわち、コードの長手方向に相対的に不均一な型付け率を有する。これにより、5本のなかで少なくとも1本は単位長さ当たり素線供給長さが異なるので、偏平加工後には相対的に相違した型付け率となる。通常は、前記層芯半径が小さくなるほど素線供給長さが相対的に少なくなる。

0072

各側線の型付け率において、1本が10%以上、好ましくは15%以上だけ相違すると、つまり低いと、特に非常に低い荷重区間ではまず最低型付け率の素線が荷重を受けるため、相対的に均一な構造に比べては低荷重伸率が小さくなる。

0073

本発明の方法により製造されるスチルコードを構成する芯線2本はコードの長手方向に不均一な自然型付けがなされ、芯線相互間略線接触をなしながら撚線される形態を有するので、中芯線としての本来の役割を確かにすることになる。

0074

したがって、本発明のスチルコードは芯線により、より低い低荷重伸率を提供する。言い替えれば、プレオーバーツイスター方式で形成される側線及び芯線の構造的特徴により、より低い低荷重伸率を表す2/5偏平束撚構造を取ることになる。

0075

一般に、各素線の型付け率がほぼ均一な開放形構造においては、相対的に低い荷重によっても容易に伸びる傾向があるため、容易に密閉形に転換しながらゴム浸透性が低下し、タイヤの圧延工程でコードにかかる微小供給テンションの変化にも非常に敏感であって取扱作業性に不利である。

0076

しかし、本発明は型付け機を用いて鋼線に過度な型付けをするか、局部的な凹凸(折れ)を付与する従来の方式とは差別化した方法としてのプレオーバーツイスター方式を採用することにより、低荷重伸率の増加なしに2/(4〜6)偏平束撚構造を得ることができるという面で、コードの製造方法及び構造上の特徴がある。

0077

すなわち、本発明はプレオーバーツイスターの回転比を従来に比べて増大させることにより、側線の剰余供給長さを確保されるようにした状態で芯線と側線が撚線結合されるようにした後、側線を偏平化することでコードを構成する個々の素線間に幾何学的隙間を形成する。これにより、従来は素線に型付けをするために機械的、塑性加工を行う過程で素線と型付け装置間で強い摩擦により表面鍍金層が損傷する問題があったが、本発明ではこの損傷の防止が可能となった。

0078

一方、タイヤ補強材用として用いられるスチルコード用素線はゴムとの接着性の向上のため、表面に黄銅鍍金層が形成される。従来の一般的なコードの製造方式によって型付け機を用いて型付けをする場合には、素線と型付け機間の摩擦接触の結果で、図8に示す型付け機を通過した素線の断面構造のように、素線30の表面の黄銅鍍金層31が長手方向に損傷していた。このように素線表面の黄銅鍍金層が損傷すると、当然の結果としてその損傷した部位はゴム接着性、特に時効接着性が低下するのを避けようがない。しかし、本発明のスチルコードは素線の黄銅鍍金層の損傷を来す型付け機による型付け工程が行われないので、前記のような問題点が排除される。

0079

以下実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。

0080

本発明による偏平開放形スチルコードと従来のスチルコードのゴム補強材として要求される品質特性機械的特性を比較、評価するため、直径が5.5mmであり、炭素重量が0.82%である高炭素鋼を原材料とし酸洗乾食伸線、熱処理及び黄銅鍍金工程を順次経た後、湿式工程で最終に伸線して得た直径0.2mm、0.35mm、0.37mmの鋼線を用いて撚線工程で下記の表1のような条件で試片を製作し特性を測定した。

0081

ID=000003HE=075 WI=104 LX=0530 LY=0350
前記表1において、*で表示された耐疲労性と時効ゴム接着性及び取扱作業性は比較例1に対する相対的比率(%)で相対評価した結果である。

0082

前記表1において、芯線ゴム接着外観はゴム浸透性を構造別に比較評価するための手段として採用される試験方法であり、ゴムの中にスチルコードを埋設し加硫した後、コード内部の芯線に対するコードの長手方向にゴムが充填、付着されたかどうかを長さに換算して相対的に比較評価した。100%はスチルコードの中央芯線の表面にゴムが100%充填されたことを意味する。

0083

つぎに、耐疲労性はスチルコード試片を横長5mm、縦長2.5cmの長方形の小型ゴム試片モールドの中央に埋設し、35kgf/cm2の100%モジュラスを有するゴム化合物を用いて三つの屈曲付与用プリーが左右に移動しながらゴム中のスチルコード試片が摩滅疲労などにより破断されるまでの往復サイクル頻度数を測定し、比較例1を基準として相対評価した。

0084

時効ゴム接着性は米国標準試験方法ASTM2229)によりゴムとの接着性、特に苛酷な相対湿度(95%RH)と高温(82℃)で湿熱時効接着性を相対比較した。

0085

表面鉄(Fe)溶出量の測定はスチルコードの表面黄銅鍍金層の欠陥又は損傷有無を評価する試験法であり、鉄溶出法により一定の条件で(試料;0.5N−HNO3溶液、温度:22℃、時間:1分)、試片の表面平方メートル(m2)当たり溶出する鉄の量をg/m2で表示した。すなわち、一定時間当たり鉄溶出量が多いほど黄銅表面層の損傷が多いことを意味する。

0086

破断伸率はコードの破断時に伸びた長さを百分率で表示し、低荷重伸率は通常0.5〜3kgf範囲の低荷重で試片の伸びた長さを百分率で表示し、この値は大きいほど取扱時の作業性の面で不利であることを示す。

0087

取扱作業性はタイヤ成形工程においてスチルコードを取り扱うときの便宜性ないし容易性で、スチルコードの構造的捻じり安定性による、特に低荷重伸率が小さいほど良好であり、比較例1の試片を比較基準として◎(優秀)、○(良好)、△(普通)、X(不良)順に表示した。

0088

芯線ゴム接着外観比較結果によると、偏平開放形構造(比較例2、比較例4、実施例1及び実施例2)において、ゴムがコードの内部までよく浸透されたことが分かる。

0089

本発明の実施例1、2のスチルコードは、従来のスチルコードの比較例1に比べ、ゴム接着性、特に熱湿時効接着性の面で非常に有利であるが、これは撚線構造の偏平化により側線間に隙間が形成されることにより発錆を拡散させる通路を除去することに起因し、特に損傷しなかった黄銅層を保有するとともに偏平化されることにより、比較例4の型付け機を使用した場合と対比すると向上した効果を表すことが一見で分かる。

0090

比較例2においては、ゴム浸透性の面では優れるが、低荷重伸率が大きくなって取扱作業性の面で不利であることが分かる。

0091

さらに、鉄溶出量の試験において、比較例2、4の偏平開放形の場合、鋼線に強圧的な塑性変形により型付けされることにより、黄銅鍍金層が損傷して鉄溶出量が多かったのが分かり、本発明の実施例1、2では型付け機を使用しなかったので良好な黄銅鍍金層を維持してゴムとの接着性、特に熱湿時効接着性の面でも有利に作用した。

0092

本発明の実施例1、2と比較例4を対比してみると、芯線が2度捻じり撚線機の工法により自然型付けされ、線接触で撚合されており、側線の場合、少なくとも1本は10%以上長径型付け率が相違するため、相対的に均一な捻じりをなしている比較例4に比べて低荷重伸率が相対的に低いので、タイヤの製造工程における取扱作業性に優れていることが分かる。比較例2の芯線のない偏平開放形構造の場合、低荷重伸率が相当高いことが分かる。

発明の効果

0093

以上説明したように、本発明のスチルコードは偏平開放形構造で、側線の素線間に長径方向の垂直方向に隙間が形成されてゴムが易しくコードの内部に浸透できるように構成されるので、芯線とゴムとの完全な接着により芯線の移動問題が防止されるとともに、特に熱湿時効接着性に優れ、側線と芯線間にゴムが緩衝役目をして素線間の直接的な接触が防止でき、耐疲労特性にも有利である。

0094

また、本発明のスチルコードは、型付け機を使用しないため、黄銅鍍金層の損傷が最小化して熱湿時効接着性及び耐疲労性が一層改善され、プレオーバーツイスター工法による芯線の自然型付けと側線の相違した型付け率の特性によりタイヤ補強用素材として低荷重伸率の上昇を起こすことなく撚線構造の隣接素線間に隙間を提供してゴム接着性及び取扱作業性が向上できる。

0095

さらに、本発明のスチルコードは、一工程のみで芯線と側線の撚線結合がなされるため、製造費用の面で有利である。また本発明のスチルコードは、タイヤの走行性能及び使用寿命を増大させ、タイヤの耐久性を向上させることができる。

図面の簡単な説明

0096

図1従来の3+6密閉形スチルコードの断面図である。
図2従来の1×6偏平開放形スチルコードの断面図である。
図3従来の1+6密閉形スチルコードの断面図である。
図4A 本発明の一実施形態による偏平束撚スチルコードの2/5構造の断面図である。
図4B 本発明の別の実施形態による偏平束撚スチルコードの2/4構造の断面図である。
図5本発明の一実施形態によるスチルコードの製造過程を示す撚線装置の概略構造図である。
図6図5の撚線装置の偏平用校正ローラーを抜粋して示す部分断面図である。
図7本発明の一実施形態の方法により製造されるスチルコードの撚合点初期状態を示す断面図である。
図8従来の型付け機により損傷した黄銅鍍金層を示す素線の断面図である。

--

0097

10a芯線
10b側線
20 芯線用供給部
21 側線用供給部
22ポイズ
23捻じり用回転体
24プレオーバーツイスター
25 過撚機
26偏平用校正ローラー

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