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技術 DNAの製造法

出願人 日清紡ホールディングス株式会社
発明者 青塚聡
出願日 2001年11月16日 (18年9ヶ月経過) 出願番号 2001-351927
公開日 2003年5月20日 (17年3ヶ月経過) 公開番号 2003-144159
状態 未査定
技術分野 突然変異または遺伝子工学
主要キーワード 遠隔切断 化学合成反応 切断操作 突出鎖 次切断 連結処理 選択作業 二本鎖DNA断片
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2003年5月20日)のものです。
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図面 (9)

課題

DNA断片の連結による効率のよいDNAの製造法を提供する。

解決手段

切断部位認識配列に対して一定の位置にありかつ切断部位が認識配列内にない第1の制限酵素の認識配列、及び、切断部位が特異的である第2の制限酵素の認識配列をそれぞれ1つ含むベクターであって、第1の制限酵素による切断後の断片を第2の制限酵素が切断可能であり、かつ第1の制限酵素の切断部位と第2の制限酵素の切断部位との間の距離が30塩基以下であるベクターに、目的の配列の部分配列を含む断片を順次挿入することによって、部分配列を含む断片を連結し、DNAを製造する。

概要

背景

DNAの製造法としては、PCRによる方法、自動合成機を用いた化学合成反応による方法等が知られている。

しかしながら、PCRによる方法では、鋳型として用いる、目的とする塩基配列を有するDNAがすでに存在することが必要であるという制限がある。一方、化学合成反応による方法では、このような制限はないが、実用的に製造できるDNAの長さに上限があるため、それ以上の長さを有するDNAの製造には連結処理が必要となる。

連結処理によるDNAの製造法としては、対合させたときに末端ユニークな突出端が生じるような配列を有する1組の1本鎖DNAを化学合成反応により合成し、これらを対合させて得られた二本鎖DNAリガーゼにより連結する方法が知られている(Advances in Biochemical Engineering/Biotechnology, Vol.37, 73-127(1988))。しかしながら、この方法では、ユニークな突出端を有する2本鎖DNAが作成される必要があるために、途中で産物の塩基配列を確認することが難しく、化学合成反応により合成されるDNA中に存在しうる不純物や対合の誤り最終産物に全て反映されるため、最終産物が目的通りの配列を有する確率が低くなり、効率の点で問題がある。

上記の問題点のない方法として、上記の連結方法により制限酵素切断末端と同じ形状の末端を有する比較的短い断片を調製し、それらの断片を、適当なベクタークローニングした後、ベクターから制限酵素で切り出した断片を逐次連結する方法が知られている(Advances in Biochemical Engineering/Biotechnology,Vol. 37, 73-127(1988))。しかしながら、この方法では、連結する断片の数が増えると、それに対応して必要な制限酵素の認識部位の数が増え、そのため、目的の配列において制限酵素の認識部位を一時的に導入したり一時的に削除したりすることが増えるなど、効率的でない点がある。

概要

DNA断片の連結による効率のよいDNAの製造法を提供する。

切断部位認識配列に対して一定の位置にありかつ切断部位が認識配列内にない第1の制限酵素の認識配列、及び、切断部位が特異的である第2の制限酵素の認識配列をそれぞれ1つ含むベクターであって、第1の制限酵素による切断後の断片を第2の制限酵素が切断可能であり、かつ第1の制限酵素の切断部位と第2の制限酵素の切断部位との間の距離が30塩基以下であるベクターに、目的の配列の部分配列を含む断片を順次挿入することによって、部分配列を含む断片を連結し、DNAを製造する。

目的

本発明は、DNA断片の連結による効率のよいDNAの製造法を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

切断部位認識配列に対して一定の位置にありかつ切断部位が認識配列内にない第1の制限酵素の認識配列、及び、切断部位が特異的である第2の制限酵素の認識配列をそれぞれ1つ含むベクターであって、第1の制限酵素による切断後の断片を第2の制限酵素が切断可能であり、かつ第1の制限酵素の切断部位と第2の制限酵素の切断部位との間の距離が30塩基以下であるベクター。

請求項2

(1)目的の配列を分割した連続する部分配列をその一部として有する複数の二本鎖DNA断片を準備し、(2)請求項1に記載のベクターを準備し、(3)ベクターを第1の制限酵素により切断し、(4)第1の制限酵素による切断で得られた断片を第2の制限酵素により切断し、(5)第2の制限酵素による切断で得られた断片のうち長いものと、(1)の工程で準備されたDNA断片の一つを所定の順番で連結し、(6)連結により得られたクローンを(3)の工程のベクターとして用いることによって、(1)の工程で準備された全てのDNA断片が連結されるまで(3)〜(5)の工程を繰り返すことを含む、目的の配列を有するDNAの製造方法であって、隣り合う部分配列は、第1の制限酵素の切断部位に生じる粘着末端突出部分塩基数重なっており、(1)の工程で準備された各DNA断片の一方の端は、DNA断片が連結される第2の制限酵素による切断末端連結可能な末端を形成する配列が部分配列に付加されて形成され、付加される配列は、連結後に第1の制限酵素で切断したときに部分配列の端で切断される長さを有し、各DNA断片の他方の端は、DNA断片が連結される第1の制限酵素による切断末端に連結可能な末端とされ、第1の制限酵素及び第2の制限酵素は、それらの認識配列が、連結された部分配列に存在しないように選択されている方法。

請求項3

目的の配列中に第1の制限酵素及び第2の制限酵素の認識配列に一致する配列が存在していた場合、(1)の工程において、その一致する配列を異なる配列に変えてDNA断片を準備し、(6)の工程で得られたDNA断片の配列中の変えた部分を元の配列に戻すことにより目的の配列を有するDNAを製造する工程をさらに含む請求項2記載の方法。

請求項4

(1)目的の配列を分割した連続する部分配列をその一部として有する複数の二本鎖DNA断片を準備し、(2)請求項1に記載のベクターであって、第1の制限酵素で切断されたときに部分配列の端で切断されるように、(1)の工程で準備されたDNA断片の目的の配列の末端部分配列の一方を有するものが挿入されたベクターを準備し、(3)ベクターを第1の制限酵素により切断し、(4)第1の制限酵素による切断で得られた断片を第2の制限酵素により切断し、(5)第2の制限酵素による切断で得られた断片のうち長いものと、(1)の工程で準備されたDNA断片の一つを所定の順番で連結し、(6)連結により得られたクローンを(3)の工程のベクターとして用いることによって、(1)の工程で準備された全てのDNA断片が連結されるまで(3)〜(5)の工程を繰り返すことを含む、目的の配列を有するDNAの製造方法であって、隣り合う部分配列は、第1の制限酵素の切断部位に生じる粘着末端の突出部分の塩基数重なっており、(2)の工程で挿入されるDNA断片以外の各DNA断片の一方の端は、DNA断片が連結される第2の制限酵素による切断末端に連結可能な末端を形成する配列が部分配列に付加されて形成され、付加される配列の長さは、連結後に第1の制限酵素で切断したときに部分配列の端で切断される長さであり、(2)の工程で挿入されるDNA断片以外の各DNA断片の他方の端は、DNA断片が連結される第1の制限酵素による切断末端に連結可能な末端とされ、第1の制限酵素及び第2の制限酵素は、それらの認識配列が、連結された部分配列に存在しないように選択されている方法。

請求項5

目的の配列中に第1の制限酵素及び第2の制限酵素の認識配列に一致する配列が存在していた場合、(1)の工程において、その一致する配列を異なる配列に変えてDNA断片を準備し、(6)の工程で得られたDNA断片の配列中の変えた部分を元の配列に戻すことにより目的の配列を有するDNAを製造する工程をさらに含む請求項4記載の方法。

請求項6

一方の端は、DNA断片が連結される第2の制限酵素による切断末端に連結可能な末端を形成する配列が部分配列に付加されて形成され、付加される配列の長さは、連結後に第1の制限酵素で切断したときに部分配列の端で切断される長さであり、他方の端は、DNA断片が連結される第1の制限酵素による切断末端に連結可能な末端とされている、請求項2〜5のいずれか1項に記載の製造方法に使用されるDNA断片の製造方法であって、(a)切断後に第1の制限酵素の切断部位と同一の形状の切断部位を生じさせるる第3の制限酵素の認識配列及び第4の制限酵素の認識配列を有し、第3の制限酵素の認識配列と切断部位との間に第4の制限酵素の認識配列があるベクターを準備し、(b)両端が、第4の制限酵素による切断末端に連結可能な末端とされている部分配列を含む断片を準備し、(c)(a)の工程で準備されたベクターを第4の制限酵素で切断し、第4の制限酵素により切断された断片と、(b)の工程で準備されたDNA断片を連結し、(d)連結して得られたクローンの塩基配列解析し、目的の部分配列を有するものを選択し、(e)選択されたクローンを第3の制限酵素及び第4の制限酵素で逐次切断することを含み、(a)及び(b)の工程で準備されるベクター及び断片には、(c)の工程で得られるクローンを第3の制限酵素で切断したときに所定のDNA断片が切り出されるように第3及び第4の制限酵素の認識配列となる配列が設定されている、製造方法。

請求項7

第3の制限酵素の認識配列と第4の制限酵素の認識配列が同一であり、(a)で準備されるベクターが、第3の制限酵素の認識配列をさらに有し、第3の切断酵素のこの認識配列による切断は、第4の制限酵素による切断と同一の形状の末端を生じ、二つの第3の制限酵素の認識配列は、第4の制限酵素の切断部位の両側に位置するベクターであり、(e)の工程で第3の制限酵素のみで切断が行われる請求項6記載の方法。

請求項8

(a)で準備されるベクターが、第3の制限酵素の認識配列をさらに有し、二つの第3の切断酵素の認識配列は、第4の制限酵素の認識配列に対し、向きも含めて対称に位置するベクターであり、(e)の工程で第3の制限酵素のみで切断が行われる請求項6記載の方法。

請求項9

(a)で準備されるベクターが第4の制限酵素の認識配列を二つ有し、二つの第4の制限酵素の認識配列は互いに逆方向になっており、第3の制限酵素の認識配列は、二つの第4の制限酵素の認識配列の両側に向きも含めて対称に位置し、第4の制限酵素は3’端に1塩基突出末端を形成するものである請求項8記載の方法。

請求項10

一方の端は、DNA断片が連結される第2の制限酵素による切断末端に連結可能な末端を形成する配列が部分配列に付加されて形成され、付加される配列の長さは、連結後に第1の制限酵素で切断したときに部分配列の端で切断される長さであり、他方の端は、DNA断片が連結される第1の制限酵素による切断末端に連結可能な末端とされている、請求項2〜5のいずれか1項に記載の製造方法に使用されるDNA断片の製造方法であって、(a)第4の制限酵素の認識配列を有するベクターを準備し、(b)両端が、第4の制限酵素による切断末端に連結可能な末端とされている部分配列を含む断片であって、第1の制限酵素の認識配列の切断部位と同一の形状の切断部位を生じさせる第3の制限酵素の認識配列による切断は、この断片の一方の末端と同一の形状の末端を生じるように、第3の制限酵素の認識配列を有し、第5の制限酵素による切断が部分配列の端での切断を生じるように、第3の制限酵素により生じる末端と同一の形状の末端を生じる第5の制限酵素の認識配列を有する断片を準備し、(c)(a)の工程で準備されたベクターを第4の制限酵素で切断し、第4の制限酵素により切断された断片と、(b)の工程で準備されたDNA断片を連結し、(d)連結して得られたクローンの塩基配列を解析し、目的の部分配列を有するものを選択し、(e)選択されたクローンを第4の制限酵素及び第5の制限酵素で切断することを含み、(a)及び(b)の工程で準備されるベクター及び断片には、(c)の工程で得られるクローンを第5の制限酵素で切断したときに所定のDNA断片が切り出されるように第5の制限酵素の認識配列となる配列が設定されている、製造方法。

請求項11

請求項7に記載の製造方法に使用されるベクターであって、切断部位が認識配列に対して一定の位置にありかつ切断部位が認識配列内にない第3の制限酵素の認識配列、及び、切断部位が特異的である第4の制限酵素の認識配列を有し、第3の制限酵素の認識配列と切断部位との間に第4の制限酵素の認識配列があるベクターであって、第3の制限酵素の認識配列をさらに有し、第3の切断酵素のこの認識配列による切断は、第4の制限酵素による切断と同一の形状の末端を生じ、二つの第3の制限酵素の認識配列は、第4の制限酵素の切断部位の両側に位置するベクター。

請求項12

請求項8に記載の製造方法に使用されるベクターであって、切断部位が認識配列に対して一定の位置にありかつ切断部位が認識配列内にない第3の制限酵素の認識配列、及び、切断部位が特異的である第4の制限酵素の認識配列を有し、第3の制限酵素の認識配列と切断部位との間に第4の制限酵素の認識配列があるベクターであって、第3の制限酵素の認識配列をさらに有し、二つの第3の切断酵素の認識配列は、第4の制限酵素の認識配列に対し、向きも含めて対称に位置するベクター。

請求項13

第4の制限酵素の認識配列を二つ有し、二つの第4の制限酵素の認識配列は互いに逆方向になっており、第3の制限酵素の認識配列は、二つの第4の制限酵素の認識配列の両側に向きも含めて対称に位置し、第4の制限酵素は3’端1塩基突出末端を形成するものである請求項12に記載のベクター。

技術分野

12

背景技術

0001

本発明は、任意の配列を持つDNAの製造法に関するものである。より詳しくは、DNAの連結による製造法に関するものである。

0002

DNAの製造法としては、PCRによる方法、自動合成機を用いた化学合成反応による方法等が知られている。

0003

しかしながら、PCRによる方法では、鋳型として用いる、目的とする塩基配列を有するDNAがすでに存在することが必要であるという制限がある。一方、化学合成反応による方法では、このような制限はないが、実用的に製造できるDNAの長さに上限があるため、それ以上の長さを有するDNAの製造には連結処理が必要となる。

0004

連結処理によるDNAの製造法としては、対合させたときに末端ユニークな突出端が生じるような配列を有する1組の1本鎖DNAを化学合成反応により合成し、これらを対合させて得られた二本鎖DNAリガーゼにより連結する方法が知られている(Advances in Biochemical Engineering/Biotechnology, Vol.37, 73-127(1988))。しかしながら、この方法では、ユニークな突出端を有する2本鎖DNAが作成される必要があるために、途中で産物の塩基配列を確認することが難しく、化学合成反応により合成されるDNA中に存在しうる不純物や対合の誤り最終産物に全て反映されるため、最終産物が目的通りの配列を有する確率が低くなり、効率の点で問題がある。

発明が解決しようとする課題

0005

上記の問題点のない方法として、上記の連結方法により制限酵素切断末端と同じ形状の末端を有する比較的短い断片を調製し、それらの断片を、適当なベクタークローニングした後、ベクターから制限酵素で切り出した断片を逐次連結する方法が知られている(Advances in Biochemical Engineering/Biotechnology,Vol. 37, 73-127(1988))。しかしながら、この方法では、連結する断片の数が増えると、それに対応して必要な制限酵素の認識部位の数が増え、そのため、目的の配列において制限酵素の認識部位を一時的に導入したり一時的に削除したりすることが増えるなど、効率的でない点がある。

課題を解決するための手段

0006

本発明は、DNA断片の連結による効率のよいDNAの製造法を提供することを目的とする。

0007

本発明者は、特定の態様で制限酵素部位が配置されたベクターを用いることにより、目的の塩基配列を有するDNAを効率的に製造できることを見いだし、本発明を完成した。

0008

すなわち、本発明は、以下のものを提供する。
1.切断部位認識配列に対して一定の位置にありかつ切断部位が認識配列内にない第1の制限酵素の認識配列、及び、切断部位が特異的である第2の制限酵素の認識配列をそれぞれ1つ含むベクターであって、第1の制限酵素による切断後の断片を第2の制限酵素が切断可能であり、かつ第1の制限酵素の切断部位と第2の制限酵素の切断部位との間の距離が30塩基以下であるベクター。

0009

2.(1)目的の配列を分割した連続する部分配列をその一部として有する複数の二本鎖DNA断片を準備し、(2)上記1に記載のベクターを準備し、(3)ベクターを第1の制限酵素により切断し、(4)第1の制限酵素による切断で得られた断片を第2の制限酵素により切断し、(5)第2の制限酵素による切断で得られた断片のうち長いものと、(1)の工程で準備されたDNA断片の一つを所定の順番で連結し、(6)連結により得られたクローンを(3)の工程のベクターとして用いることによって、(1)の工程で準備された全てのDNA断片が連結されるまで(3)〜(5)の工程を繰り返すことを含む、目的の配列を有するDNAの製造方法であって、隣り合う部分配列は、第1の制限酵素の切断部位に生じる粘着末端突出部分塩基数重なっており、(1)の工程で準備された各DNA断片の一方の端は、DNA断片が連結される第2の制限酵素による切断末端に連結可能な末端を形成する配列が部分配列に付加されて形成され、付加される配列は、連結後に第1の制限酵素で切断したときに部分配列の端で切断される長さを有し、各DNA断片の他方の端は、DNA断片に連結される第1の制限酵素による切断末端に連結可能な末端とされ、第1の制限酵素及び第2の制限酵素は、それらの認識配列が、連結された部分配列に存在しないように選択されている方法。

0010

3.目的の配列中に第1の制限酵素及び第2の制限酵素の認識配列に一致する配列が存在していた場合、(1)の工程において、その一致する配列を異なる配列に変えてDNA断片を準備し、(6)の工程で得られたDNA断片の配列中の変えた部分を元の配列に戻すことにより目的の配列を有するDNAを製造する工程をさらに含む上記2に記載の方法。

0011

4.(1)目的の配列を分割した連続する部分配列をその一部として有する複数の二本鎖DNA断片を準備し、(2)上記1に記載のベクターであって、第1の制限酵素で切断されたときに部分配列の端で切断されるように、(1)の工程で準備されたDNA断片の目的の配列の末端部分配列の一方を有するものが挿入されたベクターを準備し、(3)ベクターを第1の制限酵素により切断し、(4)第1の制限酵素による切断で得られた断片を第2の制限酵素により切断し、(5)第2の制限酵素による切断で得られた断片のうち長いものと、(1)の工程で準備されたDNA断片の一つを連結し、(6)連結により得られたクローンを(3)の工程のベクターとして用いることによって、(1)の工程で準備された全てのDNA断片が連結されるまで(3)〜(5)の工程を繰り返すことを含む、目的の配列を有するDNAの製造方法であって、隣り合う部分配列は、第1の制限酵素の切断部位に生じる粘着末端の突出部分の塩基数重なっており、(2)の工程で挿入されるDNA断片以外の各DNA断片の一方の端は、DNA断片が連結される第2の制限酵素による切断末端に連結可能な末端を形成する配列が部分配列に付加されて形成され、付加される配列の長さは、連結後に第1の制限酵素で切断したときに部分配列の端で切断される長さであり、(2)の工程で挿入されるDNA断片以外の各DNA断片の他方の端は、DNA断片が連結される第1の制限酵素による切断末端に連結可能な末端とされ、第1の制限酵素及び第2の制限酵素は、それらの認識配列が、連結された部分配列に存在しないように選択されている方法。

0012

5.目的の配列中に第1の制限酵素及び第2の制限酵素の認識配列に一致する配列が存在していた場合、(1)の工程において、その一致する配列を異なる配列に変えてDNA断片を準備し、(6)の工程で得られたDNA断片の配列中の変えた部分を元の配列に戻すことにより目的の配列を有するDNAを製造する工程をさらに含む上記4に記載の方法。

0013

6.一方の端は、DNA断片が連結される第2の制限酵素による切断末端に連結可能な末端を形成する配列が部分配列に付加されて形成され、付加される配列の長さは、連結後に第1の制限酵素で切断したときに部分配列の端で切断される長さであり、他方の端は、DNA断片が連結される第1の制限酵素による切断末端に連結可能な末端とされている、上記2〜5のいずれか1項に記載の製造方法に使用されるDNA断片の製造方法であって、(a)第1の制限酵素の切断部位と同一の形状の切断部位を生じさせる第3の制限酵素の認識配列及び第4の制限酵素の認識配列を有し、第3の制限酵素の認識配列と切断部位との間に第4の制限酵素の認識配列があるベクターを準備し、(b)両端が、第4の制限酵素による切断末端に連結可能な末端とされている部分配列を含む断片を準備し、(c)(a)の工程で準備されたベクターを第4の制限酵素で切断し、第4の制限酵素により切断された断片と、(b)の工程で準備されたDNA断片を連結し、(d)連結して得られたクローンの塩基配列を解析し、目的の部分配列を有するものを選択し、(e)選択されたクローンを第3の制限酵素及び第4の制限酵素で逐次切断することを含み、(a)及び(b)の工程で準備されるベクター及び断片には、(c)の工程で得られるクローンを第3の制限酵素で切断したときに所定のDNA断片が切り出されるように第3及び第4の制限酵素の認識配列となる配列が設定されている、製造方法。

0014

7.第3の制限酵素の認識配列と第4の制限酵素の認識配列が同一であり、(a)で準備されるベクターが、第3の制限酵素の認識配列をさらに有し、第3の切断酵素のこの認識配列による切断は、第4の制限酵素による切断と同一の形状の末端を生じ、二つの第3の制限酵素の認識配列は、第4の制限酵素の切断部位の両側に存在するベクターであり、(e)の工程で第3の制限酵素のみで切断が行われる上記6に記載の方法。

0015

8.(a)で準備されるベクターが、第3の制限酵素の認識配列をさらに有し、二つの第3の切断酵素の認識配列は、第4の制限酵素の認識配列に対し、向きも含めて対称に位置するベクターであり、(e)の工程で第3の制限酵素のみで切断が行われる上記6に記載の方法。

0016

9.(a)で準備されるベクターが第4の制限酵素の認識配列を二つ有し、二つの第4の制限酵素の認識配列は互いに逆方向になっており、第3の制限酵素の認識配列は、二つの第4の制限酵素の認識配列の両側に向きも含めて対称に位置し、第4の制限酵素は3’端に1塩基突出末端を形成するものである上記8に記載の方法。

0017

10.一方の端は、DNA断片が連結される第2の制限酵素による切断末端に連結可能な末端を形成する配列が部分配列に付加されて形成され、付加される配列の長さは、連結後に第1の制限酵素で切断したときに部分配列の端で切断される長さであり、他方の端は、DNA断片が連結される第1の制限酵素による切断末端に連結可能な末端とされている、上記2〜5のいずれか1項に記載の製造方法に使用されるDNA断片の製造方法であって、(a)第4の制限酵素の認識配列を有するベクターを準備し、(b)両端が、第4の制限酵素による切断末端に連結可能な末端とされている部分配列を含む断片であって、第1の制限酵素の認識配列の切断部位と同一の形状の切断部位を生じさせる第3の制限酵素の認識配列による切断は、この断片の一方の末端と同一の形状の末端を生じるように、第3の制限酵素の認識配列を有し、第5の制限酵素による切断が部分配列の端での切断を生じるように、第3の制限酵素により生じる末端と同一の形状の末端を生じる第5の制限酵素の認識配列を有する断片を準備し、(c)(a)の工程で準備されたベクターを第4の制限酵素で切断し、第4の制限酵素により切断された断片と、(b)の工程で準備されたDNA断片を連結し、(d)連結して得られたクローンの塩基配列を解析し、目的の部分配列を有するものを選択し、(e)選択されたクローンを第4の制限酵素及び第5の制限酵素で切断することを含み、(a)及び(b)の工程で準備されるベクター及び断片には、(c)の工程で得られるクローンを第5の制限酵素で切断したときに所定のDNA断片が切り出されるように第5の制限酵素の認識配列となる配列が設定されている、製造方法。

0018

11.上記7に記載の製造方法に使用されるベクターであって、切断部位が認識配列に対して一定の位置にありかつ切断部位が認識配列内にない第3の制限酵素の認識配列、及び、切断部位が特異的である第4の制限酵素の認識配列を有し、第3の限酵素の認識配列と切断部位との間に第4の制限酵素の認識配列があるベクターであって、第3の制限酵素の認識配列をさらに有し、第3の切断酵素のこの認識配列による切断は、第4の制限酵素による切断と同一の形状の末端を生じ、二つの第3の制限酵素の認識配列は、第4の制限酵素の切断部位の両側に位置するベクター。

0019

12.上記8に記載の製造方法に使用されるベクターであって、切断部位が認識配列に対して一定の位置にありかつ切断部位が認識配列内にない第3の制限酵素の認識配列、及び、切断部位が特異的である第4の制限酵素の認識配列を有し、第3の制限酵素の認識配列と切断部位との間に第4の制限酵素の認識配列があるベクターであって、第3の制限酵素の認識配列をさらに有し、二つの第3の切断酵素の認識配列は、第4の制限酵素の認識配列に対し、向きも含めて対称に位置するベクター。

発明を実施するための最良の形態

0020

13.第4の制限酵素の認識配列を二つ有し、二つの第4の制限酵素の認識配列は互いに逆方向になっており、第3の制限酵素の認識配列は、二つの第4の制限酵素の認識配列の両側に向きも含めて対称に位置し、第4制限酵素は3’端1塩基突出末端を形成するものである上記12に記載のベクター。

0021

<1>本発明のベクター
本発明のベクターは、切断部位が認識配列に対して一定の位置にありかつ切断部位が認識配列内にない第1の制限酵素の認識配列、及び、第2の制限酵素の認識配列をそれぞれ1つ含むベクターであって、第1の制限酵素による切断後の断片を第2の制限酵素が切断可能であり、かつ第1の制限酵素の切断部位と第2の制限酵素の切断部位との間の距離が30塩基以下であるベクターである。

0022

第1の制限酵素は、切断部位が認識配列に対して一定の位置にありかつ切断部位が認識配列内にないもの(以下、「遠隔切断型酵素」ともいう)である。このような制限酵素としては、クラスII制限酵素の内、切断部位が認識配列外にあるものが知られており、具体的には、AceIII、BseRI、BsaI、FokI、BsmBI、BpmI、MboII、BbvI、BsgI、BsmFI、EciI、MnlI、SfaNI等が挙げられる。

0023

第2の制限酵素は、認識配列及び切断部位が特異的であれば、特に制限されない。切断部位が特異的であるとは、特定の反応条件において切断部位が認識部位に対して一定の位置にあることをいう。切断部位は、認識配列内にあっても認識配列外であってもよい。このような制限酵素としては、クラスII制限酵素が挙げられ、具体的には、EcoRI、XhoI、SacII、NcoI、FokI、BsmBI、BmrI、Eam1105I、HindIII、BamHI、KpnI、PstI、XbaI等が挙げられる。

0024

第1の制限酵素の切断部位と第2の制限酵素の切断部位との間の距離とは、第1の制限酵素の切断により生じる末端の、第2の制限酵素の切断部位に近い方の突出鎖の先端の塩基の位置と、第2の制限酵素の切断により生じる末端の、第1の制限酵素の切断部位に近い方の突出鎖の先端の塩基の位置との間の塩基の数を意味する。

0025

この距離は30塩基以下であり、好ましくは20塩基以下である。理想的には第1の制限酵素による切断後のDNAの第2の制限酵素による認識切断に必要十分な最低限の長さである。この距離が長くなるほど第1の制限酵素及び第2の制限酵素での切断で除かれて無駄になる断片が長くなり、合成すべき塩基数が増えるのでDNAの製造の効率が悪くなる。

0026

第1の制限酵素と第2の制限酵素の組合せは第1の制限酵素による切断後の断片を第2の制限酵素が切断可能であり、かつ第1の制限酵素の切断部位と第2の制限酵素の切断部位との間の距離が30塩基以下である限り特に制限されない。第1の制限酵素と第2の制限酵素の組合せの例を図1に示す。なお、図1に示した例での上記の距離を下記表1に示す。図1のAに示された例は、第2の制限酵素の認識配列が第1の制限酵素の認識配列と切断部位との間にあるタイプである。図1のBに示された例は、第1の制限酵素の認識配列が、第1の制限酵素の切断部位と第2の制限酵素の切断部位との間にあるタイプである。このタイプでは、第1の制限酵素による切断の後の第2の制限酵素による切断により第1の制限酵素の認識配列が除かれる。各例における認識配列を含む部分の塩基配列を配列表に示す(それぞれ配列番号1〜7)。

0027

図1に示された例から明らかなように、第2の制限酵素は遠隔切断型酵素であってもなくてもよく、また、第1の制限酵素の認識配列と第2の制限酵素の認識配列の順序は任意であり、それらは重複していてもよい。

0028

本発明のベクターは、本発明の製造法に使用できる。目的の配列を分割した連続する部分配列が、第1の制限酵素の切断部位と第2の制限酵素の切断部位との間に逐次挿入される。

0029

ベクターの種類には、特に制限はなく、プラスミドファージウイルス酵母人工染色体などに由来するものでよい。ベクターの大きさにも、特に制限はないが、挿入される配列以外の部分の大きさは、小さい方が複製の効率が良く好ましい。

0030

本発明のベクターは、通常の遺伝子組換え技術に従って製造することができる。

0031

<2>本発明の製造法
本発明の製造法は、目的の配列を有するDNAの製造法であって、以下の(1)〜(6)の工程を含む。
(1)目的の配列を分割した連続する部分配列をその一部として有する複数の二本鎖DNA断片を準備し、(2)本発明のベクターを準備し、(3)ベクターを第1の制限酵素により切断し、(4)第1の制限酵素による切断で得られた断片を第2の制限酵素により切断し、(5)第2の制限酵素による切断で得られた断片のうち長いものと、(1)の工程で準備されたDNA断片の一つを所定の順番で連結し、(6)連結により得られたクローンを(3)の工程のベクターとして用いることによって、(1)の工程で準備された全てのDNA断片が連結されるまで(3)〜(5)の工程を繰り返す。

0032

そして、本発明の製造法においては、隣り合う部分配列は、第1の制限酵素の切断部位に生じる末端の突出部分の塩基数重なっており、(1)の工程で準備された各DNA断片の一方の端は、DNA断片が連結される第2の制限酵素による切断末端に連結可能な末端を形成する配列が部分配列に付加されて形成され、付加される配列は、連結後に第1の制限酵素で切断したときに部分配列の端で切断される長さを有し、各DNA断片の他方の端は、DNA断片が連結される第1の制限酵素による切断末端に連結可能な末端とされ、第1の制限酵素及び第2の制限酵素は、それらの認識配列が、連結された部分配列に存在しないように選択されている。

0033

第1の制限酵素及び第2の制限酵素は、本発明のベクターに関し、上記に説明したとおりである。

0034

(1)の工程では、目的の配列を分割した連続する部分配列をその一部として有する複数の二本鎖DNA断片が準備される。

0035

目的の配列は、特に限定されない。部分配列の長さは、化学合成反応による合成や、化学合成反応による合成とPCRとを組み合わせた方法で実用的に得ることができるものとすればよい。化学合成反応による合成の場合、通常には60〜120塩基、好ましくは80〜100塩基の長さであり、化学合成反応による合成とPCRとを組み合わせた方法の場合、通常には、100〜220塩基、好ましくは140〜180塩基の長さにされる。これらの部分配列の長さは全て同一でなくてもよい。隣り合う部分配列は、第1の制限酵素の切断部位に生じる末端の突出部分の塩基数重なるようにされる。例えば、第1の制限酵素がAceIIIであれば4塩基重なるようにされる。

0036

各部分配列を含むDNA断片の一方の端は、DNA断片が連結される第2の制限酵素による切断末端に連結可能な末端を形成する配列が部分配列に付加されて形成される。また、他方の端は、DNA断片が連結される第1の制限酵素による切断末端に連結可能な末端とされる。これにより、第1の制限酵素及び第2の制限酵素で順次切断されたベクターに所定の向きでDNA断片が挿入される。なお、DNA断片の端が部分配列の端と一致するとは、DNA断片の末端の突出鎖の端が部分配列の端と一致することを意味する。

0037

DNA断片の端に付加される配列は、連結後に第1の制限酵素で切断したときに部分配列の端で切断される長さを有する。部分配列の端で切断されるとは、部分配列側の切断末端における突出鎖の端が部分配列の端になることを意味する。これにより、第1の制限酵素による切断末端に、部分配列間に無関係の配列が存在しない。

0038

また、隣り合う部分配列は、第1の制限酵素の切断部位に生じる末端の突出部分の塩基数重なっているため、最初にベクターに挿入される部分配列を有するDNA断片以外のDNA断片は、DNA断片の端を部分配列の端に一致させると共に、一方の鎖が所定の塩基数突出するようにすることによって、DNA断片が連結される第1の制限酵素による切断末端に連結可能な末端となる。

0039

以上により、第1の制限酵素による切断末端に、部分配列間に無関係の配列が挿入されることなく、次の部分配列を含むDNA断片を連結させることができる。

0040

DNA断片の端に付加される配列の具体例を、図1に示した例について、表1に示す。表中、Nは任意の塩基を示す。

0041

表1
──────────────────────────────────
第1の制限酵素第2の制限酵素切断部位間の距離付加配列
──────────────────────────────────
AceIII EcoRI2残基 5'GAATTCN-
3'GN-
AceIII XhoI 3残基 5'TCGAGNN-
3'CNN-
BseRI SacII 4残基 5'GGNN-
3'CGCCNN-
AceIII FokI 2残基 5'NNNNNN-
3'NN-
BpmI BsmBI 2残基 5'NNNNNN-
3'NN-
BsaI EcoRI 8残基 5'AATTCGGTCTCN-
3'GCCAGAGN-
BasI NcoI 6残基 5'CATGGTCTCN-
3'CAGAGN-
──────────────────────────────────

0042

上記のようなDNA断片(以下、「挿入断片」ともいう)は、アニールしたときに目的の断片となるように2本のオリゴマーを化学合成反応により合成し、アニールさせる方法、片側に制限酵素の認識配列を持ち、3'側が互いにアニールするように設計した2本のオリゴマーを化学合成反応により合成し、アニールさせた後、DNAポリメラーゼを用いる伸長反応を行い、そして制限酵素により切断する方法などの通常の方法によって得ることができる。また、挿入断片は、下記に説明する本発明の挿入断片製造法によって得ることもできる。

0043

第1の制限酵素及び第2の制限酵素は、通常、それらの認識配列が目的配列に存在しないように選択される。しかし、目的の配列にそれらの認識配列が存在するときでも、本発明の製造法は適用可能であり、その場合には、(1)の工程において、目的の配列において第1の制限酵素及び第2の制限酵素の認識配列に一致する配列を異なる配列に変えてDNA断片を準備し(これにより連結された部分配列中に第1の制限酵素及び第2の制限酵素の認識配列が存在しなくなる。)、上記(6)の工程により得られたDNA断片の配列中の変えた部分を元の配列に戻すことにより目的の配列を有するDNAを製造する工程をさらに行う。元の配列に戻すための配列の改変は、部位特異的変異誘発などの所望の変異を導入する方法によって行うことができる。

0044

(2)の工程では、上述の本発明のベクターが準備される。本発明のベクターは、通常の遺伝子組換え技術に従って製造することができる。

0045

(3)の工程では、ベクターが第1の制限酵素により切断される。切断は用いる制限酵素に適した条件で行えばよい。

0046

(4)の工程では、第1の制限酵素による切断で得られた断片が第2の制限酵素により切断される。切断は用いる制限酵素に適した条件で行えばよい。

0047

(5)の工程では、第2の制限酵素による切断で得られた断片のうち長いものと、(1)の工程で準備されたDNA断片の一つを所定の順番で連結する。ここで、所定の順番とは、目的の配列の一方の末端部分から他方の末端部分への順である。断片の精製及び連結は、通常の方法により行うことができる。

0048

(6)の工程では、連結により得られたクローンを(3)の工程のベクターとして用いることによって、(1)の工程で準備された全てのDNA断片が連結されるまで(3)〜(5)の工程が繰り返される。(5)の工程で連結により得られたクローンは、本発明のベクターの要件を満たしているので、これを(3)の工程で本発明のベクターとして用いることができる。

0049

以下、第1の制限酵素としてAceIII、第2の制限酵素としてEcoRIを選択した場合(第2の制限酵素の認識配列が第1の制限酵素の認識配列と切断部位との間にあるタイプ)を例にとって、図2を参照して、説明する。図2中、目的の配列を分割した部分配列の塩基はXで示され、任意の塩基はNで示される。

0050

先ず、部分配列を有するDNA断片(挿入断片)が準備される。AceIIIの切断部位に生じる突出端の塩基数は4であるので、隣り合う部分配列は4塩基重なっている。挿入断片の一方の端は、EcoRIによる切断末端に連結可能な末端を形成する配列が部分配列に付加されている。付加される配列は、連結後にAceIIIで切断したときに部分配列の端で切断される長さとされている。挿入断片の他方の端は、AceIIIによる切断末端に連結可能な末端とされている。すなわち、最初に挿入される挿入断片の末端は、最初のベクターのAceIII切断末端と連結可能な形状にされる。次に挿入される挿入断片の末端は、挿入断片を挿入したベクターをAceIIIで切断すると部分配列の末端にAceIII切断末端が形成されるので、先に挿入された挿入断片の部分配列と重複する部分が突出鎖となる形状とされる。

0051

この例における挿入断片は、図3の一番上に示す配列を有する。このような挿入断片は、図3の(1)に概略を示す、アニールしたときに目的の断片となるように2本のオリゴマーを化学合成反応により合成し、アニールさせる方法、図3の(2)に概略を示す、片側にEcoRI又はAceIIIの認識配列を持ち、3'側が互いにアニールするように設計した2本のオリゴマーを化学合成反応により合成し、アニールさせた後、DNAポリメラーゼを用いる伸長反応を行い、そしてEcoRI及びAceIIIにより切断する方法などによって得ることができる。また、挿入断片は、下記に説明する本発明の挿入断片製造法によって得ることもできる(図5〜8参照)。

0052

目的の配列がAceIII及びEcoRIの認識部位を有する場合には、他の制限酵素を選択するか、又は、部分配列を設計する際にその認識配列を変えて、連結された部分配列がAceIII及びEcoRIの認識部位を有さないようにする。

0053

また、AceIIIの認識配列と切断部位との間にEcoRIの認識部位が配置されたベクターが準備される。

0054

最初のベクター及びDNA断片の準備後、ベクターをAceIII及びEcoRIで逐次切断する。この切断により、二本の断片が得られる。これらのうち長いものと、DNA断片の一つ(末端の部分配列を含むもの)を連結してベクターを得る。

0055

連結により得られたベクターは、AceIIIの認識配列と切断部位との間にEcoRIの認識部位が配置されたベクターとなるので、これを最初のベクターと同様に用いて、上記と同様にAceIII及びEcoRIで逐次切断し、次の挿入断片(直前に挿入された部分配列に隣接する部分配列を有するもの)を連結してベクターを得る。準備された全ての挿入断片が連結されるまでAceIII及びEcoRIによる逐次切断及び連結を繰り返す。

0056

部分配列を設計する際に配列を変えた場合には、この後、部位特異的変異導入法などの方法により、配列を元に戻す。

0057

以上により、目的の配列を有するDNAが製造される。

0058

第1の制限酵素の認識配列が、第1の制限酵素の切断部位と第2の制限酵素の切断部位との間にあるタイプ(図1のB参照)のベクターを用いる場合には、(1)の工程で準備された各DNA断片の一方の端は、DNA断片が連結される第2の制限酵素による切断末端に連結可能な末端を形成する配列が部分配列に付加されて形成され、付加される配列は、連結後に第1の制限酵素で切断したときに部分配列の端で切断される長さを有し、各DNA断片の他方の端は、DNA断片が連結される第1の制限酵素による切断末端に連結可能な末端とされる条件を満たすために、挿入断片に第1の制限酵素の認識配列が含まれることになる。

0059

この場合、挿入断片に第1の制限酵素の認識配列が含まれるため、最初の部分配列を含むDNA断片を挿入するベクターは、第1の制限酵素の切断部位を有していなくてもよい。すなわち、この態様のベクターを用いる場合には、第1の制限酵素の認識配列を事前にベクターへ組み込む必要がない。また、最初に挿入されるDNA断片は、挿入後に第1の制限酵素で切断されたときに部分配列の端で切断されるようにされていればよい。例えば、第2の制限酵素の切断部位に挿入することのできる末端を有するものとすればよい。

0060

従って、この態様のベクターを用いる本発明の製造法においては、上記の(2)の工程を、(2)本発明のベクターであって、第1の制限酵素で切断されたときに部分配列の端で切断されるように、(1)の工程で準備されたDNA断片の目的の配列の末端部分配列の一方を有するものが挿入されたベクターを準備する工程で置き換え、(2)の工程で挿入されるDNA断片以外の各DNA断片の一方の端は、DNA断片が連結される第2の制限酵素による切断末端に連結可能な末端を形成する配列が部分配列に付加されて形成され、付加される配列の長さは、連結後に第1の制限酵素で切断したときに部分配列の端で切断される長さであり、(2)の工程で挿入されるDNA断片以外の各DNA断片の他方の端は、DNA断片が連結される第1の制限酵素による切断末端に連結可能な末端とされるようにすることができる。

0061

以下、この態様の製造法について、第1の制限酵素としてBsaI、第2の制限酵素としてEcoRIを選択した場合(第1の制限酵素の認識配列が、第1の制限酵素の切断部位と第2の制限酵素の切断部位との間にあるタイプ)を例にとって、図4を参照して、説明する。図4中、目的の配列を分割した部分配列の塩基はXで示され、任意の塩基はNで示される。

0062

先ず、部分配列を含むDNA断片(挿入断片)が準備される。BsaIの切断部位に生じる突出端の塩基数は4であるので、隣り合う部分配列は4塩基重なっている。最初に挿入される挿入断片は、BsaIの認識配列を含みかつEcoRIによる切断部位に挿入可能な末端を有する。BsaIの認識配列は、連結後のBsaIで切断したときに部分配列の端で切断される位置に存在する。最初に挿入される挿入断片以外の挿入断片の一方の端は、BsaIの認識配列を含みかつEcoRIによる切断末端に連結可能な末端を形成する配列が部分配列に付加されている。付加される配列は、連結後にBsaIで切断したときに部分配列の端で切断される長さとされている。最初に挿入される挿入断片以外の挿入断片の他方の端は、BsaIによる切断末端に連結可能な末端とされている。すなわち、最初に挿入される挿入断片以外の挿入断片の末端は、最初のベクターのBsaI切断末端と連結可能な形状にされる。次に挿入される挿入断片の末端は、挿入断片を挿入したベクターをBsaIで切断すると部分配列の末端にBsaI切断末端が形成されるので、先に挿入された挿入断片の部分配列と重複する部分が突出鎖となる形状とされる。

0063

このような挿入断片は、アニールしたときに目的の断片となるように2本のオリゴマーを化学合成反応により合成し、アニールさせる方法、片側に制限酵素の認識配列を持ち、3'側が互いにアニールするように設計した2本のオリゴマーを化学合成反応により合成し、アニールさせた後、DNAポリメラーゼを用いる伸長反応を行い、そして制限酵素により切断する方法などの通常の方法によって得ることができる他、下記に説明する本発明の挿入断片製造法によって得ることもできる(図9参照)。

0064

目的の配列がBsaI及びEcoRIの認識部位を有する場合には、他の制限酵素を選択するか、又は、部分配列を設計する際にその認識配列を変えて、連結された部分配列がBsaI及びEcoRIの認識部位を有さないようにする。

0065

最初に挿入される挿入断片は、EcoRI切断部位に挿入可能な断片として調製し、EcoRIを含むベクターに挿入される。これにより、BsaIの認識配列が、BsaIの切断部位とEcoRIの切断部位との間にあるベクターが得られる。

0066

得られたベクターをBsaI及びEcoRIで逐次切断する。この切断により、二本の断片が得られる。これらのうち長いものと、DNA断片の一つ(末端の部分配列を含むもの)を連結してベクターを得る。

0067

連結により得られたベクターは、BsaIの認識配列が、BsaIの切断部位とEcoRIの切断部位との間にあるベクターとなるので、これを先のベクターと同様に用いて、上記と同様にBsaI及びEcoRIで逐次切断し、次の挿入断片(直前に挿入された部分配列に隣接する部分配列を有するもの)を連結してベクターを得る。準備された全ての挿入断片が連結されるまでBsaI及びEcoRIによる逐次切断及び連結を繰り返す。

0068

部分配列を設計する際に配列を変えた場合には、この後、部位特異的変異導入法などの方法により、配列を元に戻す。

0069

以上により、目的の配列を有するDNAが製造される。

0070

<3>本発明の挿入断片製造法及びそれに使用されるベクター
本発明は、また、本発明に使用される挿入断片の製造方法及びそれに使用されるベクターを提供する。

0071

挿入断片は、アニールしたときに目的の断片となるように2本のオリゴマーを化学合成反応により合成し、アニールさせる方法、片側に制限酵素の認識配列を持ち、3'側が互いにアニールするように設計した2本のオリゴマーを化学合成反応により合成し、アニールさせた後、DNAポリメラーゼを用いる伸長反応を行い、そして制限酵素により切断する方法などの通常の方法によって得ることができるが、このような方法で得られた断片は、ミスアニール、伸長時の塩基の取り込みミス、オリゴマー合成時の不純物による各反応の阻害の可能性のため、目的の断片ができる可能性が低い。そのため、挿入断片を連結した後に配列決定を行い、目的の断片が組み込まれたものを選択する必要がある。配列決定を確実に行うためには両側から両鎖を読む必要があるが、この場合、合成される鎖長が長くなるに従い配列決定にカスタムプライマーが必要になりコスト高になる。また組み込むたびにその作業を繰り返すために、非常に時間がかかる。

0072

本発明の挿入断片製造法によれば、一旦、部分配列を、制限酵素の認識配列を特定の様式で配置したベクターに組み込むことにより、配列決定と挿入断片の作製を容易に行うことができる。これにより、目的の配列が決まれば、挿入断片の設計において考慮すべき要素が減少するため、挿入断片の設計が容易になり、また、ベクターに組み込んだ後の選択作業を各断片同時に行うことができるようになる。

0073

本発明の第1の態様の挿入断片製造法は、一方の端は、DNA断片が連結される第2の制限酵素による切断末端に連結可能な末端を形成する配列が部分配列に付加されて形成され、付加される配列の長さは、連結後に第1の制限酵素で切断したときに部分配列の端で切断される長さであり、他方の端は、DNA断片が連結される第1の制限酵素による切断末端に連結可能な末端とされている、本発明の製造方法に使用されるDNA断片の製造方法であって、(a)切断後に第1の制限酵素の切断部位と同一の形状の切断部位を生じさせる第3の制限酵素の認識配列及び第4の制限酵素の認識配列を有し、第3の制限酵素の認識配列と切断部位との間に第4の制限酵素の認識配列があるベクターを準備し、(b)両端が、第4の制限酵素による切断末端に連結可能な末端とされている部分配列を含む断片を準備し、(c)(a)の工程で準備されたベクターを第4の制限酵素で切断し、第4の制限酵素により切断された断片と、(b)の工程で準備されたDNA断片を連結し、(d)連結して得られたクローンの塩基配列を解析し、目的の部分配列を有するものを選択し、(e)選択されたクローンを第3の制限酵素及び第4の制限酵素で逐次切断することを含み、(a)及び(b)の工程で準備されるベクター及び断片には、(c)の工程で得られるベクターを第3の制限酵素で切断したときに所定のDNA断片が切り出されるように第3及び第4の制限酵素の認識配列となる配列が設定されている、製造方法である。

0074

第1の制限酵素、第2の制限酵素及び挿入断片は、本発明の製造法に関して説明したとおりである。

0075

第3の制限酵素は、遠隔切断型酵素であって、第1の制限酵素の切断部位と同一の形状の切断部位を有するものである。第3の制限酵素は、第1の制限酵素であってもよい。

0076

第4の制限酵素は、認識配列及び切断部位が特異的であれば、特に制限されない。第2の酵素と同一のものを使用してもよい。

0077

ベクターの種類には、特に制限はなく、プラスミド、ファージ、ウイルス、酵母人工染色体などに由来するものでよい。ベクターの大きさにも、特に制限はないが、挿入される配列以外の部分の大きさは、小さい方が複製の効率が良く好ましい。ベクターは、通常の遺伝子組換え技術に従って製造することができる。

0078

(a)の工程では、第3の制限酵素及び第4の制限酵素の認識配列を有し、第3の制限酵素の認識配列と切断部位との間に第4の制限酵素の認識配列があるベクターを準備する。このようなベクターは、通常の遺伝子組換え技術に従って製造することができる。

0079

(b)の工程では、両端が、第4の制限酵素による切断末端に連結可能な末端とされている部分配列を含む断片を準備する。このような断片は、アニールしたときに目的の断片となるように2本のオリゴマーを化学合成反応により合成し、アニールさせる方法(両鎖アニール法)、片側に制限酵素の認識配列を持ち、3'側が互いにアニールするように設計した2本のオリゴマーを化学合成反応により合成し、アニールさせた後、DNAポリメラーゼを用いる伸長反応を行い、そして制限酵素により切断する方法(合成オリゴマーアニール伸長法)などの通常の方法によって得ることができる。

0080

(c)の工程では、(a)の工程で準備されたベクターを第4の制限酵素で切断し、第4の制限酵素により切断された断片と、(b)の工程で準備されたDNA断片とを連結する。切断は用いる制限酵素に適した条件で行えばよい。断片の連結は、通常の方法により行うことができる。

0081

なお、(a)及び(b)の工程で準備されるベクター及び断片には、(c)の工程で得られるクローンを第3の制限酵素で切断したときに所定の挿入断片が切り出されるように第3及び第4の制限酵素の認識配列となる配列が設定される。

0082

(d)の工程では、連結して得られたクローンの塩基配列を解析し、目的の部分配列を有するものを選択する。塩基配列の解析は通常の方法により行うことができる。

0083

(e)の工程では、選択されたクローンを第3の制限酵素及び第4の制限酵素で逐次切断する。切断は用いる制限酵素に適した条件で行えばよい。

0084

この挿入断片製造法の一態様においては、第3の制限酵素の認識配列と第4の制限酵素の認識配列が同一であり、(a)の工程で準備されるベクターが、第3の制限酵素の認識配列をさらに有し、第3の切断酵素のこの認識配列による切断は、第4の制限酵素による切断と同一の形状の末端を生じ、二つの第3の制限酵素の認識配列は、第4の制限酵素の切断部位の両側に位置するベクターであり、(e)の工程で第3の制限酵素のみで切断が行われる。この態様では、(e)の工程で用いられる制限酵素が1種類なので、切断操作が容易になる。

0085

以下、第3の制限酵素としてAceIII、第4の制限酵素としてEcoRIを選択した場合を例にとって、図5を参照して、説明する。図5中、目的の配列を分割した部分配列の塩基はXで示され、任意の塩基はNで示される。

0086

先ず、AceIII及びEcoRIの認識配列を有し、AceIIIの認識配列と切断部位との間にEcoRIの認識配列があるベクターを準備する。ベクターにおける認識配列を含む部分の塩基配列を配列番号8に示す。

0087

両端が、EcoRIによる切断末端に連結可能な末端とされている部分配列を含む断片を準備する。このような断片は、アニールしたときに目的の断片となるように2本のオリゴマーを化学合成反応により合成し、アニールさせる方法(両鎖アニール法)、片側に制限酵素の認識配列を持ち、3'側が互いにアニールするように設計した2本のオリゴマーを化学合成反応により合成し、アニールさせた後、DNAポリメラーゼを用いる伸長反応を行い、そして制限酵素により切断する方法(合成オリゴマーアニール伸長法)などの通常の方法によって得ることができる。

0088

準備されたベクターをEcoRIで切断し、EcoRIにより切断された断片と、準備されたDNA断片とを連結する。

0089

準備されるベクター及び断片には、連結により得られるクローンをAceIIIで切断したときに所定の挿入断片が切り出されるようにAceIII及びEcoRIの認識部位となる配列が設定されている。

0090

連結して得られたクローンの塩基配列を解析し、目的の部分配列を有するものを選択する。

0091

選択されたベクターをAceIII及びEcoRIで逐次切断する。ベクターとして、AceIIIの認識配列(図5中、括弧を付けた認識配列)をさらに有し、AceIIIのこの認識配列による切断は、EcoRIによる切断と同一の形状の末端を生じ、二つのAceIIIの認識配列は、EcoRIの切断部位の両側に位置するベクターを用いた場合、挿入断片の切り出しにはAceIIIの1種類を用いるだけでよい。切り出しの際に切断される部分における制限酵素の認識配列を含む部分の塩基配列を配列番号9及び10に示す。

0092

本発明は、この態様の挿入断片製造法で使用される、第3の制限酵素の認識配列、及び、第4の制限酵素の認識配列を有し、第3の制限酵素の認識配列と切断部位との間に第4の制限酵素の認識配列があるベクターであって、第3の制限酵素の認識配列をさらに有し、第3の切断酵素のこの認識配列による切断は、第4の制限酵素による切断と同一の形状の末端を生じ、二つの第3の制限酵素の認識配列は、第4の制限酵素の切断部位の両側に位置するベクターも提供する。

0093

上記挿入断片製造法の別の一態様においては、(a)の工程で準備されるベクターが、第3の制限酵素の認識配列をさらに有し、二つの第3の切断酵素の認識配列は、第4の制限酵素の認識配列に対し、向きも含めて対称に位置するベクターであり、(f)の工程で第3の制限酵素のみで切断が行われる。

0094

このベクターに断片を組み込む場合、特定の向きに組み込まれなければ、目的の断片を切り出すことができないが、配列によっては、特定の向きにしか入らないことがある。この態様によれば、断片がどちらの向きに組み込まれても目的の断片を切り出すことができ、このような問題がない。

0095

以下、第3の制限酵素としてAceIII、第4の制限酵素としてEcoRIを選択した場合を例にとって、図6を参照して、説明する。図6中、目的の配列を分割した部分配列の塩基はXで示され、任意の塩基はNで示される。

0096

この態様では、ベクターとして、AceIIIの認識配列をさらに有し、二つのAceIIIの認識配列は、EcoRIの認識配列に対し、向きも含めて対称に位置するベクターを用いる。ベクターにおける認識配列を含む部分の塩基配列を配列番号11に示す。

0097

準備されるベクター及び断片には、連結により得られるクローンをAceIIIで切断したときに所定の挿入断片が切り出されるようにAceIII及びEcoRIの認識部位となる配列が設定されている。

0098

ベクターのEcoRIによる切断部位に断片が挿入され、配列決定により選択されたクローンをAceIIIで切断する。切り出しの際に切断される部分における制限酵素の認識配列を含む部分の塩基配列を配列番号12及び13に示す。

0099

この態様においては、第4の制限酵素の認識部位が二つでもよい。この場合、二つの認識部位を一体と見なす他は上記と同様でよい。第4の制限酵素の認識部位が二つある態様では、(a)で準備されるベクターが第4の制限酵素の認識配列を二つ有し、二つの第4の制限酵素の認識配列は互いに逆方向になっており、第3の制限酵素の認識配列は、二つの第4の制限酵素の認識配列の両側に向きも含めて対称に位置し、第4の制限酵素は3’端に1塩基突出末端を形成するものであることが好ましい。この態様によれば、TAクローニングが可能な末端が形成されるため、その両側に制限酵素の認識配列を配置することによって、さらにロスを少なくすることができる。

0100

3’端に1塩基突出末端を形成する制限酵素としては、BmrI、Eam1105I、BciVI、MboII、MnlIなどが挙げられる。

0101

以下、図7及び8を参照して、第3の制限酵素としてAceIII、第4の制限酵素としてBmrI(図7)又はEam1105I(図8)を選択した場合を例にとって、説明する。図7及び8中、目的の配列を分割した部分配列の塩基はXで示され、任意の塩基はNで示される。

0102

この態様では、ベクターとして、AceIIIの認識配列をさらに有し、二つのAceIIIの認識配列は、二つのBmrI又はEam1105Iの認識配列に対し、向きも含めて対称に位置するベクターを用いる。BmrIを含むベクターにおける認識配列を含む部分の塩基配列を配列番号14に、Eam1105Iを含むベクターにおける認識配列を含む部分の塩基配列を配列番号17に示す。

0103

準備されるベクター及び断片には、連結により得られるベクターをAceIIIで切断したときに所定の挿入断片が切り出されるようにAceIII及びBmrI又はEam1105Iの認識部位となる配列が設定されている。

0104

ベクターのBmrI又はEam1105Iによる切断部位(二つの切断部位の間)に断片が挿入され、配列決定により選択されたベクターをAceIIIで切断する。BmrIを含むベクターを用いた場合の切り出しの際に切断される部分における制限酵素の認識配列を含む部分の塩基配列を配列番号15及び16に示す。Eam1105Iを含むベクターを用いた場合の切り出しの際に切断される部分における制限酵素の認識配列を含む部分の塩基配列を配列番号18及び19に示す。

0105

本発明は、この態様の挿入断片製造方法で使用される、第3の制限酵素の認識配列、及び、第4の制限酵素の認識配列を有し、第3の制限酵素の認識配列と切断部位との間に第4の制限酵素の認識配列があるベクターであって、第3の制限酵素の認識配列をさらに有し、二つの第3の切断酵素の認識配列は、第4の制限酵素の認識配列に対し、向きも含めて対称に位置するベクターも提供する。

0106

このベクターにおいては、第4の制限酵素の認識部位が二つでもよい。さらに、第4の制限酵素の認識配列を二つ有し、二つの第4の制限酵素の認識配列は互いに逆方向になっており、第3の制限酵素の認識配列は、二つの第4の制限酵素の認識配列の両側に向きも含めて対称に位置し、第4の制限酵素は3’端1塩基突出末端を形成するものであってもよい。

0107

本発明の第2の態様の挿入断片製造法は、一方の端は、DNA断片が連結される第2の制限酵素による切断末端に連結可能な末端を形成する配列が部分配列に付加されて形成され、付加される配列の長さは、連結後に第1の制限酵素で切断したときに部分配列の端で切断される長さであり、他方の端は、DNA断片が連結される第1の制限酵素による切断末端に連結可能な末端とされている、本発明の製造方法に使用されるDNA断片の製造方法であって、(a)第4の制限酵素の認識配列を有するベクターを準備し、(b)両端が、第4の制限酵素による切断末端に連結可能な末端とされている部分配列を含む断片であって、第1の制限酵素の認識配列の切断部位と同一の形状の切断部位を生じさせる第3の制限酵素の認識配列による切断は、この断片の一方の末端と同一の形状の末端を生じるように、第3の制限酵素の認識配列を有し、第5の制限酵素による切断が部分配列の端での切断を生じるように、第3の制限酵素により生じる末端と同一の形状の末端を生じる第5の制限酵素の認識配列を有する断片を準備し、(c)(a)の工程で準備されたベクターを第4の制限酵素で切断し、第4の制限酵素により切断された断片と、(b)の工程で準備されたDNA断片を連結し、(d)連結して得られたベクターの塩基配列を解析し、目的の部分配列を有するものを選択し、(e)選択されたベクターを第4の制限酵素及び第5の制限酵素で切断することを含み、(a)及び(b)の工程で準備されるベクター及び断片には、(c)の工程で得られるベクターを第5の制限酵素で切断したときに所定のDNA断片が切り出されるように第5の制限酵素の認識配列となる配列が設定されている、製造方法である。

0108

第5の制限酵素は、遠隔切断型酵素であって、第1の制限酵素の切断部位と同一の形状の切断部位を有するものである。第5の制限酵素は、第1の制限酵素であってもよい。第1〜第4の制限酵素及びベクターは第1の態様と同様である。

0109

(a)の工程では、第4の制限酵素の認識配列を有するベクターを準備する。このようなベクターは、通常の遺伝子組換え技術に従って製造することができる。

0110

(b)の工程では、両端が、第4の制限酵素による切断末端に連結可能な末端とされている部分配列を含む断片であって、第1の制限酵素の認識配列の切断部位と同一の形状の切断部位を生じさせる第3の制限酵素の認識配列による切断は、この断片の一方の末端と同一の形状の末端を生じるように、第3の制限酵素の認識配列を有し、第5の制限酵素による切断が部分配列の端での切断を生じるように、第3の制限酵素により生じる末端と同一の形状の末端を生じる第5の制限酵素の認識配列を有する断片を準備する。このような断片は、アニールしたときに目的の断片となるように2本のオリゴマーを化学合成反応により合成し、アニールさせる方法(両鎖アニール法)、片側に制限酵素の認識配列を持ち、3'側が互いにアニールするように設計した2本のオリゴマーを化学合成反応により合成し、アニールさせた後、DNAポリメラーゼを用いる伸長反応を行い、そして制限酵素により切断する方法(合成オリゴマーアニール伸長法)などの通常の方法によって得ることができる。

0111

(c)の工程では、(a)の工程で準備されたベクターを第4の制限酵素で切断し、第4の制限酵素により切断された断片と、(b)の工程で準備されたDNA断片とを連結する。切断は用いる制限酵素に適した条件で行えばよい。断片の連結は、通常の方法により行うことができる。

0112

なお、(a)及び(b)の工程で準備されるベクター及び断片には、(c)の工程で得られるクローンを第5の制限酵素で切断したときに所定のDNA断片が切り出されるように第5の制限酵素の認識配列となる配列が設定される。

0113

(d)の工程では、連結して得られたクローンの塩基配列を解析し、目的の部分配列を有するものを選択する。塩基配列の解析は通常の方法により行うことができる。

0114

(e)の工程では、選択されたクローンを第4の制限酵素及び第5の制限酵素で切断する。切断は用いる制限酵素に適した条件で行えばよい。第4の制限酵素による切断後の断片が第5の制限酵素で切断できない場合には、第5の制限酵素及び第4の制限酵素で逐次切断する。第4の制限酵素による切断後の断片が第5の制限酵素で切断できる場合には、両酵素による切断は同時でよいし、逐次でもよく、逐次の場合、順序は任意でよい。

0115

以下、第3の制限酵素としてBsaI、第4の制限酵素としてEcoRI、第5の制限酵素としてBbsIを選択した場合を例にとって、図9を参照して、説明する。図9中、目的の配列を分割した部分配列の塩基はXで示され、任意の塩基はNで示される。

0116

先ず、EcoRIの認識配列を有するベクターを準備する。

0117

両端が、EcoRIによる切断末端に連結可能な末端とされている部分配列を含む断片であって、BsaIの認識配列による切断が、この断片の一方の末端と同一の形状の末端を生じるように、BsaIの認識配列を有し、BbsIによる切断は、部分配列の端での切断を生じるようにBbsIの認識配列を有する断片を準備する。このような断片は、アニールしたときに目的の断片となるように2本のオリゴマーを化学合成反応により合成し、アニールさせる方法(両鎖アニール法)、片側に制限酵素の認識配列を持ち、3'側が互いにアニールするように設計した2本のオリゴマーを化学合成反応により合成し、アニールさせた後、DNAポリメラーゼを用いる伸長反応を行い、そして制限酵素により切断する方法(合成オリゴマーアニール伸長法)などの通常の方法によって得ることができる。

0118

準備されたベクターをEcoRIで切断し、EcoRIにより切断された断片と、準備されたDNA断片とを連結する。

0119

準備されるベクター及び断片には、連結により得られるクローンをBbsI及びEcoRIで切断したときに所定の挿入断片が切り出されるようにBbsI及びEcoRIの認識部位となる配列が設定されている。

0120

連結して得られたクローンの塩基配列を解析し、目的の部分配列を有するものを選択する。

発明の効果

0121

選択されたクローンをBbsI及びEcoRIで切断する。両酵素による切断は同時でよいし、逐次でもよく、逐次の場合、順序は任意でよい。切り出しの際に切断される部分における制限酵素の認識配列を含む部分の塩基配列を配列番号6及び20に示す。

0122

本発明によれば、DNA断片の連結による効率のよいDNAの製造が可能になる。

図面の簡単な説明

0123

<110> 日清紡績株式会社(Nisshinbo Industries, Inc.)
<120> DNAの製造法
<130> P-7060
<160> 20
<210> 1
<211> 12
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> synthetic DNA
<400> 1
cagctcgaat tc 12
<210> 2
<211> 11
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> synthetic DNA
<400> 2
cagctctcga g 11

<210> 3
<211> 12
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> synthetic DNA
<400> 3
gaggagccgc gg 12
<210> 4
<211> 13
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> synthetic DNA
<220>
<221> misc_feature
<222> 6, 7
<223> n=a, g, t or c
<400> 4
ggatgnncag ctc 13
<210> 5
<211> 13
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> synthetic DNA
<220>
<221> misc_feature
<222> 7
<223> n=a, g, t or c
<400> 5
ctggagncgt ctc 13
<210> 6
<211> 12
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> synthetic DNA
<400> 6
gaattcggtc tc 12
<210> 7
<211> 10
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> synthetic DNA
<400> 7
ccatggtctc 10
<210> 8
<211> 25
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> synthetic DNA
<220>
<221> misc_feature
<222> 7, 8, 9, 10, 11, 12, 19
<223> n=a, g, t or c
<400> 8
cagctcnnnn nngaattcng agctg 25
<210> 9
<211> 18
<212> DNA
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> synthetic DNA
<220>
<221> misc_feature
<222> 7, 8, 9, 10, 11, 12
<223> n=a, g, t or c
<400> 9
cagctcnnnn nngaattc 18
<210> 10
<211> 13
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> synthetic DNA
<220>
<221> misc_feature
<222> 7
<223> n=a, g, t or c
<400> 10
gaattcngag ctg 13
<210> 11
<211> 20
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> synthetic DNA
<220>
<221> misc_feature
<222> 7, 14
<223> n=a, g, t or c
<400> 11
cagctcngaa ttcngagctg 20
<210> 12
<211> 18
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> synthetic DNA
<220>
<221> misc_feature
<222> 7
<223> n=a, g, t or c
<400> 12
cagctcngaa ttcaattc 18

<210> 13
<211> 13
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> synthetic DNA
<220>
<221> misc_feature
<222> 7
<223> n=a, g, t or c
<400> 13
gaattcngag ctg 13
<210> 14
<211> 23
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> synthetic DNA
<220>
<221> misc_feature
<222> 7, 8, 9, 10, 11, 12, 14, 15, 16, 17
<223> n=a, g, t or c

<400> 14
cagctcnnnn nntnnnnccc agt 23
<210> 15
<211> 18
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> synthetic DNA
<220>
<221> misc_feature
<222> 7, 8, 9, 10, 11, 12
<223> n=a, g, t or c
<400> 15
cagctcnnnn nntaattc 18
<210> 16
<211> 13
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> synthetic DNA
<220>
<221> misc_feature
<222> 2, 3, 4, 5, 6, 7
<223> n=a, g, t or c
<400> 16
annnnnngag ctg 13
<210> 17
<211> 18
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> synthetic DNA
<220>
<221> misc_feature
<222> 7, 11, 12, 14, 15
<223> n=a, g, t or c
<400> 17
cagctcngac nntnngtc 18
<210> 18
<211> 18
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> synthetic DNA
<220>
<221> misc_feature
<222> 7, 11, 12
<223> n=a, g, t or c
<400> 18
cagctcngac nntaattc 18
<210> 19
<211> 13
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> synthetic DNA
<220>
<221> misc_feature
<222> 2, 3, 7
<223> n=a, g, t or c
<400> 19
anngtcngag ctg 13
<210> 20
<211> 12
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> synthetic DNA
<400> 20
gtcttcgaat tc

0124

図1本発明のベクターにおける第1の制限酵素と第2の制限酵素の組合せの例を示す。
図2本発明の製造法の一例の説明図である。
図3挿入断片製造法の説明図である。
図4発目の製造法の他の例の説明図である。
図5本発明の挿入断片製造法の第1例の説明図である。
図6本発明の挿入断片製造法の第2例の説明図である。
図7本発明の挿入断片製造法の第3例の説明図である。
図8本発明の挿入断片製造法の第4例の説明図である。
図9本発明の挿入断片製造法の第5例の説明図である。

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