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技術 フランジ内面突起付形鋼の製造方法及びそれに使用される仕上ユニバーサル圧延機

出願人 JFEスチール株式会社
発明者 駒城倫哉竹林克浩三浦啓徳
出願日 2002年8月20日 (18年4ヶ月経過) 出願番号 2002-239394
公開日 2003年5月14日 (17年7ヶ月経過) 公開番号 2003-136102
状態 特許登録済
技術分野 金属圧延一般 圧延ロール・圧延スタンド・圧延機の駆動 圧延機
主要キーワード コーナー部側 内面突起 開孔型 曲率半径ρ 平均傾き角 突起付 線状突起 フランジ内面
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (19)

課題

大きな設備投資なしで、フランジ内面フランジ幅方向に延びる形状の突起を有する形鋼熱間圧延で製造することができる、フランジ内面突起付形鋼の製造方法及びそれに使用される仕上ユニバーサル圧延機を提供する。

解決手段

フランジSF及びウェブSW を有する形鋼Sの仕上圧延を行うに際して、ロール側面コーナー部6aを始点としほぼロール軸8に向かう複数のスリット7を形成した水平ロール6を組み込んだ仕上ユニバーサル圧延機5を使用し、水平ロール6の側面によるフランジSF内面への押圧時にフランジSF 内面に複数の突起tを形成する。

概要

背景

ウェブとそのウェブの両端に設けられたフランジとを有するH形鋼等の形鋼は、一般に図13に示す圧延設備によって圧延されて最終製品となる。この圧延設備101は、図13(A)に示すように、ブレークダウン圧延機102、粗ユニバーサル圧延機103、エッジング圧延機104、及び仕上ユニバーサル圧延機105からなる場合や、図13(B)に示すように、ブレークダウン圧延機102、第1粗ユニバーサル圧延機103a、エッジング圧延機104、第2粗ユニバーサル圧延機103b、及び仕上ユニバーサル圧延機105からなる場合等があり、加熱炉で加熱されたスラブブルーム、あるいはビームブランク等の素材を順次に各圧延機で圧延することによって所定の断面寸法の形鋼が製造されるようになっている。

図13(A)に示す圧延設備101によってH形鋼を圧延する方法について説明すると、先ず、加熱炉で加熱された素材はブレークダウン圧延機102によって粗形のH断面に圧延される。このブレークダウン圧延機102は、ロール胴に沿って開孔型または閉孔型複数個設けた上下ロールが配置された二重式の圧延機である。

そして、ブレークダウン圧延機102によって粗形のH断面に圧延された素材は、粗ユニバーサル圧延機103及びエッジング圧延機104からなる粗ユニバーサル圧延機群で複数回往復圧延され、図14(B)に示す形状の所定厚みを有するH形断面に圧延される。ここで、粗ユニバーサル圧延機103は、上下一対水平ロール106と左右一対垂直ロール107とを備え、上下一対の水平ロール106により形成されるロール隙で素材SのウェブSw がその厚さ方向に圧下され、左右それぞれの垂直ロール107と上下の水平ロール106の側面とにより形成されるロール隙で左右のフランジSFがその厚さ方向に圧下される(図14(A)参照)。また、エッジング圧延機104は、上下一対のエッジングロール108を備え、上下一対のエッジングロール108によって形成されるロール隙でフランジSF の幅が所定の寸法にまで圧下される(図14(B)参照)。

そして、図14(B)に示す形状に圧延された素材Sは、上下一対の水平ロール109と左右一対の垂直ロール110とを備えた仕上ユニバーサル圧延機105により、フランジSF及びウェブSw の厚み圧下とフランジSF の角度起こしとが行われ、最終製品の寸法に仕上られる(図14(C)参照)。ところで、ビル建設等で用いられる鉄筋鉄骨コンクリート工法においては、コンクリート鉄骨との付着性を増すため、突起付鋼材が使用されることがある。例えば、柱・梁材等で使用されるH形鋼では、フランジの内面や外面に突起を有するものが用いられる。この突起は、ある程度の高さ(例えば1mm以上)が必要とされており、また、突起の数が多い場合や突起の長さが長い場合にはよりコンクリートとの付着性が増加することになる。

ここで、図15に示すように、フランジSFの外面に複数の突起tを有するH形鋼Sを製造する場合には、仕上ユニバーサル圧延機205において、左右一対の垂直ロール210の外面に垂直方向に延びる複数の溝210aを形成しておき、この垂直ロール210でフランジSF の外面を圧下することにより、フランジSF の外面に複数の突起tを有するH形鋼Sを比較的容易に製造することができる。図15中、符号209は水平ロールである。

一方、仕上ユニバーサル圧延機105による仕上ユニバーサル圧延においては、図14(C)に示すように、フランジSFの内面は水平ロール109の側面で圧下されるが、水平ロール109の側面には抜け勾配がほとんどなく、かつ、ロールと材料との相対すべりが大きいため、水平ロール109の側面に単に溝を形成し、これをフランジSF の内面に転写させて突起を形成しても、圧延の出側で突起がつぶれてしまうという問題があった。このため、フランジSF の内面に突起を有するH形鋼は、熱間圧延では簡単に製造できないと考えられていた。

フランジの内面に突起を有するH形鋼は、フランジの外面に突起を有するものよりコンクリートとの付着性が優れているといわれているため、熱間圧延後に溶接によりリブや突起をフランジの内面に付与して製造されていた。しかし、生産性は非常に悪かった。そこで、熱間圧延によってフランジの内面に突起を付与するはなおも望まれており、いくつか提案されている。

例えば、特開平3−32408号公報には、図16に示すように、H形鋼Sの各フランジSF内面を圧下する溝付小径ロールからなる第2垂直ロール308を上下左右各フランジSF 内面毎に4個配設し、フランジSF 外面を圧下する左右2個の垂直ロール307の各チョック309を内方へ延長して各第2垂直ロール308を軸受にて支持し、各水平ロール306側面のベベルギヤ310と各第2垂直ロール308のベベルギヤ311とを噛合せ、これらベベルギヤ310,311による駆動部周速と第2垂直ロール308の圧下側面部周速との周速調整手段を設けた仕上圧延装置305が開示されている。

この仕上圧延装置305によれば、コンクリートとの付着性が優れたフランジの内面に突起を有するH形鋼を、熱間圧延で製造することができる。また、特開昭61−82903号公報には、図17に示すように、加熱炉(図示せず)により加熱された素材を、ブレークダウン圧延機402、第1粗ユニバーサル圧延機403、第2粗ユニバーサル圧延機404、及び仕上ユニバーサル圧延機405を経てフランジ内面に突起を有するH形鋼とする圧延設備401が開示されている。ここで、第1粗ユニバーサル圧延機403においては、図18(A)に示すように、水平ロール403Aの側面の傾斜を45°程度と大きくするとともにこの側面のほぼ中央部に凹部407を形成し、複数パス線形鋼片406のフランジ406A内面に圧延方向に連続する線状突起408を造形するようにしている。また、第2粗ユニバーサル圧延機404においては、図18(B)に示すように、水平ロール404Aの傾斜側面に圧延方向において断続的な凹部410を複数形成し、水平ロール404Aで線形鋼片406のフランジ406A及びウェブ406Bを圧下しつつ線状突起408を断続的に圧下し、所定ピッチ突起411を造形するようにしている。そして、仕上ユニバーサル圧延機405においては、水平ロール405Aでウェブ406Bを圧下しつつ、フラットな垂直ロール405BによりV字形状のフランジ406Aを徐々に押し広げてゆき、これにより、所定の高さ及びピッチの縞突起411をフランジ内面に有するH形鋼406を得るようにしている。

概要

大きな設備投資なしで、フランジ内面にフランジ幅方向に延びる形状の突起を有する形鋼を熱間圧延で製造することができる、フランジ内面突起付形鋼の製造方法及びそれに使用される仕上ユニバーサル圧延機を提供する。

フランジSF及びウェブSW を有する形鋼Sの仕上圧延を行うに際して、ロール側面コーナー部6aを始点としほぼロール軸8に向かう複数のスリット7を形成した水平ロール6を組み込んだ仕上ユニバーサル圧延機5を使用し、水平ロール6の側面によるフランジSF内面への押圧時にフランジSF 内面に複数の突起tを形成する。

目的

本発明は上述の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、大きな設備投資なしで、フランジ内面にフランジ幅方向に延びる形状の突起を有する形鋼を熱間圧延で製造することができる、フランジ内面突起付形鋼の製造方法及びそれに使用される仕上ユニバーサル圧延機を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
3件
牽制数
1件

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請求項1

フランジ及びウェブを有する形鋼の仕上圧延を行うに際して、ロール側面コーナー部を始点としほぼロール軸に向かう複数のスリットを形成した水平ロールを組み込んだ仕上ユニバーサル圧延機を使用し、前記水平ロールの側面による前記フランジ内面への押圧時に前記フランジ内面に複数の突起を形成することを特徴とする、フランジ内面突起付形鋼の製造方法。

請求項2

前記スリットの各々が、前記ロール側面のコーナー部を始点として直線状で形成されていることを特徴とする請求項1記載のフランジ内面突起付形鋼の製造方法。

請求項3

前記スリットの各々が、前記ロール側面のコーナー部を始点として前記形鋼の圧延方向とは逆方向に湾曲する形状で形成されていることを特徴とする請求項1記載のフランジ内面突起付形鋼の製造方法。

請求項4

前記スリットの各々が、前記ロール側面のコーナー部を始点としてほぼロール軸に向かって直線状で延びてから前記形鋼の圧延方向とは逆方向に湾曲する形状で形成されているか、又は前記ロール側面のコーナー部を始点として前記形鋼の圧延方向とは逆方向に湾曲してから残りが直線状で形成されていることを特徴とする請求項1記載のフランジ内面突起付形鋼の製造方法。

請求項5

前記各スリットの直線状に形成された部分の中心線が、前記各スリットのコーナー部始点と前記ロール軸とを結ぶ直線に対して前記形鋼の圧延方向とは逆方向に0°〜10°傾いていることを特徴とする請求項2又は4記載のフランジ内面突起付形鋼の製造方法。

請求項6

前記各スリットの幅が、前記ロール側面のコーナー部始点から前記ロール軸に向かうに従って徐々に小さくなることを特徴とする請求項2乃至5のうちいずれか一項に記載のフランジ内面突起付形鋼の製造方法。

請求項7

前記仕上圧延を行うに際して、前記フランジの厚み圧下率を前記ウェブの厚み圧下率よりも大きくすることを特徴とする請求項1記載のフランジ内面突起付形鋼の製造方法。

請求項8

前記仕上圧延前の材料のフィレット部近傍に余肉を形成しておくことを特徴とする請求項1記載のフランジ内面突起付形鋼の製造方法。

請求項9

ロール側面のコーナー部を始点としほぼロール軸に向かう複数のスリットを形成した水平ロールを組み込んだことを特徴とする仕上ユニバーサル圧延機。

請求項10

前記スリットの各々が、前記ロール側面のコーナー部を始点として直線状で形成されていることを特徴とする請求項9記載の仕上ユニバーサル圧延機。

請求項11

前記スリットの各々が、前記ロール側面のコーナー部を始点として前記形鋼の圧延方向とは逆方向に湾曲する形状で形成されていることを特徴とする請求項9記載の仕上ユニバーサル圧延機。

請求項12

前記スリットの各々が、前記ロール側面のコーナー部を始点としてほぼロール軸に向かって直線状で延びてから前記形鋼の圧延方向とは逆方向に湾曲する形状で形成されているか、又は前記ロール側面のコーナー部を始点として前記形鋼の圧延方向とは逆方向に湾曲してから残りが直線状で形成されていることを特徴とする請求項9記載の仕上ユニバーサル圧延機。

請求項13

前記各スリットの直線状に形成された部分の中心線が、前記各スリットのコーナー部始点と前記ロール軸とを結ぶ直線に対して前記形鋼の圧延方向とは逆方向に0°〜10°傾いていることを特徴とする請求項10又は12記載の仕上ユニバーサル圧延機。

請求項14

前記各スリットの幅が、前記ロール側面のコーナー部始点から前記ロール軸に向かうに従って徐々に小さくなることを特徴とする請求項10乃至13のうちいずれか一項に記載の仕上ユニバーサル圧延機。

技術分野

0001

本発明は、フランジ内面突起付形鋼の製造方法及びそれに使用される仕上ユニバーサル圧延機に関する。

背景技術

0002

ウェブとそのウェブの両端に設けられたフランジとを有するH形鋼等の形鋼は、一般に図13に示す圧延設備によって圧延されて最終製品となる。この圧延設備101は、図13(A)に示すように、ブレークダウン圧延機102、粗ユニバーサル圧延機103、エッジング圧延機104、及び仕上ユニバーサル圧延機105からなる場合や、図13(B)に示すように、ブレークダウン圧延機102、第1粗ユニバーサル圧延機103a、エッジング圧延機104、第2粗ユニバーサル圧延機103b、及び仕上ユニバーサル圧延機105からなる場合等があり、加熱炉で加熱されたスラブブルーム、あるいはビームブランク等の素材を順次に各圧延機で圧延することによって所定の断面寸法の形鋼が製造されるようになっている。

0003

図13(A)に示す圧延設備101によってH形鋼を圧延する方法について説明すると、先ず、加熱炉で加熱された素材はブレークダウン圧延機102によって粗形のH断面に圧延される。このブレークダウン圧延機102は、ロール胴に沿って開孔型または閉孔型複数個設けた上下ロールが配置された二重式の圧延機である。

0004

そして、ブレークダウン圧延機102によって粗形のH断面に圧延された素材は、粗ユニバーサル圧延機103及びエッジング圧延機104からなる粗ユニバーサル圧延機群で複数回往復圧延され、図14(B)に示す形状の所定厚みを有するH形断面に圧延される。ここで、粗ユニバーサル圧延機103は、上下一対水平ロール106と左右一対垂直ロール107とを備え、上下一対の水平ロール106により形成されるロール隙で素材SのウェブSw がその厚さ方向に圧下され、左右それぞれの垂直ロール107と上下の水平ロール106の側面とにより形成されるロール隙で左右のフランジSFがその厚さ方向に圧下される(図14(A)参照)。また、エッジング圧延機104は、上下一対のエッジングロール108を備え、上下一対のエッジングロール108によって形成されるロール隙でフランジSF の幅が所定の寸法にまで圧下される(図14(B)参照)。

0005

そして、図14(B)に示す形状に圧延された素材Sは、上下一対の水平ロール109と左右一対の垂直ロール110とを備えた仕上ユニバーサル圧延機105により、フランジSF及びウェブSw の厚み圧下とフランジSF の角度起こしとが行われ、最終製品の寸法に仕上られる(図14(C)参照)。ところで、ビル建設等で用いられる鉄筋鉄骨コンクリート工法においては、コンクリート鉄骨との付着性を増すため、突起付鋼材が使用されることがある。例えば、柱・梁材等で使用されるH形鋼では、フランジの内面や外面に突起を有するものが用いられる。この突起は、ある程度の高さ(例えば1mm以上)が必要とされており、また、突起の数が多い場合や突起の長さが長い場合にはよりコンクリートとの付着性が増加することになる。

0006

ここで、図15に示すように、フランジSFの外面に複数の突起tを有するH形鋼Sを製造する場合には、仕上ユニバーサル圧延機205において、左右一対の垂直ロール210の外面に垂直方向に延びる複数の溝210aを形成しておき、この垂直ロール210でフランジSF の外面を圧下することにより、フランジSF の外面に複数の突起tを有するH形鋼Sを比較的容易に製造することができる。図15中、符号209は水平ロールである。

0007

一方、仕上ユニバーサル圧延機105による仕上ユニバーサル圧延においては、図14(C)に示すように、フランジSFの内面は水平ロール109の側面で圧下されるが、水平ロール109の側面には抜け勾配がほとんどなく、かつ、ロールと材料との相対すべりが大きいため、水平ロール109の側面に単に溝を形成し、これをフランジSF の内面に転写させて突起を形成しても、圧延の出側で突起がつぶれてしまうという問題があった。このため、フランジSF の内面に突起を有するH形鋼は、熱間圧延では簡単に製造できないと考えられていた。

0008

フランジの内面に突起を有するH形鋼は、フランジの外面に突起を有するものよりコンクリートとの付着性が優れているといわれているため、熱間圧延後に溶接によりリブや突起をフランジの内面に付与して製造されていた。しかし、生産性は非常に悪かった。そこで、熱間圧延によってフランジの内面に突起を付与するはなおも望まれており、いくつか提案されている。

0009

例えば、特開平3−32408号公報には、図16に示すように、H形鋼Sの各フランジSF内面を圧下する溝付小径ロールからなる第2垂直ロール308を上下左右各フランジSF 内面毎に4個配設し、フランジSF 外面を圧下する左右2個の垂直ロール307の各チョック309を内方へ延長して各第2垂直ロール308を軸受にて支持し、各水平ロール306側面のベベルギヤ310と各第2垂直ロール308のベベルギヤ311とを噛合せ、これらベベルギヤ310,311による駆動部周速と第2垂直ロール308の圧下側面部周速との周速調整手段を設けた仕上圧延装置305が開示されている。

0010

この仕上圧延装置305によれば、コンクリートとの付着性が優れたフランジの内面に突起を有するH形鋼を、熱間圧延で製造することができる。また、特開昭61−82903号公報には、図17に示すように、加熱炉(図示せず)により加熱された素材を、ブレークダウン圧延機402、第1粗ユニバーサル圧延機403、第2粗ユニバーサル圧延機404、及び仕上ユニバーサル圧延機405を経てフランジ内面に突起を有するH形鋼とする圧延設備401が開示されている。ここで、第1粗ユニバーサル圧延機403においては、図18(A)に示すように、水平ロール403Aの側面の傾斜を45°程度と大きくするとともにこの側面のほぼ中央部に凹部407を形成し、複数パス線形鋼片406のフランジ406A内面に圧延方向に連続する線状突起408を造形するようにしている。また、第2粗ユニバーサル圧延機404においては、図18(B)に示すように、水平ロール404Aの傾斜側面に圧延方向において断続的な凹部410を複数形成し、水平ロール404Aで線形鋼片406のフランジ406A及びウェブ406Bを圧下しつつ線状突起408を断続的に圧下し、所定ピッチ突起411を造形するようにしている。そして、仕上ユニバーサル圧延機405においては、水平ロール405Aでウェブ406Bを圧下しつつ、フラットな垂直ロール405BによりV字形状のフランジ406Aを徐々に押し広げてゆき、これにより、所定の高さ及びピッチの縞突起411をフランジ内面に有するH形鋼406を得るようにしている。

発明が解決しようとする課題

0011

しかしながら、これら従来の図16に示す仕上圧延装置305や図17及び図18に示すH形鋼の圧延法にあっては、以下の問題点があった。即ち、図16に示す仕上圧延装置305の場合、水平ロール306及び第1垂直ロール307以外に仕上圧延装置305に特殊な第2垂直ロール311を4個も組み込む必要があり、大きな設備投資が必要となっていた。このため、仕上圧延設備にかかるコストが非常に高かった。

0012

また、図17及び図18に示すH形鋼の圧延法の場合、粗ユニバーサル圧延機が2機(符号403及び404)必要になり、また、各粗ユニバーサル圧延機403,404において傾斜側面に凹部407,410を形成した特殊な水平ロール403A,404Aを組み込む必要となり、設備コストが非常に高かった。また、仕上ユニバーサル圧延機405による仕上圧延において、V字形状のフランジ406Aを徐々に押し広げて行く際に、フランジ406Aの内面に縞突起411が形成されていることからフランジ406Aの厚み方向の圧下を行うことができなかった。さらに、フランジ内面に突起を設けた形鋼は、その使われ方からフランジ幅方向(圧延方向に直交する垂直方向)に延びる形状の突起が望まれる場合が多いのに対し、前述の圧延法でフランジ内面に設けられる縞突起411は圧延方向に延びる形状となっていた。

0013

本発明は上述の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、大きな設備投資なしで、フランジ内面にフランジ幅方向に延びる形状の突起を有する形鋼を熱間圧延で製造することができる、フランジ内面突起付形鋼の製造方法及びそれに使用される仕上ユニバーサル圧延機を提供することにある。

課題を解決するための手段

0014

上記諸問題を解決するため、本発明のうち請求項1に係るフランジ内面突起付形鋼の製造方法は、フランジ及びウェブを有する形鋼の仕上圧延を行うに際して、ロール側面コーナー部を始点としほぼロール軸に向かう複数のスリットを形成した水平ロールを組み込んだ仕上ユニバーサル圧延機を使用し、前記水平ロールの側面による前記フランジ内面への押圧時に前記フランジ内面に複数の突起を形成することを特徴としている。

0015

本発明のうち請求項2に係るフランジ内面突起付形鋼の製造方法は、請求項1記載の発明において、前記スリットの各々が、前記ロール側面のコーナー部を始点として直線状で形成されていることを特徴としている。本発明のうち請求項3に係るフランジ内面突起付形鋼の製造方法は、請求項1記載の発明において、前記スリットの各々が、前記ロール側面のコーナー部を始点として前記形鋼の圧延方向とは逆方向に湾曲する形状で形成されていることを特徴としている。

0016

本発明のうち請求項4に係るフランジ内面突起付形鋼の製造方法は、請求項1記載の発明において、前記スリットの各々が、前記ロール側面のコーナー部を始点としてほぼロール軸に向かって直線状で延びてから前記形鋼の圧延方向とは逆方向に湾曲する形状で形成されているか、又は前記ロール側面のコーナー部を始点として前記形鋼の圧延方向とは逆方向に湾曲してから残りが直線状で形成されていることを特徴としている。

0017

本発明のうち請求項5に係るフランジ内面突起付形鋼の製造方法は、請求項2又は4記載の発明において、前記各スリットの直線状に形成された部分の中心線が、前記各スリットのコーナー部始点と前記ロール軸とを結ぶ直線に対して前記形鋼の圧延方向とは逆方向に0°〜10°傾いていることを特徴としている。本発明のうち請求項6に係るフランジ内面突起付形鋼の製造方法は、請求項2乃至5のうちいずれか一項に記載の発明において、前記各スリットの幅が、前記ロール側面のコーナー部始点から前記ロール軸に向かうに従って徐々に小さくなることを特徴としている。

0018

本発明のうち請求項7に係るフランジ内面突起付形鋼の製造方法は、請求項1記載の発明において、前記仕上圧延を行うに際して、前記フランジの厚み圧下率を前記ウェブの厚み圧下率よりも大きくすることを特徴としている。本発明のうち請求項8に係るフランジ内面突起付形鋼の製造方法は、請求項1記載の発明において、前記仕上圧延前の材料のフィレット部近傍に余肉を形成しておくことを特徴としている。

0019

また、本発明のうち請求項9に係る仕上ユニバーサル圧延機は、ロール側面のコーナー部を始点としほぼロール軸に向かう複数のスリットを形成した水平ロールを組み込んだことを特徴としている。本発明のうち請求項10に係る仕上ユニバーサル圧延機は、請求項9記載の発明において、前記スリットの各々が、前記ロール側面のコーナー部を始点として直線状で形成されていることを特徴としている。

0020

本発明のうち請求項11に係る仕上ユニバーサル圧延機は、請求項9記載の発明において、前記スリットの各々が、前記ロール側面のコーナー部を始点として前記形鋼の圧延方向とは逆方向に湾曲する形状で形成されていることを特徴としている。本発明のうち請求項12に係る仕上ユニバーサル圧延機は、請求項9記載の発明において、前記スリットの各々が、前記ロール側面のコーナー部を始点としてほぼロール軸に向かって直線状で延びてから前記形鋼の圧延方向とは逆方向に湾曲する形状で形成されているか、又は前記ロール側面のコーナー部を始点として前記形鋼の圧延方向とは逆方向に湾曲してから残りが直線状で形成されていることを特徴としている。

0021

本発明のうち請求項13に係る仕上ユニバーサル圧延機は、請求項10又は12記載の発明において、前記各スリットの直線状に形成された部分の中心線が、前記各スリットのコーナー部始点と前記ロール軸とを結ぶ直線に対して前記形鋼の圧延方向とは逆方向に0°〜10°傾いていることを特徴としている。本発明のうち請求項14に係る仕上ユニバーサル圧延機は、請求項10乃至13のうちいずれか一項に記載の発明において、前記各スリットの幅が、前記ロール側面のコーナー部始点から前記ロール軸に向かうに従って徐々に小さくなることを特徴としている。

発明を実施するための最良の形態

0022

次に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は本発明に係るフランジ内面突起付形鋼の製造方法が適用される圧延設備の概略構成図である。図2図1の圧延設備における仕上ユニバーサル圧延機に組み込まれる水平ロールの側面図である。図3図2に示す水平ロール用いての仕上ユニバーサル圧延における水平ロールの側面とフランジ内面との接触状態を模式的に示した図である。但し、図3においては、スリットの表示を省略するとともにフランジを透視している。図4はフランジ内面に突起を有するH形鋼の部分斜視図である。図5はフランジ内面に形成された突起が水平ロールのスリットからつぶされずにロールコーナー部から抜けていく様子を示した模式図である。

0023

図4に示すウェブSw とそのウェブSw の左右両端に設けられたフランジSFとを有し、フランジSF内面に突起tを有するH形鋼Sを製造する場合を例にとって本発明の実施形態を説明する。図1に示すように、H形鋼Sを製造するための圧延設備1は、図13(A)に示す圧延設備101と同様に、ブレークダウン圧延機2、粗ユニバーサル圧延機3、エッジング圧延機4、及び仕上ユニバーサル圧延機5からなり、加熱炉で加熱された素材を順次に各圧延機で圧延することによって所定の断面寸法のフランジSF 内面に突起tを有するH形鋼Sが製造される。

0024

ここで、ブレークダウン圧延機2、粗ユニバーサル圧延機3、及びエッジング圧延機4においては、素材は図14(B)に示す形状と同一の形状に圧延される。そして、図14(B)に示す形状と同一の形状に圧延された素材は、上下一対の水平ロール6(図2及び図3参照)と左右一対の垂直ロール(図示せず)とを備えた仕上ユニバーサル圧延機5により、フランジSF及びウェブSw の厚み圧下、フランジSF内面への突起tの形成、及びフランジSF の角度起こしが行われ、最終製品の寸法に仕上られる。

0025

ここで、仕上ユニバーサル圧延機5によるフランジSF内面への突起tの形成について詳細に説明すると、仕上ユニバーサル圧延機5の各水平ロール6は、図2に示すように、ロール側面のコーナー部6aを始点としロール軸8に向かう複数の直線状のスリット7を形成している。ここで言う「コーナー部6a」とは、水平ロール6の周面と側面との境界部であり、このコーナー部6aには、丸みや面取りが施されている。そして、水平ロール6の側面によるフランジSF 内面への押圧時(フランジSF の厚み圧下時)にフランジSF 内面に複数の突起tを圧延方向において所定ピッチで形成する。ここで、水平ロール6の側面に形成された各スリット7は、ロール側面のコーナー部6aを始点としほぼロール軸8に向かって形成されていることから、フランジSF 内面に形成された突起tは、図4に示すように、圧延方向に対してほぼ直交する垂直方向、即ちフランジ幅方向に延びることになる。従って、水平ロール6の側面にロール側面のコーナー部6aを始点としロール軸8に向かう複数のスリット7を形成するだけで仕上ユニバーサル圧延機5による仕上圧延によってフランジSF 内面にフランジ幅方向に延びる形状の突起tを有するH形鋼を熱間圧延で製造することができる。このため、大きな設備投資も不要となり、仕上圧延設備にかかるコストを安価にすることができる。

0026

前述の突起tの形成に際し、水平ロール6のスリット7の形状は水平ロール6の側面でフランジSF内面を圧下する領域A(図3参照)、即ちロールバイト内でフランジSF 内面に転写される。そして、ロールバイトを出た圧延機出側では、フランジSF の厚み圧下は終了しているが、フランジSF 内面と水平ロール6の側面が未だに接触した状態の領域Bを形成する。

0027

ロールバイト内で転写されたフランジSF内面の突起tが前記領域Bで形をつぶされないようにするためには、「突起tが領域Bにおいて常にスリット7に接していること」が望まれる。領域Bでは、例えば、ロールバイト出口におけるフランジSF 内面の点a(図3においてウェブSw の下方に位置するフランジSF内面の点a)は圧延方向と同一の図3の矢印方向に進むため、点aは点aと同一の高さとなる水平ロール6の側面から領域Bを抜けるときに接するロールコーナー部まで連続的に水平ロール6の側面に接していく。従って、突起tを形成する水平ロール6の側面に形成されたスリット7は、図2に示すように、前述のコーナー部6aから連続して形成されている必要がある。フランジSF 内面に形成された突起tが水平ロール6のスリット7からつぶされずにロールコーナー部6aから抜けていく様子を図5に示す。領域Aで形成された突起t(図5(A)参照)は、図5(B)〜(D)に示すように、一部変形する場合があるものの、スリット7と常に接しながらスリット7をコーナー部6aから抜けていく。

0028

一方、図6に示すように、スリット7をコーナー部6aを含まない水平ロール6の側面だけに形成した場合、前述の領域Bにおいて突起tが常にスリット7に接することできずに、最終的にはフランジSF内面に形成された突起tをスリット7から抜くことができず、突起tがつぶされてしまう。また、水平ロール6の側面に形成されたスリット7の形状は、図7に示すように、スリット7の直線状に形成された部分の中心線C1が、スリット7のコーナー部6a始点とロール軸8とを結ぶ直線C2に対してH形鋼Sの圧延方向とは逆方向に0°〜10°、より好適には約5°傾いていることが好ましい。この理由は、図3に示したフランジSF 内面の点aが領域Bで順に接する水平ロール6の側面を点でつないでいくと、圧延方向とは逆方向に傾いた線になり、領域Bで突起tがスリット7から抜きやすくなるからである。この傾き角θが10°より大きい場合や、逆に0°より小さい場合、即ちスリット7の方向が圧延方向に傾いている場合には、「突起が領域Bにおいて常にスリットに接していること」という条件を満たすことができずに、特にフランジ幅方向の端部側で突起tが剥がされてしまう場合も生じる。

0029

更に、各スリット7の幅は、図8に示すように、ロール側面のコーナー部6aで最も広く、コーナー部6a始点からロール軸8に向かうに従って徐々に小さくなっていると、「突起が領域Bにおいて常にスリットに接していること」という条件を満たし易く好適である。この理由は、このようにすると、図3に示したフランジSF内面の点aがフランジ幅方向のどの位置であっても領域Bで最終的にコーナー部6aと接するためである。このようにスリット7の幅をコーナー部6a始点からロール軸8に向かうに従って徐々に小さくなるようにするのは、図8に示す場合のみならず、図7に示したスリット7にも適用することができる。これにより、領域Bで突起tをスリット7からより容易に抜くことができる。

0030

また、水平ロール6の側面に形成されたスリット7は、直線状で形成される場合のみならず、図9に示すように、ロール側面のコーナー部6aを始点としてH形鋼Sの圧延方向と逆方向に湾曲する形状で形成されていてもよい。これにより、スリット7の形状を単に直線状で形成する場合より、領域Bで突起tがスリット7から抜きやすくなる。なお、図9において、各スリット7の幅は、ロール側面のコーナー部6aで最も広く、コーナー部6a始点からロール軸8に向かうに従って徐々に小さくなって。

0031

なお、仕上ユニバーサル圧延機5による仕上圧延を行うに際しては、従来の仕上ユニバーサル圧延と同様に、フランジSFの厚み圧下率をウェブSw の厚み圧下率よりも大きくすることが好ましい。ウェブSw に対してフランジSF を強圧下することにより、突起tがより高く形成されるとともに、材料の先進率ロール周速に対するロールバイト出口での材料の速度の割合)が小さくなり、前述の「突起が領域Bにおいて常にスリットに接していること」という条件を満たしやすくなる。

0032

また、仕上圧延前の材料のフィレット部近傍には、図10乃至図12に示すように、余肉x1、x2、x3を形成しておくことが好ましい。突起tを形成する部分において、強圧下となるので、突起tがより高く形成されるためである。ここで、フィレット部とは、フランジSFとウェブSw とが結合する部位である。なお、余肉の形成に際しては、図10及び図11に示すようにフランジSF の内面に形成しても、あるいは図12に示すようにフランジSF の外面に形成してもよい。

0033

フランジSFの内面に余肉を形成する手段としては、例えば、図10に示す、仕上ユニバーサル圧延機よりも前段の水平ロール(粗ユニバーサル圧延機の水平ロール)501のロールコーナ内半径寸法R1を仕上ユニバーサル圧延機の水平ロール601のコーナ内半径R2よりも大きくする手段、あるいは図11に示す、仕上ユニバーサル圧延機より前段の水平ロール(粗ユニバーサル圧延機の水平ロール)501の側面に凹部502を形成しておく手段がある。即ち、図10に示す手段にあっては、図10(A)に示すように仕上ユニバーサル圧延機よりも前段の水平ロール501のロールコーナ内半径寸法R1を仕上ユニバーサル圧延機の水平ロール601のコーナ内半径R2よりも大きくしておいて、上下一対の水平ロール501により形成されるロール隙でウェブSw をその厚さ方向に圧下し、垂直ロール(図示せず)と上下の水平ロール501の側面とにより形成されるロール隙でフランジSF をその厚さ方向に圧下することで、フランジSF の内面に余肉x1を形成する。その後、仕上ユニバーサル圧延機の水平ロール601の側面と垂直ロール(図示せず)によるロール隙でフランジSF をその厚さ方向に圧下する。水平ロール601の側面にはロールコーナ部からスリットを形成しており、余肉x1を含んで圧下して突起tを形成する。また、図11に示す手段にあっては、図11(A)に示すように、仕上ユニバーサル圧延機より前段の水平ロール(粗ユニバーサル圧延機の水平ロール)501の側面に凹部502を形成しておいて、上下一対の水平ロール501により形成されるロール隙でウェブSw をその厚さ方向に圧下し、垂直ロール(図示せず)と上下の水平ロール501の側面とにより形成されるロール隙でフランジSF をその厚さ方向に圧下する。これにより、フランジSF の内面に先ず余肉x2を形成しておく。その後、仕上ユニバーサル圧延機の水平ロール601の側面と垂直ロール(図示せず)でフランジSF の厚み圧下を余肉x2を含んで行い、スリットをもつ水平ロール601のコーナ部側面と接するフランジSF の内面に突起tを形成する。

0034

また、フランジSFの外面に余肉を形成する手段としては、例えば、図12に示すように、仕上ユニバーサル圧延機よりも前段の垂直ロール(粗ユニバーサル圧延機の垂直ロール)503のロール高さ方向中央部に面取部504を形成しておき、上下一対の水平ロール501により形成されるロール隙でウェブSw をその厚さ方向に圧下し、垂直ロール503と上下の水平ロール501の側面とにより形成されるロール隙でフランジSF をその厚さ方向に圧下することで、フランジSF の外面に余肉x3を形成する。その後、仕上ユニバーサル圧延機の水平ロール601の側面と垂直ロール603によるロール隙でフランジSF をその厚さ方向に圧下する。水平ロール601の側面にはロールコーナ部からスリットを形成しており、余肉x3を含んで圧下して突起tを形成する。

0035

以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されず、種々の変更を行うことができる。本実施形態では、スリット7の形状がロール側面のコーナー部6aを始点として直線状で形成されたもの、及びロール側面のコーナー部6aを始点としてH形鋼Sの圧延方向とは逆方向に湾曲する形状で形成されているものについて示したが、ロール側面のコーナー部6aを始点としてほぼロール軸8に向かって直線状で延びてからH形鋼Sの圧延方向とは逆方向に湾曲する形状で形成されていたり、あるいは前記ロール側面のコーナー部6aを始点としてH形鋼Sの圧延方向とは逆方向に湾曲してから残りが直線状で形成されていてもよい。この場合でも、突起tがはがれたりつぶされたりすることなく形成できることを確認している。そして、この場合、各スリット7の直線状に形成された部分の中心線が、各スリット7のコーナー部6a始点とロール軸8とを結ぶ直線に対してH形鋼Sの圧延方向とは逆方向に0°〜10°傾いていてもよい。また、この場合、各スリット7の幅は、ロール側面のコーナー部6a始点からロール軸8に向かうに従って徐々に小さくなっていてもよい。

0036

また、圧延設備1で圧延することによって製造されるのは、図4に示すフランジSF内面に突起tを有するH形鋼Sのみならず、ウェブ及びフランジを有するI形鋼T形鋼溝形鋼等の形鋼のフランジ内面に突起を有するものであってもよい。さらに、本実施形態ではフランジSF 内面だけに突起tを形成したが、仕上ユニバーサル圧延機5に組み込まれる垂直ロールの側面にも垂直方向に延びるスリットを形成しておくことにより、フランジSF 外面にも同時に突起を形成することができる。

0037

図1に示す圧延設備1において、図6図7図8及び図9に示した形状のスリット7をロール側面に加工した水平ロール6を仕上ユニバーサル圧延機5に組み込んで仕上圧延を行い、フランジ内面に突起を有するH形鋼(製品寸法ウェブ高さ316mm、フランジ幅316mm、ウェブ厚18mm、フランジ厚23mm)を製造した。仕上ユニバーサル圧延における目標厚み圧下率はウェブで6%、フランジで12%とした。

0038

スリットの寸法(スリットのコーナー部における幅W1、スリットのロール軸側端における幅W2、スリットの長さL1、スリットのコーナー部側端からロールのコーナー部に至るまでの長さL2、及びスリットの傾き角θ)と、製品のフランジ内面に形成された突起の寸法(突起の高さ、突起のフランジ幅方向長さ、及び突起の幅)との測定結果を表1に示す。

0039

0040

表1に示した全ての条件において、スリットの深さは3mm、隣り合うスリットとのピッチは20mmである。条件1においては、スリットの幅W1が4mm、W2が4mm、スリットの長さL1が30mm、スリットの傾き角θが0°であるが、スリットのコーナー部側端からロールのコーナー部に至るまでの長さL2が10mmあり、条件1は図6に示した比較例を構成する。この場合、突起を水平ロールから引き抜くことができずに、突起がつぶれたり、はがされたりしてしまったため、突起の寸法測定ができなかった。

0041

一方、条件2においては、スリットの幅W1が4mm、W2が4mm、スリットの長さL1が40mm、L2が0mm、スリットの傾き角θが5°であり、図7に示した本発明例を構成する。また、条件3においては、スリットの幅W1が6mm、W2が4mm、スリットの長さL1が40mm、L2が0mm、スリットの傾き角θが0°であり、図8に示した本発明例を構成する。更に、条件4においては、スリットの幅W1が6mm、W2が4mm、スリットの長さL1が80mm、L2が0mm、スリットの傾き角θが5°であり、図7及び図8を組み合わせた本発明例を構成する。また、条件5においては、スリットの幅W1が6mm、W2が4mm、スリットの長さL1が60mm、L2が0mm、スリットの平均傾き角θが0°であり、スリットは圧延方向と逆方向に湾曲(曲率半径ρが400mm)しており、図9に示した本発明例を構成する。

0042

本発明例の条件2、3、4、及び5では、全てにおいてフランジ内面に高さ1.5mm以上、長さ36mm以上、幅3.2mm以上の突起が剥がされることなくきれいに形成された。特に条件4では、フランジ幅方向長さが75mmと長い突起を形成することができた。また、仕上ユニバーサル圧延機の水平ロールのロールコーナ内半径を13mmに対し、粗ユニバーサル圧延機の水平ロールのロールコーナ内半径を30mmとして、フィレット部に最大7mmの余肉を形成させて、条件2と同じ条件で仕上圧延を施した。その結果、フランジ内面に高さ2.8mm、長さ38mm、幅3.5mmの突起を形成することができた。

発明の効果

0043

以上説明したように、本発明のうち請求項1に係るフランジ内面突起付形鋼の製造方法及び請求項9に係る仕上ユニバーサル圧延機によれば、フランジ及びウェブを有する形鋼の仕上圧延を行うに際して、ロール側面のコーナー部を始点としほぼロール軸に向かう複数のスリットを形成した水平ロールを組み込んだ仕上ユニバーサル圧延機を使用し、前記水平ロールの側面による前記フランジ内面への押圧時に前記フランジ内面に複数の突起を形成するので、大きな設備投資をすることなく、フランジ内面にフランジ幅方向に延びる形状の突起を有する形鋼を熱間圧延で製造することができる。

0044

また、本発明のうち請求項2に係るフランジ内面突起付形鋼の製造方法及び請求項10に係る仕上ユニバーサル圧延機によれば、請求項1記載の発明及び請求項9記載の発明において、前記スリットの各々が、前記ロール側面のコーナー部を始点として直線状で形成されているので、ロールバイトを出た圧延機出側におけるフランジ内面と水平ロールの側面が未だに接触した状態の領域において、突起をスリットから容易に抜くことができる。

0045

本発明のうち請求項3に係るフランジ内面突起付形鋼の製造方法及び請求項11に係る仕上ユニバーサル圧延機によれば、請求項1記載の発明及び請求項9記載の発明において、前記スリットの各々が、前記ロール側面のコーナー部を始点として前記形鋼の圧延方向とは逆方向に湾曲する形状で形成されているので、突起をスリットからより容易に抜くことができる。

0046

本発明のうち請求項4に係るフランジ内面突起付形鋼の製造方法及び請求項12に係る仕上ユニバーサル圧延機によれば、請求項1記載の発明及び請求項9記載の発明において、前記スリットの各々が、前記ロール側面のコーナー部を始点としてほぼロール軸に向かって直線状で延びてから前記形鋼の圧延方向とは逆方向に湾曲する形状で形成されているか、又は前記ロール側面のコーナー部を始点として前記形鋼の圧延方向とは逆方向に湾曲してから残りが直線状で形成されているので、突起をスリットからより容易に抜くことができる。

0047

本発明のうち請求項5に係るフランジ内面突起付形鋼の製造方法及び請求項13に係る仕上ユニバーサル圧延機によれば、請求項2又は4記載の発明及び請求項10又は12記載の発明において、前記各スリットの直線状に形成された部分の中心線が、前記各スリットのコーナー部始点と前記ロール軸とを結ぶ直線に対して前記形鋼の圧延方向とは逆方向に0°〜10°傾いているので、前記領域で突起をスリットからより一層抜きやすくすることができる。

0048

本発明のうち請求項6に係るフランジ内面突起付形鋼の製造方法及び請求項14に係る仕上ユニバーサル圧延機によれば、請求項2乃至5のうちいずれか一項に記載の発明及び請求項10乃至13のうちいずれか一項に記載の発明において、前記各スリットの幅が、前記ロール側面のコーナー部始点から前記ロール軸に向かうに従って徐々に小さくなるので、前記領域で突起をスリットからさらにより一層抜きやすくすることができる。

0049

本発明のうち請求項7に係るフランジ内面突起付形鋼の製造方法によれば、請求項1記載の発明において、前記仕上圧延を行うに際して、前記フランジの厚み圧下率を前記ウェブの厚み圧下率よりも大きくするので、フランジ内面に形成される突起がより高く形成されるとともに、材料の先進率を小さくすることができ、前記領域で突起をスリットからより一層抜きやすくすることができる。

0050

また、本発明のうち請求項8に係るフランジ内面突起付形鋼の製造方法によれば、請求項1記載の発明において、前記仕上圧延前の材料のフィレット部近傍に余肉を形成しておくので、フランジ内面に形成される突起をより高く形成することができる。

図面の簡単な説明

0051

図1本発明に係るフランジ内面突起付形鋼の製造方法が適用される圧延設備の概略構成図である。
図2図1の圧延設備における仕上ユニバーサル圧延機に組み込まれる水平ロールの側面図である。
図3図2に示す水平ロール用いての仕上ユニバーサル圧延における水平ロールの側面とフランジ内面との接触状態を模式的に示した図である。但し、図3においては、スリットの表示を省略するとともにフランジを透視している。
図4フランジ内面に突起を有するH形鋼の部分斜視図である。
図5フランジ内面に形成された突起が水平ロールのスリットからつぶされずにロールコーナー部から抜けていく様子を示した模式図である。
図6本発明と比較のための、水平ロールの側面に形成されたスリットを示す模式図である。
図7本発明の実施に好適な、水平ロールの側面に形成されたスリットを示す模式図である。
図8本発明の実施に好適な、水平ロールの側面に形成されたスリットを示す模式図である。
図9本発明の実施に好適な、水平ロールの側面に形成されたスリットを示す模式図である。
図10粗ユニバーサル圧延機の水平ロールのロールコーナ内半径寸法を仕上ユニバーサル圧延機の水平ロールのコーナ内半径よりも大きくしてフランジの内面に余肉を形成する手段を示し、(A)は粗圧延の様子を(B)は仕上圧延の様子を示している。
図11粗ユニバーサル圧延機の水平ロールの側面に凹部を形成してフランジの内面に余肉を形成する手段を示し、(A)は粗圧延の様子を(B)は仕上圧延の様子を示している。
図12粗ユニバーサル圧延機の垂直ロールのロール高さ方向中央部に面取りを施してフランジの外面に余肉を形成する手段を示し、A)は粗圧延の様子を(B)は仕上圧延の様子を示している。
図13ウェブとフランジを有する形鋼の一般的な圧延設備の概略構成図で、(A)は1つの粗ユニバーサル圧延機を配列した圧延設備の概略構成図、(B)は2つの粗ユニバーサル圧延機を配列した圧延設備の概略構成図である。
図14図13(A)に示す圧延設備によってH形鋼を圧延する場合の圧下状態を示し、(A)は粗ユニバーサル圧延による圧下状態、(B)はエッジング圧延による圧下状態、(C)は仕上ユニバーサル圧延による圧下状態を示している。
図15従来の、フランジ外面に突起を形成する仕上ユニバーサル圧延機の概略斜視図である。
図16従来例の、フランジ内面に突起を形成する仕上圧延装置の概略正面図である。
図17従来例の、フランジ内面に突起を形成する内面突起付H形鋼の製造方法が適用される圧延設備の概略構成図である。
図18図17に示す圧延設備によってH形鋼を圧延する場合の圧下状態を示し、(A)は第1粗ユニバーサル圧延機による圧下状態、(B)は第2粗ユニバーサル圧延機による圧下状態、(C)は仕上ユニバーサル圧延機による圧下状態を示している。

--

0052

1圧延設備
2ブレークダウン圧延機
3粗ユニバーサル圧延機
4エッジング圧延機
5 仕上ユニバーサル圧延機
6水平ロール
6aコーナー部
7スリット
8ロール軸
501 粗ユニバーサル圧延機の水平ロール
502 粗ユニバーサル圧延機の水平ロール側面凹部
503 粗ユニバーサル圧延機の垂直ロール
504 粗ユニバーサル圧延機の垂直ロール面取部
601 仕上ユニバーサル圧延機の水平ロール
603 仕上ユニバーサル圧延機の垂直ロール
SH形鋼(形鋼)
SFフランジ
SWウェブ
t突起
x1、x2、x3 余肉

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