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課題

人間を含む哺乳動物移植した同種移植組織または異種移植組織寛容性を改善する方法。

解決手段

移植組織と、LFA−3またはCD2結合蛋白質とを供与する段階からなる。

効果

好ましくは、心臓および腎臓異種移植および同種移植の寛容性を改善するために用いられ、これまでの治療方法よりも、偶発的感染のおそれ、腎臓毒、高血圧および悪性腫瘍の増加等の望ましからぬ副作用を回避する等の多くの点で優れている。

概要

背景

概要

人間を含む哺乳動物移植した同種移植組織または異種移植組織寛容性を改善する方法。

移植組織と、LFA−3またはCD2結合蛋白質とを供与する段階からなる。

好ましくは、心臓および腎臓異種移植および同種移植の寛容性を改善するために用いられ、これまでの治療方法よりも、偶発的感染のおそれ、腎臓毒、高血圧および悪性腫瘍の増加等の望ましからぬ副作用を回避する等の多くの点で優れている。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
1件

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請求項1

人間を含む哺乳動物移植組織LFA−3またはCD2結合蛋白質投与する段階から成ることを特徴とする移植した同種移植組織または異種移植組織寛容性を改善するための方法。

請求項2

前記結合蛋白質がT細胞活性阻害することを特徴とする請求項1に記載の方法。

請求項3

特定のLFA−3結合蛋白質を投与することを特徴とする請求項1に記載の方法。

請求項4

前記LFA−3結合蛋白質が可溶性のCD2ポリペプチドであることを特徴とする請求項3に記載の方法。

請求項5

前記LFA−3結合蛋白質がモノクローナルな抗LFA−3抗体であることを特徴とする請求項3に記載の方法。

請求項6

前記モノクローナル抗LFA−3抗体が受入番号ATCCHB 10693(1E6)、ATCC HB 10694(HC−1B11)、ATCC HB 10695(7A6)、ATCC HB 10696(8B8)を有するハイブリドーマから選択されるハイブリドーマにより生成されるか、あるいは、モノクローナル抗体TS2/9であることを特徴とする請求項5に記載の方法。

請求項7

前記モノクローナル抗LFA−3抗体が受入番号ATCCHB 10693(1E6)を有するハイブリドーマにより生成されることを特徴とする請求項6に記載の方法。

請求項8

特定のCD2結合蛋白質を投与することを特徴とする請求項1に記載の方法。

請求項9

前記CD2結合蛋白質がモノクローナルな抗CD2抗体であることを特徴とする請求項8に記載の方法。

請求項10

前記CD2結合蛋白質が可溶性のLFA−3ポリペプチドであることを特徴とする請求項8に記載の方法。

請求項11

前記可溶性LFA−3ポリペプチドがSEQID NO:2のAA1 −AA92、SEQ ID NO:2のAA1 −AA80、SEQID NO:2のAA50−AA65およびSEQ ID NO:2のAA20−AA80から成るポリペプチドの群から選択されることを特徴とする請求項10に記載の方法。

請求項12

前記LFA−3ポリペプチドがSEQID NO:2のAA1 −AA92であることを特徴とする請求項11に記載の方法。

請求項13

前記結合蛋白質が人間化した組換え抗体であることを特徴とする請求項1に記載の方法。

請求項14

前記結合蛋白質がキメラ組換え抗体であることを特徴とする請求項1に記載の方法。

請求項15

前記結合蛋白質がFabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab’)2フラグメント、F(v)フラグメントおよび抗LFA−3または抗CD2モノクローナル抗体の完全な免疫グロブリンH鎖から選択されることを特徴とする請求項5または9に記載の方法。

請求項16

前記結合蛋白質が完全長の免疫グロブリンH鎖のモノマーおよびダイマーから選択されることを特徴とする請求項15に記載の方法。

請求項17

前記移植組織が異種移植組織であることを特徴とする請求項1に記載の方法。

請求項18

前記移植組織が心臓または腎臓の異種移植組織であることを特徴とする請求項17に記載の方法。

請求項19

前記移植組織が同種移植組織であることを特徴とする請求項1に記載の方法。

請求項20

前記移植組織が心臓または腎臓の同種移植組織であることを特徴とする請求項19に記載の方法。

請求項21

前記哺乳動物が人間であることを特徴とする請求項1に記載の方法。

請求項22

前記移植組織が前記哺乳動物に移植される前に効果量の前記結合蛋白質で散布されることを特徴とする請求項1に記載の方法。

請求項23

前記結合蛋白質が体重1kg当たり約0.01および約10mgの間の投薬量で投与されることを特徴とする請求項1に記載の方法。

請求項24

前記LFA−3結合蛋白質が体重1kg当たり約0.1および約5mgの間の投薬量で投与されることを特徴とする請求項3に記載の方法。

請求項25

前記LFA−3結合蛋白質が体重1kg当たり約0.1および約2mgの間の投薬量で投与されることを特徴とする請求項24に記載の方法。

請求項26

前記CD2結合蛋白質が体重1kg当たり約0.01および約2mgの間の投薬量で投与されることを特徴とする請求項8に記載の方法。

請求項27

前記CD2結合蛋白質が体重1kg当たり約0.01および約1mgの間の投薬量で投与されることを特徴とする請求項26に記載の方法。

請求項28

前記結合蛋白質を前記移植の前に2日間続けて1日に1回投与し、当該移植後に1日ないし10日間続けて1日に1回投与することを特徴とする請求項19に記載の方法。

請求項29

前記結合蛋白質を前記移植の前に2日間続けて1日に1回投与し、当該移植後に2日間続けて1日に1回投与することを特徴とする請求項28に記載の方法。

請求項30

前記結合蛋白質が前記移植の前に前記異種移植供給源からの組織と同時期に投与されることを特徴とする請求項17に記載の方法。

請求項31

前記同時期投与の後に、前記結合蛋白質の前記移植前の投与が行われることを特徴とする請求項30に記載の方法。

請求項32

前記結合蛋白質を前記移植の前に2日間続けて1日に1回投与し、その後、1日の間1日に1回、次いで、1日ないし10日間続けて1日に1回、前記異種移植供給源からの組織と同時期に投与することを特徴とする請求項17に記載の方法。

請求項33

前記結合蛋白質を前記移植の前に2日間続けて1日に1回投与し、その後、1日の間1日に1回、次いで、5日ないし10日間続けて1日に1回、前記異種移植供給源からの組織と同時期に投与することを特徴とする請求項32に記載の方法。

請求項34

前記結合蛋白質および前記異種移植供給源からの組織の同時期投与が同時であることを特徴とする請求項31に記載の方法。

請求項35

前記異種移植供給源からの組織が血液であることを特徴とする請求項30または32に記載の方法。

請求項36

前記血液蛋白質静脈内、筋肉内、皮下、関節内、包膜内、骨膜、経口、局所または吸入を介して投与されることを特徴とする請求項1に記載の方法。

請求項37

前記結合蛋白質が静脈内または筋肉内に投与されることを特徴とする請求項36に記載の方法。

請求項38

前記結合蛋白質が効果量の免疫抑制剤と共に投与されることを特徴とする請求項1に記載の方法。

請求項39

前記免疫抑制剤がシクロスポリンであることを特徴とする請求項38に記載の方法。

請求項40

前記免疫抑制剤がプレドニソンであることを特徴とする請求項38に記載の方法。

請求項41

前記免疫抑制剤がプレドニソンおよびシクロスポリンであることを特徴とする請求項38に記載の方法。

請求項42

前記結合蛋白質がLFA−3結合蛋白質、CD2結合蛋白質および薬剤から成る群から選択される1種以上の物質に連結することを特徴とする請求項1に記載の方法。

請求項43

前記結合蛋白質が人間の免疫グロブリンH鎖のヒンジ領域および不変領域またはそれらの一部分に連結した可溶性LFA−3ポリペプチドであることを特徴とする請求項42に記載の方法。

請求項44

前記可溶性LFA−3ポリペプチドがSEQIDNO:2のAA1 −AA92、SEQ ID NO:2のAA1 −AA80、SEQID NO:2のAA50−AA65およびSEQ ID NO:2のAA20−AA80から成る群から選択されることを特徴とする請求項43に記載の方法。

請求項45

前記可溶性LFA−3ポリペプチドがSEQID NO:2のAA1 −AA92であることを特徴とする請求項44に記載の方法。

請求項46

前記結合蛋白質がSEQID NO:8のAA1 −AA319 から成ることを特徴とする請求項45に記載の方法。

請求項47

LFA−3またはCD2結合蛋白質から成ることを特徴とする人間を含む哺乳動物に移植した同種移植組織または異種移植組織の寛容性を改善するための医薬

請求項48

前記LFA−3結合蛋白質が可溶性のCD2ポリペプチドであることを特徴とする請求項47に記載の医薬。

請求項49

前記LFA−3結合蛋白質がモノクローナルな抗LFA−3抗体であることを特徴とする請求項47に記載の医薬。

請求項50

受入番号ATCCHB 10693(1E6)、ATCCHB 10694(HC−1B11)、ATCC HB 10695(7A6)、ATCC HB 10696(8B8)を有するハイブリドーマから選択されるハイブリドーマにより生成されるか、あるいは、モノクローナル抗体TS2/9であることを特徴とする請求項49に記載の医薬。

請求項51

前記CD2結合蛋白質がモノクローナルな抗CD2抗体であることを特徴とする請求項47に記載の医薬。

請求項52

前記CD2結合蛋白質が可溶性のLFA−3ポリペプチドであることを特徴とする請求項47に記載の医薬。

請求項53

前記可溶性LFA−3ポリペプチドがSEQID NO:2のAA1 −AA92、SEQ ID NO:2のAA1 −AA80、SEQ ID NO:2のAA50−AA65、SEQ ID NO:2のAA20−AA80から成るポリペプチドの群から選択されることを特徴とする請求項52に記載の医薬。

請求項54

前記結合蛋白質が人間化した組換え抗体であることを特徴とする請求項47に記載の医薬。

請求項55

前記結合蛋白質がキメラ組換え抗体であることを特徴とする請求項47に記載の医薬。

請求項56

前記結合蛋白質がFabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab’)2フラグメント、F(v)フラグメントおよび前記抗LFA−3または抗CD2モノクローナル抗体の完全な免疫グロブリンH鎖から選択されることを特徴とする請求項49に記載の医薬。

請求項57

前記結合蛋白質がLFA−3結合蛋白質、CD2結合蛋白質および薬剤から成る群から選択される1種以上の物質に連結することを特徴とする請求項47に記載の医薬。

請求項58

前記結合蛋白質が人間の免疫グロブリンH鎖のヒンジ領域および不変領域またはこれらの一部分に連結した可溶性LFA−3ポリペプチドであることを特徴とする請求項57に記載の医薬。

請求項59

前記可溶性LFA−3ポリペプチドがSEQID NO:2のAA1 −AA92、SEQ ID NO:2のAA1 −AA80、SEQID NO:2のAA50−AA65、SEQ ID NO:2のAA20−AA80から成る群から選択されることを特徴とする請求項58に記載の医薬。

技術分野

上述の如く本発明の数多くの実施態様を説明したが、これらの基本的実施態様は変更可能であり、したがって、本発明の手法を利用する他の実施態様を当該変更によって提供することも可能である。それゆえ、本発明の範囲は本明細書における上記の記載とこれに添付した請求の範囲とにおいて定めることのできるすべての変更態様および変形例を含むと解されるべきである。すなわち、本発明は、例示の目的で上述した当該特定の実施態様によって制限されるものではない。

背景技術

0001

本発明は、人間を含む哺乳類において、移植した異種移植組織または同種移植組織寛容性LFA−3またはCD2結合蛋白質投与することにより改善する方法に関する。

0002

同種移植組織とは同一種のうちの遺伝的に非同一な個体間で移植される組織をいう。このような、心臓腎臓肝臓膵臓角膜骨髄および皮膚等の組織の同種移植が種々の末期段階病気治療のために医療においてその効果を示し、かつ、受け入れられてきている。しかしながら、不幸にも、移植の要求の増加は今日のドナーによる供給では間に合わず、また、人間のドナーの供給を増加する努力も、高まる人体組織要望には間に合わないと予想されている。例えば、米国では、年間14000人の心臓同種移植の適格者の内の僅かに2000人のみが心臓移植を受けているだけである(Rose、「心臓移植の危険性」(Ann.Thorac.Surg.,47,p.615(1989)))。

0003

そこで、ドナー組織の他の供給源についての関心が高まりつつある。このような供給源としては、異種移植組織が一例として挙げられ、これは一の種から他の種への移植組織をいう。

0004

ただし、これら同種移植および異種移植の両方の問題として、受容者によるドナーの移植組織の拒絶がある。このような移植における拒絶は複雑でまだ完全には理解されていない免疫システム一連の作用によるものと考えられている。一般的に、このような免疫応答には以下の二つの面がある。1)細胞性応答:主に細胞障害性T細胞から成り、該細胞は異種細胞またはウイルス感染細胞攻撃して殺す。2)体液性応答異種高分子に対して特異的である抗体を分泌するプラズマ細胞に対するB細胞活性から成る。

0005

また、当該移植拒絶は、リンパ球等の単核細胞の移植組織への累進浸透(progressive infiltration)により、組織学的に特徴付けられる。このような細胞の増加が生じると数日中に移植組織が破壊される。それゆえ、増感処理されたTリンパ球が当該拒絶過程の主な開始剤として用いられている。

0006

このTリンパ球は標的対象物および抗原提示細胞相互作用して、当該免疫応答において主たる役割を果たす。例えば、当該Tリンパ球を媒介させて標的細胞を殺す処理は、最初に、細胞溶解性Tリンパ球(エフェクター細胞)を移植内皮組織等の標的細胞に付着する段階を含む多段階の処理である。また、ヘルパーTリンパ球は移植組織内の抗原提示細胞に付着することにより免疫応答の開始を補助する。

0007

なお、このようなTリンパ球の標的対象物や抗原提示細胞との相互作用は高度に特異的であり、当該Tリンパ球の表面上の多くの特異的な抗原受容体の一による標的対象物または抗原提示細胞の表面上の抗原の認識に依存する。

0008

このようなTリンパ球や他の細胞の受容体−抗原相互作用は、例えば、抗原−受容体複合体CD3やCD4、LFA−1、CD8およびCD2等の補助分子等の種々のTリンパ球表面蛋白質により容易化されている。さらに、当該相互作用は標的対象物または抗原提示細胞の表面上で表現されるLFA−3、ICAM−1およびMHC等の補助分子によっても影響を受ける。

0009

上記T細胞活性についてのCD2とLFA−3との間の相互作用はまだ十分に理解されていないが、最近の研究では、CD2(Tリンパ球の補助的付着性分子)とLFA−3(標的細胞および抗原提示細胞の補助分子)との間には特異的な相互作用があり、これによって、Tリンパ球が標的細胞や抗原提示細胞に付着することが示唆されてきている。このような細胞間付着はTリンパ球の機能的な応答の開始に関係があると考えられている(Dustin他、「精製リンパ球機能を伴う抗原3はCD2に結合し、かつ、Tリンパ球付着を仲介する」(J.Exp.Med.,165,pp.677−92(1987))、Springer他、「リンパ球機能を伴うLFA−1、CD2およびLFA−3分子:免疫システムの細胞付着受容体」(Ann.Rev.Immunol.,5,pp.223−52(1987)))。また、LFA−3/CD2相互作用は、抗原非依存および依存による抱合体形成や赤血球を伴うTリンパ球ロゼット形成において、Tリンパ球と胸腺上皮細胞との間の相互作用を仲介する(参照例:Seed他、「高速免疫選択手法による、CD2抗原、T細胞赤血球受容体の分子クローニング」(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,84,pp.3365−69(1987)))。

0010

LFA−3は人間の赤血球等の種々の広範な細胞の表面上に見られ、種々のTリンパ球の相互作用における役割をさらに明瞭にするべく、多大な研究の課題となっている(参照例:Krensky他、「LFA−1、LFA−2およびLFA−3の機能的意義分布および構造:CTL−標的相互作用を伴う細胞表面抗原」(J.Immunol.,131(2),pp.611−16(1983)、Shaw他、「人間細胞障害性細胞クローンに用いられる二種類の抗原依存型付経路」(Nature,323,pp.262−64(1986)))。これまで、二種類のLFA−3の自然形態が同定されており、該LFA−3の一形態(「トランスメンブランLFA−3」)はトランスメンブラン疎水性ドメインにより細胞膜内に連結する。さらに、このLFA−3の形態をコードするcDNAクローン化されシーケンス化されている(参照例:Wallner他、「リンパ球機能を伴う抗原3(LFA−3)の主構造」(J.Exp.Med.,166,pp.923−32(1987)))。また、当該LFA−3の他の一の形態はホスファチジルイノシトール(「PI」)含有の糖脂質との共有結合を介して細胞膜に連結する。この後者の形態は「PI連結LFA−3」として示され、当該LFA−3の形態をコードするcDNAもまたクローン化されシーケンス化されている(Wallner他、PCT特許出願WO90/02181)。

0011

人間CD2(T11)分子は95%以上の胸腺リンパ球および事実上すべての末梢Tリンパ球上に表現される50kD表面糖蛋白質である。特異的なモノクローナル抗体を用いた生化学分析により、CD2がTリネージ特異性を有しており、いくつかの異なるグリコシル化された形態における細胞表面上に存在することが示唆されている(Howard他、「E−ロゼット形成をブロックするモノクローナル抗体により定まる人間Tリンパ球の弁別マーカー」(J.Immunol.,126,pp.2117−22(1981)、Brown他(Leukocyte TypingIII,ed.McMichael,OxfordUniversity Press,pp.110−12(1987)、Sayre他、「T11cDNAの分子クローニングおよび表現は人間Tリンパ球上の受容体類似構造呈示する」(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,84,pp.2941−45(1987)))。また、人間CD2遺伝子のシーケンスは既に報告されている(SeedおよびAruffo、「高速免疫選択手法によるCD2抗原、T細胞赤血球受容体の分子クローニング」(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,84,pp.3365−69(1987)、Sayre他、同上(1987)))。さらに、LFA−3結合ドメインを有する可溶CD2ポリペプチドが報告されている(PCT特許公報WO90/08187)。

0012

また、例えばTS2/18、T111 、T112 、T113 等のCD2に対するモノクローナル抗体や、例えばTS2/9等のLFA−3に対するモノクローナル抗体もまた報告されている(参照例:Hughes他、「T細胞機能レギュレータとしての内皮細胞」(Immunol.Reviews,117,pp.85−102(1990))、Meuer、「T細胞活性の別経路:50kdT11羊赤血球受容体蛋白質の場合の機能的役割」(Cell,36,pp.897−906(1984))、Sanchez−Madrid他、「人間T−リンパ球−媒介の細胞溶解を伴う三種の異なる抗体:LFA−1、LFA−2およびLFA−3」(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,79,pp.7489−93(1982)))。

0013

一方、移植拒絶を防止するための免疫応答の抑制が、細胞性応答を非特異的にブロックするプレドニソン(prednisone)、シクロスポリン(cyclosporine)、アザチオプリンあるいはシクロホスファミド等の薬剤により行われている。また、移植組織に対して反応するTおよびBリンパ球を破壊するために照射技法も利用されている。しかしながら、これらの技法による免疫抑制は抗原の特異的寛容を生じることができないため、患者偶発的感染を多大に引き起こすおそれがある。加えて、上述した免疫抑制技法の長期使用により、他の不利益副作用が生じる。例えば、長期のシクロスポリン治療は腎臓毒、高血圧および悪性腫瘍の高い発生率を伴う。

0014

細胞障害性Tリンパ球の媒介応答はシクロスポリンやプレドニソンにより制御できるが、体液性拒絶が発生するために免疫抑制療法が無効になる。なお、現在、このような体液性拒絶に対する治療法は皆無である。

発明の概要

0015

それゆえ、今日まで、異種移植または同種移植の寛容性を改善するに十分であると見なすことのできる方法や治療剤がなかった。したがって、移植組織の拒絶を緩和するに有効な方法が提供されてはいるが、このような従来の方法や治療剤における不都合点を回避するための措置が依然として必要であった。

発明を実施するための最良の形態

0016

本発明は上述の問題の多くを解消するものである。すなわち、本発明は、まず第一に、哺乳類における同種移植組織または異種移植組織の寛容性を改善するための方法を提供する。本発明の方法は哺乳動物、好ましくは人間に対して移植組織と、LFA−3またはCD2結合蛋白質とを供与する段階から成る。なお、本発明の方法は、好ましくは、心臓および腎臓の異種移植および同種移植の寛容性を改善するために用いられる。また、本発明の方法は移植寛容性の改善のためのこれまでの治療方法よりも、偶発的感染のおそれ、腎臓毒、高血圧および悪性腫瘍の増加等の望ましからぬ副作用を回避する等の多くの点で優れている。

0017

ここで、「LFA−3結合蛋白質」とは、LFA−3に結合可能な1種以上のポリペプチドから成る蛋白質をいう。なお、このLFA−3結合蛋白質には免疫グロブリンL鎖(light chain)、免疫グロブリンH鎖(heavychain)およびそれらの抗体結合性フラグメントが含まれる。また、1種以上のポリペプチドから成るLFA−3結合蛋白質の成分ポリペプチドは必要に応じてジスルフィド結合していてもよく、また、共有的架橋していてもよい。したがって、当該LFA−3結合蛋白質はIgAIgGIgEIgDIgMの種(並びにこれらの亜種)の完全な免疫グロブリンを含み、該免疫グロブリンのL鎖はκ(kappa)またはλ(lambda)種であってもよい。さらに、このような結合蛋白質はまたLFA−3結合特異性を保持する、例えば、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab’)2フラグメント、F(v)フラグメント、H鎖モノマーまたはダイマー、L鎖モノマーまたはダイマー、1種のH鎖および1種のL鎖から成るダイマー等の完全な免疫グロブリンの一部をも含む。

0018

さらに、当該「LFA−3結合蛋白質」は、LFA−3に結合する、融合体を含む可溶性CD2ポリペプチドおよびそれらの誘導体をも意味する。また、「可溶性CD2ポリペプチド」とは、細胞膜内においてそれ自体で連結することのないCD2ポリペプチドをいう。このような可溶性ポリペプチドには、例えば、当該ポリペプチドを連結するに十分な膜拡張領域を有さないCD2ポリペプチドや当該膜拡張領域が無機能となるように変形されたCD2ポリペプチドが含まれる。この可溶性CD2ポリペプチドは天然のLFA−3ポリペプチドに結合し、(a)天然の哺乳類CD2DNAシーケンス(例:SEQID No:5)、(b)天然CD2DNAシーケンスへのDNAシーケンス縮重、あるいは、(c)Tm以下の約20℃ないし27℃および1M塩化ナトリウムと同等の条件下において上記DNAシーケンスの一と対合するDNAシーケンスによりコード化される。このような可溶性CD2ポリペプチドは周知であり、例えば、それらのいくつかは本明細書に参考文献として挙げたPCT WO90/08187号に記載されている。

0019

さらに、当該「CD2結合蛋白質」はCD2に結合可能な1種以上のポリペプチドから成る。なお、該CD2結合蛋白質は免疫グロブリンL鎖、免疫グロブリンH鎖およびこれらの抗原結合性フラグメントを含む。また、1種以上のポリペプチドから成るCD2結合蛋白質の成分ポリペプチドは必要に応じてジスルフィド結合していてもよく、また、共有的に架橋していてもよい。したがって、当該CD2結合蛋白質はIgA、IgG、IgE、IgD、IgMの種(並びにこれらの亜種)の完全な免疫グロブリンを含み、該免疫グロブリンのL鎖はκ(kappa)またはλ(lambda)種であってもよい。さらに、このような結合蛋白質はまたCD2結合特異性を保持する、例えば、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab’)2フラグメント、F(v)フラグメント、H鎖モノマーまたはダイマー、L鎖モノマーまたはダイマー、1種のH鎖および1種のL鎖から成るダイマー等の完全な免疫グロブリンの一部をも含む。

0020

さらに、当該「CD2結合蛋白質」は、CD2に結合する、融合体を含む可溶性LFA−3ポリペプチドおよびそれらの誘導体をも意味する。また、ここに定義するように、該CD2結合蛋白質は可溶性LFA−3ポリペプチドの融合体およびLFA3TIP(以下に記載)等の免疫グロブリン領域を含む。また、「可溶性LFA−3ポリペプチド」とは細胞膜内においてそれ自体で結合し得ないLFA−3ポリペプチドをいう。このような可溶性ポリペプチドには、例えば、当該ポリペプチドを連結するに十分な膜拡張領域を有さないLFA−3ポリペプチドや当該膜拡張領域が無機能となるように変形されたLFA−3ポリペプチドが含まれる。この可溶性LFA−3ポリペプチドは天然のCD2ポリペプチドに結合し、(a)天然の哺乳類LFA−3DNAシーケンス(例:SEQID No:1またはSEQ ID NO:3)、(b)天然LFA−3DNAシーケンスへのDNAシーケンス縮重、あるいは、(c)Tm 以下の約20℃ないし27℃および1M塩化ナトリウムと同等の条件下において上記DNAシーケンスの一と混成するDNAシーケンスによりコード化される。このような可溶性LFA−3ポリペプチドは周知であり、例えば、それらのいくつかは本明細書に参考文献として挙げた米国特許第4956281号に記載されている。

0021

また、ここに記載の「人間化組換え抗体」とは、組換えDNA技法により生成された抗体を言い、抗原結合に不要な人間の免疫グロブリンL鎖またはH鎖のアミノ酸の一部または全部が対応する人間以外の哺乳類の免疫グロブリンLまたはH鎖で置き換えられている。

0022

さらに、ここに記載の「キメラ組換え抗体」とは、組換えDNA技法により生成された抗体を言い、免疫グロブリンL鎖、H鎖あるいはその両方のヒンジ領域および不変領域の一部または全部が他の免疫グロブリンL鎖またはH鎖からの対応する領域に置き換えられている。

0023

また、ここに記載の移植組織の「寛容性の改善」とは、移植拒絶の1種以上の一般的特性の程度を減ずるとか除去するという意味である。このような特性は移植(外来)組織に対する免疫応答を明示するものであり、例えば、リンパ球等の単核細胞の当該外来組織内への累進的浸透や、リンパ細胞障害抗体の生成、細胞溶解、ネクローシス脈管炎出血および線維症等を含む。他の観察容易な改善された寛容性の呈示としては、非免疫抑制の受容体(対照)に比して、受容体における移植組織の生存期間が長いことである。

0024

移植組織
本発明の方法は、人間を含む哺乳類において、同種移植組織または異種移植組織の寛容性を改善する上で有用である。なお、これらの方法は哺乳動物体に移植組織とLFA−3またはCD2結合蛋白質とを投与する段階から成る。また、このような移植は、心臓、腎臓、肝臓、膵臓、角膜、骨髄、肺、皮膚および血液を含む供給源から得た組織の同種移植および異種移植を含む。さらに、当該移植組織は上記組織の一部や血液の構成成分を含む。好ましくは、本発明の方法は心臓の同種移植や異種移植、および腎臓の同種移植や異種移植に用いられる。また、本発明の方法は哺乳類のいずれにも、好ましくは人間に、適用することができる。

0025

なお、移植組織の選択においては、種々の因子を考慮する必要があり、これらの因子には、例えば、遺伝的異種性を可能な限り最小にすること、ABO血液型適合性HLA適合性、ドナー組織の入手可能性、患者の免疫状態、およびドナー組織の大きさ等が含まれる。特に、心臓および腎臓の同種移植または異種移植の場合、当該ドナー組織は解剖学的に適合性を有しており、かつ、生理学的に受容体における組織機能の要求を満足し得るものでなければならない。なお、種々の移植に用いる外科プロトコルが周知となっている。

0026

理論により拘束されることを望まないが、本出願人は本発明の方法において使用するLFA−3およびCD2結合蛋白質がT細胞活性を阻害するために、異種移植または同種移植の寛容性を誘引するための予防および治療手段になると考えている。当該阻害作用は一般にLFA−3またはCD2結合蛋白質がLFA−3/CD2相互作用を阻害する時に生じる。しかしながら、本発明に使用する特定のLFA−3およびCD2結合蛋白質は当該LFA−3/CD2相互作用を阻害せずにT細胞活性を阻害してもよい。

0027

すなわち、本発明の方法において用いる好ましいLFA−3およびCD2結合蛋白質はT細胞活性を有効的に阻害するものである。

0028

なお、本発明の特定LFA−3またはCD2結合蛋白質による方法の有用性は、LFA−3/CD2相互作用を阻害する能力やT細胞活性またはこれらの両方を阻害する能力をアッセイすることにより容易に決定することが可能である。

0029

さらに、このLFA−3/CD2相互作用を阻害する能力のアッセイは、例えば、LFA−3とCD2の分子を表現する細胞上での当該LFA−3とCD2との間の相互作用を阻害する事実上の阻害剤の能力の視覚評価(拡大処理下)を可能にする簡単な細胞結合アッセイを用いることにより行うことができる。この場合、ジュルカット(Jurkat)細胞がCD2+基体として好ましく、の赤血球または人間のJY細胞がLFA−3+ 基体として好ましい。また、本発明において有用な結合蛋白質の結合特性は、結合蛋白質を放射性ラベル処理(例:35Sまたは 125I)し、その後、当該ラベル化した結合蛋白質をCD2+ またはLFA+ 細胞と適当に接触させる等の幾つかの既知の方法によりアッセイすることができる。また、該結合特性は酵素によりラベル化した適当な二次的抗体を用いてもアッセイすることが可能である。さらに、Seed他(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,84,pp.3365−69(1987))において記載されるようなロゼット競合アッセイも使用することができる。

0030

また、LFA−3およびCD2結合蛋白質のT細胞活性を阻害する能力は従来のT細胞活性アッセイのいずれかにより決定することができる。なお、これらは、例えば、分裂促進因子マイトゲン)に応じてT細胞の増殖や細胞質分泌を阻害する結合蛋白質の能力や、他の細胞表面蛋白質に対してモノクローナル抗体を活性化する能力(参照例:Moingeon他、「CD2の構造的生物学」(Immunological Rev.,111,pp.111−44(1989))を評価するアッセイを含む。

0031

LFA−3およびCD2結合蛋白質
本発明の方法においては多種類のLFA−3およびCD2結合蛋白質が有用であり、それらには、モノクローナル抗体、組換え抗体、キメラ組換え抗体、人間化組換え抗体、可溶性LFA−3およびCD2ポリペプチド、LFA−3およびCD2擬態化体、およびこれらの誘導体(例:他のポリペプチドとの融合体)または部分切除(truncated)形態が含まれる。

0032

A.抗体
本発明において有用なLFA−3およびCD2結合蛋白質は、モノクローナル抗体、組換え抗体、キメラ組換え抗体、人間化組換え抗体、およびこれらの抗原結合性部分を含む。好ましくは、当該抗体はモノクローナル抗体である。

0033

なお、受入番号ATCCHB 10693(1E6)、ATCC HB 10694(HC−1B11)、ATCC HB 10695(7A6)、およびATCC HB 10696(8B8)を有するハイブリドーマ雑種細胞)の群から選択されたハイブリドーマ、あるいは、TS2/9として知られるモノクローナル抗体(Sanchez−Madrid他、「人間T−リンパ球−媒介の細胞溶解を伴う三種の異なる抗体:LFA−1、LFA−2およびLFA−3」(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,79,pp.7489−93(1982))により生成されるモノクローナル抗LFA−3抗体を用いることがより好ましい。 さらに、最も好ましくは、受入番号ATCC HB 10693(1E6)を有するハイブリドーマにより生成されるモノクローナル抗LFA−3抗体を用いることである。

0034

また、抗CD2抗体のうち、好ましいモノクローナル抗体は、TS2/18(Sanchez−Madrid他、同上(1982))を含むT111エピトープ抗体として知られるモノクローナル抗体を含む。

0035

このようなモノクローナル抗体を生成する技法は周知であり、簡単に言えば、不死細胞系(一般に骨髄腫細胞)が任意の抗原から成る標品(preparation)により免疫化接種)した哺乳動物体のリンパ球(一般に脾臓細胞)に融合し、結果として生じるハイブリドーマの培養上澄み液を当該抗原に対する抗体についてスクリーニングする(参照:Kohler他、「所定特異性の融合細胞分泌抗体連続培養」(Nature,256,pp.495−97(1975)))。なお、本発明の目的に有用な免疫原はLFA−3表現またはCD2表現細胞、並びに、LFA−3、CD2、またはこれらの逆受容体結合フラグメント(例:CD2に結合するLFA−3またはLFA−3フラグメントに結合するCD2フラグメント)を含む無細胞標品を含む。また、少なくとも免疫グロブリンのヒンジ領域および不変領域に融合した可溶性LFA−3ポリペプチドから成る融合蛋白質等(例:以下に記載するLFA3TIP)の、LFA−3、CD2またはこれらの部分の誘導体も有用である。

0036

なお、免疫処理標準的手法により行うことができる。単位投与および接種方法接種処理される哺乳動物の種類、免疫状態、体重等に依存する。一般に、接種された哺乳動物から血液が採取され、適当なスクリーニングアッセイを用いて特別な抗体について各血液サンプル血清が評価される。例えば、それぞれの細胞表面上のLFA−3およびCD2の存在から生じる羊赤血球細胞によるジュルカット細胞のロゼット形成を阻止するための免疫血清の能力をインビトロにおけるT細胞活性の阻害能力、あるいは、当該両能力をスクリーニングしながら試験することにより、有用な抗LFA−3および抗CD2抗体が同定できる。一般に、ハイブリドーマ細胞の生成に使用されるリンパ球は、接種されて上記のスクリーニングアッセイを用いてその血清が所望の抗体の存在について既に陽性であると判定された哺乳動物から単離される。

0037

一般に、不死細胞系(例:骨髄腫細胞系)は同一種の哺乳動物からリンパ球細胞として派生する。好ましい不死細胞系はマウス骨髄腫細胞系であり、当該細胞系はヒポキサンチンアミノプテリンおよびチミジンを含有する培養培地(「HAT培地」)に対して感応性が高い。

0038

一般に、HAT感応性マウス骨髄腫細胞はポリエチレングリコール(PEG3350)を用いてマウス脾臓細胞と融合する。その後、当該融合から生じるハイブリドーマ細胞はHAT培地を用いて選別され、該培地は未融合および未生成状態で融合した骨髄腫細胞を殺す(未融合脾臓細胞は形質転換していないために数日後に死滅する)。その後、ハイブリドーマ培養上澄み液の、例えば、LFA−3やCD2への結合能力、あるいは、ジュルカット細胞の羊赤血球細胞に対する付着の阻止能力についてのスクリーニングにより、所望の抗体を生成するハイブリドーマが検出される。また、有用なハイブリドーマの同定はT細胞活性の阻害能力についてのスクリーニングによっても行うことができる。なお、モノクローナル性を確保するために限界希釈によるハイブリドーマ培養のサブクローニングが一般に行われている。

0039

さらに、抗LFA−3および抗CD2モノクローナル抗体を生成するために、上記スクリーニングアッセイにおいて陽性と判定されたハイブリドーマ細胞を、所定の栄養培地において、当該ハイブリドーマ細胞が該モノクローナル抗体を当該培養培地中に分泌するに十分な時間と条件下で培養する。このようなハイブリドーマ細胞培養に適する組織培養技法および培養培地は周知である。また、上記の如き細胞を除いたハイブリドーマ培養の上澄み液収集することができ、所望の抗体を必要に応じて周知の方法によりさらに精製することも可能である。

0040

また、当該所望の抗体はプリスタン[2、6、10、14−テトラメチルペンタデカンアルドリッジケミカル社、ミルウォキーウィスコシン)]注入したマウス腹膜腔内に当該ハイブリドーマ細胞を注射することによっても生成することができる。すなわち、該ハイブリドーマ細胞は当該腹膜腔内において増殖し、腹水液内に溜まる抗体を分泌する。さらに、該抗体は注射器により当該腹膜腔部から腹水液を取り出すことにより採取できる。

0041

また、本発明において有用なLFA−3およびCD2結合蛋白質は、所望の抗体の免疫グロブリンL鎖およびH鎖をコードするDNAにより形質転換した宿主細胞、あるいは、これらのLFA−3またはCD2結合部位により生成した組換え抗体であってもよい。このような組換え抗体は周知の遺伝子工学的技法により生成することができる(参照例:本明細書において参考文献として記載の米国特許第4816397号)。

0042

例えば、該組換え抗体は、本発明において有用な抗体を生成するハイブリドーマから所望の抗体の免疫グロブリンL鎖およびH鎖をコードするcDNAまたはゲノムDNAをクローニングすることにより生成することができる。その後、これらのポリペプチドをコードするcDNAまたはゲノムDNAは表現ベクタ内に挿入され、DNAシーケンスの両方が一以上の転写および翻訳表現制御シーケンスに連結する。さらに、これらの表現ベクタおよび表現制御シーケンスから上記の表現宿主細胞に対して適合性のあるものが選ばれる。DNAの両シーケンスは異なる表現ベクタに挿入することもできるが、通常、同一の表現ベクタに挿入される。

0043

この場合、原核または真核宿主細胞が表現宿主として使用できる。なお、真核宿主細胞は原核細胞に比して適切に折りたたまれかつ免疫学的に活性な抗体を組み合わせ分泌しやすいので、当該真核宿主細胞を使用するの方が好ましい。しかしながら、周知の方法により、不適切な折りたたみにより不活性となったいかなる抗体も再生することが可能である(KimおよびBaldwin、「小蛋白質の折りたたみ反応における特異的中間体および蛋白質の折りたたみ機構」(Ann.Rev.Biochem.,51,pp.459−89(1982)))。また、該宿主細胞はL鎖ダイマーまたはH鎖ダイマー等の本発明に有用な完全抗体の部分を生成することが可能である。

0044

さらに、上述の手法における種々の変形もまた本発明において有用となる。例えば、抗LFA−3または抗CD2抗体のL鎖またはH鎖のいずれか(両方ではない)をコードするDNAを用いて宿主細胞を形質転換することも可能である。また、組換えDNA技法を、LFA−3やCD2の対受容体結合に不要なL鎖およびH鎖のいずれかまたは両方をコードするDNAの一部またはすべてを除去するために使用することもできる。このようにして部分的に切除したDNA分子から表現された分子は本発明の方法に有用である。加えて、二官能性抗体も生成することができ、この場合、1個のH鎖および1個のL鎖がLFA−3またはCD2に対して特異的であり、かつ、他のH鎖およびL鎖がLFA−3またはCD2以外の抗原若しくはLFA−3またはCD2の他のエピトープに対して特異的である。

0045

また、所望の免疫グロブリンL鎖およびH鎖をコードするDNAから成る適当な表現ベクタを用いて宿主細胞を形質転換することにより、キメラ組換え抗体を生成することができる。この場合、当該L鎖および/またはH鎖のヒンジ領域および不変領域をコードするDNAのすべてまたは一部が異なる種の免疫グロブリンL鎖またはH鎖の対応する領域からのDNAにより置き換えられている。元の組換え抗体が人間のものではなく、当該抗LFA−3または抗CD2抗体が人間に投与される場合、人間のシーケンスに対応する置き換えを行うことが好ましい。例示的なキメラ組換え抗体としては、マウスの可変領域と人間のヒンジ領域および不変領域とを有するものが挙げられる(参照:米国特許第4816397号およびMorrison外、「キメラ人間抗体分子:人間不変領域ドメインを有するマウス抗原結合ドメイン」(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81,pp.6851−55(1984)))。

0046

また、人間化した組換え抗LFA−3または抗CD2抗体は所望の非人間の免疫グロブリンL鎖およびH鎖をコードするDNAから成る適当な表現ベクタを用いて宿主細胞を形質転換することにより生成できる。この場合、抗原結合に関与しないアミノ酸をコードするDNAのすべてまたは一部が所望の人間の免疫グロブリンL鎖およびH鎖からのDNAにより置き換えられている(参照:Jones他、「人間の抗体における補足的決定領域のマウスにおけるものによる置き換え」(Nature,321,pp.522−25(1986)、および、欧州特許第0239400号))。

0047

また、完全でない抗LFA−3および抗CD2抗体もまた本発明において有用である。なお、このような抗体は上述の抗体のいずれかから誘導することができる。例えば、上述の抗体から派生する抗原結合フラグメント並びに完全長モノマー、ダイマーまたはトリマーポリペプチドがそれ自体で有用である。この種の有用な結合蛋白質として、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab’)2フラグメント、F(v)フラグメント、H鎖モノマーまたはダイマー、L鎖モノマーまたはダイマー、1個のH鎖および1個のL鎖から成るダイマー等が挙げられる。

0048

当該抗体フラグメントは、例えば、ペプシンまたはパパイン等のプロテアーゼを用いる完全抗体の開裂、および、当該開裂生成物還元剤による処理等の化学的方法によっても生成することができる。また、有用なフラグメントを部分切除したH鎖および/またはL鎖の遺伝子により形質転換した宿主細胞を用いることによって生成することもできる。これらのH鎖およびL鎖モノマーはジチオトレイトール(dithiothreitol)等の還元剤を用いて完全な抗体を処理した後、当該鎖状体を分離するべく精製することにより得られる。また、該H鎖およびL鎖モノマーは所望のH鎖またはL鎖のいずれか(両方ではない)をコードするDNAを用いて形質変換した宿主細胞により生成することができる(参照:Ward他、「大腸菌から分泌した単一の免疫グロブリン可変ドメイン範疇における結合活性」(Nature,341,pp.544−46(1989)、Sastry他、「モノクローナルな接触抗体の発生のための大腸菌における免疫学的な範疇におけるクローニング:H鎖可変領域特異性cDNAライブラリの構造」(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,86,pp.5728−32(1989)))。

0049

B.可溶性CD2およびLFA−3ポリペプチド
本発明の方法において有用なLFA−3およびCD2結合蛋白質は可溶性CD2およびLFA−3ポリペプチドを含む。このうち、可溶性LFA−3ポリペプチドがより好ましい。

0050

該可溶性LFA−3ポリペプチドはLFA−3のトランスメンブラン形態、特に、細胞外ドメイン(例:SEQID NO:2のAA1 −AA187 )から誘導することができる。このようなポリペプチドは本明細書の参考文献でもある米国特許第4956281号および同時係属共同譲渡されている米国特許出願07/667971号および07/770967号に記載されている。好ましい可溶性LFA−3ポリペプチドとしては、SEQ ID NO:2のAA1−AA92、SEQ ID NO:2のAA1 −AA80、SEQ ID NO:2のAA50−AA65およびSEQ ID NO:2のAA20−AA80から成るポリペプチドが含まれる。SEQ ID NO:2をコードするDNAシーケンス(すなわちSEQ ID NO:1)から成るバクテリオファージが受入番号ATCC75107においてアメリカンタイプカルチャーコレクション(Rockville,Maryand)に寄託されている。

0051

該可溶性LFA−3ポリペプチドはまたPCT特許出願WO90/02181号に記載されるもの等のLFA−3のPI連結形態から誘導できる。なお、当該PI連結LFA−3をコードするDNAシーケンス(すなわちSEQID NO:3)から成るベクターが受入番号ATCC68788においてアメリカンタイプカルチャーコレクション(Rockville,Maryand)に寄託されている。該LFA−3のPI連結形態およびLFA−3のトランスメンブラン形態はその細胞外ドメイン全体にわたって同一のアミノ酸シーケンスを有しているため、当該PI連結LFA−3から派生する好ましい可溶性LFA−3ポリペプチドはLFA−3のトランスメンブラン形態から派生するものと同一である。

0052

また、可溶性CD2ポリペプチドは完全長CD2、特に、その細胞外ドメイン(例:SEQID NO:6のAA1 −AA185 )から誘導することができる。このようなポリペプチドはCD2の細胞外ドメインの全部および一部分から構成できる。好適な可溶性CD2ポリペプチドが参考文献でもあるPCT WO 90/08187に記載されている。

0053

本発明において有用な可溶性ポリペプチドの生成は当業界において知られる種々の方法により行うことができる。例えば、当該ポリペプチドを完全なトランスメンブランLFA−3またはCD2分子、若しくは、完全なPI連結LFA−3分子から、エクソペプチダーゼと組み合わせた特定のエンドペプチダーゼエドマン分解、あるいはこれらの両方による蛋白質分解により得ることができる。このような完全なLFA−3分子または完全なCD2分子は従来の方法によりその天然の形態から精製することができる。また、該完全なLFA−3またはCD2はcDNAを用いて既知の組換えDNA技法により生成することもできる(参照例:Wallner他の米国特許第4956281号、AruffoおよびSeed(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,84,pp.2941−45(1987))、Sayre他(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,84,pp.2941−45(1987)))。

0054

好ましくは、当該本発明に有用な可溶性ポリペプチドは直接に生成されて、完全なLFA−3分子や完全なCD2分子を出発原料として得る必要性がないことである。このことは従来の化学的合成技法や周知の組換えDNA技法により行うことができ、この場合、所望のポリペプチドをコードするDNAシーケンスのみが形質転換した宿主に表現される。例えば、所望の可溶性LFA−3ポリペプチドまたは可溶性CD2ポリペプチドをコードするDNAシーケンスはオリゴヌクレオチドシンセサイザを用いる化学的手段により合成することができる。このようなオリゴヌクレオチドは所望の可溶性LFA−3ポリペプチドや可溶性CD2ポリペプチドのアミノ酸シーケンスに基づいて設計される。さらに、該所望のポリペプチドに対する特定のDNAシーケンスのコード化は、特定の制限エンドヌクレアーゼフラグメントの単離や所望領域PCR合成によって、完全長DNAシーケンスから誘導することができる。

0055

また、これらの可溶性LFA−3およびCD2ポリペプチドは形質転換した宿主細胞の発酵や培養により単離でき、さらに、種々の従来法のいずれかによって精製することが可能である。当業者においては、最も好適である単離法および精製法を選択することが可能である。

0056

組換えDNA技法は20個以上のアミノ酸シーケンスを有する有用な可溶性CD2ポリペプチドや可溶性LFA−3ポリペプチドを生成する好ましい方法であるが、20個のアミノ酸よりも少ないシーケンスから成る短いCD2またはLFA−3ポリペプチドは従来の化学的合成技法により生成されることが好ましい。このように合成技法で生成する本発明に有用なポリペプチドは極めて収率が高く容易に精製できる点で有利である。

0057

C.LFA−3およびCD2擬態物質
本発明の方法において有用なLFA−3およびCD2結合蛋白質には、当該LFA−3およびCD2の擬態物質も含まれる。このような物質はペプチド、半ペプチド化合物または非ペプチド化合物であり、CD2(LFA−3擬態物質)やLFA−3(CD2擬態物質)に結合して、CD2/LFA−3相互作用、T細胞活性あるいはこれらの両方を阻害する。

0058

このような擬態物質は複数のペプチド(例:5−20個のアミノ酸長)、半ペプチド化合物、非ペプチド化合物または有機化合物を合成した後、CD2/LFA−3相互作用の阻害能力またはT細胞活性の阻害能力あるいはこれらの両方について当該化合物をスクリーニングすることにより生成することができる(参照:米国特許第4833092号、ScottおよびSmith、「エピトープライブラリを用いたペプチドリガンドサーチ」(Science,249,pp.386−90(1990)、Devlin他、「ランダムペプチドライブラリ:特定蛋白結合分子の供給源」(Science,249,pp.404−07(1990)))。

0059

D.派生的LFA−3およびCD2結合蛋白質
本発明の方法において有用なものとしては上述のLFA−3およびCD2結合蛋白質の融合体や混成体を含む派生形態も含まれ、当該LFA−3やCD2結合蛋白質のいずれも1種以上の同一または異なるLFA−3およびCD2結合蛋白質、薬剤あるいはこれらの両方に機能的に連結する(化学的結合あるいは遺伝的融合等による)。

0060

このような派生結合蛋白質の1種は、2種以上のLFA−3またはCD2結合蛋白質(同一種または異なる種類のもの)の架橋により生成される。この場合に適する架橋剤としては、ヘテロ二官能性の、適当なスペーサにより分離した2種の異なる反応基を有するもの(例:m−マレイミドベンゾイルーN−ヒドロキシスクシンイミドエステル)や、ホモ二官能性のもの(例:スベリン酸ジスクシンイミジル)が含まれる。また、連結剤としてはピアスケミカル社(Pierce Chemical Company,Rockford,Illinois)により販売されるものが使用できる。

0061

さらに、当該架橋処理においては、PI連結LFA−3やそのフラグメントにおけるPI連結信号シーケンスを利用することができる。特に、該PI連結信号シーケンス(例:SEQID NO:4のAA162 −AA212 )をコードするDNAは所望のポリペプチド、好ましくは可溶性LFA−3ポリペプチドをコードするDNAの下流で連結する。もしもこのような構成が適当な真核細胞において表現されれば、当該細胞はPI連結信号シーケンスを認識してPIをポリペプチドに共有的に連結する。而して、該PIの疎水性によりポリペプチドのミセル凝集体が形成される。

0062

また、1種以上の薬剤に連結したLFA−3およびCD2結合蛋白質(例:融合または混成蛋白質)もまた有用である。この場合、有用な薬剤としては、LFA−3やCD2以外のポリペプチドに対して特異的な抗体等の生物学的に活性なペプチド、ポリペプチドおよび蛋白質が挙げられる。また、その他の有用な薬剤としては、例えば、シクロスポリンA、プレドニソン、FK506、メトトレキセートステロイドおよびレチノイド等の免疫抑制剤が挙げられる。

0063

また、好ましい派生的結合蛋白質としては、組換え技法により生成されたポリペプチドがあり、この場合、可溶性LFA−3ポリペプチド、可溶性CD2ポリペプチドまたはペプチジルCD2やペプチジルLFA−3擬態物質が免疫グロブリンH鎖のヒンジ領域の全部または一部および免疫グロブリンH鎖の不変領域の全部または一部に融合している。このような融合蛋白質により血清の半減期が比較的延長できかつ結合蛋白質の二量化が容易となると考えられる。

0064

このような融合蛋白質を生成するための好ましいポリペプチドは可溶性LFA−3ポリペプチドであり、SEQID NO:2のAA1 −AA92、SEQ ID NO:2のAA1 −AA80、SEQ ID NO:2のAA50−AA65およびSEQ ID NO:2のAA20−AA80から成る群より選択した可溶性LFA−3ポリペプチドが最も好ましい。

0065

SEQID NO:2をコードするDNAシーケンス(すなわちSEQ ID NO:1)から成るバクテリオファージがアメリカンタイプカルチャーコレクション(Rockville,Maryland)に受入番号ATCC75107で寄託されている。

0066

この種の最も好ましい融合蛋白質は、成熟したLFA−3の92個のアミノ酸から成るアミノ末端、内部鎖状ジスルフィド結合に関与すると考えられる2個のシステイン残基を含む人間IgG1ヒンジ領域の10個のアミノ酸から成るC末端、および人間IgG1H鎖の不変ドメインのCH 2およびCH 3領域(例:SEQID NO:8)を含む。以下、このような融合蛋白質を「LFA3TIP」と称する。典型的なLFA3TIPをコードするプラスミドpSAB152がアメリカンタイプカルチャーコレクション(Rockville,Maryland)に受入番号ATCC68720で寄託されている。また、当該pSAB152の挿入のDNAシーケンスはSEQ ID NO:7である。

0067

本発明の方法において用いるLFA3TIPを生成する方法の一例が同時係属の共同譲渡された米国特許出願第07/770967号に記載されている。一般に、pSAB152により形質転換したCOS7細胞の細胞を除いた培養液スパイラルカートリッジシステムMICON S1Y30(AMICON,Danvers,Massachusetts)を用いて濃縮され、プロテインAセファロース4B(Sigma,St.Louis,Missouri)のクロマトグラフィかけられる。その後、結合した蛋白質は溶出され、スーパロース(Superose)−12(Pharmacia/LKB,Piscataway,New Jersey)のゲル濾過クロマトグラフィにかけられる。

0068

このス−パーロース−12のフラクションは最少量の混入蛋白質のLFA3TIPを含む。このことはゲル分析(SDS−PAGE)およびウェスタンブロット(Western blot)分析により決定できる(参照例:Towbin他、(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,74,pp.4350−54(1979))、抗体(A Laboratory Manual,pp.474−510(Cold Spring Harbor Laboratory(1988)))。当該フラクションは集められ、YM30セントリコン(Centricon)(AMICON)において濃縮される。該LFA3TIPはうさぎ抗LFA−3ポリクローナル抗血清を用いてウェスタンブロット上で検出された後、山羊の抗うさぎIgGでラベル化される。このCOS7細胞の精製されたLFA3TIPはジスルフィド結合により連結した2種のモノマーLFA−3−Ig融合蛋白質二量体であった。

0069

本発明による薬剤組成物および方法
本発明による方法は哺乳類動物に移植組織と1種以上の派生体を含むLFA−3またはCD2結合蛋白質を投与することにより同種移植組織または異種移植組織の寛容性を改善する。このLFA−3またはCD2結合蛋白質は薬剤組成物の一部として投与することもできる。

0070

すなわち、有用な薬剤組成物は派生体を含む1種以上のLFA−3またはCD2から成り、一般に、薬理的に許容可能なキャリヤ内に収容されている。なお、「薬理的に許容可能なキャリヤ」とは投与体である患者においてアレルギー反応や不都合な作用を生じないキャリヤを意味する。

0071

この場合、薬理的に許容可能な好適キャリヤとして、例えば、水、生理食塩水リン酸塩バッファー処理した生理食塩水、デキストロースグリセロールエタノール等の1種以上並びにこれらの混合物が挙げられる。さらに、該薬理的許容可能なキャリヤは保存性やLFA−3またはCD2結合蛋白質の効果を高める湿潤剤または乳化剤防腐剤またはバッファー等の少量の補助物質により構成されていてもよい。

0072

このような本発明に有用なLFA−3またはCD2結合蛋白質や組成物は上述の如く定義した同種移植または異種移植に対する寛容性を改善し得る量という意味において「効果的な量」で投与されることが好ましい。

0073

なお、当業者においては、当該効果的な量のLFA−3やCD2結合蛋白質が、とりわけ、投与スケジュール単位投薬量、該LFA−3またはCD2結合蛋白質が他の治療剤との組み合わせで投与されるか否か、患者の免疫状態および健康状態、投与された特定のLFA−3またはCD2結合蛋白質の治療的並びに予防的活性、および、その血清の半減期に依存することは明らかである。

0074

さらに、上記薬剤組成物は一般的な免疫抑制剤と共に使用することも可能である。これらは、例えば、シクロスポリン、アザチオプリン、および、メチルプレドニソロンアセテート(Depo−Medrol)、メチルプレドニソロンナトリウムスクシネート(Solumederol)等のステロイド、および治療を受ける哺乳動物における免疫応答を抑制するに効果的な量で投与されたプレドニソンを含む。例えば、シクロスポリンは手術の前日から初めて手術後2−25mg/kg/日で投与することができ、また、アザチオプリンは50−200mg/日で、ソルメデロール(Solumederol)は移植時および手術後最初の日において静脈内に125mgで、プレドニソンは手術後二日目から初めて1mg/kg/日で、さらに、デポードロール(Depo−Medrol)は手術後二日目から初めて0.8mg/kg/日で投与することができる。なお、これらの投薬量は当然ながら当業者に周知の因子により変更可能である。一般に、LFA−3またはCD2結合蛋白質と共に使用する場合は、これらの免疫抑制剤の効果的濃度を可能な限り低くすることが望ましい。

0075

さらに、上記薬剤組成物は他の治療剤または予防剤から構成されていてもよい。また、これらのLFA−3またはCD2結合蛋白質やその他の活性薬剤は単一の複合分子の形態であってもよい。なお、当該2種の化合物の複合化は当業界において周知の標準的架橋技法によって行える。また、単一分子組換え融合蛋白質の形態をも採りえる。

0076

これらの付加的な免疫抑制剤、治療剤または予防剤は単一の投薬形態において該LFA−3またはCD2結合蛋白質と共に投薬することができ、また、該LFA−3やCD2結合蛋白質とは別にかつこれと同時期に複合的投薬形態において投薬することもでき、さらに、これらの成分を別々にかつ連続的に投与する複合的投薬形態において投薬することもできる。このような組み合わせ療法は当該免疫抑制剤や治療剤または予防剤の少量の投薬において有利である。

0077

また、上記の薬剤組成物やLFA−3またはCD2結合蛋白質は種々の形態を採り得る。例えば、錠剤丸薬、粉、溶液、分散液や懸濁液、リポゾーム座薬、注射可能および注入可能溶液等の固体半固体および液体の投薬形態が挙げられる。なお、好ましい形態は意図された投薬状態および治療方法に依存する。ただし、注射可能または注入可能な溶液が一般的に好ましい。

0078

一般に、該LFA−3またはCD2結合蛋白質は治療用の殺菌した生理食塩水溶液において懸濁する。また、上記薬剤組成物はその活性成分の放出を制御し、また、受容体におけるそれらの存在期間を延長するように形成することができる。このための好適な薬剤放出システムが数多く知られており、例えば、ヒドロゲルヒドロキシメチルセルロースマイクロカプセル、リポゾーム、マイクロエマルジョン微小球等の態様が挙げられる。

0079

本発明によれば、移植組織と特定のLFA−3結合蛋白質とを受容する哺乳動物体に対して、体重1kg当たり約0.01ないし約10mg、より好ましくは約0.1ないし約5mg、最も好ましくは約0.1ないし約2mgのLFA−3結合蛋白質が投薬される。

0080

また、移植組織と特定のCD2結合蛋白質とを受容する哺乳動物体に対しては、体重1kg当たり約0.01ないし約10mg、より好ましくは約0.01ないし約2mg、最も好ましくは約0.01ないし約1mgのCD2結合蛋白質が投薬される。

0081

該LFA−3またはCD2結合蛋白質または組成物は、投薬者の判断において、同種移植または異種移植組織の拒絶のおそれがなくなるまで1日当たり約1回投薬される。また、該LFA−3またはCD2結合蛋白質または組成物の投薬期間は該哺乳動物体における移植組織の許容性に依存する。当該拒絶の一般的な臨床的兆候は移植された特定組織により変化する。しかしながら、発熱、異和感、組織機能障害等が当該拒絶の典型的臨床兆候として挙げられる。さらに、該組織機能障害の兆候は移植された組織に依存するが、当業者において周知でありかつ認識されている指標により特徴付けられる。

0082

治療の経過は、リンパ球の浸透度を決定するための切開心筋バイオプシー経皮的内心筋バイオプシー等のバイオプシー、リンパ球細胞障害抗体生成の程度を決定するための血液アッセイまたは混合リンパ球反応等の種々の方法により計測することができる(参照例:Krensky他、(J.Immunol.,131,pp.611−16(1983)、Bradley、細胞免疫学において選択された方法における「混合リンパ球応答」(Mishel and Shiigi,eds.),pp.162−64(W.H.Freedman andCo.,San Francisco 1980))。腎臓移植の場合、バイオプシーは単核細胞の浸透度および増殖度、動脈内皮および移植組織における媒体のネクローシスの程度を決定するために行われる(Cosimi他、J.Immunol.,144,pp.4604−12(1990))。

0083

本発明の方法は、同種移植組織の場合の好ましい実施態様において、移植前に二日間連続して一日当たり1回、また、移植後に一日から十日にわたり連続して一日当たり1回LFA−3またはCD2結合蛋白質を投与することから成る。より好ましくは、該LFA−3またはCD2結合蛋白質を移植前に二日間連続して一日当たり1回、また、移植後に二日間連続して一日当たり1回投与する。

0084

また、本発明の方法は、異種移植組織の場合の好ましい実施態様において、移植前に、LFA−3またはCD2結合蛋白質を該異種移植供給源からの組織と同時期に投与することから成る。ここでの「同時期に(contemporaneously)」とは、異種移植供給源(移植組織以外)からの組織とLFA−3またはCD2結合蛋白質との投与については、当該結合蛋白質が有効な免疫応答を阻害するに効果の有るレベルで該異種移植供給源からの組織に結合するに足る時間内にこれらの投与が十分に行われることを意味する。好ましくは、当該結合蛋白質が飽和レベルで該異種移植供給源からの組織に結合する。本発明の好ましい実施態様においては、一方の投与が他方の投与の約0ないし6時間以内に行われる。さらに、最も好ましくは、該異種移植供給源からの組織とLFA−3またはCD2結合蛋白質とが互いに約0ないし1時間以内に投与される。この場合、どちらを先に投与してもよい。しかしながら、当該結合蛋白質を異種移植供給源からの組織に先立って投与する方が好ましい。

0085

また、本発明の他の実施例においては、当該同時期投与の後、移植前にLFA−3またはCD2結合蛋白質の投与が行われる。

0086

より好ましくは、該LFA−3またはCD2結合蛋白質を該異種移植の前に二日間続けて一日に1回投与し、その後、一日に1回該異種移植供給源からの組織と同時期に投与し、さらにその後、一日ないし十日間続けて一日に1回投与する。もしも該異種移植供給源の種と受容体の種とが極めて不一致であれば、上述のスケジュールに従って、LFA−3またはCD2結合蛋白質を二日間続けて一日に1回当該異種移植供給源からの組織と同時期に投与することが必要になる。好ましい実施態様においては、上述のスケジュールに従って、該結合蛋白質を当該同時期投与の後および当該移植の前に5日ないし10日間続けて一日に1回投与する。また、最も好ましくは、当該LFA−3またはCD2結合蛋白質と異種移植供給源からの組織との同時期投与を同時に行う。

0087

理論に拘束されるわけではないが、出願人は異種移植供給源からの組織を、当該組織に対して特異的に反応する活性化した細胞の集団の増加を阻害するべく、哺乳動物体にLFA−3またはCD2結合蛋白質と同時期に投与した。而して、該LFA−3またはCD2の同時期投与は上記特定の異種移植供給源からの細胞により運ばれる抗原の特定の部分的集合に対して寛容性を誘引する。したがって、該異種移植供給源からのいかなる組織も適応可能であるが、特に、当該異種移植供給源からの血液細胞が好ましいことが理解できる。このような組織は免疫応答を誘引するに足る量で投与する必要がある。なお、当該異種移植供給源からの組織の投与の好ましい方法としては静脈注射が挙げられる。特に、約1×106ないし約1×108 個の全血液細胞の投与が当該異種移植供給源からの組織として最も好ましい効果を示す。しかしながら、これよりも低いあるいは高い投薬量や他の投与スケジュールも適用可能である。

0088

該LFA−3またはCD2結合蛋白質またはその薬剤組成物は静脈、筋肉内、皮下、関節内、包膜内、骨膜、経口、局所的または吸入等を介して投与できる。通常、静脈内または筋肉内投与が好ましいが、LFA−3を表現する体内における細胞が広範囲であるため、移植領域におけるより局所的な投与がより望ましい場合がある。

0089

本発明の方法の好ましい実施態様においては、哺乳動物体への移植前に、移植組織の一面に効果的な量のLFA−3やCD2結合蛋白質が注がれる。最も好ましくは、当該哺乳動物体への移植前に移植組織の一面に、該移植組織上のCD2またはLFA−3部位を飽和するに足るLFA−3またはCD2結合蛋白質を注ぐ

0090

本発明をさらによく理解するために、以下の実験例を説明する。なお、これらの実験例は例示のためであり、本発明の範囲をこれに限るものではない。

0091

実験例
実験例1
抗LFA−3モノクローナル抗体1E6およびモノクローナル抗体MOPC21の精製
1E6ハイブリドーマ細胞(ATCCHB 10693)を40リットル撹拌ガラス容器(Bellco,#196536000)中で、2%ウシ胎児血清、150μg/mlのストレプトマイシンおよび50μg/mlのゲンタマイシンGIBCO Life Technologies,Gaithersburg,Maryland)の存在下、RPMI1640培地中において、37℃で7−10日間培養した。この細胞を除いた培養液を100リットルのカーボイNALGENE)中に入れた。その後、アジ化ナトリウムを加えて当該懸濁液の最終濃度を0.02%にした。室温で、5μフィルタカートリッジ(Polygard,#CN5001E06,Millipore,Bedford,Massachusetts)により細胞破片を除いた後、0.3μフィルタカートリッジ(Polygard,#CN0301E06,Millipore,Bedford,Massachusetts)により処理した。その後、4℃で、YM30 S10スパイラルフィルタカートリッジ(AMICON,Danvers,Massachusetts)により、上澄み液を50ないし100倍に濃縮した。この50リットルの細胞を除いた培養液からの濃縮液を2倍量の平衡バッファー(3Mグリシン、1.5M塩化ナトリウム、pH8.9)で希釈し、4℃で一晩、重力により、90mlのプロテインAセファロース(Protein A−Sepharose:Schleicher and Schuell,Keene,New Hampshire)を通した。

0092

使用カラムを平衡バッファーで洗浄し、100mMクエン酸ナトリウム(pH3.0)により結合蛋白質を溶出した。この溶出フラクションを1/10フラクション容積の1MHEES(pH7.8)中に集めた。次いで、当該フラクションのA280読取部分を取り出し、当該溶出蛋白質を含むフラクションを集めて−70℃で保存した。このようにしてプロテインA精製1E6を全部で約200リットルの細胞を除いた培養液から作成した。この種々の収集物を、2リットルのアミコン(Amicon)撹拌セル中でYM30フィルタ(AMICON,Danvers,Massachusetts)を用いて溶解し、組み合わせ、約10mg/ml蛋白質に濃縮した。その後、この濃縮物を5分割してそれぞれ100mlの部分に分けて、各分割部分を、室温で、リン酸塩バッファー処理した生理食塩水中に展開した1リットルのスーパーロース(Superose)−6ゲル濾過カラム(Pharmacia,Piscataway,New Jersey)中に通した。次いで、1E6を含むピークフラクションを集めて−70℃で保存した。このようにしてすべての材料を処理した後、収集物を溶かし、組み合わせ、リン酸塩バッファー処理した生理食塩水により2−3mg/ml蛋白質に調節した。その後、最終的に得られた材料を15mlの部分に分けて−70℃で使用するまで保存した。

0093

MOPC21をシグマケミカル社(Sigma Chemical Corporation,St.Louis,Missouri)から購入した腹水から精製した。すなわち、該腹水を、3Mグリシン、1.5M塩化ナトリウム、pH8.9の「プロテインAローディングバッファー(Protain A loading buffer)」中に希釈し、室温で25mlのプロテインAセファロース(Schleicher and Schuell,Keene,NewHampshire)に通した。次いで、該カラムを280nmにおける光学濃度基線レベルに戻るまで上記ローディングバッファーにより洗浄した。その後、結合したIgGを50mM酢酸ナトリウム(pH3.0)により室温で溶出し、50倍容積のリン酸塩バッファー処理した生理食塩水に対して4℃で一晩透析した。透析後、該MOPC21を室温でリン酸塩バッファー処理した生理食塩水中に展開した1リットルのスーパーロース−6ゲル濾過カラム(Pharmacia,Piscataway,New Jersey)中に通した。次いで、該MOPC21をふくむピークフラクションを集め、リン酸塩バッファー処理した生理食塩水により2mg/ml蛋白質の最終濃度に調節し、各30mgに分割した後、−70℃で使用時まで保存した。このようにして得たすべての作成物には、市販のキットクロモゲンLAL(Whittaker M.A.Bioproducts,Walkersville,Maryland)により、10ユニット/ml以下のエンドトキシンが含まれていることが分かった。以下、特に記載のない限り、すべての精製処理は室温下で行った。

0094

実験例2
抗LFA−3抗体モノクローナル抗体1E6の投与のリンパ球機能に関する効果A.投与およびサンプリングのプロトコル
2頭の異系交配成育したヒヒAおよびB(Papio anubis)に5日間続けて1日に1回、ポータカテーテル(portacatheter)により精製した抗LFA−3モノクローナル抗体1E6を1.45mg/kgで静脈投与した。ヒヒAの体重は12kgであり、ヒヒBの体重は9.5kgであった。また、対照として、他の成育したヒヒC(体重9.4kg)に同量の非特異的なアイソタイプマウスモノクローナル抗体MOPC21(Sigma Chemical Corp.,St.Louis,Missouri)を投与した。最初の抗体投与の前にそれぞれのヒヒから1回または2回血液を採取し、その後、5日間続けて毎日、各投与の4時間後に血液採取を行った。さらに、最初の投与の日を1日目として、8日目、11日目および14日目に血液を採取した。なお、他に記載しない限り、当該投与およびサンプリグのプロトコルを本実験例において記載するすべてのアッセイにおいて用いた。

0095

B.抗LFA−3モノクローナル抗体1E6についての毒物学的検討
当該抗LFA−3モノクローナル抗体の一般的な毒性およびヒヒの身体的条件に関する潜在的効果、血液学、および、血液化学について評価した。なお、当該検討を通して、各ヒヒの一般的な身体的条件は不変であった。また、顕著かつ急激な副作用は見られなかった。さらに、血液学的および血液化学的にも概ね正常であった。特に、Na+ 、Cl− 、K+ 、クレアチン血尿窒素、および肝臓酵素ASTおよびALTのレベルはすべて正常な限界値内であった。加えて、血液細胞の数、すなわち、ヘマトクリット値白血球細胞、リンパ球、単核細胞、セグメント化した好中球および好酸球等は概ね正常な範囲であった。しかしながら、ヒヒBは5日目以降においてセグメント化した好中球の実質的な減少が見られた。

0096

C.抗LFA−3モノクローナル抗体1E6および対照MOPC21の血清レベル
抗体投与の4時間後に採取した血液から血清を作成した。さらに、1E6を投与したヒヒ(ヒヒAおよびB)の場合は、24時間の間隔で、抗体投与の直前および1日目ないし5日目に血清を採取した。また、8日目、11日目および14日目にも血清を採取した。次いで、当該MOPC21および1E6の血清レベルを山羊の抗マウスIgG(Jackson Immunoresearch,Malvern,Pennsylvania)を塗布したマイクロタイタープレートを使用するELISAを用いたマウスIgGレベルの計測により決定した。なお、これらのELISAは実験例1において述べたように精製したMOPC21および1E6を用いて標準化した。また、LFA−3に結合可能な1E6(すなわち「活性」1E6)の血清レベルをLFA−3のAA1 −AA184 から成る可溶性のLFA−3ポリペプチドを塗布したマイクロタイタープレートを使用するELISAによって計測した(参照:米国特許第4956281号)。このELISAもまた実験例1において述べたように精製した1E6により標準化した。而して、上述のすべてのELISAアッセイにおいて、1E6またはMOPC21のマイクロタイタープレートへの結合が、アルカリ性フォスファターゼ(Jackson Immunoresearch,Malvern,Pennsylvania)によりラベル化した第2の山羊−抗マウス抗体を用いて検出できた。次いで、このように結合した免疫グロブリンをサーモマックス(Thermomax:Molecular Device,Palo Alto,California)を用いてアルカリ性フォスファターゼ基板pNPPの比色変換において着色生成物とすることにより定量した。この場合、ELISA読取機の波長は405nmであった(データ示さず)。

0097

この結果、1E6およびMOPC21の血清レベルは4日目および5日目の間(約40−80μg/ml抗体)で最高となり、8日目および11日目の間で投与前のレベルに戻った。なお、1E6の投与後24時間の血清レベルは、1日目ないし5日目に採取した血清の投与後4時間のレベルの50%および80%の間で一貫して減少した。これに比して、MOPC21レベルは24時間後に10%および20%の間で減少したのみであった。また、活性1E6の割合は40%および70%の間で変化した。さらに、該1E6の血清レベルはヒヒAに比してヒヒBの方が高く(体重9.5kg対12kg)、これは異なる組織空間分布によるものと考えられる。

0098

さらに、処理したヒヒの血清における抗1E6抗体のタイター値をELISAにより決定した。すなわち、精製した1E6をマイクロタイタープレートに結合し、各血液の血清を増加希釈においてアッセイした。(データ示さず)。

0099

この結果、1E6を投与した両方のヒヒAおよびBにおいて、抗1E6抗体を早くて11日目の投与後に検出した。また、抗MOPC21抗体のタイター値を抗マウスIgGを塗布したアッセイプレートを用いて検出し、当該抗1E6と同一の反応速度であることが分かった。(データ示さず)。

0100

D.インビトロでのT細胞の活性化アッセイ
1E6投与のインビトロにおけるT細胞活性化についての効果を決定するために、末梢血液リンパ球を上述の抗体投与したヒヒから単離して、T細胞依存型B細胞活性化およびフィトヘマグルチニンに応じたT細胞増殖あるいは抗CD2モノクローナル抗体の活性化についてアッセイした。なお、これらのアッセイの各々について、該末梢血液リンパ球をFicoll−Hypaque(Pharmacia,Piscataway,New Jersey)上で当該製造者の示すプロトコルに従って単離した。さらに、該末梢血液リンパ球を各アッセイに先立って室温で10%ウシ胎児血清を含有する組織培養地中で一晩保存した。

0101

1.T細胞依存型B細胞活性化アッセイ
T細胞依存型B細胞の免疫グロブリン分泌に対する活性化は抗LFA−3抗体により阻止することができる(MOPC21を対照として使用)。

0102

末梢血液単核細胞をFicoll−Hypaque濃度培養地(Pharmacia,Piscataway,New Jersey)上で当該製造者の教示に従って全血から精製した。付着マクロファージを当該単核細胞のプラスチック皿上での37℃45分のインキュベーションにより除去した。また、非付着のリンパ球を生理的に適合性のある培養地(RPM1640,GIBCO LifeTechnologies,Gaitherburg,Maryland)において洗浄した。このものはファクスタ(FACStar,Becton Dickinson Corporation,Mountainview,California)上のFACS分析により最小のマクロファージを含むことがわかった。なお、当該検出には、マクロファージ/単核細胞の細胞表面抗原に特異的な蛍光ラベル化処理した抗体を用いた。その後、当該細胞を96−ウェル丸底プレート(2mMグルタミン、5×10−5Mβ−メルカプトエタノールおよび非必須アミノ酸を加えたRPMI1640(GIBCO Life Technologies,Gaithersburg,Maryland))において培養した。

0103

この培養においては、T細胞がB細胞を活性化して免疫グロブリンを分泌させる。この培養地中に分泌された免疫グロブリンを当該培養の開始後7日目および12日目に培養地をサンプリングすることにより計測した。次いで、ELISAを用いてヒヒの免疫グロブリンについて当該サンプルの上澄み液(無細胞)を分析した。この場合、アッセイプレートには山羊の抗人間免疫グロブリン(Jackson Immunoresearch,Malvern,Pennsylvania)が塗布されており、当該グロブリンもまたヒヒの免疫グロブリンを認識するが、ウシ胎児血清中に存在する免疫グロブリンやマウスの免疫グロブリンには結合しない。その後、当該山羊の抗人間免疫グロブリンを塗布したプレートに結合した培養上澄み液からの免疫グロブリンを第2の山羊の抗人間免疫グロブリン試薬を用いて検出した。なお、該試薬には、酵素であるアルカリ性フォスファターゼが結合している(Jackson Immunoresearch,Malvern,Pennsylvania)。次いで、当該結合した免疫グロブリンをアルカリ性フォスファターゼ基板pNPP(パラニトロフェニルフォスファターゼ)による比色変換において着色生成物とすることにより定量した。なお、当該基板変換はサーモマックス(Thermomax:MolecularDevice,Palo Alto,California)ELISA読取機により波長405nmにおいて計測した。

0104

これらの実験結果を第1図および2図に示す。第1図は0日目から1−5日、8日、11日および14日にいたるヒヒB(1E6)のリンパ球について行ったアッセイのためのELISAアッセイから得た405nmにおける相対吸収ユニットを示している。第2図は0日目から1−5日、8日および11日にいたるヒヒA(1E6)およびC(MOPC21)のリンパ球について行ったアッセイのためのELISAアッセイから得た405nmにおける相対吸収ユニットを示している。

0105

この結果、ヒヒBの場合は、T細胞依存型B細胞のIg生成が1E6投与の第2日目に減少し、11日目まで0日目の値の約35%に維持した(第1図)。

0106

また、ヒヒAの場合は、1−11日目のIg生成が投与前のレベルよりも高かった。これは、ヒヒBの場合に比して、ヒヒAの場合は到達した1E6血清レベルが低いためと思われる。ここで、1ないし4日目に検出したIg生成レベル基本値とすれば、5日目のIg分泌の阻害は40%であり、さらに、11日目の阻害は20%となる(第2図)。

0107

また、ヒヒCの場合は、MOPC21の投与後、末梢血液リンパ球がIg生成のレベルを0日目のレベルに比して2日目から11日目の間で増大している。

0108

2.T細胞増殖アッセイ
T細胞増殖アッセイにおいては、本発明者は抗CD2モノクローナル抗体若しくはフィトヘマグルチニン(「PHA」)を活性化してヒヒA、BおよびCから0日目、1−5日目、8日目、11日目および14日目に単離したT細胞を増殖する能力を測定した。すなわち、ウェル当たり1×105 個の末梢血液リンパ球を(1)腹水液の1:900希釈において抗CD2モノクローナル抗体T111 およびT113 と共に、(2)培養地のみにおいて、または(3)PHA(Sigma Chemical Corporation,St.Louis,Missouri)(10μg/ml)の存在下、3日間培養した。3日後、当該細胞を1μCi/ウェルの 3HdTにより18時間ラベル化して採取した。(データ示さず)。

0109

この結果、ヒヒBから得た末梢血液リンパ球は該抗CD2モノクローナル抗体の活性化に応じて 3HdTの取込量の増加を全く示さず、また、0日目から14日目において培養地における増殖活性も極めて低かった。

0110

一方、ヒヒAから得た末梢血液リンパ球は該抗CD2モノクローナル抗体とPHAとに反応を示した。すなわち、4日目以降、これらの物質に応じた増殖が約9倍阻害され、少なくとも14日目まで低い増殖率が維持された。

0111

また、MOPC21の対照であるヒヒCから得た末梢血液リンパ球はすべての条件下においてすべての試験時間に極めて低い増殖活性を示した。

0112

なお、ヒヒCのT細胞増殖並びにヒヒA、BおよびCの0日目の結果の再現性が得られないため、これらのデータの有意差については明確でない。

0113

実験例3
LFA3TIP投与のリンパ球機能に関する効果
A.投与およびサンプリングのプロトコル
2頭の異系交配の成育したヒヒ(4.6kgおよび7.4kg)(Papioanubis)に5日間続けて1日に1回、ポータカテーテル(portacatheter)により精製した抗LFA3TIP(Biogen,Inc.,Cambridge,Massachusetts)を3mg/kgで静脈投与した。最初の抗体投与の前にそれぞれのヒヒから1回ずつ血液を採取し、その後、5日間続けて毎日、各投与の4時間後に血液採取を行った。さらに、最初の投与の日を1日目として、8日目、10日目、15日目および22日目に血液を採取した。なお、他に特に記載しない限り、当該投与およびサンプリグのプロトコルを本実験例において記載するすべてのアッセイにおいて用いた。

0114

B.抗LFA3TIPについての毒物学的検討
当該抗LFA3TIPの一般的な毒性およびヒヒの身体的条件に関する潜在効果、血液学、および、血液化学的影響について評価した。なお、当該検討を通して、各ヒヒの一般的な身体的条件は不変であった。また、顕著かつ急激な副作用は見られなかった。さらに、血液学的および血液化学的にも概ね正常であった。特に、Na+ 、Cl− 、K+ 、クレアチン、血尿窒素、および肝臓酵素ASTおよびALTのレベルはすべて正常な限界値内であった。加えて、血液細胞の数、すなわち、ヘマトクリット値、白血球細胞、リンパ球、単核細胞、セグメント化した好中球および好酸球等は概ね正常な範囲であった。また、CD4/CD8表現細胞の比率も正常な範囲内であった。

0115

また、最後の投与後10日目のLFA3TIPのプラズマレベルは当該最後の投与の直後のLFA3TIPのレベルの約32%であり、マウスのモノクローナル抗体において一般に見られる半減期よりもはるかに長いことがわかった。

0116

また、CD4およびCD8表現細胞の蛍光ラベリングにより、約10%のCD4+ 細胞および約90%のCD8+ 細胞が最後の投与から10日後において依然としてLFA3TIPにより被覆されていることがわかった。

0117

実験例4
ヒヒの心臓の同種移植モデル
A.1E6処理
同種移植拒絶反応についての抗LFA−3モノクローナル抗体1E6の効果を評価するために、ヒヒの心臓をABO型の異系交配のヒヒ(Papio anubis)の首の非機能部位にヘテロトピックに移植する例示的な心臓の同種移植モデルを採用した。この場合のプロトコルは、同種移植と異種移植との違いを除いて、Michler他の「霊長類のヘテロトピックな心臓異種移植のための技法」(J.Med.Primatol.,14,pp.357−62(1985)に記載されるものと実質的に同一である。

0118

而して、上述の如く作成した精製1E6を1頭の成育したヒヒ(体重32kg)に5mg/kgの投薬量で1日目に開始して、移植前2日間続けて投与した。3日目に、心臓のヘテロトピックな同種移植を3kgの若いヒヒから得た心臓を用いて行った。当該移植の日に5mg/kgの1E6の1回の投薬を行い、その後、10日間続けて1日に1回この投与を行った。また、血液サンプルを当該投与に先立って移植の2日前に採取した。さらに、該血液サンプルを移植と同時に、また、それから5日目、10日目、16日目、19日目および21日目に行った。次いで、1E6の全血清レベルおよび該血清における活性な1E6の比率、すなわち、LFA−3に結合可能な1E6のパーセントのアッセイを実験例2Cに述べたように行った。当該ヒヒには一般的な免疫抑制物質がなんら投与されていない。

0119

その後、移植部を毎日触診し、心臓の動を触診および目視により評価してモニターした。さらに、心電図を週に1回取った。また、経皮内心筋バイオプシーを移植後16日目に行った。この結果、上述の血液サンプルについての血液化学的評価および細胞計数結果は正常な限界値の範囲内であった。

0120

また、当該モデルシステムにおける未処理の対照の心臓同種移植は非免疫抑制のヒヒにおいて移植後平均9±3日(n=5)で拒絶反応を示した(Rose他、「心臓の異種移植」、Progress In Cardiovascular Disease,33,pp.105−17(1990))。なお、当該拒絶は、当該モデルシステムの目的に対応して、心臓の膨張および硬化、および心電図の評価による鼓動の停止として定義する。さらに、心筋内のリンパ球の累進的浸透、リンパ球障害抗体の生成、および、ドナーの末梢血液リンパ球に対する反応をモニターした。その結果、免疫抑制治療なしに9日以上当該システムにおいて移植組織が生存したことはその寛容性レベルが向上したことを示す。

0121

1E6処理したヒヒにおいては、移植した同種異系の心臓が当該移植後23日において依然として鼓動していた。したがって、該1E6は心臓の同種移植において目覚ましい寛容性の改善をもたらす。

0122

B.LFA3TIP処理
実験例4Aにおいて述べたものと実質的同一の手順により、心臓同種移植の拒絶反応についてのLFA3TIPの効果を評価した。すなわち、精製したLFA3TIP(同上)を1頭の成育したヒヒに移植前に2日続けて1日当たり3mg/kgの投薬量で投与した。3日目に、心臓のヘテロトピックな同種移植を若いヒヒから得た心臓を用いて行った。なお、当該移植の日に3mg/kgのLFA3TIPを1回投薬し、その後、9日間続けて1日に1回この投与を行った。

0123

その後の血液サンプルの採取および分析、および同種移植の拒絶反応の評価を実験例4Aと実質的同一に行った。

0124

この結果、該LFA3TIPで処理したヒヒにおける移植組織の生存期間は未処理のヒヒにおいて生存した移植組織に比して延長し、該LFA3TIPによる移植組織の寛容性が向上することがわかった。

0125

寄託
本発明において有用なマウスのハイブリドーマ細胞および抗体は1991年3月5日にブダペスト条約に基づきアメリカンタイプカルチャーコレクション(Rockville,Maryland,USA)に寄託された培養体により例示され,以下の如く同定される。

0126

指定名ATCC受入番号
1E6 HB 10693
HC−1B11 HB 10694
7A6 HB 10695
8B8 HB 10696
プラスミドpSAB152により形質転換した大腸菌(E.coli)JA221は1991年10月1日にブダペスト条約に基づきアメリカンタイプカルチャーコレクション(Rockville,Maryland,USA)に寄託され,以下の如く同定される。

0127

指定名ATCC受入番号
pSAB152 68720
トランスメンブランLFA−3をコードするプラスミドのキャリヤであるバクテリオファージは1987年5月28日にブダペスト条約に基づきインビトロインターナシナル(In Vitro International,Inc.,Linthicum,Maryland,USA)に寄託された。その後、当該寄託は1991年6月20日にアメリカンタイプカルチャーコレクションに移され,以下の如く同定される。

0128

指定名ATCC受入番号
λHT16[λgt10/LFA−3] 75107
PI連結LFA−3をコードするプラスミドにより形質転換した大腸菌(E.coli)は1988年7月22日にブダペスト条約に基づきインビトロインターナショナル(In Vitro International,Inc.,Linthicum,Maryland,USA)に寄託された。その後、当該寄託は1991年6月20日にアメリカンタイプカルチャーコレクションに移され,以下の如く同定される。

0129

指定名ATCC受入番号
p24 68788
シーケンス
以下は、シーケンスリストにおいて述べたシーケンスの概要である。

図面の簡単な説明

0130

SEQID NO:1トランスメンブランLFA−3のDNAシーケンス
SEQ ID NO:2 トランスメンブランLFA−3のアミノ酸シーケンス
SEQ ID NO:3 PI連結LFA−3のDNAシーケンス
SEQ ID NO:4 PI連結LFA−3のアミノ酸シーケンス
SEQ ID NO:5 CD2のDNAシーケンス
SEQ ID NO:6 CD2のアミノ酸シーケンス
SEQ ID NO:7 LFA3TIPのDNAシーケンス
SEQ ID NO:8 LFA3TIPのアミノ酸シーケンス

0131

図1第1図は、抗LFA−3モノクローナル抗体(1E6)を注射した2頭のヒヒと非特異的イソタイプとしての対照モノクローナル抗体(MOPC21)を注射した1頭のヒヒに対するT細胞依存型B細胞の活性アッセイの結果を示している。ELISAアッセイにおけるODユニットにより計測した免疫グロブリン生成をy軸に示す。また、抗LFA−3モノクローナル抗体の初期注射後の日数をx軸に示す。
図2第2図は、抗LFA−3モノクローナル抗体(1E6)を注射した2頭のヒヒと非特異的イソタイプとしての対照モノクローナル抗体(MOPC21)を注射した1頭のヒヒに対するT細胞依存型B細胞の活性アッセイの結果を示している。ELISAアッセイにおけるODユニットにより計測した免疫グロブリン生成をy軸に示す。また、抗LFA−3モノクローナル抗体の初期注射後の日数をx軸に示す。
シーケンスリスト
ID=000002HE=120 WI=100 LX=0550 LY=0600ID=000003 HE=150 WI=098 LX=0560 LY=0300ID=000004 HE=155 WI=098 LX=0560 LY=0300ID=000005 HE=135 WI=104 LX=0530 LY=0300ID=000006 HE=085 WI=096 LX=0570 LY=1650ID=000007 HE=090 WI=094 LX=0580 LY=0300ID=000008 HE=090 WI=084 LX=0630 LY=1200ID=000009 HE=155 WI=098 LX=0560 LY=0300ID=000010 HE=145 WI=100 LX=0550 LY=0300ID=000011 HE=055 WI=096 LX=0570 LY=1750ID=000012 HE=110 WI=096 LX=0570 LY=0300ID=000013 HE=060 WI=084 LX=0630 LY=1400ID=000014 HE=150 WI=098 LX=0560 LY=0300ID=000015 HE=100 WI=104 LX=0530 LY=1800ID=000016 HE=100 WI=098 LX=0560 LY=0300ID=000017 HE=100 WI=098 LX=0560 LY=1300ID=000018 HE=080 WI=090 LX=0600 LY=0300ID=000019 HE=140 WI=086 LX=0620 LY=1100ID=000020 HE=015 WI=082 LX=0640 LY=2500ID=000021 HE=155 WI=098 LX=0560 LY=0300ID=000022 HE=105 WI=106 LX=0520 LY=0300ID=000023 HE=145 WI=100 LX=0550 LY=1350ID=000024 HE=055 WI=096 LX=0570 LY=0300ID=000025 HE=130 WI=090 LX=0600 LY=0850ID=000026 HE=110 WI=084 LX=0630 LY=0300

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