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技術 III族窒化物系化合物半導体の製造方法

出願人 豊田合成株式会社
発明者 小池正好渡辺大志
出願日 2001年10月12日 (20年2ヶ月経過) 出願番号 2001-315955
公開日 2003年4月25日 (18年8ヶ月経過) 公開番号 2003-124128
状態 特許登録済
技術分野 結晶、結晶のための後処理 本体に特徴のある半導体装置 気相成長(金属層を除く) 半導体レーザ 半導体レーザ
主要キーワード 任意周期 本願効果 抑制度合い 気体化合物 複層物 グローン 同種基板 III族窒化物系化合物半導体層
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (4)

課題

貫通転位の抑制されたIII族窒化物系化合物半導体を製造する。

解決手段

基板1上に、バッファ層2と、第1のIII族窒化物系化合物半導体層3とを順に形成し、格子欠陥を含む部分を速く侵食させてピットを形成させる。第1のIII族窒化物系化合物半導体層3の表面まで伝播している貫通転位102はピットPを形成する。第1のIII族窒化物系化合物半導体層3の平坦部を核として、第2のIII族窒化物系化合物半導体4を縦及び横方向エピタキシャル成長させる。このとき第2のIII族窒化物系化合物半導体4には、第1のIII族窒化物系化合物半導体層3のピットPから伝播する貫通転位は極めて少ない。(図1の(c))。第2のIII族窒化物系化合物半導体4のエピタキシャル成長を長時間行い、厚膜に形成する(図1の(d))。この後、バッファ層2、第1のIII族窒化物系化合物半導体3全てを除いて第2のIII族窒化物系化合物半導体4のみとする(図1の(e))。

概要

背景

III族窒化物系化合物半導体は、例えば発光素子とした場合、発光スペクトル紫外から赤色の広範囲に渡る直接遷移型半導体であり、発光ダイオード(LED)やレーザダイオード(LD)等の発光素子に応用されている。また、そのバンドギャップが広いため、他の半導体を用いた素子よりも高温において安定した動作を期待できることから、FETトランジスタへの応用も盛んに開発されている。また、ヒ素(As)を主成分としていないことで、環境面からも様々な半導体素子一般への開発が期待されている。このIII族窒化物系化合物半導体では、通常、サファイア基板として用い、その上に形成している。

概要

貫通転位の抑制されたIII族窒化物系化合物半導体を製造する。

基板1上に、バッファ層2と、第1のIII族窒化物系化合物半導体層3とを順に形成し、格子欠陥を含む部分を速く侵食させてピットを形成させる。第1のIII族窒化物系化合物半導体層3の表面まで伝播している貫通転位102はピットPを形成する。第1のIII族窒化物系化合物半導体層3の平坦部を核として、第2のIII族窒化物系化合物半導体4を縦及び横方向エピタキシャル成長させる。このとき第2のIII族窒化物系化合物半導体4には、第1のIII族窒化物系化合物半導体層3のピットPから伝播する貫通転位は極めて少ない。(図1の(c))。第2のIII族窒化物系化合物半導体4のエピタキシャル成長を長時間行い、厚膜に形成する(図1の(d))。この後、バッファ層2、第1のIII族窒化物系化合物半導体3全てを除いて第2のIII族窒化物系化合物半導体4のみとする(図1の(e))。

目的

本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、貫通転位の発生を抑制したIII族窒化物系化合物半導体を製造することである。

効果

実績

技術文献被引用数
3件
牽制数
10件

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請求項1

基板の除去された、又は基板上にバッファ層を介し若しくは介さずに形成された1層又は複数層の積層された第1のIII族窒化物系化合物半導体の最上層格子欠陥を含む部分を、格子欠陥を含まない部分よりも侵食しやすい溶液又は蒸気により処理するピット形成工程と、当該ピット形成工程により形成された前記第1のIII族窒化物系化合物半導体の最上層のピットでない、平坦な部分を核として第2のIII族窒化物系化合物半導体を縦及び横方向エピタキシャル成長させる横成長工程とを有することを特徴とするIII族窒化物系化合物半導体の製造方法。

請求項2

前記第1のIII族窒化物系化合物半導体はバッファ層を介し若しくは介さずに基板上に形成されたままピット形成工程にて処理され、前記横成長工程ののち、前記基板を除去して、少なくとも最上層に前記第2のIII族窒化物系化合物半導体層を有するIII族窒化物系化合物半導体基板を得ることを特徴とする請求項1に記載のIII族窒化物系化合物半導体の製造方法。

請求項3

高温蒸気により侵食可能な基板上にバッファ層を介し若しくは介さずに、1層又は複数層からなる第1のIII族窒化物系化合物半導体を形成する第1層形成工程と、前記基板を前記高温蒸気により侵食して除去する基板除去工程と、前記基板の除去された前記第1のIII族窒化物系化合物半導体の最上層の格子欠陥を含む部分を、格子欠陥を含まない部分よりも侵食しやすい蒸気により処理する気相ピット形成工程と、当該気相ピット形成工程により形成された前記第1のIII族窒化物系化合物半導体の最上層のピットでない、平坦な部分を核として第2のIII族窒化物系化合物半導体を縦及び横方向エピタキシャル成長させる横成長工程とを有することを特徴とするIII族窒化物系化合物半導体の製造方法。

請求項4

前記横成長工程においては、前記ピット形成工程によって形成された前記第1のIII族窒化物系化合物半導体の最上層のピットの側面から前記第2のIII族窒化物系化合物半導体が成長するよりも、前記平坦な部分を核として前記第2のIII族窒化物系化合物半導体が縦及び横方向エピタキシャル成長により前記ピットの上方が覆われるほうがような条件が選ばれることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のIII族窒化物系化合物半導体の製造方法。

請求項5

前記第1のIII族窒化物系化合物半導体の少なくとも最上層と前記第2のIII族窒化物系化合物半導体とが同組成であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のIII族窒化物系化合物半導体の製造方法。

請求項6

前記ピット形成工程又は前記気相ピット形成工程におけるピットの深さは1乃至20μmであることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のIII族窒化物系化合物半導体の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、III族窒化物系化合物半導体の製造方法に関する。特に、横方向エピタキシャル成長(ELO)を用いる、III族窒化物系化合物半導体の製造方法に関する。尚、III族窒化物系化合物半導体とは、例えばAlN、GaN、InNのような2元系、AlxGa1-xN、AlxIn1-xN、GaxIn1-xN(いずれも0<x<1)のような3元系、AlxGayIn1-x-yN(0<x<1, 0<y<1, 0<x+y<1)の4元系を包括した一般式AlxGayIn1-x-yN(0≦x≦1, 0≦y≦1, 0≦x+y≦1)で表されるものがある。なお、本明細書においては、特に断らない限り、単にIII族窒化物系化合物半導体と言う場合は、伝導型をp型あるいはn型にするための不純物がドープされたIII族窒化物系化合物半導体をも含んだ表現とする。

背景技術

0002

III族窒化物系化合物半導体は、例えば発光素子とした場合、発光スペクトル紫外から赤色の広範囲に渡る直接遷移型半導体であり、発光ダイオード(LED)やレーザダイオード(LD)等の発光素子に応用されている。また、そのバンドギャップが広いため、他の半導体を用いた素子よりも高温において安定した動作を期待できることから、FETトランジスタへの応用も盛んに開発されている。また、ヒ素(As)を主成分としていないことで、環境面からも様々な半導体素子一般への開発が期待されている。このIII族窒化物系化合物半導体では、通常、サファイア基板として用い、その上に形成している。

発明が解決しようとする課題

0003

しかしながら、サファイア基板上にIII族窒化物系化合物半導体を形成すると、サファイアとIII族窒化物系化合物半導体との格子定数ミスフィットにより転位が発生し、このため素子特性が良くないという問題がある。このミスフィットによる転位は半導体層縦方向(基板面に垂直方向)に貫通する貫通転位であり、III族窒化物系化合物半導体中に105〜1010個cm-2の転位が伝搬してしまうという問題がある。これは組成の異なるIII族窒化物系化合物半導体各層を最上層まで伝搬する。これにより例えば発光素子の場合、LDの閾値電流、LD及びLEDの素子寿命などの素子特性が良くならないという問題があった。また、他の半導体素子としても、欠陥により電子散乱することから、移動度モビリティ)の低い半導体素子となるにとどまっていた。これらは、他の基板を用いる場合も同様であった。

0004

これについて、図3の模式図で説明する。図3は、基板91と、その上に形成されたバッファ層92と、更にその上に形成されたIII族窒化物系化合物半導体層93を示したものである。基板91としてはサファイアなど、バッファ層92としては窒化アルミニウム(AlN)などが従来用いられている。窒化アルミニウム(AlN)のバッファ層92は、サファイア基板91とIII族窒化物系化合物半導体層93とのミスフィットを緩和させる目的で設けられているものであるが、それでも転位の発生を0とすることはできない。この転位発生点900から、縦方向(基板面に垂直方向)に貫通転位901が伝播し、それはバッファ層92、III族窒化物系化合物半導体層93をも貫いていく。こうして、III族窒化物系化合物半導体層93の上層に、所望の様々なIII族窒化物系化合物半導体を積層して半導体素子を形成しようとすると、III族窒化物系化合物半導体層93の表面に達した転位902から、半導体素子を貫通転位が更に縦方向に伝搬していくこととなる。このように、従来の技術では、III族窒化物系化合物半導体層を形成する際、転位の伝搬を阻止できないという問題があった。

0005

本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、貫通転位の発生を抑制したIII族窒化物系化合物半導体を製造することである。

課題を解決するための手段

0006

上記の課題を解決するため、請求項1に記載の手段は、基板の除去された、又は基板上にバッファ層を介し若しくは介さずに形成された1層又は複数層の積層された第1のIII族窒化物系化合物半導体の最上層の格子欠陥を含む部分を、格子欠陥を含まない部分よりも侵食しやすい溶液又は蒸気により処理するピット形成工程と、当該ピット形成工程により形成された第1のIII族窒化物系化合物半導体の最上層のピットでない、平坦な部分を核として第2のIII族窒化物系化合物半導体を縦及び横方向エピタキシャル成長させる横成長工程とを有することを特徴とするIII族窒化物系化合物半導体の製造方法である。

0007

また、請求項2に記載の手段は、第1のIII族窒化物系化合物半導体はバッファ層を介し若しくは介さずに基板上に形成されたままピット形成工程にて処理され、横成長工程ののち、基板を除去して、少なくとも最上層に第2のIII族窒化物系化合物半導体層を有するIII族窒化物系化合物半導体基板を得ることを特徴とする。

0008

また、請求項3に記載の手段は、高温蒸気により侵食可能な基板上にバッファ層を介し若しくは介さずに、1層又は複数層からなる第1のIII族窒化物系化合物半導体を形成する第1層形成工程と、基板を高温蒸気により侵食して除去する基板除去工程と、基板の除去された第1のIII族窒化物系化合物半導体の最上層の格子欠陥を含む部分を、格子欠陥を含まない部分よりも侵食しやすい蒸気により処理する気相ピット形成工程と、当該気相ピット形成工程により形成された第1のIII族窒化物系化合物半導体の最上層のピットでない、平坦な部分を核として第2のIII族窒化物系化合物半導体を縦及び横方向エピタキシャル成長させる横成長工程とを有することを特徴とするIII族窒化物系化合物半導体の製造方法である。ここで高温蒸気とは、基板を侵食可能な化学物質を含有する単一又は混合気体を言う。

0009

また、請求項4に記載の手段は、横成長工程においては、ピット形成工程によって形成された第1のIII族窒化物系化合物半導体の最上層のピットの側面から第2のIII族窒化物系化合物半導体が成長するよりも、平坦な部分を核として第2のIII族窒化物系化合物半導体が縦及び横方向エピタキシャル成長によりピットの上方が覆われるほうがような条件が選ばれることを特徴とする。

0010

また、請求項5に記載の手段は、第1のIII族窒化物系化合物半導体の少なくとも最上層と第2のIII族窒化物系化合物半導体とが同組成であることを特徴とする。更に請求項6に記載の手段は、ピット形成工程又は気相ピット形成工程におけるピットの深さは1乃至20μmであることを特徴とする。

0011

一般に、異種基板を用いてIII族窒化物系化合物半導体をエピタキシャル成長させた場合、いわゆるバッファ層を介しても、貫通転位が多数生じる。また、最近開発されているGaN基板同種基板を用いても、当該同種基板が貫通転位を有していれば、それはエピタキシャル成長させた上層のIII族窒化物系化合物半導体にも伝播する。ところで、最上層表面まで達した貫通転位は表層の格子欠陥であり、III族窒化物系化合物半導体は例えば熱KOH溶液、HCl蒸気等により最上層の格子欠陥を含む部分を、格子欠陥を含まない部分よりも速く侵食させることができることは周知である。そこでこれらの第1のIII族窒化物系化合物半導体の最上層の格子欠陥を含む部分を、格子欠陥を含まない部分よりも侵食しやすい溶液又は蒸気により処理すれば、例えば貫通転位の場合はそれを軸とする倒立角錐状のピットが形成される。この貫通転位の場合はピットの頂点は貫通転位の終端である。そこでこのようなピットを形成した後、第1のIII族窒化物系化合物半導体の最上層のピットでない、平坦な部分を核として第2のIII族窒化物系化合物半導体を縦及び横方向エピタキシャル成長させることで、全ての貫通転位は伝播させないように第2のIII族窒化物系化合物半導体を形成することが可能となる。即ち、これにより、第1のIII族窒化物系化合物半導体に比して貫通転位を減少させた、第2のIII族窒化物系化合物半導体を得ることができる(請求項1)。こののち基板を除去することで、表層の貫通転位を減少させた、III族窒化物系化合物半導体基板を得ることができる(請求項2)。

0012

ピットを形成する前に基板を気相で除去することが可能であり、且つピット形成を気相でできるならば、第1のIII族窒化物系化合物半導体形成から第2のII族窒化物系化合物半導体の横成長まで一貫して高温で行うことができる。これは基板と第1及び第2のII族窒化物系化合物半導体の熱膨張係数の差によるクラックの発生等を考慮しないで良いので、工程が簡略化できるとともに、室温等に冷却する際のクラックを生じさせない、III族窒化物系化合物半導体基板の製造方法とすることができる(請求項3)。

0013

横成長工程において、ピット形成工程によって形成された第1のIII族窒化物系化合物半導体の最上層のピットの側面から第2のIII族窒化物系化合物半導体が成長するよりも、平坦な部分を核として第2のIII族窒化物系化合物半導体が縦及び横方向エピタキシャル成長によりピットの上方が覆われるほうがような条件を選ぶことで、第1のIII族窒化物系化合物半導体形成から第2のII族窒化物系化合物半導体への貫通転位の伝播を的確に抑制することができる(請求項4)。第1のIII族窒化物系化合物半導体の少なくとも最上層と第2のIII族窒化物系化合物半導体とが同組成であれば横方向成長は容易となる(請求項5)。ピットの深さは1乃至20μmとすることが良い。ピットの深さが1μm未満では本願発明の効果が少なく、ピットの深さが20μmを越えると、ピット形成後の第1のIII族窒化物系化合物半導体の平坦部分がなくなってしまう可能性が高くなる。

発明を実施するための最良の形態

0014

図1に本願の請求項1に係る発明のIII族窒化物系化合物半導体の製造方法の実施の形態の一例の概略を示す。基板1上に、バッファ層2と、第1のIII族窒化物系化合物半導体層3とを順に形成する。第1のIII族窒化物系化合物半導体層3は、貫通転位101、102を有しているものとする。このうち、第1のIII族窒化物系化合物半導体層3の表面まで伝播しているほうを貫通転位102とする(図1の(a))。次に、第1のIII族窒化物系化合物半導体層3の格子欠陥を含む部分を、格子欠陥を含まない部分よりも速く侵食させる条件でピットを形成させる。すると、第1のIII族窒化物系化合物半導体層3の表面まで伝播している貫通転位102は格子欠陥であるため容易に侵食され、ピットPを形成する。こうして、第1のIII族窒化物系化合物半導体層3の表面まで伝播している貫通転位102は悉くピットPを形成する(図1の(b))。

0015

この後、ピットでない、第1のIII族窒化物系化合物半導体層3の平坦部を核として、第2のIII族窒化物系化合物半導体4を縦及び横方向エピタキシャル成長させる。このとき第2のIII族窒化物系化合物半導体4には、第1のIII族窒化物系化合物半導体層3のピットPから伝播する貫通転位は極めて少ない。即ち、第2のIII族窒化物系化合物半導体4に伝播する貫通転位は第1のIII族窒化物系化合物半導体層3のピットPの数よりも少なく、貫通転位の密度は極めて小さくなる。(図1の(c))。このように形成された、基板1、バッファ層2、第1のIII族窒化物系化合物半導体層3の上の第2のIII族窒化物系化合物半導体4は、その上に素子を形成すれば、貫通転位による素子劣化が起こりにくい。即ちIII族窒化物系化合物半導体素子用のIII族窒化物系化合物半導体として本願発明は極めて有効である。尚、ピットPが第2のIII族窒化物系化合物半導体4によって埋められてしまうかどうかは本願の本質とは必ずしも関係しない。どのピットPも埋められなければ当然貫通転位は伝播しないが、埋められるピットPがあったとしても、そのピットPの頂点の貫通転位が埋められる際に貫通転位が消滅することで本願効果が生じることも当然あり得る。

0016

上述の製造方法は図1の(c)で工程を止めたが、つぎのように第2のIII族窒化物系化合物半導体4を厚膜に形成してそれのみ使用するようにしても良い。即ち、第2のIII族窒化物系化合物半導体4のエピタキシャル成長を長時間行い、厚膜に形成する(図1の(d))。この後、基板1を除いて、バッファ層2と第1のIII族窒化物系化合物半導体3上の第2のIII族窒化物系化合物半導体4とする、或いはバッファ層2、第1のIII族窒化物系化合物半導体3全てを除いて第2のIII族窒化物系化合物半導体4のみとする(図1の(e))ことができる。こうして、基板1として異種基板を用いた場合に問題となる、熱膨張係数の差の影響のない、III族窒化物系化合物半導体基板を得ることができる。

0017

図2に本願の請求項3に係る発明のIII族窒化物系化合物半導体の製造方法の実施の形態の一例の概略を示す。基板を侵食可能な化学物質を含有する単一又は混合気体である高温蒸気により侵食可能な基板10上に、バッファ層2と、第1のIII族窒化物系化合物半導体層3とを順に形成する。第1のIII族窒化物系化合物半導体層3は、貫通転位101、102を有しているものとする(図2の(a))。このうち、第1のIII族窒化物系化合物半導体層3の表面まで伝播しているほうを貫通転位102とする。次に、基板10を侵食可能な高温蒸気により基板10を侵食除去する(図2の(b))。こうして、バッファ層2と、貫通転位101、102を有する第1のIII族窒化物系化合物半導体層3の積層物が得られる。

0018

次に、第1のIII族窒化物系化合物半導体層3の格子欠陥を含む部分を、格子欠陥を含まない部分よりも速く気相で侵食させる条件でピットを形成させる。すると、第1のIII族窒化物系化合物半導体層3の表面まで伝播している貫通転位102は格子欠陥であるため容易に侵食され、ピットPを形成する。こうして、第1のIII族窒化物系化合物半導体層3の表面まで伝播している貫通転位102は悉くピットPを形成する(図2の(c))。

0019

この後、ピットでない、第1のIII族窒化物系化合物半導体層3の平坦部を核として、第2のIII族窒化物系化合物半導体4を縦及び横方向エピタキシャル成長させる。このとき第2のIII族窒化物系化合物半導体4には、第1のIII族窒化物系化合物半導体層3のピットPから伝播する貫通転位は極めて少ない。即ち、第2のIII族窒化物系化合物半導体4に伝播する貫通転位は第1のIII族窒化物系化合物半導体層3のピットPの数よりも少なく、貫通転位の密度は極めて小さくなる。(図2の(d))。このように形成された、バッファ層2、第1のIII族窒化物系化合物半導体層3の上の第2のIII族窒化物系化合物半導体4は、その上に素子を形成すれば、貫通転位による素子劣化が起こりにくい。即ちIII族窒化物系化合物半導体素子用のIII族窒化物系化合物半導体として本願発明は極めて有効である。

0020

上述の製造方法は図2の(d)で工程を止めたが、つぎのように第2のIII族窒化物系化合物半導体4を厚膜に形成してそれのみ使用するようにしても良い。即ち、第2のIII族窒化物系化合物半導体4のエピタキシャル成長を長時間行い、厚膜に形成する(図2の(e))。この後、バッファ層2、第1のIII族窒化物系化合物半導体3全てを除いて第2のIII族窒化物系化合物半導体4のみとする(図2の(f))ことができる。こうして、基板10として異種基板を用いた場合に問題となる、熱膨張係数の差の影響のない、III族窒化物系化合物半導体基板を得ることができる。

0021

上記の発明の実施の形態としては、次の中からそれぞれ選択することができる。

0022

基板上にIII族窒化物系化合物半導体を順次積層を形成する場合は、基板としてはサファイア、シリコン(Si)、炭化ケイ素(SiC)、スピネル(MgAl2O4)、ZnO、MgOその他の無機結晶基板、リンガリウム又は砒化ガリウムのようなIII-V族化合物半導体あるいは窒化ガリウム(GaN)その他のIII族窒化物系化合物半導体等を用いることができる。

0023

III族窒化物系化合物半導体層を形成する方法としては有機金属気相成長法MOCVD又はMOVPE)が好ましいが、分子線気相成長法(MBE)、ハライド気相成長法(Halide VPE)、液相成長法LPE)等を用いても良く、各層を各々異なる成長方法で形成しても良い。横方向成長には、有機金属気相成長法(MOCVD又はMOVPE)又はハライド気相成長法(Halide VPE)が好ましい。成長方向の制御のためにはV/III族比を制御する(III族を少なくすると横方向成長しやすい)、供給量自体を落とす、減圧下で行うことの他、それらに応じて基板等の温度を制御する必要がある。なお、Mg他、以下で述べるp型ドーパントを添加すると横方向成長が容易となる。

0024

例えばサファイア基板上にIII族窒化物系化合物半導体積層する際、結晶性良く形成させるため、サファイア基板との格子不整合是正すべくバッファ層を形成することが好ましい。他の基板を使用する場合もバッファ層を設けることが望ましい。バッファ層としては、低温で形成させたIII族窒化物系化合物半導体AlxGayIn1-x-yN(0≦x≦1, 0≦y≦1, 0≦x+y≦1)、より好ましくはAlxGa1-xN(0≦x≦1)が用いられる。このバッファ層は単層でも良く、組成等の異なる多重層としても良い。バッファ層の形成方法は、380〜420℃の低温で形成するものでも良く、逆に1000〜1180℃の範囲で、MOCVD法で形成しても良い。また、DCマグネトロンスパッタ装置を用いて、高純度金属アルミニウム窒素ガス原材料として、リアクティブスパッタ法によりAlNから成るバッファ層を形成することもできる。同様に一般式AlxGayIn1-x-yN(0≦x≦1, 0≦y≦1, 0≦x+y≦1、組成比は任意)のバッファ層を形成することができる。更には蒸着法、イオンプレーティング法レーザアブレーション法ECR法を用いることができる。物理蒸着法によるバッファ層は、200〜600℃で行うのが望ましい。さらに望ましくは300〜500℃であり、さらに望ましくは350〜450℃である。これらのスパッタリング法等の物理蒸着法を用いた場合には、バッファ層の厚さは、100〜3000Åが望ましい。さらに望ましくは、100〜400Åが望ましく、最も望ましくは、100〜300Åである。多重層としては、例えばAlxGa1-xN(0≦x≦1)から成る層とGaN層とを交互に形成する、組成の同じ層を形成温度を例えば600℃以下と1000℃以上として交互に形成するなどの方法がある。勿論、これらを組み合わせても良く、多重層は3種以上のIII族窒化物系化合物半導体AlxGayIn1-x-yN(0≦x≦1, 0≦y≦1,0≦x+y≦1)を積層しても良い。一般的には緩衝層は非晶質であり、中間層は単結晶である。緩衝層と中間層を1周期として複数周期形成しても良く、繰り返しは任意周期で良い。繰り返しは多いほど結晶性が良くなる。

0025

バッファ層及び上層のIII族窒化物系化合物半導体は、III族元素の組成の一部は、ボロン(B)、タリウム(Tl)で置き換えても、また、窒素(N)の組成一部をリン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)で置き換えても本発明を実質的に適用できる。また、これら元素を組成に表示できない程度のドープをしたものでも良い。例えば組成にインジウム(In)、ヒ素(As)を有しないIII族窒化物系化合物半導体であるAlxGa1-xN(0≦x≦1)に、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)よりも原子半径の大きなインジウム(In)、又は窒素(N)よりも原子半径の大きなヒ素(As)をドープすることで、窒素原子の抜けによる結晶の拡張歪み圧縮歪み補償し結晶性を良くしても良い。この場合はアクセプタ不純物がIII族原子の位置に容易に入るため、p型結晶をアズグローンで得ることもできる。このようにして結晶性を良くすることで本願発明と合わせて更に貫通転位を100乃至1000分の1程度にまで下げることもできる。バッファ層とIII族窒化物系化合物半導体層とが2周期以上で形成されている基底層の場合、各III族窒化物系化合物半導体層に主たる構成元素よりも原子半径の大きな元素をドープすると更に良い。なお、発光素子として構成する場合は、本来III族窒化物系化合物半導体の2元系、若しくは3元系を用いることが望ましい。

0026

n型のIII族窒化物系化合物半導体層を形成する場合には、n型不純物として、Si、Ge、Se、Te、C等IV族元素又はVI族元素を添加することができる。また、p型不純物としては、Zn、Mg、Be、Ca、Sr、Ba等II族元素又はIV族元素を添加することができる。これらを複数或いはn型不純物とp型不純物を同一層にドープしても良い。

0027

ピットを形成する方法としては、液体浸す場合においては、液体は熱KOH溶液等の塩基性溶液が好ましい。一方、気相で形成する場合は、HCl等のハロゲン化水素を用いると、III族原子も窒素原子も気体化合物として除去可能となる。

0028

基板を気相で侵食除去する方法及びその基板としては、例えばHCl等のハロゲン化水素でシリコン基板を除去する方法が挙げられる。

0029

上記の貫通転位の抑制されたIII族窒化物系化合物半導体にFET、発光素子等の半導体素子を形成することができる。発光素子の場合は、発光層多重量子井戸構造MQW)、単一量子井戸構造(SQW)の他、ホモ構造ヘテロ構造ダブルヘテロ構造のものが考えられるが、pin接合或いはpn接合等により形成しても良い。

0030

上述の、貫通転位の抑制された第2のIII族窒化物系化合物半導体4を、例えば基板1、バッファ層2、及び第1のIII族窒化物系化合物半導体3から分離してIII族窒化物系化合物半導体基板とすることができる。この基板上にIII族窒化物系化合物半導体素子を形成することが可能であり、或いはより大きなIII族窒化物系化合物半導体結晶を形成するための基板として用いることができる。除去方法としては、メカノケミカルポリッシングの他、任意である。

0031

以下、発明の具体的な実施例に基づいて説明する。本発明は下記実施例に限定されるものではなく、任意の素子に適用できるIII族窒化物系化合物半導体の製造方法を開示している。

0032

本発明のIII族窒化物系化合物半導体は、有機金属化合物気相成長法(以下「MOVPE」と示す)による気相成長により製造された。用いられたガスは、アンモニア(NH3)とキャリアガス(H2又はN2)とトリメチルガリウム(Ga(CH3)3,以下「TMG」と記す)とトリメチルアルミニウム(Al(CH3)3,以下「TMA」と記す)、トリメチルインジウム(In(CH3)3,以下「TMI」と記す)、シクロペンタジエニルマグネシウム(Mg(C5H5)2、以下「Cp2Mg」と記す)である。

0033

〔第1実施例〕本実施例の工程を図1に示す。有機洗浄及び熱処理により洗浄したa面を主面とし、単結晶のサファイア基板1上に、温度を400℃まで低下させて、H2を10L/min、NH3を5L/min、TMAを20μmol/minで約3分間供給してAlNのバッファ層2を約40nmの厚さに形成した。次に、サファイア基板1の温度を1000℃に保持し、H2を20L/min、NH3を10L/min、TMGを20μmol/minで導入し、膜厚約20μmのGaN層3を形成した(図1の(a))。

0034

次に、室温に冷却して基板を取り出し、約180℃の熱KOH溶液でGaN層3の表面を処理した。これにより、GaN層3の表面に深さ数μmの倒立6角錐状のピットPが多数形成された(図1の(b))。

0035

次に、サファイア基板1の温度を1150℃に保持し、H2を20L/min、NH3を10L/min、TMGを20μmol/minで導入し、GaN層3の平坦部を核としてGaN層4を横方向エピタキシャル成長により形成した(図1の(c))。こうして横方向エピタキシャル成長によりピットP上方もGaN層4に覆われ、表面が平坦となった(図1の(d))。こののち、H2を20L/min、NH3を10L/min、TMGを20μmol/minで導入し、GaN層4を成長させ、GaN層3とGaN層4とを合計30μmの厚さとした。GaN層4は、GaN層3に比して貫通転位が著しく抑えられた。

0036

〔第2実施例〕本実施例では基板としてシリコン(Si)基板を用いた。本実施例の工程を図2に示す。尚、本実施例では特殊な持具を用い、シリコン基板の表面側及び裏面側いずれかのみに気相エッチングを行うことができるようにした。シリコン(Si)基板10上に温度1150℃で、H2を10L/min、NH3を10L/min、TMGを100μmol/min、TMAを10μmol/minで供給し、Al0.15Ga0.85Nから成るバッファ層2を約40nmの厚さに形成した。次に、シリコン(Si)基板10の温度を1000℃に保持し、H2を20L/min、NH3を10L/min、TMGを20μmol/minで導入し、膜厚約200μmのGaN層3を形成した(図2の(a))。

0037

次に、GaN層3を形成していない、シリコン(Si)基板10の裏面にHClを導入し、シリコン(Si)基板10のエッチング及び除去を行った。こうして、バッファ層2とGaN層3から成る複層物を得た(図2の(b))。この後、GaN層3表面にHClを導入して処理した。これにより、GaN層3の表面に深さ数μmの倒立6角錐状のピットPが多数形成された(図2の(c))。

0038

次に、H2を20L/min、NH3を10L/min、TMGを20μmol/minで導入し、GaN層3の平坦部を核としてGaN層4を横方向エピタキシャル成長により形成した(図2の(d))。こうして横方向エピタキシャル成長によりピットP上方もGaN層4に覆われ、表面が平坦となった(図2の(e))。こののち、H2を20L/min、NH3を10L/min、TMGを20μmol/minで導入し、GaN層4を成長させ、GaN層3とGaN層4とを合計400μmの厚さとした。GaN層4は、GaN層3に比して貫通転位が著しく抑えられた。

0039

〔第3実施例〕第2実施例で得られたGaN層3上のGaN層4を新たな基板1として用いて、窒化アルミニウムのバッファ層2を用いない他は第1実施例とほぼ同様にピットを形成したGaN層の上にGaN層を横方向成長させた。最上層のGaN層は、基板として用いたGaN層より、更に貫通転位が抑えられた。

0040

〔第4実施例〕本実施例ではSiCを基板1として用いて、第1実施例とほぼ同様にピットPを形成したGaN層3の上にGaN層4を横方向成長させた。この場合も、第1実施例と同様に、GaN層4は、GaN層3に比して貫通転位が抑えられた。

0041

〔第5実施例〕本実施例ではサファイア基板のc面を主面とする他は、第1実施例とほぼ同様に、ピットPを形成したGaN層3の上にGaN層4を横方向成長させた。GaN層4は、GaN層3に比して貫通転位が抑えられ、抑制度合いは第1実施例と同様であった。

0042

〔第6実施例〕本実施例では、多重層から成るバッファ層を用いた。有機洗浄及び熱処理により洗浄したa面を主面とし、単結晶のサファイア基板1上に、温度を400℃まで低下させて、H2を10L/min、NH3を5L/min、TMAを20μmol/minで約3分間供給して第1のAlN層(第1の緩衝層)21を約40nmの厚さに形成した。次に、サファイア基板1の温度を1000℃に保持し、H2を20L/min、NH3を10L/min、TMGを20μmol/minで導入し、膜厚約0.3μmのGaN層(中間層)22を形成した。次に温度を400℃まで低下させて、H2を10L/min、NH3を5L/min、TMAを20μmol/minで約3分間供給して第2のAlN層(第2の緩衝層)23を約40nmの厚さに形成した。次に、サファイア基板1の温度を1000℃に保持し、H2を20L/min、NH3を10L/min、TMGを20μmol/minで導入し、膜厚約20μmのGaN層3を形成した。こうして、膜厚約40nmの第1のAlN層(第1の緩衝層)21、膜厚約0.3μmのGaN層(中間層)22、膜厚約40nmの第2のAlN層(第2の緩衝層)23から成るバッファ層2を形成した。一般的には緩衝層は非晶質であり、中間層は単結晶である。緩衝層と中間層を1周期として複数周期形成しても良く、繰り返しは任意周期で良い。繰り返しは多いほど結晶性が良くなる。

0043

この後第1実施例と同様にピットを形成し、GaN層3の平坦部分を核としてGaN層4を横方向エピタキシャル成長により形成した。GaN層4は、GaN層3に比して貫通転位が著しく抑えられた。

0044

上記第3実施例は、いわば本願発明を2度繰り返したことを意味する。このように本願発明には本願発明を繰り返して適用することも包含されることは当然である。上記第1実施例の第1のGaN層3の形成、第1のGaN層3表面にピットを形成し、その上に第2のGaN層4を横成長ののち、更に第2のGaN層4の表面にピットを形成して第3のGaN層の横成長も、本願発明に包含される。この2回繰り返しの他、何回繰り返しても良い。異種基板等をどこで除去するのかも、全く任意であって全て本願発明に包含される。

0045

また、他の横方向成長等により予め貫通転位を減らした第1のIII族窒化物系化合物半導体層を得て、その表面にピットを形成して第1のIII族窒化物系化合物半導体層を横方向成長することも本願発明に当然に包含される。各ピットの深さは均一な深さとする必要はなく、一部のピットが極めて浅い場合であっても、本願発明の効果は全体としては失われない。

図面の簡単な説明

0046

図1本発明の第1の実施例に係るIII族窒化物系化合物半導体の製造工程を示す断面図。
図2本発明の第2の実施例に係るIII族窒化物系化合物半導体の製造工程を示す断面図。
図3III族窒化物系化合物半導体を伝搬する貫通転位を示す断面図。

--

0047

1、10基板
2バッファ層
3 第1のIII族窒化物系化合物半導体(層)
4 第2のIII族窒化物系化合物半導体(層)

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