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技術 発光素子及びその用途

出願人 ソニー株式会社
発明者 植田尚之浅井伸利田村眞一郎
出願日 2001年10月2日 (18年9ヶ月経過) 出願番号 2001-305896
公開日 2003年4月18日 (17年2ヶ月経過) 公開番号 2003-115390
状態 特許登録済
技術分野 電場発光光源(EL) エレクトロルミネッセンス光源
主要キーワード アルカリ土類金属弗化物 MOST 電子式卓上計算機 ゲルマニウム酸化物 配向速度 携帯用デバイス ネームプレート 金属陽極
関連する未来課題
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図面 (10)

課題

発光素子有機電界発光素子無機電界発光素子)の発光効率を向上させ、かつ高輝度を維持しながら、コントラスト特性を向上させること。

解決手段

基板1上の陽極2と陰極9との間に、発光領域を含む層が設けられた発光素子において、陰極9の側から発光領域で生じる発光光11が取出されるようになされ、陽極2の仕事関数が5.0〜7.0eVであり、また陽極2の可視光反射率が50%以下であることを特徴とする発光素子。

概要

背景

近年、特にマルチメディア指向製品等においては、人間と機械とのインターフェース重要性が高まってきている。その機械をより快適に効率よく操作するには、機械の側から充分な量の情報を簡潔に瞬時に取り出す必要があり、そのため、ディスプレイを初めとする様々な表示素子の研究が行われている。

こうした表示素子は、機械の小型化に伴い、小型化、薄型化に対する要求が日々強くなっている。以下、主な表示素子の具体例について説明する。

液晶ディスプレイは、代表的な表示素子の一つとして今日、種々の製品のインターフェースに用いられており、ラップトップ型情報処理機器を始め、小型テレビジョン受像機時計電子式卓上計算機等々、日常生活製品に多く用いられている。

この液晶ディスプレイは、液晶低電圧駆動低消費電力であるという特徴を生かして、小型から大容量表示デバイスに至るまで、専らかなめのインターフェースとして、研究されてきた。

しかし、この液晶ディスプレイは、受光型なのでバックライトが欠かせず、そのバックライトの駆動には液晶のそれより大きな電力を必要とする。したがって、蓄電池等が内蔵されているとはいえ、給電限界があり、稼動時間が短くなるなど、使用上の制限が出るという問題がある。

さらに、この液晶ディスプレイについては、特有の問題点を指摘することができる。

まず、液晶ディスプレイは、液晶分子配向状態による表示であるので、その視野角の中においても、角度によってはコントラストが変化してしまい、このために視野角が狭く、大型ディスプレイ等の大型表示には適していないこと、また液晶分子の配向速度が遅いため、動画の表示には適していないこと、が問題である。

一方、駆動方式からみると、液晶ディスプレイのアクティブマトリクス方式は、動画を扱うのに十分な応答速度を示す反面、TFT(薄膜トランジスタ駆動回路を用いるので、画素欠陥により画面サイズを大型化することが困難であり、またコストダウンを図る上からも得策ではない。

また、もう一つの駆動方式である単純マトリクス方式は、上記とは逆にコストは低いし、画面サイズの大型化も比較的容易であるが、動画を扱うのに十分な応答速度が出せない、という問題がある。

このような液晶素子に対して、以下に述べるプラズマ表示素子無機電界発光素子無機EL素子)、有機電界発光素子有機EL素子)などは、自発光型に属する表示素子である。

まず、プラズマ表示素子は低圧ガス中でのプラズマ発光を表示に利用したものであり、大型化、大容量化に適している。しかし、薄型化やコスト面で問題を抱えており、さらに駆動に高電圧交流バイアスを必要とし、携帯用デバイスには適していない。

また、無機電界発光素子は、緑色発光ディスプレイ等が商品化されたが、プラズマ表示素子と同様、交流バイアス駆動で数百Vを必要としたため、ユーザー受け入れられなかった。

もっとも、その後の技術進歩の結果、今日ではカラーディスプレイ表示に必要なR(赤)、G(緑)、B(青)の三原色の発光成功しているが、構成に無機材料が欠かせないので、分子設計等による発光波長などの制御は無理であり、フルカラー化には困難が伴うと予想される。

一方、有機電界発光素子は、有機化合物による電界発光を利用するものであり、この現象は既に今から約30数年前に発見されている。すなわち、1960年代前半に、強く蛍光を発生するアントラセン結晶キャリア注入すると、特異な発光現象ルミネセンス誘起による)が生じるのが観測された。それ以来、有機電界発光素子は長期間にわたって研究の対象にされてきたが、何分にも低輝度、単色で、しかも単結晶を用いるため、主に有機材料へのキャリア注入の点に技術的重点が置かれ、基礎的研究段階の域を出なかった。

それが、1980年代も半ばを過ぎるになると、事情が変わってくる。1987年にEastman Kodak社のTangらが当時としては画期的な有機薄膜電界発光素子発表した。これは、アモルファス発光層を有する積層構造体で、低電圧駆動、高輝度発光が可能である。この積層構造体の発明がきっかけとなって有機電界発光素子の研究開発一段と弾みがつき、RGB三原色の発光、安定性輝度上昇、積層構造、及び製造方法と研究が多方面で盛んに行われるようになり、今日に至っている。

なお、そのほかにも、有機材料の特長である分子設計等を利用して次々とディスプレイ用の新規材料が開発され、直流電圧駆動、薄型、自発光性など、それなりに優れた特徴を有する有機電界発光素子が相次いで出現し、そのカラーディスプレイへの応用研究も盛んに行われつつある。

概要

発光素子(有機電界発光素子、無機電界発光素子)の発光効率を向上させ、かつ高輝度を維持しながら、コントラスト特性を向上させること。

基板1上の陽極2と陰極9との間に、発光領域を含む層が設けられた発光素子において、陰極9の側から発光領域で生じる発光光11が取出されるようになされ、陽極2の仕事関数が5.0〜7.0eVであり、また陽極2の可視光反射率が50%以下であることを特徴とする発光素子。

目的

そこで本発明の目的は、陽極材料によって発光効率を向上させ、同時に高輝度を維持しながらコントラストを向上させた発光素子(有機電界発光素子、無機電界発光素子など)を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

発光領域を含む層が陽極陰極との間に設けられた発光素子において、前記陰極の側から発光光取出されるようになされ、前記陽極の仕事関数が5.0〜7.0eVであることを特徴とする発光素子。

請求項2

前記陽極が、周期表のIIIA族IVA族、VA族、VIA族、VIIA族、VIII族及びIB族から選ばれた1種又は2種以上の金属、合金、又はその化合物を含有する、請求項1に記載の発光素子。

請求項3

前記化合物が金属間化合物酸化物、窒化物又は酸窒化物である、請求項2に記載の発光素子。

請求項4

前記金属、合金、又はその化合物が単層化又は積層化され、これによって前記陽極が構成されている、請求項2に記載の発光素子。

請求項5

前記金属、合金、又はその化合物を含む相と、亜鉛インジウム又はスズを含む相とが単層化又は積層化され、これによって前記陽極が構成されている、請求項2に記載の発光素子。

請求項6

前記陽極の可視光反射率が50%以下である、請求項1に記載の発光素子。

請求項7

薄膜トランジスタ基板の上に、前記陽極、前記発光領域を含む有機又は無機層、及び前記陰極が積層されている、請求項1に記載の発光素子。

請求項8

前記有機層が、前記陽極側にホール輸送層、前記陰極側電子輸送層を夫々有する、請求項7に記載の発光素子。

請求項9

前記有機層が、前記陽極と前記ホール輸送層との間にホール注入層を有する、請求項7に記載の発光素子。

請求項10

前記有機層が、前記ホール輸送層と前記電子輸送層との間に発光層を有する、請求項7に記載の発光素子。

請求項11

前記有機層が、前記陰極と前記電子輸送層との間に電子注入層を有する、請求項7に記載の発光素子。

請求項12

不透明又は半透明基板の上に、前記陽極、前記発光領域を含む有機又は無機層、及び前記陰極が積層されている、請求項1に記載の発光素子。

請求項13

前記有機層が、前記陽極側にホール輸送層、前記陰極側に電子輸送層を夫々有する、請求項12に記載の発光素子。

請求項14

前記有機層が、前記陽極と前記ホール輸送層との間にホール注入層を有する、請求項12に記載の発光素子。

請求項15

前記有機層が、前記ホール輸送層と前記電子輸送層との間に発光層を有する、請求項12に記載の発光素子。

請求項16

前記有機層が、前記陰極と前記電子輸送層との間に電子注入層を有する、請求項12に記載の発光素子。

請求項17

透明基板の上に、前記陽極、前記発光領域を含む有機又は無機層、及び前記陰極が積層されている、請求項1に記載の発光素子。

請求項18

前記有機層が、前記陽極側にホール輸送層、前記陰極側に電子輸送層を夫々有する、請求項17に記載の発光素子。

請求項19

前記有機層が、前記陽極と前記ホール輸送層との間にホール注入層を有する、請求項17に記載の発光素子。

請求項20

前記有機層が、前記ホール輸送層と前記電子輸送層との間に発光層を有する、請求項17に記載の発光素子。

請求項21

前記有機層が、前記陰極と前記電子輸送層との間に電子注入層を有する、請求項17に記載の発光素子。

請求項22

請求項23

発光領域を含む層が陽極と陰極との間に設けられた発光素子において、前記陰極の側から発光光が取出されるようになされ、前記陽極の可視光反射率が50%以下であることを特徴とする発光素子。

請求項24

前記可視光が、380nm〜780nmの波長を有する、請求項23に記載の発光素子。

請求項25

前記陽極が、周期表のIIIA族、IVA族、VA族、VIA族、VIIA族、VIII族及びIB族から選ばれた1種又は2種以上の金属、合金、又はその化合物を含有する、請求項23に記載の発光素子。

請求項26

前記化合物が金属間化合物、酸化物、窒化物又は酸窒化物である、請求項25に記載の発光素子。

請求項27

前記金属、合金、又はその化合物が単層化又は積層化され、これによって前記陽極が構成されている、請求項25に記載の発光素子。

請求項28

前記金属、合金、又はその化合物を含む相と、亜鉛、インジウム又はスズを含む相とが単層化又は積層化され、これによって前記陽極が構成されている、請求項25に記載の発光素子。

請求項29

薄膜トランジスタ基板の上に、前記陽極、前記発光領域を含む有機又は無機層、及び前記陰極が積層されている、請求項23に記載の発光素子。

請求項30

前記有機層が、前記陽極側にホール輸送層、前記陰極側に電子輸送層を夫々有する、請求項29に記載の発光素子。

請求項31

前記有機層が、前記陽極と前記ホール輸送層との間にホール注入層を有する、請求項29に記載の発光素子。

請求項32

前記有機層が、前記ホール輸送層と前記電子輸送層との間に発光層を有する、請求項29に記載の発光素子。

請求項33

前記有機層が、前記陰極と前記電子輸送層との間に電子注入層を有する、請求項29に記載の発光素子。

請求項34

不透明又は半透明基板の上に、前記陽極、前記発光領域を含む有機又は無機層、及び前記陰極が積層されている、請求項23に記載の発光素子。

請求項35

前記有機層が、前記陽極側にホール輸送層、前記陰極側に電子輸送層を夫々有する、請求項34に記載の発光素子。

請求項36

前記有機層が、前記陽極と前記ホール輸送層との間にホール注入層を有する、請求項34に記載の発光素子。

請求項37

前記有機層が、前記ホール輸送層と前記電子輸送層との間に発光層を有する、請求項34に記載の発光素子。

請求項38

前記有機層が、前記陰極と前記電子輸送層との間に電子注入層を有する、請求項34に記載の発光素子。

請求項39

透明基板の上に、前記陽極、前記発光領域を含む有機又は無機層、及び前記陰極が積層されている、請求項23に記載の発光素子。

請求項40

前記有機層が、前記陽極側にホール輸送層、前記陰極側に電子輸送層を夫々有する、請求項39に記載の発光素子。

請求項41

前記有機層が、前記陽極と前記ホール輸送層との間にホール注入層を有する、請求項39に記載の発光素子。

請求項42

前記有機層が、前記ホール輸送層と前記電子輸送層との間に発光層を有する、請求項39に記載の発光素子。

請求項43

前記有機層が、前記陰極と前記電子輸送層との間に電子注入層を有する、請求項39に記載の発光素子。

請求項44

請求項23〜43のいずれか1項に記載された発光素子を用いたディスプレイ又は表示装置、コンピュータ、テレビジョン受像機、ビルボード、スタジオ用スクリーン、ファクシミリ、携帯電話、携帯端末、発光性ネームプレート、乗り物、音響機器又は車載用音響機器。

技術分野

0001

本発明は、たとえばカラーディスプレイ等の表示素子として用いられる自発光型発光素子、及びその用途に関するものである。

背景技術

0002

近年、特にマルチメディア指向製品等においては、人間と機械とのインターフェース重要性が高まってきている。その機械をより快適に効率よく操作するには、機械の側から充分な量の情報を簡潔に瞬時に取り出す必要があり、そのため、ディスプレイを初めとする様々な表示素子の研究が行われている。

0003

こうした表示素子は、機械の小型化に伴い、小型化、薄型化に対する要求が日々強くなっている。以下、主な表示素子の具体例について説明する。

0004

液晶ディスプレイは、代表的な表示素子の一つとして今日、種々の製品のインターフェースに用いられており、ラップトップ型情報処理機器を始め、小型テレビジョン受像機時計電子式卓上計算機等々、日常生活製品に多く用いられている。

0005

この液晶ディスプレイは、液晶低電圧駆動低消費電力であるという特徴を生かして、小型から大容量表示デバイスに至るまで、専らかなめのインターフェースとして、研究されてきた。

0006

しかし、この液晶ディスプレイは、受光型なのでバックライトが欠かせず、そのバックライトの駆動には液晶のそれより大きな電力を必要とする。したがって、蓄電池等が内蔵されているとはいえ、給電限界があり、稼動時間が短くなるなど、使用上の制限が出るという問題がある。

0007

さらに、この液晶ディスプレイについては、特有の問題点を指摘することができる。

0008

まず、液晶ディスプレイは、液晶分子配向状態による表示であるので、その視野角の中においても、角度によってはコントラストが変化してしまい、このために視野角が狭く、大型ディスプレイ等の大型表示には適していないこと、また液晶分子の配向速度が遅いため、動画の表示には適していないこと、が問題である。

0009

一方、駆動方式からみると、液晶ディスプレイのアクティブマトリクス方式は、動画を扱うのに十分な応答速度を示す反面、TFT(薄膜トランジスタ駆動回路を用いるので、画素欠陥により画面サイズを大型化することが困難であり、またコストダウンを図る上からも得策ではない。

0010

また、もう一つの駆動方式である単純マトリクス方式は、上記とは逆にコストは低いし、画面サイズの大型化も比較的容易であるが、動画を扱うのに十分な応答速度が出せない、という問題がある。

0011

このような液晶素子に対して、以下に述べるプラズマ表示素子無機電界発光素子無機EL素子)、有機電界発光素子有機EL素子)などは、自発光型に属する表示素子である。

0012

まず、プラズマ表示素子は低圧ガス中でのプラズマ発光を表示に利用したものであり、大型化、大容量化に適している。しかし、薄型化やコスト面で問題を抱えており、さらに駆動に高電圧交流バイアスを必要とし、携帯用デバイスには適していない。

0013

また、無機電界発光素子は、緑色発光ディスプレイ等が商品化されたが、プラズマ表示素子と同様、交流バイアス駆動で数百Vを必要としたため、ユーザー受け入れられなかった。

0014

もっとも、その後の技術進歩の結果、今日ではカラーディスプレイ表示に必要なR(赤)、G(緑)、B(青)の三原色の発光成功しているが、構成に無機材料が欠かせないので、分子設計等による発光波長などの制御は無理であり、フルカラー化には困難が伴うと予想される。

0015

一方、有機電界発光素子は、有機化合物による電界発光を利用するものであり、この現象は既に今から約30数年前に発見されている。すなわち、1960年代前半に、強く蛍光を発生するアントラセン結晶キャリア注入すると、特異な発光現象ルミネセンス誘起による)が生じるのが観測された。それ以来、有機電界発光素子は長期間にわたって研究の対象にされてきたが、何分にも低輝度、単色で、しかも単結晶を用いるため、主に有機材料へのキャリア注入の点に技術的重点が置かれ、基礎的研究段階の域を出なかった。

0016

それが、1980年代も半ばを過ぎるになると、事情が変わってくる。1987年にEastman Kodak社のTangらが当時としては画期的な有機薄膜電界発光素子発表した。これは、アモルファス発光層を有する積層構造体で、低電圧駆動、高輝度発光が可能である。この積層構造体の発明がきっかけとなって有機電界発光素子の研究開発一段と弾みがつき、RGB三原色の発光、安定性輝度上昇、積層構造、及び製造方法と研究が多方面で盛んに行われるようになり、今日に至っている。

0017

なお、そのほかにも、有機材料の特長である分子設計等を利用して次々とディスプレイ用の新規材料が開発され、直流電圧駆動、薄型、自発光性など、それなりに優れた特徴を有する有機電界発光素子が相次いで出現し、そのカラーディスプレイへの応用研究も盛んに行われつつある。

発明が解決しようとする課題

0018

以上、代表的な表示素子の長所、短所、あるいは開発の歴史について述べてきたが、本発明は特に、これらの表示素子のうち、有機電界発光素子と無機電界発光素子の改良に係わるものであるため、以下、それらの発光素子が今日抱えている、各方面からとくに改善の要ありと指摘されている問題点について説明する。

0019

コントラスト特性は、ディスプレイの主たる性能の一つであるが、前述した有機電界発光素子や無機電界発光素子などの自発光型表示素子では、メタルバック金属陰極による外光反射)等の影響により、充分なコントラストが得られていない。とくに有機電界発光素子のコントラストは、せいぜい200:1程度であり、これを上回る充分なコントラストを有する表示素子の開発が各方面から要求されている。

0020

また、有機電界発光素子の発光効率も未だ不十分である。その原因の一つとして、電極から有機層へのキャリアの注入効率が小さいこと、陽極陰極間のエネルギー差が充分でないために有機層間のエネルギー障壁が存在することが挙げられる。

0021

さらに、一般的な有機電界発光素子は、陽極側からEL発光光を取出す素子構造のため、陽極材料がITO(インジウムにスズをドープしたインジウム−スズ酸化物)、ZnO、SnO2及びそれらの関連物質にほぼ限定されていて、ホール正孔注入材料が、陽極材料とのエネルギーマッチングに大きく制約されていることである。

0022

一方、もう一つの有機EL素子の素子構造として、陰極側からEL発光光を取り出す素子構造が存在する。

0023

この場合には、陰極は非常に薄い低仕事関数の金属[例えばMg:Ag(3.5eV)やAl:Li(2.9eV)]からなり、場合によって更にITO、ZnO、SnO2などの透明電極を積層する。また、陽極は一般的に高仕事関数の金属を用いうるが、ITO、ZnO、SnO2などの透明電極を用いてもよい。これら陽極材料の選択は、陽極薄膜平滑性パターニングプロセスとの親和性などに依存する。

0024

更に、基板に積層する順序としては、陽極から有機材料、陰極の順に積層してもよいし、その逆に陰極から有機材料、陽極の順でもよい。

0025

前者の場合には、基板はガラスポリマーのように可視光に対し透明なものでもよいし、Siのような不透明のものでもよい。

0026

TFT基板は、基板上に多数のトランジスタ金属配線が存在するため、ガラス基板側から光を取り出そうとすると、どうしても開口率が小さくなる。しかし、上記のようにTFT基板上に陽極から有機材料、陰極の順に積層し、陰極の側からEL発光光を取り出せば、開口率の影響を極小にできる。

0027

TFT基板上に陽極を設ける場合、上記した材料選択の問題から、Cr(仕事関数4.5eV)など、仕事関数がそれほど高くない金属が陽極として選択される場合が多々ある。

0028

このような場合、陽極と陰極の仕事関数の差は、例えばCr−Mg:Agで1eV、Cr−Al:Liで1.6eVとなり、発光すべきRGBのフォトンエネルギーよりも小さく、素子としての効率は非常に低くなる。

0029

そこで本発明の目的は、陽極材料によって発光効率を向上させ、同時に高輝度を維持しながらコントラストを向上させた発光素子(有機電界発光素子、無機電界発光素子など)を提供することにある。

課題を解決するための手段

0030

即ち、本発明は、発光領域を含む層が陽極と陰極との間に設けられた発光素子において、前記陰極の側から発光光取出されるようになされ、前記陽極の仕事関数が5.0〜7.0eVであることを特徴とする発光素子(以下、本発明の第1の発光素子と称する。)に係るものである。ただし、前記発光領域を含む前記層とは、後述するように、しかるべき機能を備えた有機化合物層及び/又は無機化合物層で構成されるものである(以下、同様)。

0031

本発明の第1の発光素子によれば、前記陽極に高仕事関数の材料、即ち仕事関数が5.0eV〜7.0eV(好ましくは5.5eV〜6.0eV)と特定範囲の材料を用いることによって、前記発光領域を含む材料層に適切な材料を選択すれば、陽極−陰極間のエネルギー差が充分となり、エネルギー障壁の少ない電界発光素子を構成することができる。これによって、発光効率は向上し、陰極の側から、低消費電力、高輝度で光を取出せる発光素子を実現できる。このためには、陽極の仕事関数は5.0eV以上でなければならず、またその上限は発光領域の材料の選択性等から7.0eVでなければならない。

0032

特に、有機電界発光素子の場合は、陽極の仕事関数を5.0eV〜7.0eVの範囲内に規定でき、陽極材料としてホール注入層とエネルギーマッチングがとれるもの(即ち、両者間のエネルギーマッチングの最適化をはかること)によって、ホールの注入効率を向上させ、発光効率を高めることができる。しかも、このようにすれば、陽極材料は選択幅広がりホール注入材料に対する制約が解消されるとともに、ホール注入材料についても、陽極材料に対する制約が解消され、両者ともこれまでに比べてより広範囲な材料を用いることが可能である。

0033

また、本発明は、発光領域を含む層が陽極と陰極との間に設けられた発光素子において、前記陰極の側から発光光が取出されるようになされ、前記陽極の可視光反射率が50%以下であることを特徴とする発光素子(以下、本発明の第2の発光素子と称する。)も提供するものである。

0034

本発明の第2の発光素子によれば、陽極の可視光反射率が50%以下であるため、陰極の側から発光光を取出すときの可視の外光による反射の影響(陽極によるメタルバック)を抑制し、高輝度を維持しながらコントラストを確実に向上させることができる。このためには、陽極の可視光反射率は50%以下でなくてはならない。なお、一般的な金属陽極材料の可視光反射率は70%程度以上あるが、これでは、陽極での反射が多く、コントラストが大きく低下する。

発明を実施するための最良の形態

0035

本発明の第1の発光素子及び第2の発光素子において、高輝度の維持及びコントラストの向上の効果を発揮させるには、前記陽極の仕事関数を5.0eV〜7.0eVの範囲に特定すること、更に可視光域(通常、波長が380〜780nmのもの)全体にわたって、前記陽極の反射率を50%以下に維持することが重要である。

0036

このためには、前記陽極の構成材料として、周期表のIIIA族IVA族、VA族、、VIA族、VIIA族、VIII族及びIB族から選ばれた1種又は2種以上の金属、合金、又はその化合物を用いることが好ましい。

0037

上記金属の具体例としては、Ni、Ru、Ir、Rh、Pt、Pd、Re、Ti、Zr、Nb、Mo及びWなどがある。

0038

また、上記化合物としては、金属間化合物酸化物、窒化物又は酸窒化物が好ましい。これらの具体例を挙げると、LiNiO2、PtRhOx、TiNbOx、WReOx、NiO、RuOx、IrOx、PtOx、RhOx、PdOx、ReOx、WOx、NiNO、LiNiNO、RuNO、IrNO、PtNO、RhNO、ReNO、WNO、TiNO、TiNおよびZrNなどがある。

0039

また、前記陽極の物理化学的特性を向上させるために、陽極材ドーパントを添加するとよい。そのドーパントを添加した陽極材の主な例を挙げると、RXNiO(R=H、Li、Na、K、Rb、Cs、Cu、Ag、Au)、RxWO3(R=H、Li、Na、K、Rb、Cs、Cu、Ag、Au)、TiNbxOyなどがある。

0040

ただし、上記陽極材料の組成は、必ずしも化学量論組成である必要はなく、不定比であってもよい。

0041

さらに、陽極材料の結晶相については単相複数相のどちらでもよい。

0042

もちろん、陽極層モルフォロジー(Morphology:形態)については、特に限定しない。平滑度が高くて一様な膜、たとえばアモルファス、微結晶エピタキシャル膜単結晶膜もしくはこれらに類似したものが望ましい。

0043

また、ホールの注入効率を上げるために、陽極材料はp型の電気伝導特性を有していることが好ましい。

0044

前記陽極は単層でも複数層でもよい。とくにITO等の透明電極と積層構造にする場合は、組成と層厚とを最適化することによって、前記可視光反射率と、前記仕事関数と、電気抵抗率とを、他の特性を損なうことなく所望にコントロールすることができる。

0045

記相及び層に関して好ましい陽極の構造例を挙げると、既述した金属又は金属化合物を含む相と、亜鉛、インジウム又はスズを含む相とが単層化又は積層化された構造が好ましい。

0046

或いは、既述した金属又は金属化合物を含む相と、Cr、Au、W等を含む相とが単層化又は積層化された構造が、陽極を不透明化低抵抗化、平滑面化する上で好ましい。

0047

これらの条件を満足すると、陽極−陰極間の仕事関数の差を大きくすることができ、それら電極間の有機材料等の発光素子構成材料のエネルギーレベルを最適化することによって、発光効率を高めることができる。また、陽極−陰極間の仕事関数を大きくすることによって、有機材料等の発光素子構成材料を拘束する制約を解消でき、より広範囲の材料系を用いることが可能である。

0048

なお、本発明における発光素子の陽極を製造するには、この分野で公知の成膜法、たとえばスパッタリング電子ビーム蒸着イオンプレーティングレーザアブレーションなどの手法によればよい。

0049

次に、本発明の発光素子が実際にどのような構造をもつのかを好ましい例について、適宜、図面を参照しながら具体的に説明する。

0050

まず、本発明の発光素子の好ましい実際的な基本構造は、TFT(薄膜トランジスタ)基板、又はガラス等の透明又は半透明の(或いは不透明の)基板の上に、陽極と、発光領域を含む有機又は無機層と、陰極とが順次積層されているものである。ここで「不透明」とは透過率が数%以下、「半透明」とは透過率が数%〜80%を意味する(以下、同様)。

0051

更に、前記有機層は目的に応じてその層構成に種々の変形が可能であり、たとえば前記陽極側にホール(正孔)輸送層、前記陰極側に電子輸送層を夫々、設けることができる。

0052

また、前記陽極と前記ホール輸送層との間にホール(正孔)注入層を設けることができる。

0053

また、前記陰極と前記電子輸送層との間に電子注入層を設けることができる。

0054

さらにまた、前記ホール輸送層と前記電子輸送層との間に発光層を設けることができる。

0055

図1に、本発明の発光素子の一例10を示す。これは有機電界発光素子(有機EL素子)と呼ばれるものであり、ここでは上述した層構造にさらに若干の工夫がこらされたものを示す。すなわち、図1(A)の発光素子は、TFT基板(又はガラス基板)1の上に陽極2、ホール注入層3、ホール輸送層4、発光層5、電子輸送層6、電子注入層7、バッファ層8及び陰極9が真空蒸着等により順に積層されたものである(但し、ホール注入層、電子注入層、バッファ層は必ずしも設けなくてもよく、また電子輸送層又はホール輸送層は発光層を兼ねてもよい)。発光光11は陰極9の側から取出される。

0056

それに対して、図1(B)に示す発光素子12は、図1(A)に示した発光素子と各層が丁度逆に構成されたものである。

0057

また、図2に示す発光素子は、いわゆる無機電界発光素子と呼ばれるものであって、透明基板1の上に陽極2、発光層5、及び陰極9が順次、積層されたものである。

0058

前述したホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層、バッファ層及び陰極の材料については、この種の分野で公知の材料が使え、とくに限定はない。

0059

たとえば、ホール輸送層の構成材料には、ベンジジン誘導体スチリルアミン誘導体トリフェニルメタン誘導体トリフェニル(又はアリールアミン誘導体、及びヒドラゾン誘導体などが用いられる。中でも、図3に示すα−NPD(α−naphtyl phenyl diamine)などは、よく用いられるホール輸送材料である。

0060

また、電子輸送層の構成材料には、ベリレン誘導体ビススチリル誘導体ピラジン誘導体などが用いられる。たとえば、図4に示すAlq3(8−hydroxyquinoline aluminium)などは、好ましい電子輸送材料である。

0061

また、ホール注入層の構成材料には、たとえば図5に示すm−MTDATA(4,4',4”-tris(3-methylphenylphenylamino)triphenylamine)などは好ましいホール注入材料である。

0062

また、電子注入層の構成材料には、オキシジアゾール誘導体トリアゾール誘導体などが用いられる。

0063

発光層の構成材料としては、前述のAlq3などが用いられる。この発光層の発光スペクトル制御のためには、他の有機材料との共蒸着を行ってもよく、たとえばペリレン誘導体クマリン誘導体、ベンジジン誘導体などがある。もちろん、ピラン誘導体等の材料を含む有機膜であってもよい。

0064

陰極材料としては、効率よく電子他層へ注入するために、材料の真空準位からの仕事関数の小さな金属を用いるのが好ましく、たとえば、In、Mg、Ca、Sr、Ba、Liなどを他の金属との合金として、安定性を高めて使用するのがよい。

0065

バッファ層については、効率よく電子を他層へ注入するために、たとえば陰極と電子注入層との間にLi2O、LiF、SrO、CaF2などのアルカリ金属酸化物アルカリ金属弗化物アルカリ土類金属酸化物アルカリ土類金属弗化物を介在させるとよい。

0066

なお、本発明の発光素子を駆動するときは、大気中の酸素等による影響を排除し、安定性を高めるために、あらかじめ例えばゲルマニウム酸化物やSiNxなどで封止を行ったり、あるいは周囲空間真空に引いた状態にしておくことが望ましい。

0067

本発明の発光素子は、ディスプレイ又は表示装置コンピュータ、テレビジョン受像機、ビルボードスタジオスクリーンファクシミリ携帯電話携帯端末発光性ネームプレート乗り物音響機器又は車載用音響機器に用いて好適である。

0068

例えば図6には、TFTを組み込んだアクティブマトリクス駆動の有機EL素子からなるディスプレイを示し、上述した各アモルファス有機化合物層3、4、5、6、7からなる有機EL層(これはZnS:Mnを用いた無機EL層に置き換えてもよい。)13を基板1上に設け、その下部に既述した陽極2を形成し、上部にバッファ層を介して陰極9を形成し、これら両極間の電圧印加によって所定色の発光光11がフィルタ(図示せず)を通して陰極9側から得られる。

0069

アクティブマトリクス駆動により陽極2へデータ電圧印加するために、例えば基板1上に形成したゲート電極14、ゲート絶縁膜15、及びソース領域S、ドレイン領域D、チャネル領域Chに区画された半導体薄膜16で構成されたボトムゲート型MOSTFT(Metal Oxide Semiconductor Thin Film Transistor)TFT1が基板1上に作り込まれている。なお、図中の17は層間絶縁膜、18はソース電極、19はドレイン電極、20は層間絶縁膜である。なお、このようなボトムゲート型は公知であるが、これに代えて公知のトップゲート型又はデュアルゲート型のMOSTFTを構成してもよい。

0070

図7は、有機EL素子10を有する画素部PXLの等価回路であり、図6に示した有機EL素子10を駆動するトランジスタTFT1のゲートに対し、X走査線にゲートが、Yデータ線にソースが接続されたTFTトランスファゲートTFT2のドレインが接続され、このドレインとZ停止制御線との間に停止制御トランジスタTFT3が接続されている(なお、Csはリーク電流による電圧低下を補うための補助容量である)。

0071

ここで、TFT基板1は、基板上に多数のトランジスタや金属配線が存在するため、ガラス基板1側から光を取り出そうとすると、どうしても開口率が小さくなる。しかし、上記のようにTFT基板1上に陽極2から有機材料13、陰極9の順に積層し、陰極9の側からEL発光光11を取り出しているので、開口率の影響を極小にして効率良く発光光11を取出すことができる。

0072

この場合も、上述した理由から、高輝度の維持及びコントラストの向上の効果を発揮させるには、陽極2の仕事関数を5.0eV〜7.0eVの範囲に特定すること、更に可視光域(通常、波長が380〜780nmのもの)全体にわたって、陽極2の反射率を50%以下に維持することが重要である。

0073

以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明する。

0074

実施例1
30mm×30mmの透明ガラス基板上に、陽極層としCr(膜厚約200nm)をDCスパッタリングにより、LiNiO2(膜厚約100nm)をRFスパッタリングにより積層した。この陽極の可視光反射率は520nmで18%(図8参照)、仕事関数は5.80eVであった。

0075

この基板上に、SiO2蒸着により2mm×2mmの発光領域以外をマスクした有機電界発光素子作製用のセルを作製した。次に、ホール(正孔)輸送層としてα−NPD(α−naphtyl phenyl diamine)を真空蒸着法により真空下で50nm蒸着(蒸着速度0.2nm/s)し、続いて電子輸送性発光層としてAlq3(8−hydroxy quinoline aluminium)を50nm蒸着し、更に陰極としてMg:Agを約15nm蒸着して、有機電界発光素子を作製した。

0076

こうして作製された有機電界発光素子の特性を、陰極側から発光光を取り出して測定したところ、最大発光波長は520nm、CIE色度座標上での座標は(0.32,0.55)であり、良好な緑色発光を呈した。また、駆動電圧6V時の電流密度は39.6mA/cm2、輝度は1200cd/m2(図9参照)であった。また、300lX照射時の非発光輝度は2.92cd/m2であり、コントラストは410:1であった。

0077

実施例2
30mm×30mmの透明ガラス基板上に、陽極層としてCr(膜厚約200nm)とW(膜厚約100nm)をDCスパッタリングにより積層した。この陽極の可視光反射率は520nmで70%、仕事関数は5.2eVであった。

0078

この基板上に、SiO2蒸着により2mm×2mmの発光領域以外をマスクした有機電界発光素子作製用のセルを作製した。次に、正孔輸送層としてα−NPD(α−naphtyl phenyl diamine)を真空蒸着法により真空下で50nm蒸着(蒸着速度0.2nm/s)し、電子輸送性発光層としてAlq3(8-hydroxy quinoline aluminium)を50nm蒸着し、更に陰極としてMg:Agを約15nm蒸着して、有機電界発光素子を作製した。

0079

こうして作製された有機電界発光素子の特性を、陰極側から発光を取り出して測定したところ、最大発光波長は520nm、CIE色度座標上での座標は(0.32,0.55)であり、良好な緑色発光を呈した。また、駆動電圧6V時の電流密度は39.6mA/cm2、輝度は750cd/m2であった。また、300lx照射時の非発光輝度は4.2cd/m2で、コントラストは180:1であった。

0080

実施例3
実施例1において、ガラス基板の代りに不透明のシリコン基板を用いること以外は同様にして有機電界発光素子を作製した。この発光素子も、実施例1の素子と同等の最大発光波長、発光色、電流及び輝度特性、コントラストを示した。

0081

実施例4
30mm×30mmのガラス基板上に、陽極としてCr(膜厚約200nm)をDCスパッタリングにより、LiNiO2(膜厚約10nm)をRFスパッタリングにより積層した。この陽極の反射率は波長520nmで18%、仕事関数は5.80eVであった。

0082

この積層体上に、SiO2蒸着により2mm×2mmの発光領域以外をマスクした発光素子作製用のセルを作製した。この上に、発光中心蛍光体がCaGa2S4:Ceからなる無機EL及びMg:Ag陰極(膜厚約15nm)を蒸着して無機電界発光素子を作製した。

0083

こうして作製された無機電界発光素子を5V、60Hzで駆動したところ、最高輝度は15cd/m2であった。300lX照射時の非発光輝度は2.55cd/m2で、コントラストは6:1であった。

0084

比較例1
30mm×30mmの透明ガラス基板上に、陽極層としてCr(膜厚約200nm)をDCスパッタリングにより成膜した。この陽極の可視光反射率は520nmで68%(図8参照)、仕事関数は4.60eVであった。

0085

この基板上に、SiO2蒸着により2mm×2mmの発光領域以外をマスクした有機電界発光素子作製用のセルを作製した。次に、ホール(正孔)輸送層としてα−NPD(α−naphtyl phenyl diamine)を真空蒸着法により真空下で50nm蒸着(蒸着速度0.2nm/s)し、続いて電子輸送性発光層としてAlq3(8−hydroxy quinoline aluminium)を50nm蒸着し、バッファ層としてLi2Oを0.5nm蒸着し、更に陰極としてAlを約200nm蒸着して、有機電界発光素子を作製した。

0086

こうして作製された有機電界発光素子の特性を、陰極側から発光光を取り出して測定したところ、最大発光波長は520nm、CIE色度座標上での座標は(0.32,0.55)であり、良好な緑色発光を呈した。また、駆動電圧6V時の電流密度は21.9mA/cm2、輝度は556cd/m2(図9参照)であった。また、300lX照射時の非発光輝度は3.92cd/m2であり、コントラストは140:1であった。

0087

比較例2
30mm×30mmのガラス基板上に、陽極層としてCr(膜厚約200nm)をDCスパッタリングにより積層した。この陽極の反射率は520nmで68%、仕事関数は4.60eVであった。

0088

この基板上に、SiO2蒸着により2mm×2mmの発光領域以外をマスクした発光素子作製用のセルを作製した。この上に、発光中心の蛍光体がCaGa2S4:Ceからなる無機EL及びMg:Ag陰極(膜厚約15nm)を蒸着して無機電界発光素子を作製した。

0089

こうして作製された無機電界発光素子を5V、60Hzで駆動したところ、最高輝度は8cd/m2であった。300lx照射時の非発光輝度は3.9cd/m2で、コントラストは2:1であった。

0090

以上説明したように、本発明に基づく発光素子(実施例1〜4)によれば、仕事関数が5.0eV以上、7.0eV以下(好ましくは5.5eV以上、6.0eV以下)であって、可視光反射率が50%以下である陽極を使用し、有機材料層に適切な材料を選択することによって、エネルギー障壁の少ない有機又は無機電界発光素子を構成でき、発光効率を向上させ、コントラスト特性を向上させることができる。

0091

本発明は、上述したように、仕事関数が5.0eV以上、7.0eV以下であり、また可視光反射率が50%以下である陽極を使用しているので、有機又は無機材料層に適切な材料を選択することによって、エネルギー障壁の少ない電界発光素子を構成でき、発光効率を向上させ、コントラスト特性を向上させることができる。

図面の簡単な説明

0092

図1本発明の第1の実施の形態による有機電界発光素子の構成を示す模式的な断面図である。
図2本発明の第2の実施の形態による無機電界発光素子の構成を示す模式的な断面図である。
図3有機電界発光素子のホール輸送層に用いられるα−NPDの構造式を示す図である。
図4同、発光素子の電子輸送層に用いられるAlq3の構造式を示す図である。
図5同、ホール注入層に用いられるm−MTDATAの構造式を示す図である。
図6本発明に基づくTFT駆動の有機EL素子からなるディスプレイの要部断面図である。
図7同、ディスプレイの画素部の等価回路図である。
図8発光素子の陽極の光反射率波長依存性を示すグラフである。
図9発光素子の輝度の電圧依存性を示すグラフである。

--

0093

1…基板、2…陽極、3…ホール注入層、4…ホール輸送層、5…発光層、6…電子輸送層、7…電子注入層、8…バッファ層、9…陰極、10…有機EL素子、11…発光光、12…無機EL素子

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