図面 (/)

技術 マグネシウムおよびマグネシウム合金の溶解方法および鋳造方法

出願人 住友金属工業株式会社
発明者 石川稔水上英夫
出願日 2001年10月3日 (19年1ヶ月経過) 出願番号 2001-307950
公開日 2003年4月18日 (17年7ヶ月経過) 公開番号 2003-113430
状態 未査定
技術分野 誘導加熱一般 鋳造前の予備処理と金属の鋳造 金属の製造または精製 るつぼ炉・流転床炉(炉4)
主要キーワード 放熱防止 密閉チャンバー内 密閉チャンバー るつぼ炉 酸素分析値 傾転装置 ボイラー用 実用金属
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2003年4月18日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (3)

課題

マグネシウムまたはその合金の溶解に際し、溶湯酸化燃焼を防止でき、さらに溶湯を鋳型内に鋳造するに際し、良好な作業環境下で鋳造することができる鋳造方法の提供。

解決手段

鉄製または鉄基合金製るつぼ1を誘導加熱する際に生成する熱により、マグネシウムまたはその合金を溶解する。その際、同一密閉チャンバー13内にるつぼおよび誘導加熱装置11を配置し、チャンバー内を不活性ガス雰囲気として溶解することが望ましい。塩化カリウムおよび塩化マグネシウム塩化カルシウムを含んだフラックスをるつぼ内に添加して溶解することがより望ましい。同一密閉チャンバー内にるつぼ、誘導加熱装置および鋳型12を配置し、チャンバー内を不活性ガスの雰囲気として溶解および鋳造する。

概要

背景

マグネシウム合金は、密度アルミニウム合金の約2/3で、実用金属材料中最も軽量であり、切削性もよく、強度/密度の比が高く、また精錬法の進歩により地金純度が向上し耐食性のよいものが得られるようになり、自動車用航空機用の材料として注目されている。

マグネシウムは、アルミニウムなどの金属に比べて酸化燃焼しやすく、マグネシウムおよびマグネシウム合金を大気中で溶解すると、マグネシウムが大気によって酸化燃焼しやすい。また、大気雰囲気シールするために溶湯表面フラックスを添加すると、溶解後のマグネシウム合金の溶湯鋳造する際に、添加したフラックスが鋳造した地金中に混入しやすい。フラックスの混入した地金を素材としたマグネシウム合金の最終製品では、その耐食性が劣化するなどの問題がある。このようにマグネシウムおよびマグネシウム合金を溶解して、マグネシウム合金を鋳造する際、それらの作業に対する熟練を要求されることが多い。

マグネシウムおよびマグネシウム合金を溶解する際、るつぼの上に蓋をかぶせ、燃料ガス燃焼によりるつぼを加熱することにより、マグネシウムおよびマグネシウム合金を溶解する方法、すなわち密閉式るつぼ炉方法が一般的に採られている。

図2は、従来から用いられている密閉式るつぼ炉の装置例を示す図である。耐火断熱材4からなる炉5に配置したるつぼ1を燃料ガスをバーナー6を用いて燃焼させることにより加熱し、マグネシウムまたはマグネシウム合金を溶解し、その際、溶湯9の表面と大気との接触を防止するため溶湯表面にはフラックス8を添加し、るつぼには蓋3を配置する。るつぼの材料としては、マグネシウム溶湯への溶解度が小さい鋼、たとえば、炭素鋼低合金鋼、Ni、Coなどを含まないステンレス鋼などが用いられている。図中の符号7は燃焼ガスの炎、符号10は排気筒を示す。

蓋を用いるとはいえ、るつぼの周囲は大気雰囲気であるので、マグネシウム合金の溶湯の酸化燃焼を防止する必要があり、通常、溶湯表面を保護ガスで覆ったり、溶湯表面にフラックスが添加される。

保護ガスとして、六フッ化硫黄SF6 )が一般的に用いられるが、高価であるとともに、地球温暖化ガスであるため、環境上の問題から今後使用が困難となる可能性がある。

また、フラックスとして、塩化カリウム塩化マグネシウム塩化カルシウムフッ化カルシウムなどを含むフラックスが通常用いられるが、多量に添加する場合には、廃棄処分場所などの確保、およびその環境保全などの問題があり、その使用量を極力減らすことが求められている。

さらに、燃料ガスを燃焼させることによりるつぼを加熱して、マグネシウムまたはマグネシウム合金を溶解する方法では、材料を溶解させるのに時間がかかり、その間に溶湯が酸化したり、溶湯表面に添加されたフラックスが溶湯内に巻き込まれる機会が増えたりする。したがって、溶解時間をより短かくする改善が望まれている。

また、マグネシウム合金の溶湯の鋳造方法として、ダイカスト法、すなわち、溶湯に圧力を加えて精密な鋳型注入して鋳物を製造する方法が最近多く用いられているが、砂型内に鋳造することもおこなわれている。砂型内に鋳造する場合には、大気雰囲気下でおこなわれるので、鋳造直後の砂型内の溶湯表面が酸化燃焼することを防するために、保護ガスとして、六フッ化硫黄が一般的に用いられている。前述のとおり、六フッ化硫黄は高価であり、また環境上の問題から今後使用が困難となる可能性がある。

概要

マグネシウムまたはその合金の溶解に際し、溶湯の酸化燃焼を防止でき、さらに溶湯を鋳型内に鋳造するに際し、良好な作業環境下で鋳造することができる鋳造方法の提供。

鉄製または鉄基合金製のるつぼ1を誘導加熱する際に生成する熱により、マグネシウムまたはその合金を溶解する。その際、同一密閉チャンバー13内にるつぼおよび誘導加熱装置11を配置し、チャンバー内を不活性ガス雰囲気として溶解することが望ましい。塩化カリウムおよび塩化マグネシウム、塩化カルシウムを含んだフラックスをるつぼ内に添加して溶解することがより望ましい。同一密閉チャンバー内にるつぼ、誘導加熱装置および鋳型12を配置し、チャンバー内を不活性ガスの雰囲気として溶解および鋳造する。

目的

本発明は、マグネシウムまたはマグネシウム合金の溶解に際し、効率的に溶解することができ、溶湯が酸化燃焼することを防止するための高価な保護ガスを用いる必要がなく、またフラックスを用いる場合でも、その使用量を極力少なくすることができるマグネシウムおよびマグネシウム合金の溶解方法を提供し、さらに、マグネシウムまたはマグネシウム合金の溶湯を鋳型内に鋳造するに際し、鋳造直後の溶湯表面が酸化燃焼することを防止するために高価な保護ガスを用いなくても鋳造することができるマグネシウムおよびマグネシウム合金の鋳造方法を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
3件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

マグネシウムまたはマグネシウム合金を、鉄製るつぼまたは鉄基合金製るつぼを用いて溶解する際に、上記るつぼを誘導加熱することにより生成する熱によって、マグネシウムまたはマグネシウム合金を溶解することを特徴とするマグネシウムおよびマグネシウム合金の溶解方法

請求項2

同一密閉チャンバー内に前記るつぼおよび誘導加熱装置を配置し、上記チャンバー内を不活性ガス雰囲気として、上記誘導加熱装置を用いて上記るつぼを誘導加熱することにより、上記るつぼ内のマグネシウムまたはマグネシウム合金を溶解することを特徴とする請求項1に記載のマグネシウムおよびマグネシウム合金の溶解方法。

請求項3

塩化カリウム塩化マグネシウムおよび塩化カルシウムを含むフラックスを前記るつぼ内に添加して溶解することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のマグネシウムおよびマグネシウム合金の溶解方法。

請求項4

同一密閉チャンバー内に前記るつぼ、誘導加熱装置および鋳型を配置し、上記チャンバー内を不活性ガスの雰囲気として、上記誘導加熱装置を用いて上記るつぼを誘導加熱することにより、上記るつぼ内のマグネシウムまたはマグネシウム合金を溶解し、溶解したマグネシウムまたはマグネシウム合金の溶湯を鋳型内に鋳造することを特徴とするマグネシウムおよびマグネシウム合金の鋳造方法

技術分野

0001

本発明は、マグネシウムおよびマグネシウム合金溶解方法、ならびにマグネシウム合金の鋳造方法に関する。

背景技術

0002

マグネシウム合金は、密度アルミニウム合金の約2/3で、実用金属材料中最も軽量であり、切削性もよく、強度/密度の比が高く、また精錬法の進歩により地金純度が向上し耐食性のよいものが得られるようになり、自動車用航空機用の材料として注目されている。

0003

マグネシウムは、アルミニウムなどの金属に比べて酸化燃焼しやすく、マグネシウムおよびマグネシウム合金を大気中で溶解すると、マグネシウムが大気によって酸化燃焼しやすい。また、大気雰囲気シールするために溶湯表面フラックスを添加すると、溶解後のマグネシウム合金の溶湯鋳造する際に、添加したフラックスが鋳造した地金中に混入しやすい。フラックスの混入した地金を素材としたマグネシウム合金の最終製品では、その耐食性が劣化するなどの問題がある。このようにマグネシウムおよびマグネシウム合金を溶解して、マグネシウム合金を鋳造する際、それらの作業に対する熟練を要求されることが多い。

0004

マグネシウムおよびマグネシウム合金を溶解する際、るつぼの上に蓋をかぶせ、燃料ガス燃焼によりるつぼを加熱することにより、マグネシウムおよびマグネシウム合金を溶解する方法、すなわち密閉式るつぼ炉方法が一般的に採られている。

0005

図2は、従来から用いられている密閉式るつぼ炉の装置例を示す図である。耐火断熱材4からなる炉5に配置したるつぼ1を燃料ガスをバーナー6を用いて燃焼させることにより加熱し、マグネシウムまたはマグネシウム合金を溶解し、その際、溶湯9の表面と大気との接触を防止するため溶湯表面にはフラックス8を添加し、るつぼには蓋3を配置する。るつぼの材料としては、マグネシウム溶湯への溶解度が小さい鋼、たとえば、炭素鋼低合金鋼、Ni、Coなどを含まないステンレス鋼などが用いられている。図中の符号7は燃焼ガスの炎、符号10は排気筒を示す。

0006

蓋を用いるとはいえ、るつぼの周囲は大気雰囲気であるので、マグネシウム合金の溶湯の酸化燃焼を防止する必要があり、通常、溶湯表面を保護ガスで覆ったり、溶湯表面にフラックスが添加される。

0007

保護ガスとして、六フッ化硫黄SF6 )が一般的に用いられるが、高価であるとともに、地球温暖化ガスであるため、環境上の問題から今後使用が困難となる可能性がある。

0008

また、フラックスとして、塩化カリウム塩化マグネシウム塩化カルシウムフッ化カルシウムなどを含むフラックスが通常用いられるが、多量に添加する場合には、廃棄処分場所などの確保、およびその環境保全などの問題があり、その使用量を極力減らすことが求められている。

0009

さらに、燃料ガスを燃焼させることによりるつぼを加熱して、マグネシウムまたはマグネシウム合金を溶解する方法では、材料を溶解させるのに時間がかかり、その間に溶湯が酸化したり、溶湯表面に添加されたフラックスが溶湯内に巻き込まれる機会が増えたりする。したがって、溶解時間をより短かくする改善が望まれている。

0010

また、マグネシウム合金の溶湯の鋳造方法として、ダイカスト法、すなわち、溶湯に圧力を加えて精密な鋳型注入して鋳物を製造する方法が最近多く用いられているが、砂型内に鋳造することもおこなわれている。砂型内に鋳造する場合には、大気雰囲気下でおこなわれるので、鋳造直後の砂型内の溶湯表面が酸化燃焼することを防するために、保護ガスとして、六フッ化硫黄が一般的に用いられている。前述のとおり、六フッ化硫黄は高価であり、また環境上の問題から今後使用が困難となる可能性がある。

発明が解決しようとする課題

0011

本発明は、マグネシウムまたはマグネシウム合金の溶解に際し、効率的に溶解することができ、溶湯が酸化燃焼することを防止するための高価な保護ガスを用いる必要がなく、またフラックスを用いる場合でも、その使用量を極力少なくすることができるマグネシウムおよびマグネシウム合金の溶解方法を提供し、さらに、マグネシウムまたはマグネシウム合金の溶湯を鋳型内に鋳造するに際し、鋳造直後の溶湯表面が酸化燃焼することを防止するために高価な保護ガスを用いなくても鋳造することができるマグネシウムおよびマグネシウム合金の鋳造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0012

本発明の要旨は、下記(1)〜(3)に示す溶解方法、および下記(4)に示す鋳造方法にある。
(1)マグネシウムまたはマグネシウム合金を、鉄製るつぼまたは鉄基合金製るつぼを用いて溶解する際に、上記るつぼを誘導加熱することにより生成する熱によって、マグネシウムまたはマグネシウム合金を溶解するマグネシウムおよびマグネシウム合金の溶解方法。
(2)同一密閉チャンバー内に前記るつぼおよび誘導加熱装置を配置し、上記チャンバー内を不活性ガス雰囲気として、上記誘導加熱装置を用いて上記るつぼを誘導加熱することにより、上記るつぼ内のマグネシウムまたはマグネシウム合金を溶解する上記(1)に記載のマグネシウムおよびマグネシウム合金の溶解方法。
(3)塩化カリウム、塩化マグネシウムおよび塩化カルシウムを含んだフラックスを前記るつぼ内に添加して溶解する上記(1)または(2)に記載のマグネシウムおよびマグネシウム合金の溶解方法。
(4)同一密閉チャンバー内に前記るつぼ、誘導加熱装置および鋳型を配置し、上記チャンバー内を不活性ガスの雰囲気として、上記誘導加熱装置を用いて上記るつぼを誘導加熱することにより、上記るつぼ内のマグネシウムまたはマグネシウム合金を溶解し、溶解したマグネシウムまたはマグネシウム合金の溶湯を鋳型内に鋳造するマグネシウムおよびマグネシウム合金の鋳造方法。

0013

マグネシウムまたはマグネシウム合金を鉄製るつぼまたは鉄基合金製るつぼを用いて溶解する際に、るつぼを誘導加熱して加熱することによってるつぼ内の溶解用材料を溶解する方式により、従来の燃料ガスの燃焼によりるつぼを加熱する方式より、より効果的に短時間で溶解用材料を溶解することができることがわかった。また、このるつぼの誘導加熱方式は、後述する密閉チャンバー内で溶解材料を溶解するのに適した方式である。

0014

るつぼを用いてマグネシウムまたはマグネシウム合金を大気雰囲気下で溶解する際、マグネシウム合金の溶湯表面が大気と接触することにより、マグネシウムが酸化して燃焼する。このマグネシウムの酸化燃焼を無くすためには、溶湯と大気との接触を無くせばよい。従来用いられていた保護ガスである高価な六フッ化硫黄(SF6 )に代わるものとして、比較的安価なArガスなどの不活性ガスを用いる方法が考えられる。

0015

しかし、Arガスなどの不活性ガスの密度は、従来用いていた六フッ化硫黄ガスの密度に比べて小さいため、大気雰囲気下で用いても、熱対流によってるつぼの周囲に放散しやすく、溶湯表面にArガスなどの不活性ガスの安定な被膜を形成するのは困難である。

0016

密度の小さいArガスなどの不活性ガスを用いる場合でも、十分な溶湯表面の被覆効果を得る方法として、同一密閉チャンバー内に溶解関連装置を配置し、密閉チャンバー内の雰囲気をArガスなどの不活性ガスの雰囲気とする方法が効果的である。

0017

また、同一密閉チャンバー内にるつぼとるつぼの加熱装置を配置するので、加熱装置として大気または酸素を必要とする燃料ガスの燃焼方式を用いることは、排気装置が過大な装置となるなど、現実的でない。そこで、るつぼを鉄製または鉄基合金製とし、加熱装置を誘導加熱装置とすることが効果的である。

0018

また、鉄製るつぼまたは鉄基合金製るつぼを誘導加熱して加熱して、マグネシウムまたはマグネシウム合金を、大気中または前述の密閉チャンバー内で溶解する際、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウムを含んだフラックスをるつぼ内に添加して溶解しても、大気中の溶解とはいえ、溶解時間が短いこと、または大気と遮断して溶解することから、フラックスの使用量を従来に比べて少なくすることができる。

0019

さらに、溶解し、成分調整したマグネシウム合金の溶湯を鋳型内に鋳造する際に、溶解する際と同一の密閉チャンバー内に鋳型を配置すれば、鋳型内に鋳造直後の溶湯表面を、Arガスなどの不活性ガスで覆うことができ、マグネシウム合金の溶湯表面の酸化燃焼を防止することができる。

発明を実施するための最良の形態

0020

図1は、本発明の溶解方法および鋳造方法を同時に実施する際に用いる装置例を示す断面図である。密閉チャンバー本体13内に、るつぼ1、誘導加熱装置11および鋳型12を配置した例を示す。図中の符号2は、るつぼ1を包み込むように配置した保護るつぼを示し、符号14は密閉チャンバーの蓋、符号15は台、符号16は鋳型定盤、符号17は装置の配置する敷台を示す。溶解と鋳造を密閉チャンバー内でおこなうには、その他に、密閉チャンバーのぞき窓、フラックス添加装置、るつぼの傾転装置、溶湯の測温装置、排気装置、Arガス導入管安全弁照明器具などを配置することができるが、図示を省略している。なお、上記の鋳型と鋳型定盤は、一体物とすることが望ましい。湯漏れなどを効果的に防止できる。

0021

るつぼ内にマグネシウム合金用の溶解材料であるマグネシウムまたはマグネシウム合金の鋳塊小片などを装入した後、チャンバーを密閉するとともに、内部雰囲気をArガスなどの不活性ガスなどで置換する。るつぼを誘導加熱装置を用いて加熱し、るつぼ内部の材料を加熱、溶解する。るつぼの上方に配置したフラックス添加装置より適宜フラックスを溶湯表面に添加してもよい。溶解したマグネシウム合金の溶湯を、るつぼを傾転させることにより鋳型内に鋳造する。鋳塊の温度が室温付近まで低下した後、密閉チャンバーの蓋を外して鋳型を取り出し、鋳型と鋳塊を分離して、マグネシウム合金の鋳塊を得ることができる。

0022

鉄製るつぼまたは鉄基合金製るつぼとして、たとえば、炭素鋼、低合金鋼、NiおよびCoを含まないステンレス鋼などの鋼を用いることができる。鋼中のNiおよびCoは、マグネシウムまたはマグネシウム合金の溶湯中溶け込むので、それらを素材とした製品品質が劣化する。るつぼの大きさは、溶解する重量、および鋳造する鋳塊の大きさなどにより決めればよい。るつぼの厚さは繰り返し誘導加熱することから直径の1/30〜1/20程度の厚さとすることが望ましい。また、放熱防止の観点からるつぼの直径とるつぼの高さの比(直径/高さ)の値は1/2程度が望ましい。

0023

密閉チャンバー内雰囲気用のガスとして、不活性ガスを用いる。不活性ガスとしては、Arガス、Heガスなどを用いることができる。また、誘導加熱装置には、通常の高周波誘導加熱装置を用いることができる。さらに、鋳型は、るつぼと同じ材質とするのがよい。また、鋳型の大きさは、鋳造する重量で決めればよい。

0024

本発明の溶解方法では、鉄製るつぼまたは鉄基合金製るつぼを用いて溶解する際に、るつぼを誘導加熱することにより生成する熱によって、マグネシウムまたはマグネシウム合金を溶解する。従来の燃料ガスの燃焼によりるつぼを加熱する方式より、より効果的に短時間で溶解できる。

0025

さらに、本発明の溶解方法では、上記方式でマグネシウムまたはマグネシウム合金を溶解するに際し、同一密閉チャンバー内にるつぼおよび誘導加熱装置を配置し、チャンバー内を不活性ガスの雰囲気として、溶解するのが望ましい。密閉チャンバー内の雰囲気を、Arガスなどの不活性ガスの雰囲気とするので、マグネシウム合金の溶湯の酸化燃焼をより効果的に防止できる。

0026

また、本発明の溶解方法では、溶解に際し、塩化カリウム、塩化マグネシウムおよび塩化カルシウムを含んだフラックスを鋼製るつぼ内に添加して溶解するのがより望ましい。

0027

大気中で溶解する際にも、溶解時間が従来よりも短いので、フラックスの使用量を少なくでき、かつ大気と溶湯とを遮断でき、溶湯の酸化を防止できる。密閉チャンバー内で溶解する際には、フラックスを用いることによって、マグネシウムの蒸発を抑制できる。また、蒸発を防止するだけであるので、従来に比べて、フラックスの使用量を少なくすることができる。

0028

本発明の鋳造方法では、同一密閉チャンバー内にるつぼ、誘導加熱装置および鋳型を配置し、チャンバー内を不活性ガスの雰囲気として、誘導加熱装置を用いてるつぼを誘導加熱することにより、るつぼ内のマグネシウムまたはマグネシウム合金を溶解し、溶解したマグネシウムまたはマグネシウム合金の溶湯を鋳型内に鋳造する。

0029

溶解されたマグネシウム合金の溶湯を酸化燃焼させることなく、そのまま、同一の密閉チャンバー内に配置した鋳型内に溶湯を鋳造するので、鋳造直後の溶湯の酸化燃焼も防止できるとともに、非金属介在物などの少ない、内部品質の良好なマグネシウム合金の鋳塊を得ることができる。

0030

図1に示す構成、ただし、鋳型を配置していない構成の装置を用いてAlを3質量%、Znを1質量%含有するマグネシウム合金を溶解する試験をおこなった。

0031

溶解量は1.2kg、溶解時の保持温度は750℃とし、溶解後の保持時間は30分とした。密閉チャンバー内雰囲気は1気圧のArガス雰囲気とした。一部の試験では、密閉チャンバーの蓋を開放し、大気雰囲気下で溶解した。るつぼの材質は鋼製とし、その鋼の種類を変更して試験した。るつぼの大きさは、内径90mm、外径105mm、高さ205mmである。加熱方法は、10kHz、5kWの高周波誘導加熱装置による方法、またはCH4 の燃料ガスの燃焼による方法とした。また、一部の試験では、表1に示す配合組成のフラックスをるつぼ内に添加して溶解した。

0032

0033

各試験では、マグネシウムが酸化燃焼して生成した酸化物発生程度調査した。調査方法は、溶解中に溶湯表面に生成している酸化物を、ステンレス製の網を用いてかき集め、その重量と酸素分析値を用いて求める方法とした。その酸化物の重量を初期装入物の重量で除し、%に換算して酸化物の生成率(%)を求めた。比較例の試験No.3の酸化物の生成率の値を指数1.0として、本発明例の試験の際のマグネシウムの酸化物の生成状況を指数表示した。

0034

また、各試験では、マグネシウム合金の溶湯からのマグネシウムの蒸発の発生程度を調査した。調査方法は、溶解試験の終了後に、密閉チャンバー内壁に付着したマグネシウムを刷毛で集め、その重量を測定する方法とした。その蒸発して付着したマグネシウムの重量を初期の装入物の重量で除し、%に換算して蒸気発生率(%)を求めた。比較例の試験No.3の蒸気発生率の値を指数1.0として、本発明例の試験の際のマグネシウムの蒸発の発生状況を指数表示した。

0035

さらに、各試験におけるマグネシウムの蒸気発生率およびマグネシウムの酸化物の生成率と、これらの値から推定される密閉チャンバー内の清掃のためのロス時間を求めることにより、操業コストを推定した。比較例の試験No.3の操業コストを指数1.0として、本発明例の試験の際の操業コストを指数表示した。各試験条件および試験結果を表2に示す。

0036

0037

本発明例の試験No.1では、るつぼの材質をCr含有率が約17質量%のフェライト系ステンレス鋼(JIS G 4304に規定するSUS430)とした。るつぼの加熱は、高周波誘導加熱装置を用いておこなった。溶解用材料の温度がマグネシウム合金の融点直上に達した後に、溶解用材料は完全に溶解した。その際、るつぼの上方に配置したフラックス添加装置を用いて、フラックス36gをるつぼ内の溶湯表面に添加した。

0038

試験No.1では、溶解中の溶湯表面には、マグネシウムの酸化物は生成していなかった。また、溶解終了後の密閉チャンバー内壁には、マグネシウムの蒸気は付着していなかった。さらに、操業コストの指数は、後述する比較例の試験No.3をベースの1.0とした場合に0.1で低い操業コストであった。

0039

本発明例の試験No.2では、るつぼの材質をボイラー用鋼板である炭素鋼(たとえば、JIS G 3103に規定するSB410)とした。るつぼの加熱は、高周波誘導加熱装置を用いておこなった。溶解用材料の温度がマグネシウム合金の融点直上に達した後に、溶解用材料は完全に溶解した。その際、フラックスは添加しなかった。

0040

試験No.2では、溶解中の溶湯表面には、マグネシウムの酸化物は生成していなかった。また、溶解終了後の密閉チャンバー内壁には、マグネシウムが蒸気したために、付着物が認められた。蒸気の発生状況の指数は、後述する比較例の試験No.3をベースの1.0とした場合に0.4で、試験No.3に比べて蒸気の発生は少なかったが、試験No.1よりは多かった。さらに、操業コストの指数は、後述する比較例の試験No.3をベースの1.0とした場合に0.2で低い操業コストであった。ただし、試験No.1の操業コストよりは高かった。

0041

比較例の試験No.3では、るつぼの材質を試験No.2の場合と同じとし、ただし、密閉チャンバーの蓋を開放し大気雰囲気下で、CH4 の燃料ガスの燃焼によって、るつぼを加熱した。溶解用材料の温度がマグネシウム合金の融点直上に達した際に、溶解用材料は完全に溶解した。その際、るつぼの上方に配置したフラックス添加装置を用いて、フラックス72gをるつぼ内の溶湯表面に添加した。

0042

試験No.3では、溶解中の溶湯表面には、マグネシウムの酸化物が生成し、酸化物の生成率は0.5%であった。また、溶解終了後の密閉チャンバー内壁には、マグネシウムの蒸気が多く付着し、蒸気発生率は0.15%であった。フラックスを72gと多く用いることにより、この程度の酸化物の生成率および蒸気発生率に抑えることができた。さらに、操業コストは、マグネシウムの酸化燃焼および蒸発が多いことから、試験No.1およびNo.2に比べて5〜10倍の操業コストで高かった。

発明の効果

0043

本発明の溶解方法および鋳造方法の適用により、マグネシウムおよびマグネシウム合金の溶解に際し、高価な保護ガスを用いることなく、溶湯が酸化燃焼することを防止でき、そのため、高い溶解歩留で溶解できる。また、フラックスを用いる場合でも、その使用量を極力少なくすることができる。さらに、マグネシウム合金の溶湯を鋳型内に鋳造するに際し、鋳造直後の溶湯表面が酸化燃焼することを防止するために硫黄粉末を添加することもなく、良好な作業環境下で鋳造することができ、非金属介在物などの少ない、内部品質の良好なマグネシウム合金の鋳塊を得ることができる。

図面の簡単な説明

0044

図1本発明の溶解方法および鋳造方法を同時に実施する際に用いる装置例を示す図である。
図2従来から用いられている密閉式るつぼ炉の装置例を示す図である。

--

0045

1:るつぼ2:保護るつぼ
3:蓋 4:耐火断熱材
5:炉 6:バーナー
7:燃焼ガスの炎 8:フラックス
9:溶湯10:排気筒
11:誘導加熱装置12:鋳型
13:密閉チャンバー本体 14:密閉チャンバーの蓋
15:台 16:鋳型定盤
17:敷台

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構の「 有機溶媒中の金属イオンの電解還元回収法」が 公開されました。( 2020/09/24)

    【課題】酸溶液中から目的の金属のみを分離回収し、利用する逆抽出の溶液をなくすことで作業を簡略化し、有機相中の金属イオンをより高純度の金属として回収する方法を開発すること。【解決手段】一例として、パラジ... 詳細

  • 荒木弘の「 転炉発生ダスト中の金属鉄のリサイクル方法」が 公開されました。( 2020/09/24)

    【課題】生石灰を利用して実質的に水分ゼロのリサイクル製品を製造する転炉発生ダスト中の金属鉄のリサイクル方法を提供する。【解決手段】脱水ケーキ11に、生石灰粉13を加えて混合し、生石灰粉13と水分18の... 詳細

  • JX金属株式会社の「 ビスマスの精製方法」が 公開されました。( 2020/09/24)

    【課題】 塩化処理における反応効率の向上が可能なビスマスの精製方法を提供する。【解決手段】 塩化物を形成する不純物を含有するビスマス溶湯に塩素ガスを吹き込むことで前記ビスマス溶湯を塩化処理する工程... 詳細

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ