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技術 線虫Caenorhabditiselegans由来のRhoファミリー低分子量Gタンパク質の活性を制御する遺伝子およびそれにコードされるタンパク質、並びにその利用方法

出願人 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明者 鈴木教郎マーシュー,ビュックナー久本直毅松本邦弘
出願日 2001年10月2日 (19年1ヶ月経過) 出願番号 2001-306978
公開日 2003年4月15日 (17年7ヶ月経過) 公開番号 2003-111589
状態 拒絶査定
技術分野 家畜、動物の飼育(3)(その他の飼育) 動物の育種及び生殖細胞操作による繁殖 突然変異または遺伝子工学 蛋白脂質酵素含有:その他の医薬 化合物または医薬の治療活性 非環式または炭素環式化合物含有医薬 ペプチド又は蛋白質
主要キーワード 体長方向 SEU 前半側 排泄管 渦巻き型 カナル 切断体 B領域
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2003年4月15日)のものです。
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図面 (13)

課題

線虫C.elegans からヒトFGD1遺伝子のホモログを見出し、その塩基配列およびそれがコードするタンパク質アミノ酸配列を決定するとともに、Aarskog-Scott症候群治療薬剤の開発等に利用可能な上記遺伝子・タンパク質の利用方法を提案する。

解決手段

C.elegansゲノム連鎖群IVにコードされるexc−5遺伝子は、約2.9kbpのサイズを有しているDNAであり、826のアミノ酸残基からなるEXC−5タンパク質をコードしている。これら遺伝子およびタンパク質は、ヒトFGD1遺伝子およびFGD1タンパク質のホモログであり、これらを用いることで、C.elegans にて、Aarskog-Scott症候群の実験的モデル構築することができる。

概要

背景

Aarskog-Scott症候群(別名:Faciogenital displasia:略称GDY)は、骨および顔面奇形尿生殖器の異常、低身長など全身発生異常を引き起こすヒトの遺伝病として知られている。その原因遺伝子X染色体にコードされるFGD1遺伝子であることが明らかにされており、また、FGD1遺伝子にコードされるタンパク質が、Rhoファミリー分子Gタンパク質に対するグアニン塩基交換因子(GEF)として機能することが明らかにされている(文献1:N.G.Pasteris et al., Cell, 79, 669-678, 1994参照)。

すなわちFGD1遺伝子に異常が発生することで、Aarskog-Scott症候群が発症することから、FGD1遺伝子およびその遺伝子産物であるFGD1タンパク質は、骨格や尿生殖器などの器官の発生を制御する機構(以下、骨格・尿生殖器等発生制御機構と称する)の構成要素であることが示唆される。また、FGD1タンパク質がGEFとして機能することから、Rhoファミリー低分子量Gタンパク質等も骨格・尿生殖器等発生制御機構に大きく関与していることも示唆される。

したがって、FGD1遺伝子およびFGD1タンパク質についての研究を進めれば、Aarskog-Scott症候群を治療する各種技術の確立に役立つだけでなく、骨格・尿生殖器等発生制御機構の全容の解明と、その医学薬学的利用に応用することが期待できる。

さらに、Rhoファミリー低分子量Gタンパク質は、動物細胞の重要な細胞機能に深く関与する必須のシグナルトランスデューサーであることが知られている。それゆえ、FGD1遺伝子およびFGD1タンパク質の研究を進めれば、Rhoファミリー低分子量Gタンパク質の研究や、Rhoファミリー低分子量Gタンパク質が関与する生理機能に関わる医薬品等の開発にも利用することが可能となる。

概要

線虫C.elegans からヒトFGD1遺伝子のホモログを見出し、その塩基配列およびそれがコードするタンパク質のアミノ酸配列を決定するとともに、Aarskog-Scott症候群の治療薬剤の開発等に利用可能な上記遺伝子・タンパク質の利用方法を提案する。

C.elegansゲノム連鎖群IVにコードされるexc−5遺伝子は、約2.9kbpのサイズを有しているDNAであり、826のアミノ酸残基からなるEXC−5タンパク質をコードしている。これら遺伝子およびタンパク質は、ヒトFGD1遺伝子およびFGD1タンパク質のホモログであり、これらを用いることで、C.elegans にて、Aarskog-Scott症候群の実験的モデル構築することができる。

目的

本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、線虫C.elegans からヒトFGD1遺伝子のホモログを見出し、その塩基配列およびそれがコードするタンパク質のアミノ酸配列を決定するとともに、Aarskog-Scott症候群の治療薬剤の開発、さらにはRhoファミリー低分子量Gタンパク質の研究や、Rhoファミリー低分子量Gタンパク質が関与する生理機能に関わる医薬品等の開発にも利用することが可能な、上記遺伝子・タンパク質の利用方法を提案することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

線虫Caenorhabditis elegansから単離され、Rhoファミリー分子Gタンパク質に結合するGTPGDP交換するグアニン塩基交換因子となるタンパク質をコードする遺伝子。

請求項2

さらに、その一部を改変した状態で線虫Caenorhabditis elegans中にて発現させることで、排泄管形成異常を生じさせることを特徴とする請求項1に記載の遺伝子。

請求項3

列番号1に示す塩基配列からなるDNA。

請求項4

配列番号1に示す塩基配列における塩基の一部を改変したDNAであって、線虫Caenorhabditis elegans中で発現することにより、排泄管の形成異常を生じさせることを特徴とするDNA。

請求項5

配列番号2に示すアミノ酸配列を有するタンパク質。

請求項6

請求項5に記載のタンパク質をコードするDNA。

請求項7

請求項5に記載のタンパク質の変異体であって、線虫Caenorhabditis elegans中にて生産させることにより、排泄管の形成異常を生じさせることを特徴とするタンパク質。

請求項8

請求項7に記載のタンパク質をコードするDNA。

請求項9

線虫Caenorhabditis elegansのゲノムDNAに含まれる、配列番号1に示す塩基配列を有するexc−5遺伝子が、排泄管に形成異常が生じるように改変されていることを特徴とする線虫。

請求項10

上記exc−5遺伝子がヌル突然変異するように改変されていることを特徴とする請求項9に記載の線虫。

請求項11

請求項9または10に記載の線虫Caenorhabditis elegansと被検物質とを接触させながら育成することによって、排泄管の形成異常を抑制する作用を有する化合物スクリーニングするステップを含むことを特徴とするAarskog-Scott症候群治療薬剤の製造方法。

請求項12

請求項9または10に記載の線虫Caenorhabditis elegansに対して、該線虫内で発現可能な遺伝子を導入することによって、exc−5遺伝子の機能を負に制御する優性または劣性抑圧変異をスクリーニングするステップを含むことを特徴とするAarskog-Scott症候群治療薬剤の製造方法。

技術分野

820 825

背景技術

0001

本発明は、線虫Caenorhabditis elegans由来で、Rhoファミリー分子Gタンパク質に対するグアニン塩基交換因子(GEF)として機能するタンパク質をコードする遺伝子、およびこの遺伝子にコードされ、GEFとして機能するタンパク質、並びにこれら遺伝子・タンパク質の利用方法に関するものである。

0002

Aarskog-Scott症候群(別名:Faciogenital displasia:略称GDY)は、骨および顔面奇形尿生殖器の異常、低身長など全身発生異常を引き起こすヒトの遺伝病として知られている。その原因遺伝子X染色体にコードされるFGD1遺伝子であることが明らかにされており、また、FGD1遺伝子にコードされるタンパク質が、Rhoファミリー低分子量Gタンパク質に対するグアニン塩基交換因子(GEF)として機能することが明らかにされている(文献1:N.G.Pasteris et al., Cell, 79, 669-678, 1994参照)。

0003

すなわちFGD1遺伝子に異常が発生することで、Aarskog-Scott症候群が発症することから、FGD1遺伝子およびその遺伝子産物であるFGD1タンパク質は、骨格や尿生殖器などの器官の発生を制御する機構(以下、骨格・尿生殖器等発生制御機構と称する)の構成要素であることが示唆される。また、FGD1タンパク質がGEFとして機能することから、Rhoファミリー低分子量Gタンパク質等も骨格・尿生殖器等発生制御機構に大きく関与していることも示唆される。

0004

したがって、FGD1遺伝子およびFGD1タンパク質についての研究を進めれば、Aarskog-Scott症候群を治療する各種技術の確立に役立つだけでなく、骨格・尿生殖器等発生制御機構の全容の解明と、その医学薬学的利用に応用することが期待できる。

発明が解決しようとする課題

0005

さらに、Rhoファミリー低分子量Gタンパク質は、動物細胞の重要な細胞機能に深く関与する必須のシグナルトランスデューサーであることが知られている。それゆえ、FGD1遺伝子およびFGD1タンパク質の研究を進めれば、Rhoファミリー低分子量Gタンパク質の研究や、Rhoファミリー低分子量Gタンパク質が関与する生理機能に関わる医薬品等の開発にも利用することが可能となる。

0006

ところで、一般に、ヒトの生体機能の解明やヒト疾患原因究明あるいは治療法の確立には、モデル生物が用いられる。特に、分子レベルの研究では、線虫セノラブディティス・エレガンス(Caenorhabditis elegans, C.elegans )が用いられることが多い。

0007

C.elegans は、体細胞数が1000以下であるにも関わらず高等動物が有する表皮筋肉、神経、消化管生殖器を有していること、成虫半透明であるので光学顕微鏡等で容易に体内を観察できること、世代期間が短くかつ飼育が容易であること、かけあわせが可能である上に突然変異体も多数分離されており遺伝的な解析が容易であること、遺伝子の導入が可能であること、近年全ゲノム塩基配列が決定されたことなど、モデル生物としての利点を多く有している。

0008

しかしながら、従来C.elegans では、ヒトFGD1遺伝子のホモログは知られておらず、それゆえ、モデル生物として好適なC.elegans を、Aarskog-Scott症候群の治療技術の確立や、骨格・尿生殖器等発生制御機構の全容の解明に用いることはできなかった。

課題を解決するための手段

0009

本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、線虫C.elegans からヒトFGD1遺伝子のホモログを見出し、その塩基配列およびそれがコードするタンパク質のアミノ酸配列を決定するとともに、Aarskog-Scott症候群の治療薬剤の開発、さらにはRhoファミリー低分子量Gタンパク質の研究や、Rhoファミリー低分子量Gタンパク質が関与する生理機能に関わる医薬品等の開発にも利用することが可能な、上記遺伝子・タンパク質の利用方法を提案することにある。

0010

本発明者らは上記課題に鑑み鋭意検討した結果、線虫C.elegans において排泄管(excretory canal )と称する器官に形成異常を生じる変異体から、ヒトFGD1遺伝子のホモログとなる遺伝子を単離することに成功し、この遺伝子を用いれば、C.elegans でAarskog-Scott症候群の実験的モデルを生じさせることが可能となって、たとえばAarskog-Scott 症候群の治療薬の開発等に役立てることが可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。

0011

すなわち、本発明にかかる遺伝子は、上記の課題を解決するために、C.elegans から単離された新規な遺伝子であって、Rhoファミリー低分子量Gタンパク質に結合するGTPGDPに交換するグアニン塩基交換因子となるタンパク質をコードする遺伝子であり、具体的には、その一部を改変した状態でC.elegans中にて発現させることで、排泄管の形成異常を生じさせるexc−5遺伝子を挙げることができる。

0012

C.elegans には、高等動物における腎臓に相当する器官として、排泄細胞(excretory cell)を中心とする分泌系器官があるが、中でも排泄細胞は、C.elegans の体長方向に沿って、アルファベットの「H」形状を有する管状構造を形成する。本発明では、この管状構造を排泄管(excretory canal )と称するが、上記exc−5遺伝子の発現に異常が生じると、上記排泄管に水泡状の包嚢が生じ、排泄管が正常に伸長しない。

0013

従来では、C.elegans の排泄管に形成異常が生じる表現型を示す突然変異が、ヒトの遺伝病であるAarskog-Scott症候群との間に共通性があることについては全く想定されていなかった。これに対して本発明者らは、C.elegans の排泄管の形成異常を、ヒト遺伝病Aarskog-Scott 症候群のモデルとして利用することが可能であることを独自に見出し、排泄管構造に包嚢が生じる形成異常の表現型を示す変異体から原因遺伝子の特定を試みた。

0014

その結果、上記排泄管の形成異常の原因遺伝子が上記exc−5遺伝子であり、しかも後述するように、このexc−5遺伝子にコードされているEXC−5タンパク質は、Aarskog-Scott症候群の原因遺伝子であるFGD1遺伝子にコードされるFGD1タンパク質と相同性を有し、機能的にも類似することが初めて明らかとなった。

0015

したがって、上記構成によれば、上記exc−5遺伝子を利用すればヒト遺伝病Aarskog-Scott症候群の実験的モデルを得ることができる。Aarskog-Scott 症候群を培養細胞ベルで解析することは非常に難しいが、exc−5遺伝子を利用することで、C.elegans を用いた生体レベルでのAarskog-Scott 症候群の解析が可能となる。その結果、Aarskog-Scott 症候群の症状研究の促進や、治療薬剤等の開発等が可能になる。

0016

また、上記exc−5遺伝子は、Rhoファミリー低分子量Gタンパク質に結合するGTPをGDPに交換するグアニン塩基交換因子(GEF)となるEXC−5タンパク質をコードしている。GEFは、低分子量Gタンパク質に結合するGTPをGDPに交換することで、該低分子量Gタンパク質を不活性型から活性型移行させるものである。それゆえ、GEFは、Rhoファミリー低分子量Gタンパク質の活性を制御するものであり、したがって、exc−5遺伝子は、Rhoファミリー低分子量Gタンパク質の活性を制御する遺伝子であると言うことができる。

0017

上記Rhoファミリー低分子量Gタンパク質は、動物細胞の重要な細胞機能に深く関与する必須のシグナルトランスデューサーであることが知られている。それゆえ、本発明にかかる上記exc−5遺伝子は、Aarskog-Scott症候群の研究だけでなく、直接的には上記Rhoファミリー低分子量Gタンパク質の機能研究のための研究用試薬等の開発に利用することが可能である上に、間接的には、上記細胞機能の解明と理解のための研究用試薬、さらには、上記細胞機能が関与する生理機能を検査するための臨床検査薬や、上記細胞機能の異常に伴う各種疾患の治療薬剤等の開発にも利用することが可能となる。

0018

本発明にかかる遺伝子の具体的な一例である上記exc−5遺伝子は、具体的には、配列番号1に示す塩基配列を有するcDNAである。

0019

上記構成によれば、exc−5遺伝子は約 2.9kbp(塩基対、base pair )のサイズを有しているDNAであり、 826アミノ酸残基からなるタンパク質をコードしている。したがって、本発明にかかるタンパク質としては、配列番号2に示すアミノ酸配列を有するEXC−5タンパク質を挙げることができる。また、本発明にかかる遺伝子は、配列番号2に示すポリペプチドをコードする、配列番号1の塩基配列を有する上記DNAとは異なる塩基配列を有するポリヌクレオチドであってもよい。

0020

なお、配列番号2に示すポリペプチドをコードするポリヌクレオチドには、上記ポリペプチドをコードする単一の連続領域、またはイントロン中断されているような不連続領域を含むポリヌクレオチドが包含される。

0021

また、本発明における「遺伝子」または「ポリヌクレオチド」には、RNAおよびDNAが含まれるものとする。RNAにはmRNAが含まれ、DNAには、たとえばクローニング化学合成技術またはそれらの組み合わせで得られるようなDNA、たとえばcDNAやゲノムDNAなどが含まれる。また、DNAは二本鎖でも一本鎖でもよく、一本鎖DNAは、センス鎖となるコードDNAでもよく、アンチセンス鎖となるアンチコード鎖でもよい。

0022

さらに、本発明にかかる遺伝子の他の例としては、上記cDNAを改変した変異遺伝子、すなわち配列番号1に示す塩基配列における塩基の一部を改変したDNAであって、C.elegans 中で発現することにより、排泄管の形成異常を生じさせる遺伝子を挙げることができる。したがって、本発明にかかる遺伝子には、上記exc−5遺伝子を改変したexc−5変異遺伝子も含まれる。

0023

上述したように、本発明にかかる遺伝子には、上記exc−5遺伝子を改変したexc−5変異遺伝子も含まれるので、本発明にかかるタンパク質には、配列番号2に示すアミノ酸配列を有するEXC−5タンパク質の変異体であって、C.elegans 中にて生産させることにより、排泄管の形成異常を生じさせるEXC−5変異タンパク質も含まれる。

0024

したがって、本発明にかかる遺伝子には、上記EXC−5変異タンパク質をコードするDNA等のポリヌクレオチドも含まれる。

0025

本発明にかかる上記exc−5遺伝子は、トランスポゾンタギング法を用いて、トランスポゾンTc1の挿入しやすいC.elegans の変異株NL917から分離された、排泄管に形成異常を示す表現型を示す変異体km508 、rh232 、n2672からクローニングされたものである。

0026

それゆえ、本発明には、上記3つの変異体を含むexc−5遺伝子が変異したC.elegans 、すなわちC.elegans のゲノムDNAに含まれる、配列番号1に示す塩基配列を有するexc−5遺伝子が、排泄管に形成異常が生じるように改変されていることを特徴とする線虫(C.elegans )も含まれる。

0027

上記構成によれば、排泄管に形成異常が生じているC.elegans を用いて、ヒト遺伝病であるAarskog-Scott症候群の実験的モデルを得ることができる。上述したようにAarskog-Scott 症候群を培養細胞レベルで解析することは非常に難しいが、C.elegans をモデル生物として利用することで生体レベルでのAarskog-Scott 症候群の解析が可能となる。その結果、ヒト遺伝病Aarskog-Scott 症候群の症状研究の促進や、治療薬剤等の開発等が可能になる。

0028

上記C.elegans の変異体としては、より好ましくは、上記exc−5遺伝子がヌル突然変異するように改変されている変異体、たとえば変異体rh232 を好ましく挙げることができる。

0029

一般に、ターゲットとする遺伝子の機能を解析する場合には、該遺伝子の機能喪失機能低下、機能増大などの突然変異の表現型を利用するが、特に完全に機能を失ったヌル突然変異の表現型は機能解析に重要とされる。

0030

上記構成によれば、上記変異体rh232 のようなヌル突然変異では、exc−5遺伝子の機能が完全に失われている。そのため、exc−5遺伝子の機能解析に好適に利用することができるだけでなく、ヒト遺伝病Aarskog-Scott症候群のモデルとすることができるので、生体レベルでのAarskog-Scott 症候群の解析により一層有用となる。

0031

本発明においては、上述したように、exc−5遺伝子およびEXC−5タンパク質、並びにexc−5遺伝子の機能が不全となっているC.elegans を、Aarskog-Scott症候群の解析に利用することが可能となっている。それゆえ本発明における有望な応用技術としては、Aarskog-Scott 症候群治療薬剤の製造方法を挙げることができる。

0032

具体的には、たとえば上記C.elegans の変異体と被検物質とを接触させながら育成することによって、排泄管の形成異常を抑制する作用を有する化合物スクリーニングするステップを含むことを特徴とするAarskog-Scott症候群治療薬剤の製造方法や、上記C.elegans の変異体に対して、該C.elegans の変異体内で発現可能な遺伝子を導入することによって、exc−5遺伝子の機能を負に制御する優性または劣性抑圧変異をスクリーニングするステップを含むことを特徴とするAarskog-Scott 症候群治療薬剤の製造方法などを挙げることができる。

発明を実施するための最良の形態

0033

上記方法によれば、モデル生物であるC.elegans の変異体を用いて、生体レベルでAarskog-Scott症候群治療薬剤となる可能性のある化合物や優性または劣性抑圧変異をスクリーニングすることができるので、Aarskog-Scott 症候群治療薬剤のより一層有効な開発方法を提案することができる。

0034

本発明の実施の一形態について図1ないし図8に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本発明はこれに限定されるものではない。

0035

本発明は、線虫C.elegans にて初めて見出された、ヒト遺伝病であるAarskog-Scott症候群の原因遺伝子FGD1遺伝子のホモログと、その遺伝子産物としてのタンパク質と、これらの利用方法とを提案するものである。

0036

具体的には、本発明にかかる遺伝子としては、C.elegans由来の遺伝子であり、C.elegansゲノムの連鎖群IVにコードされるexc−5遺伝子を挙げることができる。

0037

このexc−5遺伝子cDNAは、配列番号1および図1図2に示すように、2922bpのサイズを有しており、その具体的な構造は、ゲノムDNAおよびcDNAから推定すると、図3に示すように、15のエクソンと、これらエクソンを分断するイントロンとからなっている。なお、図3では、エクソンはボックスで示し、イントロンはラインで示している。また、黒く塗りつぶしたボックスは読み枠のコード領域を示す。

0038

上記exc−5遺伝子にコードされているタンパク質、すなわち本発明にかかるEXC−5タンパク質は、配列番号2および図4に示すように、826のアミノ酸残基を有している。

0039

また、EXC−5タンパク質は、具体的には、図5に示すように、N末端側から順に、DH(Dbl Homology)相同領域、第1のPH(Pleckstrin Homology )相同領域、FYTV領域、第2のPH相同領域を含む構造となっている。

0040

上記DH相同領域は、ヒトDbl癌タンパク質(Human Dbl oncoprotein )中に存在し、PH相同領域を伴うDH−PH領域として、Rhoファミリー低分子量Gタンパク質に作用するグアニン塩基交換因子(GEF:Guanine nucleotideExchange Factors ,あるいはGDP/GTP交換因子(GDP/GTPExchange Factor) とも称する)に共通に見出される構造である(文献2:R.A.Cerione et al., Curr.Opin.Cell Biol., 8 .216-222, 1996)。

0041

また、上記FYVE領域は、Fab1,YOTB,Vac1,EEA1の4種類のタンパク質がこの領域を含んでいることから名づけられたシステインを多く含む領域で、Zn−フィンガー構造をとる(文献3:H.Stenmark et al., J.Biol.Chem., 271, 24048-24054, 1996 )。

0042

さらに上記PH相同領域は、血小板中に存在するタンパク質プレクストリン(Pleckstrin)中に存在し、多くの細胞シグナル伝達に関与するタンパク質に共通に見出される領域である。

0043

したがって、本発明にかかるEXC−5タンパク質は、N末端側から順に、DH−PH領域、FYVE領域、第2のPH相同領域を含む構造を有していることになる。このような構造は、図5に示すように、ヒトを含む哺乳類において、Rhoファミリー低分子量Gタンパク質のGEFとして作用することが知られているFGD1タンパク質およびフラビン(Frabin)の構造と高い相同性を有している。

0044

FGD1タンパク質は、Aarskog-Scott症候群で異常のある部位として決定されたFGD1遺伝子にコードされているタンパク質である(文献1参照)。具体的には、FGD1タンパク質は、961のアミノ酸残基を有しており、N末端側から順に、プロリンが多く含まれるPR(Proline-Rich)領域、DH相同領域、第1のPH相同領域、FYTV領域、第2のPH相同領域を含む構造となっている。

0045

またフラビンは、F−アクチンに結合するタンパク質として同定されたものである(文献4:H.Obaishi et al., J.Biol. Chem., 273, 18697-1870, 1998)。具体的には、フラビンは、766アミノ酸残基を有しており、N末端側から順に、アクチンと結合するアクチン結合領域(AB領域:Actin-Binding )、DH相同領域、第1のPH相同領域、FYTV領域、第2のPH相同領域を含む構造となっている。

0046

上記各タンパク質は、何れも、ヒトのRhoファリー低分子量Gタンパク質であるCdc42タンパク質のGEFとして作用することが知られている。

0047

図5から明らかなように、EXC−5タンパク質とFGD1タンパク質およびフラビンとは、何れもDH−PH領域、FYTV領域、第2のPH相同領域が共通しており、各領域の相同性は、次の表1にも示すように何れも有意なものとなっている。

0048

0049

それゆえ、本発明にかかるEXC−5タンパク質は、C.elegans 中で、Rhoファミリー低分子量Gタンパク質に作用するGEFとなるタンパク質であると考えられ、本発明にかかるexc−5遺伝子は、Rhoファミリー低分子量Gタンパク質に作用するGEFをコードする遺伝子としては、C.elegans から最初に単離されたことになる。

0050

なお、図5および表1に示す相同性は、FGD1タンパク質またはフラビンにおいて上記EXC−5タンパク質と一致するアミノ酸残基の割合である。また、図5には、後述する変異体km508 および変異体n2672の変異個所をそれぞれ星型で示している。

0051

上記2種類のGEFのうち、FGD1タンパク質は、ヒト遺伝病Aarskog-Scott症候群の原因遺伝子であるFGD1遺伝子の遺伝子産物であり、換言すればFGD1遺伝子の発現に不全が生じると、Aarskog-Scott 症候群が発症する。

0052

Aarskog-Scott症候群は、Faciogenital displasia(FGDY)とも称するヒトの遺伝病で、骨および顔面の奇形、尿生殖器の異常、低身長など全身の発生異常を引き起こす。

0053

これに対して、C.elegans では、exc−5遺伝子の発現が不全であると、排泄管(excretory canal )と呼ばれる器官に形成異常が生じ、該排泄管に水泡状の包嚢が生じる。なお、この排泄管に包嚢が生じる形成異常の表現型を、本発明ではExc表現型と称する。

0054

上記排泄管と、その形成異常についてより詳細に説明する。

0055

C.elegans の分泌系器官は、高等生物の腎臓と類似していることから、生体内浸透圧の調整と排泄のために機能していると考えられている。この分泌系器官は、排泄細胞(excretory cell)および腺細胞(gland cell)、ダクト細胞(duct cell )、細孔細胞(pore cell )からなっている。

0056

このうち上記排泄細胞は、外胚葉性の大きな細胞で、後部咽頭球(posteriorpharyngeal bulb )の下方にあり、胚発生期に左右の背側に向かって管状の突起を伸長する。この管状の突起が生体側面の表皮に達すると分岐して、前後方向にほぼ体長と同じだけ伸長し、図6に示すように、C.elegans の体長方向に沿って延伸する2本の管状構造が、排泄細胞本体でつながった形状、すなわちアルファベットの「H」形状を有する管状構造を形成する。なお、排泄細胞から延伸するこの管状構造を排泄管とする。したがって、C.elegans の排泄細胞は、排泄管という管状の突起を側底膜側に伸ばしていることになる。

0057

上記排泄管は、図6に示すように、体の前半側に伸長する部分(前半部)と、体の後半側に伸長する部分(後半部)とに分けることができる。このうち前半部は、孵化時には将来表皮になるV3細胞まで伸長し、L1期の終わりにはV6細胞までに到達して伸長が止まる。また、上記長カナルの先端が伸長する長さは、成虫のカナルの長さの3分の1以下である。

0058

なお、図6におけるanteriorが前側、posterior が後側、dorsalが背側、ventral が腹側である。また、canal が排泄管を示し、cell body が排泄細胞本体を示し、connectionが2本の排泄管がつながる位置を示す。さらに、頂膜表面は点線基底膜実線で示す。

0059

上記排泄管の断面構造は、図7に示すように、下皮細胞(図中HYPODERMIS)に埋め込まれており、下皮細胞と擬体腔(図中PSEUDOCOELOM)を隔てる基底膜(図中basement membrane )に覆われている(電子顕微鏡による解析より)。また、上記排泄管(図中CANAL)は、上記下皮細胞とはギャップジャンクション(図中gap junction)により結合している。そのため、排泄管の伸長は、L1期幼虫以降で上記下皮細胞が伸張することによって生ずる。

0060

また、実施例でも詳述するが、電子顕微鏡による観察から、排泄管の中心にある管腔(図中canal lumen, lumen)は電子密度の高い物質に均一に覆われている。この電子密度の高い物質は、F−アクチンを主とする細胞骨格物質で構成される細胞骨格(図中apical cytoskelton)であると考えられる(図11(a)参照)。

0061

なお、図7におけるmicrotubule は微小管を、mucousは粘液質を、canaliculiは細管を、INTESTINE は腸を示す。

0062

このように、排泄管を含むC. elegansの排泄細胞は、単一細胞により上皮を構成しているため、それゆえ上述したように、排泄管構造の形成は、器官形成の研究において有用なモデルとなり得る。

0063

ここで、文献5(M.Buechner et al.,EMBO J., 14,1858-1866, 1999)によれば、C.elegans の突然変異の中に上記Exc表現型を示す変異体が存在し、この変異体からスクリーニングによって、C.elegans のゲノム上には上記exc−5遺伝子がマッピングされていた。

0064

しかしながら、上記exc−5遺伝子が上記Exc表現型の原因であるか否かについては、従来、明確に解明されておらず、しかも、上記Exc表現型を示す突然変異が、ヒトの遺伝病であるAarskog-Scott症候群の症状との間に共通性があることについては従来全く想定されていなかった。

0065

本発明者らは、まず、上述したように、C.elegans の排泄細胞が単一細胞により上皮を形成していることから、この排泄細胞が排泄管構造を形成する現象が、器官形成の研究において有用であることに着目した。そして、この点に基づいて鋭意検討した結果、C.elegans において排泄管の形成異常を生じる突然変異が、ヒト遺伝病Aarskog-Scott症候群における全身の発生異常という症状のモデルとして利用可能であることを独自に見出した。

0066

そこで本発明者らは、実施例等で詳述するように、排泄管構造に包嚢が生じる上記Exc表現型を示す変異体から原因遺伝子の特定を試みた。

0067

その結果、その原因遺伝子が上記exc−5遺伝子であることが本発明にて初めて明確に解明された上に、このexc−5遺伝子にコードされているEXC−5タンパク質は、Aarskog-Scott症候群の原因遺伝子であるFGD1遺伝子にコードされるFGD1タンパク質と相同性を有し、機能的にも類似することも本発明において初めて明らかとなった。

0068

したがって、本発明にかかるexc−5遺伝子、EXC−5タンパク質、およびExc表現型を示すC.elegans の変異体を利用すれば、ヒト遺伝病であるAarskog-Scott症候群の実験的モデルを得ることができる。

0069

特に、Aarskog-Scott症候群を培養細胞レベルで解析することは非常に難しいが、本発明によれば、C.elegans を用いた生体レベルでのAarskog-Scott 症候群の解析が可能となる。その結果、Aarskog-Scott 症候群の症状研究の促進や、治療薬剤等の開発等が可能になる。

0070

次に、本発明で明らかになった上記exc−5遺伝子およびEXC−5タンパク質の機能について説明する。

0071

上記exc−5遺伝子がコードするEXC−5タンパク質は、上述したように、Rhoファミリー低分子量Gタンパク質に結合するGTPをGDPに交換するGEFとして機能する。

0072

上記低分子量Gタンパク質は、分子量2〜3万程度で単量体として存在しており、酵母から哺乳動物に至るまで種を超えて幅広く見出されている。その種類も現時点で少なくとも50種類以発見されており、一つのスーパーファミリーを形成している。このスーパーファミリーは、Ras・Rho・Rab・Arf等複数のサブファミリー分類されており、細胞間あるいは細胞内情報伝達において重要な役割を果たしていると考えられているが、その全容は明らかになっていない。

0073

低分子量Gタンパク質は、図8に示すように、活性状態であるGTP結合型不活性状態でGDP結合型との2つの異なる形態を有しており、相互に形態転換することで、情報伝達を行っている。

0074

具体的には、細胞内外において、この情報を伝達する経路上流側からシグナルが伝達されると、不活性状態にある低分子量Gタンパク質からGDPが乖離して代わりにGTPが結合し、活性状態となる。そして活性状態となった低分子量Gタンパク質は、標的タンパク質を認識して相互作用を行うことによりシグナルを下流側に伝達する。その後、結合しているGTPを加水分解してGDPとすることで不活性状態に戻ることになる。

0075

低分子量Gタンパク質では、活性状態へ転換する場合には、GEFのグアニンヌクレオチド交換反応によってGDPがGTPに交換される(グアニン塩基交換反応)。一方、不活性状態に転換する場合には、低分子量Gタンパク質が有するGTP加水分解酵素機能(GTPase )により、GTPがGDPに加水分解される。なお、GTPase の促進の制御には、GTPase活性化タンパク質(GTPaseActivating Protein:GAP)が関与することが知られている。

0076

本発明におけるEXC−5タンパク質は、GEFとして機能することから、直接的には、低分子量Gタンパク質の活性化を制御することになるが、間接的には、低分子量Gタンパク質の不活性化(GTPase 活性)を制御することにもなる。したがって、低分子量Gタンパク質の作用機構全体から見れば、本発明におけるEXC−5タンパク質は、Rhoファミリー低分子量Gタンパク質の情報伝達機能(Rhoファミリー低分子量Gタンパク質の活性とする)を、直接的または間接的に制御する機能を有している。

0077

ここで、低分子量Gタンパク質のサブファミリーのうち、上記Rhoファミリー低分子量Gタンパク質は、動物細胞の重要な細胞機能に幅広くかつ深く関与する必須のシグナルトランスデューサーであることが知られている。

0078

具体的には、Rhoファミリー低分子量Gタンパク質の代表的な機能としては、細胞骨格構築の制御による細胞接着細胞膜ラッフリング細胞運動細胞分裂細胞増殖細胞凝集平滑筋収縮などの制御が挙げられる。

0079

また、C. elegansにおいては、Rhoファミリー低分子量Gタンパク質として、MIG−2タンパク質、CED−10タンパク質あるいはRAC−1タンパク質、RAC−2タンパク質、CDC−42タンパク質、RHO−1タンパク質などが同定されている。このうち、上記EXC−5タンパク質は、後述する実施例に示すように、少なくともMIG−2タンパク質のGEFとして機能することが明らかとなっている。つまり、本発明にかかるexc−5遺伝子は、C.elegansが有するRhoファミリー低分子量Gタンパク質のうちの少なくともMIG−2タンパク質をコードするmig−2遺伝子と遺伝的に相互作用する。

0080

さらに、後述する実施例に示すように、本発明にかかるEXC−5タンパク質は、他のRhoファミリー低分子量Gタンパク質のGEFとしても機能することも示唆されている。

0081

具体的には、排泄管の形成異常(Exc表現型)は、exc−5遺伝子の突然変異により生ずるが、上記mig−2遺伝子のヌル突然変異では、排泄管の形成異常は生じない(比較例2参照)。したがって、C.elegans における排泄管構造の形成には、MIG−2タンパク質以外に、EXC−5タンパク質が作用する他のRhoファミリー低分子量Gタンパク質が存在する可能性がある。

0082

多細胞生物の発生においては、細胞の形・細胞接着・細胞移動など細胞の機能のために細胞骨格をダイナミック再構成する必要がある。そして、上述したようにRhoファミリー低分子量Gタンパク質は、この細胞骨格の再構成を制御する機能を有している。それゆえ、本発明にかかるexc−5遺伝子およびEXC−5タンパク質は、Rhoファミリー低分子量Gタンパク質の機能を制御することが可能であることから、上記exc−5遺伝子およびEXC−5タンパク質は、細胞骨格の再構成を制御を研究するための試薬等として用いることが可能であると考えられる。

0083

さらに、後述する実施例の結果から、本発明にかかるexc−5遺伝子およびEXC−5タンパク質は、低分子量Gタンパク質の活性化以外の別の機能も有していることが示唆されている。特に有力な機能として、F−アクチンの機能制御が挙げられる。

0084

具体的には、排泄管が野生型のC.elegans でexc−5遺伝子を過剰発現させると排泄細胞に異常が生じ、排泄管は正常に伸長せず、渦巻状に短くなってしまう(実施例7参照)。これに対して、mig−2遺伝子の活性型変異体では、排泄管は正常に伸長する。特定の遺伝子を過剰発現させることはその遺伝子の活性型変異と同様な意義を有するので、上記の結果から、本発明にかかるexc−5遺伝子は明らかに排泄管構造の形成に影響を及ぼすが、mig−2遺伝子は排泄管構造の形成に影響を及ぼさないことになる。したがって、排泄細胞の正常な発生には、exc−5遺伝子の正常な発現が必要となる。

0085

しかしながら、上述したように、EXC−5タンパク質はMIG−2タンパク質のGEFとしても機能する結果が得られている。そのため、C.elegans における排泄管構造の形成には、Rhoファミリー低分子量Gタンパク質のGEF以外の機能も有している可能性が示唆される。換言すれば、exc−5遺伝子の機能には、少なくとも、Rhoファミリー低分子量Gタンパク質のGEFという第1の機能と、それ以外の第2の機能が存在し、これらが同時かつ良好に機能することで、排泄管構造が正常に形成されることが示唆される。

0086

この知見は、ヒトのRhoファミリー低分子量Gタンパク質のGEFである、前記フラビンの機能と類似している。フラビンは、Rhoファミリー低分子量Gタンパク質であるCdc42タンパク質の活性化だけでなく、F−アクチンへの結合活性があることが知られており、さらに、何れの機能も微突起(microspike)の形成に必要であることが知られている。

0087

さらに、後述する実施例の結果に示すように、本発明にかかるexc−5遺伝子は、C.elegans において、排泄管を形成する際に、細胞骨格を構成する物質(細胞骨格物質)を上皮細胞の正しい位置に配置するために機能している。

0088

具体的には、exc−5遺伝子の発現が正常であれば、排泄管の管腔(lumen)の周囲は均一に細胞骨格物質で覆われているが、exc−5遺伝子の発現が異常であれば、細胞骨格物質は、上記管腔の周囲で不均一に分布している(実施例8参照)。上記細胞骨格物質はF−アクチンを主とするものであると考えられ、細胞骨格物質が均一であれば細胞骨格は良好に構築されていると見なせるが、不均一であれば、細胞骨格は崩壊していると見なすことができる。

0089

また、EXC−5タンパク質はN末端側にAB領域を有していないが、上記のように、exc−5遺伝子が正常に発現すれば、F−アクチンを主とする細胞骨格物質によって良好な細胞骨格が構築されるため、EXC−5タンパク質は、他のタンパク質を介してF−アクチンと結合することが考えられる。事実、後述する実施例の結果に示すように、EXC−5タンパク質は、F−アクチン結合タンパク質であると推測されるKEL−2タンパク質とN末端側で結合可能であることが明らかとなっている(実施例9参照、ただし、この実施例9の結果から、invivo で実際にEXC−5タンパク質と結合するのは、KEL−2タンパク質と類似する別のタンパク質であろうと考えられる)。

0090

しかも、上述したRhoファミリー低分子量Gタンパク質は、直接または間接的にF−アクチンに作用して、細胞骨格の再構成等を制御する機能を有することが知られている。したがって、Rhoファミリー低分子量Gタンパク質のGEFとして機能するタンパク質は、GEF機能以外に、F−アクチンに対して作用する機能も有している可能性が非常に高い。

0091

それゆえ本発明にかかるexc−5遺伝子およびEXC−5タンパク質は、このGEF機能以外の機能を明らかにするための研究用試薬等にも応用することが可能である。

0092

さらに、本発明では、上記exc−5遺伝子を用いて、相同性を有するDNAをクローニングすることが可能である。すなわち、上記exc−5遺伝子を用いれば、C.elegans のゲノム、あるいは他の生物のゲノムからexc−5遺伝子と相同性を有する遺伝子を単離することが可能となる。

0093

特に本発明にかかるEXC−5タンパク質は、既知のGEFのように、N末端側にF−アクチンと結合するAB領域やプロリンが多く含まれるPR領域などがなく、独特の構造を有している。したがって、本発明にかかるexc−5遺伝子を用いれば、C.elegans 中や他の生物から未知のGEFを見出すことが可能であると考えられる。

0094

上記exc−5遺伝子を用いたクローニング方法としては、従来公知の方法を利用することが可能であり、特に限定されるものではない。具体的には、たとえばゲノムの少なくとも一部がデータベース化されている生物の場合には、上記exc−5遺伝子の塩基配列に基づいて相同性のある塩基配列をデータベース中から検索すればよい。この場合、汎用されている相同性検索アルゴリズムであるBLAST等を用いて、塩基配列またはアミノ酸配列レベルの相同性検索を実施すればよい。

0095

また、ゲノムがデータベース化されていない生物の場合には、たとえば、従来公知のDNAライブラリーを用いたハイブリダイゼーション法を用いることもできる。具体的には、適切なクローニングベクターを使用して対象となる生物からゲノムライブラリーまたはcDNAライブラリーを調製するステップと、上記exc−5遺伝子の少なくとも一部をプローブとして用いてハイブリダイゼーションを行い、ライブラリーから上記プローブにポジティブの断片を検出するステップとを含む方法を用いることができる。

0096

本発明にかかる上記exc−5遺伝子およびEXC−5タンパク質としては、上述してきた「正常な」遺伝子およびタンパク質以外に、塩基配列またはアミノ酸配列の改変等により、排泄管に形成異常を生じさせる変異遺伝子および変異タンパク質も含まれる。

0097

具体的には、上記変異遺伝子としては、配列番号1に示す塩基配列における塩基の一部を改変したDNAであって、C.elegans 中で発現することにより、排泄管の形成異常を生じさせるexc−5変異遺伝子を挙げることができる。また、上記変異タンパク質としては、配列番号2に示すアミノ酸配列におけるアミノ酸残基の一部を改変させたり、一部のアミノ酸残基またはポリペプチドを欠失させることにより、C.elegans 中で生産させることにより、排泄管の形成異常を生じさせるEXC−5変異タンパク質を挙げることができる。

0098

たとえば本発明にかかる上記exc−5遺伝子は、後述する実施例で説明するように、トランスポゾンタギング法を用いて、トランスポゾンTc1の挿入しやすいC.elegans の変異株NL917 から分離された、排泄管に形成異常を示す表現型を示す変異体km508 、rh232 、n2672からクローニングされたものである。それゆえ、上記各変異体が有するexc−5変異遺伝子および/またはEXC−5変異タンパク質も本発明に含まれる。

0099

具体的には、図3に示すように、変異体km508 が有するexc−5変異遺伝子では、トランスポゾンTc1が15番目のエクソンに挿入されている。より具体的には、トランスポゾンTc1は748番目のアミノ酸Cys に対応するコドンに挿入されている(図4図5・配列番号2参照)。配列番号1および図1図2で示す具体的な塩基配列で表せば、2324番目の塩基A:アデニンと2325番目の塩基T:チミンとの間にトランスポゾンTc1が挿入されていることになる。それゆえ、変異体km508 が有するEXC−5変異タンパク質では、748番目のアミノ酸残基に変異が生じていることになる。

0100

同様に、図3に示すように、変異体rh232 が有するexc−5変異遺伝子では、少なくとも1番目から12番目のエクソンまで欠失している。この変異体rh232 はヌル突然変異であるため、この変異体rh232 が有するEXC−5変異タンパク質は、1〜652番目までのアミノ酸が欠失し(図4・配列番号2参照)、全く機能しないタンパク質であるか、あるいはexc−5変異遺伝子からはEXC−5変異タンパク質が生産されないかの何れかである。

0101

同様に、図3に示すように、変異体n2672が有するexc−5変異遺伝子では、11番目のエクソンに含まれる604番目のアミノ酸Trp に対応するコドン(TGG)がストップコドン(TGA)となるナンセンス変異を生じている(図4図5・配列番号2参照)。それゆえ、この変異体n2672が有するEXC−5変異タンパク質は603番目までのアミノ酸配列しか有さないものとなる。

0102

勿論、本発明にかかるexc−5変異遺伝子およびEXC−5変異タンパク質はこれに限定されるものではなく、C.elegans 中で発現または生産させることで、排泄管に包嚢を生じる形成異常が発生するものであればよい。

0103

このように本発明にかかる遺伝子は、上記exc−5遺伝子に限定されるものではなく、上記EXC−5変異タンパク質をコードするDNA等のポリヌクレオチドも含まれる。さらに、本発明にかかる遺伝子には、配列番号2に示すポリペプチドをコードする、配列番号1の上記DNAとは異なる塩基配列を有するポリヌクレオチドも含まれる。

0104

なお、配列番号2に示すポリペプチドをコードするポリヌクレオチドには、上記ポリペプチドをコードする単一の連続領域、またはイントロンで中断されているような不連続領域を含むポリヌクレオチドが包含される。

0105

なお、本発明における「遺伝子」または「ポリヌクレオチド」には、RNAおよびDNAが含まれるものとする。RNAにはmRNAが含まれ、DNAには、たとえばクローニングや化学合成技術またはそれらの組み合わせで得られるようなDNA、たとえばcDNAやゲノムDNAなどが含まれる。また、DNAは二本鎖でも一本鎖でもよく、一本鎖DNAは、センス鎖となるコードDNAでもよく、アンチセンス鎖となるアンチコード鎖でもよい。

0106

さらに、本発明には、上記exc−5遺伝子が正常に発現しないExc表現型を示すC.elegans も含まれる。すなわち、本発明には、上記exc−5遺伝子が変異したC.elegans 、すなわちC.elegans のゲノムDNAに含まれるexc−5遺伝子を改変することで、排泄管に形成異常が生じるC.elegans も含まれる。

0107

上記Exc表現型を示すC.elegans では、Aarskog-Scott症候群と同様の症状が生じていることになる。それゆえ、上記Exc表現型を示すC.elegans は、ヒト遺伝病Aarskog-Scott 症候群の実験的モデルとなる。そのため、C.elegans をモデル生物として利用することで生体レベルでのAarskog-Scott 症候群の解析が可能となり、Aarskog-Scott 症候群の症状研究の促進や、治療薬剤等の開発等が可能になる。

0108

上記C.elegans の変異体としては、より好ましくは、上記exc−5遺伝子がヌル突然変異するように改変されている変異体、たとえば上記3種類の変異体の中であれば、変異体rh232 を好ましく挙げることができる。

0109

一般に、ターゲットとする遺伝子の機能を解析する場合には、該遺伝子の機能喪失、機能低下、機能増大などの突然変異の表現型を利用するが、特に完全に機能を失ったヌル突然変異の表現型は機能解析に重要とされる。それゆえ、変異体rh232 は、exc−5遺伝子の機能解析や、Aarskog-Scott症候群の好ましいモデルとすることができる。

0110

上記Exc表現型を示すC.elegans の変異体の生産方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の種々の方法を用いることができる。たとえば、本発明では、後述する実施例に示すように、トランスポゾンの挿入などを挙げることができる。

0111

本発明にかかる上記exc−5遺伝子の単離方法(あるいはクローニング方法)としては、特に限定されるものではなく、C.elegans の研究分野で用いられている各種の方法を用いることができる。

0112

具体的には、コスミドレスキュー法、トランスポゾンタギング法、PCR法(DNAの場合)、RT逆転写)−PCR法(RNAの場合)、ハイブリダイゼイション法、相補クローニング法、発現クローニング法などを挙げることができるが特に限定されるものではない。なお、本発明では、実施例で詳述するように、トランスポゾンタギング法を用いて上記exc−5遺伝子をクローニングしている。

0113

本発明にかかる上記exc−5遺伝子およびEXC−5タンパク質、並びにExc表現型を示すC.elegans の変異体は、上述してきたように、C.elegans を用いて、人為的にヒト遺伝病Aarskog-Scott症候群のモデルを構築することができ、それゆえ、Aarskog-Scott 症候群の解析に利用することが可能となっている。そのため、本発明における有望な応用技術としては、Aarskog-Scott 症候群治療薬剤の製造方法を挙げることができる。

0114

具体的には、たとえば、上記Exc表現型の変異体と被検物質とを接触させながら育成することによって、排泄管の形成異常を抑制する作用を有する化合物をスクリーニングする方法(ノーマルスクリーニング方法と称する)や、Exc表現型の変異体に対して、該変異体内で発現可能な遺伝子を導入することによって、exc−5遺伝子の機能を負に制御する優性または劣性抑圧変異をスクリーニングする方法(サプレッサースクリーニング方法と称する)を含む製造方法を挙げることができる。

0115

上記方法によれば、モデル生物であるC.elegans の変異体を用いて、生体レベルでAarskog-Scott症候群治療薬剤となる可能性のある化合物や優性または劣性抑圧変異をスクリーニングすることができるので、Aarskog-Scott 症候群治療薬剤のより一層有効な開発方法を提案することができる。

0116

たとえば、exc−5遺伝子の劣性抑圧変異を単離して、これを元にして治療薬剤を製造する場合について説明する。

0117

まず、exc−5遺伝子の劣性抑圧変異が単離された場合、この変異の原因遺伝子は、本来exc−遺伝子あるいはその下流の因子の機能を負に制御する因子であると考えられる。したがって、上記劣性抑圧変異の原因遺伝子を単離することにより、薬剤治療の具体的なターゲットをこの原因遺伝子に絞り込むことができる。

0118

つまり、上記原因遺伝子を用いれば、この原因遺伝子の機能を抑圧できる薬剤をスクリーニングすることができる。上記原因遺伝子の機能を抑圧できる薬剤は、Aarskog-scott症候群の治療薬になり得る。

0119

また、上記原因遺伝子の生化学的機能がホモロジーなどで類推することができれば、この遺伝子の生化学的機能を抑圧する化合物を従来の生化学的手法を用いてスクリーニングすることができる。より直接的には、アンチセンスRNA等の遺伝子を用いて、exc−5遺伝子の劣性抑圧変異の原因遺伝子の機能をさらに抑圧する手法も用いることも可能である。この場合、上記原因遺伝子のヒトホモログの単離が必要となる。

0120

また、本発明にかかるexc−5遺伝子またはexc−5変異遺伝子は、C.elegans または、その他のホスト中に導入して、EXC−5タンパク質またはEXC−5変異タンパク質を発現させることができる。

0121

導入されたexc−5遺伝子またはexc−5変異遺伝子は、ホスト細胞中でベクターとして存在してもよいし、ホスト細胞のゲノムDNA中に「外部」DNA、又は「付加」DNAとして含まれてもよい。ここで言う「外部」DNAとは、ホスト細胞のゲノム中には天然に存在しないが人為的操作の結果、ホスト細胞のゲノム中に挿入されたDNAを意味する。また上記「付加」DNAとは、特定のホスト細胞のゲノム中に天然に存在するが、人為的操作の結果、さらに追加してホスト細胞のゲノム中に挿入されたDNAを意味する。

0122

上記ベクターの具体的な種類は特に限定されるものではなく、ホスト中で発現可能なベクターを適宜選択すればよい。たとえば、後述する実施例では、C.elegans 中で確実に遺伝子を発現させるために適宜プロモーター配列を選択し、これとexc−5遺伝子を各種プラスミドやコスミドに組み込んだものをベクターとして用いている。さらに、上記ベクターには、プロモーター配列だけでなくターミネーター配列を含めてもよい。

0123

本発明では、exc−5遺伝子またはexc−5変異遺伝子がホストに導入されたか否か、さらにはホスト中で確実に発現しているか否かを確認するために、各種マーカーを用いてもよい。

0124

たとえば、ホスト中で欠失している遺伝子をマーカーとして用い、このマーカーを含むプラスミドを、exc−5遺伝子を含むコスミド等とともにホストに導入する。これによってマーカー遺伝子の発現からexc−5遺伝子の導入を確認することができる。あるいは、オワンクラゲ由来の緑色蛍光タンパク質FP(Green Fluorescent Protein )をマーカーとして用い、EXC−5タンパク質のGFP融合タンパク質を発現させてもよい。

0125

上記ホストとしては、exc−5遺伝子がC.elegans由来であることから、C.elegans を好適に用いることができる。ここでいうC.elegans には、野生型であってもよく各種変異体であってもよい。また、C.elegans 以外の線虫をホストとして用いてもよい。

0126

また、C.elegans のタンパク質は、大腸菌(Escherichia coli)、アフリカツメガエル(Xenopas laevis)の卵母細胞、酵母(出芽酵母Saccharomyces cerevisiaeや分裂酵母Schizosaccharomyces pombe )、各種哺乳動物の培養細胞、あるいは昆虫の培養細胞で発現させることが可能であることが知られている。それゆえ、これらをホストとしてEXC−5タンパク質を生産することもできる。

0127

上述したように、本発明にかかる上記exc−5遺伝子およびEXC−5タンパク質は、Rhoファミリー低分子量Gタンパク質のGEFとして少なくとも機能し、さらには各種の重要な細胞機能にも作用する。それゆえ、本発明にかかるexc−5遺伝子およびEXC−5タンパク質は、それ自体を各種試薬等として利用することが可能である。

0128

たとえば、exc−5遺伝子を形質転換キット化したり、異種発現系大量生産したEXC−5タンパク質を精製したものを、Rhoファミリー低分子量Gタンパク質の機能研究のための研究用試薬、各種細胞機能の解明と理解のための研究用試薬、各種細胞機能が関与する生理機能を検査するための臨床検査薬等として利用することができる。

0129

また、本発明にかかる上記exc−5遺伝子およびEXC−5タンパク質は、Rhoファミリー低分子量Gタンパク質が関与する各種細胞機能の異常に伴う各種疾患の治療薬剤等の開発などに利用することも可能である。つまり、本発明にかかるexc−5遺伝子またはEXC−5タンパク質を利用すれば、C.elegansを用いて、上記各種疾患を遺伝子治療やGEFを用いて治療するモデルを確立できる可能性がある。このように、本発明は、Aarskog-Scott症候群のみならず、その他の疾患を治療するための新たな各種治療薬剤の開発に役立てることが可能である。

0130

このように、本発明にかかるexc−5遺伝子は、C.elegans の分泌系器官に含まれる排泄管構造の形成に必要であり、本発明にかかるEXC−5タンパク質は、Rhoファミリー低分子量Gタンパク質のGEFとして機能する。そのため、exc−5遺伝子およびEXC−5タンパク質は、C.elegans において、Rhoファミリー低分子量Gタンパク質の活性化を通して、頂膜表面の細胞骨格の極性を制御することにより、排泄管構造の形成を促進している可能性を示す。

0131

それゆえ本発明におけるexc−5遺伝子およびEXC−5タンパク質の機能を解明することで、器官形成におけるGEF−低分子量Gタンパク質の機能カスケードの理解につながり、情報伝達におけるGEFの機能・作用などの研究に応用できると考えられる。したがって、本発明は、Rhoファミリー低分子量Gタンパク質の研究用試薬や、Rhoファミリー低分子量Gタンパク質が関与する生理現象に関する各種医薬品等の開発に利用することができる。

0132

また、上記EXC−5タンパク質は、ヒト遺伝病Aarskog-Scott症候群の原因遺伝子であるFGD1遺伝子と類似する基本構造を有しており、GEF機能を有していることも共通している。それゆえ、本発明は、FGD1タンパク質の機能・作用の研究等を通じて、Aarskog-Scott 症候群の治療薬剤等の開発に利用することができる。

0133

次に、本発明にかかるexc−5遺伝子をC.elegans から取得した具体的な方法、および本発明にかかるEXC−5タンパク質のC.elegans 内での発現、並びに、exc−5遺伝子の変異によりC.elegans の排泄管に形成異常が生じる場合について、図9ないし図12に基づいて、より詳細に説明する。なお、本発明は、これに限定されるものではない。

0134

まず、以下に述べるようにして、C.elegans (特に排泄管やその断面)を観察した。

0135

〔C.elegans の観察〕雌雄同体(hermaphrodite )のC.elegans を、Plan 63対物レンズノマルスキー微分干渉光学系とを備えたZeiss(登録商標)Axioplan顕微鏡DIC)により観察した。画像はMacintosh G3(Apple computer)に接続したC5810 ColorChilled 3-CCDカメラ浜松ホトクス)により取り込んだ。

0136

〔電子顕微鏡による排泄管断面の観察〕L4期幼虫または若い成虫を体長の中央部で切断し、この切断体を即座に3%グルタルアルデヒドバッファー( 199mMHEPES,pH7.5 )で固定し、1%OsO4 で処理した。その後、上記切断体を1%寒天に埋めた後に脱水し、ポリベッド(登録商標)812樹脂(Polybed 812 resin, Polysciences )に埋め込んだ。そして、該切断体の70nm間隔連続切片を作成し、これをクエン酸鉛に続き酢酸ウランで染色して、電子顕微鏡観察用サンプルとした。

0137

次に、以下に述べるようにして、C.elegans からexc−5遺伝子をクローニングした。

0138

トランスポゾン挿入により排泄管に形成異常を生じる変異体の取得〕トランスポゾンTc1で突然変異させたC.elegans の変異株NL917 株(mut−7(pk204 )変異株)12,000匹から、視覚によるスクリーニングで、排泄管の形成異常を生じる変異体を複数分離した。その中のひとつの変異体km508は、排泄管が短くなっており、しかも排泄管の先端に非常に大きな包嚢を生じていた(図9(b)参照)。なお、この表現型を前述したようにExc表現型と称する。

0139

〔形成異常の原因となる遺伝子のマッピング〕上記変異体km508 について、PCRSTSマッピング(文献6:B.D.Williams et al., Genetics, 131, 609-624, 1992 )を実施したところ、既知のC.elegans の6つの連鎖群I,II,III, IV, V, Xのうちの連鎖群IVの右側の部位(連鎖群IVのstp44とstp4との間)にマップされた。

0140

マッピング結果の確認〕上記マッピングによってマップされた連鎖群IVの右側の部位には、exc−5遺伝子(文献7:M.Buechner et al.,EMBO J., 14, 1858-1866, 1999 )がマップされていた。このexc−5遺伝子は、Buechnerらによって、排泄管に包嚢を生じる変異体のスクリーニングにより分離されたものである。

0141

つまり、PCR−STSマッピングによって、上記変異体km508 におけるExc表現型の原因となる遺伝子が、すでにマップされていたexc−5遺伝子の位置に一致すること、上記exc−5遺伝子の変異による表現型が、上記Exc表現型と一致すること、確認のため、exc−5遺伝子のヌル突然変異である変異体rh232 (ヌル変異体rh232 と略す)を得た上で相補性テストを実施したが、変異体km508 ではヌル変異体rh232 を相補できなかったことから、exc−5遺伝子内に上記変異体km508 の原因となる変異があることが明らかとなった。

0142

〔exc−5遺伝子の塩基配列決定〕exc−5遺伝子に相当するゲノム配列は、トランスポゾンタギング法(Henri van Luene とRonald Plasterk によるトランスポゾンディスプレイ法)により同定した。変異体km508 に特異的なトランスポゾンTc1の挿入は、C. elegans sequencing consortiumによりC33D9.1と予想された遺伝子に見られた。

0143

さらに、確認のため、C33D9.1遺伝子を変異体に導入するレスキュー実験を行った。その結果、C33D9.1遺伝子と発現を制御する領域とを含む13.7kbのゲノムDNAのサブクローン、およびC33D9遺伝子(C33D9.1遺伝子を含む領域)とW07F6遺伝子との二つのコスミドを混合したサブクローンのそれぞれが、ヌル変異体rh232 のExc表現型を野生型に回復することができた(後述する実施例1参照)。

0144

次に、上記変異体km508 およびヌル変異体rh232 と、これら変異体と同じくExc表現型を示す変異体n2672の計3種類を用いて、これら変異体から得られるアリール(allele)のゲノムDNAから、クローニングしたexc−5遺伝子の塩基配列を決定した。なお、上記3種類の変異体を用いた理由は、クローニングしたexc−5遺伝子の正確な塩基配列を決定するためである。

0145

また、exc−5遺伝子は、mRNAの5’末端の解析(5'RACE法)で単離したが、この5'RACE法は、5'RACE System for Rapid Amplification ofcDNAEnds(Life Technologies)により実施した。さらに、各変異体の変異部位については、上記各変異体のexc−5遺伝子全体のPCR産物直接シーケンスすることにより同定した。

0146

その結果、前述したように、exc−5遺伝子は、15のエクソンからなり(図3参照)、826のアミノ酸からなるEXC−5タンパク質をコードすることが明らかとなった(図4参照)。

0147

また、上記変異部位の同定の結果、変異体km508 が有する変異exc−5遺伝子では、トランスポゾンTc1が748番目のアミノ酸Cys に対応するコドンに挿入されていた。また、ヌル変異体rh232 が有する変異exc−5遺伝子では、少なくとも1番目から12番目のエクソンまで欠失していた。さらに、変異体n2672が有する変異exc−5遺伝子では、604番目のアミノ酸Trp に対応するコドン(TGG)がストップコドン(TGA)となっており、ナンセンス変異であった(何れも図3参照)。

0148

次に、以下に示す野生型および/または変異体のC.elegans を準備した上で、以下に述べるようにして各種組換え遺伝子を作成し、この組換え遺伝子を野生型および/または変異体のC.elegans に対してそれぞれ導入(インジェクション・形質転換)した。

0149

〔組換え遺伝子が導入されるC.elegans の種類〕後述する組換え遺伝子を導入するホストのC.elegans として、上記変異体km508 、ヌル変異体rh232 、変異体n2672を含む、以下の表2に示す各種変異体を用いた。

0150

0151

なお、表2に示す野生型変異体e2498は、排泄管の形状は正常(排泄管の表現型は野生型)であるが、unc−119 遺伝子が変異しているため運動異常表現型(あるいは非強調的運動表現型、uncoordinated movement)を示すものである。また、説明の便宜上、exc−5(rh232);mig−2(gm38)二重変異体を表2に示すように二重変異体EMと略称する。

0152

さらに、発明の実施の形態で説明したように、mig−2遺伝子は、C.elegans で発見されているRhoファミリー低分子量Gタンパク質の一つであるMIG−2タンパク質をコードする遺伝子であるが、このmig−2遺伝子の活性型変異体である変異体gm38と、ヌル突然変異体mu28は、何れも文献8(I.D.Zipkin et al., Cell, 90, 883-894, 1997)によるものである。

0153

また、その他のC.elegans の変異体は、何れもCGC(the Caenorhabditis Genetics Center, University of Minnesota, 1145 Gortner Avenue, St. Paul,Minnesota 55108-1095, USA )より提供された。

0154

〔組換え遺伝子の作成とC.elegans への遺伝子導入方法〕遺伝子の組換え方法、並びにC.elegans への導入方法形質転換方法)は従来公知の方法を用いた。

0155

なお、後述する組換え遺伝子の作成に用いた各種DNAのうち、exc−5遺伝子を含むDNAは、前述したクローニング過程で得られたものを用いた。また、各種プラスミドのうち、pEF1αおよびsek−1遺伝子は、文献9(M.Kawasaki et al.,EMBO J., 18, 3604-3615, 1999 )によるものであり、rol−6d 遺伝子は、文献10(C.C.Mello et al., EMBO J., 10, 3959-3970, 1992)によるものである。さらに、pPD95.75由来のGFP(Green Fluorescent Protein ,オワンクラゲ由来の緑色蛍光タンパク質)をコードする遺伝子(GFP遺伝子と称する)は、A.Fire(Andrew Fire, Carnegie Institution of Washington, Department of Embryology, 115 West University Parkway, Boltimore, MD21210, USA )より提供された。

0156

〔EXC−5タンパク質と相互作用するタンパク質の検索〕EXC−5タンパク質と相互作用するタンパク質をスクリーニングするために、出芽酵母Saccharomyces cerevisiaeを用いてYeast two-hybrid法を実施した(たとえば文献11:Durfee et al., Genes Dev., 7, 555-569, 1993 参照)。

0157

〔実施例1〕前述したexc−5遺伝子のクローニングの過程で実施した、C33D9.1遺伝子を変異体に導入するレスキュー実験について具体的に説明する。

0158

まず、上記C33D9.1遺伝子を含むSalI-PstI 断片を切り出し、この断片をpBSII KS(−)ベクターのSalI-PstI 部位に挿入して、pEXC−5プラスミドを作成した。このpEXC−5プラスミドは、exc−5遺伝子のコード部位および全てのイントロンと、12.5kbの上流配列と、1kbの下流配列とを含んでおり、実質的に上記C33D9.1遺伝子のみを含むプラスミドである。

0159

上記pEXC−5プラスミドを、EF1α(延長因子1のαサブユニットプロモータとGFP遺伝子とを含むpEF1αプラスミドとともに、ヌル変異体rh232 に導入した。その結果、ヌル変異体rh232 のExc表現型を野生型に回復することができた。

0160

また、上記C33D9.1遺伝子を含むC33D9遺伝子とW07F6遺伝子との二つのコスミドを混合したサブクローンについても、同様にヌル変異体rh232 に導入したが、この場合でもExc表現型を野生型に回復することができた。

0161

〔実施例2〕C.elegans のExc表現型を示す排泄管の形状を明確に可視化して観察するために、GFPタンパク質を排泄管で特異的に発現させるベクターを作成して、変異体km508 に導入した。

0162

具体的には、MAPキナーゼをコードするsek−1遺伝子は、C.elegansの排泄管で特異的に発現するという実験結果が得られているため、プロモーターとして、このsek−1プロモーターを用い、その下流にGFP遺伝子を接続したsek−1::GFP遺伝子のコスミド(sec−1::GFPコスミドと称する)を作成した。

0163

そして、このsec−1::GFPコスミドを、形質転換のマーカー遺伝子rol−6d 遺伝子を含むpRF4(rol−6d )プラスミドとともに、変異体km508 に導入してGFPタンパク質の発現を観察した。その結果を図9(b)に示す。

0164

〔比較例1〕C.elegans の正常な排泄管の形状を明確に可視化して観察するために、GFPタンパク質を排泄管で特異的に発現させるベクターを作成して、野生型変異体e2498に導入した。

0165

すなわち、形質転換のマーカー遺伝子としてunc−119 遺伝子を有するpDP#MM016 B(unc−119 )プラスミドを用いた以外は、上記実施例2と同様にして、sec−1::GFPコスミドを、pDP#MM016 B(unc−119)プラスミドとともに野生型変異体e2498に導入してGFPタンパク質の発現を観察した。その結果を図9(a)に示す。

0166

なお、図9(a)〜(d)では、図中線で囲んだ網かけ領域でGFPタンパク質が緑色の蛍光を発色している。また、排泄管(前半部)を矢頭で示し、水泡状の包嚢を矢印で示し、スケールバーは20μmを示す。

0167

上記実施例2および比較例1の結果から明らかなように、野生型変異体e2498では、排泄管は十分に伸長しており何ら形成異常を生じていない(図9(a)参照)が、変異体km508 では、exc−5遺伝子の発現に異常が生じているため、上記排泄管に水泡状の包嚢が生じ、排泄管が正常に伸長していない。

0168

〔実施例3〕上記実施例2と同じくExc表現型を示す排泄管の形状を可視化するためと、後述する実施例4のコントロールとするために、上記実施例2と同様にして、sec−1::GFPコスミドおよびpRF4(rol−6d )プラスミドをヌル変異体rh232 に導入してGFPタンパク質の発現を観察した。その結果を図9(c)に示す。

0169

〔実施例4〕EXC−5タンパク質がRhoファミリー低分子量Gタンパク質のGEFとして作用するか否かを調べるために、exc−5遺伝子とmig−2遺伝子との遺伝学的相互作用を調べた。

0170

具体的には、まず、exc−5遺伝子のヌル変異体rh232 とmig−2遺伝子の活性型変異体gm38の二重変異体EM(表2参照)を作成した上で、上記実施例2と同様にして、sec−1::GFPコスミドおよびpRF4プラスミドを二重変異体EMに導入して、排泄管の形状をGFPタンパク質で可視化した。その結果を図9(d)に示す。

0171

なお、図9(c)・(d)では、陰門をVuで示す。さらに、図9(d)の左図は図9(c)などと同様の倍率で排泄管を撮影したものであり、同右図は左図よりも高倍率で排泄管を撮影したものである。

0172

〔比較例2〕上述した実施例4のコントロールとするために、上記実施例2と同様にして、sec−1::GFPコスミドおよびpRF4(rol−6d )プラスミドをヌル変異体mu28に導入した。その結果、図示しないが、排泄管には形成異常は生じず、正常な野生型を示した。

0173

上記各実施例の結果を見れば、まず、ヌル変異体rh232 では、変異体km508 と同様に、排泄管に包嚢が生じて正常に伸長していない(図9(c)1参照)。これに対して、二重変異体EMでも、ヌル変異体rh232 と同様に排泄管に包嚢(図9(d)中の矢印)を生じているものの、ヌル突然体rh232 に比べて、排泄管の後半部はより長く伸長しており、包嚢も非常に小さくなっていた。

0174

すなわち、ヌル変異体rh232 では、GEFと推測される機能を有するEXC−5タンパク質を全く生産しないため、排泄管に形成異常が生じる。ところが、exc−5遺伝子のヌル変異にmig−2遺伝子の活性型変異を組み合わせると、排泄管に形成異常(Exc表現型)が部分的に抑圧された。したがって、上記実施例3および実施例4の結果から、GEF(EXC−5タンパク質)が機能しなくても、Rhoファミリー低分子量Gタンパク質の1種であるMIG−2タンパク質の生産が活性化されるため、排泄管に形成異常が抑制されることが示唆される。

0175

それゆえ、排泄管構造を形成する上で、EXC−5タンパク質がRhoファミリー低分子量Gタンパク質のGEFとして機能することが支持された。

0176

ただし比較例2の結果から明らかなように、mig−2遺伝子のヌル変異体mu28の排泄管は正常な形状を有している。それゆえ、C.elegans の排泄管構造の形成を制御するRhoファミリー低分子量Gタンパク質、つまりEXC−5タンパク質の標的となるRhoファミリー低分子量Gタンパク質としては、さらに別のタンパク質が存在することが示唆される。

0177

〔実施例5〕C.elegans 中にて、exc−5遺伝子の発現する部位を可視化して観察するために、EXC−5タンパク質のGFP融合タンパク質(以下、EXC−5=GFP融合タンパク質と略す)を生産するベクターを作成して、変異体km508 に導入した。

0178

具体的には、まず、上記W07F6遺伝子およびC33D9遺伝子との2つのコスミドクローンに由来する12.6kbの断片を切り出した。また、pPD95.75プラスミド(A.Fireより)由来のGFP遺伝子と、C.elegans のunc−54遺伝子の3'−UTR(3'−非翻訳領域)とを含むSalI-BamHI断片を切り出した。そして、これら各断片を合成オリゴヌクレオチドを用いることで接続し、exc−5::GFP遺伝子のコスミド(exc−5::GFPコスミドと称する)を得た。

0179

このexc−5::GFPコスミドは、exc−5遺伝子の上流配列( 7.2kb)と、exc−5遺伝子のコード領域および全てのイントロン( 5.3kb)とを含む。

0180

そして、上記実施例2と同様にして、上記exc−5::GFPコスミドおよびpRF4プラスミドを変異体km508 に導入した。その結果を図10(a)に示す。なお、図10(a)〜(e)では、図9(a)〜(d)同様、図中線で囲んだ網かけ領域でGFPタンパク質が緑色の蛍光を発色しており、ドット状の蛍光(白点)は、腸顆粒自家蛍光によるものである。特に図10(d)の下図では、背景都合上、白線で周囲を囲んでいる。また図10(a)では、変異体km508 の腹側から見た状態を示している。さらに図10(a)における左図が右図のモデル図であり、pharynx が咽頭を、excretory canal が排泄管を、intestine が腸を示す。

0181

上記実施例5の結果では、明確に図示しないが、上記exc−5::GFPコスミドの導入により、変異体km508のExc表現型を野生型に回復することが可能であった。それゆえ、exc−5::GFPコスミドが、exc−5遺伝子の活性に必要な全ての細胞で発現可能であることが示唆された。さらに、図10(a)から明らかなように、排泄管でGFPタンパク質の存在を示す緑色の蛍光(図では線で囲んだ網かけ領域)が見られるため、EXC−5タンパク質が排泄管の形成に作用する知見と一致した。

0182

なお、上記EXC−5タンパク質の生産(EXC−5=GFP融合タンパク質の生産)は、排泄管だけでなく、咽頭筋直腸上皮細胞でも見られ、一部の個体では、頭部や尾部でも発現が見られた。

0183

〔実施例6〕後述する実施例7のコントロールとするために、exc−5遺伝子のプロモーターと予想される領域をGFP遺伝子につなげたコントロールベクターを作成して、野生型変異体e2498に導入した。

0184

具体的には、まず、exc−5遺伝子のプロモーターと予想される領域(exc−5 5' と称する)とGFP遺伝子とを接続し、exc−5 5':: GFP遺伝子のコスミド(exc−5 5':: GFPコスミドと称する)を作成した。

0185

そして、このexc−5 5':: GFPコスミドを、ホスト内で多コピー有するように、前記比較例1で用いたpDP#MM016 B(unc−119 )プラスミドとともに、野生型変異体e2498に導入した。したがって、形質転換された野生型変異体e2498内では、exc−5遺伝子のプロモーターによりGFPタンパク質が過剰生産されることになる。その結果を図10(b)に示す。

0186

なお、図10(b)に示すのはL1期幼虫であり、排泄管(前半部)を矢頭で示し、咽頭をPhで示し、生殖腺をGoで示す。また、スケールバーは20μmを示す。さらに排泄管に沿ったGFPタンパク質の発現を示すため、咽頭近傍での強いGFPタンパク質の発現が被っている。

0187

〔実施例7〕C.elegans において、排泄管構造を形成する際に、EXC−5タンパク質が過剰に発現する場合の影響を調べるために、上記実施例6と同様にして、上記実施例5で用いたexc−5::GFPコスミドと、pDP#MM016 B(unc−119 )プラスミドとを野生型変異体e2498に導入した。したがって、形質転換された野生型変異体e2498内では、EXC−5=GFP融合タンパク質が過剰生産されることになる。

0188

本実施例の結果のうち、L1期幼虫の側面から見た排泄管を図10(c)に示し、L4期幼虫の排泄管を図10(d)に示し、L4期幼虫のうち、排泄細胞でのみEXC−5=GFP融合タンパク質を発現するモザイク個体における排泄管を図10(e)に示す。

0189

なお、図10(c)〜(e)では、排泄管を矢頭で示し、咽頭をPhで示し、生殖腺をGoで示し、スケールバーは20μmを示す。また図10(c)における上図はノマルスキー型微分干渉顕微鏡像であり、下図は上図に対応する蛍光顕微鏡像である。さらに、図10(e)における中央図は左図の高倍率像であり、右図は、中央図のモデル図である。加えて、図10(e)における矢印は、排泄管と個体の表面とをつなぐ細孔細胞(pore cell )を示す。また図10(e)右図におけるduct cell はダクト細胞を、ductはダクトを、poreは細孔を、nucleus は核を、cuticle は角皮を、apical tubule は頂膜小管を、excretory cellは排泄細胞を、excretory gland は排泄を示す。

0190

上記実施例6および実施例7の結果から明らかなように、何れも、上記実施例5と同様に、排泄管でEXC−5=GFP融合タンパク質の存在を示す緑色の蛍光が見られた(図10(b)〜(d)参照)。

0191

一方、実施例6の結果では、図10(b)に示すように、L1期幼虫で排泄管の後半部はV6細胞まで達するまで伸長するが、実施例7の結果では、図10(c)に示すように、V1細胞とV2細胞との間で排泄管の後半部の伸長が停止している。しかも、実施例7の結果では、図10(d)に示すように、L4期幼虫まで成長しても、排泄管の後半部は非常に短かい上に、渦巻き型の管状の構造となっている。

0192

つまり、野生型変異体e2498が、exc−5 5':: GFPコスミドを多コピー有する場合、GFPタンパク質は過剰発現してもEXC−5タンパク質は過剰発現しないため、排泄管構造は正常に形成される。これに対して、野生型変異体e2498が、exc−5::GFPコスミドを多コピー有する場合、排泄管構造は正常に形成されず、L4期幼虫の排泄細胞では、排泄管が渦巻状に短くなる。なお、EXC−5=GFP融合タンパク質の発現は細胞の管腔側(頂膜表面) で強く見られた。

0193

さらに、上記モザイク個体では、図示しないが、基底膜に結合するβ1インテグリンの発現が排泄細胞で欠失しているモザイク個体と同様に、排泄管が短い表現型を示す。しかも、このモザイク個体では、排泄細胞は、図10(e)に示すように包嚢の生じない大きな細胞体となるが、EXC−5=GFP融合タンパク質におけるGFPタンパク質の蛍光は、管腔が渦巻状の構造を示すように、排泄細胞の中心(頂膜側の表面)のみで見られた。

0194

ここで、図示しないが、排泄管以外でEXC−5=GFP融合タンパク質を発現するモザイク個体は正常な排泄管構造を有している。そのため、C.elegans においてEXC−5タンパク質が過剰発現することは、排泄管構造の形成異常に対して細胞自立的に作用していることが示唆される。

0195

また、mig−2活性型の変異体mg38では、図示しないが、排泄管に形成異常は生じず、正常な野生型を示しているのに対して、上記実施例7の結果のように、exc−5遺伝子が過剰発現すれば、排泄管に形成上が生じる。それゆえ、exc−5遺伝子の過剰発現により引き起こされる渦巻状排泄管の表現型は、EXC−5タンパク質におけるGEF機能だけでなく、それ以外の機能が作用することにより引き起こされる可能性も示唆される。

0196

事実、EXC−5タンパク質と相同性を有するフラビンは、Rhoファミリー低分子量Gタンパク質Cdc42タンパク質の活性化だけでなく、F−アクチンへの結合活性があり、何れも微突起の形成に必要となっている。

0197

〔実施例8〕上記各変異体の排泄管の断面を電子顕微鏡により観察して比較した。

0198

具体的には、野生型変異体e2498(比較例1参照)、ヌル変異体rh232 (実施例3参照)、EXC−5=GFP融合タンパク質を過剰発現する野生型変異体e2498(実施例7参照)について、それぞれ前述したように電子顕微鏡観察用のサンプルを作成して、その断面を観察した。

0199

野生型変異体e2498における正常な排泄管の前半部断面を図11(a)に、ヌル変異体rh232 における排泄管の包嚢が生じている部位の断面を図11(b)に、EXC−5=GFP融合タンパク質を過剰発現する野生型変異体e2498における排泄管が短くなった部分の断面を図11(c)に示す。なお、図11(a)〜(c)においては、管腔(lumen )を矢印およびluで示し、電子密度の高い物質を矢頭で示す。また、各図は、何れも側膜側を上にした横断面を示し、スケールバーは1μm を示す。

0200

図11(a)に示すように、上記野生型変異体e2498における排泄管では、中心にある管腔を囲む頂膜の細胞質側の表面が電子密度の高い物質に覆われている。この電子密度の高い物質は、F−アクチンを主とする細胞骨格物質と考えられる。

0201

これに対して、ヌル変異体rh232 では、exc−5遺伝子がヌル突然変異しているため、排泄管に水泡状の包嚢が生じているが、この包嚢においては、図11(b)に示すように、管腔が非常に膨張しており、しかも、頂膜表面に存在する上記電子密度の高い物質(細胞骨格物質)は不均一に分布しており、管腔を均等に覆っておらず、細胞骨格が崩壊しているように見える。

0202

上記ヌル変異体rh232 における排泄管の形成異常は、細胞の形を決める頂膜の細胞骨格の異常と合致している。したがって、上記の観察結果は、EXC−5タンパク質が、頂膜の上皮表面に細胞骨格を正しく配置するために必要である可能性を示唆している。

0203

さらに、EXC−5=GFP融合タンパク質を過剰発現している野生型変異体e2498では、実施例7で述べたように、正常な場合と比較すると、排泄細胞が非常に大きくなっており、かつ排泄管内で管腔が渦巻状になっている。それゆえ、図11(c)に示すように、排泄管の断面には複数の管腔(図では3つ)が見られる。また、細管(canaliculi)は、正常な野生型変異体e2498の排泄管と比較すれば、より長くなっており、さらに、排泄管は基底膜に結合していない。

0204

しかしながら、ヌル変異体rh232 の排泄管と比較すると、管腔そのものの構造は正常で、電子密度の高い物質(細胞骨格物質)に均等に覆われており、細胞骨格に異常は見られない。

0205

したがって、EXC−5タンパク質が過剰発現した場合の排泄管では、頂膜表面の構造は正常となるものの、該排泄管の伸長においては、側底膜のタンパク質の機能が必要とすることが知られているため、排泄管が伸長できず、渦巻状になることを示している。

0206

〔実施例9〕ラット(Rattus norvegicusalbinus)のフラビンは、DH相同領域から第2のPH相同領域を含むC末端側でEXC−5タンパク質と高い相同性を示すが、N末端側での相同性は低くなっている(図5参照)。上記フラビンのN末端には、F−アクチンと結合するAB領域が存在するが、EXC−5タンパク質にはAB領域に対応する領域は存在せず、直接F−アクチンと結合する現象は見られなかった。

0207

しかしながら、上記実施例8の結果から、EXC−5タンパク質がフラビンと同様にF−アクチンと相互作用することが示唆されるため、EXC−5タンパク質は、他のタンパク質を介してF−アクチンと結合することが考えられた。

0208

そこで、EXC−5タンパク質と相互作用するタンパク質をYeast two-hybrid法によりスクリーニングした。その結果、ハエ(Drosophila melanogaster )のF−アクチン結合タンパク質として知られるkelch タンパク質と相同性を示すKEL−2タンパク質(およびこれをコードするkel−2遺伝子)が得られた。

0209

さらに、EXC−5タンパク質に含まれる種々の領域を欠失するexc−5変異遺伝子を複数作成して、Yeast two-hybrid法によりKEL−2タンパク質とEXC−5タンパク質との相互作用を調べた。

0210

具体的には、図12に示すように、正常なEXC−5タンパク質、N末端側の領域のみを欠失するEXC−5変異タンパク質、DH−PH領域のみを有するEXC−5変異タンパク質、第2のPH領域のみを有するEXC−5変異タンパク質、N末端側の領域のみを有するEXC−5変異タンパク質を得て、これら各タンパク質とKEL−2タンパク質との相互作用を調べ、EXC−5タンパク質のどの領域がKEL−2タンパク質と結合するのかを調べた。その結果を図21における各タンパク質構造の模式図の左側に示す。

0211

KEL−2タンパク質と相互作用を示す(図中「+」)のは、正常なEXC−5タンパク質と、N末端側の領域のみを有するEXC−5変異タンパク質のみであり、他のタンパク質は何れもKEL−2タンパク質と相互作用を示さなかった(図中「−」)。それゆえ、KEL−2タンパク質は、EXC−5タンパク質のN末端と結合することが分かった。

発明の効果

0212

さらに図示しないが、EXC−5タンパク質とKEL−2タンパク質との相互作用を確認するために、培養細胞293細胞を用いてこれらタンパク質の相互作用を調べた。しかしながら、上記293細胞中では、これらタンパク質の相互作用は見られなかった。それゆえ、EXC−5タンパク質が実際に相互作用するタンパク質は、KEL−2タンパク質ではなく、KEL−2タンパク質と相同性を有する別のタンパク質であることが示唆される。

0213

以上のように、本発明にかかる遺伝子は、C.elegans から単離された新規な遺伝子であって、Rhoファミリー低分子量Gタンパク質に結合するGTPをGDPに交換するグアニン塩基交換因子となるタンパク質をコードするexc−5遺伝子であり、配列番号1に示す塩基配列を有するcDNAである。このexc−5遺伝子は、その一部を改変した状態でC.elegans 中にて発現させることで、排泄管の形成異常を生じさせる。

0214

また、本発明にかかるEXC−5遺伝子は、上記exc−5遺伝子にコードされており、Rhoファミリー低分子量Gタンパク質に結合するGTPをGDPに交換するグアニン塩基交換因子(GEF)となるEXC−5タンパク質をコードしている。すなわち本発明にかかるEXC−5タンパク質は、配列番号2に示すアミノ酸配列を有するタンパク質である。

0215

それゆえ上記構成では、ヒト遺伝病Aarskog-Scott症候群の実験的モデルを得ることができるため、C.elegans を用いた生体レベルでのAarskog-Scott 症候群の解析が可能となる。その結果、Aarskog-Scott 症候群の症状研究の促進や、治療薬剤等の開発等が可能になるという効果を奏する。

0216

また、上記Rhoファミリー低分子量Gタンパク質は、動物細胞の重要な細胞機能に深く関与する必須のシグナルトランスデューサーであることが知られている。それゆえ、上記構成では、Aarskog-Scott症候群の研究だけでなく、上記Rhoファミリー低分子量Gタンパク質の機能研究のための研究用試薬等の開発や、上記細胞機能の解明と理解のための研究用試薬、さらには、上記細胞機能が関与する生理機能を検査するための臨床検査薬や、上記細胞機能の異常に伴う各種疾患の治療薬剤等の開発にも利用することが可能となるという効果を奏する。

0217

本発明には、上記exc−5遺伝子およびEXC−5タンパク質を改変したexc−5変異遺伝子およびEXC−5変異タンパク質も含まれる。また、本発明には、上記3つの変異体を含むexc−5遺伝子が変異したC.elegans 、すなわちゲノムDNAに含まれるexc−5遺伝子を、排泄管に形成異常が生じるように改変したC.elegans も含まれる。上記C.elegans の変異体としては、上記exc−5遺伝子がヌル突然変異するように改変されている変異体が好ましい。

0218

本発明においては、上述したように、exc−5遺伝子およびEXC−5タンパク質、並びにexc−5遺伝子の機能が不全となっているC.elegans を、Aarskog-Scott症候群の解析に利用することが可能となっている。それゆえ本発明における有望な応用技術としては、Aarskog-Scott 症候群治療薬剤の製造方法を挙げることができる。

0219

上記方法によれば、モデル生物であるC.elegans の変異体を用いて、生体レベルでAarskog-Scott症候群治療薬剤となる可能性のある化合物やサプレッサーをスクリーニングすることができるので、Aarskog-Scott 症候群治療薬剤のより一層有効な開発方法を提案することができるという効果を奏する。

図面の簡単な説明

0220

SEQUENCE LISTING
<110> Japan Science and Technology Corporation
<120>線虫Caenorhabditis elegans由来のRhoファミリー低分子量Gタンパク
質の活性を制御する遺伝子およびそれにコードされるタンパク質、並びにその利
用方法
<130> P130604
<160> 2
<170> PatentIn Ver. 2.1
<210> 1
<211> 2922
<212>cDNA
<213> Caenorhabditis elegans
<400> 1
gaccacaatc gaacgagtgg aacgactttg tgccatcttt tttggctccg aagatgtcat 60
cgttggtaca attaccgtcc caaccatcat ctgcttttca attggacttt gatgcggttc 120
gcaattttca gaatgtgccg cccgttgatt tagaaggggg aacgttgatt gatgctaccg 180
aggaagaaga gatcgatcca gtagacggtt gtactgtaag agtattcaca taccgtattc 240
tatcagccga cgaaatggaa gaactcacga aaacagttcg gcaaaaaatt aaatttgact 300
gtactcaaac gatgcgaagt cttaaaatga ttggatcaga agctaatgtt gttgaaaaaa 360
gccaacgaat aagtggagat atcaaaggaa tgaaaccaat cgagttttca aataattcaa 420
aacaaatttg cttggatcaa catagtttgc aactggatcc taacgatgaa caggaccaac 480
agatttctcg tgttttgaat caagttccaa atacattcat gagtttgttg agccgggaaa 540
aggatatgtt tgtaaaatta tatccagagc tgtttgaaaa aatgaggaca gagtcctcat 600
taataccatc aactactacg gaaatcataa caaatcctga tggatcaaca acaacaagag 660
tgaaaagtag taaatcttat agctctcact tctcccgcca agagacttat gtaaatggtg 720
taaaaaagat gtcaaaaagc aagtttcgtg catttgttga gtacaagggc ccggatggtg 780
gattccaagt gaaattatca gatggagatg aatttgaatt atcagaagat gaacaagaag 840
atgatgatac aagcctaagt caatcatgtt attctgaaat tgattcggaa tctgatatta 900
ctggtccatc accaaaaact gatttggata agagatatca aaaagcttgg tatgcggcaa 960
aagagctggt ggatagtgag cagagatatg tggacaagtt gaaacttctt ggtgatactt 1020
tccgaaatcg gttaatcaaa gaagaactca tcacaaatga caaaataact cgacttcttg 1080
ccaatgtgtc atcattatac caatttcata atacgcattt ccttccgcaa ctattggaat 1140
ctatcagaga ctggcacaca accaaaagaa tcgccaatgt tgttcgaaaa caagctccgt 1200
tcctcaaaat gtattcagaa tacacgaata actacgatag agccacgaaa ctatttgaag 1260
aactgaaaaa gaagaaaaag tttgcagatg tagttaagga aattgaaaag caagcagagt 1320
gtgaaggtct tccacttgga catcatttaa tttgtccagt acagagagta atgagatatc 1380
aattattatt acaagaatat aagaaacatc ttcaaccgag tgatgttgat tttgatgata 1440
ctacggtagc tttggaattg gtattacaag cagctgcaca tgcaaatgaa atgatgaaaa 1500
aattggatcg atttgggaaa gtgattgaag ttcaggaaca gctaggcaac tcaatatctc 1560
tagtatcccc aggacgcgaa cttctcaaat ctggatcagt tcaaaaaatc tcatcgacaa 1620
ctgagaaaac cgaggaacga ttcatattct tgtttaatga tttagtaatt ttggcgagtg 1680
aacgaaagat gattggagtc tccaagtaca agttgagagc agttttcagt gcttctcata 1740
tgcaggtttg tgaaggagat aatttggagc gtgagcactc attttaccta agaggatccg 1800
atggaactgg tccaaagaga tgtgttgaac tgttcactcc aacacaaaaa gagaaaaatg 1860
attgggttga ttcgattttc tcaatcatag atgaagctaa agctcacagt ctaactttta 1920
cttcaagctc gagaagttct ataagcgaaa acaacaataa ttcaattgaa tcgaaacact 1980
gcgctgattg tgatattgaa tttgggttcc tatcacgggg ttcgaaatgt gtcaaatgca 2040
gtcgtcgtct ctgtaaaaaa tgttttggtc gtcgcagaaa tgagtcgaaa aagcacagaa 2100
tatgtgatac atgcaccaaa aatatggatc tagatggaat tccaagaagc ttttcaactc 2160
aaagtaatat gcgaaggaat cttcttcaac taccagctaa gggttcagga gtattgcatt 2220
caagccagat taggttccgt ggatctttgg ggaaattgtt agatcgattt atggttgttc 2280
gagacgattt ctgtatgtac acttattcat cagaagagga tatatgtgcc ttggctatgc 2340
tgccacttcc aggatgtgaa gtaaagatgt gtggagaaaa attcacattt tcggttcgag 2400
tcggagcccg tcgaatgtac acaatgaccg ctgaagacga acaaacccaa atgaaatggt 2460
tggcgatttt ggatttagcc gcaaacgcac atctgaagaa tcaacggaat tctggatccg 2520
agcaatctga atgatgattc ttttttggca cccagccaag acatatgttt attttcttag 2580
ttatttcagt gttctattct tgtttttctc tcaattctta ttattcgttc gttgaaactg 2640
tatccaaatt ttccgaactg attatatttt ttaaatacgt tcatctcatc tcatccctct 2700
tctctcactc actactaaaa tcgtacgcaa gtgcgttccg cctgaacaca tatctgttct 2760
cgaattctag tcatcgtaga atctgaaatt ttgaactcct gcaatctgaa tattttctga 2820
ccttgaaatg accaaattgt ctcttttact accttctcct tctccacgag ttttattaat 2880
tttttttgaa catttaataa actataacac taataaaaaa aa 2922
<210> 2
<211> 826
<212> PRT
<213> Caenorhabditis elegans
<400> 2
Met Ser Ser Leu Val Gln Leu Pro Ser Gln Pro Ser Ser Ala Phe Gln
1 5 10 15
Leu Asp Phe Asp Ala Val Arg Asn Phe Gln Asn Val Pro Pro Val Asp
20 25 30
Leu Glu Gly Gly Thr Leu Ile Asp Ala Thr Glu Glu Glu Glu Ile Asp
35 40 45
Pro Val Asp Gly Cys Thr Val Arg Val Phe Thr Tyr Arg Ile Leu Ser
50 55 60
Ala Asp Glu Met Glu Glu Leu Thr Lys Thr Val Arg Gln Lys Ile Lys
65 70 75 80
Phe Asp Cys Thr Gln Thr Met Arg Ser Leu Lys Met Ile Gly Ser Glu
85 90 95
Ala Asn Val Val Glu Lys Ser Gln Arg Ile Ser Gly Asp Ile Lys Gly
100 105 110
Met Lys Pro Ile Glu Phe Ser Asn Asn Ser Lys Gln Ile Cys Leu Asp
115 120 125
Gln His Ser Leu Gln Leu Asp Pro Asn Asp Glu Gln Asp Gln Gln Ile
130 135 140
Ser Arg Val Leu Asn Gln Val Pro Asn Thr Phe Met Ser Leu Leu Ser
145 150 155 160
Arg Glu Lys Asp Met Phe Val Lys Leu Tyr Pro Glu Leu Phe Glu Lys
165 170 175
Met Arg Thr Glu Ser Ser Leu Ile Pro Ser Thr Thr Thr Glu Ile Ile
180 185 190
Thr Asn Pro Asp Gly Ser Thr Thr Thr Arg Val Lys Ser Ser Lys Ser
195 200 205
Tyr Ser Ser His Phe Ser Arg Gln Glu Thr Tyr Val Asn Gly Val Lys
210 215 220
Lys Met Ser Lys Ser Lys Phe Arg Ala Phe Val Glu Tyr Lys Gly Pro
225 230 235 240
Asp Gly Gly Phe Gln Val Lys Leu Ser Asp Gly Asp Glu Phe Glu Leu
245 250 255
Ser Glu Asp Glu Gln Glu Asp Asp Asp Thr Ser Leu Ser Gln Ser Cys
260 265 270
Tyr Ser Glu Ile Asp Ser Glu Ser Asp Ile Thr Gly Pro Ser Pro Lys
275 280 285
Thr Asp Leu Asp Lys Arg Tyr Gln Lys Ala Trp Tyr Ala Ala Lys Glu
290 295 300
Leu Val Asp Ser Glu Gln Arg Tyr Val Asp Lys Leu Lys Leu Leu Gly
305 310 315 320
Asp Thr Phe Arg Asn Arg Leu Ile Lys Glu Glu Leu Ile Thr Asn Asp
325 330 335
Lys Ile Thr Arg Leu Leu Ala Asn Val Ser Ser Leu Tyr Gln Phe His
340 345 350
Asn Thr His Phe Leu Pro Gln Leu Leu Glu Ser Ile Arg Asp Trp His
355 360 365
Thr Thr Lys Arg Ile Ala Asn Val Val Arg Lys Gln Ala Pro Phe Leu
370 375 380
Lys Met Tyr Ser Glu Tyr Thr Asn Asn Tyr Asp Arg Ala Thr Lys Leu
385 390 395 400
Phe Glu Glu Leu Lys Lys Lys Lys Lys Phe Ala Asp Val Val Lys Glu
405 410 415
Ile Glu Lys Gln Ala Glu Cys Glu Gly Leu Pro Leu Gly His His Leu
420 425 430
Ile Cys Pro Val Gln Arg Val Met Arg Tyr Gln Leu Leu Leu Gln Glu
435 440 445
Tyr Lys Lys His Leu Gln Pro Ser Asp Val Asp Phe Asp Asp Thr Thr
450 455 460
Val Ala Leu Glu Leu Val Leu Gln Ala Ala Ala His Ala Asn Glu Met
465 470 475 480
Met Lys Lys Leu Asp Arg Phe Gly Lys Val Ile Glu Val Gln Glu Gln
485 490 495
Leu Gly Asn Ser Ile Ser Leu Val Ser Pro Gly Arg Glu Leu Leu Lys
500 505 510
Ser Gly Ser Val Gln Lys Ile Ser Ser Thr Thr Glu Lys Thr Glu Glu
515 520 525
Arg Phe Ile Phe Leu Phe Asn Asp Leu Val Ile Leu Ala Ser Glu Arg
530 535 540
Lys Met Ile Gly Val Ser Lys Tyr Lys Leu Arg Ala Val Phe Ser Ala
545 550 555 560
Ser His Met Gln Val Cys Glu Gly Asp Asn Leu Glu Arg Glu His Ser
565 570 575
Phe Tyr Leu Arg Gly Ser Asp Gly Thr Gly Pro Lys Arg Cys Val Glu
580 585 590
Leu Phe Thr Pro Thr Gln Lys Glu Lys Asn Asp Trp Val Asp Ser Ile
595 600 605
Phe Ser Ile Ile Asp Glu Ala Lys Ala His Ser Leu Thr Phe Thr Ser
610 615 620
Ser Ser Arg Ser Ser Ile Ser Glu Asn Asn Asn Asn Ser Ile Glu Ser
625 630 635 640
Lys His Cys Ala Asp Cys Asp Ile Glu Phe Gly Phe Leu Ser Arg Gly
645 650 655
Ser Lys Cys Val Lys Cys Ser Arg Arg Leu Cys Lys Lys Cys Phe Gly
660 665 670
Arg Arg Arg Asn Glu Ser Lys Lys His Arg Ile Cys Asp Thr Cys Thr
675 680 685
Lys Asn Met Asp Leu Asp Gly Ile Pro Arg Ser Phe Ser Thr Gln Ser
690 695 700
Asn Met Arg Arg Asn Leu Leu Gln Leu Pro Ala Lys Gly Ser Gly Val
705 710 715 720
Leu His Ser Ser Gln Ile Arg Phe Arg Gly Ser Leu Gly Lys Leu Leu
725 730 735
Asp Arg Phe Met Val Val Arg Asp Asp Phe Cys Met Tyr Thr Tyr Ser
740 745 750
Ser Glu Glu Asp Ile Cys Ala Leu Ala Met Leu Pro Leu Pro Gly Cys
755 760 765
Glu Val Lys Met Cys Gly Glu Lys Phe Thr Phe Ser Val Arg Val Gly
770 775 780
Ala Arg Arg Met Tyr Thr Met Thr Ala Glu Asp Glu Gln Thr Gln Met
785 790 795 800
Lys Trp Leu Ala Ile Leu Asp Leu Ala Ala Asn Ala His Leu Lys Asn
805 810 815
Gln Arg Asn Ser Gly Ser Glu Gln Ser Glu

0221

図1本発明にかかるexc−5遺伝子の塩基配列を示す配列図である。
図2図1に示す配列図の続きとなるexc−5遺伝子の塩基配列を示す配列図である。
図3本発明にかかるexc−5遺伝子のエクソン−イントロン構造を示す模式図である。
図4本発明にかかるEXC−5タンパク質のアミノ酸配列を示す配列図である。
図5本発明にかかるEXC−5タンパク質と、ヒトFGD1タンパク質およびフラビンとについて、その構造および相同性とを示す説明図である。
図6本発明で用いた線虫Caenorhabditis elegansが有する排泄管の構造を示す模式図である。
図7図6に示す排泄管の断面構造を示す模式図である。
図8低分子量Gタンパク質の作用機構の模式図である。
図9(a)は、野生型変異体e2498にてGFPタンパク質を排泄管で特異的に発現させた場合に、該排泄管の形状を可視化した状態を示す顕微鏡写真であり、(b)は、C.elegans の変異体km508 にてGFPタンパク質を排泄管で特異的に発現させた場合に、該排泄管の形状を可視化した状態を示す顕微鏡写真であり、(c)は、ヌル変異体rh232 にてGFPタンパク質を排泄管で特異的に発現させた場合に、該排泄管の形状を可視化した状態を示す顕微鏡写真であり、(d)は、ヌル変異体rh232 およびmig−2遺伝子の活性型変異体gm38の二重変異体EMにて、GFPタンパク質を排泄管で特異的に発現させた場合に、該排泄管の形状を可視化した状態を示す顕微鏡写真である。
図10(a)C.elegans の変異体km508 にてEXC−5=GFP融合タンパク質を発現させた場合に、該排泄管の形状を可視化した状態を示す顕微鏡写真であり、(b)は、野生型変異体e2498にてGFPタンパク質を発現させた場合に、該排泄管の形状を可視化した状態を示す顕微鏡写真であり、(c)は、野生型変異体e2498にてEXC−5=GFPタンパク質を過剰発現させた場合に、L1期幼虫における該排泄管の形状を可視化した状態を示す顕微鏡写真であり、(d)は、野生型変異体e2498にてEXC−5=GFPタンパク質を過剰発現させた場合に、L4期幼虫における該排泄管の形状を可視化した状態を示す顕微鏡写真であり、(e)は、野生型変異体e2498にてEXC−5=GFPタンパク質を過剰発現させた場合に、モザイク個体のL4期幼虫における該排泄管の形状を可視化した状態を示す顕微鏡写真である。
図11(a)は、C.elegans の野生型変異体における排泄管の断面を示す電子顕微鏡写真であり、(b)ヌル変異体rh232における排泄管に生じた包嚢の断面を示す電子顕微鏡写真であり、(c)は、野生型変異体e2498にてEXC−5タンパク質を過剰発現させた場合に、渦巻状に短くなった排泄管の断面を示す電子顕微鏡写真である。
図12実施例9において、用いられたEXC−5タンパク質またはその変異タンパク質の構造を示す模式図と、各タンパク質とKEL−2タンパク質との相互作用を調べた結果とを示す図である。

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