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技術 有機エレクトロルミネッセンス素子

出願人 コニカミノルタ株式会社
発明者 北弘志山田岳俊松浦光宜押山智寛
出願日 2001年9月27日 (16年5ヶ月経過) 出願番号 2001-296657
公開日 2003年4月11日 (14年11ヶ月経過) 公開番号 2003-109758
状態 特許登録済
技術分野 電場発光光源(EL) ピリジン系化合物 発光性組成物 第5-8族元素を含む化合物及びその製造 エレクトロルミネッセンス光源
主要キーワード 使用モジュール 青緑領域 取出し量 支援ソフトウエア 長方形穴 分子計算 取り出し量 無輻射遷移

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図面 (2)

課題

有機エレクトロルミネッセンスに用いる青領域に発光色を有する燐光性化合物を提供、これを用いた発光輝度の高い有機エレクトロルミネッセンス素子を提供する。

解決手段

下記式(I)で表わされる特定構造ビアリール配位子を有する金属錯体の二つのアリール環平面のねじれ角(2面角)が9度以上90度未満である金属錯体を発光層含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。

(式中、XはC1,N,O原子を,MはC,N原子を,YはC,N原子を,ZはC,N原子を,AおよびBは5〜6員の炭素環または複素環を,Meはイリジウムプラチナオスミウムを表わす)

概要

背景

発光型電子ディスプレイデバイスとして、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)がある。ELDの構成要素としては、無機エレクトロルミネッセンス素子有機エレクトロルミネッセンス素子が挙げられる。無機エレクトロルミネッセンス素子は平面型光源として使用されてきたが、発光素子を駆動させるためには交流高電圧が必要である。有機エレクトロルミネッセンス素子は、発光する化合物含有する発光層を、陰極陽極で挟んだ構成を有し、発光層に電子及び正孔注入して、再結合させることにより励起子エキシトン)を生成させ、このエキシトンが失活する際の光の放出(蛍光燐光)を利用して発光する素子であり、数V〜数十V程度の電圧で発光が可能であり、さらに、自己発光型であるために視野角に富み、視認性が高く、薄膜型の完全固体素子であるために省スペース携帯性等の観点から注目されている。

しかしながら、今後の実用化に向けた有機EL素子においては、さらに低消費電力で効率よく高輝度に発光する有機EL素子の開発が望まれている。

本発明の有機EL素子のフルカラー化方式は、蛍光発光材料ホスト化合物として、燐光性化合物ドーパントとして用いることが特徴である。

特許第3093796号では、スチルベン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体又はトリススチリルアリーレン誘導体に、微量の蛍光体をドープし、発光輝度の向上、素子の長寿命化を達成している。

また、8−ヒドロキシキノリンアルミニウム錯体をホスト化合物として、これに微量の蛍光体をドープした有機発光層を有する素子(特開昭63−264692号公報)、8−ヒドロキシキノリンアルミニウム錯体をホスト化合物として、これにキナクリドン色素をドープした有機発光層を有する素子(特開平3−255190号公報)が知られている。

以上のように、励起一重項からの発光を用いる場合、一重項励起子三重項励起子の生成比が1:3であるため発光性励起種生成確率が25%であることと、光の取り出し効率が約20%であるため、外部取り出し量子効率(ηext)の限界は5%とされている。ところが、プリンストン大より、励起三重項からの燐光発光を用いる有機EL素子の報告(M.A.Baldo et al.,nature、395巻、151−154ページ(1998年))がされて以来、室温で燐光を示す材料の研究が活発になってきている。例えばM.A.Baldoet al.,nature、403巻、17号、750−753ページ(2000年)、又US特許6097147号などにも開示されている。

励起三重項を使用すると、内部量子効率の上限が100%となるため、励起一重項の場合に比べて原理的に発光効率が4倍となり、冷陰極管とほぼ同等の性能が得られ照明用にも応用可能であり注目されている。

例えば、S.Lamansky et al.,J.Am.Chem.Soc.,123巻、4304ページ(2001年)等においては、多くの化合物がイリジウム錯体系など重金属錯体を中心に合成検討されている。

又、前述のM.A.Baldo et al.,nature、403巻、17号、750−753ページ(2000年)においては、ドーパントとして、トリス(2−フェニルピリジンイリジウムを用いた検討がされている。

その他、M.E.Tompsonらは、The 10th International Workshop on Inorganic and Organic Electroluminescence(EL’00、浜松)において、ドーパントとしてL2Ir(acac)例えば(ppy)2Ir(acac)を、又、Moon−Jae Young,Tetsuo Tsutsui等は、やはり、The 10th International Workshopon Inorganic and Organic Electroluminescence(EL’00、浜松)において、ドーパントとして、トリス(2−(p−トリルピリジン)イリジウム(Ir(ptpy)3),トリス(ベンゾ[h]キノリン)イリジウム(Ir(bzq)3),Ir(bzq)2ClP(Bu)3等を用いた検討をおこなっている。

又、前記、S.Lamansky et al.,J.Am.Chem.Soc.,123巻、4304ページ(2001年)等においても、各種イリジウム錯体を用いて素子化する試みがされている。

その他、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウムを用いた改良についても幾つかの文献に報告されている。

これらの燐光性化合物、特にイリジウムを中心とした錯体は緑から青緑領域に燐光を有する化合物であるが、フルカラー化を実現するためには、赤色、緑色及び青の3原色領域にそれぞれ発光を示す素子材料が必要である。赤色、緑色については、ドーパントとして発光効率の高い、色度に優れた燐光性化合物がドーパントとして見いだされているが、前記イリジウムを中心とした錯体においては緑から青緑領域の発光を示し、その中でも短波な領域に発光を示す化合物であっても、長波過ぎる欠点があり、ドーパントとしてこれらの燐光性化合物を用いた系をフルカラー化したときには色再現上の問題を生じてしまう。バンドギャップがより広く、発光極大波長で、例えば420〜460nmというような短波の領域で発光を示す燐光性化合物がドーパントとして必要であった。

又、高い発光効率を得るために、The 10th International Workshop on Inorganic and OrganicElectroluminescence(EL ’00、浜松)では、Ikaiらはホール輸送性の化合物を燐光性化合物のホストとして用いている。また、M.E.Tompsonらは、各種電子輸送性材料を燐光性化合物のホストとして、これらに新規なイリジウム錯体をドープして用いている。さらに、Tsutsuiらは、ホールブロック層の導入により高い発光効率を得ている。

燐光性化合物をドーパントとして用いるときのホスト化合物は、燐光性化合物の発光極大波長よりも短波な領域に発光極大波長を有することが必要であるが、燐光性化合物のホスト化合物については、例えば、C.Adachi et al.,Appl.Phys.Lett.,77巻、904ページ(2000年)等にも詳しく記載されているが、前記の青色領域で発光を示す燐光性化合物をドーパントとして用いた場合、従来知られているホスト化合物よりもよりバンドギャップが広いホスト化合物が必要である。従来のホスト化合物ではバンドギャップが狭いためエネルギー移動の効率が低く、発光強度が弱い等の問題があり発光効率が高く、ホスト化合物としてもよりバンドギャップの広い短波な発光を示す蛍光性化合物が必要とされる。

概要

有機エレクトロルミネッセンスに用いる青領域に発光色を有する燐光性化合物を提供、これを用いた発光輝度の高い有機エレクトロルミネッセンス素子を提供する。

下記式(I)で表わされる特定構造ビアリール配位子を有する金属錯体の二つのアリール環平面のねじれ角(2面角)が9度以上90度未満である金属錯体を発光層に含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。

(式中、XはC1,N,O原子を,MはC,N原子を,YはC,N原子を,ZはC,N原子を,AおよびBは5〜6員の炭素環または複素環を,Meはイリジウム,プラチナオスミウムを表わす)

目的

従って本発明の目的は、有機エレクトロルミネッセンスに用いる青領域に発光色を有する燐光性化合物を提供することであり、これを用いた発光輝度の高い有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することである。

効果

実績

技術文献被引用数
15件
牽制数
31件

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請求項1

下記一般式(1)で表され、N−M−Y−Zの2面角(即ち2つの環のねじれ角)が9度以上90度未満である金属錯体発光層含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子

請求項

ID=000003HE=045 WI=065 LX=0275 LY=0600[式中、Nは窒素原子、Cは炭素原子を表し、Xは炭素原子、窒素原子または酸素原子を表し、Mは炭素原子または窒素原子を表し、Yは炭素原子または窒素原子を表し、Zは炭素原子または窒素原子を表し、AはX−M−Nと共に5〜6員の複素環を形成するのに必要な原子群を表し、BはC−Y−Zと共に5〜6員の炭化水素環または複素環を形成するのに必要な原子群を表す。また、2つの環はそれぞれ独立置換基を有していても良く、隣接する置換基同士でさらに縮合環を形成してもよい。Meはイリジウムプラチナまたはオスミウムを表す。nは1、2、3又は4を表し、mは、Meがイリジウムの時3−nを、プラチナの時4−n又は2−nを、オスミウムの時2−nを表す。W1は酸素原子、窒素原子または硫黄原子を表し、W2は酸素原子、窒素原子または硫黄原子を表し、L1は窒素原子または炭素原子を表し、L2は窒素原子または酸素原子を表し、lは1または2を表す。なお、W1とL1、L1とL2、L2とL2(lが2の時)、L2とW2の結合単結合でも二重結合でもよい。]

請求項2

下記一般式(2)で表される金属錯体を発光層に含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。

請求項

ID=000004HE=045 WI=069 LX=0255 LY=2200[式中、Nは窒素原子、Cは炭素原子を表し、Xは炭素原子、窒素原子、酸素原子または硫黄原子を表し、Mは炭素原子または窒素原子を表し、Yは炭素原子または窒素原子を表し、Zは炭素原子または窒素原子を表し、AはX−M−Nと共に5〜6員の複素環を形成するのに必要な原子群を表し、BはC−Y−Zと共に5〜6員の炭化水素環または複素環を形成するのに必要な原子群を表し、R1およびR2は置換基または水素原子を表す。ただし、Xが酸素原子及び硫黄原子の場合にはR1は存在しない。又、R1とR2の少なくとも一方は置換基を表し、R1とR2の立体パラメータEs値の総和は−0.6以下である。Meはイリジウム、プラチナまたはオスミウムを表す。nは1、2、3又は4を表し、mは、Meがイリジウムの時3−nを、プラチナの時4−n又は2−nを、オスミウムの時2−nを表す。W1は酸素原子、窒素原子または硫黄原子を表し、W2は酸素原子、窒素原子または硫黄原子を表し、L1は窒素原子または炭素原子を表し、L2は窒素原子または酸素原子を表し、lは1または2を表す。なお、W1とL1、L1とL2、L2とL2(lが2の時)、L2とW2の結合は単結合でも二重結合でもよい。]

請求項3

下記一般式(3)で表される金属錯体を発光層に含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。

請求項

ID=000005HE=050 WI=069 LX=1155 LY=1400[式中、Nは窒素原子、Cは炭素原子を表し、Xは炭素原子、窒素原子又は酸素原子を表し、Mは炭素原子または窒素原子を表し、Yは炭素原子または窒素原子を表し、Zは炭素原子または窒素原子を表し、Tは炭素原子または窒素原子を表し、AはX−M−Nと共に5〜6員の複素環を形成するのに必要な原子群を表し、B2はC−Y−Z−Tと共に5〜6員の炭化水素環または複素環を形成するのに必要な原子群を表し、B3はZ−Tと共に5〜6員の炭化水素環または複素環を形成するのに必要な原子群を表す。Meはイリジウム、プラチナまたはオスミウムを表す。nは1、2、3又は4を表し、mは、Meがイリジウムの時3−nを、プラチナの時4−n又は2−nを、オスミウムの時2−nを表す。W1は酸素原子、窒素原子または硫黄原子を表し、W2は酸素原子、窒素原子または硫黄原子を表し、L1は窒素原子または炭素原子を表し、L2は窒素原子または酸素原子を表し、lは1または2を表す。なお、W1とL1、L1とL2、L2とL2(lが2の時)、L2とW2の結合は単結合でも二重結合でもよい。]

請求項4

下記一般式(4)で表される金属錯体を発光層に含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。

請求項

ID=000006HE=055 WI=080 LX=0200 LY=0550[式中、Nは窒素原子、Cは炭素原子を表し、Xは炭素原子、窒素原子、酸素原子または硫黄原子を表し、Mは炭素原子または窒素原子を表し、Yは炭素原子または窒素原子を表し、Zは炭素原子または窒素原子を表し、AはX−M−Nと共に5〜6員の芳香族複素環を形成するのに必要な原子群を表し、BはC−Y−Zと共に5〜6員の芳香族炭化水素環または芳香族複素環を形成するのに必要な原子群を表す。ただし、X−M−NとAで形成される芳香族複素環およびC−Y−ZとBで形成される芳香族炭化水素環または芳香族複素環は少なくとも1つの置換基で置換されており、かつ、該置換基のσp値の総和は0.15以上2以下である。EWG1およびEWG2はそれぞれ独立にハメット置換基定数σp値が0以上の電子吸引性基を表し、σp値の総和は0.15以上2以下である。S1は0〜3の整数を表し、S2は0〜3の整数を表す。ただしS1とS2の和は1以上5以下である。Meはイリジウム、プラチナまたはオスミウムを表す。nは1、2、3又は4を表し、mは、Meがイリジウムの時3−nを、プラチナの時4−n又は2−nを、オスミウムの時2−nを表す。W1は酸素原子、窒素原子または硫黄原子を表し、W2は酸素原子、窒素原子または硫黄原子を表し、L1は窒素原子または炭素原子を表し、L2は窒素原子または酸素原子を表し、lは1または2を表す。なお、W1とL1、L1とL2、L2とL2(lが2の時)、L2とW2の結合は単結合でも二重結合でもよい。]

請求項5

前記一般式(4)において、N−M−Y−Zの2面角(即ち2つの環のねじれ角)が9度以上90度未満であることを特徴とする請求項4に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。

請求項6

下記一般式(5)で表される金属錯体を発光層に含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。

請求項

ID=000007HE=055 WI=076 LX=1120 LY=0300[式中、Nは窒素原子、Xは炭素原子、窒素原子、酸素原子または硫黄原子を表し、Mは炭素原子または窒素原子を表し、AはX−M−Nと共に5〜6員の芳香族複素環を形成するのに必要な原子群を表し、R61は立体パラメータEs値が−0.6以下の置換基を表し、R62、R63及びR64は水素原子または置換基を表す。また、X−M−NとAとで形成される芳香族複素環は置換基を有していても良く、隣接する置換基同士で縮合環を形成してもよい。Meはイリジウム、プラチナまたはオスミウムを表す。nは1、2、3又は4を表し、mは、Meがイリジウムの時3−nを、プラチナの時4−n又は2−nを、オスミウムの時2−nを表す。W1は酸素原子、窒素原子または硫黄原子を表し、W2は酸素原子、窒素原子または硫黄原子を表し、L1は窒素原子または炭素原子を表し、L2は窒素原子または酸素原子を表し、lは1または2を表す。なお、W1とL1、L1とL2、L2とL2(lが2の時)、L2とW2の結合は単結合でも二重結合でもよい。]

請求項7

下記一般式(6)で表される金属錯体を発光層に含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。

請求項

ID=000008HE=055 WI=076 LX=1120 LY=1950[式中、R71、R75は水素原子または置換基を表し、R71とR75の少なくとも一方は置換基を表す。またR71とR75の立体パラメータEs値の総和は−0.6以下である。R72、R73、R74、R76、R77及びR78は水素原子または置換基を表す。また、隣接する置換基同士は互いに結合して縮合環を形成してもよい。Meはイリジウム、プラチナまたはオスミウムを表す。nは1、2、3又は4を表し、mは、Meがイリジウムの時3−nを、プラチナの時4−n又は2−nを、オスミウムの時2−nを表す。W1は酸素原子、窒素原子または硫黄原子を表し、W2は酸素原子、窒素原子または硫黄原子を表し、L1は窒素原子または炭素原子を表し、L2は窒素原子または酸素原子を表し、lは1または2を表す。なお、W1とL1、L1とL2、L2とL2(lが2の時)、L2とW2の結合は単結合でも二重結合でもよい。]

請求項8

下記一般式(7)で表される金属錯体を発光層に含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。

請求項

ID=000009HE=055 WI=078 LX=0210 LY=0950[式中、Arは芳香族基を表し、R81〜R87は水素原子または置換基を表す。また、隣接する置換基同士は互いに結合して縮合環を形成してもよい。Meはイリジウムまたはプラチナまたはオスミウムを表す。nは1、2、3又は4を表し、mは、Meがイリジウムの時3−nを、プラチナの時4−n又は2−nを、オスミウムの時2−nを表す。W1は酸素原子、窒素原子または硫黄原子を表し、W2は酸素原子、窒素原子または硫黄原子を表し、L1は窒素原子または炭素原子を表し、L2は窒素原子または酸素原子を表し、lは1または2を表す。なお、W1とL1、L1とL2、L2とL2(lが2の時)、L2とW2の結合は単結合でも二重結合でもよい。]

請求項9

下記一般式(8)で表される金属錯体を発光層に含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。

請求項

ID=000010HE=055 WI=076 LX=1120 LY=0300[式中、Nは窒素原子、Xは炭素原子、窒素原子、酸素原子または硫黄原子を表し、Mは炭素原子または窒素原子を表し、AはX−M−Nと共に5〜6員の芳香族複素環を形成するのに必要な原子群を表し、R91〜R94は水素原子または置換基を表す。ただし、R91〜R94のそれぞれの置換基のσp値の総和は0.15以上2以下である。また、X−M−NとAとで形成される芳香族複素環は置換基を有していても良く、隣接する置換基同士で縮合環を形成してもよい。Meはイリジウム、プラチナまたはオスミウムを表す。nは1、2、3又は4を表し、mは、Meがイリジウムの時3−nを、プラチナの時4−n又は2−nを、オスミウムの時2−nを表す。W1は酸素原子、窒素原子または硫黄原子を表し、W2は酸素原子、窒素原子または硫黄原子を表し、L1は窒素原子または炭素原子を表し、L2は窒素原子または酸素原子を表し、lは1または2を表す。なお、W1とL1、L1とL2、L2とL2(lが2の時)、L2とW2の結合は単結合でも二重結合でもよい。]

請求項10

下記一般式(9)で表される金属錯体を発光層に含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。

請求項

ID=000011HE=055 WI=080 LX=1100 LY=1950[式中、R101〜R106は水素原子または置換基を表し、B10は2つの炭素原子と共に5〜6員の環を形成するのに必要な原子群を表す。また、隣接する置換基同士は互いに結合して縮合環を形成してもよい。Meはイリジウム、プラチナまたはオスミウムを表す。nは1、2、3又は4を表し、mは、Meがイリジウムの時3−nを、プラチナの時4−n又は2−nを、オスミウムの時2−nを表す。W1は酸素原子、窒素原子または硫黄原子を表し、W2は酸素原子、窒素原子または硫黄原子を表し、L1は窒素原子または炭素原子を表し、L2は窒素原子または酸素原子を表し、lは1または2を表す。なお、W1とL1、L1とL2、L2とL2(lが2の時)、L2とW2の結合は単結合でも二重結合でもよい。]

請求項11

前記一般式(7)のArで表される芳香族基が、ハメットの置換基定数σp値が0.02以上2以下の電子吸引性基で置換された芳香族炭化水素環基であることを特徴とする請求項8に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。

請求項12

前記一般式(7)のArで表される芳香族基が、ハメットの置換基定数σp値が0.02以上2以下の電子吸引性基で置換された芳香族炭化水素環基であり、かつR82で表される置換基がハメットの置換規定数σp値が0.02以上2以下の電子吸引性基であることを特徴とする請求項8に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。

請求項13

前記一般式(9)のR101〜R106で表される置換基の少なくとも1つが、ハメットの置換規定数σp値が0.02以上2以下の電子吸引性基であることを特徴とする請求項10に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。

技術分野

0001

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス(以下有機ELとも略記する)素子に関するものである。詳しくいえば、本発明は青から青緑領域の優れた色調を有する発光輝度の高い有機エレクトロルミネッセンス素子に関するものである。

背景技術

0002

発光型電子ディスプレイデバイスとして、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)がある。ELDの構成要素としては、無機エレクトロルミネッセンス素子や有機エレクトロルミネッセンス素子が挙げられる。無機エレクトロルミネッセンス素子は平面型光源として使用されてきたが、発光素子を駆動させるためには交流高電圧が必要である。有機エレクトロルミネッセンス素子は、発光する化合物含有する発光層を、陰極陽極で挟んだ構成を有し、発光層に電子及び正孔注入して、再結合させることにより励起子エキシトン)を生成させ、このエキシトンが失活する際の光の放出(蛍光燐光)を利用して発光する素子であり、数V〜数十V程度の電圧で発光が可能であり、さらに、自己発光型であるために視野角に富み、視認性が高く、薄膜型の完全固体素子であるために省スペース携帯性等の観点から注目されている。

0003

しかしながら、今後の実用化に向けた有機EL素子においては、さらに低消費電力で効率よく高輝度に発光する有機EL素子の開発が望まれている。

0004

本発明の有機EL素子のフルカラー化方式は、蛍光発光材料ホスト化合物として、燐光性化合物ドーパントとして用いることが特徴である。

0005

特許第3093796号では、スチルベン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体又はトリススチリルアリーレン誘導体に、微量の蛍光体をドープし、発光輝度の向上、素子の長寿命化を達成している。

0006

また、8−ヒドロキシキノリンアルミニウム錯体をホスト化合物として、これに微量の蛍光体をドープした有機発光層を有する素子(特開昭63−264692号公報)、8−ヒドロキシキノリンアルミニウム錯体をホスト化合物として、これにキナクリドン色素をドープした有機発光層を有する素子(特開平3−255190号公報)が知られている。

0007

以上のように、励起一重項からの発光を用いる場合、一重項励起子三重項励起子の生成比が1:3であるため発光性励起種生成確率が25%であることと、光の取り出し効率が約20%であるため、外部取り出し量子効率(ηext)の限界は5%とされている。ところが、プリンストン大より、励起三重項からの燐光発光を用いる有機EL素子の報告(M.A.Baldo et al.,nature、395巻、151−154ページ(1998年))がされて以来、室温で燐光を示す材料の研究が活発になってきている。例えばM.A.Baldoet al.,nature、403巻、17号、750−753ページ(2000年)、又US特許6097147号などにも開示されている。

0008

励起三重項を使用すると、内部量子効率の上限が100%となるため、励起一重項の場合に比べて原理的に発光効率が4倍となり、冷陰極管とほぼ同等の性能が得られ照明用にも応用可能であり注目されている。

0009

例えば、S.Lamansky et al.,J.Am.Chem.Soc.,123巻、4304ページ(2001年)等においては、多くの化合物がイリジウム錯体系など重金属錯体を中心に合成検討されている。

0010

又、前述のM.A.Baldo et al.,nature、403巻、17号、750−753ページ(2000年)においては、ドーパントとして、トリス(2−フェニルピリジンイリジウムを用いた検討がされている。

0011

その他、M.E.Tompsonらは、The 10th International Workshop on Inorganic and Organic Electroluminescence(EL’00、浜松)において、ドーパントとしてL2Ir(acac)例えば(ppy)2Ir(acac)を、又、Moon−Jae Young,Tetsuo Tsutsui等は、やはり、The 10th International Workshopon Inorganic and Organic Electroluminescence(EL’00、浜松)において、ドーパントとして、トリス(2−(p−トリルピリジン)イリジウム(Ir(ptpy)3),トリス(ベンゾ[h]キノリン)イリジウム(Ir(bzq)3),Ir(bzq)2ClP(Bu)3等を用いた検討をおこなっている。

0012

又、前記、S.Lamansky et al.,J.Am.Chem.Soc.,123巻、4304ページ(2001年)等においても、各種イリジウム錯体を用いて素子化する試みがされている。

0013

その他、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウムを用いた改良についても幾つかの文献に報告されている。

0014

これらの燐光性化合物、特にイリジウムを中心とした錯体は緑から青緑領域に燐光を有する化合物であるが、フルカラー化を実現するためには、赤色、緑色及び青の3原色領域にそれぞれ発光を示す素子材料が必要である。赤色、緑色については、ドーパントとして発光効率の高い、色度に優れた燐光性化合物がドーパントとして見いだされているが、前記イリジウムを中心とした錯体においては緑から青緑領域の発光を示し、その中でも短波な領域に発光を示す化合物であっても、長波過ぎる欠点があり、ドーパントとしてこれらの燐光性化合物を用いた系をフルカラー化したときには色再現上の問題を生じてしまう。バンドギャップがより広く、発光極大波長で、例えば420〜460nmというような短波の領域で発光を示す燐光性化合物がドーパントとして必要であった。

0015

又、高い発光効率を得るために、The 10th International Workshop on Inorganic and OrganicElectroluminescence(EL ’00、浜松)では、Ikaiらはホール輸送性の化合物を燐光性化合物のホストとして用いている。また、M.E.Tompsonらは、各種電子輸送性材料を燐光性化合物のホストとして、これらに新規なイリジウム錯体をドープして用いている。さらに、Tsutsuiらは、ホールブロック層の導入により高い発光効率を得ている。

0016

燐光性化合物をドーパントとして用いるときのホスト化合物は、燐光性化合物の発光極大波長よりも短波な領域に発光極大波長を有することが必要であるが、燐光性化合物のホスト化合物については、例えば、C.Adachi et al.,Appl.Phys.Lett.,77巻、904ページ(2000年)等にも詳しく記載されているが、前記の青色領域で発光を示す燐光性化合物をドーパントとして用いた場合、従来知られているホスト化合物よりもよりバンドギャップが広いホスト化合物が必要である。従来のホスト化合物ではバンドギャップが狭いためエネルギー移動の効率が低く、発光強度が弱い等の問題があり発光効率が高く、ホスト化合物としてもよりバンドギャップの広い短波な発光を示す蛍光性化合物が必要とされる。

発明が解決しようとする課題

0017

従って本発明の目的は、有機エレクトロルミネッセンスに用いる青領域に発光色を有する燐光性化合物を提供することであり、これを用いた発光輝度の高い有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することである。

課題を解決するための手段

0018

本発明の上記目的は以下の手段により達成される。

0019

1.前記一般式(1)で表され、N−M−Y−Zの2面角(即ち2つの環のねじれ角)が9度以上90度未満である金属錯体を発光層に含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。

0020

2.前記一般式(2)で表される金属錯体を発光層に含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。

0021

3.前記一般式(3)で表される金属錯体を発光層に含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。

0022

4.前記一般式(4)で表される金属錯体を発光層に含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。

0023

5.前記一般式(4)において、N−M−Y−Zの2面角(即ち2つの環のねじれ角)が9度以上90度未満であることを特徴とする前記4に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。

0024

6.前記一般式(5)で表される金属錯体を発光層に含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。

0025

7.前記一般式(6)で表される金属錯体を発光層に含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。

0026

8.前記一般式(7)で表される金属錯体を発光層に含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。

0027

9.前記一般式(8)で表される金属錯体を発光層に含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。

0028

10.前記一般式(9)で表される金属錯体を発光層に含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。

0029

11.前記一般式(7)のArで表される芳香族基が、ハメット置換基定数σp値が0.02以上2以下の電子吸引性基置換された芳香族炭化水素環基であることを特徴とする前記8に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。

0030

12.前記一般式(7)のArで表される芳香族基が、ハメットの置換基定数σp値が0.02以上2以下の電子吸引性基で置換された芳香族炭化水素環基であり、かつR82で表される置換基がハメットの置換規定数σp値が0.02以上2以下の電子吸引性基であることを特徴とする前記8に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。

0031

13.前記一般式(9)のR101〜R106で表される置換基の少なくとも1つが、ハメットの置換規定数σp値が0.02以上2以下の電子吸引性基であることを特徴とする前記10に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。

0032

以下に、本発明を詳細に説明する。本発明者等は、鋭意検討の結果、前記の一般式(1)〜(9)で表される金属錯体化合物が、発光極大波長で、従来より短波の青の領域迄の発光を示す燐光性化合物である事を見いだし、これをドーパントして、ホスト蛍光性化合物と共に用い有機発光層を構成することで、青領域に優れた発光色を有する有機エレクトロルミネッセンス素子(EL素子)が得られることを見いだした。

0033

即ち、本発明の金属錯体化合物はドーパントとして用いたとき、発光色は分光放射輝度計CS−1000(ミノルタ製)等の測定器測定し、座標CIE色度座標(「新編色色彩科学ハンドブック」108頁の図4.16(日本色彩学会編、東京大出版会、1985))に当てはめたとき、Blue、Greenish Blue(緑青)、Blue Green(青緑)又はBluish Greenの領域に発光色を有する。

0034

これにより、フルカラー表示のために必要な発光色が得られる。前述のように、従来から2−フェニルピリジン誘導体を配位子として有する等のイリジウム錯体系など重金属錯体が代表的であり、緑から青緑色の領域にかかる発光を示すことが知られている。しかしながら、原色としての、更に短波な青色発光を得るために、更に短波な発光を有する燐光性化合物を鋭意検討の結果、以下に示す手段によって、これらの2−フェニルピリジン誘導体、或いは同様に2つのアリール或いはヘテロアリール環直接結合した構造の配位子を有する重金属錯体の燐光発光が短波化し、Blue〜Bluish Greenという従来より短波な領域で発光しうることを見いだした。
1)2−フェニルピリジン配位子のような2つのアリール或いはヘテロアリール環の環平面のねじれ角(2面角)を大きくする。
2)2つの環の直接結合部位の互いにオルソ位の少なくとも1つに嵩高い基を導入し2つの環平面のねじれ角(2面角)を大きくする。
3)更に、2つのアリール或いはヘテロアリール環上の置換基、或いは該環の置換基に置換する基を電子吸引性の基とする。

0035

以上の方法により、前記2−フェニルピリジン等の2つの環を有する配位子が配位する重金属錯体の燐光発光の波長をより短波に青領域までシフトさせることができた。

0036

本発明に用いられる重金属錯体は、一般式(1)〜(9)で表される。先ず、一般式(1)で表される化合物について説明する。

0037

即ち、前記一般式(1)においては、AがX−M−Nと共に形成する環とBがC−Y−Zと形成する環の環平面が互いにねじれ角をもって結合していることが必要である。即ち、一般式(1)におけるN−M−Y−Zの2面角(即ち2つの環のねじれ角)が9度以上90度未満である金属錯体をが、前記のような従来よりもやや短波な青の色度領域に燐光発光を示す材料であり、ドーパントとして用いたときに青の領域に高効率の発光を示す有機エレクトロルミネッセンス素子となる。

0038

前記一般式(1)において、Nは窒素原子、Cは炭素原子を表し、Xは炭素原子、窒素原子または酸素原子を表し、Mは炭素原子または窒素原子を表し、Yは炭素原子または窒素原子を表し、Zは炭素原子または窒素原子を表し、AはX−M−Nと共に5〜6員の複素環を形成するのに必要な原子群を表し、BはC−Y−Zと共に5〜6員の炭化水素環または複素環を形成するのに必要な原子群を表す。また、2つの環はそれぞれ独立に置換基を有していても良く、隣接する置換基同士でさらに縮合環を形成してもよい。Meはイリジウム、プラチナまたはオスミウムを表し、W1は酸素原子、窒素原子または硫黄原子を表す。nは1、2、3又は4を表し、mは、Meがイリジウムの時3−nを、プラチナの時4−n又は2−nを、オスミウムの時2−nを表す。W2は酸素原子、窒素原子または硫黄原子を表し、L1は窒素原子または炭素原子を表し、L2は窒素原子または酸素原子をあらわし、lは1または2を表す。なお、W1とL1、L1とL2、L2とL2(lが2の時)、L2とW2の結合は単結合でも二重結合でもよい。

0039

AがX−M−Nと共に形成する5〜6員の複素環とは、ピリジン、ピラジンピリミジン、キノリン、イソキノリンオキサゾールピラゾールベンゾオキサゾール等のヘテロアリール環を表す。

0040

又、BがC−Y−Zと共に形成するやはり5〜6員の炭化水素環又は複素環としては、炭化水素環としてはベンゼン環ナフタレン環等であり、複素環としては、前記のAがX−M−Nと共に形成する5〜6員の複素環として挙げた物が含まれる。但し、該複素環の前記AがX−M−Nと共に形成する5〜6員の複素環と直接結合する位置のオルト位が炭素原子であり、該炭素原子において、該BがC−Y−Zと共に形成する5〜6員の複素環は重金属原子と結合している。

0041

Meとしては、これらの中でも特にイリジウムが好ましい。本発明において、一般式(1)の2つの環のねじれ角θとは、即ちN−M−Y−Zの2面角であり、分子力学計算によって求めた値をいう。具体的には、米国Accelrys社製分子設計支援ソフトウエアのCerius2の分子力学計算(使用モジュールはOFFMinimizer)で錯体の構造を描画し、構造最適化を行うことにより求めたものである。この時、錯体の電荷は、Charge−Equilibration法により計算し、力場には、ユニバーサルフォースフィールドを使用する。

0042

例えば、上記の構造の場合、2つの環のねじれ角θ(二面角)とは、フェニルピリジンとイリジウムの錯体A及びBについて示すと、以下に示す様な、例えば、θ1、θ2を指す。

0043

0044

この例のように二面角が複数ある場合、錯体の対称性によっては、θ1、θ2で必ずしも同じ値が求まるとは限らないが、その場合、θ1、θ2の平均値をθの値とする。

0045

本発明において、θは9度以上90度未満であるが、好ましいのは9度以上45度未満である。

0046

例えば、この様なフェニルピリジン誘導体を配位子として有するイリジウム錯体を選択することで、イリジウムに結合したフェニル環とやはり環の2位でイリジウムに配位したピリジン環のそれぞれの環平面の間にねじれ角θ1、θ2(即ち二面角)が生じ、これがバンドギャップを広げ燐光発光の波長を短波側にシフトさせる。

0047

幾つかのフェニルピリジン誘導体が配位した前記2つのタイプのイリジウム錯体(A、B)について、上記分子計算によって得た、該ねじれ角θ1、θ2を、表1に示す。

0048

0049

この様なねじれ角を有するビアリール誘導体を得るには、上記フェニルピリジン誘導体の場合を例にとると、フェニル環とピリジン環の互いの結合位置からみてオルト位に嵩高い立体障害ある置換基を導入するのがよい。

0050

従って、本発明を別の見方でみると、前記一般式(2)における様に、置換基R1及びR2の立体パラメータEsの総和が−0.6以下である様に選ぶ必要がある。この様な置換基を選択することによりビアリール環の、例えば、上記におけるフェニル環とピリジン環の各環平面が立体障害のためねじれを生じ、それぞれの環平面間にねじれ(二面角)が生ずることとなる。

0051

前記一般式(2)で表される化合物は、このような嵩高い基をビアリール配位子の二つのアリール環の、それぞれが結合した位置に対しオルソ位の少なくとも1つに有していることが特徴である。一般式(2)において、Nは窒素原子、Cは炭素原子を表し、Xは炭素原子、窒素原子、酸素原子または硫黄原子を表し、(ただし、Xが酸素原子及び硫黄原子の場合にはR1は存在しない)Mは炭素原子または窒素原子を表し、Yは炭素原子または窒素原子を表し、Zは炭素原子または窒素原子を表し、AはX−M−Nと共に5〜6員の複素環を形成するのに必要な原子群を表し、BはC−Y−Zと共に5〜6員の炭化水素環または複素環を形成するのに必要な原子群を表し、である。Meはイリジウム、プラチナまたはオスミウムを表す。nは1、2、3又は4を表し、mは、Meがイリジウムの時3−nを、プラチナの時4−n又は2−nを、オスミウムの時2−nを表す。W1は酸素原子、窒素原子または硫黄原子を表し、W2は酸素原子、窒素原子または硫黄原子を表し、L1は窒素原子または炭素原子を表し、L2は窒素原子または酸素原子をあらわし、lは1または2を表す。なお、W1とL1、L1とL2、L2とL2(lが2の時)、L2とW2の結合は単結合でも二重結合でもよい。ここにおいて、R1およびR2は置換基または水素原子を表すが、R1とR2の少なくとも一方は置換基を表し、R1とR2の立体パラメータEs値の総和が−0.6以下となるように選ばれる。それにより2つの環平面間にねじれを生じねじれ角θを生ずることとなる。

0052

ここで、Es値とは化学反応性より誘導された立体パラメーターであり、この値が小さければ小さいほど立体的に嵩高い置換基ということができる。

0053

以下、Es値について説明する。一般に、酸性条件下でのエステル加水分解反応においては、置換基が反応の進行に対して及ぼす影響は立体障害だけと考えてよいことが知られており、この事を利用して置換基の立体障害を数値化したものがEs値である。

0054

置換基XのEs値は、次の化学反応式
X−CH2COORX+H2O→X−CH2COOH+RXOH
で表わされる、酢酸メチル基の水素原子1つを置換基Xで置換したα位モノ置換酢酸から誘導されるα位モノ置換酢酸エステルを酸性条件下で加水分解する際の反応速度定数kXと、次の化学反応式
CH3COORY+H2O→CH3COOH+RYOH
(RXはRYと同じである)で表わされる、上記のα位モノ置換酢酸エステルに対応する酢酸エステルを酸性条件下で加水分解する際の反応速度定数kHから次の式で求められる。

0055

Es=log(kX/kH)
置換基Xの立体障害により反応速度は低下し、その結果kX<kHとなるので、Es値は通常負となる。

0056

実際にEs値を求める場合には、上記の二つの反応速度定数kXとkHを求め、上記の式により算出する。

0057

Es値の具体的な例は、Unger,S.H.,Hansch,C.,Prog.Phys.Org.Chem.,12,91(1976)に詳しく記載されている。また、『薬物の構造活性相関』(化学の領域増刊122号、江堂)、「American ChemicalSociety Professional Reference Book,’Exploring QSAR’p.81 Table 3−3」にも、その具体的な数値の記載がある。次にその一部を表2に示す。

0058

ここで、注意するのは、本明細書で定義するところのEs値は、メチル基のそれを0として定義したのではなく、水素原子を0としたものであり、メチル基を0としたEs値から1.24を差し引いたものである。

0059

本発明においてEs値は、−0.6以下である。好ましくは、−7.0以上−0.6以下である。最も好ましくは、−7.0以上−1.0以下である。

0060

0061

従って、一般式(3)で示されるような、AがN−M−Xとで形成する環が結合する位置の隣接位置で、もう一つの環が更に縮合環を形成している場合にも同様の効果を得ることができる。例えばこれらの例として化合物例13,14,16が挙げられる。

0062

又、前記の例えばフェニルピリジンのようなビアリール配位子の2つの環を電子吸引性の基で置換することによって、これらのイリジウム錯体の燐光発光波長を短波化することが出来る。これを一般式で示すと前記一般式(4)で表されるが、一般式(4)において、2つの環それぞれに置換する電子吸引性基、EWG1及びEWG2のσp値の総計は0.15以上、2以下が選ばれる。

0064

σp値は、Hammett等によって安息香酸エステルの加水分解に及ぼす置換基の電子的効果から求められた置換基定数であり、ジャーナルオブオーガニックケミストリー23巻、420−427(1958)、実験化学講座14巻(丸善出版社)、フィジカル・オーガニック・ケミストリー(McGrawHill Book社:1940),ドラックデザインVII巻(Academic Prees New York:1976)、薬物の構造活性相関(南江堂:1979)等に詳しく記載されている。

0065

更に好ましい本発明の金属錯体は一般式(4)で表される錯体の中、N−M−Y−Zの2面角が9度以上90度未満であるものである。即ち、金属錯体を形成するビアリール型の配位子が、少なくとも1つの置換基で置換されており、かつ、該置換基のσp値の総和が0.15以上2以下であり、なおかつ、一般式(4)においてN−M−Y−Zの2面角が9度以上90度未満であるものである。更に好ましくは一般式(4)においてN−M−Y−Zの2面角が9度以上45度未満のものであり、これにより電子吸引性基を有し、且つ、ビアリールを構成するそれぞれの環平面がねじれた構造となっているという2重の効果があり、燐光発光を短波化する上で好ましい。

0066

一般式(5)で表される金属錯体は、ビアリール配位子を構成する2つの環のうち一方がフェニル基であるものであり、一般式(2)のより好ましい構造を示す。即ち、一般式(5)においては、該フェニル基中の他の(ヘテロ)アリール環が結合する位置の隣接位に置換基R61を有しており、該置換基は前記立体パラメータEs値が−0.6以下であることが好ましい。

0067

更に好ましい、本発明に用いる金属錯体は一般式(6)で表される。一般式(6)は配位子として2−フェニルピリジンを有する。該フェニルピリジン配位子上の置換基特にR71及びR75は水素或いは置換基を表すが、R71及びR75の少なくとも一方は置換基であり、又、R71及びR75のそれぞれの立体パラメータの総和は−0.6以下である。R71及びR75のいずれか或いは両方にEs値小さい基を導入することでフェニルピリジン骨格のそれぞれの環平面同士にねじれを生じる。

0068

一般式(7)について、説明する。一般式(7)においてはフェニル基のピリジル基との結合位に対してオルト位に嵩高い基としてアリール基が置換されているものである。例えばフェニル基を例にとると、前記Es値で−1.01であり立体パラメータが小さく本発明の効果が大きい。

0069

一般式(8)は、一方の環構造がフェニル基であるビアリール配位子が配位した金属錯体であるが、この様に一方がフェニル環である場合、置換基の選択が比較的自由であり、例えば、R91〜R94のフェニル置換基が、それぞれの置換基のσp値の総和を0.15以上2.0以下というように選択できる点好ましい。

0070

一般式(9)は、2−フェニルピリジンのフェニル部分が、ピリジル基が結合する部位の隣接位を含む縮合環を形成していることが特徴である。縮合環の形成も、2つの環が同一平面となる構造をとるのを立体的に妨げるので、上記一般式(3),(5)及び(7)におけると同様の効果をもたらし好ましい。

0071

以下に、本発明に係わる前記一般式(1)〜(9)で表される金属錯体の具体例を示すが、これらのみに限定されるものではない。

0072

0073

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以下にこれら本発明に係わる金属錯体化合物の代表的合成例を示すが、これらに限定されるものではない。

0087

合成例(化合物27)
Chem.Commun.,1998,2439の記載の処方に従い、中間体1を合成した。

0088

更に、中間体1を用いて、J.Am.Chem.Soc.,2001,123,4304に記載の、イリジウム錯体の処方を参考にして、化合物27を合成した。中間体1からの収率は45%だった。なお、化合物は、1H−NMRおよび元素分析により同定した。

0089

Anal.Found C,62.45;H,4.08;N,3.91
Calcd C,62.30;H,4.16;N,3.73

0090

0091

0092

合成例(化合物13)
J.Heterocycl.Chem.,1992,29,1673に記載の処方に従い、2−(1−naphthyl)pyridineを合成し、更に、上記化合物27と同様の処方を用いて、化合物13を合成した。2−(1−naphthyl)pyridineからの収率は58%だった。なお、化合物は、1H−NMRおよび元素分析により同定した。

0093

Anal.Found C,60.12;H,3.99;N,3.87
Calcd C,60.07;H,3.89;N,4.00
これらの、例えば、350nmから440nm、更に好ましくは390nm〜410nmの範囲に蛍光極大波長を有する蛍光性化合物をホスト化合物として用い、本発明に係わる前記青〜青紫の領域に燐光をもったイリジウム金属錯体を用いる事で緑領域に電界発光する有機EL素子を得ることが出来る。

0094

本発明において、蛍光性化合物は光励起により2個の電子スピン反平行の状態である励起一重項からの発光が観測される化合物のことであり、燐光性化合物は光励起により2個の電子スピンが平行の状態である励起三重項からの発光が観測される化合物である。ここで、本発明に記載の燐光性化合物では、前記蛍光性化合物の励起一重項状態、または、励起三重項状態からのエネルギー移動により、室温(15〜30℃)において励起三重項状態が形成されると考えられる。

0095

本発明において、蛍光性化合物の蛍光極大波長は、蛍光性化合物をガラス基板上に100nm蒸着したときの蒸着膜蛍光スペクトルを測定した時の極大値である。

0096

従って、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子においては、発光層は、好ましくは、蛍光性化合物と燐光性化合物の両方を含有するが、前記の金属錯体化合物を燐光性化合物として用いると、フルカラー表示をする際の青の原色として優れた、青〜青緑領域の発光色が認められた。

0097

本発明において、ドーパントとして組み込む前記燐光性化合物の燐光発光極大波長は、ホストの蛍光性化合物の蛍光極大波長に比べより長波であり、これによりドーパントとして組み込んだ燐光性化合物の励起三重項による発光を利用した有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子を得ることができる。したがって、素子を構成した状態において電界発光により得られる発光極大波長は、該ホストとして用いた蛍光性化合物の単独での蛍光極大波長(蛍光性化合物をガラス上に100nm蒸着したときの蒸着膜で蛍光スペクトルを測定した時の極大値)よりも長波である。

0098

本発明の燐光性化合物は溶液中の燐光量子収率が、25℃において0.001以上である。好ましくは、0.01以上である。さらに好ましくは、0.1以上である。

0099

以下に、励起三重項状態の量子収率φpの測定手段及びその理論について述べる。

0100

励起一重項状態から基底状態へは無輻射遷移蛍光放出により、それぞれ速度定数、ksn、kfで励起エネルギーを失う。この他に、励起三重項状態への遷移が速度定数、kiscで起き失活する。ここで、励起一重項状態の寿命τsは次式で定義される。

0101

τs=(ksn+kf+kisc)-1
また、蛍光の量子収率、φfは次式で定義される。

0102

φf= kf・τs
励起三重項状態から基底状態へは無輻射遷移と燐光放出によりそれぞれ、速度定数、ktn、kpで失活する。また、励起三重項状態の寿命、τtは次式で定義される。

0103

τt=(ktn+kp)-1
τtは10-6〜10-3秒であり、長いものは数秒に及ぶ場合もある。そして、燐光の量子収率、φpは励起三重項状態の生成の量子収率、φSTを用いて次のように定義される。

0104

φp=φST・kp・τt
上記パラメータは、第4版実験化学講座7の分光IIの398ページ(1992年版、丸善)に記載の方法により測定することが出来る。上記パラメータ中、燐光性化合物の溶液中での燐光量子収率は種々の溶媒を用いて測定できるが、本発明においては溶媒としてテトラヒドロフランを用いて測定を行ったものである。

0105

本発明に係わる前記化合物の燐光発光波長は前述のように従来知られているイリジウム等の金属錯体が示す発光領域に比べて短波であり(ブルーの領域に近い)、該化合物の三重項を利用した発光素子においては、従来よりも蛍光体であるホスト化合物の発光波長を更に短波にする必要がある。即ち広いバンドギャップを有する化合物と組み合わせるのが好ましい。

0106

従来、ホスト化合物として用いる蛍光性化合物の蛍光極大波長は350nmから440nmであることが好ましく、更に好ましいのは390nm〜410nmである。

0107

本発明において、ホスト化合物として有利に用いられる蛍光性化合物の例を以下に示す。これらのなかでもバンドギャップの広いトリアリールアミンビフェニル化合物等が本発明に係わる燐光性化合物と共に発光層に用いられるものとして好まい。しかしながらこれらの化合物は発光層に用いられるほか、正孔輸送層に用いることも好ましい。

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0168

0169

0170

0171

0172

0173

0174

0175

0176

0177

本発明でいうバンドギャップとは、化合物のイオン化ポテンシャル電子親和力の差を表し、イオン化ポテンシャル、及び電子親和力は真空準位基準として決定される。イオン化ポテンシャルは化合物のHOMO(最高被占分子軌道レベルにある電子を真空準位に放出するのに必要なエネルギーで定義され、電子親和力は真空準位にある電子が物質のLUMO(最低空分子軌道)レベルに落ちて安定化するエネルギーで定義される。尚、上記イオン化ポテンシャルと電子親和力の差は、化合物の吸収スペクトル吸収端から換算することが可能であり、本発明では、化合物をガラス上に100nm蒸着したときの蒸着膜の吸収スペクトルを測定し、その吸収端の波長Ynmを以下の換算式を用いてX(eV)に換算して求めることができる。

0178

X=1240/Y
以下、発光層について説明する。

0179

ここでいう発光層は、広義意味では、陰極と陽極からなる電極電流を流した際に発光する層のことを指す。具体的には、陰極と陽極からなる電極に電流を流した際に発光する蛍光性化合物を含有する層のことを指す。通常、エレクトロルミネッセンス素子(EL素子)は一対の電極の間に発光層を挟持した構造をとる。本発明の有機EL素子は、必要に応じ発光層の他に、正孔輸送層、電子輸送層陽極バッファー層および陰極バッファー層等を有し、陰極と陽極で挟持された構造をとる。

0180

具体的には、
(i)陽極/発光層/陰極
(ii)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
(iii)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
(iv)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(v)陽極/陽極バッファー層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極などで示される構造がある。

0181

上記化合物を用いて発光層を形成する方法としては、例えば蒸着法、スピンコート法キャスト法、LB法などの公知の方法により薄膜を形成する方法があるが、特に分子堆積膜であることが好ましい。ここで、分子堆積膜とは、上記化合物の気相状態から沈着され形成された薄膜や、該化合物の溶融状態又は液相状態から固体化され形成された膜のことである。通常、この分子堆積膜はLB法により形成された薄膜(分子累積膜)と、凝集構造高次構造相違やそれに起因する機能的な相違により区別することができる。

0182

また、この発光層は、特開昭57−51781号に記載されているように、樹脂などの結着材と共に発光材料として上記化合物を溶剤に溶かして溶液としたのち、これをスピンコート法などにより塗布して薄膜形成することにより得ることができる。

0183

このようにして形成された発光層の膜厚については特に制限はなく、状況に応じて適宜選択することができるが、通常は5nm〜5μmの範囲である。

0184

ここで、本発明に記載の燐光性化合物は、具体的には、重金属錯体系化合物であり、好ましくは元素周期律表でVIII属の金属中心金属とする錯体系化合物であり、さらに好ましくは、オスミウム、イリジウムまたはプラチナ錯体系化合物である。これらのうち特にイリジウムが好ましい。

0185

これらの燐光性化合物としては、前記のように燐光量子収率が、25℃において0.001以上である他、前記ホストとなる蛍光性化合物の蛍光極大波長よりも長い燐光発光極大波長を有するものであり、これにより、例えば、ホストとなる蛍光性化合物の発光極大波長より長波の燐光性化合物をもちいて燐光性化合物の発光、即ち三重項状態を利用した、ホスト化合物の蛍光極大波長よりも長波において電界発光するEL素子を得ることができる。燐光性化合物の濃度は上記ホスト化合物に対して0.01〜15モル%が好ましい。より好ましくは、2〜10%である。

0186

本発明において、ホスト化合物は、ガラス転移温度(Tg)が高い、熱安定性の高いものが有機エレクトロルミネッセンス素子の材料として好ましい。Tgは100度以上であることが好ましい。

0187

又、これらの化合物は分子量は600以上であることが好ましい。この範囲内の分子量であると発光層を真空蒸着法により容易に作製することができ、有機EL素子の製造が容易になる。さらに、有機EL素子中における蛍光性化合物の熱安定性もよくなる。

0188

前記蛍光性化合物はホスト化合物として用いられるが、正孔輸送層或いは正孔注入層に用いてもよく優れた効果を発揮する。

0189

次に正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層等発光層と組み合わせてEL素子を構成するその他の層について説明する。

0190

正孔注入層、正孔輸送層は、陽極より注入された正孔を発光層に伝達する機能を有し、この正孔注入層、正孔輸送層を陽極と発光層の間に介在させることにより、より低い電界で多くの正孔が発光層に注入され、そのうえ、発光層に陰極、電子注入層又は電子輸送層より注入された電子は、発光層と正孔注入層もしくは正孔輸送層の界面に存在する電子の障壁により、発光層内の界面に累積され発光効率が向上するなど発光性能の優れた素子となる。この正孔注入層、正孔輸送層の材料(以下、正孔注入材料正孔輸送材料という)については、前記の陽極より注入された正孔を発光層に伝達する機能を有する性質をもつものであれば特に制限はなく、従来、光導伝材料において、正孔の電荷注入輸送材料として慣用されているものやEL素子の正孔注入層、正孔輸送層に使用される公知のものの中から任意のものを選択して用いることができる。

0191

上記正孔注入材料、正孔輸送材料は、正孔の注入もしくは輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物無機物のいずれであってもよい。この正孔注入材料、正孔輸送材料としては、例えばトリアゾール誘導体オキサジアゾール誘導体イミダゾール誘導体ポリアリールアルカン誘導体,ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体フェニレンジアミン誘導体アリールアミン誘導体アミノ置換カルコン誘導体オキサゾール誘導体,スチリルアントラセン誘導体フルオレノン誘導体ヒドラゾン誘導体,スチルベン誘導体,シラザン誘導体,アニリン系共重合体、また、導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマーなどが挙げられる。正孔注入材料、正孔輸送材料としては、上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物芳香族第三級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第三級アミン化合物を用いることが好ましい。

0192

上記芳香族第三級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル;N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミンTPD);2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニルプロパン;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン;N,N,N′,N′−テトラ−p−トリル−4,4′−ジアミノビフェニル;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン;ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン;ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン;N,N′−ジフェニル−N,N′−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル;N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル;4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル;N,N,N−トリ(p−トリル)アミン;4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン;4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニルベンゼン;3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン;N−フェニルカルバゾール、さらには、前記ホスト化合物としてあげたトリアリールアミン化合物、ビフェニール化合物が特に好ましく、米国特許第5,061,569号明細書に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4′,4″−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)なども挙げられる。

0193

さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。

0194

また、p型−Si、p型−SiCなどの無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することができる。この正孔注入層、正孔輸送層は、上記正孔注入材料、正孔輸送材料を、例えば真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法などの公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。正孔注入層、正孔輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度である。この正孔注入層、正孔輸送層は、上記材料の一種又は二種以上からなる一層構造であってもよく、同一組成又は異種組成の複数層からなる積層構造であってもよい。

0195

さらに、必要に応じて用いられる電子輸送層は、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよく、その材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。

0196

この電子輸送層に用いられる材料(以下、電子輸送材料という)の例としては、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体チオピランジオキシド誘導体ナフタレンペリレンなどの複素環テトラカルボン酸無水物カルボジイミドフレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体などが挙げられる。さらに、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送材料として用いることができる。

0197

さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。

0198

また、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えばトリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)など、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、Ga又はPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送材料として用いることができる。その他、メタルフリー若しくはメタルフタロシアニン、又はそれらの末端アルキル基スルホン酸基などで置換されているものも、電子輸送材料として好ましく用いることができる。また、発光層の材料として例示したジスチリルピラジン誘導体も、電子輸送材料として用いることができるし、正孔注入層、正孔輸送層と同様に、n型−Si、n型−SiCなどの無機半導体も電子輸送材料として用いることができる。

0199

電子輸送層に用いる好ましい化合物としては、以下に挙げるホウ素化合物が挙げられる。これらの化合物は又、前記燐光性化合物のホスト化合物として用いることもできる。

0200

0201

0202

0203

0204

0205

0206

0207

0208

0209

0210

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0212

この電子輸送層は、上記化合物を、例えば真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法などの公知の薄膜形成法により製膜して形成することができる。電子輸送層としての膜厚は、特に制限はないが、通常は5nm〜5μmの範囲で選ばれる。この電子輸送層は、これらの電子輸送材料一種又は二種以上からなる一層構造であってもよいし、あるいは、同一組成又は異種組成の複数層からなる積層構造であってもよい。

0213

又、本発明においては、蛍光性化合物は発光層のみに限定することはなく、発光層に隣接した正孔輸送層、または電子輸送層に前記燐光性化合物のホスト化合物となる蛍光性化合物と同じ領域に蛍光極大波長を有する蛍光性化合物を少なくとも1種含有させてもよく、それにより更にEL素子の発光効率を高めることができる。これらの正孔輸送層や電子輸送層に含有される蛍光性化合物としては、発光層に含有されるものと同様に蛍光極大波長が350nmから440nm、更に好ましくは390nm〜410nmの範囲にある蛍光性化合物が用いられる。

0214

また、別の形態では、ホスト化合物としての蛍光性化合物(A)と燐光性化合物の他に、燐光性化合物からの発光の極大波長よりも長波な領域に、蛍光極大波長を有するもう一つの蛍光性化合物(B)を少なくとも1種含有する場合もある。この場合、蛍光性化合物(A)と燐光性化合物からのエネルギー移動で、有機EL素子としての電界発光は蛍光性化合物(B)からの発光が得られる。蛍光性化合物(B)として好ましいのは、溶液状態蛍光量子収率が高いものである。ここで、蛍光量子収率は10%以上、特に30%以上が好ましい。具体的には、クマリン系色素ピラン系色素,シアニン系色素クロコニウム系色素,スクアリウム系色素,オキソベンツアントラセン系色素,フルオレセイン系色素,ローダミン系色素ピリリウム系色素,ペリレン系色素,スチルベン系色素,ポリチオフェン系色素、または、希土類錯体系蛍光体などが挙げられる。

0215

ここでの蛍光量子収率も、前記第4版実験化学講座7の分光IIの362ページ(1992年版、丸善)に記載の方法により測定することが出来、本発明においては、テトラヒドロフラン中で測定する。

0216

本発明の有機EL素子に好ましく用いられる基盤は、ガラス、プラスチックなどの種類には特に限定はなく、また、透明のものであれば特に制限はない。本発明のエレクトロルミネッセンス素子に好ましく用いられる基盤としては例えばガラス、石英光透過性プラスチックフィルムを挙げることができる。

0218

次に、該有機EL素子を作製する好適な例を説明する。例として、前記の陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極からなるEL素子の作製法について説明する。

0219

まず適当な基板上に、所望電極用物質、例えば陽極用物質からなる薄膜を、1μm以下、好ましくは10〜200nmの範囲の膜厚になるように、蒸着やスパッタリングなどの方法により形成させて陽極を作製する。次に、この上に素子材料である正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層/電子注入層からなる薄膜を形成させる。

0220

さらに、陽極と発光層または正孔注入層の間、および、陰極と発光層または電子注入層との間にはバッファー層電極界面層)を存在させてもよい。

0221

バッファー層とは、駆動電圧低下や発光効率向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティーエス発行)」の第2編第2章「電極材料」(第123頁〜第166頁)に詳細に記載されており、陽極バッファー層と陰極バッファー層とがある。

0222

陽極バッファー層は、特開平9−45479号、同9−260062号、同8−288069号等にもその詳細が記載されており、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニンバッファー層、酸化バナジウムに代表される酸化物バッファー層、アモルファスカーボンバッファー層、ポリアニリン(エメラディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子バッファー層等が挙げられる。

0223

陰極バッファー層は、特開平6−325871号、同9−17574号、同10−74586号等にもその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属バッファー層、フッ化リチウムに代表されるアルカリ金属化合物バッファー層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファー層、酸化アルミニウム酸化リチウムに代表される酸化物バッファー層等が挙げられる。

0224

上記バッファー層はごく薄い膜であることが望ましく、素材にもよるが、その膜厚は0.1〜100nmの範囲が好ましい。

0225

さらに上記基本構成層の他に必要に応じてその他の機能を有する層を積層してもよく、例えば特開平11−204258号、同11−204359号、および「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第237頁等に記載されている正孔阻止ホールブロック)層などのような機能層を有していても良い。

0226

バッファー層は、陰極バッファー層または陽極バッファー層の少なくとも何れか1つの層内に本発明の化合物の少なくとも1種が存在して、発光層として機能してもよい。

0227

次に有機EL素子の電極について説明する。有機EL素子の電極は、陰極と陽極からなる。

0228

この有機EL素子における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金電気伝導性化合物及びこれらの混合物電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としてはAuなどの金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO2、ZnOなどの導電性透明材料が挙げられる。

0229

上記陽極は、蒸着やスパッタリングなどの方法により、これらの電極物質の薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、また、陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。さらに膜厚は材料にもよるが、通常10nm〜1μm、好ましくは10nm〜200nmの範囲で選ばれる。

0230

一方、陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウムナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al2O3)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属などが挙げられる。これらの中で、電子注入性及び酸化などに対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えばマグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al2O3)混合物、リチウム/アルミニウム混合物などが好適である。上記陰極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリングなどの方法により、薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜1μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。なお、発光を透過させるため、有機EL素子の陽極又は陰極のいずれか一方が、透明又は半透明であれば発光効率が向上するので好都合である。

0231

次に有機EL素子の作製方法について説明する。薄膜化の方法としては、前記の如くスピンコート法、キャスト法、蒸着法などがあるが、均質な膜が得られやすく、かつピンホールが生成しにくいなどの点から、真空蒸着法が好ましい。薄膜化に、真空蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は、使用する化合物の種類、分子堆積膜の目的とする結晶構造会合構造などにより異なるが、一般にボート加熱温度50〜450℃、真空度10-6〜10-3Pa、蒸着速度0.01〜50nm/秒、基板温度−50〜300℃、膜厚5nm〜5μmの範囲で適宜選ぶことが望ましい。

0232

前記の様に、適当な基板上に、所望の電極用物質、例えば陽極用物質からなる薄膜を、1μm以下、好ましくは10〜200nmの範囲の膜厚になるように、蒸着やスパッタリングなどの方法により形成させて陽極を作製した後、該陽極上に前記の通り正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層/電子注入層からなる各層薄膜を形成させた後、その上に陰極用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは50〜200nmの範囲の膜厚になるように、例えば蒸着やスパッタリングなどの方法により形成させ、陰極を設けることにより、所望の有機EL素子が得られる。この有機EL素子の作製は、一回の真空引きで一貫してこの様に正孔注入層から陰極まで作製するのが好ましいが、作製順序を逆にして、陰極、電子注入層、発光層、正孔注入層、陽極の順に作製することも可能である。このようにして得られた有機EL素子に、直流電圧印加する場合には、陽極を+、陰極を−の極性として電圧5〜40V程度を印加すると、発光が観測できる。また、逆の極性で電圧を印加しても電流は流れずに発光は全く生じない。さらに、交流電圧を印加する場合には、陽極が+、陰極が−の状態になったときのみ発光する。なお、印加する交流の波形は任意でよい。

0233

以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれに限定されない。

0234

実施例1
陽極としてガラス上にITOを150nm成膜した基板(NHテクノグラス社製:NA−45)にパターニングを行った後、このITO透明電極を設けた透明支持基板をi−プロピルアルコール超音波洗浄し、乾燥窒素ガス乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。この透明支持基板を、市販の真空蒸着装置基板ホルダーに固定し、一方、5つのモリブデン製抵抗加熱ボートに、1−57、3−1、比較化合物1、BC、Alq3をそれぞれ入れ真空蒸着装置に取付けた。

0235

次いで、真空槽を4×10-4Paまで減圧した後、1−57の入った前記加熱ボート通電して加熱し、蒸着速度0.1〜0.2nm/secで透明支持基板に膜厚50nmの厚さになるように蒸着し、正孔注入輸送層を設けた。さらに、3−1の入った前記加熱ボートと比較化合物1の入ったボートをそれぞれ独立に通電して3−1と比較化合物1の蒸着速度が100:7になるように調節し膜厚30nmの厚さになるように蒸着し発光層を設けた。

0236

ついで、BCの入った前記加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1〜0.2nm/secで厚さ10nmの電子輸送層を設けた。更に、Alq3の入った前記加熱ボートを通電して加熱し、蒸着速度0.1〜0.2nm/secで膜厚40nmの電子注入層を設けた。

0237

次に、真空槽をあけ、電子輸送層の上にステンレス鋼製の長方形穴あきマスクを設置し、一方、モリブデン製抵抗加熱ボートにマグネシウム3gを入れ、タングステン製蒸着用バスケットに銀を0.5g入れ、再び真空槽を2×10-4Paまで減圧した後、マグネシウム入りのボートに通電して蒸着速度1.5〜2.0nm/secでマグネシウムを蒸着し、この際、同時に銀のバスケットを加熱し、蒸着速度0.1nm/secで銀を蒸着し、前記マグネシウムと銀との混合物から成る陰極(200nm)とすることにより比較用有機EL素子OLED1−1を作製した。図1に有機EL素子OLED1−1の構成を示す模式図を示した。

0238

上記有機EL素子OLED1−1の比較化合物1を表1に記載の化合物に替えた以外は有機エレクトロルミネッセンス素子OLED1−1と同様にして、有機エレクトロルミネッセンス素子OLED1−2〜14を作製した。

0239

0240

0241

これらの素子を温度23度、乾燥窒素ガス雰囲気下で10V直流電圧印加による連続点灯を行い、点灯開始時の発光輝度(L)[cd/m2]、外部取り出し量子効率(η)および輝度半減する時間(τ)を測定した。また、点灯開始時の色度を測定し、CIE色度図上での色名を評価した。

0242

発光輝度[cd/m2]については、ミノルタ製CS−1000を用いて測定した。

0243

尚、外部取り出し量子効率(%)=有機EL素子外部に発光した光子数/有機EL素子に流した電子数×100であり、外部取り出し量効率の測定法は、分光放射輝度計CS−1000により測定した発光スペクトルを各波長の光子のエネルギーから380〜780nmの光子数を求め、さらにランバーシアン仮定に基づき発光面から発光した光子数を求めた。また、電流量から電子数は求めた。

0244

発光輝度は有機エレクトロルミネッセンス素子OLED1−1を100とした時の相対値で表し、外部取り出し量子効率も有機エレクトロルミネッセンス素子OLED1−1を100とした時の相対値で表し、輝度の半減する時間(半減寿命)は有機エレクトロルミネッセンス素子OLED1−1の輝度が半減する時間を100とした相対値でそれぞれ表した。色名についてはそれぞれの素子の色度図上での色相を表した。結果を表3に示す。

0245

0246

本発明において望ましい発光色(色名)は次の序列である
(望ましい)Blue>Greenish Blue>Blue Green>Bluish Green>Green(望ましくない)
表1より、比較化合物1を用いた素子は発光輝度、量子効率、半減寿命ともかなり良好ではあるが、発光色がBluish Greenであることから、青色発光を目的とする本発明においては望ましいとは言えない。さらに比較化合物2を用いた素子では発光色がGreenとなってしまい本発明の趣旨から全くはずれてしまい、その他の性能も比較化合物1を用いた素子よりも悪い。比較化合物3を用いた素子では発光色がGreenish Blueであり、比較化合物1を用いた素子よりも好ましいが、発光輝度、量子効率および半減寿命が著しく低い。

0247

これらに対し本発明の化合物を用いた有機EL素子は、何れの場合でも発光輝度、量子効率及び輝度の半減する時間が改善されているのが分かる。また発光色の点でも比較化合物1を用いた素子と同等またはそれ以上の好ましい色であることがわかった。

0248

また、上記有機EL素子OLED1−1の比較化合物1を比較化合物3に替えた以外は有機エレクトロルミネッセンス素子OLED1−1と同様にして、有機エレクトロルミネッセンス素子OLED1−15を作製した。発光色はBluish Greenであった。さらに、比較化合物3を化合物120に替えた以外は有機エレクトロルミネッセンス素子OLED1−15と同様にして、有機エレクトロルミネッセンス素子OLED1−16を作製した。発光色はBlue Greenであった。有機エレクトロルミネッセンス素子OLED1−15の発光輝度、外部取出し量子効率、半減寿命をそれぞれ100とした場合、有機エレクトロルミネッセンス素子OLED1−16の発光輝度、外部取出し量子効率、半減寿命はそれぞれ146、152、147となった。以上の結果から、プラチナを用いた場合でも発光輝度、量子効率及び輝度の半減する時間が改善されているのが分かる。また発光色の点でも比較化合物3を用いたよりもより青味が強く好ましい色であることがわかった。

0249

同様に上記有機EL素子OLED1−1の比較化合物1を比較化合物4に替えた以外は有機エレクトロルミネッセンス素子OLED1−1と同様にして、有機エレクトロルミネッセンス素子OLED1−17を作製した。発光色はBluish Greenであった。さらに、比較化合物4を化合物145に替えた以外は有機エレクトロルミネッセンス素子OLED1−17と同様にして、有機エレクトロルミネッセンス素子OLED1−18を作製した。発光色はBlue Greenであった。有機エレクトロルミネッセンス素子OLED1−17の発光輝度、外部取出し量子効率、半減寿命をそれぞれ100とした場合、有機エレクトロルミネッセンス素子OLED1−18の発光輝度、外部取出し量子効率、半減寿命はそれぞれ143、144、136となった。以上の結果から、オスミウムを用いた場合でも発光輝度、量子効率及び輝度の半減する時間が改善されているのが分かる。また発光色の点でも比較化合物4を用いたよりも好ましい色であることがわかった。

0250

0251

実施例2
実施例1で作製した有機エレクトロルミネッセンス素子OLED1−10の陰極をAlに置き換え、電子輸送層と陰極の間にフッ化リチウムを膜厚0.5nm蒸着して陰極バッファー層を設けた以外は同様にして有機エレクトロルミネッセンス素子OLED2−1を作製した。

0252

実施例1と同様に点灯開始時の発光輝度(L)[cd/m2]、外部取り出し量子効率(η)および輝度の半減する時間(τ)を測定した。また、点灯開始時の色度を測定し、CIE色度図上での色名を評価したところ、有機エレクトロルミネッセンス素子OLED1−1との相対比較で、発光輝度211、量子効率174、輝度の半減する時間244となった。また、有機エレクトロルミネッセンス素子OLED1−3〜9およびOLED1−11〜14についても、同様に、陰極バッファー層を導入するとさらに効果的であった。

0253

実施例3
実施例1で使用したITO透明電極付き透明支持基板を、実施例1と同条件洗浄後、実施例1と同じ要領で、図1に示したものと同様の構成で、但し、正孔注入/輸送層に化合物1−63を、発光層にホスト材料として化合物1−7、ドーパントとして比較化合物5を用いた他、電子輸送層にBCに代え化合物8−17を用いて、比較用有機EL素子OLED3−1を作製した。なお、発光層は、ホスト材料(1−7)とドーパント材料(比較化合物5)を質量比で100:7になるように共蒸着して形成した。

0254

上記有機EL素子OLED3−1の比較化合物5を表4に記載の化合物に替えた以外は有機エレクトロルミネッセンス素子OLED3−1と同様にして、有機エレクトロルミネッセンス素子OLED3−2〜6を作製した。

0255

0256

これらの素子を温度23度、乾燥窒素ガス雰囲気下で10V直流電圧印加による連続点灯を行い、点灯開始時の発光輝度(L)[cd/m2]、外部取り出し量子効率(η)および輝度の半減する時間(τ)を測定した。また、点灯開始時の色度を測定し、CIE色度図上での色名を評価した。発光輝度は有機エレクトロルミネッセンス素子OLED3−1を100とした時の相対値で表し、外部取り出し量子効率は有機エレクトロルミネッセンス素子OLED3−1を100とした時の相対値で表し、輝度の半減する時間は有機エレクトロルミネッセンス素子OLED3−1の輝度が半減する時間を100とした相対値で表した。色名についてはそれぞれの素子の色度図上での色相を表した。結果を表4に示す。

0257

0258

本発明において望ましい発光色(色名)は次の序列である
(望ましい)Blue>Greenish Blue>Blue Green>Bluish Green>Green(望ましくない)
表4より、本発明の化合物を用いた有機EL素子は、点灯開始時の発光輝度、発光効率及び輝度の半減する時間が改善されているのが分かる。特に、輝度の半減する時間が改善されているのが分かる。

発明の効果

0259

燐光性化合物をドーパントとして用い、青から青緑領域の優れた色調を有する発光輝度の高い有機エレクトロルミネッセンス素子を得ることが出来た。

図面の簡単な説明

0260

図1有機EL素子OLED1−1の構成を示す模式図。

--

0261

1 透明支持基板
2陽極
3正孔注入/輸送層
4発光層
5電子輸送層
6電子注入層
7 陰極

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