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技術 ラマン増幅方法、ラマン増幅器、及び光伝送システム

出願人 住友電気工業株式会社
発明者 井上雅之西村正幸
出願日 2001年9月28日 (19年4ヶ月経過) 出願番号 2001-302440
公開日 2003年4月9日 (17年10ヶ月経過) 公開番号 2003-107543
状態 未査定
技術分野 光偏向、復調、非線型光学、光学的論理素子 レーザ(2) レーザ(2) 光伝送方式 光通信システム
主要キーワード ラマンシフト量 ダミー光源 所定波長λ 励起光源ユニット 非線型性 信号光モニタ 本光伝送システム 希土類元素添加ファイバ
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図面 (20)

課題

広帯域増幅波長帯域多波長信号光ラマン増幅可能であるとともに、その構成等が簡単化されるラマン増幅方法ラマン増幅器、及び光伝送システムを提供する。

解決手段

ラマン増幅用光ファイバ10と、励起光増幅用光ファイバ10へと供給する励起光源11、12とを備えるラマン増幅器1において、増幅用光ファイバ10を伝搬される多波長信号光に対して所定波長λpの励起光を励起光源11、12から供給してラマン増幅を行うとともに、多波長信号光の一部の信号光を他の信号光に対するラマン増幅用の励起光として機能させる。これにより、励起光による波長ラマンシフト量をΔλとして、波長λp+Δλ+20nm以上の波長を有する信号光をラマン増幅することが可能となる。

概要

背景

光ファイバ増幅器は、光伝送システムにおいて光ファイバ伝送路伝送される信号光に対して、光伝送路での伝送損失補償すべく信号光を光増幅するものである。光伝送路上に設置される光ファイバ増幅器は、光伝送路としても機能する増幅用光ファイバと、増幅用光ファイバへと励起光を供給する励起光供給手段とを備えて構成される。そして、励起光が供給されている増幅用光ファイバに信号光が入力されると、その信号光は、増幅用光ファイバにおいて光増幅されて出力される。

このような光ファイバ増幅器としては、Er(エルビウム)などの希土類元素を添加する希土類元素添加ファイバ増幅器と、誘導ラマン散乱によるラマン増幅現象を利用するラマン増幅器とが用いられている。

ここで、希土類元素添加ファイバ増幅器(例えばEDFA:Erbium-Doped Fiber Amplifier、Er添加ファイバ増幅器)は、希土類元素を添加した光ファイバ(例えばEDF:Erbium-Doped Fiber、Er添加光ファイバ)を増幅用光ファイバとして用いたものである。一方、ラマン増幅器においては、光ファイバ伝送路を構成している石英系の光ファイバなどが、ラマン増幅用光ファイバとして用いられる。

上述した光増幅器のうち、ラマン増幅器は、励起光の波長を適当に選択することによって、任意の波長帯域増幅波長帯域とすることが可能であるという利点を有している。また、ラマン増幅用光ファイバに対して、互いに異なる波長を有する励起光をそれぞれ供給する複数の励起光源を設ければ、複数の励起光それぞれの波長によって決まる波長帯域を増幅波長帯域として、信号光の光増幅を行うことができる。

概要

広帯域の増幅波長帯域で多波長信号光をラマン増幅可能であるとともに、その構成等が簡単化されるラマン増幅方法、ラマン増幅器、及び光伝送システムを提供する。

ラマン増幅用光ファイバ10と、励起光を増幅用光ファイバ10へと供給する励起光源11、12とを備えるラマン増幅器1において、増幅用光ファイバ10を伝搬される多波長信号光に対して所定波長λpの励起光を励起光源11、12から供給してラマン増幅を行うとともに、多波長信号光の一部の信号光を他の信号光に対するラマン増幅用の励起光として機能させる。これにより、励起光による波長のラマンシフト量をΔλとして、波長λp+Δλ+20nm以上の波長を有する信号光をラマン増幅することが可能となる。

目的

本発明は、以上の問題点を解決するためになされたものであり、広帯域の増幅波長帯域で多波長信号光をラマン増幅可能であるとともに、その構成等が簡単化されるラマン増幅方法、ラマン増幅器、及び光伝送システムを提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

互いに異なる波長を有する複数の信号光からなる多波長信号光ラマン増幅するラマン増幅方法であって、多波長信号光が伝搬される増幅用光ファイバに対して、所定波長λpの励起光を供給することによって前記多波長信号光をラマン増幅するとともに、前記多波長信号光がラマン増幅される増幅波長帯域について、前記多波長信号光の少なくとも一部の信号光を他の信号光に対する励起光として用いることにより、波長λpの前記励起光による波長のラマンシフト量をΔλとして、波長λp+Δλ+20nm以上の波長帯域内にある信号光をラマン増幅可能とすることを特徴とするラマン増幅方法。

請求項2

前記励起光の波長λpは、前記増幅波長帯域の短波長側の一部である第1波長帯域内にある第1の信号光を少なくともラマン増幅可能に設定されているとともに、ラマン増幅された前記第1の信号光を励起光として、前記増幅波長帯域の前記第1波長帯域よりも長波長側の一部である第2波長帯域内にある第2の信号光がラマン増幅されることを特徴とする請求項1記載のラマン増幅方法。

請求項3

前記励起光として、前記増幅用光ファイバに対して互いに異なる波長を有する複数の励起光を供給することを特徴とする請求項1記載のラマン増幅方法。

請求項4

前記増幅用光ファイバにおける前記励起光の伝搬方向は、前記信号光の伝搬方向と同方向であることを特徴とする請求項1記載のラマン増幅方法。

請求項5

前記増幅用光ファイバにおける前記励起光の伝搬方向は、前記信号光の伝搬方向と逆方向であることを特徴とする請求項1記載のラマン増幅方法。

請求項6

前記励起光として、前記増幅用光ファイバにおける伝搬方向が前記信号光の伝搬方向と同方向である励起光と、前記増幅用光ファイバにおける伝搬方向が前記信号光の伝搬方向と逆方向である励起光とを併用することを特徴とする請求項1記載のラマン増幅方法。

請求項7

互いに異なる波長を有する複数の信号光からなる多波長信号光をラマン増幅するラマン増幅器であって、多波長信号光が伝搬されるとともに、所定波長λpの励起光によって前記多波長信号光をラマン増幅する増幅用光ファイバと、前記増幅用光ファイバに対して前記励起光を供給する励起光供給手段と、前記増幅用光ファイバを伝搬される前記多波長信号光に対して、前記励起光供給手段からの前記励起光を合波する合波手段とを備え、前記多波長信号光がラマン増幅される増幅波長帯域について、前記多波長信号光の少なくとも一部の信号光を他の信号光に対する励起光として用いることにより、波長λpの前記励起光による波長のラマンシフト量をΔλとして、波長λp+Δλ+20nm以上の波長帯域内にある信号光をラマン増幅可能に構成されていることを特徴とするラマン増幅器。

請求項8

前記励起光の波長λpは、前記増幅波長帯域の短波長側の一部である第1波長帯域内にある第1の信号光を少なくともラマン増幅可能に設定されているとともに、ラマン増幅された前記第1の信号光を励起光として、前記増幅波長帯域の前記第1波長帯域よりも長波長側の一部である第2波長帯域内にある第2の信号光がラマン増幅されることを特徴とする請求項7記載のラマン増幅器。

請求項9

前記励起光供給手段は、前記励起光として、前記増幅用光ファイバに対して互いに異なる波長を有する複数の励起光を供給することを特徴とする請求項7記載のラマン増幅器。

請求項10

前記増幅用光ファイバにおける前記励起光の伝搬方向は、前記信号光の伝搬方向と同方向であることを特徴とする請求項7記載のラマン増幅器。

請求項11

前記増幅用光ファイバにおける前記励起光の伝搬方向は、前記信号光の伝搬方向と逆方向であることを特徴とする請求項7記載のラマン増幅器。

請求項12

前記励起光として、前記増幅用光ファイバにおける伝搬方向が前記信号光の伝搬方向と同方向である励起光と、前記増幅用光ファイバにおける伝搬方向が前記信号光の伝搬方向と逆方向である励起光とを併用することを特徴とする請求項7記載のラマン増幅器。

請求項13

前記増幅用光ファイバは、前記信号光をラマン増幅することが可能な1種類の光ファイバから構成されていることを特徴とする請求項7記載のラマン増幅器。

請求項14

互いに異なる波長を有する複数の信号光からなる多波長信号光が伝送される光ファイバ伝送路と、前記光ファイバ伝送路上の所定位置に設置されて、前記多波長信号光をラマン増幅する請求項7記載のラマン増幅器とを備えることを特徴とする光伝送システム

請求項15

前記ラマン増幅器は、前記光ファイバ伝送路とは別に設けられた光ファイバを前記増幅用光ファイバとして構成されていることを特徴とする請求項14記載の光伝送システム。

請求項16

前記ラマン増幅器は、前記光ファイバ伝送路を構成している光ファイバを前記増幅用光ファイバとして構成されていることを特徴とする請求項14記載の光伝送システム。

請求項17

前記ラマン増幅器として、前記光ファイバ伝送路とは別に設けられた光ファイバを前記増幅用光ファイバとして構成された第1のラマン増幅器と、前記光ファイバ伝送路を構成している光ファイバを前記増幅用光ファイバとして構成された第2のラマン増幅器とを備えることを特徴とする請求項14記載の光伝送システム。

請求項18

前記多波長信号光の前記複数の信号光のうちで所定の信号光は、前記光ファイバ伝送路の所定区間において、前記光ファイバ伝送路への入力信号光パワーよりも大きい信号光パワーを有することを特徴とする請求項14記載の光伝送システム。

請求項19

前記多波長信号光の前記複数の信号光のそれぞれについて、前記光ファイバ伝送路への入力信号光パワーが互いに等しいことを特徴とする請求項14記載の光伝送システム。

請求項20

前記多波長信号光の前記複数の信号光のうちで他の信号光に対する励起光として用いられる前記一部の信号光について、前記一部の信号光が前記光ファイバ伝送路を伝送されていない場合に、同じ波長帯域内にあるダミー信号光が伝送されるように構成されていることを特徴とする請求項14記載の光伝送システム。

請求項21

前記多波長信号光の前記複数の信号光について、信号光のチャネルを増やす場合に、短波長側のチャネルから順次使用して前記信号光のチャネルを増やすことを特徴とする請求項14記載の光伝送システム。

技術分野

0001

本発明は、信号光励起光によってラマン増幅するラマン増幅方法ラマン増幅器、及びそれを用いた光伝送システムに関するものである。

背景技術

0002

光ファイバ増幅器は、光伝送システムにおいて光ファイバ伝送路伝送される信号光に対して、光伝送路での伝送損失補償すべく信号光を光増幅するものである。光伝送路上に設置される光ファイバ増幅器は、光伝送路としても機能する増幅用光ファイバと、増幅用光ファイバへと励起光を供給する励起光供給手段とを備えて構成される。そして、励起光が供給されている増幅用光ファイバに信号光が入力されると、その信号光は、増幅用光ファイバにおいて光増幅されて出力される。

0003

このような光ファイバ増幅器としては、Er(エルビウム)などの希土類元素を添加する希土類元素添加ファイバ増幅器と、誘導ラマン散乱によるラマン増幅現象を利用するラマン増幅器とが用いられている。

0004

ここで、希土類元素添加ファイバ増幅器(例えばEDFA:Erbium-Doped Fiber Amplifier、Er添加ファイバ増幅器)は、希土類元素を添加した光ファイバ(例えばEDF:Erbium-Doped Fiber、Er添加光ファイバ)を増幅用光ファイバとして用いたものである。一方、ラマン増幅器においては、光ファイバ伝送路を構成している石英系の光ファイバなどが、ラマン増幅用光ファイバとして用いられる。

0005

上述した光増幅器のうち、ラマン増幅器は、励起光の波長を適当に選択することによって、任意の波長帯域増幅波長帯域とすることが可能であるという利点を有している。また、ラマン増幅用光ファイバに対して、互いに異なる波長を有する励起光をそれぞれ供給する複数の励起光源を設ければ、複数の励起光それぞれの波長によって決まる波長帯域を増幅波長帯域として、信号光の光増幅を行うことができる。

発明が解決しようとする課題

0006

近年、高度情報社会到来による社会的ニーズから、光ファイバ伝送路網を利用した大容量高速通信長距離通信に関する研究開発が盛んに行われている。ここで、波長多重WDM:Wavelength Division Multiplexing)伝送システムは、光ファイバ伝送路に互いに異なる波長を有する複数の信号光からなる多波長信号光を伝送させることにより、高速・大容量の光通信を行うものである。また、WDM伝送システムでは、さらなる大容量化のため、多波長信号光の信号光波長帯域広帯域化が進められている。

0007

このようなWDM伝送システムでの多波長信号光を光増幅の対象とする場合、信号光を光増幅する増幅波長帯域を広帯域とすることが必要となる。一方、上述したラマン増幅器においても、一定の波長を有する励起光によって得られる増幅波長帯域の広さは限られており、また、増幅波長帯域が広帯域化してくると、励起光源の個数を増やすなどの方法による増幅波長帯域の拡張では、充分に対応することが困難となる。

0008

これに対して、例えば、多波長信号光での信号光波長帯域を複数の波長帯域に分け、各波長帯域毎に多波長信号光を分波してそれぞれ増幅する方法や、ラマン増幅器及び希土類元素添加ファイバ増幅器を組み合わせて多波長信号光の光増幅を行う方法が提案されている(例えば、特開2001−085773号公報、特開平11−084440号公報、「OFC2001、PD−24」を参照)。しかしながら、これらの方法では、光伝送システムの構成が全体として複雑化し、コスト高となるという問題がある。また、波長帯域内全体での信号光の光増幅も充分には実現されていない。

0009

本発明は、以上の問題点を解決するためになされたものであり、広帯域の増幅波長帯域で多波長信号光をラマン増幅可能であるとともに、その構成等が簡単化されるラマン増幅方法、ラマン増幅器、及び光伝送システムを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0010

このような目的を達成するために、本発明によるラマン増幅方法は、互いに異なる波長を有する複数の信号光からなる多波長信号光をラマン増幅するラマン増幅方法であって、(1)多波長信号光が伝搬される増幅用光ファイバに対して、所定波長λpの励起光を供給することによって多波長信号光をラマン増幅するとともに、(2)多波長信号光がラマン増幅される増幅波長帯域について、多波長信号光の少なくとも一部の信号光を他の信号光に対する励起光として用いることにより、波長λpの励起光による波長のラマンシフト量をΔλとして、波長λp+Δλ+20nm以上の波長帯域内にある信号光をラマン増幅可能とすることを特徴とする。

0011

また、本発明によるラマン増幅器は、互いに異なる波長を有する複数の信号光からなる多波長信号光をラマン増幅するラマン増幅器であって、(a)多波長信号光が伝搬されるとともに、所定波長λpの励起光によって多波長信号光をラマン増幅する増幅用光ファイバと、(b)増幅用光ファイバに対して励起光を供給する励起光供給手段と、(c)増幅用光ファイバを伝搬される多波長信号光に対して、励起光供給手段からの励起光を合波する合波手段とを備え、(d)多波長信号光がラマン増幅される増幅波長帯域について、多波長信号光の少なくとも一部の信号光を他の信号光に対する励起光として用いることにより、波長λpの励起光による波長のラマンシフト量をΔλとして、波長λp+Δλ+20nm以上の波長帯域内にある信号光をラマン増幅可能に構成されていることを特徴とする。

0012

上記したラマン増幅方法及びラマン増幅器においては、広帯域の信号光波長帯域を有する多波長信号光に対して波長λpの励起光を供給してラマン増幅を行うとともに、一部の信号光をラマン増幅用の励起光として機能させている。これにより、波長λp+Δλ+20nm以上の波長を有する信号光をラマン増幅することができることとなり、広帯域の増幅波長帯域で信号光をラマン増幅することが可能となる。また、多波長信号光を複数の波長帯域に分波して光増幅を行うことが不要となるなど、光増幅器としての構成等が簡単化される。

0013

具体的には、例えば、ラマン増幅方法(ラマン増幅器)は、励起光の波長λpが、増幅波長帯域の短波長側の一部である第1波長帯域内にある第1の信号光を少なくともラマン増幅可能に設定されているとともに、ラマン増幅された第1の信号光を励起光として、増幅波長帯域の第1波長帯域よりも長波長側の一部である第2波長帯域内にある第2の信号光がラマン増幅されることが可能な構成とすることが好ましい。これにより、光増幅が必要とされる信号光波長帯域を含む増幅波長帯域内の全体で、信号光を確実かつ充分に光増幅することが可能となる。

0014

また、励起光供給手段は、励起光として、増幅用光ファイバに対して互いに異なる波長を有する複数の励起光を供給することを特徴とする。これにより、一部の信号光を励起光として機能させる上述の構成と合わせて、信号光をラマン増幅することが可能な増幅波長帯域をさらに広帯域化することができる。

0015

また、増幅用光ファイバにおける励起光の伝搬方向は、信号光の伝搬方向と同方向であることを特徴とする。このような順方向励起の構成では、増幅波長帯域の全体で、充分なラマン増幅の利得を確保することができる。

0016

あるいは、増幅用光ファイバにおける励起光の伝搬方向は、信号光の伝搬方向と逆方向であることを特徴とする。このような逆方向励起の構成では、増幅用光ファイバ中での非線型現象による信号光の劣化を抑制することができる。

0017

あるいは、励起光として、増幅用光ファイバにおける伝搬方向が信号光の伝搬方向と同方向である励起光と、増幅用光ファイバにおける伝搬方向が信号光の伝搬方向と逆方向である励起光とを併用することを特徴とする。このような双方向励起の構成では、充分なラマン増幅の利得の確保と、非線型現象による信号光の劣化の抑制とを、好適に両立することができる。これらのラマン増幅器の構成については、多波長信号光の信号光波長帯域などの具体的な条件を考慮して、好適なものに設定することが好ましい。

0018

また、ラマン増幅器は、増幅用光ファイバが、信号光をラマン増幅することが可能な1種類の光ファイバから構成されていることが好ましい。これにより、希土類元素添加光ファイバによる光増幅を併用する構成等に比べて、光増幅器としての構成が簡単化される。

0019

また、本発明による光伝送システムは、互いに異なる波長を有する複数の信号光からなる多波長信号光が伝送される光ファイバ伝送路と、光ファイバ伝送路上の所定位置に設置されて、多波長信号光をラマン増幅する上記したラマン増幅器とを備えることを特徴とする。

0020

これにより、広帯域の信号光波長帯域を有する多波長信号光が伝送されている場合であっても、多波長信号光に含まれる複数の信号光の全体を充分にラマン増幅して、良好に伝送させることが可能な光伝送システムが実現される。

0021

また、光伝送システムにおいて、ラマン増幅器が、光ファイバ伝送路とは別に設けられた光ファイバを増幅用光ファイバとして構成されていることを特徴とする。このとき、ラマン増幅器は、集中定数型の光増幅器となる。

0022

あるいは、ラマン増幅器が、光ファイバ伝送路を構成している光ファイバを増幅用光ファイバとして構成されていることを特徴とする。このとき、ラマン増幅器は、分布定数型の光増幅器となる。

0023

あるいは、ラマン増幅器として、光ファイバ伝送路とは別に設けられた光ファイバを増幅用光ファイバとして構成された集中定数型の第1のラマン増幅器と、光ファイバ伝送路を構成している光ファイバを増幅用光ファイバとして構成された分布定数型の第2のラマン増幅器とをともに備える構成としても良い。

0024

また、多波長信号光の複数の信号光のうちで所定の信号光は、光ファイバ伝送路の所定区間において、光ファイバ伝送路への入力信号光パワーよりも大きい信号光パワーを有することが好ましい。これにより、広帯域の増幅波長帯域の全体で、信号光を充分にラマン増幅することができる。

0025

また、多波長信号光の複数の信号光のそれぞれについて、光ファイバ伝送路への入力信号光パワーが互いに等しいことが好ましい。これにより、光伝送システムにおける各信号光の信号光パワー制御が容易化される。

0026

また、多波長信号光の複数の信号光のうちで他の信号光に対する励起光として用いられる一部の信号光について、一部の信号光が光ファイバ伝送路を伝送されていない場合に、同じ波長帯域内にあるダミー信号光が伝送されるように構成されていることを特徴とする。これにより、多波長信号光の伝送状態にかかわらず、増幅波長帯域内全体でのラマン増幅を好適に保持することができる。

0027

また、多波長信号光の複数の信号光について、信号光のチャネルを増やす場合に、短波長側のチャネルから順次使用して信号光のチャネルを増やすことを特徴とする。これにより、ラマン増幅による増幅波長帯域を良好に広げることができる。

発明を実施するための最良の形態

0028

以下、図面とともに本発明によるラマン増幅方法、ラマン増幅器、及び光伝送システムの好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。

0029

図1は、本発明によるラマン増幅器の一実施形態を示す構成図である。本ラマン増幅器1は、所定の信号光波長帯域内で、互いに異なる波長を有する複数の信号光からなる多波長信号光が伝送されるWDM伝送システムなどの光伝送システムにおいて、多波長信号光を光増幅するために用いられる光増幅器である。

0030

本実施形態におけるラマン増幅器1は、増幅用光ファイバ10と、2つの励起光源11、12とを備えて構成されている。増幅用光ファイバ10は、ラマン増幅器1の入力端1aから出力端1bへと多波長信号光が伝搬される光伝送路であり、また、所定波長λpの励起光によって多波長信号光をラマン増幅するためのラマン増幅用光ファイバである。

0031

増幅用光ファイバ10への波長λpの励起光は、励起光供給手段である2つの励起光源11、12によって供給される。このうち、励起光源11は、順方向励起(前方励起)用の励起光源である。また、励起光源12は、逆方向励起(後方励起)用の励起光源である。

0032

励起光源11は、入力端1aと増幅用光ファイバ10との間に合波手段として設けられた光合波器13を介して、ラマン増幅器1内の光伝送路へと接続されている。また、励起光源12は、出力端1bと増幅用光ファイバ10との間に合波手段として設けられた光合波器14を介して、ラマン増幅器1内の光伝送路へと接続されている。

0033

光合波器13は、入力端1aから到達した多波長信号光を増幅用光ファイバ10へと通過させるとともに、励起光源11から供給された波長λpの励起光を増幅用光ファイバ10へと順方向に通過させる。また、光合波器14は、増幅用光ファイバ10から到達した信号光を出力端1bへと通過させるとともに、励起光源12から供給された励起光を増幅用光ファイバ10へと逆方向に通過させる。これにより、本ラマン増幅器1は、双方向励起の光増幅器として構成されている。

0034

本実施形態によるラマン増幅器1は、広帯域の信号光波長帯域を有する多波長信号光のうち、その一部の信号光を励起光として機能させるラマン増幅方法によって、多波長信号光に含まれる複数の信号光の全体をラマン増幅するように構成されている。すなわち、図1に示したラマン増幅器1では、多波長信号光に対して波長λpの励起光を供給してラマン増幅を行うとともに、多波長信号光の少なくとも一部の信号光を他の信号光に対する励起光として用いている。

0035

これにより、波長λpの励起光による波長のラマンシフト量をΔλとして、波長λp+Δλ+20nm以上の波長帯域内にある信号光をラマン増幅することが可能となる。このとき、この波長λp+Δλ+20nm以上の波長帯域が信号光をラマン増幅することが可能な増幅波長帯域に含まれることとなるので、ラマン増幅器1における増幅波長帯域を長波長側に広帯域化することができる。

0036

このようなラマン増幅方法としては、具体的には、例えば、励起光源11、12から供給される励起光の波長λpを、増幅波長帯域の短波長側の一部である第1波長帯域内にある第1の信号光を少なくともラマン増幅可能な波長に設定する。そして、励起光源11、12からの励起光によってラマン増幅された第1の信号光を励起光として機能させて、増幅波長帯域の第1波長帯域よりも長波長側の一部である第2波長帯域内にある第2の信号光をラマン増幅する。このような構成及びラマン増幅方法を用いることにより、光増幅が必要とされる信号光波長帯域を含む増幅波長帯域内の全体で、信号光を確実かつ充分に光増幅することが可能となる。

0037

本ラマン増幅器1における上述したラマン増幅方法について、図2に示すグラフを参照しつつ具体的に説明する。

0038

まず、簡単のため、1波長のみの励起光を用いた場合のラマン増幅について考える。誘導ラマン散乱によるラマン増幅現象を利用した光増幅では、波長λpの励起光を供給した場合、図2に示すように、波長λpからその励起光での波長のラマンシフト量Δλだけ長波長側にシフトした波長λp+Δλが、ラマン増幅による増幅利得ピーク波長となる。そして、この利得ピーク波長λp+Δλを中心とする一定の波長範囲が、ラマン増幅による増幅波長帯域となる。

0039

具体的には、光伝送システムに通常使用されている波長帯域の信号光(例えば1.55μm帯の信号光)では、ラマン増幅現象によるラマンシフトは、およそ440cm-1である。また、このラマンシフトに対応する波長のラマンシフト量は、ほぼΔλ〜100nmである。

0040

この励起光の波長λpからシフトした利得ピーク波長λp+Δλにおけるラマン増幅の最大利得に対して、利得ピーク波長から波長δλ=±15〜20nmだけ離れた波長での利得は、最大利得の約半分である。したがって、ラマン増幅による有効な増幅波長帯域の波長帯域幅は、1波長の励起光あたりで帯域幅2δλ=35〜40nmとなる(特開2000−098433号公報参照)。

0041

このとき、増幅波長帯域の長波長側への広がりを考えると、波長λp+Δλ+δλ以上、すなわち波長λp+Δλ+20nm以上の波長帯域については、その波長帯域内にある信号光は、波長λpの励起光によっては、充分な利得でラマン増幅することができないことととなる。励起光波長λpによるこのような増幅波長帯域の制限は、複数波長の励起光を供給した場合にも同様に生じる。

0042

これに対して、図1に示した実施形態のラマン増幅器1及びラマン増幅方法では、波長λpの励起光によって、波長λp+Δλ±20nmの範囲で帯域幅40nmの波長帯域内にある信号光(第1の信号光)がラマン増幅される。そして、このラマン増幅された信号光を他の信号光(第2の信号光)に対する励起光として機能させることによって、波長λp+Δλ+20nm以上(例えば波長λp+120nm以上)の波長帯域内にある信号光をラマン増幅することができる。

0043

すなわち、本ラマン増幅器1によれば、増幅用光ファイバ10を含む光ファイバ伝送路を伝送されている多波長信号光に対して、波長λpの励起光を供給したときに、波長λp+Δλ±20nmの波長帯域内の信号光に加えて、波長λp+Δλ+20nm以上の長波長側の波長帯域内にある信号光をもラマン増幅することが可能となる。これにより、信号光をラマン増幅することが可能な増幅波長帯域を広帯域化することができる。また、多波長信号光を複数の波長帯域に分波して光増幅を行うことが不要となるなど、光増幅器としての構成を簡単化しつつ、かつ、増幅波長帯域の広帯域化を実現することができる。

0044

なお、励起光供給手段である励起光源11、12から増幅用光ファイバ10へと供給される励起光としては、図1に示したラマン増幅器1においては、1波長λpの励起光を供給する構成としている。これに対して、励起光供給手段を、互いに異なる波長を有する複数の励起光を供給するように構成しても良い。これにより、多波長信号光の一部の信号光を励起光として機能させる上述の構成と合わせて、ラマン増幅の増幅波長帯域をさらに広帯域化することができる。複数の励起光を供給する励起光供給手段としては、例えば、互いに異なる波長を有する励起光をそれぞれ出力する複数の励起光源からなる励起光源ユニットなどを用いることができる。

0045

また、増幅用光ファイバ10における励起光の伝搬方向については、図1に示した構成において励起光源11のみを用いる場合を考えると、励起光の伝搬方向は信号光の伝搬方向と同方向となる。このような順方向励起の構成によるラマン増幅では、増幅波長帯域の全体で、充分なラマン増幅の利得を確保することができる。

0046

また、図1に示した構成において励起光源12のみを用いる場合を考えると、励起光の伝搬方向は信号光の伝搬方向と逆方向となる。このような逆方向励起の構成によるラマン増幅では、増幅用光ファイバ中での非線型現象による信号光の劣化を抑制することができる。

0047

また、図1に示した構成において励起光源11及び12をともに用いる場合を考えると、伝搬方向が信号光の伝搬方向と同方向である励起光と、信号光の伝搬方向と逆方向である励起光とが併用された構成となる。このような双方向励起の構成によるラマン増幅では、充分なラマン増幅の利得の確保と、非線型現象による信号光の劣化の抑制とを、好適に両立することができる。

0048

なお、これらの順方向励起、逆方向励起、及び双方向励起などのラマン増幅器の構成については、光増幅の対象となる多波長信号光の信号光波長帯域などの具体的な条件を考慮して、好適な構成に設定することが好ましい。また、例えば、双方向励起の構成では、順方向励起用の励起光源11から供給される励起光の波長と、逆方向励起用の励起光源12から供給される励起光の波長とを異なる波長としても良い。

0049

また、ラマン増幅に用いられる増幅用光ファイバ10については、信号光をラマン増幅することが可能な1種類の光ファイバから構成されていることが好ましい。これにより、ラマン増幅用の石英系光ファイバと希土類元素添加光ファイバとを併用する構成など、複数種類の光ファイバを接続して光増幅を行う構成に比べて、光増幅器としての構成が簡単化される。

0050

次に、上述したラマン増幅器を用いた光伝送システムについて説明する。

0051

図3は、本発明による光伝送システムの第1実施形態を示す構成図である。本光伝送システムは、所定の信号光波長帯域内にあり、互いに異なる波長を有する複数の信号光からなる多波長信号光を送信する送信局送信器)Tと、送信局Tからの多波長信号光が伝送される光ファイバ伝送路Lと、光ファイバ伝送路Lを伝送された多波長信号光を受信する受信局受信器)Rとを備えて構成されている。

0052

光ファイバ伝送路L上の所定位置には、図1に示した構成を有するラマン増幅器2が設置されている。ラマン増幅器2は、光ファイバ伝送路Lを伝送されている多波長信号光をラマン増幅するためのものである。

0053

本実施形態のラマン増幅器2は、増幅用光ファイバ20と、所定波長の励起光を供給する励起光源21、22と、励起光源21、22からの励起光を増幅用光ファイバ20へとそれぞれ合波する光合波器23、24とから構成されている。また、このラマン増幅器2では、光ファイバ伝送路Lとは別に設けられた光ファイバが、増幅用光ファイバ20として用いられている。このとき、ラマン増幅器は、集中定数型の光増幅器となっている。

0054

このように、図1に示した構成のラマン増幅器を集中定数型のラマン増幅器2として適用することにより、広帯域の信号光波長帯域を有する多波長信号光が伝送されている場合であっても、多波長信号光に含まれる複数の信号光の全体を充分にラマン増幅して、良好に伝送させることが可能な光伝送システムが実現される。

0055

図4は、光伝送システムの第2実施形態を示す構成図である。本光伝送システムは、多波長信号光を送信する送信局Tと、送信局Tからの多波長信号光が伝送される光ファイバ伝送路Lと、光ファイバ伝送路Lを伝送された多波長信号光を受信する受信局Rとを備えて構成されている。

0056

光ファイバ伝送路L上の所定位置には、図1に示した構成を有するラマン増幅器3が設置されている。ラマン増幅器3は、光ファイバ伝送路Lを伝送されている多波長信号光をラマン増幅するためのものである。

0057

本実施形態のラマン増幅器3は、増幅用光ファイバ30と、所定波長の励起光を供給する励起光源31、32と、励起光源31、32からの励起光を増幅用光ファイバ30へとそれぞれ合波する光合波器33、34とから構成されている。また、このラマン増幅器3では、光ファイバ伝送路Lを構成している光ファイバが、増幅用光ファイバ30として用いられている。このとき、ラマン増幅器3は、分布定数型の光増幅器となっている。

0058

このように、図1に示した構成のラマン増幅器を分布定数型のラマン増幅器3として適用することにより、広帯域の信号光波長帯域を有する多波長信号光が伝送されている場合であっても、多波長信号光に含まれる複数の信号光の全体を充分にラマン増幅して、良好に伝送させることが可能な光伝送システムが実現される。

0059

図5は、光伝送システムの第3実施形態を示す構成図である。本光伝送システムは、多波長信号光を送信する送信局Tと、送信局Tからの多波長信号光が伝送される光ファイバ伝送路Lと、光ファイバ伝送路Lを伝送された多波長信号光を受信する受信局Rとを備えて構成されている。

0060

本実施形態における光伝送システムは、図3に示した集中定数型のラマン増幅器(第1のラマン増幅器)2と、図4に示した分布定数型のラマン増幅器(第2のラマン増幅器)3とをともに備える構成となっている。このような構成によっても、多波長信号光に含まれる複数の信号光の全体を充分にラマン増幅して、良好に伝送させることが可能な光伝送システムが実現される。

0061

なお、上記構成のラマン増幅器を適用した光伝送システムにおいては、多波長信号光に含まれる複数の信号光のうちで所定の信号光が、光ファイバ伝送路Lの所定区間において、光ファイバ伝送路Lへの入力信号光パワーよりも大きい信号光パワーを有することが好ましい。これにより、広帯域の増幅波長帯域の全体で、信号光を充分にラマン増幅することができる。

0062

具体的には、例えば、長波長側の第2の信号光に対する励起光として用いられる短波長側の第1の信号光について、その信号光パワーを所定区間において大きくしておけば、第2の信号光を充分な利得でラマン増幅することができる。

0063

また、複数の信号光のそれぞれについて、光ファイバ伝送路Lへの入力信号光パワーが互いに等しいことが好ましい。これにより、光伝送システムにおける各信号光の信号光パワー制御が容易化される。

0064

また、複数の信号光について、信号光のチャネルを増やす場合に、短波長側のチャネルから順次使用して信号光のチャネルを増やすことが好ましい。これにより、ラマン増幅による増幅波長帯域を良好に広げることができる。

0065

また、複数の信号光のうちで他の信号光に対する励起光として用いられる一部の信号光について、その信号光が光ファイバ伝送路を伝送されていない場合に、同じ波長帯域内にあるラマン増幅用のダミー信号光が伝送されるように、光伝送システムを構成しておくことが好ましい。これにより、多波長信号光の伝送状態にかかわらず、増幅波長帯域内全体でのラマン増幅を好適に保持することができる。

0066

このようなダミー信号光を伝送可能にするための具体的な構成としては、例えば、ラマン増幅器2を備える図3に示した光伝送システムにおいて、多波長信号光を送信する送信局Tが、上記した一部の信号光を伝送させることが不要な場合でも、ラマン増幅用のダミーとして信号光を送信する構成がある。あるいは、送信局Tとは別に、ダミー信号光を供給するための光源を設置する構成としても良い。

0067

図6は、光伝送システムの第4実施形態を示す構成図である。本光伝送システムは、図3に示した光伝送システムとほぼ同様であり、多波長信号光を送信する送信局Tと、送信局Tからの多波長信号光が伝送される光ファイバ伝送路Lと、光ファイバ伝送路Lを伝送された多波長信号光を受信する受信局Rと、光ファイバ伝送路L上の所定位置に設置された集中定数型のラマン増幅器2とを備えて構成されている。

0068

また、本実施形態においては、ラマン増幅器2の上流側に、送信局T側から順に、光合波器44及び光分岐器43が設置されている。光ファイバ伝送路Lを伝送されている多波長信号光は、その一部が光分岐器43によって分岐されて、信号光モニタ41へと入力される。そして、信号光モニタ41において、多波長信号光に含まれる複数の信号光のそれぞれが伝送されているかどうかがモニタされる。

0069

信号光モニタ41による多波長信号光の伝送状態のモニタ結果は、ダミー光源42へと送られる。ダミー光源42は、入力された多波長信号光のモニタ結果において、複数の信号光のうちで他の信号光に対する励起光として用いられる信号光が伝送されていない場合に、同じ波長帯域内にあるダミー信号光を出力する。ダミー光源42から出力されたダミー信号光は、光合波器44を介して、ラマン増幅器2へと順方向に合波される。このような構成によっても、ラマン増幅用の励起光として、ラマン増幅器2に対してダミー信号光を供給することができる。

0070

次に、上述したラマン増幅方法及びラマン増幅器による多波長信号光のラマン増幅について、実施例とともに具体的に説明する。なお、以下に示す実施例は、いずれもコンピュータシミュレーションを行った結果を示している。

0071

図7は、ラマン増幅の第1実施例について示す模式図である。本実施例では、増幅用光ファイバとして光ファイバ伝送路を構成している光ファイバであるファイバ長50kmのシングルモードファイバSMF)30を用い、分布定数型でのラマン増幅を行っている。また、SMF30への励起光の供給については、順方向励起のみの構成としている。

0072

また、ラマン増幅の対象となる多波長信号光については、入力される多波長信号光の信号光波長帯域を1480〜1630nmに設定している。また、入力信号光パワーは0.8dBm/ch、出力信号光パワーは約0.8dBm/chである。

0073

上記した信号光波長帯域に対して、SMF30へと供給される励起光の波長λ(nm)及び励起光パワーp(dBm)を図8に示す。この表に示すように、SMF30に対して、順方向に波長範囲1382〜1457nmでの16波長の励起光が供給されている。これらの励起光の波長範囲をΔλ=100nmだけシフトさせた、各励起光による利得ピーク分布する波長範囲は、1482〜1557nmである。

0074

多波長信号光のうち、短波長側の信号光を励起光によってラマン増幅するとともに、ラマン増幅された短波長側の信号光を長波長側の信号光に対する励起光として利用する場合、SMF30のうちの上流側の区間で短波長側の信号光が充分にラマン増幅される必要がある。このため、広帯域のラマン増幅で高利得を得るためには、順方向励起を用いることが好ましい。

0075

図9は、本実施例によって得られる多波長信号光の出力信号光パワーの波長依存性を示すグラフであり、横軸信号光波長λ(nm)、縦軸は出力信号光パワー(dBm)を示している。このグラフより、信号光波長帯域の全体で信号光がラマン増幅され、特に、励起光の波長λpに対して、波長λp+Δλ+20nm=λp+120nm以上の波長を有する信号光も充分にラマン増幅されていることがわかる。また、帯域幅150nmの波長帯域全体での出力信号光パワーの偏差は、約2.2dBmと充分に小さくなっている。

0076

図10は、多波長信号光のうちで最短波長である波長1480nmの信号光のSMF30中での信号光パワーの変化を示すグラフであり、横軸はSMF30での位置(km)、縦軸は各位置での信号光パワー(dBm)を示している。このグラフより、波長1480nmの信号光の信号光パワーは、SMF30の上流側において最大で10dBm程度と、非常に大きくなっていることがわかる。

0077

これは、SMF30の下流側において長波長側の信号光を充分にラマン増幅する上で有利である。ただし、信号光パワーが強くなりすぎると非線型現象による信号波形の劣化が発生する場合があるので、そのような条件をも考慮して、好適な範囲の信号光パワーとすることが好ましい。

0078

図11は、ラマン増幅の第2実施例について示す模式図である。本実施例では、増幅用光ファイバとして光ファイバ伝送路とは別に設けられた光ファイバであるファイバ長10kmの高非線型性ファイバ(HNL)20を用い、集中定数型でのラマン増幅を行っている。また、HNL20への励起光の供給については、順方向励起のみの構成としている。

0079

また、ラマン増幅の対象となる多波長信号光については、入力される多波長信号光の信号光波長帯域を1480〜1630nmに設定している。また、入力信号光パワーは−9.1dBm/ch、出力信号光パワーは約−0.5dBm/chである。

0080

上記した信号光波長帯域に対して、HNL20へと供給される励起光の波長λ及び励起光パワーpを図12に示す。この表に示すように、HNL20に対して、順方向に波長範囲1382〜1452nmでの12波長の励起光が供給されている。

0081

図13は、本実施例によって得られる多波長信号光の出力信号光パワーの波長依存性を示すグラフである。このグラフより、信号光波長帯域の全体で信号光がラマン増幅され、特に、励起光の波長λpに対して、波長λp+120nm以上の波長を有する信号光も充分にラマン増幅されていることがわかる。また、帯域幅150nmの波長帯域全体での出力信号光パワーの偏差は、約2.4dBmと充分に小さくなっている。

0082

図14は、多波長信号光のうちで最短波長である波長1480nmの信号光のHNL20中での信号光パワーの変化を示すグラフである。このグラフより、波長1480nmの信号光の信号光パワーは、最大で7dBm程度と第1実施例と同様に大きくなっている。なお、本実施例では、増幅用光ファイバとしてHNL20を用いているため、高非線型性による信号波形の劣化を考慮して、好適な範囲の信号光パワーとすることが好ましい。

0083

図15は、ラマン増幅の第3実施例について示す模式図である。本実施例では、増幅用光ファイバとして光ファイバ伝送路とは別に設けられた光ファイバであるファイバ長10kmの高非線型性ファイバ(HNL)20を用い、集中定数型でのラマン増幅を行っている。また、HNL20への励起光の供給については、順方向と逆方向とを合わせた双方向励起の構成としている。

0084

また、ラマン増幅の対象となる多波長信号光については、入力される多波長信号光の信号光波長帯域を1480〜1630nmに設定している。また、入力信号光パワーは−2.5dBm/ch、出力信号光パワーは約4dBm/chである。

0085

上記した信号光波長帯域に対して、HNL20へと供給される励起光の波長λ及び励起光パワーpを図16に示す。この表に示すように、HNL20に対して、順方向に波長1387nmでの1波長の励起光が供給されている。また、逆方向に波長範囲1397〜1477nmでの9波長の励起光が供給されている。

0086

図17は、本実施例によって得られる多波長信号光の出力信号光パワーの波長依存性を示すグラフである。このグラフより、信号光波長帯域の全体で信号光がラマン増幅され、特に、励起光の波長λpに対して、波長λp+120nm以上の波長を有する信号光も充分にラマン増幅されていることがわかる。また、帯域幅150nmの波長帯域全体での出力信号光パワーの偏差は、約1.4dBmと充分に小さくなっている。

0087

図18は、多波長信号光のうちで最短波長である波長1480nmの信号光のHNL20中での信号光パワーの変化を示すグラフである。このグラフより、波長1480nmの信号光の信号光パワーは、最大で4dBm程度に抑えられていることがわかる。これは、HNL20への励起光の供給を双方向励起としたことにより、HNL20の上流側での信号光パワーの増大が抑制されていることを示している。これにより、非線型現象による信号波形の劣化が防止される。

0088

図19は、ラマン増幅の第4実施例について示す模式図である。本実施例では、増幅用光ファイバとして光ファイバ伝送路とは別に設けられた光ファイバであるファイバ長10kmの高非線型性ファイバ(HNL)20を用い、集中定数型でのラマン増幅を行っている。また、HNL20への励起光の供給については、逆方向励起のみの構成としている。

0089

また、ラマン増幅の対象となる多波長信号光については、入力される多波長信号光の信号光波長帯域を1480〜1630nmに設定している。また、入力信号光パワーは−1dBm/ch、出力信号光パワーは約4dBm/chである。

0090

上記した信号光波長帯域に対して、HNL20へと供給される励起光の波長λ及び励起光パワーpを図20に示す。この表に示すように、HNL20に対して、逆方向に波長範囲1385〜1475nmでの9波長の励起光が供給されている。

0091

図21は、本実施例によって得られる多波長信号光の出力信号光パワーの波長依存性を示すグラフである。このグラフより、信号光波長帯域の全体で信号光がラマン増幅され、特に、励起光の波長λpに対して、波長λp+120nm以上の波長を有する信号光も充分にラマン増幅されていることがわかる。また、逆方向励起とすることにより、順方向励起または双方向励起に比べてラマン増幅の利得が小さくなっているものの、帯域幅150nmの波長帯域全体での出力信号光パワーの偏差は、約1.3dBmと充分に小さくなっている。

0092

図22は、多波長信号光のうちで最短波長である波長1480nmの信号光のHNL20中での信号光パワーの変化を示すグラフである。このグラフより、波長1480nmの信号光の信号光パワーは、最大で4dBm程度に抑えられており、全体として双方向励起よりもさらに信号光パワーが低く抑えられていることがわかる。

0093

図23は、ラマン増幅の第5実施例について示す模式図である。本実施例では、増幅用光ファイバとしてファイバ長50kmのシングルモードファイバ(SMF)30を用いた分布定数型でのラマン増幅と、ファイバ長10kmの高非線型性ファイバ(HNL)20を用いた集中定数型でのラマン増幅とを併用して、ラマン増幅を行っている。また、SMF30への励起光の供給については、順方向と逆方向とを合わせた双方向励起の構成としている。同様に、HNL20への励起光の供給についても、双方向励起の構成としている。

0094

また、ラマン増幅の対象となる多波長信号光については、入力される多波長信号光の信号光波長帯域を1480〜1630nmに設定している。また、入力信号光パワーは3dBm/ch、出力信号光パワーは約3dBm/chである。

0095

上記した信号光波長帯域に対して、SMF30へと供給される励起光の波長λ及び励起光パワーpを図24に示す。この表に示すように、SMF30に対して、順方向に波長範囲1382〜1422nmでの5波長の励起光が供給されている。また、逆方向に波長範囲1432〜1462nmでの4波長の励起光が供給されている。

0096

また、HNL20へと供給される励起光の波長λ及び励起光パワーpを図25に示す。この表に示すように、HNL20に対して、順方向に波長1385nmでの1波長の励起光が供給されている。また、逆方向に波長範囲1395〜1475nmでの9波長の励起光が供給されている。

0097

図26は、本実施例によって得られる多波長信号光の出力信号光パワーの波長依存性を示すグラフである。このグラフより、信号光波長帯域の全体で信号光がラマン増幅され、特に、励起光の波長λpに対して、波長λp+120nm以上の波長を有する信号光も充分にラマン増幅されていることがわかる。また、帯域幅150nmの波長帯域全体での出力信号光パワーの偏差は、約1.4dBmと充分に小さくなっている。

0098

図27は、多波長信号光のうちで最短波長である波長1480nmの信号光のSMF30及びHNL20中での信号光パワーの変化を示すグラフである。このグラフより、波長1480nmの信号光の信号光パワーは、分布定数型及び集中定数型のラマン増幅を併用して利得を分散していることにより、充分に低く抑えられていることがわかる。

0099

図28は、ラマン増幅の第6実施例について示す模式図である。本実施例では、増幅用光ファイバとしてファイバ長50kmのシングルモードファイバ(SMF)30を用いた分布定数型でのラマン増幅と、ファイバ長10kmの高非線型性ファイバ(HNL)20を用いた集中定数型でのラマン増幅とを併用して、ラマン増幅を行っている。また、SMF30への励起光の供給については、順方向と逆方向とを合わせた双方向励起の構成としている。同様に、HNL20への励起光の供給についても、双方向励起の構成としている。

0100

また、ラマン増幅の対象となる多波長信号光については、入力される多波長信号光の信号光波長帯域を1450〜1630nmに設定している。この多波長信号光は帯域幅180nmであり、第5実施例での帯域幅150nmよりも広帯域となっている。また、入力信号光パワーは3dBm/ch、出力信号光パワーは約3dBm/chである。

0101

上記した信号光波長帯域に対して、SMF30へと供給される励起光の波長λ及び励起光パワーpを図29に示す。この表に示すように、SMF30に対して、順方向に波長範囲1350〜1390nmでの5波長の励起光が供給されている。また、逆方向に波長範囲1400〜1430nmでの4波長の励起光が供給されている。

0102

また、HNL20へと供給される励起光の波長λ及び励起光パワーpを図30に示す。この表に示すように、HNL20に対して、順方向に波長1350nmでの1波長の励起光が供給されている。また、逆方向に波長範囲1360〜1430nmでの7波長の励起光が供給されている。

0103

図31は、本実施例によって得られる多波長信号光の出力信号光パワーの波長依存性を示すグラフである。このグラフより、180nmの広い帯域幅に対しても、信号光波長帯域の全体で信号光がラマン増幅され、特に、励起光の波長λpに対して、波長λp+120nm以上の波長を有する信号光も充分にラマン増幅されていることがわかる。また、帯域幅180nmの波長帯域全体での出力信号光パワーの偏差は、約2.1dBmと充分に小さくなっている。

発明の効果

0104

本発明によるラマン増幅方法、ラマン増幅器、及びそれを用いた光伝送システムは、以上詳細に説明したように、次のような効果を得る。すなわち、所定の信号光波長帯域を有する多波長信号光に対して波長λpの励起光を供給してラマン増幅を行うとともに、一部の信号光をラマン増幅用の励起光として機能させるラマン増幅方法及びラマン増幅器によれば、励起光による波長のラマンシフト量をΔλとして、波長λp+Δλ+20nm以上の波長を有する信号光をラマン増幅することができることとなる。したがって、広帯域の増幅波長帯域で多波長信号光をラマン増幅可能であるとともに、その構成等が簡単化されるラマン増幅方法、ラマン増幅器、及び光伝送システムが実現される。

図面の簡単な説明

0105

図1ラマン増幅器の一実施形態を示す構成図である。
図2図1に示したラマン増幅器におけるラマン増幅方法について説明するためのグラフである。
図3光伝送システムの第1実施形態を示す構成図である。
図4光伝送システムの第2実施形態を示す構成図である。
図5光伝送システムの第3実施形態を示す構成図である。
図6光伝送システムの第4実施形態を示す構成図である。
図7ラマン増幅の第1実施例について示す模式図である。
図8第1実施例においてシングルモードファイバへと供給される励起光について示す表である。
図9多波長信号光の出力信号光パワーの波長依存性を示すグラフである。
図10信号光の光ファイバ中での信号光パワーの変化を示すグラフである。
図11ラマン増幅の第2実施例について示す模式図である。
図12第2実施例において高非線型性ファイバへと供給される励起光について示す表である。
図13多波長信号光の出力信号光パワーの波長依存性を示すグラフである。
図14信号光の光ファイバ中での信号光パワーの変化を示すグラフである。
図15ラマン増幅の第3実施例について示す模式図である。
図16第3実施例において高非線型性ファイバへと供給される励起光について示す表である。
図17多波長信号光の出力信号光パワーの波長依存性を示すグラフである。
図18信号光の光ファイバ中での信号光パワーの変化を示すグラフである。
図19ラマン増幅の第4実施例について示す模式図である。
図20第4実施例において高非線型性ファイバへと供給される励起光について示す表である。
図21多波長信号光の出力信号光パワーの波長依存性を示すグラフである。
図22信号光の光ファイバ中での信号光パワーの変化を示すグラフである。
図23ラマン増幅の第5実施例について示す模式図である。
図24第5実施例においてシングルモードファイバへと供給される励起光について示す表である。
図25第5実施例において高非線型性ファイバへと供給される励起光について示す表である。
図26多波長信号光の出力信号光パワーの波長依存性を示すグラフである。
図27信号光の光ファイバ中での信号光パワーの変化を示すグラフである。
図28ラマン増幅の第6実施例について示す模式図である。
図29第6実施例においてシングルモードファイバへと供給される励起光について示す表である。
図30第6実施例において高非線型性ファイバへと供給される励起光について示す表である。
図31多波長信号光の出力信号光パワーの波長依存性を示すグラフである。

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0106

1…ラマン増幅器、1a…入力端、1b…出力端、2…集中定数型ラマン増幅器、3…分布定数型ラマン増幅器、10、20、30…ラマン増幅用光ファイバ、11、21、31…順方向励起用励起光源、12、22、32…逆方向励起用励起光源、13、23、33…光合波器、14、24、34…光合波器、41…信号光モニタ、42…ダミー光源、43…光分岐器、44…光合波器、T…送信局(送信器)、R…受信局(受信器)、L…光ファイバ伝送路。

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