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技術 耐酸化特性及び耐高温変形性に優れたFe−Cr−Al系合金箔及びその製造方法

出願人 JFEスチール株式会社
発明者 福田國夫高尾研治星亨萩原俊哉柿原節雄佐藤進
出願日 2001年10月12日 (18年8ヶ月経過) 出願番号 2001-315033
公開日 2003年4月9日 (17年2ヶ月経過) 公開番号 2003-105506
状態 特許登録済
技術分野
  • -
主要キーワード 質量増加分 生成形態 酸化初期 下地合金 電子顕微鏡観察用試料 初期酸化 耐変形性 耐熱用
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重要な関連分野

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図面 (3)

課題

耐酸化特性及び耐高温変形性に優れたFe−Cr−Al系合金箔を提供する。

解決手段

C:0.10質量%以下、Si:1.0 質量%以下、Mn:1.0 質量%以下、Cr:15.0〜30.0質量%、Al:2.0 〜10.0質量%、N:0.10質量%以下、Zr:0.005 〜0.30質量%、Hf:0.01〜0.50質量%及びLa:0.01〜0.30質量%を含み、残部はFe及び不可避的不純物組成にすると共に、箔表層部に、平均粒径が0.5μm 以上のAl酸化物柱状晶を生成させる。

概要

背景

概要

耐酸化特性及び耐高温変形性に優れたFe−Cr−Al系合金箔を提供する。

C:0.10質量%以下、Si:1.0 質量%以下、Mn:1.0 質量%以下、Cr:15.0〜30.0質量%、Al:2.0 〜10.0質量%、N:0.10質量%以下、Zr:0.005 〜0.30質量%、Hf:0.01〜0.50質量%及びLa:0.01〜0.30質量%を含み、残部はFe及び不可避的不純物組成にすると共に、箔表層部に、平均粒径が0.5μm 以上のAl酸化物柱状晶を生成させる。

目的

この発明は、上記要請に鑑みてなされたもので、特に触媒担体用材料として好適な耐酸化特性及び耐高温変形性に優れた、Fe−Cr−Al系合金箔を、その有利な製造方法と共に提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
3件
牽制数
1件

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請求項1

質量%で、C:0.10質量%以下、Si:1.0 質量%以下、Mn:1.0 質量%以下、Cr:15.0〜30.0質量%、Al:2.0 〜10.0質量%、N:0.10質量%以下、Zr:0.005 〜0.30質量%、Hf:0.01〜0.50質量%及びLa:0.01〜0.30質量%を含み、残部はFe及び不可避的不純物組成になるFe−Cr−Al系合金箔であって、箔表層部に、平均粒径が 0.5μm 以上のAl酸化物柱状晶を有することを特徴とする、耐酸化特性及び耐高温変形性に優れたFe−Cr−Al系合金箔。

請求項2

請求項1において、合金箔が、さらにTi:0.01〜0.10質量%、Nb:0.01〜0.30質量%及びB:5〜30質量ppmのうちから選んだ少なくとも一種を含有する組成になることを特徴とする、耐酸化特性及び耐高温変形性に優れたFe−Cr−Al系合金箔。

請求項3

請求項1又は2において、合金箔が、さらにLa,Sm及びCeを除くランタノイドのうち少なくとも一種を、その合計量が 0.2質量%以下を満足する範囲で含有する組成になることを特徴とする、耐酸化特性及び耐高温変形性に優れたFe−Cr−Al系合金箔。

請求項4

請求項1〜3のいずれかにおいて、合金箔が、さらにCa:10〜150 質量ppm 及びMg:15〜150 質量ppmのうちから選んだ少なくとも一種を含有する組成になることを特徴とする、耐酸化特性及び耐高温変形性に優れたFe−Cr−Al系合金箔。

請求項5

請求項1〜4のいずれかにおいて、合金箔表面から0.05μm以上の深さにわたり、希土類元素及び遷移金属のいずれか一方または両方を含有する化合物存在密度が、1個/μm3 以上3個/μm3 以下であることを特徴とする、耐酸化特性及び耐高温変形性に優れたFe−Cr−Al系合金箔。

請求項6

請求項1〜5のいずれかに記載の合金箔を製造するに際し、所定厚みの合金箔に圧延後、酸素分圧1.3×10-3Pa以上 1.3×103Pa 以下の雰囲気中にて、600 〜1250℃の温度で15秒以上保持することにより、平均粒径が0.5 μm のAl酸化物の柱状晶を生成させることを特徴とする、耐酸化特性及び耐高温変形性に優れたFe−Cr−Al系合金箔の製造方法。

技術分野

0001

この発明は、耐酸化特性及び耐高温変形性に優れたFe−Cr−Al系合金箔及びその製造方法に関し、特に、高温酸化雰囲気下で激しい振動熱衝撃を受ける自動車排ガス浄化用触媒担体及び触媒コンバータ等に用いて好適であり、さらには燃焼ガス排気系の機器や装置に用いて有用な合金箔を提供するものである。

0003

自動車排ガス浄化触媒装置にあっては、コンバータ燃焼領域に近い位置に設置し、高温排ガスにより、エンジン始動初期のより早い時期に、触媒活性化温度に到達させ、触媒反応を起こさせるものが開発されつつある。この場合、コンバータは、高温環境にさらされるばかりでなく、エンジンからの激しい振動を受ける。このように、非常に厳しい条件下で使用されるコンバータ用材料として、従来用いられてきたセラミックスは、熱衝撃に弱く、十分使用に耐え得ないため、今日では、耐酸化特性に優れるFe−Cr−Al系合金等の金属材料が使用されている。

0004

ここで、Fe−Cr−Al系合金が高温酸化性に優れるのは、酸化時にまずFeよりも酸化されやすいAlが優先酸化され、合金表面保護性の高いAl2O3酸化被膜を形成するためであり、しかも合金中のAl消耗後は、Al2O3被膜下地合金の界面でCrが優先酸化されて、Cr2O3 酸化被膜を形成するためである。

0005

このようなFe−Cr−Al系合金に関する技術は、従来、数多くの提案がなされている。例えば、特開昭48-41918号公報、特開昭58-177437 号公報、特公平2-58340 号公報、特公昭62-14626号公報、特開昭63-218253 号公報、特開昭63-248447 号公報、特開昭64-11946号公報、特開昭64-30653号公報、特開平1-115455号公報、特開平2-303605号公報、特開平3-36241 号公報、特開平4-147945号公報、特開平4-173939号公報、特開平6-128693号公報、特開平6-172933号公報、特開平7-316746号公報、特開平7-233451号公報、特開平10-53842公報、特開平10-273759 号公報等。

0006

しかし、近年、地球環境保護の立場から排ガス規制がさらに強化されつつあり、エンジン始動時から排ガスを極力浄化する必要性が高まっている。この規制に対応するために、ステンレス鋼箔を組み立てた金属担体の使用が増加しており、その厚みは、従来よりもさらに薄くなる傾向にある。これは、金属担体の壁厚を薄くすることによって、排気抵抗が小さくなったり、熱容量が小さくなり、エンジン姑動から短時間で触媒活性化するなどの利点があるためである。

0007

しかしながら、肉厚を薄くすると、耐酸化特性は従来の材料よりも高いものが要請されるだけでなく、使用時の応力に十分耐え得る、高温での耐変形性の向上も併せて要請される。

0008

この発明は、上記要請に鑑みてなされたもので、特に触媒担体用材料として好適な耐酸化特性及び耐高温変形性に優れた、Fe−Cr−Al系合金箔を、その有利な製造方法と共に提供することを目的とする。

発明が解決しようとする課題

0009

さて、発明者らは、上記の目的を達成すべく、耐酸化特性及び耐高温変形性について綿密な検討を行ったところ、成分として特にLa、Zr及びHfを複合添加すると共に、合金箔表層部のAl酸化物生成状態を的確に制御することによって、所期した目的が有利に達成されることの知見を得た。さらに、上記の規制に加えて、希土類元素及び遷移金属を含有する化合物の存在を制御することによって、より優れた耐酸化特性が得られることも見出した。この発明は上記の知見に立脚するものである。

0010

すなわち、この発明の要旨構成は次のとおりである。
1.C:0.10質量%以下、Si:1.0質量%以下、Mn:1.0 質量%以下、Cr:15.0〜30.0質量%、Al:2.0 〜10.0質量%、N:0.10質量%以下、Zr:0.005 〜0.30質量%、Hf:0.01〜0.50質量%及びLa:0.01〜0.30質量%を含み、残部はFe及び不可避的不純物組成になるFe−Cr−Al系合金箔であって、箔表層部に、平均粒径が 0.5μm以上のAl酸化物の柱状晶を有することを特徴とする、耐酸化特性及び耐高温変形性の優れたFe−Cr−Al系合金箔。

0011

2.上記1において、合金箔が、さらにTi:0.01〜0.10質量%、Nb:0.01〜0.30質量%及びB:5 〜30質量ppm うちから選んだ少なくとも一種を含有する組成になることを特徴とする、耐酸化特性及び耐高温変形性に優れたFe−Cr−Al系合金箔。

0012

3.上記1又は2において、合金箔が、さらにLa, Sm及びCeを除くランタノイドのうち少なくとも一種を、その合計量が 0.2質量%以下を満足する範囲で含有する組成になることを特徴とする、耐酸化特性及び耐高温変形性に優れたFe−Cr−Al系合金箔。

0013

4.上記1〜3のいずれかにおいて、合金箔が、さらにCa:10 〜150 質量ppm及びMg:15〜 150質量ppm のうちから選んだ少なくとも一種を含有する組成になることを特徴とする、耐酸化特性及び耐高温変形性に優れたFe−Cr−Al系合金箔。

0014

5.上記1〜4のいずれかにおいて、合金箔表面から0.05μm以上の深さにわたり、希土類元素及び遷移金属のいずれか一方または両方を含有する化合物の存在密度が、1個/μm3以上3個/μm3以下であることを特徴とする、耐酸化特性及び耐高温変形性に優れたFe−Cr−Al系合金箔。

0015

6.上記1〜5 のいずれかに記載の合金箔を製造するに際し、所定厚みの合金箔に圧延後、酸素分圧1.3×10-3Pa以上 1.3×103 Pa以下の雰囲気中にて、600〜1250℃の温度で15秒以上保持することにより、平均粒径が 0.5μm 以上のAl酸化物の柱状晶を生成させることを特徴とする、耐酸化特性及び耐高温変形性に優れたFe−Cr−Al系合金箔の製造方法。

0016

以下、この発明を具体的に説明する。まず、この発明において、素材成分組成を上記の範囲に限定した理由について説明する。なお、以下の成分組成に関する説明中「%」は質量%を、また「ppm 」は質量ppm を意味する。

発明を実施するための最良の形態

0017

C:0.10%以下
Cは、過剰に含有させると合金箔の高温強度を低下させ、また耐酸化特性及び靭性劣化させるので、0.10%以下の範囲に限定した。

0018

Si:1.0 %以下
Si は、耐酸化特性を向上させる元素であるが、多量に含有すると靭性を劣化させ、また製造性を悪化させるので、Si量は1.0 %以下の範囲に限定した。

0019

Mn:1.0 %以下
Mnは、Al脱酸予備脱酸剤として添加された場合、鋼中に残存することがあり、耐酸化特性及び耐食性を劣化させるので、その含有量は少量とすることが好ましいが、工業的及び経済的な溶製技術を考慮して、Mn量は1.0 %以下の範囲に限定した。

0020

Cr:15.0 〜30.0%
Crは、Alの耐酸化特性を向上させる役割をもつばかりではなく、Cr自体が耐酸化特性を向上させる元素である。ここで、Cr含有量が15.0%未満では、耐酸化特性が確保できないだけでなく、酸化進行時にAlが消費された場合、組織の一部に高温でオーステナイト組織が生成し、酸化時の形状変化激しくなる不利が生じる。一方、Cr含有量が30.0%を超えると靭性が劣化し、冷間圧延が困難となる。そこで、Cr量は15.0〜30.0%の範囲に限定した。

0021

Al:2.0 〜10.0%
Alは、この発明において、耐酸化特性及び最終熱処理時の初期酸化被膜を確保するために、不可欠な元素である。Fe−Cr−Al系合金を高温に保持した場合、AlはFe及びCrより優先酸化されて、合金表面に耐酸化特性の高いAl2O3 被膜を生成し、耐酸化特性を著しく改善する。しかしながら、含有量が 2.0%未満では、純粋なAl2O3 被膜を生成し難く、十分な耐酸化特性を確保できないので、その下限値は 2.0%とした。一方、耐酸化特性の観点からは、Al含有量を高めることが望ましいが、Al量が10.0%を超えると、熱間圧延が困難となるので、その上限値は10.0%とした。

0022

N:0.10%以下
NはCと同様に、過剰に含有させると合金箔の靭性を劣化させる元素であり、また冷間圧延性加工性を悪化させる元素でもある。また、Alと反応し粗大(〜30μm )なAlN として析出すると、厚さ50μm 程度の箔に圧延した場合、穴開きの原因ともなるので、その含有は極力抑制することが望ましい。そこで、N量は0.10%以下の範囲に限定した。

0023

Zr:0.005 〜0.30%、Hf:0.01〜0.50%、La:0.010 〜0.30%
Zr、Hf及びLaは、この発明において非常に重要な元素である。 以下にその理由と、上記各元素の含有量の限定理由について述べる。

0024

一般にFe−Cr−Al系合金においての酸化は、次に示すような段階で進行する。まず、Al2O3被膜が成長し、合金箔中のAlが全て酸化消耗して、合金箔中のAlが枯渇する(第1段階)。 次に、Al2O3 被膜と下地合金との間にCr2O3 が成長する(第2段階)。 最後にFe系酸化物の生成が始まり、酸化増量値が急激に増加する(第3段階)。従来、50μm より厚い合金箔では、実際の触媒担体使用環境下において、上記第1段階で酸化は終了するが、板厚を薄くすると合金箔中のAlの絶対量が減少するため、実際の使用環境下において、上記第2段階に進行することが多々あり、特に厚さ40μm 以下の合金箔では、これまであまり注目されなかった第2段階以降での耐酸化特性(酸化増量が小さいほど良好)、耐高温変形性も問題となっている。

0025

そこで、発明者らは、3種の元素、すなわちZr、Hf及びLaに注目し、耐酸化特性及び耐高温変形性について様々な実験を重ねた結果、これら3種の元素を複合添加するとともに、特定の雰囲気中で熱処理を施して、合金箔の表面に、特殊な保護性の高いAl2O3被膜を生成させることにより、 耐酸化特性及び耐高温変形性を著しく改善できることを見い出した。

0026

すなわち、Zr−Hf−Laを複合添加し、さらに使用に先立ち特定条件下での熱処理を行い、合金箔の表層部に、平均粒径が 0.5μm 以上の柱状晶のAl2O3被膜を生成させることによって、耐酸化特性及び耐高温変形性が共に飛躍的に改善されることが判った。この効果は、Zr、Hf及びLaのうちのいずれか1つの元素が欠けても、当該柱状晶のAl2O3 被膜は生成せず、また、合金箔成分は満足しても、該Al2O3 被膜が生成しなければ、耐酸化特性及び耐高温変形性は共にさほど改善されないことが判った。

0027

ここで、柱状晶と呼ぶ結晶粒はAl2O3被膜の厚さ方向の長さが、前記厚さ方向に垂直な方向の長さに対して大きいAl2O3 結晶粒である。 前記のAl2O3 結晶粒の形状を知るには、Fe−Cr−Al系合金箔の表面を含む断面を集束イオンビーム加工した試料透過電子顕微鏡による観察が適する。 また、結晶粒径とは、前記観察において次のように決定することができる。すなわち、Al2O3 被膜の厚さ方向中央において、Al2O3 被膜の厚さ方向に垂直な方向の直線が、結晶粒界により分断される線分の長さの平均値を結晶粒径とするのである。

0028

なぜ、これらの元素を複合添加した場合に、このような平均粒径が 0.5μm 以上の柱状晶のAl2O3被膜を合金箔の表層部に生成することができるかは、必ずしも明らかではないが、Laは、このようなサイズの柱状晶のAl2O3 被膜と下地合金との密着性を向上させることができると考えられる。 また、Zr及びHfは、単独で含有させた場合は効果がないが、この両元素を共に含有させた場合には、高温でZr−Hfの複合化合物を生成し、それぞれ単独で含有する場合よりも、下地合金の表層部の酸素と結合し易くなるため、下地合金の表層部の酸素ポテンシャル下げ酸化初期のAl及びCr等の酸化物の結晶核の生成を妨げる効果があることから、平均粒径が 0.5μm 以上の柱状晶のAl2O3 被膜を生成させることができるものと考えられる。

0029

すなわち、Laは、Fe−Cr−Al系合金において、高温で生成するAl2O3被膜の下地合金に対する密着性を向上させ、耐酸化特性及び酸化スケール耐剥離性の向上に極めて顕著な効果を奏する。 同時に、Laは、Alの酸化速度を抑制する効果も有するので、この発明の合金箔において必要不可欠な元素である。板厚20〜100μm 程度の合金箔において、La含有量が0.01%未満では、合金箔の表層部に生成する平均粒径0.5 μm 以上の柱状晶のAl2O3 被膜の密着性を確保することができない。一方、その含有量が0.30%を超えると、上記第2段階において固溶していない一部のLaが合金内部で酸化され、耐高温変形性を劣化させる。 また、Laは添加し過ぎると、合金箔の靭性を劣化させる。
従って、La量は0.01〜0.30%の範囲に限定した。
なお、La量は、製造性、耐酸化特性及び耐高温変形性のバランスを考えると、0.03〜0.10%とするのがより好ましい。

0030

また、Zr及びHfは、Laと複合で含有した場合に、特定条件で熱処理を行うことにより、表層部に径が0.50μm 以上の柱状晶のAl2O3被膜を生成させることができる。その結果、外部からAl2O3 被膜の粒界を通って下地合金へ侵入する酸素の侵入経路が減少する。ここに、Al2O3 被膜の粒径が大きくなるほど侵入経路が少なくなり、酸素の内部への侵入が減少し、酸化の進行を遅らせることができる。また同時に、Zr及びHfは、Al2O3 被膜の粒界に拡散して、 外部からの酸素の侵入を抑制する効果もある。

0031

これらの効果は、Zrの含有量が0.005 %以上、かつHfの含有量が0.01%以上で顕著となる。しかし、Zrは含有量が0.30%を超えるとAl2O3被膜中にZr02として混入するようになり、これが酸素の侵入経路となるため、かえってAlの消耗を早める結果となる。加えて、Zrの含有量を多くし過ぎると、Feと金属間化合物を作り、合金箔の靭性を劣化させる。また、Hfは、含有量が0.50%を超えると、Al2O3 被膜中にHf02として混入するようになり、これが酸素の侵入経路となるため、かえってAlの消耗を早める結果となる。
従って、Zr含有量は 0.005〜0.30%の範囲に、またHf含有量は0.01〜0.50%の範囲に限定した。
なお、Zr含有量は熱間圧延ができる範囲とするため、0.01〜0.1 %とするのがより好ましく、またHf含有量は0.02〜0.1 %として、Zr及びHfの含有量をほぼ同じとすることがより好ましい。

0032

以上、この発明にかかる合金箔中に含有させる必須元素の含有量の限定理由について説明したが、この発明では、耐酸化特性及び耐高温変形性をさらに向上させるために、以下の成分を選択的に含有させてもよい。

0033

Ti:0.01〜0.10%、Nb:0.01〜0.30%
Ti及びNbは、合金箔中のCやNと結合し、高温強度を向上させる。 これらの元素を含有させた場合、クリープ特性が改善され、特に前記第2段階で生成されるCr2O3 の被膜と下地合金との膨張率の違いによる変形を緩和させる働きがある。この効果は、Ti及びNbが、それぞれ0.01%以上で発揮される。 しかし、いずれも、含有量が過多になると、Alが枯渇した後の第2段階において酸化物として生成し、耐酸化特性を劣化させる。従って、Ti量は0.01〜0.10%、またNb量は0.01〜0.30%の範囲に限定した。

0034

B:5〜30ppm
Bは、合金箔中の粒界を強化し、高温変形時のクリープを著しく改善する効果があり、特に、前記第2段階での、合金箔の伸びを抑制する効果がある。 この効果はB含有量が5ppm 以上で顕著になる。しかしB含有量が多くなり過ぎると、逆に合金箔の靭性を劣化させる。
従って、B量は5〜30ppm の範囲に限定した。なお、より好適範囲は、5〜15ppm である。

0035

La、 Sm、 Ceを除くランタノイドのうちの少なくとも1種を合計 0.2%以下Sm,Ceを除くランタノイドは、Fe−Cr−Al系合金に対し、Laと同様に高温で生成する酸化被膜と下地合金との密着性を向上させることを通じて、耐酸化特性を向上させる効果を有し、しかも原鉱石からLaを精製する場合には純粋なLaのみよりもNd等を含有したものの方が、精製が容易であることから、Nd,Pr等のランタノイドを各々元素種で0.001 〜0.05%の範囲で含有させることが有利である。ただし、ランタノイドのうちSmやCeは、熱間加工性を低下させる上に、La, Nd及びPr等のランタノイドにみられるような、耐酸化特性の向上に寄与し得ないので、含有させないことが望ましい。また、La, Nd及びPr等のランタノイドの合計が多過ぎると、熱間圧延が不可能になるほど熱間加工性が低下するので、La, SmおよびCeを除くランタノイドの合計は 0.2%以下とすることが好ましい。

0036

Ca:10〜150ppm、Mg:15〜150ppm
Ca及びMgは、低酸素分圧化でのウィスカとよばれるγ−Al2O3 の生成や等軸粒Al2O3 の生成を抑制する働きがあり、低酸素ポテンシャル化での柱状晶Al2O3被膜の生成を助長する働きがある。この効果は、Caが10ppm 以上Mgが15ppm 以上で顕著となる。しかし、Ca及びMgの含有量が多くなり過ぎると、合金箔の靭性が劣化するばかりか、逆に耐酸化特性も劣化する。従って、Ca量は10〜150ppm、またMg量は15〜150ppmの範囲に限定した。なお、より好適な範囲は、Caで20〜70ppm , Mgで20〜100ppmである。

0037

次に、この発明の合金箔の(I)Al酸化物の柱状晶の平均粒径及び(II)熱処理条件について説明する。
(I)Al酸化物すなわち Al2O3の柱状晶の平均粒径について
平均粒径の大きい Al2O3の柱状晶は、合金箔加工後、一定条件で熱処理を行うことによって生じる。というのも、Zr及びHfの両元素が合金箔中に存在し、高温でHf及びZrの複合化合物を生成し、下地合金の表層部の酸素と結合したとしても、もともと酸素ポテンシャルが高い雰囲気では、下地合金の表面の酸素ポテンシャルが十分に低下せず、粒径の大きい柱状晶のAl2O3被膜を生成できないためである。

0038

そこで、発明者らは、この発明にかかる合金箔とその熱処理条件について綿密に検討した結果、酸素分圧1.3×10-3〜 1.3×103Pa の雰囲気中にて 600〜1250℃の温度範囲で15秒以上保持することにより、粒径の大きな柱状晶のAl2O3 が生成することを見出した。 また、この時の柱状晶の平均粒径が 0.5μm 以上であれば、酸素の合金箔内方への侵入を十分に抑制することも併せて見出した。以上のような理由から、この発明の合金箔の表層部に生成させるAl2O3 の柱状晶の平均粒径は、0.5 μm 以上の範囲に限定した。

0039

(II)熱処理条件について
Al2O3柱状晶の酸化被膜は、上述したとおり、この発明に従う組成の合金を箔に加工した後の熱処理において、酸素分圧1.3×10-3Pa以上 1.3×103Pa 以下の雰囲気中にて、600 〜1250℃の温度範囲で15秒以上保持することによって生じさせることができる。また、この保護性の高いAl2O3 柱状晶の被膜は、0.1 μm 以上の厚みで生成させると、耐酸化特性の向上に寄与するとともに、耐高温変形性に対しても十分な効果を発揮するので、被膜の厚みは0.1 μm 以上とするとよい。 ただし熱処理の保持時間が長くなるのを避けるため、この厚みは1.0 μm 以下とするのが望ましい。

0040

また、この発明の合金箔では、希土類元素及び遷移金属のいずれか一方または両方を含有する化合物の存在密度を、合金箔の表面から0.05μm 以上の深さにわたり、1個/μm3以上3個/μm3以下とすることが、特に耐酸化特性の向上に有利である。耐酸化特性は、合金箔表面の性質関与するので、合金箔表面から0.05μm 以上の深さにわたり化合物の存在密度を規制すれば、良好な耐酸化特性が得られる。この存在密度は、電界放射型電子銃を搭載した走査電子顕微鏡を用いて、その入射電子加速電圧を15keV として各試料の表面より 0.1μm までの深さに存在する化合物を検出して得られる。すなわち、電子顕微鏡反射電子検出器を組成像が得られるように設定して得た、例えば図1に示すような反射電子像における、白色点として観察される化合物の単位体積当り個数を測定した。なお、反射電子像における白色点は、走査電子顕微鏡に搭載された、特性X線により構成元素を同定する検出器(EDS:Energy-Dispersive X-Ray Spectroscopy) により調査したところ、希土類元素または遷移金属であった。ちなみに、図1に示した反射電子像における白色点の同定結果を、図2に示すように、当該化合物の構成元素はLaまたはZrであった。

0041

一方、希土類元素及び遷移金属のいずれか一方または両方を含有する化合物の存在密度の上限は、3個/μm3とする。この密度が3個/μm3をこえると、耐酸化特性が劣化する。

0042

なお、希土類元素及び遷移金属のいずれか一方または両方を含有する化合物の存在密度を1個/μm3以上3個/μm3以下とするには、合金箔中の組成で希土類元素の合計を 0.1%以上 0.2%以下とするとよい。

0043

実施例1
表1に各供試材の成分組成を示す。これらの素材は、真空溶解によって溶製し、1200℃に加熱後、1200〜900 ℃の温度域で熱間圧延を施して板厚3mm の熱延板とした後、950 ℃で焼鈍し、次いで冷間圧延と焼鈍を繰り返して、板厚0.1mm の冷延板とした。そして、この冷延板に最終圧延を施して、板厚20〜60μm の合金箔とした。次いで、表1中No.1〜21に関しては、酸素分圧1.3 Paの真空雰囲気中で1100℃、2000秒の熱処理を行って、表層部にAl2O3被膜を生成させた。一方、No.22 及び23に関しては、酸素分圧 1.9×103 Paの雰囲気中で、1100℃、2000秒の熱処理を行って、表層部にAl2O3 被膜を生成させた。

0044

このように作製した試料について、Al2O3柱状晶の平均粒径、耐酸化特性及び耐高温変形性について調査した結果を表1に併記する。なお、Al2O3 柱状晶の粒径は、集束イオンビーム加工により、電子顕微鏡観察用試料を作製し、透過電子顕微鏡で観察して平均粒径を測定した。また耐酸化特性は、1150℃の大気中で250 時間の酸化試験により評価した。 すなわち、酸化試験片を空冷して放置後、常温質量変化が 5.0g/m2未満のものを◎、8.0g/m2 未満のものを○、10.0g/m2未満のものを△、それ以上のものは×で、それぞれ評価した。また、耐高温変形性については、上記の試験後の圧延方向の長さの変形率が0.5 %未満のものを◎、1.0 %未満のものを○、1.5 %未満のものを△、それ以上のものは×で評価した。

0045

0046

表1に示したとおり、この発明を満足する合金箔(表中の発明例)はいずれも、極めて良好な耐酸化特性及び耐高温変形性が得られている。これに対し、表中の各諸元の1つでもこの発明の範囲を逸脱している合金箔(表中の比較例)はそれぞれ、耐酸化特性及び耐高温変形性の少なくともいずれかが、発明例に比して劣っている。 またNo.20 は、X線回折により多量のLa203 が、No.22 は、同じく多量のZrO2が、No.24 は、同じく多量のHfO2が検出され、これらの元素の過剰添加がかえって耐酸化特性を悪化させていることが判る。 さらに、No.19,21及び23の合金箔の最表層部には、柱状晶の平均粒径が 0.5μm より小さいものしか生成していなかった。同様に、No.25 及び26の最表層部も柱状晶の平均粒径は 0.5μm より小さかった。これらの表層部のAl2O3 の生成形態が酸素の合金箔内部への侵入を抑制できなかったために、 これらの試料の耐酸化特性及び耐高温変形性がともに劣化したものと考えられる。

0047

実施例2
表2に各供試材の成分組成を示す。これらの素材は、真空溶解によって溶製し、1200℃に加熱後、1200〜900 ℃の温度域で熱間圧延を施して板厚3mmの熱延板とした後、950 ℃で焼鈍し、次いで冷間圧延と焼鈍を繰り返して、板厚0.1 mmの冷延板とした。そして、この冷延板に最終圧延を施して、板厚20〜60μm の合金箔とした。その後、表3に示す熱処理条件で、表層部にAl2O3被膜を生成させた。かくして、得られた試料について、実施例1と同様にして、Al2O3柱状晶の平均粒径、耐酸化特性及び耐高温変形性について調査した結果を表3に併記する

0048

0049

0050

表3から明らかなように、この発明を満足する合金箔(表中の発明例)はいずれも、非常に良好な耐酸化特性を示し、耐高温変形性も非常に良好な値を示す。以上から、この発明にかかる合金箔中成分及び表層部の酸化被膜の形状を規定することにより初めて、箔肉厚が薄くなっても、高い耐酸化特性及び耐高温変形性を確保することができ、上記成分及び形状のいずれの条件がこの発明の範囲から外れても、これらの優れた性質は実現し得ないことが判る。

0051

実施例3
表1に示した成分組成を有する各Fe−Cr−Al系合金箔について、上述したところに従って希土類元素及び/または遷移金属の化合物の存在密度を測定するとともに、実施例1での場合と同様に1150℃の大気中での 300時間にわたる酸化試験により耐酸化特性を評価した。その結果を酸化による質量増加分を酸化前の合金箔に対する質量変化(酸化増量)として、図3に示す。図3に示すように、化合物の存在密度がこの発明に従う範囲にあるものは、酸化増量が 3.5g/cm2 以下と低く抑えられ、耐酸化性に優れることがわかる。

0052

かくして、この発明によれば、耐酸化特性及び耐高温変形性に優れたFe−Cr−Al系合金箔を安定して得ることができる。この発明の合金箔は、特に、自動車等の触媒コンバータ用材料等の、耐熱用材料として好適であり、とりわけ板厚 0.1mm以下の箔とした場合において優れた性能を呈する。

発明の効果

0053

図1電子顕微鏡による写真である。
図2X線による回折結果を示す図である。
図3化合物の存在密度と耐酸化特性(酸化増量)との関係を示す図である。

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