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技術 微小バルブ機構を有するマイクロ流体デバイス、マイクロ流体デバイスの微小バルブ機構駆動装置、及び流量調節方法

出願人 一般財団法人川村理化学研究所
発明者 穴澤孝典
出願日 2001年9月14日 (18年6ヶ月経過) 出願番号 2001-280039
公開日 2003年3月19日 (16年11ヶ月経過) 公開番号 2003-084001
状態 未査定
技術分野 電気化学的な材料の調査、分析 自動分析、そのための試料等の取扱い クロマトグラフィによる材料の調査、分析 幾何学的な機構による創成加工 マイクロマシン 弁の細部(I) 弁の操作手段一般;電気駆動弁 物理的、化学的プロセスおよび装置
主要キーワード 積層範囲 電流開閉器 磁力強度 部材表 ダイヤフラム駆動 磁力発生装置 空隙寸法 ダイヤフラム部分
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2003年3月19日)のものです。
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課題

バルブ機構駆動用配管又は結線の接続を必要とせず、簡便な方法で流体流量調節を行うことのできるマイクロ流体デバイスを提供すること。

解決手段

欠損部を有する部材Aにダイヤフラム接着して、前記部材Aの欠損部と前記ダイヤフラムで流体の流入口、流出口又は流路となる空洞Aを形成し、ダイヤフラムの面積が1×10−10〜1×10−5m2、厚みが0.1〜500μmの範囲にあり、ダイヤフラムに強磁性物質を接着、固定して装着し、或いはダイヤフラムの部材Aと反対側に、欠損部を有する部材Bを接着し、部材Bの欠損部とダイヤフラムとで、ダイヤフラムを隔てて空洞Aに相対する位置に空洞Bを形成し、空洞B内部に強磁性物質が充填を装着され、磁力線によりダイヤフラムが変形して空洞Aの容積を変化させ空洞Aを流れる流体の流量が調節される微小バルブ機構を有する。

概要

背景

サイエンス(SCIENCE)」誌(第288巻、113頁、2000年)には、全体がシリコンゴムで形成され、液体流路と、該流路ダイヤフラムを隔てて形成された加圧用空洞を有する微小バルブ機構が記載されている。そして、加圧用空洞に圧縮気体を導入し、シリコンゴム製ダイヤフラムを変形させて流路側に押し出すことによって流路断面積を変化させ、液体流量調節を行う方法が記載されている。

しかし圧力による駆動方式は、加圧あるいは減圧するための配管を接続する必要があり、そのため、バルブ機構自身が微小で、流体の流量調節を行うダイヤフラムが1×10−10〜1×10−5m2程度の微小なものである場合、配管を接続するための構造の形成が極めて困難であった。逆に、接続するためには、デバイスに強度を持たせる必要があるため、デバイスの寸法を小さくすることが困難であった。また、超多数並列運転が困難であるという不都合があった。

また、通常の寸法のバルブでは、電磁的開閉する、いわゆる電磁バルブが広く使用されている。しかしながら、既知の電磁バルブは、バルブ機構内にコイルアクチュエーターを有し、マイクロ流体デバイスへ組み込むことが困難であるばかりか、結線を必要とした。そのため、圧空駆動方式と同様の問題があった。

概要

バルブ機構駆動用配管又は結線の接続を必要とせず、簡便な方法で流体の流量調節を行うことのできるマイクロ流体デバイスを提供すること。

欠損部を有する部材Aにダイヤフラムを接着して、前記部材Aの欠損部と前記ダイヤフラムで流体の流入口、流出口又は流路となる空洞Aを形成し、ダイヤフラムの面積が1×10−10〜1×10−5m2、厚みが0.1〜500μmの範囲にあり、ダイヤフラムに強磁性物質を接着、固定して装着し、或いはダイヤフラムの部材Aと反対側に、欠損部を有する部材Bを接着し、部材Bの欠損部とダイヤフラムとで、ダイヤフラムを隔てて空洞Aに相対する位置に空洞Bを形成し、空洞B内部に強磁性物質が充填を装着され、磁力線によりダイヤフラムが変形して空洞Aの容積を変化させ空洞Aを流れる流体の流量が調節される微小バルブ機構を有する。

目的

本発明が解決しようとする課題は、流体の流量調節を行うダイヤフラムの面積が1×10−10〜1×10−5m2の微小バルブ機構を有するマイクロ流体デバイスにおいて、ダイヤフラムに対しバルブ機構駆動用配管又は結線を接続する必要がなく、簡便な方法で流体の流量調節を行うことのできるマイクロ流体デバイスを提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
6件
牽制数
7件

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請求項1

{部材を貫通する欠損部、部材表面の凹状の欠損部、又は部材を貫通する欠損部及び部材表面の凹状の欠損部}を有する部材(部材A)にダイヤフラム接着され、該部材Aの欠損部と該ダイヤフラムで流体の流入口、流出口又は流路となる空洞(空洞A)が形成され、ダイヤフラムの面積が1×10−10〜1×10−5m2、厚みが0.1〜500μmの範囲にあり、ダイヤフラムに強磁性物質を固定して装着し、或いはダイヤフラムの部材Aと反対側に空洞(空洞F)を設け、強磁性物質を該空洞F内に装着し、磁力によりダイヤフラムが変形して空洞Aの容積を変化させ空洞Aを流れる流体の流量が調節される微小バルブ機構を有することを特徴とするマイクロ流体デバイス

請求項2

前記微小バルブ機構が、強磁性物質を吸引又は反発させる磁力発生装置を備えたものである請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。

請求項3

前記ダイヤフラムが、部材Aに積層された薄膜状の部材(部材C)の、部材Aの欠損部に面する部分として形成されたものである請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。

請求項4

前記強磁性物質の重量が1×10−9〜1×10−1gである請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。

請求項5

前記強磁性物質が磁性流体であり、空洞F内部に充填して装着するものである請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。

請求項6

(1)請求項1〜5のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイスの保持機構、(2)マイクロ流体デバイス中の強磁性物質に磁力を作用させることのできる磁力発生装置、及び、(3)マイクロ流体デバイス中の強磁性物質の位置において該磁力発生装置が発生する磁力の強度を変化させる機構、を有することを特徴とするマイクロ流体デバイスの微小バルブ機構駆動装置

請求項7

請求項1〜5のいずれか一項に記載のマイクロ流体デバイスの外部から、マイクロ流体デバイス中の強磁性物質に磁力を作用させることによりマイクロ流体デバイス中のバルブ機構を駆動することを特徴とするマイクロ流体デバイスの流量調節方法

技術分野

0001

本発明は、マイクロ流体デバイス、即ち、部材中に微小流路反応槽電気泳動カラムなどの構造が形成されたマイクロデバイスに関する。詳しくは、化学生化学などの微小反応デバイスマイクロリアクター);集積DNA分析デバイス微小電気泳動デバイス、微小クロマトグラフィーデバイスなどの微小分析デバイス質量スペクトル液体クロマトグラフィーなどの分析試料調製用微小デバイス;抽出、膜分離透析などの物理化学的処理デバイス、などとして有用なマイクロ流体デバイスに関する。

0002

さらに詳しくは、バルブ機構を有するマイクロ流体デバイスに関し、微小なダイヤフラム型バルブ機構、即ち、微小なダイヤフラムを変形させ、ダイヤフラムに面する空洞の容量を変化させることによって、該空洞を通過する流体の流量を調節する微小バルブ機構、を有するマイクロ流体デバイスに関し、微小バルブ機構のダイヤフラムの変形が、ダイヤフラム部に装着された強磁性物質に、部材外から磁力を作用させることによる変形であるマイクロ流体デバイスに関する。なお、本発明で言う流量調節は、流量をゼロとすることも含む。また、本発明は、マイクロ流体デバイスの微小バルブ機構駆動装置、及びマイクロ流体デバイスの流量調節方法に関する。

背景技術

0003

サイエンス(SCIENCE)」誌(第288巻、113頁、2000年)には、全体がシリコンゴムで形成され、液体流路と、該流路とダイヤフラムを隔てて形成された加圧用空洞を有する微小バルブ機構が記載されている。そして、加圧用空洞に圧縮気体を導入し、シリコンゴム製ダイヤフラムを変形させて流路側に押し出すことによって流路断面積を変化させ、液体の流量調節を行う方法が記載されている。

0004

しかし圧力による駆動方式は、加圧あるいは減圧するための配管を接続する必要があり、そのため、バルブ機構自身が微小で、流体の流量調節を行うダイヤフラムが1×10−10〜1×10−5m2程度の微小なものである場合、配管を接続するための構造の形成が極めて困難であった。逆に、接続するためには、デバイスに強度を持たせる必要があるため、デバイスの寸法を小さくすることが困難であった。また、超多数並列運転が困難であるという不都合があった。

0005

また、通常の寸法のバルブでは、電磁的開閉する、いわゆる電磁バルブが広く使用されている。しかしながら、既知の電磁バルブは、バルブ機構内にコイルアクチュエーターを有し、マイクロ流体デバイスへ組み込むことが困難であるばかりか、結線を必要とした。そのため、圧空駆動方式と同様の問題があった。

発明が解決しようとする課題

0006

本発明が解決しようとする課題は、流体の流量調節を行うダイヤフラムの面積が1×10−10〜1×10−5m2の微小バルブ機構を有するマイクロ流体デバイスにおいて、ダイヤフラムに対しバルブ機構駆動用配管又は結線を接続する必要がなく、簡便な方法で流体の流量調節を行うことのできるマイクロ流体デバイスを提供することにある。

課題を解決するための手段

0007

本発明者らは、微小なバルブ機構を有するマイクロ流体デバイスを製造するため、上記の課題を解決する方法について鋭意検討した結果、マイクロ流体デバイスに、部材の欠損部とダイヤフラムによって構成された空洞を流路の一部と成した構造を形成し、ダイヤフラム部分に強磁性物質を装着し、磁力によりダイヤフラムを変形させる構造を有する微小バルブ機構を設けることにより、バルブ機構駆動用配管又は結線の接続を必要とせず、非接触で流体の流量調節を簡便に行うことのできるマイクロ流体デバイスを提供できることを見いだし、本発明を完成するに至った。

0008

即ち本発明は、{部材を貫通する欠損部、部材表面の凹状の欠損部、又は部材を貫通する欠損部及び部材表面の凹状の欠損部}を有する部材(部材A)にダイヤフラムが接着され、該部材Aの欠損部と該ダイヤフラムで流体の流入口、流出口又は流路となる空洞(空洞A)が形成され、ダイヤフラムの面積が1×10−10〜1×10−5m2、厚みが0.1〜500μmの範囲にあり、ダイヤフラムに強磁性物質が接着、固定されて装着され、或いはダイヤフラムの部材Aと反対側に、{部材を貫通する欠損部、部材表面の凹状の欠損部、又は部材を貫通する欠損部及び部材表面の凹状の欠損部}を有する部材(部材B)が接着され、部材Bの欠損部とダイヤフラムとで、ダイヤフラムを隔てて空洞Aに相対する位置に空洞(空洞B)が形成され、空洞B内部に強磁性物質が充填されて装着され、磁力によりダイヤフラムが変形して空洞Aの容積を変化させ空洞Aを流れる流体の流量が調節される微小バルブ機構を有することを特徴とするマイクロ流体デバイスを提供するものである。

0009

また本発明は、(1)前記マイクロ流体デバイスの保持機構、(2)マイクロ流体デバイス中の強磁性物質に磁力を作用させることのできる磁力発生装置、及び、(3)マイクロ流体デバイス中の強磁性物質の位置において該磁力発生装置が発生する磁力の強度を変化させる機構、を有することを特徴とするマイクロ流体デバイスの微小バルブ機構駆動装置を提供するものである。

0010

また本発明は、前記マイクロ流体デバイスの外部から、マイクロ流体デバイス中の強磁性物質に磁力を作用させることによりマイクロ流体デバイス中のバルブ機構を駆動することを特徴とするマイクロ流体デバイスの流量調節方法を提供するものである。

発明を実施するための最良の形態

0011

本マイクロ流体デバイスは、{部材を貫通する欠損部、部材の表面の凹状の欠損部、又は部材を貫通する欠損部及び部材の表面の凹状の欠損部}を有する部材(以下、「部材A」と称する)にダイヤフラムが接着して固定されており、部材Aの欠損部とダイヤフラムでもって空洞(「空洞A」と称する)が形成され、空洞Aは該空洞を通過する流路(流路A)の一部と成っている。換言すれば、空洞Aには流入口(「流入口A」と称する)と流出口(「流出口A」と称する)が設けられている。流入口A、流出口Aにはそれぞれ流路A(流入口A又は流出口Aに接続される流路をどちらも「流路A」と称する)が接続されている。

0012

本発明のマイクロ流体デバイスの外形は特に限定する必要はなく、用途目的に応じた形状をとりうる。例えば、シート状(フィルム状、リボン状などを含む。以下同じ)、板状、塗膜状、棒状、チューブ状、その他複雑な形状の成型物などであり得るが、シート状又は板状であることが特に好ましい。

0013

本発明のマイクロ流体デバイスが板状である場合には、その厚みは任意であるが、好ましくは20μm〜20mmであり、更に好ましくは100μm〜10mmであり最も好ましくは300μm〜5mmである。厚みが20μmより小さいと製造が困難となり、5mmより大きいと微小バルブ機構としてのメリットが低下する。

0014

部材Aの外形は特に限定する必要はなく、用途目的に応じた形状をとりうる。部材Aの形状としては、上述の、本発明のマイクロ流体デバイス自体の形状と同様である。即ち、例えば、シート状、板状、塗膜状、棒状、チューブ状、その他複雑な形状の成型物などであり得るが、シート状又は板状であることが特に好ましい。なお、以下、説明の簡略化のため、特に分けて表記する必要のない無い限り、「板状」に「シート状」も含めることとする。部材Aは複数の同じ又は異なる素材複合体、例えば積層体で構成されていても良い。

0015

部材Aの厚みは任意であるが、好ましくは10μm〜10mmであり、更に好ましくは50μm〜5mm、であり最も好ましくは150μm〜2.5mmである。厚みが50μmより小さいと製造が困難となり、2.5mmより大きいとマイクロ流体デバイスとしてのメリットが低下する。

0016

欠損部Aの形状、寸法は、目的形状、寸法の空洞Aを形成すべく設計できる。欠損部Aの形状、寸法は空洞Aと実質的に同じにすることができる。

0017

空洞Aの平面形状、即ち、部材Aとダイヤフラムとの接着面に垂直な方向から見た形状は任意であり、例えば長い線状であっても良いが、縦/横比が0.2〜5であることが好ましく、0.3〜3であることがさらに好ましく、円、楕円矩形(角の丸められた矩形を含む。以下同じ)、又は六角形(角の丸められた六角形を含む。以下同じ)であることが最も好ましい。空洞Aの面積は、共に、部材Aとダイヤフラムの接着面に垂直な方向から見て、1×10−10〜1×10−5m2であり、好ましくは1×10−9〜1×10−6m2である。なお、ダイヤフラムは、空洞Aに面していて、磁力を作用させることによって変形し得る部分をいう。従って、ダイヤフラムの面積も上記、空洞Aの好ましい面積と同様である。

0018

部材Aとダイヤフラムの接着面に垂直な方向から見た空洞Aの高さ(表面からの奥行き寸法)はそれぞれ、好ましくは0(但し接着されていないこと)〜1000μm、更に好ましくは5〜500μmである。空洞がこれらの寸法より大きい場合には、マイクロ流体デバイスとしてのメリットが減じるので好ましくない。空洞Aは、最大高さ/最大幅の比が1以下であることが好ましい。最大高さ/最大幅の比が1を超えると、バルブ機構を完全に閉とすること、即ち、空洞Aの間隙をゼロとすることが困難となる。

0019

バルブ機構が常時閉のタイプである場合には、この比はゼロ(但し接着されていないこと)であって良い。それ以外の場合には、この比は0.05〜1であることが好ましく、0.1〜0.5であることが更に好ましい。

0020

空洞Aの高さは一定である必要はなく、該空洞内の場所によって異なっていても良い。空洞Aは、高さの低い部分即ち空隙の狭い部分を有していることが完全閉としやすく好ましい。

0021

流路Aは流量調節すべき流体を流通させる流路であり、空洞Aをその途上に有すれば、その寸法形状は任意である。流路Aと空洞Aとの接続部、即ち、流入口A、流出口A、又は、空洞の直径や断面積と同じであっても良いし、空洞の直径や断面積より小さくても良い。流路Aは、直径が好ましくは1〜1000μm、さらに好ましくは10〜500μmである。流路Aの断面が円以外の形状である場合には、断面積から計算される円の直径とする。流路Aは本発明のマイクロ流体デバイスの外部に連絡していても良いし、外部に連絡しておらず、本デバイス内の他の構造、例えば、貯液槽廃液吸収部、圧力タンク減圧タンクなどに連絡していても良い。勿論、本発明のマイクロ流体デバイスは、流路A以外に、他の流路を有していても良い。

0022

本発明のマイクロ流体デバイスの好ましい形状は、流入口A、流出口Aの少なくとも一方が、空洞Aにおけるダイヤフラムの対向面に形成されており、空洞A側へ変形したダイヤフラムが、流入口A、又は流出口A、又はその両者をその全周に渡って閉じることができる構造を有するものである。

0023

従ってこの場合は、変形したダイヤフラムで塞がれるべき流入口Aや流出口Aの直径は、空洞Aの直径より小さくなる必要がある。このような流入口Aや流出口Aは、欠損部Aの一部において部材Aに穿たれた孔として流路Aを形成することで得ることができる。このような構造においては、空洞Aの高さは均一であるか、或いは、ダイヤフラムで塞がれるべき周部分が高くなっている構造が好ましい。

0024

上記に於いて、ダイヤフラムによって塞がれない流入口Aまたは流出口Aが存在する場合は、流路Aが、部材Aの欠損部A形成面に形成された欠損部Aに連絡した溝(溝A)と、部材Cとでもって形成されたものであることが好ましい。

0025

ダイヤフラムを構成する部材の形状は任意であり、例えば、空洞部Aよりやや大きい寸法に切り出された部材が、その周縁部に於いて部材Aに接着されて、ダイヤフラムを形成していて良い。しかしながら、ダイヤフラムを構成する部材が薄膜状の部材(部材C)であり、部材Cが部材Aに積層され、欠損部に面する部分がダイヤフラムとなる構造が好ましい。この場合、積層範囲は必ずしも部材Aの全面である必要はないが、製造が容易であることから全面であることが好ましい。本構造は、微小なダイヤフラムを所定の位置に接着する困難が除去され、薄く柔軟で微小なダイヤフラムを容易に形成できる。

0026

ダイヤフラムまたは部材Cの厚みは、0.1〜500μmであり 、好ましくは1〜200μm、更に好ましくは5〜100μmである。ダイヤフラムの厚みを厚くする場合には弾性率の低い素材を使用する必要があり、「引張弾性率×ダイヤフラムの厚み」の値が、10〜50000Pa・mの範囲にあることが好ましく、100〜5000Pa・mの範囲にあることが更に好ましい。

0027

ダイヤフラムの直径や素材の硬度にもよるが、これより小さいと、製造が困難となったり、開状態を維持することが困難と成る傾向にあり、また、この範囲を超えると、開閉が困難となる。部材Cの厚みは均一である必要はなく、厚みにムラや傾斜があって良い。

0028

ダイヤフラムまたは部材Cを構成する素材は、ダイヤフラムとして機能する程度の柔軟性と強度を備えた素材で、薄膜を形成できれば任意である。ダイヤフラムは、塑性変形して、繰り返し開閉できないものであっても良いが、変形が可逆的であり、繰り返し開閉可能なものであることが好ましい。ダイヤフラムや部材Cを形成する素材は、引張弾性率が好ましくは0.1MPa〜700MPa、さらに好ましくは1MPa〜500MPaの範囲にあるものである。該引張弾性率は、空洞Aの直径が小さいほど、また、ダイヤフラムの厚みが大きいほど、低くすることが好ましい。この範囲未満やこの範囲を超える場合には、ダイヤフラムの厚みが過剰に薄い場合や過剰に厚い場合と同様の不都合が生じる。

0029

ダイヤフラムや部材Cを構成する素材は、JIS K−7127により測定された破断伸び率が、好ましくは2%以上、更に好ましくは5%以上のものである。破断伸びの上限は、自ずと限界はあろうが、高いことそれ自身による不都合は無いため上限を設けることを要せず、例えば、800%でありうる。本発明においては、JIS K−7127による引張試験で2〜5%という低い破断伸び率を示す素材であっても、本発明の使用方法に於いては破壊しにくく、上記試験による破断伸び率以上の変形を与えても破壊することなく使用可能である。

0030

ダイヤフラムには強磁性物質が装着される。強磁性物質の装着形態は、部材外から磁力を強磁性物質に作用させることによってダイヤフラムが変形し、空洞Aの容量を変えることができれば任意である。強磁性物質は、ダイヤフラムに接着などにより固定されていても良いし、ダイヤフラムからはずれた位置へ移動しないような空洞(空洞F)が設けられ、その中に非固定状態で装着されていても良い。勿論、該空洞Fは、磁力を作用させない時には、強磁性物質がダイヤフラムからはずれた位置にあっても、磁力を作用させたときに所定の位置に来ることができる物であれば良い。強磁性物質の装着位置は、ダイヤフラムの空洞A側であっても反対側であってもよいが、空洞Aの反対側であることが好ましい。

0031

該空洞Fは、閉じた空洞であってもよいし、外部に連絡している空洞であってもよい。該空洞Fが閉じた空洞である場合には、該空洞Fは、ダイヤフラムに半球状、天井を有する円筒状その他の形状の成形物が接着などによって固定された形状であり得るし、ダイヤフラムと積層して接着されることでダイヤフラムに面した空洞を形成しうる欠損部を有する部材であり得る。また、該空洞Fが外部に開いた空洞である場合には、上記の構造で孔を有するもの、筒、チューブ、網や多孔質体で形成されたかご等であり得る。

0032

強磁性物質の種類や形状は任意であり、固体であっても液体(磁性流体)であっても良い。固体は粉末であっても良い。強磁性物質の素材も任意であり、金属、金属酸化物フェライト有機物等であり得る。強磁性物質は磁化していてもしていなくても良い。装着される強磁性物質の重量は、好ましくは1×10−9〜1×10−1gであり、さらに好ましくは1×10−8〜1×10−2gである。1×10−9g未満であると、ダイヤフラムの駆動力が低下し、1×10−1gより大きいと、マイクロ流体デバイスのメリットが低下する。

0033

磁性流体は、強磁性を示す液状物であり、具体的には酸化鉄などの強磁性固体の粉末を安定的に液体中に分散した液状物である。この場合の強磁性固体や分散媒は任意である。磁性流体の粘度は、ダイヤフラムの面積や空洞Bの断面積やダイヤフラム駆動速度によって好適なものを選択できる。例えば100〜10000mPa/sのものを好ましく用いることができる。磁性流体は、ダイヤフラムを均一に変形させることができること、ダイヤフラムの損傷を招きにくいこと、ダイヤフラムの変形に応じて変形して微小バルブ機構を完全に閉とすることが容易であること等の理由により好ましい。また、磁性流体は、本発明のマイクロ流体デバイスが後述の空洞Bを有する場合には、空洞Bへの装着が容易であり、特に好ましい。強磁性体として磁性流体を使用する場合には、磁性流体はカプセル状として使用することもできるし、例えば後述の空洞Bのような、液体が漏出しない空洞を設けることによって好適に使用できる。

0034

本発明のマイクロ流体デバイスは、ダイヤフラムの、部材Aと反対の側に、{部材を貫通する欠損部、部材表面の凹状の欠損部、又は部材を貫通する欠損部及び部材表面の凹状の欠損部}を有する部材(「部材B」と称する)が接着され、部材Bの欠損部とダイヤフラムとで、ダイヤフラムを隔てて空洞Aに相対する位置に空洞(「空洞B」と称する)が形成され、空洞Bの内部に強磁性物質が充填され装着されたものであることも好ましい。即ち、空洞Bは強磁性物質がダイヤフラム部から脱落しないための空洞であり、部材Bは空洞を構成する部材である。

0035

部材Bは、ダイヤフラムを構成する部材が部材Aより小さな面積のものである場合は、部材Aと直接接触する部分を有していても良い。しかし、ダイヤフラムは、部材Cの一部として形成されていることが好ましく、また、部材Bが板状又はシート状の部材であることが好ましく、この3者が積層された形状であることが好ましい。

0036

部材Bは、その外形・寸法は部材Aと同様である。但し、部材Bとして部材Aと同じ形状・寸法の物を用いる必要はない。部材Bの表面に設けられた欠損部、または部材Bを貫通する欠損部については、空洞Bに関する記述と同様である。空洞Bの平面形状、即ち、ダイヤフラムと部材Bの接着面に垂直な方向から見た形状は、部材Aと同一である必要はないが、ほぼ同一の形状であることが好ましい。面積も、空洞Aの面積と必ずしも同じである必要はないが、近いか、同じであることが好ましい。空洞Bは、ダイヤフラムを隔てて空洞Aに相対する位置に設けられるが、相対位置がずれていても良く、空洞部の重なりがあれば良い。しかし、相対位置は完全に一致していることが好ましい。

0037

部材Aと部材Bとの接着面に垂直な方向から見た空洞Bの深さ(表面からの奥行き寸法)は、強磁性物質をその内部に装着可能であり、かつダイヤフラムが可動スペースがあれば任意である。空洞Bは、最大高さ/最大幅の比についても任意である。但し、この場合も、ダイヤフラムが可動である必要性から、ゼロではない。

0038

空洞Bの中には強磁性物質が装着される。強磁性物質の空洞Bへの装着方法は、部材外から磁力を強磁性物質に作用させることによってダイヤフラムが変形し、空洞Aの空隙寸法を変えることができれば任意である。即ち、強磁性物質は、空洞Bに非固定状態で装着されていても良いし、ダイヤフラムに固定されていても良い。この際、ダイヤフラムが可動であるために、強磁性物質は、空洞Bを完全に充填した状態は好ましくなく、残余の空間が必要である。残余の空間は圧縮性物質であれば充填されていても良く、例えば気体真空であり得る。

0039

また、強磁性物質は、間接的にダイヤフラムに力を及ぼし変形させる位置に装着されていても良い。例えば、可動状態の固体、柔軟な固体、ゲル、液体、気体等を介してダイヤフラムに接していても良い。

0040

但し、空洞Bが部材Bを貫通する欠損部で構成されており、部材Bの、ダイヤフラムと反対側に柔軟で可動な部材が形成されており、該部材の変形によってダイヤフラムが可動であるならば、残余の空間が無くても良い。

0041

空洞Bは、閉じた空洞であっても、部材外部に開口した空洞であっても良い。空洞Bが部材外部に開口している場合には、該開口部を「開口部B」と称することにする。本マイクロ流体デバイスの形成後に強磁性物質を空洞Bに装着する場合には、開口部Bを形成してそこから装着することができる。開口部Bはその後閉じても良いし、部材外に開口した状態に残されても良い。この時、多孔質膜キャピラリーなどを経て外部と連絡し、強磁性物質の脱落を阻止しつつ、気体が連絡する状態とすることも好ましい。

0042

本マイクロ流体デバイスの製造途中に、強磁性物質を空洞Bに装着する場合には、開口部Bを形成する必要はないが、ダイヤフラムの変形を阻害しないために開口部Bを設けても良い。

0043

強磁性物質の空洞Bへの充填方法は任意であるが、磁力により案内する方法が好ましい。また、強磁性物質が粉末である場合には、液体に分散させた状態で、空洞Bに装着する方法が好ましい。分散媒は除去してもしなくても良い。

0044

本発明に成るマイクロ流体デバイスの、ダイヤフラム以外の部材、即ち部材Aや、部材Bがある場合には部材Bは、それぞれ強磁性物質以外の任意の素材で形成されていてよく、これ等が同じ素材で形成されていても異なる素材で形成されていても良い。例えば、ガラス水晶等の結晶ステンレススチール等の金属、シリコンなどの半導体セラミック炭素有機重合体ポリジメチルシロキサンのように、無機元素を含有するものであっても良い。以下単に「重合体」と称する)などであり得る。

0045

これらの中で、多くの用途に於いて、成形性、接着性、価格、生産性などの点で重合体が好ましい。重合体は、単独重合体であっても、共重合体であっても良く、また、熱可塑性重合体であっても、熱硬化性重合体であっても良い。生産性の面から、重合体は熱可塑性重合体又はエネルギー線硬化性組成物固化物であることが好ましい。

0046

部材に硬度や強度の高い素材を用いることで、耐圧性や強度を高くすることができるが、硬度の低い素材を使用する場合や、厚みを薄くする場合には、支持体上に形成することも好ましい。部材Aや部材Bを形成する素材は、好ましくは引張弾性率が100MPa以上、更に好ましくは500MPa以上、最も好ましく1GPaのものである。引張弾性率の上限は、自ずと限界はあろうが高いことそれ自身による不都合はないため上限を設けることを要しない。例えば100GPaや500GPaであり得る。

0047

部材Aや部材Bに使用できる重合体としては、後述の、ダイヤフラムに使用できる重合体として例示したものの中から、選択して使用することができる。部材Aや部材Bに使用できる重合体はまた、エネルギー線硬化性組成物の固化物であることも好ましい。エネルギー線硬化性組成物は、強度や硬度を増すために架橋重合体となるものが好ましい。エネルギー線硬化性組成物についても、好ましい引張弾性率が異なること以外は、後述の部材Cの場合と同様である。エネルギー線硬化性組成物に含有されるエネルギー線硬化性化合物も、ダイヤフラムに使用できるエネルギー線硬化性化合物として例示したものの中から、選択して使用することができる。

0048

ダイヤフラムまたは部材Cを形成する重合体は、単独重合体であっても、共重合体であっても良く、また、熱可塑性重合体であっても、熱硬化性重合体であっても、後架橋性の重合体であっても良い。生産性の面から、重合体は熱可塑性重合体又はエネルギー線硬化性組成物の固化物であることが好ましい。ダイヤフラムの塑性変形を抑制し、バルブ機構の耐久性を増すためには、部材Cを形成する素材がエネルギー線硬化性組成物の固化物である場合には、該固化物は架橋重合体であることが好ましい。

0051

これらの中で、接着性が良好な点などから、スチレン系重合体、(メタ)アクリル系重合体、ポリカーボネート系重合体、ポリスルホン系重合体、ポリエステル系重合体が好ましい。

0052

ダイヤフラムまたは部材Cに使用できる熱硬化性重合体としては、例えば、ポリウレタン系重合体;ポリアミド系重合体;ポリイミド系重合体エポキシ樹脂;(メタ)アクリル系重合体;ポリマレイミド系重合体、などが挙げられる。上に例示した重合体で、単独では、 ダイヤフラムまたは部材Cとして好ましい引張弾性率の範囲から外れるものであっても、可塑剤の使用や共重合などにより使用することができる。

0053

ダイヤフラムまたは部材Cに使用することができる重合体はまた、エネルギー線硬化性樹脂組成物の固化物であることも好ましい。エネルギー線硬化性樹脂組成物は、必須成分としてエネルギー線硬化性化合物を含有するものであり、エネルギー線硬化性化合物単独でもよく、複数種のエネルギー線硬化性化合物の混合物でもよい。エネルギー線硬化性樹脂組成物は、強度や硬度を増すために架橋重合体となるものが好ましい。エネルギー線硬化性化合物はエネルギー線重合開始剤非存在下で固化可能なものの他、エネルギー線重合開始剤の存在下でのみエネルギー線により重合するものも使用することができる。

0054

エネルギー線硬化性化合物としては、重合性の炭素−炭素二重結合を有する物が好ましく、中でも、反応性の高い(メタ)アクリル系化合物ビニルエーテル類、また光重合開始剤の不存在下でも固化するマレイミド系化合物が好ましい。部材Aや部材Bに使用できるエネルギー線硬化性化合物としては、後述の、ダイヤフラムまたは部材Cに使用できるとして例示した化合物の中から選択して使用することができる。

0055

ダイヤフラムは、異なる素材で構成された積層体などの複合体であっても良い。この場合には、該複合体の引張弾性率と厚みが上記範囲にあるものである。このような複合体としては、例えば、エネルギー線硬化性組成物の固化物と熱可塑性重合体との積層体であることも好ましく、熱可塑性重合体や熱硬化性重合体で形成されたダイヤフラムの部材A側に、低吸着性のエネルギー線硬化性組成物の固化物層が接着(コート)されたものであることが更に好ましい。

0056

該複合体と成しうる素材は引張弾性率が小さな重合体であることが好ましく、シリコンゴム;ネオプレン系、クロロプレン系、ニロリル系、ブタジエン系などのゴムポリウレタンポリエステルエラストマーポリアミドエラストマーなどのエラストマーエチレン酢酸ビニル共重合体などの柔軟な熱可塑性樹脂であることが好ましい。

0057

ダイヤフラムの素材として使用するエネルギー線硬化性組成物は、必須成分としてエネルギー線硬化性化合物を含有するものであり、エネルギー線硬化性化合物単独でもよく、複数種のエネルギー線硬化性化合物の混合物でもよい。ダイヤフラムの素材として、このようなエネルギー線硬化性樹脂組成物の固化物を使用することは、厚みの薄いダイヤフラムを形成することが容易であること、薄いダイヤフラムを他の部材と接着することが容易となること、本発明の好ましい形態に於いて、ダイヤフラムを部材Aや部材Bに形成された欠損部や溝を閉塞させることなくこれらの部材と接着することが容易となること、ダイヤフラムの柔軟度の制御が容易であること、及び、これらを高い生産性で実施できること、といった利点を有する。

0058

エネルギー線硬化性樹脂組成物の固化物は鎖状重合体であっても架橋重合体であっても良いが、繰り返し耐久性長期耐久性が必要な場合には、塑性変形を抑制できることから、架橋重合体であることが好ましい。エネルギー線硬化性樹脂組成物の固化物を架橋重合体とするためには、エネルギー線硬化性組成物中に、付加重合性化合物の場合には重合性官能基が2以上であるような、或いは、縮重合性化合物の場合には重合性官能基が3以上であるような(以後、このような官能基を有することを「多官能」と称する)モノマー及び/又はオリゴマーを含有させることで実施できる。

0059

エネルギー線硬化性組成物は、引張弾性率の調節や接着性の改良などを目的として、単官能のモノマー及び/又はオリゴマーの混合物とすることも好ましい。ダイヤフラムの素材として使用するエネルギー線硬化性樹脂組成物を構成するエネルギー線硬化性化合物は、ラジカル重合性アニオン重合性カチオン重合性等任意のものであってよい。エネルギー線硬化性化合物は、重合開始剤の非存在下で重合するものに限らず、重合開始剤の存在下でのみエネルギー線により重合するものも使用することができる。

0060

そのようなエネルギー線硬化性化合物としては、重合性の炭素−炭素二重結合を有するものが好ましく、中でも、反応性の高い(メタ)アクリル系化合物やビニルエーテル類、また光重合開始剤の不存在下でも固化するマレイミド系化合物が好ましい。

0061

エネルギー線硬化性化合物として好ましく使用することができる架橋重合性の(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレートネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、2,2’−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシポリエチレンオキシフェニルプロパン

0062

2,2’−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシポリプロピレンオキシフェニル)プロパン、ヒドロキシジバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジアクリレート、ビス(アクロキシエチルヒドロキシエチルイソシアヌレート、N−メチレンビスアクリルアミドの如き2官能モノマー

0063

トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクロキシエチル)イソシアヌレート、カプロラクトン変性トリス(アクロキシエチル)イソシアヌレートの如き3官能モノマー;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートの如き4官能モノマー;ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートの如き6官能モノマーなどが挙げられる。

0064

また、エネルギー線硬化性化合物として、重合性オリゴマープレポリマーとの呼ばれる)を用いることもでき、例えば、重量平均分子量が500〜50000のものが挙げられる。そのような重合性オリゴマーしては、例えば、エポキシ樹脂の(メタ)アクリル酸エステルポリエーテル樹脂の(メタ)アクリル酸エステル、ポリブタジエン樹脂の(メタ)アクリル酸エステル、分子末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリウレタン樹脂などが挙げられる。

0065

マレイミド系の架橋重合性のエネルギー線硬化性化合物としては、例えば、4,4’−メチレンビス(N−フェニルマレイミド)、2,3−ビス(2,4,5−トリメチル−3−チエニル)マレイミド、1,2−ビスマレイミドエタン、1,6−ビスマレイミドヘキサントリエチレングリコールビスマレイミド、N,N’−m−フェニレンジマレイミド、m−トリレンジマレイミド、N,N’−1,4−フェニレンジマレイミド、

0066

N,N’−ジフェニルメタンジマレイミド、N,N’−ジフェニルエーテルジマレイミド、N,N’−ジフェニルスルホンジマレイミド、1,4−ビス(マレイミドエチル)−1,4−ジアゾニアビシクロ−[2,2,2]オクタンジクロリド、4,4’−イソプロピリデンジフェニルジシアナート・N,N’−(メチレンジ−p−フェニレン)ジマレイミドの如き2官能マレイミド;N−(9−アクリジニル)マレイミドの如きマレイミド基とマレイミド基以外の重合性官能基とを有するマレイミドなどが挙げられる。

0067

マレイミド系の架橋重合性オリゴマーとしては、例えば、ポリテトラメチレングリコールマレイミドカプリエート、ポリテトラメチレングリコールマレイミドアセテートの如きポリテトラメチレングリコールマレイミドアルキレートなどが挙げられる。

0068

マレイミド系のモノマーやオリゴマーは、これら同士、及び/又はビニルモノマー、ビニルエーテル類、アクリル系モノマーの如き重合性炭素−炭素二重結合を有する化合物と共重合させることもできる。

0069

これらの化合物は、単独で用いることもでき、2種類以上を混合して用いることもできる。上に例示した化合物の中にも、単独ではその固化物が指定の引張弾性率の範囲から外れるものもあるが、他の共重合性化合物、例えば単官能(メタ)アクリル系モノマーなどの単官能モノマーや、可塑剤などの非反応性化合物を混合使用することにより、指定範囲の引張弾性率と成して、それらを使用することができる。

0070

エネルギー線硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、光重合開始剤を添加することもできる。光重合開始剤は、使用するエネルギー線に対して活性であり、エネルギー線硬化性化合物を重合させることが可能なものであれば、特に制限はなく、例えば、ラジカル重合開始剤アニオン重合開始剤カチオン重合開始剤であって良い。光重合開始剤は多官能或いは単官能のマレイミド化合物であって良い。

0071

エネルギー線としては、紫外線可視光線赤外線の如き光線エックス線ガンマ線の如き電離放射線電子線、イオンビームベータ線重粒子線の如き粒子線が挙げられる。

0072

また、エネルギー線硬化性樹脂組成物は、溶剤改質剤着色剤など、その他の成分を含有していても良い。エネルギー線硬化性樹脂組成物に含有させることができる改質剤としては、例えば、アニオン系、カチオン系、ノニオン系などの界面活性剤ポリビニルピロリドンの如き親水性重合体などの親水化剤;引張弾性率を調節するための可塑剤などが挙げられる。エネルギー線硬化性樹脂組成物に含有させることができる着色剤としては、例えば、任意の染料顔料蛍光性の染料や顔料、紫外線吸収剤が挙げられる。

0073

ダイヤフラムまたは部材Cを形成する方法は任意であり、例えば、液体状の樹脂組成物からなる ダイヤフラムまたは部材Cを形成する材料「以下、部材C形成材料」と称する]を液面に展開し固化させて形成する、いわゆる液面展開法が利用できる。部材C形成材料は固化させることにより部材Cの素材となる材料であり、且つ液面展開が可能なものであれば任意である。液面展開方法固化方法はそれぞれの素材に応じた方法をとることができる。

0074

例えば、部材C形成材料として液体状のエネルギー線硬化性樹脂組成物を使用し、液面に展開した該組成物エネルギー線照射して固化させる方法、部材C形成材料として熱可塑性重合体の溶液を使用し、液面に展開した該溶液から溶剤を揮発させる方法、部材C形成材料として未固化の熱硬化性重合体の溶液を使用し、液面に展開した該溶液から溶剤を揮発させ、その後、加熱重合させる方法、等であり得る。部材C形成材料の固化は、完全な固化であっても良いし、他の部材の欠損部や溝を閉塞しない程度まで流動性喪失した不完全な固化であっても良い。

0075

このような液面展開法で部材Cを形成することにより、非常に薄くて柔軟な薄膜状の部材Cの形成が容易であり、しかも非常に薄くて柔軟な薄膜状の部材Cを部材Aや部材Bの上に積層させる操作が容易になる。

0076

ダイヤフラムまたは部材Cを形成する他の方法としては、例えば、液体状の樹脂組成物からなる部材C形成材料を塗工支持体上に塗工し、該塗膜を半固化させた状態で部材A又は部材Bに積層し、その状態で完全に固化させて接着し、しかる後に塗工支持体を除去する方法で製造できる。この場合も、部材C形成材料として、例えば、エネルギー線硬化性樹脂組成物を使用し、半固化や固化がエネルギー線照射によるものである方法、部材C形成材料として熱可塑性重合体の溶液を使用し、半固化や国家が溶剤の揮発によるものである方法、部材C形成材料として未固化の熱硬化性重合体を使用し、半固化や固化が加熱重合である方法、等であり得る。塗工支持体の除去は、剥離、溶解、分解、等であり得る。

0077

部材Aや部材Bに、欠損部、溝、流入口、流出口などの構造を設ける方法は任意であり、例えば、フォトリソグラフ射出成形熱プレス;溶剤キャストドリルエッチングレーザー穿孔光造形法サンドブラストなどの方法で形成する方法や、これらの方法で形成した、表裏を貫通する欠損部を有する薄膜状の部材や塗膜層を他の部材と積層接着する方法などをとることができる。

0078

これらの中で、フォトリソグラフ法で欠損部が形成された層を作製し、これを他の層と積層することにより、表面に形成された凹状の欠損部と成す方法が好ましい。即ち、エネルギー線硬化性組成物を基材上に塗工して塗膜状の賦形物とし、欠損部と成す部分以外の部分にエネルギー線を照射して固化させ、非照射部分の未固化のエネルギー線硬化性組成物を洗浄などの任意の方法で除去することにより、素材の欠損部を有する塗膜(即ち、基材上に形成された層状の部材)を形成する方法である。

0079

部材Aとダイヤフラムまたは部材Cの接着は、それぞれを完全に形成してから、積層して接着しても良いし、これらの少なくとも一方が不完全に形成された前駆体の状態で積層して接着し、その後に両者を完成させても良い。例えば、部材Aが複数の層の積層体である場合、ダイヤフラムまたは部材Cと部材Aを構成する層の1つを接着した後に、部材Aの他の層を接着しても良い。また例えば、部材Aにダイヤフラムまたは部材Cを積層・接着した後に、部材Aに穿孔などの加工を施しても良い。

0080

本発明のマイクロ流体デバイスが部材Bを有する場合は、ダイヤフラムまたは部材Cと部材Bの接着も同様である。又、この時、部材A/ダイヤフラムまたは部材C/部材Bを積層して接着する順序も任意である。任意の順序で順次接着しても良いし、部材A、ダイヤフラムまたは部材C、部材Bを全て積層して、一度に接着しても良い。

0081

あるいは、第1の部材に接触した状態に第2の部材を形成し、第2の部材が形成されると同時に第1の部材に接着される方法で製造しても良い。例えば、ダイヤフラムまたは部材Cの上に直接、部材Aを形成しても良いし、ダイヤフラムまたは部材Cが形成された部材Aの上に直接部材Bを形成しても良い。

0082

本発明のマイクロ流体デバイスはまた、いわゆる光造形法によっても製造できる。即ち、エネルギー線硬化性組成物の未硬化層にエネルギー線をパターニング照射し、未照射部分の未硬化のエネルギー線硬化性組成物を除去すること無く、その上にエネルギー線硬化性組成物の第2層を置き(或いはエネルギー線硬化性組成物の液面下に、第2層の厚みとなる深さだけ第1層を沈め)第2層にエネルギー線をパターニング照射し、この工程を繰り返す方法をとることもできる。ダイヤフラムを形成する工程では、エネルギー線硬化性組成物を、ダイヤフラムの素材となるエネルギー線硬化性組成物に変えて活性エネルギー線照射すればよい。

0083

この際、パターニング照射したエネルギー線が表面層のみを硬化させ、下の層の非照射部を硬化させないようにするためには、組成物Bのエネルギー線吸収率を高くして下層に届かないようにする方法、吸収されやすいエネルギー線、例えば電子線を用いる方法、口径比の大きい光学系を使用して表面層にのみ焦点を合わせる方法、2光子過程で硬化するエネルギー線硬化性組成物を使用する方法、などにより実施できる。この場合も、活性エネルギー線照射は、パターニング照射法であっても、活性エネルギー線走査法によっても良い。

0084

ダイヤフラムに接着、固定され又は空洞Bに充填され装着された強磁性物質は、部材A、ダイヤフラム若しくは部材C、又は部材Bがある場合は部材Bの外部から磁力を作用させることによって吸引又は反発させ、それにつれてダイヤフラムを変形させることによって、空洞Aを流れる流体の流量調節を行うことができる。部材外から磁力を作用させる方法は任意であり、例えば、電磁石永久磁石と微小バルブ機構中の強磁性物質の距離を変化させる方法;磁力遮蔽構造や磁力のショートパス構造を移動させる方法、電磁石の電流を変化させることにより磁力を変化させる方法などであってよい。

0085

これらの中で、電流により磁力を変化させる方法が、制御が容易であり、微小バルブ機構中の強磁性物質と磁力発生装置の相対位置を変化させる必要がないため好ましい。また、微小バルブ機構が組み込まれたマイクロ流体デバイスがノズルであるような場合には、パルス状の電流によりダイヤフラムをパルス状に変形させ、微小バルブ機構をパルス状に開として、吐出すべき液体をパルス状に吐出させることもできる。

0086

本発明のマイクロ流体デバイスは、化学、生化学などの微小反応デバイス(マイクロ・リアクター);集積型DNA分析デバイス、微小電気泳動デバイス、微小クロマトグラフィーデバイスなどの微小分析デバイス、質量スペクトルや液体クロマトグラフィーなどの分析試料調製用微小デバイスであることが好ましい。

0087

これらは、その中に、抽出、膜分離、透析などの物理化学的処理デバイス部分を有していることも好ましい。本発明のマイクロ流体デバイスはまた、ノズルや吐出装置であることも好ましく、マイクロアレイ製造用のノズルやスポッタであることが好ましい。

0088

本発明のマイクロ流体デバイスの微小バルブ機構駆動装置は、本発明のマイクロ流体デバイスの微小バルブ機構を駆動して流量調節する装置であり、(1)マイクロ流体デバイス保持機構、(2)微小バルブ機構中の強磁性物質に磁力を作用させることのできる磁力発生装置、及び、(3)微小バルブ機構中の強磁性物質の位置において該磁力発生装置が発生する磁力の強度を変化させる機構、を有することを特徴とする装置である。

0089

従って、単に磁力発生装置を有していても、例えばモーター用の永久磁石や電磁石のように、その磁力で微小バルブ機構の空洞Bに装着された強磁性物質を変位させることができないものは本発明でいう磁力発生装置には含めない。磁力発生装置は空芯コイル超伝導体であっても良い。

0090

磁力発生装置の種類、形状、寸法、位置などは、これにより発生する磁力の強度変化によってマイクロ流体デバイスの微小バルブ機構部における強磁性物質を駆動することができるものであれば任意であるが、電磁石であることが好ましい。

0091

本発明の微小バルブ機構駆動装置が有する磁力発生装置は、マイクロ流体デバイス中の微小バルブ機構のダイヤフラム部分に選択的に磁力を作用させる構造が好ましく、ダイヤフラムに相対する部分における磁力発生装置の直径が、好ましくは0.01〜10mm、更に好ましくは0.1〜5mm、最も好ましくは0.3〜3mmである。ダイヤフラムに相対する部分の直径がこの寸法となるようなポールピースを磁力発生装置に装着することが好ましい。

0092

本装置が有する磁力発生装置は単数であっても複数であっても良い。磁力発生装置が複数である場合、複数の電磁石が異なる強磁性物質をそれぞれ駆動するものであっても、1つの強磁性物質を複数の磁力発生装置で駆動するものであっても良い。後者の場合、マイクロ流体デバイスの表裏にそれぞれ装着された磁力発生装置により、磁力を交互に作用させることによってバルブの開閉を行うことが好ましい。また、1つの磁力発生装置で1つのマイクロ流体デバイス中の複数の小バルブ機構に磁力を作用させることも好ましく、複数のマイクロ流体デバイスに磁力を作用させることも好ましい。

0093

磁力強度を変化させる機構は、例えば、磁力発生装置の移動機構、磁力遮蔽機構駆動機構、磁力のショートパス機構の駆動機構であり得るし、磁力発生装置が電磁石の場合には、電流開閉器、半導体スイッチ、トランス電圧制御回路電流制御回路などであり得る。ここで言う磁力の強度変化は、磁力の有無の変化を含む。本装置はコンピューター制御等により、シーケンス制御フィードバック制御されても良い。また、磁力強度を変化させる機構は、磁力発生装置及びマイクロ流体デバイス保持機構を有する部分と分離された筐体に納められたものであっても良い。

0094

マイクロ流体デバイス保持機構は、磁力発生装置により発生する磁力によってマイクロ流体デバイス中のバルブ機構部分に装着された強磁性物質を駆動することができる位置にマイクロ流体デバイスを保持するものであれば任意である。磁力発生装置との位置関係再現性良く保持するものであることが好ましい。

0095

保持機構は、装置内の一定位置に固定するものであっても装置内で移動できるものであっても良い。本機構は、マイクロ流体デバイスの位置決め機構バネを有し、1操作でマイクロ流体デバイスを保持できるものが好ましい。マイクロ流体デバイス保持機構は、複数のマイクロ流体デバイスを保持することのできるものであっても良い。

0096

本発明の微小バルブ駆動装置は、微小バルブが組み込まれたマイクロ流体デバイスの使用目的に応じてその他の機構、例えば、温度調節機構、光学的その他の検出機構試料注入機構洗浄機構ポンプ、等を有していても良い。

0097

本発明の微小バルブ機構駆動装置は、例えば、マイクロリアクターなどの反応装置化学分析前処理装置遺伝子分析装置、免疫分析装置ガス分析装置水質分析装置などの(生)化学分析装置DNAチップや免疫チップなどのマイクロアレイ製造用スポッタ等の装置またはその一部であって良い。

0098

以下、実施例及び比較例を用いて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例の範囲に限定されるものではない。なお、以下の実施例において、「部」は特に断りがない限り「重量部」を表わす。

0099

<粘度の測定>山一電機株式会社製のVM−100A型振動式粘度計を用い、室温(24±1℃)にて測定した。

0100

<引張弾性率及び破断伸び率の測定>
試料の調製〕エネルギー線硬化性組成物をポリプロピレンフィルムに塗工し、紫外線を60秒間照射した後、ポリプロピレンフィルムを剥離して、厚さ約100μmの硬化フィルムを作製し、幅10mm、長さ100mmの短冊型に切断して引張り試験用試料とし、温度24±1℃、湿度55±5%の室内に16時間以上静置した後測定に供した。
〔測定〕引張試験器として東洋精機製作所製の「ストログラフV1−C」を用い、24±1℃、湿度55±5%雰囲気中で、掴み具間距離80mm、引張速度20mm/分で測定した。

0101

<エネルギー線硬化性組成物の調製>実施例で使用するエネルギー線硬化性組成物の調製方法を以下に示した。
〔エネルギー線硬化性組成物[e1]の調製〕「ユニディックV4263」(大日本インキ化学工業株式会社製の3官能ウレタンアクリレートオリゴマー)10部、「R−684」(日本化薬株式会社製のジシクロペンタニルジアクリレート)を70部、「N−177E」〔第一工業製薬株式会社製のノニルフェノキシポリエチレングリコール(n=17)アクリレート〕を20部、紫外線重合開始剤として「イルガキュアー184」(チバガイギー社製の1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)5部、及び重合遅延剤として2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン(関東化学株式会社製)を0.1部を混合して、エネルギー線硬化性組成物[e1]を調製した。エネルギー線硬化性組成物(e1)硬化物は引張弾性率1160(MPa)、破断伸び率76(%)であった。

0102

〔エネルギー線硬化性樹脂組成物[e2]の調製〕架橋重合性のエネルギー線硬化性化合物として、「ユニディックV4263」40部及び「サートマーC2000」40部、両親媒性重合性化合物として「N−177E」)を20部、光重合開始剤として「イルガキュアー184」を5部、及び、重合遅延剤として2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン(関東化学社製)を0.5部、を均一に混合してエネルギー線硬化性組成物[e2]を調製した。エネルギー線硬化性組成物[e2]の粘度は、4900mPa・sであった。また、エネルギー線硬化性組成物(e2)硬化物は引張弾性率が265(MPa)、破断伸び率が8.0(%)であった。

0103

<活性エネルギー線の照射>活性エネルギー線として紫外線を使用した。ウシオ電機株式会社製のマルチライト200型光源ユニットを用いて、窒素雰囲気中で、365nmにおける強度が50mW/cm2の紫外線を照射した。

0104

<実施例1>
〔部材Aの作製〕ポリスチレン(大日本インキ化学工業株式会社製の「ディックスレンXC−520」)からなる10cm×10cm×3mmの平板を使用した支持体A(1)に、127μmのバーコーターを用いてエネルギー線硬化性組成物[e1]を塗工し、紫外線を1秒間照射して、厚さ約100μmの流動性を喪失した半硬化状態樹脂層A1(2)を形成した(図3)。

0105

この樹脂層A1(2)の上に更に、127μmのバーコーターを用いてエネルギー線硬化性組成物[e1]を塗工して樹脂層A2(3)となるべき塗膜を賦形し、窒素雰囲気中で、フォトマスクを使用して、図1に示された凹状の欠損部A(4)及び溝A(5)と成す部分以外の部分に、紫外線を3秒間照射して照射部分の塗膜を半硬化した樹脂層A2(3)となし、未照射部分の未硬化のエネルギー線硬化性組成物[e1]を蛇口から流下する水道水に当てることによって除去して、樹脂層A2(3)の欠損部として凹状の欠損部A(4)及び溝A(5)を形成した。

0106

以上の操作により、エネルギー線硬化性組成物[e1]の硬化物で構成された、図1に示したパターン形状の、直径600μm、深さ100μmの、底の角が丸い円筒形の凹状の欠損部A(4)、及び、流入口A(6)にて凹状の欠損部A(4)と接続された、幅300μm、深さ100μm、長さ15mmの、底の角が丸まった矩形の断面形状を有する溝A(5)を有する、支持体A(1)、樹脂層A1(2)、樹脂層A2(3)の積層体から成る、厚さ約3.2mmの板状の部材Aを作製した。

0107

次いで、凹状の欠損部A(4)の中心部において支持体A(1)及び樹脂層A1(2)を貫通する直径0.5mmの孔を穿つことによって流出口A(7)、流路A2(5’−2)及び接続口2(9)を形成し、また、溝A(5)の他端部において支持体A(1)と部材Aを貫通する直径0.3mmの穴を穿って流路A3(5’−3)及び接続口1(8)を形成した。

0108

〔部材Bの作製〕別途紫外線照射パターンが溝A(5)に相当する部分を有しないこと、及び孔(8)に相当する孔を形成しなかったこと以外は部材Aと同様にして、部材Aの支持体A(1)、樹脂層A1(2)、樹脂層A2(3)、凹状の欠損部A(4)、空洞A(4’)、流路A2(5’−2)、接続口2(9)に相当する部分がそれぞれ、支持体B(11)、樹脂層B1(12)、樹脂層B2(13)、凹状の欠損部B(14)、空洞B(14’)、孔(15’−2)、開口部B(16)であり、部材Aの溝A(5)、流路A1(5’−1)、流路A3(5’−3)、流入口A(6)、接続口1(8)に相当する部分が設けられていないこと以外は部材Aと同様の構造と同寸法の各部構造を有する、部材Bを作製し、図2図3に示された部分を残して部材Bの周囲部分を切り落とし、2.5cm×5cmの寸法とした。

0109

〔部材Cの形成〕エネルギー線硬化性組成物[e2]を、50μmのバーコーターを用いて厚さ薬160μmのポリビニルアルコール和光純薬製、重合度2000)フィルム(溶液キャスト法で作製、図示せず)に塗工し、紫外線を3秒間照射して半硬化させ、厚み約34μmの半硬化状態の部材C(10)とした。

0110

〔部材A、B、及びCの接着〕この部材C(10)を部材Aの凹部形成面に積層し、40℃の温水で洗浄してポリビニルアルコール製フィルムを溶解除去した。次いで、その上に部材Bを、凹状の欠損部A(4)と凹状の欠損部B(14)の位置を合わせて積層し、密着させた状態で、紫外線を60秒間照射して、部材A、部材B、部材C(10)の全てを完全に硬化させると共にこれらの部材を互いに接着した。これにより、凹状の欠損部A(4)と部材C(10)とで空洞A(4’)が形成され、溝A(5)と部材C(10)とで毛細管状の流路A1(5’−1)が形成され、凹状の欠損部B(14)と部材C(14)とで空洞B(14’)が形成され、部材Cの、空洞A(4’)と空洞B(14’)に面した部分がダイヤフラムとなった、図2及び図3に示した構造の、厚さ約6.4mmのマイクロ流体デバイス[#1]前駆体を得た。

0111

〔強磁性物質の装着〕シリンジを用いて、マイクロ流体デバイス[#1]前駆体の開口部B(16)から磁性流体(リティルマネジメント社、粘度400mPa・s)3mm3を注入し、開口部B(16)をエポキシ接着剤を用いて封じて、マイクロ流体デバイス[#1]を得た。

0112

〔流路の開閉試験〕マイクロ流体デバイス[#1]を、部材A側を上(本明細書の説明のための姿勢によれば裏向き)にして置き、接続口1(8)からマイクロシリンジを用いて蒸留水を流路に注入したところ、水は流路A3(5’−3)、流路A1(5’−1)、流入口(6)、空洞A(4’)、流出口(7)及び流路A2(5’−2)を通って接続口2(9)から流出した。その状態で、部材A側から空洞A(4’)に相対する部分に直径6mmのアルニコ磁石を近づけたところ、水の流通が遮断され、磁石を離すと水は再び流通した。アルニコ磁石の代わりに、直径3mmのポールピースを付けた電磁石を、部材Aに接触して空洞A(4’)に相対する位置に設置し、コイルに直流を流したところ、水の流通が遮断され、電流を切ると水は再び流通した。

0113

<実施例2>凹状の欠損部B(14)及びそれに連続する空洞である孔(15’−2)の中に、磁性流体を導入する代わりに、直径約0.3mm、長さ約2mm、重量約11mgの軟鉄針金を置いたこと以外は、実施例1と同様にしてマイクロ流体デバイス[#2]を作製した。これを用いて実施例1と同様の試験を行い、実施例1と同様の結果を得た。

0114

<実施例3>部材Bを形成しなかったこと、強磁性物質として、重量約3mgのアルニコ粒子を、ダイヤフラムの空洞A(4’)に相対する位置に、エネルギー線硬化性組成物[e2]を接着剤として用い紫外線照射によって接着したこと、以外は、実施例1と同様にしてマイクロ流体デバイス[#3]を作製した。これを用いて、アルニコ粒子が台に接触しないよう、スペーサーの上に置いたこと以外は実施例1と同様の試験を行い、実施例1と同様の結果を得た。

発明の効果

0115

本発明のマイクロ流体デバイスは、該デバイス中に形成されたバルブ機構を駆動するための配管、配線を接続する必要が無い。そのためデバイスの微小化や厚みの減少が容易となる。また、構造を単純化できるため、ディスポーザブル型のマイクロ流体デバイスを安価に供給できる。また、超多数並列運転が容易である。

0116

図面の簡単な説明

0117

図1実施例1及び実施例2で作製した微小バルブ機構の部材A及び部材Bに形成された凹状パターンの平面図の模式図である。
図2実施例1及び実施例2で作製した微小バルブ機構の平面図の模式図である。
図3実施例1及び実施例2で作製した微小バルブ機構の立面図の模式図である。
1 :支持体A2 :樹脂層A13 :樹脂層A24 :部材Aの凹状の欠損部A4’ :空洞A5 :部材Aの溝A;樹脂層A1の欠損部5’−1 :流路A1;樹脂層A2の欠損部5’−2 :流路A2;部材Aを貫通して穿たれた孔5’−3 :流路A3;部材Aを貫通して穿たれた孔6 :流入口A7 :流出口A8 :接続口19 :接続口210 :部材C11 :支持体B12 :樹脂層B113 :樹脂層B214 :部材Bの凹状の欠損部B;樹脂層B1の欠損部14’ :空洞B15’−2 :空洞Bに連絡した空洞;部材Bを貫通して穿たれた孔16 :開口部B

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