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技術 中性子遮蔽材用組成物、遮蔽材、容器

出願人 三菱重工業株式会社
発明者 林宣也
出願日 2001年8月24日 (19年10ヶ月経過) 出願番号 2001-253806
公開日 2003年3月5日 (18年4ヶ月経過) 公開番号 2003-066189
状態 特許登録済
技術分野 放射線の遮蔽
主要キーワード 耐火剤 中性子吸収剤 密閉環境 共役状態 中性子遮蔽能 カチオン系重合開始剤 中性子遮蔽材料 中性子遮蔽性能
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課題

燃焼度対応の使用済核燃料貯蔵時の高温下でも耐熱性を有し、中性子遮蔽能力を確保した中性子遮蔽材料を提供すること。

解決手段

重合開始剤と、重合成分と、ホウ素化合物とを含む中性子遮蔽材組成物により、アミン系硬化剤を用いないことで耐熱性を向上させ、且つ中性子遮蔽能力を確保した中性子遮蔽材を提供する。本発明の重合成分として、特にエポキシ成分オキセタン成分が好ましく用いられる。

概要

背景

原子力発電所などの原子力施設で使用された核燃料は、通常、再処理工場移送され、再処理に供される。しかし、現在では、このような使用済核燃料発生量が再処理能力を超えているため、使用済核燃料は長期にわたって貯蔵保管する必要性が生じている。この際、使用済核燃料は輸送に適した放射能レベルにまで冷却された後、中性子遮蔽容器であるキャスクに入れて輸送されるが、この段階でも中性子などの放射線を放出しつづけている。中性子はエネルギーが高く、ガンマ線を発生して人体に重大な傷害を与えるため、この中性子を確実に遮蔽する材料の開発が必要とされている。

中性子はホウ素によって吸収されることが知られているが、ホウ素が中性子を吸収するためには、中性子を減速する必要がある。中性子を減速するための物質としては水素が最適であることが知られている。このように、中性子遮蔽材用の組成物としては、ホウ素と水素の原子を多く含む必要がある。さらに、中性子の発生源である使用済核燃料等は崩壊熱を生じるため、輸送や貯蔵のために密閉しておくと発熱高温となる。この最高温度使用済み核燃料の種類によって異なるが、高燃焼度対応の使用済み核燃料ではキャスク内での温度は200℃付近にまで達するといわれている。そこで、中性子遮蔽材として用いるには、このような高温条件下で、使用済核燃料の貯蔵目安である約60年間耐えうることが望ましい。

このため、遮蔽材としては水素密度の高い物質、特に水の使用が提案され、一部実用にも供されている。しかし、水は液体であるため、取り扱いが困難で、特に輸送と貯蔵を目的とするキャスクには適さない。また、100℃以上に達するキャスク内で沸騰をおさえるのが困難であるという問題がある。

従来、中性子遮蔽材の一材料として樹脂組成物が用いられ、その樹脂組成物の1つにエポキシ樹脂が用いられてきた。一般的に、樹脂組成物の水素含有量耐熱性とは相反関係にあり、水素含有量が多いものは耐熱性が低く、耐熱性が高いものは水素含有量が低い傾向にある。エポキシ樹脂は、耐熱性や硬化性には優れるものの、中性子を減速させるために必須な水素の含有量が少ないという傾向にあるため、これを水素含有量が多いアミン系の硬化剤で補う方法が一般的であった。

特開平6-148388号公報には、多官能アミン系エポキシ樹脂を用い、粘度を低下させて常温での作業性を向上させるとともに、ポットライフに優れた中性子遮蔽材用組成物が開示されている。また、特開平9-176496号公報には、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等からなる組成物をポリアミン系の硬化剤で硬化させた中性子遮蔽材が開示されている。

アミン系化合物は比較的水素含有量が多いため、中性子の吸収効果は向上するが、アミン系硬化剤に含まれる炭素窒素の結合は熱により分解し易い。従って、従来のアミン系の硬化剤により硬化した樹脂からなる中性子遮蔽材よりも、新しい高燃焼度対応の使用済核燃料を貯蔵し保管するために必要な耐久性を有する組成物の開発が望まれる。

概要

高燃焼度対応の使用済核燃料貯蔵時の高温下でも耐熱性を有し、中性子遮蔽能力を確保した中性子遮蔽材料を提供すること。

重合開始剤と、重合成分と、ホウ素化合物とを含む中性子遮蔽材用組成物により、アミン系硬化剤を用いないことで耐熱性を向上させ、且つ中性子遮蔽能力を確保した中性子遮蔽材を提供する。本発明の重合成分として、特にエポキシ成分オキセタン成分が好ましく用いられる。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
2件

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請求項1

請求項2

硬化剤を含まないことを特徴とする請求項1に記載の中性子遮蔽材用組成物。

請求項3

前記重合成分がエポキシ成分を含む請求項1または2のいずれかに記載の中性子遮蔽材用組成物。

請求項4

前記エポキシ成分が、水素添加エポキシ化合物を含む請求項3に記載の中性子遮蔽材用組成物。

請求項5

前記エポキシ成分が、

請求項

ID=000002HE=010 WI=062 LX=0290 LY=0950(構造式(1)中Xは、

請求項

ID=000003HE=060 WI=069 LX=0255 LY=1150(構造式(2)中、R1〜R4は、それぞれ独立して、CH3、H、F、Cl、Brからなる群から選択され、n=0〜2であり、構造式(3)中、R5〜R8は、それぞれ独立して、CH3、H、F、Cl、Brからなる群から選択され、n=0〜2であり、構造式(5)中、n=1〜12であり、構造式(6)中、n=1〜24である)のいずれか、あるいは、Cが1〜20のアルキル基からなる群から選択される1以上の化合物である)を含む請求項3または4に記載の中性子遮蔽材用組成物。

請求項6

前記エポキシ成分が、

請求項

ID=000004HE=015 WI=082 LX=0640 LY=1750(構造式(14)中、n=1〜3)を含む請求項3〜5のいずれかに記載の中性子遮蔽材用組成物。

請求項7

前記エポキシ成分が、

請求項

ID=000005HE=025 WI=046 LX=0370 LY=2100(構造式(7)中、R9はCが1〜10のアルキル基、またはHであり、n=1〜24)と、

請求項

ID=000006HE=020 WI=049 LX=1255 LY=2050(構造式(8)中、n=1〜8)と、

請求項

ID=000007HE=015 WI=081 LX=0645 LY=2350(構造式(15)中、n=1〜3)と、

請求項

ID=000008HE=010 WI=042 LX=0390 LY=2600とからなる群から選択される1つ以上の化合物を含む請求項3〜6のいずれかに記載の中性子遮蔽材用組成物。

請求項8

前記組成物の水素含有量を増加させる化合物をさらに含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の中性子遮蔽材用組成物。

請求項9

前記水素含有量を増加させる化合物が、

請求項

ID=000009HE=030 WI=055 LX=0325 LY=0300(構造式(9)中、n=1〜3)のうち、少なくとも1種以上を含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の中性子遮蔽材用組成物。

請求項10

重合成分として、オキセタン化合物を含む請求項1〜9のいずれかに記載の中性子遮蔽材用組成物。

請求項11

前記オキセタン化合物が、

請求項

ID=000010HE=050 WI=083 LX=0635 LY=0650のうち少なくとも1種以上を含むことを特徴とする請求項10に記載の中性子遮蔽材用組成物。

請求項12

前記重合開始剤が、カチオン重合開始剤を含む請求項1〜11のいずれかに記載の中性子遮蔽材用組成物。

請求項13

前記カチオン重合開始剤が、

請求項

ID=000011HE=055 WI=069 LX=0255 LY=1500(構造式(11)、構造式(16)中、R10は、水素原子ハロゲン原子ニトロ基メチル基であり、R11は、水素原子、CH3CO、CH3OCO、XはSbF6、PF6、BF4、AsF6である)を含む請求項12に記載の中性子遮蔽材用組成物。

請求項14

充填剤をさらに含む請求項1〜13のいずれかに記載の中性子遮蔽材用組成物。

請求項15

耐火材をさらに含む請求項1〜14のいずれかに記載の中性子遮蔽材用組成物。

請求項16

前記耐火材が、水酸化マグネシウム水酸化アルミニウムのうち少なくとも1種以上を含むことを特徴とする請求項15に記載の中性子遮蔽材用組成物。

請求項17

請求項1〜16のいずれかに記載の中性子遮蔽材用組成物により製造された中性子遮蔽材。

請求項18

請求項17に記載の中性子遮蔽材により製造された中性子遮蔽容器

技術分野

0001

本発明は中性子遮蔽材組成物に関する。更には、使用済核燃料貯蔵および運搬用容器であるキャスクに適用する材料であり、耐熱性が向上し、且つ中性子遮蔽性を確保した中性子遮蔽材用の組成物に関する。

背景技術

0002

原子力発電所などの原子力施設で使用された核燃料は、通常、再処理工場移送され、再処理に供される。しかし、現在では、このような使用済核燃料の発生量が再処理能力を超えているため、使用済核燃料は長期にわたって貯蔵保管する必要性が生じている。この際、使用済核燃料は輸送に適した放射能レベルにまで冷却された後、中性子遮蔽容器であるキャスクに入れて輸送されるが、この段階でも中性子などの放射線を放出しつづけている。中性子はエネルギーが高く、ガンマ線を発生して人体に重大な傷害を与えるため、この中性子を確実に遮蔽する材料の開発が必要とされている。

0003

中性子はホウ素によって吸収されることが知られているが、ホウ素が中性子を吸収するためには、中性子を減速する必要がある。中性子を減速するための物質としては水素が最適であることが知られている。このように、中性子遮蔽材用の組成物としては、ホウ素と水素の原子を多く含む必要がある。さらに、中性子の発生源である使用済核燃料等は崩壊熱を生じるため、輸送や貯蔵のために密閉しておくと発熱高温となる。この最高温度使用済み核燃料の種類によって異なるが、高燃焼度対応の使用済み核燃料ではキャスク内での温度は200℃付近にまで達するといわれている。そこで、中性子遮蔽材として用いるには、このような高温条件下で、使用済核燃料の貯蔵目安である約60年間耐えうることが望ましい。

0004

このため、遮蔽材としては水素密度の高い物質、特に水の使用が提案され、一部実用にも供されている。しかし、水は液体であるため、取り扱いが困難で、特に輸送と貯蔵を目的とするキャスクには適さない。また、100℃以上に達するキャスク内で沸騰をおさえるのが困難であるという問題がある。

0005

従来、中性子遮蔽材の一材料として樹脂組成物が用いられ、その樹脂組成物の1つにエポキシ樹脂が用いられてきた。一般的に、樹脂組成物の水素含有量と耐熱性とは相反関係にあり、水素含有量が多いものは耐熱性が低く、耐熱性が高いものは水素含有量が低い傾向にある。エポキシ樹脂は、耐熱性や硬化性には優れるものの、中性子を減速させるために必須な水素の含有量が少ないという傾向にあるため、これを水素含有量が多いアミン系の硬化剤で補う方法が一般的であった。

0006

特開平6-148388号公報には、多官能アミン系エポキシ樹脂を用い、粘度を低下させて常温での作業性を向上させるとともに、ポットライフに優れた中性子遮蔽材用組成物が開示されている。また、特開平9-176496号公報には、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等からなる組成物をポリアミン系の硬化剤で硬化させた中性子遮蔽材が開示されている。

0007

アミン系化合物は比較的水素含有量が多いため、中性子の吸収効果は向上するが、アミン系硬化剤に含まれる炭素窒素の結合は熱により分解し易い。従って、従来のアミン系の硬化剤により硬化した樹脂からなる中性子遮蔽材よりも、新しい高燃焼度対応の使用済核燃料を貯蔵し保管するために必要な耐久性を有する組成物の開発が望まれる。

0008

本発明は、従来の組成物に比べて、熱耐久性がより向上し、かつ、中性子の吸収を確保した中性子遮蔽材用組成物を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0009

本発明は、重合開始剤と、重合成分と、ホウ素化合物とを含む中性子遮蔽材用組成物を提供する。本発明は、硬化剤を含まない中性子遮蔽材用組成物を提供するものである。重合成分としては、エポキシ成分を含むことが好ましい。また、エポキシ成分として、特に水素添加エポキシ化合物を含むことが好ましい。ここで、水素添加型エポキシ化合物とは、ベンゼン環の少なくとも一部に水素を添加して、ベンゼン環の一部の共役状態を壊しつつも、環状構造を維持して水素の含有量を高めたエポキシ化合物をいう。また、本発明は、

0010

以下に、本発明の実施の態様を詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の態様は、本発明を限定するものではない。本発明を通じて、重合成分とは、重合開始剤によって重合可能化合物をいう。特には、本発明においては、以下のエポキシ成分とオキセタン成分を重合成分として含む。エポキシ成分とは、エポキシ環を有する化合物(以下、エポキシ化合物という)をいい、一種類のエポキシ化合物である場合も、二種類以上のエポキシ化合物の混合物である場合も含む。同様にオキセタン環を有する化合物をオキセタン化合物といい、一種類のオキセタン化合物である場合も、二種類以上のオキセタン化合物の混合物である場合も含む。樹脂成分とは、以上のような重合成分と重合開始剤成分とをあわせたもの、及びこれらに水素含有量を増加させる化合物、例えばジオール等をあわせたものをいう。

0011

本発明では、カチオン重合可能な化合物、特には、エポキシ化合物またはオキセタン化合物あるいはそれらの両方に重合開始剤成分を添加することにより、熱に弱いアミン部分を持つ硬化剤を使用せずに硬化させることを可能とする。従来の組成物は、硬化剤にアミン化合物を用いるために耐熱性、特に長期高温状態下での耐熱分解性が低下した。本発明では、このような硬化剤を使用することなく硬化を可能とすることで、高温状態で結合が分解しやすい炭素と窒素の結合部分が存在しない樹脂を得ることができ、大きな耐熱性が期待できる。従って、従来のような硬化剤使用に伴う耐熱性低下がないため、重合成分の選択で水素添加量、耐熱性といった所望の性質を付加しうるという利点がある。

0012

本発明は、重合成分と、重合開始剤成分と、中性子吸収剤であるホウ素化合物と、耐火材とを含んでなる組成物であり、硬化させて樹脂としたときに、耐熱性に優れ、高い中性子遮蔽効果を有することを特徴とする水素含有率が高い組成物である。具体的には、本発明の組成物には、硬化物熱重量分析による重量残存率90重量%の温度が330℃以上、好ましくは350℃以上、樹脂成分全体に占める水素含有量が好ましくは9.0重量%以上、さらに好ましくは9.8重量%以上であることが求められる。これは、水素含有量が9.0重量%以上であれば、耐火材充填量の調整等で目的とする中性子遮蔽効果の確保を期待できるためである。

0013

又、これに加えて更に詳細には、長期間高温密閉環境下での熱耐久後の硬化物の重量減少及び圧縮強度の低下が小さい程良く、例えば190℃×1000hrの密閉熱耐久後の重量減少率は0.5重量%以下、好ましくは0.2重量%以下、圧縮強度は低下していないか、最も好ましくはむしろ上昇傾向にあることが求められる。

0014

本発明の重合成分には、耐熱性の高い化合物を用いることが好ましい。特に、100℃以上、好ましくは200℃付近における耐熱性が必要であるという観点から、エポキシ化合物が好ましく用いられる。

0015

本発明のエポキシ成分には、カチオン系の重合開始剤成分を用いて重合することができるエポキシ環を有する化合物を用いる。耐熱性を向上させるためには、エポキシ成分の架橋密度が高いことが好ましい。また、環構造を多く含むと強固な構造となるため、耐熱性を向上させることができる。環構造には、例えば、ベンゼン環が挙げられる。ベンゼン環は剛直で耐熱性にはすぐれているが、本発明において中性子を減速する役割をもつ水素の含有量が少ないため、ベンゼン環に水素付加した化合物がさらに好ましい。耐熱性の高い剛直な構造としては、

0016

エポキシ成分は、一種類のエポキシ化合物でも、複数のエポキシ化合物を混合したものであってもよい。耐熱性、水素含有量増加といった所望の性能を付与することができるようにエポキシ化合物を選択する。

0017

これらのエポキシ成分の組成は、樹脂成分の水素含有量が中性子を遮蔽するのに十分な量、好ましくは9.0重量%以上、さらに好ましくは9.8重量%以上になるように決定する。中性子遮蔽材の中性子遮蔽性能は中性子遮蔽材の水素含有量(密度)と中性子遮蔽材の厚さにより決定される。この値は、キャスクに求められる中性子遮蔽性能とキャスクの中性子遮蔽材の設計厚さから決定される中性子遮蔽材に要求される水素含有量(密度)をもとに、中性子遮蔽材に混練される耐火材や中性子吸収材の配合量を考慮して樹脂成分に求められる水素含有量を算出した値を基準にしたものである。

0018

このような観点から、エポキシ環を好ましくは複数有する化合物であって、剛直な構造、または構造式(12)または構造式(13)で表されるような環構造を有し、かつ水素含有量が多い化合物が、本発明のエポキシ成分として適切である。このようなエポキシ成分は、一般に構造式(1)で表され、式中Xは、構造式(2)(式中R1〜R4は、それぞれ独立して、CH3、H、F、Cl、Brから選択され、n=0〜2である)、構造式(3)(式中R5〜R8は、それぞれ独立して、CH3、H、F、Cl、Brから選択され、n=0〜2である)、構造式(4)、構造式(5)(式中、n=1〜12)、構造式(6)(式中、n=1〜24)から選択されることが好ましい。

0019

中でも、水素含有量と耐熱性のバランスから、構造式(14)で表される水素添加ビスフェノールA型エポキシが、最も好適かつ重要なエポキシ成分として用いられる。

0020

さらに耐熱性を付与するための成分として、ビスフェノールA型エポキシ(構造式(15))を添加することができる。ベンゼン環を有し、剛直な構造を有するからである。また、架橋密度が高く、耐熱性が良好であるといった観点からは、構造式(7)(式中、R9はCが1〜10のアルキル基、またはHであり、n=1〜24)、構造式(8)(式中、n=1〜8)、または構造式(17)を添加することが好ましい。

0021

従って、例えば構造式(14)に、構造式(15)、構造式(7)、構造式(8)、構造式(17)からなる群から選択される少なくとも1以上の化合物を混合して用いることにより、所望の水素含有量および耐熱性を有する組成物とすることが可能となる。したがって、本発明のエポキシ成分は、構造式(14)で示されるエポキシ化合物を含み、さらに、構造式(15)、構造式(7)、構造式(8)、構造式(17)の全てを含んでもよく、それらのうちの一部を含んでもよい。これらのエポキシ化合物を用いて、考えられる全ての組み合わせが可能である。

0022

この場合、樹脂成分全体に対し、構造式(14)の水素添加ビスフェノールA型エポキシを70重量%以上含むことが好ましく、構造式(15)のビスA型エポキシは20重量%以下、構造式(7)は30重量%以下、構造式(8)は25重量%以下、構造式(17)は30重量%以下の量で含むことが好ましい。

0023

また、重合成分として、特に水素添加量を増大させる観点からはオキセタン化合物を用いることができる。オキセタン化合物は、エポキシと同様にカチオン重合が可能であり、水素含有量が豊富で且つ、耐熱性もある程度期待できる。

0024

オキセタン化合物は、一般的に、構造式(18)

0025

本発明に使用するオキセタン化合物として、具体的には、構造式(19)、構造式(20)が好ましい。また、これらに限定されるものではなく、構造式(19)と同様に、例えばエーテル結合や環構造等を介して少なくとも二つ以上のオキセタン環を有する化合物が好ましい。オキセタン環を多く含むことで、架橋密度の向上による耐熱性の付与が期待できるためである。また、本発明の組成物には、特に耐熱性の付与が求められるため、環構造、分枝構造等を多く有するオキセタン化合物が好ましい。

0026

オキセタン成分は、重合成分として、エポキシ化合物を使用することなく単独で用いることもできる。2つ以上のオキセタン化合物を用いることもできる。また任意のエポキシ成分と併用した重合成分として用いることができる。例えば、好ましい重合成分の組み合わせとしては、構造式(19)のオキセタン成分と構造式(7)のエポキシ成分、構造式(19)のオキセタン成分と構造式(8)のエポキシ成分、構造式(19)のオキセタン成分と構造式(17)のエポキシ成分などを用いることが可能である。

0027

オキセタン化合物を用いた重合成分の組成比の一例としては、構造式(19)を85.5重量%と構造式(15)を14.5%含むものが挙げられる。または、構造式(19)を74.0重量%と構造式(20)を20.0重量%と構造式(7)を6.0%含むものが挙げられる。

0028

重合開始剤としては、ラジカル系、アニオン系、カチオン系等に分類されそれぞれ文献等で多数報告されているが、本発明では、カチオン系の重合開始剤が好ましく用いられる。カチオン系の重合開始剤として著名なものの一例を表1に示す。また、熱で重合を開始させることができるカチオン系熱重合開始剤としては旭電化工業(株)のオプトンCPシリーズや三新化学(株)のSIシリーズ、ダイセル化学工業(株)のDAICATEX−1等が挙げられる。本発明ではこれらの重合開始剤を用いることが可能であるが、それらには限定されない。

0029

0030

重合開始剤としては、好ましくは、構造式(11)または構造式(16)で示される化合物が添加される。重合開始剤は、樹脂成分全体を100重量部とした場合に、0.5〜6重量部で添加することが好ましく、1〜3重量部で添加することがさらに好ましい。あまり多く添加しすぎると、組成物全体に占める水素含有量を低下させることとなるおそれがあるからである。

0031

さらに、本発明の組成物には、水素含有量を増加させるために、エポキシ環を有しない化合物であって、水素を多く含有する化合物を添加することも可能である。これらの化合物は、エポキシ化合物のみで水素含有量を増加するには限界があるため、水素含有量が不足する場合に、任意選択的に添加することができる。このとき、添加する化合物が組成物の系全体の物性を大きく変えることのないように化合物を選択する必要がある。例えば、本発明のカチオン系の重合開始剤を含む組成物に、アミン系の化合物を混合すると、エポキシ成分の重合反応が進行しないため、アミン系化合物を加えることはできない。このような点を考慮して検討した結果、水素含有量を増加させるための化合物としては、例えば、ジオール類が適している。

0032

ジオール類としては、エポキシ成分に可溶で且つエポキシ成分と重合可能であるものであれば適用可能であり、脂肪族ジオール芳香族ジオール脂環構造を有するジオール、ポリオールなどを使用することが出来るが、これらに限定されない。水素含有量の増加と耐熱性低下の抑制の点からは、好ましくは脂環構造を有するジオール、例えば構造式(9)、構造式(10)で表される化合物を使用する。ジオール類の添加量は、樹脂成分全体に対して、30重量%以下であることが好ましく、20重量%以下であることがさらに好ましい。

0033

組成物の水素含有量を増加させるための化合物としては、ジオール類に限定されず、カチオン硬化が可能なオキセタン類ビニルエーテル類、及びジオール類と同様の効果を期待できる物として3官能以上の多官能型アルコール類などを用いることも可能である。

0034

本発明の組成物の中性子吸収剤として使用されるホウ素化合物には、炭化ホウ素窒化ホウ素無水ホウ酸、ホウ素鉄、灰ホウ石、正ホウ酸メタホウ酸等があるが、中性子遮蔽性能の点で炭化ホウ素が最も好ましい。

0035

上記のホウ素化合物は、粉末が用いられるがその粒度及び添加量には特に制限はない。しかし、マトリックス樹脂のエポキシ樹脂内の分散性、中性子に対する遮蔽性を考慮すれば平均粒径は1〜200ミクロン程度が好ましく、10〜100ミクロン程度がより好ましく、20〜50ミクロン程度が特に好ましい。一方、添加量は後述の充填剤も含めた組成物全体に対して0.5ないし20重量%の範囲が最も好ましい。0.5重量%未満では加えたホウ素化合物の中性子遮蔽材としての効果が低く、また、20重量%を超えた場合はホウ素化合物を均一に分散させることが困難になる。

0036

本発明には充填剤として、シリカアルミナ炭酸カルシウム三酸化アンチモン酸化チタンアスベストクレーマイカ等の粉末の他、ガラス繊維等も用いられ、また、必要に応じ炭素繊維等を添加しても良い。更に必要に応じて、離型剤としての天然ワックス脂肪酸金属塩、酸アミド類脂肪酸エステル類等、難燃剤としての塩化パラフィンブロムトルエンヘキサブロムベンゼン、三酸化アンチモン等、着色剤としてのカーボンブラックベンガラ等の他、シランカップリング剤チタンカップリング剤等を添加することができる。

0037

本発明に係る組成物において使用される耐火剤は、万一、火災遭遇した場合でも、ある程度以上の中性子遮蔽能力を維持できるよう、中性子遮蔽材をある程度以上残存させることを目的としている。このような耐火材としては、特に、水酸化マグネシウム水酸化アルミニウムを使用することが好ましい。中でも、水酸化マグネシウムは200℃近い高温でも安定に存在するため、特に好ましい。これら耐火剤の添加量は上記組成物全体中20〜70重量%が好ましく、35〜60重量%が特に好ましい。

0038

本発明の組成物は、重合成分、例えばエポキシ成分とその他の添加剤とを混合後して樹脂組成物を調製し、これと耐火材や中性子吸収材等を混練した後、最後に重合開始剤を添加することによって調整する。重合条件としては、樹脂成分の組成によっても異なるが、50℃〜200℃の温度条件において、1時間〜3時間加熱を行うことが好ましい。さらには、このような加熱処理は2段階で行うことが好ましく、80℃〜120℃で1時間〜2時間加熱した後、120℃〜180℃で、2時間から3時間加熱処理することが好ましいが、調製方法硬化条件等これに限定されるものではない。

0039

さらには、使用済核燃料の中性子を効果的に遮蔽して貯蔵・輸送するための容器、好ましくはキャスクを製造することができる。このような輸送用のキャスクは、公知技術を利用して製造することができる。例えば、特開平2000-9890号公報に開示されたキャスクにおいて、中性子遮蔽体を充填する個所が設けられている。このような個所に、本発明の組成物を充填することができる。

0040

このようなキャスク中の遮蔽体に限定されることなく、本発明の組成物は、中性子の拡散を防止する装置や施設において、さまざまな個所に用いることができ、効果的に中性子を遮蔽することができる。

0041

以下に、実施例を用いて本発明を詳細に説明する。なお、以下の実施例は本発明を限定するものではない。

0042

実施例において、本発明の組成物を調製し、中性子遮蔽効果を調べた。通常は中性子遮蔽材用樹脂組成物に、耐火材として水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウム等を全体の60重量%程度、及び中性子吸収剤として炭化ホウ素等のホウ素化合物を全体の1重量%程度を混合して、中性子遮蔽材を作製する。しかし、ここでは樹脂成分、即ち、重合成分と重合開始剤成分等による性能を評価すべく耐火材および中性子吸収剤は添加しないものを中心とした。

0043

中性子遮蔽材に求められる性能としては、耐熱性(重量残存率、圧縮強度等)、耐火性、水素含有量(中性子遮蔽としての適性の判断目安として材料中の水素含有密度がある一定量以上あることが必要となる)等がある。耐火性は耐火材による部分が大であるため、中性子遮蔽材用樹脂組成物の評価としては重量残存率に見る耐熱性と水素含有量を評価した。重量残存率は、昇温時の重量変化を測定することにより、その耐熱性を評価するものである。測定にはTGAを用い、熱重量減少測定条件は室温〜600℃までを昇温速度10℃/min、窒素雰囲気下にて測定した。また、樹脂に求められる水素含有量の基準値としては樹脂単体中での水素含有量を9.8重量%程度以上とした。

0044

[実施例1]エポキシ樹脂として、水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ(株)製、YL6663、構造式(14))100gに、カチオン系重合開始剤SI−80(構造式(11))を1g添加し、重合開始剤が溶解するまで良く攪拌して中性子遮蔽材用に用いる樹脂組成物とした。上記中性子遮蔽材用樹脂組成物の水素含有量を測定した結果、水素含有量は9.8重量%以上(10重量%程度以上)で基準値を満足した。次に、組成物を80℃×30min+150℃×2hrで硬化させ、その硬化物の熱重量減少をTGAにより測定した。熱重量減少の測定条件はRT〜600℃までを昇温速度10℃/min、窒素雰囲気下にて測定した。測定の結果、200℃での重量残存率99.5重量%以上、重量残存率90重量%の温度が350℃以上と極めて良好な耐熱性、熱安定性を示した。

0045

[実施例2]エポキシ樹脂として水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂(YL6663、構造式(14))84.6gと、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ(株)製、エピコート828、構造式(15))15.4gを混合したものにカチオン系重合開始剤SI−80(構造式(11))を1g添加し、重合開始剤が溶解するまで良く攪拌して中性子遮蔽材用に用いる樹脂組成物とした。実施例1と同様の方法にて樹脂組成物中の水素含有量を測定した結果、水素含有量は9.8重量%程度で基準値を満足した。一方、上記中性子遮蔽材用樹脂組成物を80℃×30min+150℃×2hrで硬化させ、実施例1と同様の方法にて熱重量減少を測定した結果、200℃での重量残存率99.5重量%以上、重量残存率90重量%の温度が380℃以上と極めて良好な耐熱性、熱安定性を示した。

0046

[実施例3]エポキシ樹脂として、水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂(YL6663、構造式(14))74.8g、多官能脂環型エポキシ樹脂(ダイセル化学(株)製、EHPE3150、構造式(7))25.2gを混合し、110℃に保持してEHPE3150(固形)が溶解するまで良く攪拌した。EHPE3150溶解後室温に放置し、室温付近まで温度が低下したらカチオン系重合開始剤SI−80(構造式(11))を1g添加し、重合開始剤が溶解するまで良く攪拌して中性子遮蔽材用に用いる樹脂組成物とした。樹脂組成物中の水素含有量を測定した結果、水素含有量は9.8重量%程度で基準値を満足した。一方、上記中性子遮蔽材用樹脂組成物を80℃×30min+150℃×2hrで硬化させ、実施例1と同様の方法にて熱重量減少を測定した結果、200℃での重量残存率99.5重量%程度、重量残存率90重量%の温度が390℃以上と極めて良好な耐熱性、熱安定性を示した。

0047

[実施例4]エポキシ樹脂として、水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂(YL6663、構造式(14))79.4gと、脂環型エポキシ樹脂(ダイセル化学(株)製、セロサイド2021P、構造式(8))20.6gを混合したものにカチオン系重合開始剤SI−80(構造式(11))を1g添加し、重合開始剤が溶解するまで良く攪拌して中性子遮蔽材用に用いる樹脂組成物とした。樹脂組成物中の水素含有量を測定した結果、水素含有量は9.8重量%程度で基準値を満足した。一方、上記中性子遮蔽材用樹脂組成物を80℃×30min+150℃×2hrで硬化させ、実施例1と同様の方法にて熱重量減少を測定した結果、200℃での重量残存率99.5重量%以上、重量残存率90重量%の温度が370℃以上と極めて良好な耐熱性、熱安定性を示した。

0048

[実施例5]エポキシ樹脂として水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂(YL6663、構造式(14))8.23gとビスフェノールA型エポキシ樹脂(エピコート828、構造式(15))8.85gと、脂環型エポキシ樹脂(セロキサイド2021P、構造式(8))8.85gを混合したものにカチオン系重合開始剤SI−80(構造式(11))を1g添加し、重合開始剤が溶解するまで良く攪拌して中性子遮蔽材用に用いる樹脂組成物とした。樹脂組成物中の水素含有量を測定した結果、水素含有量は9.8重量%程度で基準値を満足した。一方、上記中性子遮蔽材用樹脂組成物を80℃×30min+150℃×2hrで硬化させ、実施例1と同様の方法にて熱重量減少を測定した結果、200℃での重量残存率99.5重量%以上、重量残存率90重量%の温度が380℃以上と極めて良好な耐熱性、熱安定性を示した。

0049

[実施例6]エポキシ樹脂として水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂(YL6663、構造式(14))80.9gとビスフェノールA型エポキシ樹脂(エピコート828、構造式(15))9.55gと多官能脂環型エポキシ樹脂(EHPE3150、構造式(7))9.55gを混合し、110℃に保持してEHPE3150(固形)が溶解するまで良く攪拌した。EHPE3150溶解後室温に放置し、室温付近まで温度が低下したらカチオン系重合開始剤SI−80(構造式(11))を1g添加し、重合開始剤が溶解するまで良く攪拌して中性子遮蔽材用に用いる樹脂組成物とした。樹脂組成物中の水素含有量を測定した結果、水素含有量は9.8重量%程度で基準値を満足した。一方、上記中性子遮蔽材用樹脂組成物を80℃×30min+150℃×2hrで硬化させ、実施例1と同様の方法にて熱重量減少を測定した結果、200℃での重量残存率99.5重量%以上、重量残存率90重量%の温度が390℃以上と極めて良好な耐熱性、熱安定性を示した。

0050

[実施例7]エポキシ樹脂として水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂(YL6663、構造式(14))77.3gと脂環型エポキシ樹脂(セロキサイド2021P、構造式(8))11.35gと多官能脂環型エポキシ樹脂(EHPE3150、構造式(7))11.35gを混合し、110℃に保持してEHPE3150(固形)が溶解するまで良く攪拌した。EHPE3150溶解後室温に放置し、室温付近まで温度が低下したらカチオン系重合開始剤SI−80(構造式(11))を1g添加し、重合開始剤が溶解するまで良く攪拌して中性子遮蔽材用に用いる樹脂組成物とした。樹脂組成物中の水素含有量を測定した結果、水素含有量は9.8重量%程度で基準値を満足した。一方、上記中性子遮蔽材用樹脂組成物を80℃×30min+150℃×2hrで硬化させ、熱重量減少を測定した結果、200℃での重量残存率99.5重量%以上、重量残存率90重量%の温度が390℃以上と極めて良好な耐熱性、熱安定性を示した。

0051

[実施例8]エポキシ樹脂として水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂(YL6663、構造式(14))80.38gとビスフェノールA型エポキシ樹脂(エピコート828、構造式(15))6.54gと脂環型エポキシ樹脂(セロキサイド2021P、構造式(8))6.54gと多官能脂環型エポキシ樹脂(EHPE3150、構造式(7))6.54gを混合し、110℃に保持してEHPE3150(固形)が溶解するまで良く攪拌した。EHPE3150溶解後室温に放置し、室温付近まで温度が低下したらカチオン系重合開始剤SI−80(構造式(11))を1g添加し、重合開始剤が溶解するまで良く攪拌して中性子遮蔽材用に用いる樹脂組成物とした。樹脂組成物中の水素含有量を測定した結果、水素含有量は9.8重量%程度で基準値を満足した。一方、上記中性子遮蔽材用樹脂組成物を80℃×30min+150℃×2hrで硬化させ、実施例1と同様の方法にて熱重量減少を測定した結果、200℃での重量残存率99.5重量%以上、重量残存率90重量%の温度が400℃以上と極めて良好な耐熱性、熱安定性を示した。

0052

[実施例9]エポキシ樹脂として水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂(YL6663、構造式(14))63.8gと、脂環型エポキシ樹脂(セロキサイド2021P、構造式(8))26.2gと、水添ビスフェノール(新日本理化(株)製、リカビノールHB、構造式(9))を10gを混合し、100℃に保持してリカビノールHB(固形)が溶解するまで良く攪拌した。リカビノールHB溶解後室温に放置し、室温付近まで温度が低下したらカチオン系重合開始剤SI−80(構造式(11))を1g添加し、重合開始剤が溶解するまで良く攪拌して中性子遮蔽材用に用いる樹脂組成物とした。樹脂組成物中の水素含有量を測定した結果、水素含有量は9.8重量%程度で基準値を満足した。一方、上記中性子遮蔽材用樹脂組成物を80℃×30min+150℃×2hrで硬化させ、実施例1と同様の方法にて熱重量減少を測定した結果、200℃での重量残存率99.5重量%程度、重量残存率90重量%の温度が380℃以上と極めて良好な耐熱性、熱安定性を示した。

0053

[実施例10]エポキシ樹脂として水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂(YL6663、構造式(14))66.1gと脂環型エポキシ樹脂(セロキサイド2021P、構造式(8))23.9gと、シクロヘキサンジメタノール(東京化成工業(株)製、構造式(10))10gを混合し、100℃に保持してシクロヘキサンジメタノール(ワックス状)が溶解するまで良く攪拌した。シクロヘキサンジメタノール溶解後室温に放置し、室温付近まで温度が低下したらカチオン系重合開始剤SI−80(構造式(11))を1g添加し、重合開始剤が溶解するまで良く攪拌して中性子遮蔽材用に用いる樹脂組成物とした。樹脂組成物中の水素含有量を測定した結果、水素含有量は9.8重量%程度で基準値を満足した。一方、上記中性子遮蔽材用樹脂組成物を80℃×30min+150℃×2hrで硬化させ、熱重量減少を測定した結果、200℃での重量残存率99.5重量%程度、重量残存率90重量%の温度が380℃以上と極めて良好な耐熱性、熱安定性を示した。

0054

[実施例11]ここでは、中性子吸収剤および耐火材をさらに混合した中性子遮蔽材を評価した。エポキシ樹脂として水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂(YL6663、構造式(14))80.38gとビスフェノールA型エポキシ樹脂(エピコート828、構造式(15))6.54gと脂環型エポキシ樹脂(セロキサイド2021P、構造式(8))6.54gと多官能脂環型エポキシ樹脂(EHPE3150、構造式(7))6.54gを混合し、110℃に保持してEHPE3150(固形)が溶解するまで良く攪拌した。EHPE3150溶解後、水酸化マグネシウムを146.5gと炭化ホウ素3.5gを混合・攪拌し170℃×2hr保持した。170℃×2hr保持後室温にて放置し、混合物の温度が室温程度になったらカチオン系重合開始剤SI−80(構造式(11))を2g添加し良く攪拌して中性子遮蔽材用組成物とした。中性子遮蔽材に求められる水素含有量の目安としては、水素含有密度が0.096g/cm3以上である。調製した中性子遮蔽材組成物の水素含有密度を測定した結果、0.096g/cm3以上で基準値を満足した。又、別途測定した樹脂成分中の水素含有量は9.8重量%以上であった。一方、上記中性子遮蔽材用樹脂組成物を170℃×4hrで硬化させ、実施例1と同様の方法にて熱重量減少を測定した結果、200℃での重量残存率99.5重量%以上、重量残存率90重量%の温度が400℃以上と極めて良好な耐熱性、熱安定性を示した。また、上記硬化物を密閉容器封入後、190℃×1000hrの耐熱耐久試験を行った。圧縮強度は試験前に比べ1.4倍以上上昇し、重量減少率も0.1%程度で極めて良好な耐久性を示した。

0055

[実施例12]エポキシ樹脂として水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂(YL6663、構造式(14))63.8gと脂環型エポキシ樹脂(セロキサイド2021P、構造式(8))26.2gと水添ビスフェノール(リカビノールHB、構造式(9))10gを混合し、100℃に保持してリカビノールHB(固形)が溶解するまで良く攪拌した。リカビノールHB溶解後、水酸化マグネシウムを146.5gと炭化ホウ素3.5gを混合・攪拌し170℃×2hr保持した。170℃×2hr保持後室温にて放置し、混合物の温度が室温程度になったらカチオン系重合開始剤SI−80L(構造式(11))を2g添加し良く攪拌して中性子遮蔽材用組成物とした。中性子遮蔽材に求められる水素含有量の目安としては、水素含有密度が0.096g/cm3以上であるが、調製した中性子遮蔽材組成物の水素含有密度を測定した結果、0.096g/cm3以上で基準値を満足した。一方、上記中性子遮蔽材用樹脂組成物を170℃×4hrで硬化させ、熱重量減少を測定した結果、200℃での重量残存率99.5重量%程度、重量残存率90重量%の温度が380℃以上と極めて良好な耐熱性、熱安定性を示した。また、上記硬化物を密閉容器に封入後、200℃×500hrの耐熱耐久試験を行った。圧縮強度は試験前に比べ1.2倍以上も上昇し、重量減少率も0.1%程度で極めて良好な耐久性を示した。

0056

次に比較例として、従来から用いられてきた組成物による中性子遮蔽材の性能を評価した。実施例と同様に、耐火材、中性子吸収剤は添加しなかった。また、実施例と同様に、水素含有量は成分分析により、熱重量減少はTGAで測定することにより求めた。

0057

[比較例1]エポキシ樹脂として実施例1と同様の構造式(14)で示される水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ(株)、YL6663)82.5gと、硬化剤としてイソホロンジアミン17.5gを良く攪拌して中性子遮蔽材用に用いる樹脂組成物とした。これは、本発明と比較した硬化剤を用いた中性子遮蔽材の比較例を示すものである。樹脂組成物中の水素含有量を測定した結果、水素含有量は9.8重量%以上で基準値を満足した。一方、上記中性子遮蔽材用樹脂組成物を80℃×30min+150℃×2hrで硬化させ、実施例1と同様の方法にて熱重量減少を測定した結果、200℃での重量残存率99.5重量%程度、重量残存率90重量%の温度が300℃程度であり、実施例の一群と比較して耐熱性、熱安定性が劣った。この組成系は実施例1と比較してカチオン系重合開始剤のかわりにアミン系硬化剤を使用する点が大きく異なっている。実施例1と比較例1との比較から実施例1のように重合開始剤により硬化させることで耐熱性、熱安定性が向上することがわかる。

0058

[比較例2]エポキシ樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(エピコート828、構造式(15))81.4gと、硬化剤としてイソホロンジアミン18.6gを良く攪拌して中性子遮蔽材用に用いる樹脂組成物とした。樹脂組成物中の水素含有量を測定した結果、水素含有量は8.2重量%以下で基準値を大きく下回り未達となった。一方、上記中性子遮蔽材用樹脂組成物を80℃×30min+150℃×2hrで硬化させ、実施例1と同様の方法にて熱重量減少を測定した結果、200℃での重量残存率99.5重量%程度、重量残存率90重量%の温度が350℃程度と耐熱性、熱安定性は良かった。この組成系は耐熱性、熱安定性的には良好だが、水素含有量の点から中性子遮蔽材用樹脂組成物としては不適であった。また、この組成系は比較例2と比較してカチオン系重合開始剤のかわりにアミン系硬化剤を使用する点が大きく異なっている。比較例2と比較例3の比較からも、重合開始剤により硬化させることで耐熱性、熱安定性が向上することがわかる。

0059

[比較例3]エポキシ樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(エピコート828、構造式(15))とポリアミン系の硬化剤を1:1(化学量論的に等量となる)の割合で混合・攪拌して中性子遮蔽材用に用いる樹脂組成物とした。樹脂組成物中の水素含有量を測定した結果、水素含有量は9.8重量%以上で基準値を満足した。一方、上記中性子遮蔽材用樹脂組成物を80℃×30min+150℃×2hrで硬化させ、実施例1と同様の方法にて熱重量減少を測定した結果、200℃での重量残存率99重量%以下、重量残存率90重量%の温度が300℃以下であり、実施例の一群と比較して耐熱性、熱安定性は劣った。この組成系は従来から使用されている中性子遮蔽材用の樹脂組成物と同様の系を模擬したものだが、比較例4は水素含有量の点からは適性があるが、耐熱性、熱安定性的には実施例の一群と比較して低い値であり、実施例の一群が耐熱性、熱安定性的に優れていることがわかる。

0060

[比較例4]エポキシ樹脂としてポリプロピレングリコールの両末端のOHをそれぞれグリシジルエーテル置換した構造を持つエポキシ樹脂(エポキシ等量190)81.7gと、硬化剤としてイソホロンジアミン18.3gを良く攪拌して中性子遮蔽材用に用いる樹脂組成物とした。樹脂組成物中の水素含有量を測定した結果、水素含有量は9.8重量%以上で基準値を満足した。一方、上記中性子遮蔽材用樹脂組成物を80℃×30min+150℃×2hrで硬化させ、実施例1と同様の方法にて熱重量減少を測定した結果、200℃での重量残存率99.5重量%以下、重量残存率90重量%の温度が250℃程度未満であり、実施例の一群と比較して耐熱性、熱安定性が極めて劣った。

0061

[比較例5]エポキシ樹脂として1,6ヘキサンジグリシジルエーテル(エポキシ等量155)78.5gと、硬化剤としてイソホロンジアミン21.5gを良く攪拌して中性子遮蔽材用に用いる樹脂組成物とした。樹脂組成物中の水素含有量を測定した結果、水素含有量は9.8重量%以上で基準値を満足した。一方、上記中性子遮蔽材用樹脂組成物を80℃×30min+150℃×2hrで硬化させ、実施例1と同様の方法にて熱重量減少を測定した結果、200℃での重量残存率99.5重量%以下、重量残存率90重量%の温度が300℃未満であり、実施例の一群と比較して耐熱性、熱安定性が劣った。

0062

[比較例6]ここでは、従来型の樹脂成分に中性子吸収剤を添加して、中性子遮蔽効果を評価した。エポキシ樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(エピコート828、構造式(15))50gとポリアミン系の硬化剤50gを混合・攪拌したものに水酸化マグネシウムを146.5gと炭化ホウ素3.5gを混合・攪拌して中性子遮蔽材用組成物とした。中性子遮蔽材に求められる水素含有量の目安としては、水素含有密度が0.096g/cm3以上であるが、調製した中性子遮蔽材組成物の水素含有密度を測定した結果、0.096g/cm3以上で基準値を満足した。一方、上記中性子遮蔽材用樹脂組成物を80℃×30min+150℃×2hrで硬化させ、実施例1と同様の方法にて熱重量減少を測定した結果、200℃での重量残存率99重量%以下、重量残存率90重量%の温度が300℃以下であり、実施例の一群と比較して耐熱性、熱安定性は劣った。また、上記硬化物を密閉容器に封入後、190℃×1000hrの耐熱耐久試験を行った。圧縮強度は試験前に比べ3割以上低下し、高温環境下での耐久性は低いものとなった。この組成系は従来から使用されている中性子遮蔽材用組成物と同様の系を模擬したものだが、比較例6は水素含有量の点からは適性があるが、耐熱性、熱安定性的には実施例11及び実施例12と比較して低い値であり、実施例が耐熱性、熱安定性的に優れていることがわかる。

0063

以上の、実施例、比較例から、同じ重合成分で比較したとき、アミン系硬化剤で硬化した樹脂に比べ、本発明の重合開始剤により硬化した樹脂では、重量残存率90重量%時点の温度が、平均して30〜50℃上昇し耐熱性の高いものとなっていることがわかった。

発明の効果

0064

本発明の中性子遮蔽材用組成物により得られた中性子遮蔽材は、カチオン系重合開始剤を用いて耐熱性のある重合成分を硬化させるものである。高温条件下で分解しやすい結合を有する硬化剤成分を用いることなく重合可能な本発明の組成物は、硬化して遮蔽剤としたときに、耐熱温度が上昇し、かつ中性子遮蔽効果も確保したものである。従って、本発明は使用済核燃料の長期にわたる貯蔵にも耐えることができる中性子遮蔽材用組成物を提供することができる。

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