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図面 (16)

課題

冷却ファン騒音を十分に低減することができる土木建設機械エンジン冷却装置の提供。

解決手段

軸流ファン3を、回転数一定の条件で流量を横軸にかつファン騒音縦軸にとって表した騒音特性曲線16において、その上記エンジンルーム1内における動作点が、ファン通過流量の低下につれて流れが軸流流れから遠心流れに変化することにより生じる騒音の極大点Bよりも低流量側に位置し、かつその動作点における騒音値が、上記極大点Bにおける騒音値以下となるように構成する。

概要

背景

土木建設機械エンジン冷却装置に関する従来技術としては例えば特開平10−103065号公報に示されるものがある。

図14は、この従来技術の土木・建設機械のエンジン冷却装置の構成を示す側断面図である。

図14に示す従来技術のエンジン冷却装置は、土木・建設機械のエンジンルーム1内に設けられた複数の熱交換器すなわちエンジン2を冷却するための冷却水が流れるラジエータ7、図示しない油圧機器の作動により高温となった作動油が流れるオイルクーラ6、図示しないターボチャージャによってエンジン2に過給される過給気が流れるインタークーラ5、及びエアコンコンデンサ8と、これら熱交換器5〜8の下流側に設けられそれら熱交換器5〜8を冷却する冷却風生起する軸流ファン3とを備えており、エンジン2のクランク軸9からの回転駆動力ファンベルト10を介し軸流ファン3に伝達して回転させることにより、エンジンルーム1外部から吸気口12を介し外気すなわち冷却空気を導入して冷却風を生起する。この生起した冷却風は、各熱交換器5〜8を通過してそれぞれを冷却し、最下流側の熱交換器すなわちラジエータ7のさらに下流側に設けられたファンシュラウド4で絞られて軸流ファン3に導かれる。軸流ファン3から吹き出された冷却風は、さらにエンジン2及び図示しない油圧ポンプ等の周りを通過してそれらを冷却した後、排気口13を介しエンジンルーム1の外部に排出される。

概要

冷却ファン騒音を十分に低減することができる土木・建設機械のエンジン冷却装置の提供。

軸流ファン3を、回転数一定の条件で流量を横軸にかつファン騒音縦軸にとって表した騒音特性曲線16において、その上記エンジンルーム1内における動作点が、ファン通過流量の低下につれて流れが軸流流れから遠心流れに変化することにより生じる騒音の極大点Bよりも低流量側に位置し、かつその動作点における騒音値が、上記極大点Bにおける騒音値以下となるように構成する。

目的

本発明は、上述した従来技術における実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、冷却ファンの騒音を十分に低減することができる土木・建設機械のエンジン冷却装置を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
2件

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請求項1

土木建設機械エンジン室内に設けられた少なくとも1つの熱交換器と、上記熱交換器の下流側に設けられ上記熱交換器を冷却する冷却風生起する軸流ファンとを備えた土木・建設機械のエンジン冷却装置において、上記軸流ファンを、回転数一定の条件で流量を横軸にかつファン騒音縦軸にとって表した騒音特性曲線において、その上記エンジン室内における動作点が、ファン通過流量の低下につれて流れが軸流流れから遠心流れに変化することにより生じる騒音極大点よりも低流量側に位置し、かつその動作点における騒音値が、上記極大点における騒音値以下となるように構成したことを特徴とする土木・建設機械のエンジン冷却装置。

請求項2

上記騒音特性曲線における上記軸流ファンの動作点は、上記極大点の低流量側に位置する極小点よりもさらに低流量側に位置していることを特徴とする請求項1記載の土木・建設機械のエンジン冷却装置。

請求項3

土木・建設機械のエンジン室内に設けられた少なくとも1つの熱交換器と、上記熱交換器の下流側に設けられ上記熱交換器を冷却する冷却風を生起する軸流ファンとを備えた土木・建設機械のエンジン冷却装置において、上記軸流ファンを、回転数一定の条件で流量を横軸にかつファン騒音を縦軸にとって表した騒音特性曲線において、その上記エンジン室内における動作点の騒音値が、ファン通過流量の低下につれて流れが軸流流れから遠心流れに変化することにより生じる騒音の極大点のさらに低流量側に位置する極小点における騒音値に、3dBを加えた値以下となるように構成したことを特徴とする土木・建設機械のエンジン冷却装置。

請求項4

上記騒音特性曲線における上記軸流ファンの動作点は、上記極小点よりも低流量側に位置していることを特徴とする請求項3記載の土木・建設機械のエンジン冷却装置。

請求項5

上記軸流ファンに備えた各羽根出口角を43.5°以上56.5°以下としたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の土木・建設機械のエンジン冷却装置。

請求項6

上記軸流ファンの羽根枚数を5枚以下としたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の土木・建設機械のエンジン冷却装置。

請求項7

上記軸流ファンのファン外径D2とファンボス径D1の比であるボス比D1/D2を、0.45≦D1/D2≦0.55としたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の土木・建設機械のエンジン冷却装置。

請求項8

上記軸流ファンの外周部分を、開口面積が冷却風の流れ方向に連続的に縮小した後連続的に拡大するベルマウス形状ファンシュラウドで覆ったことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の土木・建設機械のエンジン冷却装置。

請求項9

上記軸流ファンは、各羽根を周方向不等ピッチで配列したことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項記載の土木・建設機械のエンジン冷却装置。

請求項10

上記軸流ファンに備えた各羽根の翼端部断面形状を、圧力面側に凸となる円弧状形状、あるいは圧力面側を欠落させたテーパ形状としたことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項記載の土木・建設機械のエンジン冷却装置。

技術分野

0001

本発明は、油圧ショベル等の土木建設機械エンジン冷却装置係り、特にエンジン室内に配置した複数の熱交換器軸流ファン生起した冷却風で冷却する土木・建設機械のエンジン冷却装置に関する。

背景技術

0002

土木・建設機械のエンジン冷却装置に関する従来技術としては例えば特開平10−103065号公報に示されるものがある。

0003

図14は、この従来技術の土木・建設機械のエンジン冷却装置の構成を示す側断面図である。

0004

図14に示す従来技術のエンジン冷却装置は、土木・建設機械のエンジンルーム1内に設けられた複数の熱交換器すなわちエンジン2を冷却するための冷却水が流れるラジエータ7、図示しない油圧機器の作動により高温となった作動油が流れるオイルクーラ6、図示しないターボチャージャによってエンジン2に過給される過給気が流れるインタークーラ5、及びエアコンコンデンサ8と、これら熱交換器5〜8の下流側に設けられそれら熱交換器5〜8を冷却する冷却風を生起する軸流ファン3とを備えており、エンジン2のクランク軸9からの回転駆動力ファンベルト10を介し軸流ファン3に伝達して回転させることにより、エンジンルーム1外部から吸気口12を介し外気すなわち冷却空気を導入して冷却風を生起する。この生起した冷却風は、各熱交換器5〜8を通過してそれぞれを冷却し、最下流側の熱交換器すなわちラジエータ7のさらに下流側に設けられたファンシュラウド4で絞られて軸流ファン3に導かれる。軸流ファン3から吹き出された冷却風は、さらにエンジン2及び図示しない油圧ポンプ等の周りを通過してそれらを冷却した後、排気口13を介しエンジンルーム1の外部に排出される。

発明が解決しようとする課題

0005

一般に、軸流送風機であるプロペラファンは、本来、軸流流れを維持している範囲で高性能を得られるように設計されており、その状態において高効率と低騒音を達成するようになっている。しかし、上述した従来技術による土木・建設機械のエンジン冷却装置では、通常、複数の熱交換器5〜8等に冷却空気を送るために圧力損失が非常に大きくなっており、このため軸流ファン3を流れる空気の流れは上述の図14に示すように軸流流れというよりむしろ遠心流れに近い状態となっている。

0006

図15(a)及び図15(b)は、上述した従来技術の土木・建設機械のエンジン冷却装置における軸流ファン3の騒音特性曲線を示すグラフである。横軸は流量であり、縦軸図15(a)がファン騒音図15(b)が静圧を示している。また、図15(b)における破線18はエンジン冷却装置全体の抵抗曲線を示している。

0007

図15(a)に示すように、ファン騒音特性曲線16は、理想的な軸流流れの状態である高流量側領域Aで騒音値最小値となり、それよりも流量が減少するにつれて増加していき、B点に近づくにつれて騒音値が急変していく。この場合、図14に示すように、軸流ファン3から流出する主流15aは軸流ファン3の翼端近傍に限定される一方、軸流ファン3下流側のボスa近傍では逆流15bが生じており、一度軸流ファン3から流出した流れがまた軸流ファン3内部に侵入してくるため、騒音増大の一因となっている。このような流れの挙動の変化により騒音は急増していき、B点で極大点に達する。B点よりさらに流量が減少すると一旦騒音は減少して極小点であるC点となるもののその流量域は狭く、C点よりもさらに流量が減少すると、騒音は再び急増し、上記B点の騒音値より高いD点近傍に達する。すなわち、高流量側領域Aから流量が減少するとともに空気の流れは軸流流れから遠心流れへと徐々に変化していき、極小点Cよりも低流量側ではほぼ全域渡り遠心流れとなる。なお、D点以降は騒音の増加割合はそれまでに比べると緩やかになり、流量を減少させても騒音値はあまり変化せず安定的に比較的高い値となる。

0008

上述した従来技術による土木・建設機械のエンジン冷却装置では、通常、軸流ファン3のファン動作点は、図15(a)の騒音特性曲線16におけるD点近傍(図15(b)の静圧特性曲線17における流量QD、静圧PDの点)となっており、高性能を得られる安定的な軸流流れの範囲(例えば図15(a)におけるA点近傍)よりもかなり低流量側に位置する安定的な遠心流れの領域であるため、騒音レベルSLが比較的高くなっている。

0009

近年、作業環境の変化や周辺環境保全の要求に基づき、土木・建設機械から周囲への騒音低減が強く要求されており、国内においては建設省の低騒音型・超低騒音型土木・建設機械の指定を受けることが営業上の大きなセールスポイントとなり、海外においては、欧州騒音規則合格する騒音基準を持った土木・建設機械を開発することが急務となっている。このような近年の傾向に鑑みると、上記従来技術による冷却装置では、必ずしも騒音低減の面で十分とは言えず、さらに改善の余地があった。

0010

本発明は、上述した従来技術における実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、冷却ファンの騒音を十分に低減することができる土木・建設機械のエンジン冷却装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

0011

この目的を達成するために本発明の請求項1に係る発明は、土木・建設機械のエンジン室内に設けられた少なくとも1つの熱交換器と、上記熱交換器の下流側に設けられ上記熱交換器を冷却する冷却風を生起する軸流ファンとを備えた土木・建設機械のエンジン冷却装置において、上記軸流ファンを、回転数一定の条件で流量を横軸にかつファン騒音を縦軸にとって表した騒音特性曲線において、その上記エンジン室内における動作点が、ファン通過流量の低下につれて流れが軸流流れから遠心流れに変化することにより生じる騒音の極大点よりも低流量側に位置し、かつその動作点における騒音値が、上記極大点における騒音値以下となるような構成にしてある。

0012

土木・建設機械のエンジン室内における軸流ファンの同一回転数における騒音特性は、理想的な軸流流れの状態である高流量側領域で最小値となり、それよりも流量が減少するにつれて増加していき、次第に軸流流れから遠心流れへと流れの状況が変化していき、騒音値が極大点に達する。この極大点よりさらに流量が減少すると一旦騒音は減少して極小点となるもののその流量域は狭く、極小点よりもさらに流量が減少すると、騒音は再び急増し、極大点の騒音値より高い点まで増加する。これ以降は騒音の増加割合はそれまでに比べると緩やかになり、流量を減少させても騒音値はあまり変化せず安定的に比較的高い値となる。

0013

そこで、本発明の請求項1に係る発明では、軸流ファンを、動作点が上記極大点よりも低流量側で、かつ動作点における騒音値が上記極大点における騒音値以下となるように構成する。これにより、少なくとも、極小点より低流量で極大点より騒音値が高くなる点に動作点があった従来構造に比べて、騒音を低減することが可能となる。

0014

また、本発明の請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、上記騒音特性曲線における上記軸流ファンの動作点は、上記極大点の低流量側に位置する極小点よりもさらに低流量側に位置していることを特徴としている。

0015

このように構成した請求項2に係る発明では、ファンの動作点を、極大点から極小点までの間ではなく極小点の低流量側に位置させることにより、ファンの騒音をさらに確実に低減することができる。

0016

この目的を達成するために本発明の請求項3に係る発明は、土木・建設機械のエンジン室内に設けられた少なくとも1つの熱交換器と、上記熱交換器の下流側に設けられ上記熱交換器を冷却する冷却風を生起する軸流ファンとを備えた土木・建設機械のエンジン冷却装置において、上記軸流ファンを、回転数一定の条件で流量を横軸にかつファン騒音を縦軸にとって表した騒音特性曲線において、その上記エンジン室内における動作点の騒音値が、ファン通過流量の低下につれて流れが軸流流れから遠心流れに変化することにより生じる騒音の極大点のさらに低流量側に位置する極小点における騒音値に、3dBを加えた値以下となるような構成にしてある。

0017

本発明の請求項3に係る発明では、軸流ファンを、動作点の騒音値が上記極小点の騒音値+3dB以下となるように構成することにより、少なくとも、極小点より騒音が急増し極大点より騒音値が高くなった点に動作点があった従来構造に比べて、騒音を十分に低減することが可能となる。

0018

また、本発明の請求項4に係る発明は、請求項3に係る発明において、上記騒音特性曲線における上記軸流ファンの動作点は、上記極小点よりも低流量側に位置していることを特徴としている。

0019

このように構成した請求項4に係る発明では、ファンの動作点を、極大点から極小点までの間ではなく極小点の低流量側に位置させることにより、ファンの騒音をさらに確実に低減することができる。

0020

また、本発明の請求項5に係る発明は、請求項1〜4のいずれか1項に係る発明において、上記軸流ファンに備えた各羽根出口角を43.5°以上56.5°以下としたことを特徴としている。

0021

上述した軸流ファンの騒音特性曲線は、各羽根の出口角を浅くすると全体に低流量側にシフトする傾向となって、同一流量でも動作点が特性線上を高流量側にシフトすることとなる。そこで、請求項5に係る発明では、出口角の上限を、この種のものとして従来通常用いられている58°より小さい56.5°以下とすることにより、従来構造では動作点が極小点より低流量側に向かって騒音が急増し極大点よりさらに騒音値が高くなった点にあったのを高流量側すなわち極小点側にスライドさせて、請求項1〜4のいずれか1項において上述した動作点位置を確実に実現することができる。反面、羽根の出口角を浅くしすぎると、動作点が低流量側にスライドしすぎて極小点を超えさらに極大点側にスライドし騒音が増大してしまう。請求項5に係る発明では、出口角の下限を43.5°以上とすることにより、このような過度のスライドを防止し騒音増大を防止できる動作点位置を確実に実現することができる。このように、請求項5に係る発明では、請求項1〜4のいずれか1項において上述した騒音低減特性を備えた構成を確実に実現することができる。

0022

また、本発明の請求項6に係る発明は、請求項1〜5のいずれか1項に係る発明において、上記軸流ファンの羽根枚数を5枚以下としたことを特徴としている。

0023

上述した軸流ファンの騒音特性曲線は、羽根の枚数を減らすと羽根すなわち出口での流れが翼に沿い難くなることから、実質的に各羽根の出口角を浅くするのと同等の効果となり、上記したのと同様、全体に低流量側にシフトして動作点が特性線上を高流量側にシフトする。

0024

以上に基づき、請求項6に係る発明では、羽根枚数を、この種のものとして通常用いられている8枚より少ない5枚以下とすることにより、動作点を高流量側すなわち極小点側にスライドさせて、請求項1〜5のいずれか1項において上述した動作点位置を確実に実現することができ、上述した騒音低減特性を備えた構成を確実に実現することができる。

0025

また、羽根枚数を小さくすることは以下の効果もある。すなわち、ファン騒音の一因となっている羽根の風切り音は、羽根枚数×ファン回転数整数倍周波数特性を有する離散周波数の音であるために聴感上問題とされており、これを低減する方策も求められている。人間の聴覚能力周波数によって変化し、低周波数の音に関しては周波数が低くなるほど感度が鈍くなるため、絶対的な騒音レベル値に対し人間の感覚により合致させるための聴感補正を行って騒音評価するのが一般的である。羽根の枚数が多いと同じファン回転数でも羽根の風切り音の周波数が増大して人間の感覚が鋭敏高周波数領域となるため、A補正(参考文献:JIS C 1502(1990)又はJIS C 1505(1988))後の騒音レベルが増加し聴感を悪化させる。したがって、羽根枚数を少なくして風切り音の周波数を低周波数側にすることで、聴感を改善することができる。

0026

また、本発明の請求項7に係る発明は、請求項1〜6のいずれか1項に係る発明において、上記軸流ファンのファン外径D2とファンボス径D1の比であるボス比D1/D2を、0.45≦D1/D2≦0.55としたことを特徴としている。

0027

土木・建設機械のエンジン室内における軸流ファンは、通常、複数の熱交換器に冷却空気を送るために圧力損失が非常に大きくなっており、その空気の流れは前述したように軸流流れというよりむしろ遠心流れに近い状態となっている。このため、ファン下流側のボス側すなわち径方向中心側において一度ファンから流出した流れが逆流して翼内部に侵入する現象が発生し、流れが乱れて騒音増大の一因となっている。

0028

そこで、請求項7に係る発明では、ボスの径D1をより大きくしファン外径D2とファンボス径D1の比であるボス比D1/D2の下限を0.45とすることにより、上記逆流が生ずる空間をなくすあるいは大幅に縮小して、逆流による乱れの発生を抑制する。反面、ボス比D1/D2を過度に大きくすると、ボスより径方向外周側の羽根部分が小さくなりすぎてファンとしての本来の昇圧機能阻害される可能性が生じてしまう。請求項7に係る発明では、ボス比D1/D2の上限を0.55以下とすることにより、このような昇圧機能の低下を防止することができる。以上のようにして、請求項7に係る発明では、ファン本来の昇圧機能を確保しつつ、逆流を抑制してさらに騒音低減を図ることができる。

0029

また、本発明の請求項8に係る発明は、請求項1〜7のいずれか1項に係る発明において、上記軸流ファンの外周部分を、開口面積が冷却風の流れ方向に連続的に縮小した後連続的に拡大するベルマウス形状のファンシュラウドで覆ったことを特徴としている。

0030

このように構成した請求項8に係る発明では、ファンシュラウドをベルマウス形状とすることにより、冷却風流れを滑らかにファン上流側に導くと共に、上述したような遠心流れに近い挙動の冷却風流れを阻害することなくよりスムーズにファン下流側に導くことができるので、ファンの騒音をさらに確実に低減することができる。

0031

また、本発明の請求項9に係る発明は、請求項1〜8のいずれか1項に係る発明において、上記軸流ファンは、各羽根を周方向不等ピッチで配列したことを特徴としている。

0032

ファン騒音の一因である羽根の風切り音は、1枚の羽根においてファン回転数に応じた周波数特性を有し、羽根が等ピッチ複数枚配置されている場合には、各羽根から発生する風切り音が同一周波数重畳することにより、風切り音全体がファン回転数×羽根枚数で規定される比較的高い周波数で発生し聴感上耳障りな音に聞こえやすくなると共に、特定の周波数において騒音レベル自体が卓越して大きくなる。そこで、請求項9に係る発明では、ファンの羽根を周方向に不等ピッチで配列することにより、風切り音全体の周波数をファン回転数のみで規定される比較的低い周波数として聴感を向上できると共に、各羽根からの風切り音の周波数が分散することによって特定の周波数における上記騒音レベルの卓越を防止できるので、さらに確実に騒音低減効果を得ることができる。

0033

また、本発明の請求項10に係る発明は、請求項1〜9のいずれか1項に係る発明において、上記軸流ファンに備えた各羽根の翼端部断面形状を、圧力面側に凸となる円弧状形状、あるいは圧力面側を欠落させたテーパ形状としたことを特徴としている。

0034

土木・建設機械のエンジン室内における軸流ファンは、上述したようにその空気の流れが軸流流れというよりむしろ遠心流れに近い状態となっており、各羽根において翼端後縁部から径方向へと流出する。このため、翼端部において圧力面側から負圧面側に流れる漏れ流れが比較的多くなり、この流れが翼端部を通過するときに翼端のエッジ部によって強い乱れが発生し、騒音増大の一因となっている。

0035

そこで、請求項10に係る発明では、ファンの各羽根の翼端部断面形状を円弧状形状あるいはテーパ形状とすることにより、翼端部において圧力面側から負圧面側に流れる漏れ流れをより滑らかに導き、翼端部通過時に発生する乱れを低減できるので、さらに確実に騒音低減効果を得ることができる。

発明を実施するための最良の形態

0036

以下、本発明の土木・建設機械のエンジン冷却装置の実施形態について図に基づいて説明する。

0037

図2図3図4図5図6、及び図7は、本発明の請求項1〜10に係る発明に対応する土木・建設機械のエンジン冷却装置の一実施形態の説明図であり、図2は、この実施形態が適用される土木・建設機械の一例である油圧ショベルの全体外観構造を示す斜視図であり、図3は、この土木・建設機械のエンジン冷却装置の一実施形態の構成を示す側断面図であり、図4は、図3中に示す軸流ファンを抽出して示す図であり、図5は、図4に示した軸流ファンの要部構造を示す斜視図であり、図6は、図5に示した軸流ファンに備えた羽根の形状を示す回転軸を中心として任意の半径における羽根の円筒断面図すなわち図5中E−E断面による横断面図であり、図7は、図5に示した軸流ファンに備えた羽根の翼端部の形状を示す図5中F−F断面による横断面図である。なお各図中において、前述の図14と同等の部分には同一の符号を付している。

0038

図2に示す油圧ショベルは、左右に無限軌道履帯24aを備えた下部走行体24と、この下部走行体24上に旋回可能に設けた上部旋回体26と、この上部旋回体26の前方左側に設けた運転室25と、上部旋回体26上に横置きに配置したエンジンルーム1とを備えている。また、上部旋回体26の後部に設けたカウンタウエイト27と、上部旋回体26の前部に設けられブーム21、アーム22、及びバケット23からなる掘削作業機であるフロントとを備えている。

0039

上述した無限軌道履帯24aは左・右走行用油圧モータ24bによって駆動され、上部旋回体26はその中心部に設けた図示しない旋回用油圧モータにより下部走行体24に対して旋回され、ブーム21、アーム22、及びバケット23はそれらにそれぞれ設けたブームシリンダ21a、アームシリンダ22a、及びバケットシリンダ23aによって作動する。

0040

なお、同図2中上述した油圧シリンダ21a,22a,23a、旋回用油圧モータ、走行用油圧モータ24b等の油圧アクチュエータは、エンジンルーム1内の図3に示すエンジン2により駆動される図示しない油圧ポンプから吐出された後、運転室25内の操作者によって操作される操作レバーの操作に応じ制御弁装置が作動し流量及び方向が制御された圧油によって、駆動される。

0041

上述したエンジンルーム1内には、図3に示すように、熱交換器5,6,7,8と、これら熱交換器5〜8の下流側に設けられたファンシュラウド4と、熱交換器5〜8を冷却する空気流の冷却風15aを生起する冷却ファン(軸流ファン)3とが備えられている。熱交換器5〜8は軸流ファン3の前段上流側に配置され、詳細には例えば冷却風15aの流れ方向に沿って上流側に設けられたインタークーラ5及びコンデンサ8と、下流側に設けられたラジエータ7と、その中間に設けられたオイルクーラ6とを含んでいる。インタークーラ5はエンジン2のシリンダヘッドへ供給される燃焼用圧縮吸入空気を予め冷却し、オイルクーラ6はインタークーラ5の下流側に隣接して前述した油圧アクチュエータ21a,22a,23a,24b等を駆動するための作動油を冷却し、ラジエータ7はオイルクーラ6のさらに下流側で冷却風15aの流れ方向最下流側に位置しエンジン2の冷却水を冷却し、コンデンサ8は運転室3に設けるエアコン用に供される。

0042

また、上述したエンジンルーム1の外郭を構成するエンジンカバー13には、外部から冷却風15aを取り入れ軸流ファン3に導入する吸気口12dと、軸流ファン3から吹き出された冷却風15aを外部に排出する排気口13とがそれぞれ設けられている。

0043

また、上述したエンジン2のクランク軸9にはプーリ9aが固定されており、さらにそのクランク軸9の上方には補助回転軸2aが軸流ファン3の軸と共通してエンジン2内に臨むように設けられている。補助回転軸2aのエンジン2内の端部にはラジエータ7に図示しない配管を介してエンジン冷却水循環させる水ポンプが連結されている。エンジン2の熱交換器5〜8と反対側には図示しない油圧ポンプが設けられ、エンジン2に連結されてその駆動力によって駆動される。なおエンジンルーム1内の熱交換器5〜8より上流側にはエンジン2の起動電流供給用のバッテリ11が配置される。

0044

また、上述したファンシュラウド4は、ラジエータ7の下流側に固定された略箱形形状の前部すなわちボックスシュラウド部4aと、このボックスシュラウド部4aのさらに下流側に位置し軸流ファン3の径方向外周側を覆うように配置され開口面積が冷却風の流れ方向に連続的に縮小した後連続的に拡大する略ベルマウス形状の後部すなわちシュラウド本体4bとから形成されており、軸流ファン3で生起される冷却風15aをその吸い込み側に導入する。ボックスシュラウド部4aはラジエータ7の運転室3から見て右側の冷却風15a下流側に固定されており、シュラウド本体4bの冷却風15a下流側に安全性確保用のファンガード14が設けられている。

0045

また、上述した軸流ファン3は、図3に示すようにクランク軸9からの駆動力が伝達される補助回転軸2aに固定されたボス3aとこのボス3aまわりに固定された複数枚の羽根3bとを備え、補助回転軸2aの回転によって回転駆動されて同図3右方向への冷却風15aを生起する。補助回転軸2aにはクランク軸9のプーリ9aに対応する位置となるようにプーリ2bが固定され、プーリ9aとプーリ2bとの間にはベルトすなわちファンベルト10が掛け渡される。

0046

また軸流ファン3は、図4に示すように、そのファン外径D2とファンボス径D1の比であるボス比D1/D2が0.45≦D1/D2≦0.55となるように構成されており、また図5に示すように羽根3bは5枚備えられており、各羽根3bは周方向に不等ピッチすなわち不等間隔で配列されている。また、図6に示す各羽根3bの出口角βは43.5°以上56.5°以下となっており、図7に示すように各羽根3bの翼端部には、圧力面3d及び負圧面3eのうち圧力面3d側に凸となる円弧状形状部3cが設けられている。なお、翼端部はこの円弧状形状部3cに限られず、例えば図8に示すように、圧力面3d側のエッジを削るように欠落させたテーパ形状部3c′を設けてもよい。

0047

このように構成した本実施形態の動作は以下の通りである。油圧ショベルの作業時において、エンジン2を駆動すると、クランク軸9の回転がプーリ9a、ファンベルト10、及びプーリ2bを介して補助回転軸2aに伝達される。これによって、水ポンプが駆動されてラジエータ7の冷却水が循環されるとともに、軸流ファン3が駆動されて回転する。この軸流ファン3の回転によってエンジンルーム1外の空気が吸気口12からエンジンルーム1内に導入され、冷却風15aとなって上流側から流入しインタークーラ5、コンデンサ8、オイルクーラ6、及びラジエータ7を冷却する。この冷却風15aはその後ラジエータ7の下流側にあるファンシュラウド4の内部を通過して絞られ、軸流ファン3の吸込側に導かれるいわゆる吸い込み冷却方式となっている。その後、軸流ファン3から吹き出された冷却風15aは、軸流ファン3の下流側にあるエンジン2及び油圧ポンプ等を冷却した後、排気口13からエンジンルーム1の外部に放出される。

0048

このように構成した第1の実施形態においては、上述したように軸流ファン3の各羽根3bの出口角βを43.5°以上56.5°以下とし、また羽根3bの枚数を5枚とすることにより、エンジンルーム1内で運転したときの軸流ファン3の動作点を従来よりも低流量側に移行させ、これによって騒音を十分に低減することができる。このことを以下順次説明する。

0049

まず、本発明者等は、軸流ファン3の各羽根3bの出口角βを変化させたときの騒音への影響を調べるために、騒音特性実験を行った。すなわち、上述した実施形態における軸流ファン3とほぼ同様の軸流ファンを用い、出口角β=50°,54°,58°の3種類の場合について種々流量を変えてそれぞれ騒音特性実験を行った。図9(a)及び図9(b)はその結果を示したものであり、前述の図15(a)及び図15(b)と同様、横軸が流量を示し、縦軸は図9(a)がファン騒音、図9(b)が静圧を示している。なお、出口角βの変化によって設計点の流量QD、静圧PDを達成するファン回転数が若干変化するが、ここでは設計点での流量QD、静圧PDを達成するそれぞれの回転数での性能を示している。

0050

図9(a)及び図9(b)に示すように、各特性曲線は概略的にはそれぞれ前述の図15(a)及び図15(b)に示した特性曲線とほぼ同様の特性を示している。詳細には、出口角βを小さくするほど、全体に特性曲線が低流量側にスライドする挙動となっている。この結果、設計流量QDの位置すなわち動作点で比較すると、従来構造にほぼ相当する出口角β=58°の場合は、図15(a)を用いて前述した極小点(前述のC点にほぼ相当)より低流量側の高騒音値領域(前述のD点にほぼ相当)に動作点が位置することとなるため比較的騒音値が高い(図9(a)中のSL)が、出口角β=50°の場合は前述した極小点(前述のC点にほぼ相当)に動作点が位置することとなって騒音値が低くなり、出口角54°の場合はその中間となっていることがわかる(図9(a)中のSL′)。

0051

ここで、出口角βを変化させるときに上述のように設計点を達成するためのファン回転数を変えているが、その回転数変化は小さく、回転数変化による騒音レベルの変化は非常に小さい。したがって、上記特性曲線のスライド分だけ騒音低減効果を得られることとなり、例えば図9(a)で見ると、出口角βを58°から54°に変えることでΔSL=SL—SL’の騒音低減効果が得られることがわかる。

0052

図10は、図9に示したデータを、横軸に出口角β、縦軸に騒音レベルとして書き直して示したものである。図10に示すように、出口角βを従来構造の58°から小さくしていくにつれて、騒音レベルが低減されることがわかる。なお、出口角50°以下の部分については実測データはないが、前述したように、出口角50°の場合はファン動作点が前述の特性曲線上における騒音極小値にほぼ一致していたことから、出口角βを50°以下にするとファン動作点が上記極小点よりも極大点側に移行し同図10に破線で示すように騒音が上昇するものと考えられる。

0053

ここで、上記軸流ファンの特性曲線のシフトに寄与する他のパラメータとして後述する羽根枚数や、弦節比等も考えられるが、出口角単独でみた場合には、本発明者等は、概ねこの実験結果で示された出口角β=50°が最適値であり、実用上この最適値における騒音値に3dBを加えた騒音値までが十分な低騒音化を図れる許容範囲であると判断した。この結果、本願発明の騒音低減効果を得るための出口角βの範囲は、上記騒音範囲に対応した、β=43.5°〜56.5°であることがわかった。

0054

前述した実施形態においては、軸流ファン3の各羽根3bの出口角βの大きさを、43.5°≦β≦56.5°としており、β=58°としていた従来構造に比べて、十分な騒音低減を図ることができる。

0055

一方、従来ある一般的な土木・建設機械のエンジン冷却装置においては、そのファン回転軸方向における寸法に対する制約が厳しく、薄型送風性能を確保するために羽根の枚数を例えば8枚程度と比較的多くしている。しかしながら、羽根枚数増加によって見込める性能改善の多くは高流量側で得られるものであり、前述したように土木・建設機械のエンジン冷却装置の動作点は比較的中流量領域から低流量領域であるため、羽根枚数増加によって見込めるファン性能改善効果は小さい。その一方で、羽根(翼)の枚数を減らすことは、翼出口での流れが翼に沿い難くなって実質的に流れの流出角が小さくなるため、ファン特性の移動という観点からは、前述の出口角を小さくするのと同等の効果が得られる。

0056

本発明者等は、以上の検討に基づき、土木・建設機械のエンジン冷却装置に用いるファンの羽根枚数としては、従来構造の8枚よりも少ない5枚以下とするのが望ましいと判断した。

0057

前述した実施形態においては、軸流ファン3の羽根3bの枚数は5枚となっているので、例えば8枚としていた従来構造に比べて、十分な騒音低減を図ることができる。

0058

上述した2つの作用により実現できる、この実施形態によるエンジン冷却装置の軸流ファン3の特性の一例を図1(a)及び図1(b)に示す。

0059

図1は、前述の図15(a)及び図15(b)と同様、横軸が流量を示し、縦軸は図1(a)がファン騒音、図1(b)が静圧を示している。

0060

図1(a)及び図1(b)に示すように、特性曲線16′,17′は概略的にはそれぞれ前述の図15(a)及び図15(b)に示した特性曲線16,17とほぼ同様の挙動を示しているが、全体に低流量側にスライドする挙動となっている。この結果、設計流量QD及び静圧PDの位置すなわち動作点は、極小点であるC点と騒音値が高いD点との間で、かつ極小点Cに比較的近いところに位置しており、この結果、動作点がD点に位置していた従来構造よりも低騒音化を達成していることがわかる。

0061

また、このようにしてファン動作点を従来構造よりも高流量側に移行させた場合であっても、前述したようにC点より左側(低流量側)ではほぼ完全に遠心流れとなっているため、動作点においても遠心流れの挙動は維持されている。したがって、従来構造同様、ファン下流側にエンジン2等の流路にとっての障害物近接されている場合でも冷却風15aがそれらを避けるように流れるため、その箇所での圧力損失増大を防止できる効果を確保できる。

0062

但し、圧力損失変化に対する軸流ファン3の騒音変化は、従来構造のようにD点に動作点がある場合より本実施形態のように動作点が点C〜点Dの間にある場合のほうが大きくなる。しかしながら、土木・建設機械のエンジン冷却装置は、元来システム全体の圧力損失が高レベルであり、使用状況によって変化する圧力損失(熱交換器へのゴミ詰まり等)はそれに比べれば十分小さいこと等を考えれば、本実施形態の動作点における使用においても騒音の変化は小さく、十分安定して低騒音化を達成できる。

0063

一方、図1(a)において、軸流ファン3の動作点における騒音値が従来構造に対応するD点の騒音値よりも小さければ、少なくとも従来構造より低騒音化を図れることから、本願発明者等は、騒音特性曲線16′において本発明の効果を得られる範囲を規定するにあたり、次の2つの規定方法のうちいずれか1つを満足すれば実際上十分に効果を得られると判断した。動作点が極大点であるB点よりも低流量側(図上左側)に位置し、かつその動作点における騒音値が上記B点における騒音値以下となるような場合(図1(a)中における範囲ア)。動作点の騒音値が、極小点であるC点における騒音値に3dBを加えた値以下となる場合(図1(a)中における範囲イ)
なお、上記のうち、極小点であるC点より高流量側の部分に関しては、点Cと点Bとの間、及び点Cと点Dとの間では後者の範囲のほうが騒音変化が緩やかであり圧力損失変化に対する騒音変化量が比較的小さいこと、及び前者の範囲はファンによっては静圧が右上がり流体機械として不安定な領域となることがある等が懸念される場合もある。このような場合には、より好ましくは、後者の範囲、すなわち極小点であるC点より低流量側の部分(図1(a)中における範囲ウ及びエ)で使用するのが好ましく、言いかえればこの範囲は本発明の効果をさらに確実かつ十分に得られる領域である。

0064

また、この実施形態によれば、以上説明した騒音特性曲線のシフトによる騒音低減という基本効果に加え、以下のような効果も得ることができる。

0065

(1)ボス大型化による逆流防止効果
既に述べたように、従来ある一般的な土木・建設機械のエンジン冷却装置では圧力損失が高く、図11に示すようにファン下流のボス3a側で逆流15bを発生しており、一度ファンの羽根3bから流出した流れが、また羽根3b側に侵入してくるため、流れが乱れ、騒音増大の一因となっていた。

0066

上記実施形態の軸流ファン3においては、この部分の逆流を抑制するために、図4に示すように、逆流領域に相当する部分までボス3aの大きさを径方向外周側に拡大してボスの径D1をより大きくし、上記逆流がボス3aへ侵入する空間をなくすあるいは大幅に縮小すればよい。本願発明者等の実験検討によれば、ファン外径D2とファンボス径D1の比であるボス比D1/D2を概ね0.5程度とすれば逆流の発生を抑制できることが分かった。したがって、本願発明者等は、逆流による乱れの発生を抑制できる範囲として、多少の余裕を見てボス比D1/D2を0.45以上とすればよいと判断した。

0067

このとき、ボス比D1/D2を過度に大きくすると、ボス3aより径方向外周側の羽根3bの部分が小さくなりすぎてファンとしての本来の昇圧機能が阻害される可能性が生じるため、本発明者等は、昇圧機能が阻害されない範囲として、ボス比D1/D2の最適値0.5と前述の0.45との差0.05と同一の幅を加味して、ボス比D1/D2を0.55以下とすればよいと判断した。

0068

上記実施形態では、ボス比D1/D2を0.45以上0.55以下としているので、ファン本来の昇圧機能を確保しつつ、逆流を抑制してさらに騒音低減を図ることができる。

0069

(2)翼端形状による乱れ発生防止効果
前述したように、通常土木・建設機械のエンジン冷却装置においては、軸流ファン3における冷却風15aの流れは軸流流れというよりもむしろ遠心流れに近い状態となっており、軸流ファン3から流出する流れは各羽根3bにおいて翼端の後縁部から遠心方向に流れている。それに伴い、翼端部において圧力面3d側から負圧面3e側に流れる漏れ流れが土木・建設機械以外に適用される通常の軸流ファンよりも多く存在する。例えば、図12に示すように従来構造の軸流ファンの翼端部では、上記の漏れ流れ19が翼端部を通過するときに略角型の翼端部3c″のエッジ部によって強い乱れが発生し、騒音増大に大きく寄与する。

0070

これに対し、上記実施形態においては、前述の図7あるいは図8に示すように、各羽根3bの翼端部に圧力面3d側に凸となる円弧状形状部3c又はテーパ形状部3c′が設けられていることにより、翼端部分において圧力面3d側から負圧面3e側に流れる漏れ流れ19をより滑らかに導き、翼端部通過時に発生する乱れを低減できるので、これによってもさらに確実に騒音低減効果を得ることができる。

0071

図13はこの効果の一例を示す図であって、先に述べた図1(a)や図9(a)と同様、横軸に流量、縦軸にファン騒音レベルをとって表したものであり、上記円弧形状部(いわゆるR)3cを設けた場合のファン騒音特性曲線を、円弧形状部のない従来構造の騒音特性曲線と対比させて示している。

0072

図13に示すように、翼端部に円弧状形状部3cを設けることによりほぼ全流量領域で騒音が低減されており、特に本発明で使用する騒音極小値(図1(a)におけるC点に相当)の左側の領域で効果が大きいことがわかる。

0073

(3)ファンシュラウドによる乱れ低減効果
上記実施形態においては、既に述べた土木・建設機械のエンジン冷却装置固有の流路の特徴を考慮し、ファンシュラウド4をその下流側においても滑らかに拡大するベルマウス形状とすることにより、冷却風流れ15aを滑らかにファン上流側に導くと共に、上述したような遠心流れに近い挙動の冷却風流れを阻害することなくよりスムーズにファン下流側に導くことができるので、ファンの騒音をさらに確実に低減することができる。

0074

また、上記以外にも、ベルマウス形状のファンシュラウド4とすることには以下のような意義もある。すなわち、一般に、土木・建設機械のエンジン冷却装置においては、ファンの上流側にファンと同等かそれより大きな熱交換器(上記実施形態の例ではオイルクーラ6やラジエータ7等)を有しており、その熱交換器で整流された流れがファンに流入する。したがって、その整流された流れを極力乱すことなくファンに導くことが静音化のためには重要である。また、ファン上流側で流れに不均一があると、ファンに流入しやすい箇所の翼では高流量側の動作点の流れ状態になっていて、流入し難い箇所の翼では低流量側の動作点の流れ状態になっているものと考えられる。

0075

ここで、上記実施形態においては、図1(a)を用いて前述したように、静音化に有効な流量範囲(前述の範囲アや範囲イ等)がそれほど広いとは言えず、ファン流量の広い範囲でできればほぼ全域において極力流れの状態が一定であることが好ましい。したがって、上流側から徐々に流路面積を小さくしていってファンに滑らかに空気を導き、ファン上流側での流れの不均一を生じ難いベルマウス型のファンシュラウド4がより好適であると言える。

0076

(4)羽根の風切り音低減効果
例えば前述の各羽根3bの出口角βや羽根枚数の低減、さらに上記(1)〜(3)等によって低騒音化が達成された後は、ファンの羽根音が目立つようになるので、聴感への影響が問題となる。

0077

ファン羽根の風切り音は羽根枚数×ファン回転数の整数倍の周波数特性を有するが、この風切り音は離散周波数の音であるために聴感上問題とされており、これを低減する方策も求められている。人間の聴覚能力は周波数によって変化し、特に1000ヘルツ以下の低周波数の音に関しては周波数が低くなるほど感度が鈍くなる。そこで、絶対的な騒音レベル値[dB]をこの人間の感覚により合致させるため、騒音レベル値に聴感補正におけるA補正を行って騒音評価するのが一般的である。羽根の枚数が多いと同じファン回転数でも羽根の風切り音の周波数が増大して人間の感覚が鋭敏な高周波数領域となるため、A補正を行っても騒音レベルはそれほど減少せず、聴感もあまり改善されることがない。

0078

上記実施形態によれば、軸流ファン3の羽根3bの枚数を従来構造より少ない5枚とするので、風切り音の周波数を低周波数側に移行させ、聴感を改善することができる。

0079

また、特に羽根3bの枚数を5枚とすることはさらに別の効果もある。すなわち、上述したようにファン騒音を構成する羽根の風切り音は羽根枚数×ファン回転数の整数倍の周波数特性を有するが、この風切り音が、エンジンの燃焼に伴い発生する例えば爆発音共鳴するような周波数となるといわゆるうなり音が生じて、騒音がさらに増大することとなる。通常、土木・建設機械には4気筒あるいは6気筒エンジンが用いられることから、羽根枚数が2の倍数あるいは3の倍数となると上記うなり音が生じやすくなり、特に土木・建設機械の運転室内での聴感上において大きな騒音を与える。上記実施形態においては羽根3bの枚数を4枚や6枚等とせず5枚とすることにより、上記うなり音の発生を防止することができる。

0080

(5)羽根の不等ピッチ配列による効果
上記(4)でも既に述べたが、ファン騒音を構成する羽根の風切り音は、1枚の羽根においてファン回転数に応じた周波数特性を有し、羽根が等ピッチで複数枚配置されている場合には、各羽根から発生する風切り音が同一周波数で重畳することにより、風切り音全体がファン回転数×羽根枚数で規定される比較的高い周波数で発生し聴感上耳障りな音に聞こえやすくなると共に、この特定の高い周波数において騒音のレベル自体が卓越して大きくなる。

0081

そこで、上記実施の形態では、軸流ファン3の羽根3bを周方向に不等ピッチで配列することにより、風切り音全体の周波数をファン回転数のみで規定される比較的低い周波数として前述のように聴感を向上できると共に、各羽根3bからの風切り音の周波数特性が分散することによって特定の周波数において上記騒音レベルが卓越することを防止できる。この結果、さらに確実に騒音低減効果を得ることができる。

0082

なお、以上は本発明を油圧ショベルのエンジンルームに適用した場合を例にとって説明したが、これに限られず、クレーン、自走式破砕機ホイールローダ等、他の土木・建設機械のエンジン室に適用してもよい。これらの場合も、同様の効果を得られることは言うまでもない。

発明の効果

0083

以上のように、本発明の請求項1〜10に係る発明によれば、軸流ファンを、動作点が騒音特性曲線上の極大点よりも低流量側で、かつ動作点における騒音値が上記極大点における騒音値以下となるように構成するか、若しくは、軸流ファンを、動作点の騒音値が騒音特性曲線上の極小点の騒音値+3dB以下となるように構成することにより、少なくとも、極小点より低流量側で極大点より騒音値が高くなった点に動作点があった従来構造に比べて、騒音を十分に低減することが可能となる。

0084

また特に、請求項2,4に係る発明によれば、ファンの動作点を、極大点から極小点までの間ではなく極小点の低流量側に位置させることにより、ファンの騒音をさらに確実に低減することができる。

0085

また特に、請求項5に係る発明によれば、出口角の上限を56.5°以下とするとともに出口角の下限を43.5°以上とすることにより、請求項1〜4のいずれか1項における騒音低減特性を備えた構成を確実に実現することができる。

0086

また特に、請求項6に係る発明によれば、動作点を高流量側すなわち極小点側にスライドさせて、請求項1〜5のいずれか1項において上述した動作点位置を確実に実現することができ、上述した騒音低減特性を備えた構成を確実に実現することができる。

0087

また特に、請求項7に係る発明によれば、逆流がボスへ侵入する空間をなくすあるいは大幅に縮小して逆流による乱れの発生を抑制し、さらに昇圧機能の低下を防止できる結果、ファン本来の昇圧機能を確保しつつ逆流を抑制してさらに騒音低減を図ることができる。

0088

また特に、請求項8に係る発明によれば、冷却風流れを滑らかにファン上流側に導くと共に、上述したような遠心流れに近い挙動の冷却風流れを阻害することなくよりスムーズにファン下流側に導くことができるので、ファンの騒音をさらに確実に低減することができる。

0089

また特に、請求項9に係る発明によれば、風切り音全体の周波数をファン回転数のみで規定される比較的低い周波数として聴感を向上できると共に、各羽根からの風切り音の周波数が分散することによって特定の周波数における上記騒音レベルの卓越を防止できるので、さらに確実に騒音低減効果を得ることができる。

0090

また特に、請求項10に係る発明によれば、ファンの各羽根の翼端部において圧力面側から負圧面側に流れる漏れ流れをより滑らかに導き、翼端部通過時に発生する乱れを低減できるので、さらに確実に騒音低減効果を得ることができる。

図面の簡単な説明

0091

図1本発明の土木・建設機械のエンジン冷却装置の一実施形態によるエンジン冷却装置の軸流ファンの騒音特性曲線及び静圧特性曲線の一例を示す図である。
図2本発明の土木・建設機械のエンジン冷却装置の一実施形態が適用される建設機械の一例である油圧ショベルの全体外観構造を表す斜視図である。
図3図2に示す実施形態の構成を表す側断面図である。
図4図3に示す軸流ファンを抽出して示す図である。
図5図4に示す軸流ファンの要部構造を示す斜視図である。
図6図5中E−E断面による横断面図である。
図7図5中F−F断面による横断面図である。
図8図7に示す第1の実施形態の変形例の翼端部におけるテーパ形状部の横断面図である。
図9軸流ファンの各羽根の出口角を変化させたときの騒音への影響を調べる騒音特性実験の結果である騒音特性曲線及び静圧特性曲線を示す図である。
図10図9に示したデータを、横軸に出口角、縦軸に騒音レベルとして書き直して示した図である。
図11従来構造におけるファン下流のボス側においてファンから流出した流れが逆流して羽根内部に侵入してくる挙動を表す図である。
図12従来構造における漏れ流れが翼端部を通過するときに強い乱れが発生する挙動を表す図である。
図13図2に示す実施形態によるエンジン冷却装置における、翼端部通過時に発生する乱れを低減できる効果の一例を示す図である。
図14従来構造による土木・建設機械のエンジン冷却装置の構成を表す側断面図である。
図15従来構造による土木・建設機械のエンジン冷却装置の軸流ファンの騒音特性曲線及び静圧特性曲線の一例を示す図である。

--

0092

1エンジンルーム(エンジン室)
2エンジン
3軸流ファン
3aボス
3b羽根
3c翼端部
3c′円弧状形状部
3c″テーパ形状部
3d圧力面
3e負圧面
4ファンシュラウド
5インタークーラ(熱交換器)
6オイルクーラ(熱交換器)
7ラジエータ(熱交換器)
8エアコンのコンデンサ(熱交換器)
15a冷却風の流れ
15b 冷却風の逆流
16ファン騒音特性曲線
17ファン静圧特性曲線

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