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技術 溶出鉱物計測方法及び計測装置

出願人 三菱マテリアル株式会社
発明者 茂木克己上田晃芳賀大輔
出願日 2001年8月17日 (19年3ヶ月経過) 出願番号 2001-247829
公開日 2003年2月26日 (17年8ヶ月経過) 公開番号 2003-057361
状態 未査定
技術分野 光学的手段による測長装置 地球物理、対象物の検知
主要キーワード 無電極メッキ 基礎方程式 タンデム型加速器 適用年 年代測定 岩石中 サンプリング流路 分析計測
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重要な関連分野

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課題

鉱物−水反応試験において、鉱物溶出量計測を短時間で行うことができるとともに、鉱物−水の組成変化が僅かであってもその変化量を精度良く計測できる溶出鉱物計測方法及び計測装置を提供する。

解決手段

溶出鉱物計測装置Sは、鉱物Aを試験液W中に配置し鉱物Aを溶解させる反応処理部10と、反応処理部10で処理される鉱物Aの形状を計測する形状計測部20と、形状計測部20の計測結果に基づいて、鉱物Aからの単位時間当たりの溶出量を算出する算出部C1とを備えている。

概要

背景

放射性廃棄物処分場等において、環境維持の観点から処分場付近地中核種移行現象を把握することが求められるが、核種移行現象を制御している重要な因子の1つとして地下水流速が挙げられる。この地下水の流速は地下水の年代に対応し、例えば測定した地下水の滞留年代が古いほどその場における移動量が少ないことを示す。したがって、核種移行現象を検討する上で地下水の年代を測定し把握することが重要となる。

概要

鉱物−水反応試験において、鉱物溶出量計測を短時間で行うことができるとともに、鉱物−水の組成変化が僅かであってもその変化量を精度良く計測できる溶出鉱物計測方法及び計測装置を提供する。

溶出鉱物計測装置Sは、鉱物Aを試験液W中に配置し鉱物Aを溶解させる反応処理部10と、反応処理部10で処理される鉱物Aの形状を計測する形状計測部20と、形状計測部20の計測結果に基づいて、鉱物Aからの単位時間当たりの溶出量を算出する算出部C1とを備えている。

目的

本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、地下水の年代を測定する際の鉱物−水反応試験において、鉱物溶出量計測を短時間で行うことができるとともに、鉱物−水の組成変化が僅かであってもその変化量を精度良く計測できる溶出鉱物計測方法及び計測装置を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

液体に作用された鉱物溶出成分に関する情報を計測する溶出鉱物計測方法であって、前記鉱物に前記液体を所定時間作用させ、該鉱物の形状変化を計測し、前記計測結果に基づいて前記鉱物からの溶出量を求めることを特徴とする溶出鉱物計測方法。

請求項2

前記形状計測を、前記液体を介して光学的に行うことを特徴とする請求項1記載の溶出鉱物計測方法。

請求項3

前記形状計測する際、前記鉱物を光透過可能に薄片状に加工し、該薄片状鉱物の表面及び裏面を鏡面研磨するとともに該薄片状鉱物の裏面に光反射可能な反射面を形成し、前記薄片状鉱物の表面に対して前記液体を介して光を照射し、該薄片状鉱物の表面からの反射光と該薄片状鉱物を透過し前記反射面で反射した反射光とを用いて、前記薄片状鉱物の表面形状を計測することを特徴とする請求項2記載の溶出鉱物計測方法。

請求項4

前記鉱物を所定容積の液体中に配置し、前記求めた溶出量と前記容積とに基づいて、該液体中の溶出成分濃度を求めることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項記載の溶出鉱物計測方法。

請求項5

前記鉱物の組成を予め求めておき、該求めておいた組成と前記鉱物からの溶出量とに基づいて、前記液体中の溶出成分に基づく鉱物組成を求めることを特徴とする請求項4記載の溶出鉱物計測方法。

請求項6

溶出成分濃度の異なる複数種類の液体中のそれぞれに前記鉱物を配置し、該複数種類の液体に対する前記鉱物の単位時間当たりの溶出量をそれぞれ求めることを特徴とする請求項4又は5記載の溶出鉱物計測方法。

請求項7

前記複数種類の液体中の溶出成分濃度と、前記複数種類の液体に対する前記鉱物の単位時間当たりの溶出量と、化学平衡計算による前記溶出成分に関する平衡濃度とに基づいて、時間−溶出成分濃度曲線を作成することを特徴とする請求項6記載の溶出鉱物計測方法。

請求項8

液体に作用された鉱物の溶出成分に関する情報を計測する溶出鉱物計測装置であって、前記鉱物を液体中に配置し該鉱物を溶解させる反応処理部と、前記反応処理部で処理される前記鉱物の形状を計測する形状計測部と、前記形状計測部の計測結果に基づいて、前記鉱物からの単位時間当たりの溶出量を算出する算出部とを備えることを特徴とする溶出鉱物計測装置。

請求項9

前記反応処理部に配置される鉱物は光透過可能に薄片状に加工され、該薄片状鉱物の表面及び裏面は鏡面研磨されるとともに該裏面には光反射可能な反射面が形成され、前記形状計測部は、前記薄片状鉱物の表面に対して前記液体を介して光を照射し、該薄片状鉱物の表面からの反射光と該薄片状鉱物を透過し前記反射面で反射した反射光とを用いて、前記薄片状鉱物の表面形状を計測する干渉計であることを特徴とする請求項8記載の溶出鉱物計測装置。

請求項10

前記算出部は、前記形状計測部による前記薄片状鉱物の表面の単位面積当たり形状計測結果に基づいて前記表面からの全溶出量を算出することを特徴とする請求項9記載の溶出鉱物計測装置。

請求項11

前記液体を所定温度に調整する温度調整装置と、前記液体を所定圧力に調整する圧力調整装置とを備えることを特徴とする請求項8〜10の何れか一項記載の溶出鉱物計測装置。

技術分野

0001

本発明は、液体に作用された鉱物溶出成分に関する情報を計測する溶出鉱物計測方法及び計測装置に関するものである。

背景技術

0002

放射性廃棄物処分場等において、環境維持の観点から処分場付近地中核種移行現象を把握することが求められるが、核種移行現象を制御している重要な因子の1つとして地下水流速が挙げられる。この地下水の流速は地下水の年代に対応し、例えば測定した地下水の滞留年代が古いほどその場における移動量が少ないことを示す。したがって、核種移行現象を検討する上で地下水の年代を測定し把握することが重要となる。

発明が解決しようとする課題

0003

従来において、地下水の年代測定には、放射性同位体元素放射壊変を用いた方法が一般的である。しかし、これに用いられる放射性元素は、本来、岩石や鉱物などの固体に適用される方法であり、40K−40Ar法や87Rb−87Sr法が代表的な方法である。一方、水試料については、3H法や14C法、36Cl法が用いられるが、その適用年代範囲が限られており、若い地下水に主として適用される(例えば、3H法は70年以下、14C法は10万年以下の水に適用)。更に、3Hは近年その濃度が減少しており、測定するためには電気分解により100倍以上濃縮する必要がある等、長期の測定時間が必要である。14Cは岩石中炭酸塩のdead Carbonと同位体交換して見かけ上古い年代として計測されるため、13C/12C比などの補正が必要で、大きな誤差を生じている。また、36Cl法は最近有望視されてはいるが、タンデム型加速器のような大がかりな装置が必要であり、やはり岩石からのdead Clの影響を無視できない。以上のように、現状の年代測定技術では、数10万年〜数100万年程度の地下水の年代を測定する方法が無いばかりでなく、10万年より若い年代の地下水についても、推定された年代も不確実性が高く、信用できる年代値として利用されるものが少なく、定性的な議論に用いられているだけである。

0004

一方、地下水の形成機構解明するために、鉱物−水反応試験実験的に行い、鉱物の溶出量を計測して水(地下水)の組成変化モニタする方法が考えられるが、室温〜40℃程度の低温度条件では反応速度が非常に遅いために、1年間などの長期間の試験が必要であり、且つその変化量も僅かであって組成変化を計測装置で計測するのに困難である。

0005

本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、地下水の年代を測定する際の鉱物−水反応試験において、鉱物溶出量計測を短時間で行うことができるとともに、鉱物−水の組成変化が僅かであってもその変化量を精度良く計測できる溶出鉱物計測方法及び計測装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0006

上記の課題を解決するため、請求項1記載の溶出鉱物計測方法は、液体に作用された鉱物の溶出成分に関する情報を計測する溶出鉱物計測方法であって、前記鉱物に前記液体を所定時間作用させ、該鉱物の形状変化を計測し、前記計測結果に基づいて前記鉱物からの溶出量を求めることを特徴とする。

0007

本発明によれば、液体に作用された鉱物の溶出量を計測する際、液体の濃度計測を行う方法と異なり、液体に作用された鉱物の形状変化を計測し、この計測結果に基づいて溶出量を計測するので、溶出した量が僅かであっても溶出量計測を短時間で精度良く行うことができる。

0008

請求項2記載の溶出鉱物計測方法は、請求項1記載の溶出鉱物計測方法において、前記形状計測を、前記液体を介して光学的に行うことを特徴とする。

0009

本発明によれば、形状計測は液体を介して光学的に行われるので、鉱物を液体によって反応処理させながら、気相による光干渉による外乱を防止しつつ正確な計測を行うことができる。

0010

請求項3記載の溶出鉱物計測方法は、請求項2記載の溶出鉱物計測方法において、前記形状計測する際、前記鉱物を光透過可能に薄片状に加工し、該薄片状鉱物の表面及び裏面を鏡面研磨するとともに該薄片状鉱物の裏面に光反射可能な反射面を形成し、前記薄片状鉱物の表面に対して前記液体を介して光を照射し、該薄片状鉱物の表面からの反射光と該薄片状鉱物を透過し前記反射面で反射した反射光とを用いて、前記薄片状鉱物の表面形状を計測することを特徴とする。

0011

本発明によれば、鉱物を薄片状に加工し、表面からの反射光と裏面に形成された反射面からの反射光との光干渉を用いて鉱物の形状変化を計測することにより、僅かな形状変化すなわち僅かな溶出量であっても、精度良く計測できる。

0012

請求項4記載の溶出鉱物計測方法は、請求項1〜3の何れか一項記載の溶出鉱物計測方法において、前記鉱物を所定容積の液体中に配置し、前記求めた溶出量と前記容積とに基づいて、該液体中の溶出成分濃度を求めることを特徴とする。

0013

本発明によれば、液体に作用された鉱物の溶出量を精度良く計測できるので、液体の容積が所定値に設定されていれば、液体中の溶出成分濃度を精度良く求めることができる。

0014

請求項5記載の溶出鉱物計測方法は、請求項4記載の溶出鉱物計測方法において、前記鉱物の組成を予め求めておき、該求めておいた組成と前記鉱物からの溶出量とに基づいて、前記液体中の溶出成分に基づく鉱物組成を求めることを特徴とする。

0015

本発明によれば、鉱物の組成を化学分析で予め求めておくことにより、前記計測した溶出量から、液体中に溶出した鉱物の組成の量や割合を求めることができる。

0016

請求項6記載の溶出鉱物計測方法は、請求項4又は5記載の溶出鉱物計測方法において、溶出成分濃度の異なる複数種類の液体中のそれぞれに前記鉱物を配置し、該複数種類の液体に対する前記鉱物の単位時間当たりの溶出量をそれぞれ求めることを特徴とする。

0017

本発明によれば、予め鉱物の溶出成分が所定濃度含まれている液体に鉱物を配置し、このときの溶解速度(鉱物の単位時間当たりの溶出量)を求めることにより、液体の溶出成分濃度と溶解速度との関係を求めることができる。

0018

請求項7記載の溶出鉱物計測方法は、請求項6記載の溶出鉱物計測方法において、前記複数種類の液体中の溶出成分濃度と、前記複数種類の液体に対する前記鉱物の単位時間当たりの溶出量と、化学平衡計算による前記溶出成分に関する平衡濃度とに基づいて、時間−溶出成分濃度曲線を作成することを特徴とする。

0019

本発明によれば、溶出成分濃度を異ならせた複数種類の液体のそれぞれに対する鉱物の溶解速度と、溶出成分の平衡濃度とから、後述するように、時間−溶出成分濃度曲線を作成することができる。

0020

請求項8記載の溶出鉱物計測装置は、液体に作用された鉱物の溶出成分に関する情報を計測する溶出鉱物計測装置であって、前記鉱物を液体中に配置し該鉱物を溶解させる反応処理部と、前記反応処理部で処理される前記鉱物の形状を計測する形状計測部と、前記形状計測部の計測結果に基づいて、前記鉱物からの単位時間当たりの溶出量を算出する算出部とを備えることを特徴とする。

0021

本発明によれば、鉱物を反応処理部で溶解させ、この溶解した鉱物の形状を形状計測部で計測することにより、鉱物からの単位時間当たりの溶出量(溶解速度)を求めることができる。

0022

請求項9記載の溶出鉱物計測装置は、請求項8記載の溶出鉱物計測装置において、前記反応処理部に配置される鉱物は光透過可能に薄片状に加工され、該薄片状鉱物の表面及び裏面は鏡面研磨されるとともに該裏面には光反射可能な反射面が形成され、前記形状計測部は、前記薄片状鉱物の表面に対して前記液体を介して光を照射し、該薄片状鉱物の表面からの反射光と該薄片状鉱物を透過し前記反射面で反射した反射光とを用いて、前記薄片状鉱物の表面形状を計測する干渉計であることを特徴とする。

0023

本発明によれば、干渉計を用いて鉱物の形状変化を計測することにより、僅かな形状変化すなわち僅かな溶出量であっても、鉱物を反応処理させつつ液体を介して精度良く計測できる。したがって、溶解速度を正確に求めることができる。

0024

請求項10記載の溶出鉱物計測装置は、請求項9記載の溶出鉱物計測装置において、前記算出部は、前記形状計測部による前記薄片状鉱物の表面の単位面積当たり形状計測結果に基づいて前記表面からの全溶出量を算出することを特徴とする。

0025

本発明によれば、鉱物の表面は鏡面研磨されて平坦であるため、干渉計によって鉱物表面の単位面積当たりの溶出量を計測することによって、表面全体からの全溶出量を精度良く求めることができる。また、液体中に溶出した溶出成分の量や割合も求めることができる。

0026

請求項11記載の溶出鉱物計測装置は、請求項8〜10の何れか一項記載の溶出鉱物計測装置において、前記液体を所定温度に調整する温度調整装置と、前記液体を所定圧力に調整する圧力調整装置とを備えることを特徴とする。

0027

本発明によれば、温度調整装置と圧力調整装置とによって、鉱物−水反応試験する際の環境を任意の環境に設定できる。

発明を実施するための最良の形態

0028

以下、本発明の地下水の溶出鉱物計測方法及び計測装置について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の溶出鉱物計測装置の一実施形態を示す概略構成図である。

0029

図1において、溶出鉱物計測装置Sは、試験用サンプルである鉱物Aを試験液(液体)W中に配置し鉱物Aを溶解させる反応処理部10と、反応処理部10で処理される鉱物Aの形状を計測する形状計測部20とを備えている。反応処理部10は、鉱物Aが配置される反応室1と、反応室1内を所定の温度に調整する温度調整装置2とを備えている。温度調整装置2はヒータによって構成されている。また、反応室1内には不図示の撹拌装置が設けられており反応室1内の処理水Wを攪拌する。撹拌装置は磁気攪拌装置である。

0030

反応室1には配管4,5が接続されている。試験液Wは収容槽3に収容されており、ポンプPによって配管4を通って反応室1に供給される。また、反応室1内の試験液Wは配管5を通って収容槽3に戻される。すなわち、試験液Wは、反応室1、ポンプP、収容槽3を含む系内で循環する。配管4には反応室1に送られる試験液Wの量を調整する流量弁6が設けられており、配管4と配管5とを接続する配管7には反応室1内の試験液Wの圧力を調整する圧力弁(圧力調整装置)8が設けられている。

0031

鉱物Aは、年代測定対象地域から抽出(サンプリング)されたものであって、鉱物−水反応試験(溶出試験)をするために反応室1内に収容される際、試験用サンプルとして加工されている。ここで、鉱物の溶出試験をする際に用いる試験用サンプルAの製造方法について説明する。反応室1内に収容される鉱物Aは光透過可能な程度に薄片状に加工される。具体的には、まず、測定対象地域の坑井コアから鉱物を採取する。なお、このとき、共存していた地下水も採取する。次いで、鉱物の組成分析や化学分析を行った後、5mm×5mm程度にカットし、この片面(裏面)11b(図1参照)を鏡面研磨する。この研磨した裏面11bを金属で被膜して反射膜12を形成し、反射面12aを形成する。この反射面に接着剤13を介してガラスなどの支持部材14を接合する。そして、反射膜12と支持部材14とを接着剤13を介して接合したら、この鉱物Aを支持部材14に接合した状態で鉱物Aの表面11aを、厚さがおよそ100μm程度になるように薄く研磨する。100μm程度に薄片状に加工されることにより、薄膜状の鉱物(試験用サンプル、試験片)Aは光透過可能となる。また、支持部材14に接合した状態で表面11aの研磨を行うことにより、鉱物Aは強度を維持されたまま安定して研磨される。

0032

ここで、反射膜12は、所定の金属を用いて鉱物Aの裏面11bを被膜することにより形成され、例えば、CVD法PVD法、無電極メッキ、あるいはコーティングによって形成される。反射膜12の具体的な材質としては、Au、Ni、Ta、Ti、Ag、Al、Co、Fe、Pb、Zn、Cr、Cuなどが挙げられ、このうちの1種あるいはこれら任意の複数種合金を用いて裏面11bを被膜することにより反射膜12を形成することが可能である。

0033

こうして、試験用サンプルとして、表面11aが鏡面研磨され、裏面11bに光反射可能な反射面12aが設けられた鉱物Aが製造される。光透過可能に薄片状に加工された鉱物Aを通過した光は反射面12aで反射するようになっている。そして、鉱物Aは支持部材14に接合された状態で一体で反応室1内部に設置される。

0034

ここで、鉱物Aは、反応室1内部に設置される前に、EPMAによる化学組成分析を施される。すなわち、試験用サンプルとしての鉱物A中に含まれるNa、K、Ca、Siなどの組成・割合が求められる。

0035

試験液Wは、鉱物Aの溶出成分(Na、K、Ca、Siなど)による溶出成分濃度が所定値に設定されたものであって、純水や雨水(天水)のように溶出成分濃度がほぼ0のものや一定の化学組成に調合された液体(水)を含む。そして、循環する試験液Wは、溶出試験を行う前においては溶出成分濃度が初期値としての前記所定値であり、溶出試験が進行するにしたがって、溶出成分濃度は除々に上昇する。

0036

形状計測部20は、反応室1で処理される鉱物Aの表面形状を光学的に計測するものであって、光源21から鉱物Aに対して試験液Wを介して光を照射し、鉱物Aの表面11aからの反射光と、鉱物Aを透過し反射面12aで反射した反射光との干渉検出器22で検出することにより、鉱物Aの厚みを計測する干渉計によって構成されている。本実施形態において、干渉計(形状計測部)20はリアルタイム位相シフト干渉計によって構成されており、鉱物Aの表面11aからの反射光と鉱物Aを透過し反射面12aで反射した反射光との位相差を利用して鉱物Aの厚み計測を行う。本実施形態の位相シフト干渉計によれば、鉱物Aの溶解現象を数分程度の計測時間でナノメートルレベルの厚み計測が可能となっている。そして、図3に示すように、鉱物Aの所定範囲(例えば数100μm×数100μm)における厚み計測を行うことにより、鉱物Aの形状(表面11aの凹凸)が計測可能となっている。また、検出器22は例えばCCDカメラによって構成されており、検出器22の検出結果(すなわち形状計測部20の計測結果)は算出部C1に出力される。

0037

ここで、鉱物A中には、水に溶解可能な物質、例えば、Na、K、Ca、Siなどが含まれている。鉱物Aを反応室1内において試験液Wによって反応処理することにより、鉱物Aは試験液W中に溶出し、この溶出分だけ鉱物Aの表面形状が変化する。そして、形状計測部20では、この鉱物Aの表面形状を計測することによって、鉱物A表面の所定範囲における溶出した部分の量(溶出容積:図3破線参照)を求めることができる。形状計測部20は、鉱物Aの表面形状計測結果を算出部C1に出力する。算出部C1はタイマーを有しており、鉱物Aが反応室1内において処理されていた時間(鉱物Aが試験液Wに作用されていた時間)と、形状計測部20の計測結果とに基づいて、鉱物Aからの単位時間当たりの溶出成分の溶出量(溶解速度)を求める。ここで、以下の説明において、鉱物Aからの単位時間当たりの溶出成分の溶出量を適宜、「溶解速度」と称する。

0038

なお、図1に示すように、反応室1には試験液Wをサンプリングするサンプリング流路9が設けられている。サンプリング流路9からサンプリングされた試験液Wは不図示の分析装置で分析可能となっている。また、溶出鉱物計測装置Sの動作は制御部MCによって制御される。ここで、制御部MCは、形状計測部20の計測結果に応じて、ポンプPや前記攪拌装置の駆動を停止するように設定されている。具体的には、反応室1に配置されている鉱物Aからの溶出成分の量が所定量以上溶出された場合に反応処理を停止するよう、ポンプPや攪拌装置が停止される。すなわち、反応処理部10は、形状計測部20の計測結果に応じて鉱物Aに対する処理を停止するようになっている。

0039

図2は、年代測定対象地域の坑井コアから鉱物及び共存する地下水WGを採取する採取装置30を示す図である。採取装置30には、採取装置30で採取した地下水WG中の溶出成分濃度を計測する分析計測部31が接続されている。分析計測部31は地下水(現地地下水)WGに含まれる、Na、K、Ca、Si等の溶出成分濃度の計測及び化学組成分析を行う。なお、分析計測部31は採取現場に設置されていてもよいし、もちろん実験室に設置されていて採取装置30で採取した地下水WGの分析を実験室で行ってもよい。

0040

次に、上述した構成を有する溶出鉱物計測装置Sを用いて、地下水WGの年代を測定する際の溶出鉱物計測方法について説明する。まず、試験用サンプルとしての鉱物AをEPMAによって化学組成分析した後、反応室1内に収容し、試験液W中に配置する。そして、ポンプPを用いて試験液Wを循環させつつ、鉱物Aに対して試験液Wを所定時間作用させる。鉱物Aからは溶出成分が溶出し、溶出した溶出成分によって鉱物Aの表面形状が変化する。鉱物Aの表面形状は形状計測部20によって計測され、算出部C1は形状計測部20の計測結果に基づいて鉱物Aからの溶出量(溶出容積)を求める。同時に、算出部C1は溶解速度(鉱物Aからの単位時間当たりの溶出成分の溶出量)を算出する。

0041

ここで、反応室1内部は、温度調整装置2及び圧力調整装置8によって、鉱物Aが存在していた地域(地中)の温度及び圧力に設定されている。すなわち、反応室1内部に配置されている鉱物Aは、地域の雨水と地下条件とを反映させた温度及び圧力下において、循環する試験液Wのもとで反応処理される。

0042

試験液Wは閉鎖系において循環している。すなわち、試験液W全体の体積は変わらず既知の値である。したがって、鉱物Aから溶出した溶出成分の溶出量すなわち溶出容積(図3破線参照)と、既知である試験液Wの体積とに基づいて、試験液W中の溶出成分濃度が求められる。このとき、鉱物Aの表面11aの面積を予め測定しておくことにより、算出部C1は、形状計測部20による鉱物Aの所定範囲(例えば単位面積当たり)における形状計測結果(すなわち溶出量)に基づいて、表面11aからの全溶出量を算出することができる。

0043

また、鉱物Aの組成はEPMAによる化学組成分析によって予め求められている。したがって、この求めておいた組成と、鉱物Aからの溶出量とに基づいて、試験液W中の溶出成分に基づく鉱物組成を求めることができる。例えば、鉱物AにX1成分がY1%含まれておりX2成分がY2%含まれていて、溶出試験を行う前の試験液Wが純水であった場合、鉱物Aからの溶出量(溶出容積)がZであるとすると、溶出試験後における試験液W中には、X1成分がY1×Z、X2成分がY2×Z含まれることになる。

0044

次に、地下水の年代測定方法について説明する。年代測定は、試験液Wの溶出成分濃度と、この試験液Wに対する鉱物Aの溶解速度と、化学平衡計算による溶出成分の平衡濃度とに基づいて、図4に示すような時間−溶出成分濃度曲線を作成し、採取装置30で採取し分析計測部31で分析した地下水WGの分析結果を、前記作成した時間−溶出成分濃度曲線に当てはめることによって行うものである。ここで、以下の説明において、
V:試験液Wの体積〔cm3〕、
C:溶出成分濃度〔mol/cm3〕
C* :平衡濃度
a:試験サンプルAの表面積〔cm2〕
K:溶解速度定数
t:時間
とする。

0045

反応室1内部の濃度に関する基礎方程式次式の通りである。

0046

(1)式を解くと、

0047

溶出実験において、試験液Wとして溶出成分濃度がC1 の「人工地下水」を用意する。そして、この溶出成分濃度C1の試験液Wを用いてΔt時間だけ溶出試験をすると、形状計測部20の計測結果により、鉱物Aから溶出した溶出成分のモル量〔mol〕が分かる。よって、溶解速度、すなわちモル濃度の変化量は、

0048

一方、未知数である時刻t1 における溶解速度は、(2)式を微分してt=t1とすれば、

0049

(3)式の値と(4)式の値とは等しいから、

0050

また、時刻t1において溶出成分濃度C1であるから、(2)式より、

0051

そして、(5)式と(6)式とにおいて、未知数は時刻t1と溶解速度定数Kのみであって式が2つあるので、(5)式、(6)式より、時刻t1と溶解速度定数Kとを求めることができる。ここで、C1、Δt、a、Vは実験条件、mは実験結果、C*は平衡計算から導かれる。

0052

ここで、一点でも溶解速度定数Kは決定できるが、精度良く溶解速度定数Kを求めるために、人工地下水(試験液W)の溶出成分濃度を変えて(例えばC2)溶出試験をして溶解速度定数Kを求める。つまり、溶出成分濃度の異なる複数種類の試験液W中に鉱物Aを配置し、これら複数種類の試験液Wのそれぞれに対する溶解速度を求め、上述同様、計算によってそれぞれ溶解速度定数Kを求める。なお、このときの溶出成分濃度の設定はEPMAで求めた鉱物Aの組成に基づく。そして、求めた複数の溶解速度定数Kの平均を取ることにより、溶解速度定数Kを精度良く求めることができる。こうして求めた溶解速度定数Kを用いることにより、算出部C1に接続した出力部C2は、図4に示すような時間−溶出成分濃度曲線(時間−溶解濃度曲線)を作成する。

0053

そして、図5に示すように、各溶出成分(Na、Ca、Si)についての時間−溶解濃度曲線を作成する。ここで、(Na)e、(Ca)e、(Si)eは化学平衡計算より導き出した平衡濃度である。一方、分析計測部31で計測した地下水(現地地下水)WGの溶出成分濃度の計測結果は演算部C3に出力され、演算部C3は、現地地下水WGの溶出成分濃度の計測結果(図5中「●」)を時間−溶解濃度曲線に当てはめる。

0054

こうして、時間−溶解濃度曲線に分析計測部31で計測した地下水WGの溶出成分の濃度データを当てはめることにより、前記濃度データから、この濃度を得られるまでの時間、すなわち、年代を求めることができる。ここで、複数の溶出成分(Na、Ca、Si)のそれぞれから導き出された時間を平均することにより(本実施形態では3点平均)、推定年代の精度が向上する。

0055

以上説明したように、試験液Wに作用された鉱物Aの溶出量を計測する際、液体の濃度計測を行う方法と異なり、試験液Wに作用された鉱物Aの形状変化を計測し、この計測結果に基づいて溶出量を計測するので、溶出した量が僅かであっても溶出量計測を短時間で精度良く行うことができる。

0056

形状計測は、試験液Wを介して光学的に行われるので、鉱物Aを試験液Wによって反応処理させながら、気相による光干渉に対する外乱を防止しつつ正確な計測を行うことができる。そして、位相シフト干渉計を用いて鉱物Aの形状変化を計測することにより、僅かな形状変化すなわち僅かな溶出量であっても、精度良く計測できる。したがって、溶解速度を正確に求めることができる。

0057

溶出試験をする際、鉱物Aの溶出成分による溶出成分濃度がそれぞれ異なるように設定された複数種類の試験液Wを用意し、それぞれの試験液Wに鉱物Aを配置して反応させて鉱物の溶解速度を計測することにより、複数種類の試験液Wの溶出成分濃度のそれぞれと、溶解速度の計測結果のそれぞれと、化学平衡計算により求めた平衡濃度とに基づいて、図4に示すような、時間−溶解濃度曲線を作成できる。そして、実際の地下水WGを採取して地下水WGの溶出成分を分析計測部31で測定し、前記作成した時間−溶解濃度曲線に測定結果を照らし合わせることにより、地下水WGの年代を求めることができる。このように、実験的に時間−溶解濃度曲線を作成し、この時間−溶解濃度曲線に基づいて地下水WGの年代を求めることにより、地下水年代測定を短時間で行うことができる。

0058

なお、本実施形態において、前記人工地下水(試験液)Wの溶出成分濃度を変化させるには、NaCO3、KCO3、SiO2・H2O、CaCO3、などを溶解させればよい。このときのそれぞれの物質の混合比は、EPMAで求めた鉱物Aの組成に基づく。

0059

なお、分析計測部31で計測した地下水WG中の溶出成分濃度が不飽和濃度である場合に地下水WGの年代を求めることによって、本発明による測定精度は向上する。つまり、溶出成分が飽和濃度に達すると、図5に示すように、濃度計測結果から時間を一義的に求めることができないが、地下水WG中の溶出成分濃度が不飽和濃度であれば、現地地下水WGの溶出成分濃度の計測結果から時間を一義的に求めることができるので、この現地地下水WGの年代を精度良く求めることができる。

0060

なお、本実施形態において、反射膜12を鉱物Kの裏面11bに形成する前に鉱物Kの裏面11bを鏡面研磨しているが、裏面11bを研磨せずに反射膜12を形成してもよい。一方、裏面11bを研磨してから反射膜12を形成することにより、鉱物Kを通過し反射面12aで反射した反射光の光量は減衰せず、したがって、形状計測を安定して行うことができる。

発明の効果

0061

液体に作用された鉱物の溶出量を計測する際、鉱物の形状変化を計測し、この計測結果に基づいて溶出量を計測するので、溶出した量が僅かであっても溶出量計測を短時間で精度良く行うことができる。

図面の簡単な説明

0062

図1本発明の溶出鉱物計測装置の一実施形態を示す概略構成図である。
図2測定対象地域に設置された分析計測部を示す図である。
図3鉱物が溶出している様子を示す図である。
図4時間−溶出成分濃度曲線を示す図である。
図5時間−溶出成分濃度曲線を示す図である。

--

0063

2温度調整装置
8圧力弁(圧力調整装置)
10反応処理部
11a (鉱物)表面
11b (鉱物)裏面
12反射膜
12a反射面
20形状計測部(干渉計)
30濃度計測部
31分析計測部
C1 算出部
C2 出力部
C3演算部
A 鉱物
MC 制御部
S溶出鉱物計測装置
W試験液(液体)

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