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技術 脱炭性の良好な鏡面方向性電磁鋼板の製造方法

出願人 新日鐵住金株式会社
発明者 村上健一藤井浩康藤井宣憲牛神義行中村修一山本紀宏
出願日 2001年10月5日 (18年6ヶ月経過) 出願番号 2001-310406
公開日 2003年2月26日 (17年2ヶ月経過) 公開番号 2003-055717
状態 特許登録済
技術分野 電磁鋼板の製造 軟質磁性材料
主要キーワード 鏡面度 鏡面材 主要点 特性レベル 赤外反射スペクトル 剪断後 表面直下 同一雰囲気
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課題

脱炭焼鈍における脱炭性を良好に実施しつつ磁気特性の良好な表面平滑度の高い鏡面方向性電磁鋼板を製造する。

解決手段

質量%で、Si:2.0〜4.0%、酸可溶性Al:0.01〜0.05%、N:0.01%以下、Mn:0.3%以下、S:0.05%以下、残部:実質的にFe及び不可避的不純物からなる珪素鋼熱延鋼帯を、一回もしくは中間焼鈍を挟む、二回以上の冷間圧延により最終板厚鋼板とし、次いで、脱炭焼鈍を行った後、該鋼板を積層する際、板間の焼鈍分離剤中主体成分としてアルミナを用いることにより、仕上げ焼鈍後に表面を鏡面にする鏡面方向性電磁鋼板の製造方法において、脱炭焼鈍工程を前段後段に分離し、前段及び後段の均熱温度T1(℃)及びT2(℃)を、それぞれ、770≦T1≦860、及び、T1+10≦T2≦950の範囲で行う。

概要

背景

方向性電磁鋼板はSiを2〜4%程度含有し、製品鋼板結晶粒方位を、{110}<001>方位に高度に集積させた鋼板である。その磁気特性としては、磁束密度が高く(800A/mの磁場を付与したときの磁束密度B8値で代表される)、そして、鉄損が低い(磁束密度1.7T、周波数50Hzのエネルギー損失W17/50で代表される)ことが要求されるが、特に、最近では、省エネルギー見地から、電力損失を低減する要求が高まっている。この要求に応え、方向性電磁鋼板の鉄損を低減させる手段として、磁区細分化する技術が開発されている。

積み鉄心の場合、仕上げ焼鈍後の鋼板にレーザービーム照射して局部的な微小歪を与えることにより磁区を細分化して鉄損を低減させる方法が、例えば、特開昭58−26405号公報に開示されている。また、巻き鉄心の場合には、鉄心に加工した後、歪取り焼鈍(Stress Release Annealing:応力除去焼鈍)を施しても磁区細分化効果消失しない方法が、例えば、特開昭62−8617号公報に開示されている。これらの技術的手段を用いて磁区を細分化することにより、鉄損は大きく低減されるようになってきている。

しかしながら、これらの磁区の動きを観察すると、動かない磁区も存在することが判明し、方向性電磁鋼板の鉄損値をさらに低減するためには、磁区細分化と同時に、鋼板表面のグラス皮膜に起因する“磁区の動きを阻害するピン止め効果”をなくすことが重要であるとの認識に至った。前記のように磁区移動の容易化を図るためには、鋼板表面のグラス皮膜を形成させないことが有効である。その手段として、焼鈍分離剤として粗大高純アルミナを用いることによりグラス皮膜を形成させない方法が、例えば、米国特許3785882号明細書に開示されている。しかしながら、この方法では表面直下介在物をなくすことができず、鉄損の向上代は、W15/60で高々2%に過ぎない。

この表面直下の介在物を制御し、かつ、表面の鏡面化を達成する方法として、仕上げ焼鈍後に化学研磨或いは電解研磨を行う方法が、例えば、特開昭64−83620号公報に開示されている。しかしながら、化学研磨・電解研磨等の方法は、実験室レベルの少試料の材料を加工するのには適しているが、この方法を工業的規模で行うことは、薬液の濃度、温度の管理、公害対策設備等の設置の問題、さらに、生産性の観点からみて大変困難である。

この問題点を解消する方策として、脱炭焼鈍工程をFe系酸化物の形成しない酸化度雰囲気ガス中で行い、板間の焼鈍分離剤としてアルミナを用いる方法が、特開平7−118749号公報に開示されている。しかしながら、本プロセスを工業的に実施する際には、安定的に脱炭を進行させつつ、良好な磁気特性を得ることは困難であることが判明してきた。

概要

脱炭焼鈍における脱炭性を良好に実施しつつ磁気特性の良好な表面平滑度の高い鏡面方向性電磁鋼板を製造する。

質量%で、Si:2.0〜4.0%、酸可溶性Al:0.01〜0.05%、N:0.01%以下、Mn:0.3%以下、S:0.05%以下、残部:実質的にFe及び不可避的不純物からなる珪素鋼熱延鋼帯を、一回もしくは中間焼鈍を挟む、二回以上の冷間圧延により最終板厚の鋼板とし、次いで、脱炭焼鈍を行った後、該鋼板を積層する際、板間の焼鈍分離剤中主体成分としてアルミナを用いることにより、仕上げ焼鈍後に表面を鏡面にする鏡面方向性電磁鋼板の製造方法において、脱炭焼鈍工程を前段後段に分離し、前段及び後段の均熱温度T1(℃)及びT2(℃)を、それぞれ、770≦T1≦860、及び、T1+10≦T2≦950の範囲で行う。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
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請求項1

質量%で、Si:2.0〜4.0%、酸可溶性Al:0.01〜0.05%、N:0.01%以下、Mn:0.3%以下、S:0.05%以下、残部:実質的にFe及び不可避的不純物からなる珪素鋼熱延鋼帯を、一回もしくは中間焼鈍を挟む二回以上の冷間圧延により最終板厚鋼板とし、次いで脱炭焼鈍を行った後、該鋼板を積層する際、板間の焼鈍分離剤中主体成分としてアルミナを用いることにより、仕上げ焼鈍後に表面を鏡面にする鏡面方向性電磁鋼板の製造方法において、脱炭焼鈍工程を前段後段に分離し、前段及び後段の均熱温度、T1(℃)及びT2(℃)を、それぞれ、以下の範囲で行うことを特徴とする脱炭性の良好な鏡面方向性電磁鋼板の製造方法。770≦T1≦860T1+10≦T2≦950

請求項2

前記脱炭焼鈍後仕上げ焼鈍までの間に窒化処理を行うことを特徴とする請求項1記載の脱炭性の良好な鏡面方向性電磁鋼板の製造方法。

請求項3

前記脱炭焼鈍工程を、Fe系酸化物の形成しない酸化度(PH2O/PH2)雰囲気ガス中で行うことを特徴とする請求項1又は2記載の脱炭性の良好な鏡面方向性電磁鋼板の製造方法。

請求項4

前記脱炭焼鈍工程における前段の雰囲気ガスの酸化度(PH2O/PH2)を、0.01以上0.2未満とすることを特徴とする請求項1、2又は3記載の脱炭性の良好な鏡面方向性電磁鋼板の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、主として変圧器鉄心として利用される方向性電磁鋼板の製造方法において、その表面を効果的に仕上げることにより、鉄損特性の向上を図ることができる鏡面方向性電磁鋼板の製造方法に関するものである。

背景技術

0002

方向性電磁鋼板はSiを2〜4%程度含有し、製品鋼板結晶粒方位を、{110}<001>方位に高度に集積させた鋼板である。その磁気特性としては、磁束密度が高く(800A/mの磁場を付与したときの磁束密度B8値で代表される)、そして、鉄損が低い(磁束密度1.7T、周波数50Hzのエネルギー損失W17/50で代表される)ことが要求されるが、特に、最近では、省エネルギー見地から、電力損失を低減する要求が高まっている。この要求に応え、方向性電磁鋼板の鉄損を低減させる手段として、磁区細分化する技術が開発されている。

0003

積み鉄心の場合、仕上げ焼鈍後の鋼板にレーザービーム照射して局部的な微小歪を与えることにより磁区を細分化して鉄損を低減させる方法が、例えば、特開昭58−26405号公報に開示されている。また、巻き鉄心の場合には、鉄心に加工した後、歪取り焼鈍(Stress Release Annealing:応力除去焼鈍)を施しても磁区細分化効果消失しない方法が、例えば、特開昭62−8617号公報に開示されている。これらの技術的手段を用いて磁区を細分化することにより、鉄損は大きく低減されるようになってきている。

0004

しかしながら、これらの磁区の動きを観察すると、動かない磁区も存在することが判明し、方向性電磁鋼板の鉄損値をさらに低減するためには、磁区細分化と同時に、鋼板表面のグラス皮膜に起因する“磁区の動きを阻害するピン止め効果”をなくすことが重要であるとの認識に至った。前記のように磁区移動の容易化を図るためには、鋼板表面のグラス皮膜を形成させないことが有効である。その手段として、焼鈍分離剤として粗大高純アルミナを用いることによりグラス皮膜を形成させない方法が、例えば、米国特許3785882号明細書に開示されている。しかしながら、この方法では表面直下介在物をなくすことができず、鉄損の向上代は、W15/60で高々2%に過ぎない。

0005

この表面直下の介在物を制御し、かつ、表面の鏡面化を達成する方法として、仕上げ焼鈍後に化学研磨或いは電解研磨を行う方法が、例えば、特開昭64−83620号公報に開示されている。しかしながら、化学研磨・電解研磨等の方法は、実験室レベルの少試料の材料を加工するのには適しているが、この方法を工業的規模で行うことは、薬液の濃度、温度の管理、公害対策設備等の設置の問題、さらに、生産性の観点からみて大変困難である。

0006

この問題点を解消する方策として、脱炭焼鈍工程をFe系酸化物の形成しない酸化度雰囲気ガス中で行い、板間の焼鈍分離剤としてアルミナを用いる方法が、特開平7−118749号公報に開示されている。しかしながら、本プロセスを工業的に実施する際には、安定的に脱炭を進行させつつ、良好な磁気特性を得ることは困難であることが判明してきた。

発明が解決しようとする課題

0007

本発明は、脱炭焼鈍における脱炭性を良好に実施しつつ、磁気特性の良好な表面平滑度の高い鏡面方向性電磁鋼板を製造する手段を提示するものである。

課題を解決するための手段

0008

本発明は、「質量%で、Si:2.0〜4.0%、酸可溶性Al:0.01〜0.05%、N:0.01%以下、Mn:0.3%以下、S:0.05%以下、残部:実質的にFe及び不可避的不純物からなる珪素鋼熱延鋼帯を、一回もしくは中間焼鈍を挟む二回以上の冷間圧延により最終板厚の鋼板とし、次いで脱炭焼鈍を行った後、該鋼板を積層する際、板間の焼鈍分離剤中主体成分としてアルミナを用いることにより、仕上げ焼鈍後に表面を鏡面にする鏡面方向性電磁鋼板の製造方法において、脱炭焼鈍工程を前段後段に分離し、前段と後段の均熱温度、T1(℃)及びT2(℃)を、それぞれ、770≦T1≦860、及び、T1+10≦T2≦950の範囲で行うことを特徴とする脱炭性の良好な鏡面方向性電磁鋼板の製造方法」、を要旨とする。

0009

また、本発明は、さらに、前記脱炭性の良好な鏡面方向性電磁鋼板の製造方法において、脱炭焼鈍後仕上げ焼鈍までの間に窒化処理を行うことを要旨とする。また、本発明は、さらに、前記脱炭性の良好な鏡面方向性電磁鋼板の製造方法において、脱炭焼鈍工程を、Fe系酸化物の形成しない酸化度(PH2O/PH2)の雰囲気ガス中で行うことを要旨とする。

0010

また、本発明は、さらに、前記脱炭性の良好な鏡面方向性電磁鋼板の製造方法において、脱炭焼鈍工程における前段の雰囲気ガスの酸化度(PH2O/PH2)を、0.01以上0.2未満とすることを要旨とする。

発明を実施するための最良の形態

0011

以下、本発明を詳細に説明する。発明者らは、まず脱炭焼鈍温度と脱炭性及び磁束密度の関係を調査するため、以下の試験を行った。実験室真空溶解炉にて、質量%で、Si 3.3%、Mn 0.11%、C0.05%、S 0.07%、酸可溶性Al 0.03%、N 0.01%を含む鋼片を作製した後、1150℃の加熱を施し、その後、熱延を行い板厚2.0mmの熱延板とした。この熱延板を1100℃で2分間焼鈍した後、酸洗を行い、さらに、最終板厚0.23mmに冷延した。

0012

この冷延板を、水素窒素を含有する湿潤ガス中(PH2O/PH2=0.13)において、種々の温度にて、90秒脱炭焼鈍し、その後、含アンモニアガス中にて鋼中窒素量を0.02%まで高め、インヒビター強化した。この脱炭焼鈍板に、アルミナを主成分とする焼鈍分離剤を、水スラリー状で塗布し、その後、仕上げ焼鈍を施した。仕上げ焼鈍は、1200℃までは、窒素100%の雰囲気中で15℃/hrの昇温速度で行い、1200℃で水素100%に切り替え20時間焼鈍を行った。

0013

以上の工程により作製された鏡面材につき、水洗、試料剪断の後、さらに、歪取り焼鈍を行い、SST法にて磁気測定を行った。脱炭焼鈍後の炭素量及び歪取り焼鈍後の磁束密度B8の値を表1に示す。

0014

0015

製品板において炭素量が25ppmを超えると、磁気時効、すなわち、経時変化に伴う磁性劣化が起きるので、脱炭焼鈍板の炭素量は25ppm以下に制御する必要がある。表1より、脱炭焼鈍板炭素量が25ppm以下を満たす温度範囲は、770〜860℃であることがわかる。この温度範囲の外、すなわち、温度770℃未満の場合には、炭素が拡散律速となり、短時間に鋼板表面まで移動できなくなるため脱炭不良となり、一方、温度860℃を超える場合には、外部酸化に近い形態の非常に緻密なSiO2酸化層が鋼板表面に形成され、炭素がこの酸化層を透過し得なくなるため、脱炭不良となるものと推察される。

0016

一方、磁束密度B8に関しては、焼鈍温度が高い方が良好であり、830℃以上で1.90T以上、さらに、870℃以上で1.94T以上となり非常に良好である。焼鈍温度が高い方が磁束密度が良好である理由に関しては、現時点で、詳細は不明であるが、以下のように考えられる。すなわち、今回の鏡面方向性電磁鋼板の製造工程においては、脱炭焼鈍工程で、ある程度緻密なSiO2酸化層を形成させ、この酸化層により、仕上げ焼鈍中のインヒビターを制御し、良好な二次再結晶を実現している。

0017

脱炭焼鈍温度を高温にすると、SiO2酸化層がより緻密に形成されるが、この酸化層を緻密にすることが、仕上げ焼鈍中のインヒビターの弱体化の阻止に、良好な影響を与えているものと推察される。以上より、炭素量と磁束密度の観点から、総合的な最適脱炭焼鈍温度を考えると、表1より830〜860℃(試料5、6)が適正である。しかしながら、これらの試料では、磁束密度に関して十分高いとは言えず、その意味で、脱炭性の確保と高磁束密度化両立は困難であった。

0018

そこで、本発明者らは、脱炭焼鈍均熱温度を前段と後段に分け、前段において脱炭促進、後段において高磁束密度化促進、という機能分離をすることにより、従来、実現が困難であった前記課題を解決すべく検討を試みた。以下に、その詳細を説明する。前記試験で用いた成分及び工程の冷延板を用い、以下のような試験を行った。すなわち、冷延板を、水素と窒素を含有する湿潤ガス中(PH2O/PH2=0.13)において、まず、脱炭焼鈍炉の前段において、830℃,75秒の焼鈍を行った。続いて脱炭焼鈍炉の後段において、温度を種々変更し、同一雰囲気にて、15秒間の焼鈍を実施した。

0019

その後、アンモニアガス中にて鋼中窒素量を0.02%まで高め、インヒビターを強化した。この脱炭焼鈍板に、アルミナを主成分とする焼鈍分離剤を、水スラリー状で塗布した後、仕上げ焼鈍を施した。仕上げ焼鈍は、1200℃までは、窒素100%の雰囲気中で15℃/hrの昇温速度で行い、1200℃で水素100%に切り替え、20時間焼鈍を行った。

0020

以上の工程により作製された鏡面材につき、水洗、試料剪断の後、さらに、歪取り焼鈍を行い、SST法にて磁気測定を行った。脱炭焼鈍後の炭素量及び歪取り焼鈍後の磁束密度B8の値を表2に示す。

0021

0022

脱炭焼鈍の前段にて脱炭が進行したため、脱炭性に関してはいずれの条件においても良好であった。さらに、脱炭焼鈍炉後段の焼鈍温度を、前段の温度よりも10℃以上高くした試料2〜8においては、磁束密度B8に関しても1.93T以上であり、良好であった。試料9において磁束密度の低下した理由は、後段の温度が高過ぎ、一次再結晶粒径が粗大化し過ぎて、良好な二次再結晶粒が得られなかったものと推定される。

0023

以上より、本発明者らは、脱炭焼鈍温度を前段と後段の二段に機能分離することにより、従来困難であった脱炭性の確保と高磁束密度化を両立できることを新規に知見し、本発明を完成させた。続いて、本発明における実施形態について説明する。基本的な製造法としては、田口、等によるAlNとMnSを主インヒビターとして用いる製造法(例えば、特公昭40−15644号公報)、または、小等による(Al、Si)Nを主インヒビターとして用いる製造法(例えば、特公昭62−45285号公報)を適用すればよい。

0024

Siは電気抵抗を高め、鉄損を低減する上で重要な元素である。含有量が4.0%を超えると、冷間圧延時に材料が割れやすくなり、圧延不可能となる。一方、Si量下げると、仕上げ焼鈍時にα→γ変態が生じ、結晶の方向性が損なわれるので、実質的に結晶の方向性に影響を及ぼさない2.0%を下限とする。酸可溶性AlはNと結合して、AlNまたは(Al、Si)Nとして、インヒビターとして機能するうえで必須の元素である。磁束密度が高くなる0.01〜0.05%を限定範囲とする。Nは、製鋼時に0.01%を超えて存在すると、鋼板中ブリスターと呼ばれる空孔が生じるので、0.01%を上限とする。

0025

Mn量S量に関しては、二次再結晶を良好なものとするための適正なインヒビター量を確保する観点から、Mn0.3%以下、S0.05%以下とすることが好ましい。他のインヒビター構成元素として、B、Bi、Se、Pb、Mo、Sb、Sn、Ti、V等を添加しても構わない。前記成分の溶鋼は、通常の工程により熱延板とされるか、もしくは、溶鋼を連続鋳造して薄帯とされる。前記熱延板または連続鋳造薄帯は、直ちに、もしくは、短時間の焼鈍を経て冷間圧延される。この短時間焼鈍は、750〜1200℃の温度域で30秒〜30分間行われ、製品の磁気特性を高めるために有効である。製品における所望の特性レベルコストを案して採否を決めるとよい。

0026

冷間圧延は、基本的には、特公昭40−15644号公報に開示されているように、最終冷延圧下率80%以上の冷間圧延を行なえばよい。冷間圧延後の鋼板に対して、鋼中に含まれる炭素を除去するために、湿水素雰囲気中で脱炭焼鈍を施す。実施例1に示すように、鏡面方向性電磁鋼板を製造するためには、脱炭焼鈍の酸化度(PH2O/PH2)を、脱炭を行いかつFe系酸化物(Fe2SiO4,FeO等)を生成させない酸化度、すなわち、0.01以上0.2未満に設定することが必要である。

0027

本発明の主要点である脱炭焼鈍温度に関しては、前段(均熱温度T1(℃))と後段(均熱温度T2(℃))に分け、それぞれ、770≦T1≦860、T1+10≦T2≦950の範囲とすることが必要である。この理由は、T1がこの範囲外であると、脱炭不良を引き起こし、T2が前記範囲外であると、製品板にて高い磁束密度が得られないからである。この範囲内で、さらに好ましい範囲は、800≦T1≦850、T1+20≦T2≦930である。

0028

脱炭焼鈍における前段焼鈍については、脱炭を進行させるため、30秒以上保定することが好ましい。また、後段の焼鈍に関しては、磁束密度向上のため、3秒以上保定することが好ましい。

0029

前記脱炭焼鈍板に(Al、Si)Nを主インヒビターとして用いる製造法(例えば、特公昭62−45285号公報)においては、窒化処理を施す。この窒化処理の方法は、特に限定されるものではないが、アンモニア等の窒化能のある雰囲気ガス中にストリップを通過させる方法等を採用することができる。窒化量としては0.005%以上、望ましくは、全窒素量として、鋼中のAl当量以上を窒化すればよい。

0030

これらの脱炭焼鈍板を積層する際に、焼鈍分離剤としてアルミナを、水スラリー法、もしくは、静電塗布法等によりドライコートする。この積層した板を仕上げ焼鈍し、二次再結晶と窒化物純化を行う。二次再結晶を、特開平2−258929号公報に開示されるように、一定の温度で保持する等の手段により所定の温度域で行うことは、磁束密度を高める上で有効である。二次再結晶完了後、窒化物の純化と表面の平滑化を行うために、水素100%の雰囲気で1100℃以上の温度で焼鈍する。仕上げ焼鈍後、表面は既に平滑化されているので、張力コーティング処理、または、必要な前処理の後に、張力コーティング処理を行い、必要に応じて、レーザー照射等、あるいは、耐熱型の磁区制御を施せばよい。

0031

〔実施例1〕質量%で、Si:3.3%、Mn:0.07%、C:0.07%、S:0.025%、酸可溶性Al:0.03%、N:0.01%、Sn:0.1%を含む板厚2.0mmの熱延板を1120℃で2分間焼鈍し、その後、板厚0.23mmに冷延した。この冷延板を、窒素と水素の混合ガス中にて、酸化度(PH2O/PH2)を0.14とし、脱炭焼鈍した。このときの焼鈍条件は、前段を均熱温度820℃で75秒とし、後段の均熱温度を種々の温度で15秒とした。この脱炭焼鈍板に、アルミナを主成分とする焼鈍分離剤を水スラリー状で塗布し、その後、仕上げ焼鈍を施した。仕上げ焼鈍は、1200℃までは窒素100%の雰囲気中で15℃/hrの昇温速度で行い、1200℃で水素100%に切り替え20時間行った。

0032

以上の工程により作製された鏡面材につき、水洗し、試料剪断の後、さらに、歪取り焼鈍を施し、SST法により磁束密度B8を測定した。結果を表3に示す。

0033

0034

前段の焼鈍の際に脱炭が進行したため、脱炭性に関しては、いずれの条件においても良好であった。さらに、後段の焼鈍温度を前段の温度よりも10℃以上高くした試料2〜8においては、磁束密度B8に関しても1.93T以上であり、良好であった。試料9において磁束密度が低下した理由は、後段の温度が高すぎて一次再結晶粒径が粗大化し過ぎたため、良好な二次再結晶粒が得られなかったものと推定される。

0035

〔実施例2〕質量%で、Si:3.3%、Mn:0.1%、C:0.05%、S:0.007%、酸可溶性Al:0.03%、N:0.01%、Sn:0.05%を含む板厚2.0mmの熱延板を1100℃で2分間焼鈍した後、板厚0.23mmに冷延した。この冷延板を、窒素と水素の混合ガス中において、酸化度を種々変化させ脱炭焼鈍した。このときの焼鈍条件は、前段を均熱温度820℃で70秒、後段を均熱温度880℃で20秒とした。

0036

さらに、アンモニア雰囲気中で焼鈍を行い、窒素量を0.03%に増加してインヒビターの強化を行った。このときの脱炭焼鈍板の表面につき、赤外反射スペクトル測定を行い、鉄系酸化物一種であるFe2SiO4のスペクトル波数1000/cm近傍)の有無を調査した。この脱炭焼鈍板に、アルミナを主成分とする焼鈍分離剤を水スラリー状で塗布し、その後、仕上げ焼鈍を施した。仕上げ焼鈍は、1200℃までは、窒素100%の雰囲気中で15℃/hrの昇温速度で行い、1200℃で水素100%に切り替え20時間行った。

0037

以上の工程により作製された鏡面材につき、水洗し、試料剪断後、さらに、歪取り焼鈍を施し、そして、張力コーティングを形成した後、レーザー照射を行い、磁区を細分化し、SST法により磁束密度B8及び鉄損W17/50を測定した。結果を表4に示す。

0038

0039

脱炭性に関しては、酸化度(PH2O/PH2)が0.01以上である試料2〜4において良好である。このうち鉄損に関しては、酸化度0.2未満である試料2、3が0.7W/kg以下であり、非常に良好であった。試料4で鉄損不良である理由は、脱炭板において鉄系酸化物であるFe2SiO4が形成されるほど、過度脱炭酸化量が増加し、その結果、仕上げ焼鈍後に鏡面度が著しく減退したためと推察される。

発明の効果

0040

本発明は、脱炭焼鈍における脱炭性を良好に維持しつつ、磁気特性の良好な表面平滑度の高い鏡面方向性電磁鋼板を製造する手段を提示するものであり、その工業的な意義は極めて大きい。

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