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課題
解決手段
容量を推定したい組電池8を構成する単電池B1、B2を使用して一次式を決定するから、その組電池8を構成する単電池B1〜B5の使用履歴を正確に反映した一次式とすることができる。従って、この一次式に他の単電池B3〜B5の内部抵抗R3〜R5を導入すれば、容量C3〜C5を精度よく推定することができる。このため、組電池8の容量Cを精度よく推定することができる。また、一部の単電池B1、B2について内部抵抗R1、R2と容量C1、C2を測定するのみで一次式を決定し、残りの単電池B3〜B5については内部抵抗R3〜R5を測定するのみで容量C3〜C5を推定できる。このため、簡易に組電池8の容量を推定することができる。
概要
背景
例えば工場の非常用電源として使用されている電池としては、必要な電圧を確保するために、複数の単電池が直列に接続された組電池が使用されていることが多い。このような非常用電源は、定期的に容量を確認して交換時期を判断する必要があることから、簡易な容量推定方法の開発が望まれている。
従来、このような組電池の容量推定方法としては、例えば組電池のうち1つの単電池のみについて容量を測定し、その値から組電池の容量を推定する方法がある。
また、他の方法として、単電池における内部抵抗と電池容量に一定の相関関係があることを利用する方法がある。具体的には、まず既存のサンプルを用いてあらかじめ単電池の内部抵抗と容量とを測定し、両者の相関関係を表す計算式を作成しておく。次に、測定したい組電池を構成する各単電池の内部抵抗を測定し、この測定値を計算式に導入して各単電池の推定容量を算出し、これに基づいて組電池の推定容量を決定する。
概要
簡便かつ精度よく容量を推定可能な組電池の容量推定方法および劣化診断装置を提供することにある。
容量を推定したい組電池8を構成する単電池B1、B2を使用して一次式を決定するから、その組電池8を構成する単電池B1〜B5の使用履歴を正確に反映した一次式とすることができる。従って、この一次式に他の単電池B3〜B5の内部抵抗R3〜R5を導入すれば、容量C3〜C5を精度よく推定することができる。このため、組電池8の容量Cを精度よく推定することができる。また、一部の単電池B1、B2について内部抵抗R1、R2と容量C1、C2を測定するのみで一次式を決定し、残りの単電池B3〜B5については内部抵抗R3〜R5を測定するのみで容量C3〜C5を推定できる。このため、簡易に組電池8の容量を推定することができる。
目的
本発明は上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡便かつ精度よく容量を推定可能な組電池の容量推定方法および劣化診断装置を提供することにある。
効果
実績
- 技術文献被引用数
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- 牽制数
- 1件
この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
請求項1
複数の単電池を接続してなる組電池の容量を推定する方法であって、(a)同一の前記組電池を構成する前記単電池のうち少なくとも2個以上の前記単電池の内部インピーダンスおよび容量を測定するステップ、(b)前記(a)のステップで測定された内部インピーダンスおよび容量の値に基づいて、内部インピーダンスと容量との相関関係を表す一次式を決定するステップ、(c)前記組電池を構成する他の前記単電池の内部インピーダンスを測定するステップ、(d)前記(c)のステップで測定された内部インピーダンスの値と前記(b)のステップにより決定された一次式とに基づいて、前記単電池の容量を算出するステップ、(e)前記(c)及び前記(d)のステップを複数回数繰り返して前記組電池を構成する複数の単電池の容量を算出し、これに基づいて前記組電池の容量を算出するステップを含むことを特徴とする組電池の容量推定方法。
請求項2
技術分野
(2)上記実施形態では、算出された組電池8の推定容量Cをディスプレイ7に表示させたが、例えばディスプレイの代わりに警告装置を接続しておき、推定容量が所定の値以下になった場合に警告を発するようにされていてもよい。
背景技術
0002
例えば工場の非常用電源として使用されている電池としては、必要な電圧を確保するために、複数の単電池が直列に接続された組電池が使用されていることが多い。このような非常用電源は、定期的に容量を確認して交換時期を判断する必要があることから、簡易な容量推定方法の開発が望まれている。
0003
従来、このような組電池の容量推定方法としては、例えば組電池のうち1つの単電池のみについて容量を測定し、その値から組電池の容量を推定する方法がある。
発明が解決しようとする課題
0004
また、他の方法として、単電池における内部抵抗と電池容量に一定の相関関係があることを利用する方法がある。具体的には、まず既存のサンプルを用いてあらかじめ単電池の内部抵抗と容量とを測定し、両者の相関関係を表す計算式を作成しておく。次に、測定したい組電池を構成する各単電池の内部抵抗を測定し、この測定値を計算式に導入して各単電池の推定容量を算出し、これに基づいて組電池の推定容量を決定する。
0005
しかし、同じ組電池に使用されている単電池であっても、製造ロットが異なれば容量にばらつきを生じる場合がある。このため、1つの単電池のみについて容量を測定し、その値に基づいて組電池の容量を求める方法では、精度よく容量を推定することは困難であった。
0006
また、内部抵抗と容量の相関関係は、その電池の使用履歴によって異なる。一方、計算式を作成するためのサンプルと、実際に使用している組電池との使用履歴を一致させることは、通常、不可能に近い。このため、内部抵抗と容量との相関関係を表す計算式を利用する方法でも、精度の向上には限界があった。
課題を解決するための手段
0008
本発明者らは、簡便かつ精度よく容量を推定可能な組電池の容量推定方法および劣化診断装置を開発すべく、鋭意研究してきたところ、以下の知見を見いだして本発明を完成するに至った。
0009
1つの組電池を構成する単電池中から一部の単電池を選択し、これらを用いて内部インピーダンスと容量との相関関係を表す一次式を決定すれば、その一次式はその組電池を構成する単電池の使用履歴を正確に反映したものとなる。また、1つの組電池を構成する単電池は、すべて同じ使用条件下におかれているため、内部インピーダンスと容量との相関特性に大きな差が生じる可能性は低い。従って、決定した一次式を、同じ組電池に使用されている他の単電池に適用することができ、各単電池の容量を精度よく推定することができる。なお、ここで単電池の内部インピーダンスとは、直流に対する純抵抗のみを有する場合も含む概念で、もちろんリアクタンス成分を考慮してもよい。
0010
本発明の容量推定方法は、かかる新規な知見に基づいてなされたものであり、(a)同一の前記組電池を構成する前記単電池のうち少なくとも2個以上の前記単電池の内部インピーダンスおよび容量を測定するステップ、(b)前記(a)のステップで測定された内部インピーダンスおよび容量の値に基づいて、内部インピーダンスと容量との相関関係を表す一次式を決定するステップ、(c)前記組電池を構成する他の前記単電池の内部インピーダンスを測定するステップ、(d)前記(c)のステップで測定された内部インピーダンスの値と前記(b)のステップにより決定された一次式とに基づいて、前記単電池の容量を算出するステップ、(e)前記(c)のステップ及び(d)のステップを複数回繰り返して組電池を構成する複数の単電池の容量を算出し、これに基づき前記組電池の容量を算出するステップを含むことを特徴とする。
0011
なお、上記の各ステップは必ずしもこの順序で行う必要はなく、例えば(c)の内部インピーダンスの測定を先に行ってから、(b)の一次式の決定を行ってもよい。あるいは、(c)においてすべての単電池の内部インピーダンスを測定してから、(d)のステップに移行して容量の算出を行ってもよく、1つの単電池について(c)の測定後すぐに(d)の容量算出を行い、これを繰り返してもよい。また、(e)において組電池の容量を算出する際には、組電池を構成する複数個の単電池(全ての単電池であっても、一部の単電池であってもよい)について容量を算出してそれらの平均値を求め、それを単電池の定格容量で割って相対的な容量を算出してもよい。また、組電池を構成する全ての単電池について容量を算出し、これらを合計することで組電池全体の絶対的な容量としてもよい。
0012
さらには、単電池の内部インピーダンスと容量との相関関係は直線関係であるので、任意の2個の単電池を用いて一次式を決定できるのであるが、3個以上の単電池を用いて、最小二乗法等の処理を行って一次式を決定しても構わない。
0013
また、本発明に係る劣化診断装置は、複数の単電池を接続してなる組電池の容量を推定する劣化診断装置であって、前記単電池の内部インピーダンスを測定する内部インピーダンス測定手段と、前記単電池の容量を測定する容量測定手段と、前記単電池のうち少なくとも2個以上の前記単電池の内部インピーダンスおよび容量の値に基づいて、内部インピーダンスと容量との相関関係を表す一次式を決定する一次式決定手段と、組電池を構成する他の単電池の内部インピーダンスの測定値と前記一次式とに基づいて前記組電池を構成する複数の前記他の単電池の容量を算出し、これに基づいて前記組電池の容量を算出する容量算出手段とを備えたことを特徴とする。
0014
本発明の容量推定方法および劣化診断装置によれば、容量を推定したい組電池を構成する単電池を使用して一次式を決定するから、その組電池を構成する単電池の使用履歴を正確に反映した一次式とすることができる。このため、各単電池の容量を精度よく推定することができ、組電池の容量を精度よく推定することができる。
0015
また、一部の単電池について内部インピーダンスと容量を測定するのみで一次式を決定し、残りの単電池については内部インピーダンスを測定するのみで容量を推定できる。このため、簡易に組電池の容量を推定することができる。
0017
本発明の容量推定方法を適用した劣化診断装置1としては、例えば図1に示す構成を備えたものを使用することができる。この劣化診断装置1には、単電池Bを接続するための端子部を備えた内部抵抗測定部2(本発明の内部インピーダンス測定手段に該当する)および容量測定部3(本発明の容量測定手段に該当する)が備えられている。内部抵抗測定部2としては、例えば定電流充電または定電流放電を行って、その間の電圧変化から直流的内部抵抗(本発明の内部インピーダンスに該当する)を求めるものを使用できる。また、容量測定部3としては、例えば定電流放電を行って単電池Bが所定電圧に低下するまでの時間を測定する容量測定器を使用することができる。
0018
これらの内部抵抗測定部2および容量測定部3は、データ処理部4に接続されている。データ処理部4には、内部抵抗と容量との相関関係を表す一次式を決定し、単電池Bおよび組電池8の容量を算出する演算部5(本発明の一次式決定手段および容量算出手段に該当する)と、測定値、算出結果等を記憶する記憶部6とが備えられている。また、データ処理部4には、算出結果を表示するディスプレイ7が接続されている。
0019
次に、この劣化診断装置1を用いた容量推定の手順を、図2を参照しつつ説明する。以下には、説明の便宜のために、5個の単電池B1〜B5により構成された組電池8の容量Cを測定する場合を例として説明する。
0020
まず、ステップS10で、組電池8を構成する単電池B1〜B5の中から、例えば2個の単電池B1,B2を任意に選定する。
0021
ステップS20では、この単電池B1、B2を内部抵抗測定部2に備えられた端子部に接続し、内部抵抗R1、R2を測定する。次いで、ステップS30で、この単電池B1、B2を容量測定部3に備えられた端子部に接続し、放電容量C1、C2を測定する。得られた測定値は記憶部6に送られ、一時的に保存される。
0022
ステップS40では、演算部5において、2点の内部抵抗と容量の値(R1、C1)、(R2、C2)から、内部抵抗と容量との関係を表す一次式の決定を行う。この一次式は、記憶部6に送られて一時的に保存される。
0023
ステップS50では、組電池を構成する他の単電池B3、B4、B5について、内部抵抗測定部2を用いて内部抵抗R3、R4、R5の測定を行う。ステップS60では、演算部5において、内部抵抗R3〜R5の値をあらかじめ求められた一次式に導入して、各単電池の容量C3、C4、C5を算出する。なお、単電池B1、B2の容量C1、C2については、ステップS60で測定された値をそのまま用いることができるので、改めて算出を行う必要はない。
0024
ステップS70では、すべての単電池B1〜B5の容量C1〜C5の平均値を求め、これの定格容量に対する比率(%)を組電池8の容量Cとし、求められた組電池8の容量Cは、ステップS80でディスプレイ7に表示される。
0025
以上のように本実施形態によれば、容量を推定したい組電池8を構成する単電池B1、B2を使用して一次式を決定するから、その組電池8を構成する単電池B1〜B5の使用履歴を正確に反映した一次式とすることができる。従って、この一次式に他の単電池B3〜B5の内部抵抗R3〜R5を導入すれば、容量C3〜C5を精度よく推定することができる。このため、組電池8の容量Cを精度よく推定することができる。
0026
また、一部の単電池B1、B2について内部抵抗R1、R2と容量C1、C2を測定するのみで一次式を決定し、残りの単電池B3〜B5については内部抵抗R3〜R5を測定するのみで容量C3〜C5を推定できる。このため、簡易に組電池8の容量を推定することができる。
0027
<試験例>以下、本発明をさらに詳細に説明するために、本実施形態の容量推定方法による試験例を挙げる。
0028
[試験方法]組電池としては、制御弁式鉛蓄電池MSE−150を用いた。この組電池は、17個の鉛蓄電池を単電池として直列に接続して構成されている。各単電池の定格容量は150Ahである。この組電池について、使用履歴の異なるものを2組選択し、一方を試験例1,他方を試験例2として試験とした。
0029
[試験例1]試験例1の組電池を構成する単電池の中からそれぞれ2個の単電池を任意に選択し、内部抵抗の測定および容量の測定を行った。内部抵抗の測定は交流4端子法により行い、容量の測定は0.1CA(15A)の定電流で1.80V/セルまで放電させてその放電容量を測定した。これらの結果から、それぞれの組電池について内部抵抗と容量との関係を表す1次式を作成した。
0030
この後、上記の測定に使用した単電池を除く単電池について、それぞれ上記と同じ測定条件で内部抵抗を測定した。そして、測定された内部抵抗の値を一次式に導入することにより、各単電池の容量を算出した。最後に、すべての単電池の容量の平均値を求めた。
0032
[試験例2]上述の試験例1に使用した組電池とは使用履歴が異なる他の組電池を使用して、試験例1と同様にしてその組電池の容量の推定値及び実測値を求めた。
0033
[試験結果および考察]試験例1において、各組電池について算出した1次式を表すグラフを、図3に示した。また、各単電池についての内部抵抗(Ω)に対する容量の測定値についても、併せてプロットした。なお、本グラフにおいては、縦軸を容量の測定値の定格容量に対する比として表している(以下、図4について同じ)。
0034
図3より、各組電池についての一次式の傾きは異なっていることがわかる。この違いは、組電池の使用履歴の違いに由来するものであると考えられる。従って、特定の組電池を構成する単電池を使用して決定した一次式を、他の組電池を構成する単電池の容量推定のために使用すれば、誤差が大きくなると考えられる。
0035
一方、各単電池についての内部抵抗に対する容量の測定値のプロットは、同じ組電池を構成する単電池を用いて決定した一次式の近傍に位置しており、両者は非常に高い相関関係を示している。このことから、同じ組電池を構成する単電池を使用して決定した一次式を使用する限りにおいては、精度よく単電池の容量を推定することができるといえる。
0036
試験例2に関し、各組電池について算出した1次式を表すグラフを図4に示した。また、各単電池についての内部抵抗に対する容量の実測値についても、併せてプロットした。図4より、いずれの放電条件においても、各単電池についての内部抵抗に対する容量の実測値のプロットは、同じ組電池を構成する単電池を用いて決定した一次式の近傍に位置しており、両者はよい相関を示していることが分かる。
0037
また、各試験例において、一次式を使用して求めた組電池の容量の推定値を、各単電池の容量の測定値を合計することによって求めた実測値と比較した。いずれの組電池においても、推定値の実測値に対する誤差は10%以内であった。これより、精度よく組電池の容量を推定できることが分かった。
図面の簡単な説明
0038
なお、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態によって限定されるものではなく、例えば、次に記載するようなものも本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、鉛蓄電池を単電池Bとして使用した組電池8について容量Cの推定を行ったが、本発明の容量推定方法および劣化診断装置を適用できる組電池の種類は上記実施形態に限るものではなく、例えばリチウムイオン2次電池を単電池として使用した組電池であってもよい。
--
0039
図1本実施形態の劣化診断装置の構成図
図2本実施形態の容量推定方法のフローチャート
図3試験例1における各組電池について測定した内部抵抗と容量との関係及び算出した1次式を表すグラフ
図4試験例2における各組電池について算出した1次式を表すグラフ
0040
1…劣化診断装置
2…内部抵抗測定部(内部インピーダンス測定手段)
3…容量測定部(容量測定手段)
5…演算部(一次式決定手段、容量算出手段)
8…組電池
B1、B2、B3、B4、B5…単電池
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