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技術 光導波路の製造方法および水素固定装置

出願人 住友電気工業株式会社
発明者 浦野章茂木昌春宍戸資彦
出願日 2001年6月29日 (19年0ヶ月経過) 出願番号 2001-199630
公開日 2003年1月15日 (17年5ヶ月経過) 公開番号 2003-014947
状態 拒絶査定
技術分野 光ファイバの素線、心線 ガラスの表面処理 ガラス繊維またはフィラメントの表面処理 光ファイバ、光ファイバ心線
主要キーワード マルチモ 量子エネルギー 結合欠陥 伝送損失特性 波長選択器 H結合 欠陥生成 水素添加量
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図面 (5)

課題

初期紫外光伝送損失が低く長期間の使用に耐える光導波路を確実に製造できる光導波路製造方法を提供する。

解決手段

本発明は、石英ガラス製のコアを有する光導波路を用意し、コアに第1の電磁波を照射してガラス欠陥を生成する第1工程と、第1電磁波が照射されたコアに水素を添加する第2工程と、水素が添加されたコアに第2の電磁波を照射してガラス欠陥に水素を固定する第3工程とを備えている。第3工程は、ガラス欠陥に吸収されうるモニター光を光導波路の一端面からコアに入射させる工程と、光導波路の他端面から出射するモニター光の強度を測定する工程とを含んでいる。モニター光強度の低下は水素添加量が不十分なことを示すので、モニター光の強度の低下が検出されたときには、第2工程および第3工程を再び実行する。

概要

背景

300nm以下の波長を有する紫外光は、近年、フォトリソグラフィレーザー加工、殺菌、消毒等の分野において利用価値が高まっている。特に半導体チップ微細化に伴って、より短波長の紫外光を伝送する技術の開発が進められている。現在は248nmの波長を有するKrFエキシマレーザ光が主に使用されているが、193nm波長ArFエキシマレーザ光や157nm波長のF2レーザ光が今後は主流になるものと思われる。紫外光伝送用光導波路の典型的な例は光ファイバであり、実際に医療微細加工等の分野で利用されている。

ガラス光ファイバで紫外光を伝送すると徐々にガラス劣化して伝送損失が増加するという現象、すなわち紫外線照射劣化が知られている。石英ガラスコアとする石英系光ファイバ多成分系ガラス光ファイバに比べると伝送損失増加が小さいため紫外光伝送用として好適であるが、やはり紫外線照射劣化の問題は残っている。

紫外線照射劣化の主因はガラスの結合欠陥の生成にあると言われている。本明細書においてガラスの結合欠陥(「ガラス欠陥」または単に「欠陥」とも呼ばれる。)とは、ガラスネットワーク構造の一部の結合が完全に切断された状態、もしくはネットワークの一部に歪が加わることにより結合距離が大きく引き延びたりして極めて切断されやすい状態になっていることをいう。図4に現在報告されている石英ガラスのガラス欠陥のうち数例を示す。このうち紫外線領域の光を吸収する代表的なものとして≡Si・(E′センター)や≡Si−Si≡といった酸素欠損型欠陥が挙げられる。

紫外線照射劣化を低減する方法としては、本発明者らによる特開平11−29335号公報記載の方法が知られている。この方法は、適当な長さに切断された石英系光ファイバの端面から電磁波を照射してコア中の前駆体をE′センター欠陥に変化させ、その後、コアに水素を添加してから電磁波を再度照射する。電磁波照射によって前駆体が除去されることにより、その後の紫外光伝送による欠陥の増加が抑えられ、紫外線照射劣化が低減される。前駆体から生成された欠陥は水素と結合して紫外光を吸収しない構造に変わるので、紫外光の伝送損失も低減される。水素の添加後における電磁波照射は最初の照射で形成された欠陥に水素を固定するので、水素の脱離によって欠陥が再生し、紫外光伝送損失特性が劣化することを防止することができる。

概要

初期の紫外光伝送損失が低く長期間の使用に耐える光導波路を確実に製造できる光導波路製造方法を提供する。

本発明は、石英ガラス製のコアを有する光導波路を用意し、コアに第1の電磁波を照射してガラス欠陥を生成する第1工程と、第1電磁波が照射されたコアに水素を添加する第2工程と、水素が添加されたコアに第2の電磁波を照射してガラス欠陥に水素を固定する第3工程とを備えている。第3工程は、ガラス欠陥に吸収されうるモニター光を光導波路の一端面からコアに入射させる工程と、光導波路の他端面から出射するモニター光の強度を測定する工程とを含んでいる。モニター光強度の低下は水素添加量が不十分なことを示すので、モニター光の強度の低下が検出されたときには、第2工程および第3工程を再び実行する。

目的

そこで本発明は、十分な量の水素を確実に添加して、初期の紫外光伝送損失が低く長期間の使用に耐える光導波路を確実に製造できる光導波路製造方法、およびこの方法で使用するための水素固定装置を提供することを課題とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

石英ガラス製のコアを有する光導波路を用意し、前記コアに第1の電磁波を照射してガラス欠陥を生成する第1工程と、前記第1電磁波が照射された前記コアに水素を添加する第2工程と、水素が添加された前記コアに第2の電磁波を照射して前記ガラス欠陥に水素を固定する第3工程と、を備える紫外光伝送用光導波路の製造方法であって、前記第3工程は、前記ガラス欠陥に吸収されうるモニター光を前記光導波路の一端面からコアに入射させる工程と、前記光導波路の他端面から出射するモニター光の強度を測定する工程とを含んでおり、前記モニター光の強度の低下または前記モニター光の強度が所定の値に達しないことが検出されたときに前記第2工程および第3工程を再び実行する光導波路製造方法

請求項2

前記第3工程は、前記モニター光の強度の時間的変化に基づいて前記第2電磁波の照射を停止する時期を決定する工程を更に含んでいる、請求項1記載の光導波路製造方法。

請求項3

前記第3工程は、前記第2電磁波をパルス照射し、このパルス照射の合間に前記モニター光を前記コアに入射させる、請求項1記載の光導波路製造方法。

請求項4

前記第3工程は、前記モニター光の強度を測定する工程に先立って、前記光導波路の他端面から出射する光から前記モニター光を抽出する工程を更に含んでいる、請求項1記載の光導波路製造方法。

請求項5

石英ガラス製のコアを有する光導波路の当該コア中に生成されたガラス欠陥に水素を固定する装置であって、前記ガラス欠陥に水素を固定するための水素固定用電磁波を照射する電磁波照射手段と、前記ガラス欠陥に吸収されうるモニター光を前記光導波路の一端面から前記コアに入射させるモニター光照射手段と、前記光導波路の他端面から出射するモニター光の強度を検出する光検出手段と、を備える水素固定装置

請求項6

前記電磁波照射手段は、前記水素固定用電磁波をパルス照射し、前記モニター光照射手段は、前記水素固定用電磁波のパルス照射の合間に前記モニター光を前記コアに入射させる、請求項5記載の水素固定装置。

請求項7

前記光導波路の他端面から出射する光から前記モニター光を抽出するモニター光抽出手段を更に備えている請求項5記載の水素固定装置。

技術分野

0001

本発明は光導波路の製造に関し、特に紫外光伝送用の光導波路を製造する方法およびその方法に使用される装置に関する。

背景技術

0002

300nm以下の波長を有する紫外光は、近年、フォトリソグラフィレーザー加工、殺菌、消毒等の分野において利用価値が高まっている。特に半導体チップ微細化に伴って、より短波長の紫外光を伝送する技術の開発が進められている。現在は248nmの波長を有するKrFエキシマレーザ光が主に使用されているが、193nm波長ArFエキシマレーザ光や157nm波長のF2レーザ光が今後は主流になるものと思われる。紫外光伝送用の光導波路の典型的な例は光ファイバであり、実際に医療微細加工等の分野で利用されている。

0003

ガラス光ファイバで紫外光を伝送すると徐々にガラス劣化して伝送損失が増加するという現象、すなわち紫外線照射劣化が知られている。石英ガラスコアとする石英系光ファイバ多成分系ガラス光ファイバに比べると伝送損失増加が小さいため紫外光伝送用として好適であるが、やはり紫外線照射劣化の問題は残っている。

0004

紫外線照射劣化の主因はガラスの結合欠陥の生成にあると言われている。本明細書においてガラスの結合欠陥(「ガラス欠陥」または単に「欠陥」とも呼ばれる。)とは、ガラスネットワーク構造の一部の結合が完全に切断された状態、もしくはネットワークの一部に歪が加わることにより結合距離が大きく引き延びたりして極めて切断されやすい状態になっていることをいう。図4に現在報告されている石英ガラスのガラス欠陥のうち数例を示す。このうち紫外線領域の光を吸収する代表的なものとして≡Si・(E′センター)や≡Si−Si≡といった酸素欠損型欠陥が挙げられる。

0005

紫外線照射劣化を低減する方法としては、本発明者らによる特開平11−29335号公報記載の方法が知られている。この方法は、適当な長さに切断された石英系光ファイバの端面から電磁波を照射してコア中の前駆体をE′センター欠陥に変化させ、その後、コアに水素を添加してから電磁波を再度照射する。電磁波照射によって前駆体が除去されることにより、その後の紫外光伝送による欠陥の増加が抑えられ、紫外線照射劣化が低減される。前駆体から生成された欠陥は水素と結合して紫外光を吸収しない構造に変わるので、紫外光の伝送損失も低減される。水素の添加後における電磁波照射は最初の照射で形成された欠陥に水素を固定するので、水素の脱離によって欠陥が再生し、紫外光伝送損失特性が劣化することを防止することができる。

発明が解決しようとする課題

0006

しかしながら、コアに添加される水素の量が不十分な場合、ガラス欠陥がコア中に残って紫外光伝送損失を増加させる。初期の紫外光伝送損失が高い光導波路は、たとえ製造直後に使用に耐える程度の伝送損失を有していたとしても、経時劣化によって短期間のうちに使用に耐えないものとなってしまう。

0007

そこで本発明は、十分な量の水素を確実に添加して、初期の紫外光伝送損失が低く長期間の使用に耐える光導波路を確実に製造できる光導波路製造方法、およびこの方法で使用するための水素固定装置を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0008

本発明は、紫外光伝送用の光導波路を製造する方法を提供する。この方法は、石英ガラス製のコアを有する光導波路を用意し、コアに第1の電磁波を照射してガラス欠陥を生成する第1工程と、第1電磁波が照射されたコアに水素を添加する第2工程と、水素が添加されたコアに第2の電磁波を照射してガラス欠陥に水素を固定する第3工程とを備えている。第3工程は、ガラス欠陥に吸収されうるモニター光を光導波路の一端面からコアに入射させる工程と、光導波路の他端面から出射するモニター光の強度を測定する工程とを含んでいる。この方法では、モニター光の強度の低下が検出されると、第2工程および第3工程が再び実行される。

0009

なお、「光導波路」とは、光をコアに閉じ込めて伝送する回路または線路をいい、光ファイバや平面導波路複数本の光ファイバを束ねた構造のバンドルファイバなどが含まれる。また、第2工程でコアに添加する水素は、質量数1の同位体に限定されず、質量数2の同位体、すなわち重水素であってもよい。

0010

光導波路のコアに添加された水素量が不十分だと、水素固定用の第2電磁波の照射中にガラス欠陥に固定すべき水素が足りなくなる。この結果、第2電磁波の照射中に測定されるモニター光の強度が所定の値に達しない、あるいは測定されるモニター光の強度が低下する。このように、モニター光の強度が所定の値に達しないこと、またはモニター光の強度が低下することは、第2工程における水素添加が不十分であることを示す。本発明の方法では、モニター光の強度が所定値に達しない、または低下したときに水素添加量不足していると判断し、コアに水素を添加する第2工程および水素をガラス欠陥に固定する第3工程を再び実行する。これにより、十分な量の水素がコアに添加され、コア中のガラス欠陥に水素が確実に固定されるので、初期の紫外光伝送損失が低く長期間の使用に耐える光導波路を確実に得ることができる。

0011

なお、所定の値とは、光導波路の設計上期待される値であり、透過させる紫外光の波長と光導波路の構成により決まる。例えば、比屈折率差が0.3%になるようにコアにフッ素を添加した光ファイバ50cmに193nmの波長の紫外光を照射したときに期待される透過率は40%である。そこで、この光ファイバについて第3工程中に測定されるモニター光の透過率が40%未満であれば、第2工程および第3工程を再び実行するようにしてもよい。

0012

上記の第3工程は、モニター光の強度の時間的変化に基づいて第2電磁波の照射を停止する時期を決定する工程を更に含んでいてもよい。コアに十分な量の水素が添加されていると、第2電磁波の照射によって最終的にコア中のすべてのガラス欠陥に水素が固定され、モニター光の強度は所定の値に達する。つまり、モニター光の強度が所定値に達することは、ガラス欠陥への水素固定が完了したことを示す。このようにモニター光の強度の時間的変化はガラス欠陥への水素固定の進行度合いを反映するので、モニター光強度の時間的変化に基づいて第2電磁波の照射を停止する時期を決定することにより、必要以上に長い時間にわたって第2電磁波を照射したり、逆に第2電磁波の照射時間が短すぎてガラス欠陥への水素固定が不十分になることが防止される。

0013

第3工程は、第2電磁波をパルス照射し、このパルス照射の合間に前記モニター光をコアに入射させてもよい。また、第3工程は、モニター光の強度を測定する工程に先立って、光導波路の他端面から出射する光からモニター光を抽出する工程を更に含んでいてもよい。

0014

本発明は、石英ガラス製のコアを有する光導波路の当該コア中に生成されたガラス欠陥に水素を固定する装置も提供する。この装置は、コア中においてガラス欠陥に水素を固定するための水素固定用電磁波を照射する電磁波照射手段と、ガラス欠陥に吸収されうるモニター光を光導波路の一端面からコアに入射させるモニター光照射手段と、光導波路の他端面から出射するモニター光の強度を検出する光検出手段とを備えている。この装置を使用することで、本発明に係る光導波路製造方法を実施することができる。

0015

電磁波照射手段は水素固定用電磁波をパルス照射してもよく、この場合、モニター光照射手段は、水素固定用電磁波のパルス照射の合間にモニター光をコアに入射させてもよい。

0016

また、本発明の水素固定装置は、光導波路の他端面から出射する光からモニター光を抽出するモニター光抽出手段を更に備えていてもよい。

発明を実施するための最良の形態

0017

以下では、図1および図2を参照しながら本発明の実施形態に係る光導波路製造方法を具体的に説明する。ここで図1は、本実施形態の方法の全体的な流れを示すフローチャートである。また、図2は、本実施形態で使用する水素固定装置の構成を模式的に示している。本実施形態では、ArFエキシマレーザ光源から出力されるArFエキシマレーザ光(波長193nm)を伝送するように設計された光ファイバを製造する。

0018

まず、適当な長さ(たとえば1m)の石英系光ファイバを用意し、その一端面から電磁波を照射して、ガラス欠陥になる可能性のあるコア中の前駆体を欠陥に変化させる(ステップ101)。この光ファイバは、略円柱状のコアと、このコアの側面に密着してコアを同心状に包囲する略円管状のクラッドを有する。コアおよびクラッドは石英ガラスから構成されており、クラッドはコアより低い屈折率を有している。コアにはフッ素が1重量%含まれており、クラッドにはフッ素が3重量%含まれている。コアにフッ素を添加することにより、紫外線照射劣化や紫外光伝送損失を抑えることができる。

0019

上述した特開平11−29335号公報でも述べているように、本発明者は、電磁波を石英ガラスに照射することによって、ガラス欠陥になる可能性のある前駆体が強制的にガラス欠陥に変換されると考えている。すなわち、本発明者の考察によれば、石英ガラスに含まれるSi−Si結合は、光吸収によって結合エネルギーを超えるエネルギーを受け取ると切断され、これにより1個のSi−Si結合から2個のE′センター欠陥(Si・)が生成される。このようにSi−Si結合はE′センターの源、すなわち前駆体であり、石英系光ファイバのコアにSi−Si結合が含まれていると、紫外光がコア中を伝送されるときにSi−Si結合に吸収されてE′センターが生成される場合があると思われる。実際、Si−Si結合は163nmおよび248nmに吸収ピークを有していると考えられ、本実施形態で製造する光ファイバの伝送光(波長193nm)を十分に吸収しうる。この結果、コア中の欠陥の数が徐々に増加し、伝送損失の増加、すなわち紫外線照射劣化を生じると考えられる。特に、Si−Si結合から生成されるE′センターは215nmを中心とした波長域の光を吸収すると考えられるので、本実施形態で製造する光ファイバではE′センターに起因する紫外線照射劣化が顕著であると思われる。

0020

以上の考察に基づいて、本実施形態では、ステップ101の電磁波照射によってコア中の前駆体を欠陥に変化させて前駆体を除去し、その後の紫外光伝送によるE′センターの発生を抑制し、紫外線照射劣化を低減している。

0021

コアに照射する電磁波としては、紫外線(400〜1nm)、X線(数十〜0.01nm)、γ線(0.01nm以下)など、その照射によって石英ガラスに結合欠陥を生じさせ得るエネルギー、すなわち3.5eV以上の量子エネルギーを有する電磁波を使用することができる。本実施形態では、F2レーザ光(波長157nm)を照射する。

0022

次に、ステップ101で電磁波を照射した光ファイバのコアに水素を添加する(ステップ102)。この水素添加処理は、たとえば水素分子を含む雰囲気中に光ファイバを保持することによって行うことができる。この雰囲気は、純粋な水素ガスであってもよいし、水素ガスと他のガス(たとえば、窒素ガスおよび/または不活性ガス)との混合雰囲気であってもよい。水素添加処理の一例を挙げると、80℃、6気圧、水素ガス100%の雰囲気中に光ファイバを1週間(168時間)曝す

0023

特開平11−29335号公報でも述べられているように、本発明者は、このようにしてコアに添加した水素がステップ101の電磁波照射で生成されたE′センター欠陥(Si・)と結合し、安定なSi−H結合を生成する結果、紫外光の伝送損失を低減できると考えている。なお、コアに添加する水素として重水素を用いても同様の効果を得ることができる。

0024

次に、水素雰囲気から光ファイバを取り出し、光ファイバの両端から電磁波を照射してコアを透過させる(ステップ103)。この電磁波照射は、Si−H結合における水素の脱離を防ぐためのものである。特開平11−29335号公報にも記載するように、本発明者は、電磁波照射が水素と欠陥との結合を促進し、より安定な結合を生成できる、すなわち水素が固定された状態となり、水素の抜けを防止できると考察している。

0025

本実施形態では、ステップ103において1パルス当たり10mJ以上のエネルギーを持つエキシマレーザー光を照射する。本工程に好適なエキシマレーザー光としてはKrFまたはArFエキシマレーザー光が挙げられ、特に好ましくは波長248nmのKrFエキシマレーザー光が挙げられる。具体例としては、KrF光を照射エネルギー1〜200mJ/cm2/パルスで照射することや、ArF光を照射エネルギー1〜200mJ/cm2/パルスで照射することが挙げられる。パルス周波数については例えば50〜1000Hz程度が挙げられるが、これに限定されるものではなく、選択し得る範囲で実用的な値を選べばよい。

0026

このように本実施形態では、水素添加の前後に光ファイバのコアに電磁波を照射する。以下では、水素添加(ステップ102)の前に行われる電磁波照射(ステップ101)を「前照射」と呼び、水素添加後の電磁波照射(ステップ103)を「後照射」と呼ぶ。

0027

本実施形態の特徴は、図2に示される水素固定装置1を用いてステップ103の後照射工程を実施することにある。この装置1は、光ファイバ8のコアに添加された水素をガラス欠陥に固定するためのものであり、水素固定用の電磁波を照射する電磁波照射器2に加えて、モニター光を照射するモニター光照射器4と、光ファイバ8から出射する光の強度を検出する光検出器10を備えている。

0028

電磁波照射器2は、石英ガラスの結合欠陥に水素を固定して紫外光伝送損失特性の経時劣化を防止することの可能な欠陥生成用電磁波をパルス照射する。本実施形態では、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)を出力するKrFエキシマレーザ光照射器が電磁波照射器2として設置されている。

0029

電磁波照射器2と光ファイバ8との間にはハーフミラー6が設置されており、電磁波照射器2から出射するKrFエキシマレーザ光がハーフミラー6を透過して光ファイバ8の一端面8aに入射するようになっている。なお、KrFエキシマレーザ光の光路図2に符号12で示されている。

0030

モニター光照射器4は、光ファイバ8のコアにおける水素添加量が十分であるか否かを調べるために使用されるモニター光を出力する。このモニター光としては、前照射によって生成されるE′センター欠陥に吸収されうる光が使用される。E′センターは215nmを中心とした波長域の光を吸収すると考えられるので、本実施形態では215nmに近い193nmの波長を有するArFエキシマレーザ光をモニター光として使用する。これは、本実施形態の方法により製造する光ファイバで伝送しようとする光と同じである。なお、モニター光照射器4から出射するモニター光の強度は一定に維持される。

0031

モニター光照射器4は、モニター光照射器4を出射したモニター光がハーフミラー6で反射されて光ファイバ8の端面8aに入射するように配置される。たとえば、図2のモニター光照射器4は、ハーフミラー6の鏡面がモニター光照射器4から出射したモニター光に約45度の入射角を提供するように配置されている。なお、モニター光の光路は図2に符号14で示されている。

0032

光検出器10は、光ファイバ8を透過したモニター光の強度を検出するため、光ファイバ8の端面8aと反対側に位置する端面8bから出射する光が光検出器10に入射するように配置されている。なお、端面8bから出射する光の光路は、図2に符号16で示されている。

0033

本実施形態では、コア中のガラス欠陥に水素を固定するために10mJ/cm2/パルスのKrFエキシマレーザ光をパルス照射する。モニター光照射器4は、電磁波照射器2から水素固定光であるKrF光がパルス照射される合間にモニター光をパルス照射する。これにより、モニター光が水素固定光と同時に光ファイバ8に入射しないようになっている。これは、比較的波長の近いモニター光と水素固定光が混在して光ファイバ8から出射し光検出器10によって検出されると、モニター光の強度やその時間的変化を正確に検出できなくなるためである。

0034

図3は、光検出器10によって検出されるモニター光の強度の時間的変化を示しており、(a)は水素添加量が十分な場合、(b)は水素添加量が不十分な場合の時間的変化をそれぞれ示している。

0035

図3(a)に示されるように、光ファイバ8のコアに添加された水素量が十分であれば、ガラス欠陥への水素固定が徐々に進み、欠陥が除去されるので、光ファイバ8を透過するモニター光の強度が徐々に増加する。(すなわち光ファイバ8の透過率が徐々に上昇する。)最終的にコア中のすべての欠陥に水素が固定され、モニター光の強度は変化しなくなる。これに対し、コアに添加された水素量が不十分だと、水素固定光の照射中に欠陥に固定すべき水素がなくなり、その一方で水素固定光のエネルギーにより新たに欠陥が生じる。この結果、図3(b)に示されるように、水素固定光の照射中に透過モニター光の強度、あるいはモニター光の透過率が低下する。

0036

本実施形態では、モニター光強度の低下が検出されると(ステップ104:YESルート)、水素添加量が不十分と判断して再び水素添加処理を行い(ステップ102)、その後、ステップ102からステップ104に至るまでの処理を繰り返す。一方、モニター光強度の低下が検出されずにモニター光強度が安定したら(ステップ104:NOルート)、水素固定光の照射を終了する。これにより、本実施形態の製造方法が完了する。なお、モニター光強度が安定したか否かの判断基準は、本製造方法の実施者が適宜定めることができる。

0037

このように本実施形態では、モニター光の強度の低下に基づいて水素添加量が不足していることを検出し、十分な量の水素が添加されるまで水素添加処理を繰り返す。これにより、コア中の欠陥に水素が確実に固定され欠陥が無害化されるので、初期の紫外光伝送損失が低く長期間の使用に耐える光ファイバを確実に得ることができる。また、本実施形態では、モニター光の強度の時間的変化に基づいてガラス欠陥への水素固定が完了したことを検出し、水素固定光の照射を停止する時期を決定する。これにより、必要以上に長い時間にわたって水素固定光を照射したり、逆に水素固定光の照射時間が短すぎて欠陥への水素固定が不十分になることを防止できるので、紫外光伝送用の光ファイバを効率良く製造することができる。

0038

以上、本発明をその実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。

0039

例えば、上記実施形態ではモニター光の強度が低下したときにステップ102〜104の工程を再び実行するが、この代わりにモニター光の強度が所定の値に達しないときにステップ102〜104の工程を再び実行するようにしてもよい。この場合、モニター光の強度が所定の値に達したときに水素固定光の照射を終了してもよい。

0040

また、上記実施形態では水素固定用電磁波とモニター光が同時に光ファイバに入射しないようにこれらを交互にパルス照射して光ファイバに入射させるが、水素固定用電磁波とモニター光が同時に光ファイバに入射する場合であっても、光ファイバの出射光からモニター光だけを抽出して光検出器に入射させれば上記実施形態と同様の効果を得ることができる。モニター光を抽出する手段としては、フィルター分光器などの波長選択器を挙げることができる。モニター光を抽出する場合は、水素固定用電磁波およびモニター光のいずれか一方または双方をパルス照射ではなく連続照射し、これらを混在させて光ファイバに入射させてもよい。

0041

上記実施形態では光ファイバに本発明を適用したが、平面導波路やバンドルファイバなど、石英ガラス製のコアを有する他の光導波路に対しても同様に適用することができる。また、光導波路の屈折率分布構造については特に限定されるところはなく、モノコア、マルチコアシングルモードマルチモードのいずれでもよい。

発明の効果

0042

本発明では、モニター光の強度の低下によって水素添加量が不十分であることを検出し、十分な量の水素が添加されるように水素添加処理を繰り返し行う。これによりコア中のガラス欠陥に水素が確実に固定されるので、初期の紫外光伝送損失が低く長期間の使用に耐える光導波路を確実に製造することができる。

図面の簡単な説明

0043

図1実施形態の光導波路製造方法の全体的な流れを示すフローチャートである。
図2本実施形態で使用する水素固定装置の構成を示す模式図である。
図3(a)は水素添加量が十分な場合のモニター光強度の時間的変化を示すグラフであり、(b)は水素添加量が不十分な場合のモニター光強度の時間的変化を示すグラフである。
図4ガラスの結合欠陥の例を、正常なガラス構造および欠陥に水素を固定した安定構造とともに示す図である。

--

0044

1…水素固定装置、2…電磁波照射器、4…モニター光照射器、6…ハーフミラー、8…光ファイバ、8aおよび8b…端面、10…光検出器、12、14および16…光路。

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  • 双葉電子工業株式会社の「 ガラス成形品」が 公開されました。( 2020/04/30)

    【課題】板状ガラス1の外周端面に樹脂の枠体2が一体成形で設けられ、表面と裏面が平坦なガラス成形品5aにおいて、板状ガラス1を通して見える枠体2の内側の見栄えを改善する。【解決手段】ガラス成形品5aは、... 詳細

  • 株式会社NSCの「 ガラス基板製造方法」が 公開されました。( 2020/04/30)

    【課題】貫通孔の径が均一になるように加工し易いガラス基板製造方法を提供する。【解決手段】ガラス基板製造方法は、改質ステップおよびエッチングステップを少なくとも含んでいる。改質ステップでは、ガラス基板に... 詳細

  • イビデン株式会社の「 ガラス基板、ガラス基板の製造方法および多数個取り用ガラス基板」が 公開されました。( 2020/04/30)

    【課題】接続信頼性が高く、短TATおよび低コスト化の可能なガラス基板の提供。【解決手段】ガラス基板は、その側面に厚み方向に延びる溝が形成された基板本体と、 溝内に設けられた側面導体と、を備える。... 詳細

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