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技術 鋳造方法および装置ならびにこれを用いて製造された鋳塊、金属製品

出願人 株式会社キッツ
発明者 黒瀬一人平田幸宏古田亮平小笹友行高橋靖弘
出願日 2001年6月26日 (19年4ヶ月経過) 出願番号 2001-193566
公開日 2003年1月15日 (17年10ヶ月経過) 公開番号 2003-010947
状態 未査定
技術分野 連続鋳造
主要キーワード 放射状孔 切削品 カーボンリング 亜鉛付着 制御機器用 金属棒材 給排水配管 時計用部品
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2003年1月15日)のものです。
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図面 (11)

課題

黄銅鋳塊の表面に強固な酸化被膜を形成できる鋳造装置を得る。

解決手段

上下方向に貫通した鋳造室13が形成され、溶湯14が鋳造室13に連続的に流し込まれるモールド12と、鋳造室13における溶湯14の頂部に面して開口され、潤滑剤が吐出される潤滑剤吐出部15と、モールド12の内周における溶湯14の降下方向の所定長にわたって環状に配置されて気体が吐出されるカーボンリング16と、カーボンリング16に面して開口され、カーボンリング16に供給される気体が流れる気体供給路17と、モールド12の鋳造室13から連続的に降下する凝固した鋳塊23を保持する保持部材とを有する鋳造装置とする。

概要

背景

金属棒材を製造する技術として連続鋳造が広く行われている。そして、この連続鋳造により、銅合金をはじめ、アルミニウム、鋼、ステンレスマグネシウムなど様々な材質の金属棒材が製造されている。

ここで、従来の鋳造装置について説明する。

図10は従来の鋳造装置の一例を示す概略図である。

図10に示す鋳造装置は、上下方向に貫通する鋳造室が形成されたモールド112を備えており、モールド112の上方には溶湯受容器111が配置されている。モールド112の鋳造室には溶湯溜まりであるフロート123が浮いている。そして、溶湯受容器111内の金属の溶湯114がフロート123を通って鋳造室に連続的に流し込まれることにより、鋳造室への溶湯114の流入量が自動的に調整されるようになっている。

モールド112の下方には、鋳造室から連続的に降下する凝固した溶湯114を保持するボトムブロック120が配置されている。

モールド112内には冷却水流路118が形成されており、モールド112の下部にはその冷却水を鋳造室から出た鋳塊23に向けて排出する排水口119が形成されている。

概要

黄銅の鋳塊の表面に強固な酸化被膜を形成できる鋳造装置を得る。

上下方向に貫通した鋳造室13が形成され、溶湯14が鋳造室13に連続的に流し込まれるモールド12と、鋳造室13における溶湯14の頂部に面して開口され、潤滑剤が吐出される潤滑剤吐出部15と、モールド12の内周における溶湯14の降下方向の所定長にわたって環状に配置されて気体が吐出されるカーボンリング16と、カーボンリング16に面して開口され、カーボンリング16に供給される気体が流れる気体供給路17と、モールド12の鋳造室13から連続的に降下する凝固した鋳塊23を保持する保持部材とを有する鋳造装置とする。

目的

そこで、本発明は、鋳塊の表面に強固な酸化被膜を形成することのできる技術を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

モールド内に連続的に金属の溶湯流し込み、これを降下させながら凝固させて鋳塊を製造する鋳造方法であって、前記モールド内における前記溶湯の頂部に潤滑剤を供給し続け、前記モールド内における前記溶湯の側面全周における降下方向の所定長にわたって通気性を有する部材を介して気体を供給し続けながら前記溶湯を降下させることを特徴とする鋳造方法。

請求項2

前記溶湯はアルミニウムよりも酸化被膜の形成されにくい金属であることを特徴とする請求項1記載の鋳造方法。

請求項3

前記溶湯は黄銅であることを特徴とする請求項1記載の鋳造方法。

請求項4

前記気体は酸素であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の鋳造方法。

請求項5

上下方向に貫通した鋳造室が形成され、金属の溶湯が前記鋳造室に連続的に流し込まれるモールドと、前記鋳造室における前記溶湯の頂部に面して開口され、潤滑剤が吐出される潤滑剤吐出部と、前記モールドの内周における前記溶湯の降下方向の所定長にわたって環状に配置され、通気性を有する部材で形成されて気体が吐出される気体吐出部と、前記気体吐出部に面して開口され、前記気体吐出部に供給される気体が流れる気体供給路と、前記モールドの前記鋳造室から連続的に降下する凝固した前記溶湯を保持する保持部材とを有することを特徴とする鋳造装置

請求項6

前記モールドに形成され、このモールドを冷却する冷却水が流れる流路と、前記流路に連通して前記モールドに形成され、前記鋳造室から出た鋳塊に向けて前記冷却水を排出する排水口とを有することを特徴とする請求項5記載の鋳造装置。

請求項7

前記気体吐出部はカーボン製であることを特徴とする請求項5または6記載の鋳造装置。

請求項8

前記潤滑剤吐出部は径方向複数本延びた放射状孔であることを特徴とする請求項5〜7の何れか一項に記載の鋳造装置。

請求項9

前記溶湯はアルミニウムよりも酸化被膜の形成されにくい金属であることを特徴とする請求項5〜8の何れか一項に記載の鋳造方法。

請求項10

前記溶湯は黄銅であることを特徴とする請求項5〜8の何れか一項に記載の鋳造方法。

請求項11

前記気体は酸素であることを特徴とする請求項5〜10の何れか一項に記載の鋳造装置。

請求項12

請求項5〜11の何れか一項に記載の鋳造装置を用いて製造されたことを特徴とする鋳塊。

請求項13

請求項12記載の鋳塊を加工して得られたことを特徴とする金属製品

技術分野

0001

本発明は、鋳造方法および装置ならびにこれを用いて製造された鋳塊金属製品に関し、特に鋳造された金属表面の酸化被膜形成に適用して有効な技術に関するものである。

背景技術

0002

金属棒材を製造する技術として連続鋳造が広く行われている。そして、この連続鋳造により、銅合金をはじめ、アルミニウム、鋼、ステンレスマグネシウムなど様々な材質の金属棒材が製造されている。

0003

ここで、従来の鋳造装置について説明する。

0004

図10は従来の鋳造装置の一例を示す概略図である。

0005

図10に示す鋳造装置は、上下方向に貫通する鋳造室が形成されたモールド112を備えており、モールド112の上方には溶湯受容器111が配置されている。モールド112の鋳造室には溶湯溜まりであるフロート123が浮いている。そして、溶湯受容器111内の金属の溶湯114がフロート123を通って鋳造室に連続的に流し込まれることにより、鋳造室への溶湯114の流入量が自動的に調整されるようになっている。

0006

モールド112の下方には、鋳造室から連続的に降下する凝固した溶湯114を保持するボトムブロック120が配置されている。

0007

モールド112内には冷却水流路118が形成されており、モールド112の下部にはその冷却水を鋳造室から出た鋳塊23に向けて排出する排水口119が形成されている。

発明が解決しようとする課題

0008

しかしながら、このような鋳造装置では、フロートの寿命が短く加工も難しいのみならず、溶湯をフロートに注いでいることから、溶湯が乱流になって浮上した金属の酸化物ガスを鋳塊内部に巻き込んだり、モールド表面への溶湯の固着による表面割れが発生し、鋳肌荒れをおこしていた。

0009

したがって、製造された鋳塊には、鋳肌荒れの場合、外周を所定の厚さだけ切削する切削工程が必要となっていた。さらに、その切削品を加熱する工程、加熱品押し出す工程が必要になっていた。

0010

そして、アルミニウムのように強固な酸化被膜が形成されやすい金属の場合は当該酸化被膜に保護されるために鋳肌荒れは比較的穏やかであるが、黄銅のような金属では強固な酸化被膜は形成されにくいために鋳肌荒れが激しく、時には鋳造中に凝固した溶湯がモールドの内壁に固着して下降できなくなり、いわゆる吊りと呼ばれる断裂をおこしていた。

0011

そこで、本発明は、鋳塊の表面に強固な酸化被膜を形成することのできる技術を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0012

上記課題を解決するため、本発明に係る鋳造方法は、モールド内に連続的に金属の溶湯を流し込み、これを降下させながら凝固させて鋳塊を製造する鋳造方法であって、モールド内における溶湯の頂部に潤滑剤を供給し続け、モールド内における溶湯の側面全周における降下方向の所定長にわたって通気性を有する部材を介して気体を供給し続けながら溶湯を降下させることを特徴とする。

0013

また、本発明に係る鋳造装置は、上下方向に貫通した鋳造室が形成され、金属の溶湯が鋳造室に連続的に流し込まれるモールドと、鋳造室における溶湯の頂部に面して開口され、潤滑剤が吐出される潤滑剤吐出部と、モールドの内周における溶湯の降下方向の所定長にわたって環状に配置され、通気性を有する部材で形成されて気体が吐出される気体吐出部と、気体吐出部に面して開口され、気体吐出部に供給される気体が流れる気体供給路と、モールドの鋳造室から連続的に降下する凝固した溶湯を保持する保持部材とを有することを特徴とする。

0014

このような発明によれば、溶湯の側面にはガスが取り込まれることなく十分な量の気体のみが供給されるので、鋳塊の鋳肌に強固な酸化被膜を安定的に形成することが可能になる。

発明を実施するための最良の形態

0015

以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつさらに具体的に説明する。ここで、添付図面において同一の部材には同一の符号を付しており、また、重複した説明は省略されている。なお、発明の実施の形態は、本発明が実施される特に有用な形態としてのものであり、本発明がその実施の形態に限定されるものではない。

0016

図1は本発明の一実施の形態である鋳造装置を示す概略図、図2図1の鋳造装置における潤滑剤と気体との流れを示す説明図、図3図1の鋳造装置と本発明者が検討対象とした3種類の鋳造装置とで製造された黄銅の鋳塊における鋳肌の粗さを示すグラフ図4は本発明者が検討対象とした検討例1の鋳造装置を示す概略図、図5は本発明者が検討対象とした検討例2の鋳造装置を示す概略図、図6は本発明者が検討対象とした検討例3の鋳造装置を示す概略図、図7図6の鋳造装置における潤滑剤と気体との流れを示す説明図、図8図1の鋳造装置で得られた鋳塊の表面組成分析結果を示すグラフ、図9図5の鋳造装置で得られた鋳塊の表面組成の分析結果を示すグラフである。

0017

以下においては、先ず本発明者が検討対象とした3種類の鋳造装置について説明し、次に本発明者によりなされた発明の一実施の形態である鋳造装置について説明する。

0018

鋳造装置(検討例1)を図4に示す。

0019

図示する鋳造装置では前述したフロート123(図10)が用いられておらず、モールド112の内周には、高温において良好な潤滑性が得られる窒化ホウ素からなるブレイクリング124が鋳造室の上部に配置され、その下方にはカーボンリング125が配置されている。さらに、鋳塊23の側面に発生した傷をつぶすために、ボトムブロック120は上下方向に揺動しながら下降するようになっている。

0020

しかしながら、このような鋳造装置においても、凝固していく溶湯114がモールド112の内壁面と接触して酸化被膜が毀損されるために鋳肌荒れが起こるので、切削工程を省略することはできない。

0021

また、この鋳造装置では、溶湯114の塊の割れ目から噴出した溶湯114中の亜鉛がモールド112内壁に付着して凹凸を形成し、これにより凝固した溶湯114の下降がスムーズに行われなくなる。そのため、いわゆる棚吊りと呼ばれる断裂が発生することがある。

0022

次に、鋳造装置(検討例2)を図5に示す。

0023

この鋳造装置は特公昭54−42847号公報に記載の技術であり、図5に示すように、鋳造室の上部に気体および潤滑剤を吐出する気体吐出部126と潤滑剤吐出部127とをモールド112中に形成したものである。

0024

このような鋳造装置では、溶湯114とモールド112との間に気体と潤滑剤とが導入されながら溶湯114が下降して冷却水で凝固されるので、溶湯114の表面がモールド112と直接接触する時間が短くなる。したがって、アルミニウムのように強固な酸化被膜が形成されやすい金属の場合には鋳肌の荒れの少ない鋳塊23が得られる。

0025

しかしながら、黄銅などのようにアルミニウムほど強固な酸化被膜が形成されない金属では、たとえ溶湯114とモールド112との接触時間が短くてもその接触により酸化被膜が毀損され、鋳肌荒れを起こす。すると、前述のように凝固した鋳塊23の割れ目から合金中の亜鉛が噴出してモールド112内壁に付着したり、ときには噴出した亜鉛により溶湯114とモールド112とが固着して棚吊りが発生してしまう。

0026

さらに、鋳造装置(検討例3)を図6に示す。

0027

この鋳造装置は特公昭61−47622号公報に記載の技術であり、図6に示すように、鋳造室上部におけるモールド112の内周に、通気性を有するカーボンリング125が配置されたものである。そしてモールド112には、カーボンリング125に供給される潤滑剤が流れる潤滑剤供給路128が上方に、カーボンリング125に供給される気体が流れる気体供給路129が下方に、それぞれカーボンリング125に面して開口されている。これにより、気体と潤滑剤とがカーボンリング125の微細な孔から滲み出て溶湯114の側面に供給される。

0028

この鋳造装置によれば、溶湯114とモールド112との潤滑性が良くなるとともに、気体の供給領域がカーボンリング125の厚み分に拡がって供給量が増えることでより安定した酸化被膜を形成することが可能になる。

0029

したがって、高温(約900℃)の溶湯114のために潤滑剤が気化してガスが発生するものの、前述のようにアルミニウムの場合には強固な酸化被膜が形成されやすいので、ガスにより当該酸化被膜が毀損されることはない。

0030

しなしながら、このような鋳造装置を用いて黄銅の鋳塊23を製造すると、特開平2−63647号公報において開示されているように酸素濃度を高めても、依然として十分な強度の酸化被膜が形成されないので、側面に取り込まれたガスにより酸化被膜が毀損される。すると、依然として鋳肌が鱗状に荒れてしまう。

0031

また、当該鋳造装置では、図7に示すように、潤滑剤はカーボンリング125の細孔を通って溶湯114の側面に至るので、繰り返し鋳造を行っていくと、高温になったカーボンリング125中で潤滑剤が炭化して目詰まりをおこす。するとカーボンリング125中の気体の通過量が次第に減少して溶湯114に対する気体供給量不足し、酸化被膜そのものの強度が低下してしまう。つまり、図6に示す鋳造装置では、鋳塊23の側面に気体を継続的に安定して供給することができない。

0032

このように、図5に示す鋳造装置や図6に示す鋳造装置は、何れも強固な酸化被膜が形成されやすいアルミニウムにおいては有効であるが、黄銅のように強固な酸化被膜が形成されにくい金属に適用した場合には、酸化被膜が毀損されて鋳肌荒れが発生してしまうのである。

0033

そして、このような問題点を解決するために、本発明者により図1に示す鋳造装置が発明された。

0034

図1において、上方には断熱材からなる溶湯受容器11が位置し、その下方にモールド12が配置されている。モールド12には上下方向に貫通した鋳造室13が形成されており、金属の溶湯14が溶湯受容器11から鋳造室13に連続的に流し込まれるようになっている。

0035

鋳造室13に流し込まれた溶湯14の頂部に面して、潤滑剤が吐出される潤滑剤吐出部15が開口されている。ここで、本実施の形態においては、潤滑剤吐出部15は溶湯受容器11とモールド12とで形成され、潤滑剤は溶湯受容器11とモールド12との間から吐出されるようになっているが、溶湯受容器11側あるいはモールド12側に形成してもよい。また、潤滑剤が溶湯14の自由表面(モールド12との非接触面)である頂部の望ましくは全周に達するようになっている限り、たとえば径方向複数本延びた放射状孔など、潤滑剤吐出部15の形状は自由に設定することができる。

0036

なお、溶湯受容器11とモールド12との間は、潤滑剤の漏出を防止するためにパッキン22でシールされている。

0037

モールド12の内周には、通気性を有する部材からなるカーボンリング(気体吐出部)16が溶湯14の降下方向の所定長にわたって配置されている。そして、このカーボンリング16に供給される気体が流れる気体供給路17がカーボンリング16に面して開口されている。

0038

なお、本実施の形態において環状の気体吐出部としてカーボンリング16が用いられているが、通気性を有するとともに溶湯14に対する耐熱性を備えた部材であれば、カーボン以外で気体吐出部を形成してもよい。また、気体には不活性ガスなど種々のものが適用可能であるが、酸素、望ましくは高濃度の酸素を適用するのがよい。

0039

さらにモールド12には、このモールド12を冷却する冷却水が流れる流路18が形成されている。また、この流路18に連通して、鋳造室13から出た鋳塊23に向けて冷却水を排出する排水口19が形成されている。

0040

なお、本実施の形態においてはモールド12が上下別体となっているが、一体であってもよい。

0041

モールド12の下方には、モールド12の鋳造室13から連続的に降下する凝固した溶湯14を保持するボトムブロック(保持部材)20がボトムブロック取付盤21により上下動可能に設置されている。

0042

次に、このような構成を有する本実施の形態の鋳造装置による鋳造動作について説明する。

0043

溶湯受容器11からモールド12内の鋳造室13に流し込まれた溶湯14は鋳造室13で柱状に凝固されながら下降され、鋳塊23となってボトムブロック20に保持されて取り出される。

0044

このような鋳造プロセスにおいて、図2に詳しく示すように、鋳造室13における溶湯14の頂部である自由表面に対して潤滑剤吐出部15から潤滑剤が供給される。そして、高温の溶湯14のために潤滑剤の一部が気化してガスが発生する。しかしながら、潤滑剤は溶湯14の頂部に供給されているので、このガスは下降する溶湯14の側面に巻き込まれることなく下方に抜けて行き、溶湯14が下降するに足りる潤滑剤のみが溶湯14とモールド12との間に取り込まれるようになる。

0045

このように潤滑剤が取り込まれてスムーズに下降する溶湯14の側面全周に対して、通気性を有するカーボンリング16から酸素などの気体が溶湯14の降下方向の所定長(カーボンリング16の厚さ分)にわたって供給される。これにより、溶湯14の側面には十分な量の気体が供給されることになり、強固な酸化被膜が気化ガスで毀損されることなく形成されながら溶湯14が下降しながら凝固されて行く。

0046

そして、このとき、前述した本発明者検討の鋳造装置(図6)のように潤滑剤をカーボンリング16から供給してはいないので、カーボンリング16内で潤滑剤が炭化して目詰まりをおこすこともない。

0047

このようにしてモールド12の鋳造室13から降下する凝固した鋳塊23は、ボトムブロック20に保持されて取り出される。

0048

ここで、本発明者は、本願の鋳造装置を用いた次のような試験を行った。

0049

気体には99.9容量%の加圧された酸素を用い、潤滑剤吐出部15の隙間を0.1mmとして潤滑剤を定量供給し、60/40黄銅(JIS C3771)合金を連続10回鋳造した。鋳造棒径は50mm、鋳造速度は800mm/min、冷却水量は70L/min、潤滑油(潤滑剤)は鉱物油潤滑油流量は1.4mL/min、気体流量は0.4L/min、鋳造温度は940℃、鋳造長さは1000mmとした。

0050

この鋳造試験から、鋳造開始から終了まで割れしわ等の全くない皮膜状の鋳肌をもった鋳塊が得られた。また、表面粗さは平均0.04mmであった。なお、さらに10回鋳造後もカーボンリング16の目詰まりは発生せず、高品質の鋳塊が安定して得られた。

0051

また、黄銅の鋳塊23の表面粗さと、前述した3種類の鋳造装置(検討例1〜3)で製造された黄銅の鋳塊23における表面粗さを図3に示す。

0052

図示するように、平均粗さおよび最大粗さともに本実施の形態の鋳造装置で製造された鋳塊23が最も優れている。このことからも、本実施の形態の鋳造装置の優位性が分かる。

0053

このように、本実施の形態によれば、潤滑剤をモールド12の上部から供給しているので、潤滑剤はモールド12内における溶湯14の頂部に達する。したがって、気化したガスは下方に抜け、潤滑剤のみが溶湯14とモールド12との間に取り込まれる。また、カーボンリング16から気体のみが溶湯14の側面全周に供給される。よって、溶湯14の側面には、十分な量の気体により強固な酸化被膜が気化ガスで毀損されることなく形成される。そして、潤滑剤をカーボンリング16から滲み出させてはいないので、カーボンリング16内で潤滑剤が炭化して目詰まりをおこすことがなく、溶湯14の側面には気体が継続的に安定して供給される。

0054

これにより、鋳塊23の鋳肌に強固な酸化被膜を安定的に形成することが可能になる。そして、このように強固な酸化被膜が形成されることから、鋳塊23の鋳肌荒れが緩和されて、切削工程を排除することが可能になる。

0055

また、強固な酸化被膜が形成されて毀損されなくなることから、鋳塊23に含有された亜鉛が封じ込められるので、亜鉛がモールド12内壁に付着して凹凸が形成されることもない。

0056

なお、気体として酸素を、特に高濃度の酸素(たとえば50〜100容量%、望ましくは80〜100容量%)を用いれば、形成される酸化被膜が一層強固になり、より鋳肌荒れの少ない鋳塊23を得ることができる。

0057

ここで、本発明者は、本実施の形態の鋳造装置で得られた鋳塊と前述した検討例2の鋳造装置で得られた鋳塊の表面組成を分析した。

0058

具体的には、JIS C3771を供試料として鋳塊を製作し、同一部位における表面組成の違いを分析装置島津製作所製・微細X線光電子分光分析装置・ESCA−1000)を用いてオージェ電子分光法にて調査した。供試料の代表的な化学組成を表1に示す。

0059

0060

また、本実施の形態の鋳造装置で得られた鋳塊の表面組成の分析結果を図8に、検討例2の鋳造装置で得られた鋳塊の表面組成の分析結果を図9に、それぞれ示す。

0061

図8に示す本実施の形態の鋳造装置で得られた鋳塊の表面組成の分析結果によれば、鋳塊の表面付近には大量の酸素(O2 )と銅(Cu)、亜鉛(Zn)が存在している。ここで、合金中において酸素は必ず酸化物として存在するので、酸素は銅や亜鉛と結びついて酸化被膜を形成する。したがって、酸素、銅および亜鉛が存在しているということは、銅および亜鉛との酸化被膜が形成されていることを意味し、これらが大量に存在しているということは、酸化被膜が緻密であるということができる。

0062

これに対し、図9に示す検討例2の鋳造装置で得られた鋳塊の表面組成の分析結果によれば、表面付近の酸素と亜鉛の含有量が少なく(例えば、測定位置約70nmにおける酸素濃度は、本願の鋳造装置により得られた鋳塊では約35%であるのに対して、検討例2の鋳造装置により得られた鋳塊では僅かに約8%)、銅の含有量が非常に多くなっている。これにより、表面部においては亜鉛が殆ど存在せず、銅と酸素とからなる薄い酸化被膜しか形成されていないことが分かる。

0063

また、酸素濃度が10%以上の層厚は、本願の鋳造装置により得られた鋳塊は検討例2の鋳造装置により得られた鋳塊の約6倍となっていることから、酸化被膜が厚く強固であることが分かる。

0064

そして、本実施の形態の鋳造装置により鋳造された鋳塊によれば、検討例2により鋳造された鋳塊に比べて亜鉛濃度が高いことから、鋳塊表面付近における亜鉛の脱落が抑制されていることが分かる。これにより、鋳塊の棚吊りの原因となるモールドへの亜鉛付着が発生しにくくなり、常に安定したモールド表面状態を維持することが可能となり、安定した鋳肌の鋳塊を得ることができる。

0065

なお、両者ともに表面直下において炭素(C)の含有量が多いのは、モールドの炭素をピックアップしているためと思われる。

0066

以上の説明においては、本発明の鋳造装置を黄銅の鋳塊の製造に適用した場合について説明したが、アルミニウムなど他の様々な金属の鋳塊の製造に適用することができる。また、黄銅に代表されるようにアルミニウムよりも酸化被膜の形成されにくい金属に適用した場合に、本発明はその有用性を一層発揮することができる。

0067

ここで、本発明の鋳造装置で製造された鋳塊は、たとえばそのままで、あるいは切断や加熱などといった所定の加工を施した金属製品として出荷される。

0068

そして、本明細書において金属製品とは、本願の鋳造装置を用いて製造された鋳塊に所定の加工を施して得られたあらゆる金属製の製品を指す。

0069

このような金属製品の一例を挙げると、素材中間品最終製品および組立体輸送機器用部品(たとえば自動車および二輪車用部品・小型および大型船舶用部品・鉄道車両用部品・航空機用部品宇宙船用部品・エレベータ用部品エスカレータ用部品・遊戯乗り物用部品など)、産業機械用部品(たとえば建設機械用部品・溶接機用部品・金型およびその部品・ローラコンベア用部品・ベアリング歯車機械摺動部品熱交換器用部品など)、楽器用部品(たとえば鍵盤楽器用部品・弦楽器用部品・管楽器用部品・打楽器用部品など)、電気製品用部品(たとえば視聴覚機器用部品・気体制御機器用部品・液体制機器用部品・家庭電化製品用部品・縫い機用部品・編み機用部品・遊戯具用部品・屋外電気製品用部品・電気回路用部品・電子回路用部品など)、住宅用品(たとえば建材外装品内装品神社仏閣用品など)、精密機械用部品(たとえば光学機器用部品・測定機器用部品・計測機器用部品・時計用部品など)、筆記具事務用品給排水配管バルブおよび水栓用品、装飾品服飾品スポーツ用品武器容器医療器具工具農具土木具、食器日常生活品、雑貨園芸具・小物などがある。

発明の効果

0070

以上の説明から明らかなように、本発明によれば以下の効果を奏することができる。

0071

(1).溶湯の側面にはガスが取り込まれることなく十分な量の気体のみが供給されるので、鋳塊の鋳肌に強固な酸化被膜を安定的に形成することが可能になる。

0072

(2).このように強固な酸化被膜が形成されることから、鋳塊の鋳肌荒れが緩和されて、切削工程を排除することが可能になる。

図面の簡単な説明

0073

図1本発明の一実施の形態である鋳造装置を示す概略図である。
図2図1の鋳造装置における潤滑剤と気体との流れを示す説明図である。
図3図1の鋳造装置と本発明者が検討対象とした3種類の鋳造装置とで製造された黄銅の鋳塊における鋳肌の粗さを示すグラフである。
図4本発明者が検討対象とした検討例1の鋳造装置を示す概略図である。
図5本発明者が検討対象とした検討例2の鋳造装置を示す概略図である。
図6本発明者が検討対象とした検討例3の鋳造装置を示す概略図である。
図7図6の鋳造装置における潤滑剤と気体との流れを示す説明図である。
図8図1の鋳造装置で得られた鋳塊の表面組成の分析結果を示すグラフである。
図9図5の鋳造装置で得られた鋳塊の表面組成の分析結果を示すグラフである。
図10従来の鋳造装置を示す概略図である。

--

0074

11溶湯受容器
12モールド
13鋳造室
14溶湯
15潤滑剤吐出部
16カーボンリング(気体吐出部)
17気体供給路
18流路
19 排水口
20ボトムブロック(保持部材)
21 ボトムブロック取付盤
22パッキン
23鋳塊
111 溶湯受容器
112 モールド
114 溶湯
118 流路
119 排水口
120 ボトムブロック(保持部材)
123フロート
124ブレイクリング
125 カーボンリング
126 気体吐出部
127 潤滑剤吐出部
128潤滑剤供給路
129 気体供給路

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