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技術 溶銑脱りん処理方法

出願人 株式会社神戸製鋼所
発明者 坂口清信星川郁生
出願日 2001年6月19日 (19年7ヶ月経過) 出願番号 2001-185203
公開日 2003年1月8日 (18年1ヶ月経過) 公開番号 2003-003207
状態 未査定
技術分野 銑鉄の精製;鋳鉄の製造;転炉法以外の製鋼
主要キーワード ラボテスト Fe分 酸化源 トータル鉄 製品規格 高炉設備 インジェクション方式 液共存状態
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2003年1月8日)のものです。
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図面 (5)

課題

CaO 及び酸化鉄を含む原料脱りん成分として利用して溶銑を脱りん処理するに際し、更なる脱りん効率の向上をはかることができる溶銑脱りん処理方法を提供する。

解決手段

(1) 前記原料におけるカルシウムフェライト相比率が15質量%以上であることを特徴とする溶銑脱りん処理方法、(2) 前記原料におけるT.Fe量が5質量%以上であると共に、塩基度が3.0 以上であるもの、(3) 前記原料におけるP2O5濃度が5質量%以下であるもの、(4) 前記原料におけるMgO 濃度が15質量%以下であるもの、(5) 前記原料として転炉スラグを用いるもの。

概要

背景

最近、溶銑の段階で[Si]と [P] を除去する溶銑予備処理が普及している。従来は、溶銑中のPの除去については、転炉で多量の生石灰を添加して脱りんする方法が汎用されていたが、転炉での精錬は通常約1650℃の高温で行われるため、低温処理好む脱りん処理にとって有利な方法とはいえない。これに対し、溶銑予備処理は、約1300℃の低温で行われるため、脱りん効率の点では、より有効な方法といえる。

溶銑予備処理によって脱りんを行う際には、前処理で予め脱珪処理を行う場合と、高炉から出銑された溶銑にそのまま脱りん剤を添加して脱りんする場合とがある。

溶銑予備処理によって脱りんされた溶銑(溶銑脱りん処理を終えた溶銑)は、これを転炉で吹錬する際に、溶銑中の [P] 量が製品規格以内まで低減している場合は最早脱りんは不要であるから、転炉吹錬では脱炭及び昇温のみを行えばよい。しかしながら、全くスラグのない状態(スラグレス)で吹錬を行うと、排ガスへのダストロスが著しく増加するため、通常は吹錬中の溶銑のカバーを目的として少量の生石灰が添加される。

溶銑中の [P] 量が製品規格以内まで低減していない場合は、転炉吹錬工程でも多少の脱りんが必要となるので、溶銑中の [P] 量に応じた生石灰の添加が行われる。

このように、予め溶銑脱りん処理を行った場合においても、転炉吹錬工程では生石灰等の副原料の添加が不可欠であり、その結果として、脱りん処理をしていない溶銑を使用した場合に生成する転炉スラグの2〜3割程度の転炉スラグが生成する。

転炉での吹錬温度は約1650℃と高温であるため、スラグの脱りん能は低く、従って精錬スラグ中のりん濃度は低くなる。特に、溶銑脱りん処理された溶銑を用いて吹錬した際に生じる転炉スラグは、溶銑中の [P] 量が低いことから、転炉スラグ中りん濃度が非常に低く(0.2 〜0.8 質量%程度)、また、この転炉スラグは通常約50質量%程度の CaO(生石灰)を含んでいる。従って、この転炉スラグを、より低温で脱りん処理が行われる溶銑脱りん処理時の脱りん成分として利用すれば、再度脱りん能を発揮することが確認されている。

溶銑脱りん後のスラグ中のりん濃度は通常2〜4質量%程度であるから、溶銑脱りん剤としてりん濃度の低い転炉スラグを使用すれば、スラグ中へりんを効果的に濃化し得、脱りん剤として用いられる生石灰の使用量を大幅に削減し得る。

こうした転炉スラグを利用した溶銑脱りんプロセスは例えば次のようにして行われる。高炉設備から出銑された溶銑は混銑車移送する過程予備処理され、その後、転炉で吹錬処理される。ここで、従来は溶銑予備処理及び転炉吹錬で生成した予備処理スラグや転炉スラグは施設外搬出され、セメント原料路盤材等として使用されていたが、上記転炉スラグを利用するプロセスでは、転炉から生じる転炉スラグの全量を溶銑予備処理工程に返還して溶銑脱りん剤として有効利用し、生成した予備処理スラグのみが施設外へ搬出される。このプロセスを採用する際の一般的な転炉スラグ組成(質量%)は、CaO:45〜53%、SiO2:12 〜18%、MgO:6 〜15%、T.Fe(即ちトータル鉄):8〜20%、MnO:3 〜10%、P2O5:0.4〜2.5 %である。

溶銑脱りん処理が行われる反応容器としては、混銑車の他、取鍋転炉型脱りん炉等が使用されるが、いずれにしても、吹錬工程で副生する転炉スラグを脱りん剤として利用することにより、生石灰の使用量は大幅に削減され多大なコスト低減が可能となる。

このように転炉スラグを脱りん剤として再利用することは、例えば特公昭55-30042号公報や特開平4-333506号公報に記載されている。一般的に脱りん反応は下記式で表され、脱りんのためにはCaO とFeO 等の酸化源が必要であるが、転炉スラグは多量のCaO 及びFeO, Fe2O3を含んでいるため、脱りん能を発揮するとされている。
2P+3(CaO) +5(FeO) =(3 CaO・P2O5)

また、転炉スラグにかかわらず、CaO 及び酸化鉄を含む原料を脱りん剤として使用することが、例えば特公昭56-33442号公報や特公昭57-37648号公報、特開平7-268431号公報に示されている。これらはいずれも、耐火物の損傷を招くCaF2やCaCl2 を添加することなく、滓化性を向上させて、脱りん効率を向上させることを狙ったものである。

転炉スラグの溶銑脱りん剤へのリサイクル使用は、前述の如く平衡論的な見地立脚したものであるが、実際の脱りん処理は1300℃〜1400℃という比較的低温で行われるため、スラグは一様な融体になるのではなく、固液共存状態にあることが容易に想像される。転炉スラグ以外のCaO 及び酸化鉄を含む原料についても同様のことがいえる。

これら原料による脱りん反応は、一様な融体によるものではなく、むしろ各スラグを構成する個々の鉱物相による脱りん反応の総和であると考えられる。従って、予め溶融された原料を脱りん剤として使用する場合、その原料中にどのような鉱物相が、どういった割合で存在するかが、その原料全体の脱りん能に大きな影響を与えるものと考えられる。逆にいえば、原料の鉱物相を制御することにより、更なる脱りん能の向上をはかることができる。

概要

CaO 及び酸化鉄を含む原料を脱りん成分として利用して溶銑を脱りん処理するに際し、更なる脱りん効率の向上をはかることができる溶銑脱りん処理方法を提供する。

(1) 前記原料におけるカルシウムフェライト相比率が15質量%以上であることを特徴とする溶銑脱りん処理方法、(2) 前記原料におけるT.Fe量が5質量%以上であると共に、塩基度が3.0 以上であるもの、(3) 前記原料におけるP2O5濃度が5質量%以下であるもの、(4) 前記原料におけるMgO 濃度が15質量%以下であるもの、(5) 前記原料として転炉スラグを用いるもの。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
1件

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請求項1

CaO 及び酸化鉄を含む原料脱りん成分として利用して溶銑を脱りん処理する溶銑脱りん処理方法において、前記原料におけるカルシウムフェライト比率が15質量%以上であることを特徴とする溶銑脱りん処理方法。

請求項2

前記原料におけるT.Fe量が5質量%以上であると共に、塩基度が3.0 以上である請求項1記載の溶銑脱りん処理方法。

請求項3

前記原料におけるP2O5濃度が5質量%以下である請求項1又は2記載の溶銑脱りん処理方法。

請求項4

前記原料におけるMgO 濃度が15質量%以下である請求項1、2又は3記載の溶銑脱りん処理方法。

請求項5

前記原料として転炉スラグを用いる請求項1、2、3又は4記載の溶銑脱りん処理方法。

技術分野

0001

本発明は、溶銑脱りん処理方法に関する技術分野に属する。

背景技術

0002

最近、溶銑の段階で[Si]と [P] を除去する溶銑予備処理が普及している。従来は、溶銑中のPの除去については、転炉で多量の生石灰を添加して脱りんする方法が汎用されていたが、転炉での精錬は通常約1650℃の高温で行われるため、低温処理好む脱りん処理にとって有利な方法とはいえない。これに対し、溶銑予備処理は、約1300℃の低温で行われるため、脱りん効率の点では、より有効な方法といえる。

0003

溶銑予備処理によって脱りんを行う際には、前処理で予め脱珪処理を行う場合と、高炉から出銑された溶銑にそのまま脱りん剤を添加して脱りんする場合とがある。

0004

溶銑予備処理によって脱りんされた溶銑(溶銑脱りん処理を終えた溶銑)は、これを転炉で吹錬する際に、溶銑中の [P] 量が製品規格以内まで低減している場合は最早脱りんは不要であるから、転炉吹錬では脱炭及び昇温のみを行えばよい。しかしながら、全くスラグのない状態(スラグレス)で吹錬を行うと、排ガスへのダストロスが著しく増加するため、通常は吹錬中の溶銑のカバーを目的として少量の生石灰が添加される。

0005

溶銑中の [P] 量が製品規格以内まで低減していない場合は、転炉吹錬工程でも多少の脱りんが必要となるので、溶銑中の [P] 量に応じた生石灰の添加が行われる。

0006

このように、予め溶銑脱りん処理を行った場合においても、転炉吹錬工程では生石灰等の副原料の添加が不可欠であり、その結果として、脱りん処理をしていない溶銑を使用した場合に生成する転炉スラグの2〜3割程度の転炉スラグが生成する。

0007

転炉での吹錬温度は約1650℃と高温であるため、スラグの脱りん能は低く、従って精錬スラグ中のりん濃度は低くなる。特に、溶銑脱りん処理された溶銑を用いて吹錬した際に生じる転炉スラグは、溶銑中の [P] 量が低いことから、転炉スラグ中りん濃度が非常に低く(0.2 〜0.8 質量%程度)、また、この転炉スラグは通常約50質量%程度の CaO(生石灰)を含んでいる。従って、この転炉スラグを、より低温で脱りん処理が行われる溶銑脱りん処理時の脱りん成分として利用すれば、再度脱りん能を発揮することが確認されている。

0008

溶銑脱りん後のスラグ中のりん濃度は通常2〜4質量%程度であるから、溶銑脱りん剤としてりん濃度の低い転炉スラグを使用すれば、スラグ中へりんを効果的に濃化し得、脱りん剤として用いられる生石灰の使用量を大幅に削減し得る。

0009

こうした転炉スラグを利用した溶銑脱りんプロセスは例えば次のようにして行われる。高炉設備から出銑された溶銑は混銑車移送する過程予備処理され、その後、転炉で吹錬処理される。ここで、従来は溶銑予備処理及び転炉吹錬で生成した予備処理スラグや転炉スラグは施設外搬出され、セメント原料路盤材等として使用されていたが、上記転炉スラグを利用するプロセスでは、転炉から生じる転炉スラグの全量を溶銑予備処理工程に返還して溶銑脱りん剤として有効利用し、生成した予備処理スラグのみが施設外へ搬出される。このプロセスを採用する際の一般的な転炉スラグ組成(質量%)は、CaO:45〜53%、SiO2:12 〜18%、MgO:6 〜15%、T.Fe(即ちトータル鉄):8〜20%、MnO:3 〜10%、P2O5:0.4〜2.5 %である。

0010

溶銑脱りん処理が行われる反応容器としては、混銑車の他、取鍋転炉型脱りん炉等が使用されるが、いずれにしても、吹錬工程で副生する転炉スラグを脱りん剤として利用することにより、生石灰の使用量は大幅に削減され多大なコスト低減が可能となる。

0011

このように転炉スラグを脱りん剤として再利用することは、例えば特公昭55-30042号公報や特開平4-333506号公報に記載されている。一般的に脱りん反応は下記式で表され、脱りんのためにはCaO とFeO 等の酸化源が必要であるが、転炉スラグは多量のCaO 及びFeO, Fe2O3を含んでいるため、脱りん能を発揮するとされている。
2P+3(CaO) +5(FeO) =(3 CaO・P2O5)

0012

また、転炉スラグにかかわらず、CaO 及び酸化鉄を含む原料を脱りん剤として使用することが、例えば特公昭56-33442号公報や特公昭57-37648号公報、特開平7-268431号公報に示されている。これらはいずれも、耐火物の損傷を招くCaF2やCaCl2 を添加することなく、滓化性を向上させて、脱りん効率を向上させることを狙ったものである。

0013

転炉スラグの溶銑脱りん剤へのリサイクル使用は、前述の如く平衡論的な見地立脚したものであるが、実際の脱りん処理は1300℃〜1400℃という比較的低温で行われるため、スラグは一様な融体になるのではなく、固液共存状態にあることが容易に想像される。転炉スラグ以外のCaO 及び酸化鉄を含む原料についても同様のことがいえる。

0014

これら原料による脱りん反応は、一様な融体によるものではなく、むしろ各スラグを構成する個々の鉱物相による脱りん反応の総和であると考えられる。従って、予め溶融された原料を脱りん剤として使用する場合、その原料中にどのような鉱物相が、どういった割合で存在するかが、その原料全体の脱りん能に大きな影響を与えるものと考えられる。逆にいえば、原料の鉱物相を制御することにより、更なる脱りん能の向上をはかることができる。

発明が解決しようとする課題

0015

本発明は、このような事情に着目してなされたものであって、その目的は、CaO 及び酸化鉄を含む原料を脱りん成分として利用して溶銑を脱りん処理するに際し、更なる脱りん効率の向上をはかることができる溶銑脱りん処理方法を提供しようとするものである。

課題を解決するための手段

0016

上記の目的を達成するため、本発明に係る溶銑脱りん処理方法は、請求項1〜5記載の溶銑脱りん処理方法としており、それは次のような構成としたものである。

0017

即ち、請求項1記載の溶銑脱りん処理方法は、CaO 及び酸化鉄を含む原料を脱りん成分として利用して溶銑を脱りん処理する溶銑脱りん処理方法において、前記原料におけるカルシウムフェライト比率が15質量%以上であることを特徴とする溶銑脱りん処理方法である(第1発明)。

0018

請求項2記載の溶銑脱りん処理方法は、前記原料におけるT.Fe量が5質量%以上であると共に、塩基度が3.0 以上である請求項1記載の溶銑脱りん処理方法である(第2発明)。

0019

請求項3記載の溶銑脱りん処理方法は、前記原料におけるP2O5濃度が5質量%以下である請求項1又は2記載の溶銑脱りん処理方法である(第3発明)。

0020

請求項4記載の溶銑脱りん処理方法は、前記原料におけるMgO 濃度が15質量%以下である請求項1、2又は3記載の溶銑脱りん処理方法である(第4発明)。請求項5記載の溶銑脱りん処理方法は、前記原料として転炉スラグを用いる請求項1、2、3又は4記載の溶銑脱りん処理方法である(第5発明)。

発明を実施するための最良の形態

0021

本発明は例えば次のような形態で実施する。CaO 及び酸化鉄を含む原料であってカルシウム・フェライト相の比率が15質量%以上のものを脱りん成分として準備しておく。高炉から出銑された溶銑を混銑車または取鍋等に受銑する。次に、この溶銑に対して上記原料を脱りん成分として添加する。

0022

このような形態で本発明が実施される。以下、本発明について主にその作用効果を説明する。

0023

一般に、転炉スラグ中の鉱物相としては、CaO 、2CaO・SiO2(以下、C2S ともいう)、2CaO・Fe2O3(ダイカルシウム・フェライト)(以下、C2F ともいう)、FeO 等があるが、本発明者らはこれら鉱物相個々の脱りん能を調査するラボテストを次のようにして行った。予め溶解して作製しておいたC=4.5 質量%、P=0.08質量%の鉄試料300gをAr雰囲気下、MgOルツボ中で1350℃で溶解する。この溶銑上に試薬を配合・焼成して作製した各鉱物相(C2S 、C2F 、CaO )と酸化鉄を浮かべた後、溶銑中にArガスを吹き込んで攪拌する。このとき、各実験とも総CaO原単位、総T.Fe原単位が同じになるようにした。鉱物相、酸化鉄の添加量を表1に示す。

0024

各鉱物相と酸化鉄を溶銑上に浮かべたときの溶銑中P濃度([P])の経時変化図1に示す。これより、 C2S(2CaO・SiO2)相の脱りん能は C2F(2CaO・Fe2O3)相、CaO 相の脱りん能よりも低くなることが明らかとなった。従って、転炉スラグ中の C2S相を減らし、 C2F相やCaO 相の比率を増やすことで転炉スラグの脱りん能向上がはかれる可能性が示された。

0025

脱りん反応においては、CaO 表面の酸素ポテンシャルを高くすることが重要である。上記実験ではCaO と酸化鉄を一括して上方から添加したために、CaO 近傍に酸化鉄があるという脱りんにとって有利な条件であった。C2F を用いた場合とCaO を用いた場合で脱りん率に差がでなかったのは、この実験条件に起因するものと考えられる。しかし、粉体が溶銑中に浸漬されたインジェクションランスを介して溶銑中に吹き込まれるインジェクション方式の脱りん処理の場合、CaO と酸化鉄を混合して吹き込んだのでは必ずしもCaO の近傍に酸化鉄は存在しない。これに対して、CaO とFe2O3 が一つの鉱物相であるC2F(2CaO・Fe2O3)等のカルシウム・フェライトとして溶銑中にインジェクションした場合は、常にCaO 近傍に酸化鉄が存在し、優れた脱りん能を発揮すると推察される。

0026

次に、実際の転炉スラグに近い組成の合成スラグを作製し、その塩基度〔(%CaO )/(%SiO2)〕を変えて、それぞれの脱りん能を評価する実験を行った。実験方法は上記実験の場合と同じで、予め溶解して作製しておいたC=4.5 質量%、P=0.08質量%の鉄試料300gをAr雰囲気下、MgOルツボ中で1350℃で溶解する。この溶銑上に試薬を配合・焼成して作製したフラックス(上記合成スラグ、即ち、CaO 及び酸化鉄を含む原料)と酸化鉄とを浮かべた後、溶銑中にArガスを吹き込んで攪拌する。このとき、各実験とも総CaO原単位、総T.Fe原単位が同じになるようにした。フラックスの組成および添加量、酸化鉄の添加量を表2に示す。また、各焼成フラックス中の鉱物相とその存在比率をEPMAにより調査した。この実験では塩基度を変えているため、脱りんに効果的なC2F の存在比率が変わっている。尚、表2において、SiO2はSiO2、P2O5はP2O5、Al2O3 はAl2O3 のことである(後述の表3及び4においても同様)。

0027

各フラックスと酸化鉄を溶銑上に浮かべたときの溶銑中P濃度([P])の経時変化を図2に示す。図2からわかる如く、C2F (ダイカルシウム・フェライト)比率:13質量%の場合には脱りん率が低いが、C2F 比率:20質量%、23質量%の場合には極めて脱りん率が高い。これより、C2F 比率:20質量%以上の場合に著しい脱りん効率の向上がはかれることがわかる。更に、実験を重ね、C2F 比率の影響を詳細に調査した結果、C2F 比率:15質量%以上の場合に脱りん効率の向上がはかれることがわかった。更に、C2F 比率:20質量%以上の場合、脱りん効率をより一層向上し得ることがわかった。尚、カルシウム・フェライトには、ダイカルシウム・フェライト(2CaO・Fe2O3)の他に、モノカルシウム・フェライト(CaO・Fe2O3)があり、CaO とFe2O3 が一つの鉱物相である場合はCaO 近傍に酸化鉄が存在するために優れた脱りん能を発揮することから、モノカルシウム・フェライトの場合にもC2F (ダイカルシウム・フェライト)の場合と同様の傾向の効果を奏するといえる。

0028

そこで、このような知見に基づき、本発明の第1発明に係る溶銑脱りん処理方法は、CaO 及び酸化鉄を含む原料を脱りん成分として利用して溶銑を脱りん処理する溶銑脱りん処理方法において、前記原料におけるカルシウム・フェライトの比率が15質量%以上であることを特徴とする溶銑脱りん処理方法であることとした。

0029

従って、本発明の第1発明に係る溶銑脱りん処理方法によれば、CaO 及び酸化鉄を含む原料を脱りん成分として利用して溶銑を脱りん処理するに際し、脱りん効率の向上をはかることができる。

0030

前記第1発明での原料におけるカルシウム・フェライトの比率は、20質量%以上であるようにすることが望ましい。そうすると、より一層の脱りん効率の向上がはかれる。

0031

前記実験において、C2F (ダイカルシウム・フェライト)比率:15質量%以上の場合、スラグ組成より、(%CaO )/(%SiO2)で表される塩基度が3.0 以上必要であることがわかった。また、C2F 中のFe分は41質量%であるため、C2F を15質量%以上確保するのに必要なT.Fe量は5質量%以上である。一方、C2F 比率:20質量%以上の場合、スラグ組成より、塩基度が3.5 以上必要であることがわかった。また、C2F 中のFe分は41質量%であるため、C2F を20質量%以上確保するのに必要なT.Fe量は8.2 質量%以上である。

0032

そこで、本発明の第2発明に係る溶銑脱りん処理方法は、前記第1発明での原料におけるT.Fe量が5質量%以上であると共に、塩基度が3.0 以上であることとした。

0033

前記原料におけるT.Fe量は8.2 質量%以上であるようにし、塩基度は3.5 以上であるようにすることが望ましい。そうすると、より一層の脱りん効率の向上がはかれる。

0034

更に、本発明者らは前記以外の元素についても、その脱りんに及ぼす影響を調査するべく実験を行った。実験方法は前記実験の場合と同じで、予め溶解して作製しておいたC=4.5 質量%、P=0.08質量%の鉄試料300gをAr雰囲気下、MgOルツボ中で1350℃で溶解する。この溶銑上に試薬を配合・焼成して作製したP2O5濃度の種々異なるフラックスと酸化鉄を浮かべた後、溶銑中にArガスを吹き込んで攪拌する。このとき、各実験とも総CaO原単位、総T.Fe原単位が同じになるようにした。フラックスの組成及び添加量、酸化鉄の添加量を表3に示す。

0035

P2O5濃度(フラックスに対するP2O5の濃度)の影響を調査した結果を図3に示す。P2O5濃度:5質量%超の場合は初期の脱りん速度が低いが、図3に示すように、P2O5濃度:5質量%以下の場合は脱りん速度が大きく、特にP2O5濃度:3質量%以下の場合に脱りん速度が高いことがわかった。脱りん処理実験前のフラックスをEPMAで調査したところ、P2O5濃度:0〜3質量%となるものでは、P2O5はC2S(2CaO・SiO2)相に固溶しているのに対して、P2O5濃度:5質量%超となるものでは、7CaO・P2O5・2SiO2 相が晶出していることが明らかとなった。即ち、C2S中にP2O5が固溶している場合、C2S は脱りん反応にあまり寄与していないため、P2O5は脱りん能にほとんど影響を与えない。しかしながら、P2O5濃度が5質量%超と高くなると、7CaO・P2O5・2SiO2 相が晶出し、これが復りん反応を示すために脱りん能の低下を引き起こす。従って、P2O5濃度は5質量%以下とすることが望ましく、更には3質量%以下とすることが一層望ましい。

0036

かかる点から、本発明の第3発明に係る溶銑脱りん処理方法は、前記第1又は第2発明での原料におけるP2O5濃度が5質量%以下であることとした。なお、前記原料におけるP2O5濃度は3質量%以下であるようにすることがより望ましい。

0037

次に、MgO 濃度の影響について調査する実験を行った。実験方法は前記実験の場合と同じで、予め溶解して作製しておいたC=4.5 質量%、P=0.08質量%の鉄試料300gをAr雰囲気下、MgOルツボ中で1350℃で溶解する。この溶銑上に試薬を配合・焼成して作製したMgO 濃度の種々異なるフラックスと酸化鉄とを浮かべた後、溶銑中にArガスを吹き込んで攪拌する。このとき、各実験とも総CaO原単位、総T.Fe原単位が同じになるようにした。フラックスの組成と添加量、及び、酸化鉄の添加量を表4に示す。

0038

上記実験の結果を図4に示す。図4からわかる如く、MgO 濃度(フラックス中のMgO の濃度)が0質量%、3.5 質量%、7質量%の場合において脱りん速度に大きな差がなく、いずれの場合も初期の脱りん速度および最終脱りん率が極めて高い。これは、MgO がスラグ中に単体(MgO )またはカルシウムシリケート相との置換反応により2CaO・MgO ・2SiO2 や3CaO・MgO ・2SiO2 として晶出するために C2F(2CaO・Fe2O3)の量に影響を与えないためである。しかしながら、MgO 量が多くなれば、相対的にCaO 濃度が低下するため、同じ脱りん能を得ようとすると脱りん剤の原単位が大きくなり、処理時間の延長溶銑温度の低下という支障が発生する。これはMgO 濃度が15質量%超の場合に発生するので、MgO 濃度は15質量%以下とすることが望ましく、更には10質量%以下とすることが一層望ましい。

0039

かかる点から、本発明の第4発明に係る溶銑脱りん処理方法は、前記第1、第2又は第3発明での原料におけるMgO 濃度が15質量%以下であることとした。なお、前記原料におけるMgO 濃度は10質量%以下であるようにすることがさらに望ましい。

0040

本発明において、CaO 及び酸化鉄を含む原料であってカルシウム・フェライトの比率が15質量%以上の原料を脱りん成分として利用して溶銑を脱りん処理するが、この際、上記原料以外に酸化鉄や生石灰(CaO )等の脱りん剤を添加することができる。カルシウム・フェライトの比率は、上記原料でのカルシウム・フェライトの比率であり、上記原料以外に生石灰(CaO )等の脱りん剤を添加する場合においては、上記原料と上記原料以外の脱りん剤等の添加材との合計量に対するカルシウム・フェライトの比率ではなく、これらから上記原料以外の脱りん剤等の添加材を除いたもの(即ち、上記原料)でのカルシウム・フェライトの比率である。即ち、上記原料以外に生石灰(CaO )等の脱りん剤を添加する場合においても、上記原料としてカルシウム・フェライトの比率が15質量%以上のものを用いる。

0041

このように上記原料以外に生石灰(CaO )等の脱りん剤を添加する場合において、本発明の第2発明での原料におけるT.Fe量(5質量%以上)および塩基度(3.0 以上)は上記原料での値であり、第3発明での原料におけるP2O5濃度(5質量%以下)も第4発明での原料におけるMgO 濃度(15質量%以下)も上記原料での値である。

0042

前記原料(CaO 及び酸化鉄を含む原料であってカルシウム・フェライトの比率が15質量%以上の原料)として、その種類は特には限定されず、種々のものを使用することができ、例えば転炉スラグを用いることができる(第5発明)。転炉スラグにおいては、カルシウム・フェライト相としてはダイカルシウム・フェライト(2CaO・Fe2O3)は認められるが、モノカルシウム・フェライト(CaO・Fe2O3)は殆ど認められない。転炉スラグにおけるダイカルシウム・フェライトの量は、転炉スラグの組成、即ち、転炉での生石灰原単位等の吹練条件等によって相違するが、ダイカルシウム・フェライト相の比率が15質量%以上のものも20質量%以上のものもある。この量はスラグ組成の分析によって推定することができる。

0043

本発明において、T.Feとはトータル鉄のことである。T.Fe量は、FeO 、Fe2O3等の鉄の酸化物鉄基準の量、即ち、鉄の酸化物をFeの量でみた量である。例えば、1000g の原料中に1モルのFeO (分子量=56+16=72g)と1モルのFe2O3(分子量=56×2 +16×3 =160g)とが含まれている場合、T.Fe量は(56+56×2)×100 /1000=16.8質量%となる。

0044

本発明の実施例及び比較例を以下説明する。尚、本発明はこの実施例に限定されるものではない。

0045

(比較例1)高炉鋳床上で溶銑の脱珪処理を行った後、この溶銑(280トン)を混銑車に受銑した。次に、この溶銑上の脱珪スラグスラグドラッガーで除去した後、下記の如き溶銑の脱りん処理を施した。この脱りん処理前の溶銑中P濃度は0.081 質量%、Si濃度は0.18質量%であった。

0046

CaO および酸化鉄を含む原料として転炉スラグ粉(転炉スラグを粉体にしたもの)を用いた。この転炉スラグ粉と、生石灰粉螢石粉および鉄鉱石粉の混合物を、溶銑中に浸漬したランスから10Nm3 /分の窒素ガスと共に吹き込み、脱りん処理を行った。また、脱りん処理中には、水冷式のランスから溶銑上に酸素ガスを吹きつけた。このとき、転炉スラグにはダイカルシウム・フェライト(2CaO・Fe2O3)相が含まれているが、その含有量は少なく、転炉スラグ中のダイカルシウム・フェライト相の比率は8質量%であり、これは本発明の第1発明での原料に係る要件を満たしていない。脱りん処理に使用した各原料の量(溶銑1トン当たりの量)は、転炉スラグ粉については20kg/溶銑1トン(以下、tという)、生石灰粉については8kg/溶銑1t、螢石粉については0.8kg /溶銑1t、鉄鉱石粉については8.1kg /溶銑1tであり、酸素ガスの使用量は2.4Nm3/溶銑1tである。

0047

上記脱りん処理後の溶銑中P濃度は0.041 質量%であった。

0048

(比較例2)転炉スラグとしてダイカルシウム・フェライト相の量が比較例1の場合よりは少し多いものを用い、転炉スラグ中のダイカルシウム・フェライト相の比率が13質量%のものを用いた。この点を除き、比較例1の場合と同様の方法により、脱りん処理を行った。

0049

脱りん処理後の溶銑中P濃度は0.038 質量%であった。

0050

(実施例1)高炉鋳床上で溶銑の脱珪処理を行った後、この溶銑(280 t)を混銑車に受銑した。次に、この溶銑上の脱珪スラグをスラグドラッガーで除去した後、下記の如き溶銑の脱りん処理を施した。この脱りん処理前の溶銑中P濃度は0.082 質量%、Si濃度は0.19質量%であった。

0051

CaO 及び酸化鉄を含む原料として、転炉スラグ粉を用いた。この転炉スラグ粉と、生石灰粉、螢石粉及び鉄鉱石粉の混合物を、溶銑中に浸漬したランスから10Nm3 /分の窒素ガスと共に吹き込み、脱りん処理を行った。また、脱りん処理中には、水冷式のランスから溶銑上に酸素ガスを吹きつけた。このとき、転炉スラグにはダイカルシウム・フェライト(2CaO・Fe2O3)相が含まれており、その含有量は比較的多く、転炉スラグ中のダイカルシウム・フェライト相の比率は15質量%であり、これは本発明の第1発明での原料に係る要件を満たしている。脱りん処理に使用した各原料の量は、前記比較例1の場合と同様であり、転炉スラグ粉については20kg/溶銑1t、生石灰粉については8kg/溶銑1t、螢石粉については0.8kg /溶銑1t、鉄鉱石粉については8.1kg /溶銑1tであり、酸素ガスの使用量は2.4Nm3/溶銑1tである。

0052

上記脱りん処理後の溶銑中P濃度は0.022 質量%であった。従って、実施例1の場合は、比較例1及び2の場合に比較し、脱りん効率が高い。

0053

(実施例2)転炉スラグとしてダイカルシウム・フェライト相の量が実施例1の場合よりも多いものを用い、転炉スラグ中のダイカルシウム・フェライト相の比率が20質量%のものを用いた。この点を除き、実施例1の場合と同様の方法により、脱りん処理を行った。なお、上記転炉スラグは本発明の第1発明での原料に係る要件を満たしている。

0054

脱りん処理後の溶銑中P濃度は0.019 質量%であった。従って、実施例2の場合は、実施例1の場合よりも脱りん効率が高い。

0055

(実施例3)転炉スラグとしてダイカルシウム・フェライト相の量が実施例2の場合よりも多いものを用い、転炉スラグ中でのダイカルシウム・フェライト相の比率が30質量%のものを用いた。この点を除き、実施例1の場合と同様の方法により、脱りん処理を行った。なお、上記転炉スラグは本発明の第1発明での原料に係る要件を満たしている。

0056

脱りん処理後の溶銑中P濃度は0.016 質量%であった。従って、実施例3の場合は、実施例2の場合よりも脱りん効率が高い。

0057

(比較例3)高炉鋳床上で溶銑の脱珪処理を行った後、この溶銑(約280 t)を混銑車に受銑した。次に、この溶銑上の脱珪スラグをスラグドラッガーにて除去した後、転炉スラグ粉、生石灰粉、螢石粉および鉄鉱石粉の混合物を、溶銑中に浸漬したランスから10Nm3 /分の窒素ガスと共に吹き込み、脱りん処理を行った。また、脱りん処理中には、水冷式のランスから溶銑上に酸素ガスを吹きつけた。

0058

このとき、転炉スラグの組成は、CaO =45質量%、SiO2=20質量%、T.Fe=4.3 量%、P2O5=2.0 質量%、MgO =7.0 質量%である。転炉スラグでの塩基度は(%CaO )/(%SiO2)=2.25である。脱りん処理前の溶銑中P濃度は0.081 質量%、Si濃度は0.19質量%であった。脱りん処理に使用した各原料の量は、転炉スラグ粉については20kg/溶銑1t、生石灰粉については8kg/溶銑1t、螢石粉については0.8kg /溶銑1t、鉄鉱石粉については8.1kg /溶銑1tであり、酸素ガスの使用量は2.4Nm3/溶銑1tである。転炉スラグの塩基度=(%CaO )/(%SiO2)は2.25、T.Feは4.3 であり、本発明の第2発明での原料に係る要件を満たしていない。なお、この比較例3の場合、本発明の第1発明での原料に係る要件も満たしていない。

0059

上記脱りん処理後の溶銑中P濃度は、0.041 質量%であった。

0060

(実施例4)転炉スラグとして、組成がCaO =51質量%、SiO2=17質量%、T.Fe=5.0 質量%、P2O5=2.1 質量%、MgO =7.2 質量%であり、転炉スラグでの塩基度が3.0、T.Feが5.0 のものを用いた。この点を除き、比較例3の場合と同様の方法により、脱りん処理を行った。なお、この転炉スラグは、本発明の第2発明での原料に係る要件を満たしており、また、本発明の第1発明での原料に係る要件も満たしている。

0061

上記脱りん処理後の溶銑中P濃度は0.021 質量%であった。従って、実施例4の場合は、比較例3の場合に比較し、脱りん効率が高い。

0062

(実施例5)転炉スラグとして、組成がCaO =50質量%、SiO2=14質量%、T.Fe=8.3 質量%、P2O5=2.1 質量%、MgO =7.3 質量%であり、転炉スラグでの塩基度が3.6のものを用いた。この点を除き、実施例4の場合と同様の方法により、脱りん処理を行った。なお、この転炉スラグは、本発明の第2発明での原料に係る要件を満たしており、また、本発明の第1発明での原料に係る要件も満たしている。

0063

脱りん処理後の溶銑中P濃度は0.018 質量%であった。従って、実施例5の場合は、実施例4の場合よりも脱りん効率が高い。

0064

(実施例6)転炉スラグとして、組成がCaO =48質量%、SiO2=12質量%、T.Fe=9.5 質量%、P2O5=5.5 質量%、MgO =16.5質量%であり、転炉スラグでの塩基度が4.1のものを用いた。この点を除き、実施例5の場合と同様の方法により、脱りん処理を行った。なお、この転炉スラグは、本発明の第2発明での原料に係る要件を満たしており、また、第1発明での原料に係る要件も満たしている。

0065

脱りん処理後の溶銑中P濃度は0.016 質量%であった。従って、実施例6の場合は、実施例5の場合よりも脱りん効率が高い。

0066

(比較例4)高炉鋳床上で溶銑の脱珪処理を行った後、この溶銑(約280 t)を混銑車に受銑した。次に、この溶銑上の脱珪スラグをスラグドラッガーにて除去した後、転炉スラグ粉、生石灰粉、螢石粉および鉄鉱石粉の混合物を、溶銑中に浸漬したランスから10Nm3 /分の窒素ガスと共に吹き込み、脱りん処理を行った。また、脱りん処理中には、水冷式のランスから溶銑上に酸素ガスを吹きつけた。

0067

このとき、転炉スラグの組成は、CaO =45質量%、SiO2=20質量%、T.Fe=9.5 質量%、P2O5=2質量%、MgO =6質量%である。転炉スラグにおける塩基度は(%CaO )/(%SiO2)=2.25である。脱りん処理前の溶銑中P濃度及びSi濃度、脱りん処理に使用した各原料の量、酸素ガスの使用量は、表5に示す通りである。この転炉スラグは、本発明の第2発明での原料に係る要件を満たしていない。なお、この比較例4の場合、本発明の第1発明での原料に係る要件も満たしていない。

0068

上記脱りん処理後の溶銑中P濃度は、表5に示す如く、比較例4のAでは0.035 質量%、比較例4のBでは0.037 質量%であった。

0069

(実施例7)高炉鋳床上で溶銑の脱珪処理を行った後、この溶銑(約280 t)を混銑車に受銑した。次に、この溶銑上の脱珪スラグをスラグドラッガーにて除去した後、転炉スラグ粉、生石灰粉、螢石粉および鉄鉱石粉の混合物を、溶銑中に浸漬したランスから10Nm3 /分の窒素ガスと共に吹き込み、脱りん処理を行った。また、脱りん処理中には、水冷式のランスから溶銑上に酸素ガスを吹きつけた。

0070

このとき、転炉スラグの組成は、CaO =53質量%、SiO2=13質量%、T.Fe=9.5 質量%、P2O5=2質量%、MgO =6質量%である。転炉スラグでの塩基度は(%CaO )/(%SiO2)=4.1 である。脱りん処理前の溶銑中P濃度及びSi濃度、脱りん処理に使用した各原料の量、酸素ガスの使用量は、表5に示す通りである。なお、この転炉スラグは、本発明の第3発明および第4発明での原料に係る要件を満たしている。

0071

上記脱りん処理後の溶銑中P濃度は、表5に示す如く、実施例7のAでは0.010 質量%、実施例7のBでは0.012 質量%であった。従って、実施例7の場合は、比較例4の場合に比較し、脱りん効率が極めて高い。

0072

また、実施例7の場合、実施例6の場合と比較すると、転炉スラグの塩基度およびT.Feは同様の水準であるが、P2O5及びMgO の濃度が少ないので、脱りん効率が高い。

0073

尚、上記実施例7においてはP2O5は2質量%、MgO は6質量%であり、本発明の第3発明および第4発明での原料に係る要件を満たしているが、P2O5濃度の方を5質量%超(例えば7質量%)とした場合も、MgO 濃度の方を15質量%超(例えば18質量%)とした場合も、上記実施例7の場合に比較すると脱りん効率が少し低下するものの、実施例6の場合と比較すると、脱りん効率が高く、優れていた。

0074

0075

0076

0077

0078

発明の効果

0079

本発明に係る溶銑脱りん処理方法によれば、CaO 及び酸化鉄を含む原料を脱りん成分として利用して溶銑を脱りん処理するに際し、脱りん効率の向上をはかることができるようになる。ひいては、脱りん剤としての生石灰原単位を低減することができるようになる。また、脱りん剤全体の原単位を低減することができ、これにより、脱りん処理中の溶銑温度低下を抑制することができ、熱的損失の低減も可能となる。

図面の簡単な説明

0080

図1フラックス添加からの時間と溶銑中P濃度:[P] の関係を示す図であり、脱りん能に及ぼすフラックス中の鉱物相の影響を説明する図である。
図2フラックス添加からの時間と溶銑中P濃度:[P] の関係を示す図であり、脱りん能に及ぼすフラックス中のC2F 濃度の影響を説明する図である。
図3フラックス添加からの時間と溶銑中P濃度:[P] の関係を示す図であり、脱りん能に及ぼすフラックス中のP2O5濃度(P2O5濃度)の影響を説明する図である。
図4フラックス添加からの時間と溶銑中P濃度:[P] の関係を示す図であり、脱りん能に及ぼすフラックス中のMgO 濃度の影響を説明する図である。

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