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技術 Gタンパク質共役受容体ファミリーのポリペプチドまたはそれらをコードする核酸、および障害、例えば皮膚障害の診断または治療のためのそれらの使用、および薬理学的活性物質の同定のためのそれらの使用

出願人 スウィッチ・バイオテック・アクチェンゲゼルシャフト
発明者 エックハルト・ヴォルフザビーネ・ヴェルナーイェルン-ペーター・ハレヨハネス・レーゲンボーゲンアンドレアス・ゴッペルト
出願日 2001年8月3日 (19年4ヶ月経過) 出願番号 2001-235814
公開日 2003年1月7日 (17年11ヶ月経過) 公開番号 2003-000267
状態 未査定
技術分野 家畜、動物の飼育(3)(その他の飼育) 動物の育種及び生殖細胞操作による繁殖 生物学的材料の調査,分析 特有な方法による材料の調査、分析 突然変異または遺伝子工学 酵素、微生物を含む測定、試験 微生物による化合物の製造 微生物、その培養処理 蛋白脂質酵素含有:その他の医薬 他の有機化合物及び無機化合物含有医薬 動物,微生物物質含有医薬 化合物または医薬の治療活性 非環式または炭素環式化合物含有医薬 ペプチド又は蛋白質
主要キーワード アンカー類 付け札 配置物 セットオフ 移動指数 有機質分 有効電荷 分析予定
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2003年1月7日)のものです。
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図面 (8)

課題

皮膚細胞障害、および/または創傷治療および/またはその病理学的障害におけるプロセスに関与し、そしてそれらの使用が当該診断、予防、および/または治療を、さらにまた、それらの障害に関連して有効な医薬品の同定および開発を決定的に改善する。Gタンパク質共役受容体スーパーファミリーの新しいポリペプチド類およびそれらをコードする核酸類利用可能にすること。

解決手段

Gタンパク質共役受容体のファミリーポリペプチドまたは当該ポリペプチドをコードする核酸、および、障害、例えば皮膚障害の予防、診断および/または治療、および/または創傷治癒および/またはその病理学的障害における診断および/または治療のための、および/または薬理学的活性物質の同定のための、それらの使用。

概要

背景

概要

皮膚細胞障害、および/または創傷治療および/またはその病理学的障害におけるプロセスに関与し、そしてそれらの使用が当該診断、予防、および/または治療を、さらにまた、それらの障害に関連して有効な医薬品の同定および開発を決定的に改善する。Gタンパク質共役受容体スーパーファミリーの新しいポリペプチド類およびそれらをコードする核酸類利用可能にすること。

Gタンパク質共役受容体のファミリーポリペプチドまたは当該ポリペプチドをコードする核酸、および、障害、例えば皮膚障害の予防、診断および/または治療、および/または創傷治癒および/またはその病理学的障害における診断および/または治療のための、および/または薬理学的活性物質の同定のための、それらの使用。

目的

効果

実績

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請求項1

列番号1から配列番号3で示されるGタンパク質共役受容体ポリペプチド

請求項2

ポリペプチド融合タンパク質である、請求項1のポリペプチド。

請求項3

請求項1または2のポリペプチドをコードする核酸

請求項4

請求項3の核酸であって、当該核酸が、ノックアウト遺伝子構築体発現構築体中に、またはプラスミド類、シャトルベクター類、ファージミド類、コスミド類、発現ベクター類、または遺伝子治療に適用できるベクター類から成る群より選択されるベクター中に含まれる、前記核酸。

請求項5

請求項3の核酸を含む、または請求項4のベクター、ノックアウト遺伝子構築体または発現構築体で形質転換された、細胞

請求項6

請求項5の細胞であって、当該細胞が、他家または自家細胞、好ましくは皮膚細胞ケラチノサイト繊維芽細胞または内皮細胞である、前記細胞。

請求項7

導入遺伝子胚性非ヒト幹細胞であって、当該幹細胞が、請求項3の核酸を、好ましくは請求項4のベクター、ノックアウト遺伝子構築体または発現構築体の形で含む、前記細胞。

請求項8

トランスジェニック非ヒト哺乳動物であって、そのゲノムが、請求項3の核酸を、好ましくは請求項4のベクター、ノックアウト遺伝子構築体または発現構築体の形で含む、前記哺乳動物

請求項9

抗体または抗体フラグメントであって、当該抗体または抗体フラグメントが、請求項1または2のいずれか一つのポリペプチドに対する、または請求項3または4のいずれか一つの核酸に対して向けられた、前記抗体または抗体フラグメント。

請求項10

薬理学的活性物質類の同定のためのテストであって、当該テストが、請求項1または2のいずれか一つの少なくとも一つのポリペプチド、および/または当該ポリペプチドをコードする少なくとも一つの核酸、および/または当該ポリペプチドに対して向けられた少なくとも一つの抗体または抗体フラグメント、および/または当該ポリペプチドまたは当該ポリペプチドをコードする核酸を発現する少なくとも一つの細胞、および/または当該ポリペプチドをコードする核酸を含む少なくとも一つのトランスジェニック非ヒト哺乳動物を、場合により適当な添加物類または助剤類組合わせるかまたは一緒に含む、前記テスト。

請求項11

請求項10のテストであって、請求項1または2のいずれか一つの少なくとも一つのポリペプチド、および/または当該ポリペプチドをコードする少なくとも一つの核酸、および/または当該ポリペプチドに対して向けられた少なくとも一つの抗体または抗体フラグメント、および/または当該ポリペプチドまたは当該ポリペプチドをコードする核酸を発現する少なくとも一つの細胞が、固相に結合されている、前記テスト。

請求項12

担体材料に固定されているアレイであって、当該アレイが、請求項1または2のいずれか一つの少なくとも一つのポリペプチド、および/または当該ポリペプチドをコードする少なくとも一つの核酸、および/または当該ポリペプチドに対して向けられた少なくとも一つの抗体または抗体フラグメント、および/または当該ポリペプチドまたは当該ポリペプチドをコードする核酸を発現する少なくとも一つの細胞を含む、前記アレイ。

請求項13

診断薬であって、請求項1または2のいずれか一つの少なくとも一つのポリペプチド、および/または当該ポリペプチドをコードする少なくとも一つの核酸、および/または当該ポリペプチドに対して向けられた少なくとも一つの抗体または抗体フラグメント、および/または当該ポリペプチドまたは当該ポリペプチドをコードする核酸を発現する少なくとも一つの細胞を、場合により適当な添加物類または助剤類と組合わせるかまたは一緒に含む、前記診断薬。

請求項14

プローブ、好ましくはDNAプローブを含む、請求項13の診断薬。

請求項15

請求項1または2のいずれか一つの少なくとも一つのポリペプチド、および/または当該ポリペプチドをコードする少なくとも一つの核酸、および/または当該ポリペプチドに対して向けられた少なくとも一つの抗体または抗体フラグメント、および/または当該ポリペプチドまたは当該ポリペプチドをコードする核酸を発現する少なくとも一つの細胞を、場合により適当な添加物類または助剤類と組合わせるかまたは一緒に含む、医薬品。

請求項16

皮膚障害診断および/または予防および/または治療のための、および/または創傷治癒および/または創傷治癒の障害の治療のための、医薬調製物の産生のために、請求項1または2のいずれか一つの少なくとも一つのポリペプチド、および/または当該ポリペプチドをコードする少なくとも一つの核酸、および/または当該ポリペプチドに対して向けられた少なくとも一つの抗体または抗体フラグメント、および/または当該ポリペプチドまたは当該ポリペプチドをコードする核酸を発現する少なくとも一つの細胞を、使う方法。

請求項17

ポリペプチドを産生する方法であって、請求項1または2のいずれかの核酸が、適当な細胞そして、もし適切であれば、分離された細胞中で発現される、前記方法。

請求項18

導入遺伝子非ヒト哺乳動物を産生する方法であって、請求項7のトランスジェニック胚性非ヒト幹細胞が、トランスジェニック非ヒト哺乳動物へ再生される、前記方法。

請求項19

抗体または抗体フラグメント、好ましくはポリクローナルまたはモノクローナル抗体または抗体フラグメントを産生する方法であって、抗体産生生物が請求項1または2のいずれか一つのポリペプチドで、または当該ポリペプチドをコードする核酸で免疫される、前記方法。

請求項20

診断薬または医薬品を産生する方法であって、請求項1または2のいずれか一つの少なくとも一つのポリペプチド、および/または当該ポリペプチドをコードする少なくとも一つの核酸、および/または当該ポリペプチドに対して向けられた少なくとも一つの抗体または抗体フラグメント、および/または当該ポリペプチドまたは当該ポリペプチドをコードする核酸を発現する少なくとも一つの細胞が、適当な添加物類または助剤類と組合わせられている、前記方法。

請求項21

担体材料に固定されているアレイを産生する方法であって、請求項1または2のいずれか一つの少なくとも一つのポリペプチド、および/または当該ポリペプチドをコードする少なくとも一つの核酸、および/または当該ポリペプチドに対して向けられた少なくとも一つの抗体または抗体フラグメント、および/または当該ポリペプチドまたは当該ポリペプチドをコードする核酸を発現する少なくとも一つの細胞が、前記担体材料に固定される、前記方法。

請求項22

疾患類、好ましくは皮膚疾患類、創傷治癒および/または創傷治癒の障害類に関連する、薬理学的活性物質類の同定のために、請求項10または11のいずれか一つのテストを使う方法。

請求項23

疾患類、好ましくは皮膚疾患類、創傷治癒および/または創傷治癒の障害類の分析および/または診断のために、請求項12のアレイを使う方法。

請求項24

皮膚疾患類の診断、予防および/または治療のために、および/または創傷治癒および/または創傷治癒の障害類の診断および/または治療のために、配列番号4の配列を有するGタンパク質共役受容体ポリペプチド、および/または当該ポリペプチドをコードする核酸、および/または当該ポリペプチドに対して向けられた抗体または抗体フラグメント、および/または当該ポリペプチドまたは当該ポリペプチドをコードする核酸を含む細胞、および/または当該ポリペプチドを含む一つの融合タンパク質を使う方法。

請求項25

皮膚疾患類、創傷治癒および/または創傷治癒の障害類に関連する、薬理学的活性物質類の同定のために、配列番号4の配列を有するGタンパク質共役受容体ポリペプチド、および/または当該ポリペプチドをコードする核酸、および/または当該ポリペプチドに対して向けられた抗体または抗体フラグメント、および/または当該ポリペプチドまたは当該ポリペプチドをコードする核酸を含む細胞、および/または当該ポリペプチドを含む融合タンパク質を使う方法。

請求項26

皮膚疾患類、創傷治癒および/または創傷治癒の障害類に関連する薬理学的活性物質類の同定のためのテストの構築のために、配列番号4の配列を有するGタンパク質共役受容体ポリペプチド、および/または当該ポリペプチドをコードする核酸、および/または当該ポリペプチドに対して向けられた抗体または抗体フラグメント、および/または当該ポリペプチドまたは当該ポリペプチドをコードする核酸を含む細胞、および/または当該ポリペプチドを含む融合タンパク質を使う方法。

請求項27

請求項26の使用方法であって、当該テストを構築するために、配列番号4の配列を有するポリペプチド、および/または当該ポリペプチドをコードする核酸、および/または当該ポリペプチドに対して向けられた抗体または抗体フラグメント、および/または当該ポリペプチドを含む融合タンパク質、および/または当該ポリペプチドまたは当該ポリペプチドをコードする核酸を発現する細胞が、固相に結合される、前記方法。

請求項28

皮膚疾患類、創傷治癒および/または創傷治癒の障害類の分析のために担体材料に固定されたアレイの産生のために、配列番号4の配列を有するGタンパク質共役受容体ポリペプチド、および/または当該ポリペプチドをコードする核酸、および/または当該ポリペプチドに対して向けられた抗体または抗体フラグメント、および/または当該ポリペプチドを含む融合タンパク質、および/または当該ポリペプチドまたは当該ポリペプチドをコードする核酸を発現する細胞を使う方法。

請求項29

請求項24から28のいずれか一つの使用方法であって、当該核酸が、ノックアウト遺伝子構築体、発現構築体中に、またはプラスミド、シャトルベクター、ファージミド、コスミド、発現ベクターからなる群から選択される遺伝子治療に適用できるベクター中に含まれる、前記方法。

請求項30

請求項24から29のいずれか一つの使用方法であって、当該細胞が、他家または自家細胞、好ましくは皮膚細胞、ケラチノサイト、繊維芽細胞または内皮細胞である、前記方法。

請求項31

医薬品および/または診断薬の製造のために、請求項10のテストを介して同定された薬理学的活性物質類を使う方法であって、少なくとも一つの薬理学的活性物質が、適当な助剤類および/または添加物類と組合わされている、前記方法。

請求項32

疾患類、特に皮膚の疾患類の診断、予防、および/または治療のために、および創傷治癒および/または創傷治癒の障害類の診断および/または治療のために、請求項10にのテストを介して同定された薬理学的活性物質類を使う方法。

請求項33

請求項16および22から32の少なくとも一つの使用方法であって、創傷治癒の障害が皮膚の潰瘍、好ましくは静脈潰瘍である、前記方法。

請求項34

請求項16および22から32の少なくとも一つの使用方法であって、当該皮膚疾患が乾癬である、前記方法。

AGGTAGGCCGTGTGCACTGT 20

0001

本発明は、Gタンパク質共役受容体類のファミリーポリペプチド類またはそれらをコードする核酸類および障害、例えば、皮膚障害診断、予防および/または治療、および/または創傷治癒および/またはその病理学的障害における診断および/または治療のためおよび薬理学的活性物質類の同定のためのそれらの使用、に関する。

0002

創傷は一般には治療処置をしなくても治癒する。しかし、創傷治癒が問題になる障害も多く、例えば、糖尿病動脈閉鎖性疾患、乾癬クローン病表皮水庖症、年令関連皮膚変化または神経支配障害などである。創傷治癒障害は、創傷の治癒遅延または慢性創傷を起す。これらの障害は、当該創傷生成の性質(例えば、広域創傷、深くかつ機械的に拡張された手術創傷、火傷外傷褥瘡)、患者医薬処置(例えば、コルチコイド類による)に起因する可能性もあるが、その基になる障害そのものの性質による可能性もある。例えば、II型糖尿病の患者の25%程もしばしば、慢性潰瘍(「糖尿病足」)に罹っており、その約半数費用の嵩む入院治療が必要で、しかも完治する比率は低い。糖尿病足は、糖尿病に関連する他の合併症のどれよりも入院期間が長くなる。IおよびII型糖尿病におけるそれらの症例の数は、増加傾向にあり、全入院患者の2.5%に当る。さらに、高齢な患者ほど、創傷は治りにくい。例えば、細菌感染の危険の低減あるいは患者の安静期間の短縮のためにも、自然創傷治癒プロセス加速は望ましいことが多い。

0003

創傷閉鎖が成功した後でも、さらに創傷治癒障害が生じることもある。胎児皮膚創傷瘢痕形成を伴わずに治癒するが、生後の損傷の後には、瘢痕が常に生じ、美容上大きな問題になることがよくある。広域火傷を受けた患者の場合、特に瘢痕皮膚では、毛包汗腺脂腺のような付属器が失われているので、生命の質がさらに劇的に悪影響を受けることもある。遺伝的体質によっては、周囲の皮膚へ拡大する肥大性の瘢痕であるケロイドが生じることもある。

0004

皮膚治癒のプロセスは、調和的に進行するさまざまなタイプの細胞の複雑な作用および相互作用を必要とする。創傷治癒プロセスでは、次の段階が区別される:創傷領野における血液の凝固炎症性細胞動員上皮再形成顆粒組織の形成およびマトリックス再構築である。増殖、移動(migration)、マトリックス合成および収縮のそれぞれの相で関与する細胞型の正確な反応パターンは、例えば、増殖因子類、受容体類およびマトリックスタンパク質類のような遺伝子類の調節によく似ているが、これまでのところあまりわかっていない。

0005

このように、創傷治癒障害を調停できる満足な療法は、これまでにごく僅かしか開発されていない。確立された形の療法は、創傷治癒の物理補助(例えば、包帯湿布ゲル剤)または皮膚組織培養皮膚細胞および/またはマトリックスタンパク質の移植に限られている。近年、増殖因子類が創傷治癒の改善にテストされたが、従来の療法を決定的に改善するには至らなかった。創傷治癒障害の診断は、創傷治癒中の遺伝子調節の理解がこれまで十分でなかったため、それほど意味があるとは思われない皮膚の光学分析にも基づいている。

0006

再生プロセスの他の障害についても十分満足できる療法は、今のところ開発されていない。ここでも、遺伝子調節の知識は、診断および治療法の開発に有益である。創傷治癒に関連する遺伝子類も、皮膚の再生の障害に基づく皮膚障害で、そして一般的には再生プロセスで、決定的な役割を演じていることが明らかにされている(Finchら,1997,Am.J.Pathol.151:1619−28;Werner,1998,Cytokine Growth Factor Rev.9:153−165)。このように増殖因子KGFは、創傷治癒中のケラチノサイトの増殖および分化の調節に決定的な役割をしているだけでなく、乾癬におけるケラチノサイトの増殖過多の重要な因子でもある。

0007

創傷治癒の調整および創傷治癒障害の治療の新しい可能性が、創傷治癒に関連したGタンパク質共役受容体(GPCR)の研究を通じて開けつつある。従来最大の既知受容体ファミリーを構成するGPCRのスーパーファミリーは、高い疎水性の、それぞれ20−30のアミノ酸鎖長の七つの高度に保存された特有配列モチーフをもつのが特徴である(Probstら,1992,DNA andCell Biol.,11:1−20;Flower,1999,Biochem.Biophys.Acta,1422:207−234)。シグナル伝達は、通常、ヘテロ三量体Gタンパク質類を介して果されるが、それらのタンパク質は、cAMPcGMPジアシルグリセロールまたはイノシトール−1,4,5−トリホスフェートのような第二メッセンジャー類を調節する(WatsonおよびArkinstall(Hrsg.),1999,The G−Protein Receptors Facts Book,AcademicPress,New York)。しかし、MAPキナーゼ類を活性化することも可能である(Lefkowitz,1998,J.Biol.Chem.,273:18677−18680)。GPCR類に影響する刺激は、光、臭気物質神経調節物質から各種のホルモンに及ぶ広いスペクトルを含み(Lernerら,1993,Ciba Found.Symp.,179:76−87)、そのことはGPCR類の医学重要性を説明している。現代全医薬品の50%以上がGPCR類に影響を与えると推定されている(Gudermannら,1995,J.Mol.Med.73:51−63)。これまでに同定された医薬品は、例えば、ゴナドトロピン放出ホルモン受容体の調整(modulation)に集中しており、それにより、前立腺および乳房癌腫だけでなく子宮内膜症および思春期早期開始の治療を可能にするものである(Paceら,1992,Am.Fam.Physician,44,1777−1782)。一方、心臓のα−アドレナリン作動性受容体類の拮抗薬であるプロパノロールは、高血圧狭心症および心因性障害の治療に使われる(NaceおよびWood,1987,Clin.Pharmacokinet.13:51−64;AnanthおよびLin,1986,Neuropsychobiology,15:20−27)。β2−アドレナリン作動性受容体の拮抗薬であるメタプロテレノールは、気管支の拡張に適用される(Hurst,1973,Ann.Allergy,31:460−466)。

0008

しかしGPCR類の作用薬または拮抗薬は創傷治癒プロセスでは稀にしか使われない。ヒスタミン2受容体の一つの拮抗薬は、例えば、潰瘍および特発性じんま疹の治療に用いられる可能性がある(Sontagら,1984,N.Engl.J.Med.,311:689−693;ChoyおよびMiddleton,1991,DICP,25:609−612)。さらに、「プロテアーゼ活性化受容体3タンパク質類」(米国特許第5,892,014号)、ヌクレオチド受容体類(国際特許出願公開WO 98/32429;国際特許出願公開WO94/23723)、アンギオテンシン受容体類(国際特許出願公開WO 98/33813)、CCR−5受容体(国際特許出願公開WO 98/30218)およびトロンボキサンA2受容体(米国特許第4,851,413号)は、創傷治癒の調整および/または創傷治癒障害における治療の有望なターゲットとして記載されている。遺伝子ファミリーPF4AR(IL−8)のGPCRに対して向けられた抗体類は、皮膚(米国特許第5776457号)および創傷治癒(米国特許第6087475号)の炎症性容態の診断および治療と関連づけられている。しかしここで特許請求されている発明は、肺組織を使った実験(米国特許第5776457号)または好中性顆粒球を使った抗体の性状分析の実験(米国特許第6087475号)から得られた実験データにのみ基づいている。米国特許第6025154号は、Gタンパク質ケモカイン受容体ポリペプチドを記載しており、そして、Gタンパク質ケモカイン受容体ポリペプチド類と相互作用する物質を使って診断または治療が可能な多くの疾患の中に創傷治癒も挙げている。(米国特許第6087475号、米国特許第5776457号、米国特許第6025154号)に特許請求されている配列は、本発明に従うポリペプチド類および核酸類と有意な配列同一性を全く示さない。GPCR類の多様性およびそれらのGPCR類により制御される生理的プロセスのために、あるGPCRがGタンパク質共役受容体のスーパーファミリーのメンバーであるという事実だけに基づいて、あるGPCRの機能を予測することはできないので、皮膚障害または創傷治癒の診断および治療のための1遺伝子ファミリーのあるGPCRの有用性から、同一疾患類の診断および治療のために遠縁の遺伝子ファミリーのあるGPCRの有用性を、当業者推論するのは有望な戦略ではない。

0009

ヒトに1000から2000が存在する嗅覚GPCR類を除けば、GPCRスーパーファミリーの数百メンバーが、現時点で同定されている(Flower,Biochem.Biophys.Acta,1999,1422:207−234)。それらの受容体類の80以上は、まだリガンド割当られていない、いわゆる「オーファン孤児)」受容体類に属する(Marcheseら,1999,Trendsin Pharmacol.Sci.20:370−375)。障害と関連させたオーファン受容体類の同定および分析を介して、それらの障害の治療のための新たな可能性が開けた(Marcheseら、上記参照)が、それは特に、GPCR類の拮抗薬および作用薬を選抜するための多数の特殊な方法が利用できるからである(Lernerら、上記参照;国際特許出願公開WO 96/41169;米国特許第5,482,835号;国際特許出願公開WO 99/06535;欧州特許第0 939 902号;国際特許出願公開WO 99/66326;国際特許出願公開WO 98/34948;欧州特許第0 863 214号;米国特許第5,882,994号;米国特許第5,891,646号)。国際特許出願公開WO 99/41364は、「ヒーラー(治療師)」マウスの使用に基づく、創傷関連遺伝子類を同定する方法を開示している。特に、ヒーラーマウスは軟骨の迅速な治癒を特徴とするが、ヒーラーマウスが創傷治癒および皮膚の治癒の高進を示すかどうか、また従って、当該マウスが創傷治癒または皮膚障害に関係する遺伝子類の同定に適しているかどうかは、疑わしい。さらに、ヒーラーマウスでどの遺伝子類が突然変異してるのかは、わかっていない。表3および4(ページ44および45)に、ヒーラーマウスで影響を受けている多数の染色体遺伝子座を載せてある。それ故、ヒーラーマウスを使って同定された遺伝子類のディファレンシャル活性は、皮膚疾患または創傷治癒の病理学的プロセスとは違って、当該突然変異遺伝子類の作用を単に反映するだけと思われるので、同定された遺伝子類がヒトの創傷治癒または皮膚障害に重要かどうかは、疑問である。

0010

それ故、哺乳動物細胞の障害、例えば、皮膚細胞の障害、および/または創傷治癒および/またはその病理学的障害におけるプロセスに関与し、そしてそれらの使用が当該診断、予防、および/または治療を、さらにまた、それらの障害に関連して有効な医薬品の同定および開発を決定的に改善する、Gタンパク質共役受容体のスーパーファミリーの新しいポリペプチド類およびそれらをコードする核酸類を利用可能にすることが、本発明の目的である。

0011

創傷治癒プロセスの際の遺伝子発現の分析において、相互に相同的であり、Gタンパク質共役受容体のスーパーファミリー内で1遺伝子ファミリーを形成し、そしてオーファン受容体Mas(Youngら,1986,Cell,45:711−719)に、「ドーサルルート(背根)」GPCR受容体(国際特許出願公開WO 99/32519)に、そしてマウスERG9 GPCR(特開2000−023677号)に中程度の相同性、すなわち、ポリペプチド類の30から50%配列同一性を示す、これまで未知の遺伝子類を同定することが、意外にも可能であった。ヒトSW1695は、「IGS3 GPCR」と記載されている国際特許出願公開WO 200119983および「Ant GPCR」と記載されている国際特許出願公開WO 200116159から知られている。それに対して、マウスSW1695は新規で、そして例えば、マウスCanoMan GPCR(国際特許出願公開WO 200116177)に331個のアミノ酸の領域に亘ってアミノ酸のレベルで53%の配列同一性を示す。マウスSW1695のそれぞれIGS3およびAntに対する配列同一性は、314個のアミノ酸の領域に亘ってアミノ酸のレベルで53%である。ヒトSW1368のそれぞれIGS3およびAntに対する配列同一性は、285個のアミノ酸の領域に亘ってアミノ酸のレベルで43%であり、一方、マウスSW1368のそれぞれAntおよびIGS3に対する同一性は、306個のアミノ酸の領域に亘ってアミノ酸のレベルで50%である。

0012

IGS3およびAntポリペプチド類および当該ポリペプチド類をコードする核酸類の機能はわかっていない。Ant GPCRの場合その配列の起源および単離に関しては、当該生物(ヒト)について言及されているだけであるが、一方IGS3の場合、当該核酸配列が、ヒト起源重複ゲノム配列類の重ね合せにより明らかにされている。

0013

これら遺伝子の新しいポリペプチド類は、創傷治癒プロセスに必須で、そして疾患、特に皮膚細胞の疾患および/または創傷治癒および/またはその病理学的障害の治療のための新しい治療アプローチを提供する。公開データベース中に同一なものが証明できない本発明に従うポリペプチド類のポリペプチド配列およびそれらのcDNAsは、配列表中に載せてある(ポリペプチド配列:配列番号1から配列番号4、cDNA配列:配列番号5から配列番号8)。図5および図6は、SW1368(配列番号1および2)およびSW1695(配列番号3および4)のヒトおよびマウスポリペプチド配列の比較を示したものである。 本発明の目的は、配列番号1から配列番号4の一つに従う少なくとも一つのポリペプチドまたはその機能性バリアント類(変異体類)および/または当該ポリペプチドまたはそのバリアント類をコードする核酸類により、さらにまた、それらの障害、例えば、皮膚障害の診断、予防および/または治療、創傷治癒における診断および/または治療のための、および/または薬理学的活性物質類の同定のため、の使用により達成される。

0014

一般に、組織中でディファレンシャルに発現された遺伝子類の分析は、細胞培養系の分析より、偽陽性クローン類の形でのエラーによって顕著により多く影響される。この問題は、現行単細胞系が組織中の創傷治癒プロセスの複雑さを適切にシミュレートできないので、限定された細胞培養系の利用によっては、回避できない。

0015

当該問題は、多くの異なる細胞タイプより成る皮膚に特に存在する。さらに、創傷治癒のプロセスは、異なる細胞タイプにおいて、増殖および分化のような細胞プロセスの時間的および空間的変化を含む高度に複雑なプロセスである。それ故、複雑な細胞系である皮膚だけでなく、さらに創傷治癒の生理学的プロセス、およびディファレンシャルに発現される遺伝子類のレベルで異なる創傷治癒段階までも、調べようとするアプローチは、当業者にとって有望な戦略ではない。これらの難しさのために、そのスクリーニングの成否は、実験パラメーター類の選択に大きく依存した。使われる方法(例えば、差引きハイブリダイゼーション)は標準法であっても、当該スクリーニングおよび証明戦略は、パラメーター類の念入りでかつ限定された選択のために、既にそれ自体が発明的である。例えば、生検採取の時間はスクリーニングの成否を左右する:創傷治癒障害および皮膚疾患は、しばしば細胞増殖および細胞移動(migration)における障害に基づいているからである。これらのプロセスは創傷生成1日後に開始するので、この時機以前の分子プロセスの分析が、正常に進行している創傷治癒に不可欠な当該プロセスに関する情報をほとんど与えない所以である。一方、創傷治癒の過程で、当該創傷中の細胞タイプの組成は、創傷生成1日後以降では大きく変化する。このことは、測定中の当該創傷における特定遺伝子のディファレンシャル発現をもたらす可能性があり、それは、当該細胞における発現変化に基づくのではなく、異なる細胞組成にのみ基づいている。生検採取の日の選択がスクリーニングの成否を決定的に左右することを、これは例証している。前記限定的パラメーター類にもかかわらず、創傷治癒中にディファレンシャルに発現されるが、創傷治癒または皮膚疾患での使用に不適当な遺伝子類の過剰表示が観察された。それらの遺伝子は、例えば、解糖クエン酸サイクル糖新生および呼吸鎖のような一次代謝酵素類をコードする遺伝子類、それだけではなく、リボソームタンパク質類、例えばL41およびS20をコードする遺伝子類を含む。比較的少数の遺伝子だけが適当と確認された。本発明に従うGPCR遺伝子類が、創傷治癒に適切な遺伝子類と確認されたことは、それだけに驚きである。

0016

加えて、医師と初めて接触した際の患者の生検の時間における創傷の状態は、きわめて可変的である。それ故、既に記載された核酸類の同定には、動物モデルを使用した。BALB/cマウスに創傷を負わせ、時間を変えて創傷生検を採取した。この方法には、遺伝的背景、創傷の性質、生検の時機などを正確に制御でき、そしてそれにより遺伝子発現の再現性のある分析が可能になるという、利点がある。このように限定されたマウス条件下でさえ、適切な遺伝子類の同定を困難にする、分析されたクローン群の重複および弱く発現された遺伝子類の過少表示のような、別の方法上の問題が生じる。

0017

一般に、組織中でディファレンシャルに発現された遺伝子類の分析は、細胞培養系類の分析よりも、偽陽性クローン類の形でより多くのエラーによって顕著に影響される。創傷治癒のプロセスには、組成および遺伝子発現パターンが創傷治癒の全過程で変化する多数の異なる細胞タイプが関与するので、ディファレンシャルに発現された遺伝子類の分析は、ごく僅かな数のヒットしかもたらさない。遺伝子発現の提示された分析で、SW1368は、創傷中でディファレンシャルに発現されることが突き止められた:すなわちSW1368は、無傷の皮膚に対して創傷を差引くことにより得られたcDNA集団の画分中に、豊富に含まれていた(実施例1)。

0018

遺伝子の一次同定後に、別の方法により創傷治癒特異的発現を確認する必要がある。それは、「逆ノーザンブロッツ」および「TaqMan分析」の助けによって、行った。これらの方法を用いて、10週齢マウスの、および/または老齢および若齢マウスの、および/または糖尿病のマウスの、さまざまな創傷治癒状態からの組織中のmRNAの量を定量した。cDNAライブラリー中のSW1368の創傷特異的発現は、「逆ノーザンブロッツ」を用いることにより立証された(実施例1、図1)。加えて、「TaqMan分析」を用いて、老齢および若齢マウスの創傷だけでなくマウスの正常に治癒中の創傷でも、無傷の皮膚に比べて、SW1368の強い発現が定量された(実施例2、図2)。さらに、SW1368だけでなく、縮重プライマー類を用いPCRによりSW1368に対する配列相同性に基づいて同定されたSW1695も、マウスの他の創傷治癒で変化した発現を示した(実施例2、図3)。糖尿病にかかったマウスにおけるSW1368の発現は、対照マウスの創傷における発現より50%低かったが、デキサメタゾン処理マウスの治癒状態の悪い創傷におけるSW1695の発現のレベルは、対照マウスの創傷における発現のレベルの3倍であった。このことは、本発明に従う当該遺伝子ファミリーの遺伝子類の調節性発現が、創傷治癒の際に関与しているだけでなく、創傷治癒の病理的過程の予防にも必要なことを、示している。本発明に従う遺伝子ファミリーの遺伝子類の重要性は、創傷治癒の動態の定量中にヒトSW1695の発現のレベルの顕著な減少とともにヒトSW1368の発現のレベルのアップレギュレーション(上向き調節)を示した、ヒトの1日および5日経過創傷を用いて「TaqMan分析」により、確認できた。当該2遺伝子は、潰瘍類の創傷基底での発現は全く認められなかった。このことは、本発明に従うGPCRの発現が、ディファレンシャルに調節されているだけでなく、それらの遺伝子の発現の調節不全が、重症の創傷治癒障害をもたらす可能性があることを、示している。加えて、乾癬皮膚ではヒトSW1695が不全調節されていることが見い出されれた:乾癬患者の非罹患皮膚生検中に、同患者の病変罹患皮膚に比べて、当該遺伝子の有意に高い発現が認められたことから、それらの遺伝子の遺伝子発現の調節不全は、皮膚障害の診断にも使え、皮膚障害、特に乾癬の原因にもなることが明らかになった。

0019

上記の核酸類の完全長cDNA配列の確認および作製のために、完全長クローン類を、コロニーハイブリダイゼーション(Sambrookら,1989,Molecular cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor,Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York,Kapitel 8−10)および/またはPCRに基づく方法類(“RACE",Frohmanら,1988,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:8998−9002,Chenchikら,1996,in A Laboratory Guide to RNA:Isolation,Analysis,and Synthesis,Krieg編,Wiley−Liss,272−321ページ;“LDPCR",Barnes,1994,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:2216−20;“IPCR",HartlおよびOchman,1994,MethodsMol.Biol.,31:187−196)を用いて、当該マウス遺伝子類だけでなくヒト遺伝子類について、作製し、そしてそれらの配列を決定した。

0020

本発明の意味内でのポリペプチドの用語「機能性バリアント類」は、例えば、本発明に従うポリペプチド類のように、疾患、特に皮膚疾患の際に、または皮膚の再生プロセスにおいて、しかし特に創傷治癒およびその障害類において、調節される、本発明に従うGPCRポリペプチド類を含む。機能性バリアント類は、例えば、非皮膚特定組織、例えば胚性組織、から単離される核酸によりコードされるが、創傷治癒または皮膚疾患にかかわる細胞中で発現後に、指定された機能をもつ、ポリペプチド類も含む。

0021

本発明の意味内での機能性バリアント類は、配列番号1から配列番号4の一つに従うアミノ酸配列をもつプリペプチドと、約70%、好ましくは約80%、特に約90%、特別に約95%の配列相同性、特に配列同一性をもつポリペプチド類でもある。そのような機能性バリアント類の例は、従って、ヒトまたはマウス以外の生物、好ましくは、例えばサルブタおよびラットのような非ヒト哺乳動物由来する、本発明に従う使用可能なポリペプチドに相同的な、ポリペプチド類である。機能性バリアント類の別の事例は、ある生物の異なる個体または異なる器官の当該遺伝子の異なる対立遺伝子によりコードされる、ポリペプチド類である。

0022

ある候補ポリペプチドが機能性バリアントかどうかを決定するために、当該候補機能バリアントポリペプチドの活性を、本発明に従うポリペプチドの活性と比較してもよい。当該候補機能性バリアントポリペプチドが機能性バリアントの基準を配列同一性%のレベルで充たすと仮定して、機能アッセイにおける活性が、本発明に従う使用可能なポリペプチドにより示される活性に、近いか同じであれば、当該候補機能性バリアント分子は機能性バリアントを表す。

0023

そのような標準創傷治癒アッセイは、例えば、当該候補ポリペプチドをコードする核酸を含む発現ベクターの適用、または当該候補ポリペプチドそのもの、または当該候補ポリペプチドに対して向けられた抗体、または創傷に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドの適用を、含む。例えば、発現ベクターをインキュベーション後、当該候補機能性バリアントポリペプチドをコードする核酸か、本発明に従うポリペプチドをコードする核酸を含む異なる発現ベクターを注射された創傷の創傷治癒の進行を比較する。そのようなアッセイは、例えばデキサメタゾン処理動物の治りの悪い創傷を用いる創傷治癒の障害の場合に、候補機能性バリアントポリペプチドの活性をテストするのに、適用してもよい。例えば、家兎難治創傷にポリペプチドバリアント類PDGF−AおよびPDGF−Bを適用したところ、比較しうる創傷治癒応答があることが証明された(J.Surg.Res.,2000,93:230−236)。同様なテストは、皮膚障害、例えば、乾癬に行ってもよい。この場合、候補ポリペプチドをコードする核酸を含む発現ベクター、または当該候補ポリペプチドそのもの、または当該候補ポリペプチドに対して向けられた抗体、またはアンチセンスオリゴヌクレオチドを、例えば、SCIDマウスに移植されたヒト罹患皮膚領野に適用し、当該皮膚障害の過程、例えば、治癒を、例えば、乾癬の場合は「PASIスコア」を測定することにより、決定する。

0024

当該ポリペプチドのバリアント類は、少なくとも6アミノ酸鎖長、好ましくは少なくとも8アミノ酸鎖長、特に少なくとも12アミノ酸鎖長をもつ、本発明に従うポリペプチドの一部であってもよい。また、本発明に従うポリペプチド類の欠失体も、約1−30から、好ましくは約1−15から、特に約1−5アミノ酸からの範囲で、含まれる。例えば、第1アミノ酸のメチオニンを、当該ポリペプチドの機能を大幅に変えることなしに、欠いてもよい。また、転写後修飾、例えば、脂質アンカー類またはホスホリル基類は、バリアント類にあってもなくてもよい。

0025

配列同一性は二つの配列の同一性の程度(同一性%)と理解され、ポリペプチド類の場合、例えばBlastP2.0.1により、また核酸類の場合、例えばBLASTN2.014により決定可能で、その際、Filterはセットオフされ、BLOSUMは62である(Altschulら,1997,Nucleic AcidsRes.,25:3389−3402)。「配列相同性」は、例えば、Filterはセットオフされ、BLOSUMは62であるBlastP2.0.1により決定される二つのポリペプチド配列の類似性ポジティブ%)と理解される(Altschulら,1997, Nucleic Acids Res.,25:3389−3402)。

0026

用語「コードする核酸」は、本発明に従う単離可能な生物活性ポリペプチドまたは前駆体をコードするDNA配列に関する。当該ポリペプチドは、完全長の配列によって、または特異的、例えば、受容体活性保留されていれば、当該コード配列のどの一部によって、コードされてもよい。

0027

上記の核酸の配列中には、例えば、遺伝暗号縮重による小変更があってもよく、または、その活性が大きく変わるのでなければ、非翻訳配列が当該核酸の5‘および/または3'末端に付着されてもよいことが、知られている。それ故、本発明は、上記核酸類のいわゆる「バリアント類」も含む。

0028

バリアント類は、厳密な条件下で基準配列ハイブリッド形成し、本発明に従う相当ポリペプチドと同様な活性をもつDNA配列に相補的なすべてのDNA配列を、意味すると理解される。

0029

「厳密なハイブリダイゼーション条件」は、ハイブリダイゼーションを2.5XSS緩衝液中、60℃で行い、次いでこれより低い濃度の緩衝液中で、37℃で多数回の洗浄段階を行うとき、安定であるハイブリダイゼーション条件を、意味すると理解される。

0030

当該核酸類のバリアント類は、少なくとも8ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも18ヌクレオチド長、特に少なくとも24ヌクレオチド長をもつ、本発明に従う核酸の部分であってもよい。

0031

本発明の意味における用語「薬理学的活性物質」は、もし適切であれば適当な添加物類および/または助剤類とともに、上記核酸類、ポリペプチド類または抗体類または抗体フラグメント類と適当な条件下で相互作用可能な、すべての分子、化合物、および/または組成物および物質混合物を、意味すると理解される。可能な薬理学的活性物質類は、単純な化学有機または無機)分子類または化合物類であるが、ペプチド類、タンパク質類またはそれらの複合体類を含んでもよい。薬理学的活性物質類の例は、薬理学的活性が分析された化合物類のライブラリーに由来する有機分子類である。それらの相互作用によって、当該薬理学的活性物質類は、in vivo(生体内で)またはin vitro(試験管内で)で前記核酸類、ポリペプチド類または抗体類の機能に影響する、あるいは、上記核酸類、ポリペプチド類または抗体類または抗体フラグメント類に結合だけする、またはそれらと共有または非共有的な別の相互作用に入る、ことができる。本発明は、本発明に従うGPCRポリペプチド類または配列番号1から配列番号4に従うそれらのバリアント類および/またはそれらまたはそれらのバリアント類をコードする核酸類、に関する。

0032

上記のポリペプチド類はさらに合成的に調製が可能である。従って、当該ペプチド全体またはその部分を、例えば、普通の合成(Merrifield技術)の助けにより、合成することが可能である。上記のポリペプチド類の部分は、抗血清の取得に特に適しており、それらの抗血清の助けで、さらなるバリアント類、好ましくは上記ポリペプチド類の機能性バリアント類に然るべく到達するために、適当な遺伝子発現バンクを探索することが可能である。

0033

好ましくは、本発明に従って使われる核酸類は、DNAまたはRNA、好ましくはDNA、特に二本鎖DNAである。当該核酸類の配列は、少なくとも一つのイントロンおよび/または一つのポリA配列をもつことを、さらに特徴としてもよい。本発明に従う核酸類は、それらのアンチセンス配列の形での使用も可能である。

0034

関係する遺伝子の発現には、一般に二本鎖DNAが好まれ、当該ポリペプチドをコードするDNA領域は特に好まれる。真核生物の場合、この領域は、Kozak配列(Kozak,1987,Nucleic AcidsRes.15:8125−48)中にある最初の開始コドン(ATG)で始まり、当該ATGと同一のリーディングフレーム中にある次の終結コドン(TAG、TGAまたはTAA)に至る。原核動物の場合、この領域は、Shine−Dalgarno配列の後に最初のAUG(またはGUG)で始まり、前記ATGと同一のリーディングフレーム中にある次の終結コドン(TAA、TAGまたはTGA)で終る。

0035

さらに、本発明に従う核酸配列類は、アンチセンスオリゴヌクレオチド類(ZhengおよびKemeny,1995,Clin.Exp.Immunol.100:380−2;NellenおよびLichtenstein,1993,TrendsBiochem.Sci.18:419−23;Stein,1992,Leukemia 6:967−74)および/またはリボザイム類(Amarzguiouiら,1998,Cell.Mol.Life Sci.54:1175−202;Vaishら,1998,Nucleic Acids Res.26:5237−42;Persidis,1997,Nat.Biotechnol.15:921−2;CoutureおよびStinchcomb,1996,Trends Genet.12:510−5)の構築に使用してもよい。アンチセンスオリゴヌクレオチド類を用いて、本発明に従う当該核酸の安定性を低下させ、および/または本発明に従う核酸の翻訳阻害することが可能である。従って、例えば、細胞中の対応する遺伝子類の発現をinvivoでもin vitroでも低下させることが可能である。オリゴヌクレオチド類はそれ故、治療に適していることになる。この戦略はまた、特に当該アンチセンスオリゴヌクレオチド類がリポソーム類複合体化しているならば、例えば、皮膚、表皮および皮膚細胞に適している(Smythら,1997,J.Invest.Dermatol.108:523−6;Whiteら,1999,J.Invest.Dermatol.112:699−705;Whiteら,1999,J.Invest.Dermatol.112:887−92)。プローブまたは「アンチセンスオリゴヌクレオチドとしての使用には、一本鎖DNAまたはRNAが好ましい。

0036

さらに、合成的に調製された核酸を、本発明の実施に使用してもよい。従って、本発明に従う核酸は、配列番号5から配列番号8に記載されたDNA配列の助けにより、および/または当該遺伝暗号を参照して配列番号1から配列番号4に記載されたタンパク質配列の助けにより、例えば、ホスホトリエステル法に従って、例えば、化学的に合成してもよい(例えば、Uhlmann,E.およびPeyman,A.(1990)Chemical Reviews,90,543−584,No.4を参照)。

0037

概して、オリゴヌクレオチド類は、細胞中にあるエンドまたはエキソヌクレアーゼ類、特にDNアーゼ類およびRNアーゼ類により、急速に分解される。それ故、核酸を分解に対して安定化するため、それを修飾するのが有利で、その結果、高濃度の当該核酸が細胞中に長期間保持される(Biegelmanら,1995,Nucleic AcidsRes.23:3989−94;Dudycz,1995,国際特許出願公開WO 95/11910;Macadamら,1998,国際特許出願公開WO 98/37240;Reeseら,1997,国際特許出願公開WO 97/29116)。典型的には、その種の安定化は、一つまたは一つより多くのインターヌクレオチドリン基の導入により、または一つまたは一つより多くの非リンインターヌクレオチドの導入により、得ることが可能である。

0038

適当な修飾インターヌクレオチド類はUhlmannおよびPeymann(1990 Chem.Rev.90,544)に要約されている(Beigelmanら,1995,Nucleic AcidsRes.23:3989−94;Dudycz,1995,国際特許出願公開WO 95/11910;Macadamら,1998,国際特許出願公開WO 98/37240;Reeseら,1997,国際特許出願公開WO 97/29116も参照)。本発明に従う使用の一つに用いてもよい核酸中の修飾インターヌクレオチドリン酸ラジカル類および/または非リンブリッジ類は、例えば、メチルホスホネートホスホロチオエートホスホラミデート、ホスホロジチオエート、ホスフェートエステルを含み、一方、非リンインターヌクレオチド類似体類は、例えば、シロキサンブリッジ類、カーボネートブリッジ類、カルボキシメチルエステル類アセタデートブリッジ類、および/またはチオエーテルブリッジ類を含む。本発明に従う使用の一つに用いてもよい医薬品組成物積み寿命を、この修飾が改善することも意図されている。

0039

本発明に従う核酸類のさらなる実施態様で、本発明に従う核酸類は、ベクター中、好ましくは「シャトル」ベクター、ファージミドコスミド、発現ベクターまたは遺伝子治療に適用可能なベクター中に含まれる。さらに、上述の核酸類は、「ノックアウト遺伝子構築体類または発現カセット類に含まれてもよい。本発明の意味内での発現カセットは、真核生物における発現のために、少なくとも一つのプロモーターまたはエンハンサー、少なくとも一つの翻訳開始シグナル、少なくとも一つの上記核酸、一つの翻訳終結シグナル、一つの転写終結シグナルおよび1つのポリアデニル化シグナル、を含む。

0040

好ましくは、遺伝子治療に適用可能なベクターは、本発明に従う核酸と機能的に関連する創傷または皮膚特異的調節配列類を含む。適当な発現ベクター類は原核生物または真核生物いずれの発現ベクター類であってもよい。原核生物発現ベクター類の例は、E.coli(大腸菌)での発現の場合、例えば、ベクター類pGEMまたはpUC誘導体類があり、真核生物発現ベクター類の例は、Saccharomyces cerevisiae(パン酵母)での発現の場合、例えば、ベクター類p426Met25またはp426GAL1(Mumbergら(1994)Nucl.AcidsRes.,22,5767−5768)が、昆虫細胞での発現の場合、例えば欧州特許EP−B1−0 127 838またはEP−B1−0 549 721に公開されているようなBaculovirus(バキュロウイルス)ベクター類が、そして哺乳動物細胞での発現の場合、例えば、ベクター類Rc/CMVおよびRc/RSVまたはSV40ベクター類があり、それらはいずれも一般に入手可能である。

0041

一般に、前記発現ベクター類は、例えば、E.coliでの発現の場合trpプロモーター(例えば、欧州特許EP−B1−0 154 133を参照)、酵母での発現の場合MET25,GAL1またはADH2プロモーター(Russelら(1983),J.Biol.Chem.258,2674−2682;Mumberg,上記参照)、昆虫細胞での発現の場合バキュロウイルスポリドリンプロモーター(例えば、欧州特許EP−B1−0 127 839を参照)、のようなそれぞれの細胞に適したプロモーター類も含む。哺乳動物細胞での発現の場合、例えば、適当なプロモーター類は、真核生物細胞において、構成的、調節可能、組織特異的、細胞周期特異的または代謝的に特異的な発現を可能にするものである。本発明に従う調節可能なエレメント類は、プロモーター類、アクチベーター配列類、エンハンサー類、サイレンサー類および/またはリプレッサー配列類である。

0042

真核生物で構成的発現を可能にする適当な調節可能なエレメント類の例は、RNAポリメラーゼIIIにより認識されるプロモーター類または例えばMMTV(マウス乳腫瘍ウイルス;Leeら(1981)Nature 214,228−232)からのウイルスプロモーター類、CMVエンハンサー、CMVプロモーター、SV40プロモーターまたはLTRプロモーター類および、例えば、HBV,HCV,HSV,HPVEBVHTLVまたはHIV由来の、別のウイルスプロモーターおよびアクチベーター配列類である。

0043

真核生物で調節可能な発現を可能にする調節可能なエレメント類の例は、対応するリプレッサー組合わせたテトラサイクリンオペレーターである(Gossenら(1994)Curr.Opin.Biotechnol.5,516−20)。

0044

好ましくは、皮膚障害および創傷治癒に関連する遺伝子類の発現は、組織特異的プロモーター類の制御下で起るが、例えば、ヒトK10プロモーター(Bailleulら,1990,Cell 62:697−708),ヒトK14プロモーター(Vassarら,1989,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:1563−67)、ウシサイトケラチン・プロモーター(Fuchsら,1988;The biology of wool and hair (G.E.Rogersら編),287−309ページ,Chapmanand Hall,London/New York)のような、例えば、皮膚特異的プロモーター類の制御下が、特に好ましい。

0045

真核生物で組織特異的発現を可能にする調節可能なエレメント類の別の例は、ある種の細胞タイプでのみ発現されるタンパク質類をコードする遺伝子類のプロモーター類またはエンハンサー類からのプロモーター類またはアクチベーター配列類である。

0046

真核生物で細胞周期特異的発現を可能にする調節可能なエレメント類の例は、下記の遺伝子類のプロモーターである:cdc25A,cdc25B,cdc25C,cyclin A,cyclin E,cdc2,E2F−1からE2F−5,B−mybまたはDHFR(Zwicker J.およびMullerR.(1997)TrendsGenet.13,3−6)。細胞周期調節プロモーター類の使用は、本発明に従うポリペプチド類または核酸類の発現が増殖細胞に限られる場合に、特に好ましい。

0047

真核生物で代謝的に特異的発現を可能にする調節可能なエレメント類の例は、低酸素により、グルコース欠乏により、リン酸濃度によりまたは熱ショックにより調節されるプロモーター類である。

0048

皮膚におけるケラチノサイト(角化細胞)特異的発現を可能にする調節可能なエレメントの例は、FiREエレメント(Jaakkolaら,2000,Gen.Ther.,7:1640−1647)である。FiREエレメントは、Syndecan−1遺伝子のAP−1駆動、FGF誘導性応答エレメントである(Jaakkolaら,1998,FASEB J.,12:959−9)。

0049

上記の核酸類の導入、および従って、トランスフェクショントランスフォーメーションまたは感染による真核または原核生物細胞における当該ポリペプチドの発現を可能にするために、当該核酸は、プラスミドとして、ウイルスまたは非ウイルスベクターの一部として存在してもよい。適当なウイルスベクター類は、ここでは特に:バキュロウイルス類、ワクシニアウイルス類、アデノウイルス類アデノ関連ウイルス類およびヘルペスウイルス類である。適当な非ウイルスベクター類は、ここでは特に:ウイロソーム類、リポソーム類、陽イオン脂質類、またはポリリシン共役DNAである。

0050

遺伝子治療に適用可能なベクター類の例は、ウイルスベクター類、例えばアデノウイルスベクター類、レトロウイルスベクター類またはRNAウイルス類のレプリコン類に基づくベクター類である(Lindemannら,1997,Mol.Med.3:466−76;Springerら,1998,Mol.Cell.2:549−58;Khromykh,2000,Curr.Opin.Mol Ther.2:555−569)。真核生物発現ベクター類は、単離された形で遺伝子治療使用に適しており、それはのDNAが、例えば、局所適用皮膚細胞中浸透可能だからである(Henggeら,1996,J.Clin.Invest.97:2911−6;Yuら,1999,J.Invest.Dermatol.112:370−5)。

0051

遺伝子治療活性をもつベクター類は、当該核酸をリポソーム類と複合させても得ることが可能で、例えば、皮膚細胞の非常に高いトランスフェクション効率がそれによって達成できるからである(AlexanderおよびAkhurst,1995,Hum.Mol.Genet.4:2279−85)。リポフェクションの場合、当該リポソーム懸濁液の超音波処理により陽イオン脂質類から小さな単層性小胞類を調製する。当該DNAは上記リポソーム類の表面へイオン結合的に結合されるが、すなわち、正の有効電荷は変わらず、当該プラスミドDNAがリポソームの100%と複合化するような割合とする。Felgnerら(1987、上記参照)により採用された脂質混合物DOTMA(1,2−ジオレイルオキシプロピル−3−トリメチルアンモニウムブロマイド)およびDPOE(ジオレオキシルホスファチジルエタノールアミン)に加えて、一方では、多数の新規脂質構造式が合成され、さまざまな細胞系列のトランスフェクションでそれらの効率がテストされた(Behrら 1989,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:6982−6986;Felgnerら,1994,J.Biol.Chem.269:2550−2561;Gao,X.およびHuang,1991,Biochim.Biophys.Acta 1189:195−203)。当該新規脂質構造式の例は、DOTAPN−[1−(2,3−ジオレオイルオキシ)プロピル]−N,N,N,−トリメチルアンモニウムエチルサルフェートまたはDOGS(TRANSFECTAM;ジオクタデシルアミドグリシルスペルミン)である。in vivoおよびin vitroでケラチノサイトのトランスフェクションによく適合した他の脂質は、陽イオン脂質サイトフェクチン(Cytofectin)GS 2888(米国特許第5,777,153号;Lewisら,1996,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,93:3176−3181)である。細胞中への核酸の転移を増加させる助剤類は、例えば、DNAへ結合するタンパク質類またはペプチド類、または当該核酸の細胞の核への輸送を可能にする合成ペプチドDNA分子類であってもよい(Schwartzら,1999,Gene Therapy 6:282;Brandenら,1999,Nature Biotech.17:784)。助剤類は、核酸類を細胞の細胞質中への放出を可能にする分子類(Planckら,1994,J.Biol.Chem.269:12918;Kichlerら(1997)Bioconj.Chem.8:213)または、例えば、リポソーム類(UhlmannおよびPeymann,1990上記参照)も含む。遺伝子治療ベクター類のもう1つの特に適した形は、上記の核酸を金粒子に適用し、いわゆる遺伝子銃の助けで、それらを組織中へ、例えば、皮膚または細胞中へ撃ち込むことにより得てもよい(Wangら,1999,J.Invest.Dermatol.112:775−81,Tutingら,1998,J.Invest.Dermatol.111:183−8)。

0052

遺伝子治療活性をもつベクターの別の形は、「裸の」発現ベクター類の、生体適合性マトリックス、例えば、コラーゲンマトリックス中への導入により、調製が可能である。このマトリックスは、移住細胞を発現ベクターとともにトランスフェクトし、当該細胞中で本発明に従うポリペプチド類を発現させるために、例えば、創傷中へ導入してもよい(GoldsteinおよびBanadio、米国特許第5,962,427号)。

0053

上記核酸の遺伝子治療使用のために、ポリペプチドをコードする核酸の一部が、イントロン配列類を含む一つまたは一つより多くの非コード配列類を、好ましくは当該ポリペプチドのプロモーターと開始コドンの間に、および/またはポリA配列、特に天然に存在するポリA配列またはSV40ウイルスポリA配列を、特に当該遺伝子の3‘末端に、含むならば有利であり、それによって当該mRNAの安定化が達成可能だからである(Palmiterら,1991,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:478−482;Jackson,1993,Cell 74:9−14)。

0054

ノックアウト遺伝子構築体類は、当業者には、例えば、米国特許第5,625,122号、米国特許第5,698,765号、米国特許第5,583,278号および米国特許第5,750,825号で知られる。

0055

本発明はさらに、本発明に従う核酸を含み、または上記のベクター類、発現カセット類、および/またはノックアウト遺伝子構築体類の一つを使って形質転換された、細胞、例えば、皮膚細胞に関する。細胞類は、原核生物または真核生物いずれの細胞でもよく、他家細胞または自家細胞でもよく、原核生物細胞の例はE.coli、そして真核生物細胞の例は、皮膚細胞類、ケラチノサイト類、繊維芽細胞類または内皮細胞類、酵母細胞類例えばSaccharomycescerevisiaeまたは昆虫細胞である。

0056

特に好ましい形質転換細胞は、上記のように、本発明に従う少なくとも一つの核酸、少なくとも一つのベクター、少なくとも一つのノックアウト遺伝子構築体および/または少なくとも一つの発現カセットを含む、トランスジェニック胚非ヒト幹細胞である。細胞類および/または幹細胞類の形質転換の方法は、当業者には周知で、例えば、電気穿孔または微量注入を含む。

0057

本発明はさらに、上記のように、本発明に従う少なくとも一つの核酸、一つのベクター、少なくとも一つのノックアウト遺伝子構築体、および/または少なくとも一つの発現カセットを、そのゲノムが含むトランスジェニック非ヒト哺乳動物に関する。トランスジェニック動物類は一般に、当該核酸類および/またはポリペプチド類の組織特異的発現増加を示し、そして例えば創傷治癒障害の分析に使うことができる。従って、例えば、アクチビントランスジェニックマウスは創傷治癒の改善を示す(Munzら,1999,EMBO J.18:5205−15)が、一方、ドミナントリーネガティブ(dominantly negative)なKGF受容体をもつトランスジェニックマウスは創傷治癒の遅延を示す(Wernerら,1994,Science 266:819−22)。

0058

トランスジェニック動物類、特にトランスジェニックマウスの調製の方法は、ドイツ特許第19625 049号および米国特許第4,736,866号;米国特許第5,625,122号;米国特許第5,698,765号;米国特許第5,583,278号および米国特許第5,750,825号から当業者には同様に知られており、例えば、本発明に従う発現ベクター類のまたは精母細胞への直接注入によるか、または発現ベクター類の胚性幹細胞へのトランスフェクションにより、産生可能なトランスジェニック動物類を含む(PolitesおよびPinkert:DNA Microinjection and Transgenic Animal Production、15から68ページ、Pinkert編,1994:Transgenic animal technology:a laboratory handbook中,Academic Press,London,UK;Houdebine,1997,Harwood Academic Publishers,Amsterdam,The Netherlands;Doetschman:Gene Transfer in Embryonic Stem Cells,115から146ページ、Pinkert編,1994,上記参照;Wood:Retrovirus−Mediated Gene Transfer,147から176ページ、Pinkert編,1994,上記参照;Monastersky:Gene Transfer Technology;Alternative Techniques and Applications,177から220ページ、Pinkert編,1994,上記参照)。

0059

上記の核酸類を、いわゆる「ターゲッティング」ベクター類または「ノックアウト」遺伝子構築体類へ、組込んだ場合(Pinkert,1994,上記参照)、胚性幹細胞類のトランスフェクションおよび相同的組換え後に、例えば、一般に、ヘテロ接合体マウスとして、当該核酸の発現減少を示し、一方、ホモ接合体マウスが当該核酸の発現をもはや示さない、ノックアウトマウス作出することが可能である。このようにして産生された動物類は、例えば、創傷治癒障害の分析にも使用可能である。従って、例えば、eNOS(Leeら,1999,Am.J.Physiol.277:H1600−1608),Nf−1(Atitら,1999,J.Invest.Dermatol.112:835−42)およびオステオポンチン(osteopontin)(Liawら,1998,J.Clin.Invest.101:967−71)ノックアウトマウス類は創傷治癒不全を示す。ここでもまた、例えば、Cre−loxP系(stat3ノックアウト,Sanoら,EMBO J 1999 18:4657−68)を使う皮膚特異的細胞類における、創傷治癒関連遺伝子類の発現の組織特異的減少は、特に好ましい。このようにして産生されたトランスジェニックおよびノックアウト細胞類または動物類も、薬理学的活性物質類および/または遺伝子治療に適用可能なベクター類のスクリーニングおよび同定に使用可能である。

0060

本発明はさらに、障害、例えば、皮膚障害の診断および/または治療における、創傷治癒および/またはその病理学的障害についての診断および/または治療における使用のために、本発明に従うポリペプチドを調製するための、または、適当な細胞中に本発明に従う少なくても一つの核酸が発現され、そして選択的に当該ポリペプチドが単離される、適当な細胞中に薬理学的活性物質を同定するための、方法に関する。

0061

本発明に従うポリペプチドは、例えば、既に上述したように、当業者には一般に知られている方法に従って、適当な発現系で上記の核酸類の発現によって、調製される。適当な細胞類は、例えば、E.coli菌株DHS,HB101またはBL21、酵母株Saccharomyces cerevisiae,鱗翅類、例えば、Spodoptera frugiperdaからの昆虫細胞系、または動物細胞類COS,Vero,293,HaCaT,およびHeLaで、それらはいずれも一般に入手可能である。

0062

本発明はさらに、障害、例えば、皮膚障害の診断および/または予防および/または治療、および/または創傷治癒、および/またはその病理学的障害における診断および/または治療のために、および/またはその中で上記のように核酸を使用する適当な細胞中に薬理学的活性物質類の同定のために、本発明に従う融合タンパク質を調製するための方法に関する。

0063

上記ポリペプチド類を含む融合タンパク質類がここで調製されるが、当該融合タンパク質自身、本発明のポリペプチドの機能または当該融合部分の切断後にのみ機能的に活性になる特定の機能、を既にもっている。特にここで含まれるのは、約1−300、好ましくは約1−200、特に約1−100、特別に約1−50の割合の外来アミノ酸をもつ融合タンパク質類である。その種のペプチド配列類の例は、例えば、E.coliのガラクトシダーゼに由来することがある原核生物ペプチド配列類である。さらに、例えば、バクテリオファージM13のようなウイルスペプチド配列類も、当業者に知られるファージタンパク質展示法用の融合タンパク質を然るべく産生するために、使用することも可能である。上述の融合タンパク質類も本発明の実施態様である。

0064

融合タンパク質用のペプチド配列類の別の好ましい実施例は、当該融合タンパク質類の検出をさらに容易にするペプチド類で、それらは、例えば、「緑色蛍光タンパク質」またはそのバリアント類である。

0065

上記のタンパク質類の精製のために、別のポリペプチド(類)(タグ、付け札)を付けてもよい。本発明に従うタンパク質タグ類は、例えば、あるマトリックスへの高親和性吸収、当該複合体を目立つ程溶出させずに適当な緩衝液による厳密な洗浄、そして次に当該吸収複合体の標的溶出、を可能にする。当業者に知られている前記タンパク質タグ類の例は、(His)6タグ、Mycタグ、FLAタグ、ヘマグルチニンタグ、グルタチオントランスフェラーゼ(GST)タグ、親和性キチン結合タグをもつインテイン、またはマルトース結合タンパク質(MBP)タグである。これらのタンパク質タグ類は、NまたはC末端に、および/または内部に位置してもよい。

0066

本発明はさらに、障害類、例えば、皮膚障害類の、例えば診断および/または予防および/または治療のための、および/または創傷治癒および/またはその病理学的障害類の診断および/または治療のための、または薬理学的活性物質類の同定のための、抗体または抗体フラグメント、好ましくはポリクローナルまたはモノクローナル抗体の産生のための方法に関する。

0067

当該プロセスは、本発明に従う核酸、または本発明に従うポリペプチドまたはその一部で、少なくとも6アミノ酸鎖長をもつ、好ましくは少なくとも8アミノ酸鎖長をもつ、特に少なくとも12アミノ酸鎖長をもつものにより、もし適切であれば、例えば、フロイントアジュバントおよび/または水酸化アルミニウムゲルの存在下で、哺乳動物、例えば家兎を免疫することにより、当業者に普通に知られている方法に従って行われる(例えば、Diamondら,1981,The New England Journal of Medicine,1344−1349参照)。免疫反応の結果として当該動物に生成されたポリクローナル抗体類は、次いで、一般に知られた方法に従って血液から容易に単離でき、そして、例えばカラムクロマトグラフィーにより精製が可能である。モノクローナル抗体類は、例えば、Winter & Milsteinの既知の方法(Winter,G.およびMilstein,C.(1991)Nature,349,293−299)に従って産生することが可能である。

0068

本発明はさらに、上記ポリペプチドに対して向けられ、上記ポリペプチド類と特異的に反応する抗体または抗体フラグメント類であって、当該ポリペプチドの上述部分は、自身が免疫原性であるか、または、例えば、ウシ血清アルブミンのような適当な担体に連結させることによって免疫原性にしてもよく、またはその免疫原性を増強させてもよい、前記抗体または抗体フラグメント類に関する。この抗体は、ポリクローナルかモノクローナルのいずれかで、好ましくは、それはモノクローナル抗体である。前記用語の抗体または抗体フラグメントは、例えば、キメラ抗体類、ヒト化抗体類、多機能抗体類、二重またはオリゴ特異性抗体類、一本鎖抗体類、F(ab)またはF(ab)2フラグメント類のような、遺伝子工学により調製され、そして選択的に修飾された抗体類または抗体結合部分類も意味するとして、本発明に従って理解される(例えば、欧州特許EP−B1−0 368 684,米国特許第4,816,567号、米国特許第4,816,397号、国際特許出願公開WO 88/01649,国際特許出願公開WO93/06213,国際特許出願公開WO 98/24884、を参照)。本発明に従う抗体類は、疾患、例えば皮膚疾患の診断および/または予防および/または治療のために、および/または創傷治癒および/またはその病理学的障害の診断および/または治療のために、および/または薬理学的活性物質類の同定のために、例えば使用してもよい。

0069

古典的な抗体類の代替品として、例えば、リポカリン(lipocalin)に基づく「アンチカリン類」を使用してもよい(Besteら,1999,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,96:1898−1903)。レチノール結合タンパク質またはビリン結合タンパク質のようなリポカリン類の天然リガンド結合部位は、選択されたハプテン類、例えば本発明に従って使用可能なポリペプチド類にそれらが結合するような仕方で、例えば「コンビナトリアルプロテインデザイン」アプローチによって、修飾することが可能である(Skerra,2000,Biochim.Biophys.Acta 1482:337−50)。別の既知「スカフォールド足場)類」は、分子認識のための抗体類の代替品として知られている(Skerra,J.Mol.Recognit.,2000,13:167−187)。

0070

従って、例えば、TGFベータ1に対するモノクローナル抗体類の局所注射は、動物モデルで創傷治癒の改善が可能とされている(Ernstら,1996,Gut 39:172−5)。

0071

本発明はさらに、皮膚障害の診断および/または予防および/または治療用の、および/または創傷治癒および/またはその病理学的障害の診断および/または治療用の、医薬品調製物の産生のために、本発明に従う少なくとも一つのポリペプチド、および/または本発明に従う融合タンパク質、および/または本発明に従う少なくとも一つの核酸および/または本発明に従う少なくとも一つの抗体または抗体フラグメントおよび/または本発明に従う少なくとも一つの細胞、を使用することに関する。本発明の意味における医薬品調製物は、障害を診断、予防または治療するのに使用してもよい医薬品、すなわち薬剤類、および診断薬類を包含する。

0072

本発明はまた、本発明に従う少なくとも一つの核酸、本発明に従う少なくとも一つのポリペプチドまたは本発明に従う少なくとも一つの抗体、または本発明に従う少なくとも一つの細胞を、適当な添加物類および助剤類と組合わせた、障害、例えば、皮膚障害の治療および/または予防、および/または創傷治癒および/またはその病理学的障害における治療のための、医薬品を産生する方法に関する。

0073

本発明はさらに、少なくとも一つの核酸、少なくとも一つのポリペプチドまたは少なくとも一つの抗体または抗体フラグメントまたは本発明に従うポリペプチドまたは当該ポリペプチドをコードする核酸を発現する少なくとも1細胞を、上記のように、もし適切であれば適当な添加物類および助剤類とともに、含み、障害、例えば、皮膚障害の治療および/または予防、および/または創傷治癒および/またはその病理学的障害の治療および/または予防のために、この方法により産生される医薬品に関する。本発明はさらに、障害類、例えば皮膚障害の治療、および/または創傷治癒および/またはその病理学的障害における治療のための、この医薬品の使用に関する。

0074

皮膚障害において、および/または創傷治癒、例えばヒトの障害性創傷治癒においての遺伝子治療使用のために、特別適した医薬品は、記載の核酸を、裸の形で、または上記の遺伝子治療に適用できる前記ベクター類の一つの形で、またはリポソーム類または金粒子との錯体の形で、含むものである。当該医薬品担体は、例えば、約6.0−8.0の,好ましくは約6.8−7.8の,特に約7.4のpHを、および/または約200−400ミリオスモルリットルの,好ましくは約290−310ミリオスモル/リットルの容積モル浸透圧濃度を、好ましくは、もつ生理的緩衝溶液である。加えて、当該医薬品担体は、ヌクレアーゼ阻害物質類のような適当な安定剤類、好ましくはEDTAのような錯体形成剤類および/または当業者には知られている他の助剤類、を含有してもよい。記載の核酸は、かなり詳細に上記したウイルスベクターの形で、またはリポソーム複合体類または金粒子複合体として、通常は局所的におよび当該創傷の領野に部分的に、選択的に投与される。創傷治癒に直ちにまた直接的に作用させるため、生理的食塩水脱イオン水、安定剤類、プロテアーゼインヒビター類、ゲル製剤類のような、白色石油ゼリー、高度液状パラフィンおよび/または黄ロウなどのような、適当な添加物類および/または助剤類とともに、当該ポリペプチドそのものを投与することもできる。

0075

障害類、例えば、皮膚障害類の療法、および/または創傷治癒および/またはその病理学的障害類における治療は、例えば、錠剤類またはカプセル類のような経口用量形式を通じて、粘膜、例えば、鼻腔または口腔を介して、または皮下に移植された配置物の形で、本発明に従う医薬品類によって実施可能である。経皮治療システム(TTS)は、例えば、欧州特許第0 944 398 A1号、欧州特許第0 916 336 A1号、欧州特許第0 889 723 A1号または欧州特許第0 852 493 A1号から知られる。

0076

治療は、本発明に従う医薬品類を含有する、例えば包帯剤類、プラスター硬膏)類、湿布類またはゲル剤類により、従来法で実施してもよい。この療法は、例えば、皮膚障害および/または創傷治癒における治療に好まれる。従って、創傷治癒に直ちにまた直接的に影響を及ぼすために、例えば、生理食塩水、脱イオン水、安定剤類、プロテイナーゼインヒビター類、ゲル製剤類のような、例えば、白色石油ゼリー、高度液状パラフィンおよび/または黄ロウなどのような、適当な添加物類または助剤類を含有する、前記医薬品類を、局所的にまた部分的に投与することができる。本発明に従う医薬品類の投与はさらに、もし適切であればリポソーム複合体類または金粒子複合体類の形で、当該創傷の領野に局所的にまた部分的に実施することも可能である。さらに、本発明に従う医薬品類の時間的に制御された放出を可能にするTTSにより、当該治療を実施してもよい。本発明に従うポリペプチド類、その機能的バリアント類または当該ポリペプチドをコードする核酸類またはそのバリアント類、の少なくとも一つを発現する細胞類の使用に基づく療法は、自家細胞類または他家細胞類を用いることにより、達成可能である。好ましい細胞類は、皮膚細胞類、例えば、真皮または上皮細胞類、特にケラチノサイト類、繊維芽細胞類および内皮細胞類である。それらの細胞は、組織に、好ましくは皮膚に、とくに好ましくは皮膚創傷類に、直接または適当な担体材料とともに、適用可能である(米国特許第5,980,888号;国際特許出願公開WO 92/06179;欧州特許第0242 270号;国際特許出願公開WO 90/02796)。

0077

本発明の意味内での皮膚細胞類の障害および皮膚障害類の例は、乾癬、湿疹、特にアトピー性湿疹アクネにきび)、じんま疹、皮膚の色素沈着の障害、特に白斑老人性皮膚および毛髪成長および毛髪代謝の障害、として理解される。

0078

本発明の意味内での創傷治癒は、例えば破傷皮膚剥離または皮膚の擦過傷、例えばパーマネントロード(永久負荷)による、例えば褥瘡または壊死性のプロセス類、例えば類脂質壊死症(Necrobiosis lipoidica)、のような皮膚の機械的創傷の治癒プロセスとして理解される。

0079

本発明の意味における病理学的創傷治癒障害類の例は、糖尿病またはアルコール中毒症に罹っている患者の創傷類、生物またはウイルスに感染された創傷類、虚血性創傷類、動脈障害または静脈不全に罹っている患者の創傷類、および瘢痕類、好ましくは過度の(overshooting)瘢痕類、特にケロイド類、を含む。特に好ましい治癒の遅い創傷類は、糖尿病性神経障害性静脈または動脈性および褥瘡性の潰瘍類、特に静脈性潰瘍、を含む。

0080

本発明はさらに、少なくとも一つの核酸、少なくとも一つのポリペプチドまたは少なくとも一つの抗体または、本発明に従う少なくとも一つのポリペプチドまたは当該ポリペプチドをコードする核酸を発現する少なくとも一つの細胞が、もし適切であれば適当な添加物類および助剤類と組合わせて、上記のように使われいる、障害類、例えば、皮膚障害類の診断、および/または創傷治癒、および/またはその病理学的障害類の診断のための、診断薬を調製するための方法に関する。

0081

例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(実施例2−6,PCR診断薬、例えば、欧州特許第0 200 362号)またはRNアーゼプロテクションアッセイ(例えば、Sambrookら,上記7章,7.71−7.78ページ,Wernerら,1992,Growth Factor and Receptors:APractical Approach 175−197,Werner,1998,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.89:6896−699を参照)に基づく診断薬を、上記の核酸の助けを借りて、調製することが本発明に従って可能である。これらのテストは、普通は対応するmRNAまたはそのcDNAの、その相補的対応鎖との核酸の特異的ハイブリダイゼーションに基づく。上記の核酸は、例えば、欧州特許第0 063 879号に開示されているように、この場合も修飾が可能である。好ましくは、DNAフラグメントは、一般的に知られた方法に従って、適当な試薬類によって、例えば、α−32P−dCTP放射性的に、またはビオチンまたはジゴキシゲニン非放射性的に、標識し、そして、例えばニトロセルロースまたはナイロンの適当な膜に予め好ましくは結合されている、単離されたRNAとともにインキュベートする。各組試料からの同量の研究済みRNAを用いて、前記プローブにより特異的に標識されたmRNAの量を、従って、定量することが可能である。あるいは、mRNA量の定量は、in situハイブリダイゼーションの助けによって、組織切片中で直接実施することも可能である(Wernerら,1992,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:6896−6900)。

0082

本発明に従う診断薬の助けによって、例えば、創傷治癒障害または皮膚科学障害を安全に診断できるように、発現の強さを組織試料中で特異的に測定することも、このように可能である(実施例2から6)。その種の方法は、障害類の初期予後に特に適している。

0083

本発明はさらに、少なくとも一つの核酸、少なくとも一つのポリペプチド、本発明に従うポリペプチドまたは当該ポリペプチドをコードする核酸を発現する少なくとも1細胞、または少なくとも一つの抗体、を含む、上記のように、もし適切であれば適当な添加物類および助剤類とともに、障害類、例えば、皮膚障害類の診断のための、および/または創傷治癒および/またはその病理学的障害類の診断のための、診断薬に関する。

0084

本発明に従う好ましい診断薬は、記載のポリペプチドまたはかなり詳細に上記したその免疫原性部分を含有する。例えばニトロセルロースまたはナイロンの固相に好ましくは結合された前記ポリペプチドまたはその部分は、従って、例えば、自己免疫抗体類と反応できるように、例えば、研究予定体液、例えば創傷分泌物と,in vitroで接触させることが可能である。次いで当該抗体・ペプチド複合体は、標識抗ヒトIgGまたは抗ヒトIgM抗体類の助けによって、検出可能である。当該標識は、例えば、呈色反応触媒するペルオキシダーゼのような酵素を含む。存在する自己免疫抗体の存否および量は、従って、当該呈色反応により容易にかつ迅速に検出可能である。

0085

本発明の主題事項である、さらなる診断薬は、当該発明に従う抗体類自身を含んでいる。それらの抗体類の助けを借りて、可能性のある障害類、例えば、皮膚障害類および創傷治癒障害類の指標をそれによって得るために、例えば、問題のポリペプチドの増量が生じたかどうかについて、組織試料を容易にかつ迅速に調べることが可能である。この場合、本発明に従う抗体類は、既に上記したように、例えば、酵素で標識する。それによって、当該特異的抗体・ペプチド複合体は、酵素呈色反応によって容易にかつ迅速に検出可能である。

0086

本発明に従うさらなる診断薬は、プローブ、好ましくはDNAプローブ、および/またはプライマーを含む。これによって、適当なプローブの助けを借りて、例えば適当なジーンバンクから、例えば創傷特異的または皮膚特異的または皮膚障害特異的ジーンバンクからの単離により、上記核酸類を得るさらなる可能性が、開かれる(例えば、J.Sambrookら,1989,MolecularCloning.A Laboratory Manual 第2版,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY 8章 8.1から8.81ページ, 9章 9.47から9.58ページ 10章 10.1から10.67ページを参照)。

0087

適当なプローブ類は、例えば、約100−1000ヌクレオチドの長さをもつ、好ましくは約200−500ヌクレオチドの長さをもつ、特に約300−400ヌクレオチドの長さをもつ、DNAまたはRNAフラグメント類で、その配列は、前記配列プロトコールの配列番号1から配列番号4に従うポリペプチド類から、および/または配列番号5から配列番号8に従う前記配列プロトコールに示されたcDNA配列類の助けを借りて、引き出すことが可能である。

0088

あるいは、それらの引き出された核酸配列の助けによって、ポリメラーゼ連鎖反応のためのプライマー類として適当なオリゴヌクレオチド類を合成できる。これを使って、上記の核酸またはその部分を、cDNA、例えば創傷特異的cDNA(実施例2から6)または乾癬特異的cDNA(実施例7)から増幅および単離することが可能である。適当なプライマー類は、例えば、約10からの100のヌクレオチドの長さをもつ、好ましくは約15から50のヌクレオチドの長さをもつ、特に20から30のヌクレオチドの長さをもつ、DNAフラグメント類で、その配列は、前記配列作表の配列番号1から配列番号4に従うポリペプチド類から、および/または配列番号5から配列番号8に従う前記配列作表に示されたcDNA配列類の助けによって、引き出すことが可能である。

0089

本発明のさらなる主題事項は、障害類、例えば、皮膚障害および/または創傷治癒および/またはその病理学的障害類における診断のための、本発明に従う診断薬の使用に関する。 本発明はさらに、本発明に従う少なくとも一つの核酸、本発明に従う少なくとも一つのポリペプチド、本発明に従う少なくとも一つの融合タンパク質、本発明に従う少なくとも一つの抗体または抗体フラグメントまたは本発明に従う少なくとも一つの細胞を、もし適切であれば適当な添加物類および助剤類とともに、テストの準備に使用する、例えば薬理学的活性物質類の発見のためのテストを準備する方法に関する。

0090

本発明はさらに、本発明に従う少なくとも一つの核酸、本発明に従う少なくとも一つのポリペプチドまたは本発明に従う少なくとも一つの抗体、本発明に従う少なくとも一つの細胞を、もし適切であれば適当な添加物類および助剤類とともに、含む薬理学的活性物質類の同定のために、本発明に従って行われるテストを含む。それらのテストは、疾患類、好ましくは皮膚疾患類、創傷治癒および/またはその病理学的障害類との関連における、薬理学的活性物質類の同定のために用いることが可能である。

0091

本発明の好ましい実施態様において、本発明に従う少なくとも一つのGPCRポリペプチドまたはその機能性バリアントまたはそれらをコードする核酸またはそのバリアント、を発現する少なくとも一つの細胞を、本発明に従う上記テストのために使用する。

0092

本発明はさらに、本発明に従う少なくとも一つのGPCRポリペプチドおよび/または本発明に従う少なくとも一つの核酸および/または本発明に従う少なくとも一つの抗体または抗体フラグメント、が固相に結合されている、テストを含む。それらのテストは、疾患類、好ましくは皮膚疾患類、創傷治癒、および/またはその病理学的障害類との関連で、薬理学的活性物質類の同定のために用いることが可能である。

0093

適当なシステムは、例えば、選択マーカー遺伝子類および上記核酸類を含有する発現ベクター類で、細胞類、例えば、表皮細胞類または真皮細胞類の安定な形質転換により、つくってもよい。この方法では、上記核酸類の発現が、in vivoでの病理学的に乱された発現に相当するように、当該細胞中で変更される。上記核酸を含有するアンチセンスオリゴヌクレオチド類も、この目的のために用いてもよい。それ故、本出願で開示されているような、乱された再生プロセスにおける当該遺伝子類の発現行動を知ることは、それらのシステムに特に有益である。しばしば、in vitroでそれら細胞の病理学的行動を、そのように模倣することが可能で、そして当該細胞類の正常な行動を再現させ、そして治療能力をもつ、物質を探すことが可能である。

0094

それらのテストシステム用の適当な細胞は、例えば、一般に入手可能なHaCaT細胞で、そして発現ベクターはpCMV4である(Andersonら,1989,J.Biol.Chem.264:8222−9)。上記のような核酸は、この場合、当該発現ベクター類中へセンス方位にでもアンチセンス方位にでも組込みが可能で、その結果、当該細胞中の対応遺伝子類のmRNAの機能性濃度は、当該アンチセンスRNAとのハイブリダイゼーションにより、増加するか、または減少する。安定な形質転換体の形質転換および選択後、培養中の当該細胞類は、一般に、対照細胞類と比較して、違った増殖、移動および/または分化行動を示す。in vitroでのこの行動は、体内での再生プロセスにおける対応遺伝子類の機能としばしば相関しており(Yuら,1997,Arch.Dermatol.Res.289:352−9;Milsら,1997,Oncogene 14:15555−61;Charvatら,1998,ExpDermatol 7:184−90;Werner,1998,Cytokine Growth Factor Rev.9:153−65;Mythilyら,1999,J.Cen.Virol.80:1707−13)、そして、実施するのに簡単でかつ迅速なテストを用いて検出が可能であり、かくして、それに基づく薬理学的活性物質類のためのテストシステムの構築が可能になる。このように、細胞の増殖行動は、例えば、標識ヌクレオチド類の、当該細胞類のDNA中への取込みにより(例えば、SavinoおよびDardenne,1985,J.Immunol.Methods85:221−6;PerrosおよびWeightman,1991,Cell Prolif.24:517−23;de FriesおよびMitsuhashi,1995,J.Clin.Lab.Anal.9:89−95を参照)、特異的着色剤で当該細胞類を染色することにより(Schulzら,1994,J.Immunol.Methods 167:1−13)、または免疫学的方法により(Frahmら,1998,J.Immunol.Methods 211:43−50)、きわめて迅速に検出が可能である。移動は、移動指数テスト(Charvatら、上記参照)および類似のテストシステム類(Benestadら,1987,Cell Tissue Kinet.20:109−19,Jungerら,1993,J.Immunol.Methods 160:73−9)により簡単に検出可能である。適当な分化マーカー類は、例えば、ケラチン(keratin)6、10および14,そしてロリクリン(loricrin)およびインボルクリン(involucrin)(Rosenthalら,1992,J.Invest.Dermatol.98:343−50)で、それらの発現は、例えば、一般に入手可能な抗体類により容易に検出可能である。

0095

もう一つの適当なテストシステムは、いわゆるツーハイブリッドシステムを使う相互作用の確認に基づいている(FieldsおよびSternglanz,1994,Trends in Genetics,10,286−292;ColasおよびBrent,1998 TIBTECH,16,355−363)。このテストでは、上記のポリペプチド、および、例えばGal4またはLexAのような転写因子DNA結合ドメインからの融合タンパク質類を発現する発現ベクター類を用いて、細胞類を形質転換する。当該形質転換細胞類はレポーター遺伝子をさらに含むが、そのプロモーターは、対応するDNA結合ドメイン類に対する結合部位類を含んでいる。例えばGal4またはHerpes simplexウイルスVP16の活性化ドメインをもつ既知または未知ポリペプチドからの第2の融合タンパク質を発現する別の発現ベクターの形質転換により、もしその第2融合タンパク質が上記のポリペプチドと相互作用をするならば、当該レポーター遺伝子の発現は非常に増加する可能性がある。発現におけるこの増加は、例えば第2融合タンパク質の構築のために再生中の組織からcDNAライブラリーを調製することにより、新しい薬理学的活性物質類を同定するために利用可能である。さらに、このテストシステムは、上記のポリペプチドおよび薬理学的活性物質との相互作用を阻害する物質類のスクリーニングに利用してもよい。それらの物質は、上記のポリペプチドおよび当該薬理学的活性物質の融合タンパク質類を発現する細胞中のレポーター遺伝子の発現を、減少させる(VidalおよびEndoh,1999,Trends in Biotechnology,17:374−81)。例えば、再生プロセスの障害の治療のために用いることができる新しい活性化合物類は、従って、迅速に同定される可能性がある。

0096

GPCRポリペプチド類の分析に適した別の細胞基盤テストシステムは、Marcheseら(1999,Trendsin Pharmacol.Sci.20:370−375)に要約されており、そして、低内因性GPCRバックグラウンド発現またはGタンパク質類の十分測定できるレベルの発現またはその両方をもつ細胞類に特に適したいわゆる「リガンドスクリーニングアッセイ」を含む。例えば酵母細胞では、フェロモン受容体は、本発明に従うGPCRによって置換可能である。テスト物質類の当該受容体への作用は、ヒスチジン合成の変調に基づいて、すなわち、無ヒスチジン培地中で増殖させることにより、明らかにできる。加えて、本発明に従う核酸類をトランスフェクトされた細胞類を使って、テスト物質類が、検出可能なアレスチン類、、例えばアレスチン・GFP融合タンパク質のトランスロケーションを、仲介するかどうかを分析可能である。さらに、テスト物質類が、アフリカツメガエル(Xenopus laevis)の黒色素胞類のGPCR仲介の分散または凝集を、仲介するかどうかを分析可能である。もう1つのテストシステムは、Ca2+を動員する普遍的アダプターGタンパク質Gアルファ16を利用する。その他のスクリーニングテストシステムは、Lernerら,上記参照;国際特許出願公開WO 96/41169;米国特許第5,482,835号;国際特許出願公開WO 99/06535;欧州特許第0 939 902号;国際特許出願公開WO 99/66326;国際特許出願公開WO 98/34948;欧州特許第0 863 214号;米国特許第5,882,944号および米国特許第5,891,641号に、記載されている。

0097

本発明のさらなる好ましい実施態様は、薬理学的活性物質類の同定のためのテストであって、薬理学的活性物質類は、障害類、好ましくは皮膚障害類または創傷治癒またはその病理学的障害との関連で、本発明に従うトランスジェニック動物に対して効果を発揮するかどうかが、テストされる。トランスジェニック動物類は、例えば創傷治癒性質の変化、または上皮増殖の変化、特に上皮増殖の促進または炎症の変化について、テストが可能である。次いで候補薬理学的物質類は、例えば、それらが創傷治癒性質を変える、例えば創傷治癒を促進するかどうか、またはそれらは、例えば、上皮増殖または炎症を変えるかどうかを、テスト可能である。

0098

本発明のさらなる好ましい実施態様は、薬理学的活性物質類の同定のためのテストであって、薬理学的活性物質類が、本発明に従う少なくとも一つの核酸の発現に作用を発揮するかどうかについて、テストされる。

0099

遺伝子類の発現に影響する薬理学的活性物質類の同定のためのアッセイは、当業者には知られている(例えばSivarajaら,2001,米国特許第6,183,956号)。 それ故、本発明に従う核酸類を発現する細胞類、例えば、HeLa細胞は、in vitroでの遺伝子発現の分析のためのテストシステムとして培養してもよく、そこでは、皮膚細胞類、特にケラチノサイト類、繊維芽細胞類または内皮細胞類が好まれる。可能性のあるテストシステムは、一般に入手可能なヒトケラチノサイト細胞系HaCaTである。

0100

遺伝子発現の分析は、例えばmRNAまたはタンパク質のレベルで行う。本発明に従う核酸の、またはタンパク質の、量は、当該細胞培養に一つまたは一つ以上の物質を加えて測定し、そして対照培養中の適正量と比較する。これは、例えばアンチセンスプローブを、細胞類の溶解物中に含まれる本発明に従う標的遺伝子類のmRNAと、ハイブリダイズさせることを用いて、行う。当該ハイブリダイゼーションは、特定の抗体を前記mRNA・プローブ複合体へ結合させることにより、定量可能である(StuartおよびFrank,1998,米国特許第4,732,847号を参照)。当該分析を高処理量規模で行い、本発明に従う核酸類の発現のモジュレーターとしての適性を、多くの物質についてテストすることが可能である(Sivarajaら,2001,米国特許第6,183,956号)。分析される物質類は、例えば、数千もの非常に異質な物質を含む物質類のライブラリー類(例えばドイツ特許第19816414号、ドイツ特許第19619373号を参照)由来であってもよい。あるいは、当該細胞類からRNAまたはmRNAを分離し、次いで、本発明に従う標的遺伝子類のmRNAの絶対量または相対量を、定量用RT−PCR(欧州特許第0 200 362号;Wittwerら,1997,BioTechniques 22:130−138;Morrisonら,1998,BioTechniques 24:954−962を参照)によるか、またはRNアーゼプロテクションアッセイ(例えばSambrookら,1989,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor,Cold Spring Harbor Laboratory Press,New York,7章;欧州特許第0 063 879号を参照)により、定量可能である。もう1つの可能性は、本発明に従うポリペプチドを認識する抗体類を用いて、当該細胞溶解物中のタンパク質の量を分析することである。この場合、定量は、当業者には一般に知られるELISA(固相酵素免疫検定法)またはウェスタンブロット法により、確立される。本発明に従う核酸類の発現に及ぼす当該物質類の作用の特異性を決定するには、標的遺伝子類の発現に及ぼす物質類の影響と、例えば代謝、例えばGAPDHの遺伝子類のような他の遺伝子類の発現に及ぼす当該物質類の影響とを、比較する。その種の分析は、本発明に従う核酸類の分析とは、別の分析で、または平行して、実施してもよい。

0101

もう一つのテストシステムで、本発明に従うポリペプチド類またはそれらの機能性バリアント類および/または当該ポリペプチド類またはそれらのバリアント類をコードする核酸類、および/または本発明に従うポリペプチド類またはそれらの機能性バリアント類に対して向けられた抗体類または抗体フラグメント類および/または本発明に従うポリペプチド類またはそれらのバリアント類またはそれらまたはそれらのバリアント類をコードする核酸類を発現する細胞類は、固相に結合され、そして物質類は、例えば結合のための、またはコンホメーションの変化のための相互作用についてテストされる。アフィニティークロマトグラフィーおよび蛍光分光分析のような適当なシステム類は、当業者には知られている。

0102

本発明に従う固相結合ポリペプチド類またはそれらの機能性バリアント類または当該ポリペプチド類またはそれらのバリアント類をコードする核酸類、本発明に従う融合タンパク質類または本発明に従うポリペプチド類またはそれらの機能性バリアント類に対して向けられた抗体類または抗体フラグメント類または本発明に従うポリペプチド類またはそれらの機能性バリアント類または、それら、またはそれらのバリアント類をコードする核酸類を発現する細胞類も、アレイの一部であってもよい。そのようなアレイ類は、疾患類、好ましくは皮膚疾患類、創傷治癒おおよび/または創傷治癒の障害類の分析および/または診断に用いることが可能である。

0103

本発明はさらに、本発明に従う少なくとも一つのGPCRポリペプチド、および/または本発明に従う少なくとも一つの融合タンパク質、および/またはそれらをコードする少なくとも一つの核酸、および/または本発明に従う少なくとも一つの抗体または抗体フラグメントおよび/または本発明に従うポリペプチドまたはその機能性バリアントまたは、それ、またはそのバリアントをコードする核酸を発現する少なくとも一つの細胞が、担体材料に固定されている、アレイを含む。そのようなアレイ類は、皮膚細胞の障害類との、および/または創傷治癒および/またはその病理学的障害類との関連で、当該分析に用いることが可能である。

0104

本発明はさらに、本発明に従う少なくとも一つのGPCRポリペプチドおよび/または本発明に従う少なくとも一つの融合タンパク質および/または当該ポリペプチドをコードする少なくとも一つの核酸および/または当該ポリペプチドに対して向けられた少なくとも一つの抗体または抗体フラグメントが、前記担体材料に固定されているように、当該担体材料に固定されているアレイを生産する方法に関する。

0105

そのようなアレイ類を生産する方法、例えば、固相化学および光不安定性保護基類に基づく方法は、周知である(米国特許第5,744,305号)。そのようなアレイ類は、物質類または物質ライブラリー群と接触させ、例えば結合のための、またはコンホメーションの変化のための相互作用についてテストすることが可能である。

0106

従って、テストされる物質は検出用マーカーを含むことができ、例えば、当該物質は、放射性標識蛍光標識または発光標識されてもよい。さらに、物質類は、間接的検出を可能にするタンパク質類に結合させてもよく、例えば、酵素触媒反応による、発色性基質を用いるペルオキシダーゼアッセイの方法による、または検出用抗体を結合させる方法による。テスト物質との相互作用が起れば、本発明に従うポリペプチドのコンホメーションの変化は、例えば、当該ポリペプチド中の内在性トリプトファン残基蛍光の変化により定量可能である。

0107

前記テストシステム類により同定された薬理学的活性物質類は、皮膚細胞類の疾患類の診断、予防および/または治療のための、および/または創傷治癒および/またはその病理学的障害類の診断および/または治療のための、診断薬または医薬品の生産のために、もし適切であれば、適当な添加物類および/または助剤類と組合わせてもよい。

0108

上記のポリペプチド類の薬理学的活性物質類は、例えば、SELEX(Jayasena,1999,Clin.Chem.45:1628−50;KlugおよびFamulok,1994,M.Mol.Biol.Rep.20:97−107;Tooleら、1996,米国特許第5,582,981号を参照)のような選択方法によって分離された核酸類であってもよい。SELEX法では、典型的には、高親和性でポリペプチドに結合するそれらの分子(アプタマー類)は、異なる一本鎖RNA分子類の大プールから増幅および選択を繰返して分離される。アプタマー類は、それらの鏡像異性体型、例えばL−リボヌクレオチドとしての例(Nolteら,1996,Nat.Biotechnol.14:1116−9;Klussmannら,1996,Nat.Biotechnol.14:1112−5)で、合成および選択することも可能である。このようにして分離された型は、天然に存在するリボヌクレアーゼ類によっては分解されず、それ故、高い安定性をもつという利点がある。

0109

同定された薬理学的活性物質類は、疾患類、例えば、皮膚細胞の疾患類の予防、治療および/または診断のための、および/または創傷治癒および/またはその病理学的障害類の診断および/または治療のための、診断薬または医薬品の生産のために、もし適切であれば、適当な添加物類および/または助剤類と組合わせまたは一緒にすることが可能である。当該薬理学的活性物質類は、例えば無機質または有機質分子、例えば核酸類または核酸の類似体類、ペプチド類またはタンパク質類、特に抗体類、本発明に従うポリペプチド類の機能性バリアント類または本発明に従うポリペプチド類のそれらまたはリガンド類をコードする核酸類であってもよい。薬理学的活性物質類の例はさらに、薬理学的活性がテストされた物質ライブラリー群に含まれる有機分子類である。

0110

診断薬としての核酸類の使用は、例えば、上記のポリメラーゼ連鎖反応に基づいていてもよい。医薬品類としての核酸類の使用は、例えば、遺伝子治療に適用できるベクターを用いて遺伝子治療的に、または上記のようにアンチセンスヌクレオチド類の適用によって、達成することが可能である。

0111

医薬品類としての他の有機または無機の薬理学的活性物質類の使用は、上記のような適用から生じる可能性がある。診断薬としての抗体類の使用は、上記のような免疫学的技術、例えば、酵素で標識された抗体類をを使うことから生じる可能性がある。その特異的抗体・ペプチド複合体は、酵素呈色反応により容易にかつ迅速に検出可能である。

0112

薬理学的活性物質類を診断薬として使うためには、検出用マーカー、例えば、放射性標識、蛍光標識または発光標識された物質を含有してもよい。さらに、物質類は酵素類に共役させ、間接的な検出を、例えば、発色性基質を用いるペルオキシダーゼアッセイの方法による酵素触媒作用により、または、標識されたまたは検出用抗体を結合させることにより、可能にしてもよい。当該物質類は、分析予定のプローブと接触させてもよく、そしてそれによって、本発明に従うポリペプチド、または本発明に従う核酸、または本発明に従う細胞、または本発明に従う抗体または抗体フラグメント、の量を、当該プローブ中で定量可能である。ある生物から得た当該プローブの分析の結果は、健常または罹病生物に由来するプローブの分析の結果と比較が可能である。

0113

本発明はさらに、障害類、例えば皮膚障害との関連で、および/または創傷治癒との関連で、上記のような少なくとも一つの核酸、少なくとも一つのポリペプチドまたは少なくとも一つの抗体または抗体フラグメントが調製用に使われる、分析用支持材料上に固定化されたアレイを調製する方法に関する。

0114

そのようなアレイ類を調製する方法は、例えば、米国特許第5,744,305号から、スポッティングプリンティングにより、または光不安定性保護基類との関連で固相化学により、知られる。

0115

本発明はさらに、上記のように、少なくとも一つの核酸、および/または少なくとも一つのポリペプチド、および/または少なくとも一つの抗体または抗体フラグメントおよび/または本発明に従うポリペプチドまたはその機能性バリアントまたは、それ、またはそのバリアントをコードする核酸を発現する少なくとも一つの細胞を含む、担体材料上に固定されたアレイに関する。その種のアレイ類は、障害類、例えば皮膚障害との関連で、および/または創傷治癒および/またはその病理学的障害類との関連で、分析のために使用可能である。 本発明はここで、図および実施例の助けを借りて、以下にさらに具体的に説明されるが、本発明はそれらに限定されるわけではない。

0116

表、図および配列の説明
図1は、二つの異なるプローブを用いる、同一パターンの適用cDNAフラグメントをもつ膜のハイブリダイゼーションのオートラジオグラム。当該cDNAフラグメントは、無傷の皮膚に比べて正常に治癒中の創傷でより強く発現されるcDNA類が濃縮された、創傷特異的差引きcDNAライブラリーに由来するものである。両プローブは、差引きハイブリダイゼーションに起源するcDNAから調製した。A:皮膚特異的プローブ(差引き無傷皮膚対正常に治癒中の創傷)、B:創傷特異的プローブ(差引き正常に治癒中の創傷対無傷の皮膚)。SW1368cDNA(各2回負荷)の位置を矢印で示す。

0117

図2は、デキサメタゾンで処理された10週齢BALB/cマウスの正常に治癒中の創傷および治癒の遅い創傷における、ならびに、若齢(4週目)および老齢(12ヵ月目)BALB/cマウスの創傷における、創傷治癒に関連するマウスSW1368およびSW1695遺伝子の変化発現の作表。

0118

図3は、糖尿病のマウスおよび対照動物における創傷治癒に関連するマウスSW1368およびSW1695遺伝子の変化発現の作表。図4は、創傷治癒中の遺伝子発現の分析において同定された遺伝子ファミリーの同定されたポリペプチド配列およびそれらのcDNAの作表通覧。

0119

図5は、マウスおよびヒトからのSW1368の同定されたタンパク質のポリペプチド配列の比較。SW1368のマウス配列とSW1368のヒト配列の厳密な一致部も示す。

0120

図6は、マウスおよびヒトからのSW1695の同定されたタンパク質類のポリペプチド配列の比較。SW1695のマウス配列とSW1695のヒト配列の厳密な一致部も示す。

0121

図7は、ヒトにおける創傷治癒中のSW1368の発現の動態。図8は、静脈潰瘍患者の無傷の皮膚に対する創傷基底および創傷辺縁におけるヒトSW1368およびSW1695の発現の相対レベルの分析。

0122

配列番号1から配列番号8は、ヒトまたはマウスからの本発明に従うポリペプチドまたはcDNAの配列を示す。配列番号9から配列番号14および配列番号16から配列番号21は、本発明の実験のために使われたオリゴヌクレオチドのDNA配列を示す。

0123

配列番号15は、「逆ノーザンブロット分析」により調節されていることが確認され、クローンの配列を介して決定され、配列番号1に従い、本発明に従い使われたcDNAの配列の一部を示す。

0124

実施例1:差引きハイブリダイゼーションによる創傷関連cDNAの濃縮および創傷関連遺伝子としてのSW1368の同定
全RNAを、BALB/cマウスの無傷の皮膚および創傷組織(組織サンプリングの1日前にみで切り、創傷をつくった;負傷)から、標準法により分離した(ChomczynskiおよびSacchi,1987,Anal.Biochem.162:156−159,ChomczynskiおよびMackey,1995,Anal.Biochem.225:163−164)。それらのRNAは次いで逆転写酵素の助けにより、cDNAへ転写した。cDNA合成は、Clontech Laboratories GmbH、Heidelberg、製の「SMARTPCRcDNA合成キット」を用い、当該メーカーマニュアルに従って行った。

0125

cDNAプール中に異なる頻度で生じるcDNAを同定するため、差引きハイブリダイゼーション(Diatchenkoら,1996,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.93:6025−30)を行った。これは、Clontech Laboratories GmbH、Heidelberg,製の「PCR−Select cDNA差引きキット」を用い、当該メーカーのマニュアルに従って実施し、当該cDNA合成後、過剰オリゴヌクレオチドの除去は、アガロースゲル電気泳動により行った。創傷関連遺伝子類を濃縮した二つのcDNAプールを設定したが、一方のプールは、無傷の皮膚と比較して正常に治癒中の創傷組織でより強く発現されるcDNAフラグメントについて濃縮したもので(「創傷特異的cDNAプール」)、他方のプールは、正常に治癒中の創傷組織と比較して無傷の皮膚でより強く発現されるcDNAフラグメント類について濃縮したものである。

0126

創傷治癒に関連する前記cDNAプールに含まれる遺伝子類を同定するために、これらのプール中の相当するcDNAの存在を、「逆ノーザンブロット」で分析した。ここで、cDNAフラグメントを、多くの異なるcDNAのアレイ群の形で膜上に固定化し、そして放射性標識したcDNAの複雑な混合物とハイブリッド形成する(Sambrookら,1989,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold SpringHarbor,Cold Spring Harbor LaboratoryPress,New York,9章 9.47から9.58ページおよび10章 10.38から10.50ページ;AndersonおよびYoung:Quantitative filter hybridisation;in:Nucleic AcidsHybridization,A Practical Approach,1985,HamesおよびHiggins編,IRL Press Ltd.;Oxford,4章 73から112ページ)。

0127

cDNAフラグメントは、無傷の皮膚に比べて正常に治癒中の創傷でより強く発現されるcDNAが濃縮された創傷特異的差引きcDNAライブラリーに由来する、本実施例で使われる膜上へ、固定した。

0128

適当なハイブリダイゼーションプローブの調製のために、上記差引きcDNAプールを制限エンドヌクレアーゼRsaIで処理し、そして、当該cDNA合成および増幅プライマーを分離するために(マニュアル「PCR−SelectcDNA 差引きキット」、Clontechを参照)、アガロースゲル電気泳動により精製した(Sambrookら,上記参照、6章,6.1から6.35ページ)。次いで当該cDNA類は、ハイブリダイゼーションプローブ類を調製するために、「ランダムヘキサマープライミング」法を用いて、放射性標識した(FeinbergおよびVogelstein,1983,Anal.Biochem.132:6−13)。

0129

前記膜を、25mlのハイブリダイゼーション溶液(25mMリン酸ナトリウム,pH=7.5,125mM NaCl,7%SDS)中で、65℃で30分間プレインキュベートした。ハイブリダイゼーションプローブは、100℃で10分間変性させ、次いで上で冷却し、1ml当り約100CMP(「1分間当りのカウント数」)を前記ハイブリダイゼーション溶液に添加し、そしてハイブリダイゼーションを、ハイブリダイゼーションオーブン中で65℃で16時間行った。次いで当該膜をプローブを含まない前記ハイブリダイゼーション溶液を用い、65℃で10分間2回洗浄した。次いで当該膜を、洗浄液(2.5mMリン酸ナトリウム,pH=7.5,12.5mM NaCl,0.7%SDS)中、1回10分間、注ぎ出された溶液中に全く活性が検出されなくなるまで、65℃で多数回洗浄した。当該放射活性シグナルをホスホイメジャー(phosphoimager)(BioRad,Quantity OneR)を用いて分析し(図1)、そして引続きArray Vision 4.0(ImagingResearch Inc.)を用いて分析した。この目的のために、当該エリアの長さおよび幅ならびに当該スポット位置の直径により決定されるマスクを規定した。上乗せしたマスクをもつオートラジオグラフィー図1に示す。シグナル強度標準化は、酵母からのLPHRcDNAから成る正の対照(positive control)を分析することにより行った。このDNAは、当該アレイ上の規定された位置にスポットされ、そして、前記創傷特異的または皮膚特異的cDNAプールのハイブリダイゼーションプローブへの適当なプローブの添加により、定量された。さまざまなプローブにより異なる標準化シグナル強度を産生したそれらのcDNA類は、次いで選択された。これは、当該膜上のSW1368の位置に、皮膚特異的cDNAプール(図1A)と比べて創傷特異的cDNAプール(図1B)で、有意に強いシグナル強度をもたらした。当該クローン(配列番号15)のシークエンシングおよび653塩基対鎖長の配列の分析は、それがまだ未知のGPCRであることを示した。

0130

実施例2:「リアルタイム定量RTPCR」によるSW1368の発現パターン検定
上記核酸類のディファレンシャル発現の検定ならびに創傷治癒のさらなる段階の検討を、ABIPrism 7700配列検出システム(PE Applied Biosystems)中でリアルタイムRT−PCRにより行った。当該装置にはABI Prism 7200/7700 SDS−Software Version 1.6.3(1998)が備わっていた。PCR産物の検出は、二本鎖DNAへの結合によりその蛍光が大きく増加するSYBR Green 1染色の助けにより、当該cDNAの増幅中に行った(Karlsenら,1995,J.Virol.Methods.55:153−6;Wittwerら,1997,BioTechniques 22:130−8,Morrisonら,1998,BioTechniques 24:954−62)。定量の基準は、蛍光シグナルが規定の閾値を超える時に到達するPCRサイクル(「閾値サイクル」、CT値)である。分析は、△−CT法により行った(User Bulletin #2,Relative Quantification of Gene Expression,PE Applied Biosystems,1997)。当該cDNA類の存在量は、内在基準(GAPDH)に対して相対的に定量した。結果を図2および図3に示す。

0131

治癒の遅い創傷をもつマウスからの組織を得るために、BALB/cマウスを、負傷前にデキサメタゾンで処理した(体重1kg当り0.5mgのデキサメタゾンの等張塩類溶液を1日2回5日間注射)。糖尿病マウスからの創傷組織を得るために、負傷1日後の10週齢C57BL/Ks−db/db/Olaマウスを用いた。この場合、対照動物として、10週齢C57BL/Ksマウスを用いた。全RNAは、上記のように皮膚および創傷組織より採取し、メーカーの推薦(SYBR GreenPCRandRT−PCR ReagentsProtocol,PE Applied Biosystems,1998)に従って、TaqMan逆転写試薬キット(Perkin Elmer)を用い、サーモサイクラー(GeneAmp PCR system 9700,Perkin Elmer)中で、1μgの全RNAを逆転写に付した。SW1368cDNAの増幅用プライマー対、SW1368プライマー1:GAGGCATGTCAAATCAGTAAGCTG(配列番号9)、SW1368プライマー2:GGTGGCTTTGGAGTGAGCAC(配列番号10)および基準(GAPDHプライマー1:ATCAACGGGAAGCCCATCA(配列番号11)、GAPDHプライマー2:GACATACTCAGCACCGGCCT(配列番号12))は、上記マウスからのSW1368のcDNA配列およびマウスからのGAPDHの既知配列に基づき、the Primer Express software for Macintosh PC Version 1.0(PE Applied Biosystems,P/N402089,1998)の助けを借りて選択した。PCRには、the SYBR Green PCR Core Reagents Kit(4304886,PE Applied Biosystems)を用いた。当該PCRにおける前記プライマー類の濃度は、50nMから600nMまでの範囲に最初に至適化し、そして当該PCRの特異性は、アガロースゲル電気泳動で増幅産物の長さを分析してテストした。当該PCRシステムの効率は、次いで希釈系列により決定した(User Bulletin #2,Relative Quantification of Gene Expression,PE AppliedBiosystems,1997)。両cDNAについて増幅の効率は100%であることが明らかになった、すなわち、当該cDNAの各1:2希釈において、蛍光閾値を超すには、もう1回サイクルが必要であった。

0132

定量には、cDNAの各バッチを、25μlの全容量で10ngの逆転写全RNAから増幅した。PCRの実行条件は、メーカーの詳細(PE Applied Biosystems,SYBR GreenR PCR およびRT−PCR Reagents Protocol,1998)に従った。CT値を分析し、そしてその値からGAPDHに比例するSW1368mRNAの存在量を算出した。この方法で、対照動物の無傷の皮膚に対比した正常に治癒中の創傷で、ならびに、若齢および老齢マウスの皮膚に対する創傷の比較で、いずれもSW1368の増加が確かめられた(図2図1と比較)。別の創傷治癒状態の分析は、対照動物の創傷に比較してデキサメタゾンで処理されたマウスの治癒の遅い創傷で、SW1368の発現が多少増加することを示した。しかし、対照マウスに比較して糖尿病のマウスの創傷では、SW1368の量が50%減少することが示された(図3)。従って、SW1368の創傷特異的調節が確かめられただけでなく、さらに、妨害性創傷治癒における役割が明らかにされた(図3)。加えて、SW1695が創傷において特異的に調節されていることも示された(図2)。この場合、対照動物の創傷よりデキサメタゾンで処理された動物の治癒の遅い創傷で、3倍量のSW1695が測定された。このことは、SW1368だけでなくSW1695も異なる創傷治癒プロセスで調節されることを、明らかに示している。

0133

実施例3: ヒト創傷におけるSW1695の発現パターンの分析
健康な被験者の、無処理の無傷の皮膚および無処理の1日および5日目の創傷の皮膚生検試料(直径:4mm)を、パンチングにより採取した。それらは、実施例2に記載された「リアルタイム定量RTPCR」により調べた。SW1695の増幅のためのプライマー対(SW1695プライマー1:TTCTTCTGCTTTGTGGCAAGG(配列番号13)、SW1695プライマー2:GAAAAGGATCAGGAAGACCGG(配列番号14)および基準(hGAPDHプライマー1:CATGGGTGTGAACCATGAGAAG(配列番号16)、hGAPDHプライマー2:CTAAGCAGTTGGTGGTGGAGG(配列番号17))は、ヒトSW1695の開示cDNA配列に基づき、およびヒトGAPDHの既知配列に基づき選択した。定量には、10ngの逆転写全RNA由来のcDNAを、各試料につき25μlの全容量中で増幅した。PCRはメーカーの仕様書(PE applied biosystems,SYBR green PCR and RT−PCR reagents protocol,1998)に従って行った。CT値を分析し、そしてその値からGAPDHmRNAに対するSW1695 mRNAの存在量を算出した。無傷の皮膚に比べて1日創傷でSW1695の60%減少が測定された。このデータは、対照動物の無傷の皮膚に比較して正常に治癒中の創傷でSW1695と同程度の減少が観察された(図2)、マウスモデルで得られた結果と、符合する。加えて、無傷の皮膚に比較して5日創傷で、SW1695発現の70%減少が示された。このことは、SW1695の発現が短期調節されるだけでなく、より長期の治癒プロセスには発現の変更が不可欠なことを、明らかに示している。

0134

実施例4: ヒトにおけるSW1368発現の創傷治癒の動態
創傷治癒プロセスの際の本発明に従うGPCR類の発現のレベルについてよりよい時間的解像度を得るため、6名の患者の無傷の皮膚の4mm生検を上記のように採取するとともに、1時間、1日、5日および14日の時点での生検採取を行った。所定の時点での生検をプールし、そしてそのRNAを分離した。100分の1容量の2−メルカプトエタノール分散器を使って予め添加した、RNAclean buffer(AGS,Heiderberg)中で当該生検試料ホモジナイズすることにより、RNAを分離した。次いでRNAは、水で飽和した酸性フェノールにより2回フェノール処理して抽出し、そして1−ブロモ−3−クロロプロパンの存在下で抽出した。次いでイソプロパノールおよびエタノール沈澱を行い、そしてRNAを75%エタノール洗浄した。その後で、当該RNAのDNアーゼI消化を行った。そのために、20μgのRNA(DEPC処理水で50μlへ)を、5.7μlのtranscription buffer(Roche)、1μlのRNaseinhibitor(Roche;40U/μl)および1μlのDNase I(Roche;10U/μl)とともに37℃で20分間インキュベートした。次に、1μlのDNase Iを再び加え、そして当該混合物を37℃でさらに20分間インキュベートした。次いでRNAをフェノールで処理し、エタノール沈澱し、そして洗浄した。上述の全ステップは、DEPC(ジエチルピロカルボネート処理溶液または反応性アミノ基を全く含まない液体を用いて行った。次いで当該抽出RNAからcDNAを調製した。これは、1 x TaqManRTbuffer(Applied Biosystems),5.5mM MgCl2(Perkin Elmer),各500μMのdNTPs(Perkin Elmer),2.5μMのrandom hexamers(Perkin Elmer),1.25U/μlのMultiScribe Reverse Transcriptase(50U/μl,Perkin Elmer),0.4U/μl RNase inhibitor(20U/μl,Perkin Elmer),20μlのRNA(50ng/μl)およびDEPC処理水(100μlへ定容)の存在下で行った。RNAを添加し、そして完全に混合した後、当該溶液を二つの0.2mlウエル(各50μl)に分注し、そして逆転写をサーモサイクラー(25℃で10分間;48℃で30分間および95℃で5分間)中で行った。当該cDNAは次に、SYBR green PCR master mixes(Perkin Elmer)を用い定量PCRにより定量したが、定量予定の各cDNA分子種について3回定量(いずれの場合もヒトSW1368プライマー対およびシクロフィリンプライマー対により)を行った。各トリプレット原液は、57μlの全容量中、37.5μlの2xSYBR master mix,0.75μlのAmpErase UNG(1U/μl)および18.75μlのDEPC処理水を含有していた。3回の定量ごとに、各1.5μlの前進プライマーおよび逆プライマー(hSW1368プライマー1:GGAGTCAGCC CTAAACTATTCCCAG(配列番号20)、hSW1368プライマー2:AGGTAGGCCGTGTGCACTGT(配列番号21))を、予め至適化した濃度比で57μlの原液に添加した。各60μlの原液/プライマー混合物は、15μlのcDNA溶液(2ng/μl)と混合し、3つの反応ウエル小分けした。これに平行して、プライマー類を加えた原液をシクロフィリンの定量用の標準として調製し(シクロフィリンプライマー1:TCTTAACCAC CAGATCATTCCTTCT(配列番号18)およびシクロフィリンプライマー2:CCATAGTGCG AGCAAATGGG(配列番号19))、さらに15μlの同じcDNA溶液と混合し、そして3つの反応ウエルに小分けした。さらに、シクロフィリン・PCRの標準曲線を設定するために、さまざまなcDNA溶液を希釈系列として調製した(4ng/μl;2ng/μl;1ng/μl;0.5ng/μlおよび0.25ng/μl)。これらのcDNA溶液の各15μlを60μlのシクロフィリンの定量用原液/プライマー混合液と混合し、そして3つの反応ウエルに小分けした。同様に、研究予定のヒトSW1368遺伝子のPCRのための標準曲線を各ケースで設定した;すなわち、前記シクロフィリン標準曲線に採用した同一希釈系列をここでも使用した。使用した対照は、cDNAを含まないPCRバッチである。各15μlのDEPC水を、60μlづつの各々ヒトSW1368およびシクロフィリンの原液/プライマー混合液に加え、混合し、そして各ケース毎に3つの反応ウエルに小分けした。当該バッチ類の増幅はGeneAmp5700中で行った(50℃で2分間;95℃で10分間、次いで3サイクルの96℃で15秒間および60℃で2分間;次に37サイクルの95℃で15秒間および60℃で1分間)。分析は、シクロフィリン標準に対するヒトSW1368の相対存在量の定量によった。そのために、前記PCRバッチ中のcDNAの量(転写RNAのng)の対数に対し、前記希釈系列のCT値をプロットすることにより、標準曲線をまず設定し、そして当該直線群勾配(s)を求めた。すると、当該PCRの効率(E)は、次のようになる:E=10-1/s−1。すると、シクロフィリン(cyc)との関係で調べられたヒトSW1368(Y)の相対存在量(X)は:X=(1+Cyc)CT(Cyc)/(1+EY)CT(Y)である。次いで、当該数値は、無傷の皮膚からのSW1368cDNAの量を1と定めることにより、標準化した。それらの結果は図7にまとめた。マウスで観察された創傷治癒中のSW1368の発現のレベルのアップレギュレーションはヒトで確かめられ、ヒトでの発現のそのアップレギュレーションは、負傷14日後に最も高く、顕著ではあったが、マウスに比べると低かった。このことから、本発明に従うGPCR類の発現の調節が創傷治癒に不可欠なことが、証明された。

0135

実施例5: ヒトの潰瘍におけるSW1368およびSW1695の調節不全発現
創傷治癒に関係することが確認された遺伝子SW1369およびSW1695が、正常な創傷治癒のみならず創傷治癒の障害でも、役割を果していることを明らかにするために、慢性静脈性潰瘍(静脈潰瘍)の患者の生検試料を、無傷の皮膚から、ならびに創傷基底から、ならびに創傷辺縁から、同時に採取し、そして当該標的遺伝子の発現のレベルについて分析した。各群(無傷皮膚、創傷基底、創傷辺縁)について、6対象者の生検試料をプールした。実施例4に記載のように、当該RNAを分離し、cDNAを合成した。当該創傷関連cDNAは、標的遺伝子cDNAの相対量の計算にシクロフィリンmRNAの量を使う、実施例4に記載のように定量した。実験の結果は図8に表した。両遺伝子について、正常に治癒中の創傷に比べて、潰瘍での発現のレベルの調節不全が観察された(図7および実施例3を比較):SW1695の場合、SW1695 mRNAが創傷基底または創傷辺縁で検出できなかったのに比較して、1日および5日の正常治癒創傷では60から70%という有意ではあるが比較的少ない発現のレベルの低下が観察された。このことは、SW1695発現の調節不全、特にmRNAの不足が、重症の創傷治癒障害をもたらす可能性があることを、示している。SW1368の場合には、静脈潰瘍の創傷辺縁ではmRNAが無かったが、正常に治癒中の創傷では、SW1368発現のアップレギュレーションが観察された。SW1695と異なり、著量のSW1368 mRNAが創傷基底で検出された。正常に治癒中の創傷の過増殖上皮に相当する、潰瘍の創傷辺縁での本発明に従う両GPCRの不在は、両遺伝子が、創傷治癒の必須のプロセス、恐らく、過増殖上皮の増殖性ケラチノサイトの再上皮化の際に、参画することを示している。このことは、本発明に従うGPCR類の活性および/または発現が病理学的創傷治癒障害では変えられる必要があること、好ましくは、活性および/または発現を増加させなければならないことを、示している。好ましくは、当該発現および/または活性を、皮膚および/または創傷で局所的に変えてやる必要がある。

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