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技術 アテローム性動脈硬化症性病変の形成の阻害

出願人 プレジデントアンドフェローズオブハーヴァードカレッジ
発明者 ハーバー,エドガーリー,ムー-アンペレーラ,マークエイ.ホタミスリジル,ゴカンエス.
出願日 2000年2月11日 (20年0ヶ月経過) 出願番号 2000-598632
公開日 2002年10月29日 (17年3ヶ月経過) 公開番号 2002-536459
状態 不明
技術分野
  • -
主要キーワード 毛状体 弾性薄膜 連続組織 比色定量分析 被覆チューブ 線維性キャップ 血清脂質プロフィール 切断不可
関連する未来課題
重要な関連分野

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課題・解決手段

本発明は、AFABPの発現または活性を減少させる化合物を、哺乳動物(例えば、アテローム性動脈硬化症罹患するか、またはアテローム性動脈硬化症の発症の危険性があると同定されたヒト患者)に投与することによって、アテローム性動脈硬化症性病変の形成を阻害する方法を特色とする。この方法は、阻害を必要とする哺乳動物を同定する工程、およびこの哺乳動物にAFABPの発現を減少させる化合物を導入する工程を包含する。また、この化合物を同定するための方法も提供される。

概要

背景

概要

本発明は、AFABPの発現または活性を減少させる化合物を、哺乳動物(例えば、アテローム性動脈硬化症罹患するか、またはアテローム性動脈硬化症の発症の危険性があると同定されたヒト患者)に投与することによって、アテローム性動脈硬化症性病変の形成を阻害する方法を特色とする。この方法は、阻害を必要とする哺乳動物を同定する工程、およびこの哺乳動物にAFABPの発現を減少させる化合物を導入する工程を包含する。また、この化合物を同定するための方法も提供される。

目的

効果

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請求項1

アテローム性動脈硬化症性病変の形成を阻害する方法であって、該方法は、哺乳動物AFABPの発現を減少させる化合物投与する工程を包含し、ここで、該化合物が、プロスタグランジンE1ではない、方法。

請求項2

哺乳動物のアテローム性動脈硬化症性病変の形成を阻害する方法であって、該方法は、該阻害を必要とする哺乳動物を同定する工程、および該哺乳動物にAFABPの発現を減少させる化合物を導入する工程を包含し、ここで、該化合物が、プロスタグランジンE1ではない、方法。

請求項3

前記化合物が、前記AFABPの転写を阻害する、請求項1に記載の方法。

請求項4

前記化合物が、前記AFABPのシス作用性調節配列に結合する、請求項1に記載の方法。

請求項5

前記化合物が、マクロファージにおいて前記AFABPの発現を阻害するが、脂肪細胞においては阻害しない、請求項1に記載の方法。

請求項6

前記化合物が、脂肪細胞において前記AFABPの発現を阻害するが、マクロファージにおいては阻害しない、請求項1に記載の方法。

請求項7

前記インヒビターが、アンチセンス核酸である、請求項3に記載の方法。

請求項8

前記アンチセンス核酸分子が、少なくとも10個のヌクレオチドを含み、該ヌクレオチドの配列が、AFABPポリペプチドをコードするmRNA相補的である、請求項7に記載の方法。

請求項9

請求項7に記載の方法であって、前記アンチセンス核酸が、マクロファージ特異的プロモーター作動可能に連結したDNAであり、ここで、該DNAの転写が、AFABPポリペプチドをコードするmRNAと相補的な核酸産物を生じる、方法。

請求項10

前記化合物が、前記哺乳動物の動脈中に導入される、請求項1に記載の方法。

請求項11

前記化合物が、前記哺乳動物のアテローム性動脈硬化症性病変の部位に局所的に投与される、請求項1に記載の方法。

請求項12

マクロファージの、泡沫細胞への分化を阻害する方法であって、該方法は、該マクロファージをAFABP発現のインヒビターに接触させる工程を包含する、方法。

請求項13

アテローム性動脈硬化症性病変の形成を阻害する方法であって、該方法が、哺乳動物にAFABPの活性を減少させる化合物を投与する工程を包含する、方法。

請求項14

前記化合物が、AFABP特異的内部抗体である、請求項13に記載の方法。

請求項15

前記化合物が、前記哺乳動物の動脈中に導入される、請求項13に記載の方法。

請求項16

前記化合物が、前記哺乳動物のアテローム性動脈硬化症性病変の部位に局所的に投与される、請求項13に記載の方法。

請求項17

アテローム性動脈硬化症性病変の発症を阻害する化合物を同定するための方法であって、該方法は、以下の工程:(a)候補化合物の存在下で、AFABPと脂肪酸とを接触させる工程;および(b)該脂肪酸へのAFABP結合レベルを決定する工程を包含し、ここで、該候補化合物の非存在下での結合レベルと比較しての、該候補化合物の存在下での該結合レベルの減少は、該化合物がアテローム性動脈硬化症性病変の発症を阻害することを示す、方法。

請求項18

アテローム性動脈硬化症性病変の発症を阻害する化合物を同定するための方法であって、該方法は、以下の工程:(a)AFABPに、該AFABPに結合する脂肪酸を提供し、複合体を形成する工程;(b)該複合体と候補化合物とを接触させる工程;および(c)該候補化合物がAFABP結合を阻害する能力指標として、該候補化合物が、該複合体中の脂肪酸に対するAFABPの結合を減少させるかどうかを決定する工程を包含し、ここで、該候補化合物の非存在下での結合レベルと比較しての、該候補化合物の存在下での該結合レベルの減少は、該化合物がアテローム性動脈硬化症性病変の発症を阻害することを示す、方法。

請求項19

細胞中のAFABP発現を阻害する化合物を同定するための方法であって、該方法は、以下の工程:(a)AFABPを発現する細胞を提供する工程;(b)候補化合物の存在下で、該細胞を培養する工程;および(c)該細胞中でのAFABPの発現のレベルを決定する工程を包含し、ここで、該候補化合物の非存在下での発現レベルと比較しての、該候補化合物の存在下での該発現レベルの増加は、該候補化合物が該細胞中のAFABP発現を阻害することを示す、方法。

請求項20

前記細胞が、マクロファージである、請求項19に記載の方法。

請求項21

前記細胞が、脂肪細胞中の請求項19に記載の方法。

請求項22

候補化合物が、マクロファージにおいて、細胞内リガンドへのAFABPの結合を阻害する能力を決定するための方法であって、該方法は、以下の工程:(a)AFABPを発現するマクロファージを提供する工程;(b)該候補化合物の存在下で、該マクロファージを培養する工程;および(c)該マクロファージにおける脂肪酸結合のレベルを決定する工程を包含し、ここで、該化合物の非存在下での結合レベルと比較しての、該化合物の存在下での該結合レベルの減少が、マクロファージにおけるAFABP/脂肪酸結合を阻害する該候補化合物の能力を示す、方法。

請求項23

候補化合物が、脂肪細胞中の細胞内リガンドへのAFABPの結合を阻害する能力を決定するための方法であって、該方法は、以下の工程:(a)AFABPを発現する脂肪細胞を提供する工程;(b)該候補化合物の存在下で、該脂肪細胞を培養する工程;および(c)該マクロファージにおける脂肪酸結合のレベルを決定する工程を包含し、ここで、該化合物の非存在下での結合レベルと比較しての、該化合物の存在下での該結合レベルの減少が、脂肪細胞におけるAFABP/脂肪酸結合を阻害する該候補化合物の能力を示す、方法。

0001

本出願は、1999年2月12日出願の米国特許仮出願番号60/119,880(その内容は、参考として本明細書によって援用される)に対する優先権を主張する。

0002

連邦政府による支援を受けた研究に関する陳述)

0003

本発明は、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health)によって与えられた助成金番号RO1GM53249およびHL60788の下、米国政府によって一部援助を受けた。米国政府は、本発明に一定の権利を有する。

0004

(技術分野)

0005

本発明は、心臓血管疾患処置に関する。

0006

背景

0007

アテローム性動脈硬化症は、幼児期に開始し得る、緩やかな、進行性の疾患である。ある個体においては、この疾患は、30代で迅速に進行するが、ある個体においては、この疾患は、50歳代または60歳代まで明らかにならない。この疾患は、班またはアテローム性動脈硬化症性病変形成によって特徴付けられ、これらは、動脈の最内層が損傷を受け始めるときに開始すると考えられる。脂質、コレステロールフィブリン血小板細胞細片およびカルシウムが、動脈壁損傷部位沈着され、病変を形成する。この疾患は、中程度の大きさの動脈および大動脈を冒し、そして動脈を通る血流を部分的または全体的にブロックする病変形成によって特徴付けられる。

0008

(要旨)

0009

本発明は、脂肪細胞脂肪酸結合タンパク質AFABPまたはaP2)発現を減少することが、アテローム性動脈硬化症性病変形成を阻害するという発見に基づく。従って、本発明は、哺乳動物(例えば、アテローム性動脈硬化症に罹患するか、または発症する危険性にあると同定されたヒト患者)に、AFABPの発現または活性を減少する化合物投与することによって、アテローム性動脈硬化症性病変の形成を阻害する方法の特徴を有する。好ましくは、この化合物は、AFABPの転写を阻害する(例えば、AFABPのシス作用性調節配列に結合する化合物)。例えば、この化合物は、ペルオキシソーム増殖因子活性化レセプターγ(PPARγ)またはペルオキシソーム増殖因子活性化レセプターα(PPARα)である。より好ましくは、この化合物は、マクロファージ中のAFABPの発現を阻害するが、脂肪細胞中のAFABPの発現を阻害しない。あるいは、この化合物は、マクロファージおよび脂肪細胞の両方におけるAFABP発現を阻害する。

0010

この化合物は、AFABPmRNAのAFABP遺伝子産物への翻訳を阻害する化合物(例えば、アンチセンス核酸)であり得る。アンチセンス核酸分子は、少なくとも10ヌクレオチドを含み、その配列は、AFABPポリペプチドをコードするmRNAに相補的である。好ましくは、この化合物(例えば、アンチセンステンプレートから生成されたアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはアンチセンスRNA)は、AFABP mRNAの翻訳を阻害することによってAFABP発現を阻害する。例えば、アンチセンス治療は、AFABP mRNAの少なくとも一部に相補的な一本鎖核酸を投与することによって、行われる。別の例において、アンチセンス核酸は、マクロファージ特異的プロモーター作動可能に連結されたDNAであり、このDNAの転写は、AFABPポリペプチドをコードするmRNAに相補的な、核酸産物を生じる。この化合物は、全身的または局所的に投与され、例えば、これは、カテーテルまたは血管ステントのような医療デバイスを使用して、哺乳動物の動脈に導入されるか、またはアテローム性動脈硬化症性病変の部位に直接的に投与される。本発明はまた、単球またはマクロファージにAFABPの発現または活性のインヒビターを接触させることによって、マクロファージの泡沫細胞への分化を阻害する方法を包含する。哺乳動物中の内在性AFABP遺伝子の転写または翻訳を減少することに加えて、本発明はまた、AFABPの活性を減少する化合物を哺乳動物に投与することによって、アテローム性動脈硬化症性病変の形成を阻害する方法を包含する。「AFABP活性」とは、脂肪酸結合、マクロファージの泡沫細胞への分化の促進、またはマクロファージ中のコレステロール負荷の促進を意味する。例えば、AFABPの機能または活性は、AFABP内部抗体(intrabody)を局所的または全身的に投与することによる、AFABPの細胞内リガンドへの結合を阻害することによって減少される。

0011

AFABPの脂肪酸(例えば、オレイン酸またはレチノイン酸)への結合を阻害する化合物は、候補化合物の存在下でAFABPポリペプチドに脂肪酸を接触させ、そしてその脂肪酸へのAFABP結合のレベルを決定することによって同定される。候補化合物の非存在下での結合レベルと比較した、候補化合物の存在下でのその結合レベルの減少は、この候補化合物が、AFABP/脂肪酸結合を阻害することを示す。あるいは、このような化合物を同定するためのスクリーニング方法は、AFABPポリペプチドに複合体中に結合された脂肪酸を提供し、この複合体に候補化合物を接触させて、そしてこの候補化合物が、その複合体中の脂肪酸へのAFABPの結合を減少するか否かを決定することによって行われ、この減少は、この候補化合物がAFABP結合を阻害する能力を示す。

0012

本発明はまた、例えば、細胞中のAFABP発現を阻害することによるか、またはAFABP活性を阻害することによる、アテローム性動脈硬化症性病変形成を阻害する化合物についてのスクリーニング方法を包含する。細胞(例えば、マクロファージ、脂肪細胞、またはAFABPを天然で発現するか、または遺伝子操作されてAFABPを発現するかのいずれかの、任意の他の細胞型)におけるAFABP発現を阻害する化合物を同定するための方法は、AFABPを発現する細胞を提供し、候補化合物の存在下でこの細胞を培養し、AFABPの発現レベルを測定し、そしてこの候補化合物の存在下および非存在下で培養された細胞で検出されたレベルを比較することによって行われる。例えば、この候補化合物の非存在下での発現レベルと比較した、この候補化合物の存在下での発現レベルの減少は、この候補化合物が、AFABP発現を阻害し、結果として、アテローム性動脈硬化症の発症を阻害することを示す。この化合物が、脂肪細胞に比べてマクロファージにおいて発現を優先的に阻害するか否かを決定するために、両方の細胞型を、並行して同じ候補化合物に接触させて、そしてマクロファージおよび脂肪細胞におけるAFABPの発現レベルを比較する。脂肪細胞における発現と比較した、マクロファージにおける発現の減少は、この化合物が、マクロファージにおいてAFABP発現を優先的に減少することを示す。同様に、マクロファージのおける発現と比較した、脂肪細胞における発現の減少は、この化合物が、脂肪細胞においてAFABP発現を減少することを示す。AFABPのマクロファージにおける細胞内リガンドへの結合を減少させることによって、AFABP活性を阻害する化合物は、AFABPを発現するマクロファージを提供し、候補化合物の存在下でこのマクロファージを培養し、そしてマクロファージ中のそのリガンドへのAFABP結合のレベルを測定することによって同定される。この化合物の非存在下での結合レベルと比較した、この化合物の存在下での結合レベルの減少は、この化合物が、細胞内リガンド(例えば、長鎖脂肪酸)へのAFABP結合を阻害し、従って、アテローム性動脈硬化症性病変形成を阻害することを示す。

0013

コレステリルエステルエステル化コレステロール)は、アテローム性動脈硬化症性病変または班に存在するマクロファージ中に蓄積する。マクロファージ中でのこのようなコレステロール負荷を阻害する化合物を同定するための方法は、候補化合物の存在下でAFABPを発現するマクロファージを培養し、この化合物の存在下のマクロファージ中のコレステロールレベルを測定し、そしてこの化合物の非存在下で培養されたAFABP発現マクロファージにおけるそのレベルと比較することによって行われる。この化合物の非存在下で培養されたマクロファージ中のコレステロールレベルと比較した、この化合物の存在下で培養されたマクロファージ中のそのレベルの減少は、この化合物が、マクロファージ中のコレステロール負荷を阻害し、そしてアテローム性動脈硬化症性病変の形成を阻害することを示す。

0014

本発明の他の特徴および利点は、以下の本発明の好ましい実施形態の説明、および特許請求の範囲から明らかである。

0015

(詳細な説明)

0016

高コレステロール血症は、心臓疾患(例えば、アテローム性動脈硬化症)の主要な危険因子である。本明細書中に記載されるデータは、アテローム性動脈硬化症と高コレステロール血症との間の関連を切り離す。AFABPの発現または活性の阻害は、高レベル血清コレステロールにもかかわらず、アテローム性動脈硬化症性病変の発症を低減する。

0017

(apoE欠損マウスの動脈における、体重、血清コレステロール、および新内膜(neointima)形成に対する、AFABP欠損の効果)

0018

apoEについての遺伝子でヌル変異(apoE−/−)を、またはapoEおよびAFABPの両方についての遺伝子でヌル変異(apoE−/−、AFABP−/−)を有するマウスを使用した。両方の群からのマウスは、4週齢離乳させ、次いで21重量%の脂肪を含む西洋式食餌(Takland Adjusted Calories Western−type diet,Harlan−Tekland,Madison,WI)に配置した。この西洋式食餌および水を、自由に12週間提供した。体重(図1)および総血清コレステロール(図2)を、両方の群(n=3)において、12週間の西洋式食餌の終わりに評価した。西洋式食餌での12週間後、apoE−/−マウスおよびapoE−/−、AFABP−/−マウスを、ナトリウムペントバルビタール麻酔した。マウスの血管系を、リン酸緩衝化生食塩水PBS)で灌流した。大動脈弓および右腕頭動脈(より遠位の右総頸動脈および鎖骨下動脈を含む)を、解剖し、そしてメチルカルノワ溶液中で4E Cで固定した後にパラフィン中に包埋した。次いで、脈管組織を、組織学分析に供した。

0019

インサイチュハイブリダイゼーション実験にてAFABP発現を検出するために使用したリボプローブを、マウスAFABPcDNAを含むプラスミドから調製した。ベクターを、Sal Iで消化し、cDNAの3’末端を除去し、そして再連結した。得られたプラスミドを、配列決定によって確認した。次いで、このプラスミドを、Sal Iで線状化し、SP6RNAポリメラーゼでのセンスリボプローブ合成のためのテンプレートを生成した。このプラスミドをまた、Pst Iで線状化して、T7 RNAポリメラーゼでのアンチセンスリボプローブ合成のためのテンプレートを生成した。治療目的のためのアンチセンス核酸は、同じテンプレートおよび標準的方法を使用して生成される。あるいは、このアンチセンス核酸は、化学的に合成される。リボプローブについて使用したマウスAFABP cDNAの5’Sal Iフラグメント(センス)の配列は以下であった:

0020

連続組織切片(5ミクロンの厚さおよび切片間が約60ミクロン)を、エラスチンについて染色した。組織切片を、各病変(例えば、切片を、(600ミクロンの最大距離を覆う)大動脈弓からの右腕頭動脈の最初から開始して取った)全体にわたって分析した。頚動脈組織切片の顕微鏡写真を、apoE欠損マウスの腕頭動脈における、新内膜(neointima)形成に対するAFABP欠損の効果を評価するために撮影した。apoE−/−マウスにおける病変の近位部分および中間部分、ならびにapoE−/−、AFABP−/−マウスからの対応する組織切片を、検査した。このデータは、apoE−/−における複雑なアテローム性動脈硬化症性病変形成が、AFABPの欠如によって阻害されることを示す。西洋式食餌で維持したapoE−/−マウスは、1000より大きなコレステロールレベルを有する。これらのマウスはまた、重度のアテローム性動脈硬化症(例えば、頚動脈が、代表的には65〜95%閉塞した)を発生した。対照的に、2重変異体apoE−/−、AFABP−/−マウスにおいて、アテローム性動脈硬化症性病変は、ほとんどまたは全く検出されなかった。2重ノックアウトマウスは、一般にapoE−/−単独ノックアウトマウス未満の重さであった。例えば、2重ノックアウトマウスは、代表的に単独apoE−/−マウスよりも15〜20%軽い重さであった。2重ノックアウトマウスにおけるコレステロールのレベルは、apoE単独ノックアウトマウスにおけるレベルよりも有意に低かった(単独ノックアウトマウスの1201±73mg/dlと比較して、2重ノックアウトマウスでは1046±17mg/dl)。これらのデータは、AFABP欠損マウスが、高コレステロール血症に耐性であることを示す。

0021

apoE−/−、AFABP−/−マウスのマクロファージは、コレステロールをロードしにくいことが見出された。単独ノックアウト(apoE−/−)マウスと比較して、2重ノックアウトマウスにおいて、60%のコレステロールのロードの減少が観察された。これらのデータは、AFABP発現またはマクロファージの活性の阻害が、高血清コレステロールレベルの存在下でさえ、哺乳動物におけるアテローム性動脈硬化症性病変の形成を低減または防止することを示す。

0022

ヒト単球およびマウス腹膜マクロファージ由来のAFABPmRNAの評価)

0023

本明細書中に記載されるデータは、AFABPが、脂肪細胞だけでなくマクロファージ(アテローム性動脈硬化症性病変の発症に関与する細胞型)においても発現することを示す。

0024

AFABP発現を研究するために、マウス腹膜マクロファージおよびマクロファージに分化したヒト単球からmRNAを調製した。ノザンブロット分析を行った。マウス腹膜マクロファージを、チオグリコレート腹腔内投与の5日後に収集した。野生型マウス(AFABP+/+)またはAFABP−/−マウス由来のマクロファージを、標準培地に、標準滅菌細胞培養条件下でプレーティングした。mRNAを、プレーティングの0、1、2、3、および4日後に抽出した。陽性コントロールとして、mRNAをまた、脂肪細胞および前脂肪細胞から抽出した。ヒト細胞におけるAFABP発現を研究するために、ヒト末梢血単球を、血液銀行から得られたサンプルのバフィコートから、標準Ficoll−Paque遠心分離によって単離した。細胞を、最初に1時間プレートし、次いで非接着細胞を、3回洗浄することによって除去した。接着細胞は、約90%が単球であった。mRNAを、プレーティングの0、1、3および5日後に、細胞から抽出した。レーン当たり10μgの総RNAを使用して、当該分野で周知の方法に従ってノザンブロット分析を行った。ブロットを、マウスAFABP由来の放射標識cDNAプローブを使用してハイブリダイズした。これらのデータは、AFABPが、脂肪細胞に加えて、単球/マクロファージ細胞型において発現されることを示す。このデータはまた、循環している単球によって、AFABPがほとんどまたは全く発現されない(プレーティングの0〜1日後)ことを示す。単球がマクロファージへと分化すると、AFABPは高レベルで発現される。

0025

(アテローム性動脈硬化症性病変の形成を阻害するための方法)

0026

apoE−/−、AFABP−/−2重ノックアウトマウスにおけるアテローム性動脈硬化症性病変の発生率の顕著な減少は、AFABPが、アテローム性動脈硬化症性病変の形成に貢献することを示す。病変形成の阻害は、脈管細胞を、AFABPの転写および/または活性を阻害する化合物に接触させることで達成される。

0027

AFABPコード配列の全てまたは一部分に相補的な核酸(例えば、少なくとも10ヌクレオチド長(より好ましくは、少なくとも20、30、40、50ヌクレオチド長)であり、マウスAFABPcDNA(表1、GenBank登録#K02109;Bernlohrら、1984、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.81:5468−5472)またはヒトAFABP cDNA(表2、GenBank登録#J02874;Baxaら、1989、Biochemistry 28:8683−8690)の少なくとも10ヌクレオチドのストレッチに相補的である核酸)が、AFABPの発現を阻害するために、アンチセンス治療において使用される。

0028

例えば、投与されるアンチセンス核酸は、配列番号6の相補体の配列を有する。

0029

アンチセンス処理を、アンチセンスRNAに転写されるDNA配列(アンチセンス鋳型)に作動可能に連結されたプロモーター(例えば、マクロファージ特異的プロモーター)を含有するDNAを哺乳動物(例えば、ヒト患者)へ投与することにより実行する。例えば、スカベンジャーレセプターA遺伝子のプロモーター(Horvaiら、1995、Proc.Natl Acad Sci USA 92:5391〜5)は、マクロファージおよびアテローム性動脈硬化症性病変の泡沫細胞への発現を標的するように、AFABP阻害ペプチドをコードするアンチセンス鋳型またはDNAに作動可能に連結される。あるいは、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、単球またはマクロファージのような標的細胞に直接導入される。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、AFABPmRNAの部分(例えば、コード配列)または全てに相補的であるように決定(formulate)された、短いヌクレオチド配列(通常、少なくとも10、好ましくは少なくとも14、より好ましくは少なくとも20(例えば、少なくとも30)、そして100以上のヌクレオチドまで)であり得る。アンチセンス技術に関する標準的方法は、記載されている(例えば、Melaniら、1991、Cancer Res.51:2897〜2901を参照のこと)。アンチセンスRNAへのDNA配列の転写の後、このアンチセンスRNAは、その標的核酸分子(例えば、mRNA分子)に結合し、それにより標的核酸分子の発現を阻害する。例えば、AFABP mRNAの一部または全てに相補的であるアンチセンス配列は、AFABPの発現を阻害するように用いられ、マクロファージ媒介アテローム性動脈硬化症性病変形成を減じる。AFABP mRNAの種々の配列に相補的なオリゴヌクレオチドは、本明細書において記載されるアッセイを用いて、AFABPの産生を減じる能力についてインビトロで容易に試験され得る。見こみのあるオリゴヌクレオチドは、アテローム性動脈硬化症の阻害を評価するために、ラットまたはマウス(例えば、西洋食を給餌されたapoEノックアウトマウス)でインビボで試験される。

0030

適切なベクターが当該分野で公知である。好ましいベクターはウイルスベクターであり、これには複製欠陥肝炎ウイルス(例えば、HBVまたはHCV)、レトロウイルス(例えば、WO 89/07136;Rosenbergら、1990、N.Eng.J.Med.323(9):570〜578を参照のこと)、アデノウイルス(例えば、Morseyら、1993、J.Cell Biochem.,Supp.17E)、アデノ随伴ウイルス(Kotinら、1990、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:2211〜2215)、複製欠陥単純ヘルペスウイルス(HSV;Luら、1992、要約、第66頁、Abstracts of the Meeting on Gene Therapy,Sept.22〜26,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,New York)、およびこれらのベクターの任意の改変バージョン由来のベクターが挙げられる。本発明は、真核生物細胞への核酸のインビボ移入を達成する任意の他の送達ステムを利用し得る。例えば、核酸は、リポソーム、レセプター媒介送達系、非ウイルス核酸ベースのベクター、赤血球ゴースト、またはマイクロスフェア(例えば、微粒子;例えば、米国特許第4,789,734号;米国特許第4,925,673号;米国特許第3,625,214号;Gregoriadis,1979、Drug Carriers in Biology and Medicine 第287〜341頁(Academic Press)を参照のこと)にパッケージされ得る。あるいは、のDNAが、投与され得る。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、DNA,RNA、またはそれらの任意の改変もしくは組み合わせから構成され得る。オリゴヌクレオチドが含まれ得る改変の例としてはホスホジエステル結合以外のヌクレオチド間結合(例えば、ホスホロチオエート、メチルホスホネート、メチルホスホジエステルホスホジチオエート、ホスホラミダイト、ホスホトリエステル、またはホスフェートエステル結合)(Uhlmanら、1990,Chem.Rev.90(4):544〜584;Anticancer Research,1990,10:1169)が、オリゴヌクレオチドに存在し得、その安定性を増大させる。オリゴヌクレオチド安定性は、合成の間にオリゴヌクレオチドへ3’デオキシチミジンまたは2’置換ヌクレオチド(例えば、アルキル基で置換)を組み込むこと、フェニルイソウレア誘導体としてオリゴヌクレオチドを提供すること、またはオリゴヌクレオチドの3’末端に結合された、アミノアクリジンまたはポリリジンのような他の分子を有することにより増大される。RNAおよび/またはDNAヌクレオチドの改変は、オリゴヌクレオチドをとおして、またはオリゴヌクレオチドの選択された領域(例えば、5’末端および/または3’末端)に存在し得る。このアンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、親油性化合物へのオリゴヌクレオチドの結合により、標的組織浸透する能力を増大させるように改変される。AFABPヌクレオチド配列に基づくアンチセンスオリゴヌクレオチドは、当該分野で公知の任意の方法により生成される。この方法としては、標準的化学合成構成オリゴヌクレオチドの連結、およびAFABPコード配列の全体または部分へのDNA相補物の転写が挙げられる。

0031

本発明以前には、AFABP発現は脂肪細胞に限定されていたと考えられる。本明細書において記載されるデータは、アテローム性動脈硬化症性病変のマクロファージおよびマクロファージ由来泡沫細胞がまたこのタンパク質を発現することを示す。AFABPは、アテローム性動脈硬化症性病変に関連したマクロファージおよびマクロファージ由来泡沫細胞において発現される(ただし、循環している単球ではない)ことが見出された。従って、これらの細胞は、アンチセンス治療に好ましい細胞標的である。マクロファージへのアンチセンスオリゴヌクレオチドの標的化は、例えば、マクロファージ細胞表面タンパク質(例えば、Fcレセプター、相補タンパク質についてのレセプター、またはマンノースレセプターのようなポリ多糖レセプター)(一過性発現がAFABPの発現に平行する(すなわち、このタンパク質は、単球がマクロファージに成熟するときに発現される))のリガンドへのオリゴヌクレオチドの結合により達成される。同様に、オリゴヌクレオチドは、細胞表面タンパク質(例えば、ICAMおよびLFA−3)に特異的に結合するモノクローナル抗体への結合体化によりマクロファージに標的化され得る。

0032

アンチセンスオリゴヌクレオチドを治療的に投与する方法は、例えば、以下の総説文献に記載されるように、当該分野で公知である:Le Doanら、Bull.Cancer 76:849〜852、1989;Dolnick、Biochem.Pharmacol.40:671〜675,1990;Crooke,Annu.Rev.Pharmacol.Toxicol.32.329〜376,1992。アンチセンス核酸は、単独でか、または1つ以上の物質と組み合わせて用いられ得る。この物質としては、他のアンチセンスオリゴヌクレオチドもしくは組換えベクター、このオリゴヌクレオチドまたは組換えベクターの生物学的安定性を増大させる物質、または選択的に血管平滑筋に浸透する治療組成物の能力を増大させる物質が挙げられる。

0033

AFABP転写および/または翻訳を阻害する代わりに、AFABPの活性は、アテローム性動脈硬化症を処置するために阻害され得る。例えば、AFABPに結合する抗体は、投与されるかまたは細胞内で発現されて、その細胞内リガンドへの結合を減少させる。ヒト患者への投与については、抗体(例えば、AFABP特異的モノクローナル抗体)は、当該分野で公知の方法によりヒト化される。所望の結合特異性を有する抗体は、商業的にヒト化され得る(Scotgene,Scotland;Oxford Molecular,Palo Alto,CA)。

0034

抗AFABP抗体は、当該分野で公知であり(例えば、AFABP特異的ウサギポリクローナル抗血清;Hotamisligilら、1996,Science 274:1377〜1379)、そして当該分野で周知の技術を用いて得られる。このような抗体は、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体である。ポリクローナル抗体は、例えば、Ghoseら、Methodsin Enzymology,第93巻、326〜327,1983に記載の方法により生成される。AFABPポリペプチドまたはその抗原性フラグメントは、動物(例えば、ウサギ、ヤギヒツジ、およびげっ歯類)の抗血清中でAFABP反応性ポリクローナル抗体の産生を刺激するための免疫原として用いられる。例えば、ヒトAFABPまたはマウスAFABPの全体が、免疫原として用いられる。あるいは、抗原性フラグメントである、アミノ酸配列DKLVVECVMKGVT(配列番号3)を有するAFABPペプチドが、免疫原として用いられる。このペプチドは、ポリクローナル抗血清またはモノクローナル抗体の生成のための有用な免疫原である。なぜなら、このペプチドは、ほとんどの他の脂肪酸結合タンパク質から相違しており、そしてマウスおよびヒトにおいて保存されているからである。
表3:ヒトAFABPのアミノ酸配列
表4:マウスAFABPのアミノ酸配列
モノクローナル抗体は、標準的技術、例えば、MilsteinおよびKohlerのNature,256:495〜97,1975に記載される技術、またはGerhard,Monoclonal Antibodies,Plenum Press,1980,第370〜371頁により改変された技術を用いて得られる。ハイブリドーマは、AFABPポリペプチドに特異的な抗体を産生するハイブリドーマを同定するようにスクリーニングされる。好ましくは、抗体は、少なくとも約108リットルモルの親和性、そしてより好ましくは少なくとも約109リットル/モルの親和性を有する。適切なモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマの同定後、この抗体をコードするDNAをクローニングする。一本鎖AFABP特異的抗体をコードするDNA(ここで、重鎖および軽鎖可変ドメインは、Gly,−Ser3(配列番号7)のような可撓性のリンカーペプチドにより分離されている)は、公知の方法(例えば、Marascoら、1993,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:7889〜7893およびMarascoら,1997,Gene Therapy 4:11〜15)を用いて発現ベクター中にクローニングされている。このような構築物は、抗体の細胞内産生のために、例えば、本明細書に記載の遺伝子治療技術を用いて、細胞中に導入される。細胞内抗体(すなわち、内部抗体)は、内因性AFABPの細胞内リガンドへの結合を阻害するために用いられ、次にこれは、AFABPの活性およびアテローム性動脈硬化症性病変形成を減じる。

0035

(治療組成物の投与)

0036

アテローム性動脈硬化症に罹患する哺乳動物は、当該分野で周知の技術(例えば、血管造影法心電図記録、ならびに生理学的試験および代謝試験)を用いて同定される。アテローム性動脈硬化症を発症する危険性のある個体はまた、本明細書に記載の方法を用いて処置される。危険性因子としては、加齢雄性、遺伝(人種を含む、例えば、アフリカ系アメリカ人は、白人よりも重篤高血圧およびそれに伴うアテローム性動脈硬化症を発症するより大きい危険性を有する)、タバコ喫煙、高い血中コレステロールレベル、高血圧、身体的な不活発さ、肥満ストレス、および/または糖尿病、が挙げられる。

0037

治療用組成物(例えば、AFABPの発現または活性(例えば、PPARγ、PPARα、またはプロスタグランジン)の核酸ベースのインヒビターまたは非核酸ベースのインヒビター))は、薬学的に受容可能なキャリア(例えば、生理学的な生理食塩水)中で投与され、これは、投与の様式および経路ならびに標準的な薬学的な実施に基づいて選択される。治療用組成物は、阻害タンパク質または阻害ペプチドを含み、ここでは1以上のペプチド結合が、ペプチダーゼによる切断に感受性ではない別の型の共有結合ペプチド模倣物)で置換されている。被験体への注入後のペプチドのタンパク質分解が問題である場合、切断不可能なペプチド模倣物での特に感受的なペプチド結合の置換は、得られるペプチドをより安定にし、従って治療剤としてより有用にする。このような模倣物、およびそれをペプチドに取り込む方法は、当該分野で周知である。同様に、L−アミノ酸残基の置換は、そのペプチドをタンパク質分解により感受性でなくする標準的な方法である。アミノ末端ブロック基(例えば、t−ブチルオキシカルボニルアセチルテイル(theyl)、スクシニルメトキシスクシニル、スベリル、アジピル、アゼライル、ダンシルベンジルオキシカルボニルフルオレニルメトキシカルボニル、メトキシアゼライル、メトキシアジピル、メトキシスベリル、および2,4−ジニトロフェニル)もまた有用である。ペプチドの電荷を有するアミノ末端およびカルボキシ末端ブロック化することは、疎水性細胞膜を通してのおよび細胞へのペプチドの通過を増強することのさらなる有用な利点を有する。

0038

適切な薬学的キャリアおよび薬学的処方物中での使用のための薬学的な要件は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(この分野における標準的な参考テキスト)、およびUSP/NFにおいて記載される。治療的に有効な量とは、処置された動物において医学的に所望の結果を生じ得る量である。医学の分野において周知であるように、任意の一人の患者についての投薬量は、患者のサイズ、体表面積年齢、投与される特定の化合物、性別、投与の時間および経路、全身の健康、および同時に投与される他の薬物を含む多くの因子に依存する。投薬量は変化し得るが、DNAの静脈内投与のために好ましい用量は、約106〜1022コピーDNA分子である。

0039

本発明の方法を使用して同定される治療的化合物は、例えば、経口的に、静脈内に、非経口的に、経皮的に、経粘膜的に、吸入によって、または化合物の効果が所望される部位で、もしくはその部位の近傍で手術もしくは移植によって、特定の化合物についての任意の適切な方法によって患者に投与され得る(例えば、固体または半固体の生物学的に適合性かつ吸収可能なマトリックスに取り込まれた化合物を用いて)。治療用量は、各化合物について具体的に決定される。非核酸型化合物については、用量は、0.001〜100.0mg/kg体重の範囲、または当業者によって適切であると臨床的に決定される範囲内にある。本発明の組成物は、局所的にまたは全身的に投与され得る。投与は、一般に非経口的(例えば、静脈内)である。上述のように、DNAもまた、標的部位に直接投与され得る(例えば、血管カテーテルまたはステントを使用して)。

0040

(AFABPの発現または活性を阻害する化合物の同定)

0041

AFABPの発現または活性を阻害する(それによって、アテローム性動脈硬化症の発症を阻害する)化合物は、合理的な薬物設計からランダム化合物のスクリーニングまでの範囲にわたる方法によって同定される。このような化合物を試験するための単純かつ迅速なアッセイが利用可能であるので、後者の方法が好ましい。小さな有機分子がこの分析のために所望される候補化合物である。なぜなら、このような分子は、細胞内でAFABPの産生または活性を阻害するために原形質膜を通して通過し得るからである。

0042

AFABPを転写する能力についての化合物のスクリーニングは、AFABPプロモーター配列へのトランス作用因子の結合をブロックする化合物を同定することによって実行される。AFABP遺伝子の5’調節領域は、機能的プロモーターおよびレポーター遺伝子(例えば、ルシフェラーゼまたはアルカリホスファターゼをコードする遺伝子)に連結され、そして候補阻害化合物の存在下または非存在下で、公知の方法を用いて発現アッセイを実行する。マクロファージ特異的インヒビターの同定のために、発現アッセイをマクロファージ中で(またはマクロファージ溶解物の存在下で)実行し、そして発現のレベル(候補化合物の存在下または非存在下において)を、同じ条件下で脂肪細胞における発現のレベルと比較する。ルシフェラーゼ構築物については、その構築物を有する細胞は、候補化合物への曝露後に収集され、そしてルシフェラーゼ活性が測定される;アルカリホスファターゼ構築物については、細胞の培養培地が収集され、そして細胞によって培地中に分泌されたアルカリホスファターゼの量が測定される.5’AFABPエンハンサー(およそヌクレオチド−5.4kb〜−4.9kbでマウスAFABP遺伝子の5’領域に含まれる518塩基対配列:表5)を含むプロモーター構築物および他の調節領域(例えば、米国特許第5,476,926号を参照のこと)は、マクロファージおよび/または脂肪細胞に導入される。

0043

これらの配列に結合する(またはこれらの配列への結合を阻害する)トランス作用因子は、これらの構築物を使用して同定される。AFABP転写を阻害し得る化合物を同定するために、AFABP調節配列を含む細胞を候補化合物と接触させて、レポータータンパク質を生成する細胞の能力を決定する(例えば、細胞中のルシフェラーゼまたは培地中のアルカリホスファターゼ)。レポータータンパク質の発現量の減少は、候補化合物がAFABPの転写を阻害することを示す。

0044

候補化合物はまた、細胞培養アッセイを用いてスクリーニングされ得る。AFABPを発現する細胞(例えば、マクロファージ、脂肪細胞、または上皮細胞)を、候補化合物の存在下で培養する。細胞がAFABPを発現するならば、細胞型に関わらず任意の細胞が、本明細書中に記載されるスクリーニングアッセイにおいて使用され得る。例えば、細胞は、内因性DNAがコードするDNA由来のAFABPを発現する(構成的に、または誘導剤によって誘導されてのいずれかで)か、または細胞は、AFABPを発現するように遺伝的に変化される(例えば、異種AFABPをコードする細胞DNA、またはAFBPコード配列に作動可能に連結された異種プロモーターを含むDNAに導入することによって)。その化合物の存在下または非存在下におけるAFABPの発現のレベルは、公知の方法(例えば、転写を測定するためのPCRまたはノザンブロット分析)を用いて測定される。ウェスタンブロット分析は、AFABPタンパク質の存在を検出するために使用され得る。あるいは、脂肪酸結合、コレステロールローディング、またはマクロファージからマクロファージ由来の泡沫細胞への分化が、AFABP活性を評価するために測定される。AFABP活性を阻害し得る化合物を同定するために、培養したマクロファージ細胞または初代細胞(例えば、末梢血単球またはマクロファージ)を、候補化合物と接触させる。細胞のコントロールサンプルは、候補化合物の非存在下で並行してプロセスされる。AFABP活性は、AFABP脂肪酸結合、マクロファージの泡沫細胞への分化、またはマクロファージ中のコレステロールローディングのいずれかを測定することによって、両方のサンプルにおいて測定される。マクロファージによるコレステロールローディングは、公知の方法(例えば、Yanceyら、1998、J.Lipid Res.39:1349−1361によって記載される方法)を用いて決定される。マクロファージの泡沫細胞への分化は、組織学的に評価される(例えば、Tracy,R.E.、1998、Ann.Diagn.Pathol.2:159−166に記載されるように)。マウスマクロファージ細胞株であるRAW 264.7細胞は、泡沫細胞形成の適切なモデルであり;あるいは、末梢血由来の単球またはマクロファージまたは腹膜マクロファージは、泡沫細胞形成を研究するために使用され得る。脂肪酸(例えば、オレイン酸およびレチノイン酸)のAFABPへの結合は、標準的な試薬(例えば、脂肪酸を含まない蛍光プローブ(例えば、ADIFAB))を用いて、フルオロメトリー(Richieriら、1994,J.Biol.Chem.269:23918−23930またはRichieriら、1996、J.Biol.Chem.271:11291−11300)または古典的なLipidex 1000結合アッセイ(Nemeczら、1991、Arch.Biochem.Biophys.286:300−309)のような標準的なアッセイ系において測定される。候補化合物の非存在下と比較した、候補化合物の存在下における脂肪酸結合の量、マクロファージ分化のレベル、またはコレステロール負荷の減少は、この候補化合物が、AFABP活性を阻害し、従ってアテローム性動脈硬化症性病変形成を阻害することを示す。

0045

細胞内リガンドへのAFABP結合を減少またはブロックする能力についての化合物のスクリーニングは、インビトロの生化学アッセイ、細胞培養アッセイ、または動物モデル系を使用して行われる。そのリガンドは、脂肪酸、合成化合物(例えば、ETYA)、またはペルオキシソーム増殖因子活性化レセプター(PPAR)であり得る。小ペプチドインヒビターは、市販のペプチドスクリーニングキット(FliTrxJ Random Peptide Display Library,Invitrogen Corporation,Carlsbad,CA)を使用して同定される。このスクリーニングアプローチを用いて、AFABPは、固定化され(例えば、被覆された組織培養プレートまたはペトリ皿により)、そしてE.coliバクテリオファージ発現ライブラリーは、固定化AFABP上にプレートされる。そのプレートを培養して、コロニーを増殖させ、そして組換えペプチドを発現させた後、そのプレートを洗浄する。AFABP被覆プレートに結合したままの細菌は、AFABPに結合するペプチドを発現するとみなされる。その結合ペプチドをコードするDNAは、製造業者説明書に従って、PCRによって同定され(そしてクローニングされ)る。次いで、候補ペプチドは、細胞中の脂肪酸へのAFABP結合をブロックする能力について評価される。次いで、ペプチドは、そのペプチドが、マクロファージ中で(その他の細胞、例えば、脂肪細胞または上皮細胞と比較して)優先的に、AFABP/脂肪酸結合を阻害するか否かを決定するために試験される。1つの細胞型(例えば、マクロファージ)において、他の細胞型(例えば、脂肪細胞)に比較して、少なくとも50%より大きい阻害、好ましくは、少なくとも75%より大きい阻害、より好ましくは、少なくとも100%より大きい阻害、そして最も好ましくは、少なくとも200%より大きい阻害は、そのペプチドが、優先的に、特定の細胞型においてAFABP/脂肪酸結合を阻害することを示す。この様式で同定される小ペプチドは、AFABPの同じかまたは類似の領域に結合する有機分子を設計および産生するためのモデルとして有用である。マクロファージにおいてAFABP/脂肪酸結合を優先的にブロックするペプチドは、リポソームを、マクロファージ特異的リガンドに結合する組成物(例えば、ペプチドまたは多糖)で被覆することによって、マクロファージに標的化され得るリポソーム中に取り込まれる。代替のアッセイにおいて、AFABPは、例えば、カラムに適用することによって、固定化され、そして候補化合物およびリガンドと接触される。例えば、その化合物は、標識されたリガンド(例えば、細胞内タンパク質、または蛍光色素もしくはラジオアイソトープで標識されたオレイン酸もしくはレチノイン酸のような脂肪酸)より前、後、またはそれと同時に、カラムにかけられ、そしてその化合物の存在下でAFABPに結合した標識化されたリガンドの量が従来の方法によって決定される。化合物は、その化合物の存在下で結合した標識化されたリガンドの量が、その非存在下で結合した量よりも低い場合には、リガンドへのAFABP結合を阻害する(それにより、AFABP活性または機能を阻害する効果を有する)ことについて陽性と試験される。

0046

候補化合物はまた、細胞に基づくアッセイを使用してスクリーニングされ得る。AFABPを発現する細胞は、天然に、またはAFABPもしくはそのフラグメントをコードする遺伝子の細胞への導入の後のいずれかで、候補化合物の存在下で培養される。例えば、AFABPに結合する(またはAFABPのリガンドへの結合をブロックし、それにより、そのインビボ機能を阻害する)ペプチドは、酵母ハイブリッドシステムおよび拘束されたペプチドのライブラリーを使用して、当該分野で公知の方法(例えば、Colasら、1996、Nature 380:548−550に記載されるスクリーニング方法)を使用して、同定される。

0047

所望の効果(すなわち、AFABPへの結合またはその細胞内リガンドへのAFABP結合の阻害)を有するとして同定された化合物は、さらに、適切な動物モデル(例えば、apoE−/−マウスのようなアテローム性動脈硬化症の動物モデル)において試験され、その化合物がインビボで傷害形成を減少するか否かを決定する。

0048

(実施例1:AFABP発現の減少は、高コレステロール血症性マウスにおいて加速されたアテローム性動脈硬化症の発症を防止する)

0049

以下の材料および方法を、血管疾患の当該分野で認識されているマウスモデルにおいて、アテローム性動脈硬化症の発症を評価するために使用した。

0050

(マウス)

0051

AFABP−/−マウス(Hotamisligilら、1996,Science 274:1377−1379)を、戻し交配し、そして公知の方法(例えば、Schejaら、1999,Diabetes 48:1987−1994に記載される方法)を使用して、C57BL/6Jバックグラウンド上で固定した。次いで、そのマウスを、ApoE−/−マウス(C57BL/6J−ApoetmlUnc;The Jackson Laboratories,Bar Harbor,MEから入手可能)で繁殖させ、ApoEおよびAFABP(ApoE+/−AFABP+/−)について異種接合性のマウスを作製した。次いで、これらのマウスを繁殖させ、野生型であるか、ApoE欠損(ApoE−/−)であるか、AFABP欠損(AFABP−/−)であるか、またはAFABPおよびApoEの両方について欠損(ApoE−/−AFABP−/−)であるマウスを生成した。そのマウスを、ポリメラーゼ連鎖反応分析により遺伝子型決定し、これを、サザンブロット分析によって確認した。雄のマウスを、4週齢で離乳させ、次いで、21重量%の脂肪を含有する西洋型食餌(Teklad Adjusted Calories Western−type diet,88137,Harlan−Teklad)に配置した。西洋型食餌での12週間後、そのマウスを麻酔し、そしてそれらの血管系をリン酸緩衝化生理食塩水で灌流した。血管系の組織学的分析を、標準的な方法を使用して行った。

0053

野生型およびApoE−/−マウス由来の大動脈を、4%のパラホルムアルデヒド灌流固定し、そして標準的な方法を使用して、インサイチュハイブリダイゼーションのために処理した。AFABPmRNAを、直線状マウスAFABP鋳型から転写されたアンチセンス32P標識化リボプローブによって検出した。センス32P標識化リボプローブを、ネガティブコントロールとして使用した。

0054

(マクロファージ回収、細胞培養、およびノザン分析)

0055

腹膜内マクロファージを、野生型C57BL/6Jマウスから回収した。ヒト末梢血単球を、標準的なFicoll−Hypaque遠心分離技術を使用して、軟膜から単離した。両方のマウスおよびヒト細胞について、αナフチルブチレートエステラーゼ(SIGMA,St.Louis,MO)で染色することにより、その細胞がマクロファージ起源であることが見出された。3T3−L1細胞を、公知の方法を使用して培養中で脂肪細胞へと分化させた。

0056

総RNAを、培養されたマクロファージおよび3T3−L1細胞から得、そしてノザンブロットを調製した。フィルターを、マウスAFABPについて、32P標識化cDNAプローブでハイブリダイズした。ヒト単球/マクロファージフィルターをまた、ヒトスカベンジャーレセプタークラスA(SR−A)について、
32P標識したcDNAプローブでハイブリダイズした。RNA負荷における差異を制御するために、そのフィルターを、28SリボソームRNAに対して相補的である32P標識化オリゴヌクレオチドプローブで再びハイブリダイズした。

0058

大動脈弓および右腕頭動脈を、切り出し、メチルCarnoy溶液中に浸漬することによって固定し、その後パラフィン中に埋め込んだ。右腕頭動脈の同じ解剖学的レベルからの組織の切片を分析した。マウスからの、固定し、そして切片化した血管を、エラスチンについてのVerhoeff染色で染色して病変領域および管腔閉塞を評価し、そしてMasson毛状体で染色してコラーゲン沈着を評価し、そして抗MOMA−2抗体で染色してマクロファージを同定した。アテローム性動脈硬化症性病変および管腔の領域を、コンピュータ化した面積測定によって測定し、そして管腔閉塞のパーセンテージを、内部弾性薄膜内の全領域で割り算した病変の領域に100をかけて算出した。コラーゲンおよびマクロファージの蓄積を評価するために、Masson毛状体およびMOMA−2について陽性染色のそれぞれの領域(比色定量分析によって測定された)を、病変の全領域で割り算し、そして100をかけた。

0059

(大動脈弓およびその側枝における脂質のSudanIV染色)

0060

大動脈弓およびその側枝(右腕頭動脈、右および左の総頸動脈、ならびに右および左の鎖骨下動脈を含む)を、切除し、シリコン上にピンで留め、そしてホルマリン後固定した。血管系を当該分野で公知の方法を用いてSudanIVで染色した。

0061

リポタンパク質分析)

0062

西洋型食餌に対するApoE−/−およびApoE−/−AFABP−/−マウスを、午前中4時間断食した。次いで、血液を、眼窩後(retro−orbital)放血によって、EDTA被覆チューブに引いた。遠心分離後、総コレステロールおよびトリグリセリドレベルを、市販の酵素反応キット(SIGMA,St.Louis,MO)を使用して決定した。断食しているApoE−/−およびApoE−/−マウス由来のリポタンパク質画分中のコレステロール濃度を、FPLC(Superose6カラム分離)によって決定した。

0063

動脈硬化症の移植モデル)

0064

B10.A−H2h2(2R)/SgSnJマウス(The Jackson Laboratories,Bar Harbor,ME)由来のドナ−頚動脈を、野生型またはAFABP欠損のいずれかであるC57BL/6Jレシピエントに移植した。頸動脈を、移植の14日後に回収し、そしてメチルCarnoy溶液中で浸漬固定し、その後パラフィン中に埋め込んだ。同種移植片頸動脈を、連続的に切片化し、そしてMOMA−2について染色した。

0065

(アテローム性動脈硬化症性病変の発症に対するAFABPの効果)

0066

血漿コレステロールの上昇したレベルに起因する動脈壁における脂質沈着は、アテローム性動脈硬化症の発症の主因である。そのプロセスは、修飾されたコレステロール、特に、酸化した低密度リポタンパク質(oxLDL)が単球由来のマクロファージによって取り込まれた時に、開始される。ペルオキシソーム増殖因子活性化レセプター−γ、AFABPは、培養マクロファージ中で、PPARγのアゴニストによって誘導される。本明細書において記載されるデータは、高コレステロール血症性のアポリポタンパク質E欠損(ApoE−/−)マウス由来のアテローム性動脈硬化症の病変(但し、正常マウス由来の動脈壁ではない)が、高レベルのAFABPmRNAを含有することを実証する。AFABPを、単離されたマウスおよびヒトマクロファージにおけるその存在によって確認されるように、これらの病変に局在する炎症性細胞において検出した。アテローム性動脈硬化症におけるAFABPの重要性を決定するために、マウスは、ApoEおよびAFABPの両方を欠損していた。

0067

(ApoE−/−AFABP−/−)を作製した。ApoE−/−マウスと比較して、ApoE−/−AFABP−/−マウスは、そのApoE−/−AFABP−/−マウスが、高コレステロール血症のままであったにもかかわらず、顕著により小さく、より複雑ではなく、そしてよりマクロファージが豊富ではない軽微な病変を発症した。反対に、AFABPが存在しないことは、上昇したレベルのコレステロールに依存しない移植に関連する動脈硬化症における病変の形成およびマクロファージの蓄積を防止しなかった。これらの結果は、高コレステロール血症誘導アテローム性動脈硬化症の発症にAFABPが関与していることを示す。

0068

(AFABPは、アテローム性動脈硬化症性病変中に存在する)

0069

アテローム性動脈硬化症性病変の発症は、動脈壁への傷害によって始まる。高コレステロール血症を伴う個体では、LDLおよびその改変形態が、傷害の重要な供給源であり、炎症応答を導く。循環している単球は動脈壁に入り、マクロファージへと分化し、次いで血漿リポタンパク質(特にoxLDL)に由来するコレステリルエステルを除去して、脂質充填泡沫細胞となる。これらの泡沫細胞が、内膜(動脈の内側の層)内に蓄積した場合、動脈硬化症の最初の同定可能な病変である、脂肪線条発達する。アテローム性動脈硬化症性病変が進行するにつれて、平滑筋細胞の移動および増殖、ならびに線維組織の沈着が、進行した、複雑な病変をもたらす。AFABPがアテローム性動脈硬化症の発症に重要であるか否かを調査するために、インサイチュハイブリダイゼーションを行って、AFABPがアテローム性動脈硬化症性病変に発現されるか否かを決定した。AFABPmRNAは、アンチセンスプローブを用いたインサイチュハイブリダイゼーションによって、動脈の周囲の外側の結合組織脂肪組織以外では、野生型マウスの動脈壁においては検出可能ではなかった。しかし、強いAFABPシグナルが、ApoE−/−マウスの動脈壁においてみられた。AFABPについてのシグナルは、アテローム性動脈硬化症性病変および外膜の脂肪組織の両方において顕著であり、中膜(動脈壁の真ん中の筋肉部分)においてはシグナルはずっと少なかった。さらに、AFABPおよびmRNAは、外膜の病変中の蓄積された脂質の領域に制限されなかった。センスのAFABPプローブをネガティブコントロールとして用いた場合、シグナルは、野生型またはApoE−/−の血管において検出可能でなかった。

0070

(AFABPmRNAは、マウスおよびヒトのマクロファージにおいて誘導される)

0071

アテローム性動脈硬化症性病変中の脂肪細胞以外のどの細胞がAFABPを発現するかを決定するために、AFABPについてのインサイチュハイブリダイゼーションシグナルを、ApoE−/−マウス由来の病変中のMOMA−2(マクロファージ特異的マーカー)についての免疫染色のレベルと比較した。AFABPシグナルの領域は、これらの病変中でのマクロファージ染色の領域と重複した。このことは、マクロファージが、AFABPを発現することを示す。腹膜マクロファージを、野生型マウスから収集し、そしてAFABPmRNAのレベルを評価した。ポジティブコントロールとして、AFABP mRNAのレベルを、脂肪細胞に分化した3T3−L1細胞において測定した。AFABP mRNAは、マウス腹膜マクロファージ中に存在し、AFABPメッセージのレベルは、細胞をプラスチック(マクロファージ分化の刺激)にプレーティングした1日後に増加した。AFABPメッセージは、マクロファージをoxLDLに曝露した場合に増加したが、マクロファージを非酸化LDLに曝露した場合には増加しなかった。ヒト単球のマクロファージへの分化の間のAFABP mRNAレベルもまた測定した。AFABPメッセージは、初期分化の間には発現されないが、細胞をプラスチックにプレーティングした3日後には検出可能になることが見出された。AFABP mRNAのレベルは、5日後に最大であった。成熟ヒトマクロファージにおけるAFABP mRNA誘導のこのパターンは、スカベンジャーレセプタークラスA(SR−A) mRNA(単球からマクロファージへの分化のマーカーでかつアテローム発生の間のoxLDL取り込みに重要なレセプター)の増加に平行した。これらのデータは、マウスおよびヒトの両方のマクロファージにおいてAFABPが発現されること、ならびにAFABPがoxLDL(アテローム性動脈硬化症の発症についての刺激)によって誘導されることを実証する。AFABP mRNAのレベルを、アテローム性動脈硬化症性病変において優先的である別の細胞型である血管平滑筋細胞において調べた。マクロファージおよび脂肪細胞において検出されるレベルと比較して、成体マウス由来の血管平滑筋細胞におけるAFABP mRNAレベルは、非常に低減された。

0072

(ApoE−/−マウスおよびApoE−/−AFABP−/−マウスにおけるリポタンパク質分析)

0073

AFABPは、細胞内脂肪酸輸送、肥満関連インスリン抵抗性および細胞脂質代謝において役割を果たすことが報告された。上記のように、ApoEおよびAFABPの両方が欠損したマウスを作製した。ApoE−/−マウスモデルを選択した。なぜなら、ApoE−/−マウスは、ヒトの疾患に特有の重篤な高コレステロール血症およびアテローム性動脈硬化症性病変を発症するからである。ApoE−/−AFABP−/−マウスの最初の特徴付けは、高脂肪の「西洋型」食餌での12週間後に、ApoE−/−マウス(36.7±2.2g、n=12)と比較して、食物摂取にも体重(34.6±1.2g、n=17)にも相違がないことを示した。血清脂質プロフィールの評価は、ApoE−/−マウス(1192±137mg/dl、n=10)と比較して、ApoE−/−AFABP−/−マウス(735±58mg/dl、n=15)の総循環コレステロールレベルにおける全体的な減少(P<0.05)を示した(図3)。しかし、総コレステロールレベルは、西洋型食餌で150mg/dlを超えない。総循環トリグリセリドレベルは、ApoE−/−AFABP−/−マウスおよびApoE−/−マウスにおいて異ならなかった(図3B)。

0074

コレステロールの分布を、高速相液体クロマトグラフィー(fast phase liquid chromatography(FPLC))による2つの群由来の種々のリポタンパク質画分において特徴付けた。高密度リポタンパク質HDL)が主なコレステロール保有リポタンパク質として優勢である野生型マウスの血漿とは異なり、ApoE−/−AFABP−/−マウスおよびApoE−/−マウスにおける血漿はいずれも、低密度リポタンパク質の優位性を示した(図3C〜D、各群における3匹の平均)。リポタンパク質画分についてのFPLCパターンは、ApoE−/−AFABP−/−マウスおよびApoE−/−マウスにおいて類似した。

0075

(ApoE−/−マウスにおいてAFABPが存在しないことは、動脈における脂肪蓄積および病変形成を防ぐ)

0076

アテローム性動脈硬化症性病変形成を、2つの群由来の動物の大動脈弓およびその枝において調べた。SudanIV染色により、ApoE−/−マウスと比較して、ApoE−/−AFABP−/−マウスの脂質蓄積における顕著な減少が示された。病変の大きさおよび血管閉塞の重篤度を特徴付けるために、右腕頭動脈の近位部分および遠位部分において病変の断面積を測定した(図4A〜B)。大きな閉塞性病変が、ApoE−/−マウスの近位(71±12×103μm2
、n=7)および遠位(39±4×103μm2、n=7)の腕頭動脈に存在した。これらの病変は、近位動脈の80±5%、および遠位動脈の55±7%を閉塞させた。最小の血清コレステロールを有するApoE−/−マウス中のアテローム性動脈硬化症性病変のサイズは、最大の血清コレステロールを有するマウスとは異ならなかった。このことは、これらのマウスにおいてコレステロールレベルと病変サイズとの間に直接的な相関は存在しないことを示唆する。ApoE−/−マウスとは対照的に、ApoE−/−AFABP−/−マウス中の病変は、近位(7±2×103μm2、n=12)および遠位(0.5±0.3×103μm2
、n=12)の腕頭動脈の両方において小さくかつ非閉塞性であった。12匹のApoE−/−AFABP−/−マウスのうち5匹は、西洋式食餌で12週間後に何の検出可能なアテローム性動脈硬化症性病変も発症しなかった。西洋式食餌にて25週間後でさえ、ApoE−/−AFABP−/−マウスは、小さな、非閉塞性病変を有した。野生型マウスもAFABP−/−マウスも、西洋式食餌での腕頭動脈中にアテローム性動脈硬化症を発症しなかった。

0077

(ApoE−/−AFABP−/−マウス由来の病変は、ApoE−/−マウス由来の病変よりも進展しておらず、そしてより少ないマクロファージを含む)

0078

代表的なApoE−/−マウスおよびApoE−/AFABP−/−マウス由来の近位腕頭動脈を、免疫組織化学的分析に供した。組織を、エラスチン、コラーゲンおよびMOMA−2(マクロファージのマーカー)について染色した。マクロファージについてのMOMA−2染色をまた、野生型マウスおよびAFABP−/−マウス中に移植した頸動脈において行った。ApoE−/−マウス由来のアテローム性動脈硬化症性病変は、線維性キャップを有する複雑な病変であり、そしてこの病変は、多量のコラーゲンを含んでいた。これらの進展し、複雑化した病変内の清澄な領域は、脂質蓄積の領域である。ApoE−/−AFABP−/−マウスは対照的に、線維性キャップおよび過剰な細胞外マトリクス沈着物混入している、非常に小さな、複雑化していない病変を有した。ApoE−/−マウスでは、病変のうちの45±5%(n=4)は、コラーゲンから構成されていた;一方、ApoE−/AFABP−/−マウスでは、病変のうちの13±4%(n=4)しか、コラーゲンから構成されていなかった。2つの群におけるマクロファージ蓄積を、動脈をMOMA−2について免疫染色することにより評価した。近位動脈においてMOMA−2について陽性の病変染色の百分率は、ApoE−/−AFABP−/−マウスにおいてよりもApoE−/マウスにおいて30倍高かった。

0079

AFABP欠損が、別の型の閉塞性血管疾患において病変形成を予防するか否かを決定するために、病変のサイズおよびマクロファージ蓄積を、高コレステロール血症に依存しない移植関連動硬化症の、当該分野で認識されたモデルにおいて評価した。病変のサイズにおける相違およびマクロファージ蓄積の減少は、野生型マウスおよびAFABP−/マウスに移植された、異なる遺伝的背景のマウス由来のドナー頸動脈において検出されなかった。実際、AFABP−/−マウスにおける病変は、より多くのマクロファージを含んでいた。これらのデータは、AFABPの不在下での病変形成およびマクロファージ蓄積がないことが、高コレステロール血症誘導性アテローム性動脈硬化症に特異的であることを示す;免疫誘導動脈硬化症において観察されなかった。この結果は、AFABPが、高コレステロール血症誘導アテローム性動脈硬化症の重要なメディエーターであることを示す。ApoE−/−AFABP−/−マウスにおける血漿コレステロールレベルにおける中程度の減少が、この群におけるアテローム性動脈硬化症性病変の減少を説明することはありそうにない。なぜなら、血漿コレステロールレベルが、この群およびApoE−/−群において著しく高いままであったからである。このことは、血漿コレステロールレベルをApoE−/−マウスにおいて30〜39%(本発明者らのApoE−/AFABP−/−マウスにおける減少と類似の量)減少させる低脂質血症薬物(hypolipidemic drug)が、アテローム性動脈硬化症性病変形成を減少させないという観察によって支持される。oxLDLに対するマクロファージの応答を評価した場合、ApoE−/AFABP−/−マウスおよびAFABP−/−マウス由来の細胞においてoxLDL取り込み、コレステロールエステル化または泡沫細胞形成の相違は観察されなかった。しかし、ApoE−/−AFABP−/マウスでは、病変マクロファージ蓄積において顕著な減少が存在した。マクロファージ応答は、高コレステロール血症の環境においてのみ生じた。チオグリコレート投与後の移植した動脈または腹腔内腔におけるマクロファージ蓄積は、AFABPの存在または不存在によって異ならなかった。これらのデータは、AFABPが、高コレステロール血症によって誘導されるアテローム性動脈硬化症の発症の重要なメディエーターであること、およびAFABPがないことが、マクロファージ蓄積および複雑な病変形成の有意な減少をもたらすことを示す。

0080

他の実施形態は、添付の特許請求の範囲内である。

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