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課題・解決手段

本発明は、ヘパリン結合能亢進したポリペプチド変異体に関する。ヘパリン結合能の亢進は、アミノ酸配列X1X2X3X4X5X6(配列番号:1または配列番号:2)で付加、挿入、および/または置換することによって達成される。本発明のポリペプチド変異体は、 特に軟骨形成骨形成、および創傷治癒の促進に好適である。本発明はまた、該ポリペプチド変異体をコードするアミノ酸分子、該核酸分子を含む宿主細胞、およびポリペプチド変異体を作製する方法に関する。

概要

背景

概要

本発明は、ヘパリン結合能亢進したポリペプチド変異体に関する。ヘパリン結合能の亢進は、アミノ酸配列X1X2X3X4X5X6(配列番号:1または配列番号:2)で付加、挿入、および/または置換することによって達成される。本発明のポリペプチド変異体は、 特に軟骨形成骨形成、および創傷治癒の促進に好適である。本発明はまた、該ポリペプチド変異体をコードするアミノ酸分子、該核酸分子を含む宿主細胞、およびポリペプチド変異体を作製する方法に関する。

目的

効果

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請求項1

以下に特徴付けられる、ヘパリン結合能亢進したポリペプチド変異体:(i)ポリペプチドアミノ酸配列に、少なくとも1つのアミノ酸配列X1X2X3X4X5X6を含むオリゴペプチドを付加し、および/もしくは(ii) ポリペプチドのアミノ酸配列に、アミノ酸配列X1X2X3X4X5X6を含む少なくとも1つのオリゴペプチドが挿入されており、および/もしくは(iii) ポリペプチドのアミノ酸配列が天然のものである少なくとも1つのオリゴペプチド配列が、アミノ酸配列X1X2X3X4X5X6を含むオリゴペプチドで置換されており、ここで、X1はK、R、もしくはH;X2 はK、R、もしくはH;X3 はK、R、H、もしくはアミノ酸を欠いている;X4 はK、R、Hではなく、その他のアミノ酸;X5 はK、R、Hではなく、その他のアミノ酸もしくはアミノ酸を欠いている;X6 はK、R、Hではなく、その他のアミノ酸もしくはアミノ酸を欠いている (配列番号:1)、またはX1はK、R、もしくはH;X2 はK、R、Hではなく、その他のアミノ酸;X3はK、R、もしくはH;X4 はK、R、Hではなく、その他のアミノ酸;X5はK、R、Hではなく、その他のアミノ酸もしくはアミノ酸を欠いている;X6 はK、R、Hではなく、その他のアミノ酸もしくはアミノ酸を欠いている(配列番号:2);ならびにポリペプチドがTGF-βスーパーファミリーを含むDVRファミリーメンバーから選択される。

請求項2

1〜4コピーのオリゴペプチドが、ポリペプチド内の1〜4カ所の位置に挿入されていることによって特徴付けられる、請求項1に記載のポリペプチド変異体。

請求項3

オリゴペプチドがアミノ酸配列RKRA (配列番号:3)もしくはRKRAKHKQ (配列番号:4)を含むことによって特徴付けられる、請求項1または請求項2に記載のポリペプチド変異体。

請求項4

オリゴペプチドをN末端に付加、および/またはN末端領域に挿入、および/、またはN末端領域の一部で置換することによって特徴付けられる、請求項1〜3のいずれか1つに記載のポリペプチド変異体。

請求項5

ポリペプチド変異体のアミノ酸配列が、さらにリコンビナント発現に関連する配列をN末端に含み、リコンビナントの発現に関連する該配列がMまたはMZであり、ここでMはメチオニンを表し、Zは1つ以上のアミノ酸を表すものであることによって特徴付けられる、請求項1〜4のいずれか1つに記載のポリペプチド変異体。

請求項6

ポリペプチド変異体がさらにヒスチジンタグを含むことによって特徴付けられる、請求項1〜5のいずれか1つに記載のポリペプチド変異体。

請求項7

ポリペプチドが付加、置換、挿入、逆位および/もしくは欠失によって変化し、付加、置換、挿入、逆位および/もしくは欠失によって変化した該ポリペプチドが、変化していないポリペプチドの少なくとも10%の生物学的活性を示す、ならびに/または変化していないポリペプチドに対して少なくとも50%相同性を示すものであることによって特徴付けられる、請求項1〜6のいずれか1つに記載のポリペプチド変異体。

請求項8

ポリペプチドがBMP-2、BMP-4、BMP-5、BMP-6、BMP-7/OP-1、またはBMP-8/OP-2であることによって特徴付けられる、請求項1〜7のいずれか1つに記載のポリペプチド変異体。

請求項9

オリゴペプチドがシステインノットの前に挿入されていることによって特徴付けられる、請求項1〜8のいずれか1つに記載のポリペプチド変異体。

請求項10

ポリペプチド変異体が配列番号:5(T3)もしくは配列番号:6(T4)のアミノ酸配列を有することによって特徴付けられる、請求項8または請求項9のいずれかに記載のポリペプチド変異体。

請求項11

ポリペプチド変異体が、請求項1〜10のいずれか1つに記載の該ポリペプチド変異体のポリマーオリゴマー、またはダイマーであることによって特徴付けられる、請求項1〜10のいずれか1つに記載のポリペプチド変異体。

請求項12

請求項1〜11のいずれか1つに記載のポリペプチド変異体をコードする核酸配列を含む核酸分子

請求項13

核酸配列が、ゲノムDNAもしくはcDNA由来する、または合成DNAであることによって特徴付けられる、請求項12に記載の核酸分子。

請求項14

発現制御に好適なプロモーターをさらに含み、ポリペプチド変異体をコードする核酸配列が、該プロモーターの制御下にあることによって特徴付けられる、請求項12または請求項13のいずれかに記載の核酸分子。

請求項15

核酸分子が少なくともベクターの一部を含む請求項12〜14のいずれかに1つに記載の核酸分子。

請求項16

宿主細胞が核酸分子の発現に好適な原核または真核細胞である、請求項12〜15のいずれか1つに記載の核酸分子を含む宿主細胞。

請求項17

請求項1〜11のいずれか1つに記載の、ヘパリン結合能の亢進したポリペプチド変異体を産生する方法であって、ポリペプチドのアミノ酸配列に配列番号:1もしくは配列番号:2から選択したアミノ酸配列を含む少なくとも1つのオリゴペプチドを付加、および/またはポリペプチドのアミノ酸配列に配列番号:1もしくは配列番号:2から選択したアミノ酸配列を含む少なくとも1つのオリゴペプチドを挿入 、および/またはポリペプチドのアミノ酸配列中で天然の少なくとも1つのオリゴペプチド配列を、配列番号:1もしくは配列番号:2から選択したアミノ酸配列を含む1つのオリゴペプチドで置換することを含む方法。

請求項18

方法が化学的および/または酵素による合成方法を含むことによって特徴付けられる、請求項17に記載の方法。

請求項19

方法が遺伝子技術的方法を含むことによって特徴付けられる、請求項17または請求項18のいずれかに記載の方法。

請求項20

以下を含むことによって特徴付けられる、請求項17〜19のいずれか1つに記載の方法:(a)ポリペプチドをコードする核酸インビトロ変異誘発法で、(i)該ポリペプチドをコードする核酸に、配列番号:1もしくは配列番号:2から選択したアミノ酸配列を含むオリゴペプチドをコードする少なくとも1つの核酸を付加する、および/または(ii)該ポリペプチドをコードする核酸に、配列番号:1もしくは配列番号:2から選択したアミノ酸配列を含むオリゴペプチドをコードする少なくとも1つの核酸を挿入、および/または(iii)該ポリペプチドをコードする核酸配列中の天然の少なくとも1つの核酸配列を、配列番号:1もしくは配列番号:2から選択したアミノ酸配列を含むオリゴペプチドをコードする核酸配列で置換し;(b)変異核酸を好適な発現ベクタークローニングし;(c) 得られた発現ベクターで好適な宿主細胞を形質転換/トランスフェクションし;(d)発現に好適な条件下において形質転換/トランスフェクションした該宿主細胞を培養し;(e)発現したポリペプチド変異体を単離、ならびに必要に応じて再生する。

請求項21

方法が好ましくは大腸菌等の原核宿主細胞で実施されることによって特徴付けられる、請求項17〜20のいずれか1つに記載の方法。

請求項22

方法が、好ましくは酵母、植物または昆虫細胞、CHOもしくはCOS細胞等の真核細胞で実施されることによって特徴付けられる、請求項17〜20のいずれか1つに記載の方法。

請求項23

請求項1〜11のいずれか1つに記載のポリペプチド変異体を含み、生理学的に適合性添加剤を選択的に含む医薬組成物

請求項24

骨形成もしくは創傷治癒を促進する、または炎症もしくは癌を治療するための、請求項1〜11のいずれか1つに記載のポリペプチド変異体の利用。

請求項25

請求項1〜11のいずれか1つに記載のポリペプチド変異体、およびヘパリンヒドロキシアパタイトヒアルロン酸合成ポリマー、またはコラーゲンから選択される担体を含む、骨誘導のための組成物

請求項26

基質が、ヘパリンもしくはヘパリン様物質を含む、またはヘパリンもしくはヘパリン様物質にコートされていて、請求項1〜11のいずれか1つに記載のポリペプチド変異体が該ヘパリンもしくはヘパリン様物質に吸着することによって特徴付けられる骨誘導性の基質。

0001

本発明は、ヘパリン結合能亢進したポリペプチド変異体に関する。さらに、本発明は、これらの変異体をコードする核酸分子、該核酸分子を含む宿主細胞、およびポリペプチド変異体およびリコンビナントポリペプチド変異体の生産に用いる方法に関する。また、本発明は、軟骨形成骨形成、および創傷治癒の促進、及び炎症および癌の治療に対するポリペプチド変異体の利用に関する。さらに、本発明は、これらの変異体を含む骨誘導性組成物に関する。

0002

数多くの生物学的因子がヒトおよび動物の体の細胞組織、および器官発達および再生に影響する。今日ですら、このような因子多くが依然として未知であり、それらによる制御過程は完全に解明されているわけではない。骨の形成(骨形成)はまだ完全には理解されてはいない過程なのであり、例えば、化学的走性分裂、および分化等の多数の連続した個々の過程に分けることができる。このような場合、化学的走性は、主にI型不溶性コラーゲンからなる無機質脱落した不溶性骨基質からの連続したシグナルの化学的勾配応答する細胞の直接的な移動を意味する。I型不溶性コラーゲンは、それ自身、コラーゲンフィブリン、およびヘパリンに結合するドメインを含む血漿フィブロネクチンに結合する。

0003

基本的には、骨形成を制御する生物学的に有効な因子としては、2つの主要な群、全身性に働くものと局所に働くものがある。

0004

全身性に働く因子群としては、例えば、内因性カルシュウム濃度を制御する2つのホルモンPTH副甲状線ホルモン)および 1,25-ジヒドロキシ-ビタミンDがあげられる。骨形成に関与する別のホルモンとしては、骨再吸収阻害するカルシトニンがある。

0005

エストロゲンアンドロゲン成長ホルモンインスリン様増殖因子(IGF)、甲状腺ホルモン、および糖質コルチコイドは、例えば、骨形成を制御する全身性ホルモンにも含まれる。

0006

局所に働く因子群は、
(1)IL-1、腫瘍壊死因子(TNF)、IL-6、IL-11およびODF(破骨分化因子、TRANCE)等の骨分解に効果を示すサイトカイン
(2)骨分解を阻害するサイトカイン:IL-4、IL-13、IL-18、IFNインターフェロン)、OPGオステオプロテジェリン)、および IL-1ra (インターロイキン-1-受容体拮抗阻害体);
(3)コロニー刺激因子:M−CSFマクロファージ・コロニー刺激因子)およびGM-CSF(顆粒球・マクロファージ刺激因子);
(4)プロスタグランジン類ロイコトリエン類、および一酸化窒素;および
(5)増殖因子: IGF(インスリン様増殖因子);アクチビン/インヒビンファミリー蛋白質MIS抗ミュラー管ホルモン)、GDF(増殖/分化因子)、ノーダル、およびドルサリンを含むTGF-β(トランスフォーミング増殖因子β)スーパーファミリーの蛋白質を含むデカペンタプレジック-Vg関連(DVR)ファミリーの蛋白質;FGF(線維成長因子)、PDGF(血小板生長因子)、およびPTHrP(PTH関連蛋白質;副甲状線ホルモン関連蛋白質)等を含む。

0007

本発明に関して、TGF-βスーパーファミリーは特に注目するものである。

0008

現時点で、TGF-βスーパーファミリーは、様々な生物でオルソローグと考えられるものを除いても20種以上の蛋白質が含まれる。TGF-βに加え、BMP(骨形成蛋白質)、GDF(増殖分化因子)、インヒビン/アクチビン、およびその他の蛋白質(Kingsley、1994) が該スーパーファミリーに属する。これらはいずれも、通常、ジスルフィド結合共有結合した2個の同一単量体からなるホモダイマーである2つのサブユニットからなる。

0009

現在までに構造的研究で得られたTGF-βスーパーファミリーの全蛋白質に共通する特徴は、「TGF-β/BMP構造」であり、これは1分子当たり1つのシステインノット、1つのa-ヘリックスおよび少なくとも4つのβ-ストランドで構成されるものであり、これによって単量体は通常のダイマーを構成することができる(McDonald and Hendrickson、1993)。アミノ酸配列は互いに同一位置で40%までのかなりの類似性を示すこともある。N末端配列および「ループ」領域は、特に可変である。しかし、TGF-βスーパーファミリーの全構成員進化において、かなりの程度、機能と構造が保存されていることが分かっている。これらはいずれも、TGF-βスーパーファミリーの全蛋白質において保存されかつ同一の構成を有する3つのジスルフィド結合からなる「システインノット」と呼ばれる構造要素を含む。TGF-βを除いて、特によく研究されている代表的構成員は、BMP-2およびBMP-7等のBMPの個々の構成員、ならびに骨および軟骨組織の発達および再生を促すGDF-5等のGDFの構成員である。従って、例えば、BMP-2は、正所性のみならず異所性移植でも骨誘導性の性質を示すことが分かっている。

0010

TGF-βスーパーファミリーの蛋白質は最初に、蛋白質分解によって成熟蛋白質が生成するその前駆体蛋白質として細胞中で合成される。ArgXXArg認識配列後ろで、前駆蛋白質が切断されて、成熟蛋白質となるC末端の配列の約100〜140アミノ酸残基遊離すると考えられる。

0011

シグナル伝達の際に、TGF-βスーパーファミリーに属する因子が、標的細胞(例えば、誘導性骨幹細胞)の2種の膜受容体細胞外ドメインに結合する。2型サブユニットはその細胞質内部の部分に蛋白質セリンキナーゼを含み、これが、1型サブユニットのリガンド結合に呼応してセリン残基リン酸化する。これによって、さらに蛋白質セリンキナーゼの1型サブユニットが活性化され、次にこれがSMAD等の細胞内シグナル蛋白質をリン酸化・活性化する。1型および2型サブユニットの両タイプともダイマーで存在することが示唆されている。最近、アクチビン受容体(Act−RII)の2型サブユニットの細胞外ドメインに関する結晶構造が決定された。BMP-2はTGF-βファミリーでは最もよく研究されている蛋白質であり、システインノットの第1システインの後ろにある構造的に保存性の高いドメインによって該受容体サブユニットに結合する。BMP-2におけるシステインノットの第1システインの前にある可変性の高いN末端配列は、受容体サブユニットと直接相互作用はしない。TGF-βスーパーファミリーの蛋白質と1型および2型受容体サブユニットとの相互作用は、部分的には不規則なものであり、その特異性重複している。受容体サブユニットがどの程度共通して用いられるのか、受容体活性化のメカニズムについて、どの程度の差異があるのか等については、今のところ明らかではない。特に、本明細書では、(例えば、骨誘導性の活性に関して)どの構造要素が蛋白質の特異性を決定しているのかを明確にしているわけではない。

0012

TGF-βスーパーファミリーの構成員は、受容体サブユニット以外にも他の多くの蛋白質と相互作用可能である。従って、構成員の活性を調製もしくは阻害することができる。Fetuin/α2-HS糖蛋白質およびこれに由来するペプチドTRH1)はBMP-2およびTGF-βに結合し、BMP-2とはより高い親和性によって結合するのである。この結合は受容体における結合と競合する。哺乳動物ノギン(noggin)蛋白質は、受容体と競争的にBMP-2に高親和性結合する。アフリカツメガエル(Xenopus laevis)の卵細胞で示されているように、コルジン(chordin)は、BMP-4の阻害剤として働く。フォルスタチン(follistatin)はアクチビンおよびBMP-7と高親和性結合する。BMP-2がヘパリンに結合可能であることが示されている。

0013

TGF-βスーパーファミリーの構成員が治療上の効能を有することは、その生理学重要性から明らかである。リコンビナントにより生産する蛋白質は、特に重要である。なぜならば、大量に得ることができるからである。さらに、それらをコードする核酸は、遺伝子治療において効能を有する作用因子である。

0014

従って、TGF-βスーパーファミリーの構成員および生物学的性質が変化したその変異体は、広く注目されている。Kubler ら (1999) は、BMP類縁体であるEHBMP-2の1次構造天然のヒトBMP-2とは異なっており、BMP-2が強くヘパリンに結合するために必要と考えられる最初から12個のアミノ酸がヒトのインターロイキン2の最初から13番目までのアミノ酸で置換されていることを報告している。この遺伝的に変化した類縁体BMP-2をリコンビナントとして大腸菌発現させた。EHBMP-2はヘパリンに対しては無視しうるほどの親和性しか示さず、多様な細胞培養物(すなわち、インビトロ)でより高い生物学的活性を示したのである。この変異体のインビボでの活性を天然のBMP-2と比較し、マウスでは、4μM等のBMP-2 濃度で異所性の骨誘導がほぼすべてのサンプルで起こるが、EHBMP-2ではその量を約40μMにしたときに同等の効果が得られことを示した。さらに、同一蛋白質濃度新しく形成された骨の量は、BMP類縁体、EHBMP-2に比べ天然のBMP-2で有意に多いことが見いだされた。

0015

さらに、本発明の課題は、野生型のものよりインビボで同等かもしくは効果的なポリペプチド変異体を提供することである。さらに別の課題は、ポリペプチド変異体をコードする核酸、さらにはこのような核酸を含むベクターおよび宿主細胞を提供することである。さらに、本発明ではポリペプチド変異体を作製する方法の提供も行う。最後に、これらのポリペプチド変異体含む医薬組成物、およびその用途についても提供する。

0016

本発明に基づき、以下によって特徴付けられるヘパリン結合能の亢進したポリペプチド変異体で、この課題を達成する。
(1)低ヘパリン結合能を有するポリペプチドのアミノ酸配列に、アミノ酸配列X
1X2X3X4X5X6を含む少なくとも1つのオリゴペプチドが付加されており、および/もしくは
(2)ポリペプチドのアミノ酸配列に、アミノ酸配列X1X2X3X4X5X6を含む少なくとも1つのオリゴペプチドが挿入されており、および/もしくは
(3) ポリペプチドのアミノ酸配列が天然のものである少なくとも1つのオリゴペプチド配列が、アミノ酸配列X1X2X3X4X5X6を含むオリゴペプチドで置換されており、
ここで、

0017

X1はK、R、もしくはH;

0018

X2 はK、R、もしくはH;

0019

X3 はK、R、H、もしくはアミノ酸を欠いている;

0020

X4 は K、R、Hではなく、その他のアミノ酸;

0021

X5 はK、R、Hではなく、その他のアミノ酸もしくはアミノ酸を欠いている;

0022

X6 はK、R、Hではなく、その他のアミノ酸もしくはアミノ酸を欠いている (配列番号:1)、
または:

0023

X1はK、R、もしくはH;

0024

X2 は K、R、Hではなく、その他のアミノ酸;

0025

X3 はK、R、もしくはH;

0026

X4 はK、R、Hではなく、その他のアミノ酸;

0027

X5 はK、R、Hではなく、その他のアミノ酸もしくはアミノ酸が欠いている;

0028

X6 はK、R、Hではなく、その他のアミノ酸もしくはアミノ酸が欠いている(配列番号:2)。

0029

以下に、本出願においてどのように理解すべきであるかを明確にするために、幾つかの用語についてさらに詳細に説明を行う。

0030

以下において本明細書に記載の「ポリペプチド」なる用語は、5つ以上のアミノ酸からなり、少なくとも1種類の生物学的活性を有するペプチドもしくは蛋白質を含む。さらに、本用語は、生物学的に有効なポリペプチドの断片およびその変異体および融合蛋白質を含む。

0031

「ヘパリン結合能の亢進したポリペプチド変異体」は、変異体ポリペプチドが、変化していないポリペプチドと比べてより強くヘパリンと結合することのできる能力の亢進を示すことを意味する。一般に、ヘパリン結合能は、例えば、ヘパリンをコートした担体を用いたプラズマ共鳴分析によって測定できる。個々の実験条件は、例えば、Ruppert ら(1996)に記載がある。

0032

インビボの効率は、標的部位における所期の効果の程度を意味するものである。インビボの効率は、標的部位における蛋白質の利用可能度とともに蛋白質の生物学的活性によって調べる。最終的な分析においては、標的部位における効果としてこれを測定する。既知の方法を用いて、この効果を測定することもできる。BMP-2変異体の場合、Kubler と Urist(1991)およびKubler ら(1999)が記載している異所性骨形成の誘導は、有用であることが明らかにされている。

0033

細胞の増殖および/もしくは分化を調節する生物学的に有効なポリペプチドは「増殖因子」と呼ばれる。

0034

以下に特定のポリペプチドを参照する場合には、そのアミノ酸配列は、例えば、公共のデータベースEntrez(現在は、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/Entrezs/)から得ることができる。

0035

業者に公知の「相同性」なる用語は、コンピューター支援による配列比較basiclocal alignment search tool、S.F. Altschul ら J. Mol. Biol. 215 (1990)、403-410)等の公知の方法を用いてアミノ酸配列間の相似度で定義される2つ以上のポリペプチド間の関連性の度合いを意味する。「相同性」の率(%)は、ギャプもしくはその他の配列特性を考慮して、2つ以上の配列の同一領域における百分率で決定することができる。通常、特定の要求を満たすアルゴリズムを備えた特殊なコンピュータープログラムを用いる。

0036

相同性を調べる好適な方法では、まず、調べる配列間の最大相似度を生成する。2つの配列間の相同性を調べるコンピュータープログラムとしては、GAPを含むGCGプログラムパッケージ(Devereux、J. ら、Nucleic AcidsResearch 12 (12) : 387 (1984); Genetics Computer Group University of Wisconsin、Madison、(WI));BLASTP、BLASTIN、andFASTA (Altschul、S. ら、J. Mol. Biol. 215:403-410) (1990))があげられるが、これらのみに限定されるものではない。BLASTXプログラムは、米国国立バイオテクノロジー情報センター(NCBI)およびその他の供給元(BLAST Manual、Altschul、S. ら、NCBNLM NIH Bethesda、MD 20894; Altschul、S. ら、Mol. Bio. 215:403-410 (1990))から取得することができる。 公知の Smith-Watermanアルゴリズムを用いて、相同性を調べることもできる。

0037

アミノ酸配列の比較に好適なパラメーターは、以下のようなものである。
アルゴリズム: Needleman-Wunsch (J. Mol. Biol. 48:443-453 (1970))
比較マトリックス: ヘニコフとヘニコフのBLOSUM 62 (PNAS USA 89(1992)、10915-10919)
ギャプペナルティー: 12
ギャプ長ペナルティー: 4
類似度閾値: 0

0038

GAPプログラムは、上記のパラメーターを用いる場合にも好適である。両末端のギャプが相同性の値を減少させない場合には、上記のパラメーターは、アミノ酸配列の比較におけるデフォールトのパラメーターである。参照配列より非常に短い配列の場合には、期待値を100,000 に増加し、またある場合にはワード・サイズを2に減少させることも必要となる。

0039

さらに別のアルゴリズムの例としては、プログラミングマニュアル、ウイスコンシンパッケージバージョン9(1997年9月)中の名称によるものを含むギャップオープニングペナルティー、ギャップ伸長ペナルティー、比較マトリックスが用いられる。実施する比較に応じて選択し、この選択はさらに、配列対間で比較が成されるのかにも依存するものであり、この場合であれは、GAPもしくはBestFitが好適と考えられ、また配列とデータベースの多くの配列間であれば、この場合は、FASTAもしくはBLASTが好適と考えられる。

0040

上記のアルゴリズムを用いて相似度が60%と決定された場合、本出願ではこれを60%相同性と呼ぶことにする。相同性がさらに高い場合にも同様にする。

0041

ヒスチジンタグ」は、適当なクローニングと発現可能な配列を有した融合物によって、末端に少なくとも6つのヒスチジン残基を有し、Ni2+カラム複合体を形成させ精製を容易にする融合蛋白質を生成する少なくとも6つのヒスチジンのアミノ酸配列を指す。

0042

異種遺伝子」は、それ自身の同系のプロモーターコントロール下で発現していないか、もしくはそれが由来する生物において発現していないか、またはそれ自身の同種のプロモーターのコントロール下でも由来する生物でも発現していない遺伝子の構造におけるコード領域を意味するものである。

0043

「クローニング」は、当技術分野で公知であり、ここで利用し得るすべてのクローニング法を含むが、当業者が通常用いる方法であるため、すべてを詳細に記載してはいない。

0044

「好適な宿主細胞におけるリコンビナントの発現」は、当技術分野で公知であり、ここで利用し得るのすべての発現法を意味するが、当業者が通常用いる方法に属するので、すべてを詳細に記載してはいない。

0045

驚くべきことに、本発明のアミノ酸配列を含む少なくとも1つのオリゴペプチドが該ポリペプチドに付加および/もしくは挿入されている、および/もしくは該アミノ酸の幾つかがポリペプチドとして置換されている本発明の変異体ポリペプチドが変化していないポリペプチドに比べてより高いヘパリン結合能を示すことが見いだされた。変化していないポリペプチドと比較して、ヘパリンと結合した変異体の量は多く、ヘパリンからの該変異体の解離は少ないことも明らかにされた。ヘパリン様構造は骨構造に組み込まれた構成成分なので、本発明の該ポリペプチド変異体も、構造における結合能の亢進を示す。この性質は、骨構造の再生過程に特に重要であり、この場合、関与する該ポリペプチドは、骨の形成(骨形成)に関係しているのである。変異本発明のポリペプチドは、30倍、少なくとも10倍ヘパリン結合能が亢進していることも示された。ヘパリン結合能の亢進により、例えば、図8に示されるように、インビボの効率が劇的に亢進する。

0046

上記のように、骨形成に関与するこのポリペプチドの効果は、特に誘導骨髄間質幹細胞の表面に局在する受容体によって減少する。後者は、形成蛋白質もしくは無機質の脱落した骨基質からの誘導シグナルの影響で骨細胞を形成する能力を有している。このような理論に基づかなくとも、ポリペプチド、特に骨誘導性のポリペプチドのヘパリン結合能に関する増加によって、骨形成部位のごく近傍での骨形成性蛋白質の局所濃度が増加すると考えられる。

0047

しかしながら、ポリペプチド変異体に対し、ヘパリンは該ポリペプチドの細胞内受容体と競合するので、まず、ポリペプチド変異体のヘパリン結合能の亢進によって、該ポリペプチドに特異的受容体が利用可能であるポリペプチドの量が減少し、従ってシグナル伝達が低下すると考えるべきである。

0048

驚くべきことに、ポリペプチド変異体の生体利用率は、ヘパリン結合能の同時亢進によって影響を受けないが、ヘパリン結合能の亢進は、特異的受容体が利用可能なポリペプチドの局所濃度の増加と相関することが見いだされた。

0049

さらに、驚くべきことに、ポリペプチド変異体によりインビボで起こる骨形成が、変化していない該ポリペプチドによって起こる骨形成よりもその質において勝ることが見いだされた。

0050

好適な態様においては、本発明のアミノ酸配列を、成熟ポリペプチドのN末端に付加、および/もしくはポリペプチドのN末端領域での置換もしくは挿入によって挿入するN末端領域とは、N末端のアミノ酸の最初の20個、好ましくは最初の5個を意味する。

0051

ポリペプチドが、TGF-βスーパーファミリーに属する場合には、BMP-2をはじめとする成熟ポリペプチドは、例えば、次のようにして特定できる。「Swiss-Prot」データベース(現在は、http://expasy.hcuge.ch/cgi-bin/sprot-search-de)を「BMP-2」の検索キーワード検索し、番号がP12643のヒトBMP-2前駆蛋白質の全体のアミノ酸配列を見つけだす。このようにして、「骨形成蛋白質2」なる成熟蛋白質の配列を選択することができる。これは、アミノ酸残基283−396に相当する。その他のTGF-βスーパーファミリーの蛋白質を同定するために、この283−396の配列をEMBnet-CH (Lausanne、Switzerland)の「BLAST2」に提出する。そこで、「blastp」プログラムを用いて、Swiss-Prot、TrEMBL、TrEMBL_Newのデータベースでその検索を行う。 Blosum 62比較マトリックスを用いて該蛋白質に最も近縁のもの250種類を特定できる。プログラムによってSwiss-Prot データベース中の対応する登録番号を取得して、前駆蛋白質の全アミノ酸を調べることができる。成熟蛋白質の配列セグメントがそれぞれ示されている。成熟蛋白質は通常、認識配列RXXR (ここでXはいずれのアミノ酸でもよい)の後で切断されるので、成熟蛋白質も得られるのである。

0052

上記のように、TGF-βスーパーファミリーの全ポリペプチドが、「システインノット」と呼ばれる構造要素で特徴づけられる(McDonald and Hendrickson, 1993)。このスーパーファミリーに属する蛋白質では、システインノットより前の全領域がN末端領域であり、本発明のアミノ酸配列は、好ましくはシステインノットの前に挿入する。

0053

特に好適な態様においては、本発明のアミノ酸配列を含むオリゴペプチドを、ポリペプチドへの付加、挿入、および/もしくは置換によって1〜4個挿入して、1コピー以上のオリゴペプチドをポリペプチドの1カ所以上の位置に挿入することができる。

0054

特に好適な態様においては、該オリゴペプチドは、配列 RKRA (配列番号:3)もしくは配列 RKRAKHKQ (配列番号:4)を有する。

0055

さらに、ポリペプチド変異体はN末端にリコンビナントの発現に好適なMもしくはMZの配列を含むことが好ましく、ここでMはメチオニン、Zは1個もしくは複数のいずれかの所望のアミノ酸を意味する。例えば、MZは原核もしくは真核生物の様々な蛋白質に関する当業者に公知のシグナル配列を表す。与えられた発現システム適合するシグナル配列でも「同種の」シグナル配列でもよい(すなわち、その蛋白質にもともと属するもの、および最終的にいずれかのシグナル配列を意図的に挿入したプロテアーゼ切断部位との組み合わせ等)。

0056

さらに、ポリペプチド変異体ヒスチジンタグを含むことが好ましい。ニッケルカラムによる錯体形成で精製が実施できる場合には、ポリペプチド変異体のN末端のヒスチジンタグは、該蛋白質の精製を大変容易にする。

0057

ポリペプチド変異体のもととなるポリペプチドは、生物学的活性示す。基本的には、生物学的活性を有するポリペプチドの効率が、陰性に荷電した細胞内外構造物拡散によって制限を受ける場合には、いずれの生物学的活性も重要である。好適には、これら陰性に荷電した構造物は、ヘパランコンドロイチン硫酸ケラタン硫酸デルマタン硫酸同様、プロテオグリカンおよびグルコサミノグリカンを含むために陰性に荷電した細胞外基質の構造物である。好適な態様においては、該生物学的活性は、ヒトもしくは動物の体の細胞、組織、および器官の発達もしくは分化を制御する。

0058

ここで特に好適なのは、ポリペプチド変異体のポリペプチドが骨形成(骨形成の活性)を制御することである。骨形成の活性は、例えば、ニワトリ胚肢芽のプロテオグリカン構造への増殖因子依存性の35SO4 の取り込みによって測定することができる。BMP蛋白質感受性を示す濃度範囲を選択し、最大細胞応答および EC50 (最大取り込みの50%となる濃度)の双方を調べる。アッセイの条件に関しては、Ruppert ら (1996)を参照のこと。

0059

または、マウスの筋芽細胞株C2C12を用いて、BMP依存性のアルカリフォスファターゼ誘導(Katagiri ら、1994)を調べることもできる。この試験では、最大細胞応答およびEC50を測定することができる。

0060

ホルモン、サイトカイン、および増殖因子からなる群からポリペプチドを選択することが好ましい。特に好適なものは、以下である:
副甲状線ホルモン(PTH);カルシトニン;成長ホルモン;インスリン様増殖因子(IGF);IL-1、腫瘍壊死因子(TNF)、IL-6、IL-11、およびODF(破骨分化因子、TRANCE)等の骨変性に効果をしめすサイトカイン;骨変性骨を阻害するサイトカイン: IL-4、IL-13、IL-18、IFN(インターフェロン)、OPG(オステオプロテジェリン)およびIL-1ra (インターロイキン-1受容体拮抗阻害体);コロニー刺激因子因子:M-CSF(マクロファージ・コロニー刺激因子)およびGM-CSF(顆粒球・マクロファージ刺激因子); および増殖因子: IGF(インスリン様増殖因子);アクチビン/インヒビン・ファミリー、MIS(抗ミュラー管ホルモン)、GDF(増殖/分化因子) ファミリー、ノーダル、およびドルサリンからなる、TGF-β(トランスフォーミング増殖因子β)スーパーファミリーを含むDVRファミリーの蛋白質; FGF (線維芽細胞成長因子); PDGF (血小板生長因子); およびPTHrP(PTH関連蛋白質)。

0061

ポリペプチドとして特に好適なものは、TGF-βスーパーファミリーの構成員、アクチビン/インヒビン・ファミリー、MIS、GDFファミリー、ノーダルおよびドルサリン、さらに BMPファミリーの構成員、特にBMP-2、BMP-4、BMP-5、BMP-6、BMP-7/OP-1、もしくは BMP-8/OP-2、およびBMP-9、BMP-10、BMP-11、BMP-12、BMP-13、BMP-14、および BMP-15である。

0062

本発明に基づいて上記の増殖因子を選択することは、特に重要である。なぜならば、骨形成におけるこれら因子の役割は公知であり(Reddi、1998)、これら因子に関して本発明の変異体を利用することによって、骨誘導性の性質を保持したままヘパリン結合能の亢進できるためである。

0063

ポリペプチドがTGF-βスーパーファミリーに属し、従って上記の「システインノット構造」を含む場合、本発明のアミノ酸配列は、好ましくはポリペプチド配列のシステインノットの前に挿入する。 特に好適な位置としては、例えば、BMP-2の場合、成熟蛋白質のアミノ酸残基で2と3、6と7、10と11、および13と14の位置である。TGF-βファミリーの構成員間の相同性、特に、保存されたシステインの構成により、当業者であれば、TGF-βファミリーの他の構成員について該蛋白質に対応する位置を調べることができる。

0064

ポリペプチドは付加、置換、挿入、逆位および/もしくは欠失を示すホルモン、サイトカイン、もしくは増殖因子であってもよく、これによって付加、置換、挿入、逆位および/もしくは欠失示すポリペプチドは、もともとのポリペプチドの骨形成活性を示す骨形成性ポリペプチドの場合の少なくとも10%、好ましくは少なくとも50%、特に好ましくは少なくとも90%の生物学的活性を示す。生物学的活性は一般的に、当業者に公知のポリペプチドの生物学的活性を測定するためのいずれかの方法を用いて調べることができる。

0065

さらに別の好適な態様においては、付加、置換、挿入、逆位、および/もしくは欠失によって得られるポリペプチドは、もともとの完全なポリペプチドのアミノ酸に対して少なくとも50%、好ましくは75%、特に90%相同的である。このような場合、少なくとも10%の生物学的活性が、最小50%、75%、もしくは90%の相同性と相関する。50%もしくは90%の最小生物学的活性に関しても同様である。

0066

特に好適なものは、アミノ酸配列の配列番号:5(T3)および配列番号:6(T4)のポリペプチド変異体である。これらのポリペプチド変異体は、一定濃度での効率の増加および骨誘導に関する質の改善を示す実施例で用いたポリペプチド変異体に対応し、ここで質の改善とは特に骨基質の密度の増加を意味し、従って重量に耐えるための生化学的な能力の増加を意味する。

0067

さらに好適な態様においては、本発明に従って生産した変異体ポリペプチドは修飾されているものである。修飾は、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミドによる架橋ポリエチレングリコールの結合、もしくは会合自己会合)等による、単量体基質二量体化多量体化、および高分子量化を含む。得られたダイマー、オリゴマーポリマーは、例えば、ゲル濾過等によって分離することができる。さらに、修飾は、側鎖の修飾、例えば、ポリペプチド変異体のe-アミノ-リジン残基修飾、およびアミノ末端もしくはカルボキシ末端の修飾を含む。最後に、「修飾」なる用語は、蛋白質の糖鎖付加もしくは部分または完全な脱糖鎖等の翻訳後に起こるものも含む。

0068

さらに、本発明は、本発明のポリペプチド変異体をコードする核酸配列を含む核酸分子を提供する。

0069

本発明の核酸分子に含まれる核酸配列は、ゲノムDNA、cDNA、もしくは合成DNAに由来するものであってもよく、ここで合成DNA配列は修飾されたヌクレオシド間の結合を含むものを含む。さらに、核酸配列はRNA配列でもよく、例えば、リコンビナントRNAベクターシステムによる発現に必要なものであってもよい。

0070

好ましい核酸分子は、ポリペプチド変異体T3もしくはT4のいずれかをコードする核酸を含む。このような核酸の例としては、配列表の配列番号:7(T3)および配列番号:8(T4)に示されているものがあげられる。当然のことながら、配列番号:7もしくは配列番号:8に示す核酸配列の代わりに、遺伝子暗号の縮重に基づく配列を用いることもできる。この場合、好適な核酸配列としては、特定の宿主生物における発現に関して、その宿主生物コドンの利用に関して好適なコドン選択により得られるものである。本発明を、上記のものに相補的な配列に利用することもできる。

0071

好適な態様においては、本発明の核酸分子は、発現に好適なプロモーターを含み、ここで該プロモーターは該核酸配列を制御するものである。プロモーターの選択は、発現に用いた発現システムに依存する。一般的に、例えば、メタロチオネン・プロモーター等の誘導性のプロモーターが好適であるが、構成的なプロモーターでもよい。

0072

さらに好適な態様においては、核酸分子は少なくともベクターの一部、特に制御領域を含み、ベクターはλ-派生体等のバクテリオファージアデノウイルスワクシニアウイルスバキュロウイルスSV40ウイルスレトロウイルス、Agrobacterium tumefaciens のTiプラスミド等のプラスミド、YACベクター、およびBACベクターから選択できる。好ましくは、ベクターは、pRTSpRC 109 (Weigelら、1989) およびpRBSIIPN25x/o (Stueber、1994)である。

0073

さらに、本発明は核酸分子を含み、核酸分子の発現に好適な宿主細胞を提供する。当技術分野においては、多くの原核および真核生物の発現システムが公知であり、宿主細胞は、例えば、大腸菌もしくは枯草菌等の原核細胞酵母細胞植物細胞昆虫細胞、および哺乳動物の細胞(例えば、CHO細胞、COS細胞もしくはHeLa細胞、およびその派生体)等の真核細胞から選択する。当技術分野で、CHOを産生する特定の株が公知であり、例えば、その糖鎖付加パターンは、CHO細胞のもとは異なる。糖鎖付加効率のよいもしくは糖鎖付加を行わない宿主細胞を利用して得られたポリペプチド変異体では、3次元構造が異なっており、それにより、該ポリペプチドが生物学的活性を示す場合には、糖鎖の付加されたポリペプチド変異体では生物学的活性が亢進する。

0074

また、本発明の課題は、ヘパリン結合能の亢進したポリペプチド変異体の生産法であり、この方法は、次の工程を含む。配列番号:1もしくは配列番号:2から選択したアミノ酸配列を含む少なくとも1つのオリゴペプチドをポリペプチドのアミノ酸配列に付加する、および/もしくは配列番号:1もしくは配列番号:2から選択したアミノ酸配列を含む少なくとも1つのオリゴペプチドをポリペプチドのアミノ酸配列に挿入する、および/もしくはアミノ酸配列が天然のものである少なくとも1つのオリゴペプチドを配列番号:1もしくは配列番号:2から選択したアミノ酸配列を含むオリゴペプチドで置換する。

0075

この方法を、公知の Merrifield合成法を用いて部分的もしくは全化学合成で行うこともでき、または酵素による合成を行うこともできる。さらに、該方法は遺伝子技術、すなわち、リコンビナントの発現により実施することもできる。本発明は、化学的/酵素的な方法と遺伝子技術による方法の組み合わせも含む。

0076

好適な態様においては、該方法は、以下を含む:
(a)ポリペプチドをコードする核酸のインビトロ変異誘発法であって、
(i)配列番号:1もしくは配列番号:2から選択したアミノ酸配列を含むオリゴペプチドをコードする少なくとも1つの核酸を、ポリペプチドをコードする核酸に付加する、および/もしくは
(ii)配列番号:1もしくは配列番号:2から選択したアミノ酸配列を含むオリゴペプチドをコードする少なくとも1つの核酸を、ポリペプチドをコードする核酸に挿入する、および/もしくは
(iii)ポリペプチドをコードする核酸配列において天然の核酸配列である少なくとも1つの核酸配列を、配列番号:1もしくは配列番号:2から選択したアミノ酸配列を含むオリゴペプチドをコードする核酸配列で置換する;
(b)変異核酸の適当な発現ベクターへのクローニング;
(c)得られた発現ベクターでの好適な宿主細胞の形質転換/トランスフェクション
(d)発現に好適な条件下における形質転換/トランスフェクションした宿主細胞の培養;
(e)発現産物の単離、また必要に応じて再生。

0077

DNA 配列の発現法には、数当業者に公知のものが多くある(Recombinant Gene Expression Protocols in Methodsin Molecular Biology, Vol. 62, Humana Press Totowa, New Jersey (1995)を参照のこと)。発現は、構成的なものでも、当業者に公知の、例えば、IPTGおよびZn2+を含む誘導剤による誘導性のもののいずれでもよい。

0078

変異誘発に用いる、生物学的活性を有したポリペプチドをコードする核酸配列は、検出可能に標識した特異的プローブを用いて、該ポリペプチドを発現する組織から調製したcDNAライブラリースクリーニングする、もしくはゲノムDNAライブラリーをスクリーニングすることによって、得ることができる。陽性cDNAクローンもしくはゲノムDNAクローンの同定は、標準的な方法に従って行う(Maniatis らの「分子クローニング(Molecular Cloning)」(Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989) を参照のこと)。本発明のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸配列は、例えば、カセット変異誘発法もしくはリコンビナント・ポリメラーゼ連鎖反応PCR)で2本鎖DNAに挿入することができる。対応する方法は、当業者に公知のものである(例えば、Wang ら、1997; Ruppert ら 1996)。得られた変異2本鎖DNAを次に発現ベクターに挿入する。

0079

有用なベクターおよび宿主細胞については、上述した。大腸菌で発現する場合には、該蛋白質は、グアニジン塩酸を用いて細胞の不溶性部分から取り出すことができる(Ruppert ら 1996)。次に、ポリペプチドを再生し、クロマトグラフィーによって精製する。TGF-βスーパーファミリーの蛋白質の精製には、pH8が適当であり、好ましくは塩濃度を高くし(1M NaCl)、酸化還元剤を用い弱い界面活性剤の存在下で行う。

0080

または、適当な発現ベクターを用い、適当な分泌シグナル配列を用いてポリペプチド変異体を発現させた場合には、ポリペプチド変異体を培地から回収することができる。

0081

さらに、本発明は、少なくとも1つの本発明のポリペプチド変異体および当技術分野で公知の生理学的に適合性添加剤を含む医薬組成物を提供する。好適には、ポリペプチド変異体は、生物学的に有効なポリペプチドに由来するものであり、例えば、サイトカインもしくは増殖因子に由来する。骨形成に関与するホルモン、サイトカイン、および増殖因子は、特に好適である。ポリペプチド変異体のヘパリン結合能の亢進によって、治療上有効なポリペプチド変異体の無機質の脱落した骨基質ヘパリン成分からの拡散が失われ、従って治療上有効な物質の局所濃度か高まるのである。

0082

一般的には、細胞外基質の構造物および細胞表面への結合能の亢進が観察されている。それゆえ、治療上有効なポリペプチド変異体用いて、細胞外基質もしくは細胞表面に関係するもしくは影響する疾患を予防する、および/もしくは治療することができる。

0083

ポリペプチド変異体のもとになるポリペプチドがDVRファミリーに属する場合には、骨成長および骨再生の促進に好適である。軟骨形成に関与するGDF-5についての記述があり、靱帯の発達に関与すると考えられている。従って、GDF-5に由来するポリペプチド変異体は、軟骨および靱帯の再生に好適である。BMP-7/OP-1 は、GDF-5の産生を抑制し、おそらく骨および軟骨の形成のバランスを司るメカニズムに関与すると考えられる。従って、BMP-7に由来するポリペプチド変異体は骨および軟骨の形成を制御する性質を示す。

0084

BMP-7は、腎臓および眼の発達に関与し、BMP-6は皮膚の発達、およびBMP-2は心臓の発達に関与する。従って、本発明より、BMPに由来するポリペプチド変異体を用い、腎臓、眼、皮膚、および心臓の発達を制御することができる。

0085

さらに、GDF-5は、血管形成を誘導する。それ故、GDF-5に由来するポリペプチド変異体は、血管形成の促進に重要である。

0086

ポリペプチド変異体のポリペプチドがTGF-βファミリーに属する場合には、治療上効率のよいポリペプチド変異体は免疫抑制、炎症の抑制、および骨および軟骨の形成促進に好適である。コラーゲン、フィブロネクチングリコサミノグリカン類およびプロテオグリカン類等の細胞外基質を構成する成分の分解促進により、創傷治癒に有用である。

0087

さらに、TGF-βに基づくポリペプチド変異体は、網膜剥離の予防に有用である。また、口腔粘膜炎腫瘍化学療法における副作用の治療にも好適に用いられる。TGF-βは通常細胞増殖阻害効果を有するので、これを用いて、例えば、乳癌の細胞等の癌細胞を抑制することもできる。

0088

女性月経周期の調節に脳下垂体ホルモン、アクチビンおよびインヒビンが関与することは公知である。脳下垂体ホルモンFSHおよびLHの合成をアクチビンが誘導し、インヒビンが阻害する。従って、本発明のポリペプチド変異体を利用して女性の月経周期を制御することが提案される。

0089

インヒビンが性腺腫瘍の進展を抑制する。それゆえ、インヒビン由来のポリペプチド変異体を用いて、性腺腫瘍を予防および治療することができる。

0090

アクチビンは創傷治癒に関与すると考えられる。従って、本発明は、創傷治癒薬の生産にアクチビン由来のポリペプチド変異体を利用することを含む。

0091

アクチビンは軟骨から骨への発達および変換に関与すると考えられる。従って、アクチビン由来のポリペプチド変異体は、骨および軟骨の増殖制御に好適である。

0092

アクチビンは、造血における芽球形成サブユニットおよびコロニー形成サブユニットの増加を促進し、インヒビンはこれらの機能を阻害する。それ故、これらの蛋白質に由来するポリペプチド変異体の利用によって、造血を制御することが提案される。

0093

ポリペプチド変異体の元となるさらに特に重要なポリペプチドとしては、MISおよびGDNF(グリア細胞株に由来する神経栄養性因子)があり、いずれもの発達に関与する。

0094

他の態様においては、本発明は、少なくとも1種類のポリペプチド変異体および担体を含む骨誘導の基質を提供する。さらに、骨誘導性基質を用いた骨誘導に関するインビトロでの方法が提案される。

0095

先行技術では、増殖因子を含む骨誘導性基質が提案されている。例えば、Integra Life Sciences 社が生産するヒトBMP-2のリコンビナントからなるコラーゲン基質が開発されている (Hollinger ら、1998)。また、Sofamor-Danek社は、ヒトBMP-2のリコンビナントを含むチタニウムケージを開発している。最後に、骨誘導性の1型骨コラーゲンおよびリコンビナントOP-1(BMP-7)を含み、Creative Biomolecules社が生産する「NOVOSTM」なる名称の装置があり、Stryker社で現在さらに開発が進められている。この装置は、現在米国で第III相臨床試験中である。応用としては、整形外科的外傷顎顔面再建、および無血管性壊死等の治療があげられる。また、軟骨傷害腎不全、脳傷害、および骨髄傷害、心臓発作および骨粗鬆症の治療にBMP-7を利用することが提案される。

0096

通常、骨誘導性増殖因子を用いて基質材料を得た後、該基質を外科的に移植する。この場合、基質は増殖因子の担体となるばかりでなく、物理的安定性を与え、骨の異常部位に軟組織浸潤するのを防ぐのである。増殖因子の添加によって、移植物が新しい骨に置換される速度を加速するのである。

0097

しかしながら、公知のタイプの基質における大きな問題点の一つは、基質に含まれる蛋白質が、適用部位から非常に急速に遊離してしまうことである。増殖因子の存在下でも骨再生は比較的遅い過程で起こるものなので、添加した蛋白質の滞在時間が短い場合には、限られた効果しか得られない。

0098

骨誘導性の増殖因子の生物学的効果は、多分化能を有する間葉細胞移入を誘導し軟骨前駆細胞および骨前駆細胞を形成させ、その活性を刺激することなので、増殖因子を再生部位局在化させる必要がある。一方、再生部位から拡散してしまった増殖因子は、所期の治療の目的を達成できない。また一方、異所性骨形成が起こる危険性もなくなる。

0099

本発明のポリペプチド変異体は、ポリペプチド変異体の担体からの急速な拡散を防ぐために基質材料もしくは基質に用いる材料としてヘパリンもしくはヘパリン様構造を用い、その性質を利用することのできる公知のポリペプチドのヘパリン結合能の亢進によって特徴付けられる。このようにして、ポリペプチド変異体では適用部位への局所化が保たれる。好適な態様においては、担体はヘパリン、ヒドロキシアパタイトヒアルロン酸合成ポリマー、もしくはコラーゲンからなる。担体材料は、再吸収性であってもなくてもよい。

0100

先行技術では、多様な薬学的に許容される基質の生産法が開示されている。薬学的に許容される基質の例については、Wagner ら(1996)およびFischgrund ら(1997)に記載がある。基質は、ブロック、ゲルフリース、球、もしくは顆粒の形態をとることができる。

0101

基質内におけるポリペプチド変異体の分布は、均質であってもなくてもよいが、均質な分布が好ましい。ポリペプチド変異体の分布は、傷害のサイズもしくは治癒過程に要する時間に応じて、適合させることのできる利点がある。担体内でのポリペプチド変異体の濃度は、約100 μm/cm3 〜約2mg/cm3、好ましくは250μm/cm3 〜750 μm/cm3、特に 好ましくは450 μm/cm3 〜550 μm/cm3 の範囲である。通常は、約500μg/cm3 の濃度を用いる。

0102

本発明に基づいて、骨誘導性の基質を用いて、整形外科的傷害、顎顔面再建、および無血管性壊死を治療することができる。さらに、傷害軟骨、腎臓不全、脳傷害、骨髄傷害、心臓発作、および骨粗鬆症の予防および治療に推奨される。

0103

リコンビナントにより生産した汚染(例えば、時として動物由来の増殖因子に見られるウイルス)のないポリペプチド変異体を用いる場合にも、本発明の骨誘導性の基質は利点を有している。

0104

本発明の骨誘導性の基質は、インビトロで用い、骨芽細胞および/もしくは軟骨芽細胞組織培養における集落化を起こさせることができる。このようにして調製した骨誘導性の基質を、次に外科的方法自家移植的もしくは異種移植的に患者に移植することができる (Kubler ら、1997; Kubler ら、1998; Chen ら、1998)。

0105

以下の図および実施例で本発明を説明するが、これらに限定されるものではない。説明と実施例では、さらに態様を当業者に開示するが、いずれも本発明に含まれるものである。
方法
ヘパリン結合の測定

0106

ヘパリン結合の測定のために、ヘパリン6000をアミノビオチン化し(Mach ら、1993)、ストレプトアビジンでコートしたバイオセンサーCM5(Pharmacia Biosensor AB)に固定化した。ポリペプチドおよびヘパリン結合能の亢進した本発明のポリペプチド変異体のヘパリン固定化バイオセンサーへの結合をBIA2000装置によって測定した。個々の実験条件については、報告がある(Ruppert ら、1996)。
受容体BMPR-IAへの結合の測定

0107

結合の測定のために、受容体BMPR-IAの外部ドメインをアミノビオチン化し(Shen ら、1996)、ストレプトアビジンでコートしたバイオセンサーCM5 (Pharmacia Biosensor AB)に固定化した。ポリペプチドおよび本発明のポリペプチド変異体の受容体固定化バイオセンサーへの結合をBIA2000装置によって測定した。
生物学的骨誘導活性の測定

0108

次の細胞培養システムを用いて、生物学的活性を測定した。
細胞をニワトリ胚の肢芽から単離し、これを用いて、プロテオグリカン類へのBMP依存性の35SO4の取り込み(Ruppert ら、1996)を測定した。最大細胞応答およびEC50 濃度(最大取り込みの50%を達成する濃度)の双方を決定できるBMP蛋白質の濃度範囲を選択した。

0109

マウスの筋芽細胞株C2C12を用い、BMP依存性のアルカリフォスファターゼの誘導を調べた(Katagiriら、1994)。最大細胞応答および EC50 濃度の双方を調べることができた。
実施例1 T3の発現および特徴付け

0110

ヒト成熟BMP-2をコードするcDNA(Ruppertら、1996) (NIHデータベースEntrez/Swiss-Prot No. P12643)とその5’端にATGGCT (Met-Ala)が付加したものに対して、カセット遺伝子誘発法 (Wang ら、1997)を実施した。それぞれ単一切断部位であるNcoIと AflIIの間に、次の2本鎖DNAを挿入した。

0111

このように、ヒト Met-Ala-BMP-2の8位のGln と9位のArg の間に、配列 Arg-Lys-Arg-Ala (配列番号:3)が付加的に挿入されたのである。変異cDNAをNcoI/BamHI 断片として発現ベクターpRBSIIPN25x/o (Stueber ら、1984)に組み込み、この変異をシーケンシングで確認した。

0112

発現させて単離した後に、この方法で調製した変異体T3は見かけの分子量がBMP-2と比較して期待されるよりも大きいことが、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)で示された。バイオセンサーを用いた実験(BIA2000)では、T3の相互作用は、BMP受容体BMPRR-IA(NIH database Entrez/Swiss-Prot No. P36894)の外部ドメインに対する親和性が変化しなかった(解離定数Kd: 約200 pM)。しかし、ヘパリンへの結合はBMP-2と比較して亢進しているが、解離速度は低下していた。

0113

異なる試験システムで、生物学的活性が変化していた。ニワトリ胚の肢芽細胞における硫酸の取り込みによって測定したプロテオグリカン合成では、BMP-2に比較してT3のEC50 値が高かった。最大取り込みは、変化していなかった。C2C12細胞株におけるアルカリフォスファターゼ活性の誘導でも、T3のEC50 値はBMP-2のものよりも高かった。
実施例2 T4の発現および特徴付け

0114

実施例1を、以下の2本鎖DNAをBMP-2cDNAに組み込むように変更して、繰り返した。

0115

前者の配列は配列表の配列番号:11に、後者は配列番号:12に示されている。

0116

このようにして、 BMP-2の8位のGlnと9位のArgの間に、配列 Arg-Lys-Arg-Ala-Lys-His-Lys-Glnを付加的に挿入した。

0117

発現させて単離した後に、変異体T4は見かけの分子量がT3およびBMP-2と比較してより大きいことが、SDS−PAGEで示された。T4は、約340 pMの解離定数でBMP受容体BMPR-IAの外部ドメインに結合する。これは、BMP-2の受容体親和性(Kd 320pM)と相関する。しかし、T4のヘパリンに対する結合は、BMP-2よりも高く、解離速度が低下していた。T4のヘパリンからの遊離は、驚くべきことにT3よりも遅いものであった。

0118

T4の生物学的活性は、BMP-2と比較して変化していた。ニワトリ胚の肢芽細胞におけるプロテオグリカン合成時(硫酸取り込み)に、T4は、BMP-2より高いEC5
0 値を示した(また、T3よりも高い)。同様に、C2C12細胞において、T4は、BMP-2に比べより高い EC50 値で、アルカリフォスファターゼ活性を誘導する。
実施例3ポリペプチド変異体のインビボの効率に関する試験

0119

マウスの大腿筋における異所性の骨誘導を調べる方法を用いた。異所性骨形成とは、骨格系と接触せずに別の組織で骨がデノボで形成することを意味する。この試験システムの利点は、厳密性が高いことである。いかなる骨格の骨に対する接触もないので、骨の再生的治癒の過程が働くことがないのである。従って、手術中に起こる骨傷害によるもの等の偽陽性の試験結果を除外するものである。

0120

ICRマウスで異所性骨形成を誘導する方法が、Kubler とdUrist(1991)に詳細に記載されている。

0121

BMP-2および変異体T3を、担体としてのウシ血清アルブミンと多様な濃度で混合し、ICRマウスの大腿四頭筋に移植する。3週間後、新たに形成した骨物質X線画像組織学的検査で特徴付ける。

0122

BMPを含まないウシ血清アルブミン(コントロール)の移植では、検出可能な骨形成は起こらなかった。BMPもしくはT3の場合に、炎症もしくはその他の傷害性副作用の徴候は全く見られなかった。図7は、BMP-2が骨基質および骨髄の形成を誘導することを示している。図8は、T3で同様の処理を行ったものを示している。BMP-2の結果と比較して、T3では、骨基質の骨髄に対する比が骨基質の量の多い方かなりにシフトしていることが明らかである。

0123

図9は、T3の移植により形成した骨片のX線画像を示している。骨片サイズは、同一試験システムにおける通常のBMP治療の結果得られる骨片のものと、有意に異なってはいない。

0124

図10は、T3処理による誘導で形成した骨片の組織学的図を示す。染色は骨組織の分化ステージ識別できるマッソン三色染色法で行った。赤色は完全に分化した 骨を示し、青緑色染色されている領域は、骨化の過程にある。一部の領域に、青緑色に染色された組織内に丸い白色の細胞があるが、 これは軟骨形成性軟骨細胞の一部残存したものである。なぜならば、BMPで誘導した骨形成では、軟骨内骨化作用(一過性軟骨形成)を含むからである。

0125

図7〜10の実験では、各10 μmのヒト BMP-2のリコンビナントもしくはリコンビナントT3(配列番号:5)を用いて実施した。次の表では、BMP-2およびリコンビナントT3のインビボの効率を比較している。

0126

BMP-2およびT3の誘導による骨形成の比較

0127

この比較から、T3は低濃度で、BMP-2よりも効果的(表1)であることが分かる。1 μg のBMP-2の移植の場合には、9回の試験で全く骨形成が観察されなかったが、同量のT3を4匹の動物に移植した場合には4匹とも骨の形成が起こった。わずか0.4μmを用いたときでも、T3は4匹の動物のうち3匹に骨形成を誘導した。

0128

この結果から、ヘパリン結合能の亢進したポリペプチド変異体がインビボで骨形成を誘導できることが分かる。炎症反応もしくはその他の不耐症が現れることはなかった。通常のBMP-2と比較して、T3処理はかなり骨基質含量の多い骨片形成を誘導する。基質は骨に物理的安定性を与えるので、密度の高い骨はより固く、重量に耐える機能的能力が高い。従って、BMP-2に比較して有意により質の高い骨形成を誘導する。T3は、インビボでBMP-2より低濃度で生物学的活性を示すので、これを使用することによって増殖因子の必要量を減らすことができる。このことは、BMP-2のポリペプチド変異体の利点である。
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