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技術 炎症性疾患治療におけるビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)

出願人 エンタープライズ・アイルランド(トレイディング・アズ・バイオリサーチ・アイルランド)ユニバーシティ・カレッジ・コーク-ナショナル・ユニバーシティ・オブ・アイルランド,コーク
発明者 コリンズ,ジョン,ケビンオサリバン,ジェラルド,クリストファーオマホニー,リアムシャナハン,フェルグス
出願日 2000年1月17日 (21年1ヶ月経過) 出願番号 2000-593725
公開日 2002年10月15日 (18年4ヶ月経過) 公開番号 2002-534113
状態 特許登録済
技術分野 化合物または医薬の治療活性 非環式または炭素環式化合物含有医薬 動物,微生物物質含有医薬 医薬品製剤 微生物、その培養処理 食品の着色及び栄養改善 乳製品
主要キーワード 中心施設 懐疑的 妨害作用 グラム反応 阻止特性 抑制領域 細菌単離株 広域抗菌スペクトル
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (16)

課題・解決手段

切除および洗浄したヒト胃腸管から単離されたビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)の菌株は、ヒトにおいて経口消費後に、有意に免疫調節的である。該菌株は、望ましくない炎症活性、特に胃腸の炎症活性(例えば、炎症性腸疾患または過敏性腸症候群)の予防および/または治療に有用である。炎症活性はまた、癌が原因であってもよい。

概要

背景

概要

切除および洗浄したヒト胃腸管から単離されたビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)の菌株は、ヒトにおいて経口消費後に、有意に免疫調節的である。該菌株は、望ましくない炎症活性、特に胃腸の炎症活性(例えば、炎症性腸疾患または過敏性腸症候群)の予防および/または治療に有用である。炎症活性はまた、癌が原因であってもよい。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
17件

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請求項1

ヒトにおいて経口消費後に、有意に免疫調節的である、切除および洗浄したヒト胃腸管から単離されたビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)菌株

請求項2

免疫系と相互作用する細胞および免疫系の細胞を含む系に導入されたとき、免疫学的マーカーに変化をもたらす、請求項1に記載のビフィドバクテリウム菌株

請求項3

免疫系と相互作用する細胞が上皮細胞である、請求項2に記載のビフィドバクテリウム菌株。

請求項4

免疫学的マーカーがサイトカインである、請求項2または3に記載のビフィドバクテリウム菌株。

請求項5

サイトカインがTNFαである、請求項4に記載のビフィドバクテリウム菌株。

請求項6

免疫系と相互作用する細胞および免疫系の細胞が同一の起源由来する、請求項2〜5のいずれか1項に記載のビフィドバクテリウム菌株。

請求項7

免疫系と相互作用する細胞が胃腸呼吸器、または尿生殖器のものである、請求項2〜6のいずれか1項に記載のビフィドバクテリウム菌株。

請求項8

免疫系の細胞が胃腸、呼吸器、または尿生殖器のものである、請求項2〜6のいずれか1項に記載のビフィドバクテリウム菌株。

請求項9

ヒトにおいて経口消費後に、有意に免疫調節的である、切除および洗浄したヒト胃腸管から単離されたビフィドバクテリウム・ロングムインファンティス(Bifidobacterium longum infantis)の菌株。

請求項10

ヒトにおいて経口消費後に、顕著な抗炎症作用を有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載のビフィドバクテリウム菌株。

請求項11

炎症性腸疾患の作用に対抗する能力があり、該能力が生理学的濃度のヒト胆汁およびヒト胃液の存在下に維持される、切除および洗浄したヒト胃腸管から単離されたビフィドバクテリウム菌株。

請求項12

炎症性腸疾患の作用に対抗する能力が、精製したCD4+、CD45RBhigh T細胞を投与されている重症複合免疫不全症レシピエントマウス(SCID)で誘導された消耗病逆転を測定することにより測定される、請求項11に記載のビフィドバクテリウム・ロングム・インファンティスの菌株。

請求項13

広範囲グラム陽性およびグラム陰性細菌に対して阻止活性を有する、請求項1〜12のいずれか1項に記載のビフィドバクテリウム菌株。

請求項14

菌株が、スタフィロコッカス(Staphylococcus)、シュードモナス(Pseudomonas)、大腸菌型(Coliform)、およびバチルス(Bacillus)の種を含む細菌に対して広域抗菌スペクトル活性を示す、請求項1〜13のいずれか1項に記載のビフィドバクテリウム菌株。

請求項15

ビフィドバクテリウム・ロングム・インファンティスUCC35624の菌株またはその突然変異体もしくは変異株

請求項16

突然変異体が遺伝子的に改変された突然変異体である、請求項15に記載のビフィドバクテリウム・ロングム・インファンティスUCC35624の菌株。

請求項17

変異株がビフィドバクテリウム・ロングム・インファンティスUCC35624株の天然に存在する変異株である、請求項15に記載のビフィドバクテリウム・ロングム・インファンティス UCC35624の菌株。

請求項18

生存可能な細胞の形態をしている、請求項1〜17のいずれか1項に記載のビフィドバクテリウム菌株。

請求項19

生存不可能な細胞の形態をしている、請求項1〜17のいずれか1項に記載のビフィドバクテリウム菌株。

請求項20

他の微生物の生育に対して拮抗的である、請求項1〜19のいずれか1項に記載のビフィドバクテリウム菌株から得られた抗菌剤

請求項21

請求項1〜19のいずれか1項に記載のビフィドバクテリウム菌株を含む配合物

請求項22

2以上のビフィドバクテリウム菌株を含む、請求項21に記載の配合物。

請求項23

他の共生物質を含む、請求項21または22に記載の配合物。

請求項24

プレバイオティック物質を含む、請求項21〜23のいずれか1項に記載の配合物。

請求項25

ラクトバチルスサリバリウス(Lactobacillus salivarius)の菌株を含む、請求項21〜24のいずれか1項に記載の配合物。

請求項26

ラクトバチルス・サリバリウスの菌株が生存可能な細胞の形態をしている、請求項25に記載の配合物。

請求項27

ラクトバチルス・サリバリウスの菌株が生存不可能な細胞の形態をしている、請求項25に記載の配合物。

請求項28

ラクトバチルス・サリバリウスが、切除および洗浄したヒト胃腸管から単離され、該ラクトバチルス・サリバリウスが、ヒトにおいて経口消費後に、有意に免疫調節的である、請求項25〜27のいずれか1項に記載の配合物。

請求項29

広範囲のグラム陽性およびグラム陰性微生物を阻止するラクトバチルス・サリバリウスの菌株が切除および洗浄したヒト胃腸管から単離される、請求項25〜28のいずれか1項に記載の配合物。

請求項30

ラクトバチルス・サリバリウスの菌株が抗菌活性を有する産物を無細胞上清分泌し、該活性が増殖中の細胞によってのみ産生され、かつプロテイナーゼKおよびプロナーゼEにより破壊され、該菌株および分泌産物の阻止特性が生理学的濃度のヒト胆汁およびヒト胃液の存在下において維持される、請求項25〜29のいずれか1項に記載の配合物。

請求項31

ラクトバチルス・サリバリウスの菌株がラクトバチルス・サリバリウスUCC 118株またはその突然変異体もしくは変異株である、請求項25〜30のいずれか1項に記載の配合物。

請求項32

突然変異体が遺伝子的に改変された突然変異体である、請求項31に記載のラクトバチルス・サリバリウスUCC 118株の菌株。

請求項33

変異株がラクトバチルス・サリバリウスの天然に存在する変異株である、請求項31に記載のラクトバチルス・サリバリウスUCC 118株の菌株。

請求項34

摂取可能な担体を含む、請求項21〜33に記載の配合物。

請求項35

摂取可能な担体がカプセル剤錠剤または粉末剤などの製薬上許容される担体である、請求項34に記載の配合物。

請求項36

経口摂取可能な担体が酸性化ミルクヨーグルトフローズンヨーグルト粉ミルク濃縮ミルクチーズスプレッドドレッシングまたは飲料などの食品である、請求項35に記載の配合物。

請求項37

タンパク質および/またはペプチド、特にグルタミングルタミン酸富むタンパク質および/またはペプチド;脂質;炭水化物ビタミンミネラルおよび/または微量元素をさらに含む、請求項21〜36のいずれか1項に記載の配合物。

請求項38

ビフィドバクテリウムが送達ステム1gあたり106cfuより多く存在する、請求項21から37のいずれか1項に記載の配合物。

請求項39

アジュバントを含む、請求項21〜38のいずれか1項に記載の配合物。

請求項40

細菌成分を含む、請求項21〜39のいずれか1項に記載の配合物。

請求項41

薬物を含む、請求項21〜40のいずれか1項に記載の配合物。

請求項42

生物学的化合物を含む、請求項21〜41のいずれか1項に記載の配合物。

請求項43

経口免疫のための、請求項21〜42のいずれか1項に記載の配合物。

請求項44

食物中で使用するための、請求項1〜19のいずれか1項に記載のビフィドバクテリウム菌株、または請求項21〜43のいずれか1項に記載の配合物。

請求項45

医薬として使用するための、請求項1〜19のいずれか1項に記載のビフィドバクテリウム菌株、または請求項21〜43のいずれか1項に記載の配合物。

請求項46

望ましくない炎症活性の予防および/または治療において使用するための、請求項1〜19のいずれか1項に記載のビフィドバクテリウム菌株、または請求項21〜43のいずれか1項に記載の配合物。

請求項47

クローン病もしくは潰瘍性大腸炎などの炎症性腸管疾患過敏性腸管症候群回腸嚢炎、または感染後大腸炎などの望ましくない胃腸の炎症活性の予防および/または治療において使用するための、請求項1〜19のいずれか1項に記載のビフィドバクテリウム菌株、または請求項21〜43のいずれか1項に記載の配合物。

請求項48

胃腸の癌の予防および/または治療において使用するための、請求項1〜19のいずれか1項に記載のビフィドバクテリウム菌株、または請求項21〜43のいずれか1項に記載の配合物。

請求項49

慢性関節リウマチなどの全身性疾患の予防および/または治療において使用するための、請求項1〜19のいずれか1項に記載のビフィドバクテリウム菌株、または請求項21〜43のいずれか1項に記載の配合物。

請求項50

望ましくない炎症活性による自己免疫疾患の予防および/または治療において使用するための、請求項1〜19のいずれか1項に記載のビフィドバクテリウム菌株、または請求項21〜43のいずれか1項に記載の配合物。

請求項51

望ましくない炎症活性による癌の予防および/または治療において使用するための、請求項1〜19のいずれか1項に記載のビフィドバクテリウム菌株、または請求項21〜43のいずれか1項に記載の配合物。

請求項52

癌の予防において使用するための、請求項1〜19のいずれか1項に記載のビフィドバクテリウム菌株、または請求項21〜43のいずれか1項に記載の配合物。

請求項53

クロストリジウムディフィシレ(Clostridium difficile)関連の下痢ロタウイルス関連の下痢、または感染後の下痢などの望ましくない炎症活性による下痢性疾患の予防および/または治療において使用するための、請求項1〜19のいずれか1項に記載のビフィドバクテリウム菌株、または請求項21〜43のいずれか1項に記載の配合物。

技術分野

0001

本発明は、食品および医療分野で多様な用途を有する共生(probiotic)ビフィドバクテリウム菌株に関する。さらに具体的には、本発明は、炎症性疾患において認められる症状を有益に改変し、これによって軽減することのできるビフィドバクテリウムの共生株に関する。

0002

環境、健康および栄養の維持に必要となる事柄について、消費者の関心は益々高まっている。これに対応して、食事ストレスおよび最新医学(例えば、抗生物質および放射線治療等)が、ヒトの健康への脅威において及ぼし得る作用について、科学的研究の焦点が絞られてきた。特に、人口動態高齢化社会への移行に伴い、不十分かまたは損傷したミクロフローラにより引き起こされる可能性がある疾病、例えば、胃腸管GIT)感染、便秘過敏性腸管症候群(IBS)、炎症性腸疾患(IBD)−クローン病および潰瘍性大腸炎食物アレルギー、抗生物質誘発性下痢心臓血管疾患、ならびに、特定の癌(例えば、結腸直腸癌)等の発生が増加している。

0003

共生とは、腸内の微生物平衡を改善することにより、宿主に有益に作用する生きた微生物食品サプリメントとして、あるいは、さらに広義には、所定数を摂取すると、固有の基本栄養を超えて、健康に効果を及ぼす生きた微生物として、定義されている。様々な微生物、特に、乳酸桿菌およびレンサ球菌から成るカクテルが、伝統的に、健康促進のための発酵乳製品に使用されてきた。

0004

近年では、機能食品ターゲッティング式に、身体の機能に作用することにより、生理学および栄養に好適な影響をもたらす食品)、特に、共生(Acidophilus-Bifidus)ヨーグルトの製造および市販が、十分に確立された日本のニッチマーケット分野から、普及し、欧州連合へと拡大している。ヒト由来の多数の共生細菌(例えば、好酸性乳酸桿菌(L. acidophilus) LA-1)が市場で開発されているが、多くの消費者、消費者団体および科学組織メンバーは、そのような製品や、発表された共生の効能について懐疑的である。このため、乳製食品業界は、その新しい共生食品の有効性を科学的に確認する必要に迫られている。

0005

有効な共生微生物の選択に際して提示される基準を要約すると、次の通りである:ヒト由来のもの、非病原性挙動、技術的処理工程に対する耐性(すなわち、送達ビヒクルにおける生存能力および活性)、胃酸および胆汁毒性に対する耐性、消化管上皮組織に対する付着性、GITをコロニー化する能力抗菌物質の産生、免疫応答調節能力、ならびに、代謝活性に影響する能力(例えば、コレステロール同化ラクターゼ活性、ビタミン生成)(Huis in't Veld J, Shortt C. Selection criteria for probiotic micro-organisms. In: Leeds, A.R.、Rowland, I.R.編、Gut Fora and Health - Past, Present and Future、ロンドン:The Royal Society of Medicine Press Ltd., 1996: 19-16)。

0006

ビフィドバクテリウムは、コロニー性ミクロフローラに存在するいくつかの優勢な培養可能な細菌の1つである。

0007

結腸における内生ビフィドバクテリウムの機能は、完全には解明されていない。しかし、母乳を与えた乳児は、調合乳を与えた乳児と比較して、下痢をする可能性が少ないことがわかっている。母乳を与えた乳児の方が、より多くのコロニー性ビフィドバクテリウムを保有することが、この健康上の利点を部分的に説明していると思われる。何故なら、GITにおける利用可能なニッチを多数の非病原性ビフィドバクテリウムが占有することが、細菌の感染を防止するのに役立つと考えられるからである。クローン病の病原は、結腸の細菌ミクロフローラに関連すると考えられている(Targan, S. およびShanahan, F. Inflammatory bowel disease: From bench to benchside、WilliamsおよびWilkins 1994)。近年、活性クローン病に罹患した患者は、健康な人と比較して、糞便中回復性ビフィドバクテリウムの数が有意に少ないことが明らかにされた。このビフィドバクテリウム数の減少は、β-Dガラクトシダーゼ産生および活性レベルの減少と直接相関することが認められている(Favier, C.ら、Dig. Dis. Sci. 1997; 42: 817-822)。β-Dガラクトシダーゼは、ビフィドバクテリウムにより産生される酵素である。これらの結果は、ビフィドバクテリウム株が、平衡の取れた健康的腸内ミクロフローラを維持する上で重要な役割を果たしているという他の研究で提示された見解を支持するものである。

0008

ビフィドバクテリウムは、十分な数が摂取されると、基本栄養を超えて、健康に影響を及ぼす生きた微生物であることから、共生であると考えられる。共生効果を発揮するためには、多数の摂取ビフィドバクテリウムが消化管の作用部位に到達しなければならない。腸内容物グラム当たり約106〜107の生存能力を有するビフィドバクテリウムという最少レベル示唆されている(Bouhnik, Y.、Lait 1993: 73: 241-247)。文献には、成人および乳児に対して実施したin vivo試験で、いくつかのビフィドバクテリウム株は、胃腸管を通過しても生存する能力があることを明らかにした報告がある。様々なビフィドバクテリウム株の酸および胆汁酸塩に耐える能力に有意な相違が認められており、従って、生存能力が、有望な共生菌株の選択に重要な基準となることがわかる。

0009

ビフィドバクテリウムの摂取により、胃腸管通過を改善することができる。

0010

さらに、ヒトにおける間接証拠から、ビフィドバクテリウムで発酵させた牛乳の摂取により、前駆型発癌物質の発癌物質への変換に関与するβ-Dガラクトシダーゼ等の特定酵素レベルが減少し得ることが証明されている(Bouhnik, Y.ら、Eur. J. Clin. Nur. 1996; 50: 269-273)。また、被験者が、ビフィドバクテリウム・ロングムおよびエスサーモフィラス(S. thermophilus)で発酵させた牛乳を摂取した場合、p-クレゾールインドールおよびアンモニア等の糞から発生する腐敗代謝産物も減少した(Takiguchi, R.ら、Bifidus-Flores、Fructus et Semina 1996; 9: 135-140)。

0011

抗菌活性は、ビフィドバクテリウムと関連することが報告されている。また、ビフィドバクテリウムは、免疫系の様々なパラメーターを調節することもわかっている。

0012

IL-10欠損マウスにおける粘膜炎症が、被験マウス乳酸菌の製剤を摂食させることにより、軽減すると報告されている(Madsen, K.ら、Gastroenterol. 1997; 112: A1030)。ラットで実施された試験では、ビフィドバクテリウムの摂取により、結腸腫瘍発生および存在する腫瘍数の有意な減少(Singh, J.ら、Carcinogenesis 1997; 18: 833-841)に加えて、結腸における異常な陰窩病巣(早期前癌性病変)の形成を抑制できる(Kulkarni, N.およびReddy, B. Proc. Soc. Experim. Biol. Med. 1994; 207; 278-283)ことが証明されている。

0013

栄養および治療、ならびに、一般的健康に特に有益な効果をもたらす共生菌株の研究が現在進行中である。

発明の開示

0014

本発明は、切除および洗浄されたヒトの胃腸管から単離したビフィドバクテリウムの菌株であって、ヒトにおいて経口消費させた後、有意に免疫的な菌株に関する。

0015

ビフィドバクテリウムの菌株は、免疫系と相互作用する細胞および免疫系の細胞を含む系に導入されると、免疫学的マーカーの変化に好適に作用する。好ましくは、免疫系と相互作用する細胞は、上皮細胞である。好ましくは、免疫学的マーカーは、サイトカイン、特にTNFαである。

0016

好ましい実施形態では、免疫系と相互作用する細胞および免疫系細胞は、同一の起原由来する。

0017

免疫系と相互作用する細胞は、胃腸管、呼吸器または尿生殖器に由来する。

0018

免疫系の細胞は、好ましくは、胃腸管、呼吸器または尿生殖器に由来する。

0019

本発明はまた、切除および洗浄されたヒト胃腸管から単離したビフィドバクテリウム・ロングム・インファティスの菌株であって、ヒトにおいて経口消費させた後、有意に免疫調節的な菌株に関する。

0020

ヒトにおいて経口消費した後、有意な抗炎症効果を有するビフィドバクテリウム菌株。

0021

炎症性腸管疾患の作用に対抗する能力があるビフィドバクテリウム菌株は、好ましくは、切除および洗浄されたヒトの胃腸管から単離され、この能力は、生理学的濃度のヒト胆汁およびヒト胃液の存在下で維持される。炎症性腸管疾患の作用に対抗する能力は、精製したCD4+、CD45RBhigh T細胞を投与した重症複合型免疫不全症レシピエントマウス(SCID)に誘発させた消耗症逆転を測定することにより測定する。

0022

また、ビフィドバクテリウム・ロングム・インファンティス菌株が、炎症性腸管疾患の作用に対抗する能力は、本発明に従う1種以上のビフィドバクテリウム・ロングム・インファンティス菌株を単独で、または、以下に定義するラクトバチルスサリバリウス(Lactobacillus salivarius)菌株と組み合わせて、投与した後、IL-10欠損マウス(IL-10+129Svex株)における結腸炎症の軽減を測定することにより、測定することも可能である。

0023

インターロイキン10(IL-10)は、マクロファージ単球、Tヘルパー1(Th1)細胞、ならびに、ナチュラルキラー細胞エフェクター機能を抑制する重要な調節サイトカインである。さらに、IL-10は、B細胞の増殖および分化を増大する。IL-10遺伝子を欠失したマウスモデルは、自然に炎症性腸管疾患および胃腸管腫瘍を発生する。細菌を保有しない動物では発病しないことから、胃腸内フローラは、これらの疾病状態病原性に関連していた。

0024

ビフィドバクテリウム菌株は、好ましくは、広範なグラム陽性およびグラム陰性細菌に対して、抑制活性を有する。

0025

好ましくは、ビフィドバクテリウム菌株は、スタフィロコッカス(Staphylococcus)、シュードモナス(Pseudomonas)、大腸菌型(Coliform)およびバチルス(Baccilus)種を含む細菌に対して広域抗菌スペクトルの活性を呈示する。

0026

具体的態様では、本発明は、ビフィドバクテリウム・ロングム・インファンティスUCC 35624またはその突然変異体もしくは変異株の菌株を提供する。

0027

ビフィドバクテリウム・ロングム・インファンティスUCC 35624の寄託は、1999年1月13日、National Collections of Industrial and Marine Bacteria Limited(NCIMB)に為され、受諾番号は、NCIMB 41003である。

0028

一実施形態では、上記突然変異体は、遺伝子的に修飾された突然変異体である。

0029

一実施形態では、上記変異株は、ビフィドバクテリウム・ロングム・インファンティスUCC 35624の天然に存在する変異株である。

0030

ビフィドバクテリウム菌株は、生存能力のある細胞の形態をしている。あるいは、ビフィドバクテリウム菌株は、生育不能な細胞の形態をしていてもよい。

0031

本発明はまた、他の生物成長に対して拮抗作用を有する、本発明のビフィドバクテリウム菌株から得られた抗菌剤を提供する。

0032

さらに別の態様では、本発明は、本発明のビフィドバクテリウム菌株を含む配合物を提供する。

0033

上記配合物は、2つ以上のビフィドバクテリウム菌株を含むことができる。

0034

上記配合物は、別の共生物質を含んでもよい。これに代わり、あるいは、追加して、上記配合物は、プレバイオティック(prebiotic)物質を含む。

0035

上記配合物は、ラクトバチルス・サリバリウス菌株を含んでもよい。

0036

ラクトバチルス・サリバリウス菌株は、生存能力のある細胞または生育不能細胞の形態をしていることができる。

0037

好ましくは、ラクトバチルス・サリバリウスは、切除および洗浄したヒト胃腸管から単離され、ヒトにおける経口消費の後、有意に免疫調節的となる。好ましくは、ラクトバチルス・サリバリウス菌株は、切除および洗浄したヒト胃腸管から単離されたものであり、非常に多様なグラム陽性およびグラム陰性微生物を抑制する。

0038

好ましい実施形態では、ラクトバチルス・サリバリウス菌株は、無細胞上清中に、抗菌活性を有する産物を分泌し、この活性は、細胞の増殖によってのみ生成されると共に、プロテイナーゼKおよびプロナーゼEにより破壊され、該菌株およびその分泌物抑制特性は、生理学的濃度のヒト胆汁およびヒト胃液の存在下で維持される。

0039

このようなラクトバチルス・サリバリウス菌株は、国際公開WO98/35014に開示されている。

0040

理想的には、ラクトバチルス・サリバリウス菌株は、ラクトバチルス・サリバリウス菌株UCC 118またはその突然変異体もしくは変異株である。該突然変異体は、遺伝子的に修飾された突然変異体である。該変異株は、ラクトバチルス・サリバリウスの天然に存在する変異株でよい。

0041

ラクトバチルス・サリバリウス菌株UCC 118の寄託は、NCIMBに為され、受諾番号は、NCIMB40829である。

0042

好ましくは、上記配合物は、摂取可能な担体を含む。該摂取可能な担体は、カプセル錠剤または粉末等の製剤学的許容可能な担体である。

0043

上記摂取可能な担体は、酸性化ミルク、ヨーグルト、フローズンヨーグルト粉ミルクチーズスプレッド(cheese spread)、ドレッシングまたは飲料等の食品でよい。

0044

上記配合物は、タンパク質および/またはペプチド、特に、グルタミングルタミン酸塩、脂質、炭水化物、ビタミン、鉱物および/または微量元素豊富に含有するタンパク質および/またはペプチドを含むことができる。

0045

一実施形態では、ビフィドバクテリウムは、送達システム1g当たり106 cfuより多く存在する。

0046

別の実施形態では、上記配合物は、アジュバントを含む。

0047

上記配合物は、細菌成分を含んでもよい。これに代わり、あるいは、追加して、上記配合物は、薬物を含んでもよい。上記配合物はまた、生体化合物を含んでもよい。

0048

上記配合物は、経口免疫の形態をしていることができる。

0049

本発明はさらに、ビフィドバクテリウム菌株、または食品に使用するためのその配合物を提供する。

0050

別の態様では、本発明は、ビフィドバクテリウム菌株、または薬剤として使用するためのその配合物を提供する。

0051

上記菌株または配合物は、望ましくない炎症活性の予防および/または治療に使用することができる。

0052

上記菌株または配合物は、炎症性腸管疾患、例えば、クローン病もしくは潰瘍性大腸炎、過敏性腸管症候群、回腸嚢炎あるいは感染後大腸炎等の望ましくない胃腸管炎症の予防および/または治療に使用することができる。

0053

好ましくない炎症活性は、癌によるものであってもよい。

0054

さらに、上記菌株または配合物は、胃腸癌の予防および/または治療に使用することができる。

0055

上記菌株または配合物は、癌の予防に使用することができる。さらに、上記菌株または配合物は、慢性関節リウマチ等の全身性疾患の予防および/または治療に使用することができる。

0056

上記菌株または配合物は、好ましくない炎症活性による自己免疫障害の予防および/または治療に使用することができる。

0057

上記菌株または配合物は、好ましくない炎症活性による癌の予防および/または治療に使用することができる。

0058

上記菌株または配合物は、クロストリジウムディフィシレ(Clostridium difficile)に関連する下痢、ロタウイルス(Rotavirus)に関連する下痢もしくは感染後下痢等、好ましくない炎症活性による下痢症状の予防および/または治療に使用することができる。

発明を実施するための最良の形態

0059

本発明者らは、炎症性疾患に認められる症状を有益に改変し、その結果、軽減する能力のある共生細菌の菌株を単離した。これらの菌株および調製した配合物は、炎症性疾患の作用に対抗するため、様々な食品および薬剤に使用することができる。

0060

共生細菌株を用いてin vivoおよびin vitro試験を実施した。ビフィドバクテリウム・ロングム・インファンティスUCC 35624を含むヨーグルトを食したヒトは、IL-8の全身レベルの顕著な低下を示すことがわかった。従って、この菌株は、特に、非ステロイド性抗炎症薬剤(NSAID)またはInfliximab等の最近の抗炎症治療薬と組み合わせて用いた場合、様々な炎症性疾患の治療に適用できると考えられる。

0061

また、SCIDマウスへのビフィドバクテリウム・ロングム・インファンティスの消費についても調べた。この実験は、炎症活性を有意に軽減し、ビフィドバクテリウム・ロングム・インファンティスを消費したマウスは、固形便を維持したのに対し、対照マウスは、下痢をこうむった。この抗下痢効果は、本発明の抗炎症活性に関連する可能性があり、恐らく、cAMPモジュレーションが媒介していると思われる。

0062

抗炎症効果を発揮するために無傷の細菌が必要か否か、あるいは、本発明の個々の活性成分を単独で使用することが可能か否かについては、まだわかっていない。特定菌株の前炎症成分(proinflammatory components)が確認されている。グラム陰性細菌の前炎症作用は、リポ多糖LPS)によって媒介されている。LPSは単独で、部分的に、単球のCD14受容体にLPSが結合することにより、前炎症ネットワークを誘発する。共生細菌の成分は、全細胞の作用により、抗炎症活性を有すると想定されている。これら成分を単離すれば、製剤学的レベルの操作ができると予想される。

0063

ビフィドバクテリウム・ロングム・インファンティスUCC 35624は、生存能力のある細胞の形態で、一般に使用される。しかし、ビフィドバクテリウム・ロングム・インファンティス UCC 35624によって発現される有益な因子を含む死滅培養物または組成物のような生育不能細胞まで拡大することも可能である。これは、熱により死滅させた微生物、または、改変pHへの暴露もしくは圧力印加により死滅させた微生物を含む。生育不能細胞を用いた場合、生成物の調製は単純になり、細胞は製剤に容易に組み込むことができ、生存細胞と比べて、保存の要件に対する制限が少ない。チーズ乳桿菌(Lactobacillus casei YIT 9018)は、米国特許第US4347240号に記載されているように、腫瘍成長の治療および/または予防法として、熱で死滅させた細胞の有効な使用例を提供している。

0064

本発明は、以下の実施例からさらによく理解されるであろう。
実施例1
共生細菌の単離

0065

表1に示すように、共生細菌株を選別するため、再建手術の際に得られたヒトGITの大小腸の垂(appendices)および切片スクリーニングした。

0066

サンプルはすべて、外科手術直後に−80℃で滅菌容器中に保存した。凍結組織を解凍し、計量した後、システインを添加(0.05%)した1/4力価リンゲル液中に入れた。各サンプルを穏やかに振とうして、弱く付着した微生物を取り出した(洗浄「W」と呼ぶ)。第2の1容量のリンゲル液に移した後、サンプルを7分間ボルテックスにかけることにより、強く付着した細菌を取り出した(サンプル「S」と呼ぶ)。組織に埋没した細菌を単離するため、さらに、サンプルA、BおよびCをブラウンブレンダー中で均質化した(ホモジネート「H」と呼ぶ)。溶液段階希釈し(洗浄サンプルからの10-1希釈液はW1、10-2希釈液はW2と表示し、また、「S」および「H」サンプルについては同じ表示方式を用いた)、次の寒天培地上に塗布した(100μl):RCM強化クロストリジウム培地)および酢酸を用いてpH5.5に調整したRCM;TPY(トリプチカーゼ、ペプトンおよび酵母抽出物)(Chevalier, P.ら(1990)J. Appl. Bacteriol 68、619-624)。MRS(deMann、RogosaおよびSharpe);ROG(ロゴサ(Rogosa)の酢酸塩培地(SL));LLA(ラピエール(Lapiere)の肝−ラクトース寒天);BHI(脳−心臓注入寒天);LBS(乳酸桿菌選択寒天)およびTSAYE(0.6%の酵母抽出物を補充したトリプトンダイズ寒天)。TPY寒天を除いて、寒天培地はすべて、Oxoid Chemicalsから供給されたものである。CO2生成キット(Anaerocult A、Merck)を用いて、プレート嫌気性ジャー(BBL、Oxoid)において37℃で2〜5日間インキュベートした。

0067

グラム陽性菌カタラーゼ陰性桿菌またはY字若しくはV字型(bifurcated)/多形性細菌の単離株複合選択培地(TPY)上で画線培養し、純度を高めた。単離株は、別に記載のない限り、嫌気条件下37℃にて、TPY培地において、通常の手順により培養した。推定ビフィドバクテリウム種を40%グリセロール中にストックし、−20℃および−80℃で保存した。
発酵最終生成物の分析

0068

LKBBromma、Aminex HPX-87H高速液体クロマトグラフィーHPLCカラムを用いて、炭水化物グルコースと、後に得られた有機酸最終生成物との代謝を測定した。このカラムを流速0.6ml/分(一定圧力)で、60℃に維持した。使用したHPLCバッファーは、0.01 N H2SO4であった。分析の前に、基準として、10 mMクエン酸塩、10 mM グルコース、20 mM乳酸塩および10 mM酢酸塩を用いて較正した。培養物は、嫌気条件下で、改変MRSブロス中で37℃で1〜2日間増殖させた。14,000gで10分間遠心分離を実施した後、HPLCバッファーを用いて、上清を1:5に希釈し、このうち200μlをHPLCで分析した。上清はすべて二重分析した。
生化学的および生理学的特性決定

0069

細菌単離株の生化学的および生理学的特性を決定することにより、同定に役立てた。硝酸還元、インドール形成およびβガラクトシダーゼ活性の発現についてアッセイした。15℃および45℃での増殖およびゼラチン上でのプロテアーゼ活性を判定した。菌株のリトマスミルクにおける増殖特性も評価した。
抗生物質感受性プロフィール

0070

ディスク感受性」アッセイを用いて、単離株の抗生物質感受性プロフィールを決定した。培養物を適当なブロス培地において24〜28時間増殖させた後、寒天培地上に塗布した(100μl)。既知濃度の抗生物質を含むディスクを寒天上に載せた。嫌気条件下にて37℃での1〜2日間のインキュベーション後、菌株の抗生物質感受性について調べた。1mm以上の抑制領域が認められれば、その菌株は、感受性が高いとみなした。
ビフィドバクテリウム・エスピーの単離

0071

ヒトG.I.T.から採取した7つの組織切片を、ビフィドバクテリウム属に属する菌株の存在についてスクリーニングした。組織サンプル間で次のような相違がいくつかあった。サンプルA(回腸)およびE(虫垂)は、組織1g当たり単離した細胞が約102個と最も少なかった。対照的に、他のサンプルからは、組織1g当たり約103cfuを超える組織が回収された。同様の数の細菌が、「洗浄」および「サンプル」段階で単離され、F(回腸)およびG(回腸−盲腸)の「サンプル」溶液の方がカウント数はやや多かった。強く付着した細菌(均質化)についてスクリーニングしたものの中では、C(回腸−盲腸)が、唯一有意なカウント数をもたらした組織切片であった。

0072

例えば、サンプルCおよびB等、いくつかの組織切片のスクリーニングでは、希釈系列で得られたカウント数の間に、直接の相関はみられなかった。これは、血液または組織のいずれかに由来する増殖因子が、希釈する前の最初の懸濁液における選好性細菌の増殖に関与していることを示している可能性がある。
菌株の選択および特性決定

0073

様々なサンプルからの約1,500のカタラーゼ陰性細菌単離株について、それらのグラム反応細胞サイズおよび形態、15℃および45℃での増殖、ならびに、グルコースからの発酵最終生成物に関して選択および特性決定した。60%を超える単離株が、グラム陽性菌であり、四連球、連鎖球またはブドウ球のいずれかの形態をした同種発酵性球菌であった。18%の単離株は、グラム陰性桿菌および異種発酵性球桿菌であった。

0074

残りの単離株(22%)は、主に、異種発酵性球桿菌が占めていた。次の38の菌株をさらに詳細に特性決定した:Gから13つ;Fから4つ;Dから8つ;Cから9つ;Bから3つ;Eから1つの単離株。これら38の単離株は全て、試験の結果、硝酸還元およびトリプトファンからのインドール生成の両方について、陰性であることがわかった。
抗生物質感受性プロフィール

0075

ヒトの臨床上重要な抗生物質を用いて、選択したビフィドバクテリウムの感受性プロフィールを確認した。試験したビフィドバクテリウムは、アンピリシン、アモシキシリンフタシムセフトリアキソンシプロフロキサシンセフラジンリファンピシンアミカシンゲンタマイシンおよびクロラムフェニコールに対して感受性が高かった。また、これらは、ネチルマイシントリメトプリムナリジクス酸セフロキシムバンコマイシンおよびテトラサイクリンに対して耐性を有した。
実施例2
耐酸性

0076

ヒトが摂取した後、微生物が到達する最初の宿主防御線は、の中の胃酸である。細菌に影響を及ぼす主要因は、胃液中で生存することである。低pH環境におけるビフィドバクテリウム・ロングム(Bifidobacterium longum)インファンティス株35612および35624の生存能力および増殖を検定した。厳密な嫌気条件下(Merck Anaerocult Aガスパック装置を用いたBBLガスジャー)、37℃にてトリプチカーゼ−ペプトン−酵母抽出物(TPY)培地中で、通常の手順により、12〜24時間菌株を培養した。ヒト胃液は、鼻腔胃チューブ(Mercy Hospital、コークアイルランド国)を介した吸引により健康な被験者から採取した。その直後、胃液を13,000gで30分間遠心分離することにより、固体粒子を全て除去し、次に、0.45μmフィルターおよび0.2μmフィルターを介して滅菌した後、4℃で保存した。実験で使用する前に、pHおよびペプシン活性を測定した。ペプシン活性は、定量的ヘモグロビンアッセイを用いて測定した(Guantam, S.およびR.S. de la Motte、1989、Proteolytic enzymes、a practical approach、第3章、R.J. BeynonおよびJ.S. Bond(編)、IRL Press、Oxford University Press;Dawson, R.M. 1969;pH and buffers. In Data for Biochemical Research p 138. R.M. Dawson、D.C. ElliotおよびK. M. Jones(編)、Clarendon Press、オックスフォード)。in vitroにおける低pHでの菌株の生存能力については、下記のアッセイを用いて調べた:
(a)一晩培養した新鮮な培養物から細胞を回収し、リン酸バッファー(pH 6.5)で2回洗浄した後、1N HClを用いてpH 3.5、3.0、2.5および2.0に調整したMRSブロス中に再懸濁して、最終濃度を約106 cfu/mlとした。細胞を37℃でインキュベートし、プレートカウント法を用いて、5分、30分、60分および120分おきに生存細胞を測定した。

0077

pH 3.5で、菌株は、生存能力を失うことなく生存した。pH 2.5では、図1および2に示すように、60分を越えるインキュベーションでは、3logの減少が認められた。
ヒト胃液中でのビフィドバクテリウム菌株の生存

0078

新鮮な一晩培養物から細胞を回収し、バッファー(pH 6.5)で2回洗浄した後、ヒト胃液中に再懸濁して、最終濃度を約106 cfu/mlとした。生存を37℃で30〜60分間のインキュベーション時間にわたりモニターした。尚、実験は、pH 1.2(非調整)と、pH2.0および2.5(1N NaOHで調整)の胃液を用いて実施した。

0079

pH 1.2の胃液と比較して、pH 2.oの胃液の方が、生存菌株が多かった。表2に示すように、30分間のインキュベーション後には、いずれのpHでも生存細胞は回収されなかった。
実施例3
胆汁抵抗性(bile resistance)

0080

胃腸管の有益なメンバーとして乳酸菌を用いることの有効性の評価においては、胆汁酸に対する抵抗性がこの望ましくない環境で生き残るのに必要とされる重要な生物学的株特性(biological strain characteristic)であり、さらに、それらは、多数の細胞毒性現象に関係しているデオキシコール酸(DCA)及びリトコール酸(LCA)などの毒性化合物を産生することによって宿主の健康を侵してはならないということが考慮される。

0081

多数のビフィドバクテリウム・ロングム・インファンティス(Bifidobacterium longum infantis)株を、0.3、0.5、1.0、1.5、5.0及び7.5%(w/v)の濃度でブタ胆汁によって補完されたTPY寒天プレート(B-8631、Sigma Chemical Co. Ltd., Poole)上に画線した(Legrand-Defretin, R.ら、Lipids1991; 26(8), 578-583)。ブタ胆汁は、胆汁塩/コレステロール比及びリン脂質/コレステロール比に関してヒト胆汁に最も近い組成を有する。プレートを嫌気性条件下37℃で培養し、24〜48時間後の増殖を記録した。35624株が胆汁抵抗性が強く、表3に示す55のブタ胆汁までで密集するまで増殖した。

0082

ヒト胆汁を、幾人かのヒトの胆嚢から得て、80℃で10分間殺菌した。ヒト胆汁の胆汁酸組成は、Dekker, R.R.ら、Chromatographia、1991、31(11/12)、255-256の方法に従って、パルス電流検出器と組み合わせた逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて決定した。ヒト胆汁を、0.3%(v/v)の濃度で添加した。新鮮な画線培養物の24及び48時間後の増殖を調べた。

0083

35624株は、生理学的に適切なヒト胆汁(0.3%(v/v))の存在下で増殖できた。

0084

抱合胆汁酸及び脱抱合胆汁酸それぞれの存在下での、この株の増殖を調べた。生理学的条件下では、胆汁酸はしばしばナトリウム塩として見出される。この株を、下記の各胆汁酸の抱合ナトリウム塩及び脱抱合ナトリウム塩を含有するTPY寒天上での増殖についてスクリーニングした。
(a)抱合形態(conjugated form):グリココール酸GCA);グリコデオキシコール酸(GDCA);及びグリコケノデオキシコール酸GCDCA);
(b)脱抱合形態(deconjugated form):リトコール酸(LCA);ケノデオキシコール酸(CDCA);デオキシコール酸(DCA)及びコール酸(CA)。各胆汁酸は、1、3及び4 mMの濃度で用いた。24及び48時間の嫌気的培養後の増殖を記録した。

0085

試験した5つの株は、表4に示すように、5 mMのGCA及びGCDCAによって補完された寒天培地上並びに1 mMのGDCAによって補完された寒天培地上で増殖した。35624株は、5 mMの濃度のLCAに対して抵抗性であり(データは示していない)、35612株及び35624株は、表5に示すように、5 mMのCA濃度で増殖できた。1 mMのCDCAの存在下では増殖は観察されなかった(データは示していない)。
実施例4
抗菌作用

0086

ビフィドバクテリウム種は、侵入病原体による長期定着(colonisation)を排除することによって他の細菌に妨害作用を及ぼす。それらの拮抗的活性は、発酵を介した酢酸及び乳酸の産生によるものである(Scardovi, V.(1986) 「Bergeyの全身性細菌学マニュアル(Bergey's Manual of systemic bacteriology)」中の「ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)」、第2巻、Sheath, P.H.、Main, N.S.、Sharpe, M.及びHoldt, J.G.編集、Williams and Wilkins Publishers、Baltimore、M.D.、p1418)。酸以外の抗菌性化合物の産生に関しては、ほんの2〜3の報告しか存在しない(Anand, S.K.ら、Cult. Dairy Prods. 1985;J. 2、21-23)。バクテリオシン及び他の化合物は、ある生態学的地位にある細菌の生存に影響を与え、その細菌に発酵生態系を有効に支配させる。このような性質は、共生株にとって望ましい特性である。

0087

種々のビフィドバクテリウム株の阻害スペクトルを、Taggらの方法によって決定した(Tagg, J.R.ら、Bacteriol. Rev. 1976;40、722-756)。無細胞上清を、広範囲グラム陽性微生物及びグラム陰性微生物に対する阻害活性についてアッセイした。各指示株オーバーレイ(overlay)を寒天プレート上で調製し、乾燥させた。無細胞上清のスポット(5 ml)を播種されたプレート上に載せ、乾燥させ、このプレートを一晩インキュベートした。

0088

TPY培地上で試験したときに、この株が広範囲のスタフィロコッカス属シュードモナス属大腸菌及びバチルス・エスピーを抑制することが観察された。表6及び7に示されるように、シュードモナス属及びスタフィロコッカス属に対して4.4 mmまでの阻害区域、そしてバチルス・エスピーの周囲7.0 mmまでの阻害区域が記録された。しかしながら、緩衝TPY培地上で延長(deferred)アッセイを行った場合には、いずれの指示株に対しても阻害区域は観察されなかった。従って、阻害はこのビフィドバクテリウムによって産生される酸の存在のみによるものであると考えられる。
実施例5
ラクトバシラス・サリバリウス亜種サリバリウスUCC 118及びビフィドバクテリア・ロングム・インファンティス35624の炎症性腸疾患(IBD)の症状を軽減する
能力を調査するためのネズミ給餌試験
背景

0089

近年、IBDのメカニズムの研究のために、遺伝子的手段又は免疫学的手段のいずれかによって多数のマウスモデルが創出されている。これらのモデルの1つは、正常マウス由来脾臓又はリンパ節誘導CD4+Tリンパ球を、重症複合型免疫不全受容マウス(SCID)に転移させることを含む。精製されたCD4+、CD45RBhigh T細胞を受容するマウスが、結腸ではより重篤慢性的な腸の炎症を特徴とする消耗性疾患に罹ることが示されている。この研究では、SCIDマウスの対照グループは、CD4+ CD45RBhighが注射され、マウスは、前屈みの姿勢、毛の逆立ち、下痢、体重減少及び巨視的及び顕微鏡直腸損傷を含む進行性消耗性疾患に罹った。給餌試験は、UCC 118及び35624株(本明細書中でUCC 35624ともいう)を投与することで構成され、IBDの症状が、このモデルにおいて緩和されうるか否かを判定した。
細菌株

0090

実施例1に記載したように、成人ヒトの回腸−盲腸部位からラクトバシラス・サリバリウス亜種サリバリウスUCC 118及びビフィドバクテリウム・ロングム・インファンティスUCC 35624を単離した。本実施例では、予め一晩増殖され、次いで、それぞれ50μg/mlのリファンピシン(Sigma)を含有するMRS及びTPY寒天並びに400μg/mlのストレプトマイシン(Sigma)を含有するMRS上で、1/4の強度のリンゲル液で洗浄した細胞を平板培養することによって、自然に生じるリファンピシン及びストレプトマイシン耐性の株誘導体を創出した。プレートを嫌気的に37℃で2日間インキュベートした。得られた抗生物質耐性誘導体は、その他の点では親株表現型的に類似していると判定された。この選択可能な特徴によって、腸輸送(gut transit)後に、この株を容易に数えられるようになった。
動物及び維持

0091

ドナーマウス(C57BL/6 x BALB/c)F1をSimosen Laboratories(Gilroy、CA)から購入し、カリフォルニア大学ロサジェルス校の動物施設の特定病原菌未感染(SPF)条件下で換気されたケージラック(Thoren caging systems、 Hazelton、PA)中で維持した。CB-17 SCIDマウスを、カリフォルニア大学ロサンジェルス校のSCID中心施設から元々入手した換気されたケージラック中で飼育した。このマウスは、無菌よりもむしろ低減フローラ(RF)マウスであり、レシピエントマウスとして使われた(Aranda R.ら、J. of Immunol.、1997;158(7)、3464-3473)。

0092

8週令の雌CB-17(SCID)マウスを、換気されたラックの濾過頂点にあるケージ(filter top cages)中でペアで飼育した。このマウスを次の4つのグループに分けた。グループA:10%のスキムミルクを消費、対照;グループB:ラクトバチルス・サリバリウスUCC 118を消費;グループC:ラクトバチルス・サリバリウスUCC 118及びビフィドバクテリウム・ロングムUCC 35624 9(1:1の割合)を消費;グループD:ビフィドバクテリウム・ロングムUCC 35624を消費。それぞれ0.05%システイン(Sigma)で補完されたMRS培地及びMRS培地中で一晩増殖させたUCC 118及びUCC 35624を、PBSで洗浄し、スキムミルク(10%(v/v))中に再懸濁し、別の滅菌飲用水(PBS)中に入れた。各グループのそれぞれのマウスに、給餌期間の間、毎日、2.55×108 cfu/mlのUCC 118及び2.35×108 cfu/mlのUCC 35624を投与した。対照マウスは、滅菌リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で希釈した滅菌ミルクが投与され、試験グループと同一の条件下で維持した。
実験デザイン

0093

CD4+ CD45RBhigh細胞の注射の前の2日間、全てのCB-17マウスに、それらのグループ分けに従ってそれぞれの飼料を投与した。分類されたドナーリンパ球(3〜4×105個)を、200μlの滅菌PBS中に存在させ(represented)、レシピエントCB-17 SCIDマウスに腹腔内注射した。全てのマウスの体重を最初に測り、そしてその後は週に2回ずつ測った。マウスの、病気臨床的兆候、すなわち、前屈みの姿勢、毛の逆立ち及び下痢を観察した。
マウスの糞から培養可能な固有細菌の数に対する、投与された共生菌(probioti
cs)の影響の評価

0094

UCC 118及びUCC 35624を単独又は互いに組み合わせて投与することによって及ぼされる、CB-17 SCIDマウス腸のミクロフローラへの影響を調べた。各マウスから毎週糞サンプルを集め、計量し、10 mlのPBSに再懸濁させた。次いで、このサンプルをPBSで連続的に希釈し、2つずつ適切な培地上に適切な希釈で注入プレーティングするか又は塗布プレーティングした。下記の細菌グループを数えた:乳酸桿菌(lactobacilli);ビフィドバクテリウム(bifidobacteria);腸球菌(enterococci);バクテロイド(bacteroides)及び大腸菌(coliforms)。用いた選択培地は、de Mann Rogosa & Sharpe(MRS)寒天;0.2%塩化リチウム(BDH)、0.3%プロピオン酸ナトリウム(Fluke chemie)、0.5%塩酸システイン(Sigma)、及び5%ヒツジ血液によって補完されたMRS寒天;Slanetz及びBartley寒天;嫌気性サプリメントSR 108及び5%ウマ血液によって補完されたWilkins及びChalgren寒天;並びにバイオレットレッドバイル・アガー(Violet Red Bile Agar)(特に断らない限り全てOxoid社製)。VRBA及び、Slanetz及びBartleyプレートを、それぞれ24時間及び45時間好気的にインキュベートした。他の全てのプレートを37℃で48時間嫌気的にインキュベートした。
CB.17 SCIDネズミG.I.T.の特定断片由来の培養しうる固有のフローラの計数

0095

給餌期間後、全てのマウスを犠牲にし、解剖した。回腸−盲腸部位、小腸、および大腸の断片を取り出した。周辺のリンパ節(PLN)、腸間膜リンパ節(MLN)および脾臓の切片も取り出した。全ての組織の重量を測定した後、10 mlのPBS中に最懸濁した。次に、サンプルをホモジナイズし、PBSで連続的に希釈し、2つずつ適切な培地上に適切な希釈で塗布プレーティングまたは注入プレーティングした。細菌グループを、糞便分析で計数したのと同様に計数し、サンプルを前記のように培養した。
上皮内リンパ球および粘膜固有層(lamiinapropria)リンパ球の調製

0096

Aranda, R.ら(上記(1997))の方法に従って、粘膜リンパ球の単離を行った。
リンパ球集団フローサイトメトリー分析

0097

Aranda, R.ら(上記(1997))によって記載されたように、分析を行った。
組織病理学分析用組織の調製

0098

組織サンプルを小腸、大腸、および回腸−盲腸部位から取り、10%ホルマリンで固定した。手順は、Aranda, R.ら(上記(1997))に記載のとおりであった。

0099

実施された実験から、以前の結果と一致して、CD4+ CD45RBhighTリンパ球で再構成され、スキムミルクのみを消費するSCIDマウスは、顕著な体重減少によって同定される進行性の消耗性疾患に罹ることが観察された。疾患は、約2.5〜3週間で明らかとなり、病気のマウスは、背を曲げ様相、毛の逆立ち、および緩い便を特徴的に示した。対照グループのマウスの1匹(マウス4)は、25日後に死亡し、マウス1、2、3および5は、図3および4に描かれているように、それぞれ−20%、25%、21%、および35%のパーセント体重変化を示した。

0100

UCC 118のみを消費するCB-17 SCIDマウスは、特徴的な体重減少を有する対照と類似の結果を示した。マウス3は14日後に死亡し、マウス4、5および6は、それぞれ−15%、−25%および−28%のパーセント体重変化を示した(データは示していない)。UCC 118およびUCC 35624の組み合わせを消費するマウスは、対照マウスを著しく改善することが見出された。これらのマウスは、給餌期間に渡って対照マウスほど大きく体重が減少しなかった。35日後でも、このグループのマウスのうちの3匹はパーセント体重変化を殆ど示さなかった(図5および6)。対照マウスが14日目で体重減少を示したのに対し、このグループのマウスのうちの2匹は、約30日後にのみ体重減少を示した(図3および4)。

0101

UCC 35624のみを消費するマウスは、良好な健康状態を示し、そしてまた、対照と比較すると体重減少がかなり少なかった(図7および8)。従って、UCC 35624単独またはUCC 118との組み合わせのいずれかの消費は、炎症性腸疾患の症状を軽減すると結論づけることができる。

0102

表8は、CD45RB大腸炎が誘導されたCB17マウスおよびSCIDマウスのUCC 118およびUCC 35624のカクテルによる治療に関する研究の実験データの概要である。

0103

マウスは、リンパ球およびドナーモデル由来のリンパ球によってうまく復帰することが、この研究で見出された(データは示していない)。
実施例7
ビフィドバクテリウム・ロングム・インファンティスの免疫認識を調べるための
in vitro研究

0104

ビフィドバクテリウムの一晩洗浄した培養物を、健康なボランティア(n=9)および炎症性腸疾患を患っている患者(n=5)の両者由来のヒト末梢血液単核細胞(PBMC)と共に培養した。72時間培養上清でのELISAによって、前炎症性サイトカイン腫瘍壊死因子α(TNFα)の産生を測定した。ビフィドバクテリウム・ロングム・インファンティスとヒトPBMCとの共培養によっては、TNFα製造は刺激されなかった(図9)。すなわち、全身性免疫系のこの細菌への暴露こそが炎症性応答を誘導する。

0105

粘膜表面でのビフィドバクテリウム・ロングム・インファンティスの免疫認識を評価するために、トランスウエルチャンバー中で上皮細胞とPBMCとの共培養を行った。簡単に言うと、単層の上皮細胞を上のチャンバーで増殖させ、PBMCを下のコンパートメントで培養した。2つのコンパートメントの間で可溶性媒体は通過させるが細胞と細胞(cell-cell)を接触させない多孔質膜によって、これらを互いに分離した。このモデルを用いて、PBMCコンパートメント中のビフィドバクテリウム・ロングム・インファンティス存在下および不存在下における、TNFαおよびインターロイキン-8(IL-8)の製造を測定した。上皮細胞、PBMCおよびビフィドバクテリウム・ロングム・インファンティスの共培養によって、TNFαおよびIL-8製造が顕著に抑制された(図10)。すなわち、上皮細胞、PBMCおよびビフィドバクテリウム・ロングム・インファンティスを含む3細胞ネットワークは、前炎症性サイトカイン製造を抑制する。
実施例8
ビフィドバクテリウム・ロングム・インファンティスのin vivo抗炎症活性

0106

発酵乳(ヨーグルト)製品中のビフィドバクテリウム・ロングム・インファンティス(1×109細胞/日)を、18人の健康なヒトに3週間消費させた。この共生株の消費前後のサイトカイン分析のために血清を集めた。微生物学的分析のための糞便サンプルを得た。

0107

末梢血液サイトカイン濃度のかなりの変化が、この給餌研究で観察された。血清可溶性インターロイキン-6レセプター(sIL-6R、p=0.007)、インターフェロン−γ(IFNγ、p=0.041)およびIL-8(p=0.004)の濃度は、この共生株の消費後に顕著に減少した(図11)。血清TNFαおよびインターロイキン-1レセプターアンタゴニスト(IL-1RA)濃度の変化は観察されなかった(図12)。この給餌研究の間、糞便のグラム当たり約1×105個のコロニー形成単位でビフィドバクテリウム・ロングム・インファンティスが検出された。

0108

GI環境の複合的相互作用を反映する標的in vitro選択基準(targeted in vitro selection criteria)は、その環境に再度導入されたときに有効に機能しうる共生株の同定を可能にする。上記に概略が説明された選択基準を用いて、共生細菌ビフィドバクテリウム・ロングム・インファンティスは、in vitroでの極めて明らかな免疫調節的特性を有する。SCIDマウスおよびヒトボランティアによる消費後、全身性免疫パラメーターの顕著な変化が注目された。すなわち、免疫仲介疾患の治療における生物療法剤としてのビフィドバクテリウム・ロングム・インファンティスの使用が保証される。
実施例9
ビフィドバクテリウム・ロングム・インファンティスUCC 35624無細胞上清中のT
NFαの測定

0109

ビフィドバクテリウム・ロングム・インファンティスを一晩培養したものを遠心分離し、無細胞培養上清中のサイトカイン阻害剤の存在について調べた。無細胞上清をヒトTNFαと共に37℃で20分間インキュベートした。その後に、TNFα濃度をELISAによって定量した。ビフィドバクテリウム上清に暴露した後、TNFα濃度は顕著に低下した(図13)。すなわち、ビフィドバクテリウム・ロングム・インファンティスUCC 35624は、TNFα活性と拮抗する因子を分泌する。ビフィドバクテリウム・ロングム・インファンティスによるin vivoの胃腸管表面でのこの因子の製造は、宿主の炎症性応答を顕著に制限するであろう。

0110

このことは、TNFαの拮抗効果が、UCC 35624によって放出される可溶性因子による分子レベルでも起きることを示している。
炎症

0111

炎症は、持続的な身体的損傷、感染を有する部位、または進行中の免疫応答が存在する場所での体液血漿タンパク質および白血球細胞局所的蓄積を表すために用いられる語句である。炎症性応答の抑制は、多数のレベルで働く(総説としては、Henderson B.、およびWilson M. 1998、「健康および疾患における細菌−サイトカイン相互作用」(Bacteria-Cytokine interactions in health and disease)、Portland Press、79-130を参照)。制御因子としては、サイトカイン類ホルモン類(例えば、ヒドロコルチゾン)、プロスタグランジン類反応性中間体類およびロイコトリエン類が挙げられる。サイトカイン類は、発達組織修復および血液新生も調節しながら、免疫学的応答および炎症応答の生成および制御に関与する低分子生物学的活性タンパク質である。それらは、白血球自身の間およびまた他の細胞タイプとのコミュニケーション手段を提供する。殆どのサイトカイン類は、多面発現性であり、複合的な生物学的にオーバーラップした活性を発現する。サイトカインカスケードおよびネットワークは、特定の細胞タイプへの特定のサイトカインの作用よりもむしろ炎症性応答を制御する(AraiKI,ら、Annu Rev Biochem 1990;59:783-836)。炎症性応答の衰退は、より低い濃度の適切な活性化シグナルおよび炎症性応答を停止に導く他の炎症性メディエイターを生じさせる。TNFαは、炎症状態を引き起こすサイトカイン類のカスケードおよび生物学的効果を開始させる、中枢的前炎症性サイトカインである。従って、TNFαを阻害する試薬(例えば、インフリキシマブ)は、現在、炎症性疾患の治療に用いられている。

0112

前炎症性サイトカイン類は、炎症性腸疾患(IBD)を含む多くの炎症性疾患の病因において重要な役割を果たしていると考えられている。IBDを治療するための最新の治療法は、IL-8およびTNFαを含む、前炎症性サイトカイン類の濃度を低減することを目的としている。そのような治療法は、慢性関節リウマチなどの全身性炎症性疾患の治療においても重要な役割を果たしうることが示唆されている。ビフィドバクテリウム・ロングム・インファンティスUCC 35624を含むヨーグルトを与えられたヒトは、IL-8の全身の濃度の顕著な減少を示した。従って、この株は、特に、非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)またはインフリキシマブなどの最新の抗炎症治療法と組み合わせて用いれば、或る範囲の炎症性疾患の治療への適用の可能性を有しうる。
下痢性疾患

0113

腸上皮バリア機能は、神経(アセチルコリン)および免疫(ヒスタミン)仲介分泌の間に低下しうる。ある細菌性毒素も、Ca2+およびPKC依存性分泌を誘導でき、それによって、上皮バリアを妨害する(Ganguly NKおよびKaur T.、Indian J Med Res 1996;104:28-37、Groot JA.、Vet Q 1998;20(S3):45-9)。幾つかの研究によって、共生細菌を用いた下痢の予防および治療が調べられた。期待された研究は、早産児新生児、子供の下痢に対する予防的および治療的使用(Isolauri E,ら、Dig Dis Sci 1994 Dec; 39(12):2595-600)、ならびに抗生物質関連下痢(antibiotic related diarrhoea)の治療(Siitonen S,ら、Ann Med 1990 Feb; 22(1):57-9)、および旅行者の下痢(traveller's diarrhoea)の治療(Oksanen PJ,ら、Ann Med 1990 Feb; 22(1):53-6)についての乳酸菌投与の有効性を立証した。

0114

本発明者は、SCIDマウスによるビフィドバクテリウム・ロングム・インファンティスUCC 35624の消費を調べた。炎症活性が顕著に弱められ、対照マウスが下痢を患ったのに対し、ビフィドバクテリウム・ロングム・インファンティスUCC 35624を消費するマウスが固形の便を維持することが見出された。図14および15は、処理および未処理SCIDマウスの下部の腸の図解である。示されている下部の腸は、盲腸2、腸3および肛門5を含む。図14では、マウスはビフィドバクテリウム・ロングム・インファンティスUCC 35624で処理されており、固形の便4が、腸内に保持されていることが明らかである。これに対し、図15は、特徴的に炎症を起こした未処理マウスの腸3を示す。水分吸収が起きず、固形の便が保持されず、下痢を起こしている。

0115

観察された抗下痢効果は、おそらくcAMPモジュレーションによって仲介される抗炎症活性と関係している。サイクリックAMP依存性Cl-分泌は、ヒト腸の主要な分泌経路である(BrzuszczakIM,ら、J. Gastroenterol. Hepatol. 1996; 11(9):804-10)。ビフィドバクテリウム・ロングム・インファンティスUCC 35624の抗下痢効果は、胃腸の炎症に起因する下痢だけに限定されず、下痢性疾患の一般的治療に適用できることが推測できる。
自己免疫疾患

0116

免疫系は、B細胞およびT細胞によって発現される特異性の広いレパートリーを有する。これらの特異性の幾つかは、自己成分に向けられるであろう。自己認識は、クローン除去および自己反応性リンパ球の不活性化によって通常は抑制されている。しかしながら、血清中に見られる多くのタンパク質への抗体による自己免疫の一定した背景が存在する。自己非自己認識系の崩壊が自己免疫を引き起こす。自己免疫疾患が起きると、その結果として生じる免疫応答が、攻撃すべき抗原を有する組織を損傷する。免疫複合体沈着II型過敏症および細胞仲介反応は、免疫組織学的損傷が起きることによる、最も重要なメカニズムである。自己免疫疾患の例としては、以下に限定されないが、全身性エリテマトーデス、慢性関節リウマチ、インスリン依存性糖尿病重症筋無力症および悪性貧血が挙げられる。ビフィドバクテリウム・ロングム・インファンティスおよびラクトバチルス・サリバリウス亜種サリバリウスは、免疫調節的な細菌である。従って、自己免疫疾患を患う患者によって、これらの細菌の単独成分または組み合わせのいずれかを消費することは、器官損傷を制限し、身体の正常な恒常性回復を助けることができる。
炎症および癌

0117

腫瘍タイプの広い範囲に渡り多機能性サイトカイン類の製造は、著しい炎症性応答が癌を有する患者で進行中であることを示唆している。この応答がin vivoでの腫瘍細胞の増殖および進行に対してどのような保護効果を有しているかは現在明らかにされていない。しかしながら、炎症性応答は、腫瘍を有する宿主に悪影響を及ぼしうるであろう。複雑なサイトカイン相互作用は、サイトカイン製造の調節ならびに腫瘍組織および正常組織内の細胞増殖と関与している(McGeeDW,ら、Immunology 1995 Sep; 86(1):6-11、Wu S,ら、Gynecol Oncol 1994 Apr; 53(1):59-63)。体重減少(悪液質)は癌を有する患者の死亡の共通の最も一般的な原因であり(Inagaki J,ら、Cancer 1974 Feb; 33(2):568-73)、初期栄養失調は予後不良を示していると長い間認識されてきた(Van Eys J. Nutr Rev 1982 Dec; 40(12):353-9)。腫瘍が増殖し広がるためには、新しい血管の形成を誘導し、細胞外基質侵食しなければならない。炎症性応答は、上記メカニズムで果たされる、すなわち、宿主の衰弱および腫瘍の発達に寄与する、重要な役割を有しうる。これらの細菌株抗炎症性によって、悪性細胞変質の割合を低減できる。さらに、腸内細菌は、食事化合物から、遺伝毒性発癌性および腫瘍促進活性を有する物質を製造でき、腸内バクテリアは、発癌性前駆体(pro-carcinogens)をDNA反応性試薬に活性化することができる(Gibson G.R.編集、「ヒト結腸の細菌:栄養摂取、生理学および病理学における役割(Human colonic bacteria: role in nutrition, physiology and pathology)」中、Rowland I.R. (1995)、「結腸の毒性学:腸ミクロフローラの役割(Toxicology of the colon: role of the intestinal microflora.)」、pp 155-174、Boca RatonCRCPress)。一般に、ビフィドバクテリウム属およびラクトバチルス属の種は、バクテロイド、真正細菌およびクロストリジウム属などの腸内の他の集団に比べて、生体異物代謝酵素の活性が低い(Saito Y,ら、Microb. Ecol. Health Dis., 1992; 5, 105-110)。従って、腸内の乳酸菌の数の増加は、これらの酵素の濃度を有利に改質できるであろう。
プレバイオティック

0118

共生生物の導入は、適当な担体中の微生物を摂取することによって達成される。大腸でのこれらの共生株の増殖を促進するであろう培地を提供することが有利であろう。1種以上のオリゴ糖類多糖類または他のプレバイオティックの添加は、胃腸管中での乳酸菌の増殖を増強する(Gibson, GR. Br. J. Nutr. 1998; 80(4):S209-12)。プレバイオティックとは、陽性値を有すると考えられる固有細菌(例えば、ビフィドバクテリウム、ラクトバチルス)によって結腸内で特異的に発酵された任意の非生存食物成分をいう。プレバイオティックのタイプとしては、フルクトースキシロース大豆ガラクトース、グルコースおよびマンノースを含有するものを挙げることができる。共生株と1種以上のプレバイオティック化合物との組み合わせ投与によって、投与された共生菌のin vivoでの増殖が増強され、目立った健康上の利点をもたらすことができ、これをシンビオティック(synbiotic)と呼ぶ。
他の有効成分

0119

ビフィドバクテリウムは、予防的にまたは、それ自身のもしくは他の共生物質および/または上記のプレバイオティック物質による治療方法として投与できることが理解されるであろう。さらに、細菌を、他の活性物質(例えば、炎症または他の障害、特に胃腸管の障害の治療に用いられるもの)を用いた予防的または治療的投薬計画の一部として用いることができる。このような組み合わせは、単一の配合物で、または同時または異なる時間に投与され、同一または異なる経路で投与される別々の配合物として投与できる。

0120

本発明は、詳細な点で異なりうる前記実施形態に限定されるものではない。

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