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技術 治療上のワクチン注射のための新規な方法

出願人 ビーエヌイムノセラピューティクス、インコーポレイテッド
発明者 ステイーナ,ルシーラモーリツゼン,ソレンニールゼン,クラウス,グレゴリウスハーニング,ジェスパーリーチ,ダーナダーラム,アイベンガータム,アナンドビルク,ピーターカールソン,ガンニーラ
出願日 1999年10月5日 (21年3ヶ月経過) 出願番号 2000-573386
公開日 2002年8月20日 (18年4ヶ月経過) 公開番号 2002-526419
状態 拒絶査定
技術分野 突然変異または遺伝子工学 非環式または炭素環式化合物含有医薬 ペプチド又は蛋白質 化合物または医薬の治療活性 抗原、抗体含有医薬:生体内診断剤
主要キーワード プロセス経路 同等分子 確信的 多孔質マトリクス 同時提示 散らばった ただひとつの AM法
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課題・解決手段

細胞抗原に対する細胞介在性免疫の誘導方法を開示する。より詳細には、この発明は、弱い抗原、特に自己タンパク質に対する細胞毒性T-リンパン球の免疫性誘導する方法を提供する。この方法は、抗原提示細胞が、弱い抗原の少なくともひとつのCTLエピトープ提示し、同時に少なくともひとつの外来T-ヘルパーリンパ球エピトープを提示するように誘導されることを包含する。好ましい例では、抗原は癌に特異的な抗原で、例えばPSM、Her2又はFGF8bである。この方法は、従来のポリペプチドワクチン注射を用いることのみならず、生の弱毒化ワクチンもしくは核酸のワクチン注射によっても実施することができる。この発明は、さらにPSM、Her2及びFGF8bの免疫原性類似体ならびにこれらの類似体をエンコードする核酸分子を提供する。ベクター及び形質転換細胞も開示される。また、この発明は、免疫原性が弱いか又は非免疫原性の抗原の免疫原性類似体の同定方法を提供する。

概要

背景

概要

細胞抗原に対する細胞介在性免疫の誘導方法を開示する。より詳細には、この発明は、弱い抗原、特に自己タンパク質に対する細胞毒性T-リンパン球の免疫性誘導する方法を提供する。この方法は、抗原提示細胞が、弱い抗原の少なくともひとつのCTLエピトープ提示し、同時に少なくともひとつの外来T-ヘルパーリンパ球エピトープを提示するように誘導されることを包含する。好ましい例では、抗原は癌に特異的な抗原で、例えばPSM、Her2又はFGF8bである。この方法は、従来のポリペプチドワクチン注射を用いることのみならず、生の弱毒化ワクチンもしくは核酸のワクチン注射によっても実施することができる。この発明は、さらにPSM、Her2及びFGF8bの免疫原性類似体ならびにこれらの類似体をエンコードする核酸分子を提供する。ベクター及び形質転換細胞も開示される。また、この発明は、免疫原性が弱いか又は非免疫原性の抗原の免疫原性類似体の同定方法を提供する。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
5件

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請求項1

ヒトを含む動物で、免疫原性が弱いか又は非免疫原性であるポリペプチド抗原に対する免疫応答を動物で誘発する方法であって、1)そのポリペプチド抗原由来の少なくとも1つのCTLエピトープ及び/又はその細胞関連ポリペプチド抗原由来の少なくとも1つのB-細胞エピトープ、及び2)動物に外来である少なくとも1つの第一のTヘルパー細胞エピトープ(THエピトープ)の免疫原性的に有効な量を動物免疫系の抗原提示細胞APC)で同時提示することからなる方法。

請求項2

ヒトを含む動物で、免疫原性が弱いか又は非免疫原性である細胞関連ポリペプチド抗原を、細胞表面に細胞関連ポリペプチド抗原を担持するか又は細胞内区画内に細胞関連ポリペプチド抗原を有する細胞に対して特異的な細胞毒T-リンパ球(CTL応答を動物で誘発することによりダウンレギュレートする方法であって、1)その細胞関連ポリペプチド抗原由来の少なくとも1つのCTLエピトープ、及び2)動物に外来である少なくとも1つの第一のT-ヘルパーリンパ球(TH)エピトープを適切な抗原提示細胞(APC)によって動物で同時に提示することからなる方法。

請求項3

提示される際、前記少なくとも1つのCTLエピトープは、APCの表面でMHCクラスI分子と結合しており、かつ/又は提示される際、前記少なくとも1つの第一の外来THエピトープは、APCの表面でMHCクラスII分子と結合している請求項1又は2による方法。

請求項4

APCが樹状細胞又はマクロファージである前記請求項の何れか1つによる方法。

請求項5

ポリペプチド抗原が、腫瘍関連ポリペプチド抗原、自己タンパク質ウイルス性ポリペプチド抗原、及び細胞内寄生体又は細菌由来のポリペプチド抗原から選択される前記請求項の何れか1つによる方法。

請求項6

CTLエピトープと第一の外来THエピトープのAPCによる提示が、動物の免疫系にポリペプチド抗原の少なくとも1つの第一の類似体で提示することにより行われ、その第一の類似体は、ポリペプチド抗原のアミノ酸配列の変異からなり、その変異が少なくともCTLエピトープと第一の外来THエピトープを含む前記請求項の何れか1つによる方法。

請求項7

少なくとも第一の類似体が、細胞関連ポリペプチド抗原の知られかつ予測されるCTLエピトープの実質的フラクションを含む請求項6による方法。

請求項8

類似体のアミノ酸配列中の知られかつ予測されるCTLエピトープの実質的フラクションが、細胞関連ポリペプチド抗原中の全ての知られかつ予測されるCTLエピトープを認識するMHC-Iハプロタイプのすくなくとも90%によって認識される、請求項7による方法。

請求項9

細胞関連ポリペプチド抗原の実質的に全ての知られたCTLエピトープが類似体に存在し、かつ/又は細胞関連ポリペプチド抗原の実質的に全ての予測されるCTLエピトープが、少なくとも第一の類似体中に存在する請求項6〜8の何れか1つによる方法。

請求項10

少なくとも1つの第一の類似体がさらに、細胞関連ポリペプチド抗原の構造を修飾することからなる一部からなり、その修飾が、動物のその第一の類似体での免疫化により細胞関連ポリペプチド抗原に対する抗体産生を動物中で誘発させる請求項6〜9の何れか1つによる方法。

請求項11

ポリペプチド抗原の少なくとも1つの第二の類似体の免疫原性的に有効な量を動物の免疫系に提示することからなり、その第二の類似体はポリペプチド抗原の構造の修飾を含み、その修飾が、動物の第二の類似体での免疫化により細胞関連ポリペプチド抗原に対する抗体産生を誘発させる、前記請求項の何れか1つによる方法。

請求項12

修飾が、少なくとも1つの第二の外来THエピトープが第二の類似体に含まれていることからなる請求項11による方法。

請求項13

第一及び/又は第二の類似体が、細胞関連ポリペプチド抗原のB-細胞エピトープの実質的なフラクションからなる請求項6〜12の何れか1つによる方法。

請求項14

変異及び/又は修飾が、アミノ酸置換及び/又は欠失及び/又は挿入及び/又は付加を伴う請求項6〜13の何れか1つによる方法。

請求項15

変異及び/又は修飾が、- 少なくとも1つの第一の分子が第一及び/又は第二の類似体に含まれ、その第一の分子は抗原提示細胞(APC)に類似体を標識化させる、かつ/又は- 少なくとも1つの第二の分子が第一及び/又は第二の類似体に含まれ、その第二の分子は免疫系を刺激する、かつ/又は- 少なくとも1つの第三の分子が第一及び/又は第二の類似体に含まれ、その第三の分子は免疫系への類似体の提示を最適化する、ことからなる請求項6〜14の何れか1つによる方法。

請求項16

変異及び/又は修飾が、少なくとも1つのB細胞エピトープ又は細胞関連ポリペプチド抗原の少なくとも1つのCTLエピトープの複製を含む請求項6〜15の何れか1つによる方法。

請求項17

変異及び/又は修飾がハプテンの導入を含む請求項6〜16の何れか1つによる方法。

請求項18

第一及び/又は第二の外来THエピトープが免疫優性である前記請求項の何れか1つによる方法。

請求項19

第一及び/又は第二の外来THエピトープが乱交雑である前記請求項の何れか1つによる方法。

請求項20

第一及び/又は第二の外来THエピトープが天然THエピトープと人為的なMHC-II結合性ペプチド配列から選択される請求項12〜19の何れか1つによる方法。

請求項21

天然THエピトープが、P2又はP30のような破傷風トキソイドエピトープ、ジフテリアトキソイドエピトープ、インフルエンザウイルス血球凝集素エピトープ及びピー・ファルシパルムCSエピトープから選択される請求項20による方法。

請求項22

第一及び/又は第二のTHエピトープ、及び/又は第一及び/又は第二及び/又は第三の分子が、-細胞関連ポリペプチド抗原のアミノ酸配列又はそのサブ配列中の適当な化学基共有的又は非共有的に結合した側基、及び/又は- 細胞関連ポリペプチド抗原由来のアミノ酸配列への融合パートナーの形態で存在する請求項12〜21の何れか1つによる方法。

請求項23

第一の分子が、APCへの受容体がある炭水化物、例えばマンナン又はマンノースのようなAPC特異的表面抗原に対する実質的に特異性結合パートナーである請求項22による方法。

請求項24

第二の分子が、インターフェロンγ(IFN-γ)、Flt3L、インターロイキン1(IL-1)、インターロイキン2(IL-2)、インターロイキン4(IL-4)、インターロイキン6(IL-6)、インターロイキン12(IL-12)、インターロイキン13(IL-13)、インターロイキン15(IL-15)と顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子GM-CSF)から選択されるサイトカイン又はその有効部分;HSP70、HSP90、HSC70、GRP94とカルレチクリン(CRT)から選択される熱ショックタンパク質又はその有効部分;又はホルモンである請求項15〜23の何れか1つによる方法。

請求項25

第三の分子が、パルミトイル基、ミリスチル基、ファルネシル基、ゲラニル-ゲラニル基、GPI-アンカー及びN-アセチルジグリセリド基のような脂質である請求項15〜24の何れか1つによる方法。

請求項26

第一及び/又は第二の類似体が、細胞関連ポリペプチド抗原の実質的に全体的な三次構造を有する請求項6〜25の何れか1つによる方法。

請求項27

APCによる提示が、免疫原性的に有効な量の少なくとも1つの第一の類似体を動物に投与することによってなされる請求項6〜26の何れか1つによる方法。

請求項28

免疫学的に有効な量の少なくとも1つの第二の類似体も投与する請求項27による方法。

請求項29

前記少なくとも1つの第一及び/又は第二の類似体が、医薬的にかつ免疫学的に受容担体及び/又は賦形剤、及び任意にアジュバントと製剤化される請求項27又は28による方法。

請求項30

前記アジュバントが、樹状細胞のような、少なくとも第一及び/又は第二の類似体のAPCによる取込みを促進する請求項29による方法。

請求項31

アジュバントが、免疫標識化アジュバント;毒素、サイトカイン、マイコバクテリア誘導体のような免疫調節アジュバント;油製剤;ポリマーミセル形成アジュバント;サポニン免疫刺激複合マトリクスISCOMマトリクス);粒子DDAアルミニウムアジュバント;DNAアジュバント;γ-イヌリン及びカプセル化アジュバントからなる群から選択される請求項30による方法。

請求項32

サイトカインが請求項24で定義したもの又はその有効部分であり、毒素がリスリオリシンLLO)、脂質A(MPL、L180.5/RalLPS)及び非耐熱性エンテロトキシンからなる群から選択され、マイコバクテリア誘導体がムラミルジペプチド完全フロイントアジュバント、及びTDMとTDEのようなトレハロースジエステルからなる群から選択され、免疫標識化アジュバントがCD40リガンド、CD40抗体又はその特異的な結合フラグメント、マンノース、Fabフラグメント、及びCTLA-4からなる群から選択され、油製剤がスクアレン又は不完全フロイントアジュバントからなり、ポリマーがデキストラン、PEG、澱粉、マンナン及びマンノースのような炭水化物;プラスチックポリマーそれ自体及びラテックスビースのようなラテックスからなる群から選択され、サポニンが、クリジャサポナリアのサポニン、QuiAとQS21であり、粒子がラテックス又はデキストランである請求項31による方法。

請求項33

経口経路、及び真皮内、真皮下、表皮内表皮下のような非経口経路腹膜内、口腔下、硬膜外脊椎肛門及び頭蓋内経路から選択される経路を介する投与を含む請求項27〜32の何れか1つによる方法。

請求項34

1年で少なくとも2、3、4、5、6及び12回の投与のような1年で少なくとも1回の投与を含む請求項27〜33の何れかによる方法。

請求項35

提示が、少なくとも1つのCTLエピトープと少なくとも1つのTHエピトープをエンコードしかつ発現する核酸フラグメントを有する非病原性微生物又はウイルスを動物に投与して行われる請求項1〜5の何れか1つによる方法。

請求項36

提示が、少なくとも第一の類似体をエンコードし、かつ発現する少なくとも1つの核酸フラグメントを有する非病原性微生物又はウイルスを動物に投与して行われる請求項6〜14の何れか1つによる方法。

請求項37

THエピトープ及び/又は第一及び/又は第二及び/又は第三の分子が、細胞関連ポリペプチド抗原由来のアミノ酸配列への融合パートナーの形態で存在し、提示が第一及び/又は第二の類似体をエンコードしかつ発現する少なくとも1つの核酸フラグメントを有する非病原性微生物又はウイルスを動物に投与して行われる請求項15〜26の何れか1つによる方法。

請求項38

提示が、少なくとも第二の類似体をエンコードし発現する少なくとも1つの核酸フラグメントを有する非病原性微生物又はウイルスを動物に投与してもたらされる請求項11〜14又は36の何れか1つによる方法。

請求項39

非病原性微生物又はウイルスが、一度動物に投与される請求項38による方法。

請求項40

提示が、少なくとも1つのCTLエピトープ及び/又は少なくとも1つのB細胞エピトープと少なくとも1つの第一の外来THエピトープをエンコードし発現する少なくとも1つの核酸フラグメントをAPCに生体内で導入してもたらされる請求項1〜5の何れか1つによる方法。

請求項41

提示が、第一の類似体をエンコードし発現する少なくとも1つの核酸フラグメントをAPCに生体内で導入してもたらされる請求項6〜14の何れか1つによる方法。

請求項42

THエピトープ及び/又は第一及び/又は第二及び/又は第三の分子が、細胞関連ポリペプチド抗原由来のアミノ酸配列に対する融合パートナーの形態で存在し、提示が第一及び/又は第二の類似体をエンコードしかつ発現する少なくとも1つの核酸フラグメントをAPCに生体内で導入してもたらされる請求項15〜26の何れか1つによる方法。

請求項43

さらに、第二の類似体をエンコードしかつ発現する少なくとも1つの核酸フラグメントをAPCに生体内で導入することからなる請求項11〜14と41の何れか1つによる方法。

請求項44

提示が少なくとも2つの核酸フラグメントをAPCに生体内で共に導入することでもたらされ、1つは少なくとも1つのCTLエピトープをエンコードして発現し、他は少なくとも1つの第一の外来THエピトープをエンコードして発現し、かつ第一の外来THエピトープは請求項1、2と21〜24の何れかひとつに定義されたものである請求項1〜5の何れか1つによる方法。

請求項45

導入される核酸フラグメントが、のDNA、荷電又は非荷電の脂質で製剤化したDNA、リポソームで製剤化したDNA、ウイルスベクターに含めたDNA、トランスフェクション-促進タンパク質又はポリペプチドで製剤化したDNA、標的タンパク質又はポリペプチドで製剤化したDNA、標的炭水化物で製剤化したDNA、カルシウム沈殿剤で製剤化したDNA、不活性担体分子に結合したDNA、アジュバントで製剤化したDNAから選択される請求項40〜44の何れか1つによる方法。

請求項46

アジュバントが請求項30〜32の何れか1つで定義されたアジュバントからなる群から選択される請求項45による方法。

請求項47

投与様式が請求項33又は34に定義されたものである請求項40〜46の何れか1つによる方法。

請求項48

細胞関連ポリペプチド抗原由来のエピトープに結合したMHCクラスI分子を示す細胞に対し動物中でCTL応答を誘発できる、動物で免疫原性が弱いかもしくは非免疫原性である細胞関連ポリペプチド抗原の免疫類似体の選択方法であって、a)知られ又は予測されるCTLエピトープを含有しない細胞関連ポリペプチド抗原のアミノ酸配列の少なくとも1つのサブ配列を同定し、b)工程a)で同定された少なくとも1つのサブ配列内の位置で、動物に外来の少なくとも1つのTHエピトープを、細胞関連ポリペプチド抗原のアミノ酸配列に導入することにより、細胞関連ポリペプチド抗原の少なくとも1つの推定上の免疫原性類似体を調製し、かつc)動物中でCTL応答を明らかに誘発しうる工程b)で調製した類似体(類)を選択することからなる方法。

請求項49

1)工程a)で同定したサブ配列が、さらにスシテイン残基を含有しない、又は工程b)で導入したTHエピトープがシステイン残基パターンを実質的に変更しない、かつ/また2)工程a)で同定したサブ配列が、知られ又は予測されるグリコシル化部位を含まない、又は工程b)で導入したTHエピトープがグリコシル化パターンを実質的に変更しない、かつ/又は3)工程a)で同定したサブ配列が、細胞関連ポリペプチド抗原により奏される異常生理学作用に有意に寄与し、かつTHエピトープの工程b)での導入により、異常生理学的作用が減少又は完全に破壊され、かつ/また4)工程a)で同定したサブ配列が、動物の異なるタンパク質抗原のアミノ酸配列に相同であり、かつ工程b)でのTHエピトープの導入により、その相同性が実質的に除かれ、かつ/また5)外来THエピトープの工程b)での導入が、細胞関連ポリペプチド抗原のB細胞エピトープの実質的フラクションの提示となる請求項48による方法。

請求項50

類似体が細胞関連ポリペプチド抗原の全体的な三次構造を有する請求項49による変異型5の方法。

請求項51

請求項48〜50の何れか1つの方法により選択した類似体をエンコードしている核酸配列ベクターに導入し、適当な宿主細胞をそのベクターで形質転換することからなる、細胞関連ポリペプチド抗原の類似体を産生する細胞の製法

請求項52

請求項51の方法で得た細胞を、細胞関連ポリペプチド抗原をエンコードする核酸配列の発現を促進する条件下で培養し、培養上清液又は細胞から類似体を回収することからなる、細胞関連ポリペプチド抗原の類似体の製法。

請求項53

さらに回収した類似体を精製し、かつ任意に、再生酵素処理化学修飾及び接合のような人為的な翻訳語修飾に精製した生成物を付す工程からなる請求項52による方法。

請求項54

弱い細胞関連抗原が、5αレダクターゼα-フェトプロテイン、AM-1、APC、APRIL、BAGE、β-カテニン、Bcl2、bcr-abl (b3a2)、CA-125、CASP-8 /FLICE、カテプシン、CD19、CD20、CD21、CD23、CD22、CD33、CD35、CD44、CD45、CD46、CD5、CD52、CD55 (791Tgp72)、CD59、CDC27、CDK4、CEA、c-myc、Cox-2、DCC、DcR3、E6 / E7、EGFREMBP、Ena78、ファルシルトランスフェラーゼ、FGF8a 又はFGF8b、FLK-1/KDR、葉酸受容体、G250、GAGE-ファミリーガストリン17、ガストリン-放出ホルモン(ボンベシン)、GD2 / GD3 /GM2、GnRH、 GnTV、GP1、gp100 / Pmel 17、gp-100-in4、gp15、gp75 / TRP-1、hCG、へパラナーゼ、Her2 / neu、HMTV、Hsp70、hTERT (テロメラーゼ)、IGFR1、IL-13R、iNOS、Ki 67、KIAA0205、K-ras、H-ras、N-ras、KSA (CO17-1A)、LDLR-FUT、MAGEファミリー(MAGE-1、MAGE-2、MAGE-3等)、乳房グロビンMAP17、Melan-A / MART-1、メソセリンMICA/B、MT-MMP、Mox1、ムチン、例えば異常にグリコシル化される MUC-1、MUC-2、MUC-3及びMUC-4、MUM-1、NY-ESO-1、オステオネクチン、p15、P170 / MDR1、p53、p97 /メラノトランスフェリン、PAI-1、PDGF、プラスミノーゲン(uPA)、PRAME、プロバシン、プロジェニポエチン、PSA、PSM、RAGE-1、Rb、RCAS1、SART-1、SSX遺伝子ファミリー、STAT3、STn (ムチン関連)、TAG-72、TGF-α、TGF-β、チモシンβ 15、TNF-α、TPA、TPI、TRP-2、チロシナーゼVEGF、ZAG、p16INK4及びグルタチオンS-トランスフェラーゼからなる群から選択される前記請求項のいずれか1つによる方法。

請求項55

細胞関連ポリペプチド抗原がヒトPSMである請求項54による方法。

請求項56

外来T-細胞エピトープが、SEQID NO: 2の位置16-52及び/又は87-108及び/又は210-230 及び/又は269-289 及び/又は298-324 及び/又は442-465 及び/又は488-514 及び/又は598-630 及び/又は 643-662 及び/又は 672-699で定義されるPSMアミノ酸配列の一部に導入されている請求項55による方法。

請求項57

前立腺癌治療又は改善に使用される請求項55又は56による方法。

請求項58

細胞関連ポリペプチド抗原が線維芽細胞成長因子8b (FGF8b)である請求項54による方法。

請求項59

外来T-細胞エピトープが、SEQID NO: 6の位置1-54及び/又は178-215及び/又は55-58 及び/又は 63-68及び/又は72-76 及び/又は85-91及び/又は95-102及び/又は106-111 及び/又は115-120 及び/又は128-134 及び/又は138-144 及び/又は149-154 及び/又は158-162 及び/又は173-177で定義されるFGF8bアミノ酸配列の一部に導入され、その導入が、アミノ酸26-45及びアミノ酸186-215を実質的に含有しないことが好ましい請求項58による方法。

請求項60

前立腺癌と乳癌のような癌の治療又は改善に使用される請求項58又は59による方法。

請求項61

細胞関連ポリペプチド抗原がHer2である請求項54による方法。

請求項62

外来T-細胞エピトープが、SEQID NO: 3の位置5-25 及び/又は59-73 及び/又は103-117 及び/又は149-163 及び/又は 210-224 及び/又は 250-264 及び/又は325-339 及び/又は369-383 及び/又は465-479 及び/又は579-593 及び/又は 632-652 及び/又は653-667 及び/又は661-675 及び/又は695-709 及び/又は710-730、72-86及び/又は146-160及び/又は221-235及び/又は257-271及び/又は387-401で定義されるHer2アミノ酸配列の一部に導入される請求項61による方法。

請求項63

乳癌の治療又は改善に使用される請求項61又は62による方法。

請求項64

全ての知られかつ予測されるCTLとPSMのB-細胞エピトープの実質的な部分からなり、かつ請求項18〜21の何れか1つに定義した少なくとも1つの外来THエピトープを含む、ヒトに免疫原性であるヒトPSMの類似体。

請求項65

少なくとも1つの外来THエピトープが、PSMアミノ酸配列での挿入又はPSMアミノ酸配列の一部の置換又はPSMアミノ酸配列の一部の欠失の結果として存在している請求項64による類似体。

請求項66

外来THエピトープが、請求項56に定義した位置に導入される請求項65による類似体。

請求項67

全て知られかつ予測されるCTLとHer2のB細胞エピトープの実質的な部分からなり、かつ請求項18〜21の何れか1つに定義した少なくとも1つの外来THエピトープを含む、ヒトに免疫原性であるヒトHer2の類似体。

請求項68

少なくとも1つの外来THエピトープが、Her2アミノ酸配列での挿入又はHer2アミノ酸配列の一部の置換又はHer2アミノ酸配列の一部の欠失の結果として存在している請求項67による類似体。

請求項69

外来THエピトープが、請求項62に定義された位置に導入されている請求項68による類似体。

請求項70

全ての知られかつ予測されるCTL及びFGF8bのB-細胞エピトープの実質的部分からなり、かつ請求項18〜21の何れか1つに定義した少なくとも1つの外来THエピトープを含有する、ヒトで免疫原性であるヒト/マウスFGF8bの類似体。

請求項71

少なくとも1つの外来THエピトープが、FGF8bアミノ酸配列での挿入、FGF8bアミノ酸配列の一部の置換又はFGF8bアミノ酸配列の一部の欠失の結果として存在する請求項70による類似体。

請求項72

外来THエピトープが請求項59で定義した位置に導入されている請求項71による類似体。

請求項73

有効な免疫原性剤として、請求項64〜72の何れか1つによる類似体を、医薬上かつ免疫学上受容な担体もしくは賦形剤、かつ任意にアジュバントと混合して含む免疫原性組成物

請求項74

請求項64〜72の何れか1つによる類似体をエンコードする核酸フラグメント。

請求項75

請求項74による核酸フラグメントを有するベクター。

請求項76

自律複製しうる請求項75によるベクター。

請求項77

プラスミドファージコスミドミニ染色体及びウイルスからなる群から選択される請求項75又は76によるベクター。

請求項78

5'→3'方向でかつ操作可能な結合で、請求項74による核酸フラグメントの表現を駆動するプロモーター、任意にポリペプチドフラグメント分泌又は膜へのその組み込みを可能にするリーダーペプチドをエンコードする核酸配列、請求項74による核酸フラグメント及び任意に転写終結区をエンコードする核酸配列からなる請求項75〜77の何れか1つによるベクター。

請求項79

宿主細胞に導入した際に、宿主細胞ゲノムに組み込まれるか又は宿主細胞ゲノムに組み込まれない請求項75〜78の何れか1つによるベクター。

請求項80

請求項75〜79の何れか1つによるベクターを有する形質転換細胞

請求項81

1)請求項74による核酸フラグメント又は請求項75〜79の何れか1つによるベクター、及び2)医薬上かつ免疫学上受容な希釈剤及び/又は賦形剤及び/又はアジュバントからなるPSM、Her2又はFGF8bに対する抗体産生を誘発する組成物

請求項82

請求項75〜79の何れか1つによるベクターを有し、請求項74による核酸フラグメントを発現し、任意に表面に請求項64〜72の何れか1つによる類似体を分泌又は担持する安定な細胞系。

請求項83

宿主細胞を、請求項74による核酸フラグメント又は請求項75〜79の何れか1つによるベクターで形質転換することからなる請求項80による細胞の製法。

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0001

発明の分野
本発明は、癌のような、非免疫原性又は免疫原性が弱い細胞関連遺伝子発現産物の存在で特徴付けられる疾患と戦うための新規な方法に関する。特に、本発明は細胞毒性T-リンパ球(CTL)による免疫応答を誘発し、それによって遺伝子発現産物からのエピトープ担持する細胞をCTLによって攻撃して殺すための方法に関する。本発明はまた、免疫原性が弱い抗原由来の免疫原性修飾ポリペプチド抗原を製造する方法に関する。

0002

本発明はさらに、癌に対する治療上のワクチン注射の分野内にある出願人によるAutoVac技術(WO 95/05849の主題)の一連の適用に関する。

背景技術

0003

癌に対するワクチン注射の概念は、100年以上にわたって採用されており、特に今世紀に入ってから、活性再発性バーストを享受してきた。

0004

しかし、過去10年間のあいだ、免疫応答の基本的な分子機構の理解は著しく向上した。この期間において達成された最も重要な画期的出来事は、サイトカイン及び成長因子の依然として成長するリスト(still growing list)の発見、T細胞及びB細胞間の相互作用機構の理解、ならびに抗原提示におけるMHCクラスI及びII分子役割と構造とを含む細胞抗原プロセス経路確立であった。まだ完全に理解されてはいないが、癌免疫学に関する重要な発見は、また、宿主における免疫寛容性の誘発の基礎となる機構の解明であった。この研究はすべて、ヒトの癌のための新しい治療法を開発するために莫大努力に導かれた。

0005

腫瘍免疫がどのように患者にもたらされるかによって、免疫療法養生法受動性又は能動性のいずれかに類別することができる。受動性免疫療法養生法では、患者は受動的にサイトカイン、抗体、細胞毒性T-細胞、又はリンパ球活性化キラー(LAK)細胞などの免疫成分を受けとる。一方、能動性特異免疫療法プロトコルは、腫瘍細胞又はその抗原性成分でワクチン注射することによって腫瘍免疫を能動的に誘発することを包含する。この後者の治療形態は、免疫性が長くなるので好ましい。

0006

受動性及び能動性癌ワクチンは、体液性又は細胞性免疫応答のいずれかを誘発することに焦点をあてている。能動的ワクチンについては、CD4陽性Tヘルパー細胞の誘発が、抗体又は細胞毒CD8陽性T細胞のいずれかを二次的に誘発するために必要であることがはっきりと証明されている。
抗体での受動性ワクチン注射

0007

70年代半ばにおけるモノクローナル抗体技術の発見のため、腫瘍特異的又は腫瘍関連抗原に対する多数の治療用モノクローナル抗体が開発された。しかし、モノクローナル抗体治療は、いくつかの深刻な問題を生じさせた:
−これらの外来物質注入は、注入した抗体に対する患者の免疫応答を誘発させるが、これは患者においてあまり有効でない治療や深刻なアレルギー性副作用を引き起こすかもしれない。
−モノクローナル抗体は通常、多量に投与されなければならない。これはモノクローナル抗体の生産コストが莫大であるため問題である。
−モノクローナル抗体は非経口経路を介して投与されなければならず、比較的多くの量が必要なため、患者は治療中頻繁に入院しなければならない。
−モノクローナル抗体の注入は、治療効果を維持するために、かなり短い間隔(週)で繰り返さなければならない。
−モノクローナル抗体は通常、補体、NK-細胞又は腫瘍細胞のマクロファージ殺滅のような免疫系の二次エフェクター系を活性化することができない。

0008

後者の不都合な点は、癌治療において特に重要なものであり、いくつかの事例における癌のモノクローナル抗体療法があまり成功しなかったことの重要な理由である。現在、多くの企業で使用されているいわゆる人体適応化モノクローナル抗体は、免疫原性は弱いが、残念なことに二次免疫エフェクター系を活性化する能力さえも乏しい。さらに、これらの抗体は、腫瘍抗原を担持していない腫瘍細胞に対する"無害傍観者(innocent bystander)"効果を誘発しないため、本来の腫瘍抗体欠落した腫瘍の二次副産物の例が確認されている。

0009

モノクローナル抗体のエフェクター能力が乏しいことから、異なる毒素及び放射性同位体化学的接合したモノクローナル抗体の開発がもたらされた。Pharmacia Upjohn ABは、例えば、腫瘍内でT細胞を活性化させる目的で、モノクローナル腫瘍特異抗体スタフィロコッカスアウレウス毒素Aとの接合体を開発した。Medarex Inc.は、腫瘍細胞のマクロファージ殺滅を活性化する目的で、腫瘍特異性FabフラグメントならびにFc-受容体特異抗体フラグメントを含有する二重特異性モノクローナル抗体を開発した。どちらの構成物も、モノクローナル抗体単独よりも効果的であるが、より費用がかかり、免疫原性でもある。放射性同位体と接合した抗体もまた、不経済で免疫原性であり、他の一般的な毒性副作用が見られた。

0010

モノクローナル抗体技術の出現は、明確な高親和性結合分子の産生を可能にした重要な前進の一歩であった。しかし、モノクローナルであるため、これらの抗体は腫瘍抗原の一種類のエピトープに反応するのみである。これが、補体系又はNK-細胞のFc-受容体及びマクロファージへの結合を通常活性化できない主な理由である。これらの非常に強力なエフェクター系は通常、抗原から突出する複数のFc抗体フラグメントの同時-局在(co-localisation)を必要とする。

0011

したがって、他の研究者は、2つのモノクローナル抗体を組み合わせて使用することを試み、これにより効果を向上させた。したがって、それは、腫瘍特異性、又は(過剰発現した)腫瘍関連抗原あるいは成長因子受容体に対して極めて特異的なポリクローナル抗体で腫瘍細胞を攻撃するよりも非常に合理的であると思われる。このような抗体は、上記の二次エフェクター系を十分に活性化することができる。また、これらのエフェクター系によって誘発される局所炎症反応は、問題の腫瘍抗原を発現しない"無害傍観者"細胞に対する二次作用、ならびに腫瘍組織内での腫瘍特異的なTIL(腫瘍浸潤性リンパ球)の活性化を導くようである。このような効果は、二重特異性モノクローナル抗体接合体を用いることにより、Medarex Inc.によって観察されている。

0012

モノクローナル抗体技術の発見以来、癌治療のためのポリクローナル抗体の潜在的な使用はそれほど研究されていなかった(下記の抗原以外)。主な理由のひとつは、明確な腫瘍特異抗原又は腫瘍関連表面抗原のみが、近年において特徴付けられていたことであるが、より重要なのは、これらの多くが自己抗原であり、したがって非免疫原性であると判明したことである。したがって、その効果を研究するために必然的に外因性ポリクローナル抗体が使用されていた。しかし、このような抗体は、急速に治療的効果を排除する注入外来ポリクローナル抗体に対して強力な免疫応答を誘発する。
抗体を誘発するための能動ワクチン注射

0013

能動ワクチン注射によって、癌患者に治療的ポリクローナル自己抗体を誘発させる近年の試みは、成功している。膜結合炭水化物自己抗原(O-結合異常発現Tn及びsTn-抗原、ならびにガングリオシドリポ多糖GM2及びGD3など)に対するワクチンが開発された。しかし、これらの小型の炭水化物構造物は、きわめて不十分な抗原であり、キーホールリンペットヘモシニアン(KLH)又はヒツジムチン(Tn- 及び sTn含有)などの、これらの分子と担体分子の接合体を使用しなければならない。メラノーマ患者においては、抗-GM2抗体の誘導は、長期の疾患のない間隔及び51ヶ月の最小経過観察後の全体的な生存に関連する。また、乳癌患者に対して、無作為II相試験をDETOX-Bアジュバント(BIOMIRA Inc.)中のsTnとKLHの接合体を用いて行ったところ、sTn免疫患者は、対照と比較して著しく長い生存中央値(median survival)を示した。ポリクローナル抗体の癌への能動的誘導のもう一つの例は、B-細胞リンパ腫に対するイディオタイプ特異ワクチン注射の使用である。これは有望であるが、この種の癌のみに限定されている。

0014

最後に、米国の会社Aphton Inc.が、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)及びガストリンに対する活性接合体ワクチンを開発している。このワクチンは、これらのホルモン生物活性を制御できることが証明されており、また特定の腫瘍細胞のためのオートクリン成長因子として機能することができる。胃腸癌患者においてII相臨床試験は成功し、III相臨床試験が進行中である。
細胞毒性T-細胞

0015

いくつかの団体によって、腫瘍特異細胞毒性T細胞(CTL)が多くの腫瘍内に存在することが明確に証明されている。これらのCTLは、腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)と称される。しかし、これらの細胞はどういうわけか、腫瘍細胞による免疫抑制サイトカインの分泌同時刺激シグナル欠如、MHCクラスI分子のダウンレギュレーションなどを含むいくつかの異なる可能性のある機構によって、非応答性又は抗原反応不顕性を示す。

0016

TILによって認識される腫瘍特異性HLAクラスI結合ペプチドを単離するための試みが多くなされており、成功した事例もある(例えばメラノーマ関連抗原からのペプチド)。このようなペプチドは、宿主において腫瘍特異性免疫応答を誘発するために使用されていたが、ワクチンにおける腫瘍特異性ペプチドの実用は、ペプチドのHLAクラスI結合特異性が狭いため、個体群の限定されたセグメントに制限される。また、通常、合成ペプチドを用いて生体内CTL応答を誘発することは、これらの物質生物学的半減期が低いこと、ならびにMHCクラスI分子の外来性初回免疫が困難であることから、比較的難しい。

0017

サイトカイン(例えばIL-2、IFN-γ、IL-6、IL-4、IL-10又はGM-CSF)、又は可溶型、もしくはトランスフェクションされた腫瘍細胞によって発現される同時刺激性分子(B7)の使用を含むその他の多くの研究が、腫瘍特異性CTL応答を誘発するために試みられた。さらに、同種異系もしくはオートロガスな全細胞を用いた免疫化、あるいはMHCクラスI抗原提示経路を介して抗原を提示するようにした特殊アジュバント内で調製した腫瘍抗原、又は例えばワクシニアベクター内で発現した腫瘍抗原などの免疫化が使用され、様々の成功を得ている。それでもなお、腫瘍免疫学者の間での一般的な考えでは、腫瘍を取り除く最良の方法のひとつは強力な特異的抗腫瘍CTL応答を誘発させることである。

0018

これらの治療が通常、極めて不経済であり、再現が困難であるということは別にして、腫瘍に対して良好な免疫応答を得ることは困難であることが判明した。なぜなら、多くの腫瘍関連抗原は真の自己タンパク質であり、大部分のT細胞がそれに寛容性と思われるからである。したがって、患者に制御された細胞自己免疫状態を誘導する必要があると考えられる。
発明の目的

0019

本発明の目的は、宿主生物において、例えば腫瘍抗原などの望ましくない抗原に対する免疫応答を誘発させるための改良法及び薬剤を提供することである。

0020

本発明のさらなる目的は、そのような望ましくない抗原のポリペプチド類似体、望ましくない抗原に対する効果的な免疫応答を誘発することができる類似体を製造するための方法を提供することである。
発明の要約

0021

抗原の提示は、教義上、クラスII外来経路及びクラスI内在経路の2つの分離した経路として考えられてきた。

0022

要するに、細胞外部又は細胞膜からの外来タンパク質が、タンパク質分解酵素及びMHCクラスII分子を含有する細胞内区画と融合するエンドソームとしてAPCに取り込まれる。産生したペプチドの幾つかはクラスIIに結合し、それが細胞膜に転移する。

0023

クラスI内在経路は、サイトゾルタンパク質優勢提示によって特徴付けられる。これは、プロテアソーム介在開裂と、それに続くペプチドの小胞体(ER)へのERの膜に位置するTAP分子を介した移動によって起こると信じられている。ERでは、クラスIへのペプチド結合の後に、原形質膜への移動が続く。

0024

しかし、これらの2つの経路は完全に区別されていない。例えば、樹状細胞とある範囲までのマクロファージは、細胞外タンパク質飲食作用化(飲作用化)することができ、その後それらをMHCクラスIに結合して提示することが知られている。また、例えば酸化鉄ビーズへの結合による特殊な投与経路を使用して、外来抗原をクラスI経路に入れることができることが以前に立証されている(Rock, 1996)。三細胞型クラスターを誘発するための同一APCでのクラスI及びクラスIIの随伴性発現の重要性から、この機構は中心となるように思われる。この三細胞型クラスターの相互作用は、Mitchison (1987)ならびにその後の別の著者によって提案されている。彼らは、同一APCでのクラスI及びクラスIIエピトープの随伴性提示の重要性を示した。最近示されたCTL活性化の機構(Lanzavecchia, 1998, Nature 393: 413, Matzinger, 1999, Nature Med. 5: 616, Ridge ら、 1998, Nature 393: 474, Bennett ら、 1998, Nature 393: 478, Schoenberger ら、 1998, Nature 393: 480, Ossendrop ら、 1998, J. Exp. Med 187: 693, 及びMackey ら、 1998, J. Immunol 161: 2094を参照)によれば、MHCクラスIIに抗原を提示する専門APCは、Tへルパー細胞によって認識される。これは、(Tへルパー細胞上のCD40L及びAPC上のCD40による相互作用に介在された)APCの活性化を結果として生じる。これにより、APCが直接CTLを刺激することが可能となり、その結果CTLが活性化される。図2を参照のこと。

0025

外来MHCクラスIIに制限されたTヘルパー細胞エピトープの自己抗原への挿入によって、非修飾自己抗原に対する強力な交差反応性抗体応答を誘発できる抗原が提示されることが、すでに証明されている(出願人のWO 95/05849を参照)。自己抗体誘発は、挿入した外来エピトープによって誘発される特異的T細胞の助力によって引き起こされることが示された。

0026

しかし、我々は、修飾自己抗原は、適切なアジュバントの助けを借りて、MHCクラスI制限自己エピトープに対する強力なCTL応答を誘発することもできるはずである、という結論に至った。したがって、WO 95/05849に記載の技術は、MHCクラスIに結合して提示されたエピトープを有する細胞内抗原及びその他の細胞関連抗原に対するワクチン注射を提供するためにもまた、適用することができる。

0027

WO 95/05849に記載の自己ワクチン技術は、修飾自己抗原がMHCクラスII抗原プロセッシング経路への取り込みのために投与されたときに、特異的なT細胞の助力が自己反応性B細胞に提供されるという効果を有する(図1及び Dalum I ら、 1996, J. Immunol. 157: 4796-4804ならびにDalum I ら、 1999, Nature Biotechnol. 17: 666-669を参照)。自己タンパク質を認識する潜在的に自己反応性のBリンパ球は、正常な個体中に生理学的に存在することが分かっている。しかし、これらの導入されるべきBリンパ球が結合する自己タンパク質と反応する抗体を実際に産生するためには、サイトカイン産生Tへルパーリンパ球(TH-細胞又はTH-リンパ球)からの補助が必要である。Tリンパ球は一般に抗原提示細胞(APC)によって提示される際に自己タンパク質に由来するT-細胞エピトープを認識しないため、この助力は通常提供されない。しかし、"外来性"の要素を自己タンパク質に提供することにより(すなわち、免疫学的に重要な修飾を導入することにより)、外来要素を認識するT-細胞が、APCで外来エピトープ(例えば最初に単核細胞)を認識して活性化される。修飾自己タンパク質で自己エピトープを認識できるポリクローナルB-リンパ球(T-細胞エピトープを提示する)もまた、抗原を内在化し、次いでその外来T-細胞エピトープを提示する。その後、活性化されたT-リンパ球は、これらの自己反応性ポリクローナルBリンパ球にサイトカインの助力を提供する。これらのポリクローナルB-リンパ球によって産生された抗体は、天然ポリペプチドに存在するものも含めて、修飾ポリペプチドの様々のエピトープと反応性であるため、非修飾自己タンパク質と交差反応性の抗体が誘発される。結論として、T-リンパ球は、実際は挿入したエピトープのみが宿主に外来であるのに反し、ポリクローナルBリンパ球の個体群が、完全な外来抗原を認識したかのようにふるまうようにすることができる。このように、非修飾自己抗原と交差反応し得る抗体が誘発される。

0028

上記のようにCTLもまた特異的なT細胞の助力を必要とするが、その機構は未だ明確ではない。

0029

本発明は、外来MHCクラスIIエピトープ含有自己タンパク質は、外来接種に続いて、例えばマクロファージ及び樹状細胞のMHCクラスI抗原プロセシング経路に入ることができるという我々の新規な理論に基づく。この方法によって、自己タンパク質で次優勢のエピトープに対する強力なCTL応答を誘発することができる。あるいは、修飾腫瘍抗原をエンコードする遺伝子を核酸ワクチンとして投与し、結局はMHCクラスIIならびにMHCクラスI介在免疫応答を導くことができる。

0030

腫瘍細胞は、不十分なMHCクラスI発現、同時刺激分子の欠如又は免疫抑制サイトカインの分泌などのため、極めて弱い抗原提示細胞である。自己ワクチン構築物及び上記のワクチン注射プロトコルを使用することにより、専門の抗原提示細胞にMHCクラスIならびにMHCクラスII分子によって修飾腫瘍抗原を提示することができる。MHCクラスI分子での次優勢自己エピトープとMHCクラスII分子での免疫優勢外来エピトープの同時提示は、活性化MHCクラスII制限T-ヘルパー細胞からMHCクラスI制限CTLへの直接的なサイトカインの助力を媒介する(図2)。我々の見解では、これは腫瘍抗原に対するT細胞自己耐性の特異的破壊を招く。これは、まさに癌免疫治療に望まれていたことである。

0031

結論として、上述した技術を用いて構築したワクチンは、補体及び抗体依存性細胞毒性(ADCC)活性の二次活性化を伴って体液性自己抗体応答を誘発する。これはまた、例えば腫瘍特異膜抗原に対する細胞毒性T細胞応答を誘発すると考えられる。

0032

したがって、最も広範囲かつ最も全般的な範囲において、本発明は、ヒトを含む動物で、免疫原性が弱いか又は非免疫原性であるポリペプチド抗原に対する免疫応答を誘発する方法であって、

0033

1)そのポリペプチド抗原由来の少なくとも1つのCTLエピトープ及び/又はその細胞関連ポリペプチド抗原由来の少なくとも1つのB-細胞エピトープ、及び

0034

2)動物に外来である少なくとも1つの第一のTヘルパー細胞エピトープ(THエピトープ)
の免疫原性的に有効な量を動物免疫系の抗原提示細胞(APC)で同時提示することからなる方法に関する。

0035

本発明の方法のさらに具体的な変形において、本発明は、ヒトを含む動物で、免疫原性が弱いか又は非免疫原性である細胞関連ポリペプチド抗原を、細胞表面に細胞関連ポリペプチド抗原を担持するか又は細胞内区画内に細胞関連ポリペプチド抗原を有する細胞に対して特異的な細胞毒T-リンパ球(CTL)応答を動物で誘発することによりダウンレギュレートする方法であって、

0036

1)その細胞関連ポリペプチド抗原由来の少なくとも1つのCTLエピトープ、及び

0037

2)動物に外来である少なくとも1つの第一のT-ヘルパーリンパ球(TH)エピトープ
を適切な抗原提示細胞(APC)によって動物で同時に提示することからなる方法に関する。

0038

また、免疫原性剤を製造する新規な戦略は本発明の一部である。この新規な戦略は、弱い細胞関連抗原の類似体の選択及び産生を包含する。ここでは、少なくとも1つの外来THエピトープを同時に導入しながら、知られかつ予測されるCTLエピトープの実質的フラクションを保持することが目的とされる。

0039

さらに、本発明は、既知の腫瘍関連抗原に基づく特定の特異免疫原性構築物、ならびにこれらの構築物を含有する組成物に関する。

0040

最後に、本発明は、腫瘍関連抗原の類似体を産生するための分子生物学的方法において有用な核酸フラグメント、ベクター、形質転換細胞及びその他の手段に関する。
図面の説明

0041

図1:従来のAutoVac概念。A:抗原提示細胞(APC)のMHCクラスIIに提示された寛容優勢自己エピトープは、Tヘルパー細胞(Th)レパートリーでの涸渇(depletion)のため、無視される(Tヘルパー細胞は点線で示す)。MHCクラスIIに提示された挿入された外来免疫優勢T細胞エピトープは、Tヘルパー細胞を活性化し、外来免疫優勢T細胞エピトープをMHCクラスIIに提示する自己タンパク質の天然の部分に特異的なB細胞(B)は、Tヘルパー細胞によって提供されるサイトカインの助力によって活性化される。

0042

図2:CTL応答を誘発するためのAutoVac概念。MHCクラスIIに提示された挿入された外来免疫優勢T細胞エピトープは、Tヘルパー細胞を活性化する。MHCクラスIに提示された次優勢自己エピトープを認識するCTLは、隣接する活性化Tヘルパー細胞によって活性化される。

0043

図3:エピトープ領域とN-グリコシル化部位を示すHer2ポリペプチドの概略図。相同性度合が異なる部位と、推定/決定CTLエピトープを含有する部位を示した4つの細胞外ドメイントランスメンブラン(TM)ドメイン及び2つの細胞内ドメインを図示している。

0044

図4:P2及びP30エピトープの挿入領域を示すヒトのPSMポリペプチドの概略図。

0045

図5:FGF遺伝子及びタンパク質。A: ヒト及びマウスのFGF8遺伝子のエクソン-イントロン構造。下記に8個の異なるスプライス形態を示す(Gemel 1996より)。B:異なるFGF8イソ型アミノ酸配列。FGF8b、FGF8f及びFGF8eに特有のポリペプチドのストレッチは、太字イタリック体又は下線を付した活字書体で表している。FGF8aは、これらの強調された配列のいずれをも含まない最短変異体である。シグナルペプチドは、C-末端からAla22まで開裂していると思われる。成熟FGF8(全てのイソ型)に見られる2個のシステイン残基は太い下線によって表す。FGF8bの2個の潜在的なN-グリコシル化部位はNで表す。番号付けはFGF8bに基づく。

0046

図6:自己ワクチン注射のための4つの異なるFGF8b変異型体の図解。上部パネル:FGF2結晶構造鋳型として用いたエピトープの挿入箇所理論的モデル。下部パネル:野生型FGF8b(WT)のアミノ酸配列及び4つの変異体F30N、F2I、F30I及びF2C。シグナルペプチドは一本線で示す。挿入したペプチドは二本線で表す。全ての変異型のN-末端配列(MetAla)は、真核系でのより優れた翻訳のためのコザック−配列(kozak-sequence、Kozacc 1991)の生成による。
発明の詳細な説明
定義

0047

以下に、本発明の境界を明確にするために、本明細書及び請求項において使用する幾つかの用語を定義し、詳細に説明する。

0048

"細胞関連ポリペプチド抗原"は、本明細書及び請求項において、病理学的プロセスに何らかの形で関連する細胞に制限(confine)されるポリペプチドを意味する。また、その細胞は、その表面に、MHCクラスI分子に結合するポリペプチド抗原のCTLエピトープを提示する。細胞関連ポリペプチド抗原は、したがって真の細胞内抗原(したがって液性免疫応答に達しえない)、又は細胞の表面に結合した抗原であってもよい。細胞関連抗原は、細胞自身の遺伝子発現細胞内寄生体、ウイルス又はその他の細胞の産物であってもよい。後者の場合、ポリペプチド抗原はその後、病理学的プロセスに関係する細胞に関連する。

0049

"T-リンパ球"及び"T-細胞"という用語は、様々の細胞介在免疫応答ならびに体液性免疫応答におけるヘルパー活性などのエフェクター機能の原因となる胸腺由来リンパ球互換可能に使用される。同様に、"B-リンパ球"及び"B-細胞"という用語は、抗体産生リンパ球と互換可能に使用される。

0050

"抗原提示細胞"(APC)は、T-細胞にエピトープを提示する細胞である。典型的な抗原提示細胞は、マクロファージ、樹状細胞及びその他の食細胞及び飲細胞である。B-細胞もまた、MHCクラスII分子に結合するTH エピトープをTH細胞に提示することにより、APCとして機能することに注意すべきである。しかし、本明細書及び請求項において、APCという用語を使用するときは一般に、上記食細胞及び飲細胞に関することを意味する。

0051

"ヘルパーT-リンパ球"又は"TH細胞"は、抗原提示細胞でMHCクラスII分子に結合したTHエピトープの認識を介して、B-細胞及び細胞毒T-細胞に助力を提供するCD4陽性T-細胞を意味する。

0052

"細胞毒T-リンパ球"(CTL)という用語は、活性化するためにTH細胞の補助を必要とするCD8陽性T-細胞について使用される。

0053

本文における"特異"免疫応答は、主に分子又は準同等(quasi-identical)分子群、あるいはその分子又は準同等分子群のCTLエピトープを提示する細胞に対するポリクローナル免疫応答を意味する。
"免疫原性が弱いか又は非免疫原性であるポリペプチド抗原"は、ここでは問題の動物(例えばヒト)に由来する弱い細胞関連タンパク質抗原のアミノ酸配列を有するポリペプチドを意味する。しかし、その他の種から単離されたそのようなタンパク質の類似体に同等のアミノ酸配列を有するポリペプチドもまた、この用語に含まれる。異型系(例えば酵母、又はその他の非哺乳類真核発現系又は原核系)での産生のため、グリコシル化パターンが異なるポリペプチド形態もまた、この用語の境界内に含まれる。しかし、この用語を使用するときは、問題となるポリペプチドは通常、治療される動物での本来の適用部位において、非免疫原性又はごく弱い免疫原性であることに注意すべきである。

0054

"ポリペプチド"という用語は、本文において、アミノ酸残基が2〜10の短いペプチド、アミノ酸残基が11〜100のオリゴペプチド、ならびにアミノ酸残基が100より多いポリペプチドを意味する。さらに、この用語はタンパク質、すなわち少なくとも1つのポリペプチドからなり、また少なくとも2つのポリペプチドからなる場合には複合体を形成するか、共有結合するか、又は非共有結合する機能的生体分子をも含む。タンパク質中のポリペプチドはグリコシル化及び/又は脂質化されていてもよく、及び/又は置換基を含んでいてもよい。

0055

"サブ配列"という用語は、それぞれ天然に存在するアミノ酸配列又は核酸配列から直接誘導される、少なくとも3つのアミノ酸、又は関連するときは少なくとも3つのヌクレオチドのいずれかの連続的なストレッチを意味する。

0056

本文において、一般に"動物"とは、ホモサピエンスカニス・ドメスティカス(Canis domesticus)などの動物種(好ましくは哺乳類)を意味し、ただひとつの動物ではない。しかし、この用語は、そのような動物種の個体群も意味する。なぜなら、この発明の方法によって免疫化された個体は全て、同じ免疫原での動物の免疫化を可能にする、実質的に同一の弱い細胞結合性のポリペプチド抗原を有することが重要であるからである。例えばポリペプチドの遺伝変異型が異なるヒト個体群で存在する場合には、各群における弱い細胞関連ポリペプチド抗原に対する自己耐性を破壊できるように、これらの異なる個体群で異なる免疫原を使用する必要がある。

0057

"細胞関連ポリペプチド抗原をダウンレギュレートする"という用語は、ここでは生きている生物において、問題の抗原の量及び/又は活性を減少させることを意味する。ダウンレギュレーションは、いくつかの機構によって得ることができる。これらのうち、抗体結合によって抗原の活性部位を簡単に干渉することが最も簡単である。しかし、抗体結合が、スカベンジャー細胞(例えばマクロファージ及びその他の食細胞)によるポリペプチドの除去をもたらすこと、さらに重要には、その抗原を担持又は有する細胞が動物中のCTLによって殺されることも、本発明の範囲内である。

0058

"適当なAPCによって同時に提示する"という表現は、動物の免疫系が制限された方法で免疫原性の対抗(challenge)に付され、それによってAPCによる問題のエピトープの同時提示が生じるということを意味する。下記の開示から明らかであるように、このような免疫系の対抗は多くの方法によって行うことができるが、最も重要なものは、"ファーマシン(pharmaccines)"を含有するポリペプチドでのワクチン注射(すなわち進行中の疾患を治療又は改善するために投与されるワクチン)、又は核酸"ファーマシン"のワクチン注射である。達成されるべき重要な結果は、動物中の免疫受容細胞が、結合するエピトープを示すAPCと免疫学的に有効な方法で相対することである。

0059

"免疫学的に有効な量"という用語は、当該技術において通常の意味を有する。つまり、免疫学的特徴を免疫原と共有している発病剤を著しく連動させる免疫応答を誘導し得る免疫原の量である。

0060

弱い細胞関連ポリペプチド抗原が"修飾"に付されたという表現を使用するときは、ここでは問題のポリペプチドの骨格を構成するポリペプチドの化学的修飾を意味する。そのような修飾は、例えばアミノ酸配列の特定のアミノ酸残基の誘導
(例えばアルキル化)である。しかし、以下の開示において明らかであるように、好ましい修飾は、アミノ酸配列の一次構造の変更からなる。

0061

"耐性"及び"自己耐性"を論じるときは、本発明の方法の目的となるポリペプチドが、ワクチン注射されるべき個体群における自己タンパク質、又は有効な免疫応答を誘発しないタンパク質であるため、個体群の正常な個体がポリペプチドに対する免疫応答を増さないことが理解される。しかし、動物個体群において、例えば自己免疫異常の一部として、天然のポリペプチド抗原に対する抗体を産生できる偶発的な個体があり得ることは否定できない。いずれにしても、動物は通常、それ自身のポリペプチド抗原に対してのみ自己耐性であるが、その他の動物種又は表現型が異なる個体群に由来する類似体もまた、その動物に寛容されることは否定できない。

0062

"外来T-細胞エピトープ"は、MHC分子に結合でき、かつ動物種でT-細胞を刺激するペプチドである。好ましい外来エピトープは、"乱交雑"エピトープ、すなわち動物種又は個体群のMHCクラスII分子の実質的フラクションに結合するエピトープである。そのような乱交雑T-細胞エピトープは、ごく限られた数しか知られていないが、それらについては以下に詳細に論じる。本発明に基づいて使用される免疫原が動物個体群のできるだけ大きいフラクションで有効となるためには、1)数個の外来T-細胞エピトープを同一の類似体に挿入するか、又は2)それぞれに異なる乱交雑エピトープが挿入された数個の類似体を製造する必要があり得ることは理解されたい。外来T-細胞エピトープの概念が、クリティックT-細胞エピトープ、すなわち自己タンパク質に由来するエピトープであって、問題の自己タンパク質の一部ではなく、単離した形態で存在するときにのみ免疫原性行動を発揮するエピトープの使用をも包含することは理解されたい。

0063

"外来Tヘルパーリンパ球エピトープ"(外来THエピトープ)は、MHCクラスII分子に結合し、MHCクラスII分子に結合した抗原提示細胞(APC)の表面に提示されうる外来T細胞エピトープである。

0064

"CTL"エピトープは、MHCクラスI分子に結合できるペプチドである。

0065

生体)分子の"機能的部分"とは、本文においては、分子によって発揮される生化学的又は生理学的作用の少なくともひとつの原因となる分子の一部を意味する。多くの酵素及び他のエフェクター分子が、問題の分子によって発揮される作用の原因となる活性部位を有することは、当該技術において周知である。その分子の他の部分は、安定化又は可溶性の増強目的に役立っている可能性がある。したがって、これらの目的が本発明による特定の実施例に関連がない場合は、排除され得る。例えば、類似体において特定のサイトカインを修飾部分として使用することができる(下記の詳細な論述を参照)。そのような場合には、類似体への結合は必要な安定性を生ずるので、安定性の問題は無関係であるかもしれない。

0066

"アジュバント"という用語は、ワクチン技術の分野において通常の意味を有する。つまり、1)それ自体ではワクチンの免疫原に対する特異免疫応答を増加することはできないが、2)それにもかかわらず、免疫原に対する免疫応答を高めることができる物質又は組成物である。あるいは言い換えれば、アジュバントのみのワクチン注射は免疫原に対する免疫応答を生じない。免疫原でのワクチン注射は免疫原に対する免疫応答を生じさせるかもしれないし、させないかもしれない。しかし、免疫原とアジュバントを組み合わせたワクチン注射では、免疫原のみで誘発されるよりも強い免疫原への免疫応答が誘発される。

0067

分子の"標的化"とは、本文において、動物に導入される分子が特定組織優先的に現れるか、又は特定の細胞又は細胞型に優先的に結合している状態を意味する。この作用は、標的化を促進する組成物に分子を処方することを含む多くの方法、又は標的化を促進する基を分子に導入することによって達成することができる。これらの問題は以下に詳細に論述する。

0068

"免疫系の刺激"とは、一般に非特異免疫刺激作用を示す物質又は組成物を意味する。多くのアジュバント及び推定上のアジュバント(例えば特定のサイトカイン)は、免疫系を刺激する能力を共有する。免疫刺激剤を使用すると、免疫系の"機敏性(alertness)"が増加する。これは免疫源を用いた同時又はその後の免疫化が、免疫原のみの使用と比較して、著しく有効な免疫応答を誘発することを意味する。
好ましい実施態様

0069

ポリペプチド抗原由来エピトープをその表面に提示する細胞に対するCTL応答を誘発させるためには、通常、少なくとも一つのCTLエピトープが、提示されたときに、APC表面のMHCクラスI分子と結合する必要がある。さらに、少なくとも一つの第一の外来THエピトープが、提示されたときに、APC表面のMHCクラスII分子と結合することが好ましい。

0070

エピトープを提示する好ましいAPCは、樹状細胞及びマクロファージである。しかし、1)MHCクラスI分子に結合するCTLエピトープ及び2)MHCクラスII分子に結合するTHエピトープを同時に提示できる、いずれの飲作用又は食作用APCが本発明において好ましいAPCである。

0071

本発明によれば、細胞関連ポリペプチド抗原は、好ましくは病理学的プロセスに関連する腫瘍関連抗原及びその他の自己タンパク質から選択される。しかし、ウイルス抗原及び細胞内寄生体又は細菌に由来する抗原もまた可能である。このような病原体関連抗原が、多くの場合比較的弱い免疫原(例えばマイコバクテリウムツベルクローシス及びマイコバクテリウム・レプレなどのマイコバクテリアからの抗原、またプラスモジウム種などの原生動物からの抗原)であることは、当該技術において周知である。抗体の製造及び真性自己タンパク質抗原に対するCTL応答を可能にすることは別にして、本発明の方法は、生物によって強められる多くの場合十分でない免疫応答を、そのような細胞内抗原に対して高めることができる。

0072

通常、ワクチン標的であるポリペプチド抗原のアミノ酸配列の大きいフラクションに免疫系を相対させることは有益である。したがって、好ましい実施態様では、APCによるCTLエピトープ及び第一の外来THエピトープの提示は、動物の免疫系に、細胞関連ポリペプチド抗原の少なくとも1つの第一の類似体を提示することによって行われる。第一の類似体は、細胞関連ポリペプチド抗原のアミノ酸配列の変異からなり、前記変異は少なくともCTLエピトープと第一の外来THエピトープを含有する。これは、例えばCTL及びTHエピトープが同一細胞で異なるポリペプチドの部分として発現するDNAワクチン注射法と対照的である。このようなDNAワクチン注射法もまた、本発明の実施態様である。しかし、同じポリペプチドの部分として2つのエピトープを有することは通常免疫応答を高めると考えられる。いずれにしても、1つのみの発現産物の提供が必要である。

0073

有効な免疫応答を増加させる機会を最大限にするためには、上記の第一の類似体が、細胞関連ポリペプチド抗原の知られかつ予測されるCTLエピトープの実質的フラクション、すなわち個体群においてMHCクラスI分子の十分なフラクションに結合する、知られかつ予測されるCTLエピトープのフラクションを含有することが好ましい。例えば、類似体のアミノ酸配列の知られかつ予測されるCTLエピトープの実質的フラクションは、細胞関連ポリペプチド抗原中の全ての知られかつ予測されるCTLエピトープを認識するMHC-Iハプロタイプの少なくとも50%によって認識されることが好ましい。しかしながら率は高い方が好ましく、例えば少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、ならびに少なくとも90%が挙げられる。特に好ましいのは、類似体中に存在する細胞関連ポリペプチド抗原の実質的に全ての知られたCTLエピトープ、すなわちほぼ100%の知られたCTLエピトープを保存する類似体を使用することである。したがって、細胞関連ポリペプチド抗原の実質的に全ての予測されるCTLエピトープが、少なくとも第一の類似体に存在することが特に好ましい。

0074

CTLエピトープの存在を予測するための方法は、当該技術において周知である。例えばRothbard ら、EMBO J. 7:93-100 (1988)を参照のこと。

0075

本明細書及び請求項から明らかであるように、ここに記載の発明の方法が、細胞関連ポリペプチド抗原に対するCTL応答の有効な誘発を可能にすることが期待される。

0076

細胞関連ポリペプチド抗原が真に細胞内である場合、抗原を有する細胞に対するCTL応答の誘発は、特異免疫学的手段によるダウンレギュレーションを達成するための唯一の方法である。しかし、膜関連抗原の場合には、弱い細胞関連ポリペプチド抗原に対する抗体応答を誘発することが有益である。しかし、弱い細胞関連抗原に対する体液性免疫応答を高める時は、抗体応答を、通常抗体との起こりうる相互作用にさらされている抗原部分との相互作用に実質的に制限することが好ましい。そうでなければ、結果として、通常は体液性免疫系に関連しない抗原部分に対する抗体反応の誘発が起こると思われ、これにより、病理に全く関連のない抗原との交差反応性を誘発する危険性が増加する。この制限を得るための明快な方法は、弱い細胞関連抗原の類似体を用いて核酸ワクチン注射を行うことである。類似体の細胞外部分は変化していないか、又は抗原の細胞外部分の3D構造を実質的に変えないTHエピトープを含有する。一つのありうる代替案として、CTLに対する免疫原と、B-細胞に対する免疫原の両方を用いた免疫化を行うことができる。B-細胞に対する免疫原は実質的に標的抗原の細胞内部分に対する免疫化をもたらすことができない(B-細胞に対する免疫原は、例えば抗原からいずれかの非細胞外物質を欠いている可能性がある)。

0077

抗体応答の誘発は、当業者において公知である多数の方法によって達成することができる。例えば、少なくとも1つの第一の類似体は、細胞関連ポリペプチド抗原の構造の修飾を構成する部分からなっていてもよい。この修飾は結果として、第一の類似体での動物の免疫化により、動物において細胞関連ポリペプチド抗原に対する抗体の産生を誘発させる。この変異体は、上記したように、核酸ワクチン注射に特に適している。あるいは、本発明の方法は、動物の免疫系に、そのような修飾を含む細胞関連ポリペプチド抗原の少なくとも1つの第二の類似体を免疫原性的に有効な量で提示することを包含することができる。その修飾が所望の抗体誘発効果を有するようにするための簡便な方法は、第二の類似体に少なくとも1つの第二の外来THエピトープを含有させること、すなわち第一の類似体に対して使用した方法と同様の方策である。

0078

有効な体液性免疫応答を増加させることが望まれる場合には、第一及び/又は第二の類似体が、細胞関連ポリペプチド抗原のB-細胞エピトープの実質的フラクション、特に、適切な動物中の抗原の天然存在型で細胞外にある、そのようなB-細胞エピトープの実質的フラクションからなることが有益である。

0079

弱い細胞関連ポリペプチド抗原の上述の変異及び修飾は、様々の形態をとることができる。変異及び/又は修飾は、アミノ酸の置換及び/又は欠失及び/又は挿入及び/又は付加を伴うことが好ましい。アミノ酸配列の操作に関するこれらの基本的工程は、一つのアミノ酸変化と、アミノ酸の伸張を伴う工程の両方をカバーするものである(とりわけ、ポリペプチド抗原内でのアミノ酸伸張のシャッフル(shuffling);これは抗原が真に細胞内抗原であるときには特に興味深い。なぜならCTLエピトープの保存に関する考察だけが関連するからである)。例えば1個のアミノ酸の挿入又は欠失の導入は、類似体の配列中に外来THエピトープ、つまり、MHCクラスII分子に結合する配列を出現させるものと理解される。しかし、多くの場合において、公知の外来THエピトープを導入することが好ましい(また必要である)。そのような工程は、酸の置換及び/又は挿入(又は時には担体タンパク質への接合、又は分子生物学的方法による融合ポリペプチドの提供としての付加)を必要とする。アミノ酸の挿入、欠失、置換又は付加の数は、好ましくは少なくとも2、例えば3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20及び25の挿入、置換、付加又は欠失である。アミノ酸置換の数は、150を超えないことがさらに好ましく、例えば多くても100、多くても90、多くても80、ならびに多くても70である。置換、挿入、欠失又は付加の数は、60を超えないことが特に好ましく、とりわけその数は50又は40を超えるべきではない。最も好ましいのは、30以下の数である。

0080

本発明の好ましい実施態様は、少なくとも1つの外来免疫優勢THエピトープの導入による修飾を含む。T-細胞エピトープの免疫優勢の問題は、当該の動物種に依存することは理解されたい。ここで使用する限り、"免疫優勢"という用語は単に、ワクチン注射した個体/個体群において顕著な免疫応答をもたらすエピトープに関する。しかし、一個体において免疫優勢であるT-細胞エピトープが、同一種の別の個体においてMHC-II分子を結合できるからといって、必ずしも後者の個体において免疫優勢であるとはかぎらないことは周知の事実である。真に免疫優勢なTHエピトープは、それらがサブ配列を形成するポリペプチドとは独立して、TH細胞の活性化を生じさせる。言い換えれば、THエピトープには、実質的に常にAPCによって処理され、APC表面のMHC II分子に結合して提示されるために、固有の特徴として、実質的にクリプティックにならないという特徴を有するものがある。

0081

もう一つの重要な点は、T-細胞エピトープのMHC制限の問題である。一般に、天然に存在するT-細胞エピトープはMHC制限性である。すなわち、T-細胞エピトープを構成するあるペプチドのみがMHCクラスII分子のサブセットに効果的に結合する。これはその結果、多くの場合において、1つの特異的なT-細胞エピトープの使用が個体群のフラクションにのみ有効なワクチン成分を生じるという効果を有する。また、フラクションのサイズ次第でより多くのT-細胞エピトープを同一分子内に必然的に含めることができ、あるいは導入されたT-細胞エピトープの性質によって互いに識別される抗原変異体が成分である多成分ワクチンを調製することができる。

0082

使用するT-細胞のMHC制限が全く未知である場合(例えばワクチン注射した動物があまり確定されていないMHC組成を有している場合)、特異的なワクチン組成によってカバーされる個体群のフラクションは以下の式によって決定することができる。
[式中、piはワクチン組成中に存在するiの外来T-細胞エピトープに対して応答する個体群における頻度、nはワクチン組成中の外来T-細胞エピトープの総数である]。このように、個体群において0.8、0.7及び0.6の応答頻度をそれぞれ有する3個の外来T-細胞エピトープを含むワクチン組成は
1 - 0.2 × 0.3 × 0.4 = 0.976
となり、すなわち、個体群のうち97.6%がMHC-IIを介したワクチンへの応答を統計的に高める。

0083

上記の式は、使用されるペプチドの多少とも明確なMHC制限パターンが知られている場合には適用されない。例えば、あるペプチドのみがHLA-DRアレレDR1、DR3、DR5及びDR7によってエンコードされるヒトMHC-II分子に結合する場合には、このペプチドを、HLA-DRアレレによってエンコードされる残りのMHC-II分子に結合する別のペプチドとともに使用することにより、当該個体群で100%の到達範囲が達成される。同様に、第二のペプチドがDR3及びDR5のみに結合する場合には、このペプチドの付加は到達範囲を全く増加させない。個体群応答の算出の基礎を完全にワクチン中のT-細胞エピトープのMHC制限におく場合、特異的なワクチン成分でカバーされる個体群のフラクションは以下の式によって決定される:
[式中、ψjはワクチン中のT-細胞エピトープのいずれか1つを結合し、かつjの3つの公知のHLA座(DP、DR及びDQ)に属するMHC分子をエンコードするアレリックハプロタイプの個体群における頻度の合計である。実際には、どのMHC分子がワクチン中の各T-細胞エピトープを認識するかをまず測定し、その後、これらを型(DP、DR及びDQ)によってリストする。次いで、リストした種々のアレリックハプロタイプの個々の頻度を型ごとに合計し、ψ1、ψ2及びψ3を得る]。

0084

式IIの値piは対応する理論値πiを超えることがあるかもしれない。
[式中、νjはワクチン中のiのT-細胞エピトープを結合し、かつjの3つの公知のHLA座(DP、DR及びDQ)に属するMHC分子をエンコードするアレリックハプロタイプの個体群における頻度の合計である。これは、1-πiの個体群では、応答頻度はf誤差(residual)_i = (pi-πi)/(1-πi)となることを意味する。したがって、式IIIを調整して式Vとすることができる:
[式中、用語1−f誤差_iは、負のときは0に設定される]。全てのエピトープが同一セットのハプロタイプにハプロタイプマップ(haplotype mapped)されていることを式Vが要求することに留意されたい。

0085

したがって、類似体に導入されるT細胞エピトープを選択するときは、エピトープに関する利用可能な全ての知識: 1)個体群における各エピトープへの応答頻度、2)MHC制限データ及び3)関連するハプロタイプ個体群における頻度、を含めることが重要である。

0086

動物種の個体又は動物個体群の大部分において活性な、天然に存在する“乱交雑”T-細胞エピトープが多量に存在する。これらは好ましくはワクチンに導入され、それによって同一ワクチンにおける極めて多量の異なる類似体の必要性を低減する。

0087

本発明によれば、乱交雑エピトープは、破傷風トキソイド(例えばP2及びP30エピトープ)、ジフテリアトキソイドインフルエンザウイルス血球凝集素(HA)及びピー・ファルシパルム CS抗原由来エピトープのような天然に存在するヒトT-細胞エピトープであってもよい。

0088

長年にわたり、その他の乱交雑T-細胞エピトープが多数同定されている。特に、異なるHLA-DRアレレによってエンコードされるHLA-DR分子の大部分に結合しうるペプチドが同定されており、これらは全て本発明にしたがって使用される類似体に導入される可能性のあるT-細胞エピトープである。すべてここに引用して組み込まれる以下の文献に記載のエピトープも参照のこと: WO 98/23635 (Frazer IH ら、The University of Queenslandに譲渡); Southwood S ら、1998, J. Immunol. 160: 3363-3373; Sinigaglia F ら、1988, Nature 336: 778-780; Rammensee HGら、1995, Immunogenetics 41: 4178-228;Chicz RM ら、1993, J. Exp. Med 178: 27-47; Hammer J ら., 1993, Cell 74: 197-203; and Falk K ら、1994, Immunogenetics 39: 230-242。最後の文献はHLA-DQリガンド及びHLA-DPリガンドについても論じている。これら5文献に挙げられるエピトープは、全て本発明で使用される天然エピトープと共通のモチーフを共有するため、その候補として適切である。

0089

あるいは、エピトープはハプロタイプの大部分を結合しうるいずれかの人為的なT-細胞エピトープであってもよい。この明細書において、WO 95/07707及び対応する論文Alexander J ら、1994, Immunity 1: 751-761 (両者ともここに引用して組み込む)に記載のpan DRエピトープペプチド("PADRE")が、本発明にしたがって使用されるエピトープの候補として興味深い。これらの論文に開示される最も有効なPADREペプチドは、投与時の安定性を改善するためにC-末端及びN-末端にD-アミノ酸を担持することに留意されたい。しかしながら、本発明は第一に、適切なエピトープを修飾抗原の一部として組み込むことを目的とする。これはその後、APCのリソソーム分画内で酵素的に破壊し、続いてMHC-II分子に結合して提示を行う。したがって、本発明において使用されるエピトープにD-アミノ酸を組み込むことは得策ではない。

0090

特に好ましいPADREペプチドのひとつは、アミノ酸配列AKFVAAWTLKAAA又は免疫学的に有効なサブ配列を有するペプチドである。これと、同じMHC制限を欠いている他のエピトープが、本発明の方法で使用される類似体で提示すべき好ましいT-細胞エピトープである。このような超-乱交雑エピトープは、ワクチン注射した動物の免疫系に単一の類似体のみを提示する、本発明の最も簡単な実施態様を可能にする。

0091

上記した変異/修飾の性質は、
− 少なくとも1つの第一分子が第一及び/又は第二の類似体に含まれており、前記の第一分子がその類似体を抗原提示細胞(APC)に標的化する、及び/又は
− 少なくとも1つの第二分子が第一及び/又は第二の類似体に含まれており、前記の第二分子が免疫系を刺激する、及び/又は
− 少なくとも1つの第三分子が第一及び/又は第二の類似体に含まれており、前記第三分子が免疫系への類似体の提示を最適化する
ことから構成されることが好ましい。

0092

これら第一、第二及び第三の分子に関する機能的及び構造的特徴を、以下に論ずる。

0093

それらは、細胞関連ポリペプチド抗原のアミノ酸配列又はそのサブ配列中の適当な化学基共有的又は非共有的に結合する側基(side group)の形態で存在していてもよい。これは、ポリペプチド抗原から誘導されるアミノ酸残基の伸張が、主たるアミノ酸配列を変更することなく、あるいは少なくとも鎖内の個々のアミノ酸間のペプチド結合に変更を加えることなく、誘導されることを意味する。

0094

分子は、細胞関連ポリペプチド抗原から誘導されるアミノ酸配列に対する融合パートナーの形態であってもよい。これに関して、ともにアミノ酸配列を担体に接合する選択肢が含まれる可能性があることに留意すべきである。以下の記述を参照のこと。言い換えれば、本文において、「融合タンパク質」という語は、単に構築物をエンコードするDNAフラグメントの発現によって調製される融合構築物に限定されるものではなく、次に起こる化学反応においてペプチド結合によって結合される2つのタンパク質間の接合にも限定される。

0095

上記のように、類似体は、類似体をAPC又はB-リンパ球に標的化する第一分子の導入を含んでいてもよい。例えば、第一分子は、B-リンパ球の特異的な表面抗原又はAPC特異的な表面抗原に特異的な結合パートナーであってもよい。そのような特異的な表面抗原の多くは、当該技術において公知である。例えば、分子はB-リンパ球又はAPCに受容体がある炭水化物であってもよい(例えばマンナン又はマンノース)。又は、第二分子はハプテンであってもよい。APC又はリンパ球の表面分子を特異的に認識する抗原フラグメントも、第一分子として使用することができる(表面分子は、例えばFCγRIのようなマクロファージ及び単球のFCγ受容体、あるいはCD40又はCTLA-4等のようないずれかの他の特異的な表面マーカーであってもよい)。これら全ての代表的な標的化分子は、アジュバントの一部としても使用できることは理解されたい(以下を参照のこと)。CD40リガンド、CD40に対する抗体、又はCD40を結合するその変異型が、類似体を樹状細胞に標的化する。同時に、最近の成果により、CD40分子との相互作用によってTH細胞がCTL応答を得るのに必須でないものとされることが示された。したがって、CD40結合分子の第一分子(又はアジュバント、下記を参照)としての一般的使用は、CTL応答を相当に高めるだろう。事実、本発明の趣旨において、そのようなCD40結合分子をアジュバント及び「第一分子」として使用することは、その権利において創作的なものと考えられる。

0096

免疫応答を増強するために類似体をある細胞型に標的化することの代案又は補足として、免疫系を刺激する上記第二分子を含むことによって免疫系の応答性ベルを増強することができる。このような第二分子の一般的な例としては、サイトカイン、熱ショックタンパク質及びホルモンならびにそれらの有効な部分がある。

0097

本発明にしたがって使用される適切なサイトカインは、通常ワクチン組成物においてアジュバントとして機能するもの、例えばインターフェロンγ(IFN-γ)、Flt3リガンド(Flt3L)、インターロイキン1(IL-1)、インターロイキン2(IL-2)、インターロイキン4(IL-4)、インターロイキン6(IL-6)、インターロイキン12(IL-12)、インターロイキン13(IL-13)、インターロイキン15(IL-15)及び顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)である。あるいは、サイトカイン分子の機能的部分が第二分子として十分である。このようなサイトカインのアジュバント物質としての使用に関しては、下記の記載を参照のこと。

0098

あるいは、第二分子はリスリオリシン(listeriolycin)(LLO)、脂質A及び非耐熱性エンテロトキシンのような毒素であってもよい。また、MDP(ムラミルジペプチド)、CFA(完全フロイントアジュバント)及びトレハロースジエステルTDM及びTDEなどの多数のマイコバクテリア誘導体が、興味深い可能性のあるものである。

0099

本発明によれば、第二分子として使用される適当な熱ショックタンパク質は、HSP70、HSP90、HSC70、GRP94ならびにカルレチクリン(calreticulin)(CRT)であってもよい。

0100

免疫系への類似体の提示を高める第三分子を導入することの可能性もまた、本発明の重要な実施態様である。この原理のいくつかの例が当該技術において示されている。例えば、ボレリアブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)タンパク質OspAのパルミトイル脂質化アンカーを利用して、自己アジュバント化ポリペプチドを提供できることが知られている(例えばWO 96/40718を参照)。脂質化したタンパク質は、ポリペプチドの脂質化アンカー部分とそこから突出する残りの分子部分からなる核を有するミセル状構造を形成し、その結果、抗原決定基を多数提示するものと考えられる。したがって、これの使用及び異なる脂質化アンカー(例えばミリスチル基、ファルネシル基、ゲラニル-ゲラニル基、GPIアンカー及びN-アシジグリセライド基)を用いた関連の研究は、特に、組換えて製造したタンパク質内の脂質化アンカーの供給がかなり簡単で、例えば天然に存在するシグナル配列を類似体の融合パートナーとして使用することのみを要求するため、本発明の好ましい実施態様である。もう一つの可能性として、相補因子C3又はC3自体のC3dフラグメントの使用が挙げられる(Dempsey ら、1996, Science 271, 348-350及びLou & Kohler, 1998, Nature Biotechnology 16, 458-462を参照)。

0101

本発明の方法を、例えば細胞外区画露出した膜結合ポリペプチド抗原に対して使用することを試みる場合には、第一及び/又は第二の類似体が細胞関連ポリペプチド抗原の全体的な三次構造を実質的に有することが最も好ましいことに留意することが重要である。本明細書及び請求項において、これは細胞外に露出したポリペプチド抗原の一部の全体的な三次構造が保護されることを意味する。なぜなら、上記したように、真正(obligate)細胞内ポリペプチドの三次構造は上肩骨の免疫系に関わらないからである。事実、ワクチン注射方策の一部として、ポリペプチド抗原の細胞内部分に由来する推定上のB-細胞エピトープを細胞外区画に露出するのを回避することがしばしば望まれる。このようにして、他の抗原との交差反応性によって引き起こされる潜在的な悪影響を最小限にすることができる。

0102

本発明の趣旨において、変異/修飾(挿入、付加、欠失又は置換)が外来T-細胞エピトープに生じ、同時にポリペプチド抗原に実質的な数のCTLエピトープ(及び時に実質的数のB-細胞エピトープ)が保存されれば十分である。

0103

以下の式は、本発明によって一般的にカバーされる構築物を記載する:
(MOD1)s1(PAGe1)n1(MOD2)s2(PAGe2)n2....(MODx)sx(PAGex)nx (I)
式中、PAGe1-PAGexは、独立して同一又は非同一であり、かつ外来の側基を含むか又は含まない関連ポリペプチド抗原のサブ配列を含むxのCTL及び/又はB-細胞エピトープであり、xは3以上の整数であり、n1-nxは0以上の整数 (少なくとも1以上)であり、MOD1-MODx は保持されているエピトープ間に導入されるxの修飾であり、かつs1-sxは0以上の整数である(配列に側基が導入されない場合には、少なくとも1以上である)。したがって、構築物の免疫原性に一般的な機能的抑制がなされているので、この発明は、最初の抗原配列に関する全ての種類の置換及びそれにおける全ての種類の修飾を可能にする。したがって、この発明には、例えば生体内で悪影響を生じるポリペプチド抗原配列の部分を省くか、又は不要な免疫学的反応を生じる可能性のある、通常細胞内にある部分を省いて得られる類似体が含まれる(以下の詳細な記載を参照のこと)。

0104

上記原理のさらなる詳細においては、1つ以上の病理学的に関連する抗原からのCTL及び/又はB-細胞エピトープの使用が含まれる。例えば、それらが突然変異形の場合のみに腫瘍形成作用を発揮する癌関連抗原が幾つかある。その例として、ともに正常な細胞周期調節で非常に重要なタンパク質であり、大部分の正常な細胞における発現産物である突然変異K-ras及びP53がある。幾つかの場合において、CTLはこれらの抗原から突然変異ペプチドを認識することがわかっている。したがって、抗原特異免疫療法を誘発させたとしても、免疫系はその突然変異ペプチドのみに応答し、非突然変異部分には応答しないことが重要である。

0105

我々は、そのような疾患関連タンパク質の8-25のアミノ酸配列を、AutoVac構築物でさらにエピトープとして使用できる方策を考案した。好ましい実施態様では、導入したエピトープは同時に最終構築物でTH エピトープを出現させる(下記を参照のこと)。この目的のために使用したエピトープは、疾患関連タンパク質の突然変異領域から構成されるエピトープである。このような方法を用いることにより、CTL(及び利用可能な場合には潜在的な抗体)を疾患関連抗原の突然変異形に対してのみ、発生させることができる。疾患関連抗原がTH エピトープを発生させる場合には、全く外来のTHエピトープの使用を完全に省略することができる。この原理の実施態様は、例えば、少なくとも1つのTHエピトープ及び他の疾患関連抗原に由来する少なくとも1つのペプチド(例えば腫瘍形成タンパク質の突然変異箇所由来ペプチド)が導入されたポリペプチド抗原の類似体(例えばHer2又はPSM)をエンコードする核酸ワクチンを用いたワクチン注射であってもよい。好ましい実施態様において、少なくとも1つのTH エピトープは、ペプチド導入の結果として導入される。

0106

変異及び/又は修飾には、利用可能なときには、細胞関連ポリペプチド抗原の少なくとも1つのB-細胞エピトープ又は少なくとも1つのCTLエピトープの複製が含まれることがさらに好ましい。この方策によって、免疫系に好ましいエピトープ領域の多数の複製が提示されるという結果がもたらされ、それによって有効な免疫応答の確率が最大になる。したがって、本発明のこの実施態様では、ポリペプチド抗原に由来するエピトープの複数の提示が利用される(すなわち式Iにおいて少なくとも1つのB-細胞エピトープが2箇所に存在する)。

0107

この効果は、様々な方法、例えば、単に構造(PAG)m(式中mは2以上の整数)からなる融合ポリペプチドを調製し、その後ポリペプチド抗原配列の少なくとも1つに、ここに論ずる修飾を導入することによって達成することができる。

0108

抗原の重要なエピトープ領域の多数(例えば少なくとも2つ)の複製を免疫系に好ましく提示することを結果として生じる本発明の別の実施態様として、抗原、サブ配列又はその変異型と特定分子との共有結合がある。例えば、デキストランのような炭水化物などのポリマー使用可能である(例えば、Lees A ら、 1994, Vaccine 12: 1160-1166; Lees A ら、 1990, J Immunol. 145: 3594-3600を参照のこと)。しかし、マンノースやマンナンもまた有用な代替手段である。例えば、大腸菌及び他の細菌からの膜内在性タンパク質もまた、有用な接合パートナーである。キーホールリンペットヘモシニアン(KLH)、破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイド及びウシ血清アルブミン(BSA)のような従来の担体分子も好ましく、有用な接合パートナーである。

0109

時に有用なB-細胞エピトープの実質的なフラクション又は上記の修飾に付されるタンパク質の全体的な三次構造の維持は、幾通りかの方法によって達成することができる。ひとつは、単にポリペプチド抗原に対するポリクローナル抗血清(例えばウサギで調製した抗血清)を調製し、その後この抗血清を、製造した修飾タンパク質に対する試験薬として使用する(例えば競合ELISAで)方法である。ポリペプチド抗原と同程度まで、抗血清と反応する修飾形(類似体)は、ポリペプチド抗原と同じ全体的な三次構造を有しているとみなさなければならない。しかし、そのような抗血清に対して制限された(それでも依然として有意かつ特異的な)反応性を示す類似体は、本来のB-細胞エピトープの実質的なフラクションを維持しているものとみなされる。

0110

あるいは、ポリペプチド抗原で異なるエピトープと反応性のモノクローナル抗体の選択は、テストパネルとして用意し、使用することができる。この方法は、1)当該のポリペプチド抗原のエピトープマッピング、及び2)調製した類似体に維持されるエピトープのマッピングを可能にするという利点を有する。

0111

当然のことながら、第三の方法は、ポリペプチド抗原又は生物学的に活性な切断型(truncate)(上記参照)の三次元構造解析し、これを調製した類似体について解析した三次元構造と比較することである。三次元構造は、X線回折研究及びNMR分光法によって解析することができる。三次構造に関するさらなる情報は、ある程度までは、純粋型のポリペプチドを必要とするのみという利点がある円二色性研究(X線回折では結晶化ポリペプチドの供給、NMRではポリペプチドの同位体変異型の供給を要する)から得ることができ、所定の分子の三次構造についての有用な情報が提供される。しかしながら、最終的には、X線回折及び/又はNMRは、確実なデータを得るために必要である。なぜなら、円二色性は、二次構造要素の情報を介しては正確な三次元構造の間接的な証拠しか提供できないからである。

0112

本質的には、現在、免疫系への関連エピトープの提示を得るための3つの実行可能な方法がある:ポリペプチド抗原を用いた従来のサブユニットワクチン注射、遺伝的に修飾した生ワクチンの投与、及び核酸ワクチン注射である。これら3つの可能性について、以下に個別に検討する。
ポリペプチドワクチン注射

0113

これは、当該の動物に少なくとも1つの第一類似体の免疫原性的に有効な量を投与すること、さらに、関連のあるときには、少なくとも1つの第二類似体の免疫原性的に有効な量を投与することを必要とする。好ましくは、少なくとも1つの第一及び/又は第二の類似体は、医薬的かつ免疫学的に受容な担体及び/又はビヒクル、ならびに任意のアジュバントとともに製剤化される。

0114

動物に投与することによって類似体を動物の免疫系に提示するとき、ポリペプチドの製剤は、当該技術において一般に承認されている原理に基づく。

0115

ペプチド配列を有効成分として含有するワクチンの調製法は、ここに引用してすべて組み込まれる米国特許第4,608,251号;第4,601,903号;第4,599,231号;第4,599,230号;第4,596,792号及び4,578,770号に例示されるように、一般に当該技術においてよく理解されている。通常、このようなワクチンは液体溶液又は懸濁液のいずれかによる注射剤溶液又は懸濁液に入れるのに適した固体、注射前の液体として調製されてもよい。製剤は乳化されていてもよい。有効な免疫原性成分は、しばしば医薬的に受容され有効成分に和合する賦形剤と混合される。適当な賦形剤は、例えば水、塩水、デキストロースグリセロールエタノール等及びそれらの組み合わせである。また、望ましい場合には、ワクチンは少量の補助物質、例えば湿潤剤又は乳化剤、pH緩衝薬、又はワクチンの有効性を高めるアジュバントを含んでいてもよい(アジュバントについての下記の詳細な記述を参考のこと)。

0116

ワクチンは従来、例えば、表皮下真皮内、真皮下又は筋肉内のいずれかの注射によって非経口的に投与される。他の投与方法に適した追加的な製剤としては坐剤があり、時に経口、口腔内下、腹腔内、鞘膜内、肛門及び頭蓋内製剤がある。坐剤は例えばポリアルカレングリコール又はトリグリセライドなどの従来の結合剤及び担体を含んでもよい。このような坐剤は有効成分を0.5-10%の範囲で、好ましくは1-2%の範囲で有効成分を含有する混合物から形成してもよい。経口製剤は、例えば医薬等級マンニトールラクトース澱粉ステアリン酸マグネシウムサッカリンナトリウムセルロース炭酸マグネシウム等の通常使用される賦形剤を含む。これらの組成物は溶液、懸濁液、錠剤丸剤カプセル剤持続放出製剤又は粉剤の形状をとり、10-95%、好ましくは25-70%の有効成分を含有する。経口製剤については、コレラ毒素が興味深い製剤パートナーである(可能性のある接合パートナーでもある)。

0117

ポリペプチドは、中性又は塩の形態としてワクチンに製剤化してもよい。医薬的に受容な塩としては、酸付加塩(ペプチドの遊離アミノ基で形成される)及び塩酸又はリン酸などの無機酸、又は酢酸シュウ酸酒石酸マンデル酸などの有機酸で形成される酸付加塩が含まれる。遊離カルボキシル基で形成される塩は、例えばナトリウムカリウムアンモニウムカルシウム又は水酸化第二鉄などの無機塩基、ならびにイソプロピルアミントリメチルアミン、2−エチルアミノエタノール、ヒスチジンプロカインなどの有機塩基から誘導されてもよい。

0118

ワクチンは、容量製剤適合する方法で、治療的に有効かつ免疫原性となる量で投与される。投与量は、例えば免疫応答を増加させる個体の免疫系の能力、及び所望の防御の程度を含めて、被験者に依存する。適当な用量範囲は、1回のワクチン注射あたりで有効成分が数百μgのオーダーであり、好ましい範囲は(1-10 mg範囲でのより高い量を考慮しても)約0.1μg〜2,000μgであり、例えば約0.5μg〜1,000μg、好ましくは1μg〜500μg、特に約10μg〜100μgである。初回投与のための適当な養生法及び追加注射も変えられるが、典型的には初回投与の後に続けて接種するか、又はその他の投与が行われる。

0119

適用方法は、広く異なっていてもよい。いずれの従来のワクチン投与法も適用可能である。これらは生理的に受容な固体の基剤での経口投与、又は注射等による生理的に受容な分散液の非経口的投与を含む。ワクチンの用量は投与経路に依存し、ワクチン注射を受ける人の年齢及び抗原製剤に応じて変化する。

0120

ワクチンのポリペプチドには、ワクチン内で十分に免疫原性のものもあるが、その他の幾つかにおいては、ワクチンがアジュバント物質をさらに含む場合に免疫応答が高められる。自己抗原に対する自己耐性の破壊の促進が立証され得るアジュバントを使用することが特に好ましい。

0121

ワクチンへのアジュバント効果を達成するための様々の方法が公知である。一般的な原理及び方法は、ともに引用してここに組み込まれる"The Theory and Practical Application of Adjuvants", 1995, Duncan E.S. Stewart-Tull (編集), John Wiley & Sons Ltd, ISBN 0-471-95170-6及び"Vaccines: New Generationn Immunological Adjuvants", 1995, Gregoriadis G ら (編集), Plenum Press, New York, ISBN 0-306-45283- 9に詳細に述べられている。

0122

好ましいアジュバントは樹状細胞などのAPCによるワクチン分子の取込みを促進し、これを活性化する。非制限的な例は、免疫標識化アジュバント;毒素、サイトカイン及びマイコバクテリア誘導体などの免疫調節アジュバント;油製剤;ポリマー;ミセル形成アジュバント;サポニン免疫刺激複合体マトリクス(ISCOMマトリクス);粒子DDAアルミニウムアジュバント;DNAアジュバント;γ-イヌリン;及びカプセル化アジュバントからなる群より選択される。通常、類似体において第一、第二及び第三の分子として有用な化合物及び薬剤に関する上記の開示は、本発明によるワクチンのアジュバントにおけるそれらの使用にも必要な変更を加えて言及することに留意されたい。

0123

アジュバントの投与は、通常緩衝食塩水中0.05〜0.1%溶液として使用される水酸化アルミニウム又はリン酸アルミニウム(alum)等の薬剤、0.25%溶液として使用される糖の合成ポリマー(例えばカルボポル登録商標))との混和物の使用を含み、70〜101℃の温度でそれぞれ30秒〜2分熱処理することによるワクチン内でのタンパク質の凝集、ならびに架橋剤による凝集も可能である。ペプシンで処理した抗体(Fabフラグメント)での再活性化によるアルブミンへの凝集、シー・パルブム(C. parvum)、内毒素又はグラム陰性細菌リポ多糖類成分などの細菌細胞との混合物、マンニッドモノ-オレエート(Aracel A)のような生理的に受容な油性ビヒクル中のエマルジョン、又は阻害基体として使用されるパーフルオロカーボン(Fluosol-DA)の20%溶液エマルジョンとのエマルジョンもまた、利用可能である。スクアレン及びIFAなどの油との混和物もまた好ましい。

0124

本発明によれば、DDA(ジメチルジオタデシルアンモニウムブロミド)はDNAやγ-イヌリンと同様、アジュバントの候補として興味深い。しかし、フロイント完全アジュバント及び不完全アジュバント、ならびにQuilA及びQS21のようなキラヤサポニンもまた興味深い。さらなる可能性としては、モノホスホリルリピドA(MPL)及び上記のC3とC3dがある。

0125

リポソーム製剤もまたアジュバント効果を与えることが知られている。したがってリポソームアジュバントは本発明において好ましい。

0126

免疫刺激複合体マトリクス型(ISCOM(登録商標)マトリクス)アジュバントもまた、本発明において好ましい選択肢である。なぜなら特にこの種のアジュバントがAPCによるMHCクラスIIの発現をアップレギュレートできるからである。ISCOM(登録商標)マトリクスは、キラヤサポナリア(Quillaja saponaria)由来の(任意に分画した)サポニン(トリテルペノイド)、コレステロール、及びリン脂質からなる。免疫原性タンパク質混和された場合、得られる粒状製剤は、サポニン成分60-70% w/w、コレステロール及びリン脂質10-15% w/w及びタンパク質10-15% w/wからなるISCOM粒子として既知のものである。免疫刺激複合体の組成及び使用に関する詳細はアジュバントに関する上記教本にみられるが、例えばMorein B ら、1995, Clin. Immunother. 3: 461-475ならびにBarr IG 及び Mitchell GF, 1996, Immunol. and Cell Biol. 74: 8-25 (両者とも引用してここに組み込まれる)にも完全免疫刺激複合体の製法に関する有用な教示が提示されている。

0127

アジュバント効果を達成するもう一つの非常に興味深い(ゆえに好ましい)可能性は、Gosselinら、1992 (ここに引用して組み込まれる)に記載の手法を採用することである。要約すると、本発明の抗原のような、結合する抗原の提示は、抗原を、単球/マクロファージのFcγ受容体に対する抗体(又は抗原結合抗体フラグメント)に接合することによって高められる。特に、抗原と抗-FcγRIの接合体が、ワクチン注射を目的とした免疫原性を高めることが証明されている。

0128

その他の可能性としては、上記した標的化物質及び免疫調節物質(とりわけサイトカイン)を、修飾類似体で第一及び第二の分子の候補物として使用することを含む。これに関して、ポリI:Cのようなサイトカインの合成誘導物質もまた可能性がある。

0129

適切なマイコバクテリア誘導体は、ムラミルジペプチド、完全フロイントアジュバント、RIBI、ならびにTDM及びTDEなどのトレハロースジエステルからなる群より選択される。

0130

適切な免疫標的化アジュバントは、CD40リガンド及びCD40抗体、又はその特異的結合フラグメント(上記論述を参照)、マンノース、Fabフラグメント及びCTLA-4からなる群より選択される。

0131

適切なポリマーアジュバントは、デキストラン、PEG、澱粉、マンナン及びマンノース等の炭水化物;プラスチックポリマー;及びラテックスビーズ等のラテックスからなる群より選択される。

0132

免疫応答を調節するさらに別の興味深い方法は、免疫原を(任意にアジュバント及び医薬的に受容な担体及びビヒクルとともに)"仮想リンパ節(virtual lymph node)" (VLN) (ImmunoTherapy, Inc., 360 Lexington Avenue, New York, NY 10017-6501により開発された特許医療装置)に含めることである。VLN (細管状装置)は、リンパ節の構造と機能を模倣している。VLNを皮膚下に挿入することにより、サイトカイン及びケモカインを増加させた滅菌炎症部位が形成される。T-細胞及びB-細胞ならびにAPCは、危険信号に迅速に応答し、炎症箇所戻り、VLNの多孔質マトリクス内部に蓄積する。抗原に対する免疫応答を増加させるために要求される必要抗原用量はVLNを使用すると減少すること、VLNを使用したワクチン注射によって付与される免疫防御はRibiをアジュバントとして使用する従来の免疫化を凌ぐものであることが、分かっている。この技術はとりわけ"From the Laboratory to the Clinic, Book of Abstracts, October 12th - 15th 1998, Seascape Resort, Aptos, California"中のGelber C ら、1998, "Elicitation of Robus T-cellular and Humoral Immune Responses to Small Amounts of Immunogens Using a Novel Medical Device Designated the Virtual Lymph Node"に簡潔に記載されている。

0133

最近の知見は、H2アゴニスト同時投与によってナチュラルキラー細胞及びCTLの腫瘍内生存率が増すことを証明している。したがって、本発明の方法において、H2アゴニストをアジュバントとして含めることも考慮される。

0134

ワクチンは少なくとも一年に1回、例えば、一年に少なくとも1、2、3、4、5、6及び12回投与することが考えられる。より具体的には、一年に1-12回、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12回、必要に応じて個体に投与することが期待される。本発明による好ましい自己ワクチンの使用によって誘発される記憶免疫性が永続するものではないことは、先に示している。したがって、免疫系を類似体で定期的に対抗させる必要がある。

0135

遺伝的変異のため、異なる個体は、同一ポリペプチドに異なる強度の免疫応答で反応する可能性がある。したがって、本発明のワクチンは、免疫応答を増加するために数個の異なるポリペプチドから構成されていてもよい(外来T-細胞エピトープ導入の選択に関する上記記載も参照のこと)。ワクチンは、2つ以上のポリペプチドから構成されていてもよい。その場合、全てのポリペプチドは上記で定義したものである。

0136

したがって、ワクチンは3-20個の異なる修飾又は非修飾ポリペプチド、例えば、3-10個の異なるポリペプチドで構成されていてもよい。しかしながら、通常はペプチドの数は最小、例えば1又は2個のペプチドに保たれるべきであろう。
生ワクチン

0137

免疫系への提示をもたらす第二の代替例は、生ワクチン技術の使用である。生菌ワクチン注射において、免疫系への提示は、動物に、必要なエピトープ領域をエンコードする核酸フラグメント又は完全な第一及び/又は第二の類似体で形質転換した非病原性微生物を投与することによって行われる。あるいは、微生物はそのような核酸フラグメントを組み込むベクターで形質転換していてもよい。非病原性微生物は、いずれかの適当な弱毒化細菌株(継代培養又は組換えDNA技術による病原性発現生成物の除去によって弱毒化)であってもよく、例えばマイコバクテリウム・ボビスBCG非病原性ストレプトコッカス種、大腸菌、サルモネラ種ビブリオコレラシゲラなどが挙げられる。最先端技術を用いた生ワクチンの調製法に関する考察は、例えば両者ともここに引用して組み込まれるSaliou P, 1995, Rev. Prat. 45: 1492-1496 及び Walker PD, 1992, Vaccine 10: 977-990に見ることができる。このような生ワクチンで使用される核酸フラグメント及びベクターの詳細については、以下の記載を参照のこと。

0138

ポリペプチドワクチンに関して、THエピトープ及び/又は第一及び/又は第二及び/又は第三の分子は、存在する際は、細胞関連ポリペプチド抗原に由来するアミノ酸配列に対する融合パートナーの形であってもよい。

0139

細菌性生ワクチンの別の例として、下記に記載する本発明の核酸フラグメントを非毒性ウイルスワクチンベクター内に組み込むことができる。一つの可能性としては、例えばワクシニア、MVA (修飾ワクシニアウイルス)、カナリアアビポックス、及び水痘などのポックスウイルスがある。あるいは、単純ヘルペスウイルス変異型も使用可能である。

0140

通常、非病原性の微生物又はウイルスは、動物に対して1回だけ投与される。しかし、ある場合においては、微生物を一生のうちで1回以上投与する必要があるかもしれない。

0141

また、微生物は、例えば有用なアジュバントとして記載したサイトカインなどの上記の免疫調節物質の形態で、第一、第二及び/又は第三の分子をエンコードする領域を含む核酸で形質転換することができる。この実施態様の好ましい例は、異なるオープンリーディングフレームにおいて、又は少なくとも異なるプロモーターの制御下で、類似体のコード領域と免疫調節物質のコード領域を有することを包含する。これにより、類似体又はエピトープが免疫調節物質の融合パートナーとして調製されることが回避される。あるいは、2つの異なるヌクレオチドフラグメントを形質転換剤として使用することができる。
核酸ワクチン注射

0142

ペプチドベースワクチンの標準的な投与の代替案として、核酸ワクチン注射技術("核酸免疫化"、"遺伝的免疫化"、"遺伝子免疫化" 及び "DNAワクチン注射としても知られている)は、多くの興味ある特徴を提供する。

0143

まず、従来のワクチン研究と対比して、核酸ワクチン注射は、免疫原性剤の資源消費するような大規模製造(例えば、ポリペプチドワクチン注射に必要な類似体を製造する微生物の産業規模発酵形態)を必要としない。さらに、装置の清浄化及び免疫原のリホールド(refolding)の計画の必要がない。最後に、核酸ワクチン注射は、ワクチン注射した個体の生化学的器官に依存して、導入した核酸の発現産物を製造するため、発現産物の最適な翻訳後プロセシングが起こることが期待される。これは、自己ワクチン注射の場合には特に重要である。なぜなら、上記したように、最初のB-細胞エピトープの重要なフラクションは、細胞外に露出したポリペプチド配列に由来する類似体内で保持されるべきであり、B-細胞エピトープは原則としていずれかの(生体)分子の部分(例えば炭水化物、脂質、タンパク質など)から構成できるからである。したがって、免疫原の天然のグリコシル化及び脂質化パターンは免疫原性全体に重要であり、これは免疫原を製造する宿主を有することによってもっとも確実となる。

0144

したがって、本発明の方法の重要な実施態様では、提示は、少なくとも1つのCTLエピトープ及び/又は少なくとも1つのB-細胞エピトープ、及び少なくとも1つの第一の外来THエピトープをエンコードし、発現する少なくとも1つの核酸フラグメント(別の例として、一方は少なくとも1つのCTLエピトープをエンコードし、他方は少なくとも1つの外来THエピトープをエンコードする、少なくとも2つの異なる核酸フラグメントの投与を包含する)を、APCに生体内導入することによってもたらされる。好ましくは、これは上記第一類似体をエンコードし、発現する核酸フラグメントを使用して行われる。第一類似体が上記THエピトープ及び/又は第一及び/又は第二及び/又は第三の分子を備えている場合には、これらは細胞関連ポリペプチド抗原に由来するアミノ酸配列への融合パートナーの形態で存在する。融合構築物は、核酸フラグメントによってエンコードされる。

0145

従来のワクチン注射研究に関して、核酸ワクチン注射は、第二の類似体をエンコードし、発現する少なくとも1つの核酸フラグメントのAPCへの生体内導入と組み合わせることができる。第一、第二及び第三の分子ならびにTHエピトープに関する考察もまた、これに当てはまる

0146

本実施態様において、導入された核酸は、のDNA、荷電又は非荷電脂質で製剤化したDNA、リポソームで製剤化したDNA、ウイルスベクターに含めたDNA、トランスフェクション促進タンパク質又はポリペプチドで製剤化したDNA、標的タンパク質又はポリペプチドで製剤化したDNA、カルシウム沈殿剤で製剤化したDNA、不活性担体分子と結合したDNA、ならびにアジュバントで製剤化したDNAの形態になり得るDNAであることが好ましい。これに関して、従来のワクチン製剤におけるアジュバントの使用に関するほとんど全ての考察が、DNAワクチンの製剤化に適用されることに留意されたい。したがって、ポリペプチドベースワクチンに関連したアジュバントの使用に関する全ての開示は、必要な変更を加えて、核酸ワクチン注射技術におけるその使用に適用される。同様のことが、投与製剤、投与方法及び投与経路に関するその他の考察にも当てはまる。したがって、従来のワクチンに関して上記した全ての考察もまた、必要な変更を加えて、核酸ワクチン注射技術におけるその使用に適用される。

0147

核酸ワクチン製剤の特に好ましい型の一つは、DNA含有微粒子である。適当な微粒子は、例えばWO 98/31398に記載されている。

0148

さらに、免疫化剤として使用される核酸は、例えば有用なアジュバントとして論じたサイトカインのような上記免疫調節物質の形態で、第一、第二及び/又は第三の分子をエンコードする領域を含むことができる。この実施態様の好ましい例には、異なるオープンリーディングフレーム中又は少なくとも異なるプロモーターの制御下で類似体をコードする領域と免疫調節物質をコードする領域を有することが包含される。これにより、類似体又はエピトープが免疫調節物質に対する融合パートナーとして製造されることが回避される。あるいは、2つの異なるヌクレオチドフラグメントを使用することができるが、これは両方のコード領域が同一分子に含まれる際に確実に同時発現されるという利点から、あまり好ましくない。

0149

通常の状況では、ワクチンの核酸は、発現がウイルスプロモーター制御下にあるベクターの形態で導入される。本発明によるベクターについてのさらに詳細な論述については、下記の記載を参照のこと。また、核酸ワクチンの製剤及び使用についての詳細な記載も利用可能である:Donnelly JJ ら、 1997, Annu. Rev. Immunol. 15: 617-648及びDonnelly JJ ら、 1997, Life Sciences 60: 163-172を参照のこと。これらの文献は両者ともここに引用して組み込まれる。

0150

この発明の重要な一部は、細胞関連ポリペプチド抗原由来のエピトープに結合したMHCクラスI分子を示す細胞に対し動物中でCTL応答を誘発できる、動物で免疫原性が弱いかもしくは非免疫原性である細胞関連ポリペプチド抗原の適切な免疫原性類似体の新規な選択方法に関する。この方法は、
a)知られ又は予測されるCTLエピトープを含有しない細胞関連ポリペプチド抗原のアミノ酸配列の少なくとも1つのサブ配列を同定し、
b)工程a)で同定された少なくとも1つのサブ配列内の位置で、動物に外来の少なくとも1つのTHエピトープを、細胞関連ポリペプチド抗原のアミノ酸配列に導入することにより、細胞関連ポリペプチド抗原の少なくとも1つの推定上の免疫原性類似体を調製し、かつ
c)動物中でCTL応答を明らかに誘発しうる工程b)で調製した類似体(類)を選択する
工程からなる。

0151

あるいは、上記の選択方法には、核酸ワクチン注射のための核酸フラグメントの調製が含まれる。その場合、エンコードされたペプチドが、少なくとも1つのT
Hエピトープを含有する必要がある。

0152

類似体が、細胞外相に曝された抗原由来である場合、工程a)で同定したサブ配列が、さらにシステイン残基を含有しないか、あるいは工程b)で導入したTHエピトープがシステイン残基のパターンを実質的に変更しないことが好ましい。この方法により、B-細胞エピトープの空間的は保持が促進され、弱い細胞関連性ポリペプチド抗原においてB-細胞エピトープに類似する構築物が得られる。

0153

同様の理由から、工程a)で同定したサブ配列が、知られ又は予測されるグリコシル化部位をさらに含有しないか、又は工程b)で導入したTHエピトープがグリコシル化パターンを実質的に変更しないことが好ましい。

0154

ある弱い細胞関連ポリペプチド抗原は、異常生理学的役割を有することにより、望ましくない作用を引き起こす。これらの作用がワクチン注射構築物により引き起こされないことが望ましく、従って、工程a)で同定したサブ配列が、細胞関連ポリペプチド抗原により引き起こされる異常生理学的作用に著しく寄与すること、及び、工程b)での外来のTHエピトープの導入により、上記異常生理学的作用が低減又は解消されることが好ましい。この方法の一例としては、酵素、ホルモン又はサイトカインの活性部位を取り除き、これを外来 THエピトープで取り替えることが挙げられる。

0155

別の重要な考察は、ワクチンのポリペプチド生成物と、病理学に関係のない他自己タンパク質との免疫交差反応の問題に関する。このような交差反応は好ましくは回避されるべきであり、従って、この発明の方法の重要な一実施態様は、工程a)で同定したサブ配列が、動物の異なるタンパク質抗原のアミノ酸配列に相同し、かつ、工程b)でのTHエピトープの導入により、その相同性が実質的に除かれる様態である。

0156

この実施様態と関係する様態は、1)細胞外相に正常に曝されず、かつ2)弱い細胞関連ポリペプチド抗原のB-細胞エピトープを構成し得るアミノ酸配列が、いずれも類似体中に保存されないものである。これは、かかるアミノ酸配列を完全又は部分的に除くことにより、B-細胞エピトープを構成しないTHエピトープと取り替えることによって達成され得る。

0157

一方、弱い細胞関連ポリペプチド抗原の「真の」B細胞エピトープはいずれも高程度で保存されていることが好ましく、従って、この発明の選択方法の重要な実施様態には、工程b)での外来THエピトープの導入により、細胞関連ポリペプチド抗原のB-細胞エピトープの実質的フラクションが保存されることが含まれる。類似体が、細胞関連ポリペプチド抗原の全体的な三次構造を保存することが特に好ましい。

0158

工程b)での調製は、好ましくは、分子生物学的手段又は固相もしくは液相ペプチド合成により行う。短いペプチドは、好ましくは、固相もしくは液相のペプチド合成の周知技術により調製する。しかしながら、この技術の最近の進歩により、これらの手段による全長ポリペプチド及びタンパク質の製造が可能となり、従って、合成手段による長い構築物の調製もこの発明の範囲に含まれる。

0159

上記にしたがって有用な類似体を同定した後、その類似体を大規模に製造することが必要である。ポリペプチドは、当該分野で周知の方法により調製される。

0160

これは、上記方法により選択した類似体をエンコードする核酸配列をベクターに導入し、そのベクターで適切な宿主細胞を形質転換することにより、形質転換細胞を調製する第一の工程からなる分子生物学的手段によって行うことができる。次の工程は、その形質転換細胞を、細胞関連抗原の類似体エンコードする核酸フラグメントの発現を促進する条件下で培養し、次いで培養上清液から又は直接に例えば溶解産物の形態の細胞から、類似体を回収することである。あるいは、類似体は、大規模な固相又は液相ペプチド合成により調製することができる(上記参照)。

0161

最終的に、宿主細胞として選択した細胞又は用いた合成法に応じて、生成物を、人為的な翻訳後修飾に付してもよい。これらは、当該技術分野において既知の再生(refolding)スキーム、グリコシル化のための又は所望でない融合パートナー除去のための酵素処理化学修飾(グリコシル化を再度行うことも可能)、及び例えば従来の担体分子との接合であってもよい。

0162

この発明の好ましい類似体(及びこの発明の方法に用いられる関連する類似体)は、ポリペプチド抗原又は少なくとも10アミノ酸長のポリペプチドのサブ配列と配列が少なくとも70%同一のポリペプチドを生じる修飾を含むことが留意される。より高い配列同一性、例えば少なくとも75%又は少なくとも80%もしくは85%が好ましい。タンパク質及び核酸の配列同一性は、(Nref-Ndif)・100/Nref(式中、Ndif は、アラインしている際の2つの配列における非同一残基総数、Nref
は一方の配列における残基数)として計算され得る。従って、DNA配列AGTCAGTCは、配列AATCAATC (Ndif=2及びNref=8)と75%の配列同一性を有する。
この発明の方法に特異的な標的例

0163

上述のように、好ましい弱い細胞関連ポリペプチド抗原は腫瘍関連抗原である。これらの非制限的なリストを以下の表に示す。

0164

以下に、幾つかの特異的腫瘍関連抗原を詳細に説明する。
前立腺-特異的膜抗原、PSM

0165

合衆国において、前立腺癌は第二位の癌死因であり(年間約40,000件)、年間200,000人の患者が診断されている(Boring 1993年)。約11人の男性のうち1人が、最終的に癌を発症する。さらに、前立腺患者の約40-60%が、この疾病に関し前立腺外への拡張を生じている(Babaian 1994年)。この発明の主要な戦略は、前立腺切除術補助治療として治療ワクチンを用い、残存腫瘍組織及び転移を除くことである。

0166

良性増殖(BPH)、感染症前立腺炎)及び新形成(前立腺癌)を含むいくつかの病理状態は、前立腺に位置する。

0167

前立腺癌の生物学的攻撃性は多様である。幾人かの患者では、検出された腫瘍が潜在的な組織学的腫瘍にとどまり、臨床的に有意な状態にはならない。他の患者では、腫瘍は急速に進行、転移し比較的短期間(2-5年)で患者を死に至らしめる。

0168

前立腺癌の現在の主な治療法は、前立腺切除術である。しかしながら、前立腺癌細胞は広範に広がっているため、前立腺癌患者の大部分が局所的手術治癒しない。制限されない(non-confined)疾病の患者は最終的に全身性アンドロゲン除去療法を受けるが、アンドロゲン除去が転移疾病の標準的療法となってから過去50年間にわたって、前立腺癌の年間死亡率は全く低下していない。

0169

PSMは、良性及び悪性前立腺組織に非常に特異的な膜タンパク質であるが、PSMの発現は、腎臓組織及び腎臓腫瘍小腸、脳及び腫瘍新脈管系のような他の組織にも見られる。従って、手術が成功した場合、前立腺切除術を受けた癌患者は理論上、残存する悪性前立腺腫瘍組織又は腫瘍由来転移部位にPSMを発現するはずである。PSMに対する強いCTL応答及び/又は強いポリクローナル抗体応答を誘発することにより、残存する腫瘍組織を除けるものと考えられる。

0170

興味深いことには、PSM発現のアップレギュレーションが、前立腺癌患者のアンドロゲン除去療法後に見られる(Wright 1996年)。このため、PSM-標的処置は、従来のアンドロゲン除去療法につぐ非常に適切な療法であると言えよう。

0171

PSMは、単離したヒト前立腺癌細胞LNCaPに対してモノクローナル抗体7E11-C5.3を発生させた結果として、1987年に初めて同定された(Horoszewicz 1987年)。この抗体は、正常及び悪性双方の前立腺上皮組織を認識し、1993年、PSMタンパク質のアミノ酸配列を精製して決定し、最終的に遺伝子をクローンするのに用いられた(Israeli 1993年)。

0172

PSMは、核酸配列から予想されたように、分子量84kDのII型トランスメンブラン糖タンパク質であるが、グリコシル化型は観察された分子量100-120kDを有する。PSMをエンコードする配列をシーケンシングすることにより、3つのサイトゾルアルギニンアンカー残基に結合した推定上の膜間領域が判明した。PSMの細胞外部分はタンパク質の全750アミノ酸のうち707個を構成しているが、細胞質ドメインは19アミノ酸長であることが予想される(Israeli 1993年)。PSM-特異的mRNAが前立腺腫瘍組織において検出され(Israeli 1994年)、腫瘍抗原が、例えばTn-腫瘍抗原又はsTn-腫瘍抗原のケースのような異常型グリコシル化タンパク質でないことが示された。

0173

PSMの全長cDNAを、PSM陰性ヒト前立腺癌細胞系、PC-3にトランスフェクトし、発現させた(Kahn 1994年)。さらに、全長(2.65キロベース)のcDNA を生体外転写、翻訳した(Kahn 1994年)。

0174

PSMが、N-アセチル化α-結合酸性ジペプチダーゼNAALADアーゼ)に類似の加水分解活性を有することが最近実証され、事実上、2つのタンパク質が同一であることが実証された。NAALADアーゼは神経系の膜結合ヒドロラーゼであり、ニューロペプチドN-グルタミン酸アセチルアスパルチル(NAAG)を異化代謝して、それによりグルタマテルジー(glutamatergic)シグナルプロセスに影響を及ぼす。PSMのこの活性が、なんらかの関連生物学的機能を有するか否かは未だ不明である。

0175

CTLにアクセス可能な他のタンパク質又は抗体との望ましくない交差反応が、PSM-特異的免疫応答を誘発する自己ワクチン治療の後に期待されるか否かを予測することは幾分重要である。PSM遺伝子のコード領域の一部(アミノ酸位置418-567)は、ヒトトランスフェリン受容体に54%の相同性を有することが分かっている(Israeli 1993年)。また、NAALADアーゼ酵素との完全な配列同一性が見出されている(上記参照)。他の既知のペプチダーゼと機能的に関連している類似性は、同定されていない。

0176

トランスフェリン受容体との相同性は非常に低く、この発明の構築物の幾つかでは破壊されていることが好ましい。一部では、血液-脳障壁を貫通する抗体及びCTLの能力が低いため、ヒトNAALADアーゼを用いて観察された配列同一性がPSM-ワクチンの障害になるとは予想されない。概して、大部分のPSM-様構築物を用いても、患者における他のタンパク質と重い(prohibitive)な交差反応が生じるとは考えられない。

0177

先の研究から、PSMが大部分の前立腺癌細胞及び前立腺由来の被試験転移部位に発現することは明白である。さらに、前立腺でないヒト癌細胞系のラージパネル(large panel)はもとより、種々の組織の癌腫肉腫及びメラノーマのような他の殆どの被試験癌が、PSM陰性であることが判明している。

0178

これに加え、非常に多数の他の組織が、PSM陰性であることが見出されている。これらには、結腸乳房卵巣肝臓膀胱子宮気管支脾臓膵臓、舌、食道甲状腺副甲状腺副腎、リンパ節、大動脈大静脈、皮膚、乳腺及び胎盤が含まれる。しかしながら、RT-PCRにより、これらの組織の幾つかでPSMmRNAが存在することが判明している。

0179

PSMは主に、前立腺組織に膜結合分子として見出されているが、少量のPSMは、正常な個体の血清中に検出することができ、高いレベルでは前立腺癌患者に検出することができる(Rochon 1994, Murphy 1995)。従って、これらの患者において循環しているPSMレベルにより、PSMワクチンの有効性を血清学的モニターすることができる。

0180

結論としては、現時点において入手可能な全体のデータに基づいた場合、PSMは、ヒト前立腺組織及びそれに由来する腫瘍に非常に特異的な抗原である。これは、前立腺切除術を受けた患者において、PSMが、腫瘍準-特異的な自己抗原であることを意味する。従って、有効なPSMワクチンは主に、前立腺組織又は前立腺由来の転移組織を標的にするものと考えられる。

0181

実施例1から明らかなように、この発明の方法は、好ましくは、外来の TH-細胞エピトープを、SEQID NO: 2の位置16-52及び/又は87-108及び/又は210-230 及び/又は269-289 及び/又は298-324 及び/又は442-465 及び/又は488-514 及び/又は598-630 及び/又は 643-662 及び/又は 672-699で定義されるPSMアミノ酸配列の一部に導入することを伴う。さらに、これらの位置に導入された外来THエピトープを有する修飾PSM分子も、この発明の一部である。

0182

従って、この発明は、全ての知られかつ予測されるCTLとPSMのB-細胞エピトープの実質的な部分からなり、かつここで説明される少なくとも1つの外来THエピトープを含む、ヒトに免疫原性であるヒトPSMの類似体にも関する。好ましい PSM 類似体は、少なくとも1つの外来THエピトープが、PSMアミノ酸配列での挿入又はPSMアミノ酸配列の一部の置換又はPSMアミノ酸配列の一部の欠失の結果として存在している類似体であり、最も好ましい類似体は、外来の TH-細胞エピトープが、SEQID NO: 2の位置16-52及び/又は87-108及び/又は210-230 及び/又は269-289 及び/又は298-324 及び/又は442-465 及び/又は488-514 及び/又は598-630 及び/又は 643-662 及び/又は 672-699で定義されるPSMアミノ酸配列の一部に導入されている類似体である。
ヒト絨毛性ゴナドトロピンHCG

0183

マーカーと悪性表現型との関係は、数十年にもわたり議論されている。このようなマーカーの少なくとも1つであるヒト絨毛性ゴナドトロピンβ(hCGβ)が多くの種々の組織学的由来を持つ癌細胞一貫して検出されること、及びこのタンパク質の発現が、強化される転移特性としばしば相関していることが、増大しつつあるデータにより示唆されている。この可溶性タンパク質に対する体液性免疫応答は、腫瘍拡大の可能性を減じ、かつ/又は術後の新たな原発性増殖の再発を抑制し得る。

0184

ヒト絨毛性ゴナドトロピンは、生殖発現及び胎児生存の重要なレギュレーターである卵胞刺激ホルモンFSH)、甲状腺刺激ホルモンTSH)及び黄体形成ホルモン(LH)を始めとする糖タンパク質ホルモンファミリーに属する。このファミリーのホルモンのメンバーは、共通のα鎖を共有するヘテロ二量体である。β鎖は各ホルモンに固有で特異性を付与し、LHのβ鎖は、hCGβに対する配列相同性が最も高い(約80%)。hCG-ホロ(hCG-holo)の見かけの分子量は37kDで、その1/3は炭水化物で構成される。翻訳後の糖修飾には、N結合及びO結合の炭水化物が含まれる。豊富シアル酸残基が存在し、これらにより、タンパク質に大きな負の電荷が生じる。hCG-ホロの結晶構造は、解明されている(Lapthorn ら,1994)。

0185

その結晶構造に基づき、hCGが、PDGF及びTGFβを含む成長因子のファミリーに相同性を示すことが見出された(Lapthornら, 1994)。これは、hCG発現が癌細胞増殖の調節に役立ち得ることを示唆している。

0186

ヒト絨毛性ゴナドトロピンは、受胎後まもなく胎盤合胞体栄養細胞により産生される糖タンパク質ホルモンで、妊婦の懐胎を成功するのに必須である。

0187

癌塊の発達又は維持における胚マーカーの異常生理学上の役割は、未知である。しかしながら、注目すべきことに、トロホブラスト(これらのタンパク質が通常産生される部位)は、癌細胞の必要な性質である血管由来特性及び侵襲特性を有する。さらに、hCG(又はそのサブユニット)が、胎児組織に対する母性の細胞性免疫応答を阻害できることが示唆されている。例えば、hCGがT細胞応答を直接的に抑制することが研究により報告され(Jacob, 1984)、(この場合には)原発性のメラノーマ腫瘍を排出するリンパ節が免疫抑制されるため、転移腫瘍の確立により好適な環境が生じることが提案されている。結論として、hCGβ発現が、癌細胞の第二リンパ系器官への伸張を助長し得る。最後に、上記のように、hCG と多数の成長因子との構造的相同性が実証されている。従って、癌細胞によるhCG分泌が、腫瘍増殖に有利に働く可能性もある。
hCGβの発現は、多くの種々のタイプの癌に見られる:例えばa)前立腺癌:組織部でのhCGβ陽性が、腫瘍の組織学的グレードに係わりなく予後の悪い患者に見られた(Sheaffら, 1996)、b)種々の肺癌腫:扁平上皮細胞SQCC)、腺癌(AC)、及び大細胞(LCC)の全てがhCGβに高い反応性割合を示した(Boucherら, 1995)、c)膵臓腺癌(Syrigosら, 1998)、d)神経芽腫、脳癌、網膜芽腫(Acevedoら, 1997)、e)悪性メラノーマ(Doiら, 1996)、f)膀胱癌腫(Lazarら, 1995)。最近の論文には、hCGβ発現構築物を用いてマウスを免疫化するDNA法が記載されている(Geisslerら、1997)。この生体内モデルにおいては、腫瘍増殖の阻害はCTL-活性と強く関連していたが、(細胞受容体において完全なhCGの生物学的影響中和した)高い力価の抗体も検出された。

0188

hCGの免疫原としての用途は、避妊ワクチンとしての用途に焦点を絞ったいくつかの論文に記載されている(Talwarら、1976及びTalwar ら、1994)。hCG-ホロに対するワクチンを用いた避妊臨床試験において、極めて高い効力と安全性が認められている(Talwarら、1994)。ジフテリアトキソイドに接合したhCGβの合成カルボキシ末端ペプチドに対するワクチンを用いた癌患者の相I臨床試験も行われ(Triozziら、1994)、相II試験も進行中である。癌ワクチン標的としてhCGβを使用するという構想が以前より存在しているという事実にも係わらず、それはAutoVac技術との関連では研究されていない。

0189

非-胚組織由来細胞又は良性新生物は、hCGβを発現しないことが知られている。従って、この分子に対してワクチン注射から副作用が生じる可能性はないはずである(妊娠に関する影響は別として)。この分子は、非常に多種の癌で発現されるため、「最終的な癌生体マーカー」であることを提案されており(Acevedoら、 1995及びRegelson W., 1995)、それ自体追求すべき魅力的な標的であろう。

0190

hCGベースのワクチンの効力をさらに研究するための適当な動物モデルは、AcevedoらのCancer Det. and Prev. Suppl. (1987) 1: 477-486、及びKellenらのCancer Immunol. Immun.Ther. (1982) 13: 2-4に見出すことができる。
Her2

0191

チロシンキナーゼ受容体Her2及びEGFrは、正常細胞の悪性形質転換及び癌細胞の連続増殖に重要な役目を果たすと考えられている。過剰発現は通常、非常に弱い予後をもたらす。これらの受容体の一方又は両方を過剰発現する癌の治療として、これらの受容体に対する抗体を用いたことに関する報告が過去数年間に多数なされている。Genentech Inc.は、Her2に対するモノクローナル抗体を用いて、乳癌患者に対する幾つかの臨床試験に成功し、最近、抗-Her2モノクローナル抗体製剤、Herceptin(登録商標)の市販化のためFDAの承認を得た。

0192

Her2分子に適用されるようにここで開示される自己ワクチン技術は、優勢にHer2と反応するポリクローナル抗体を誘発する。このような抗体は、転移細胞が転移部位に広がるのを妨げると同時に腫瘍細胞を攻撃し除去することが予想される。この抗腫瘍作用のエフェクター機序は、補体及び抗体依存性細胞毒性作用により仲介される。

0193

構築物の選択に応じて、誘発された自己抗体も、受容体のオリゴ二量体化及びインターナリゼーションに依存する成長因子抑制を介して癌細胞の増殖を抑制し得る。さらに、最も重要なことには、Her2類似体は、腫瘍細胞により示される、知られかつ予測されるHer2エピトープに対するCTL応答を誘発しうるものと予想される。

0194

Her2は、現時点において4個の異なる受容体:c-erbB-1(EGFr)、c-erbB-2(Her2、c-Neu)、c-erbB-3及びc-erbB-4から構成される上皮成長因子受容体ファミリー(c-erbB)のメンバーである(Salomonら、1995)。C-erbB-3及びc-erbB-4は、EGFr及びHer2よりも特徴づけが十分に行われていない。Her2は、内在性糖タンパク質である。成熟タンパク質は分子量185kDを有し、EGFr受容体によく似た構造上の特徴を持つ(Prigentら、1992)。EGFrも、1つのサブユニットから構成される内在性膜受容体である。それは見かけの分子量170 kDを有し、621アミノ酸の表面リガンド結合ドメイン、23アミノ酸の単一疎水性トランスメンブランドメイン、及び542アミノ酸の高保存細胞チロシンキナーゼドメインから構成されている。このタンパク質は、N-グリコシル化されている(Prigentら、1994)。

0195

このファミリーのタンパク質は全て、チロシンキナーゼである。リガンドとの相互作用により受容体の二量体化が生じ、チロシンキナーゼの触媒作用が向上する(Bernard. 1995, Chantry 1995)。このファミリーに含まれるタンパク質は、活性に重要なホモ及びヘテロの二量体化をすることができる。EGFrは成長促進作用を伝達し、細胞によるグルコース及びアミノ酸を取り込みを刺激する(Prigentら、1992)。Her2も、成長促進シグナルを伝達する。EGFrのみが、EGF及びTGF-αに結合する。これらのリガンドは、ファミリーの他の受容体には結合しない(Prigentら、1992)。Her2のリガンドは、十分に決定されていない。しかしながら、ヒレグリンがHer2を活性化してリン酸化を誘導することは示されている。これは、受容体との直接結合によるものではなく、ヒレグリンがerbB-3及びerbB-4のリガンドであり、オリゴ二量体化によりHer2を活性化するためと考えられる(Solomonら、1995)。

0196

EGF受容体ファミリーのタンパク質間の相同性は、分子の細胞質部分のチロシンキナーゼドメインにおいて最も明らかである(EGFrとHer2とで82%)。細胞外部分では相同性はより低く、種々のドメインにおいて41%〜46%である(Prigentら、1992)。

0197

上皮成長因子受容体は正常組織では少量発現するが、種々の型の癌では過剰発現する。EGFrは、乳癌(Earpら、1993, Eppenberger 1994)、神経膠腫(Schlegeら、1994)、胃癌(Tkunagaら、1995)、皮膚扁平上皮癌腫(Fujii 1995)、卵巣癌(van Damら、1994)及びその他において過剰発現する。Her2もごく少数ヒト組織で少量発現し、分泌上皮で最も特徴的に発現する。Her2の過剰発現は、乳癌、胃癌、膵臓癌、膀胱癌及び卵巣癌の約30%で生じる。

0198

これらの受容体の発現は、腫瘍の分化の程度及び癌の型に応じて異なり、例えば、乳癌においては、原発性腫瘍により両方の受容体が過剰発現し、胃癌においては、転移腫瘍の後期に過剰発現が起こる(Salomonら、1995)。癌腫細胞で過剰発現する受容体数は、患者から単離した幾つかの頭頚部癌外陰癌系、乳癌及び卵巣癌の系では細胞1個当たり106より多い(Deanら、1994)。

0199

EGFrファミリーの受容体が腫瘍免疫療法で適当な標的となる理由は幾つかある。第一は、それらが種々の型の癌で過剰発現し、腫瘍に対する免疫応答が行われるはずである、ということである。第二は、腫瘍がこのファミリーの受容体のリガンドをしばしば発現又は過剰発現し、なかには、リガンドに媒介された増殖作用過敏なものがあることである。第三は、成長因子受容体を過剰発現する腫瘍を持った患者の予後が、しばしば悪いことである。過剰発現は、特に乳癌、肺癌及び膀胱癌での予後の悪さに密接に結びついており(2)、従来の治療法にはむしろ無反応侵襲性/転移性の表現型に明らかに関連している(Ecclesら、 1994)。

0200

Her2の過剰発現には、遺伝子増幅の結果である場合と、転写及び翻訳が増した結果である場合とがある。Her2の過剰発現は、乳癌、卵巣癌、胃癌、膀胱癌、及び可能性として考えられる小さくはない細胞の肺癌での予後の悪さに関連している(Solomon ら、1995)。

0201

相I臨床試験が、乳癌及び卵巣癌の進行した患者の二重特異性抗体を用いて実施された。この抗体は、Her2及びFcγRIに二重特異的であった(Weinerら、1995)。Her2を過剰発現する腫瘍細胞の効率のよい溶解は、Her2及びCD3に対する二重特異性抗体を用いて観察された(Zhuら、1995)。

0202

ヒト胃癌を異種移植されたSCIDマウスを抗Her2モノクローナル抗体で治療することにより、マウスの寿命が延びた(Ohniskiら、1995)。Her2に対するモノクローナル抗体の生体外及び生体内での抗腫瘍活性は、同一機序によるものではない。それらは、部分的なリガンドアゴニストとして作用し、Her2受容体の代謝回転とリン酸化を変え、二量体化に影響を及ぼし得る(Lupuら、1995)。

0203

同様にEGFrに対する抗体も成長因子相互作用に干渉することが分かった(Baselgaら、1994、Modjahediら、1993a、Wuら、1995、Modjahediら、1993b、Tosiら、1995、Deanら、1994、Bierら、1995、Modjtahediら、1996、Valone 1995)。

0204

それ故、発明の方法の重要な実施態様は、外来T-細胞エピトープがSEQID NO: 3 の位置 5-25 及び/又は 59-73 及び/又は 103-117 及び/又は 149-163 及び/又は 210-224 及び/又は 250-264 及び/又は 325-339 及び/又は 369-383 及び/又は 465-479 及び/又は 579-593 及び/又は 632-652 及び/又は 653-667 及び/又は 661-675 及び/又は 695-709 及び/又は 710-730によって定義されるHer2アミノ酸の一部に導入されるものである(実施例参照)。

0205

従って、発明はまた、ヒトで免疫原性のヒトHer2の類似体に関し、前記類似体は、Her2の知られかつ予測されるすべてのCTL及びB-細胞エピトープの実質的部分からなり、ここに記載する外来THエピトープを少なくとも1つ含む。前記少なくとも1つの外来THエピトープは、Her2アミノ酸配列への挿入又はHer2アミノ酸配列の一部の置換又はHer2アミノ酸配列の一部の欠失の結果として存在することが好ましい。もっとも好ましい類似体は、上記に定義したもの、即ち、外来T細胞エピトープがSEQID NO: 3 の位置5-25 及び/又は 59-73 及び/又は 103-117 及び/又は 149-163 及び/又は 210-224 及び/又は 250-264 及び/又は 325-339 及び/又は 369-383 及び/又は 465-479 及び/又は 579-593 及び/又は 632-652 及び/又は 653-667 及び/又は 661-675 及び/又は 695-709 及び/又は 710-730によって定義されるHer2アミノ酸配列の一部に導入されるものである。
FGF8b

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