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技術 ランゲルハンス細胞遊走を誘導する局所的免疫刺激

出願人 トレイパインズインスティチュートフォーモレキュラースタディーズ
発明者 コーウィング,キャロルオー.
出願日 1998年4月20日 (21年10ヶ月経過) 出願番号 2000-544317
公開日 2002年4月23日 (17年10ヶ月経過) 公開番号 2002-512186
状態 不明
技術分野
  • -
主要キーワード 低周波音波 ピーク度数 保護角 発明者他 両エステル 的空洞 電場パルス ジプロピルフタレート
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図面 (8)

課題・解決手段

抗原またはその一部を、皮膚透過のエンハンサーおよびランゲルハンス細胞遊走誘導物質と組み合わせて局所的に投与することにより、抗原に対する免疫応答を増大させる方法を開示する。

概要

背景

概要

抗原またはその一部を、皮膚透過のエンハンサーおよびランゲルハンス細胞遊走誘導物質と組み合わせて局所的に投与することにより、抗原に対する免疫応答を増大させる方法を開示する。

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請求項1

哺乳動物腫瘍に対して免疫応答を高める局所的方法であって、前記哺乳動物の表皮または粘膜部位に、腫瘍抗原と、表皮または上皮を通しての腫瘍抗原の透過を高める親油性溶媒との混合物を含む第1組成物投与する段階と、第1組成物の投与後に該表皮または粘膜に、ランゲルハンス細胞遊走誘導物質を含む第2組成物を投与する段階とを含む、哺乳動物の腫瘍に対して免疫応答を高める局所的方法。

請求項2

前記腫瘍抗原は、長さ約3〜20個のアミノ酸残基ペプチドである、請求項1記載の局所的方法。

請求項3

前記ペプチドは、長さ8〜14個のアミノ酸からなる、請求項2記載の局所的方法。

請求項4

前記ペプチドは、約1μg/ml〜約100mg/mlの範囲の濃度にて投与される、請求項1記載の局所的方法。

請求項5

前記親油性溶媒は、対称性または非対称性アルキルスルフィドおよびアルキルスルフォキシドからなる群から選択され、該アルキル基は、1〜16個の炭素原子を含む、請求項1記載の局所的方法。

請求項6

前記親油性溶媒は、ジメチルスルフォキシドである、請求項1記載の局所的方法。

請求項7

前記ランゲルハンス細胞遊走の誘導物質は、下記式の化合物を含む、請求項1記載の局所的方法。

請求項

ID=000003HE=051 WI=153 LX=0290 LY=0300(式中、R3およびR4は結合して環式環を形成してもよく、また、R1およびR2は独立して1〜16個の炭素原子を含むアルキル側鎖である。)

請求項8

請求項9

前記ランゲルハンス細胞遊走の誘導物質は、低周波超音波である、請求項1記載の局所的方法。

請求項10

前記ランゲルハンス細胞遊走の誘導物質は、ジブチルフタレートである、請求項1記載の局所的方法。

請求項11

前記第2組成物は、さらに有機溶媒を含む、請求項1記載の局所的方法。

請求項12

前記有機溶媒は、対称性または非対称性ジアルキルケトンからなる群から選択され、該アルキル基は1〜16個の炭素原子を含む、請求項11記載の局所的方法。

請求項13

前記有機溶媒は、アセトンである、請求項11記載の局所的方法。

請求項14

哺乳動物においてランゲルハンス細胞遊走を高める局所的方法であって、前記哺乳動物の表皮または粘膜部位に、有効量のランゲルハンス細胞遊走の誘導物質を投与する段階を含む、哺乳動物においてランゲルハンス細胞遊走を高める局所的方法。

0001

[発明の背景
病原体に対する身体の防御第一線は、皮膚である。最外層である角質層は、厚さが20〜30細胞層である広い領域である。角質層を含む死滅細胞残遺物は、ほとんどケラチン原線維で完全に埋まり、かつ高度に配列された脂質二重層により包囲されている。表皮破れないかぎり、厚くケラチン化した角質層は、ほとんどの外来物質の透過に対して強力な物理的障壁を呈する。消化管呼吸管尿路および生殖管にある粘膜は、類似しているが、厚い角質層を欠き、さほど強力な物理的障壁をもたらさない。

0002

皮膚および粘膜の双方にある上皮下層には、ランゲルハンス細胞と呼ばれる未成熟樹状細胞が多く集まっている。角質層中の物理裂け目を通って表皮のより低い層へ入り得る抗原捕捉するために、これらの食細胞白血球が保たれている。皮膚が物理的に外傷を受けた後には、ランゲルハンス細胞を上皮から離し、輸入リンパ管を通り、リンパ節遊走するように誘導するシグナルが発生し、保護角質層に透過した、いかなる抗原(すなわち、ウイルス性細菌性寄生物性、アレルギー性)をもそれらととともに運ぶ。非常に小さな親油性分子および例えばTNCB、毒ヅタカテコール、オキサゾロンなどの皮膚感作薬として公知である、いくつかの高反応性分子は、無傷の角質層に透過し、次いで、表皮根底にあるタンパク質と結合し、ランゲルハンス細胞を活性化し得る。

0003

捕捉されたタンパク質抗原は、内部移行し、ランゲルハンス細胞により分解されて、MHC分子ペプチド結合溝中へ導入される小さなペプチドを生じる。次いで、MHCペプチド複合体は、T細胞受容体提示するための血漿膜中へ挿入される。リンパ節へ遊走する間に、ランゲルハンス細胞は成熟リンパ球様樹状細胞へ分化し、食細胞性を失い、代わって、高濃度MHCクラスIおよびII分子ならびに共刺激性および接着分子発現する。これらは有効な抗原提示に必須である(Udey, Clin. Exp. Immunol. 107:6-8, 1997) 。いまやランゲルハンス細胞は上皮から排出リンパ節のT細胞領域へ遊走することが周知であるが、ランゲルハンス細胞の遊走および分化を誘導するシグナルについては、比較的わずかにしか知られていない。とにかく、リンパ節中で一度、MHC−ペプチド複合体を有する分化ランゲルハンス細胞は、原始CD4+ヘルパーT細胞およびCDB+細胞溶解性細胞を活性化する。リンパ節への新しい移住者(immigrants)である、これらの新しく分化したランゲルハンス細胞は、公知であるT細胞免疫の最も有力な誘導物質である。

0004

腫瘍抗原またはペプチドに曝露されたマウスまたはヒトの樹状細胞は、樹立(established)された腫瘍さえも排出または抑制することができる腫瘍特異的免疫の有効な誘導物質である(Young and Inaba, J. Exp. Med. 183:7-11, 1996; Zitvogel et al., J. Exp. Med. 183:87-97, 1996; Celluzzi et al., J. Exp. Med. 183:283-287, 1996;and Paglia et al., J. Exp. Med. 183:317-322, 1996; 本明細書中に参照として援用する) 。これらの研究では、骨髄または血液由来の樹状細胞を回収し、組織培養物中で成長(expand)させ、インビトロで腫瘍抗原にさらし、そして最後にドナー静脈内に再注射された。このような個別的な治療法は、適当な同系MHC分子が個人のT細胞および標的腫瘍細胞のために使用されることを確実にするために、異系交配集団において必要である。この個別的な手法は、大いに効果的であるが、非常にやっかいであり、時間がかかり、かつ費用も大きいため、広く利用される治療手段でない。
[発明の概要

0005

局所ワクチン接種手法が、抗原に対する免疫応答を高めるために開示される。腫瘍、ウイルス性および細菌性病原体ならびに寄生物由来の抗原は本発明の範囲内に包含される。この方法は、1)皮膚または粘膜を通しての抗原の透過性を高める手段、および2)リンパ節へのランゲルハンス細胞の遊走を誘導する薬剤、を結合させて用いられる抗原の投与を含む。この抗原は、好ましくは長さ3〜20個のアミノ酸残基のペプチド、およびより好ましくは、8〜14個のアミノ酸残基のペプチドである。この抗原は、好ましくは約1μg/mlから約100mg/ml の濃度範囲で投与される。

0006

抗原の透過を高める手段としては、ジメチルスルフォキシドDMSO)やアゾン(azone) などの親油性賦形剤透過エンハンサーの使用、低周波超音波電気穿孔イオン電気導入(iontophoresis)、表皮内輸送、およびこれらの組合せが挙げられる。好ましくは、角質層のペプチド透過は、物理的経皮輸送手段の1つと組み合わせたジメチルスルフォキシドによって促進される。

0007

ランゲルハンス細胞遊走を誘導する薬剤は、ジブチルフタレートジブチル−D−酒石酸、N,N−ジエチルトルアミドジブチルフマレート、ジ(2−エチルヘキシルフマレートジイソオクチルマレエート、ジエチルヘキシルマレエートジイソオクチルフマレート安息香酸塩化ベンザルコニウムショウノウ、ビヘニルマレエート、ジオクチルフタレートジブチルマレエートジオクチルマレエート、ジブチルスクシネート、ジオクチルスクシネートジノニルフタレートジイソノニルフタレートジメチルフタレートジエチルフタレートジプロピルフタレートジフェニルフタレートジベンジルブチルフタレート、およびジエチルメチルフタレートからなる群から選択される。低周波超音波もまた、ランゲルハンス細胞遊走の誘導物質として使用してもよい。好ましくは、ランゲルハンス細胞遊走を誘導するためにジブチルフタレートを投与する。
[発明の詳細な説明]

0008

本発明において、抗原は個人自身のランゲルハンス細胞に摂取させるために、局所的に投与される。親油性溶媒は、角質層を通り、そして下層の表皮中への抗原の透過を促進させるために、好ましくは含ませる。本発明の一実施形態では、低周波超音波や電場などの物理的刺激を、角質層を通しての抗原の透過を増すために、局所投与に続いて皮膚に施してもよい。皮膚への抗原の投与は、ジブチルフタレートなどのさらなる薬剤の局所的投与を伴わせ、排出リンパ節へのランゲルハンス細胞遊走を誘導する。
ジブチルフタレートによるランゲルハンス細胞遊走の誘導

0009

フルオロセイイソチオシアネートFITC)は、ランゲルハンス細胞遊走を特徴つけるために、本発明者他によって広く使用されてきた。FITCは、角質層を通過する能力を有する、小さな(分子量389)非ペプチド性の大きな親油性を有する分子である。FITCの免疫原性は、遊離アミノ基とイソチオシアネート基(−N=C=S)との反応性に基づき、タンパク質および/またはペプチドと共有結合され得る。C57BL/6マウスは下記処理を受けた:1)なし;2)腹部剪毛のみ ;3)アセトン中のFITCの局所的投与;4)アセトンおよびオリーブ油中のFITCの局所的投与;5)アセトンおよびリン酸緩衝化生食塩水PBS)で希釈したDMSO中のFITCの局所的投与;および6)アセトンおよびジブチルフタレート中のFITCの局所的投与。次いで、排出鼠蹊部リンパ節について、その後、毎日免疫蛍光フローサイトメトリーによって、遊走したランゲルハンス細胞を試験した。遊走したランゲルハンス細胞をFITCの存在および高いMHCクラスII分子の発現によって、またはランゲルハンス細胞特異的モノクローナル抗体NLDC−145)によって確認した。リンパ節における他の樹状細胞の存在物もまた、樹状細胞特異的モノクローナル抗体、33D1を使用して差別化することができた。FITCの摂取および遊走シグナルへのランゲルハンス細胞の応答は、局所的投与後6時間に、早くも排出リンパ節中に観察可能であった。しかしながら、リンパ節中への移住が最大に達するには48〜72時間を必要とした。図1は、処理後、2日目の全体およびFITC+リンパ球樹状細胞における種々に処理法の効果を説明する。アセトン中のFITCを投与した動物では、ジメチルスルフォキシド(DMSO)は非特異的遊走にわずかな刺激効果を有したけれども、オリーブ油またはDMSOによって誘導されたFITC+ランゲルハンス細胞数の増加はなかった。これは、抗原接触およびランゲルハンス細胞遊走は独立して制御されることを示唆する。ジブチルフタレートの添加は、リンパ節中へのFITC+および全樹状細胞遊走の両者に大きな効果をもたらした。すなわち、ジブチルフタレートは非常に効果的な遊走誘導物質であった。

0010

アセトンおよびジブチルフタレート中のFITCで処理したマウスにおけるランゲルハンス細胞遊走の動力学が、図2に示される。多数のFITC+ランゲルハンス細胞は12時間までにリンパ節中に存在し、かつ、移住FITC+ランゲルハンス細胞のピーク度数は、局所的投与後の約2〜3日目に生じた。しかしながら、FITC+ランゲルハンス細胞の遊走を誘導することに加えて、未標識樹状細胞の数もまた、著しく増加して、処理後、9〜10日目にピークレベルに達したことに注意されたい。未標識樹状細胞は、おそらく、FITC標識を失ったランゲルハンス細胞であるようである。局所的投与に応答する全リンパ節細胞は、図3に示される。皮膚塗布後の5日目に、リンパ節細胞集団は基準濃度の約7.2倍増加した。これらの結果は、アセトンおよびジブチルフタレート中の抗原(FITC)が抗原+ランゲルハンス細胞遊走を刺激したのみならず、排出リンパ節の劇的なT細胞およびB細胞応答を生じさせたことを示す。
ランゲルハンス細胞仲介腫瘍特異的免疫の誘導

0011

C57BL/6線腫瘍細胞系、EL4にニワトリ卵白アルブミン(OVA)の完全遺伝子を導入した。得られた導入細胞系、EG7−OVAはニワトリ卵白アルブミンを発現する。配列、SIINFEKLを有する8個のアミノ酸のペプチド、OVA257−264はMHCクラスI分子Kb中に発現される。これは、インビボおよびインビトロの双方で、CD8+CTLsに対する腫瘍結合ペプチド抗原として機能することを証明している(Celluzzi et al., J. Exp. Med. 183:283 (1996)) 。FTICを使用したポジティブな結果に基づき、同様なプロトコールに従い、本発明者らは十分に特性化された合成SIINFEKL腫瘍結合ペプチドを局所投与することにより、EG7−OVA腫瘍に免疫を誘導しようと試みた。

0012

C57BL/6マウスを次のように処理した:1)剪毛のみ;2)アセトンとジブチルフタレートを局所投与;3)PBSで希釈したDMSO中のSIINFEKL(240:g/ml) 、続いて、5時間以内にアセトンおよびジブチルフタレート;および4)アセトンおよびジブチルフタレート中のSIINFEKL(240:g/ml)。続いて、全てのマウスに5×105個のEG7−OVA細胞を皮下注射した(最小腫瘍形成量の5倍)。腫瘍特異的免疫は腫瘍の大きさを測定して調べた。図4に示す結果は、処理プロトコールのいずれもが腫瘍細胞成長を阻害することに有効でないことを示す。FITC実験から、ジブチルフタレートは有力なランゲルハンス細胞遊走の誘導物質であり、かつ、SIINFEKLは容易にMHCクラスI分子Kb中に導入され、CD8+CTLsを活性化することは周知である(Celluzzi et al., J. Exp. Med. 183:283 (1996))から、SIINFEKLペプチドは、角質層を越えなかったとの結論が下された。

0013

アセトンおよびジブチルフタレート中のSIINFEKLの局所的投与は、ペプチドが角質層に透過しなかったため、腫瘍特異的免疫を生じることができなかったと仮定されたので、同じ局所的ワクチン内に適用した。粘膜は角質層が配置される強い障壁を欠いている。図5に示される結果は、腫瘍に対する完全な保護がアセトンおよびジブチルフタレート中のSIINFEKLによって誘導されたことを示唆した。ニワトリ卵白アルブミンを欠く、EL4親腫瘍細胞系がポジティブコントロールとして使用された。EL4腫瘍細胞に対する免疫は見られなかった。すなわち、角質層への透過に関する発明者の仮説が確認された。SIINFEKLぺプチドは角質層の下層にあるランゲルハンス細胞へ届いていなかった。

0014

腫瘍抗原の膣内局所的投与は、腫瘍特異的免疫を続いて誘導するためのランゲルハンス細胞へ抗原の経路を定める有効な手段を提供していたが、膣などの粘膜状適用部位は、簡便な使用および本発明の局所的ワクチン接種を与えることに関与するであろう一般的な治療関係者モニターするには十分に適していない。すなわち、皮膚局所的投与の有効性を高めるために、SIINFEKLをDMSOへ溶解し、希釈することなく皮膚へ適用した。アセトン中のジブチルフタレートを5時間後に同じ部位へ適用した。次いで、全てのマウスに5×105個のEG7−OVA細胞を皮下注射した。図6に示す結果は、DMSO中のペプチドが角質層を通過できて、ランゲルハンス細胞へ有効に接近したことを示す。腫瘍成長は6〜9日間後に抑制され、樹立された腫瘍ですら接種後16日間に完全に取り除かれた。すなわち、角質層に透過した濃縮DMSO中の腫瘍特異的ペプチド、SIINFEKLは、表皮ランゲルハンス細胞上のMHCクラスI分子Kb中に導入され、そして、遊走誘導物質、ジブチルフタレートの存在下でリンパ節中のCD8+CTLsへ効果的にもたらされた。
抗原供給源

0015

本明細書中で使用される「抗原」とは、本発明に従って投与された場合、抗原特異的免疫を誘導可能ないかなる分子をも含む。したがって、抗原またはその断片は(1)皮膚または粘膜に透過し、(2)粘膜の表皮または上皮でランゲルハンス細胞と相互に反応し、(3)ランゲルハンス細胞上のMHCクラスIまたはII分子と全体的に、または部分的に結合し、そして(4)CD4+またはCD8+T細胞上のT細胞受容体を活性化して、抗原特異的免疫を生じることができなければならない。より詳細には、本発明の局所的ワクチン接種法は腫瘍細胞、ウイルス性および細菌性病原体および寄生物由来の抗原に対して行われる。

0016

角質層を通り、表皮中へ入るには、小さなペプチド(約3〜20個のアミノ酸残基)のほうが大きなタンパク質よりも容易であるから、小さなペプチド抗原は必須ではないが、特に好ましい。さらに、SIINFEKLのような適当な大きさのペプチドは、ペプチド交換過程で、ランゲルハンス細胞表面上のMHC分子と直接に結合するようである。その際、外来的に添加されたペプチドはこれらの内因性ペプチドと置換し、MHCクラスIまたはII分子のペプチド結合溝に対して低親和性を示すであろう。クラスIまたはIIのMHC分子と直接に結合するに適したペプチドの特性は、広く研究されている。すなわち、当業者ペプチド構造に基づいて、所与のMHCと結合するような配列を予想することが可能であろう。クラスIのMHC分子と有効に結合するペプチドは一般的に約8〜9個のアミノ酸残基を含み、一方、クラスIIのMHC分子と優先的に会合するペプチドは長さ約11〜14個のアミノ酸残基である。事実、樹状細胞上でMHC分子と直接に相互反応することができる、いくつかの抗原性ペプチドは公知であり、また標準的な技術で合成され得る。

0017

あるいはまた、特異的腫瘍結合抗原は、多くのヒト腫瘍において確認されてきたが、その関連ペプチドはしばしば未知である。けれども、粗製酸溶出腫瘍ペプチドは速やかにかつ容易に調製され得、かつ樹状細胞と会合した際に腫瘍特異的免疫の有効な誘導物質であることが示されている(Zitvogel et al., J.Exp. Med. 183:87-97, 1996)。すなわち、合成ペプチド既知均質調製物、ならびに抽出ペプチドの未知混合物は両者ともに、本発明において使用するのに適している。好適なペプチド抗原の選択および調製は、十分に当業者の技術範囲内にある。下記の特定な実施例の詳細な説明を参照。

0018

特異的免疫の誘導を行うことができる非ペプチド性免疫原性化合物もまた、本発明において有力な抗原として期待される。小さな非ペプチド性ハプテンは角質層を通った後、ペプチドまたはタンパク質と共有結合するであろう。それによって、MHC分子との結合を通じて、標準的な抗原提示経路に接近するであろう。たとえば、FITCの免疫原性はそのイソチアシネート基(−N=C=S)と遊離アミノ基との反応性によって、タンパク質および/またはペプチド内に共有結合により導入され得ることが示されている。すなわち、腫瘍細胞、病原体、寄生物、アレルゲンなどからの非ペプチド性抗原の一部分は、本発明の局所的ワクチン接種を実施する場合に使用され得る。

0019

抗原起源の選択は、本発明では重要ではなく、抗原特異的免疫性を高める一般的な方法であることに注意すべきである。しかしながら、もちろん、得られた特異的免疫応答は使用した特定の抗原に依存するであろう。開示された発明を例示する特徴は、局所的投与の方法、角質層への透過、ランゲルハンス細胞遊走の誘導およびそれに続くMHC依存経路による抗原提示(presentation)であり、個々に、あるいは組み合わされる。広範囲な起源から抗原を選択する場合に限定がないとの事実は、多くの抗原に対して抗原特異的免疫を誘導する基礎的な方法を使用することと一致している。すなわち、特定抗原およびその供給源の選択はその用途に依存するであろうし、また、免疫学分野における当業者の通常の技術範囲内にある。
角質層の透過

0020

皮膚の外層体内への外来物質の透過に抵抗するように設計されている。それはケラチノサイト細胞膜およびケラチン原線維の密に詰まった層から形成されているため、角質層はより大きな分子量のほとんどの分子、特に親水性性質を有するものを透過させない。その結果、わずかな薬剤のみが経皮的に投与されている。このような分子は一般的に小さく、また親油性である。ペプチドの経皮輸送はその親水性および一般的に大きな分子塊であることから、好ましく考えられていない。多くの研究は角質層を通してペプチドを通過させる大きな困難を報告している(Steinstrasser およびMerkle, Pharm, Acta, Helv. 70:3-24 (1995) を参照) 。ペプチド透過を高めることにおいていくつかの成功をおさめた研究の中で、親油性賦形剤、低周波超音波、電気穿孔、イオン電気導入、および表皮内輸送が含まれている。これらを以下に検討する。

0021

親油性溶媒

0022

アセトン、アゾンおよびジメチルスルフォキシド(DMSO)などの親油性溶媒は角質層に透過することが公知である。上記したように、本発明者はDMSO中に溶解したSIINFEKLなどの小さなペプチドは角質層を通り、表皮の低層に入ることを見いだした。すなわち、抗原透過エンハンサーに関する本発明の開示は、DMSO、およびアルキル基が1〜16個の炭素原子を含む対称性また非対称性スルフィドおよびスルフォキシドならびにリポソームを含む種々の親油性溶媒を包含する。

0023

DMSOなどの親油性透過剤はペプチド透過性を高めるために本発明において使用されるが、このような溶媒はそのまま投与してもよく、あるいはPBSなどの他の溶液で希釈してもよい。混合物の割合は約1:9から約9:1(透過剤対希釈剤)の範囲である。好ましくは、透過エンハンサーは希釈しない。

0024

低周波超音波

0025

Mitragotri et al.はインシュリン(分子量 6,000)、IFN−γ(分子量17,000)およびエリスロポエチン(分子量48,000)などの大きなタンパク質分子であっても、低周波超音波を使用して、約12%の効率で角質層にうまく通過させ得たことを報告している(Mitragotri et al., Science, 269:850-853 (1995);本明細書中に参照として援用する) 。超音波は非熱的空洞化効果によって皮膚上に作用して、収縮する微細な泡を作り出し、透過性を一時的に増加する。空洞化は、一般的な画像診断(2〜12Mhz)よりもより低周波音波(すなわち、約20kHz)にて生じる。両用途は約0.2W/cm2の強度を必要とする。

0026

電気穿孔

0027

Vanbever et al. は、約10%の小さな分子(分子量267)であるメトプロロールは、5回のシングル450Vパルス後に4時間の間に皮膚を通って輸送され得たと開示している(Vanbever et al., Pharm. Res. 11:1000-1003 (1994)、本明細書中に参考文献として包含する) 。電気穿孔は細胞中にDNAを入れることを目的として、細胞膜浸透化のために広く使用されてきた。ペプチドの経皮輸送は、高強度電場パルスへ皮膚を局部的にさらすことによって達成され得る。これは脂質二重層中に一時的な水溶性孔を作り出し得る。

0028

イオン電気導入

0029

Bodde et al.は時間当たり、約0.4%のバソプレシン(分子量1084)が角質層を通ったことを見い出した(Bodde et al., Biochem. Soc. Trans. 17:943-945 (1990);本明細書中に参照として援用する) 。イオン電気導入は、皮膚を低強度の電流にさらすことを含む。極性分子は電流に応じて遊走する。しかしながら、輸送は表皮を通して真皮中へ投入するまたは毛包を経由して生じると考えられている。その結果、この方法は浸透するペプチドを上皮ランゲルハンス細胞を近づかせるためには理想的には適していない。けれども、この方法は本発明の範囲内に包含される。

0030

表皮内輸送

0031

確かに、角質層は鋭い道具を使用して貫通することができる。すなわち、一般的な傾きを有する針およびシリンジを使用する表皮内注射は可能である。同様に、尖叉試験(tine test) の投薬を行うために使用されるものなどのった道具を使用した表皮内への抗原性薬剤の導入もまた可能である。このような物理的透過方法は、貫通問題を解決し、ランゲルハンス細胞へ同時に生じる遊走シグナルをも提供し得る。しかしながら、このような方法もまた、殺菌した道具や高度に熟練した健康管理人材を必要としない、容易な局所的適用などの本発明の重要な利点のいくつかには負けるであろう。さらに、透過方法の使用は、いつも感染症の危険性の増加を伴う。
ランゲルハンス細胞遊走の誘導

0032

表皮内のランゲルハンス細胞に抗原を有効に接触させることは、本発明の局所的ワクチン接種法を行うには必要であるが、ワクチン接種法に所望の強い抗原特異的免疫を誘導するには、それだけでは十分ではない。事実、本発明の開示まで非常に長い間、はっきりしないままであったのは、第2工程、ランゲルハンス細胞遊走の誘導である。上皮からリンパ節へのランゲルハンス細胞遊走の現象は、長年周知であったけれども、ランゲルハンス細胞遊走およびインビボでの分化を制御する複雑な制御経路は十分に理解されていない。さらに、ランゲルハンス細胞遊走に関する多くの一般的な誤解が明らかに存在する。たとえば、幾人かの研究者は、ランゲルハンス細胞の同時および/または連続的遊走は抗原特異的免疫には十分であると考えている(例えば、Matsuno et al., J. Exp. Med.183;1865 (1996) 参照)。この分野の他の研究者達は、接触感作抗原はそれ自体でランゲルハンス細胞遊走を誘導できる事実が、別な誘導刺激はいかなる抗原にも必要でなことを示すと考えている(例えば、Udey, Clin. Exp. Immunol.107:6 (1997) 参照)。したがって、ランゲルハンス細胞遊走を研究するために、アセトンおよびジブチルフタレート中のFITCを使用する科学者は、遊走を誘導するのは抗原(FITC)であると考えている(例えば、Tang et al., J. Immunol. 88:284 (1996)参照)。要約すれば、今日のこの分野の技術水準は、ランゲルハンス細胞遊走の外来誘導物質の存在や、高められた抗原特異的免疫におけるこのような誘導物質の役割のいずれもを期待していない。

0033

目下、ランゲルハンス細胞遊走制御の研究は、種々の細胞によるサイトカインケモカインの産生に向けられている。これはランゲルハンス細胞遊走およびインビトロでの成熟を調節するようである。たとえば、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)およびインターロイキン−1α (IL-1α) は、インビトロ成熟を仲介し得る(Larregina et al., Immunology 87:317-325 1996)。腫瘍壊死因子−α (TNF-α) はランゲルハンス細胞遊走に関与している(Banchereau and Steinman, Nature 392:245 (1998)) 。ランゲルハンス細胞の成熟および/または遊走における種々の観点の制御に関連する他の因子としては、MIP−1a、IL−4、カルシトニン遺伝子関連ペプチドC5aのG−タンパク質結合受容体および他のケモカインが挙げられる(Banchereau and Steinman, Nature 392:245 (1998)) 。すなわち、多くの可能性あるシグナルやシグナル経路が確認されているが、その制御の概要ははっきりしないままである。

0034

さらに、上記した精巧なシグナルや経路は表皮内の外傷性裂け目に対する「通常の」応答に集中される傾向にある。ランゲルハンス細胞遊走の外来誘導物質は、本発明者によるこの研究より前には検討されていなかった。事実、研究者達は、ランゲルハンス細胞遊走の刺激は抗原特異的免疫の治療上の誘導において重要な工程であると認識すらしていなかった。

0035

一般的には、本発明に有用な化合物の種類は、しばしば、酸無水物やジカルボン化合物のジエステルジアミドである。この化合物のエステルは、典型的には炭素1〜16個のアルキル部分および/またはアリール部分から独立に選択される2つの基でエステル化されたジカルボン化合物から形成される。アリール部分は、好ましくは置換または非置換のベンジルまたはフェニル部分である。1つの実施形態では、両エステル部分は同じである。他の実施形態では、エステル部分は異なっている。

0036

さらに詳細には、ランゲルハンス細胞遊走を誘導する能力を有する化合物は、下記一般式で示される。
(式中、R1およびR2は独立して、1〜16個の炭素原子を含むアルキルまたはアリール側鎖である。アリール基は、好ましくは置換または非置換のベンジルまたはフェニル部分である。特に好ましい実施態様では、R1およびR2基は炭素2〜6個の同じアルキル部分であり、例えばR1およびR2が(CH2)3・CH3であるジブチルフタレートである。

0037

ランゲルハンス細胞遊走の誘導物質として潜在的に有用である他の化合物としては、下記一般式で示されるものを含む。
(式中、R3およびR4は結合して環式環を形成してもよく、また、R1およびR2は独立して、1〜16個の炭素原子を含むアルキルおよび/またはアリール側鎖である。)

0038

ランゲルハンス細胞遊走の誘導物質として有用である化合物は、図1〜3に示されるデータについて記載される標準的なFITC法を使用してスクリーニングしてもよい。C57BL6マウスは、腹部を剪毛し、アセトンと遊走誘導物質(たとえば、ジブチルフタレート)との50/50(v/v)混合物中に5mg/mlのFITCを含む100μl試験溶液を塗布した。2日後、排出鼠蹊部リンパ節を除去し、樹状細胞(FITC+およびFITC−の双方)の総数をフローサイトメトリーおよびMHCクラスIIイムノアッセイによって測定した。

0039

発明内に包含される、ランゲルハンス細胞遊走のための特定化合物を、下記に示す。
略号化合物
DBPジブチルフタレート
BTジブチル−D−酒石酸
DET N,N−ジエチルトルアミド
DBFジブチルフマレート
EHFジ(2−エチルヘキシル)フマレート
DIOMジイソオクチルマレエート
DEHM ジ(エチルヘキシル)マレエート
DIOFジイソオクチルフマレート
BA安息香酸
BC塩化ベンザルコニウム
Cショウノウ
BM ビヘニルマレエート
DOPジオクチルフタレート
DBMジブチルマレエート
DOMジオクチルマレエート
BSジブチルスクシネート
DOS ジオクチルスクシネート
DNPジノニルフタレート
DINPジイソノニルフタレート
DMPジメチルフタレート
DEPジエチルフタレート
DPPジプロピルフタレート
DphPジフェニルフタレート
DBBPジベンジルブチルフタレート
DMEPジエチルメチルフタレート

0040

試験結果を、図7に示す。全MHCクラスIIhi細胞は、試験したほとんどの化合物において、バックグラウンドを越えて増加した。DNP、C、DBBP、DBTおよびDINPは、ポジティブコントロールであるジブチルフタレート(DBP)の標準偏差1内であった。

0041

ランゲルハンス細胞遊走の化学的誘導物質の他に、本発明者は低周波超音波もまた、上記したFITC遊走スクリーニング法において、ポジティブな結果を示すことを見いだした。すなわち、本発明の一実施形態では、低周波超音波は透過剤、および/またはランゲルハンス細胞遊走の誘導物質の双方として使用され得る。

0042

本発明において使用されるペプチド/抗原は、一般的には1μg/ml〜約100mg/ml の投与範囲にて、表皮または上皮部位に局所的に適用してもよい。好ましくは、ペプチド抗原は1mg/ml〜10mg/ml の投与範囲にて投与してもよい。皮膚への局所的投与は、適用容量0.01〜1ml、好ましくは、約0.05〜0.5mlを含み得る。一般的には、投与経路として膣または他の粘膜経路が選択される場合は容量を少なくし得る。投与経路は、皮膚、膣内、直腸気道およびへのエアロゾル輸送、およびいくつかの抗原ではG1管への可能性ある投与を含む、任意の表皮および/または粘膜部位から選択され得る。ランゲルハンス細胞遊走の化学的誘導物質が適用可能であるが、化学的誘導物質はそのままで、あるいは約1:9〜約9:1(誘導物質対溶媒)の割合、好ましくは、約3:7〜約7:3の割合、およびもっとも好ましくは約1:1の割合でアセトンなどの有機溶媒と混合してもよい。

0043

いくつかの例では、特にいかなる抗原を投与することなく、ランゲルハンス細胞遊走を単に高めることが有利であり得る。たとえば、個人がメラノーマ基底細胞癌などの皮膚癌を患う場合、外科手術前に、腫瘍の周囲の部位にランゲルハンス細胞遊走の誘導物質を投与して、腫瘍に対する免疫応答を高めることが有用であり得る。あるいはまた、局所的投与は切除およびそれに続く化学治療および/または放射性照射に従い得る。

0044

本発明の好ましい多くの実施形態およびその変形を詳細に記載したが、他の変更および使用法は当業者には容易に明白であろう。したがって、種々の応用、変更および置換は、本発明の精神または請求項の技術範囲から逸脱することなく同等となり得ることを理解すべきである。

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