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技術 車輪に用いる踏面形成体、それを装着した軌道走行用の車輪、それを備えた移動体、および、踏面形成体の製造方法

出願人 トモエ電機工業株式会社
発明者 望月政美守田信稔田崎愛眞郎
出願日 2002年2月27日 (18年4ヶ月経過) 出願番号 2002-052194
公開日 2002年11月12日 (17年7ヶ月経過) 公開番号 2002-326502
状態 特許登録済
技術分野 車両ホイール 牽引力・付着力増大 鉄道車両懸架装置、車輪装置
主要キーワード 物理的部材 鋼製車 アルミ複合材 環状体内 資器材 磨耗体 急勾配区間 高速走行車両
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図面 (15)

課題

高い摩擦係数を確保しつつ、耐久性をより向上させると共に、車輪の軸方向の滑りをよくして、曲線部での走行をより円滑にすることができる踏面形成体およびそれを持つ車輪を提供する。

解決手段

軌道を走行するための車輪本体21の外周に装着されて、軌道と接触する踏面230を形成する踏面形成体23が提供される。車輪本体21の外周に装着可能な環状形態を有し、かつ、その外周面に、当該外周に沿って開口する凹部241〜243を設けた環状体24と、凹部241〜243に配置され、摩擦力を増大させるための摩擦増強材25とを有する。摩擦増強材25は、環状体24に比べて相対的に大きい摩擦係数を有し、環状体24は、摩擦増強材に比べて相対的に大きい強度を有する。摩擦増強材25は、その一部25a〜25cが踏面230に露出する状態で、凹部241〜243に配置される。

概要

背景

軌道レール)上を走行する移動体としては、人、物等を搭載して搬送する車両、位置を変えて作業を行う作業機等がある。これらの移動体には、自走するため、レール上を走行するための駆動力を受ける駆動輪を備えているものがある。通常、この種の自走式の移動体、例えば、機関車は、機関車の重量と車輪摩擦係数との積が牽引力となる。

ところで、レールおよびレール上を走行する移動体、例えば、機関車の車輪は、双方とも鋼製であることが一般的である。その場合、車輪とレールとの摩擦係数(以下、場合によっては「μ」と表記する。)は、0.2ないし0.3未満である。しかし、この程度の摩擦係数では、十分でない場合がある。例えば、急勾配を走行する機関車等の移動体の場合、登坂能力を大きくするためには、牽引力を高める必要がある。しかし、レールと車輪との間の摩擦係数の大きさに限界があるため、必要以上に機関車の重量を増加させなければならないという問題がある。一方、荷重の大きな移動体の場合、慣性が大きいため、加速に時間がかかると共に、停止する際にも、長い制動距離を必要とする。この場合にも、レールと車輪との間の摩擦係数を高めることが望まれる。

概要

高い摩擦係数を確保しつつ、耐久性をより向上させると共に、車輪の軸方向の滑りをよくして、曲線部での走行をより円滑にすることができる踏面形成体およびそれを持つ車輪を提供する。

軌道を走行するための車輪本体21の外周に装着されて、軌道と接触する踏面230を形成する踏面形成体23が提供される。車輪本体21の外周に装着可能な環状形態を有し、かつ、その外周面に、当該外周に沿って開口する凹部241〜243を設けた環状体24と、凹部241〜243に配置され、摩擦力を増大させるための摩擦増強材25とを有する。摩擦増強材25は、環状体24に比べて相対的に大きい摩擦係数を有し、環状体24は、摩擦増強材に比べて相対的に大きい強度を有する。摩擦増強材25は、その一部25a〜25cが踏面230に露出する状態で、凹部241〜243に配置される。

目的

本発明は、前記提案した車輪をさらに改善するものである。すなわち、高い摩擦係数を確保しつつ、耐久性をより向上させた踏面形成体、および、それを用いた車輪、ならびに、当該車輪を用いた移動体を提供しようとするものである。また、踏面形成体の製造方法を提供するものである。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

軌道走行するための車輪の本体外周に装着されて、軌道と接触する踏面を形成する踏面形成体であって、前記車輪本体の外周に装着可能な環状形態を有し、かつ、その外周面に、当該外周に沿って開口する凹部を設けた環状体と、前記凹部に配置され、摩擦力を増大させるための摩擦増強材とを有し、摩擦増強材は、環状体に比べて相対的に大きい摩擦係数を有し、環状体は、摩擦増強材に比べて相対的に大きい強度を有し、前記摩擦増強材は、その一部が踏面に露出する状態で、前記凹部に配置されていることを特徴とする踏面形成体。

請求項2

請求項1に記載の踏面形成体において、前記摩擦増強材の踏面露出部分は、前記環状体と同軸環状パターンを構成することを特徴とする踏面形成体。

請求項3

請求項2に記載の踏面形成体において、前記環状パターンは、前記環状体の軸方向に、間隔を空けて複数配置されることを特徴とする踏面形成体。

請求項4

請求項3に記載の踏面形成体において、前記凹部は、前記複数の環状パターンに対応して複数設けられ、かつ、それらは、環状体内部で連通していることを特徴とする踏面形成体。

請求項5

請求項2、3および4のいずれか一項に記載の踏面形成体において、前記環状パターンは、当該踏面の周方向に連続するパターンであることを特徴とする踏面形成体。

請求項6

請求項1、2、3、4および5のいずれか一項に記載の踏面形成体において、前記環状パターンのうち、車輪のフランジに最も近い位置に配置される環状パターンは、その軸方向の幅が他の環状パターンより広いことを特徴とする踏面形成体。

請求項7

請求項1、2、3、4、5および6のいずれか一項に記載の踏面形成体において、前記摩擦増強材は、アルミニウム合金中セラミック粒子を含有するセラミック粒子分散強化アルミニウム基複合材料であることを特徴とする踏面形成体。

請求項8

請求項7に記載の踏面形成体において、前記セラミック粒子分散強化アルミニウム基複合材料は、6061アルミニウム合金からなる母地にセラミック粒子を分散させたものであることを特徴とする踏面形成体。

請求項9

請求項7および8のいずれか一項に記載の踏面形成体において、前記摩擦増強材は、セラミック粒子分散強化アルミニウム基複合材料が、セラミック粒子を5ないし25vol%含有することを特徴とする踏面形成体。

請求項10

請求項1、2、3、4、5、6、7、8および9のいずれか一項に記載の踏面形成体において、前記摩擦増強材は、溶湯鍛造により、前記凹部に配置されたものであることを特徴とする踏面形成体。

請求項11

請求項2、3、4、5、6、7、8、9および10のいずれか一項に記載の踏面形成体において、前記環状体は、鉄を主成分とする金属で形成されることを特徴とする踏面形成体。

請求項12

車輪本体と、その外周に装着されて、軌道と接触する踏面を形成する踏面形成体とを有する、軌道走行用の車輪であって、前記踏面形成体は、請求項1〜11のいずれか一項に記載の踏面形成体であることを特徴とする車輪。

請求項13

複数の車輪と、こられの車輪が各々一対ずつ装着される複数の車軸と、前記複数の車軸のうち、少なくとも1の車軸を駆動する駆動機構とを備え、前記車輪により軌道を走行する移動体において、前記複数の車輪のうち、駆動機構によって駆動される車軸に装着される車輪は、請求項12に記載の車輪であることを特徴とする移動体。

請求項14

車輪本体の外周に装着されて、軌道と接触する踏面を形成する踏面形成体の製造方法において、前記車輪本体の外周に装着可能な形態を有し、かつ、その外周面に、当該外周に沿って開口する凹部を設けた環状体を形成し、前記凹部が設けられた環状体を、耐圧性を有する型に収容すると共に、該型内に、アルミニウム合金中にセラミック粒子を含有するセラミック粒子分散強化アルミニウム基複合材料を溶融状態注入し、前記型内のセラミック粒子分散強化アルミニウム基複合材料を加圧しつつ固化させ、セラミック粒子分散強化アルミニウム基複合材料が凹部に充填された環状体を型から取りだして、踏面形成体を製造することを特徴とする踏面形成体の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、軌道走行用車輪、それを備えた移動体、車輪に用いる踏面形成体、および、その製造方法に係り、特に、鋼製レールとの間に高い摩擦係数を有し、かつ、高い強度を備えた移動体用の車輪、それを備えた移動体、車輪に用いる踏面形成体、および、その製造方法に関する。

背景技術

0002

軌道(レール)上を走行する移動体としては、人、物等を搭載して搬送する車両、位置を変えて作業を行う作業機等がある。これらの移動体には、自走するため、レール上を走行するための駆動力を受ける駆動輪を備えているものがある。通常、この種の自走式の移動体、例えば、機関車は、機関車の重量と車輪の摩擦係数との積が牽引力となる。

0003

ところで、レールおよびレール上を走行する移動体、例えば、機関車の車輪は、双方とも鋼製であることが一般的である。その場合、車輪とレールとの摩擦係数(以下、場合によっては「μ」と表記する。)は、0.2ないし0.3未満である。しかし、この程度の摩擦係数では、十分でない場合がある。例えば、急勾配を走行する機関車等の移動体の場合、登坂能力を大きくするためには、牽引力を高める必要がある。しかし、レールと車輪との間の摩擦係数の大きさに限界があるため、必要以上に機関車の重量を増加させなければならないという問題がある。一方、荷重の大きな移動体の場合、慣性が大きいため、加速に時間がかかると共に、停止する際にも、長い制動距離を必要とする。この場合にも、レールと車輪との間の摩擦係数を高めることが望まれる。

発明が解決しようとする課題

0004

これに対して、レールと車輪との間の摩擦係数を高めるために、車輪のレールと接触する踏面の摩擦係数を高くすることが考えられる。例えば、μが0.4程度の材料、例えば、ウレタンゴムを、車輪の踏面に装着することが考えられる。しかしながら、ウレタンゴムがその踏面に形成された車輪を使用する場合に、ウレタンゴムが発熱し、その寿命が短いという問題がある。

0005

一方、車輪自体の材質を変えて、摩擦係数を向上することが考えられる。例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金を用いて車輪を形成することが考えられる。これによれば、μを増大することができる。しかし、これらの材料は、耐磨耗性が悪く、寿命も短いという問題がある。

0006

一方、本出願人は、車輪の少なくとも踏面部分に、セラミック粒子分散強化アルミニウム基複合材料を用いることで、上述した問題が解決できることを提案した(WO98/26944)。

0007

本発明は、前記提案した車輪をさらに改善するものである。すなわち、高い摩擦係数を確保しつつ、耐久性をより向上させた踏面形成体、および、それを用いた車輪、ならびに、当該車輪を用いた移動体を提供しようとするものである。また、踏面形成体の製造方法を提供するものである。

課題を解決するための手段

0008

上記課題を解決するため、本発明によれば、軌道を走行するための車輪の本体外周に装着されて、軌道と接触する踏面を形成する踏面形成体であって、前記車輪本体の外周に装着可能な環状形態を有し、かつ、その外周面に、当該外周に沿って開口する凹部を設けた環状体と、前記凹部に配置され、摩擦力を増大させるための摩擦増強材とを有し、摩擦増強材は、環状体に比べて相対的に大きい摩擦係数を有し、環状体は、摩擦増強材に比べて相対的に大きい強度を有し、前記摩擦増強材は、その一部が踏面に露出する状態で、前記凹部に配置されていることを特徴とする。

発明を実施するための最良の形態

0009

以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態につき詳細に説明する。以下の説明では、本発明を、トンネル工事などの工事現場において、資器材等の搬送に用いられるバッテリー式機関車に適用した例について説明する。もちろん、本発明は、これに限定されるものではない。機関車、電車等の各種車両、掘削荷役等を行う自走式作業台車、資器材等を搬送する自走式搬送機等の種々の、レール上を移動する種々の移動体に適用することができる。なお、本発明は、工事現場、工場等において、工事、作業等に用いられる作業用の移動体に限られない。例えば、旅客用の車両にも適用可能である。具体的には、急勾配区間を走行する車両、制動距離を短くする必要のある高速走行車両等に適用され得る。

0010

図6に示すように、本発明が適用される車輪を用いたバッテリー機関車10は、トンネル掘削工事において、縦100と切羽120間の横坑130内において、資材Mや作業員(図示せず)などを運搬するためのトンネル工事用のものである。横坑130内には、軌道としてレール150が敷設されている。機関車10は、このレール150上を走行する。

0011

レール150は、いわゆるT型レールであり、底部、底部のほぼ中央から起立する腹部、および、腹部の上に設けられ、その頂面で車輪と接触する頭部を備えている。また、このレールは、複数の枕木に載置され、ボルトイヌなどにより枕木に固定されている。

0012

上述したようなバッテリー機関車に使用される、第1の実施形態にかかる車輪について、以下に説明する。図1は、第1の実施の形態にかかる車輪の部分正面図、図2は、車輪の一部を截断断面図、図3および図4は、車輪の踏面形成体部分を示す部分断面図である。

0013

第1の実施形態の車輪20は、本体21と、本体21の周囲に設けられ、レールの頭部の頂面と接触する踏面形成体23と、車輪の表側、すなわち、外部から見ることができる側に設けられた、踏面形成体23を本体21に対して回り止めするための固定部材として機能するボルト44とを有している。なお、固定部材は、ボルトに限定されるものではない。同様に機能するものであれば、他の部材を用いてもよい。また、省略してもよい。

0014

本体21は、例えば、マンガン鋳鋼SCMn2により形成される。本体21には、車軸S(図7参照)の端部を受け入れて、これを装着するための貫通孔22を備えている。また、本体21の外周部には、フランジ26が形成され、踏面形成体23の接触面230(すなわち、レールとの踏面)と滑らかに連なるようになっている。また、本体21には、後述するように、踏面形成体23が装着されたときに、それを受け入れる段部21aが切欠状に設けられている。

0015

踏面形成体23は、車輪の本体21の外周に装着可能な環状形態を有する。そして、その外周面に、当該外周に沿って開口する凹部241〜243を設けた環状体24と、凹部241〜243内に配置され、摩擦力を増大させるための摩擦増強材25とを有する。摩擦増強材25は、環状体24に比べて相対的に大きい摩擦係数を有し、環状体24は、摩擦増強材に比べて相対的に大きい強度を有する。

0016

また、図2に示すように、踏面形成体23は、全体として、レールの頭部の頂面と接触する踏面230を構成している。230は、例えば、1/20の勾配をなしている。

0017

環状体24は、内径が前述した本体21の段部21aの径と一致している。後述するように、この環状体24は、焼き填めにより段部21aに装着する。したがって、その内径は、段部の外径と一致する。一方、環状体24の外径は、段部に装着されたとき、車輪の踏面の径となるように決められている。

0018

凹部241〜243は、外周に沿って開口する溝状に形成される。この例では、各凹部241〜243は、外周の全周に渡って連続的に設けられる。凹部の数は、3本に限られない。また、必ずしも連続的であることが要求されるわけではない。矩形状の開口部が一定間隔で外周全周に渡って配置される構造としてもよい。

0019

環状体24における凹部241から243が占める割合は、凹部の開口幅、踏面形成体23の強度と、摩擦力との関係に基づいて予め決める。本実施形態では、3本の凹部241〜243が配置されている。これらの凹部241〜243は、一定の間隔を空けて、環状体24の軸方向に並ぶ。

0020

また、本実施形態では、図2に示すように、凹部241〜243は、開口面からの、それらの底部244の位置、すなわち、凹部の深さが、その開口幅より大きい深溝構造となっている。さらに、図3に示すように、フランジがある面と逆の面側に、湯口248が設けられている。この湯口248は、摩擦増強材を充填する際に、摩擦増強材が円滑に注入できるようにするためのものである。したがって、この湯口248は、複数個設けられている。また、湯口248は、前述した凹部241から243のすべてに連通している。

0021

前記凹部241〜243、および、それらと湯口との連通部に、摩擦増強材25が配置される。具体的には、後述するように、液状の摩擦増強材25が凹部空間に充填される。その結果、摩擦増強材25は、凹部241〜243の開口面において、その一部が踏面230に露出する状態となる。これにより、この露出した部分が、図2図7に示すように、状の環状パターン25a、25bおよび25cを構成する。

0022

この縞状の環状パターン25a〜25cと、それを挟む環状体の表面である環状体露出部231、232、233、234とで、踏面230を構成する。すなわち、踏面形成体23の外周には、環状体の一部が露出する環状体露出部231〜234と、それらの間に配置される、交互に露出する摩擦増強材の露出部である環状パターン25a、25b、25c(前記凹部241〜243の開口部分)とが表れる。

0023

踏面形成体23と本体段部21aとの境には、円周方向に一定の角度間隔で、複数の貫通孔35が設けられ、その奥に、引き続きネジ孔37が設けられている。ボルト44を、貫通孔35を通して、ネジ孔37にネジ込むことにより、踏面形成体23が円周方向に動かないように、本体21に回り止めされる。

0024

この実施の形態における車輪20および踏面形成体23の大きさの一例を挙げる。フランジ26の最外周での車輪の外径は、約470mmであり、踏面形成体23の外径は、約420mm、踏面形成体23の内径は、約320mmである。また、踏面形成体の軸方向の厚さは、約67mmである。そして、図11に寸法の一例を示すように、凹部241〜243の開口幅は、約9mm、そして、これらの凹部241〜243は、踏面形成体の両端から10mm、そして、互いに10mmの間隔を空けて配置される。従って、10mmの環状体露出部に挟まれて、9mmの環状パターンが縞状に配置される。

0025

なお、本発明は、車輪の大きさに限定されない。本発明者らは、外径として約300mmから660mmの範囲の各種の大きさの車輪に適用して、車輪を実際に製作し、登坂力、制動距離等の性能を確認している。

0026

次に、この実施の形態にかかる踏面形成体23の構成および製造について説明する。この実施の形態においては、踏面形成体23のうち、摩擦増強材25については、セラミック粒子を含有するアルミ複合材、すなわち、セラミック粒子分散強化アルミニウム基複合材料を含む材料により構成される。なお、これに他の材料を混在させることもできる。一方、環状体24については、鉄を主成分とする金属、例えば、マンガン鋳鋼SCMn2により形成される。これは、車輪本体21と同じ材料である。このように、同じ材料を用いることで、熱膨張係数が一致することとなるため、熱膨張係数の不一致に起因する歪みの発生を抑えることができる。なお、他の材料、例えば、炭素鋼S45Cにより形成することもできる。

0027

まず、前述した材料からなる環状部材に、その外周面について、切削加工を行って3本の溝を、間隔を空けて全周に渡って設ける。すなわち、当該外周に沿って開口する凹部241〜243を設ける。また、図1および図3に示すように、湯口248を、凹部241〜243に連通させて穿孔する。この湯口248は、本実施形態では、16個設ける。また、図4に示すように、後述する溶湯鍛造の際に、環状体を昇降するためのフックとして用いるネジを取り付けるための孔249を併せて設けておく。

0028

次に、環状体24の凹部241〜243に、摩擦増強材25を配置する。ここでは、溶湯鍛造法により行う。溶湯鍛造法は、アルミニウムまたはアルミニウム合金を溶融し、この状態で、溶融されたアルミニウムまたはアルミニウム合金と同程度の温度に予め加熱された型に入れ、高い圧力(例えば、1000kg/cm2程度)を加えて、ある程度の時間(例えば、8分程度)保持して、溶湯凝固させる方法である。この方法によると、溶湯を高圧下において、短時間で凝固させるため、金属、合金組織が緻密で、鋳巣の少ない鋳造物を得ることができる。図8および図9にそのための装置を概念的に示す。

0029

図8および図9に示すように、ベース520および、その上にガイド部材521が配置され、回りを耐熱性および耐圧性を有するモールド型510で囲む。そして、ベース520上に、環状体24を配置する。この状態で、型510内に、アルミニウム合金中にセラミック粒子を含有するセラミック粒子分散強化アルミニウム基複合材料を溶融状態で注入する。そして、ピストン530により、溶融したセラミック粒子分散強化アルミニウム基複合材料250を加圧する。例えば、1000kg/cm2程度の圧力がかけられる。これにより、図10に示すように、溶融したセラミック粒子分散強化アルミニウム基複合材料250が環状体24の空間内に充填される。加圧状態を保持し、その後、冷却して、セラミック粒子分散強化アルミニウム基複合材料を凝固させる。

0030

なお、ピストン530には、前記ガイド部材521との対向面に、当該ガイド部材521の上端側を収容できる凹部531が設けられている。

0031

この後、ピストン530を退避させ、型510から環状体24を取り出す。なお、環状体を取り出しやすくするため、前述した型510、ガイド部材521、ベース520、および、ピストン530の凹部側の面には、離型材を予め設けるようにしてもよい。

0032

この後、公知のT6の処理を行う。そして、必要に応じて、外面を整形加工処理する。これにより、環状体24の凹部241〜243に固化したセラミック粒子分散強化アルミニウム基複合材料25が配置された踏面形成体23が得られる。このとき、摩擦増強材25は、鋳巣が無く、緻密な構造となる。そのため、強度が大幅に向上する。

0033

ここで、溶湯鍛造により凹部241〜243に充填する摩擦増強材25について説明する。

0034

摩擦増強材を構成するためのセラミック粒子分散強化アルミニウム基複合材料(以下、アルミ複合材と称する)には、ALCAN社から入手可能な、DURALCAN(登録商標)がある。DURALCANには、現在のところ、2種の材料がある。すなわち、Al−Mg−Si系のアルミニウム合金(合金番号6061)を母地として、これに、Al2O3(アルミナ)の微粒子(例えば、ミクロン単位の大きさ)を混在させて形成される材料と、Al−Cu系のアルミニウム合金(合金番号2024)を母地として、SiCの微粒子(例えば、ミクロン単位の大きさ)を混在させて形成される材料とがある。これらの材料は、良く知られているT6の熱処理を行って使用する。本発明では、いずれも使用可能であるが、耐食性脆性破壊等を考慮すると、アルミニウム合金(6061)を母地とするものが好ましい。

0035

具体的には、前述のアルミニウム合金(6061)に、Al2O3を10vol%含む“W6A10A”、同じく15vol%含む“W6A15A”、同じく20vol%含む“W6A20A”が好ましく用いられる。これらは、いずれも前記ALCAN社から入手可能である。

0036

アルミニウム合金(6061)は、摩擦係数が大きく、引っ張り強さが310MPa、伸びが17%である。しかし、耐摩耗性に問題がある。これに対して、アルミ複合材は、耐摩耗性が非常に優れている。例えば、W6A10Aは、前述したアルミニウム合金(6061)と比較して、1/300倍程度という良好な磨耗体積(Volume Loss)を有し、かつ、1/50程度という良好な磨耗速度(Wear Rate)を有している。耐摩耗性については、セラミック粒子の含有量が多いほど良くなる傾向にある。しかし、伸びが悪くなる。例えば、前述したアルミナ粒子含有の前述のW6A10Aは、伸びが10%程度あり、加工が容易であり、かつ、割れも生じにくい。一方、W6A15A、W6A20Aは、伸びがそれぞれ6%、4%程度となり、W6A10Aより伸びの点で劣る。

0037

なお、アルミナ粒子を5vol%含有のアルミ複合材の場合、母地のアルミニウム合金(6061)に比べれば、耐摩耗性はよいが、用途によっては必ずしも十分とは言えない。一方、アルミナ粒子を25vol%含有のアルミ複合材の場合、耐摩耗性は極めてよいが、母地のアルミニウム合金(6061)に比べれば、伸びがより悪くなる。したがって、本発明者らの研究によれば、アルミ複合材としては、セラミック粒子を、5ないし25vol%含有したアルミ複合材を用いることがよいといえる。特に、鋼製の車輪、レールと同等の強度、加工性を実現することを考慮すると、例えば、アルミナの場合、10vol%が最も好ましく、それについで、15vol%、20vol%のものが好ましく用いられる。

0038

このようなセラミック粒子であるアルミナ粒子を、10vol%含有したアルミ複合材と鋼との間の摩擦係数は、サンプル片を用いた実験では、約0.8〜0.9程度である。また、後述するように、実際に車輪の形態とした場合の実験でも、0.37〜0.43であり、従来の鋼製車輪の0.2と比較して、極めて大きい。

0039

なお、セラミック粒子として、シリコンカーバイト粒子を5〜10%用いる5052アルミニウム合金としても、同様の効果が期待できる。

0040

このようにして得られた環状体24を、本体21に装着固定する。装着は、踏面形成体23を加熱して膨張させる、いわゆる焼き填めにより行う。加熱温度は、例えば、130°Cで行う。これにより、踏面形成体23が本体21に設けられることとなる。

0041

このように構成することにより、踏面形成体23は、少なくともレールと接触する部分である踏面230に、相対的に大きい摩擦係数を有する摩擦増強材25と、摩擦増強材に比べて相対的に大きい強度を有する環状体24とが露出する構成となる。

0042

ところで、本実施形態では、踏面形成体23は、レールとの接触面のすべてではなく、部分的に摩擦増強材を有する構造となっている。このような構造でも、大きな摩擦係数を有する車輪が実現できる。その理由は次の通りである。走行時の車輪は、レールとの軸方向の相対位置関係絶えず変化する、揺らいだ状態にあり、踏面形成体23におけるレールとの接触位置は、絶えず変化していることが知られている。従って、踏面に縞状に摩擦増強材を配置されている場合であっても、レールに対して摩擦増強材が頻繁に接触することとなり、走行時の車輪のレールに対する摩擦係数を実質的に大きくすることが可能となる。なお、摩擦増強材のレールに対する接触頻度を高くする配置を工夫することで、より効果的な構造とすることが期待できる。

0043

また、本実施形態において、踏面形成体23は、レールとの接触面のすべてではなく、部分的に環状体を有する構造となっている。このような構造とすることにより、耐久性をより向上した車輪が実現できる。その理由は次の通りである。前述したように、踏面形成体23は、レールとの軸方向における相対接触位置が、絶えず変化している。そのため、摩擦増強材に係る荷重が環状体に分担されること、および、細いレール、ポイント等において荷重が集中的にかかる場合でも、車輪の軸方向の揺らぎにより摩擦増強材に荷重がかかる時間が低減される。そのため、摩擦増強材の寿命が長くなり、全体として車輪の耐久性を向上することが可能となる。

0044

また、摩擦増強材は摩擦係数が大きい。このため、接触面34の軸方向への滑りを抑える作用がある。そのため、接触面34全体を摩擦増強材により構成すると、接触面がその軸方向に応力を受ける傾向にある。しかし、前述した実施形態のように、摩擦増強材と環状体とが交互に配置されると、接触面34の軸方向への滑りが円滑に行われる。従って、接触面34における軸方向に受ける応力を軽減することができる。

0045

さらに、高価なアルミ複合材の使用量が減少するため、車輪のコストを低減することができる。また、リング形状の踏面形成体23を交換することにより、磨耗時の車輪の再生が容易に実現できる。なお、踏面形成体23を交換する場合において、踏面形成体23のすべてを交換することの他、摩耗した部材のみを交換するようにしてもよい。

0046

なお、駆動輪が複数軸に配置されている場合、重連等の場合には、さらに、摩擦特性の向上が期待できる。すなわち、本発明者らの研究によると、摩擦増強材がレールと接触すると表面に分散しているセラミック粒子がレール表面に擦り付けられること、および、セラミック粒子が擦り付けられた後に、摩擦増強材を有しない車輪を走行させると、摩擦増強材の車輪と同様に高い摩擦係数が実現されることが見いだされた。このため、複数軸に駆動輪が存在する場合、後方の駆動輪は、レールの摩擦係数が見かけ上大きくなっているため、より高い摩擦係数を確保できることが期待できる。

0047

図7は、前述した構成の車輪を利用したバッテリー機関車の車輪部分を示す部分略断面図である。図7に示すように、車輪20の踏面形成体23は、レール150の頭部151の頂面と接触している。レール150は、枕木160に取り付けられるための底部152、底部のほぼ中央から起立する腹部153および腹部の上に設けられた頭部151から構成されている。

0048

図7に示す踏面形成体23は、摩擦増強材25が縞状の環状パターン25a〜25cとして露出している。従って、車輪20は、摩擦係数μが大きく、耐磨耗性が大きい摩擦増強材25の環状パターン25a〜25c、および、相対的に強度の大きい環状体24とを有することとなる。

0049

ここで、前述した踏面形成体23を有する第1のメリットとして、車輪の駆動力を向上する点が挙げられる。

0050

また、第2のメリットとして、急勾配、重負荷等の過酷な動作環境下においても、確実に制動制御が行え、結果的に、制動距離の短縮が期待できる点が挙げられる。例えば、工事用のバッテリー機関車の場合、制御モータであるサーボモータによる多軸制御による回生制動等の電気的制動を用いる。すなわち、一般に用いられるブレーキシューにより車輪を抑えて停止する制動方法ではなく、サーボ制御により制動制御が行われる。この場合には、車輪のμにより、停止距離が決まる。このため、アルミ複合材からなる第1部材を有する踏面形成体23を有する車輪を、バッテリー機関車に搭載した場合、車輪のμの増大により、鋼製の車輪の場合に比べて、同じ走行速度からの停止距離の短縮が期待できる。また、サーボモータで制御する場合において、鋼製車輪が用いられる機関車では、車輪がロックして滑走する事態が起こるおそれがあるような、急勾配、重負荷の環境下での制動であっても、踏面形成体23を有する本実施形態の車輪の場合には、サーボモータで駆動される車輪を制御可能な状態に維持できる。すなわち、過酷な動作環境下においても、制動制御を確実に行い得る。

0051

第3のメリットとして、摩擦増強材が環状体と交互に配置されるため、車輪にかかる加重が強度の高い環状体により分担されることとなる。これにより、レール幅が狭いレール上を走行する場合、ポイントを走行する場合のように、車輪とレールとの接触幅が小さい場合にも、前述したように、摩擦増強材に加重がかかる時間を減少することができる。従って、車輪全体の耐久性を向上することができる。その結果、高い摩擦係数を有し、かつ、より重負荷に対応できる車輪が実現できる。

0052

第4のメリットとして、摩擦増強材が環状体と交互に配置されるため、車輪の軸方向の滑りが、摩擦係数が大きい割に容易となる。そのため、曲線部で車輪20のレール頂部151に対する横ずれが容易に行え、曲線部をより円滑に運行することができる。

0053

第5のメリットして、摩擦増強材25が、緻密な構造であるため、その強度が大幅に向上している。また、摩擦増強材25が環状体24に包まれる状態で環状体24に保持される。したがって、摩擦増強材25の変形が抑えられる。

0054

なお、本実施形態の機関車は、軸Sに固定されている円盤161と、円盤161を両側から挾み込むブレーキパッド162,162と、これらブレーキパッド162,162を駆動させる駆動機構(図示されていない。)とを有したディスクブレーキ163が備えられ、停車時の駐車ブレーキとして使用される。駆動機構としては、例えば、油圧空気圧等が用いられる。この場合にも、本発明の車輪は、レール150との間の摩擦係数μが大きいので、勾配の途中で静止している場合でも、滑りにくいため、安全性が高くなる。

0055

次に、図5を参照して、本実施形態の車輪を備えた電気車である機関車の使用形態について説明する。図5には、図7に示すような車輪を用いたバッテリー機関車10、および、それに連結された台車140を示す。

0056

図5に示すように、機関車10は、一方が主駆動輪、他方が従駆動輪である二対の車輪20,20と、これらの車輪により指示されるボディ170と、各々の駆動輪を回転させるための2個のサーボモータ(図示せず)と、2個のサーボモータを駆動するためのバッテリー171と、2個のサーボモータなどを制御して機関車を運転するための、操作パネルを含むドライバユニット172とを有している。ここで、機関車10は、駆動機構として、前記サーボモータの他に、動力伝達機構制御装置ドライバ)等を有している。また、機関車10は、資器材Mなどが積載された台車140、140を連結している。

0057

さて、このようなバッテリー機関車10において、前述したように機関車の重量とμとの積が牽引力に対応する。μがせいぜい0.2ないし0.3未満の従来の車輪を用いたバッテリー機関車においては、40/1000ないし50/1000の勾配を登することができるのに過ぎなかった。これに対して、この実施の形態においては、実際に、μを平均的に0.4程度まで大きくすることが可能となる。したがって、従来の勾配の略2倍(すなわち、0.4/0.2倍)である、100/1000あまりの勾配を、サーボモータの出力を上げることのみで登坂することが可能となる。

0058

従来、約50/1000以上の勾配を登坂する場合には、いわゆるアプト式登坂装置を備えた機関車および軌道が用いられている。本実施の形態によれば、100/1000程度の勾配までは、性能上、高価なアプト式登坂装置を設けることなく、急勾配を登坂できる機関車を実現できる。また、アプト式登坂装置を設ける場合においても、小型な装置で足りる。もちろん、本発明は、機関車に限らず、その他の自走式台車、自走式作業台車等の、各種移動体の場合においても、登坂能力を高めることができる。

0059

さらに、前記実施形態によれば、μの増大により、移動体の牽引力を、重量を増やさずに増大させることが可能となる。したがって、小さな移動体で、出力さえ上げれば、従来不可能であった大きな負荷に対応することができる。例えば、機関車の場合には、より大きな荷重の台車を牽引できる。

0060

本発明は、以上の実施形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。

0061

図12に、本発明の他の実施形態に係る踏面形成体およびそれを用いた車輪を示す。図12に示す実施形態は、前述した実施形態と同じ車輪本体21に、構造の異なる踏面形成体23を装着した例である。この踏面形成体が、各種車輪に適用できること、車輪への装着の仕方、また、それが適用された車輪を用いて、機関車、作業者等の各種移動体を構成できることは前述した実施形態の場合と同様である。そこで、ここでは、踏面形成体について説明を行う。

0062

図12に示す踏面形成体23は、環状体24に、凹部245、246および247が環状体の外周に沿って溝状に設けられ、それらに摩擦増強材25が充填されている。摩擦増強材25の充填は、前述した実施形態と同様に、溶湯鍛造により行うことができる。また、凹部245、246および247の基本的な構造は、前述した実施形態の凹部241、242および243と同様である。ただし、凹部の配置および大きさにおいて相違がある。すなわち、本実施形態では、凹部247が他の凹部245および246に比べて幅広に形成されると共に、フランジ26に近接して配置される点に特徴がある。具体的には、図12に示す踏面形成体23によれば、摩擦増強材25が外周部において露出して形成される縞状の環状パターン25d、25eおよび25fが、踏面230において、フランジ26側に摩擦増強材25がより多く分布する状態を実現している。

0063

これらの環状パターン25d〜25fと、それを挟む環状体の表面である環状体露出部235、236、237とで、踏面230を構成する。すなわち、踏面形成体23の外周には、環状体の一部が露出する環状体露出部235〜237と、それらの間に配置される、交互に露出する摩擦増強材の露出部である環状パターン25d、25e、25fとが表れる。

0064

ところで、機関車等の移動体の走行時において、車輪がレールに接する状態を考えると、通常は、踏面における、フランジに近い位置にレールとの接触点が位置することが多い。従って、図12に示すように、環状パターン25fが幅広で、フランジに近接することにより、レールとの摩擦係数の増大が期待できる。

0065

次に、本発明に係る踏面形成体およびそれを用いた車輪についての摩擦係数の測定について説明する。図13に、測定の状態を模式的に示す。

0066

図13に示すように、測定に際しては、測定の対象となる踏面形成体を有する車輪を装着した機関車10と、当該機関車10に対して負荷となるように、荷重Lを搭載した台車140と、測定装置として油圧引張荷重計500を用意する。油圧引張荷重計500は、引張荷重を検出する検出器510と、検出された荷重を示す信号を処理して値を表示する表示装置520とを有する。なお、表示装置520をコンピュータシステムに置き換えて、検出器510により検出された荷重の値を処理して摩擦係数を求めて、得られた摩擦係数を表示する構成としてもよい。

0067

摩擦係数の測定は、次のように行う。すなわち、機関車の車輪1個当たりの荷重をW1、W2、W3、W4とし、摩擦係数をμ、荷重計500の読みをPとすると、摩擦係数は次式により求めることができる。

0068

W=W1+W2+W3+W4
P=μW1+μW2+μW3+μW4
=μ(W1+W2+W3+W4)
=μW

0069

従って、摩擦係数は、
μ=P/W
により求まる。

0070

測定は次のようにして行う。まず、台車140をアンカー用とするため、荷重Lを搭載する。一方、実験すべき踏面形成体を装着した車輪を取り付けた、既知の重量(3500kg)の機関車10と台車140とを荷重計の検出器510を介して連結する。もちろん、台車140と機関車10とは、レール150上に置かれる。

0071

このようにしておいて、機関車10を駆動する。そして、車輪の空転が始まった瞬間における、荷重計500の表示装置520の値を読む。これは、自動的に読み取って、記録するようにしてもよい。得られた加重計の出力Pと、機関車の重量W(=3500kg)とを用いて、摩擦係数μを求める。

0072

この測定においては、アルミニウム合金(6061)に、Al2O3を10vol%含む“W6A10A”を摩擦増強材として用い、これを溶湯鍛造により、凹部241から243に充填した踏面形成体を用いた。また、踏面形成体として、外形が420mm、内径が320mm、環状パターン25a、25b、25cを含む外周面でのパターン寸法が、図11に示す通りのものを用いた。

0073

図14に、このようにして得られた摩擦係数の代表的な値を示す。図14に示すように、0.37〜0.43の範囲のものが得られた。すなわち、平均で0.40のものが得られた。これは、鋼製車輪の0.2と比較すると2倍の大きさである。

0074

以上のように、本発明に係る車輪において、踏面形成体は、少なくともレールとの接触面に形成されていれば良い。踏面形成体の形状は、限定されるものではない。また、車輪や軸の外径、踏面形成体の厚みは、前記実施の形態のものに限定されない。

0075

また、本発明は、バッテリー機関車に適用することに限定されるものではないことも明らかである。さらに、機関車に使用するのみならず、人や資器材を運搬する自走式台車、作業を行う自走式作業台車に使用できることも明らかである。

0076

このアルミ複合材を装着した車輪は、アルミ複合材の踏面とレールとの摩擦係数μが大きい。電気的制動によるブレーキ効果は、踏面とレールとの摩擦係数によって決まるので、μが大きいことは、そのまま制動距離の短縮となり、安全性が増大する。例えば、サーボモータ駆動によるバッテリー機関車および自走台車等のサーボモータ駆動車の場合、その制動は、サーボモータの回生制動によるため、踏面とレールとの摩擦係数μが大きいことが、制動距離の短縮につながる。

0077

本発明の好ましい実施態様においては、車輪の接触面にアルミ複合材を設け、しかも、前記材料は、セラミック粒子を5ないし25vol%含有している。特に、10ないし22vol%含有するものが好ましく用いられる。これにより、レール鋼と車輪(踏面形成体)との間の摩擦係数を、実験で約0.8〜0.9程度、実際の車輪の形態による実験でも0.4〜0.45にすることができる。その結果、移動体の重量を増大させることなく、出力を増やすのみで、この車輪を有する移動体の牽引力を増し、あるいは、ブレーキ性能をより向上させることが可能となる。

0078

このように、本発明によれば、高い耐磨耗性を確保しつつ、耐久性を向上させた移動体用車輪および移動体を実現することができる。しかも、車輪の軸方向の滑りをよくして、曲線部での走行をより円滑にすることができる。

0079

なお、本明細書において、一つの部材の機能が、二つ以上の物理的部材により実現されても、若しくは、二つ以上の部材の機能が、一つの部材により実現されてもよい。例えば、前述した踏面形成体と本体とは、別個の部材を組み合わせたものであるが、踏面形成体を本体と一体に設けることも可能である。

発明の効果

0080

本発明によれば、車輪について、高い摩擦係数を確保しつつ、耐久性をより向上させることができる。

図面の簡単な説明

0081

図1図1は、本発明の第1の実施形態にかかる車輪の半周分を示す部分正面図である。
図2図2は、図1に示す車輪の一部を截断した側面図である。
図3図3は、図1に示す車輪に用いられる踏面形成体部分を示す部分断面図である。
図4図4は、図1に示す車輪に用いられる踏面形成体部分の他の部分を示す部分断面図である。
図5図5は、バッテリー機関車の利用形態の一例を示す側面図である。
図6図6は、バッテリー機関車の利用形態の一例を示す説明図である。
図7図7は、本実施の形態にかかる車輪を利用したバッテリー機関車の車輪部分を示す正面図である。
図8図8は、本実施形態における踏面形成体の製造装置および工程の一部を示す部分断面図である。
図9図9は、本実施形態における踏面形成体の製造装置および工程の一部を示す部分断面図である。
図10図10は、本実施形態における踏面形成体の製造工程の一部であって、環状体に摩擦増強材を注入する状況を示す部分断面図である。
図11図11は、本実施形態の踏面形成体における環状パターンの寸法を示す説明図である。
図12図12は、本発明の他の実施形態に係る踏面形成体および車輪の構造を示す一部を截断した側面図である。
図13図13は、摩擦係数を測定するための装置構成を示す説明図である。
図14図14は、摩擦係数の測定結果の一例を示す図表である。

--

0082

10…機関車、20…車輪、21…本体21…踏面形成体、230…踏面、231〜237…環状体露出部、24…環状体、241、242、243…凹部、244…凹部底面、245〜247…凹部、248…湯口、25…摩擦増強材、25a〜25f…環状パターン、26…フランジ、35…貫通孔、37…ネジ孔、44…ボルト、150…レール。

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