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課 題

磁気記録媒体磁性層に含まれる磁性粒子回収することができ、かつ、再資源化過程で得られる低分子分解物を回収または該低分子分解物を適正に分解処理できる磁気記録媒体の再資源化方法を提供する。

解決手段

磁気記録媒体を高温高圧水により化学分解して、磁気記録媒体に含まれる有機物質の低分子分解物または/および磁性粒子を取得することを特徴とする磁気記録媒体の再資源化方法。

概要

背景

磁気記録媒体は、基本的には磁気記録を担う磁性粒子から構成されている磁性層と、それを機械的に保持する基材とからなる構造をとっている(図1)。基材の材質は、樹脂や紙であり、具体的には、例えば酢酸セルロースセルロースポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などが挙げられる。ビデオテープでは、PETフィルムが基材に多く用いられる。磁性粒子は、各種のものがあるが、例えば、マグネタイト磁鉄鋼)、酸化クロム、鉄などが挙げられる。通常、磁性粒子はサブミクロン微粒子である。該磁性粒子をバインダーとともに溶剤に分散させ(作製された溶液磁性塗料と呼ぶ)、基材の上に塗布し、磁場配向させ、乾燥することで、磁気記録媒体が作られる。上記バインダーには、例えば、ウレタン樹脂塩化ビニルビニルアルコールポリアミド樹脂エポキシ樹脂またはセルロース樹脂などが用いられる。このほか、ビデオテープを製造するためには、通常、磁性塗料に分散剤(例えば、レシチンなどの界面活性剤)や架橋剤(例えば、イソシアネートなど)を添加する。また、そしてビデオテープの使用時に効果を発揮する潤滑剤(例えば、長鎖アルキル基を有するカルボン酸短鎖アルキル基を有するアルコールエステルなど)や研磨剤(例えば、酸化アルミニウムなどのモース硬度7以上の堅い粒子)、あるいは帯電防止剤(例えば、カーボンブラックなど)も、通常、磁性塗料に添加される。また、真空中で磁性粒子を加熱蒸発させ、基材に蒸着させて、作られる磁気記録媒体もある。

近年、磁気記録を応用した多種多様製品生産され、それら生産量は増加の一途をたどっている。それに伴い、それら製品が使用された後の廃棄が問題となりつつある。磁気記録媒体に限ったことではないが、近年の大量生産大量消費、大量廃棄という一方通行では資源枯渇の問題がある。そして大量廃棄するにも、ごみ処理場の不足焼却に伴う有害物質の発生飛散等の問題がある。こういった背景から、磁気記録媒体を再資源化が検討されている。

従来研究開発されてきた磁気記録媒体の再資源化技術を見ると、その多くが磁性層と基材との分離技術に注力されていた(特開平5-274666、特平11-167716など)。そして、分離された両者のうち、基材の再資源化だけが注目されていた。すなわち、基材を再利用する、あるいは、樹脂である基材を何らかの処理で低分子化して液状とすることで再資源とする技術が知られている(特開平2-29492、特開平4-180995、特開2000-178564など)。一方で、従来、磁性層の再資源化については、ほとんど検討されてないといえる。磁性層と基材との分離技術の特許の中で補足説明的に、磁性粒子の回収について触れられているだけであった。例えば、「磁石を併用した水洗いで磁気成分を回収」といった記述があるだけであった(特開2000-34364)。

概要

磁気記録媒体の磁性層に含まれる磁性粒子を回収することができ、かつ、再資源化の過程で得られる低分子分解物を回収または該低分子分解物を適正に分解処理できる磁気記録媒体の再資源化方法を提供する。

磁気記録媒体を高温高圧水により化学分解して、磁気記録媒体に含まれる有機物質の低分子分解物または/および磁性粒子を取得することを特徴とする磁気記録媒体の再資源化方法。

目的

本発明は、磁気記録媒体の磁性層に含まれる磁性粒子を回収することができる磁気記録媒体または磁気記録媒体の磁性層の再資源化方法を提供することを目的とする。本発明は、また、磁気記録媒体または磁性層の再資源化の過程で得られる低分子分解物の回収または該低分子分解物の適正な分解処理技術による磁気記録媒体の好適な再資源化方法を提供する。本発明は、さらに、磁気記録媒体または磁性層の再資源化の過程で生じる水などを循環利用することにより、効率的で、資源およびエネルギー節約型の磁気記録媒体の再資源化方法を提供する。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
2件

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請求項1

磁気記録媒体化学分解して、磁気記録媒体に含まれる有機物質低分子分解物または/および磁性粒子を取得することを特徴とする磁気記録媒体の再資源化方法

請求項2

化学分解が、高温高圧下での加水分解または/および熱分解であることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体の再資源化方法。

請求項3

磁気記録媒体または有機物質からなる基材から予め分離された磁性層を、高温高圧水で処理することにより磁気記録媒体または磁性層に含まれる有機物質を水に可溶な低分子分解物に分解し回収すること、または/および有機物質の大部分が分離除去された磁性粒子を回収することを特徴とする磁気記録媒体または磁気記録媒体の磁性層の再資源化方法。

請求項4

高温高圧水が、温度が150〜374℃、圧力がその温度での飽和蒸気圧以上の水、または温度が374℃以上でかつ圧力が22.1MPa以上の水であることを特徴とする請求項3に記載の再資源化方法。

請求項5

高温高圧水に酸化剤が混入されていないことを特徴とする請求項3に記載の再資源化方法。

請求項6

磁気記録媒体または磁気記録媒体の磁性層を高温高圧水により処理した後、磁性粒子を水から分離回収し、その後磁性粒子と分離された低分子分解物を含有する水溶液を、低分子分解物濃縮処理に付すことを特徴とする請求項3に記載の再資源化方法。

請求項7

低分子分解物濃縮処理において得られる水の一部あるいは全部を、再び高温高圧水として用いることを特徴とする請求項6に記載の再資源化方法。

請求項8

磁気記録媒体または磁気記録媒体の磁性層を高温高圧水により処理した後、磁性粒子を水から分離回収し、その後磁性粒子と分離された低分子分解物を含有する水溶液に酸化剤を添加して高温高圧にするか、または該水溶液を高温高圧にしてから酸化剤を添加するかのいずれかの処理によって、該水溶液に含まれる低分子分解物をさらに酸化分解し、該水溶液中の有機成分をなくするかまたはその含有量を低減することを特徴とする請求項3に記載の再資源化方法。

請求項9

高温高圧が、300〜600℃の温度でかつその温度での水の飽和蒸気圧以上の圧力、または374℃以上の温度でかつ22.1MPa以上の圧力であることを特徴とする請求項8に記載の再資源化方法。

請求項10

酸化剤が、酸素、オゾンおよび過酸化水素からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項8に記載の再資源化方法。

請求項11

請求項8に記載の方法で最終的に得られる有機成分を含有しないかまたはその含有量が低減されている排水の一部あるいは全部を、再び高温高圧水として用いることを特徴とする請求項8に記載の再資源化方法。

請求項12

高温高圧水に予めアルカリ性物質が添加されていることを特徴とする請求項3に記載の再資源化方法。

請求項13

高温高圧水による処理の前に、予め磁気記録媒体または磁性層にアルカリ性物質を添加することを特徴とする請求項3に記載の再資源化方法。

請求項14

アルカリ性物質が、アンモニア水酸化ナトリウム炭酸ナトリウム炭酸水素ナトリウム水酸化カリウム炭酸カリウム炭酸水素カリウム酸化マグネシウム水酸化カルシウム酸化カルシウム、t−BuOK、t−BuONaおよびテトラメチルアンモニウムヒドロキシドからなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項12または13に記載の再資源化方法。

請求項15

磁気記録媒体または磁気記録媒体の磁性層をアルカリ性物質を含有する高温高圧水により処理した後、磁性粒子を水から分離回収し、その後磁性粒子と分離された低分子分解物を含有する水溶液を、低分子分解物濃縮処理に付すことを特徴とする請求項12に記載の再資源化方法。

請求項16

低分子分解物濃縮処理において得られる水の一部あるいは全部を、再び高温高圧水として用いることを特徴とする請求項15に記載の再資源化方法。

請求項17

磁気記録媒体または磁気記録媒体の磁性層をアルカリ性物質を含有する高温高圧水により処理した後、磁性粒子を水から分離回収し、その後磁性粒子と分離された低分子分解物を含有する水溶液に酸化剤を添加して高温高圧にするか、または該水溶液を高温高圧にしてから酸化剤を添加するかのいずれかの処理によって、該水溶液に含まれる低分子分解物を酸化分解し、該水溶液中の有機成分を無くするかまたはその含有量を低減することを特徴とする請求項12に記載の再資源化方法。

請求項18

高温高圧が、300〜600℃の温度でかつその温度での水の飽和蒸気圧以上の圧力、または374℃以上の温度でかつ22.1MPa以上の圧力であることを特徴とする請求項17に記載の再資源化方法。

請求項19

酸化剤が、酸素、オゾンおよび過酸化水素からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項17に記載の再資源化方法。

請求項20

請求項17に記載の方法で最終的に得られる有機成分を含有しないかまたはその含有量が低減されている排水の一部あるいは全部を、再び高温高圧水として用いることを特徴とする請求項17に記載の再資源化方法。

請求項21

ハロゲン元素が含まれる磁性層を請求項3に記載の方法で再資源化する際、最終的に得られた排水も回収し酸として再資源化することを特徴とする請求項3に記載の再資源化方法。

請求項22

磁気記録媒体または有機物質からなる基材から予め分離された磁性層を、高温高圧水で処理することにより有機物質を水に可溶な低分子分解物に分解し、有機物質の大部分と磁性粒子とを分離し、磁性粒子を回収することを特徴とする磁性粒子の再資源化方法。

請求項23

磁性粒子の結合剤としてポリウレタンを該結合剤のうち70重量%以上含有することを特徴とする請求項3に記載の方法による再資源化が可能な磁気記録媒体。

請求項24

磁性粒子の結合剤としてニトロセルロースを該結合剤のうち30重量%以上含有することを特徴とする請求項3に記載の方法による再資源化が可能な磁気記録媒体。

請求項25

請求項3に記載の方法で回収された磁性粒子を含有することを特徴とする磁気記録媒体。

請求項26

請求項3に記載の方法で回収された磁性粒子と、磁気記録媒体の製造用に合成された新品の磁性粒子とを含有することを特徴とする磁気記録媒体。

技術分野

0001

本発明は、オーディオテープビデオテープ等の磁気記録媒体再資源化する方法、再資源化された磁性粒子を用いて製造される磁気記録媒体および再資源化することを目的とした磁気記録媒体に関するものである。

背景技術

0002

磁気記録媒体は、基本的には磁気記録を担う磁性粒子から構成されている磁性層と、それを機械的に保持する基材とからなる構造をとっている(図1)。基材の材質は、樹脂や紙であり、具体的には、例えば酢酸セルロースセルロースポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などが挙げられる。ビデオテープでは、PETフィルムが基材に多く用いられる。磁性粒子は、各種のものがあるが、例えば、マグネタイト磁鉄鋼)、酸化クロム、鉄などが挙げられる。通常、磁性粒子はサブミクロン微粒子である。該磁性粒子をバインダーとともに溶剤に分散させ(作製された溶液磁性塗料と呼ぶ)、基材の上に塗布し、磁場配向させ、乾燥することで、磁気記録媒体が作られる。上記バインダーには、例えば、ウレタン樹脂塩化ビニルビニルアルコールポリアミド樹脂エポキシ樹脂またはセルロース樹脂などが用いられる。このほか、ビデオテープを製造するためには、通常、磁性塗料に分散剤(例えば、レシチンなどの界面活性剤)や架橋剤(例えば、イソシアネートなど)を添加する。また、そしてビデオテープの使用時に効果を発揮する潤滑剤(例えば、長鎖アルキル基を有するカルボン酸短鎖アルキル基を有するアルコールエステルなど)や研磨剤(例えば、酸化アルミニウムなどのモース硬度7以上の堅い粒子)、あるいは帯電防止剤(例えば、カーボンブラックなど)も、通常、磁性塗料に添加される。また、真空中で磁性粒子を加熱蒸発させ、基材に蒸着させて、作られる磁気記録媒体もある。

0003

近年、磁気記録を応用した多種多様製品生産され、それら生産量は増加の一途をたどっている。それに伴い、それら製品が使用された後の廃棄が問題となりつつある。磁気記録媒体に限ったことではないが、近年の大量生産大量消費、大量廃棄という一方通行では資源枯渇の問題がある。そして大量廃棄するにも、ごみ処理場の不足焼却に伴う有害物質の発生飛散等の問題がある。こういった背景から、磁気記録媒体を再資源化が検討されている。

0004

従来研究開発されてきた磁気記録媒体の再資源化技術を見ると、その多くが磁性層と基材との分離技術に注力されていた(特開平5-274666、特平11-167716など)。そして、分離された両者のうち、基材の再資源化だけが注目されていた。すなわち、基材を再利用する、あるいは、樹脂である基材を何らかの処理で低分子化して液状とすることで再資源とする技術が知られている(特開平2-29492、特開平4-180995、特開2000-178564など)。一方で、従来、磁性層の再資源化については、ほとんど検討されてないといえる。磁性層と基材との分離技術の特許の中で補足説明的に、磁性粒子の回収について触れられているだけであった。例えば、「磁石を併用した水洗いで磁気成分を回収」といった記述があるだけであった(特開2000-34364)。

発明が解決しようとする課題

0005

本発明は、磁気記録媒体の磁性層に含まれる磁性粒子を回収することができる磁気記録媒体または磁気記録媒体の磁性層の再資源化方法を提供することを目的とする。本発明は、また、磁気記録媒体または磁性層の再資源化の過程で得られる低分子分解物の回収または該低分子分解物の適正な分解処理技術による磁気記録媒体の好適な再資源化方法を提供する。本発明は、さらに、磁気記録媒体または磁性層の再資源化の過程で生じる水などを循環利用することにより、効率的で、資源およびエネルギー節約型の磁気記録媒体の再資源化方法を提供する。

課題を解決するための手段

0006

本発明者らは、これまで注目されていなかった磁性層の再資源化技術を開発すべく鋭意検討し、超臨界流体を用いた磁性層の再資源化を試みた。ここで、超臨界流体とは、その物質固有臨界温度臨界圧力とを越えたもので、通常(臨界温度および臨界圧力内)の条件下とはかなり違った物性を示す。超臨界流体を反応場として用いると、反応特性に特異的現象が見られる。例えば、水の場合、374℃と22MPaという高温高圧を越えると超臨界水となる。超臨界水は、水蒸気の物性と水の物性とを合わせもち、また有機物も溶かすことができる。このような特性を活かし、近年、PCBやダイオキシンなどの物質超臨界水中において分解する研究開発が行われている。また、超臨界水には至らなくても、高温高圧の熱水によって各種の反応を行わせることが報告されている。

0007

上記検討の結果、超臨界水はもちろん、超臨界状態には至らない高温高圧の熱水を用いても、磁性層に含まれるバインダーを加水分解することができ、かつ該バインダーが加水分解されてできた低分子分解物は水に可溶であり、磁性粒子との容易に分離することができるという思いがけない知見を得た。さらに、該低分子分解物は、樹脂の原料となるモノマーとして再資源化が可能であるという知見も得た。本発明者らは、さらに検討を重ねて本発明を完成した。

0008

すなわち、本発明は、(1)磁気記録媒体を化学分解して、磁気記録媒体に含まれる有機物質の低分子分解物または/および磁性粒子を取得することを特徴とする磁気記録媒体の再資源化方法、(2) 化学分解が、高温高圧下での加水分解または/および熱分解であることを特徴とする前記(1)に記載の磁気記録媒体の再資源化方法、(3) 磁気記録媒体または有機物質からなる基材から予め分離された磁性層を、高温高圧水で処理することにより磁気記録媒体または磁性層に含まれる有機物質を水に可溶な低分子分解物に分解し回収すること、または/および有機物質の大部分が分離除去された磁性粒子を回収することを特徴とする磁気記録媒体または磁気記録媒体の磁性層の再資源化方法、(4) 高温高圧水が、温度が150〜374℃、圧力がその温度での飽和蒸気圧以上の水、または温度が374℃以上でかつ圧力が22.1MPa以上の水であることを特徴とする前記(3)に記載の再資源化方法、(5) 高温高圧水に酸化剤が混入されていないことを特徴とする前記(3)に記載の再資源化方法、に関する。

0009

また、本発明は、(6)磁気記録媒体または磁気記録媒体の磁性層を高温高圧水により処理した後、磁性粒子を水から分離回収し、その後磁性粒子と分離された低分子分解物を含有する水溶液を、低分子分解物濃縮処理に付すことを特徴とする前記(3)に記載の再資源化方法、(7) 低分子分解物濃縮処理において得られる水の一部あるいは全部を、再び高温高圧水として用いることを特徴とする前記(6)に記載の再資源化方法、(8) 磁気記録媒体または磁気記録媒体の磁性層を高温高圧水により処理した後、磁性粒子を水から分離回収し、その後磁性粒子と分離された低分子分解物を含有する水溶液に酸化剤を添加して高温高圧にするか、または該水溶液を高温高圧にしてから酸化剤を添加するかのいずれかの処理によって、該水溶液に含まれる低分子分解物をさらに酸化分解し、該水溶液中の有機成分をなくするかまたはその含有量を低減することを特徴とする前記(3)に記載の再資源化方法、(9) 高温高圧が、300〜600℃の温度でかつその温度での水の飽和蒸気圧以上の圧力、または374℃以上の温度でかつ22.1MPa以上の圧力であることを特徴とする前記(8)に記載の再資源化方法、(10) 酸化剤が、酸素、オゾンおよび過酸化水素からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする前記(8)に記載の再資源化方法、に関する。(11) 前記(8)に記載の方法で最終的に得られる有機成分を含有しないかまたはその含有量が低減されている排水の一部あるいは全部を、再び高温高圧水として用いることを特徴とする前記(8)に記載の再資源化方法、に関する。

0010

また、本発明は、(12)高温高圧水に予めアルカリ性物質が添加されていることを特徴とする前記(3)に記載の再資源化方法、(13) 高温高圧水による処理の前に、予め磁気記録媒体または磁性層にアルカリ性物質を添加することを特徴とする前記(3)に記載の再資源化方法、(14) アルカリ性物質が、アンモニア水酸化ナトリウム炭酸ナトリウム炭酸水素ナトリウム水酸化カリウム炭酸カリウム炭酸水素カリウム酸化マグネシウム水酸化カルシウム酸化カルシウム、t−BuOK、t−BuONaおよびテトラメチルアンモニウムヒドロキシドからなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする前記(12)または(13)に記載の再資源化方法、(15) 磁気記録媒体または磁気記録媒体の磁性層をアルカリ性物質を含有する高温高圧水により処理した後、磁性粒子を水から分離回収し、その後磁性粒子と分離された低分子分解物を含有する水溶液を、低分子分解物濃縮処理に付すことを特徴とする前記(12)に記載の再資源化方法、(16) 低分子分解物濃縮処理において得られる水の一部あるいは全部を、再び高温高圧水として用いることを特徴とする前記(15)に記載の再資源化方法、に関する。

0011

また、本発明は、(17)磁気記録媒体または磁気記録媒体の磁性層をアルカリ性物質を含有する高温高圧水により処理した後、磁性粒子を水から分離回収し、その後磁性粒子と分離された低分子分解物を含有する水溶液に酸化剤を添加して高温高圧にするか、または該水溶液を高温高圧にしてから酸化剤を添加するかのいずれかの処理によって、該水溶液に含まれる低分子分解物を酸化分解し、該水溶液中の有機成分を無くするかまたはその含有量を低減することを特徴とする前記(12)に記載の再資源化方法、(18) 高温高圧が、300〜600℃の温度でかつその温度での水の飽和蒸気圧以上の圧力、または374℃以上の温度でかつ22.1MPa以上の圧力であることを特徴とする前記(17)に記載の再資源化方法、(19) 酸化剤が、酸素、オゾンおよび過酸化水素からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする前記(17)に記載の再資源化方法、(20) 前記(17)に記載の方法で最終的に得られる有機成分を含有しないかまたはその含有量が低減されている排水の一部あるいは全部を、再び高温高圧水として用いることを特徴とする前記(17)に記載の再資源化方法、に関する。

0012

また、本発明は、(21)アルカリ性物質が予め添加されている磁気記録媒体または磁気記録媒体の磁性層を高温高圧水により処理した後、磁性粒子を水から分離回収し、その後磁性粒子と分離された低分子分解物を含有する水溶液を、低分子分解物濃縮処理に付すことを特徴とする前記(13)に記載の再資源化方法、(22) 低分子分解物濃縮処理において得られる水の一部あるいは全部を、再び高温高圧水として用いることを特徴とする前記(21)に記載の再資源化方法、(23) アルカリ性物質が予め添加されている磁気記録媒体または磁気記録媒体の磁性層を高温高圧水により処理した後、磁性粒子を水から分離回収し、その後磁性粒子と分離された低分子分解物を含有する水溶液に酸化剤を添加して高温高圧にするか、または該水溶液を高温高圧にしてから酸化剤を添加するかのいずれかの処理によって、該水溶液に含まれる低分子分解物を酸化分解し、該水溶液中の有機成分を無くするかまたはその含有量を低減することを特徴とする前記(13)に記載の再資源化方法、(24) 高温高圧が、300〜600℃の温度でかつその温度での水の飽和蒸気圧以上の圧力、または374℃以上の温度でかつ22.1MPa以上の圧力であることを特徴とする前記(23)に記載の再資源化方法、(25) 酸化剤が、酸素、オゾンおよび過酸化水素からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする前記(23)に記載の再資源化方法、(26) 前記(23)に記載の方法で最終的に得られる有機成分を含有しないかまたはその含有量が低減されている排水の一部あるいは全部を、再び高温高圧水として用いることを特徴とする前記(23)に記載の再資源化方法、(27)ハロゲン元素が含まれる磁性層を前記(3)に記載の方法で再資源化する際、最終的に得られた排水も回収し酸として再資源化することを特徴とする前記(3)に記載の再資源化方法、に関する。

0013

(31)磁気記録媒体に含まれる有機物質を低分子分解物に化学分解することにより、かかる有機物質の大部分と磁性粒子とを分離し、磁性粒子を取得することを特徴とする磁性粒子の再資源化方法、(32) 化学分解が、高温高圧下での加水分解または/および熱分解であることを特徴とする前記(31)に記載の磁性粒子の再資源化方法、(33) 磁気記録媒体または有機物質からなる基材から予め分離された磁性層を、高温高圧水で処理することにより磁気記録媒体または磁性層に含まれる有機物質を水に可溶な低分子分解物に分解し、有機物質の大部分が分離除去された磁性粒子を回収することを特徴とする磁性粒子の再資源化方法、(34) 高温高圧水が、温度が150〜374℃、圧力がその温度での飽和蒸気圧以上の水、または温度が374℃以上でかつ圧力が22.1MPa以上の水であることを特徴とする前記(33)に記載の再資源化方法、(35) 高温高圧水に酸化剤が混入されていないことを特徴とする前記(33)に記載の再資源化方法、に関する。

0014

また、本発明は、(36)磁気記録媒体または磁気記録媒体の磁性層を高温高圧水により処理した後、磁性粒子を水から分離回収し、その後磁性粒子と分離された低分子分解物を含有する水溶液を、低分子分解物濃縮処理に付すことを特徴とする前記(33)に記載の再資源化方法、(37) 低分子分解物濃縮処理において得られる水の一部あるいは全部を、再び高温高圧水として用いることを特徴とする前記(36)に記載の再資源化方法、(38) 磁気記録媒体または磁気記録媒体の磁性層を高温高圧水により処理した後、磁性粒子を水から分離回収し、その後磁性粒子と分離された低分子分解物を含有する水溶液に酸化剤を添加して高温高圧にするか、または該水溶液を高温高圧にしてから酸化剤を添加するかのいずれかの処理によって、該水溶液に含まれる低分子分解物をさらに酸化分解し、該水溶液中の有機成分をなくするかまたはその含有量を低減することを特徴とする前記(33)に記載の再資源化方法、(39) 高温高圧が、300〜600℃の温度でかつその温度での水の飽和蒸気圧以上の圧力、または374℃以上の温度でかつ22.1MPa以上の圧力であることを特徴とする前記(38)に記載の再資源化方法、(40) 酸化剤が、酸素、オゾンおよび過酸化水素からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする前記(38)に記載の再資源化方法、に関する。(41) 前記(38)に記載の方法で最終的に得られる有機成分を含有しないかまたはその含有量が低減されている排水の一部あるいは全部を、再び高温高圧水として用いることを特徴とする前記(38)に記載の再資源化方法、

0015

また、本発明は、(42)高温高圧水に予めアルカリ性物質が添加されていることを特徴とする前記(33)に記載の再資源化方法、(13) 高温高圧水による処理の前に、予め磁気記録媒体または磁性層にアルカリ性物質を添加することを特徴とする前記(3)に記載の再資源化方法、(44) アルカリ性物質が、アンモニア、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、t−BuOK、t−BuONaおよびテトラメチルアンモニウムヒドロキシドからなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする前記(42)または(43)に記載の再資源化方法、(45) 磁気記録媒体または磁気記録媒体の磁性層をアルカリ性物質を含有する高温高圧水により処理した後、磁性粒子を水から分離回収し、その後磁性粒子と分離された低分子分解物を含有する水溶液を、低分子分解物濃縮処理に付すことを特徴とする前記(42)に記載の再資源化方法、(46) 低分子分解物濃縮処理において得られる水の一部あるいは全部を、再び高温高圧水として用いることを特徴とする前記(45)に記載の再資源化方法、に関する。

0016

また、本発明は、(47)磁気記録媒体または磁気記録媒体の磁性層をアルカリ性物質を含有する高温高圧水により処理した後、磁性粒子を水から分離回収し、その後磁性粒子と分離された低分子分解物を含有する水溶液に酸化剤を添加して高温高圧にするか、または該水溶液を高温高圧にしてから酸化剤を添加するかのいずれかの処理によって、該水溶液に含まれる低分子分解物を酸化分解し、該水溶液中の有機成分を無くするかまたはその含有量を低減することを特徴とする前記(42)に記載の再資源化方法、(48) 高温高圧が、300〜600℃の温度でかつその温度での水の飽和蒸気圧以上の圧力、または374℃以上の温度でかつ22.1MPa以上の圧力であることを特徴とする前記(47)に記載の再資源化方法、(49) 酸化剤が、酸素、オゾンおよび過酸化水素からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする前記(47)に記載の再資源化方法、(50) 前記(47)に記載の方法で最終的に得られる有機成分を含有しないかまたはその含有量が低減されている排水の一部あるいは全部を、再び高温高圧水として用いることを特徴とする前記(47)に記載の再資源化方法、に関する。

0017

また、本発明は、(51)アルカリ性物質が予め添加されている磁気記録媒体または磁気記録媒体の磁性層を高温高圧水により処理した後、磁性粒子を水から分離回収し、その後磁性粒子と分離された低分子分解物を含有する水溶液を、低分子分解物濃縮処理に付すことを特徴とする前記(43)に記載の再資源化方法、(52) 低分子分解物濃縮処理において得られる水の一部あるいは全部を、再び高温高圧水として用いることを特徴とする前記(51)に記載の再資源化方法、(53) アルカリ性物質が予め添加されている磁気記録媒体または磁気記録媒体の磁性層を高温高圧水により処理した後、磁性粒子を水から分離回収し、その後磁性粒子と分離された低分子分解物を含有する水溶液に酸化剤を添加して高温高圧にするか、または該水溶液を高温高圧にしてから酸化剤を添加するかのいずれかの処理によって、該水溶液に含まれる低分子分解物を酸化分解し、該水溶液中の有機成分を無くするかまたはその含有量を低減することを特徴とする前記(43)に記載の再資源化方法、(54) 高温高圧が、300〜600℃の温度でかつその温度での水の飽和蒸気圧以上の圧力、または374℃以上の温度でかつ22.1MPa以上の圧力であることを特徴とする前記(53)に記載の再資源化方法、(55) 酸化剤が、酸素、オゾンおよび過酸化水素からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする前記(53)に記載の再資源化方法、(56) 前記(53)に記載の方法で最終的に得られる有機成分を含有しないかまたはその含有量が低減されている排水の一部あるいは全部を、再び高温高圧水として用いることを特徴とする前記(53)に記載の再資源化方法、に関する。

0018

また、本発明は、(57)磁性粒子の結合剤としてポリウレタンを該結合剤のうち70重量%以上含有することを特徴とする前記(3)に記載の方法による再資源化が可能な磁気記録媒体、(58) 磁性粒子の結合剤としてニトロセルロースを該結合剤のうち30重量%以上含有することを特徴とする前記(3)に記載の方法による再資源化が可能な磁気記録媒体、(59) 前記(3)に記載の方法で回収された磁性粒子を含有することを特徴とする磁気記録媒体、(60) 前記(3)に記載の方法で回収された磁性粒子と、磁気記録媒体の製造用に合成された新品の磁性粒子とを含有することを特徴とする磁気記録媒体、に関する。

発明を実施するための最良の形態

0019

本願の第一の発明では、磁気記録媒体を化学分解して、磁気記録媒体に含まれる基材または磁性層に含まれるバインダーなどの有機物質を低分子分解物に分解し、有機物質の大部分と磁性粒子とを分離し、有機物質の低分子分解物または/および磁性粒子を取得することを特長とする。磁気記録媒体を化学分解する方法としては、自体公知の方法が挙げられるが、高温高圧下での加水分解または/および熱分解が好ましい。

0020

より具体的に本発明の好ましい態様としては、磁気記録媒体を高温高圧水で処理することで、上記磁気記録媒体に含まれる有機物質を水に可溶な低分子分解物に分解し、低分子分解物を含む水溶液を回収して再資源とする、または/および有機物質の大部分が分離された磁性粒子を回収して再資源とするという態様が挙げられる。高温高圧水での処理は、特に限定されず、例えば図2に示したように、磁気記録媒体を水と混合した後、これを加熱することにより高温高圧条件にすることで処理してもよいし、磁気記録媒体に高温高圧水を噴霧することで処理してもよい。

0021

ここで、上記高温高圧水としては、その温度が約150℃程度以上、好ましくは約250℃程度以上、より好ましくは約300℃程度以上、さらに好ましくは約250〜400℃程度であり、かつその圧力がその温度での飽和水蒸気圧以上であることが好ましい。中でも、温度が約374℃程度以上で、圧力が約22MPa程度以上である超臨界水、または温度が約150〜374℃程度の液体状態の水である亜臨界水を用いるのが好ましい。なお、本明細書では、特に断わりのない限り、高温高圧水は、超臨界水と、亜臨界水を含む超臨界状態には至らない高温高圧の熱水の両方の意を含むものとする。

0022

磁気記録媒体に含まれる有機物質としては、基材に用いられている合成樹脂フィルムまたは紙を構成する有機物質が挙げられる。具体的には、酢酸セルロース、セルロース、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリプロピレンポリカーボネートポリアミドポリアロマティックアミドアラミド)、ポリイミドポリアミドイミドなどが挙げられる。また、磁気記録媒体に含まれる有機物質としては、磁性粒子のバインダーとして用いられている有機物質も挙げられる。具体的には、塩化ビニル共重合体;塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体;塩化ビニルもしくは酢酸ビニルと、ビニルアルコール、マレイン酸および/またはアクリル酸との共重合体;塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体;塩化ビニル・アクリロニトリル共重合体エチレン酢酸ビニル共重合体ニトロセルロース樹脂などのセルロース誘導体アクリル樹脂ポリビニルアセタール樹脂ポリビニルブチラール樹脂;エポキシ樹脂;フェノキシ樹脂ポリウレタン樹脂;または、ポリカーボネートポリウレタン樹脂等が挙げられる。

0023

本発明においては、上述のような磁気記録媒体に含まれる有機物質を化学分解して低分子分解物にする。かかる低分子分解物は、磁性粒子と分離する際の分離の容易さを考慮すれば、水に可溶であることが好ましい。さらに、かかる低分子分解物は、上記有機物質を構成するモノマーであることがより好ましい。具体的には、例えば、磁気記録媒体に含まれる有機物質がPETの場合は、テレフタル酸エチレングリコールに分解するのが好ましい。

0024

また、本願の第二の発明では、磁気記録媒体の基材と磁性層とを自体公知の方法によって予め分離した後、上記発明と同様に、磁性層を化学分解して、磁性層に含まれるバインダーなどの有機物質を低分子分解物に分解し、有機物質の大部分と磁性粒子とを分離し、有機物質の低分子分解物または/および磁性粒子を取得することを特長とする。かかる発明によって従来ほとんどなされていなかった磁性層の再資源化を図ることができるという利点がある。なお、上述したように磁気記録媒体の基材の再資源化に関する技術は進んでいるため、磁気記録媒体の基材の再資源化についてはかかる公知技術(例えば、特開平2−29492、特開平4−180995、特開2000−178564など)を適用すればよい。

0025

より詳細には、かかる発明は、磁気記録媒体の基材と磁性層とを自体公知の方法によって予め分離すること以外は、上記第一の発明と全く同様である。磁気記録媒体の基材と磁性層とを分離する方法として、具体的には、磁気記録媒体を裁断し、アルカリに浸せきし、膨潤させ、高速攪拌して分離し、水洗、乾燥し磁気選別することにより基材と磁性層とを分離するという方法が挙げられる。より具体的には、特開昭53−70404号公報、特開昭59−52433号公報、特開昭59−91028号公報に記載の方法を用いてよい。また、例えば、特開平11−167716号公報に記載されている方法など、上記方法の改良方法を用いてよい。また、アルカリの代わりに、特殊な有機溶媒を用いて基材と磁性層とを分離するという方法が挙げられる。より具体的には、ピロリドンまたはγ—ブチロラクトン液で基材を剥離させる方法(特開平6−180842号公報)などが挙げられる。

0026

さらには、基材と磁性層との間に下塗層が設けられている磁気記録媒体については、前記下塗層を構成する素材を溶解又は膨潤する有機溶剤分散メディアを用いて分散することにより基材と磁性層を分離することができる(特開平5−274666号公報)。上記下塗層を構成する素材を溶解する又は膨潤する有機溶剤としては、例えばケトン系溶剤エステル系溶剤エーテル系溶剤芳香族炭化水系溶剤塩素化炭化水素等が挙げられ、中でも、ケトン系の有機溶剤、特にメチルエチルケトン(MEK)またはシクロヘキサノンが好ましい。分散メディアとしては、例えばガラスビーズジルコニアスチールボール等が挙げられる。上記方法は、より具体的には、上記有機溶剤と、分散メディアと、磁気記録媒体の裁断物とを、自体公知の分散機を用いて分散するという方法がある。

0027

上記第一および第二の発明の好ましい態様を、図11に示した処理フローに従って以下に詳述する。磁気記録媒体または磁気記録媒体から上述のように基材と分離された磁性層を、水と混合する。このとき混合される水には、自体公知の前処理がされていてもよい。かかる前処理としては、例えば、水の中の溶存酸素を除去するなど、酸素等の酸化剤となり得る物質の混入がないまたはその混入を低減させる処理が挙げられる。磁気記録媒体の基材や磁性層にハロゲン元素や硫黄が含まれている場合、かかる成分が酸化されて酸が発生し装置が腐食を受けることがあるので、上記のような前処理をすることによりかかる不都合を抑えることができる。より具体的には、例えば、溶存酸素を除去する処理として、水を耐圧容器に入れ、真空ポンプ吸引して十分に排気した後、窒素ガスボンベ等を用いて窒素パージし、これを数回くり返すという処理が挙げられる。

0028

また、上記前処理として、水にアルカリ性物質を予め加えておくという処理が挙げられる。磁気記録媒体の基材や磁性層にハロゲン元素や硫黄が含まれている場合に、かかる成分が酸化されて発生する酸を即座に中和することができ、酸による装置の腐食を防ぐことができる。アルカリ性物質としては、特に限定されず自体公知ものを用いてよいが、具体的には、例えば、アンモニア、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、t−BuOKもしくはt−BuONa(ここで、t−Buはt−ブチル基を表す。)などの無機アルカリ性物質、またはテトラメチルアンモニウムヒドロキシドなどの有機アルカリ性物質などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。

0029

一方、磁気記録媒体または磁気記録媒体から分離された磁性層に対して、自体公知の処理を施しておいてもよい。例えば、磁気記録媒体または磁性層にアルカリ性物質を予め加えておくという処理が挙げられる。アルカリ性物質としては、上述の物質など自体公知ものを用いてよい。

0030

上記混合物を加熱して、高温高圧水による処理を行い、有機物質を分解する。高温高圧水の温度条件は、上述したように、約150℃以上、好ましくは約250℃程度以上、より好ましくは約300℃程度以上、さらに好ましくは約250〜400℃程度である。用いる装置の耐熱性および耐圧性の点、および加熱に必要なエネルギーの点などから、温度は低いことが望ましい。また、高温高圧水の圧力は、少なくともそれぞれの温度における飽和水蒸気圧以上の圧力であることが好ましい。また、温度が約374℃程度以上で、圧力が約22MPa程度以上である超臨界水を用いてもよい。

0031

また、アルカリ性物質の存在する高温高圧水によって、磁気記録媒体または磁性層を処理すると、含まれる有機物質が加水分解されやすくなり、処理時間の短縮化やより低い温度での処理が可能になる。例えば、該有機物質がポリウレタンの場合、アルカリ性物質を存在させることにより、高温高圧水の温度を約150℃程度にまで低下させることができる。従って、高温高圧水にアルカリ性物質を添加することにより、前述したような発生する酸の中和し装置の腐食を防ぐことができるという利点だけでなく、より低い温度での高温高圧水処理が可能になるという利点も有する。

0032

加熱時には、攪拌などの操作を行ってもよい。超臨界状態には至らない高温高圧の熱水を用いる場合は、攪拌するのが好ましい。加熱後の冷却は、特に限定されず、放冷により冷却してもよいし、冷却装置を用いて強制的に冷却してもよい。

0033

低分子分解物を含有する水溶液と磁性粒子とを分離する方法としては、自体公知の方法を用いてよい。例えば、磁性粒子は水より比重が大きく、しばらく放置すれば磁性粒子は沈澱するため、磁性粒子を沈澱させ上澄みの水溶液を吸い取る等をすれば、磁性粒子と該水溶液とを分離できる。また、この沈殿による分離の際に、磁力を用い、磁性粒子の沈澱を迅速に行わせることもできる。また、迅速な分離のため、遠心分離機を用いて分離することもできる。さらに、磁性粒子と該水溶液との分離は、ろ過機を用いることもできる。磁性粒子に比べ充分に目の細かいフィルターによって、磁性粒子を濾しわけるのである。

0034

以上のようにして分離された磁性粒子と低分子分解物を含有する水溶液は、さらに所望により自体公知の精製処理などが施された後、再資源化されうる。例えば、分離された磁性粒子に対しては、水などによる洗浄後、乾燥処理を行うのが好ましい。また、低分子分解物を含有する水溶液に対しては、例えば、アルミナ製等のセラミックフィルター積層金属メッシュフィルター、金属不織布フィルターステンレス製等の焼結金属フィルターなどの濾過体により不溶性不純物を取り除く濾過処理を行ってもよいし、例えば、冷却による再結晶化など低分子分解物からモノマーを精製する処理を行ってもよい。

0035

本願の第三の発明では、上述のように、磁気記録媒体または磁気記録媒体から分離された磁性層を高温高圧水により処理した後、磁性粒子を水から分離回収し、その後磁性粒子と分離された低分子分解物を含有する水溶液を、水と低分子分解物とに分離するかまたは該水溶液中の低分子分解物を濃縮することを特長とする。なお、本発明において、磁性粒子と分離された低分子分解物を含有する水溶液を、水と低分子分解物とに分離するかまたは該水溶液中の低分子分解物を濃縮することを、「低分子分解物濃縮処理」という。こうすることで、水と、低分子分解物または低分子分解物の高濃度の水溶液とが得られ、この際に得られる水を上記高温高圧水として再利用することができるという利点を有する。その結果、高温高圧水による処理過程において新しい水の投入を少なくすることができ、水資源を節約できる。また、分離された低分子分解物または高濃度の低分子分解物を含む水溶液は、資源性がより高いという利点もある。

0036

上記水溶液から水と低分子分解物とを分離する方法または上記水溶液中の低分子分解物を濃縮する方法としては、特に限定されず自体公知の方法を用いてよい。例えば、加熱することにより水を気化させ、水蒸気を再び冷却するという方法が挙げられる。かかる発明の好ましい態様を示す処理フローを図3に示す。その詳細は、上記分離または濃縮過程を除いては、上述の図2を用いた上記記載と全く同様である。

0037

本願の第四の発明では、前記の第一、第二の発明に従って、磁気記録媒体または磁気記録媒体から分離された磁性層を高温高圧水により処理し、その後磁性粒子を水から分離回収し、それにより得られる磁性粒子と分離された低分子分解物を含有する水溶液の一部を、高温高圧水として用いることを特長とする。こうすることにより、前記のような濃縮の工程を省いても、最終的に低分子分解物を高濃度に含有する水溶液を得ることができるという利点がある。その結果、上述したように、資源性が高い低分子分解物を含有する水溶液が得られ、また、高温高圧水による処理過程において新しい水の投入を少なくすることもでき水資源を節約できるという利点がある。かかる発明の好ましい態様を示す処理フローを図4に示す。その詳細は、低分子分解物を含有する水溶液の一部を、高温高圧水として用いることを除いては、上述の図2を用いた上記記載と全く同様である。

0038

例えば、処理しようとする磁気記録媒体が単一種類の有機物質を含むものでなく、違う種類の有機物質が混合されているなどのときは、得られる低分子分解物は多種類の混合物となり、その資源性が低くなる。そのような場合は、上記のようにして得られる低分子分解物またはそれを好ましくは高濃度で含有する水溶液を再資源化しないことがある。本願の第五の発明は、かかる場合の低分子分解物を含有する水溶液の適正な分解処理を提供する。すなわち、前記の第一から第四までの発明で得られる低分子分解物を含有する水溶液を、酸化剤ともに高温高圧水で処理することで、そのほとんどを二酸化炭素と水とに酸化分解するという処理を提供する。

0039

上記本願の第五の発明の態様としては、前記の第一から第四までの発明で得られる低分子分解物を含有する水溶液、言い換えれば、高温高圧水による処理後、磁性粒子を水から分離回収した後の磁性粒子と分離された低分子分解物を含有する水溶液に、酸化剤を添加して高温高圧にするという態様が挙げられる。または、該水溶液を高温高圧にしてから酸化剤を添加するという態様も挙げられる。

0040

かかる発明で用いる該酸化剤は、特に限定されず自体公知の酸化剤を用いてよい。中でも、酸素、オゾンまたは過酸化水素を用いるのが好ましい。かかる酸化剤は、1種類のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記酸化剤は、低分子分解物を完全酸化するに必要な化学当量以上を添加するのが好ましく、具体的には低分子分解物を含有する水溶液の約1.2〜10倍(当量比)程度を添加するのが好ましい。

0041

かかる発明において上記水溶液を高温高圧にする際の温度条件は、約300℃程度以上、好ましくは約350℃程度以上、より好ましくは約300〜600℃程度である。用いる装置の耐熱性および耐圧性の点、および加熱に必要なエネルギーの点などから、温度は低いことが望ましい。また、圧力は少なくともそれぞれの温度における飽和水蒸気圧以上が好ましい。また、他の態様としては、温度が約374℃程度以上でかつ圧力が約22.1MPa程度以上の条件にするという態様も挙げられる。

0042

上記発明により、最終的に得られる排水中の有機成分を無くするかまたはその含有量を低減することができる。言い換えれば、上記発明によって最終的に得られる排水中に含まれるTOC(Total Organic Carbon)は非常に低い。その結果、上記排水を下水などに排出することが可能となるという利点がある。また、該排水を排出するのではなく、再び高温高圧水の原料として供給し、高温高圧水による処理過程において新しい水の投入を少なくすることもでき、水資源を節約できるという利点もある。本発明の好ましい態様を示す処理フローを図5図6図7に示す。図5は、上記第一または第二の発明と、上記第五の発明とを組み合わせたときの好ましい態様を示し、図6は、上記第三の発明と、上記第五の発明とを組み合わせたときの好ましい態様を示し、図7は、上記第四の発明と、上記第五の発明とを組み合わせたときの好ましい態様を示す。

0043

磁気記録媒体を上記方法によって再資源化する場合にあっては磁気記録媒体の基材や磁性層にハロゲン元素や硫黄が含まれている場合、磁性層を上記方法によって再資源化する場合にあっては磁性層にハロゲン元素や硫黄が含まれている場合、上記第一から第四の発明に係る方法、または好ましくはさらに上記第五の発明を組み合わせた方法を用いて、磁気記録媒体や磁性層を再資源化するときに、最終的に得られる排水も回収し、酸として再資源化することができる。かかる再資源化は、高温高圧水による磁気記録媒体または磁性層に含まれる有機物質の分解の際に、高温高圧水処理に用いる水に予めアルカリ性物質を添加しなかった場合に特に有効である。

0044

上述した本発明による磁気記録媒体または磁性層の再資源化の各工程での処理は、基本的には自体公知の装置を用いることができる。それぞれの工程をバッチ式に行う場合、各工程において用いる装置について説明する。しかし、かかる装置は、本発明に係る再資源化方法を実施するための好ましい装置の一態様であり、本発明はかかる装置を用いた場合に限定されるものではない。

0045

磁気記録媒体または基材を分離した磁性層と、水との混合は、次に述べる反応容器にそれぞれの所定量を入れるだけでよい。水の所定量とは、所定の温度とするとき、所定の圧力となる水量であり、例えば、反応容器が100mLのとき、飽和水蒸気圧以上の圧力とするためには、温度を200℃に設定する場合は約0.8g程度、温度を300℃に設定する場合は約4.6g程度の水が必要である。

0046

図4〜7に示す加熱、分解および冷却の工程を行うには、例えば、密閉式の反応容器と、加熱手段と、温度制御機構とを備えた装置を用いるのが好ましい。より好ましくは、図8に示したような装置が挙げられる。反応容器は、高温高圧に耐え得る構造と材質であることが特に好ましい。これを満たす反応容器としては、例えばオートクレーブ等がある。これを満たす反応容器の材質としては、例えばSUS316などが挙げられる。中でも、耐腐食性に優れたインコネルハステロイなどを用いるのが好ましい。反応容器は開閉でき、磁気記録媒体もしくは基材を分離した磁性層や、水を入れることができるような構造を有するものが好ましい。また、高温高圧水による処理において、超臨界水ではなく、超臨界状態には至らない高温高圧の熱水で処理を行うときは、反応容器内を撹拌するのが好ましい。これには、図示しない反応容器内撹拌機構を設けるか、または、反応容器全体を振動振とうもしくは回転させればよい。

0047

上記加熱手段としては、例えば電気ヒーターなどを用いることができる。熱電対にて、反応容器内部の温度をモニターするか、またはヒーターの温度をモニターし、ヒーターの電力を制御し、温度を制御できる制御システムを有することが好ましい。高温高圧水による処理の際は、当初予定していた圧力よりも反応によって内圧が上がることがあるので、反応容器には保圧弁を設けるのがよい。保圧弁とは、設定した圧力以上となった場合、流体流通させ、内圧が設定圧力以上にならないようにするものである。また、急激な内圧上昇に対する安全対策として、何らかの圧力ヒューズラプチャーディスク)を設けるのが好ましい。

0048

磁気記録媒体あるいは磁性層を上記のような反応容器に入れる。反応容器を密閉の後、所定の温度にまで加熱し、所定時間の後、加熱をやめ放冷すればよい。その結果、反応容器には、低分子分解物を含有する水溶液と、磁性粒子とが得られる。

0049

磁性粒子と低分子分解物を含有する水溶液との分離は、例えば、沈殿槽を用いることができる。沈殿槽はいわゆる水槽でよく、所望により反応容器を流用してもよい。磁性粒子は水より比重が大きく、しばらく放置すれば磁性粒子は沈澱するため、上澄みの水溶液を吸い取る等をすれば、磁性粒子と水溶液とを分離できる。また、磁力を用い、磁性粒子の沈澱を迅速に行わせることもできる。例えば、樹脂製の沈殿槽を用い、その下に磁石を設置した沈殿槽(図9)を用いることもできる。また、迅速な分離のため、遠心分離機を用いることもできる。または、ろ過機を用いて磁性粒子と水溶液とを分離することもできる。より詳しくは、磁性粒子に比べ充分に目の細かいフィルターによって、磁性粒子を濾しわけるのである。

0050

上記第三の発明において、上記のようにして磁性粒子と分離された低分子分解物を含有する水溶液を、さらに水と低分子分解物との分離したり、該水溶液中の低分子分解物を濃縮したりする処理は、いわゆる自体公知の蒸留装置を用いて行うことができる。

0051

低分子分解物を再資源化しないで分解処理する場合、上記第五の発明に従って、酸化剤とともに高温高圧水で処理する。基本的には、かかる処理を行うには前述の装置を用いることができる。但し、反応容器の材質は、耐腐食性に優れたインコネル、ハステロイなどを用いるのがより好ましい。処理の方法は、前述の処理と同様である。酸化剤は、水溶液中の低分子分解物が酸化するのに必要な化学当量以上を加えておくことが好ましい。上述のような処理を行うことにより、水溶液中の低分子分解物が二酸化炭素と水に分解される。その際の気液分離は、特別に用意した装置を用いなくても、前記処理を終えて反応容器を開けるとき(保圧弁を次第に開けるとき)、気体自然放出される。

0052

上記のような工程を連続的に行うこともできる。該工程を連続的に行えるようにするには、そのための装置を用い、また、そのための準備工程を設けることが好ましい。先ず、磁気記録媒体の全体を処理する場合は、細かく粉砕することが好ましい。これには、従来の粉砕機を用いることができる。基材と分離した磁性層は、粉砕の工程は特に必要ではない。粉砕した磁気記録媒体または基材を分離した磁性層と水とは、スラリーにして混合するのが好ましい。すなわち、図2〜7に示したそれぞれの工程を連続して行うには、それら図の混合工程は、スラリー化工程に置き換えることが好ましい。スラリー化工程には従来装置の撹拌機を用いるとよい。

0053

このスラリーを高温高圧の熱水で連続処理するには、連続式(流通式)の熱水反応装置超臨界水反応装置)を用いることができる。連続式の装置の一例を図10に示す。タンク41は、使用するスラリー40を貯蔵する。ポンプ42は、スラリーを送液し、目的の高圧をつくり出す。予熱器43は、配管のまわりにヒーター44を配したもので、目的の温度程度にまで水を加熱する。反応器46は、反応容器47の周囲にヒーター48を配したものであり、目的の温度にされており、目的の圧力にもなっている。冷却器51は、図示しない冷媒循環装置から供給される冷媒を配管の周囲に流通させるようにしたもので、水を室温程度まで冷却する。保圧弁52は、配管内の圧力を保つものである。目的とする圧力をこえる場合、液体は保圧弁52を経て排出される。なお、冷却器と予熱器とで、熱交換させると、装置に必要なエネルギーを節約することができる。例えば、冷却器に用いる冷媒の代りに、タンク41から出た直後のスラリーを用い、冷却器から出てくる冷媒の役目のスラリーは温まっており、これを予熱器に入れることができる。

0054

各配管や反応容器などは、高温高圧に耐えられるような構造、材質を用いるのが好ましい。かかる目的のために好ましい材質としては、例えば、SUS316などが挙げられる。言うまでもないが、温度が高温にならない部分、例えばポンプ42から予熱器43までの配管は、耐圧性を備えた材質や構造(肉厚)であればよいし、高温高圧にならない部分、例えばタンク41からポンプ42までの配管は、耐圧性も要しない。磁気記録媒体によっては、高温高圧の熱水による処理で酸を発生することがあるので、各配管や反応容器の材質は、耐腐食性に優れたインコネル、ハステロイなどを用いるのがより好ましい。なお、特別に反応容器を設けなくても、チューブ式の反応容器でもよい。すなわち、予熱器を含めたヒーターと、配管とで処理を行うこともできる。

0055

磁性粒子と低分子分解物を含有する水溶液との分離を連続的に行うには、例えば、図11で示した沈澱槽を用いることができる。長方形水層を用い、長手方向に液体を流す。このとき、流量と磁性粒子の沈降速度に比べ、水槽を充分に長くしておくことが特に好ましい。磁性粒子の沈降速度を速めるため、前述のように磁力を用いのが好ましい。沈澱した磁性粒子を取り出すには、図示しない何らかの収集機構を設けるか、または、磁性粒子がある程度たまったら、連続処理を中断し、上澄みを吸い取る等によって除去し、磁性粒子を回収すればよい。さらに、磁性粒子と低分子分解物を含有する水溶液との分離は前述のようにろ過機を用いることもできる。この場合、ろ過機への送液の圧力は、前工程(高温高圧水処理)の高圧を活用すればよい。磁性粒子がある程度たまったら連続処理を中断し、ろ過機から磁性粒子を回収するとともに、ろ材を洗浄あるいは交換する。

0056

低分子分解物を再資源化しないで分解処理する場合、上記第5の発明に従って、酸化剤とともに高温高圧の熱水で処理する。基本的にこれを行うには、前述の連続式の装置を用いることができる。但し、反応容器の材質は、耐腐食性に優れたインコネル、ハステロイなどを用いるのが好ましい。処理の方法は、前述の処理と同様である。酸化剤は、水溶液中の低分子分解物が酸化するのに必要な化学当量以上を加えておくことが好ましい。またその前々工程の冷却、すなわち高温高圧水により有機物質を分解した後低分子分解物を含む水溶液の冷却を省略あるいはそれほど冷却しないで、前工程の磁性粒子の分離を高圧を保って充分に保温しながら行えば、低分子分解物を再資源化しないで酸化剤とともに高温高圧の熱水で処理する際に加熱に要するエネルギーを節約することができる。

0057

上述のような処理を行うことにより、水溶液中の低分子分解物が二酸化炭素と水に分解される。気液分離は、特別に用意した装置を用いなくても行える。しかしながら、図12で示すような機構の装置を用いるのが好ましい。気体は、そのまま大気へ放出可能となっているが、何らかの事故等で処理が不完全なこともあり得るので、ある程度の容量のリザーブタンク(図示しない)を経て、排出するのが好ましい。これにより、何らかの原因で大気放出には不適切な気体が発生する場合、該気体を留めておくことが可能となる。一方、液体は、前記の処理(高温高圧水による処理)に戻して利用するか、あるいは、下水等に排出することができる。なお、この液体についても排出する場合、気体の場合と同様な理由で、リザーブタンク(図示しない)を経由させるのが好ましい。

0058

以上に述べたような本発明に係る磁気記録媒体または磁性層の再資源化方法により得られた有機物質の低分子分解物または/および磁性粒子は、種々の用途に再利用することができる。特に、上述のようにして再資源化された磁性粒子を利用して再び磁気記録媒体を製造することができる。かかる磁気記録媒体の製造の際には、磁気記録媒体の製造用に合成された新品の磁性粒子を混合してもよい。

0059

以上に述べたような本発明に係る磁気記録媒体または磁性層の再資源化方法は、その再資源化の元になる磁気記録媒体の組成または構造は特に限定されず、種々の磁気記録媒体に対して適用できる。磁気記録媒体としては、例えば、音や映像電気信号記録再生するオーディオテープやビデオテープ、情報を書き込み読み出しするフロッピー登録商標ディスクプリペイドカード等の磁気カード、または自動改札機用の定期券切符などが挙げられる。なお、ビデオテープは、ふつう樹脂製のカセットに入っているが、ここで取り上げるのは、ビデオテープそのものである。他のものでも同様である。再資源化の元になる該磁気記録媒体は、例えば、使用済みの磁気記録媒体やいわゆる工場からでる半端品などの廃材であってもよい。

0060

中でも、磁性粒子の結合剤としてポリウレタンを該結合剤のうち70重量%以上含有する磁気記録媒体、または磁性粒子の結合剤としてニトロセルロースを該結合剤のうち30重量%以上含有する磁気記録媒体に対しては、好適に本発明に係る再資源化方法を適用できる。

0061

以下に実施例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に何ら限定されるものではない。
〔実施例1〕ビデオテープから基材(ベースフィルム)を分離して得られた磁性層を用い高温高圧の熱水で処理し、磁性粒子を回収した。用いた磁性層は、主に、磁性粒子(マグネタイト)と、バインダー(ウレタンとニトロセルロース)とから成る。磁性層中には、磁性粒子は64重量%含有している。このほか、研摩剤(Al2O3など)を6重量%含有している。上記磁性層の高温高圧の熱水での処理は、図13で示した装置を用いた。この装置は半バッチ式の処理が可能で、磁性層を室温付近より急速に熱水に投入することが可能である。処理条件は、300℃、25MPa、20分とした。

0062

処理の後、処理水反応装置から取り出し、TOCを測定した。一方、磁性粒子については、反応容器を新しい水で洗い流し、水とともに磁性粒子を別容器に回収した。そして、水を加え、磁性粒子の沈澱、上澄除去のくり返すことにより、水で数回洗浄した。最後に、湿っている磁性粒子を温風乾燥させた。回収した磁性粒子の重量を測定し、VSM試料振動型磁力計)にて保磁力(Hc)を測定した。そして、含有される有機炭素の量を確認した。

0063

その結果、回収された磁性粒子に残留している有機炭素は検出限界であった。回収した磁性粒子には、研摩剤が残留していた。研摩剤は高温高圧の熱水による処理で分解しなかった。以下、特に断わりはしないが、回収した磁性粒子に研摩剤が残留している。回収された磁性粒子の量は、この処理に仕込んだ磁性層中に含まれる磁性粒子の量とほぼ同じであった。また、回収された磁性粒子の保磁力は、処理前とほぼ同じであった。このように、回収された磁性粒子は、磁気特性が十分にあり、再資源となり得るものであることがわかった。

0064

回収された磁性粒子を用い、新品(再生材を使わないもの)の性能に近い磁気記録媒体を製作できた。また、回収された磁性粒子と、新品の磁性粒子を混合して、磁気記録媒体を製作したところ、新品のものとほぼ同様なものを製作できた。一方、処理水は、TOCが高くなった。これは、磁性層に含まれるバインダーが分解し、低分子化し、処理水へ溶け出たからである。この低分子分解物の主成分は、ジアミンやアルコールであり、再資源化できることがわかった。

0065

〔実施例2〕高温高圧の熱水の温度を変えて、実施例1と全く同様の処理を行った。その結果を下記表に示す。処理温度が、250℃以上の場合、処理水のTOCの上昇が見られた。一方、200℃以上の場合、回収された磁性粒子の重量は処理に仕込んだ量とほぼ同じであった。よって、この処理の場合、磁性層中のバインダーを分解するには、250℃以上が好ましい。もちろん、処理する磁性粒子の種類にもよるので、より好ましくは300℃以上がよい。回収された磁性粒子の保磁力は、この温度範囲では、大きな違いは見られなかった。

0066

ID=000003HE=055 WI=094 LX=0580 LY=1200
ここで、仕込量とは、磁気記録媒体の処理前に磁性層に含まれている磁性粒子の量を表す。

0067

〔実施例3〕水を大気下におけば、大気中の酸素が溶解する。よって、通常は水には酸素が溶解している。0℃、1atmで水1体積に酸素は0.049体積溶ける。もし、磁性粒子が鉄である磁性層を、酸素が溶解している水(何ら溶存酸素を除去する処理を施していない水)を用いて、実施例1に記載の処理をすると鉄が酸化してしまう。そこで、用いる水を脱気処理し溶解する酸素を除去した後、かかる水を用い磁性粒子が鉄である磁性層に対し、実施例1と全く同様の処理を行った。水の脱気処理は、具体的には、水を耐圧容器に入れ、真空ポンプで吸引して十分に排気した後、窒素ガスボンベ等を用いて窒素でパージし、これを数回くり返した。回収された磁性粒子の保磁力は、処理前とほぼ同じ結果が得られた。

0068

〔実施例4〕実施例1で得られた処理水を用い、新たに実施例1と全く同様にして磁性層の処理を行った。この際、必要な水の量に不足した分は、新しい水で補った。この処理を5回行った。各処理ごとに、磁性粒子が回収された。そして、最終的に得られた処理水の量は、実施例1で得られたのと同じ量であった。回収された磁性粒子の結果(回収量および保磁力)は、実施例1の結果とほぼ同じであった。一方、最終的に得られた処理水のTOCは、実施例1の結果より大きく、ほぼ5倍の値であった。処理された磁性層または回収された磁性粒子の重量あたりの投入する新品の水の量は、実施例1の約1/5であり、水資源の節約になったことがわかった。加えて、最終的に得られた処理水中の低分子分解物の濃度がより高く、その資源性が高いこともわかった。

0069

〔実施例5〕実施例1で得られた処理水を、酸化剤とともに高温高圧の熱水で処理した。より具体的には、酸化剤には市販の過酸化水素水(30重量%)を用い、処理水に含まれる低分子分解物が酸化に必要な量の10倍量を添加した。処理条件は、300℃、25MPa、20分とした。この処理によって、最終的に得られた処理水のTOCは、かなり低くかった。したがって、この処理水は下水へ放流できることがわかった。なお、実施例4で得られた処理水も、このようにして処理したところ、同様な結果が得られた。また、酸化剤として、空気、酸素、オゾンを用いた場合も、同様の結果が得られた。

0070

〔実施例6〕バインダーの主成分が、塩化ビニール、ポリウレタンおよびニトロセルロースとである磁性層を用い、実施例1と全く同様な処理を行った。なお、塩化ビニールは4重量%含有されている。また、実施例2と全く同様に、温度を変えて実施例1の処理を行った。この結果を下記表に示す。

0071

0072

処理水のTOCについては、実施例2の結果と同様な傾向の結果が得られた。また、温度が300℃以上のとき、処理に仕込んだ磁性層中に含まれる塩素量に対し、処理水中の塩素イオンの量は99重量%以上であった。この処理の場合、磁性層中のバインダーを分解するには250℃以上が好ましいことが分かった。もちろん、処理する磁性粒子の種類にも処理温度は左右されるので、より好ましくは300℃以上がよい。

0073

回収された磁性粒子の保磁力は、処理前に比べ、若干低下した。これは、実施例2の結果と異なる。この違いは、処理した磁性層のバインダーの違いによるものである。また、処理水は酸性であった。酸は腐食性であり、反応容器や、磁性粒子にダメージを与えた。よって、磁性層中のバインダーが、前の実施例のように、ウレタンあるいはニトロセルロースの方が、このような処理を行うのに適することがわかった。しかしながら、得られた処理水は、酸性水溶液として、再資源とすることができる。例えば、何らかのアルカリ性廃液の中和に用いることができる。

0074

〔実施例7〕アルカリ物質である水酸化ナトリウムを用いる水に添加し、実施例6と全く同様にして、温度は300℃にて処理を行った。水酸化ナトリウムの添加量は、中和に必要な化学当量の1.2倍とした。処理水中の塩素イオンの量は、99重量%以上であったが、処理水は弱アルカリ性であった。発生する酸を中和できたので、反応容器の腐食を抑制することができた。なお、処理水のTOCや、回収した磁性粒子の磁気特性は実施例6と同様な結果であった。また、添加するアルカリ性物質は、アンモニア、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、t−BuOKのいずれにおいても同様な結果が得られた。

発明の効果

0075

本発明に係る磁気記録媒体または磁性層の再資源化方法を用いれば、従来の装置を用いて簡便に磁性層に含まれる磁性粒子を回収し、再資源化することができる。また、本発明に係る上記再資源化方法を用いれば、磁気記録媒体に含まれる有機化合物を、低分子分解物として再資源化することもできる。また、該有機化合物の再資源化が難しい場合は、かかる有機化合物を本発明の技術により二酸化炭素と水に分解することができるので、環境に対する負荷が非常に少ない。さらに、本発明に係る方法によれば、再資源化の際に生じる水や熱などを循環利用することができるので、資源の節約にもなり、ひいては地球環境保全を図ることができる。本発明に係る再資源化方法は、適用できる磁気記録媒体に特に限定はなく、例えばハロゲン原子硫黄原子を含んでいる磁気記録媒体に対しても適用できるという利点がある。

図面の簡単な説明

0076

図1磁気記録媒体の一形態であるビデオテープの基本構造を示す。
図2本発明に係る第一または第二の発明の好ましい態様における処理フローを示す。
図3本発明に係る第三の発明の好ましい態様における処理フローを示す。
図4本発明に係る第四の発明の好ましい態様における処理フローを示す。
図5本発明に係る第一または第二の発明と第五の発明を組み合わせた再資源化方法の好ましい態様における処理フローを示す。
図6本発明に係る第三の発明と第五の発明を組み合わせた再資源化方法の好ましい態様における処理フローを示す。
図7本発明に係る第四の発明と第五の発明を組み合わせた再資源化方法の好ましい態様における処理フローを示す。
図8本発明に係る高温高圧水処理を行うためのバッチ式反応容器の一態様を示す。
図9磁性粒子と低分子分解物を含有する水溶液の分離工程において用いられる沈殿槽の断面図を示す。
図10本発明に係る高温高圧水処理を行うための連続式処理装置の一態様を示す。
図11本発明に係る再資源化の工程を連続して行う場合に、磁性粒子と低分子分解物を含有する水溶液の分離工程において用いられる沈殿槽の断面図を示す。
図12本発明に係る再資源化の工程を連続して行う場合の気液分離器の断面図を示す。
図13実施例1で用いた高圧高温水処理を行うための反応容器を示す。

--

0077

1ビデオテープ
2磁性層
3基材(ベースフィルム)
11熱電対
12温調器温度計および電力制御器
13ヒーター
14パッキンデルタリング
15ボルト
16ナット
17温度モニター用サック
18圧力モニター用配管
19保温箱
20反応容器本体
21圧力計
22保圧弁
23圧力ヒューズ
24ラブチャーディスク
25 反応容器ふた
31水槽
32磁性粒子
33低分子分解物を含有する水溶液
34磁石
35、36 配管
37 前工程からの液体(磁性粒子、低分子分解物を含有する水溶液)
38 次工程に送られる液体(低分子分解物を含有する水溶液)
40スラリー
41タンク
42ポンプ
43予熱器
44 ヒーター
45温度センサー
46反応器
47 反応容器
48 ヒーター
49 温度センサー
50圧力センサー
51冷却器
52 保圧弁
53排出水(磁性粒子が分散した、低分子分解物の水溶液)
60 前の工程の保圧弁
61気液分離器
62 液体
63気体
64 配管
65 配管(気体の出口
66 配管(液体の出口)
70 水
71バルブ
72待機室(管)
73、75 バルブ
74、77、78 配管

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