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技術 超伝導磁石コイル系と磁場成形デバイスを備える高分解能磁気共鳴分光用磁石装置、及び該磁気成形デバイスに関する製造許容公差決定方法

出願人 ブルーカーバイオシュピンアー・ゲー
発明者 ロバートショウェッカーピエール・アランボヴィエーアンドレアスアマンダニエル・エムエカート
出願日 2002年1月31日 (18年1ヶ月経過) 出願番号 2002-024124
公開日 2002年10月23日 (17年4ヶ月経過) 公開番号 2002-311119
状態 拒絶査定
技術分野 マイクロ波、NMR等による材料の調査 電磁石2(アマチュア無)
主要キーワード 電線層 理想的形状 付加コイル 寄与成分 幾何学的形 飽和磁気誘導 磁場効率 磁石軸
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課題

高分解能共鳴分光用磁石装置における適切な幾何学的形状の磁性物質から成る磁場成形デバイスであって、製造許容公差作業容積内の磁場形状に及ぼす影響を十分に補償することを実現する。

解決手段

z軸上でz=0を中心に配される作業容積(AV)においてz軸の方向に磁場を発生する超伝導磁石であって、作業容積(AV)内の該磁石コイル系(C)の磁場が、z=0を中心とするz軸上の全磁場強度への寄与成分がzに関するn乗のべきで変化する少なくとも1つの不均一寄与成分Hn・zn(n≧2)を有し、且つz軸に関して略円対称であると共に磁性物質から成る磁場成形デバイス(P)は、z軸からの半径方向間隔が80mmより小さく、且つ該磁石コイル系(C)における1つの不均一磁場寄与成分Hn・znを少なくとも50%補償し、シム・デバイスとして作用する少なくとも1つの付加的なコイル系(S)が設けられていることを特徴とする。

概要

背景

例えば、超伝導磁石コイル系磁場成形デバイスとを備える装置は、米国特許第5,396,208号から知られている。

超伝導磁石は多くの応用分野で利用されているが、特に磁気共鳴法の分野で利用されており、この分野においては、映像法磁気共鳴映像法MRI)と分光法とを区別すべきである。これらの方法で、良い空間分解能、即ちスペクトル分解能を得るためには、サンプル容積内における磁場が良い均一性(homogeneity:均一度)を有しなければならない。磁場を生成する磁石コイル幾何学的に配置することによって超伝導磁石の基本的均一性を最適化させることができる。普通、電線を一切巻かない凹部(いわゆる切欠き構造)を設けなければならないが、これは磁石巻線のためのスペースを低減させ、磁石をより高価なものにし、浮遊磁場を増加させる。

米国特許第5,396,208号による装置において、MRIシステムは、切欠き構造に代えてソフト磁性リングをいくつか設けることによってよりコンパクトに設計される。これらのソフト磁性リングは、超伝導磁石コイル系の磁石軸の方向におけるサイズを、システム開き角がほぼ90度になるように低減させることができる。MRI磁石システムの開き角が大きい場合においてその磁石システムが人間の医学診断に用いられるときは、閉所恐怖症患者にとって有利である。

米国特許第5,396,208号によると、磁場成形デバイスを利用することにより、磁石コイル系を切欠き構造を有するものによるよりも効果的に均一化することができる。

概要

高分解能共鳴分光用磁石装置における適切な幾何学的形状の磁性物質から成る磁場成形デバイスであって、製造許容公差作業容積内の磁場形状に及ぼす影響を十分に補償することを実現する。

z軸上でz=0を中心に配される作業容積(AV)においてz軸の方向に磁場を発生する超伝導磁石であって、作業容積(AV)内の該磁石コイル系(C)の磁場が、z=0を中心とするz軸上の全磁場強度への寄与成分がzに関するn乗のべきで変化する少なくとも1つの不均一寄与成分Hn・zn(n≧2)を有し、且つz軸に関して略円対称であると共に磁性物質から成る磁場成形デバイス(P)は、z軸からの半径方向間隔が80mmより小さく、且つ該磁石コイル系(C)における1つの不均一磁場寄与成分Hn・znを少なくとも50%補償し、シム・デバイスとして作用する少なくとも1つの付加的なコイル系(S)が設けられていることを特徴とする。

目的

したがって、本発明の目的は、高分解能共鳴分光用の磁石装置における適切な幾何学的形状の磁性物質から成る磁場成形デバイスであって、磁石コイル系における磁場均一化のための切欠き構造の少なくとも一部を省くことができ、磁場成形デバイスに避けられない製造許容公差が作業容積内の磁場形状に及ぼす影響を十分に補償することができるような磁場成形デバイスを実現することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

z軸上でz=0を中心に配される作業容積(AV)内にz軸方向に磁場を生成する超伝導磁石コイル系(C)を備える磁石装置であって、作業容積(AV)内における磁石コイル系(C)の磁場は、z=0を中心とするz軸上の全磁場強度への寄与成分が、zに関するn次のべきで変化する少なくとも一つの不均一寄与成分Hn・zn(n≧2)を含み、z軸に関して略円対称であると共に磁性物質から成る磁場成形デバイス(P)を備え、動作中に、該磁石コイル系(C)は高分解能磁気共鳴分光用装置の一部であり、該磁場成形デバイス(P)は、少なくとも部分的にz軸からの半径方向間隔が80mmより小さく、且つ該磁石コイル系(C)における少なくとも一つの不均一磁場寄与成分Hn・znを少なくとも50%補償し、該磁石装置には、シム・デバイスとして作用する少なくとも一つの付加コイル系(S)が設けられていることを特徴とする磁石装置。

請求項2

該磁場成形デバイス(P)の実際の表面が、全ての場所で、所望の表面位置から、次式ΔPで

請求項

ID=000003HE=025 WI=053 LX=0335 LY=1350ここで、ΔC:該磁石コイル系(C)における磁石巻線体積エレメントdVの最大(半径方向又は軸方向)変位に関する製造許容公差、k:シム・コイル系(S)によって補償することができない球面調和関数による拡がりにおいて該磁石コイル系(C)の磁場に関する全ての係数のうち、ゼロを除く最低次数、ただし、次数とは、球面調和関数に現れるルジャドル関数Pkmの下方添字を表しており、JC:該磁石コイル系(C)の電流密度

請求項

ID=000004HE=010 WI=004 LX=0580 LY=2150:該磁場成形デバイス(P)の磁化、r:体積エレメントdVとz軸との半径方向間隔、φ:体積エレメントdVの方位角

請求項

ID=000005HE=010 WI=031 LX=0445 LY=2450:前記磁石コイル系(C)又は前記磁場成形デバイス(P)の体積にわたる体積積分、で与えられるΔP以下しか異なっていないことを特徴とする請求項1記載の磁石装置。

請求項3

該磁石コイル系(C)はアクティブシールディングを有することを特徴とする請求項1又は2記載の磁石装置。

請求項4

該磁場成形デバイス(P)は、磁気的に完全に飽和しており、軸方向にのみ磁化されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の磁石装置。

請求項5

該磁場成形デバイス(P)は、リングを含み、特に、リングから成り、該リングは、平均半径aで配置されると共に、−z1とz1の間で軸方向に延伸し、z1>aであることを特徴とする請求項4記載の磁石装置。

請求項6

該磁場成形デバイス(P)は、二つのリングを含み、特に、二つのリングから成り、該リングは、平均半径aで配置されると共に、z1とz2の間及び−z2と−z1の間で軸方向に延伸し、0.42a<z1<0.46a且つa<z2であることを特徴とする請求項4記載の磁石装置。

請求項7

該磁場成形デバイス(P)は軟鉄製のコンポーネントを含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の磁石装置。

請求項8

該磁場成形デバイス(P)は、キャリア・デバイスに取り付けられた磁性シートを含むことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の磁石装置。

請求項9

請求項1乃至8のいずれか1項に記載の磁石装置における磁場成形デバイス(P)に関する製造許容公差決定方法であって、全ての場所における該磁場成形デバイス(P)の実際の表面位置の、前記所望の表面位置からの最大偏差を表す値ΔPを計算することを特徴とし、ΔPが

請求項

ID=000006HE=025 WI=053 LX=1235 LY=1850ここで、ΔC:前記磁石コイル系(C)における磁石巻線の体積エレメントdVの最大(半径方向又は軸方向)変位に関する製造許容公差、k:シム・コイル系(S)によって補償することができない球面調和関数による拡がりにおいて前記磁石コイル系(C)の磁場に関する全ての係数のうち、ゼロを除く最低の次数、ただし、次数とは、球面調和陪関数に現れるルジャンドル関数Pkmの下方添字を表す、JC:磁石コイル系(C)の電流密度、

請求項

ID=000007HE=010 WI=004 LX=1480 LY=2650:磁場成形デバイス(P)の磁化、r:体積エレメントdVとz軸との半径方向間隔、φ:体積エレメントdVの方位角

請求項

ID=000008HE=010 WI=031 LX=0445 LY=0450:磁石コイル系(C)又は磁場成形デバイス(P)の体積にわたる体積積分、によって与えられることを特徴とする製造許容公差決定方法。

技術分野

0001

本発明は、z軸上でz=0を中心に配される作業容積内にz軸方向に磁場を生成する超伝導磁石コイル系を備える磁石装置であって、作業容積内における該磁石コイル系の磁場は、z=0を中心とするz軸上の全磁場強度への寄与成分がzに関するn次のべきで変化する少なくとも一つの不均一寄与成分Hn・zn(n≧2)を含み、z軸に関して略円対称であると共に磁性物質から成る磁場成形デバイスを備えることを特徴とする磁石装置、及び該磁場成形デバイスに関する製造許容公差決定方法に関する。

背景技術

0002

例えば、超伝導磁石コイル系と磁場成形デバイスとを備える装置は、米国特許第5,396,208号から知られている。

0003

超伝導磁石は多くの応用分野で利用されているが、特に磁気共鳴法の分野で利用されており、この分野においては、映像法磁気共鳴映像法MRI)と分光法とを区別すべきである。これらの方法で、良い空間分解能、即ちスペクトル分解能を得るためには、サンプル容積内における磁場が良い均一性(homogeneity:均一度)を有しなければならない。磁場を生成する磁石コイル幾何学的に配置することによって超伝導磁石の基本的均一性を最適化させることができる。普通、電線を一切巻かない凹部(いわゆる切欠き構造)を設けなければならないが、これは磁石巻線のためのスペースを低減させ、磁石をより高価なものにし、浮遊磁場を増加させる。

0004

米国特許第5,396,208号による装置において、MRIシステムは、切欠き構造に代えてソフト磁性リングをいくつか設けることによってよりコンパクトに設計される。これらのソフト磁性リングは、超伝導磁石コイル系の磁石軸の方向におけるサイズを、システム開き角がほぼ90度になるように低減させることができる。MRI磁石システムの開き角が大きい場合においてその磁石システムが人間の医学診断に用いられるときは、閉所恐怖症患者にとって有利である。

0005

米国特許第5,396,208号によると、磁場成形デバイスを利用することにより、磁石コイル系を切欠き構造を有するものによるよりも効果的に均一化することができる。

発明が解決しようとする課題

0006

MRI磁石システムの代わりに高分解能共鳴分光用磁石装置にこのアイデアを適用すると新たな問題が生ずる。磁性物質によって十分に効果的な磁場成形デバイスを得るためには、この磁場成形デバイスの少なくとも一部は、普通磁石装置の作業容積に近接して取り付けなければならない。磁場成形デバイスのこれらの部分は、製造許容公差のために、所望の磁場の他に望ましくない局所的な磁場の歪みをも磁石装置の作業容積内に生ずる可能性がある。MRI用途に比べて高分解能共鳴分光の用途においては、この問題が主に次の二つの理由でずっと重要である。まず第一に、高分解能共鳴分光用磁石装置では、MRIシステム用磁石装置に比べて均一性の要求がかなり高いということである(普通、0.2cm3の作業容積内で2×10-4ppm、これに対しMRIシステムの場合34リットルの作業容積内で5ppm)。第二に、高分解能共鳴分光用磁石装置の磁場成形デバイスでは、よりコンパクトな寸法のために所望の磁場成形効果をMRI磁石装置に比べて普通ずっと少ない磁性物質で得ることができる。このため、磁場成形デバイスにおける磁性物質の一部の実際の位置が公称の位置から所定量異なる場合に生ずるものである望ましくない磁場の歪みはずっと大きくなる。言い換えると、磁場成形デバイスの効率は、所望の効果に関しても望ましくない効果に関しても大きくなる。

0007

したがって、本発明の目的は、高分解能共鳴分光用の磁石装置における適切な幾何学的形状の磁性物質から成る磁場成形デバイスであって、磁石コイル系における磁場均一化のための切欠き構造の少なくとも一部を省くことができ、磁場成形デバイスに避けられない製造許容公差が作業容積内の磁場形状に及ぼす影響を十分に補償することができるような磁場成形デバイスを実現することにある。

課題を解決するための手段

0008

この本発明の目的は、高分解能磁気共鳴分光用装置における磁石コイル系であって、磁場成形デバイスのz軸からの半径方向間隔が少なくとも部分的に80ミリメートル未満であり、磁石コイル系の少なくとも一つの不均一磁場寄与成分Hn・znの少なくとも50%を補償し、この磁石装置にはシム・デバイスとして作用する少なくとも一つの付加的なコイル系が設けられている磁石コイル系を用いることによって達成される。

0009

切欠き構造を省くことによって磁石コイル系に生ずる不均一磁場寄与成分の少なくとも一つは磁場成形デバイスによって少なくとも50%補償される。不均一磁場寄与成分(inhomogeneous field contributions:磁場均一度を低減させる寄与成分)は、Hn・zn(n≧2)という依存性を有する、即ち、磁石コイル系の全磁場強度に対するそれら寄与成分は、磁石軸(z軸)に沿ってzに関するn次のnべきでz=0を中心として変化する。

0010

このように配置された磁場成形デバイスを備える磁石装置の特別な利点は、n≧4における磁場不均一性Hn・znを少量の磁性物質によって補償することもできるということである。このような磁場不均一性を補償する磁場成形デバイスの効率は、磁場成形デバイスが磁石軸から完全に80ミリメートルを超える間隔で配置される場合に急激に低下する。

0011

本発明の磁石装置の一つの実施の形態は特に好ましいものであり、磁場成形デバイスの実際の表面位置が計算された表面位置と全ての場所において高々Δpしか異ならず、ここでΔPは次式で与えられ、

0012

0013

ここで、
ΔC:磁石コイル系における磁石巻線の体積エレメントdVの最大(半径方向又は軸方向)変位に関する製造許容公差、
k:その補償のために何もシム・コイル系が設けられていない球面調和関数において拡がりをもつ磁石コイル系の磁場の全ての係数のうち、ゼロを除く最低次数、ただし、次数とは、球面調和関数に現れるルジャドル関数Pkmの下方添字を表し、
JC:磁石コイル系の電流密度

0014

0015

:磁場成形デバイスの磁化
r:体積エレメントdVのz軸からの半径方向間隔、
φ:体積エレメントdVの方位角

0016

0017

:磁石コイル系又は磁場成形デバイスの体積にわたる体積積分である。

0018

磁石コイル系の体積にわたる上記積分は、磁石コイル系における電線巻線の位置が製造許容公差のために公称の位置からずれることによって生ずる、磁石装置の作業容積内における磁場の歪みの尺度である。対応する磁場成形デバイスの体積にわたる積分は、磁場成形デバイスの表面の製造許容公差によって生ずる磁場の歪みの尺度である。もし、磁場成形デバイスの実際の表面が、どこでも意図された位置と、上記式により計算される量Δpよりも大きく異なっていない場合であっても、磁場成形デバイスは実質的に製造許容公差によって作業容積内に生ずる望ましくない磁場の歪みしか生じないし、それは付加的なシム・デバイスによって補償することができるのは確保される。もっと高次の磁場の歪みは、磁場成形デバイスがない磁石装置の作業容積内に存在しているものである高次の磁場の歪みの20%未満にとどまるので、許容され得る。

0019

本発明の磁石装置の一つの実施の形態は、磁石コイル系がアクティブシールディングを備えるものであり特に有利である。このアクティブ・シールディングは、磁石装置の浮遊磁場を低減させ、実験室で他の用途のために利用することができるスペースが増加する。

0020

本発明の磁石装置の特に好ましいある実施の形態では、磁石装置にパッシブ・シールディングが設けられている。このパッシブ・シールディングには、作業容積内の磁場も増加させることができるのでアクティブ・シールディングに比べて大きな利点がある。

0021

本発明の磁石装置の別の好ましいある実施の形態では、磁場成形デバイスが、少なくとも部分的には磁石コイル系の最も内側の電線巻線の内の半径方向に配置される。磁石コイル系における不均一磁場寄与成分Hn・znを補償する磁場成形デバイスの効率は、z軸からの間隔が狭い場合特に小さい。

0022

本発明の磁石装置のある実施の形態は、磁場成形デバイスが、磁気的に完全に飽和しており、且つ軸方向(z軸と平行な方向)にしか磁化されないことでも有利である。この場合、磁場成形デバイスによって生ずる磁場の計算は特に簡単で正確である。

0023

さらに二つの実施の形態では、磁石装置が、磁場成形デバイスの磁場がH4>0としてH4・z4となる部分、即ち、z=0を中心とするz軸上の磁場寄与成分がzに関する4次のべきで変化する部分を含むことを特徴とする。さらに、この二つの実施の形態では、磁場成形デバイスの磁場への寄与成分H6・z6が実質的にゼロである。これらの実施の形態は、磁石コイル系の負の4次の磁場寄与成分を他の方法で補償する磁石コイル系の切欠き構造(普通は非常に複雑である)の少なくとも一部を、磁石装置の全磁場に対する磁場成形デバイスの正の寄与成分H4・z4によって省くことができるという利点を有する。さらに、磁場成形デバイスからの6次の寄与成分が無視できるほど小さいので、磁石装置への6次の寄与成分の総量が磁場成形デバイスによって増加しないことを保証する。磁石装置の磁場が高分解能共鳴分光に必要な均一性を有する体積の大きさは、通常、磁場に関するこの部分によって決まるのでこれは重要である。

0024

ある特に好ましい実施の形態において、磁場成形デバイスは、平均半径aに位置し、軸方向に−z1とz1の間で延伸するリングから成る。ここでz1>aである。この解決方法は、磁場成形デバイスの幾何形状が単純なので特に魅力的である。

0025

本発明の磁石装置の別の有利な実施の形態において、磁場成形デバイスは、平均半径aに位置し、軸方向にz1とz2の間及び−z2と−z1の間で延伸する二つのリングから成る。ここで、0.42a<z1<0.46a、且つa<z2である。上述の実施の形態と同様に、このような磁場成形デバイスは、サンプル容積中の磁場に対して寄与成分H6・z6が少ししか生じない。H4>0としてH4・z4となる次数の磁場寄与成分は前の実施の形態に比べてかなり大きい。

0026

本発明の磁石装置の別の有利な実施の形態において、磁場成形デバイスは軟鉄製のコンポーネントを含む。有利な点は、軟鉄が大きな透磁率と高い飽和磁気誘導を有することである。これらの性質によって少量の物質であっても高い磁場効率が得られ、高い磁化を有する磁場成形デバイスを得ることができる。

0027

本発明の磁石装置の別の有利な実施の形態では、磁場成形デバイスの一部が表面処理、特に亜鉛めっき処理を受ける。この表面処理は、腐食に対する最適な防護を与えるものであり、これは特に軟鉄製のコンポーネントでは絶対に必要である。

0028

本発明の磁石装置の特に好ましいある実施の形態において、磁場成形デバイスは磁性物質製のただ一つのエレメントから成る。これは磁場成形デバイスとして生産組立てに関し可能な限り最も単純な実施の形態である。

0029

本発明の磁石装置の別の有利な実施の形態において、磁場成形デバイスは磁性物質製のいくつかのエレメントを含む。これは磁場成形デバイスを最適化するためのより多くの自由度を与えるものである。

0030

本発明の磁石装置の別の有利な実施の形態において、磁場成形デバイスはキャリア・デバイスに配設されている磁性シートを備える。z軸の近くで磁性物質の効率は十分に大きいので所望の磁場形状を生成するための物質を極めてわずかしか必要としない。したがってシートは、特に実質的に変化しない厚さを有するので、理想的な解決を与える。

0031

本発明による磁石装置の別の二つの有利な実施の形態は、磁石装置の既存のコンポーネントを磁場成形デバイスに利用することができることを特徴とする。第一の実施の形態では、磁場成形デバイスが磁石コイル系のコイル形態の一部であるコンポーネントを含む。磁性物質を、例えば、キャリア・デバイス上に蒸着することができる。

0032

第二の実施の形態では、磁場成形デバイスが、磁石コイル系が収容されるクライオスタットの一部であるコンポーネントを含む。どちらの実施の形態も、磁場成形デバイスのために付加的なパーツを何も必要としないので、例えば磁石巻線用のスペースを節約できるという利点がある。

0033

別の実施の形態において、磁石装置では、磁場成形デバイスが、室温にある磁石装置の領域に設けられたコンポーネントを含むことを特徴とする。これらのコンポーネントは、動作中に容易にアクセス可能であり、磁石コイル系を加熱することなく変更されることができる。

0034

本発明の磁石装置のある特に好ましい実施の形態において、磁場成形デバイスは、冷却されるコンポーネント、特に磁石コイル系を冷却する液体ヘリウム槽の温度に冷却されるようなコンポーネントを含む。低温であると磁性物質の磁性が有利に向上する、即ち、与えられた外部磁場に対する磁化が大きくなる。温度が安定しているときは、磁化の変動も抑制され、それによって磁石装置の均一性である時間的な安定性が確実に改善される。

0035

磁場成形デバイスに関する製造許容公差決定方法も本発明の範囲に含まれ、この製造許容公差決定方法は、任意の場所における磁場成形デバイスの実際の表面位置の、理想的な表面位置からの最大のずれを決定する値ΔPを計算することを特徴とし、ΔPは次式で与えられ、

0036

0037

ここで、
ΔC:磁石コイル系における磁石巻線の体積エレメントdVの最大(半径方向又は軸方向)変位に関する製造許容公差、
k:シム・コイル系が補償しない球面調和関数による拡がりにおける磁石コイル系の磁場の全ての係数のうち、ゼロを除く最低の次数、ただし、次数とは、球面調和陪関数に現れるルジャンドル関数Pkmの下方添字を表す、
JC:磁石コイル系の電流密度、

0038

0039

:磁場成形デバイスの磁化、
r:体積エレメントdVとz軸の半径方向間隔、
φ:体積エレメントdVの方位角

0040

0041

:磁石コイル系又は磁場成形デバイスの体積にわたる体積積分である。

0042

磁場成形デバイスに関して定められた製造許容公差を守ることによって、磁場成形デバイスは、望ましくない磁場歪みであってもシム・デバイスによって補償することができるものだけしか作業容積内に実質的に生じないことが保証され、より高次の磁場歪みは、磁場成形デバイスがないときに磁石装置の作業容積内に存在する磁場歪みの20%未満にとどまる。

0043

本発明のその他の利点は、以下の記述及び図面から明らかになる。上述の及び以下で述べる特徴は、本発明に従って、個別的にも又は任意の組み合わせでまとめて利用できる。図示され且つ記述される実施の形態は、全てを列挙するものではなく、むしろ本発明を説明するための例示的な性格のものであると理解すべきである。

発明を実施するための最良の形態

0044

以下、本発明の実施の形態を図面で示して詳細に説明する。

0045

図1は、磁石コイル系Cと磁場成形デバイスPとを備える本発明の磁石装置を示す。磁場成形デバイスPは、普通、少なくとも部分的には磁石コイル系Cよりもz軸に近い。中央のセクションは、サンプル容積中に均一磁場を生ずるために必要とされるいわゆる半切欠き部HN(電流密度が半分の領域)を示す。

0046

図2は、純粋に軸方向に磁化される薄肉円筒状磁場成形デバイスに関するサンプル容積中の磁場寄与成分Hn(s)znを表す縮尺された関数Hn(s)を示す。無次元数値sは、z=0を中心に配置された薄肉の円筒状磁場成形デバイスの軸方向長さと直径の比である。カーブの組を図示するために、全ての関数を1に規格化した。

0047

以下、本発明を、サンプル容積において9.4テスラの磁場を各々生ずる超伝導磁石装置について二つの形態を説明する。超伝導物質としてはニオブチタンが用いられる。磁石は液体ヘリウム槽内で4.2ケルビンという温度で運転される。

0048

第一の磁石装置(以下、形態かっこ“V1”としてこれを参照)は、同じ極性の三つの磁石セクションを含む磁石コイル系Cを備える。サンプル容積中の磁場を均一にするために、中央セクションには電流密度が半分の領域(半切欠き部)が含まれている。形態V1に係る磁石コイル系は従来の磁石コイル系である。この装置の磁石電流は77.2アンペアであり、中空内孔部の直径は80ミリメートルである。

0049

表1は、形態V1に係る磁石装置の最も重要な特徴を示している。

0050

0051

表1で、
ri:ソレノイドコイル内径
ra:ソレノイド・コイルの外径
L:ソレノイド・コイルの長さ
W:ソレノイド・コイルの各層の電線巻数
N:ソレノイド・コイルの電線層の数。

0052

形態V1が、磁石コイル系Cに加えて磁場成形デバイスPを備える本発明の形態(以下、“V2”という)と比較される。この例では、磁石コイル系Cの半径方向の寸法は形態V1と同じであり、磁場成形デバイスPは二つの軟鉄製のリングから成り、これらは軸方向にのみ磁化されると共に磁気的に飽和している(飽和磁気誘導=2.15テスラ)。これらのリングの直径は70mm、壁厚は0.1mm、そして軸方向の長さは33.5mmである。二つのリングは、磁石の中心に関して軸方向に33mmの間隔をあけて対称に配置されている。それらの磁場寄与成分でサンプル容積中zに関する4次のべきに比例して変化する成分H4・z4は特に大きい。この寄与成分によって、磁石の中央セクションの半切欠き部を短くして磁石セクションを短縮することが可能になる。77.5アンペアという電流は形態V1と同程度である。

0053

表2は、形態V2に係る磁石装置の最も重要な特徴を示している。

0054

0055

表2で、
ri:ソレノイド・コイルの内径
ra:ソレノイド・コイルの外径
L:ソレノイド・コイルの長さ
W:ソレノイド・コイルの各層の電線巻数
N:ソレノイド・コイルの電線層の数。

0056

表1と表2を比較すると、磁場成形デバイスPの利用によってソレノイド・コイルの長さが約10%減少することが分かる。形態V1では、磁場変動0.1ppm未満のz軸に関する領域の長さが27mmである。形態V2では、同領域の長さが28mmである。したがって、磁場成形デバイスは均一性を維持しながら超伝導電線を10%節約できる。

0057

しかし、磁場成形デバイスの利用は、望ましくない磁場不均一性が過大に生じない場合にのみ意味がある。このような不均一性は避けられない製造許容公差によって生ずる。以下では、磁石装置の均一性を許容することができる範囲に保つために要求される磁場成形デバイスの正確な製造許容公差を導出する。

0058

磁場のz成分BZは、球面調和関数を用いることにより磁石の中心のまわりで次のように拡がり得る。

0059

0060

ここで、Pnmはルジャンドル陪関数である。係数AnmとBnmは勾配と呼ばれ、nはルジャンドル関数Pnmの次数、mは位数である。A00は磁石の中心での磁場のz成分である。0<n≦k−1に対して全ての係数AnmとBnmがゼロになる場合、均一性はk次である(homogeneity of k-th degree;同次性はk次に属する)。均一性がある次数は、磁石装置における適切な設計によって理論的には達成される。避けることができない製造許容公差があるものなので、磁石装置における実際の磁場プロフィールはこの理想的形状とは異ってくる。このずれを補償するために、共鳴分光用の磁石にはいわゆるシム・コイルが設けられる。これらのシム・コイルの各々は、それ自身の電流によって動作することができ、普通、作業容積内に正確に定められた一つの磁場勾配を生ずる。次数n≦k−1における各勾配に対して一つのシム・デバイスが設けられると、磁石コイル系は、シム・コイルと合わせて、シム・コイルの電流を適切に設定するならば、k次の均一性を有する磁場を生ずる。k次の係数AkmとBkmの値は、シム補償処理の後に残っている不均一性の尺度である。切欠き部によって均一化された磁石コイル系を備える磁石装置において(上記の2つの例のうちの形態V1のように)、残っている勾配AkmとBkmの値は、実質的に、コイル系の磁石巻線が理論的に定められた位置から外れたであろう量に依存する。本発明の磁石装置(上述の2つの例のうちの形態V2のように)では、磁場成形デバイスの製造許容公差が、残っている勾配AkmとBkmに対して望ましくない寄与を付け加える可能性がある。シム補償された磁石装置の磁場均一性がこのように低下する可能性が許容されるレベル内にとどまるようにするためには、本発明の磁場成形デバイスの製造許容公差に関する必要条件は非常に厳しいものになる。

0061

以下に、磁場成形デバイスの製造許容公差の尺度として採用すべき値を計算する方法を示す。この方法の目的は、主として、磁石コイル系によって生ずる勾配AkmとBkmの大きさと、磁石コイル系における磁石巻線の体積エレメントdVの最大(半径方向又は軸方向)変位に関する製造許容公差ΔCとの間の定量的な関係を与えることにある。同様にして、磁場成形デバイスによって生ずるものに対応する勾配と、磁場成形デバイスPの体積エレメントdVの最大(半径方向又は軸方向)変位に関する製造許容公差ΔPとの間の関係が定められる。さらに、磁場成形デバイスによって付加的に生ずる勾配は、磁石コイル系によって生ずる勾配AkmとBkmの20%という上限を超えてはならない。この条件から、もしもΔCの現実的な値が知られるならば、ΔPの限界値を計算することができる。製造許容公差ΔCと、ΔPと、生ずる勾配強度との関係が以下で導出される。

0062

場所(r,z,φ)にあり電流密度Jがある方位角方向に流れている無限小体積dVは、次の値の勾配

0063

0064

座標原点に対して生ずる。勾配はいくつかのfnmの関数であり、それらは今度は、比z/rにのみ依存する。これらの式から得ることができる実質的な結果は、勾配は、電流が流れている体積エレメントと座標原点の間隔におけるn次のべきに逆比例するということである。座標原点は、磁石装置の磁石の中心に適切に配置される。巻線が理論的に定められた位置から高々ΔCという量だけ異なっている磁石コイル系Cに関しては、次の値が、磁石コイル系が作業容積内にコイル系によって生ずるn次の実際の勾配と、公称の勾配との差の尺度になる。

0065

0066

ここで、
JC:磁石コイル系Cの電流密度、
r:体積エレメントdVとz軸の半径方向間隔、
φ:体積エレメントdVの方位角

0067

0068

:磁石コイル系Cの体積にわたる体積積分である。

0069

それに対応して、その表面が望ましい表面から高々ΔPという量だけ異なっている磁場成形デバイスPに関しては、次の値が、作業容積内に磁場成形デバイスが生ずるn次の実際の勾配と、公称の勾配との差の尺度になる。

0070

0071

ここで、

0072

0073

:磁場成形デバイスPの磁化、

0074

0075

:磁場成形デバイスPの体積にわたる体積積分である。

0076

磁場成形デバイスの勾配強度の表式は、磁石コイル系のものからベクトル

0077

0078

をJCに代入することによって得られた。

0079

0080

は磁場成形デバイスの磁性物質と同じB磁場を生ずるからである。

0081

磁石装置がn≦k−1の勾配を補償するシム・デバイスを有する場合、特にシムで補償することができるはずがないk次の勾配が磁場成形デバイスによって実質的に(好ましくは20%未満しか)増加してはならない。したがって、磁場成形デバイスPの製造許容公差ΔPは次のようになる。

0082

0083

この表式は、簡単のために、ΔPとΔCはどちらも空間的に独立であると仮定している。

0084

この方法を用いることによって、上述の例(形態V2)の本発明に係る磁場成形デバイスの製造許容公差を計算することができる。この例では、コイル系の電流密度JCが空間的に独立な領域を有し、

0085

0086

は一定の電流密度の二つの層にわたって分布している。磁石装置には、3次までに含まれている全ての勾配を補正するシム・システムが設けられており、したがってkは4に等しいと置くことができる。上の式における二つの積分の比は数値的に0.5であると計算される。したがって、磁場成形デバイスの製造許容公差ΔPは、
ΔP<0.1ΔC
となる。もしも磁石コイル系の巻線の精度ΔCが0.1mmであると、磁場成形デバイスには0.01mmという最大製造許容公差ΔPが要求される。

発明の効果

0087

磁場成形デバイスに要求される製造許容公差を計算するこの製造許容公差計算方法のお陰で、磁場成形デバイスの適切な製造方法を決定することができ、磁場成形デバイスの利点を生かし、同時に作業容積内の磁場均一性に関する高い要求を満たす本発明の高分解能磁気共鳴分光用磁石装置を実現することができる。

図面の簡単な説明

0088

図1本発明の磁石装置の半径方向で半分の概略垂直断面図である。
図2軸方向にのみ磁化され且つ磁性物質から成る円環エレメントを含む磁場成形デバイスの磁場形状を決定するための関数Hn(s)を示す図である。

--

0089

C磁石コイル
P磁場成形デバイス
HN 半切欠き部

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