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技術 脂肪酸アルキルエステルの製造方法

出願人 株式会社レボインターナショナル
発明者 中山勝英傳慶一川嶋文人北川博久阪井敦
出願日 2001年4月12日 (19年0ヶ月経過) 出願番号 2001-114325
公開日 2002年10月23日 (17年6ヶ月経過) 公開番号 2002-308825
状態 特許登録済
技術分野 有機低分子化合物及びその製造 触媒を使用する低分子有機合成反応 脂肪類、香料
主要キーワード 有色成分 セラミックライニング 超臨界反応 鋼製パイプ 原料槽 脂肪酸エステル層 鋼製容器 グリセリン層
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課題

本発明は、油脂類に含まれる主としてトリグリセリドからディーゼル燃料油等として有効利用できる低級アルキルエステルを実用的な比較的温和な条件下において高い反応効率で製造できる、工業規模利用可能な脂肪酸アルキルエステルの製造方法を提供することを目的とする。

解決手段

油脂類とアルコールとの間で触媒の存在下にエステル交換反応を行って脂肪酸アルキルエステルを製造するに際し、アルコールを超臨界状態または亜臨界状態とし、前記触媒としてアルカリ土類金属酸化物水酸化物および炭酸塩からなる群より選択される少なくとも1種を使用することを特徴とする脂肪酸アルキルエステルの製造方法。

概要

背景

現在、わが国では各種食用油が多量に使用されており、その使用済油(廃食油)の一部は石鹸などの原料として再利用されているが、その大部分は回収されずにごみ処理場に運ばれ、可燃物ごみ一緒焼却されるか、あるいは不燃物ごみと一緒に埋め立てて処理されているのが実状である。

一方、油脂類の主成分であるモノグリセリドジグリセリドトリグリセリドアルキルアルコールエステル交換反応させることによって、脂肪酸アルキルエステルが得られることは以前から知られている(例えば、「有機化学ハンドブック」技報堂出版、1988、p1407 〜p1409)。またこの反応を利用して、油脂類からディーゼル燃料油として使用できるアルキルエステルを製造する技術についてもこれまで様々検討されてきたが(例えば、特開平7−197047号公報、同7−310090号公報等)、これらの技術では現行軽油に関する品質確保法満足できる様なアルキルエステルは得られていない。

トリグリセリド、特に天然の油脂類に含まれるトリグリセリドから脂肪酸エステルを工業的に製造する方法として最も一般的な方法は、脂肪酸グリセリドアルコールとを金属アルカリ触媒の存在下に常圧で当該アルコールの沸点近傍において反応させる方法である。しかしながら、この反応では反応溶液中に金属アルカリ触媒を溶解した状態で使用するので、触媒が生成液中に溶解することになり、その分離・回収が困難であるという問題がある。

また、天然の油脂類には多量の遊離脂肪酸が含有されているのが一般的であり、原料の起源やその処理法によって様々な含有量であるが、平均で3重量%以上含まれている。遊離脂肪酸が多量に含まれた状態で金属アルカリ触媒を使用すると、脂肪酸石鹸が副生し金属アルカリ触媒が過剰に必要になり、あるいは生じた脂肪酸石鹸のために脂肪酸エステル層グリセリン層との分離が困難になる等の問題が生じる。こうしたことから、脂肪酸グリセリドのエステル交換反応を金属アルカリ触媒の存在下で行う場合は、遊離脂肪酸を除去するための前処理工程が必要となる。

このような問題を回避するという観点から、たとえば、特開昭61−14044号公報には、前処理工程として酸触媒により遊離脂肪酸をエステルに変換する方法が開示されている。この方法では、脂肪酸グリセリドのエステル交換反応を金属アルカリ触媒の存在下で行う前の処理として、遊離脂肪酸をエステルに変換するものであるが、脂肪酸グリセリドのエステル交換反応を行う際に酸触媒が残存していると金属アルカリ触媒が中和されてしまうので、その分だけ金属アルカリ触媒の使用量が増大するという問題がある。

また、上記のような前処理工程を必要としない脂肪酸エステルの製造方法として、固体酸触媒を用いる方法も提案されている(たとえば、特開平6−313188号公報)。しかしながら、酸触媒は、油脂類のエステル交換反応に対する活性が金属アルカリ触媒に比べて低いという決定的な欠点があり、酸触媒を使用するエステル交換反応では触媒が大量に必要となるという問題がある。

さらに、触媒の存在下、エステル交換反応を高温高圧下で行い、反応効率を高める技術も知られている。かかる技術として、たとえば、「JAOCS」(Vol. 61, No.2, p343, 1984)には、エステル交換反応条件として均一系アルカリ触媒アルカリ金属水酸化物共存下、240℃、9MPaでメチルアルコールを用いて反応させることが開示されており、この場合も遊離脂肪酸の前処理が不要とされている。しかしながら、均一系の触媒を用いているので触媒の除去や、アルカリ金属の強塩基性のため一部生成する脂肪酸石鹸を除去する等の後処理としての精製工程が必要となる。

また、アルコールの超臨界状態となる雰囲気においては、触媒なしでエステル交換反応が進行することが開示されている(特開2000−109883号公報および特開2000−143586号公報)。しかしながら、その反応速度は均一系の塩基性触媒に比べて格段に小さく、超臨界点近傍の条件での、その到達平衡反応率や反応速度は低く、殆ど実用的ではない。反応速度向上のためには、高温、高圧の条件を厳しくする必要があるが、反応物の分解が起こり、結果として反応率が低くなってしまう、等の問題がある。

概要

本発明は、油脂類に含まれる主としてトリグリセリドからディーゼル燃料油等として有効利用できる低級アルキルエステルを実用的な比較的温和な条件下において高い反応効率で製造できる、工業規模利用可能な脂肪酸アルキルエステルの製造方法を提供することを目的とする。

油脂類とアルコールとの間で触媒の存在下にエステル交換反応を行って脂肪酸アルキルエステルを製造するに際し、アルコールを超臨界状態または亜臨界状態とし、前記触媒としてアルカリ土類金属酸化物、水酸化物および炭酸塩からなる群より選択される少なくとも1種を使用することを特徴とする脂肪酸アルキルエステルの製造方法。

目的

本発明は、油脂類、特に廃食油に含まれる主としてトリグリセリドからディーゼル燃料油等として有効利用できる低級アルキルエステルを実用的な比較的温和な条件下において高い反応効率で製造できる、工業規模で利用可能な脂肪酸アルキルエステルの製造方法を提供することを目的とする。従って、当該油脂類に含まれる遊離脂肪酸のエステル化もしくは除去のための前処理工程および脂肪酸石鹸を除去するための後処理工程が不要となり、かつ触媒の分離・回収工程を簡略化もしくは省略することができる。

効果

実績

技術文献被引用数
4件
牽制数
4件

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請求項1

油脂類アルコールとの間で触媒の存在下にエステル交換反応を行って脂肪酸アルキルエステルを製造するに際し、アルコールを超臨界状態または亜臨界状態とし、前記触媒としてアルカリ土類金属酸化物水酸化物および炭酸塩からなる群より選択される少なくとも1種を使用することを特徴とする脂肪酸アルキルエステルの製造方法。

請求項2

アルカリ土類金属がマグネシウムである請求項1記載の脂肪酸アルキルエステルの製造方法。

請求項3

触媒を成形してなる固体触媒充填し、固定した固定床流通型反応器を用いてエステル交換反応を行う請求項1または2記載の脂肪酸アルキルエステルの製造方法。

請求項4

油脂類の供給量が、トリグリセリド換算液空間速度で1〜30/hである請求項3記載の脂肪酸アルキルエステルの製造方法。

請求項5

アルコールが炭素数1〜5の低級アルコールである請求項1〜4いずれか記載の脂肪酸アルキルエステルの製造方法。

技術分野

0001

本発明は、脂肪酸アルキルエステルの製造方法に関する。

背景技術

0002

現在、わが国では各種食用油が多量に使用されており、その使用済油(廃食油)の一部は石鹸などの原料として再利用されているが、その大部分は回収されずにごみ処理場に運ばれ、可燃物ごみ一緒焼却されるか、あるいは不燃物ごみと一緒に埋め立てて処理されているのが実状である。

0003

一方、油脂類の主成分であるモノグリセリドジグリセリドトリグリセリドアルキルアルコールエステル交換反応させることによって、脂肪酸アルキルエステルが得られることは以前から知られている(例えば、「有機化学ハンドブック」技報堂出版、1988、p1407 〜p1409)。またこの反応を利用して、油脂類からディーゼル燃料油として使用できるアルキルエステルを製造する技術についてもこれまで様々検討されてきたが(例えば、特開平7−197047号公報、同7−310090号公報等)、これらの技術では現行軽油に関する品質確保法満足できる様なアルキルエステルは得られていない。

0004

トリグリセリド、特に天然の油脂類に含まれるトリグリセリドから脂肪酸エステルを工業的に製造する方法として最も一般的な方法は、脂肪酸グリセリドアルコールとを金属アルカリ触媒の存在下に常圧で当該アルコールの沸点近傍において反応させる方法である。しかしながら、この反応では反応溶液中に金属アルカリ触媒を溶解した状態で使用するので、触媒が生成液中に溶解することになり、その分離・回収が困難であるという問題がある。

0005

また、天然の油脂類には多量の遊離脂肪酸が含有されているのが一般的であり、原料の起源やその処理法によって様々な含有量であるが、平均で3重量%以上含まれている。遊離脂肪酸が多量に含まれた状態で金属アルカリ触媒を使用すると、脂肪酸石鹸が副生し金属アルカリ触媒が過剰に必要になり、あるいは生じた脂肪酸石鹸のために脂肪酸エステル層グリセリン層との分離が困難になる等の問題が生じる。こうしたことから、脂肪酸グリセリドのエステル交換反応を金属アルカリ触媒の存在下で行う場合は、遊離脂肪酸を除去するための前処理工程が必要となる。

0006

このような問題を回避するという観点から、たとえば、特開昭61−14044号公報には、前処理工程として酸触媒により遊離脂肪酸をエステルに変換する方法が開示されている。この方法では、脂肪酸グリセリドのエステル交換反応を金属アルカリ触媒の存在下で行う前の処理として、遊離脂肪酸をエステルに変換するものであるが、脂肪酸グリセリドのエステル交換反応を行う際に酸触媒が残存していると金属アルカリ触媒が中和されてしまうので、その分だけ金属アルカリ触媒の使用量が増大するという問題がある。

0007

また、上記のような前処理工程を必要としない脂肪酸エステルの製造方法として、固体酸触媒を用いる方法も提案されている(たとえば、特開平6−313188号公報)。しかしながら、酸触媒は、油脂類のエステル交換反応に対する活性が金属アルカリ触媒に比べて低いという決定的な欠点があり、酸触媒を使用するエステル交換反応では触媒が大量に必要となるという問題がある。

0008

さらに、触媒の存在下、エステル交換反応を高温高圧下で行い、反応効率を高める技術も知られている。かかる技術として、たとえば、「JAOCS」(Vol. 61, No.2, p343, 1984)には、エステル交換反応条件として均一系アルカリ触媒アルカリ金属水酸化物共存下、240℃、9MPaでメチルアルコールを用いて反応させることが開示されており、この場合も遊離脂肪酸の前処理が不要とされている。しかしながら、均一系の触媒を用いているので触媒の除去や、アルカリ金属の強塩基性のため一部生成する脂肪酸石鹸を除去する等の後処理としての精製工程が必要となる。

0009

また、アルコールの超臨界状態となる雰囲気においては、触媒なしでエステル交換反応が進行することが開示されている(特開2000−109883号公報および特開2000−143586号公報)。しかしながら、その反応速度は均一系の塩基性触媒に比べて格段に小さく、超臨界点近傍の条件での、その到達平衡反応率や反応速度は低く、殆ど実用的ではない。反応速度向上のためには、高温、高圧の条件を厳しくする必要があるが、反応物の分解が起こり、結果として反応率が低くなってしまう、等の問題がある。

発明が解決しようとする課題

0010

本発明は、油脂類、特に廃食油に含まれる主としてトリグリセリドからディーゼル燃料油等として有効利用できる低級アルキルエステルを実用的な比較的温和な条件下において高い反応効率で製造できる、工業規模利用可能な脂肪酸アルキルエステルの製造方法を提供することを目的とする。従って、当該油脂類に含まれる遊離脂肪酸のエステル化もしくは除去のための前処理工程および脂肪酸石鹸を除去するための後処理工程が不要となり、かつ触媒の分離・回収工程を簡略化もしくは省略することができる。

課題を解決するための手段

0011

すなわち、本発明は、〔1〕油脂類とアルコールとの間で触媒の存在下にエステル交換反応を行って脂肪酸アルキルエステルを製造するに際し、アルコールを超臨界状態または亜臨界状態とし、前記触媒としてアルカリ土類金属酸化物、水酸化物および炭酸塩からなる群より選択される少なくとも1種を使用することを特徴とする脂肪酸アルキルエステルの製造方法、〔2〕 アルカリ土類金属がマグネシウムである前記〔1〕記載の脂肪酸アルキルエステルの製造方法、〔3〕 触媒を成形してなる固体触媒充填し、固定した固定床流通型反応器を用いてエステル交換反応を行う前記〔1〕または〔2〕記載の脂肪酸アルキルエステルの製造方法、〔4〕 油脂類の供給量が、トリグリセリド換算液空間速度で1〜30/hである前記〔3〕記載の脂肪酸アルキルエステルの製造方法、ならびに〔5〕 アルコールが炭素数1〜5の低級アルコールである前記〔1〕〜〔4〕いずれか記載の脂肪酸アルキルエステルの製造方法、に関する。

発明を実施するための最良の形態

0012

本発明の脂肪酸アルキルエステルの製造方法は、油脂類に含まれるエステル(主としてトリグリセリド)とアルコールとの間のエステル交換反応を、前記アルコールを超臨界状態または亜臨界状態とし、かつアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物および炭酸塩からなる群より選択される少なくとも1種を触媒として共存させて行うことを大きな特徴の1つとする。本発明によれば、前記無触媒系のアルコール超臨界反応系に比べて実用的な温和な条件下において油脂類に含まれるエステルとアルコールとの間でエステル交換反応を高効率に行うことができ、従来、困難であったディーゼル燃料油等として有効利用できる、軽油に関する品質確保法を満足する低級アルキルエステルの工業規模での製造が可能となる。本発明においては、前記触媒の存在下、アルコールを超臨界状態または亜臨界状態とし、すなわち、アルコールを高温、高圧下に維持し、アルコールを活性化して反応を行うので、油脂類に含まれる遊離脂肪酸と触媒に含まれるアルカリ土類金属との中和反応に比し、当該脂肪酸とアルコールとのエステル化反応の進行が優先することになる。従って、当該脂肪酸のエステル化もしくは除去のための前処理工程および脂肪酸石鹸を除去するための後処理工程が不要となる。また、該触媒は固体であり、エステル交換反応を行う、たとえば、反応溶液中に溶解することはなく、反応終了後濾過等の簡単な操作で反応系外へ容易に分離除去でき、触媒の分離・回収工程を簡略化もしくは省略することができる。従って、容易に脂肪酸アルキルエステルを精製でき、しかも相分離するグリセリン中での触媒の残存の問題もなく、得られたグリセリンは直ちに再利用が可能となる。

0013

なお、「軽油に関する品質確保法を満足する低級アルキルエステル」とは、具体的には、硫黄分0.2%以下、セタン指数45以上、90%留出温度360℃以下の低級アルキルエステルをいう。

0014

本発明において原料として使用する油脂類は特に限定されるものではない。例えば、ナタネ油ゴマ油ダイズ油トウモロコシ油ヒマワリ油パーム油パーム核油ヤシ油ベニバナ油アマニ油綿実油キリ油ヒマシ油牛脂豚脂魚油等の天然の植物性油脂および動物性油脂レストラン食品工場一般家庭等から廃棄される廃食油等を挙げることができる。また、これらの油脂類を単独であるいは2種以上混合して使用することもでき、前記油脂を主成分とする油脂加工品も原料とすることができる。本発明においては、資源の再利用を図る観点から、廃食油を使用することが好ましい。

0015

使用する油脂類の品質については特に限定するものではないが、高効率のエステル交換反応を達成する観点から、水分と固形分の含有量が少ない油脂類を使用するのが好ましい。それゆえ、廃食油を原料として使用する際には、含まれている水分や固形分を除去する為の前処理を施すことが好ましい。また、使用する廃食油中には酸性物質が多量に含まれることがあるが、当該酸性物質による触媒活性阻害を極力防止する観点から、前処理として脱酸を行ってもよい。なお、前記前処理はいずれも公知の方法に従って行うことができる。

0016

本発明に使用するアルコールは特に限定されるものではないが、ディーゼル燃料油として良質な低級アルキルエステルを製造する観点から、好ましくは炭素数1〜5の、飽和の直鎖または分岐鎖炭化水素骨格を有するアルコールであり、たとえば、メチルアルコール、エチルアルコールプロピルアルコールイソプロピルアルコールブチルアルコールt−ブチルアルコール等を挙げることができる。中でも、低コストであり、しかも回収容易であるという観点から、メチルアルコールがより好ましい。

0017

本発明においては、触媒としてアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物および炭酸塩からなる群より選択される少なくとも1種を使用する。アルカリ土類金属としては、好ましくはMg、Ca、SrおよびBaからなる群より選択される少なくとも1種であり、より好ましくはMgである。当該触媒の好適な例としては、MgO、Mg(OH)2 、MgCO3 、CaO、Ca(OH)2 、CaCO3 等を挙げることができる。

0018

当該触媒は固体であることから、反応終了後における触媒の分離・回収が容易である。また、当該触媒を成形し、いわゆる固体触媒とすることも可能である。固体触媒とすれば、反応液中への触媒の混入の可能性を大幅に低減することができ、反応終了後における触媒の分離・回収工程を実質的に行わなくともよいので好ましい。

0019

触媒の成形は公知の方法により行うことができる。なお、本明細書において「成形」には、触媒の粉末プレス機等を用いて一定形状に整える態様と共に、特定の担体に対し触媒の粉末を担持させる態様を含むものとする。

0020

本発明に係る触媒を成形して得られる固体触媒の形状としては特に限定されるものではなく、用途に応じ適宜選択すればよい。たとえば、タブレット状リング状、ペレット状、ハニカム状コルゲート状のいずれでもよく、また、セラミックメタルハニカムのような担体上に、触媒の粉末を含むスラリーウォッシュコートしたものであってもよい。

0021

本発明の脂肪酸アルキルエステルの製造方法では、エステル交換反応を、アルコールを超臨界状態または亜臨界状態とし、かつアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物および炭酸塩からなる群より選択される少なくとも1種を触媒として共存させて行う。これまでに、前記のようにアルコールを超臨界状態として触媒の非存在下にエステル交換反応を行う脂肪酸エステルの製造方法が知られているが、反応効率や反応速度の点で実用上満足できるものではなかった。一方、本発明は、アルコールを超臨界状態または亜臨界状態としてアルコールを活性化し、さらに、当該アルコールの活性化と特定の触媒とを組み合わせるという構成を有するものである。当該触媒として、エステル交換反応の触媒として従来用いられているアルカリ金属触媒を用いた場合には、強塩基性であるため原料油脂類に含まれる酸性成分、特に遊離脂肪酸と不可逆的に中和反応を起こし、脂肪酸石鹸を大量に生成し、エステル交換反応後の工程に悪影響を及ぼす。すなわち、エステル含有層とグリセリン層が乳化し分離困難となる。また、触媒そのものも大量に使う必要がある。それゆえ、かかる場合には、本発明の所望の効果を得ることはできない。本発明においては、意外にも、エステル交換反応の反応効率が低く、通常、当該反応の触媒としては用いられないものであるアルカリ土類金属の酸化物等を「特定の触媒」として用いることで、従来の技術からは予測し得ない優れた本発明の所望の効果が発揮されるのである。アルコールの活性化とアルカリ土類金属の酸化物等からなる触媒とを組み合わせてエステル交換反応を行った場合には、当該触媒の塩基性は弱く、アルコールの超臨界状態または亜臨界状態では酸性成分、特に遊離脂肪酸と中和反応を起こす以前に当該遊離脂肪酸はエステル化され、更に中和反応が起こったとしても可逆的であり、当該中和反応に関与した遊離脂肪酸もエステル化され得るものと推定される。

0022

たとえば、アルコールとしてメチルアルコールを使用した場合、超臨界状態または亜臨界状態においてメチルアルコールは、

0023

0024

のように解離して活性化される。メチルアルコールの解離により生じたプロトン(H+ )は、触媒であるアルカリ土類金属の酸化物等と共に油脂類に含まれるエステル(主としてトリグリセリド)を活性化し、メチルアルコールとエステルとの間のエステル交換反応が効果的に進行することになると推定される。一方、油脂類に含まれる遊離脂肪酸は活性化されたメチルアルコールによって直ちにエステル化されるので触媒に含まれるアルカリ土類金属との中和反応は起こり難く、たとえ起こったとしても再び解離してエステル化されるものと推定される。

0025

本発明の脂肪酸アルキルエステルの製造方法としては、原料を1バッチ当たりに要する量だけ供給し、単回でエステル交換反応を行うバッチ式であっても、原料を連続的に供給してエステル交換反応を行う連続式であってもよい。バッチ式とする場合は、たとえば、エステル交換反応を行うための反応器を用い、当該反応器に原料の油脂類、アルコール、触媒を各々1バッチ当たりに要する量を投入後、反応を行い、反応生成物である脂肪酸アルキルエステル、グリセリン、および未反応物である残存する油脂類、アルコール、触媒を含む反応混合物抜き出すことにより行うことができる。一方、連続式とする場合は、たとえば、本発明に係る触媒を成形してなる固体触媒を充填し、固定した、エステル交換反応を行うための固定床流通型反応器を用い、当該反応器に原料の油脂類、アルコールを連続的に供給し、反応生成物である脂肪酸アルキルエステル、グリセリン、および未反応物である残存する油脂類、アルコールを排出することにより行うことができる。中でも、本発明に係る触媒を成形してなる固体触媒を充填し、固定した固定床流通型反応器を用いてエステル交換反応を行い、脂肪酸アルキルエステルの製造を行う態様は、アルコールを超臨界状態または亜臨界状態に維持してエステル交換反応を行う本発明の脂肪酸アルキルエステルの製造方法においては、高温、高圧条件での反応時間の制御がより容易であるという観点から好ましい。また、反応を高効率に進行させ得ると共に、反応終了後における触媒の分離・回収工程を省くことができ好ましい。なお、バッチ式の場合も、濾過等により容易に触媒を除去でき、触媒の分離・回収工程を簡略化できる。

0026

以下においては、本発明の脂肪酸アルキルエステルの製造方法として好ましい態様である前記固定床流通型反応器を用いる場合について詳細に説明する。なお、「部」は特段事情がないかぎり「重量部」を表わす。

0027

アルコールの油脂類に対する仕込み量は、油脂類に含まれるトリグリセリドに対し、モル換算化学量論必要量の好ましくは1.2〜50倍程度であり、より好ましくは1.2〜30倍程度である。アルコールの超臨界状態または亜臨界状態を反応終了時まで良好に維持する観点から、1.2倍程度以上であり、反応容器容積効率や反応効率を高く維持する観点から、50倍程度以下である。なお、油脂類に対するアルコールの化学量論的必要量は、原料としての油脂類および低級アルコールの成分組成に基づいて各々計算する。

0028

反応器に仕込む固体触媒の量は、所望のエステル交換反応効率が得られれば特に限定されるものではないが、概ね油脂類100部に対して、0.5部〜100部が好ましく、1部〜30部がより好ましい。固体触媒の仕込み量がかかる範囲内であれば、エステル交換反応が充分に進行し、経済的な観点からも好ましい。

0029

なお、反応器、すなわち、エステル交換反応の反応場を提供する容器としては、フラスコ鋼製容器鋼製パイプスタティックミキサー攪拌槽等を挙げることができる。反応器の材質は特に限定されず、ガラス鉄鋼ステンレス鋼Ni合金Ti合金グラスライニング鋼、ポリマーライニング鋼、セラミックライニング鋼等を使用できる。

0030

反応器への油脂類およびアルコールの供給は、たとえば、各々の原料槽から、当該原料槽と反応器との間を繋ぐ原料供給ラインを介して別々に供給してもよく(態様1)、あるいは1つの原料槽において油脂類およびアルコールを予め混合しておき、両成分を同時に1つの原料供給ラインを介して供給してもよい(態様2)。なお、各原料の仕込み順序は特に限定されるものではない。また、態様2は、両成分が混合されて同時に反応器へ供給される態様の全てを意図するものであり、たとえば、原料槽は各原料ごとに設けられているが、各々の原料槽から伸びる原料供給ラインが途中で結合して1つになっており、いわゆるライン混合されて両成分が反応器に同時に供給される態様も含む。

0031

態様1と態様2のいずれの場合も、反応器内の固体触媒に対する油脂類の供給量としては、当該油脂類に含まれるトリグリセリドに換算した液空間速度(LHSV)で、好ましくは1〜30/h、より好ましくは1.5〜20/hとするのが好適である。反応器の単位容積当たりの生産性の観点から、1/h以上であり、高い反応率で充分に反応を行う観点から、30/h以下である。なお、前記液空間速度は25℃、1atmの条件下における値である。

0032

一方、アルコールの供給量は、好ましくはアルコールの油脂類に対する仕込み量が前記好ましい範囲内となるような供給量であればよく、油脂類の供給量に応じて決定することができる。

0033

エステル交換反応は、反応器内において、供給されたアルコールが超臨界状態または亜臨界状態となるように圧力および温度を制御して行う。本発明を実施する際における圧力および温度は、アルコールの種類によって異なるが、たとえば、メチルアルコールを使用する場合、反応温度としては、通常、好ましくは200℃〜300℃、より好ましくは220℃〜280℃である。反応圧力は反応器に仕込まれた揮発性物質が示す、反応温度での蒸気圧に相当するが、反応器内の全体圧力として、通常、好ましくは3〜15MPa、より好ましくは5〜13MPaである。反応温度および反応圧力が前記範囲内であれば、アルコールが充分に活性化され、反応に関与する物質熱分解も抑えられ、また、経済的観点からも好ましい。さらに、アルコールの充分な活性化には反応温度と反応圧力のバランスも重要であり、かかる観点から、好適な反応温度と反応圧力の組み合わせとして、反応温度が220〜280℃であって、かつ反応圧力が5〜13MPaであるという条件を挙げることができる。反応時間は、反応温度や用いる原料の種類などにより異なり一概には決められないが、概ね1分〜24時間の範囲で選択される。たとえば、250℃を超える温度条件で反応を行う場合には、反応時に生ずるグリセリン等の熱分解を抑制するため、反応時間としては好ましくは60分以内であり、より好ましくは40分以内である。

0034

なお、原料の加熱の方法としては、仕込みの際に熱交換器にて各原料を加熱しつつ仕込むことにより行っても良く、また仕込み開始と共に反応器を外部から加熱することにより行ってもよい。また、反応時に、一部、平衡的に触媒であるアルカリ土類金属の酸化物等に遊離脂肪酸が吸着し触媒の活性劣化を生ずることがあるが、かかる場合には、高温、好ましくは500〜600℃程度の熱風空気を当該触媒に供給し、吸着した脂肪酸を酸化分解することにより、容易に触媒の再生を行うことができる。

0035

反応器におけるエステル交換反応によって得られる反応生成物は、原料である油脂類に主成分として含まれるトリグリセリドとアルコールとのエステル交換反応によって生成する脂肪酸アルキルエステルとグリセリンが主成分である混合物である。この混合物から脂肪酸アルキルエステルとグリセリンを分離するには、反応終了後、得られた反応混合物を所望の温度まで冷却し、当該温度下もしくは室温下にて静置し、または、反応終了後、そのまま室温下にて静置し、それらの比重差を利用して脂肪酸アルキルエステルとグリセリンとを相分離させる静置層分離法も適用できるが、生産性の観点から、後述の遠心分離法が好ましい。

0036

遠心分離法は、反応終了後、所望の温度まで冷却した反応混合物を遠心分離器に供し、脂肪酸アルキルエステルとグリセリンとが分離し得る程度の遠心力を与えることにより行う。遠心分離後に得られる上層には、主成分となる脂肪酸アルキルエステルの他、未反応のアルコール分臭気成分有色成分等の混入物が含まれるので、次いで、たとえば、蒸留吸着剤を用いる公知の精製工程により当該混入物を除去すれば、純度の高い脂肪酸アルキルエステルを得ることができる。なお、当該精製工程で用い得る吸着剤としては、たとえば、活性炭活性炭素繊維活性白土酸性白土ベントナイトケイソウ土活性アルミナ等が挙げられる。

0037

以上のようにして得られた脂肪酸アルキルエステルは充分に純度が高く、軽油代替燃料等に直接使用することができる。また、グリセリンも触媒を含まないため直ちに再利用可能である。

0038

以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は当該実施例によりなんら限定されるものではない。

0039

実施例1
約1mm粒に成形した酸化カルシウム(CaO)9.9gを充填し、固定した直径4.9mm、長さ250mmのステンレスパイプ食用ナタネ油および食用ダイズ油(共に日清製油(株)製)を合計で毎分0.09g、メチルアルコールを毎分0.03g(化学量論的必要量の約3モル倍)で連続的に供給した(トリグリセリド換算の液空間速度:1.3/h)。反応温度を280℃に保持し、反応圧力を出口コントロールバルブで6MPaに制御した(アルコールは亜臨界状態)。反応開始より3時間後に得られた反応物を油層とグリセリン層に遠心分離により分離した。油層における脂肪酸メチルエステル生成率は、ガスクロマトグラフィー分析した結果、98%であった。

0040

実施例2
約1mm粒に成形した酸化マグネシウム(MgO)を用いる以外は同様の条件で反応を行った。3時間後の脂肪酸メチルエステルの生成率は98%であった。

0041

実施例3
約1mm粒に成形した酸化マグネシウム(MgO)、原料油として酸価6の未精製パーム油を用いる以外は、実施例1と同様の条件で反応を行った。反応開始3時間後および6時間後の反応液をサンプリングし、実施例1と同様の方法で脂肪酸メチルエステルの生成率を測定した。3時間後の生成率は94%、6時間後の生成率は96%であった。

0042

比較例1
実施例1で触媒を充填しない以外は同様の条件で反応を行った。3時間後の脂肪酸メチルエステルの生成率は48%であった。

0043

比較例2
反応温度を340℃、反応圧力を9MPaとする(アルコールは超臨界状態)以外は比較例1と同様の条件で反応を行った。3時間後の脂肪酸メチルエステルの生成率は32%であった。

0044

比較例3
反応温度を150℃、反応圧力を0.9MPaとし(アルコールは超臨界状態でも亜臨界状態でもない)、触媒としてMgOを用いる以外は実施例1と同様の条件で反応を行った。3時間後の脂肪酸メチルエステルの生成率は5%であった。

0045

比較例4
触媒として市販の水酸化ナトリウムペレット(約5mm粒)を用いる以外は実施例1と同様の条件で反応を行ったところ、触媒が溶解し、エステルを含む油層とグリセリン層が乳化し分離困難であった。

0046

実施例1〜3より、本発明の脂肪酸アルキルエステルの製造方法によれば、脂肪酸メチルエステルを効率的に製造することができることが分かる。一方、比較例1および2より、本発明に係る触媒を用いない場合、たとえ反応温度および反応圧力を高めたとしても脂肪酸メチルエステルの製造効率は格段に低下することが、比較例3より、アルコールを超臨界状態または亜臨界状態としない場合、本発明に係る触媒を用いたとしても脂肪酸メチルエステルの製造効率は格段に低下することが、また、比較例4より、アルコールを超臨界状態または亜臨界状態とし、触媒としてアルカリ金属触媒を用いた場合、容易には脂肪酸メチルエステルを分離することができず、製造効率が格段に低下することが分かる。すなわち、本発明を構成する要件のいずれか1つが欠如しても、脂肪酸アルキルエステルの製造効率は格段に低下することが分かる。

発明の効果

0047

本発明により、油脂類、特に廃食油に含まれる主としてトリグリセリドからディーゼル燃料油等として有効利用できる低級アルキルエステルを実用的な比較的温和な条件下において高い反応効率で製造できる、工業規模で利用可能な脂肪酸アルキルエステルの製造方法が提供される。当該製造方法によれば、当該油脂類に含まれる遊離脂肪酸のエステル化もしくは除去のための前処理工程および脂肪酸石鹸の除去のための後処理工程が不要となり、かつ触媒の分離・回収工程を簡略化もしくは省略することができる。

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