図面 (/)

技術 飛行体用レドーム

出願人 川崎重工業株式会社
発明者 後藤淳板東舜一桜井収
出願日 2001年3月29日 (18年7ヶ月経過) 出願番号 2001-097456
公開日 2002年10月11日 (17年1ヶ月経過) 公開番号 2002-299938
状態 特許登録済
技術分野 武器;爆破 飛行船・気球・飛行機 強化プラスチック材料 積層体(2) アンテナの細部 レーダ方式及びその細部
主要キーワード 抑え角 運行性能 原状回復 研摩紙 飛行安全性 高温圧縮強度 機体表面 レーダー電波
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2002年10月11日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (15)

課題

浸水の無い構造で、電波特性及び強度特性に優れた高性能飛行体用レドームを提供する。

解決手段

曲率の小さな単層又は複数層曲面サンドイッチ構造体になされ、コアポリエーテル発泡材より成り、コアの両面を狹んでいる面板シアネート樹脂FRPより成る飛行体用レドーム。上記コアのポリエーテルイミド発泡材は密度50kg/m3〜80kg/m3であることが好ましく、上記面板はシアネート樹脂を重量比で30%〜60%含有したプリプレグで製造したFRP面板であることが好ましく、このシアネート樹脂のFRP面板における強化繊維ガラス繊維又は石英繊維であることが好ましい。また、シアネート樹脂のFRPより成る面板の板厚とポリエーテルイミド発泡材より成るコアの板厚は、レーダー電波放射方向において同一になされていることが好ましい。さらに飛行体用レドームの外壁面に、10μm〜150μmの耐エロージョン塗装が施されていることが好ましい。

概要

背景

航空機飛行船等の飛行体は、航法設定や情報交換のための地上や衛星との電波のやり取りや対物走査のためのレーダー等の電波の送受信システムを必要とする。一般的に図10に示すようにそれらの電波送受信システム20は、外部との電波21の送受信を行うために機体の表面に設置されることから、電波送受信システム20を厳しい飛行環境から保護するレドーム22が必要となる。図11に一般的な航空機に設置されるレドームの代表的な位置を示す。レドームは主に電波の送受信方向により、鼻部23、背部24、腹部25および尾部26等に設置される。また、設置場所制約や機体の影響を受け難くするために、できる限り離れた端部に設置したいとの要求から、主翼尾翼等の翼端27に設置されることもあり、その場合には翼端27内に電波送受信システムが埋め込まれ、翼端27の壁面自身がレドームとして使用される場合もある。いずれの場合のレドームにしても、航空機の部品であることから軽量であることの要求のほかに、電波送受信システムを厳しい飛行環境から保護するために、電波特性としては電波透過率に優れること、機械的な特性としては空力的な荷重異物衝突荷重に耐える強度特性温度変化湿潤環境に対する耐候性雨滴や塵等との高速衝突に耐えるエロージョン特性が求められる。

従来より航空機の機体構造材としては、軽量かつ高強度であるために、ハニカムコア繊維強化プラスチックFRP面板からなるサンドイッチ構造体が多用されている。特にレドームでは、主に電波特性の要求から図12に示すようにガラス繊維FRP製のハニカムコア28と、ガラス繊維強化エポキシ樹脂製面板29からなるサンドイッチ構造体30が一般に採用されている。また、適用場所や形状により雨滴等による表面損傷が起こると予想される鼻部等のレドームに対しては、300μm〜400μmといった非常に厚い主にウレタン製の耐エロージョン塗装31が施されている。この耐エロージョン塗装31は、施工中ふくれ防止とその膜厚を確保するために、薄塗り→乾燥の工程を20回程度繰り返すことが必要であり、非常に手間のかかる作業である。

ところが、これらの材料構成からなるレドームには、地上と成層圏往復する間に大きな環境変化(1気圧、プラス40℃から1/10気圧、マイナス54℃)を伴う長期運用により、下記の問題があることが判ってきた。
運用中の吸湿によりガラス繊維強化エポキシ樹脂製面板29の強度が劣化する。
耐エロージョン塗装31や面板29での微細割れの発生により、ハニカムコア28内に湿気を含む空気が侵入し、その水分の結露凝固→結露の悪循環により、ハニカムコア28内が徐々に浸水する。の問題点については、予めこの強度劣化を見込んだ上で設計する必要があるため、バージン強度を確保する場合、厚板構造とする必要があり、重量とコストの点で不利である。また、の問題は、特に航空機性能を劣化させる重量増加やレーダー特性を劣化させる電波透過性の劣化等を引き起こし、最終的には浸水の凍結によるハニカムコア28と面板29の剥離を生じ、飛行安全性が損なわれることから、航空機を運航するユーザーにとっても大きな問題となっている。従って、定期点検にて検出されるハニカムコア28内の浸水はセル毎に、面板29の穴明け→水抜き→穴ふさぎといった非常に手間のかかる補修を必要とするとともに、補修個所板厚や重量増となるために補修によりレドームとしての本来の特性を取り戻すことは原理的に不可能である。

また、根本的にガラス繊維FRP製のハニカムコア28を用いたサンドイッチ構造体30では、下記の問題点があり、理想的なレドームを製作することは不可能であった。
膜厚大(300μm〜400μm)のウレタン製の耐エロージョン塗装31の電波透過性は極めて悪く、電波送受信システム全体の感度を低下させる大きな原因となっている。
ガラス繊維強化エポキシ樹脂製のハニカムコア28について、厚み方向の機械加工が困難であることと、ハニカムコア28のセル壁の影響により電波特性に異方性があることから、レドーム壁面全体の電波透過率を一定にすることができなかった。
特に数GHzから40GHzといった高周波領域を含む広帯域用のレドームの場合には図13に示すようにハニカムコア28と面板29を複数層化することが原理的に有効であること(=各層間の電波の透過・反射を利用して適した周波数帯を広げること)が知られているが、ハニカムコア28の場合には、異層に配置されるハニカムのセル(=ガラス繊維強化エポキシ樹脂壁面)の位置が規則性無くずれることから、複数層からなるレドームを実現することは不可能であった。
航空機の背部や腹部や尾部に設置するレドームの場合、できるだけ電波透過性を稼ぐためにハニカムのセル壁に電波が通らないようにするには、図14に示すようにレドーム32の壁面を機体33に対して大きい迎え角度にて装着する必要があり、レドーム32は機体33の飛行方向から気流34を受け、空気抵抗による運行性能の低下(最高速度や燃費の低下)を引き起こす。
ガラス繊維強化エポキシ樹脂製のハニカムコア28は元々成形が難しく、翼端形状のような三次元の形状で曲率が小さな部品形状成形加工が不可能であり、このような形状品にはソリッドFRP構造体が使用されているが、重量的にハンディがあるとともに、電波透過特性も悪くなる。

概要

浸水の無い構造で、電波特性及び強度特性に優れた高性能飛行体用レドームを提供する。

曲率の小さな単層又は複数層の曲面サンドイッチ構造体になされ、コアポリエーテル発泡材より成り、コアの両面を狹んでいる面板がシアネート樹脂のFRPより成る飛行体用レドーム。上記コアのポリエーテルイミド発泡材は密度50kg/m3〜80kg/m3であることが好ましく、上記面板はシアネート樹脂を重量比で30%〜60%含有したプリプレグで製造したFRP面板であることが好ましく、このシアネート樹脂のFRP面板における強化繊維はガラス繊維又は石英繊維であることが好ましい。また、シアネート樹脂のFRPより成る面板の板厚とポリエーテルイミド発泡材より成るコアの板厚は、レーダー電波放射方向において同一になされていることが好ましい。さらに飛行体用レドームの外壁面に、10μm〜150μmの耐エロージョン塗装が施されていることが好ましい。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
3件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

曲率の小さな単層又は複数層曲面サンドイッチ構造体になされ、コアポリエーテルイミド発泡材より成り、コアの両面を挾んでいる面板シアネート樹脂FRPより成ることを特徴とする飛行体用レドーム

請求項2

ポリエーテルイミド発泡材が密度50kg/m3〜80kg/m3であり、シアネート樹脂のFRPより成る面板がシアネート樹脂を重量比で30%〜60%含有したプリプレグで製造したFRP面板であることを特徴とする請求項1記載の飛行体用レドーム。

請求項3

シアネート樹脂のFRPより成る面板における強化繊維が、ガラス繊維又は石英繊維であることを特徴とする請求項1又は2記載の飛行体用レドーム。

請求項4

シアネート樹脂のFRPより成る面板の板厚と、ポリエーテルイミド発泡材より成るコアの板厚が、レーダー電波放射方向において同一になされていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の飛行体用レドーム。

請求項5

飛行体用レドームの外壁面に、10μm〜150μmの耐エロージョン塗装が施されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の飛行体用レドーム。

技術分野

0001

本発明は、航空機飛行船等の飛行体に使用するレドームに関する。

背景技術

0002

航空機や飛行船等の飛行体は、航法設定や情報交換のための地上や衛星との電波のやり取りや対物走査のためのレーダー等の電波の送受信システムを必要とする。一般的に図10に示すようにそれらの電波送受信システム20は、外部との電波21の送受信を行うために機体の表面に設置されることから、電波送受信システム20を厳しい飛行環境から保護するレドーム22が必要となる。図11に一般的な航空機に設置されるレドームの代表的な位置を示す。レドームは主に電波の送受信方向により、鼻部23、背部24、腹部25および尾部26等に設置される。また、設置場所制約や機体の影響を受け難くするために、できる限り離れた端部に設置したいとの要求から、主翼尾翼等の翼端27に設置されることもあり、その場合には翼端27内に電波送受信システムが埋め込まれ、翼端27の壁面自身がレドームとして使用される場合もある。いずれの場合のレドームにしても、航空機の部品であることから軽量であることの要求のほかに、電波送受信システムを厳しい飛行環境から保護するために、電波特性としては電波透過率に優れること、機械的な特性としては空力的な荷重異物衝突荷重に耐える強度特性温度変化湿潤環境に対する耐候性雨滴や塵等との高速衝突に耐えるエロージョン特性が求められる。

0003

従来より航空機の機体構造材としては、軽量かつ高強度であるために、ハニカムコア繊維強化プラスチックFRP面板からなるサンドイッチ構造体が多用されている。特にレドームでは、主に電波特性の要求から図12に示すようにガラス繊維FRP製のハニカムコア28と、ガラス繊維強化エポキシ樹脂製面板29からなるサンドイッチ構造体30が一般に採用されている。また、適用場所や形状により雨滴等による表面損傷が起こると予想される鼻部等のレドームに対しては、300μm〜400μmといった非常に厚い主にウレタン製の耐エロージョン塗装31が施されている。この耐エロージョン塗装31は、施工中ふくれ防止とその膜厚を確保するために、薄塗り→乾燥の工程を20回程度繰り返すことが必要であり、非常に手間のかかる作業である。

0004

ところが、これらの材料構成からなるレドームには、地上と成層圏往復する間に大きな環境変化(1気圧、プラス40℃から1/10気圧、マイナス54℃)を伴う長期運用により、下記の問題があることが判ってきた。
運用中の吸湿によりガラス繊維強化エポキシ樹脂製面板29の強度が劣化する。
耐エロージョン塗装31や面板29での微細割れの発生により、ハニカムコア28内に湿気を含む空気が侵入し、その水分の結露凝固→結露の悪循環により、ハニカムコア28内が徐々に浸水する。の問題点については、予めこの強度劣化を見込んだ上で設計する必要があるため、バージン強度を確保する場合、厚板構造とする必要があり、重量とコストの点で不利である。また、の問題は、特に航空機性能を劣化させる重量増加やレーダー特性を劣化させる電波透過性の劣化等を引き起こし、最終的には浸水の凍結によるハニカムコア28と面板29の剥離を生じ、飛行安全性が損なわれることから、航空機を運航するユーザーにとっても大きな問題となっている。従って、定期点検にて検出されるハニカムコア28内の浸水はセル毎に、面板29の穴明け→水抜き→穴ふさぎといった非常に手間のかかる補修を必要とするとともに、補修個所板厚や重量増となるために補修によりレドームとしての本来の特性を取り戻すことは原理的に不可能である。

0005

また、根本的にガラス繊維FRP製のハニカムコア28を用いたサンドイッチ構造体30では、下記の問題点があり、理想的なレドームを製作することは不可能であった。
膜厚大(300μm〜400μm)のウレタン製の耐エロージョン塗装31の電波透過性は極めて悪く、電波送受信システム全体の感度を低下させる大きな原因となっている。
ガラス繊維強化エポキシ樹脂製のハニカムコア28について、厚み方向の機械加工が困難であることと、ハニカムコア28のセル壁の影響により電波特性に異方性があることから、レドーム壁面全体の電波透過率を一定にすることができなかった。
特に数GHzから40GHzといった高周波領域を含む広帯域用のレドームの場合には図13に示すようにハニカムコア28と面板29を複数層化することが原理的に有効であること(=各層間の電波の透過・反射を利用して適した周波数帯を広げること)が知られているが、ハニカムコア28の場合には、異層に配置されるハニカムのセル(=ガラス繊維強化エポキシ樹脂壁面)の位置が規則性無くずれることから、複数層からなるレドームを実現することは不可能であった。
航空機の背部や腹部や尾部に設置するレドームの場合、できるだけ電波透過性を稼ぐためにハニカムのセル壁に電波が通らないようにするには、図14に示すようにレドーム32の壁面を機体33に対して大きい迎え角度にて装着する必要があり、レドーム32は機体33の飛行方向から気流34を受け、空気抵抗による運行性能の低下(最高速度や燃費の低下)を引き起こす。
ガラス繊維強化エポキシ樹脂製のハニカムコア28は元々成形が難しく、翼端形状のような三次元の形状で曲率が小さな部品形状成形加工が不可能であり、このような形状品にはソリッドFRP構造体が使用されているが、重量的にハンディがあるとともに、電波透過特性も悪くなる。

発明が解決しようとする課題

0006

そこで本発明は、浸水の無い構造で、電波特性及び強度特性に優れた高性能飛行体用レドームを提供しようとするものである。

課題を解決するための手段

0007

上記課題を解決するための本発明の飛行体用レドームは、曲率の小さな単層又は複数層の曲面サンドイッチ構造体になされ、コアポリエーテルイミド発泡材より成り、コアの両面を挾んでいる面板がシアネート樹脂のFRPより成ることを特徴とするものである。

0008

上記の飛行体用レドームにおいて、コアのポリエーテルイミド発泡材は密度50kg/m3〜80kg/m3であることが好ましく、シアネート樹脂のFRPより成る面板はシアネート樹脂を重量比で30%〜60%含有したプリプレグで製造したFRP面板であることが好ましい。

0009

上記本発明の飛行体用レドームにおいて、シアネート樹脂のFRPより成る面板における強化繊維は、ガラス繊維又は石英繊維であることが好ましい。

0010

上記本発明の飛行体用レドームにおいて、シアネート樹脂のFRPより成る面板の板厚と、ポリエーテルイミド発泡材より成るコアの板厚は、レーダー電波放射方向において同一になされていることが好ましい。

0011

上記本発明の飛行体用レドームにおいて、外壁面に、10μm〜150μmの耐エロージョン塗装が施されていることが好ましい。

発明を実施するための最良の形態

0012

本発明の飛行体用レドームの一実施形態を図1によって説明すると、1は曲率の小さな単層の曲面サンドイッチ構造体2に形成された飛行体用レドームで、曲面サンドイッチ構造体2のコア3は、ポリエーテルイミド発泡材より成り、このコア3の両面を挾んで一体化している面板4はシアネート樹脂のFRPより成る。この飛行体用レドーム1の曲面サンドイッチ構造体2は、ポリエーテルイミド発泡材より成るコア3の気泡独立気泡であることから、化学的のみならず物理的にも内部に水が進入することがなく、従来のハニカムコアのサンドイッチ構造体で大問題となっている浸水を防ぐことができる。また、ポリエーテルイミド発泡材より成るコア3は、従来のガラス繊維製のハニカムコアと比較して、下記の表1に示すように航空機のレーダーシステムとしてよく使われている10GHzの電波に対して比誘電率が数割低く、誘電損は数分の1であり、電波特性に優れていることが判る。

0013

0014

このポリエーテルイミド発泡材より成るコア3は、下記の表2に示すように5GHzから40GHzといった広帯域の電波に対しても安定な比誘電率と誘電損の値を持ち、高分解能が要求される高周波数領域を含む広帯域においても優れた電波特性を有する。従って、飛行体用レドームは性能が高いものとなる。

0015

0016

本発明の飛行体用レドームの他の実施形態を図2によって説明すると、1′は曲率の小さな複数層の曲面サンドイッチ構造体2′に形成された飛行体用レドームで、曲面サンドイッチ構造体2′はポリエーテルイミド発泡材より成るコア3と、このコア3の両面を挾むシアネート樹脂のFRPより成る面板4が交互に配され一体化されているものである。この飛行体用レドーム1′の複数層の曲面サンドイッチ構造体2′もポリエーテルイミド発泡材より成るコア3の存在により前述のように浸水を防ぐことができ、また5GHzから40GHzといった高周波数領域を含む広帯域の電波に対して安定な比誘電率と誘電損の値を持ち、電波特性に優れているので、飛行体用レドーム1′は性能が高いものとなる。

0017

上記本発明の飛行体用レドーム1,1′において、曲面サンドイッチ構造体2,2′のコア3のポリエーテルイミド発泡材は、密度50kg/m3〜80kg/m3であることが好ましい。この限定理由について説明すると、下限の密度50kg/m3は、図3のポリエーテルイミド発泡材の密度と高温圧縮強度(200℃)との関係を示すグラフで判るように、コアの成形時の温度(200℃)にて成形圧力(約1kgf/cm2)に耐えるには、50kg/m3以上の密度のコアが必要であることから決定した。上限の密度80kg/m3は、従来レドームに使用されているガラスFRP製のハニカムコアの密度が、72kg/m3〜80kg/m3であることから、この上限の80kg/m3を超える密度のポリエーテルイミド発泡材を使用することは、従来材に対して重量的なメリットがなくなることから決定した。

0018

また、上記本発明の飛行体用レドーム1,1′において、曲面サンドイッチ構造体2,2′のFRPより成る面板4のシアネート樹脂の含有量は、重量比で30%〜60%であることが好ましい。この限定理由について説明すると、下限の重量比30%は、図4のシアネート樹脂プリプレグの樹脂含有率とFRPの繊維体積率との関係を示すグラフで判るように、航空機用に使われるFRPの繊維体積率が通常60vol%前後であることからすると、シアネート樹脂のプリプレグにおいては、30wt%程度の樹脂含有率が必要となることから決定した。しかも実際にはコア3の表面の気泡をシアネート樹脂で埋める必要があり、かつ所定の接着強度を得るためには、この30wt%が下限の値となる。上限の重量比60%について詳述すると、図5のaに示すようにポリエーテルイミド発泡材コア3の表面に露出している発泡穴5を、FRP製面板4(図1参照)となるプリプレグ6中のシアネート樹脂7で図5のbに示すように埋める必要がある。この埋めるべきコア3の表面の穴体積は、コア3の密度によって異なるが、気泡の直径は約200μmであり、樹脂含有率の上限として考えるならば、1枚のプリプレグ6に下記の2点を満足する樹脂を含有する必要がある。
約100μmの樹脂膜を形成できる(=ランダムに存在する約200μmの直径の気泡を必ず埋めることができる)。
繊維体積率55%以上のFRP製面板を形成できる。そして、100μmの膜厚の樹脂膜を形成するには、図6のシアネート樹脂プリプレグの樹脂含有率と形成可能な樹脂膜厚との関係を示すグラフで判るようにプリプレグ6中には約60wt%の樹脂含有率のシアネート樹脂が必要である。

0019

然して、上記本発明の飛行体用レドーム1,1′において、曲面サンドイッチ構造体2,2′のシアネート樹脂のFRPより成る面板4における強化繊維は、ガラス繊維又は石英繊維であることが好ましい。シアネート樹脂のFRPより成る面板4は下記の表3で判るように従来材料であるガラス繊維強化エポキシ樹脂製面板に比べ室温(RTD)の強度に優れる。特に、設計時の強度標定となる吸湿後高温強度特性HTW)は非常に優れており、室温強度に対して約8割の強度を保持する。また、シアネート樹脂のFRPより成る面板4は、従来のガラス繊維強化エポキシ樹脂製面板に比べ比誘電率が低く、誘電損は1/2以下であり、電波特性に優れる。そして同じシアネート樹脂のFRPより成る面板4でも強化繊維が石英繊維とガラス繊維によって特性が異なり、石英繊維の方がガラス繊維よりも全般的に特性に優れる。しかし、コストが高いために、必要とされる特性とコストを吟味した上で、強化繊維を石英繊維とガラス繊維の中から選定するとよい。

0020

0021

本発明の飛行体用レドームの別の好ましい実施形態を図7によって説明すると、この飛行体用レドーム1″は、曲率の小さな単層の曲面サンドイッチ構造体2″に形成され、この曲面サンドイッチ構造体2″のシアネート樹脂のFRPより成る面板4の板厚とポリエーテルイミド発泡材より成るコア3の板厚は、レーダー電波8の放射方向において同一になされている。つまり、レーダー電波8の作動全域にわたり飛行体用レドーム1″の壁内の電波透過距離Tが一定になされている。

0022

上記構成の飛行体用レドーム1″にて図7に示されるように電波送受信システム9を厳しい飛行環境から保護すると、飛行体用レドーム1″はレーダー電波8の作動全域にわたり電波透過率が一定となって、電波特性が著しく向上し、高性能なものとなる。この図7に示す形状の飛行体用レドーム1″は、曲面サンドッチ構造体2″のコア3が加工性に極めて優れる(カッターにて切断可能であり、研摩紙にて仕上げ可能である)ことから、板厚を正確に加工することが可能で、この加工したコア3の両面に、未硬化のシアネート樹脂のプリプレグ面板を配し、加熱硬化成形して接合することにより容易に曲面サンドイッチ構造体2″とすることができるので、製作性に何ら問題はない。尚、曲面サンドイッチ構造体2″は、上記の製作方法をとるので、任意の部分の厚さを変えることができることから、電波透過性を部分的に制御したり、レンズ効果によりレーダー電波を集めることも可能である。

0023

前述のように本発明の飛行体用レドームは、電波特性に優れるので、壁内の電波透過距離が長くなっても電波特性が劣化することがないため、図8に示すように飛行体用レドーム1を機体10の表面に対して小さい抑え角度で装着することができる。従って、飛行体用レドーム1の空気抵抗が少なくなり、航空機の運行性能の向上(最高速度や燃費の向上)を実現できる。

0024

本発明の飛行体用レドーム1,1′,1″は、前述の通り電波特性が良好であることから形状設計が容易であり、そもそもエロージョン塗装を無くすことのできる部位を広げることが可能となる。また、機体形状との取り合わせの制約のために航空機の鼻部23(図11参照)等に設置されるため、エロージョン塗装が必須の場合でも、根本的に浸水性がないことから、図9に示すように飛行体用レドームの曲面サンドイッチ構造体2,2′,2″の外側の面板4上に、膜厚10μm〜150μmの耐エロージョン塗装11を施すことにより、電波特性を損なうことなくエロージョンに対して対処することができる。この耐エロージョン塗装11の膜厚を10μm〜150μmとした理由について説明すると、下限10μmは、航空機の機体表面塗装の主な施工方法であるスプレー塗装において、1回の処理にて塗装可能な膜厚である。これ以上薄い膜厚を得るには特殊技術が必要であり、航空機部品に適用する必要性はない。上限150μmは、通常の航空機の機体表面に対して行われるウレタン塗装の膜厚が50μm〜150μm程度であり、特殊技術を必要とせず安価な標準的な手法により達成可能な厚さである。そして、この耐エロージョン塗装11は、航空機運行時の目視点検により塗装の損傷部のみを補修することにより容易に原状回復でき、電波特性を損なうことなくエロージョンに対して対処できて、レドームを高性能に維持できる。

発明の効果

0025

以上の説明で判るように本発明の飛行体用レドームは、曲率の小さな単層又は複数層の曲面サンドイッチ構造体になされ、コアが電波特性に優れたポリエーテルイミド発泡材より成り、このコアの両面を挾んだ面板が強度特性に優れ且つ電波特性に優れたシアネート樹脂のFRPより成るので、数GHzから40GHzの高周波領域を含む広帯域で使用できて性能が高いものである。特に、コアのポリエーテルイミド発泡材の密度を50kg/m3〜80kg/m3とし、シアネート樹脂のFRPより成る面板のシアネート樹脂の含有量を重量比で30%〜60%としたものにあっては、コアの電波特性がより優れたものとなり、面板の強度特性及び電波特性がより優れたものとなり、飛行体用レドームはより高性能なものとなる。さらに、この飛行体用レドームにあって、シアネート樹脂のFRPより成る面板の板厚と、ポリエーテルイミド発泡材より成るコアの板厚を、レーダー電波の放射方向において同一になしたものは、電波送受信システムのレーダー電波の作動全域にわたり電波透過率が一定となって、電波特性が著しく向上し、極めて高性能なものとなる。また、本発明の飛行体用レドームにおいて、外壁面に10μm〜150μmの耐エロージョン塗装が施されたものにあっては、航空機の鼻部等に設置されても電波特性を損なうことなくエロージョンに対して対処できてレドームを高性能に維持できる。

図面の簡単な説明

0026

図1本発明の飛行体用レドームの一実施形態を示す図である。
図2本発明の飛行体用レドームの他の実施形態を示す図である。
図3ポリエーテルイミド発泡材の密度と高温圧縮強度(200℃)との関係を示すグラフである。
図4シアネート樹脂プリプレグの樹脂含有率とFRPの繊維体積率との関係を示すグラフである。
図5aはポリエーテルイミド発泡材のコアとシアネート樹脂のFRP面板となるプリプレグとのサンドイッチ化前の状態を示す図、bはサンドイッチ化後の状態を示す図である。
図6シアネート樹脂プリプレグの樹脂含有率と形成可能な樹脂膜厚との関係を示すグラフである。
図7本発明の飛行体用レドームの別の実施形態を示す図である。
図8本発明の飛行体用レドームを機体の表面に対して小さい抑え角度で装着した状体を示す図である。
図9本発明の飛行体用レドームの外壁面に耐エロージョン塗装を施した状態を示す部分拡大図である。
図10一般的な電波送受信システムとレドームの関係を示す図である。
図11一般的な航空機に設置されるレドームの代表的な位置を示す図である。
図12ガラス繊維FRP製のハニカムコアとガラス繊維強化エポキシ樹脂製面板からなる従来レドームのサンドイッチ構造体を示す図である。
図13ガラス繊維FRP製ハニカムコアとガラス繊維強化エポキシ樹脂製面板による複数層のサンドイッチ構造体を示す図である。
図14従来のサンドイッチ構造体によるレドームの機体装着例を示す図である。

--

0027

1,1′,1″飛行体用レドーム
2,2′,2″曲面サンドイッチ構造体
3ポリエーテルイミド発泡材より成るコア
4シアネート樹脂のFRPより成る面板
5発泡穴
6プリプレグ
7 シアネート樹脂
8レーダー電波
9電波送受信システム
10機体
11耐エロージョン塗装

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

関連する公募課題一覧

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ