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技術 水力発電所調速制御装置と水力発電所の調速制御方法

出願人 東京電力ホールディングス株式会社株式会社東芝
発明者 羽田尚之岩渕一徳高木康夫戸田一典杉下懷夫
出願日 2001年3月21日 (18年10ヶ月経過) 出願番号 2001-081244
公開日 2002年9月25日 (17年4ヶ月経過) 公開番号 2002-276527
状態 特許登録済
技術分野 水力タービンの制御 発電機の制御
主要キーワード 帯域遮断フィルタ 制御偏差信号 帯域除去 逆応答 発電所出力 発電機出力値 多変数制御 高落差
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図面 (7)

課題

解決手段

発電機出力指令値の変化をフィードフォワードにより調速機制御装置4の制御出力に反映させることによって、制御偏差出力器3、調速機制御装置4、調速機アクチュエータ5、および発電機出力値フィードバックで構成される閉ループシステムの特性を変えることなく、発電機出力指令値に対する発電機出力の追従特性を改善することができる。

概要

背景

一般に、水力発電所発電出力制御および周波数制御を行う調速制御装置は、発電所の出力を制御する出力指令装置と、水車発電機調速制御を行う調速機制御装置とを中核として構成される。

図6はこのような水力発電所調速制御装置の構成を示す図である。出力指令装置2が各発電機に対する出力指令値を設定する。出力指令装置2によって設定された発電機に対する出力指令値は制御偏差出力器3にて制御偏差信号に変換され、調速機制御装置4に伝送される。

調速機制御装置4では、制御偏差出力器3から伝送された制御偏差信号と、水車発電機7から検出された回転速度信号DWとを用いて制御出力信号を生成する。この調速機制御装置4の制御出力に従って調速機アクチュエータ5は水車流量を調整するガイドベーン6を開閉する。この水車流量の調整によって水車に発生するトルクが変化し、水車発電機7の出力制御および水車の調速制御が行われる。

ここで、調速機制御装置4の調速制御器41には一般にPID制御器が用いられており、このPID制御器の制御特性を調整することで、発電機出力指令値に対する発電機出力追従特性および回転速度偏差補償特性を変更することが可能である。

概要

発電機出力指令値に対する発電所出力の追従特性に優れた水力発電所調速制御装置を提供する。

発電機出力指令値の変化をフィードフォワードにより調速機制御装置4の制御出力に反映させることによって、制御偏差出力器3、調速機制御装置4、調速機アクチュエータ5、および発電機出力値フィードバックで構成される閉ループシステムの特性を変えることなく、発電機出力指令値に対する発電機出力の追従特性を改善することができる。

目的

本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、発電機出力指令値に対する発電所出力の追従特性に優れた水力発電所調速制御装置および調速制御方法を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

発電機の出力指令値を設定する出力指令装置と、発電所にて、前記出力指令装置より出力された出力指令値と発電機の出力値とに基づき調速機制御偏差信号を出力する制御偏差出力器と、この制御偏差出力器より出力された制御偏差信号と発電機の回転速度信号とに基づき調速機アクチュエータへの制御出力演算する調速制御器とを備える水力発電所調速制御装置において、前記出力指令装置によって設定された発電機の出力指令値を前記調速制御器の制御偏差入力または調速制御器の制御出力に加算するフィードフォワード手段を有することを特徴とする水力発電所調速制御装置。

請求項2

周波数偏差補償量を加算して発電機の出力指令値を設定する出力指令装置と、発電所にて、前記出力指令装置より出力された周波数偏差補償された出力指令値と発電機の出力値とに基づき調速機の制御偏差信号を出力する制御偏差出力器と、この制御偏差出力器より出力された制御偏差信号と発電機の回転速度信号とに基づき調速機アクチュエータへの制御出力を演算する調速制御器とを備える水力発電所調速制御装置において、前記出力指令装置によって設定された周波数偏差補償量の加算前の出力指令値を前記調速制御器の制御偏差入力または調速制御器の制御出力に加算するフィードフォワード手段を有することを特徴とする水力発電所調速制御装置。

請求項3

請求項1または請求項2に記載の水力発電所調速制御装置において、前記出力指令装置から前記調速制御器に入力される出力指令値のフィードフォワード信号から水路固有水圧サージング周波数帯域の信号を除去するための帯域除去手段をさらに具備することを特徴とする水力発電所調速制御装置。

請求項4

請求項1または請求項2に記載の水力発電所調速制御装置において、前記出力指令装置から前記調速制御器に入力される出力指令値のフィードフォワード信号から定常値信号を除去するための定常値信号除去手段をさらに具備することを特徴とする水力発電所調速制御装置。

請求項5

請求項1または請求項2に記載の水力発電所調速制御装置において、前記出力指令装置から前記調速制御器に入力される出力指令値のフィードフォワード信号の急変成分を緩和する急変緩和手段をさらに具備することを特徴とする水力発電所調速制御装置。

請求項6

請求項1または請求項2に記載の水力発電所調速制御装置において、サージングタンク水位推定するソフトウェアセンサと、前記水路のサージングが所望の減衰を示すように水路の2次形式評価に基づく最適化手法、H2制御理論に基づく最適化手法またはH∞制御理論に基づく最適化手法により設計された多変数制御器とをさらに具備し、前記ソフトウェアセンサにより得られた少なくともサージタンク水位の推定値を含む推定値を基に前記多変数制御器から出力される制御信号と、前記調速制御器より出力される制御信号とを加算して調速機アクチュエータへの制御出力とすることを特徴とする水力発電所調速制御装置。

請求項7

請求項1または請求項2に記載の水力発電所調速制御装置において、サージングタンクの水位を推定するソフトウェアセンサと、前記出力指令値には所望の追従性を示し、水路のサージングには所望の減衰を示すように水路の2次形式評価に基づく最適化手法、H2制御理論に基づく最適化手法またはH∞制御理論に基づく最適化手法により設計された多変数制御器とをさらに具備し、前記ソフトウェアセンサにより得られた少なくともサージタンク水位の推定値を含む推定値を基に前記多変数制御器から出力される制御信号を、前記調速制御器の制御信号に置き換えて調速機アクチュエータへの制御出力とすることを特徴とする水力発電所調速制御装置。

請求項8

請求項1または請求項2に記載の水力発電所調速制御装置において、水路に設置した圧力センサおよび/または流量センサ検出値に基づき少なくともサージタンクの水位を推定するソフトウェアセンサと、前記水路のサージングが所望の減衰を示すように水路の2次形式評価に基づく最適化手法、H2制御理論に基づく最適化手法またはH∞制御理論に基づく最適化手法により設計された多変数制御器とをさらに具備し、前記ソフトウェアセンサにより得られた少なくともサージタンク水位の推定値を含む推定値を基に前記多変数制御器から出力される制御信号と、前記調速制御器より出力される制御信号とを加算して調速機アクチュエータへの制御出力とすることを特徴とする水力発電所調速制御装置。

請求項9

請求項1または請求項2に記載の水力発電所調速制御装置において、水路に設置した圧力センサおよび/または流量センサの検出値に基づき少なくともサージタンクの水位を推定するソフトウェアセンサと、前記出力指令値には所望の追従性を示し、水路のサージングには所望の減衰を示すように水路の2次形式評価に基づく最適化手法、H2制御理論に基づく最適化手法またはH∞制御理論に基づく最適化手法により設計された多変数制御器とをさらに具備し、前記ソフトウェアセンサにより得られた少なくともサージタンク水位の推定値を含む推定値を基に前記多変数制御器から出力される制御信号を、前記調速制御器の制御信号に置き換えて調速機アクチュエータへの制御出力とすることを特徴とする水力発電所調速制御装置。

請求項10

発電所にて、出力指令値と発電機の出力値とに基づき制御偏差出力器にて調速機の制御偏差信号を生成するプロセスと、前記制御偏差出力器より出力された制御偏差信号と発電機の回転速度信号とに基づき、調速制御器にて調速機アクチュエータへの制御出力を演算するプロセスとを有する水力発電所の調速制御方法において、前記出力指令装置によって設定された発電機の出力指令値を前記調速制御器の制御偏差入力または調速制御器の制御出力にフィードフォワードにより加算するプロセスを有することを特徴とする水力発電所の調速制御方法。

請求項11

出力指令装置にて周波数偏差補償量を加算して発電機の出力指令値を設定するプロセスと、発電所にて、前記出力指令装置より出力された周波数偏差補償された出力指令値と発電機の出力値とに基づき制御偏差出力器にて調速機の制御偏差信号を生成するプロセスと、前記制御偏差出力器より出力された制御偏差信号と発電機の回転速度信号とに基づき、調速制御器にて調速機アクチュエータへの制御出力を演算するプロセスとを有する水力発電所の調速制御方法において、前記出力指令装置によって設定された周波数偏差補償量の加算前の出力指令値を前記調速制御器の制御偏差入力または調速制御器の制御出力にフィードフォワードにより加算するプロセスとを有することを特徴とする水力発電所の調速制御方法。

技術分野

0001

本発明は、水力発電所水車発電機出力制御および回転速度制御を行う水力発電所調速制御装置と水力発電所の調速制御方法に関する。

背景技術

0002

一般に、水力発電所の発電出力制御および周波数制御を行う調速制御装置は、発電所の出力を制御する出力指令装置と、水車発電機の調速制御を行う調速機制御装置とを中核として構成される。

0003

図6はこのような水力発電所調速制御装置の構成を示す図である。出力指令装置2が各発電機に対する出力指令値を設定する。出力指令装置2によって設定された発電機に対する出力指令値は制御偏差出力器3にて制御偏差信号に変換され、調速機制御装置4に伝送される。

0004

調速機制御装置4では、制御偏差出力器3から伝送された制御偏差信号と、水車発電機7から検出された回転速度信号DWとを用いて制御出力信号を生成する。この調速機制御装置4の制御出力に従って調速機アクチュエータ5は水車流量を調整するガイドベーン6を開閉する。この水車流量の調整によって水車に発生するトルクが変化し、水車発電機7の出力制御および水車の調速制御が行われる。

0005

ここで、調速機制御装置4の調速制御器41には一般にPID制御器が用いられており、このPID制御器の制御特性を調整することで、発電機出力指令値に対する発電機出力追従特性および回転速度偏差補償特性を変更することが可能である。

発明が解決しようとする課題

0006

しかしながら、この従来の水力発電所調速制御装置において、発電機出力指令値に対する発電機出力の追従特性が向上するように調速制御器41の特性を選択すると、制御偏差出力器3、調速機制御装置4、調速機アクチュエータ5および発電機出力のフィードバックとで構成される閉ループシステムの安定性減衰特性劣化しやすいという問題がある。特に小規模系統となるような場合には安定性を失いやすい。

0007

また、制御偏差出力器3から調速機制御装置4への制御偏差信号の伝送系には遅れ特性32が含まれることがあり、この遅れ特性32による制御偏差信号の伝達遅延が生じると、調速制御器41の調整だけでは発電機出力指令値に対する発電機出力の十分な追従特性が得られない場合がある。

0008

さらに水力発電所では、負荷変動時など水路流量が変化する場合に、水流の慣性により水路で水流変動が持続する現象サージング)が発生する。特に高落差・大容量の水力発電所では各水路における水流の慣性が大きい。そこでサージタンクを設置することによって、サージングによる水路内圧力変動を低減することが行われているが、出力指令値によっては、水路流量変動とサージタンク水位変化とで共振が生じ、かえってサージングが拡大するという弊害がある。

0009

また、このような水路固有の特性により発生するサージング現象の低減、あるいは水車流量を調整するガイドベーン開度に対して発電機出力が逆応答することの緩和を目的として、水力発電所調速制御装置では、調速制御器41のゲインを下げる、あるいは制御偏差出力器3から調速機制御装置4への制御偏差信号の伝達を制限するなどの措置が採られることがある。しかし、このような措置を講じた場合、発電機出力指令に対する発電所出力の追従特性が悪化する。

0010

本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、発電機出力指令値に対する発電所出力の追従特性に優れた水力発電所調速制御装置および調速制御方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0011

上記目的を達成するために、第1の発明の水力発電所調速制御装置は、発電機の出力指令値を設定する出力指令装置と、発電所にて、前記出力指令装置より出力された出力指令値と発電機の出力値とに基づき調速機の制御偏差信号を出力する制御偏差出力器と、この制御偏差出力器より出力された制御偏差信号と発電機の回転速度信号とに基づき調速機アクチュエータへの制御出力を演算する調速制御器とを備える水力発電所調速制御装置において、前記出力指令装置によって設定された発電機の出力指令値を前記調速制御器の制御偏差入力または調速制御器の制御出力に加算するフィードフォワード手段を有することを特徴とする。

0012

第1の発明によれば、発電機出力指令値の変化をフィードフォワードにより調速制御器の制御出力に反映させることによって、制御偏差出力器、調速制御器、調速機アクチュエータ、および発電機出力値のフィードバックで構成される閉ループシステムの特性を変えることなく、発電機出力指令値に対する発電機出力の追従特性を改善することができる。さらに、出力指令装置から入力された発電機出力指令値は、遅れ特性を含む、制御偏差出力器から調速機制御装置への制御偏差信号の伝送系を通ることなく調速機制御装置に伝達されることからも発電機出力指令値に対する発電機出力の追従特性を向上できる。

0013

第2の発明の水力発電所調速制御装置は、周波数偏差補償量を加算して発電機の出力指令値を設定する出力指令装置と、発電所にて、前記出力指令装置より出力された周波数偏差補償された出力指令値と発電機の出力値とに基づき調速機の制御偏差信号を出力する制御偏差出力器と、この制御偏差出力器より出力された制御偏差信号と発電機の回転速度信号とに基づき調速機アクチュエータへの制御出力を演算する調速制御器とを備える水力発電所調速制御装置において、前記出力指令装置によって設定された周波数偏差補償量の加算前の出力指令値を前記調速制御器の制御偏差入力または調速制御器の制御出力に加算するフィードフォワード手段を有することを特徴とする。

0014

この第2の発明によれば、周波数偏差補償の影響を受けることなく安定した状態で発電機出力の追従特性を改善することができる。

0015

また、第3の発明は、第1の発明または第2の発明の水力発電所調速制御装置に、出力指令装置から調速制御器に入力される出力指令値のフィードフォワード信号から水路固有の水圧サージング周波数帯域の信号を除去するための帯域除去手段を付加したものである。

0016

この発明によれば、サージングを拡大することなく発電機出力指令値に対する発電機出力の追従特性の改善をはかることができる。

0017

さらに、第4の発明は、第1の発明または第2の発明の水力発電所調速制御装置に、出力指令装置から調速制御器に入力される出力指令値のフィードフォワード信号から定常値信号を除去するための定常値信号除去手段を付加したものである。

0018

この発明によれば、発電機出力指令値の定常値を除く変化のみの信号が調速機制御装置に伝達されることで、出力指令装置から調速機制御装置への出力指令値のフィードフォワード信号を遮断した場合において水力発電所の運転に与える影響を最小限にとどめることができる。

0019

また、第5の発明は、第1の発明または第2の発明の水力発電所調速制御装置に、出力指令装置から調速制御器に入力される出力指令値のフィードフォワード信号の急変成分を緩和する急変緩和手段を付加したものである。

0020

この発明によれば、発電機出力指令に対する発電所出力の逆応答を招くことなく、発電機出力指令値に対する発電機出力の追従特性の改善をはかることができる。

0021

さらに、第6の発明は、第1の発明または第2の発明の水力発電所調速制御装置に、サージタンクの水位推定するソフトウェアセンサと、前記水路のサージングが所望の減衰を示すように水路の2次形式評価に基づく最適化手法、H2制御理論に基づく最適化手法またはH∞制御理論に基づく最適化手法により設計された多変数制御器とを付加し、前記ソフトウェアセンサにより得られた少なくともサージタンク水位の推定値を含む推定値を基に前記多変数制御器から出力される制御信号と、前記調速制御器より出力される制御信号とを加算して調速機アクチュエータへの制御出力としたものである。

0022

この発明によれば、水流のサージングを効果的に抑制できるとともに、発電機出力指令値に対する発電機出力の追従特性に優れた水力発電所調速制御装置を提供することができる。

0023

さらに、第7の発明は、第1の発明または第2の発明の水力発電所調速制御装置に、サージタンクの水位を推定するソフトウェアセンサと、前記水路のサージングが所望の減衰を示すように水路の2次形式評価に基づく最適化手法、H2制御理論に基づく最適化手法またはH∞制御理論に基づく最適化手法により設計された多変数制御器とをさらに具備し、前記ソフトウェアセンサにより得られた少なくともサージタンク水位の推定値を含む推定値を基に前記多変数制御器から出力される制御信号と、前記調速制御器より出力される制御信号とを加算して調速機アクチュエータへの制御出力としたものである。

0024

この発明によれば、調速制御器を用いることなく、発電機出力指令値に対する発電機出力の追従特性に優れた水力発電所調速制御装置を実現できる。

0025

また、上記目的を達成するために、第8の発明の水力発電所の調速制御方法は、発電所にて、出力指令値と発電機の出力値とに基づき制御偏差出力器にて調速機の制御偏差信号を生成するプロセスと、前記制御偏差出力器より出力された制御偏差信号と発電機の回転速度信号とに基づき、調速制御器にて調速機アクチュエータへの制御出力を演算するプロセスとを有する水力発電所の調速制御方法において、前記出力指令装置によって設定された発電機の出力指令値を前記調速制御器の制御偏差入力または調速制御器の制御出力にフィードフォワードにより加算するプロセスを有することを特徴とする。

0026

この発明によれば、発電機出力指令値の変化をフィードフォワードにより調速機制御装置の制御出力に反映させることによって、制御偏差出力器、調速機制御装置、調速機アクチュエータ、および発電機出力値のフィードバックで構成される閉ループシステムの特性を変えることなく、発電機出力指令値に対する発電機出力の追従特性を改善することができる。さらに、出力指令装置により設定された発電機出力指令値は、遅れ特性を含む、制御偏差出力器から調速機制御装置への制御偏差信号の伝送系を通ることなく調速機制御装置に伝達されることからも発電機出力指令値に対する発電機出力の追従特性を向上できる。

0027

さらに、第9の発明の水力発電所の調速制御方法は、出力指令装置にて周波数偏差補償量を加算して発電機の出力指令値を設定するプロセスと、発電所にて、前記出力指令装置より出力された周波数偏差補償された出力指令値と発電機の出力値とに基づき制御偏差出力器にて調速機の制御偏差信号を生成するプロセスと、前記制御偏差出力器より出力された制御偏差信号と発電機の回転速度信号とに基づき、調速制御器にて調速機アクチュエータへの制御出力を演算するプロセスとを有する水力発電所の調速制御方法において、前記出力指令装置によって設定された周波数偏差補償量の加算前の出力指令値を前記調速制御器の制御偏差入力または調速制御器の制御出力にフィードフォワードにより加算するプロセスとを有することを特徴とする。

0028

この発明によれば、周波数偏差補償の影響を受けることなく安定した状態で発電機出力の追従特性を改善することができる。

発明を実施するための最良の形態

0029

以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。

0030

図1に、本発明に係る第1の実施形態である水力発電所調速制御装置の構成を示す。

0031

同図において、制御偏差出力器3は、出力指令装置2から出力された発電機出力指令値と発電機出力値Pとから調速機制御装置4に対する制御偏差信号を生成する加算器31を備える。また、出力指令装置2から出力された発電機出力指令値は、調速機制御装置4にフィードフォワード信号FFとして送られるようになっている。

0032

調速機制御装置4は、制御偏差出力器3より出力された制御偏差信号と水車発電機7の回転速度信号DWとを加算器40にて加算した信号から調速機アクチュエータ5への制御出力信号を生成するPID制御器からなる調速制御器41と、この調速制御器41により生成された制御出力信号と制御偏差出力器3から伝達された発電機出力指令値のフィードフォワード信号FFとを加算する加算器42を備える。加算器42の加算結果は調速機制御装置4の制御出力として調速機アクチュエータ5に出力される。

0033

調速機アクチュエータ5は、この調速機制御装置4の制御出力に従って水車流量を調整するガイドベーン6を開閉する。このガイドベーン6の開閉による水車流量の調整により水車発電機7の水車に発生するトルクが変化し、水車発電機7の出力制御および水車の調速制御が行われるようになっている。

0034

次に、この実施形態の水力発電所調速制御装置の動作を説明する。

0035

図1において、制御偏差出力器3では、出力指令装置2から出力された電機出力指令値と発電機出力Pとの差分から調速機制御装置4に対する制御偏差信号が生成され、この制御偏差信号が調速機制御装置4に伝達される。

0036

調速機制御装置4では、制御偏差信号と水車発電機7の回転速度信号DWとから調速機アクチュエータ5への制御出力信号が生成されるわけであるが、ここで、制御出力信号には出力指令装置2で生成された発電機出力指令値のフィードフォワード信号FFが加算器42で加算され、その加算結果が調速機アクチュエータ5へ出力される。すなわち、発電機出力指令値の変化をフィードフォワードにより調速機制御装置4の制御出力に反映させることによって、発電機出力指令値に対する発電機出力の追従特性を向上させている。

0037

フィードフォワード信号FFの伝送路にはフィルタ43が介在している。このフィルタ43には、たとえば、水路のサージングを励起しないようにする水路サージング帯域の信号を遮断する帯域遮断フィルタ、定常値信号を除去するフィルタ、発電機出力指令値の変化の立ち上がりを緩やかにして、発電機出力の逆応答を緩和するローパスフィルタなどが用いられる。もちろん、これらのフィルタは複数組み合わせて使用してよい。

0038

以上のように、本実施形態によれば、発電機出力指令値の変化をフィードフォワードにより調速機制御装置4の制御出力に反映させることによって、制御偏差出力器3、調速機制御装置4、調速機アクチュエータ5、および発電機出力値Pのフィードバックで構成される閉ループシステムの特性を変えることなく、発電機出力指令値に対する発電機出力の追従特性を改善することができる。

0039

さらに、発電機出力指令値のフィードフォワード信号FFは、制御偏差出力器3から調速機制御装置4への、遅れ特性(伝達特性)32を含んだ制御偏差信号伝送系を通ることなく調速機制御装置4に伝達されるので、この点からも発電機出力指令値に対する発電機出力の追従特性を向上させることができる。

0040

また、本実施形態においては、発電機出力指令値のフィードフォワード信号FFからフィルタ43で水路サージング帯域の信号を除去することによって、サージングを低減することができ、発電機出力指令値に対する発電機出力の追従特性を向上させることができる。

0041

さらに、本実施形態においては、フィードフォワード伝送路に介挿されるフィルタ43の選択によって、発電機出力指令値のフィードフォワード信号FFから定常値信号を除去することができるとともに、同様にフィルタ43の選択によって、発電機出力指令値の変化の立ち上がりを緩やかして発電機出力指令値に対する発電機出力の逆応答を緩和することができるため、追従特性の改善による弊害を防ぐことができる。

0042

また、本実施形態の水力発電所調速制御装置は、既存の制御システムへの新たな要素・機能の追加だけで、発電機出力指令値に対する発電機出力の追従特性を改善することが可能であるという利点を有する。

0043

なお、本実施形態では、調速制御器41より出力された制御出力信号と発電機出力指令値のフィードフォワード信号FFとを加算したものを調速機制御装置4の制御出力として調速機アクチュエータ5に出力するように構成したが、図2に示すように、調速制御器41の入力信号に発電機出力指令値のフィードフォワード信号FFを加算することによっても同様の機能を実現できる。

0044

次に、本発明の第2の実施形態について説明する。

0045

図3は第2の実施形態である水力発電所調速制御装置の構成を示す図である。同図に示すように、この水力発電所調速制御装置は、出力指令装置2に、周波数偏差補償前の発電所出力指令値各発電所に配分する第2の出力指令値配分処理部24を備える。この第2の出力指令値配分処理部24によって配分された周波数偏差補償の発電所出力指令値は調速制御器41の制御出力にフィードフォワード信号FFとして加算される。あるいは、調速制御器41の入力信号に加算される。

0046

本実施形態の水力発電所調速制御装置によれば、周波数偏差補償の影響を受けることなく安定した状態で発電機出力の追従特性を改善することができる。

0047

次に、本発明の第3の実施形態について説明する。

0048

図4は第3の実施形態である水力発電所調速制御装置の構成を示す図である。同図に示すように、この水力発電所調速制御装置の調速機制御装置4には、水路のモデルを用いてサージタンク水位変動とその変化率を推定するソフトウェアセンサ44と、多変数制御器45とが設けられている。多変数制御器45は、水位変動値の2乗積分を含む2次形式評価関数を最小化するように設計された最適レギュレータ、あるいはH2制御理論もしくはH∞制御理論に基づく最適化の手法を用いて設計されたものである。

0049

ソフトウェアセンサ44には、制御偏差とともに、水路に設置された圧力センサおよび/または流量センサ計測信号SNが入力される。これによりサージング現象の可観測性が向上し、ソフトウェアセンサ44による水路のサージング現象の推定精度が向上する。

0050

多変数制御器45は、水流のサージングが所望の減衰を示すよう上記最適化法により設計されたもので、ソフトウェアセンサ44により得られたサージタンク水位変動とその変化率の推定結果から、調速制御器41の出力である調速機アクチュエータ5に対する制御出力への最適な加算値を生成する。

0051

以上のアドバンスト制御を調速制御器41に付加することによりサージタンクの水位変動の抑制を図ることができる。

0052

なお、本実施形態においても、発電機出力指令値が調速制御器41の制御出力に加算されるので、万が一調速制御器41および多変数制御器45により望ましい追従特性が得られなくても、発電機出力指令値を調速制御器41の出力に加算して出力追従性を改善することができる。

0053

多変数制御器45の設計に水位変動値の2乗積分を含む2次形式評価関数を最小化する手法を用いる場合、多変数制御器45は以下のように構成される。はじめに式(1) 、(2)の形式制御対象記述する。

0054

x(t) = Ax(t) + Bu(t) …(1)
y(t) =Cx(t) …(2)
ここで、x(t) は制御対象の状態変数であり、その状態の1つにサージタンク水位変化が含まれている。u(t) は制御器からの制御信号であり、y(t) は制御偏差信号および圧力センサ測定信号である。

0055

ソフトウェアセンサ44は次式で構成される。圧力センサ測定信号を用いてソフトウェアセンサの性能を保持する。

0056

一方、式(1) の状態方程式に対し式(4) の2次形式評価関数を用いて、最適な制御入力を得る制御器を求める。このとき多変数制御器45の制御信号u(t) は式(5) で得られる。正定行列S は式(6) の方程式から得られる。

0057

次に、本発明の第4の実施形態について説明する。

0058

図5はかかる第4の実施形態である水力発電所調速制御装置の構成を示す図である。

0059

同図に示すように、この水力発電所調速制御装置の調速機制御装置4には、水路のモデルを用いてサージタンク水位変動とその変化率を推定するソフトウェアセンサ44と、多変数制御器47とが設けられている。

0060

ここで、多変数制御器47は、出力指令装置2の出力指令値が所望の追従性を示しかつ水流のサージングが所望の減衰を示すように、水位変動値の2乗積分を含む2次形式評価関数を最小化するように設計された最適レギュレータ、あるいはH2制御理論もしくはH∞制御理論に基づく最適化の手法により設計されたものであり、ソフトウェアセンサ44により得られたサージタンク水位変動とその変化率の推定結果から、調速機アクチュエータ5への最適な制御出力を生成する。

0061

これにより、発電機出力指令値に対する発電機出力の追従特性に優れた水力発電所調速制御装置を従来のPID制御器を用いずに実現することができる。

発明の効果

0062

以上説明したように、本発明によれば、制御偏差出力器、調速機制御装置、調速機アクチュエータ、および発電機出力値のフィードバックで構成される閉ループシステムの特性を変えることなく、発電機出力指令値に対する発電機出力の追従特性を改善することができる。さらに、出力指令装置により設定された発電機出力指令値は、遅れ特性を含む、制御偏差出力器から調速機制御装置への制御偏差信号の伝送系を通ることなく調速機制御装置に伝達されることからも発電機出力指令値に対する発電機出力の追従特性を向上できる。

0063

また、本発明によれば、周波数偏差補償の影響を受けることなく安定して発電機出力の追従特性を改善することができる。

図面の簡単な説明

0064

図1本発明に係る第1の実施形態である水力発電所調速制御装置の構成を示す図である。
図2第1の実施形態である水力発電所調速制御装置の変形例を示す図である。
図3本発明に係る第2の実施形態である水力発電所調速制御装置の構成を示す図である。
図4本発明に係る第3の実施形態である水力発電所調速制御装置の構成を示す図である。
図5本発明に係る第5の実施形態である水力発電所調速制御装置の構成を示す図である。
図6従来の水力発電所調速制御装置の構成を示す図である。

--

0065

1・・・・給電指令所2・・・・出力指令装置 3・・・・制御偏差出力器4・・・・調速機制御装置5・・・・調速機アクチュエータ6・・・・ガイドベーン7・・・・水車発電機20・・・・指令値処理部 21・・・・周波数偏差補償演算部 22・・・・加算器23・・・・出力指令値配分処理部 24・・・・出力指令値配分処理部 31・・・・演算部 32・・・・遅れ特性40・・・・加算器41・・・・調速制御器 42・・・・加算器 43・・・・フィルタ44・・・・ソフトウェアセンサ45,47・・・・多変数制御器DW・・・・発電機の回転速度信号FF・・・・発電機出力指令値のフィードフォワード信号P・・・・発電機出力SN・・・・計測信号

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