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技術 強誘電体キャパシタ

出願人 株式会社東芝
発明者 安本恭章阿部和秀梁瀬直子川久保隆
出願日 2001年3月14日 (19年3ヶ月経過) 出願番号 2001-072467
公開日 2002年9月20日 (17年9ヶ月経過) 公開番号 2002-270782
状態 未査定
技術分野 半導体メモリ
主要キーワード 接触面積比 四角形パターン 非反転領域 軸X線 分極ドメイン 縁端効果 バイアスRFパワー テトラゴナル
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図面 (13)

課題

歪みが導入された強誘電体膜を用いた、安定的なリテンション特性を示す強誘電体キャパシタを提供する。

解決手段

単結晶基板11上に、導電性酸化物からなる下部電極12、ペロブスカイト型酸化物からなる強誘電体膜13及び導電性酸化物からなる上部電極14を順次エピタキシャル成長させて得られる強誘電体キャパシタであって、上部電極14と強誘電体膜13とが一つのマスクを用いた異方性ドライエッチングにより一括的に加工されており、強誘電体膜13の膜厚tが、強誘電体膜13と上部電極14との接触面積Suに対して、0.25Su≦t2≦1.2Suの範囲に設定され、且つ、強誘電体膜13と上部電極14との接触面積Suと、強誘電体膜13と下部電極12との接触面積Sbとの比Su/Sbが、1>Su/Sb≧0.25に設定されている。

概要

背景

強誘電体メモリは、不揮発性であり、記憶保持消費電力が少なく、EEPROMにくらべて疲労特性に優れるなどの利点がある。このため、次世代メモリとして注目され、BaTiO3やPb(Zr,Ti)O3、PbTiO3等をはじめとするさまざまな材料を使用したものが研究されている。特に、BaTiO3を使用した強誘電体膜ビスマスや鉛などの低融点元素を含まないためにSiプロセスとの整合性が高いという特徴を持っている。

BaTiO3を用いた強誘電体膜の代表的なものとして歪みエピタキシャル強誘電体膜がある。これはSrRuO3等の単結晶電極膜上にBaTiO3単結晶膜エピタキシャル成長させるもので、必要に応じて上部電極下地電極と同じ膜をエピタキシャル形成する。この強誘電体膜は下地との格子不整ミスフィット)に起因する歪が導入された歪みペロブスカイト構造となり、垂直方向格子定数、すなわちc軸値はバルクにくらべて数%大きな値となる。この様な歪みが導入される結果として、大きな残留分極を示す。

しかし、強誘電性に優れたエピタキシャル膜メモリ特性の優れたキャパシタセルとして加工する方法は難しく、現在までのところ記憶保持特性の低いものしか達成されていない。図5は、一般的な強誘電体キャパシタセル断面構造を示している。この様な強誘電体キャパシタ構造は、特開平11-354723号やP2000-22090号に開示されている一般的なもので、2段階のドライエッチングで加工される。即ちこのキャパシタ構造は、基板1に、下部電極2、強誘電体膜3、上部電極4を成膜した後、上部電極4をドライエッチングにより加工し、更に上部電極4を覆うレジストマスクを用いて強誘電体膜3と下部電極2をドライエッチングにより加工することで、得られる。

具体的に、強誘電体膜3がBaTiO3であり、上下電極4,2がSrRuO3の場合、これらの成膜にはマグネトロンスパッタが用いられる。基板1には、面方位(001)のSrTiO3単結晶等が用いられる。成膜時、基板温度は873K程度とする。実際に試作した試料から、X線回折によりエピタキシャルBaTiO3ピークが確認され、k−β(002)ピークからの補正によりBaTiO3膜のc軸値を求めると、c=0.418と大きく伸びており、格子不整合歪が十分に導入されていることがわかる。また、BaTiO3(002)ピークの半値幅は0.037°を示し、結晶性も十分である。

しかし、試作したBaTiO3強誘電体キャパシタについて、記憶保持特性を調べると、時間と共に残留分極量が低下することが明らかになっている。その実験データを説明する。図7は、強誘電体キャパシタに印加するパルス電圧シーケンスである。図9は、85℃の温度でこの様なパルス電圧を印加して求めた電荷密度リテンション時間の関係である。図7の正,負の電圧パルスは、下部電極を基準電位0Vとして、上部電極に印加する電圧である。最初の負電圧パルスRにより、強誘電体キャパシタは、図8に示すヒステリシス特性のA点(正の分極状態、これを例えばデータ“1”とする)又はB点(負の分極状態、これを例えばデータ“0”とする)からC点に変化し、負電圧パルスを0Vに戻すことでB点に安定する。

この後、正電圧パルスPを印加すると、B点からD点に変化し、これを0Vに戻すことでA点に安定する。実験では、この正電圧パルスPの印加時間Tをリテンション時間として可変して、スイッチング電荷量を測定している。正電圧パルスUは、正電圧パルスPを印加した後の正の分極状態(データ“1”)を調べるために印加している。その後の負電圧パルスN,Dは同様に、負電圧パルスNを印加した後の負の分極状態(データ“0”)を、負電圧パルスDにより測定する趣旨である。

図9から、正電圧パルスPにより流れる電荷量(密度)QPは、時間Tによらず一定であるのに対し、続く正電圧パルスUによる電荷量QUは、時間Tと共に大きくなっている。負電圧パルスRの印加後の正電圧パルスPの印加は、分極反転を伴うため、大きな電荷量QPが流れるが、その後の正電圧パルスUでは分極反転せず、電荷量QUは本来小さいはずである。しかし、リテンション時間Tが大きくなると、QUが大きくなり、保持特性劣化していることがわかる。

即ち、分極反転をする場合の電荷量QPと非反転の場合の電荷量QUの差で定義される“1”データのスイッチング電荷量QSW+=QP−QUは、時間Tと共に減少する。図9のデータでは、スイッチング電荷量QSW+が1/2になる半減期は約700secである。この場合、約100,000secでスイッチング電荷量QSW+がゼロとなり、メモリ用キャパシタ実用性判断基準としての半減期10年(3.2×108sec)を大幅に下回ってしまう。

以上のような歪みエピタキシャル強誘電体キャパシタのメモリ保持特性の劣化については、幾つかの原因が考えられる。その一つは、強誘電体膜内の正の分極ドメインと隣接する負の分極ドメインの間の相互作用である。例えば、図5の強誘電体キャパシタ構造において、図6(a)に矢印で示すような一様な分極状態(正の分極状態)から、上下電極間に電圧を印加したときに、図6(b)に示すように、主要な電界がかかる上部電極4直下のみ分極が反転し、上部電極4で覆われていない領域では分極反転が生じない。この様な状態では、非反転領域の分極状態(正の分極状態)が、分極反転した領域の負の分極状態を再度反転させる方向に作用し、分極の不安定要因となる。

この様な分極ドメインの相互作用は、例えばPZT膜について、針状電極で分極反転を起こしたときに、それが周囲の分極を反転させる核になるという実験報告からも類推される(文献1:C.S.Ganpule et. al., J.Appl. Phys.,77, No20,13 Nov.2000)。

もう一つの理由は、電界印加による分極ドメインの成長結晶方位との関係である。強誘電体BaTiO3単結晶中のドメインは、図10(a)に示すように、分極により四角形に成長し、そのドメインウォール一辺は単結晶の(100)方位に沿っていることが報告されている(文献2:H.L.Stadler et.al., J. Appl. Phys. 34 No11,P3255,1963)。そうすると、強誘電体BaTiO3単結晶を四角形に加工する際に、図10(b)に示すように、その一辺が単結晶の(100)方向から回転した状態では、分極ドメインの成長に限界が生じ、四隅には小ドメインウオール残留する。この様に分極ドメインが大きく成長できないと、分極状態は不安定となり、反転を生じ易い。このため、エピタキシャル強誘電体キャパシタでは、図10(b)に示すように、結晶方位とキャパシタ形状の組み合わせが不適切な場合、良好なメモリ保持特性が得られないことになる。

概要

歪みが導入された強誘電体膜を用いた、安定的なリテンション特性を示す強誘電体キャパシタを提供する。

単結晶基板11上に、導電性酸化物からなる下部電極12、ペロブスカイト型酸化物からなる強誘電体膜13及び導電性酸化物からなる上部電極14を順次エピタキシャル成長させて得られる強誘電体キャパシタであって、上部電極14と強誘電体膜13とが一つのマスクを用いた異方性ドライエッチングにより一括的に加工されており、強誘電体膜13の膜厚tが、強誘電体膜13と上部電極14との接触面積Suに対して、0.25Su≦t2≦1.2Suの範囲に設定され、且つ、強誘電体膜13と上部電極14との接触面積Suと、強誘電体膜13と下部電極12との接触面積Sbとの比Su/Sbが、1>Su/Sb≧0.25に設定されている。

目的

以上のように、従来の一般的な強誘電体キャパシタ構造では、エピタキシャル強誘電体キャパシタの場合、十分なリテンション特性が得られない。この発明は、歪みが導入された強誘電体膜を用いた、安定的なリテンション特性を示す強誘電体キャパシタを提供することを目的としている。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

単結晶基板上に、導電性酸化物からなる下部電極ペロブスカイト型酸化物からなる強誘電体膜及び導電性酸化物からなる上部電極を順次エピタキシャル成長させて得られる強誘電体キャパシタであって、前記上部電極と強誘電体膜とが一つのマスクを用いた異方性ドライエッチングにより一括的に加工されており、前記強誘電体膜の膜厚tが、前記強誘電体膜と上部電極との接触面積Suに対して、Su/K1≦t2≦Su/K2(但し、1.78≦K1≦1111、0.04≦K2≦25)の範囲に設定され、且つ、前記強誘電体膜と前記上部電極との接触面積Suと、前記強誘電体膜と前記下部電極との接触面積Sbとの比Su/Sbが、1>Su/Sb≧0.25に設定されていることを特徴とする強誘電体キャパシタ。

請求項2

前記単結晶基板は(001)面を主面として持ち、この主面上に前記下部電極、強誘電体膜及び上部電極がエピタキシャル成長されていることを特徴とする請求項1記載の強誘電体キャパシタ。

請求項3

前記上部電極及び強誘電体膜は、一辺が(100)面方位に設定された矩形パターンであり、その辺の(100)面方位からのずれ角度が±10°以下の範囲に抑えられていることを特徴とする請求項2記載の強誘電体キャパシタ。

請求項4

前記上部電極と前記強誘電体膜の接触面が、前記上部電極の側面及び前記強誘電体膜の側面と接する角度が90°未満で20°以上であることを特徴とする請求項1記載の強誘電体キャパシタ。

技術分野

0001

この発明は、歪みを導入したエピタキシャル強誘電体膜を用いた強誘電体キャパシタに関する。

背景技術

0002

強誘電体メモリは、不揮発性であり、記憶保持消費電力が少なく、EEPROMにくらべて疲労特性に優れるなどの利点がある。このため、次世代メモリとして注目され、BaTiO3やPb(Zr,Ti)O3、PbTiO3等をはじめとするさまざまな材料を使用したものが研究されている。特に、BaTiO3を使用した強誘電体膜ビスマスや鉛などの低融点元素を含まないためにSiプロセスとの整合性が高いという特徴を持っている。

0003

BaTiO3を用いた強誘電体膜の代表的なものとして歪みエピタキシャル強誘電体膜がある。これはSrRuO3等の単結晶電極膜上にBaTiO3単結晶膜エピタキシャル成長させるもので、必要に応じて上部電極下地電極と同じ膜をエピタキシャル形成する。この強誘電体膜は下地との格子不整ミスフィット)に起因する歪が導入された歪みペロブスカイト構造となり、垂直方向格子定数、すなわちc軸値はバルクにくらべて数%大きな値となる。この様な歪みが導入される結果として、大きな残留分極を示す。

0004

しかし、強誘電性に優れたエピタキシャル膜メモリ特性の優れたキャパシタセルとして加工する方法は難しく、現在までのところ記憶保持特性の低いものしか達成されていない。図5は、一般的な強誘電体キャパシタセル断面構造を示している。この様な強誘電体キャパシタ構造は、特開平11-354723号やP2000-22090号に開示されている一般的なもので、2段階のドライエッチングで加工される。即ちこのキャパシタ構造は、基板1に、下部電極2、強誘電体膜3、上部電極4を成膜した後、上部電極4をドライエッチングにより加工し、更に上部電極4を覆うレジストマスクを用いて強誘電体膜3と下部電極2をドライエッチングにより加工することで、得られる。

0005

具体的に、強誘電体膜3がBaTiO3であり、上下電極4,2がSrRuO3の場合、これらの成膜にはマグネトロンスパッタが用いられる。基板1には、面方位(001)のSrTiO3単結晶等が用いられる。成膜時、基板温度は873K程度とする。実際に試作した試料から、X線回折によりエピタキシャルBaTiO3ピークが確認され、k−β(002)ピークからの補正によりBaTiO3膜のc軸値を求めると、c=0.418と大きく伸びており、格子不整合歪が十分に導入されていることがわかる。また、BaTiO3(002)ピークの半値幅は0.037°を示し、結晶性も十分である。

0006

しかし、試作したBaTiO3強誘電体キャパシタについて、記憶保持特性を調べると、時間と共に残留分極量が低下することが明らかになっている。その実験データを説明する。図7は、強誘電体キャパシタに印加するパルス電圧シーケンスである。図9は、85℃の温度でこの様なパルス電圧を印加して求めた電荷密度リテンション時間の関係である。図7の正,負の電圧パルスは、下部電極を基準電位0Vとして、上部電極に印加する電圧である。最初の負電圧パルスRにより、強誘電体キャパシタは、図8に示すヒステリシス特性のA点(正の分極状態、これを例えばデータ“1”とする)又はB点(負の分極状態、これを例えばデータ“0”とする)からC点に変化し、負電圧パルスを0Vに戻すことでB点に安定する。

0007

この後、正電圧パルスPを印加すると、B点からD点に変化し、これを0Vに戻すことでA点に安定する。実験では、この正電圧パルスPの印加時間Tをリテンション時間として可変して、スイッチング電荷量を測定している。正電圧パルスUは、正電圧パルスPを印加した後の正の分極状態(データ“1”)を調べるために印加している。その後の負電圧パルスN,Dは同様に、負電圧パルスNを印加した後の負の分極状態(データ“0”)を、負電圧パルスDにより測定する趣旨である。

0008

図9から、正電圧パルスPにより流れる電荷量(密度)QPは、時間Tによらず一定であるのに対し、続く正電圧パルスUによる電荷量QUは、時間Tと共に大きくなっている。負電圧パルスRの印加後の正電圧パルスPの印加は、分極反転を伴うため、大きな電荷量QPが流れるが、その後の正電圧パルスUでは分極反転せず、電荷量QUは本来小さいはずである。しかし、リテンション時間Tが大きくなると、QUが大きくなり、保持特性劣化していることがわかる。

0009

即ち、分極反転をする場合の電荷量QPと非反転の場合の電荷量QUの差で定義される“1”データのスイッチング電荷量QSW+=QP−QUは、時間Tと共に減少する。図9のデータでは、スイッチング電荷量QSW+が1/2になる半減期は約700secである。この場合、約100,000secでスイッチング電荷量QSW+がゼロとなり、メモリ用キャパシタ実用性判断基準としての半減期10年(3.2×108sec)を大幅に下回ってしまう。

0010

以上のような歪みエピタキシャル強誘電体キャパシタのメモリ保持特性の劣化については、幾つかの原因が考えられる。その一つは、強誘電体膜内の正の分極ドメインと隣接する負の分極ドメインの間の相互作用である。例えば、図5の強誘電体キャパシタ構造において、図6(a)に矢印で示すような一様な分極状態(正の分極状態)から、上下電極間に電圧を印加したときに、図6(b)に示すように、主要な電界がかかる上部電極4直下のみ分極が反転し、上部電極4で覆われていない領域では分極反転が生じない。この様な状態では、非反転領域の分極状態(正の分極状態)が、分極反転した領域の負の分極状態を再度反転させる方向に作用し、分極の不安定要因となる。

0011

この様な分極ドメインの相互作用は、例えばPZT膜について、針状電極で分極反転を起こしたときに、それが周囲の分極を反転させる核になるという実験報告からも類推される(文献1:C.S.Ganpule et. al., J.Appl. Phys.,77, No20,13 Nov.2000)。

0012

もう一つの理由は、電界印加による分極ドメインの成長結晶方位との関係である。強誘電体BaTiO3単結晶中のドメインは、図10(a)に示すように、分極により四角形に成長し、そのドメインウォール一辺は単結晶の(100)方位に沿っていることが報告されている(文献2:H.L.Stadler et.al., J. Appl. Phys. 34 No11,P3255,1963)。そうすると、強誘電体BaTiO3単結晶を四角形に加工する際に、図10(b)に示すように、その一辺が単結晶の(100)方向から回転した状態では、分極ドメインの成長に限界が生じ、四隅には小ドメインウオール残留する。この様に分極ドメインが大きく成長できないと、分極状態は不安定となり、反転を生じ易い。このため、エピタキシャル強誘電体キャパシタでは、図10(b)に示すように、結晶方位とキャパシタ形状の組み合わせが不適切な場合、良好なメモリ保持特性が得られないことになる。

発明が解決しようとする課題

0013

以上のように、従来の一般的な強誘電体キャパシタ構造では、エピタキシャル強誘電体キャパシタの場合、十分なリテンション特性が得られない。この発明は、歪みが導入された強誘電体膜を用いた、安定的なリテンション特性を示す強誘電体キャパシタを提供することを目的としている。

課題を解決するための手段

0014

この発明は、単結晶基板上に、導電性酸化物からなる下部電極、ペロブスカイト型酸化物からなる強誘電体膜及び導電性酸化物からなる上部電極を順次エピタキシャル成長させて得られる強誘電体キャパシタであって、前記上部電極と強誘電体膜とがレジストマスクを用いた異方性ドライエッチングにより一括的に加工されており、前記強誘電体膜の膜厚tが、前記強誘電体膜と上部電極との接触面積Suに対して、Su/K1≦t2≦Su/K2(但し、1.78≦K1≦1111、0.04≦K2≦25)の範囲に設定され、且つ、前記強誘電体膜と前記上部電極との接触面積Suと、前記強誘電体膜と前記下部電極との接触面積Sbとの比Su/Sbが、1>Su/Sb≧0.25に設定されていることを特徴としている。

0015

この発明によると、上部電極と強誘電体膜とを一括加工することにより、上部電極が対向しない強誘電体膜の領域が実質的にないか、あっても少ない状態とすることができる。ところで、キャパシタの容量と、電極面積誘電体膜厚誘電体比誘電率との間には一定の関係があり、これらの関係からキャパシタに蓄積する電荷量を測定して、強誘電体キャパシタの残留分極を求めることができる。この場合、通常は電極無限の広さを持つことを前提とするが、実際には有限の電極寸法を持ち、電極の端部ではいわゆる縁端効果が現れる(例えば、岡崎清著、「セラミック誘電体工学」,p266,1983)。

0016

この発明による強誘電体キャパシタにおいて、上部電極と下部電極の強誘電体膜に接触する面積比Su/Sbは、ドライエッチングの特徴的に作用から、1未満になり、側面にはスロープが形成される。しかし、強誘電体膜の側面が斜面であっても、その傾斜角度と長さがある範囲内にあれば、上述した縁端効果により上部電極からの電気力線がその斜面を横切ることができ、誘電体膜全体を分極反転させることが可能になる。実験によれば、その様な条件は、強誘電体膜の膜厚tが、強誘電体膜と上部電極との接触面積Suに対して、Su/K1≦t2≦Su/K2(但し、1.78≦K1≦1111、0.04≦K2≦25)の範囲に設定され、且つ、強誘電体膜と上部電極及び下部電極との接触面積比Su/Sbが、1>Su/Sb≧0.25に設定された場合であることが明らかになった。即ちこの様な条件を満たすことにより、上下電極間に電界を印加したときに、その主要電界はほぼ強誘電体膜全体にかかる状態となる。言い換えれば、上下電極間に分極を反転させるような電界を印加したときに、分極反転が生じない領域が殆どなく、従って、安定したリテンション特性を得ることができる。

0017

特にこの発明において、好ましくは、単結晶基板の(001)面を主面として、この上に下部電極、強誘電体膜及び上部電極がエピタキシャル成長される。そしてこの場合、強誘電体膜の加工により四角形に加工されたパターンの一つの辺は結晶面方位(100)に設定され、その方位からずれ角は、‐10°以上、10°以下とする。これにより、電界印加時に分極ドメインは加工パターンに従って四角形に大きく成長することができ、優れたリテンション特性を示す強誘電体キャパシタが得られる。

0018

図1は、この発明による強誘電体キャパシタの平面図と断面図を示している。基板11は、面方位(001)の単結晶基板であり、この上に、導電性酸化物からなる下部電極12、ペロブスカイト型の酸化物からなる強誘電体膜13及び導電性酸化物からなる上部電極14を順次エピタキシャル成長させ、レジストマスクを用いた異方性ドライエッチングによって、上部電極14と強誘電体膜13を一括加工して、強誘電体キャパシタが得られる。上部電極14及び強誘電体膜13の加工パターンは、一辺が(100)方位に沿った四角形とする。

0019

この様な構造とすると、図5に示すように上部電極と強誘電体膜の間にテラスが形成された状態と異なり、上下電極14,12間に電圧を印加したときに、強誘電体膜13にはほぼ均一な電界がかかる。従って、図6で説明したような、強誘電体膜13内で異なる分極状態が隣接することはなく、安定した残留分極が得られる。また、強誘電体膜13の加工パターンの一辺が(100)方向であるため、分極ドメインは大きく成長し、図10(b)に示したように分極ドメインが散在する状態になることはなく、残留分極が安定に保持される。以上により、優れたリテンション特性が得られる。

0020

次にこの発明での数値限定の理由を説明する。図1の構造において、上部電極14と強誘電体膜13の接触面積Suと、下部電極12と強誘電体膜13の接触面積Sbとの比Su/Sbは、理想的には1とすることより、強誘電体膜13の全体で分極の反転、非反転を制御することができるために、記憶保持特性の劣化を防ぐ上で好ましい。しかし実際には、その様な理想的なキャパシタ構造は、製造プロセス上、得ることができない。

0021

その理由は次の通りである。ペロブスカイト型酸化物であるBaTiO3、(Ba,Sr)TiO3、(Ba,Sr,Ca)TiO3、Pb(Zr,Ti)O3などの強誘電体膜のドライエッチングでは、エッチングガスから生成したイオンラジカル膜構成元素と生成する反応物蒸気圧が高く、ケミカル等方性エッチングは困難である。従って、Arミリングに代表されるようなイオンエッチングすなわちスパッタエッチング主体となる。スパッタエッチングではウエットエッチングなどの化学的エッチングに比べて、本質的に垂直な形状を作りやすい。

0022

しかし、イオンの入射角度が基板に対して斜め方向の場合に基板のスパッタ率が最大になること(例えば文献3:B.N.Chapman,"GLOW DISCHARGE PROCESSES",Jhon Willey & Sons, Inc 1980)、エッチングマスクとして使用されるフォトレジストイオン衝撃過熱効果により侵食されて形状が変化すること、等の理由で、被エッチング加工物の側面が完全に垂直となることはない。即ちイオンエッチングが主体となるペロブスカイト型酸化物のドライエッチングによる加工において、図1に示される上部電極14に接する強誘電体膜13の面積Suと、下部電極12に接する強誘電体膜13の面積Sbとの比Su/Sbは、1未満となる。

0023

一方、強誘電体膜13の膜厚tが、上部電極14と強誘電体膜13の接触面積Suとの関係で上述した範囲に設定すれば、具体的に、Su=100(nm)×100(nm)の場合に、tが3nm〜500nmの範囲であれば、電界印加により分極反転を行った場合に、強誘電体膜13内で分極反転に必要な電界がかからずに分極が反転せずに残る領域は無視できる程度に小さい。実際にリテンション特性を測定した結果によると、Su/Sbが0.25以上であれば、半減期は1×108sec以上になり、実用上十分なメモリ保持特性が得られることが明らかになっている。

0024

図1Aは、図1の上部電極14から強誘電体膜13にかけての側面形状を拡大して示している。側面にはエッチング条件によって、図1Aに示したように凹凸を持ったスロープが形成される。凹凸が激しい場合には連続的なスロープではなく、従来の2段階エッチングの場合のようなテラスが発生し、分極反転できない領域が残ってしまう。従って図1Aに示すスロープ側面形状には好ましい範囲があり、好ましいリテンション特性の測定結果から、凹凸部の範囲をRとしたとき、R<30nmであればよいことが明らかになった。また、このスロープの角度、具体的には上部電極と強誘電体膜との接触面に対する、上部電極側面及び強誘電体膜の側面のなす角度が、20°以上で90°未満であれば、強誘電体膜の分極を反転できない領域は残らない。但しこれらの条件は、上部電極及び強誘電体膜を矩形パターニングしたとき各辺に対応する側面についての規定である。

0025

なお、下部電極12とのコンタクトをキャパシタ直下からプラグ等によりとる場合には、下部電極12のオーバーエッチングがあってもよく、或いは下部電極12まで含めて一括エッチングしても良い。この発明において用いられるドライエッチングでは、好ましくはフォトレジストが用いられるが、SiO2やSiN、AlN等の無機材料膜マスクとして使用しても、問題はない。

0026

この発明におけるエピタキシャル強誘電体キャパシタは、単結晶SrRuO3等の下地電極膜a軸上に強誘電体膜のa軸を合わせて、c軸方向即ち、(001)面方位に単結晶膜を成長させる。この際、下地電極のa軸値が強誘電体膜のa軸値よりも短い条件では、強誘電体膜のa軸で形成される平面内に圧縮応力が加わり、この結果格子不整による面内圧縮歪みにより、格子がc軸方向に伸びたテトラゴナル構造を形成する。このようにc軸値が伸びた単結晶強誘電体膜では、格子不整歪みによりキュリー温度が上昇し、大きな強誘電性が得られる。このため、エピタキシャル強誘電体キャパシタでは(001)の面方位に単結晶膜を成長させることにより、大きな強誘電性が得られる。

0027

そしてこの場合、誘電体膜の加工により四角形(長方形もしくは正方形)に形成されるパターンの一つの辺の結晶方位が(100)方向からのずれが回転角度で−10°以上、10°以下の範囲とすることにより、更にリテンション特性向上させることができる。この角度範囲からずれると、リテンション特性から求めた半減期は1×108sec以下となり、十分なメモリ特性が得られなくなる。更に好ましくは、この回転角度範囲は、−8°以上、8°以下とする。

0028

なお、上部電極、強誘電体膜及び下部電極を一括してドライエッチングして強誘電体キャパシタを得る方法自体は、既に提案されている(例えば、文献4:特開平9‐162311号公報、文献5:P2000‐133783号公報等)。しかし、文献4は、下部電極に白金(Pt)を用いた場合に、キャパシタ側面にPtが付着して電気的短絡を生じることを問題として、強誘電体膜の側面が基板の主表面にして75°以下になるように加工することことにより、電気的短絡を防止するという趣旨である。また、Pt電極上には、この発明で目的としている歪み導入による良好な強誘電性BaTiO3膜は得られない。文献5の場合も、Ir02電極を用いており、この発明の趣旨は意図されていない。

発明を実施するための最良の形態

0029

[実施の形態1]図2は、実施の形態1による強誘電体キャパシタの製造工程を示している。図2(a)に示すように、表面が平滑なSrTiO3(001)単結晶基板21上に、下部電極22として、(001)SrRuO3膜をRFマグネトロンスパッタリング法により基板温度823Kにて25nm成膜した。更に、強誘電体膜23として(001)配向のBaTiO3膜を同様の条件にて40nm成膜し、その上に上部電極24として(001)配向のSrRuO3膜を20nm成膜した。

0030

X線回折により、エピタキシャルBaTiO3ピークが確認され、k‐β(002)ピークからの補正によりBaTiO3膜のc軸値を求めたところc=0.420nmであり、格子歪が十分に導入されていることがわかった。また、BaTiO3(002)ピークの半値幅は0.041°を示し、結晶性も十分であった。形成された強誘電体薄膜23の組成をICP法にて分析し、ほぼ化学量論組成であることを確認した。このようにして、強誘電体キャパシタを構成する各層をすべて成膜したのち、フォトレジストによりエッチングマスク25を上部電極24にパターン形成する。

0031

そして、エッチングマスク25を用いて、異方性ドライエッチングを行い、図2(b)に示すように、上部電極24および強誘電体膜23を一括加工する。このSrRuO3膜による上部電極24とBaTiO3膜からなる強誘電体膜23のエッチングには、マグネトロンRFをプラズマソースとしたエッチング装置使い、Arガス100SCCMの単独ガスにより、ガス圧2Pa、基板温度20℃、RFパワー400W、バイアス用RFパワーによるバイアス電圧Vpp=600Vの条件にてエッチングを行った。

0032

強誘電体膜23については、下部電極22を5nmまでオーバーエッチングする条件でエッチングして、強誘電体キャパシタを形成した。強誘電体膜23の周囲にはフェンスなどの残渣は生じなかった。強誘電体キャパシタの平面および断面観察から、強誘電体膜23の上下電極24,22との接触面積比Su/Sbを算出したところ、0.95であった。強誘電体キャパシタの四角形パターンの一辺の(100)方向からのずれ角度は、5°であった。図4は、従来技術で説明したと同様に、図7電圧パルスシーケンスの印加によるリテンション特性を示している。その測定結果から算出した半減期は、9×10120secであり、強誘電体メモリとして十分な記憶保持特性を示すことが確認された。

0033

[実施の形態2]図3は、実施の形態2による強誘電体キャパシタの製造工程を示している。図3(a)に示すように、表面が平滑なSi(001)単結晶基板31上に、(001)配向のバリア膜32を形成する。バリア膜32はTiN(又はTiAlN)である。その上に下部電極33を形成する材料として(001)配向のSrRuO3膜をRFマグネトロンスパッタリング法により基板温度823Kにて30nm成膜した。更に、強誘電体膜34として(001)配向のBaTiO3膜を同様の条件にして40nm成膜し、その上に上部電極35として(001)配向のSrRuO3膜を20nm成膜した。

0034

X線回折図形から、エピタキシャルBaTiO3ピークが確認され、k‐β(002)ピークからの補正によりBaTiO3膜のc軸値を求めたところc=0.415nmと大きく伸び、格子不整合歪が十分に導入されていることがわかった。また、BaTiO3(002)ピーク半値幅は0.079°を示し、結晶性も十分であった。形成された強誘電体薄膜34の組成をICP法にて分析し、ほぼ化学量論組成であることを確認した。

0035

このようにして、強誘電体キャパシタを構成する各層をすべて成膜したのち、フォトレジストによりエッチングマスク36を上部電極35上に四角形にパターニングした。次に、エッチングマスク36を用いて上部電極35および強誘電体膜34のドライエッチングを行って、図3(b)に示すように上部電極35および強誘電体膜34のパターンを形成する。このSrRuO3膜およびBaTiO3膜のエッチングには、マグネトロンRFをプラズマソースとしたエッチング装置を使い、Arガス100SCCMの単独ガスにより、ガス圧2Pa、基板温度20℃、RFパワー400W、バイアス用RFパワーによるバイアス電圧Vpp=600 Vの条件にてエッチングを行った。

0036

強誘電体膜34については、下部電極33に表面までエッチングを行い、図3(b)の強誘電体キャパシタを形成した。強誘電体膜34の周囲にはフェンスなどの残渣は生じなかった。強誘電体膜23の上下電極24,22との接触面積比Su/Sbを算出したところ、0.90であった。強誘電体キャパシタの四角形パターンの一辺の(100)方向からのずれ角度は、8°であった。実施の形態1と同様にリテンション特性を評価し、算出した半減期は4×10118secであり、強誘電体メモリとして十分な記憶保持特性を示すことが確認された。

0037

[実施の形態3]実施の形態1と同様に、まず図2(a)に示すように、表面が平滑なSrTiO3(001)単結晶基板21上に、下部電極22として、(001)SrRuO3膜をRFマグネトロンスパッタリング法により基板温度823Kにて25nm成膜した。更に、強誘電体膜23として(001)配向のBaTiO3膜を同様の条件にて40nm成膜し、その上に上部電極24として(001)配向のSrRuO3膜を20nm成膜した。

0038

X線回折により、エピタキシャルBaTiO3ピークが確認され、k‐β(002)ピークからの補正によりBaTiO3膜のc軸値を求めたところc=0.420nmであり、格子歪が十分に導入されていることがわかった。また、BaTiO3(002)ピークの半値幅は0.050°を示し、結晶性も十分であった。形成された強誘電体薄膜23の組成をICP法にて分析し、ほぼ化学量論組成であることを確認した。このようにして、強誘電体キャパシタを構成する各層をすべて成膜したのち、フォトレジストによりエッチングマスク25を上部電極24にパターン形成する。

0039

そして、エッチングマスク25を用いて、異方性ドライエッチングを行い、図2(b)に示すように、上部電極24および強誘電体膜23を一括加工する。このSrRuO3膜による上部電極24とBaTiO3膜からなる強誘電体膜23のエッチングには、マグネトロンRFをプラズマソースとしたエッチング装置を使い、Arガス100SCCM及びCl2ガス10SCCMの混合ガスにより、ガス圧0.5Pa、基板温度20℃、RFパワー500W、バイアスRFパワー100Wの条件にてエッチングを行った。

0040

強誘電体膜23については、下部電極22を5nmまでオーバーエッチングする条件でエッチングして、強誘電体キャパシタを形成した。強誘電体膜23の周囲にはフェンスなどの残渣は生じなかった。強誘電体キャパシタの平面および断面観察から、強誘電体膜23の上下電極24,22との接触面積比Su/Sbを算出したところ、0.91であった。強誘電体キャパシタの四角形パターンの一辺の(100)方向からのずれ角度は、4°であった。実施の形態1と同様にリテンション特性測定から算出した半減期は、9×10121secであり、強誘電体メモリとして十分な記憶保持特性を示すことが確認された。

0041

[実施の形態4]実施の形態1と同様に、まず図2(a)に示すように、表面が平滑なSrTiO3(001)単結晶基板21上に、下部電極22として、(001)SrRuO3膜をRFマグネトロンスパッタリング法により基板温度823Kにて25nm成膜した。更に、強誘電体膜23として(001)配向のBaTiO3膜を同様の条件にて40nm成膜し、その上に上部電極24として(001)配向のSrRuO3膜を20nm成膜した。

0042

X線回折により、エピタキシャルBaTiO3ピークが確認され、k‐β(002)ピークからの補正によりBaTiO3膜のc軸値を求めたところc=0.420nmであり、格子歪が十分に導入されていることがわかった。また、BaTiO3(002)ピークの半値幅は0.050°を示し、結晶性も十分であった。形成された強誘電体薄膜23の組成をICP法にて分析し、ほぼ化学量論組成であることを確認した。このようにして、強誘電体キャパシタを構成する各層をすべて成膜したのち、フォトレジストによりエッチングマスク25を上部電極24にパターン形成する。

0043

そして、エッチングマスク25を用いて、異方性ドライエッチングを行い、図2(b)に示すように、上部電極24および強誘電体膜23を一括加工する。このSrRuO3膜による上部電極24とBaTiO3膜からなる強誘電体膜23のエッチングには、ICPをプラズマソースとするエッチング装置を使い、Arガス100SCCM及びCl2ガス10SCCMの混合ガスにより、ガス圧0.5Pa、基板温度20℃、RFパワー500W、バイアス用RFパワー100Wの条件にてエッチングを行った。

0044

強誘電体膜23については、下部電極22を5nmまでオーバーエッチングする条件でエッチングして、強誘電体キャパシタを形成した。強誘電体膜23の周囲にはフェンスなどの残渣は生じなかった。強誘電体キャパシタの平面および断面観察から、強誘電体膜23の上下電極24,22との接触面積比Su/Sbを算出したところ、0.91であった。強誘電体キャパシタの四角形パターンの一辺の(100)方向からのずれ角度は、0°であった。実施の形態1と同様のリテンション特性の測定結果から算出した半減期は、9×10128secであり、強誘電体メモリとして十分な記憶保持特性を示すことが確認された。

0045

[比較例1]図11は、比較例1による強誘電体キャパシタの製造工程を示している。用いる材料、成膜条件は、実施の形態1と同様であるが、パターニング工程に2段階のドライエッチングを行う点が実施の形態1と異なる。即ち、実施の形態1と同様に成膜した後、図11(a)に示すように、フォトレジストによりエッチングマスク25aを上部電極24上にパターニングし、ドライエッチングを行って、図11(b)に示すように上部電極24を加工する。オーバーエッチングは、強誘電体膜23中に5nmであった。

0046

次に、図11(c)に示すように、2回目フォトレジストマスク25bを、上部電極24を覆うようにパターンを形成し、強誘電体膜23を、下部電極22の表面が露出するまでドライエッチングする。このSrRuO3膜およびBaTiO3膜のエッチングには、マグネトロンRFをプラズマソースとしたエッチング装置を使い、Arガス100SCCMの単独ガスにより、ガス圧0.5Pa、基板温度20℃、RFパワー500W、バイアス用RFパワーによるバイアス電圧Vp=600Vの条件にてエッチングを行った。強誘電体膜23の周囲にはフェンスなどの残渣は生じなかった。

0047

強誘電体キャパシタの四角形パターンの一辺の(100)方向からのずれ角度は、33°であった。実施の形態1と同様にリテンション特性を測定して算出した半減期は、7×102secであり、強誘電体メモリとしての基準となる1×108secを大幅に下回るものであった。

0048

[比較例2]実施の形態1と同じ材料、成膜条件で、また実施の形態1と同様の手順による一括ドライエッチングにより、強誘電体キャパシタを形成した。但し、ドライエッチングの条件が実施の形態1と異なる。即ち、SrRuO3膜およびBaTiO3膜のエッチングには、マグネトロンRFをプラズマソースとしたエッチング装置を使い、Arガス100SCCMの単独ガスにより、ガス圧0.05Pa,基板温度150℃、RFパワー2000W、Vpp=3000Vの条件にてエッチングを行った。強誘電体膜23のエッチングには、5nmのオーバーエッチングを行った。強誘電体膜の周囲にはフェンスなどの残渣は生じなかった。

0049

強誘電体膜23の上下電極24,22との接触面積比Su/Sbを算出したところ、0.060であった。強誘電体キャパシタの四角形パターンの一辺の(100)方向からのずれ角度は、29°であった。実施の形態1と同様のリテンション特性の測定結果から算出した半減期は、9×105secであり、強誘電体メモリとしての基準となる1×108secを大幅に下回るものであった。

0050

[比較例3]実施の形態1と同じ材料、成膜条件、及びドライエッチング条件で強誘電体キャパシタを作成した。強誘電体キャパシタの四角形パターンの一辺の(100)方向からのずれ角度は、0°であった。また強誘電体膜23の上下電極24,22との接触面積比Su/Sbは、0.059であった。実施の形態1と同様のリテンション特性の測定結果から算出した半減期は、9×107secであり、強誘電体メモリとしての基準となる1×108secを大幅に下回るものであった。加工パターンの結晶方位からのずれがない点を除き、比較例1と同条件であったが、比較例1に比べて半減期は向上している。この値はメモリ特性として不満足ながらも、加工パターンの結晶方位との関係が強誘電体膜の分極ドメイン保持に大きく影響していることを伺わせる。

0051

[比較例4]結晶方位を除き、実施の形態1と同様の条件で強誘電体キャパシタを作製した。即ち、図2(a)に示す基板21として、表面が平滑なSrTiO3(111)単結晶基板を用い、この上に、下部電極膜22を形成する材料として(111)配向のSrRuO3膜をRFマグネトロンスパッタリング法により基板温度823Kにして25nm成膜した。更に、強誘電体膜23として(111)配向のBaTiO3膜を同様の条件にて40nm成膜し、その上に上部電極24として(111)配向のSrRuO3の薄膜を20nm成膜した。

0052

X線回折図形からエピタキシャルBaTiO3ピークが確認され、4軸X線回折ピークからBaTiO3膜のc軸値を求めたところc=0.403nmと伸びが少なく、格子不整合歪の導入は不十分であることがわかった。また、BaTiO3(111)ピークの半値幅は0.125°を示し、結晶性は十分であった。形成された強誘電体膜23の組成をIPC法にて分析し、ほぼ化学量論組成であることを確認した。

0053

このようにして、強誘電体キャパシタを構成する各層をすべて成膜したのち、フォトレジストによりエッチングマスク25を上部電極24上に設けて所定のパターンとした。次に、図2(b)に示すように、エッチングマスク25を用いて上部電極24および強誘電体膜23のドライエッチングを行って、上部電極24および強誘電体膜23のパターンを形成する。このSrRuO3膜およびBaTiO3膜のエッチングには、マグネトロンRFをプラズマソースとしたエッチング装置を使い、Arガス100SCCMの単独ガスにより、ガス圧2Pa、基板温度20℃、RFパワー400W、Vpp=600Vの条件にてエッチングを行った。強誘電体膜23については下部電極膜22を5nmのオーバーエッチングを行い、強誘電体キャパシタを形成した。強誘電体膜23の周囲にはフェンスなどの残渣は生じなかった。

0054

強誘電体膜23の上下電極24,22との接触面積比Su/Sbは、0.95であった。実施の形態1と同様のリテンション特性の測定の結果から、殆ど強誘電性を示さないことが確認された。

発明の効果

0055

以上述べたようにこの発明によれば、歪みエピタキシャル強誘電体膜を用いて、安定なリテンション特性を示す強誘電体キャパシタを得ることができる。

図面の簡単な説明

0056

図1この発明による強誘電体キャパシタの構造を示す図である。
図1図1の上部電極及び強誘電体膜の側面形状を拡大して示す図である。
図2この発明の実施の形態による強誘電体キャパシタの製造工程を示す図である。
図3他の実施の形態による強誘電体キャパシタの製造工程を示す図である。
図4実施の形態の強誘電体キャパシタのリテンション特性を示す図である。
図5従来の強誘電体キャパシタの構造を示す図である。
図6従来の強誘電体キャパシタの分極の様子を示す図である。
図7強誘電体キャパシタのリテンション特性を測定するための電圧パルスシーケンスを示す図である。
図8強誘電体キャパシタのヒステリシス特性を示す図である。
図9従来の強誘電体キャパシタのリテンション特性を示す図である。
図10強誘電体キャパシタの分極ドメイン成長の様子を示す図である。
図11比較例の強誘電体キャパシタの製造工程を示す図である。

--

0057

11,21,31…基板、12,22,33…下部電極、13,23,34…強誘電体膜、14,24,35…上部電極、25,36…エッチングマスク、32…バリア膜。

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