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図面 (20)

課題

従来に比較して、ランニングコストの低いレーザ照射装置およびそれを用いたレーザ照射方法において、従来と同程度、もしくはそれ以上の大きさの粒径結晶粒を有する結晶質半導体膜を形成し、その結晶質半導体膜を用いてTFTを作製することにより、高速動作の可能なTFTを実現させることを目的とする。

解決手段

レーザ光源とする出力時間の短いレーザ光半導体膜照射する場合において、あるレーザ光に対して、他のレーザ光を遅延させ、これらを合成したレーザ光を半導体膜に照射することで、前記半導体膜の冷却速度を緩やかなものにし、出力時間の長いレーザ光を半導体膜に照射する場合と同等、もしくはそれ以上の大きさの粒径の結晶粒を有する結晶質半導体膜を形成することを可能とする。このような結晶質半導体膜を用いてTFTを作製することにより、高速動作の可能なTFTを実現させることができる。

概要

背景

近年、ガラス等の絶縁基板上に形成された半導体膜に対し、レーザアニールを施して、結晶化させたり、結晶性を向上させる技術が広く研究されている。上記半導体膜には珪素がよく用いられる。

ガラス基板は、従来よく使用されてきた合成石英ガラス基板と比較し、安価で加工性に富んでおり、大面積基板を容易に作製できる利点を持っている。これが上記研究の行われる理由である。また、結晶化に好んでレーザが使用されるのは、ガラス基板の融点が低いからである。レーザは基板の温度を余り上昇させずに、半導体膜のみ高いエネルギーを与えることが出来る。また、電熱炉を用いた加熱手段に比べて格段にスループットが高い。

結晶質半導体は多くの結晶粒から出来ているため、多結晶半導体膜とも呼ばれる。レーザアニールを施して形成された結晶質半導体膜は、高い移動度を有するため、この結晶質半導体膜を用いて薄膜トランジスタ(TFT)を形成し、例えば、1枚のガラス基板上に、画素部用駆動回路用のTFTを作製する、モノリシック型液晶電気光学装置等に盛んに利用されている。

また、出力の大きい、エキシマレーザ等のパルス発振器から発振されたレーザ光を、照射面において、数cm角の四角スポットや、長さ10cm以上の線状となるように光学系にて加工し、レーザ光を走査させて(あるいはレーザ光の照射位置を被照射面に対し相対的に移動させて)、レーザアニールを行なう方法が生産性が高く工業的に優れているため、好んで使用されている。

特に、線状ビームを用いると、前後左右の走査が必要なスポット状のレーザ光を用いた場合とは異なり、線状ビームの長尺方向に直角な方向だけの走査で被照射面全体にレーザ照射を行なうことが出来るため、生産性が高い。長尺方向に直角な方向に走査するのは、それが最も効率の良い走査方向であるからである。この高い生産性により、現在レーザアニール法にはパルス発振エキシマレーザ光を適当な光学系で加工した線状ビームを使用することが、TFTを用いる液晶表示装置の製造技術の主流になりつつある。

ここで、半導体膜にレーザ光を照射した後の前記半導体膜の結晶化について説明する。半導体膜にレーザ光を照射すると、前記半導体膜は溶融する。しかし、時間が経過するにつれて前記半導体膜の温度は下がり結晶核が生成される。前記半導体膜において、無数に均一な(あるいは不均一な)結晶核が生成し、成長することで、結晶化は終了する。この場合に得られる結晶粒の位置と大きさはランダムなものとなる。結晶粒内と比較して、結晶粒の界面(結晶粒界)は非晶質構造結晶欠陥などに起因する再結合中心捕獲中心が無数に存在している。この捕獲中心にキャリアトラップされると、結晶粒界のポテンシャルが上昇し、キャリアに対して障壁となるため、キャリアの電流輸送特性を低下することが知られている。特にチャネル形成領域の半導体膜の結晶性は、TFTの電気的特性に重大な影響を及ぼすが、結晶粒界の影響を排除して単結晶の半導体膜で前記チャネル形成領域を形成することはほとんど不可能であった。

また、結晶粒の成長距離は、結晶化時間と成長速度の積に比例することが知られている。ここで、結晶化時間とは、図28に示すように、半導体膜中に結晶核が生成されてから半導体膜の結晶化が終了するまでの時間のことである。半導体膜が溶融してから結晶化が終了するまでの時間を溶融時間とすると、溶融時間を延ばして、半導体膜の冷却速度を緩やかなものとすれば、結晶化時間が長くなり、大粒径の結晶粒を形成することができる。

概要

従来に比較して、ランニングコストの低いレーザ照射装置およびそれを用いたレーザ照射方法において、従来と同程度、もしくはそれ以上の大きさの粒径の結晶粒を有する結晶質半導体膜を形成し、その結晶質半導体膜を用いてTFTを作製することにより、高速動作の可能なTFTを実現させることを目的とする。

レーザを光源とする出力時間の短いレーザ光を半導体膜に照射する場合において、あるレーザ光に対して、他のレーザ光を遅延させ、これらを合成したレーザ光を半導体膜に照射することで、前記半導体膜の冷却速度を緩やかなものにし、出力時間の長いレーザ光を半導体膜に照射する場合と同等、もしくはそれ以上の大きさの粒径の結晶粒を有する結晶質半導体膜を形成することを可能とする。このような結晶質半導体膜を用いてTFTを作製することにより、高速動作の可能なTFTを実現させることができる。

目的

そこで、本発明は、従来に比較して、ランニングコストの低いレーザ照射装置およびそれを用いたレーザアニール方法において、従来と同程度、もしくはそれ以上の大きさの粒径の結晶粒を形成するためのレーザアニール方法を用いて作製された半導体装置作製方法を提供することを課題とする。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
4件

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請求項1

パルス発振型レーザ光源とするレーザ光を複数のレーザ光に分割し、前記複数のレーザ光のうち少なくとも1つのレーザ光を他のレーザ光より遅延させて形成されるレーザ光を半導体膜照射することによって該半導体膜に対する照射時間を前記複数のレーザ光の各々の出力時間より延長し、前記半導体膜の結晶化または結晶性の向上を行なうことを特徴とする半導体装置作製方法

請求項2

パルス発振型のレーザを光源とするレーザ光をs成分およびp成分で分割して複数のレーザ光とし、前記複数のレーザ光のうち少なくとも1つのレーザ光を他のレーザ光より遅延させて形成されるレーザ光を半導体膜に照射することによって該半導体膜に対する照射時間を前記複数のレーザ光の各々の出力時間より延長し、前記半導体膜の結晶化または結晶性の向上を行なうことを特徴とする半導体装置の作製方法。

請求項3

複数のパルス発振型のレーザを光源とする複数のレーザ光のうち、少なくとも1つのレーザ光を他のレーザ光より遅延させて形成されるレーザ光を半導体膜に照射することによって該半導体膜に対する照射時間を前記複数のレーザ光の各々の出力時間より延長し、前記半導体膜の結晶化または結晶性の向上を行なうことを特徴とする半導体装置の作製方法。

請求項4

複数のパルス発振型のレーザのうち、少なくとも1つのパルス発振型のレーザから第1のレーザ光を発振し、他のパルス発振型のレーザから第2のレーザ光を発振し、前記第1のレーザ光または前記第2のレーザ光を前記第2のレーザ光または前記第1のレーザ光より遅延させることで形成されるレーザ光を半導体膜に照射することによって該半導体膜に対する照射時間を前記第1のレーザ光または前記第2のレーザ光の出力時間より延長し、前記半導体膜の結晶化または結晶性の向上を行なうことを特徴とする半導体装置の作製方法。

請求項5

パルス発振型のレーザを光源とするレーザ光を複数のレーザ光に分割し、前記複数のレーザ光のうち少なくとも1つのレーザ光を他のレーザ光より遅延させて形成されるレーザ光を半導体膜に照射することによって該半導体膜に対する照射時間を前記複数のレーザ光の各々の出力時間より延長し、前記半導体膜の結晶化または結晶性の向上を行なう半導体装置の作製方法であって、前記少なくとも1つのレーザ光は前記他のレーザ光と同じ強度もしくは高い強度を有し、前記少なくとも1つのレーザ光が照射されることによって、前記半導体膜が溶融することを特徴とする半導体装置の作製方法。

請求項6

パルス発振型のレーザを光源とするレーザ光をs成分およびp成分で分割して複数のレーザ光とし、前記複数のレーザ光のうち少なくとも1つのレーザ光を他のレーザ光より遅延させて形成されるレーザ光を半導体膜に照射することによって該半導体膜に対する照射時間を前記複数のレーザ光の各々の出力時間より延長し、前記半導体膜の結晶化または結晶性の向上を行なう半導体装置の作製方法であって、前記少なくとも1つのレーザ光は前記他のレーザ光と同じ強度もしくは高い強度を有し、前記少なくとも1つのレーザ光が照射されることによって、前記半導体膜が溶融することを特徴とする半導体装置の作製方法。

請求項7

複数のパルス発振型のレーザを光源とする複数のレーザ光のうち、少なくとも1つのレーザ光を他のレーザ光より遅延させて形成されるレーザ光を半導体膜に照射することによって該半導体膜に対する照射時間を前記複数のレーザ光の各々の出力時間より延長し、前記半導体膜の結晶化または結晶性の向上を行なうことを特徴とする半導体装置の作製方法であって、前記少なくとも1つのレーザ光は前記他のレーザ光と同じ強度もしくは高い強度を有し、前記少なくとも1つのレーザ光が照射されることによって、前記半導体膜が溶融することを特徴とする半導体装置の作製方法。

請求項8

複数のパルス発振型のレーザのうち、少なくとも1つのパルス発振型のレーザから第1のレーザ光を発振し、他のパルス発振型のレーザから第2のレーザ光を発振し、前記第1のレーザ光を前記第2のレーザ光より遅延させることで形成されるレーザ光を半導体膜に照射することによって該半導体膜に対する照射時間を前記第1のレーザ光または前記第2のレーザ光の出力時間より延長し、前記半導体膜の結晶化または結晶性の向上を行なう半導体装置の作製方法であって、前記第2のレーザ光は前記第1のレーザ光と同じ強度もしくは高い強度を有し、前記第2のレーザ光が照射されることによって、前記半導体膜が溶融することを特徴とする半導体装置の作製方法。

請求項9

複数のパルス発振型のレーザのうち、少なくとも1つのパルス発振型のレーザから第1のレーザ光を発振し、他のパルス発振型のレーザから第2のレーザ光を発振し、前記第2のレーザ光を前記第1のレーザ光より遅延させることで形成されるレーザ光を半導体膜に照射することによって該半導体膜に対する照射時間を前記第1のレーザ光または前記第2のレーザ光の出力時間より延長し、前記半導体膜の結晶化または結晶性の向上を行なう半導体装置の作製方法であって、前記第1のレーザ光は前記第2のレーザ光と同じ強度もしくは高い強度を有し、前記第1のレーザ光が照射されることによって、前記半導体膜が溶融することを特徴とする半導体装置の作製方法。

請求項10

請求項1乃至3および請求項5乃至7のいずれか一項において、前記レーザ光の出力時間は、1〜50nsであることを特徴とする半導体装置の作製方法。

請求項11

請求項4または請求項8または請求項9において、前記第1のレーザ光または前記第2のレーザ光の出力時間は、1〜50nsであることを特徴とする半導体装置の作製方法。

請求項12

請求項1乃至4のいずれか一項において、前記パルス発振型のレーザとして、YAGレーザ、YVO4レーザ、YLFレーザ、YAlO3レーザ、ガラスレーザルビーレーザ、アレキサンドライドレーザ、Ti:サファイアレーザ、ヘリウムカドミウムレーザ、銅蒸気レーザ、金蒸気レーザから選ばれた一種もしくは複数種を用いることを特徴とする半導体装置の作製方法。

発明の効果

0001

本発明はレーザ光を用いた半導体膜アニールを工程に含む半導体装置作製方法に関する。なお、ここでいう半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指し、液晶表示装置発光装置等の電気光学装置及び該電気光学装置を部品として含む電子装置も含まれるものとする。

背景技術

0001

本発明によれば、レーザアニールの際にレーザ光を線状に加工してスループットを向上させるのに加えて、さらにメンテナンスの容易な固体レーザを用いることで従来のエキシマレーザを用いたレーザアニールよりもスループットの向上が達成できる。延いてはTFTやTFTで形成された液晶表示装置等の半導体装置の製造コストを低減することができる。

0002

0002

近年、ガラス等の絶縁基板上に形成された半導体膜に対し、レーザアニールを施して、結晶化させたり、結晶性を向上させる技術が広く研究されている。上記半導体膜には珪素がよく用いられる。

0003

ガラス基板は、従来よく使用されてきた合成石英ガラス基板と比較し、安価で加工性に富んでおり、大面積基板を容易に作製できる利点を持っている。これが上記研究の行われる理由である。また、結晶化に好んでレーザが使用されるのは、ガラス基板の融点が低いからである。レーザは基板の温度を余り上昇させずに、半導体膜のみ高いエネルギーを与えることが出来る。また、電熱炉を用いた加熱手段に比べて格段にスループットが高い。

0004

結晶質半導体は多くの結晶粒から出来ているため、多結晶半導体膜とも呼ばれる。レーザアニールを施して形成された結晶質半導体膜は、高い移動度を有するため、この結晶質半導体膜を用いて薄膜トランジスタ(TFT)を形成し、例えば、1枚のガラス基板上に、画素部用駆動回路用のTFTを作製する、モノリシック型液晶電気光学装置等に盛んに利用されている。

0005

また、出力の大きい、エキシマレーザ等のパルス発振器から発振されたレーザ光を、照射面において、数cm角の四角スポットや、長さ10cm以上の線状となるように光学系にて加工し、レーザ光を走査させて(あるいはレーザ光の照射位置を被照射面に対し相対的に移動させて)、レーザアニールを行なう方法が生産性が高く工業的に優れているため、好んで使用されている。

0006

特に、線状ビームを用いると、前後左右の走査が必要なスポット状のレーザ光を用いた場合とは異なり、線状ビームの長尺方向に直角な方向だけの走査で被照射面全体にレーザ照射を行なうことが出来るため、生産性が高い。長尺方向に直角な方向に走査するのは、それが最も効率の良い走査方向であるからである。この高い生産性により、現在レーザアニール法にはパルス発振エキシマレーザ光を適当な光学系で加工した線状ビームを使用することが、TFTを用いる液晶表示装置の製造技術の主流になりつつある。

発明が解決しようとする課題

0007

ここで、半導体膜にレーザ光を照射した後の前記半導体膜の結晶化について説明する。半導体膜にレーザ光を照射すると、前記半導体膜は溶融する。しかし、時間が経過するにつれて前記半導体膜の温度は下がり結晶核が生成される。前記半導体膜において、無数に均一な(あるいは不均一な)結晶核が生成し、成長することで、結晶化は終了する。この場合に得られる結晶粒の位置と大きさはランダムなものとなる。結晶粒内と比較して、結晶粒の界面(結晶粒界)は非晶質構造結晶欠陥などに起因する再結合中心捕獲中心が無数に存在している。この捕獲中心にキャリアトラップされると、結晶粒界のポテンシャルが上昇し、キャリアに対して障壁となるため、キャリアの電流輸送特性を低下することが知られている。特にチャネル形成領域の半導体膜の結晶性は、TFTの電気的特性に重大な影響を及ぼすが、結晶粒界の影響を排除して単結晶の半導体膜で前記チャネル形成領域を形成することはほとんど不可能であった。

0008

また、結晶粒の成長距離は、結晶化時間と成長速度の積に比例することが知られている。ここで、結晶化時間とは、図28に示すように、半導体膜中に結晶核が生成されてから半導体膜の結晶化が終了するまでの時間のことである。半導体膜が溶融してから結晶化が終了するまでの時間を溶融時間とすると、溶融時間を延ばして、半導体膜の冷却速度を緩やかなものとすれば、結晶化時間が長くなり、大粒径の結晶粒を形成することができる。

0009

レーザ光にも様々な種類があるが、一般的にはパルス発振型のエキシマレーザを光源とするレーザ光(以下、エキシマレーザ光という)を用いた結晶化が用いられている。エキシマレーザは出力が大きく、高周波数での繰り返し照射が可能であるという利点を有し、さらにエキシマレーザ光は珪素膜に対しての吸収係数が高いという利点を有する。

0010

エキシマレーザ光を形成するには励起ガスとして、KrF(波長248nm)やXeCl(波長308nm)が用いられる。ところが、Kr(クリプトン)やXe(キセノン)といったガスは非常に高価であり、ガス交換頻度が高くなると製造コストの増加を招くという問題がある。

0011

また、レーザ発振を行なうレーザチューブや発振過程で生成した不要な化合物を除去するためのガス精製器などの付属機器交換が2〜3年に一度必要となる。これらの付属機器は高価なものが多く、やはり製造コストの増加を招くという問題がある。

0012

以上のように、エキシマレーザ光を用いたレーザ照射装置は確かに高い性能を持っているが、メンテナンスに非常に手間がかかり、生産用レーザ照射装置としてはランニングコスト(ここでは稼働に伴い発生する費用を意味する)が高いという欠点も併せ持っている。

0013

そこで、エキシマレーザに比較してランニングコストの低いレーザ照射装置およびそれを用いたレーザアニール方法を実現するために、固体レーザ(結晶ロッド共振キャビティとしたレーザ光を出力するレーザ)や金属レーザを用いる方法がある。

0014

その理由として、現状の固体レーザは大出力であるが、出力時間パルス幅)は非常に短いことが考えられる。また、現状の金属レーザは大出力なものとなっている。固体レーザの励起方法はLD(レーザダイオード励起フラッシュランプ励起等がある。LD励起によって大出力を得るためには、LDに大電流を流す必要がある。そのため、LDの寿命が短くなり、結果的にフラッシュランプ励起に比べてコストが高くなる。このような理由により、LD励起の固体レーザは小出力の装置がほとんどであり、現状では産業用の大出力レーザとしてはまだ開発段階にある。一方、フラッシュランプは極めて強い光を出すことができるため、フラッシュランプによって励起されたレーザは大出力となる。しかしながら、フラッシュランプ励起による発振は、瞬間的に投入されたエネルギーによって励起された電子一気に放出するので、レーザの出力時間は非常に短くなる。このように、現状の固体レーザは、大出力であるが、出力時間は非常に短くなっている。そのため、固体レーザを用いたレーザ結晶化によって、エキシマレーザを用いたレーザ結晶化を行なって形成される粒径と同程度、もしくはそれ以上の大きさの粒径の結晶粒の形成を実現することは困難になっている。なお、本明細書中において、出力時間とは1パルスにおける半値幅のことを言う。

課題を解決するための手段

0015

ここで、代表的な固体レーザの1つであるYAGレーザを用いて半導体膜の結晶化を行なった。前記YAGレーザは、フラッシュランプ励起のものを用い、非線形光学素子により第2高調波変調して珪素膜に照射した。前記YAGレーザを用いたレーザアニールによって形成された結晶粒の粒径は、エキシマレーザを用いて形成される結晶粒と比較して、非常に小さかった。このような結晶粒を有する結晶質半導体膜を用いてTFTを作製すると、TFTの電気的特性に重要な影響を及ぼすチャネル形成領域において多数の結晶粒界が存在することになり、前記電気的特性を低下させる要因となる。固体レーザを用いたレーザアニールによって小さな結晶粒しか形成されない理由として、既に述べたように、現状の固体レーザは大出力であるが、出力時間は非常に短いことが考えられる。

0016

そこで、本発明は、従来に比較して、ランニングコストの低いレーザ照射装置およびそれを用いたレーザアニール方法において、従来と同程度、もしくはそれ以上の大きさの粒径の結晶粒を形成するためのレーザアニール方法を用いて作製された半導体装置の作製方法を提供することを課題とする。

0017

エキシマレーザを用いたレーザアニールによって形成される粒径と同程度、もしくはそれ以上の粒径の結晶粒を形成するのを課題としているため、まず、エキシマレーザ光を半導体膜に照射したときの温度変化について計算を行なった。エキシマレーザ光を図3に示す構造からなる珪素膜に照射し、図3のA〜C点において時間に対する温度について計算した。ここで、レーザ光の出力時間を27nsとし、エネルギー密度は0.1〜0.5Jとした。その結果を図7に示す。図7より、エネルギー密度が高くなるにつれて、結晶化時間および溶融時間が長くなり、冷却速度が緩やかになっていることがわかる。また、A点の温度変化にC点の温度が追随している様子がわかる。

0018

大粒径の結晶粒を形成するためには、半導体膜の冷却速度を緩やかなものにすることが有効な手段の一つとして挙げられる。具体的には、レーザ光の出力時間を長くして、半導体膜の溶融時間を長くする方法がある。

0019

そこで、YAGレーザの出力時間を長くして、半導体膜に照射したときの温度変化について計算を行なった。図3に示すように、酸化珪素膜上に形成された膜厚50nmの珪素膜に、YAGレーザのレーザ光を照射し、珪素膜表面(A点)、珪素膜と酸化珪素膜の界面(B点)、前記界面から100nm下方の酸化珪素膜(C点)において時間に対する温度について計算した。ここで、珪素膜が溶融する温度は1200Kとした。その結果を図4〜6に示す。図4(A)〜(D)は出力時間を6.7nsとし、エネルギー密度は0.15〜0.4Jとした。図4(E)〜(H)は出力時間を20nsとし、エネルギー密度は0.2〜0.5Jとした。図5(A)〜(D)は出力時間を27nsと、図5(E)〜(H)は出力時間を50nsとし、エネルギー密度は0.2〜0.5Jとした。図6(A)〜(C)は出力時間を100nsとし、エネルギー密度は0.3〜0.5Jとした。図6(D)〜(F)は出力時間を200nsとし、エネルギー密度は0.4〜0.6Jとした。

0020

レーザ光の照射によって、A〜C点の温度は上昇して第1の一定温度を保った後、さらに上昇して最高温度に達する。そして、前記A〜C点の温度は下降して第2の一定温度を保ち、さらに下降する傾向が見られる。珪素膜の溶融温度を1200Kとして計算しているので、前記第1の一定温度では珪素膜が溶融しており、前記第2の一定温度では珪素膜の固化(結晶化)が起きている。ここで、第2の一定温度の開始時間から終了時間までが結晶化時間に相当する。結晶化時間が長いほど、冷却速度が緩やかであることを示す。また、第1の一定温度の開始時間から第2の一定温度の終了時間までを珪素膜の溶融時間とすると、同じエネルギー密度では、出力時間が長いほどA〜C点において到達する最高温度までの時間が緩やかになり、溶融時間が長くなる。つまり、出力時間が長いほど、半導体膜の冷却速度が緩やかになることが言える。

0021

また、図12にレーザ光の出力時間に対する結晶化開始時の酸化珪素膜の温度を示す。図12から、出力時間が長いほど、結晶化開始時の酸化珪素膜の温度が上昇している。また、レーザ光の出力時間が50ns以下では、酸化珪素膜の温度が急激に下がっている。つまり、半導体膜の溶融時間を延ばすには、下地膜の温度を高くしておくことも有効であることがわかる。

0022

以上のことから、出力時間が長いほど、結晶化時間および溶融時間が長くなり、半導体膜の冷却速度が緩やかになる。そのため、結晶核の生成密度が低くなり、かつ、結晶化時間が長くなるため、大粒径の結晶粒を形成することができる。つまり、出力時間を長くすることは、結晶粒の大粒径化に有効な手段であると言える。

0023

しかしながら、既に述べたように、現状の固体レーザは大出力であるが、出力時間は非常に短い。例えば、ラムダフィジック社製のL4308型XeClエキシマレーザ(波長308nm)の出力時間が27nsであるのに対し、スペクトラ・フィジック社製のDCR−3D型Nd:YAGレーザ(波長532nm)の出力時間は5〜7nsになっている。

0024

そこで、本発明は、固体レーザ(結晶ロッドを共振キャビティとしたレーザ光を出力するレーザ)や金属レーザを光源とする出力時間の短いレーザ光を半導体膜に照射する場合において、あるレーザ光に対して、遅延させて他のレーザ光を半導体膜に照射することで、前記半導体膜の冷却速度を緩やかなものにし、出力時間の長いレーザ光を半導体膜に照射する場合と同等、もしくはそれ以上の大きさの粒径の結晶粒を形成するレーザアニール方法を工程に含む半導体装置の作製方法を提供する。

0025

このとき、レーザ光は光学系により線状に加工して照射することが望ましい。なお、レーザ光を線状に加工するとは、照射面における形状が線状になるようにレーザ光を加工しておくことを意味する。即ち、レーザ光の断面形状を線状に加工することを意味する。また、ここでいう「線状」は、厳密な意味で「線」を意味しているのではなく、アスペクト比の大きい長方形(もしくは長楕円形)を意味する。例えば、アスペクト比が10以上(好ましくは100〜10000)のもの指す。

0026

前記固体レーザは一般的に知られているものを用いることができ、YAGレーザ(通常はNd:YAGレーザを指す)、YVO4レーザ、YLFレーザ、YAlO3レーザ、ガラスレーザルビーレーザ、アレキサンドライドレーザ、Ti:サファイアレーザなどを用いることができる。特に、コヒーレント性パルスエネルギー優位なYVO4レーザやYAGレーザが好ましい。また、前記金属レーザとして、ヘリウムカドミウムレーザ、銅蒸気レーザ、金蒸気レーザ等が挙げられる。

0027

但し、YAGレーザの基本波(第1高調波)は1064nmと波長が長いので、第2高調波(波長532nm)、第3高調波(波長355nm)もしくは第4高調波(波長266nm)を用いるのが好ましい。これらの高調波は非線形結晶を用いて得ることができる。

0028

第1高調波は非線形素子を含む波長変調器によって、第2高調波、第3高調波または第4高調波に変調することができる。各高調波の形成は公知の技術に従えば良い。また、本明細書中において、「固体レーザを光源とするレーザ光」には第1高調波だけでなく、途中で波長を変調した第2高調波、第3高調波及び第4高調波を含むものとする。

0029

また、YAGレーザで良く用いられるQスイッチ法(Q変調スイッチ方式)を用いても良い。これはレーザ共振器Q値を十分低くしておいた状態から、急激にQ値を高めてやることにより非常にエネルギー値が高く急峻なパルスレーザを出力する方法である。これは公知の技術である。

0030

本発明で用いる固体レーザは、基本的には固体結晶共振ミラー及び固体結晶を励起するための光源があればレーザ光を出力できるため、エキシマレーザのようにメンテナンスの手間がかからない。即ち、ランニングコストがエキシマレーザに比べて非常に低いため、半導体装置の製造コストを大幅に低減することが可能となる。また、メンテナンスの回数が減れば生産ライン稼働率も高まるため製造工程のスループット全体が向上し、このことも半導体装置の製造コストの低減に大きく寄与する。さらに、固体レーザの専有面積はエキシマレーザに比べて小さいので、製造ラインの設計に有利である。

0031

本発明は、出力時間の短いレーザ光を用いたレーザアニールにおいて、時間差を設けて複数のレーザ光を照射することで、半導体膜の冷却速度を緩やかなものにし、結晶化の過程で結晶成長許容される時間を延ばし、その結果として結晶粒の粒径を大きくすることを実現するものである。

発明を実施するための最良の形態

0032

そして、結晶粒径の大きい結晶質半導体膜を得ることにより、半導体装置の性能を大幅に向上させることが可能になる。例えば、TFTを例に挙げると、結晶粒径が大きくなることでチャネル形成領域に含まれうる結晶粒界の本数を少なくすることができる。即ち、チャネル形成領域に結晶粒界が1本、好ましくは0本であるようなTFTを作製することも可能となる。また、個々の結晶粒は実質的に単結晶と見なせる結晶性を有することから、単結晶半導体を用いたトランジスタと同等もしくはそれ以上の高いモビリティ電界効果移動度)を得ることも可能である。

0033

さらに、キャリアが結晶粒界を横切る回数を極端に減らすことができるため、オン電流値(TFTがオン状態にある時に流れるドレイン電流値)、オフ電流値(TFTがオフ状態にある時に流れるドレイン電流値)、しきい値電圧S値及び電界効果移動度のバラツキを低減することも可能となる。

0034

[実施形態1]本発明の実施形態の一つについて説明する。

0035

図1は本発明のレーザ照射装置の構成の例を示す図である。このレーザ照射装置は固体レーザ発振器もしくは金属レーザ発振器101、反射ミラー102、103、108、109、111〜114、λ/2板105、薄膜偏光素子(TFP;Thin Film Polarizer)106、107、レーザ光を線状に加工する光学系110を有している。また、104はエネルギーモニタ系であり、115はシャッター系である。

0036

レーザ発振器101からのレーザ光は、反射ミラー102、103によって反射され、λ/2板105に到達する。λ/2板105を光路上に配置することで、TFPによって分離するビーム強度分布比を任意に変えることができる。

0037

そして、レーザ光の入射角ブリュースタ角になるようにTFP106を配置させれば、レーザ光のp成分(電界ベクトル入射面(入射光線と入射法線によって決まる面)内で振動する成分)の反射光が0になるため、レーザ光のp成分はTFPを透過し、レーザ光のs成分(入射面と垂直の面内で振動する成分)のみが反射する。透過したレーザ光のp成分は反射ミラー108、109、光学系110を経て、基板に照射される。

0038

一方、反射したレーザ光のs成分は、反射ミラー111〜114を経た後、入射角がブリュースタ角になるように配置されたTFP107によって反射し、反射ミラー108、109、光学系110を経て、基板に照射される。レーザ光のs成分は、反射ミラー111〜114を経ることによって、レーザ光のs成分にのみ光路長が追加され、TFP106を透過したレーザ光のp成分との光路差ができる。この追加した光路長を光速で割った値がレーザ光が基板に照射されるときのp成分とs成分の時間差となる。つまり、1つのパルスレーザを2つに分離し、一方のパルスに光路差を設けることで、基板に照射する際、一方のパルスを他方のパルスよりも遅延させて照射することができ、半導体膜の冷却速度を緩やかなものにすることができる。そのため、結晶核の生成密度が低くなり、かつ、結晶化時間が長くなるため、大粒径の結晶粒を形成することができる。

0039

本実施形態では、レーザ光の偏光成分であるs成分とp成分で分割している。s成分とp成分は互いに独立な成分であるため、合成したときに干渉は起こらない。そのため、干渉性の高いレーザ発振器を用いる場合には、非常に有効な分割方法の1つである。また、異なるレーザ発振器から発振されたそれぞれのレーザ光のs成分とp成分を合成する場合には、合成方法が容易となる。例えば、図1ミラー114の代わりに他のレーザ発振器を設置すれば、それぞれのレーザ光を合成することができる。

0040

なお、本実施形態では、1つのレーザ光の分割数を2としたが、複数であるなら分割数は2に限らず、また、分割されたパルスのそれぞれのエネルギー密度は同じでなくてもよい。本実施形態では、λ/2板105によりエネルギー密度を変えることが可能である。例えば、1パルス目のレーザ光のエネルギー密度が2パルス目以降のレーザ光のエネルギー密度と同じか高い場合は、溶融時間が長くなるので冷却速度を遅くすることができる。また、1パルス目のレーザ光のエネルギー密度が2パルス目以降のレーザ光のエネルギー密度と同じか高い場合は、1パルス目のレーザ光により半導体膜が温められるため、さらなる大粒径化が期待できる。また、追加する光路長、レーザ光の分割数は半導体膜の状態、レーザ発振器の種類等によって、最適値は異なる。

0041

[実施形態2]本実施形態では、実施形態1と異なる実施形態について説明する。本実施形態では、レーザ発振器を複数用いるレーザ照射装置の例を示す。

0042

図2は本発明のレーザ照射装置の構成の例を示す図である。このレーザ照射装置は、レーザ発振器121a、121b、反射ミラー122、124、125、TFP123、レーザ光を線状に加工する光学系126を有している。

0043

レーザ発振器121a、121bから同時にレーザ光を発振させる。図示しないが、TFPを用いて、レーザ発振器121aから出たレーザ光1はs成分のみになっており、レーザ発振器121bから出たレーザ光2はp成分のみになっているとする。レーザ光1は、反射ミラー122よって反射したのち、TFP123に到達する。一方、レーザ光2は、反射ミラー等を経ずにTFP123に到達する。そのため、レーザ光1およびレーザ光2において、反射ミラー122とTFP123の距離による光路差ができ、基板に到達するのに時間差が生じ、半導体膜の冷却速度が緩やかなものとなる。そのため、結晶核の生成密度が低くなり、かつ、結晶化時間が長くなるため、大粒径の結晶粒を形成することができる。また、反射ミラー122とTFP123の距離を変えることで、レーザ発振器121a、121bから出たレーザ光の光路差を任意に変えることができる。

0044

さらに、レーザ発振器121a、121bからレーザ光を発振させるときに、例えばレーザ発振器121bを発振させてから、レーザ発振器121aを発振させる方法もある。レーザ発振器121a、121bを同時に発振させたときに比べて、反射ミラー122とTFP123の光路差を作らなくて良いので、コンパクトなレーザ照射装置になる。

0045

本実施形態のように、異なるレーザ発振器から発振されたそれぞれのレーザ光のs成分とp成分を合成する場合、合成方法が容易となる。そのため、光学系が複雑にならず、光学調整や装置の小型化などの点で非常に有効である。

0046

なお、本実施形態では、2つのレーザ発振器を用いたが、複数であるならば2に限らないし、複数のパルスのエネルギー密度は同じでなくてもよい。また、追加する光路長、レーザ発振器の数等は半導体膜の状態、レーザ発振器の種類等によって、最適値は異なる。

0047

[実施形態3]本実施形態では、実施形態1および実施形態2とは異なる実施形態について説明する。本実施形態では、レーザ発振器を複数用いるレーザ照射装置の例を示す。

0048

図29は本発明のレーザ照射装置の構成の例を示す図である。このレーザ照射装置は、レーザ発振器221a、221b、レーザ光を線状に加工する光学系226を有している。

0049

レーザ発振器221a、221bから、レーザの発振を制御する装置(図示せず)により時間差を設けてレーザ光を発振させる。レーザ発振器221a、221bから光学系226までの光路長は同じであるが、レーザ光を発振させる時間が異なっているため、基板に到達するのに時間差が生じ、半導体膜の冷却速度が緩やかなものとなる。そのため、結晶核の生成密度が低くなり、かつ、結晶化時間が長くなるため、大粒径の結晶粒を形成することができる。また、レーザ発振器221a、221bからレーザ光を発振させる時間差を変えることで基板に到達するそれぞれのレーザ光の時間差を任意に変えることができる。

0050

本実施形態は、複数のレーザ発振器のうちの少なくとも1つのレーザ発振器から基板までの光路長を追加して光路差を形成することがないので、コンパクトなレーザ照射装置になる。

0051

なお、本実施形態では、2つのレーザ発振器を用いたが、複数であるならば2つに限らないし、複数のレーザ光のエネルギー密度は同じでなくてもよい。

0052

以上の構成でなる本発明について、以下に示す実施例によりさらに詳細な説明を行なうこととする。

0053

[実施例1]本発明の実施例について説明する。

0054

図1は本発明のレーザ照射装置の構成の例を示す図である。このレーザ照射装置は固体レーザ発振器101、反射ミラー102、103、108、109、111〜115、λ/2板105、薄膜偏光素子(TFP;Thin Film Polarizer)106、107、レーザ光を線状に加工する光学系110を有している。また、104はエネルギーモニタ系であり、115はシャッター系である。本実施例では固体レーザ発振器として、YAGレーザを用い、前記YAGレーザを発信源とするレーザ光の出力時間は6.7nsであった。

0055

レーザ発振器101からのレーザ光は、反射ミラー102、103によって反射され、λ/2板105に到達する。λ/2板105を光路上に配置することで、TFP106によって分離するビームの強度分布比を任意に変えることができる。本実施例では、TFP106によって分割し、形成される2つのレーザ光の強度が同じになるようにした。

0056

そして、レーザ光の入射角がブリュースタ角になるようにTFP106を配置させれば、レーザ光のp成分(電界ベクトルが入射面内で振動する成分)の反射光が0になるため、レーザ光のp成分はTFPを透過し、レーザ光のs成分(入射面と垂直の面内で振動する成分)のみが反射する。透過したレーザ光のp成分は反射ミラー108、109、光学系110を経て、基板に照射される。

0057

一方、反射したレーザ光のs成分は、反射ミラー111〜114を経た後、入射角がブリュースタ角になるように配置されたTFP107によって反射し、反射ミラー108、109、光学系110を経て、基板に照射される。レーザ光のs成分は、反射ミラー111〜114を経ることによって、レーザ光のs成分にのみ光路長が追加され、TFP106を透過したレーザ光のp成分との光路差ができる。この追加した光路長を光速で割った値がレーザ光が基板に照射されるときのp成分とs成分の時間差となる。つまり、1つのパルスレーザを2つに分離し、一方のパルスに光路長を追加することで、半導体膜に照射する際、一方のパルスを他方のパルスよりも遅延させて照射することができ、半導体膜の冷却速度を緩やかなものにすることができる。そのため、結晶核の生成密度が低くなり、かつ、結晶化時間が長くなるため、大粒径の結晶粒を形成することができる。

0058

また、本実施例からなる構成のレーザ照射装置において、分割した一方のパルスを珪素膜に照射した後、もう一方のパルスをそれぞれ10、20、30ns遅延させて珪素膜に照射するシミュレーションを行なった。10ns遅延させるには、
遅延時間=追加した光路長/光速
であるから、光路差は、
10×10-9[s]×3×108[m/s]=3[m]
となる。つまり、図1において、TFP106から反射ミラー111〜114を経てTFP107に至るまでの光路長(本実施例において、レーザ光のs成分が通る光路長)と、TFP106からTFP107までの光路長(本実施例において、レーザ光のp成分が通る光路長)の差が3mとすれば、照射面においてレーザ光のs成分がレーザ光のp成分より10ns遅延して照射されることになる。

0059

レーザ発振器から発振されたレーザ光のパルス形状は図8(A)であり、図8(A)で示すパルスを2分割して、10、20、30ns遅延させたときのパルス形状はそれぞれ図8(B)〜(D)に示す通りである。図8(B)〜(D)で示すパルス形状のYAGレーザの第2高調波を、図3に示す構造からなる珪素膜に照射し、図3のA〜C点において時間に対する温度について計算した。その結果をそれぞれ、図10(A)〜(C)、図10(D)〜(F)および図11に示す。なお、比較のため、図8(A)で示すパルス形状のYAGレーザの第2光長波図3に示す構造からなる珪素膜に照射し、図3のA〜C点において時間に対する温度についてのシミュレーション結果を図9に示した。ここで、エネルギー密度は0.2〜0.4Jした。図9では、結晶化時間および溶融時間が短く、特にエネルギー密度が低い条件では、A点の温度変化にC点の温度が追随していない。しかし、図10で示すように遅延時間が長くなるにつれて、結晶化時間および溶融時間が長くなる傾向が見られる。つまり、一方のパルスを照射後、もう一方のパルスを遅延させて照射することで、出力時間を長くした場合と同様に、冷却速度が緩やかなものとなる。そのため、結晶核の生成密度が低くなり、かつ、結晶化時間が長くなるため、大粒径の結晶粒を形成することができる。このようにして形成された結晶質半導体膜を用いてTFTを作製すれば、前記TFTの電気的特性は良好なものとなる。

0060

なお、本実施例では2つのレーザ光の強度が同じになるように形成したが、もちろん、同じでなくても良い。本実施例において、レーザ光のp成分が半導体膜に照射した後、反射ミラー111〜114によって光路長を追加されたレーザ光のs成分が前記半導体膜に照射される。前記レーザ光のp成分の方が前記レーザ光のs成分よりも強度が強いときは、前記レーザ光のp成分によって溶融された前記半導体膜が結晶化を開始する前に、前記レーザ光のs成分が照射されるのが望ましい。また、前記レーザ光のp成分の方が前記レーザ光のs成分よりも強度が弱いときは、前記レーザ光のs成分が照射されて、半導体膜が溶融するのが望ましい。

0061

[実施例2]本実施例では、実施例1のレーザ照射装置を用いて、半導体膜にレーザ光を照射したときに得られた結晶粒について説明する。

0062

まず、基板上に半導体膜を形成する。本実施例では基板としてコーニング社製1737ガラス基板を用意し、プラズマCVD法を用いて54nmの非晶質珪素膜成膜した。続いて、レーザ光を用いたレーザアニールにより半導体膜の結晶化を行なう。レーザアニールにより結晶化をする際、半導体膜が含有する水素を放出させておくことが望ましく、400〜500℃で窒素雰囲気に1時間程度曝して、含有する水素量を5atom%以下にしておくと良い。これにより、膜の耐レーザ性が著しく向上する。本実施例では、前記基板を温度500℃の窒素雰囲気中に1時間曝した。

0063

そして、図1の構成のレーザ照射装置を用いて、半導体膜の結晶化を行なう。本実施例では、λ/2板105および薄膜偏光素子106によってレーザ光を同じエネルギーになるように2分割してダブルパルスを作り、分割した一方のパルスを半導体膜に照射した後、他方のパルスを10ns遅延させて照射した。比較のため、レーザ光を分割せずにシングルパルスとして半導体膜に照射した場合も行なった。また、同じ照射位置で、ショット数を変化させて照射も行なった。

0064

実験の結果を図13および図14に示す。図13および図14レーザ照射後の半導体膜にセコエッチングを行なってから、SEMにより5万倍にて観察した結果の一例である。図13はシングルパルスを20ショット照射後の半導体膜を示し、図14はダブルパルスを12ショット照射後の半導体膜を示している。図13および図14より、レーザ光を2分割して照射した方が、大粒径の結晶粒が得られることがわかる。また、図15は、ショット数を変化させたときに、形成された結晶粒の最大粒径を測定した結果である。図15からも、レーザ光を2分割して照射した方が、大粒径の結晶粒が得られることがわかる。

0065

以上のように、レーザ光を分割して半導体膜に照射すると、大粒径の結晶粒が形成されることが実験的にも確認できた。このようにして形成された結晶質半導体膜を用いてTFTを作製すれば、前記TFTの電気的特性は良好なものとなる。

0066

[実施例3]本実施例では、実施例1と異なる実施例を図2を用いて説明する。本実施形態では、レーザ発振器を複数用いるレーザ照射装置の例を示す。

0067

図2は本発明のレーザ照射装置の構成の例を示す図である。このレーザ照射装置は、レーザ発振器121a、121b、反射ミラー122、124、125、TFP123、レーザ光を線状に加工する光学系126を有している。本実施例では、レーザ発振器として、YAGレーザを2台用いた。

0068

レーザ発振器121a、121bから同時にレーザ光を発振させる。図示しないが、TFPを用いて、レーザ発振器121aから出たレーザ光1はs成分のみになっており、レーザ発振器121bから出たレーザ光2はp成分のみになっているとする。レーザ光1は、反射ミラー122よって反射したのち、TFP123に到達する。一方、レーザ光2は、反射ミラー等を経ずにTFP123に到達する。そのため、レーザ光1およびレーザ光2において、反射ミラー122とTFP123の距離による光路差ができ、基板に到達するのに時間差が生じ、半導体膜の冷却速度が緩やかなものとなる。そのため、結晶核の生成密度が低くなり、かつ、結晶化時間が長くなるため、大粒径の結晶粒を形成することができる。このようにして形成された結晶質半導体膜を用いてTFTを作製すれば、前記TFTの電気的特性は良好なものとなる。また、反射ミラー122とTFP123の距離を変えることで、レーザ発振器121a、121bから出たレーザ光の光路差を任意に変えることができる。

0069

さらに、レーザ発振器121a、121bからレーザ光を発振させるときに、例えばレーザ発振器121bを発振させてから、レーザ発振器121aを発振させる方法もある。レーザ発振器121a、121bを同時に発振させたときに比べて、反射ミラー122とTFP123の光路差を作らなくて良いので、コンパクトなレーザ照射装置になる。

0070

[実施例4]本実施例では、実施例1および実施例2を組み合わせたレーザ照射装置の例を示す。

0071

図16は本発明のレーザ照射装置の構成の例を示す図である。このレーザ照射装置は固体レーザ発振器131a、131b、反射ミラー132、138、139、141〜145、λ/2板135、薄膜偏光素子(TFP;Thin Film Polarizer)133、136、137、レーザ光を線状に加工する光学系140を有している。また、134はエネルギーモニタ系であり、145はシャッター系である。本実施例では固体レーザ発振器として、YAGレーザを2台用いた。

0072

レーザ発振器131a、131bから同時にレーザ光を発振させる。図示しないが、TFPを用いて、レーザ発振器131aから出たレーザ光1はs成分のみになっており、レーザ発振器131bから出たレーザ光2はp成分のみになっているとする。レーザ光1は、反射ミラー132よって反射したのち、TFP133に到達する。一方、レーザ光2は、反射ミラー等を経ずにTFP133に到達する。そのため、レーザ光1およびレーザ光2において、反射ミラー132とTFP133の距離による光路差ができ、基板に到達するのに時間差が生じる。

0073

そして、レーザ光の入射角がブリュースタ角になるようにTFP136を配置させれば、レーザ光のp成分(電界ベクトルが入射面内で振動する成分)の反射光が0になるため、レーザ光のp成分はTFPを透過し、レーザ光のs成分(入射面と垂直の面内で振動する成分)のみが反射する。透過したレーザ光のp成分は反射ミラー138、139、光学系140を経て、基板に照射される。

0074

一方、反射したレーザ光のs成分は、反射ミラー141〜144を経た後、入射角がブリュースタ角になるように配置されたTFP137によって反射し、反射ミラー138、139、光学系140を経て、基板に照射される。レーザ光のs成分は、反射ミラー141〜144を経ることによって、レーザ光のs成分にのみ光路長が追加され、TFP136を透過したレーザ光のp成分との光路差ができる。

0075

つまり、本実施例では、反射ミラー132とTFP133の距離による光路差および反射ミラー141〜144による光路差によって、基板に到達するレーザ光に時間差が生じ、半導体膜の冷却速度を緩やかなものにすることができる。そのため、結晶核の生成密度が低くなり、かつ、結晶化時間が長くなるため、大粒径の結晶粒を形成することができる。このようにして形成された結晶質半導体膜を用いてTFTを作製すれば、前記TFTの電気的特性は良好なものとなる。

0076

[実施例5]本実施例ではアクティブマトリクス基板の作製方法について図17〜21を用いて説明する。

0077

まず、本実施例ではコーニング社の#7059ガラスや#1737ガラスなどに代表されるバリウムホウケイ酸ガラス、またはアルミノホウケイ酸ガラスなどのガラスからなる基板300を用いる。なお、基板300としては、石英基板シリコン基板金属基板またはステンレス基板の表面に絶縁膜を形成したものを用いても良い。また、本実施例の処理温度に耐えうる耐熱性が有するプラスチック基板を用いてもよい。

0078

次いで、基板300上に酸化珪素膜、窒化珪素膜または酸化窒化珪素膜などの絶縁膜から成る下地膜301を形成する。本実施例では下地膜301として2層構造を用いるが、前記絶縁膜の単層膜または2層以上積層させた構造を用いても良い。下地膜301の一層目としては、プラズマCVD法を用い、SiH4、NH3、及びN2Oを反応ガスとして成膜される酸化窒化珪素膜301aを10〜200nm(好ましくは50〜100nm)形成する。本実施例では、膜厚50nmの酸化窒化珪素膜301a(組成比Si=32%、O=27%、N=24%、H=17%)を形成した。次いで、下地膜301のニ層目としては、プラズマCVD法を用い、SiH4、及びN2Oを反応ガスとして成膜される酸化窒化珪素膜301bを50〜200nm(好ましくは100〜150nm)の厚さに積層形成する。本実施例では、膜厚100nmの酸化窒化珪素膜301b(組成比Si=32%、O=59%、N=7%、H=2%)を形成した。

0079

次いで、下地膜上に半導体膜302を形成する。半導体膜302は、非晶質構造を有する半導体膜を公知の手段(スパッタ法LPCVD法、またはプラズマCVD法等)により、25〜200nm、好ましくは25〜80nm(代表的は30〜60nm)の厚さで形成する。半導体膜の材料に限定はないが、好ましくは珪素または珪素ゲルマニウム(SiGe)合金などで形成すると良い。本実施例では、プラズマCVD法を用い、55nmの非晶質珪素膜を成膜した。

0080

続いて、半導体膜の結晶化を行なう。半導体膜の結晶化にはレーザアニール法を適用する。半導体膜の結晶化には、レーザアニール法の他に、熱結晶化法、またはニッケルなどの触媒を用いた熱結晶化法等があり、これらの結晶化法のいずれかとレーザアニール法と組み合わせて行なっても良い。レーザアニールには、本発明を適用して実施する。例えば、パルス発振型の固体レーザ(YAGレーザ、YVO4レーザ等)や金属レーザ(ヘリウムカドミウムレーザ、銅蒸気レーザ、金蒸気レーザ等)を光源とするレーザ光を複数のレーザ光に分割して、少なくとも1つのレーザ光の照射面までの光路長を他のレーザ光の前記照射面までの光路長より長くして半導体膜に照射する。本実施例では、基板を温度500℃の窒素雰囲気中に1時間曝した後、図1で示したレーザ照射装置を用いて半導体膜の結晶化を行い、大粒径の結晶粒を有する結晶質珪素膜を形成した。このとき、レーザ発振器にはYAGレーザを用い、非線形光学素子により第2高調波に変調したレーザ光を、光学系により線状ビームに加工して半導体膜に照射した。線状ビームを半導体膜に照射する際、線状ビームの重ね合わせ率(オーバーラップ率)を50〜98%として照射しても良いが、半導体膜の状態やレーザ光の遅延時間等によって最適条件は異なるため、実施者が適宜決定すれば良い。

0081

このようにして得られた結晶質半導体膜を所望の形状にパターニングして、半導体層402〜406を形成する。本実施例では、結晶質珪素膜をフォトリソグラフィ法を用いたパターニング処理によって、半導体層402〜406を形成した。

0082

半導体層402〜406を形成した後、TFTのしきい値を制御するために微量な不純物元素ボロンまたはリン)のドーピングを行なってもよい。

0083

次いで、半導体層402〜406を覆うゲート絶縁膜407を形成する。ゲート絶縁膜407はプラズマCVD法またはスパッタ法を用い、厚さを40〜150nmとして珪素を含む絶縁膜で形成する。本実施例では、プラズマCVD法により110nmの厚さで酸化窒化珪素膜(組成比Si=32%、O=59%、N=7%、H=2%)で形成した。もちろん、ゲート絶縁膜は酸化窒化珪素膜に限定されるものでなく、他の珪素を含む絶縁膜を単層または積層構造として用いても良い。

0084

また、酸化珪素膜を用いる場合には、プラズマCVD法でTEOS(Tetraethyl Orthosilicate)とO2とを混合し、反応圧力40Pa、基板温度300〜400℃とし、高周波(13.56MHz)電力密度0.5〜0.8W/cm2で放電させて形成することができる。このようにして作製される酸化珪素膜は、その後400〜500℃の熱アニールによりゲート絶縁膜として良好な特性を得ることができる。

0085

次いで、図17(B)に示すように、ゲート絶縁膜407上に膜厚20〜100nmの第1の導電膜408と、膜厚100〜400nmの第2の導電膜409とを積層形成する。本実施例では、膜厚30nmのTaN膜からなる第1の導電膜408と、膜厚370nmのW膜からなる第2の導電膜409を積層形成した。TaN膜はスパッタ法で形成し、Taのターゲットを用い、窒素を含む雰囲気内でスパッタした。また、W膜は、Wのターゲットを用いたスパッタ法で形成した。その他に6フッ化タングステン(WF6)を用いる熱CVD法で形成することもできる。いずれにしてもゲート電極として使用するためには低抵抗化を図る必要があり、W膜の抵抗率は20μΩcm以下にすることが望ましい。W膜は結晶粒を大きくすることで低抵抗率化を図ることができるが、W膜中に酸素などの不純物元素が多い場合には結晶化が阻害され高抵抗化する。従って、本実施例では、高純度のW(純度99.9999%)のターゲットを用いたスパッタ法で、さらに成膜時に気相中からの不純物混入がないように十分配慮してW膜を形成することにより、抵抗率9〜20μΩcmを実現することができた。

0086

なお、本実施例では、第1の導電膜408をTaN、第2の導電膜409をWとしたが、特に限定されず、いずれもTa、W、Ti、Mo、Al、Cu、Cr、Ndから選ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で形成してもよい。また、リン等の不純物元素をドーピングした結晶質珪素膜に代表される半導体膜を用いてもよい。また、AgPdCu合金を用いてもよい。また、第1の導電膜をタンタル(Ta)膜で形成し、第2の導電膜をW膜とする組み合わせ、第1の導電膜を窒化チタン(TiN)膜で形成し、第2の導電膜をW膜とする組み合わせ、第1の導電膜を窒化タンタル(TaN)膜で形成し、第2の導電膜をAl膜とする組み合わせ、第1の導電膜を窒化タンタル(TaN)膜で形成し、第2の導電膜をCu膜とする組み合わせとしてもよい。

0087

次に、フォトリソグラフィ法を用いてレジストからなるマスク410〜415を形成し、電極及び配線を形成するための第1のエッチング処理を行なう。第1のエッチング処理では第1及び第2のエッチング条件で行なう。本実施例では第1のエッチング条件として、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマエッチング法を用い、エッチング用ガスにCF4とCl2とO2とを用い、それぞれのガス流量比を25:25:10(sccm)とし、1Paの圧力でコイル型の電極に500WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成してエッチングを行った。ここでは、松下電器産業(株)製のICPを用いたドライエッチング装置(Model E645−□ICP)を用いた。基板側(試料ステージ)にも150WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧印加する。この第1のエッチング条件によりW膜をエッチングして第1の導電層の端部をテーパー形状とする。

0088

この後、レジストからなるマスク410〜415を除去せずに第2のエッチング条件に変え、エッチング用ガスにCF4とCl2とを用い、それぞれのガス流量比を30:30(sccm)とし、1Paの圧力でコイル型の電極に500WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成して約30秒程度のエッチングを行った。基板側(試料ステージ)にも20WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。CF4とCl2を混合した第2のエッチング条件ではW膜及びTaN膜とも同程度にエッチングされる。なお、ゲート絶縁膜上に残渣を残すことなくエッチングするためには、10〜20%程度の割合でエッチング時間を増加させると良い。

0089

上記第1のエッチング処理では、レジストからなるマスクの形状を適したものとすることにより、基板側に印加するバイアス電圧の効果により第1の導電層及び第2の導電層の端部がテーパー形状となる。このテーパー部の角度は15〜45°となる。こうして、第1のエッチング処理により第1の導電層と第2の導電層から成る第1の形状の導電層417〜422(第1の導電層417a〜422aと第2の導電層417b〜422b)を形成する。416はゲート絶縁膜であり、第1の形状の導電層417〜422で覆われない領域は20〜50nm程度エッチングされ薄くなった領域が形成される。

0090

そして、レジストからなるマスクを除去せずに第1のドーピング処理を行い、半導体層にn型を付与する不純物元素を添加する。(図18(A))ドーピング処理はイオンドープ法、若しくはイオン注入法で行なえば良い。イオンドープ法の条件はドーズ量を1×1013〜5×1015/cm2とし、加速電圧を60〜100keVとして行なう。本実施例ではドーズ量を1.5×1015/cm2とし、加速電圧を80keVとして行った。n型を付与する不純物元素として15族に属する元素、典型的にはリン(P)または砒素(As)を用いるが、ここではリン(P)を用いた。この場合、導電層417〜421がn型を付与する不純物元素に対するマスクとなり、自己整合的に第1の高濃度不純物領域306〜310が形成される。第1の高濃度不純物領域306〜310には1×1020〜1×1021/cm3の濃度範囲でn型を付与する不純物元素を添加する。

0091

次いで、レジストからなるマスクを除去せずに第2のエッチング処理を行なう。ここでは、エッチングガスにCF4とCl2とO2とを用い、W膜を選択的にエッチングする。この時、第2のエッチング処理により第2の導電層428b〜433bを形成する。一方、第1の導電層417a〜422aは、ほとんどエッチングされず、第2の形状の導電層428〜433を形成する。

0092

次いで、レジストからなるマスクを除去せずに、図18(B)に示すように、第2のドーピング処理を行なう。この場合、第1のドーピング処理よりもドーズ量を下げて、70〜120keVの高い加速電圧で、n型を付与する不純物元素を導入する。本実施例ではドーズ量を1.5×1014/cm2とし、加速電圧を90keVとして行なった。第2のドーピング処理は第2の形状の導電層428〜433をマスクとして用い、第2の導電層428b〜433bの下方における半導体層にも不純物元素が導入され、新たに第2の高濃度不純物領域423a〜427aおよび低濃度不純物領域423b〜427bが形成される。

0093

次いで、レジストからなるマスクを除去した後、新たにレジストからなるマスク434aおよび434bを形成して、図18(C)に示すように、第3のエッチング処理を行なう。エッチング用ガスにSF6およびCl2とを用い、ガス流量比を50:10(sccm)とし、1.3Paの圧力でコイル型の電極に500WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成し、約30秒のエッチング処理を行なう。基板側(資料ステージ)には10WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的には負の自己バイアス電圧を印加する。こうして、前記第3のエッチング処理により、pチャネル型TFTおよび画素部のTFT(画素TFT)のTaN膜をエッチングして、第3の形状の導電層435〜438を形成する。

0094

次いで、レジストからなるマスクを除去した後、第2の形状の導電層428、430および第2の形状の導電層435〜438をマスクとして用い、ゲート絶縁膜416を選択的に除去して絶縁層439〜444を形成する。(図19(A))

0095

次いで、新たにレジストからなるマスク445a〜445cを形成して第3のドーピング処理を行なう。この第3のドーピング処理により、pチャネル型TFTの活性層となる半導体層に前記一導電型とは逆の導電型を付与する不純物元素が添加された不純物領域446、447を形成する。第2の導電層435a、438aを不純物元素に対するマスクとして用い、p型を付与する不純物元素を添加して自己整合的に不純物領域を形成する。本実施例では、不純物領域446、447はジボラン(B2H6)を用いたイオンドープ法で形成する。(図19(B))この第3のドーピング処理の際には、nチャネル型TFTを形成する半導体層はレジストからなるマスク445a〜445cで覆われている。第1のドーピング処理及び第2のドーピング処理によって、不純物領域446、447にはそれぞれ異なる濃度でリンが添加されているが、そのいずれの領域においてもp型を付与する不純物元素の濃度を2×1020〜2×1021/cm3となるようにドーピング処理することにより、pチャネル型TFTのソース領域およびドレイン領域として機能するために何ら問題は生じない。本実施例では、pチャネル型TFTの活性層となる半導体層の一部が露呈しているため、不純物元素(ボロン)を添加しやすい利点を有している。

0096

以上までの工程で、それぞれの半導体層に不純物領域が形成される。

0097

次いで、レジストからなるマスク445a〜445cを除去して第1の層間絶縁膜461を形成する。この第1の層間絶縁膜461としては、プラズマCVD法またはスパッタ法を用い、厚さを100〜200nmとして珪素を含む絶縁膜で形成する。本実施例では、プラズマCVD法により膜厚150nmの酸化窒化珪素膜を形成した。もちろん、第1の層間絶縁膜461は酸化窒化珪素膜に限定されるものでなく、他の珪素を含む絶縁膜を単層または積層構造として用いても良い。

0098

次いで、図19(C)に示すように、加熱処理を行なって、半導体層の結晶性の回復、それぞれの半導体層に添加された不純物元素の活性化を行なう。この加熱処理はファーネスアニール炉を用いる熱アニール法で行なう。熱アニール法としては、酸素濃度が1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下の窒素雰囲気中で400〜700℃、代表的には500〜550℃で行なえばよく、本実施例では550℃、4時間の熱処理活性化処理を行った。なお、熱アニール法の他に、固体レーザや金属レーザ等を用いるレーザアニール法、またはラピッドサーマルアニール法RTA法)を適用することができる。

0099

なお、結晶化の際にニッケルなどを触媒として熱結晶化法も適用した場合は、上記活性化処理と同時に、金属元素高濃度のリンを含む不純物領域423a、425a、426a、446a、447aを結晶化する。そのため、前記不純物領域に前記金属元素がゲッタリングされ、主にチャネル形成領域となる半導体層中金属元素濃度が低減される。このようにして作製したチャネル形成領域を有するTFTはオフ電流値が下がり、結晶性が良いことから高い電界効果移動度が得られ、良好な特性を達成することができる。

0100

また、第1の層間絶縁膜を形成する前に加熱処理を行なっても良い。ただし、用いた配線材料が熱に弱い場合には、本実施例のように配線等を保護するため層間絶縁膜(珪素を主成分とする絶縁膜、例えば窒化珪素膜)を形成した後で活性化処理を行なうことが好ましい。

0101

さらに、3〜100%の水素を含む雰囲気中で、300〜550℃で1〜12時間の熱処理を行い、半導体層を水素化する工程を行なう。本実施例では水素を約3%の含む窒素雰囲気中で410℃、1時間の熱処理を行なった。この工程は層間絶縁膜に含まれる水素により半導体層のダングリングボンド終端する工程である。水素化の他の手段として、プラズマ水素化(プラズマにより励起された水素を用いる)を行なっても良い。

0102

また、活性化処理としてレーザアニール法を用いる場合には、上記水素化を行った後、YAGレーザ等のレーザビームを照射することが望ましい。

0103

次いで、第1の層間絶縁膜461上に無機絶縁膜材料または有機絶縁物材料から成る第2の層間絶縁膜462を形成する。本実施例では、膜厚1.6μmのアクリル樹脂膜を形成したが、粘度が10〜1000cp、好ましくは40〜200cpのものを用い、表面に凸凹が形成されるものを用いた。

0104

本実施例では、鏡面反射を防ぐため、表面に凸凹が形成される第2の層間絶縁膜を形成することによって画素電極の表面に凸凹を形成した。また、画素電極の表面に凹凸を持たせて光散乱性を図るため、画素電極の下方の領域に凸部を形成してもよい。その場合、凸部の形成は、TFTの形成と同じフォトマスクで行なうことができるため、工程数の増加なく形成することができる。なお、この凸部は配線及びTFT部以外の画素部領域の基板上に適宜設ければよい。こうして、凸部を覆う絶縁膜の表面に形成された凸凹に沿って画素電極の表面に凸凹が形成される。

0105

また、第2の層間絶縁膜462として表面が平坦化する膜を用いてもよい。その場合は、画素電極を形成した後、公知のサンドブラスト法やエッチング法等の工程を追加して表面を凹凸化させて、鏡面反射を防ぎ、反射光を散乱させることによって白色度を増加させることが好ましい。

0106

そして、駆動回路506において、各不純物領域とそれぞれ電気的に接続する配線463〜467を形成する。なお、これらの配線は、膜厚50nmのTi膜と、膜厚500nmの合金膜(AlとTiとの合金膜)との積層膜をパターニングして形成する。

0107

また、画素部507においては、画素電極470、ゲート配線469、接続電極468を形成する。(図20)この接続電極468によりソース配線(443bと449の積層)は、画素TFTと電気的な接続が形成される。また、ゲート配線469は、画素TFTのゲート電極と電気的な接続が形成される。また、画素電極470は、画素TFTのドレイン領域442と電気的な接続が形成され、さらに保持容量を形成する一方の電極として機能する半導体層458と電気的な接続が形成される。また、画素電極470としては、AlまたはAgを主成分とする膜、またはそれらの積層膜等の反射性の優れた材料を用いることが望ましい。

0108

以上の様にして、nチャネル型TFT501とpチャネル型TFT502からなるCMOS回路、及びnチャネル型TFT503を有する駆動回路506と、画素TFT504、保持容量505とを有する画素部507を同一基板上に形成することができる。こうして、アクティブマトリクス基板が完成する。

0109

駆動回路506のnチャネル型TFT501はチャネル形成領域423c、ゲート電極の一部を構成する第1の導電層428aと重なる低濃度不純物領域423b(GOLD領域)、とソース領域またはドレイン領域として機能する高濃度不純物領域423aを有している。このnチャネル型TFT501と電極466で接続してCMOS回路を形成するpチャネル型TFT502にはチャネル形成領域446d、ゲート電極の外側に形成される不純物領域446b、446c、ソース領域またはドレイン領域として機能する高濃度不純物領域446aを有している。また、nチャネル型TFT503にはチャネル形成領域425c、ゲート電極の一部を構成する第1の導電層430aと重なる低濃度不純物領域425b(GOLD領域)、とソース領域またはドレイン領域として機能する高濃度不純物領域425aを有している。

0110

画素部の画素TFT504にはチャネル形成領域426c、ゲート電極の外側に形成される低濃度不純物領域426b(LDD領域)とソース領域またはドレイン領域として機能する高濃度不純物領域426aを有している。また、保持容量505の一方の電極として機能する半導体層447a、447bには、それぞれp型を付与する不純物元素が添加されている。保持容量505は、絶縁膜444を誘電体として、電極(438aと438bの積層)と、半導体層447a〜447cとで形成している。

0111

また、本実施例の画素構造は、ブラックマトリクスを用いることなく、画素電極間の隙間が遮光されるように、画素電極の端部をソース配線と重なるように配置形成する。

0112

また、本実施例で作製するアクティブマトリクス基板の画素部の上面図を図21に示す。なお、図17図20に対応する部分には同じ符号を用いている。図20中の鎖線A−A’は図21中の鎖線A—A’で切断した断面図に対応している。また、図20中の鎖線B−B’は図21中の鎖線B—B’で切断した断面図に対応している。

0113

なお、本実施例は実施例1乃至4と自由に組み合わせることが可能である。

0114

[実施例6]本実施例では、実施例5で作製したアクティブマトリクス基板から、反射型液晶表示装置を作製する工程を以下に説明する。説明には図22を用いる。

0115

まず、実施例5に従い、図20の状態のアクティブマトリクス基板を得た後、図20のアクティブマトリクス基板上、少なくとも画素電極470上に配向膜567を形成しラビング処理を行なう。なお、本実施例では配向膜567を形成する前に、アクリル樹脂膜等の有機樹脂膜をパターニングすることによって基板間隔を保持するための柱状のスペーサ572を所望の位置に形成した。また、柱状のスペーサに代えて、球状のスペーサを基板全面に散布してもよい。

0116

次いで、対向基板569を用意する。次いで、対向基板569上に着色層570、571、平坦化膜573を形成する。赤色の着色層570と青色の着色層572とを重ねて、遮光部を形成する。また、赤色の着色層と緑色の着色層とを一部重ねて、遮光部を形成してもよい。

0117

本実施例では、実施例5に示す基板を用いている。従って、実施例5の画素部の上面図を示す図21では、少なくともゲート配線469と画素電極470の間隙と、ゲート配線469と接続電極468の間隙と、接続電極468と画素電極470の間隙を遮光する必要がある。本実施例では、それらの遮光すべき位置に着色層の積層からなる遮光部が重なるように各着色層を配置して、対向基板を貼り合わせた。

0118

このように、ブラックマスク等の遮光層を形成することなく、各画素間の隙間を着色層の積層からなる遮光部で遮光することによって工程数の低減を可能とした。

0119

次いで、平坦化膜573上に透明導電膜からなる対向電極576を少なくとも画素部に形成し、対向基板の全面に配向膜574を形成し、ラビング処理を施した。

0120

そして、画素部と駆動回路が形成されたアクティブマトリクス基板と対向基板とをシール材568で貼り合わせる。シール材568にはフィラーが混入されていて、このフィラーと柱状スペーサによって均一な間隔を持って2枚の基板が貼り合わせられる。その後、両基板の間液晶材料575を注入し、封止剤(図示せず)によって完全に封止する。液晶材料575には公知の液晶材料を用いれば良い。このようにして図22に示す反射型液晶表示装置が完成する。そして、必要があれば、アクティブマトリクス基板または対向基板を所望の形状に分断する。さらに、対向基板のみに偏光板(図示しない)を貼りつけた。そして、公知の技術を用いてFPCを貼りつけた。

0121

以上のようにして作製される液晶表示装置は大粒径の結晶粒が形成された半導体膜を用いて作製されたTFTを有しており、前記液晶表示装置の動作特性信頼性を十分なものとなり得る。そして、このような液晶表示装置は各種電子機器の表示部として用いることができる。

0122

なお、本実施例は実施例1乃至5と自由に組み合わせることが可能である。

0123

[実施例7]本実施例では、実施例5で示したアクティブマトリクス基板を作製するときのTFTの作製方法を用いて、発光装置として、EL(Electro Luminescence;エレクトロルミネセンス表示装置を作製した例について説明する。ELとは、電場を加えることで発生するルミネッセンスが得られる有機化合物を含む層(EL素子)を光源とする発光装置である。有機化合物におけるELには、一重項励起状態から基底状態に戻る際の発光蛍光)と三重項励起状態から基底状態に戻る際の発光(リン光)がある。なお、図23は本実施例の発光装置の断面図である。

0124

なお、本明細書中では、EL素子において陽極陰極の間に形成された全ての層を有機EL層と定義する。有機EL層には具体的に、EL層正孔注入層電子注入層正孔輸送層電子輸送層等が含まれる。基本的にEL素子は、陽極層、EL層、陰極層が順に積層された構造を有しており、この構造に加えて、陽極層、正孔注入層、EL層、陰極層や、陽極層、正孔注入層、EL層、電子輸送層、陰極層等の順に積層した構造を有していることもある。

0125

図23において、基板700上に設けられたスイッチングTFT603は図22のnチャネル型TFT503を用いて形成される。したがって、構造の説明はnチャネル型TFT503の説明を参照すれば良い。

0126

なお、本実施例ではチャネル形成領域が二つ形成されるダブルゲート構造としているが、チャネル形成領域が一つ形成されるシングルゲート構造もしくは三つ形成されるトリプルゲート構造であっても良い。

0127

基板700上に設けられた駆動回路は図22のCMOS回路を用いて形成される。従って、構造の説明はnチャネル型TFT501とpチャネル型TFT502の説明を参照すれば良い。なお、本実施例ではシングルゲート構造としているが、ダブルゲート構造もしくはトリプルゲート構造であっても良い。

0128

また、配線701、703はCMOS回路のソース配線、702はドレイン配線として機能する。また、配線704はソース配線708とスイッチングTFTのソース領域とを電気的に接続する配線として機能し、配線705はドレイン配線709とスイッチングTFTのドレイン領域とを電気的に接続する配線として機能する。

0129

なお、電流制御TFT604は図22のpチャネル型TFT502を用いて形成される。従って、構造の説明はpチャネル型TFT502の説明を参照すれば良い。なお、本実施例ではシングルゲート構造としているが、ダブルゲート構造もしくはトリプルゲート構造であっても良い。

0130

また、配線706は電流制御TFTのソース配線(電流供給線に相当する)であり、707は電流制御TFTの画素電極710上に重ねることで画素電極710と電気的に接続する電極である。

0131

なお、710は、透明導電膜からなる画素電極(EL素子の陽極)である。透明導電膜としては、酸化インジウム酸化スズとの化合物、酸化インジウムと酸化亜鉛との化合物、酸化亜鉛、酸化スズまたは酸化インジウムを用いることができる。また、前記透明導電膜にガリウムを添加したものを用いても良い。画素電極710は、上記配線を形成する前に平坦な層間絶縁膜711上に形成する。本実施例においては、樹脂からなる平坦化膜711を用いてTFTによる段差を平坦化することは非常に重要である。後に形成されるEL層は非常に薄いため、段差が存在することによって発光不良を起こす場合がある。従って、EL層をできるだけ平坦面に形成しうるように画素電極を形成する前に平坦化しておくことが望ましい。

0132

配線701〜707を形成後、図23に示すようにバンク712を形成する。バンク712は100〜400nmの珪素を含む絶縁膜もしくは有機樹脂膜をパターニングして形成すれば良い。

0133

なお、バンク712は絶縁膜であるため、成膜時における素子静電破壊には注意が必要である。本実施例ではバンク712の材料となる絶縁膜中にカーボン粒子金属粒子を添加して抵抗率を下げ、静電気の発生を抑制する。この際、抵抗率は1×106〜1×1012Ωm(好ましくは1×108〜1×1010Ωm)となるようにカーボン粒子や金属粒子の添加量を調節すれば良い。

0134

画素電極710の上にはEL層713が形成される。なお、図23では一画素しか図示していないが、本実施例ではR(赤)、G(緑)、B(青)の各色に対応したEL層を作り分けている。また、本実施例では蒸着法により低分子系有機EL材料を形成している。具体的には、正孔注入層として20nm厚銅フタロシアニン(CuPc)膜を設け、その上に発光層として70nm厚のトリス−8−キノリノラトアルミニウム錯体(Alq3)膜を設けた積層構造としている。Alq3にキナクリドンペリレンもしくはDCM1といった蛍光色素を添加することで発光色を制御することができる。

0135

但し、以上の例はEL層として用いることのできる有機EL材料の一例であって、これに限定する必要はまったくない。発光層、電荷輸送層または電荷注入層を自由に組み合わせてEL層(発光及びそのためのキャリアの移動を行なわせるための層)を形成すれば良い。例えば、本実施例では低分子系有機EL材料をEL層として用いる例を示したが、高分子系有機EL材料を用いても良い。なお、本明細書中において、昇華性を有さず、かつ、分子数が20以下または連鎖する分子の長さが10μm以下の有機EL材料を中分子系有機EL材料とする。また、高分子系有機EL材料を用いる例として、正孔注入層として20nmのポリチオフェン(PEDOT)膜をスピン塗布法により設け、その上にEL層として100nm程度のパラフェニレンビニレン(PPV)膜を設けた積層構造としても良い。なお、PPVのπ共役系高分子を用いると、赤色から青色まで発光波長を選択できる。また、電荷輸送層や電荷注入層として炭化珪素等の無機材料を用いることも可能である。これらの有機EL材料や無機材料は公知の材料を用いることができる。

0136

次に、EL層713の上には導電膜からなる陰極714が設けられる。本実施例の場合、導電膜としてアルミニウムリチウムとの合金膜を用いる。勿論、公知のMgAg膜マグネシウムと銀との合金膜)を用いても良い。陰極材料としては、周期表の1族もしくは2族に属する元素からなる導電膜もしくはそれらの元素を添加した導電膜を用いれば良い。

0137

この陰極714まで形成された時点でEL素子715が完成する。なお、ここでいうEL素子715は、画素電極(陽極)710、EL層713及び陰極714で形成されたダイオードを指す。

0138

EL素子715を完全に覆うようにしてパッシベーション膜716を設けることは有効である。パッシベーション膜716としては、炭素膜、窒化珪素膜もしくは窒化酸化珪素膜を含む絶縁膜からなり、該絶縁膜を単層もしくは組み合わせた積層で用いる。

0139

この際、カバレッジの良い膜をパッシベーション膜として用いることが好ましく、炭素膜、特にDLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜を用いることは有効である。DLC膜は室温から100℃以下の温度範囲で成膜可能であるため、耐熱性の低いEL層713の上方にも容易に成膜することができる。また、DLC膜は酸素に対するブロッキング効果が高く、EL層713の酸化を抑制することが可能である。そのため、この後に続く封止工程を行なう間にEL層713が酸化するといった問題を防止できる。

0140

さらに、パッシベーション膜716上に封止材717を設け、カバー材718を貼り合わせる。封止材717としては紫外線硬化樹脂を用いれば良く、内部に吸湿効果を有する物質もしくは酸化防止効果を有する物質を設けることは有効である。また、本実施例においてカバー材718はガラス基板や石英基板やプラスチック基板(プラスチックフィルムも含む)の両面に炭素膜(好ましくはダイヤモンドライクカーボン膜)を形成したものを用いる。

0141

こうして図23に示すような構造の発光装置が完成する。なお、バンク712を形成した後、パッシベーション膜716を形成するまでの工程をマルチチャンバー方式(またはインライン方式)の成膜装置を用いて、大気解放せずに連続的に処理することは有効である。また、さらに発展させてカバー材718を貼り合わせる工程までを大気解放せずに連続的に処理することも可能である。

0142

こうして、プラスチック基板を母体とする絶縁体700上にnチャネル型TFT601、602、スイッチングTFT(nチャネル型TFT)603および電流制御TFT(nチャネル型TFT)604が形成される。ここまでの製造工程で必要としたマスク数は、一般的なアクティブマトリクス型発光装置よりも少ない。

0143

即ち、TFTの製造工程が大幅に簡略化されており、歩留まりの向上および製造コストの低減が実現できる。

0144

さらに、図23を用いて説明したように、ゲート電極に絶縁膜を介して重なる不純物領域を設けることによりホットキャリア効果に起因する劣化に強いnチャネル型TFTを形成することができる。そのため、信頼性の高い発光装置を実現できる。

0145

また、本実施例では画素部と駆動回路の構成のみ示しているが、本実施例の製造工程に従えば、その他にも信号分割回路、D/Aコンバータオペアンプγ補正回路などの論理回路を同一の絶縁体上に形成可能であり、さらにはメモリマイクロプロセッサをも形成しうる。

0146

さらに、EL素子を保護するための封止(または封入)工程まで行った後の本実施例のEL発光装置について図24を用いて説明する。なお、必要に応じて図23で用いた符号を引用する。

0147

図24(A)は、EL素子の封止までを行った状態を示す上面図、図24(B)は図24(A)をC−C’で切断した断面図である。点線で示された801はソース側駆動回路、806は画素部、807はゲート側駆動回路である。また、901はカバー材、902は第1シール材、903は第2シール材であり、第1シール材902で囲まれた内側には封止材907が設けられる。

0148

なお、904はソース側駆動回路801及びゲート側駆動回路807に入力される信号を伝送するための配線であり、外部入力端子となるFPC(フレキシブルプリントサーキット)905からビデオ信号クロック信号を受け取る。なお、ここではFPCしか図示されていないが、このFPCにはプリント配線基盤(PWB)が取り付けられていても良い。本明細書における発光装置には、発光装置本体だけでなく、それにFPCもしくはPWBが取り付けられた状態をも含むものとする。

0149

次に、断面構造について図24(B)を用いて説明する。基板700の上方には画素部806、ゲート側駆動回路807が形成されており、画素部806は電流制御TFT604とそのドレインに電気的に接続された画素電極710を含む複数の画素により形成される。また、ゲート側駆動回路807はnチャネル型TFT601とpチャネル型TFT602とを組み合わせたCMOS回路(図14参照)を用いて形成される。

0150

画素電極710はEL素子の陽極として機能する。また、画素電極710の両端にはバンク712が形成され、画素電極710上にはEL層713およびEL素子の陰極714が形成される。

0151

陰極714は全画素に共通の配線としても機能し、接続配線904を経由してFPC905に電気的に接続されている。さらに、画素部806及びゲート側駆動回路807に含まれる素子は全て陰極714およびパッシベーション膜716で覆われている。

0152

また、第1シール材902によりカバー材901が貼り合わされている。なお、カバー材901とEL素子との間隔を確保するために樹脂膜からなるスペーサを設けても良い。そして、第1シール材902の内側には封止材907が充填されている。なお、第1シール材902、封止材907としてはエポキシ系樹脂を用いるのが好ましい。また、第1シール材902はできるだけ水分や酸素を透過しない材料であることが望ましい。さらに、封止材907の内部に吸湿効果をもつ物質や酸化防止効果をもつ物質を含有させても良い。

0153

EL素子を覆うようにして設けられた封止材907はカバー材901を接着するための接着剤としても機能する。また、本実施例ではカバー材901を構成するプラスチック基板901aの材料としてFRP(Fiberglass-Reinforced Plastics)、PVF(ポリビニルフロライド)、マイラーポリエステルまたはアクリルを用いることができる。

0154

また、封止材907を用いてカバー材901を接着した後、封止材907の側面(露呈面)を覆うように第2シール材903を設ける。第2シール材903は第1シール材902と同じ材料を用いることができる。

0155

以上のような構造でEL素子を封止材907に封入することにより、EL素子を外部から完全に遮断することができ、外部から水分や酸素等のEL層の酸化による劣化を促す物質が侵入することを防ぐことができる。従って、信頼性の高い発光装置が得られる。

0156

以上のようにして作製される発光装置は大粒径の結晶粒が形成された半導体膜を用いて作製されたTFTを有しており、前記発光装置の動作特性や信頼性を十分なものとなり得る。そして、このような発光装置は各種電子機器の表示部として用いることができる。

0157

なお、本実施例は実施例1乃至5と自由に組み合わせることが可能である。

0158

[実施例8]本発明を適用して、様々な半導体装置(アクティブマトリクス型液晶表示装置、アクティブマトリクス型発光装置、アクティブマトリクス型C表示装置)を作製することができる。即ち、それら電気光学装置を表示部に組み込んだ電子機器全てに本発明を実施できる。

0160

図25(A)はパーソナルコンピュータであり、本体2001、画像入力部2002、表示部2003、キーボード2004等を含む。本発明を表示部2003に適用することができる。

0161

図25(B)はビデオカメラであり、本体2101、表示部2102、音声入力部2103、操作スイッチ2104、バッテリー2105、受像部2106等を含む。本発明を表示部2102に適用することができる。

0162

図25(C)はモバイルコンピュータ(モービルコンピュータ)であり、本体2201、カメラ部2202、受像部2203、操作スイッチ2204、表示部2205等を含む。本発明は表示部2205に適用できる。

0163

図25(D)はゴーグル型ディスプレイであり、本体2301、表示部2302、アーム部2303等を含む。本発明は表示部2302に適用することができる。

0164

図25(E)はプログラムを記録した記録媒体(以下、記録媒体と呼ぶ)を用いるプレイヤーであり、本体2401、表示部2402、スピーカ部2403、記録媒体2404、操作スイッチ2405等を含む。なお、このプレイヤーは記録媒体としてDVD(Digtial Versatile Disc)、CD等を用い、音楽鑑賞映画鑑賞やゲームやインターネットを行なうことができる。本発明は表示部2402に適用することができる。

0165

図25(F)はデジタルカメラであり、本体2501、表示部2502、接眼部2503、操作スイッチ2504、受像部(図示しない)等を含む。本発明を表示部2502に適用することができる。

0166

図26(A)はフロント型プロジェクターであり、投射装置2601、スクリーン2602等を含む。本発明は投射装置2601の一部を構成する液晶表示装置2808やその他の駆動回路に適用することができる。

0167

図26(B)はリア型プロジェクターであり、本体2701、投射装置2702、ミラー2703、スクリーン2704等を含む。本発明は投射装置2702の一部を構成する液晶表示装置2808やその他の駆動回路に適用することができる。

0168

なお、図26(C)は、図26(A)及び図26(B)中における投射装置2601、2702の構造の一例を示した図である。投射装置2601、2702は、光源光学系2801、ミラー2802、2804〜2806、ダイクロイックミラー2803、プリズム2807、液晶表示装置2808、位相差板2809、投射光学系2810で構成される。投射光学系2810は、投射レンズを含む光学系で構成される。本実施例は三板式の例を示したが、特に限定されず、例えば単板式であってもよい。また、図26(C)中において矢印で示した光路に実施者が適宜、光学レンズや、偏光機能を有するフィルムや、位相差を調節するためのフィルム、IRフィルム等の光学系を設けてもよい。

0169

また、図26(D)は、図26(C)中における光源光学系2801の構造の一例を示した図である。本実施例では、光源光学系2801は、リフレクター2811、光源2812、レンズアレイ2813、2814、偏光変換素子2815、集光レンズ2816で構成される。なお、図26(D)に示した光源光学系は一例であって特に限定されない。例えば、光源光学系に実施者が適宜、光学レンズや、偏光機能を有するフィルムや、位相差を調節するフィルム、IRフィルム等の光学系を設けてもよい。

0170

ただし、図26に示したプロジェクターにおいては、透過型の電気光学装置を用いた場合を示しており、反射型の電気光学装置及び発光装置での適用例は図示していない。

0171

図27(A)は携帯電話であり、本体2901、音声出力部2902、音声入力部2903、表示部2904、操作スイッチ2905、アンテナ2906等を含む。本発明を表示部2904に適用することができる。

0172

図27(B)は携帯書籍(電子書籍)であり、本体3001、表示部3002、3003、記憶媒体3004、操作スイッチ3005、アンテナ3006等を含む。本発明は表示部3002、3003に適用することができる。

図面の簡単な説明

0173

図27(C)はディスプレイであり、本体3101、支持台3102、表示部3103等を含む。本発明は表示部3103に適用することができる。本発明のディスプレイは特に大画面化した場合において有利であり、対角10インチ以上(特に30インチ以上)のディスプレイには有利である。

0174

以上の様に、本発明の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。また、本実施例の電子機器は実施例1〜7のどのような組み合わせからなる構成を用いても実現することができる。

0175

図1レーザ照射装置の構成の例を示す図。
図2レーザ照射装置の構成の例を示す図。
図3シミュレーションに用いた半導体膜の構造および温度観測点を示す図。
図4(A)〜(D)YAGレーザの出力時間を6.7ns、エネルギー密度を0.15〜0.4Jとして半導体膜に照射したときの温度変化を示す図。(E)〜(H) YAGレーザの出力時間を20ns、エネルギー密度を0.2〜0.5Jとして、半導体膜に照射したときの温度変化を示す図。
図5(A)〜(D) YAGレーザの出力時間を27ns、エネルギー密度を0.2〜0.5Jとして、半導体膜に照射したときの温度変化を示す図(E)〜(H) YAGレーザの出力時間を50ns、エネルギー密度を0.2〜0.5Jとして、半導体膜に照射したときの温度変化を示す図。
図6(A)〜(C) YAGレーザの出力時間を100ns、エネルギー密度を0.3〜0.5Jとして、半導体膜に照射したときの温度変化を示す図。(D)〜(F) YAGレーザの出力時間を200ns、エネルギー密度を0.4〜0.6Jとして、半導体膜に照射したときの温度変化を示す図。
図7エキシマレーザの出力時間を27ns、エネルギー密度は0.1〜0.5Jとして、半導体膜に照射したときの温度変化を示す図。
図8シミュレーションに用いたYAGレーザのパルス形状を示す図。
図9図8(A)で示すパルス形状のYAGレーザを、エネルギー密度を0.05〜0.4Jとして、図3に示す構造からなる珪素膜に照射したときの温度変化を示す図。
図10(A)〜(C) YAGレーザを2つのパルスに分割し、一方のパルスを他方のパルスより10ns遅延させ、エネルギー密度を0.2〜0.4Jとして、半導体膜に照射したときの温度変化を示す図。(D)〜(F) YAGレーザを2つのパルスに分割し、一方のパルスを他方のパルスより20ns遅延させ、エネルギー密度を0.2〜0.4Jとして、半導体膜に照射したときの温度変化を示す図。
図11YAGレーザを2つのパルスに分割し、一方のパルスを他方のパルスより30ns遅延させ、エネルギー密度を0.2〜0.4Jとして、半導体膜に照射したときの温度変化を示す図。
図12YAGレーザの出力時間に対する、半導体膜の結晶化開始時間における下地膜の温度変化を示す図。
図13シングルパルスを照射後の珪素膜を示す図。
図14ダブルパルスを照射後の珪素膜を示す図。
図15シングルパルスまたはダブルパルスを珪素膜に照射して形成された結晶粒の最大粒径を示す図。
図16レーザ照射装置の構成の例を示す図。
図17画素TFT、駆動回路のTFTの作製工程を示す断面図。
図18画素TFT、駆動回路のTFTの作製工程を示す断面図。
図19画素TFT、駆動回路のTFTの作製工程を示す断面図。
図20画素TFT、駆動回路のTFTの作製工程を示す断面図。
図21画素TFTの構成を示す上面図。
図22アクティブマトリクス型液晶表示装置の作製工程を示す断面図。
図23発光装置の駆動回路及び画素部の断面構造図。
図24(A)発光装置の上面図。(B)発光装置の駆動回路及び画素部の断面構造図。
図25半導体装置の例を示す図。
図26半導体装置の例を示す図。
図27半導体装置の例を示す図。
図28溶融時間と結晶化時間を説明する図。
図29レーザ照射装置の構成の例を示す図。

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