図面 (/)

技術 非晶質磁気記録媒体およびその製法ならびに磁気記録再生装置

出願人 株式会社日立製作所マクセルホールディングス株式会社
発明者 本田光利山本浩貴内藤孝平野辰己中澤哲夫桐野文良竹内輝明矢野亮稲葉信幸松沼悟
出願日 2001年3月1日 (19年9ヶ月経過) 出願番号 2001-057001
公開日 2002年9月13日 (18年3ヶ月経過) 公開番号 2002-260209
状態 未査定
技術分野 磁気記録担体 磁気記録媒体の製造
主要キーワード レーザー光発振装置 ガラス化成分 体積磁化率 非晶質磁性層 粒径分散 酸素ガス圧 芯部分 ボイスコイルモーター
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2002年9月13日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (10)

課題

高密度記録化に対応した磁区サイズが微細磁気記録媒体の提供。

解決手段

基板1上に連続相とその中に存在する1〜3種の球状の孤立相または連続層中に積み重なった球状の1〜3種の孤立相が存在する磁区形成制御層2を形成し、非晶質磁性層3に微細な磁区構造を形成した磁気記録媒体。

概要

背景

近年、グラフィクス動画像のデータ、文書データなど、データの多種多様性が進み、取扱う情報量も膨大な数となっている。このような膨大なデータ量の取扱いを可能とするため、ハードディスク磁気記録再生装置)の分野においては、面記録密度を高めることが最も重要な技術課題となっている。

磁気記録再生装置の1つを担う磁気記録媒体においては、高密度記録を達成するため、磁性粒子を小さくする必要がある。しかし、磁性粒子を3nm以下に微細化すると、室温の熱エネルギーによって一旦磁化した磁性粒子がその磁化を失う、いわゆる熱減磁が特に問題となる。熱減磁を防止するためには、粒径極端に小さな磁性粒子が生じないように、磁性粒子の粒径分布を小さくする必要がある。

磁性粒子の粒径分布を小さくする手法としては、特開平6−259743号公報に記載の金属酸化物下地層として用いることが検討されている。この手法では、磁性層の下に金属酸化物下地層を蒸着する方法で、磁性層中の磁性粒子の粒径分布を小さくしている。

また、磁性層を非晶質にして、非晶質磁性層磁区構造微細構造に制御する方法も考えられており、その一例として、特開平2000−67425号公報に記載の磁気特性の異なる非晶質磁性層を蒸着させる方法、特開平6−84216号公報に記載の基板凹凸をつける方法が提案されている。

概要

高密度記録化に対応した磁区サイズが微細な磁気記録媒体の提供。

基板1上に連続相とその中に存在する1〜3種の球状の孤立相または連続層中に積み重なった球状の1〜3種の孤立相が存在する磁区形成制御層2を形成し、非晶質磁性層3に微細な磁区構造を形成した磁気記録媒体。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
2件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

基板と、該基板上に直接または他の層を介して形成された磁性層により構成された磁気記録媒体において、前記磁性層の上部または下部に直接または他の層を介して磁区形成制御層を有し、該磁区形成制御層は連続相と、その中に存在する1〜3種の球状の孤立相または連続層中に積み重なった球状の1〜3種の孤立相により構成され、かつ、前記磁性層は非晶質であることを特徴とする非晶質磁気記録媒体。

請求項2

前記磁区形成制御層が酸化コバルト酸化鉄酸化ニッケルの一つ以上を含む第1酸化物成分と、酸化珪素酸化アルミニウム酸化亜鉛酸化チタンの一つ以上を含む第2酸化物成分とを含有する請求項1に記載の非晶質磁気記録媒体。

請求項3

前記磁気記録媒体の表面の平滑度Raが0.1〜0.4nmである請求項1または2に記載の非晶質磁気記録媒体。

請求項4

前記磁区形成制御層が、膜厚1〜3nmの時は孤立相の平均粒径が1〜3nmであり、膜厚3〜15nmの時は孤立相の平均粒径が3〜6nmであり、前記孤立相の粒径標準偏差を平均粒径で除した値が25%以下である請求項1または2に記載の非晶質磁気記録媒体。

請求項5

前記磁区形成制御層の体積磁化率外部磁場1Tのもとで50〜200(emu/cc)である請求項1に記載の非晶質磁気記録媒体。

請求項6

前記磁性層が、遷移金属希土類元素からなる非晶質合金である請求項1に記載の非晶質磁気記録媒体。

請求項7

前記磁気記録媒体が、磁区形成制御層と磁性層の間に、磁区形成制御層から磁性層への酸素拡散防止を目的とした中間層が形成されている請求項1〜6のいずれかに記載の非晶質磁気記録媒体。

請求項8

前記中間層が、シリコン窒化シリコン窒化アルミニウムのいずれかを含む単相またはその積層体であり、その膜厚が0.5〜5nmである請求項7に記載の非晶質磁気記録媒体。

請求項9

基板と、該基板上に直接または他の層を介して形成された磁性層から構成される磁気記録媒体において、磁性層の下部に直接または他の層を介して磁区形成制御層が形成されており、前記磁区形成制御層が重量比で酸化コバルト30〜95%、酸化珪素30〜2%、酸化チタン40〜3%を含有し、上記磁性層が非晶質であることを特徴とする非晶質磁気記録媒体。

請求項10

基板上に磁区形成制御層を形成する工程と、磁性層を形成する工程と、前記磁区形成制御層に連続相と、該連続相中に1〜3種の球状の孤立相または積層状態の球状の孤立相を形成する工程と、前記磁性層に非晶質の磁性層を形成する工程を含ことを特徴とする非晶質磁気記録媒体の製法

請求項11

前記磁区形成制御層をエッチングにより形成する請求項10に記載の非晶質磁気記録媒体の製法。

請求項12

前記磁区形成制御層は、酸化コバルト、酸化鉄、酸化ニッケルから選ばれるの一つ以上を含む第1酸化物成分、および、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化チタンから選ばれるの一つ以上を含む第2酸化物成分を含有する請求項10または11に記載の非晶質磁気記録媒体の製法。

請求項13

磁気記録媒体と、それを支持するスピンドルと、それを回転させるスピンドルモーターと、情報を読み書きする磁気ヘッドと、それを駆動するVCM(Voice Coil Motor)と、それらを制御する回路を備えた磁気記録再生装置において、上記磁気記録媒体が基板と、該基板上に直接または他の層を介して形成された磁性層により構成されており、前記磁性層の上部または下部に直接または他の層を介して磁区形成制御層を有し、該磁区形成制御層は連続相と、その中に存在する1〜3種の球状の孤立相または連続層中に積み重なった球状の1〜3種の孤立相により構成され、かつ、前記磁性層が非晶質であることを特徴とする磁気記録再生装置。

請求項14

前記磁気ヘッドが、レーザー光発振装置と該レーザー光集光する対物レンズが装着されている請求項13に記載の磁気記録再生装置。

請求項15

磁気記録媒体と、それを支持するスピンドルと、それを回転させるスピンドルモーターと、情報を読み書きする磁気ヘッドと、それを駆動するVCM(Voice Coil Motor)と、それらを制御する回路からなる磁気記録再生装置において、上記磁気記録媒体が基板と、該基板上に直接または他の層を介して形成された磁性層により構成されており、前記磁性層の上部または下部に直接または他の層を介して磁区形成制御層を有し、該磁区形成制御層は、酸化コバルト、酸化鉄、酸化ニッケルから選ばれた一つ以上の第1酸化物成分、および、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化チタンから選ばれた一つ以上の第2酸化物成分を含有し、前記磁性層が非晶質であることを特徴とする磁気記録再生装置。

技術分野

0001

本発明は、磁気記録媒体に係わり、特に、高密度記録に対応した磁気記録媒体とその製法、および、それを載した磁気記録再生装置に関する。

背景技術

0002

近年、グラフィクス動画像のデータ、文書データなど、データの多種多様性が進み、取扱う情報量も膨大な数となっている。このような膨大なデータ量の取扱いを可能とするため、ハードディスク(磁気記録再生装置)の分野においては、面記録密度を高めることが最も重要な技術課題となっている。

0003

磁気記録再生装置の1つを担う磁気記録媒体においては、高密度記録を達成するため、磁性粒子を小さくする必要がある。しかし、磁性粒子を3nm以下に微細化すると、室温の熱エネルギーによって一旦磁化した磁性粒子がその磁化を失う、いわゆる熱減磁が特に問題となる。熱減磁を防止するためには、粒径極端に小さな磁性粒子が生じないように、磁性粒子の粒径分布を小さくする必要がある。

0004

磁性粒子の粒径分布を小さくする手法としては、特開平6−259743号公報に記載の金属酸化物下地層として用いることが検討されている。この手法では、磁性層の下に金属酸化物下地層を蒸着する方法で、磁性層中の磁性粒子の粒径分布を小さくしている。

0005

また、磁性層を非晶質にして、非晶質磁性層磁区構造微細構造に制御する方法も考えられており、その一例として、特開平2000−67425号公報に記載の磁気特性の異なる非晶質磁性層を蒸着させる方法、特開平6−84216号公報に記載の基板凹凸をつける方法が提案されている。

発明が解決しようとする課題

0006

しかし、上記の特開平6−259743号公報記載の方法では、粒径分散のよい下地層に磁性層をエピタキシャル成長させるためには、金属酸化物を配向させる必要がある。

0007

しかし、スパッタ装置の微妙な条件のずれ、ターゲット膜組成のずれによって、金属酸化物の配向が崩れてしまい、上部磁性層にエピタキシャル成長しなくなることが懸念される。

0008

また、今後、40〜80Gb/inch2と云った高密度記録になると、粒径が5nm程度と非常に小さくなり、このような大きさの粒子結晶性が低く、エピタキシャルな関係を保つことが非常に難しくなる。

0009

そこで、本発明では、磁性層として粒界の存在しない非晶質に着目し、金属酸化物を用いた磁区形成制御層の粒子・粒界を磁性層に直接反映させ、磁区構造制御を行う方法を検討した。

0010

非晶質磁性層の磁区を制御する方法としては、特開平2000−67425号公報に記載の磁気特性の異なる非晶質磁性層を蒸着させる方法、特開平6−84216号公報に記載の基板に凹凸をつける方法があるが、いずれも60Gb/inch2に対応する磁区構造制御に至っていない。

0011

本発明の目的は、非晶質磁性層の磁区構造を60Gb/inch2に対応可能な微細な構造に制御した非晶質磁気記録媒体の提供にある。

0012

また、本発明の他の目的は、上記の非晶質磁気記録媒体を用いた磁気記録再生装置の提供にある。

課題を解決するための手段

0013

上記目的を達成する本発明の要旨次のとおりである。少なくとも基板、該基板上に直接または他の層を介して形成された磁性層で構成された磁気記録媒体において、前記磁性層の上部または下部に、直接または他の層を介して磁区形成制御層が形成され、連続相と、その中に存在する1〜3種の球状の孤立相、または、連続層中に積み重なった球状の孤立相から構成され、磁性層が非晶質である非晶質磁気記録媒体にある。

0014

前記磁区形成制御層は、酸化コバルト酸化鉄酸化ニッケル一種以上から選ばれる第1酸化物成分、および、酸化珪素酸化アルミニウム酸化亜鉛酸化チタンの一種以上から選ばれる第2酸化物成分を含有することを特徴とする。

0015

さらに、少なくとも基板と、該基板上に直接または他の層を介して形成される磁気記録媒体において、前記磁性層の下部に、直接または他の層を介して形成される磁区形成制御層は、重量比で酸化コバルト30〜95%、酸化珪素30%〜2%、酸化チタン40%〜3%を含有し、上記磁性層は非晶質であることがより好ましい。

0016

また、磁気記録媒体の表面平滑度Raが0.03〜0.4nmである非晶質磁気記録媒体にある。

0017

また、前記磁性層の上部または下部に、直接または他の層を介して形成され、この磁区形成制御層の体積磁化率外部磁場1Tの下で50〜200(emu/cc)であり、上記磁性層は非晶質である非晶質磁気記録媒体にある。

0018

前記磁区形成制御層は、膜厚が1〜3nmにおいては孤立相の平均粒径が1〜3nmであり、膜厚が3〜15nmにおいては孤立相の平均粒径が3〜6nmであり、孤立相の粒径の標準偏差を平均粒径で除した値が25%以下であるのがよい。

0019

そして、磁性層は遷移金属希土類元素からなる非晶質合金であることを特徴とする。

0020

磁区形成制御層と磁性層の間に非晶質磁性層の酸化防止を目的として、中間層が形成される。該中間層は、シリコン窒化シリコン窒化アルミニウムのいずれかを含む単層またはその積層体であり、その膜厚が0.5〜5nmであることが好ましい。

0021

上記の磁気記録媒体の製造工程は、基板上に磁区形成制御層を形成する工程と磁性層を形成する工程で構成され、上記磁区形成制御層は連続相と、その中に存在する1〜3種の球状の孤立相とから構成され、磁性層は非晶質であることを特徴とする磁気記録媒体であり、成膜途中に、磁区形成制御層をエッチングする機構がついているとなおよい。

0022

さらに、磁気記録媒体と、それを支持するスピンドルと、それを回転させるスピンドルモーターと、情報を読み書きする磁気ヘッドと、それを駆動するVCM(Voice Coil Motor)と、それらを制御する回路を有する磁気記録再生装置において、上記磁気記録媒体は、基板、該基板上に直接または他の層を介して形成される磁性層、上記磁性層の上部または下部に直接または他の層を介して形成される磁区形成制御層で構成され、磁区形成制御層は連続相と、その中に存在する1〜3種の球状の孤立相、または、連続層中に積み重なった球状の孤立相により構成され、前記磁性層は非晶質である磁気記録再生装置にある。

0023

磁気ヘッドに、レーザー光発振装置と、レーザー光集光するための対物レンズが装着していてもよい。

発明を実施するための最良の形態

0024

〔実施例 1〕本実施例で作成した磁気記録媒体の薄膜断面構造図1に示す。図1において、1は基板、2は磁区形成制御層、3は酸化防止層、4は非晶質磁性層、5は保護層、6は潤滑膜である。

0025

本実施例では、基板1として外径65mmφの2.5インチガラス基板を用いた。この基板1には中央にチャックのための20mmφの内径が設けられおり、板厚は0.635mmである。磁区形成制御層2〜保護層5までの各層は、スパッタリングによって蒸着し、ターゲットは全て4inchφのものを用いた。

0026

酸化防止層3としてSi、保護層5としてCを選択した。膜厚はそれぞれ、2nm,5nmとした。

0027

非晶質磁性層4としては、モル%で15Tb−75Fe−10Coの磁性層を用い、膜厚は20nmとした。スパッタリングは、到達真空度を7.0×10-5Pa以下とし、Arガスを導入してチャンバー内を0.26Paとした後、プラズマを発生させて成膜した。

0028

磁区形成制御層として遷移金属酸化物ガラス化成分とからなる混合酸化物を選択した。本実施例では、磁区形成制御層の組成および組成比率を変化させたときの磁性層の特性の変化を調べた。

0029

組成は、遷移金属酸化物成分として、CoO、FeO、MnO、NiO、ガラス化成分として、SiO2、TiO2、Al2O3、ZnOを選択し、各組成、組成比率、および、磁区形成制御層の膜厚を変化させた。

0030

表1〜3には、金属酸化物成分の組成をCoO、とガラス化成分の組成をST(S:SiO2、T:TiO2を重量比で4:6で混合したもの)と固定して、金属酸化物成分とガラス化成分の成分比率を変化させたときの、磁区形成制御層の孤立相の平均粒径、標準偏差を平均粒径で割った値、平均粒界幅、標準偏差、断面から見た孤立相の形状、磁気特性を示した。

0031

0032

1つの試料から100〜300個程度の孤立相の粒径を解析し、平均粒径、標準偏差を計算した。平均粒界幅は粒界の幅を任意に100点とって計測し、その幅の平均値として求めた。

0033

孤立相の形状は、平面TEMだけでは正確に把握することができないため、断面TEMを観察し、平面TEM像と断面TEM像から粒子の形状を判断することが可能である。

0034

磁気特性は、振動式磁束計VSM)により、磁区の大きさは、MFM(磁気力顕微鏡)により評価した。以上の各特性の測定は磁気記録媒体に潤滑膜を塗布せずに行った。

0035

R/W特性は、磁気記録媒体に潤滑膜を塗布し、図2に示す磁気記録装置を作製して評価した。

0036

図2において、11は磁気ディスク、12はスピンドル、13は磁気ヘッド、14は磁気ヘッドのアーム、15はボイスコイルモーター、16は筐体である。記録には、3.1Tの高飽和磁束密度を有する軟磁性膜を用いた磁気ヘッドを用い、再生には、巨大磁気抵抗効果を有するヘッドを用いて行った。ヘッド面磁性層表面との距離は10nmとした。

0037

なお、表中で平均粒径、平均粒界幅、標準偏差が空白のものは、平面TEMにおいて、孤立相と連続相の境界がはっきりしなかったため、値が算出できなかったことを示す。試料No.1は、磁区形成制御層を蒸着しなかった試料(比較例)の結果である。No.1では保磁力1.6kOe、角型比0.6であり、磁区サイズは160nmであった。

0038

膜厚が0.5nm以下の試料No.2〜8は、保磁力1.4〜1.8kOe、角型比0.5〜0.7、磁区の大きさ140〜170nm、R/W特性10dB前後といずれも良好な特性が得られなかった。

0039

しかし、膜厚が1〜3nmにおいては、金属酸化物成分が95〜40%、平均粒径が1〜3nm、平均粒界幅が0.7〜4.0nmの試料No.10〜14、No.17〜21は、保磁力2.4〜2.8、角型比0.85〜0.9、磁区の大きさ35〜45nm、R/W特性40〜45dBと、比較例に比べて向上していた。

0040

膜厚が5〜15nmにおいては、膜厚1〜3nmの時と条件が異なり、金属酸化物成分が50〜85%、平均粒径は3〜6nm、平均粒界幅が1.1〜2.2nmの試料No.25〜27、No.32〜34において、保磁力2.4〜2.8、角型比0.85〜0.9、磁区の大きさ35〜45nm、R/W特性40〜45dBと向上していた。

0041

膜厚が20nm以上の試料No.37〜43では、保磁力1.4〜1.8kOe、角型比0.5〜0.7、磁区の大きさ140〜170nm、R/W特性10dB前後と、いずれも良好な特性が得られなかった。また、標準偏差は、膜厚が1〜15nmのいずれの場合においても25%以下が好ましかった。

0042

次に、これらの結果を孤立相の形状から考察する。等質構造であった試料No.5の磁区形成制御層の模式断面図を図3に示す。このように、孤立相と孤立相の粒界が明確に区別されていない構造であった。

0043

次に、膜厚が1nmで、球状の試料No.12の磁区形成制御層の模式断面図を図4、又、膜厚が15nmで球状の試料No.33の磁区形成制御層の模式断面図を図5に示す。

0044

このように、球状構造においては、連続相9に球状の形状をした孤立相8が整列した構造(図4)、球状の孤立相8が積層した構造(図5)をしていた。

0045

次に、柱状の試料No.31の磁区形成制御相の模式断面図を図6に示す。図6のように、柱状構造においては、連続相9中に孤立相8が基板界面から柱状に成長した構造をしていた。

0046

次に、ラメラ構造の試料No.41の磁区形成制御相の模式断面図を図7に示した。この図7のように、ラメラ構造においては、連続相9中に孤立相8がランダムな方向を向いて成長した構造をしていた。2つの相はいずれも結晶質ではなく、非晶質であった。なお、これらの図においては、基板1、磁区形成制御層2、孤立相8、孤立相8の粒界を構成している連続相9を示す。

0047

ここで、孤立相8の形状と特性を比較すると、特性が向上していたいずれの試料においても、球状の孤立相8または孤立相8が積層した構造であった。また、一方で、特性が向上しなかった試料は、球状ではなく等質構造、柱状、ラメラの状態であった。

0048

上より、磁区形成制御層は、球状の孤立相または球状の孤立相が積み重なった構造であることが好ましいことが分かった。また、膜厚が1〜3nmであると、少なくとも金属酸化物成分40〜95%、平均粒径1〜3nm、平均粒界幅が0.7〜4nmの時に良好な特性を示し、膜厚が3〜15nmになると、少なくとも金属酸化物50〜85%、平均粒径3〜6nm、平均粒界幅0.7〜3.4nmの時、良好な特性を示すことが分かった。

0049

表4に、金属酸化物成分またはガラス化成分の構成元素を変化させた実験結果を示す。本実施例では、金属酸化物成分とガラス化成分の重量比を、表1〜3において特性が向上していた試料No.33に相当する重量比8:2に固定し、金属酸化物のCoOをFeO、MnO、NiOに、あるいは、ガラス化成分のTiO2をAl2O3、ZnOに変化させた。このうち、試料No.44〜46が金属酸化物の組成を変化させたもの、試料No.47,48がガラス化成分を変化させたものである。

0050

ID=000006HE=195 WI=082 LX=0640 LY=0300
まず、金属酸化物の組成を変化させた試料を見ると、MnO、FeO、CoO、NiOの順に、平均粒径が小さくなる様子が観測されたものの、その他の特性は殆ど変化せず、共に良好であった。

0051

また、ガラス化成分の組成を変化させた試料を見ると、TiO2、Al2O3、ZnOの順に、平均粒径が大きくなる様子が観測されたが、金属酸化物成分を変化させた実験と同様に、その特性はどの試料においても良好であった。

0052

本実施例の結果を纏めると磁区形成制御層は、球状の孤立相8が整列しているか球状の孤立相8が積層した構造が必要であった。

0053

さらに、膜厚が1〜3nmであると、金属酸化物成分40〜95%、平均粒径1〜3nmの時、良好な特性を示し、膜厚が3〜15nmになると、金属酸化物50〜85%、平均粒径3〜6nmの時、良好な特性を示した。遷移金属酸化物としては、CoO、FeO、MnO、NiO、ガラス化成分としてはSiO2、TiO2、Al2O3、ZnOが適することが分かった。

0054

〔実施例 2〕本実施例では、磁区形成制御層の磁性に着目して、非晶質磁性層の特性の変化を調べた。磁区形成制御層の遷移金属酸化物をスピネル構造を有するCo3O4にして、磁性を変化させるためにCoをFeに置換した実験を行った。

0055

表5に80(Co3-xFexO4)−20STのxの変化量に対する磁区形成制御層の孤立相の平均粒径、外部磁場1Tの下での磁区形成制御層の体積磁化率、非晶質磁性層の磁気特性の変化、磁区の大きさ、R/W特性を示した。

0056

ID=000007HE=100 WI=108 LX=0510 LY=0550
試料番号No.33と試料番号No.101を比較すると、CoOでも、Co3O4でもほとんど特性の変化は観測されず、ともに良好な特性であった。Co3O4をFeで置換しても、平均粒径は殆ど変化しなかったが、保磁力、角型比、磁区の大きさには若干の変化が見られた。xが0.2〜0.8とした試料No.102〜105は、非晶質磁性層の保磁力が増加し、R/W特性においても良好な特性が得られた。

0057

しかし、1.0以上とした試料は、外部磁場1Tの下での磁区形成制御層の体積磁化率が200(emu/cc)を超えたため、磁気特性が2段ループとなり、R/W特性において、好ましい特性が得られなかった。

0058

この実施例から、外部磁場1Tの下での磁区形成制御層の体積磁化率が50〜200(emu/cc)であれば良好な特性が得られるが、200(emu/cc)以上であると2段ループを形成するため、特性が悪くなることが分かった。

0059

〔実施例 3〕本実施例では、磁区形成制御層の平滑性を変化させたときの非晶質磁性層の特性の変化を調べるため、磁区形成制御層蒸着後、逆スパッタを行って磁区形成制御層表面の平滑性を変化させた。磁区形成制御層としては、表3のNo.33に相当する条件を用いこの膜を逆スパッタした。

0060

逆スパッタ条件は、パワー100W、アルゴンガス圧3Paとし、逆スパッタ時間を変化させることで平滑性を変化させた。

0061

表6に逆スパッタ時間の変化に対する平滑性Raの変化、非晶質磁性層の磁気特性の変化、ヘッド磁性層間距離、R/W特性の結果を示した。平滑性は、磁気記録媒体表面AFMによって観察し、断面TEMにより各層の表面形状を観察することによって評価した。

0062

ID=000008HE=090 WI=108 LX=0510 LY=0300
逆スパッタ時間の増加に伴いRaが増加していた。断面TEMでは、基板に凹凸が観測されなかったが、磁区形成制御層2の表面形状において、磁区形成制御層の孤立相8の部分が凸部、連続相9の部分が凹部となっており、磁区形成制御層2の凹凸を反映して上部の酸化防止層3、非晶質磁性層4、保護膜5に凹凸が観測され、逆スパッタにより各層の凹凸が大きくなるのが観測された。

0063

断面TEMの結果から参照すると、AFMで観察されたRaの増加は、磁区形成制御層2のRaの変化に対応すると考えられる。逆スパッタを行ってRaが0.1nm以上になった試料No.201〜208は、磁気特性、R/W特性は共に向上した。

0064

しかし、逆スパッタ時間を120秒行った試料No.209では、Raが0.65nmと、凹凸が非常に大きくなったため、磁気ヘッドの浮上量が20nmと上昇して、磁気ヘッド磁性層間距離が増加し、R/W特性の特性が悪くなった。

0065

このことから、逆スパッタを行うことにより特性が向上するが、Raが0.4nmより大きいものでは、かえって特性が悪化することが分かった。

0066

〔実施例 4〕本実施例では、磁気ヘッドに光学系の回路を装着して、レーザー光を照射しながらR/W特性を行った。この時の磁気ヘッドの様子を図8に示す。

0067

図8において、19は装着するレーザー光源、20はレーザー光を集光するための対物レンズ、21は再生ヘッド、22は磁気コイル、23は記録ヘッド芯部分である。

0068

レーザー光は、発振波長640nmの半導体レーザーを用い、パワー5mWで磁性層に対して、垂直方向から照射した。本実施例で使用した対物レンズのNA(Numerical Aperture)は0.85とした。R/W特性評価は、レーザー光を信号に従って照射し磁性層を加熱しながら記録ヘッド23によって記録し、記録した信号を再生用ヘッド21によって再生する方法を用いた。

0069

本実施例においても、試料No.33に相当する成膜条件を用いた。その結果、60Gb/inch2の信号に対して、レーザー照射によって熱揺らぎに強くなった効果を反映して、60dBと高い再生出力が得られることが分かった。

0070

以上より、記録ヘッドにレーザー光発振装置を付随させることで、高い再生出力が得られることが分かった。

0071

〔実施例 5〕本実施例では、酸化防止層の膜厚,組成を変化させた実験を行った。ここでも表3の試料No.33に相当する成膜条件を用いた場合の結果を表7に示す。

0072

ID=000009HE=085 WI=141 LX=0345 LY=0300
表7において、試料No.33〜No.306は、酸化防止層としてSiを用いた例、試料No.307〜310は、Si3N4、No.311〜314は、AlNを用いた例である。

0073

酸化防止層の膜厚0.5nm未満では、保磁力が殆ど観測されなかったが、0.5〜5nmでは、保磁力が向上し、良好な磁気特性が得られた。しかし、膜厚7nmでは、比較例並みの保磁力となった。

0074

酸化防止層0.5nm未満では、積層膜金属光沢が見られず、ほぼ透明であったことから、磁区形成制御層からの酸素拡散の影響により、非晶質磁性層が酸化し、保磁力が減少したものと思われる。一方、酸化防止層が7nmのものは、非晶質磁性層の特性に及ぼす磁区形成制御層の影響が小さくなったと考えられる。

0075

本実施例より酸化防止層の膜厚は0.5〜5nmが最適であることが分かった。また、本実施例では、Si、窒化シリコン、窒化アルミニウムについての結果を示したが、基板や磁区形成制御層、あるいは、大気からの酸素拡散を予防でき、膜密着性がよく、かつ、非晶質の膜であれば酸化防止層として適していた。

0076

〔実施例 6〕本実施例では、磁区形成制御層の孤立相として、2または3種類観測された場合の結果について示す。磁区形成制御層のターゲットとして、80Co8Si12Ti(wt%)ターゲットを選択し、アルゴン酸素ガス混合ガスを用いて反応性スパッタにより、磁区形成制御層を作製した。

0077

この時、酸素ガスの圧力は、全ガス圧0.26Paに対して、0〜10%変化させた。この実験における広角X線の結果、孤立相の平均粒径、磁気特性、磁区の大きさ、R/W特性の結果を表8に示す。

0078

ID=000010HE=085 WI=130 LX=0400 LY=1950
表8に示すように、磁区形成制御層のX線回折を行ったところ、酸素ガス圧が2%以下の試料No.401、No.402はCo、4〜6%の試料No.403〜404はCoとCoO、8〜10%の試料No.405,406はCoとCoOとCo3O4、16〜20%の試料No.407,408はCoOとCo3O4、25%以上の試料No.409以上ではCo3O4のピークが観測された。

0079

この磁区形成制御層の平面TEMを観測したところ、X線回折の結果を反映して、試料No.403,404,407,408は孤立相として、2種類(CoとCoOあるいは、CoOとCo3O4)、試料No.405,406は、孤立相として、3種類(Co、CoO、Co3O4)が観測された。

0080

孤立相がCo単独の試料No.401,402、Co、CoOの2相の試料No.403〜404は、磁化が200(emu/cc)を超えたため、良好な特性が得られなかったが、他の場合の試料においては特性は殆ど変化せず、いずれも良好な特性が得られた。

0081

このことから、孤立相の相の種類の数が1,2,3と変化しても、良好な特性が得られることが分かった。

0082

〔実施例 7〕本実施例では、非晶質磁性層の上に磁区形成制御層を蒸着させた場合の磁気特性、R/W特性の変化を調べた。図9に、本実施例で作製した磁気記録媒体の模式断面図を示す。図9において1は基板、3は酸化防止層、4は非晶質磁性層、2は磁区形成制御層、5は保護層、6は潤滑膜である。

0083

表9に、磁区形成制御層を蒸着しなかった時、磁区形成制御層を磁性層の下部に蒸着した時、磁区形成制御層を磁性層の上部に蒸着した時に得られた特性の結果を示す。

0084

ID=000011HE=050 WI=108 LX=0510 LY=1150
表9の結果を見ると、磁区形成制御層を非晶質磁性層の上部に蒸着した試料No.501は、磁気特性に関しては、磁区形成制御層を蒸着しないものに対しては向上し、非晶質磁性層の下部に蒸着したものとほぼ同様の効果が得られた。

0085

しかし、R/W特性に関しては、磁区形成制御層を蒸着しないものに対しては向上しているものの、非晶質磁性層の下部に蒸着したものに比べ、ヘッドと磁性層表面までの距離が25nmと非常に長くなってしまったために、若干悪くなる傾向が見られた。

0086

このことから、磁区形成制御層を、非晶質磁性層の上部に蒸着しても、磁区形成制御層を蒸着しないものに比べて効果は得られるが、下部の方がより効果が大きいことが分かった。

0087

本実施例で、磁区形成制御層を非晶質磁性層の上部または下部のいずれに蒸着しても磁気特性、R/W特性が比較例に比べて向上するが、非晶質磁性層の下部に蒸着させた方が良好な特性が得られることが分かった。

発明の効果

0088

本発明によれば、非晶質磁性層の上部または下部に蒸着した連続相と、その中に存在する孤立相または連続層中に積み重なった球状の孤立相が存在する磁区形成制御層の影響を受けて、非晶質磁性層の磁区を微細構造にすることができる。

0089

さらに、磁区形成制御層の表面の凹凸、あるいは、磁区形成制御層の磁性によって、非晶質磁性層の磁区をさらに微細構造にすることができる。

0090

また、磁気ヘッドにレーザー光発信装置を装着することにより、R/W特性がさらに良好な特性のものが得られる。

図面の簡単な説明

0091

図1本発明で作製した磁気記録媒体の模式断面図である。
図2本発明で用いた磁気記録再生装置の斜視図である。
図3本発明の実施例において観測された磁気記録媒体の断面TEMの模式断面図である。
図4本発明の実施例において観測された磁気記録媒体の断面TEMの模式断面図である。
図5本発明の実施例において観測された磁気記録媒体の断面TEMの模式断面図である。
図6本発明の実施例において観測された磁気記録媒体の断面TEMの模式断面図である。
図7本発明の実施例において観測された磁気記録媒体の断面TEMの模式断面図である。
図8本発明で用いた磁気ヘッドの模式断面図である。
図9本発明で作製した磁気記録媒体の模式断面図である。

--

0092

1…基板、2…磁区形成制御層、3…酸化防止層、4…非晶質磁性層、5…保護層、6…潤滑膜、8…孤立相、9…連続相、11…磁気ディスク、12…スピンドル、13…磁気ヘッド、14…磁気ヘッドのアーム、15…ボイスコイルモーター、16…筐体、19…装着するレーザー光源、20…レーザー光を集光するための対物レンズ、21…再生用のヘッド、22…磁気コイル、23…記録用ヘッドの芯部分。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ