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課題

血栓再発に有効な治療法、その他、不安定性アンギナ心筋梗塞または慢性組織虚血を含む他の虚血症状の治療、または全身性及び遺伝性の疾患もしくは癌の治療などに、臨床症状における、有効治療法を提供すること。

解決手段

治療が必要な患者の疾患を治療するためのキットであって、カテーテル手段と酵素又は低刺激性洗剤を含有する溶液とを含み、(i)該カテーテル手段が、血管に挿入できるように構成されており、更に、該血管に挿入でき且つ血管内の適所主カテーテル本体を保持するために該血管の壁を膨張可能なように構成されたバルーンエレメントを含む主カテーテル本体と、主カテーテル本体に備え付けられた、溶液を該血管に送達するための手段とを備えており、(ii)該溶液が生理学的に許容可能な溶液であることを特徴とするキット。

概要

背景

多くの全身性及び遺伝性疾患の有効な治療は、近代医療にとって重要な課題である。治療薬をin vivoの特定部位送達できることは、例えば局所疾患の治療において有利であろう。更に、治療薬を循環系を通して潅流させ得ることは、例えば全身性疾患の治療に効果的であろう。

例えば、腫瘍の極めて近辺抗腫瘍剤または毒素を安定した方法で投与することは望ましいであろう。同様に、例えば糖尿病を患う患者の血液中インシュリンを潅流させることは望ましいであろう。しかしながら、多くの治療薬に対して、特定部位投与及び全身投与のいずれにも満足の行く方法はない。

更に多くの疾患に対して、局所的であれ全身的であれ、欠陥内在遺伝子発現外来遺伝子の発現または内在遺伝子の抑制を惹起することも望ましいであろう。ここでも、目的は達成されていない。

特にアテローム性動脈硬化症病因は、3つの基本的な生物学的プロセスによって特徴付けられる。これらは、1)マクロファージ蓄積を伴なう脈管内膜平滑筋細胞の増殖、2)増殖した平滑筋細胞による大量の結合組織マトリックスの形成、及び3)細胞内及び周辺結合組織内における主にコレステロールエステル及び遊離コレステロールの形態での脂質の蓄積である。

内皮細胞損傷は初期事象であり、その損傷は、内皮透過性障壁の妨害、内皮表面の非血栓形成特性の変化、及び内皮の前凝固特性の促進によって明らかとなる。単球は内皮細胞間を移動し、捕獲細胞として活発になり、マクロファージに分化する。

次いでマクロファージは、血小板由来成長因子(PDGF)、線維芽細胞成長因子(FGF)、表皮成長因子(EFG)及び形質転換成長因子α(TGF−α)を含む成長因子を合成及び分泌する。これらの成長因子は、アテローム性動脈硬化斑中での線維芽細胞(又はフィブロブラスト)及び平滑筋細胞の移動及び増殖を刺激する上でかなり強力である。更に、血小板は損傷した内皮細胞及び活性化されたマクロファージと相互作用し、成長因子の同化と血栓形成とを増強することができる。

心血管疾患の臨床管理における2つの主要な問題は、急性心筋虚血における血栓形成と、心血管形成(PTCA)に続く再発狭窄症とを含む。どちらも、内皮損傷や、活性化されたマクロファージ及び血小板による強力な成長因子の放出を含む共通の細胞事象を表わす。心血管形成は、アテローム性動脈硬化斑の破壊及び内皮の剥離を惹起する。この血管の創傷は、PTCA部位における血小板凝集及び血栓形成を促進する。更に、血小板及びマクロファージからのマイトジェン放出、平滑筋細胞増殖及び単球透過は再発狭窄症をもたらす。

抗血小板剤を用いての経験医学療法ではこの問題を防ぐことができず、PTCAが発生した患者の3分の1に上記の問題が生じる。再発狭窄症に対する解決策は、血小板凝集、血栓形成及び平滑筋細胞増殖を予防することである。

血栓形成は、心臓疾患安定状態から不安定状態への移行における重大な細胞事象でもある。病因としては、接着している内皮細胞の分離を促進し、更に下層をなすファージ泡沫細胞露出をもたらす急性内皮細胞損傷及び/または破壊を挙げることができる。これにより循環中の血小板が、付着し、凝集し、血栓を形成する機会が与えられる。

組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)のごとき血栓溶解剤静脈内投与は、急性心筋梗塞を経験した患者の約70%において血栓を溶解する結果となる。しかしながら、患者の約30%は再潅流に失敗し、梗塞関連動脈の最初の潅流を再開した患者の約25%が、24時間以内に血栓の再発を経験している。従って、血栓再発に有効な治療法は、今日の医療団体が直面している重要な課題として残っている。

概要

血栓再発に有効な治療法、その他、不安定性アンギナ心筋梗塞または慢性組織虚血を含む他の虚血症状の治療、または全身性及び遺伝性の疾患もしくは癌の治療などに、臨床症状における、有効治療法を提供すること。

治療が必要な患者の疾患を治療するためのキットであって、カテーテル手段と酵素又は低刺激性洗剤を含有する溶液とを含み、(i)該カテーテル手段が、血管に挿入できるように構成されており、更に、該血管に挿入でき且つ血管内の適所主カテーテル本体を保持するために該血管の壁を膨張可能なように構成されたバルーンエレメントを含む主カテーテル本体と、主カテーテル本体に備え付けられた、溶液を該血管に送達するための手段とを備えており、(ii)該溶液が生理学的に許容可能な溶液であることを特徴とするキット。

目的

上述したように、血栓再発に有効な治療法は、今日存在する唯一の重要な治療課題であるわけではない。他にも、不安定性アンギナ、心筋梗塞または慢性組織虚血を含む他の虚血症状の治療、または全身性及び遺伝性の疾患もしくは癌の治療が課題となっている。これらは、抗凝血剤血管拡張剤脈管形成剤(angiogenic)、成長因子阻害剤または成長阻害剤を患者に有効投与することにより治療することができる。かかる臨床症状の全てにおいて、有効治療法の必要性は未だ強く感じられている。

効果

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請求項1

治療が必要な患者の疾患を治療するためのキットであって、カテーテル手段と酵素又は低刺激性洗剤を含有する溶液とを含み、(i)該カテーテル手段が、血管に挿入できるように構成されており、更に、該血管に挿入でき且つ血管内の適所主カテーテル本体を保持するために該血管の壁を膨張可能なように構成されたバルーンエレメントを含む主カテーテル本体と、主カテーテル本体に備え付けられた、溶液を該血管に送達するための手段とを備えており、(ii)該溶液が生理学的に許容可能な溶液であることを特徴とするキット。

技術分野

0001

本発明は、細胞の部位特定的な点滴注入または形質転換による疾患の治療と、該治療のためのキットとに係わる。

背景技術

0002

多くの全身性及び遺伝性疾患の有効な治療は、近代医療にとって重要な課題である。治療薬をin vivoの特定部位送達できることは、例えば局所疾患の治療において有利であろう。更に、治療薬を循環系を通して潅流させ得ることは、例えば全身性疾患の治療に効果的であろう。

0003

例えば、腫瘍の極めて近辺抗腫瘍剤または毒素を安定した方法で投与することは望ましいであろう。同様に、例えば糖尿病を患う患者の血液中インシュリンを潅流させることは望ましいであろう。しかしながら、多くの治療薬に対して、特定部位投与及び全身投与のいずれにも満足の行く方法はない。

0004

更に多くの疾患に対して、局所的であれ全身的であれ、欠陥内在遺伝子発現外来遺伝子の発現または内在遺伝子の抑制を惹起することも望ましいであろう。ここでも、目的は達成されていない。

0005

特にアテローム性動脈硬化症病因は、3つの基本的な生物学的プロセスによって特徴付けられる。これらは、1)マクロファージ蓄積を伴なう脈管内膜平滑筋細胞の増殖、2)増殖した平滑筋細胞による大量の結合組織マトリックスの形成、及び3)細胞内及び周辺結合組織内における主にコレステロールエステル及び遊離コレステロールの形態での脂質の蓄積である。

0006

内皮細胞損傷は初期事象であり、その損傷は、内皮透過性障壁の妨害、内皮表面の非血栓形成特性の変化、及び内皮の前凝固特性の促進によって明らかとなる。単球は内皮細胞間を移動し、捕獲細胞として活発になり、マクロファージに分化する。

0007

次いでマクロファージは、血小板由来成長因子(PDGF)、線維芽細胞成長因子(FGF)、表皮成長因子(EFG)及び形質転換成長因子α(TGF−α)を含む成長因子を合成及び分泌する。これらの成長因子は、アテローム性動脈硬化斑中での線維芽細胞(又はフィブロブラスト)及び平滑筋細胞の移動及び増殖を刺激する上でかなり強力である。更に、血小板は損傷した内皮細胞及び活性化されたマクロファージと相互作用し、成長因子の同化と血栓形成とを増強することができる。

0008

心血管疾患の臨床管理における2つの主要な問題は、急性心筋虚血における血栓形成と、心血管形成(PTCA)に続く再発狭窄症とを含む。どちらも、内皮損傷や、活性化されたマクロファージ及び血小板による強力な成長因子の放出を含む共通の細胞事象を表わす。心血管形成は、アテローム性動脈硬化斑の破壊及び内皮の剥離を惹起する。この血管の創傷は、PTCA部位における血小板凝集及び血栓形成を促進する。更に、血小板及びマクロファージからのマイトジェン放出、平滑筋細胞増殖及び単球透過は再発狭窄症をもたらす。

0009

抗血小板剤を用いての経験医学療法ではこの問題を防ぐことができず、PTCAが発生した患者の3分の1に上記の問題が生じる。再発狭窄症に対する解決策は、血小板凝集、血栓形成及び平滑筋細胞増殖を予防することである。

0010

血栓形成は、心臓疾患安定状態から不安定状態への移行における重大な細胞事象でもある。病因としては、接着している内皮細胞の分離を促進し、更に下層をなすファージ泡沫細胞露出をもたらす急性内皮細胞損傷及び/または破壊を挙げることができる。これにより循環中の血小板が、付着し、凝集し、血栓を形成する機会が与えられる。

0011

組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)のごとき血栓溶解剤静脈内投与は、急性心筋梗塞を経験した患者の約70%において血栓を溶解する結果となる。しかしながら、患者の約30%は再潅流に失敗し、梗塞関連動脈の最初の潅流を再開した患者の約25%が、24時間以内に血栓の再発を経験している。従って、血栓再発に有効な治療法は、今日の医療団体が直面している重要な課題として残っている。

発明が解決しようとする課題

0012

上述したように、血栓再発に有効な治療法は、今日存在する唯一の重要な治療課題であるわけではない。他にも、不安定性アンギナ心筋梗塞または慢性組織虚血を含む他の虚血症状の治療、または全身性及び遺伝性の疾患もしくは癌の治療が課題となっている。これらは、抗凝血剤血管拡張剤脈管形成剤(angiogenic)、成長因子阻害剤または成長阻害剤を患者に有効投与することにより治療することができる。かかる臨床症状の全てにおいて、有効治療法の必要性は未だ強く感じられている。

課題を解決するための手段

0013

発明の開示
従って本発明の目的は、治療薬の特定部位投与のための新規の方法を提供することである。

0014

本発明の別の目的は、患者の血流中で治療薬を潅流する方法を提供することである。

0015

本発明の別の目的は、患者において外来遺伝子の発現を惹起する方法を提供することである。

0016

本発明の別の目的は、患者において欠陥内在遺伝子の発現を惹起する方法を提供することである。

0017

本発明の別の目的は、患者において内在遺伝子の発現を抑制する方法を提供することである。

0018

本発明の別の目的は、患者における損傷細胞を部位特異的に置き換える方法を提供することである。

0019

本発明の別の目的は、治療薬を特定部位投与するかまたは患者の血流中に治療薬を潅流させることにより疾患を治療する方法を提供することである。

0020

本発明の別の目的は、患者における外来遺伝子の発現もしくは欠陥内在遺伝子の発現を惹起すること、または内在遺伝子の発現を抑制することにより疾患を治療する方法を提供することである。

0021

本発明の別の目的は、患者における損傷細胞を部位特異的に置き換えることにより疾患を治療する方法を提供することである。

0022

本発明の別の目的は、正常細胞または形質転換細胞を患者の特定部位に点滴注入するためのキットを提供することである。

0023

本発明の別の目的は、in vivoで細胞を部位特異的に形質転換するためのキットを提供することである。

0024

本発明の別の目的は、以下の項1〜17を提供することである。
1.治療が必要な患者の疾患を治療するためのキットであって、カテーテル手段と酵素又は低刺激性洗剤を含有する溶液とを含み、(i)該カテーテル手段が、血管に挿入できるように構成されており、更に、該血管に挿入でき且つ血管内の適所主カテーテル本体を保持するために該血管の壁を膨張可能なように構成されたバルーンエレメントを含む主カテーテル本体と、主カテーテル本体に備え付けられた、溶液を該血管に送達するための手段とを備えており、(ii)該溶液が生理学的に許容可能な溶液であることを特徴とするキット。
2.該溶液が、該酵素としてジスパーゼ、トリプシンコラゲナーゼパパインペプシンキモトリプシン及びリパーゼから構成される群から選択される少なくとも1種の酵素を含有することを特徴とする項1に記載のキット。
3.該溶液が、NP−40、Triton X100、デオキシコレート及びSDSから構成される群から選択される少なくとも1種の洗剤を含有することを特徴とする項1に記載のキット。
4.該主カテーテル本体が、血管に挿入されるように構成され且つ該血管内にチャンバを形成して主カテーテル本体を適所に保持するために該血管の壁を膨張可能にする相互に離間して配置された2つのバルーンエレメントを含む手段を備えており、溶液を該チャンバ内に送達するための該手段が、該バルーンエレメント間に配置されていることを特徴とする項1に記載のキット。
5.該溶液を該血管内に送達するための該手段が複数の孔手段を備えることを特徴とする項1に記載のキット。
6.治療が必要な患者の疾患を治療するためのキットであって、カテーテル手段と生理学的に許容可能な溶液とを含み、(i)該カテーテル手段が、血管内に挿入できるように構成されており、更に、該血管内に挿入でき且つ主カテーテル本体を適所に保持するために該血管の壁を膨張可能なように構成されたバルーンエレメントを含む主カテーテル本体と、主カテーテル本体に備え付けられた、溶液を該血管内に送達するための手段とを備えており、(ii)該生理学的に許容可能な溶液が、ヘパリンポリ−L−リシンポリブレンデキストラン硫酸ポリカチオン性材料及び二価抗体から構成される群から選択される少なくとも1種の物質を含有することを特徴とするキット。
7.該生理学的に許容可能な溶液が更にDNAを含有することを特徴とする項6に記載のキット。
8.該生理学的に許容可能な溶液が更に成長因子を含有することを特徴とする項6に記載のキット。
9.治療が必要な患者の疾患を治療するための方法であって、該患者の血管の壁又は器官又は組織に付着させた細胞に外来治療薬タンパク質を発現させることからなり、該タンパク質により該疾患を治療することを特徴とする方法。
10.該疾患が虚血性疾患血管運動疾患、糖尿病、悪性腫瘍AIDS又は遺伝病であることを特徴とする項9に記載の方法。
11.該疾患が全身性疾患であることを特徴とする項9に記載の方法。
12.該外来治療薬タンパク質が、TPA及びその修飾物ウロキナーゼストレプトキナーゼ酸性フィブロブラスト成長因子、塩基性フィブロブラスト成長因子、腫瘍壊死因子α腫瘍壊死因子β、形質転換成長因子α、形質転換成長因子β、心房性ナトリウム排泄増加因子、血小板由来成長因子、エンドリアン、インシュリン、ジフテリア毒素百日咳毒素コレラ毒素、可溶性CD4及びその誘導体、並びに成長ホルモンから構成される群から選択される1種類のタンパク質であることを特徴とする項9に記載の方法。
13.該細胞が、内皮細胞、血管平滑筋細胞、フィブロブラスト、結合組織細胞、マクロファージ、単球及び実質細胞から構成される群から選択されることを特徴とする項9に記載の方法。
14.細胞を特定部位に点滴注入することを特徴とする疾患の治療方法
15.該細胞が形質転換細胞でるることを特徴とする項14に記載の方法。
16.該細胞が正常細胞であることを特徴とする項14に記載の方法。
17.細胞をin vivoで部位特異的に形質転換することを特徴とする疾患の治療方法。

0025

本発明の以下の詳細説明を通して明らかになるであろう本発明の上記目的及び他の目的は、(a)(i)正常(未形質転換)細胞もしくは形質転換細胞を患者に部位特異的に点滴注入すること、または(ii)患者の細胞を部位特異的に形質転換することのいずれかからなる方法と、(b)(i)正常もしくは形質転換細胞の部位特定的点滴注入または(ii)細胞の部位特異的形質転換のためのカテーテルを含むキットとによって達成されることが、本発明者らによって見いだされた。

0026

正常細胞の部位特定的な点滴注入は、損傷細胞を置き換えるために使用することができ、形質転換細胞の点滴注入は、欠陥内在遺伝子もしくは外来遺伝子を発現させるまたは内在遺伝子産生を抑制するために使用することができる。患者の血管壁に細胞を点滴注入し、血流中の治療薬の定常的な潅流を惹起することができる。

発明を実施するための最良の形態

0027

発明を実施する上での好適態様1つの実施態様においては、本発明は、遺伝病、全身性疾患、心血管系疾患特定器官の疾患または腫瘍のような疾患を、正常細胞もしくは形質転換細胞を点滴注入するかまたは細胞を形質転換することにより治療するために使用される。

0028

本発明の方法において点滴注入され得る細胞としては、内皮、平滑筋、線維芽細胞、単球、マクロファージ及び実質細胞を挙げることができる。これらの細胞は、治療または診断効果を有し、且つ天然にも存在するし組換え遺伝子材料からも生じ得るタンパク質を産生することができる。

0029

ここで図面を参照する。幾つかの図面を通し、同じ参照番号は同一のまたは対応する部分を示している。特に図1は、米国特許第4,636,195号(この特許は参照により本明細書の一部を構成するものとする)に記載のごとき態様を有するカテーテルを用いての本発明の実施を示す図である。このカテーテルは、正常のまたは遺伝的に改変された細胞を血管壁上に賦与したりまたは細胞の局所形質転換のためのベクターを導入するために使用することができる。図中、番号5は血管の壁である。この図は、膨張可能なバルーン手段1及び2の膨張によって適所に保持されたカテーテル本体4を示す。バルーン手段1及び2の間に位置するカテーテル本体4の部分には、点滴注入ポート手段3が備えられている。カテーテルには更に、案内ワイヤ手段6を備えることもできる。図2は同様のカテーテルの使用を示すが、但し、図1に示したカテーテルとは、単一の膨張可能バルーン手段2のみを備えていることと、複数の点滴注入ポート手段3を備えている点で異なる。このカテーテルは最高12個の別個の点滴注入ポート手段3を含むことができるが、図では5つが示されている。

0030

器官に送達する場合には、カテーテルは、組織に物質供給する主要動脈内に導入することができる。動脈循環を一時的に閉塞した後に、組換え遺伝子またはベクターを含む細胞を中央の点滴注入ポートを通して導入することができる。このようにして、細胞またはベクターDNAを、毛細血管循環を通して分布されている大量の実質組織に送達することができる。更に組換え遺伝子も、ターゲット器官近位の動脈循環においてダブルバルーンカテーテル技術を使用し、脈管構造内に導入することができる。このようにして組換え遺伝子を、関係組織を潅流する循環系中に直接に分泌させたり、器官内で直接合成したりすることができる。

0031

1つの実施態様においては治療薬は、疾患の影響を受けた特定器官に供給する血管細胞によって分泌される。例えば虚血性心筋症は、脈管由来因子心臓循環系に導入することにより治療することができる。この方法は、脈管由来因子が脳または他の組織への循環を向上させ得る末梢血管または大脳血管疾患に対しても使用することができる。真性糖尿病は、グルコース応答インシュリン分泌細胞を、肝臓が通常他の組織より高いインシュリン濃度を示す門脈循環に導入することにより治療することができる。

0032

局所に応じた濃度の治療薬を提供するのに加え、本発明の方法は、高濃度ウイルスベクター及び他のベクターを特定の循環系に送達し得るが故に、組換え遺伝子を実質組織に送達するのに使用することもできる。この方法を使用し、器官特異的タンパク質欠乏症を治療することもできる。例えば肝臓において、α−抗トリプシン阻害物質欠乏症または高コレステロール血症は、α−抗トリプシンまたはLDLレセプター遺伝子を導入することによって治療することができる。更にこの方法は、悪性疾患の治療にも使用することができる。手術不能の腫瘍の循環系への特定の組換え毒素遺伝子の分泌は、治療効果をもたらす。

0033

この例としては、聴覚腫や、別の方法で切除し得ない所定の血管腫を挙げることができる。

0034

臨床環境においては、上記治療用粗換え遺伝子は、関係器官の循環系に供給する細胞内に導入される。動脈及び毛細血管循環はかかる細胞の導入に好ましい場所ではあるが、静脈系もまた適している。

0035

局所血管損傷の治療への適用においては、本発明は、前記症状をその場で改善するタンパク質の発現を提供する。1つの実施態様においては、血管細胞はかかる血管部位で認められるので、この血管細胞は、治療薬を運搬する担体として使用される。

0036

即ち本発明は、1つの態様においては、血管損傷局所領域へ治療薬(即ちタンパク質、成長因子)を移送するために、内皮及び他の血管細胞の遺伝子を改変すること、即ち体壁細胞遺伝子療法にある。細胞における遺伝子移植をうまく使用するためには、4つの条件が満足されねばならない。即ち、第1には、細胞中に移植されるべき遺伝子を同定及び単離せねばならない。第2には、発現させるべき遺伝子をクローニングし、遺伝子操作が可能であらねばならない。第3には、遺伝子は細胞中に、発現されるまたは機能的な形態で導入されねばならない。第4には、遺伝的に改変された細胞を、それが必要とされる血管領域に置かねばならない。

0037

本発明によれば、改変細胞または適当なベクターは、外科手術により、経皮的に、または静脈内に導入し、患者の血管壁の一部分に付着させることができる。或いは、患者の血管壁上に存在する細胞の幾つかは、所望の遺伝物質を用いてまたはベクターを直接適用することにより、形質転換される。場合によっては、血管表面で損失または損傷した細胞を置き換えるために、遺伝的に改変されていない血管細胞を上記方法によって導入することもできる。

0038

本発明に従って任意の血管、即ち動脈、静脈及び毛細血管を治療することができる。これらの血管は、ヒトまたは哺乳動物の体の任意の器官内またはその近傍にあるものであり得る。

0039

(正常細胞または遺伝的に改変された細胞の血管内への導入)本発明の上記実施様を以下のように説明することができる。
(I.組織培養における内皮細胞または他の血管細胞の樹立)まず、細胞系を樹立し、液体窒素中に保存する。凍結保存の前に、所望の遺伝物質を含むベクター、ウイルスまたは他の材料で感染またはトランスフェクションするためにアリコート採取した。

0040

内皮細胞または他の血管細胞は、J.W.Fordら,In Vitro,17,40(1981)に既に記載されている技法を使用し、血管の断片から酵素作用により誘導することができる。血管を切り出し、ステンレススチール棒の上で裏返し、0.1%トリプシン、0.125%EDTAを含むCa++−及びMa++−非含有のハンクス平衡塩類溶液BSS),pH8中、37℃で10分間インキュベートした。細胞(0.4〜1.5×106)を遠心分離によって回収し、10%ウシ胎児血清、内皮細胞成長補助因子ECGS,Collaborative Research,Waltham,MA)(25μg/ml)、ヘパリン(15U/ml)及びゲンタマイシン(50μg/ml)を含む培地199(GIBCO)中に再懸濁させた。予めゼラチン蒸留水中2mg/ml)でコートした75cm2の組織培養フラスコに細胞を加えた。細胞が一面に広がるまで上記培地中に2日ごとに細胞を供給した。

0041

2週間の培養の後、ブタ内皮を培養する場合にはECGS及びヘパリンは培地から除外することができる。もし血管平滑筋細胞または線維芽細胞が所望であれば、ヘパリン及びECGSは培養プロセスから完全に除外することができる。上で氷冷した0.5mlのウシ胎児血清中に約106個まで細胞を再懸濁させることにより、細胞アリコートを液体窒素中に保存した。10%DMSOを含む等容積の氷冷ウシ胎児血清を加え、細胞を、予め冷却したね蓋付きのコ一二ング(Corning)凍結試験管に移した。液体窒素中で長期保存する前に、かかる細胞を−70℃のフリーザーに3時間移した。

0042

次いで細胞を、所望の遺伝物質を含むベクターで感染させた。

0043

(II.正常または外来タンパク質を発現する細胞の脈管系への導入)
A.カテーテル法による関連タンパク質を発現する細胞の導入
無菌技術に厳密に固執するカテーテル法のために、外科手術によるかまたは経皮的に患者を準備した。適当な麻酔の後に、ターゲット血管上に切断処理を施すかまたはターゲット血管中ニードルを挿入する。血管(5)に穿孔し、米国特許第4,636,195号(この特許は参照により本明細書の一部を構成するものとする)に記載のごときカテーテル(USCI,Billerica,MAから入手可能なもの)を、必要であればX線透視案内下に案内ワイヤ手段(6)によって血管(5)中に前進させる(図1)。カテーテル手段(4)は、感染内皮細胞を動脈の独立領域中に導入するように設計されている。カテーテルは近位バルーン手段(2)と遠位バルーン手段(1)とを有しており(例えば各バルーン手段は長さ約3mm及び幅約4mmとすることができる)、バルーン間には一定長のカテーテル手段がある。バルーン間にある一定長のカテーテル手段は、点滴注入ポート手段(3)に連結されたポート手段を有する。近位及び遠位バルーンが膨張されると、血管中に中央スペースが形成され、ポートを通して感染細胞が点滴注入され得る。血管の領域は、解剖学的目印によって同定され、近位バルーン手段(2)は、(例えば血管内で一部膨張されたバルーンカテーテル強制通過による)機械外傷によって、ジスパーゼ(dispase)、トリプシン、コラゲナーゼ、パパイン、ペプシン、キモトリプシンもしくはカテプシンのような少量のタンパク質分解酵素と組み合わさった機械的創傷によって、または上記タンパク質分解酵素単独でのインキュベーションによって内皮を削剥(denude)するために膨張される。タンパク質分解酵素の他に、リパーゼを使用することもできる。血管の領域は更に、NP−40、Triton X100、デオキシコレートもしくはSDSのような刺激の少ない洗剤などで処理することにより、削剥することもできる。

0044

細胞移入のためには実質的に完全に内皮が損失し、また直接感染のためには血管壁から約20〜90%、好ましくは50〜75%の細胞が損失するように、削剥条件は調整される。場合によっては細胞削剥は必要でないこともあり得る。次いでカテーテルを、点滴注入ポート手段(3)が内皮の削剥領域内に置かれるように前進させる。次いで、感染細胞、トランスフェクション細胞または正常細胞を動脈の独立部分中に30分間にわたって点滴注入する。血管が、ある程度の虚血容認し得る例えば骨格筋のような器官に広がっている場合、遠位潅流は大きな問題ではないが、必要であれば外部シャントによってまたは遠位潅流し得るカテーテルを使用することにより潅流を復帰させ得る。感染内皮細胞の点滴注入後、バルーンカテーテルを取り出し、動脈の穿孔部位及び局所的な皮膚切開部位を修復する。遠位潅流が必要であれば、遠位潅流できるように設計された別のカテーテルを使用することもできる。

0045

B.in vivoでの血管壁上の細胞中へのまたは特定循環系により潅流される細胞中への組換え遺伝子の直接的導入:血管壁及び器官上の細胞の感染またはトランスフェクション
前述のごとく外科技術を使用する。感染細胞を使用する代わりに、高力価の所望の遺伝物質導入用ウイルスベクター(105〜106粒子/ml)または送達用ベクターと複合体形成したDNAを、ダブルバルーンカテーテル法を使用して血管壁中に直接点滴注入する。このベクターは、感染の効率を高めるために血清及びポリブレン(10μg/ml)を含む培地中で点滴注入される。カテーテルによって形成された空所中で適当な時間(0.2〜2時間またはそれ以上)インキュベートした後、培地を排出し、リン酸緩衝溶液で軽く洗浄し、動脈循環を回復した。術後回復のためにも同様の処置が使用される。

0046

単独のもしくは少量のタンパク質分解酵素(例えばジスパーゼ、トリプシン、コラゲナーゼまたはカテプシン)と組み合わせた機械的削剥によって、またはこれらのタンパク質分解酵素のみを用いたインキュベーションによって、血管表面を処理することができる。削剥条件は、血管壁から細胞が適当に損失されるように調整される。

0047

ウイルスベクターまたはDNA−ベクター複合体は、同原の血清と、関連ターゲット細胞へのウイルス粒子付着性を増強することにより感染の効率を高めるための、ポリブレン(10μg/ml)、ポリ−L−リシン、デキストラン硫酸もしくは生物学的に適当な任意のポリカチオン性物質のような付着分子、または、ウイルスもしくはベクターのエンベロープ糖タンパク質と血管壁中もしくは血管を介して広がっている組織中の関連ターゲット細胞とに対するハイブリッド抗体とを含むダルベッコ(Dulbecco)の改良イーグル培地中で、精製ウイルスまたは複合体を使用し、点滴注入する。ウイルスまたはベクターのエンベロープ糖タンパク質及び関連ターゲット細胞に対するハイブリッド抗体は、2つの方法のうちの1つで製造することができる。異なるエピトープに対する抗体は化学的架橋することができる(G.Jung,C.J.Honsik,R.A.Reisfeld及びH.J.Muller−Eberhard,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,83,4479(1986);U.D.Staerz,O.Kanagawa及びM.J.Bevan,Nature,314,628(1985);並びにP.Perez,R.W.Hoffman,J.A.Titus及びD.M.Segal,J.Exp.Med.,163,166(1986))、またはハイブリッドハイブリドーマを使用し生物学的に結合することができる(U.D.Staerz及びM.J,Bevan,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,83,1453(1986);並びにC.Milstein及びA.C.Cuello,Nature,305,537(1983))。カテーテルの中央スペースの中で0.2〜2時間またはそれ以上インキュベーションした後、培地を排出し、リン酸緩衝溶液で軽く洗浄し、循環を回復する。

0048

異なる構造のカテーテルを使用し(図2参照)、異なる点滴注入用プロトコルを使用することもできる。この第2の方法は、複数のポート手段(3)を有する単一のバルーン手段(2)の使用に係わる。複数のポート(3)によって、レトロウイルス高圧で一部削剥された動脈部分中に送達することができる。血管表面は前述のごとく処理し、欠陥ベクターを同様の付着分子を使用して導入する。この場合、高圧送達系を使用することで、ベクターと、隣り合った血管組織中の細胞との相互作用が最適化される。

0049

更に本発明は、感染の効率を高めるためにカテーテルによって局所的にまたは全身に送達される成長因子の使用をも提供する。レトロウイルスベクターの他に、ヘルペスウイルスアデノウイルスまたは他のウイルスベクターが本発明の方法に適したベクターである。

0050

器官または組織中の細胞を形質転換することも可能である。器官細胞または組織細胞の直接形質転換は、2つの方法のうち1つによって達成することができる。第1の方法においては、高圧トランスフェクションを使用する。高い圧力によって、ベクターを血管壁を通して周囲の組織中に移動させ得る。第2の方法においては、必要によっては漏出をもたらす損傷の後に、毛細血管床中へ注入することにより、周辺組織に直接感染を引き起こす。

0051

ベクターまたは細胞の点滴注入に要する時間は、使用される本発明の方法の特定の態様に依存する。即ち、細胞または血管中のベクターを点滴注入するためには、0.01〜12時間が適当であり、好ましいのは0.1〜6時間、最も好ましいのは0.2〜2時間である。或いはベクターまたは細胞の高圧点滴注入に対しては、より短い時間が好ましいであろう。

0052

(本発明に使用される細胞の取得)“遺伝物質”なる用語は一般に、タンパク質をコードするDNAを指す。更にこの用語は、RNAウイルスまたは他のRNAベースのベクターに使用される場合にはRNAをも含む。

0053

形質転換とは、細胞に外来遺伝子が直接感染、トランスフェクションまたは他の取込み手段によって取り込まれるプロセスである。

0054

“ベクター”なる用語はよく理解されており、しばしば使用される用語“クローニングビヒクル”と同義である。ベクターは、例えば形質転換プロセスによって単細胞生物内に移入されたときにベクターが複製するような無傷レプリコンを含む非染色体二重鎖DNAである。ウイルスベクターとしては、レトロウイルス、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、パポバウイルス(papovirus)または他の天然ウイルスの改変体を挙げることができる。更にベクターとは、細胞によって摂取され得る化学物質または物質を含むDNAの調製物をも意味する。

0055

別の実施態様においては本発明は、遺伝子の発現を阻害することを提供する。この目的を達成するためには4つの方法を使用することができる。これらは、アンチセンス剤(antisense agent)、即ちmRNA相補的である合成オリゴヌクレオチド(Maher III,L.J.及びDolnick,B.J.Arch,Biochem.Biophys.,253,214−220(1987)及びZamecnik,P.C.ら,Proc,Natl.Acad.Sci.,83,4143−4146(1986))または該遺伝子の逆相補的配列(reverse complement)を発現するプラスミド(Izant,J.H.及びWeintraub,H.,Science,229,345−352(1985);Cell,36,1077−1015(1984))の使用を含む。更に、リボザイム(ribozyme)と称される触媒機能をもつRNAはRNA配列を特異的に切断することができる(Uhlenbeck,O.C.,Nature,328,596−600(1987),Haseloff,J.及びGerlach,W.L.,Nature,334,585−591(1988))。第3の方法は、細胞内タンパク質類縁体が該細胞内タンパク質の機能を特異的に妨害し得る“細胞内免疫”を含む(Friedman,A.D.,Triezenberg,S.J.及びMcKnight,S.L.,Nature,335,452−454(1988))。これについては詳細を後述する。

0056

第1の方法は、細胞中で転写物を特異的に排除するために使用することができる。転写物の損失は、S1ヌクレアーゼ分析、及び機能分析を使用して決定される結合タンパク質の発現によって確認することができる。一重鎖オリゴヌクレオチド類縁体は、転写因子mRNAのプロセッシングまたは翻訳を妨害するために使用することができる。簡単に言えば、ターゲット遺伝子のコード鎖に相補的な合成オリゴヌクレオチドまたはチオール誘導類縁体(20〜50ヌクレオチド)を作製することができる。これらアンチセンス剤は、mRNAの種々の領域に対して作製することができる。それらは、遺伝子の5’非翻訳領域、翻訳開始部位及びそれに続く20〜50塩基対中央コード領域または3’非翻訳領域に相補的である。アンチセンス剤は、活性化の前にトランスフェクトされた細胞と一緒にインキュベートすることができる。メッセンジャーRNAの種々の部分に対するアンチセンス拮抗物質効能を比較し、かかる遺伝子の発現を妨げる上で特異的領域がより有効であるかどうかを決定することができる。

0057

更にRNAは、自己消化を惹起するためまたは相補的RNA配列を特異的に切断するために自己触媒的に機能することもできる(Uhlenbeck,O.C.,Nature,328,596−600(1987),Haseloff,J.及びGerlach,W.L.,Nature,334,585−591(1988),並びにHutchins,C.J.ら,Nucleic AcidsRes.,14,3627−3640(1986))。RNA切断がうまく行くために必要な事項としては、ブランキング領域にRNA配列が保存されているハンマーヘッド構造を挙げることができる。この触媒ドメインに隣り合った領域は、特定のRNAに相補的に作られており、従ってリボザイムは特定の細胞mRNAをターゲットにする。特定のターゲット遺伝子の産生を阻害するためには、この遺伝子をコードするmRNAは、リボザイムを使用し特異的に切断することができる。簡単に言えば、RNA転写物中の任意のGUG配列は、リボザイムによる切断のためのターゲットとして作用し得る。これらは、DNA配列分析、及び特異的切断に使用され得るRNA転写物のGUG部位走査によって同定される。5’非翻訳領域、コード領域及び3’非翻訳領域にある部位は、この転写物を切断する上で1つの任意の領域がより有効であるかどうかを決定するためのターゲットとされ得る。GUG部位の上流にある20塩基対の相補配列、ハンマーヘッド構造及び上記部位の下流にある−20塩基対の相補配列をコードする合成オリゴヌクレオチドを、cDNA関連部位に挿入することができる。このようにして、リボザイムは、内在メッセージと同じ細胞コンパートメントをターゲットとすることができる。特定の細胞中において高レベルの発現を与える特異的エンハンサーの下流に挿入されるリボザイムも作製することができる。かかるプラスミドは、ネオマイシン耐性プラスミド(pSVZ−Neo)または他の選択可能なマーカーを用いて、電気穿孔法(electroporation)及び同時トランスフェクション法を使用し、関連ターゲット細胞中に導入することができる。かかる転写物の発現は、ノザンブロット及びS1ヌクレアーゼ分析によって確認することができる。確認されたなら、mRNAの発現をS1ヌクレアーゼ保護によって評価し、かかる転写物の発現がターゲットmRNA及びそれが調節する遺伝子の定常状態レベルを低下させたかどうかを決定することができる。更にタンパク質の量を調査することもできる。

0058

遺伝子は、活性化に必要なドメインを欠いた突然変異転写物を調製することによって阻害することもできる。簡単に言えば、該ドメインを同定した後、機能を刺激できない突然変異体を合成する。この切断された遺伝子産物を、ネオマイシン耐性遺伝子を含むプラスミド中のSV−40エンハンサーの下流に挿入することができる(Mulligan,R.及びBerg,P.,Science,209,1422−1427(1980)(別々の転写単位において))。このプラスミドをG418を使用して細胞中に導入し、選択することができる。この遺伝子の突然変異体の存在は、S1ヌクレアーゼ分析及び免疫沈降(immunoprecipitation)によって確認することができる。かかる細胞中の内在タンパク質の機能は2つの方法で評価することができる。第1には、正常遺伝子の発現を調査することができる。第2には、かかるタンパク質の既知の機能を評価することができる。この突然変異の細胞間干渉形態がその宿主に対して毒性であるならば、それを、メタロチオネインプロモーターのような誘導制御エレメント上に導入することができる。安定な細胞系を単離した後、この遺伝子を発現するために細胞をZnまたはCdと一緒にインキュベートすることができる。次いで、その宿主細胞に及ぼす効果を評価することができる。

0059

特定遺伝子失活させる別のアプローチは、他の活性の発現又は機能に拮抗する組換えタンパク質過剰発現することである。例えば(例えば散在性血栓崩壊の臨床症状で)TPAの発現を減少させたい場合、プラスミノーゲンアクチベータインヒビターを過剰発現させればよい。

0060

近年の生化学及び分子生物学の進歩により、例えばレトロウイルス及びプラスミドに夫々外来RNA又はDNAを担持させた「組換え」ベクターが構築されるようになった。例えば、組換えベクターは異種RNA又はDNA、即ち組換えベクターにより形質転換を受け易い生物により通常は産生されないポリペプチドをコードするRNA又はDNAを含み得る。組換えRNA及びDNAベクターの製造は十分解明されているので、詳細に説明する必要はない。しかしながら、参考までにこのプロセスを簡単に説明する。

0061

例えば、レトロウイルス又はプラスミドベクターを切断し、連結可能な末端を有する直鎖状RNA又はDNAを得る。相補的な同様の連結可能な末端を有する外来RNA又はDNAにこれらの末端を結合し、無傷のレプリコン及び所望の表現型特性を有する生物学的に機能的な組換えRNA又はDNA分子を得る。

0062

別々のRNA又はDNAフラグメントの相隣接する末端を連結し易いように調整する種々の技術がRNA又はDNA組換えに利用可能である。

0063

本発明で使用される外来即ち供与体RNA又はDNAは適切な細胞から得られる。ベクターは治療薬タンパク質のin vivo発現が可能な形質転換細胞を得るための既知の技術を使用して構築される。形質転換細胞は、RNA又はDNAをターゲット細胞に移動させ及び取り込むことが可能なRNA又はDNA含有調製物にターゲット細胞を接触させることにより得られる。このような調製物は例えばレトロウイルス、プラスミド、リボソーム調製物、又はプラスミドとポリカチオン性物質(例えばポリ−L−リシン、DEAC−デキストラン及び標的リガンド)との複合体を含む。

0064

本発明は、従って、局部又は全身を目的とした血管の局部領域に治療薬又は診断薬を移送するための方法として細胞の遺伝子改変を規定する。これらの細胞で発現され得る組換えタンパク質の範囲は多様である。例えば、血栓症及び再発狭窄症の治療に用いられるtPA、血管形成因子又は血管再形成用成長因子、並びに血管収縮又は血管痙撃を緩和するための血管作用因子のようなタンパク質を発現するベクターを使用する遺伝子移送を挙げることができる。この技術は更に局所的又は全身的な遺伝病又は後天性疾患の遺伝子治療にまで拡張できる。本発明は更に、例えば血管形成術又はカテーテル法の施術中に損傷した内皮を置換するために、特定の細胞損失部位に正常細胞を導入するためにも使用され得る。

0065

例えば虚血性疾患(血栓症)を治療する場合、tPAもしくはその修飾物、ウロキナーゼ又はストレプトキナーゼをコードする遺伝物質を使用して細胞を形質転換させる。虚血性器官(例えば心臓、腎臓、腸、肝臓等)不全の治療では、形質転換成長因子α(TGF−α)、形質転換成長因子β(TGF−β)、血管形成因子、腫瘍壊死因子α、腫瘍壊死因子β、酸性フィブロブラスト成長因子又は塩基性フィブロブラスト成長因子のような側副路再形成物質をコードする遺伝物質を使用することができる。血管運動疾患の治療では、血管拡張物質又は血管収縮物質をコードする遺伝物質が使用され得る。これらの材料は心房性ナトリウム排泄増加因子、血小板由来成長因子又はエンドテリンを含む。糖尿病の治療ではインシュリンをコードする遺伝物質が使用され得る。

0066

本発明は更に、形質転換細胞を悪性腫瘍の近傍に配置することにより悪性腫瘍の治療にも使用され得る。この適用では、ジフテリア毒素、百日咳毒素又はコレラ毒素をコードする遺伝物質が使用され得る。

0067

AIDSの治療に本発明を使用する場合、可溶性CD4又はその誘導体をコードする遺伝物質が使用され得る。例えば成長ホルモン欠乏症のような遺伝病の治療では、必要な物質(例えばヒト成長ホルモン)をコードする遺伝物質が使用される。これらの全遺伝物質は当業者に容易に入手可能である。

0068

別の実施態様によると、本発明は患者の疾患を治療するためのキットを提供するものであり、該キットはカテーテルと酵素又は低刺激性洗剤を含有する溶液とを含み、カテーテルは血管に挿入するように構成されており、カテーテルは更に、該血管に挿入され且つ血管内に主カテーテル本体を保持するために血管壁を膨張可能なように構成されたバルーンエレメントを有する主カテーテル本体と、主カテーテル本体に備え付けられた、溶液を血管に送達するための手段とを備えており、酵素又は低刺激性洗剤を含有する溶液は生理学的に許容可能な溶液である。溶液はジスパーゼ、トリプシン、コラゲナーゼ、パパイン、ペプシン又はキモトリプシンのようなタンパク分解酵素を含有し得る。タンパク分解酵素以外にリパーゼを使用してもよい。低刺激性洗剤として、溶液はNP−40、Triton X100、デオキシコレート、SDS等を含有し得る。

0069

あるいは、キットはヘパリン、ポリ−L−リシン、ポリブレン、デキストラン硫酸、ポリカチオン性材料又は二価抗体のような物質を含有する生理学的に許容可能な溶液を含み得る。この溶液はさらにべクター又は(正常又は形質転換)細胞を含み得る。さらに別の実施態様によると、キットはカテーテルと、酵素又は低刺激性洗剤を含有する溶液と、ヘパリン、ポリ−L−リシン、ポリブレン、デキストラン硫酸、ポリカチオン性材料又は二価抗体のような物質を含有し且つ場合によりベクター又は細胞を含有し得る溶液とを含み得る。

0070

キットは単一のバルーン及び中央の遠位潅流ポートを備えるカテーテルと、特定器官に細胞を導入するか、又は毛細血管床にベクターを導入するか、又はこの毛細血管床により潅流される特定器官もしくは組織に細胞を導入することが可能な許容可能な溶液とを含み得る。

0071

あるいはキットは、血管に挿入されるように構成された相互に離間して配置された2つのバルーンエレメントを有する主カテーテル本体を含んでもよく、2つのバルーンエレメントは血管内にチャンバを形成し、主カテーテル本体を保持するように血管壁を膨張可能にするものである。この場合、溶液をチャンバ内に送達するための手段は、バルーンエレメント間に配置される。キットは溶液を血管内に送達するための複数のポート手段を有するカテーテルを含み得る。

0072

従って、本発明は患者の血管の壁又はこの血管により潅流される器官の細胞に何らかの細胞を付着させ、この細胞に外来治療薬タンパク質を発現させることにより患者の疾患を治療するための方法に係り、タンパク質は疾患を治療するか又は診断目的に有用であり得る。本発明の方法は虚血性疾患、血管運動疾患、糖尿病、悪性腫瘍、AIDS又は遺伝病のような疾患を治療するために使用され得る。

0073

本発明は疾患を治療するために、TPA及びその修飾物、ウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、酸性フィブロブラスト成長因子、塩基性フィブロブラスト成長因子、腫瘍壊死因子α、腫瘍壊死因子β、形質転換成長因子α、形質転換成長因子β、心房性ナトリウム排泄増加因子、血小板由来成長因子、エンドテリアン、インシュリン、ジフテリア毒素、百日咳毒素、コレラ毒素、可溶性CD4及びその誘導体、並びに病気を治療するための成長ホルモンのような外来治療薬タンパク質を使用することができる。

0074

本発明はさらに診断的価値を有する外来タンパク質も使用できる。例えば、細胞移動監視するためにβ−ガラクトシダーゼのようなマーカータンパク質を使用することができる。

0075

外来治療薬タンパク質を発現させる細胞は内皮細胞であることが好ましい。

0076

本発明の他の特徴は本発明を非限定的に説明する以下の実施例の記載中に明示される。

0077

以下に報告するデータは内皮細胞転移及び遺伝子移植が可能であり、内皮細胞はカテーテル法により安定的に動脈壁にin situ移植することができ、組換えマーカータンパク質であるβ−ガラクトシダーゼをin vivoで発現し得ることを立証するものである。

0078

ブタのアテローム形成はヒトと類似性があるので、ユカタンミニピッグ(Wilmington,MAに所在のCharles River Laboratories社)の近交系ブタを動物モデルとして選択した(1)。8箇月齢雌ミニピッグの内頸静脈から初代内皮細胞系を樹立した。この系の内皮細胞同一性は、細胞が組織培養でブタ内皮に典型的な成長特徴及び形態を示すという事実から確認された。内皮細胞は更に、フィブロブラスト及び他の間葉細胞とは対照的に、低密度リポタンパク質(AcLDL)のアセチル化形のレセプターを発現する(2)。蛍光AcLDL取り込みによりAcLDLレセプター発現を分析した処、培養した細胞の99%以上がこのレセプターを含んでいた。

0079

複製欠陥があり且つβ−ガラクトシダーゼ遺伝子及びネオマイシン耐性遺伝子の両方を含むマウスβ−ガラクトシダーゼ形質導入レトロウイルスベクター(BAG)で感染後に2つの独立したβ−ガラクトシダーゼ発現内皮系を単離した(3)。このベクターを含む細胞からG−418の存在下で成長する能力を有する細胞を選択した。組織化学的染色によると、選択した細胞の90%以上がβ−ガラクトシダーゼを合成した。これらの遺伝的に改変した細胞の内皮性質を同様に蛍光AcLDLの取り込みの分析により確認した。更にBAGレトロウイルスによる感染をサザンブロット分析により確認した処、約1コピーゲノムの割合で無傷のプロウイルスDNAの存在が判明した。

0080

この近交系から得られる内皮細胞は同系であるので、2匹以上のミニピッグでの調査に適用可能であり、9匹の異なる実験動物試験した。全身麻酔下に大腿動脈及び腸骨動脈を露出させ、カテーテルを血管に導入した(図1)。部分的に膨らませたバルーンカテーテルを血管の内側に強く挿入することにより、動脈壁の内膜組織を機械的に削剥させた。動脈をヘパリン化食塩水濯ぎ中性プロテアーゼ、ジスパーゼ(50U/ml)と共にインキュベートし、残留する内腔内皮細胞を除去した。カテーテルバルーン抜気して血管セグメントに血液を流動させてから、血漿中のα2グロブリンにより残留酵素を迅速に失活させた。2つのバルーンと中央の点滴注入ポートとを備える特別に設計した動脈カテーテル(USCI,Billerica,MA)(図1)を使用してβ−ガラクトシダーゼを発現する培養内皮細胞を導入した。

0081

これらのバルーンを膨らませると動脈の内側に保護スペースが形成され、中央のポート3を通ってこのスペースに細胞を点滴注入した(図1)。β−ガラクトシダーゼを発現するこれらの内皮細胞を30分間インキュベートし、削剥した血管に付着し易くした。次にカテーテルを除去し、動脈枝を連結し、切開部を閉じた。

0082

β−ガラクトシダーゼを発現する内皮を接種した動脈のセグメントを2〜4週間後に取り出した。X−gal染料を使用して染色後に動脈試料肉眼で試験した処、非感染内皮を接種した動脈に比較してβ−ガラクトシダーゼ活性を表す複数の青色着色領域が観察された。光学顕微鏡試験の結果、実験的に接種した血管の内膜の内皮細胞に主にβ−ガラクトシダーゼ染色が確認された。

0083

これに対して、β−ガラクトシダーゼを含有しない内皮細胞を接種した対照セグメントでは同様の染色の形跡は観察されなかった。β−ガラクトシダーゼ染色はもっと深い血管内膜組織で明白な場合もあり、接種した内皮が先に損傷した血管壁の内側にトラップされたこと又は移動したことを示唆する。初めの2匹の実験動物では局部的な血栓症が観察された。この合併症はその後の研究で、内皮細胞転移手順の前にアセチルサリチル酸を投与し、接種時に抗凝血性ヘパリンを使用することにより最小化された。血栓成の場合、血管壁から血栓の表面に延びる内皮細胞でβ−ガラクトシダーゼ染色が認められた。

0084

in vivo遺伝子移植の第1の問題は、遺伝子工学的に作製した細胞から複製能力のあるレトロウイルスを産生させることである。これらの試験において、この潜在的問題は複製欠陥レトロウイルスを使用することにより最小になった。in vitroで20回継代後にこれらの系からヘルパーウイルスを検出することはできなかった。感染率が高く且つ宿主細胞ゲノムヘの取り込みが安定的であるという理由で欠陥ウイルスを使用した(4)が、この遺伝子移動法を他のウイルスベクターに適応させることが可能である。

0085

第2の問題は組換え遺伝子のin vivo発現の寿命である。本研究の結果、β−ガラクトシダーゼの内皮細胞発現は血管導入後6週間までテストした血管内で一定であることが判明した。

0086

これらの試験の結果、遺伝的に改変された内皮細胞は動脈カテーテル法によりユカタンミニピッグの血管壁に導入できることが立証された。このように、本発明は遺伝的に改変された内皮をベクターとして使用することにより血管疾患の局部的な生化学的治療に使用することができる。

0087

バルーン血管形成術又は患部血管への移植片挿入のような現行の血管疾患処置方法の主要な併発症は、局部組織外傷部位におけるアテローム性硬化斑崩壊及び血栓形成である(5)。一部にはこれは内皮細胞損傷により媒介される(6)。本データは、局部血栓症を最小限にするための処置時に、遺伝的に改変された内皮細胞を導入できることを示す。

0088

この方法は、不安定アンギナ又は心筋梗塞を含む他の虚血性症状にも使用できる。例えば、組織プラスミノーゲンアクチベーター又はウロキナーゼをコードする遺伝子を発現する細胞を導入することにより抗血栓効果が得られる。この方法は慢性組織虚血症の治療にも有用である。例えば、血管形成又は成長因子(7)の同化により、心筋層のような重度虚血性組織に側副血管の形成を刺激する。最後に、この内皮細胞遺伝子移動方法改良法を使用することにより、全身性遺伝病の体遺伝子置換が可能である。

0089

(実験の部:)
A.正常及びβ−ガラクトシダーゼ形質導入ブタ内皮細胞におけるAcLDLレセプター発現の分析。

0090

ユカタンミニピッグに由来する内皮細胞培養物を2つのサブ系に分けてBAGレトロウイルス又は3T3フィブロブラスト対照で感染させ、蛍光標識AcLDLを使用してAcLDLレセプターの発現を分析した。

0091

内皮細胞は中性プロテアーゼジスパーゼを使用して外頸静脈から取り出した(8)。静脈セグメントを切除し、ジスパーゼ(ハンクスの平衡塩類溶液中50U/ml)を充填し、30℃で20分間インキュベートした。この手段により得られた内皮をウシ胎児血清(10%)、50μmg/ml内皮細胞成長補助因子(ECGS)及びヘパリン(100μg/ml)を補充した培地199(GIBCO,Grand Island,N.Y.)中に維持した。これらの細胞をBAGレトロウイルスで感染させ、G−418耐性細胞を選択した。細胞培養物を(1,1’−ジオタデシル−3,3,3’,3’−テトラメチルインドカルバシアニンパークレート)(Dil)AcLDL(Biomedical Technologies,Stoughton,MA)(10μg/ml)と共に37℃で4〜6時間インキュベートした後、0.5%グルタルアルデヒドを含有するリン酸緩衝塩水で3回濯いだ。位相差及び蛍光顕微鏡法により細胞を可視化した。

0092

B.カテーテル法による内皮細胞の導入方法

0093

ダブルバルーンカテーテルを使用して内皮細胞の点滴注入を行った。カテーテルは各々長さ6mm及び幅5mmの近位及び遠位バルーンを有しており、バルーン間の距離は20mmである。カテーテルの中央部分は点滴注入ポートに接続された2mmの孔を有する。近位及び遠位バルーンを膨らませると中心スペースが生じて、ポートを通って血管の個々のセグメントに感染細胞を点滴注入することができる。カテーテルによる細胞導入の概略図を図1及び2に示す。

0094

動物飼育は“Principles of Laboratory Animal Care”及び”Guide for the Care and Use of Laboratory Animals”(NIH刊 No.80−23,1978年改訂)にしたがって実施した。雌ユカタンミニピッグ(80〜100kg)をペントバルビタール(20mg/kg)で麻酔し、挿管し、機械的に換気した。これらの被験動物の腸骨動脈及び大腿動脈を滅菌下に外科的に露出させた。遠位大腿動脈を穿孔し、ダブルバルーンカテーテルを案内ワイヤにより腸骨動脈内に前進させた。外腸骨動脈を同定し、近位バルーンを部分的に膨らませ、遠位及び近位に移動させて内皮を機械的に削剥した。次に削剥した内皮の領域に中央スペースが位置するようにカテーテルを位置決定し、2つのバルーンを膨らませた。削剥したセグメントをヘパリン化食塩水で潅注し、10分間ジスパーゼ(20U/ml)の点滴注入により残留する接着性細胞を除去した。削剥した血管をヘパリン溶液で更に潅注し、BAG感染内皮細胞を30分間点滴注入した。次いでバルーンカテーテルを除去し、術前ベルの血流を回復した。血管セグメントを2〜4週間後に切除した。動脈の一部を5分間0.5%グルタルアルデヒド内に置き、リン酸緩衝塩水に保存し、別の部分を切片作製用にパラフィンブロック内に固定した。標準組織化学法(19)によりβ−ガラクトシダーゼを発現するレトロウイルスの存在を決定した。

0095

C.内皮細胞のin vitro及びin vivo分析。
(A)ユカタンミニビッグからの初代内皮細胞、(B)BAGレトロウイルスベクター感染により誘導されるサブ系、(C)正常対照動脈のセグメント、(D)BAGレトロウイルスベクターで感染した内皮を点滴注入した動脈セグメント、(E)正常対照動脈の顕微鏡横断面、及び(F)BAGレトロウイルスベクターで感染した内皮を点滴注入した動脈の顕微鏡横断面の組織化学的染色によりβ−ガラクトシダーゼ活性を調べた。

0096

組織化学的染色に先立って組織培養物中の内皮細胞を0.5%グルタルアルデヒドに固定した。大腸菌β−ガラクトシダーゼタンパク質の酵素活性を使用して感染内皮細胞をin vitro及びin vivoで同定した。β−ガラクトシダーゼ形質導入Mo−MuLVベクター(2)、(BAG)はConstace Cepko博士から寄贈された。このベクターはβ−ガラクトシダーゼ遺伝子のプロモーターとして野生型Mo−MuLVLTRを使用した。Tn5ネオマイシン耐性遺伝子に連結したSV40初期プロモーターは、G−418薬物耐性を付与し、β−ガラクトシダーゼ遺伝子の下流に挿入され、β−ガラクトシダーゼ発現するレトロウイルスを含有する細胞を選択するためのマーカーを提供する。この欠陥レトロウイルスはフィブロブラストφam細胞(3,10)から調製し、ダルベッコの改良イーグル培地(DMEM)及び10%ウシ血清に維持した。細胞をトリプシン処理後、週に2回継代した。104〜105/mlのG−418耐性コロニー力価を有する上清を3分の2の集密度で内皮細胞に加え、8μg/mlのポリブレンの存在下に5%CO2中37℃でDMEM及び10%ウシ血清中で12時間インキュベートした。ウイルスを含む上清を取り出し、10%ウシ胎児血清、ECGS(50μg/ml)及び内皮細胞ならし培地(20%)を含む培地199中に細胞を更に24〜48時間維持し、その後、G−418(50%ラセミ混合物中0.7μg/ml)中で選択した。G−418耐性細胞を単離し、標準組織化学染色法(9)を使用してβ−ガラクトシダーゼ発現を分析した。β−ガラクトシダーゼ酵素を安定的に発現する細胞を必要に応じて使用できるように連続培養に維持した。凍結アリコートを液体窒素中に保存した。

0097

引用文献)
1.J.S;Reitman,R.W.Mahley,D.L.Fry、Atherosclerosis 43,119(1982).
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8.T.Matsumura,T.Yamanka,S.Hashizume,Y.Irie,K.Nitta,Japan.J.Exp.Med.45,377(1975);D.G.S.Thilo,S.Muller−Kusel,D.Heinrich,I.Kauffer,E.Weiss,Artery,8,25a(1980).9.A.M.Dannenberg,M.Suga,in Methodsfor Studying Mononuclear Phagocytes,D.O.Adams,P.J.Edelson,H.S.Koren,Eds.(Academic Press,New York 1981),pp375−395.
10.R.D.Cone,R.C.Mulligan,Proc.Natl.Acad.Sci.U・S・A.,81,6349(1984).
当然のことながら上記教示に鑑みて本発明の多数の変形が可能である。したがって、請求の範囲内であれば明細書中に具体的に説明した以外の方法で本発明を実施してもよいことが理解されよう。

0098

添付の図面に関連する以下の詳細説明により本発明がより理解されれば、本発明はより完全に理解されると共に本発明に伴なう長所の多くが容易に明らかとなるであろう。

図面の簡単な説明

0099

図1図1及び図2は、血管内に細胞を外科手術によりまたは経皮的に移植するためまたは患者の血管壁上に存在する細胞をin vivoで形質転換するための、本発明に従うカテーテルの使用を示す図である。
図2図1及び図2は、血管内に細胞を外科手術によりまたは経皮的に移植するためまたは患者の血管壁上に存在する細胞をin vivoで形質転換するための、本発明に従うカテーテルの使用を示す図である。

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