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図面 (7)

課題

細菌感染によって惹起される炎症症状、特に炎症部位への胸水腹水等の体液貯留や血中の好中球増多等の症状を軽減する作用を有する炎症に伴う症状の軽減剤を提供することを課題とする。

解決手段

ヒト型ラクトフェリンを有効成分とする組成物を経口的あるいは非経口的に摂取あるいは投与することにより、細菌感染によって惹起される炎症症状、特に炎症部位への胸水や腹水等の体液貯留や血中の好中球増多等の症状を効果的に軽減することが可能となる。

概要

背景

ヒトやほ乳動物乳中には、分泌型IgAIgG等の免疫グロブリン補体リゾチームラクトフェリンなどの感染防御物質が含まれており、母乳の摂取は、これらの感染防御物質をほとんど含んでいない人工乳摂取に比べて、感染症等への罹患率罹患期間を低下させると言われている。

中でもラクトフェリンは鉄をキレートすることにより、主に大腸菌などの生育を阻害し、殺菌する作用を持つことがin vitroで示されている。さらに、このような殺菌作用とは別に特開平5-178759には免疫賦活作用、特開2000-229881には癌疾患予後改善作用、特開平7-300425には病原菌類標的細胞への付着を阻害する作用、第2840795号特許には細胞増殖促進作用等、多種多様薬理作用が既に報告されている。

一方、炎症性疾患において例えば腹膜炎では腹水が、肺炎では胸水貯留し、それぞれ患者体力低下をもたらし、さらに炎症性細胞極度浸潤組織傷害誘起される。またグラム陰性桿菌による敗血症では、血中アルブミン濃度の低下やリンパ球白血球の減少、好中球の増多等が引き起こされ、時に病体が悪化し、多臓器不全等の全身性炎症反応症候群病態へと遷延化した場合には、予後の経過が極めて悪いことが知られている。これらの炎症に伴う症状の改善には、ヒト型アルブミン製剤の血中投与等が試みられているが、十分な症状の軽減効果は認められていない。またケガ等で生体侵襲が激しい場合や重症感染症など高炎症状態下では血管壁透過性自体に異常を来していることから、リンパ流で処理しきれないほどの水分が組織間移行していると考えられる。このような場合の症状の軽減にアルブミン製剤等のコロイド物質を使用することはかえって死亡リスクをあげてしまうとの報告もある。従って、これらの症状を効果的に軽減できる新たな剤の開発が期待されている。

そこで特公平7-121869には大豆クニッツ(Kunitz)型トリプシンインヒビターが、特開平10-245347には血管内皮細胞増殖因子/血管透過性因子アンタゴニスト体液の貯留を抑制する作用を持ち、患者の体力低下を防ぎ治療効果を高める効果を発揮すると報告されている。先に述べたラクトフェリンの場合、グラム陰性菌由来エンドトキシンリポ多糖)による炎症の抑制剤ラクトフェリン由来ペプチドを用いている例が特開平8-165248に記載されており、またラクトフェリン自体をエンドトキシンにより誘起される疾患の治療に併用的に用いている例が特開平10-114675に記載されている。しかしながら、ラクトフェリンを炎症部位における体液やアルブミンの貯留、さらに血中における好中球増多を軽減する剤として用いることはこれまで検討されていなかった。

概要

細菌感染によって惹起される炎症症状、特に炎症部位への胸水や腹水等の体液貯留や血中の好中球増多等の症状を軽減する作用を有する炎症に伴う症状の軽減剤を提供することを課題とする。

ヒト型ラクトフェリンを有効成分とする組成物を経口的あるいは非経口的に摂取あるいは投与することにより、細菌感染によって惹起される炎症症状、特に炎症部位への胸水や腹水等の体液貯留や血中の好中球増多等の症状を効果的に軽減することが可能となる。

目的

そこで本発明者らは炎症に伴って惹起される種々の症状に対するラクトフェリンの作用について鋭意検討を行った結果、ラクトフェリンがこれまで報告されている種々の薬理作用に加えて、感染症の罹患後に現れる種々の症状の軽減に対しても効果を有することを初めて見出した。さらにそのような効果について通常用いられているウシ型ラクトフェリンとヒト型ラクトフェリンを比較検討したところ、予想に反してヒト型ラクトフェリンに特に強く症状の軽減効果が現れることを初めて見出し本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は術後や、やけどを負った患者、あるいは長期入院患者等が後遺的に罹患する敗血症等、炎症に伴う合併症によって引き起こされる種々の症状を軽減し、その病態を改善する効果を持った新たな剤を提供するものである。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

ヒト型ラクトフェリンを有効成分とする、炎症に伴う症状の軽減剤

請求項2

炎症に伴う症状の軽減剤が胸水腹水体液貯留抑制剤である請求項1の症状の軽減剤

請求項3

炎症に伴う症状の軽減剤が血中の好中球増多抑制剤である請求項1の症状の軽減剤

請求項4

炎症が細菌感染によって引き起こされたものである請求項1から3の症状の軽減剤

技術分野

0001

本発明は細菌感染によって惹起される炎症症状、特に炎症部位への胸水腹水等の体液貯留や血中の好中球増多等の症状を軽減する作用を有する炎症に伴う症状の軽減剤に関するものである。

背景技術

0002

ヒトやほ乳動物乳中には、分泌型IgAIgG等の免疫グロブリン補体リゾチームラクトフェリンなどの感染防御物質が含まれており、母乳の摂取は、これらの感染防御物質をほとんど含んでいない人工乳摂取に比べて、感染症等への罹患率罹患期間を低下させると言われている。

0003

中でもラクトフェリンは鉄をキレートすることにより、主に大腸菌などの生育を阻害し、殺菌する作用を持つことがin vitroで示されている。さらに、このような殺菌作用とは別に特開平5-178759には免疫賦活作用、特開2000-229881には癌疾患予後改善作用、特開平7-300425には病原菌類標的細胞への付着を阻害する作用、第2840795号特許には細胞増殖促進作用等、多種多様薬理作用が既に報告されている。

0004

一方、炎症性疾患において例えば腹膜炎では腹水が、肺炎では胸水が貯留し、それぞれ患者体力低下をもたらし、さらに炎症性細胞極度浸潤組織傷害誘起される。またグラム陰性桿菌による敗血症では、血中アルブミン濃度の低下やリンパ球白血球の減少、好中球の増多等が引き起こされ、時に病体が悪化し、多臓器不全等の全身性炎症反応症候群病態へと遷延化した場合には、予後の経過が極めて悪いことが知られている。これらの炎症に伴う症状の改善には、ヒト型アルブミン製剤の血中投与等が試みられているが、十分な症状の軽減効果は認められていない。またケガ等で生体侵襲が激しい場合や重症感染症など高炎症状態下では血管壁透過性自体に異常を来していることから、リンパ流で処理しきれないほどの水分が組織間移行していると考えられる。このような場合の症状の軽減にアルブミン製剤等のコロイド物質を使用することはかえって死亡リスクをあげてしまうとの報告もある。従って、これらの症状を効果的に軽減できる新たな剤の開発が期待されている。

0005

そこで特公平7-121869には大豆クニッツ(Kunitz)型トリプシンインヒビターが、特開平10-245347には血管内皮細胞増殖因子/血管透過性因子アンタゴニスト体液の貯留を抑制する作用を持ち、患者の体力低下を防ぎ治療効果を高める効果を発揮すると報告されている。先に述べたラクトフェリンの場合、グラム陰性菌由来エンドトキシンリポ多糖)による炎症の抑制剤ラクトフェリン由来ペプチドを用いている例が特開平8-165248に記載されており、またラクトフェリン自体をエンドトキシンにより誘起される疾患の治療に併用的に用いている例が特開平10-114675に記載されている。しかしながら、ラクトフェリンを炎症部位における体液やアルブミンの貯留、さらに血中における好中球増多を軽減する剤として用いることはこれまで検討されていなかった。

発明が解決しようとする課題

0006

そこで本発明者らは炎症に伴って惹起される種々の症状に対するラクトフェリンの作用について鋭意検討を行った結果、ラクトフェリンがこれまで報告されている種々の薬理作用に加えて、感染症の罹患後に現れる種々の症状の軽減に対しても効果を有することを初めて見出した。さらにそのような効果について通常用いられているウシ型ラクトフェリンとヒト型ラクトフェリンを比較検討したところ、予想に反してヒト型ラクトフェリンに特に強く症状の軽減効果が現れることを初めて見出し本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は術後や、やけどを負った患者、あるいは長期入院患者等が後遺的に罹患する敗血症等、炎症に伴う合併症によって引き起こされる種々の症状を軽減し、その病態を改善する効果を持った新たな剤を提供するものである。

0007

本発明はヒト型ラクトフェリンを有効成分とし、炎症部位への体液やアルブミンの貯留、血中の好中球増多等を抑制することを特徴とする炎症に伴う症状の軽減剤に関するものである。本発明で用いられるヒト型ラクトフェリンは市販品やヒト母乳から公知の方法(例えば特開平11-29600)で得たものを用いることができる。また大量に使用する際には特許番号2824332号に示される遺伝子操作技術で他種の細胞に作らせたリコンビナントタイプのヒト型ラクトフェリンを利用することも可能である。

0008

本請求項に記載の発明に係わる炎症に伴う症状の軽減剤の主成分は、元よりヒト乳中に存在するものであって安全性に優れており、ウシ由来蛋白のようにヒトに対して強い抗原性を持たないと考えられ、新生乳児幼児治療対象とする場合にも好適に用いることができる。また、その投与に際しても経静脈、経粘膜経皮腹腔内投与等の非経口投与経口投与のいずれも問題なく行うことができる。しかしながら腹腔内投与等の非経口投与が使用量を軽減できること等からより好適に用いられる。さらにその投与対象もヒトに限らず等の愛玩動物山羊等の家畜も対象とすることができる。その投与法は経口の場合は通常の錠剤散剤シロップ剤調製粉乳はもとより飲食物中に添加して投与することができ、非経口の場合には例えば注射用水溶性薬剤輸液あるいは創部の洗浄剤、あるいは経腸栄養剤として投与することができる。また、患者に留置した経管チューブの洗浄剤として使用することもできる。

0009

これらの剤の調製はウシ型ラクトフェリンに対して公知となっている方法をそのまま用いることができる。例えば経口投与の場合は特開2000-229881に錠剤、シロップ剤、カプセル剤等の調製方法が記載されている。また注射用水溶性薬剤は特開平6-48956等に示される方法で調製することができる。

0010

本発明品の評価はラットを用いた動物実験でin vivoにおける効果を確認することで行った。その結果、ヒト型ラクトフェリンの投与は、腹腔内に投与されたリポ多糖誘発性に引き起こされる腹腔内アルブミン貯留や血中アルブミン濃度低下と好中球増多等の炎症に伴って惹起された症状を著しく抑制することが確認された。即ち、後遺的に敗血症等の炎症性疾患に罹患する可能性が予想される患者や免疫弱者に対して種々の形態の薬剤にヒト型ラクトフェリンを含有せしめ投与するという本発明により、炎症局所へのアルブミンの貯留や血中アルブミン濃度の減少を抑制し、血中好中球の定常レベルへの早期回復と好中球増多の抑制に有効な剤としてヒト型ラクトフェリンを有効成分とする剤をはじめて利用することが可能となった。

0011

本発明ヒト型ラクトフェリンの有効使用量は非経口投与の場合、例えば静注であれば 0.1mg〜20mg/kg/day、望ましくは0.5mg〜10mg/kg/day程度であり、腹腔投与であれば1mg〜1000mg/kg/day。経口投与の場合は5mg/kg/day以上であり20mg/kg/day以上の使用が望ましい。

0012

以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。

0013

LPS誘発性の炎症に伴う症状(腹腔内アルブミン貯留および血中好中球増多)の軽減作用に対するヒト型ラクトフェリンの効果検討
試験方法試験に用いたヒト型ラクトフェリンはSIGMA社製の試薬を用いた。生後13日齢の哺乳ラット(Sprague-Dawley rat: 日本 SLC) を親ごとに無作為に8匹ずつ3群に分け、生体への蛋白刺激均質化する目的で全ての群に5%-カゼイン溶液を投与した。具体的には、対照群を含む2つの群には5%-カゼイン溶液100マイクロリットルリン酸緩衝-生理食塩水100マイクロリットルを、残りの1群に5%-カゼイン溶液100マイクロリットルと10%-ヒト型ラクトフェリン溶液100マイクロリットルを投与した。その18時間後に大腸菌由来のリポ多糖(Difco:B.E.coli 055:B5)を体重あたり0.2マイクログラムになるように、腹腔内へ投与した。対照群にはリポ多糖の代わりに同量のリン酸緩衝-生理食塩水を投与した。リポ多糖投与後5時間目または24時間目に、ラット仔エーテル麻酔し、冷リン酸緩衝-生理食塩水1ミリリットルを腹腔内に注入しよく揉んで腹腔洗浄液採取した。続いて腹大動脈から血液を採取した。この腹腔洗浄液を遠心(300×g, 5分)後、得られた上清を蛋白測定用試料とし、測定時まで-80℃で保存した。本腹腔洗浄液中の総蛋白質クマシーブルー法で、アルブミンは和光純薬製のキットを用いて測定した。血液は、一部を血液細胞像を分析するために、エチレンジアミンテトラ酢酸-2カリウム入り採血管に採取後、血液検査機関外注した。残りを室温下に30分放置後冷却し、遠心により得られた血漿画分を、分析まで-80℃で保存した。血漿の一部は市販のラット用サンドイッチエライザキットを用いて腫瘍壊死因子(TNFα)濃度の、また他の一部は和光純薬製の測定キットを用いてアルブミン濃度の測定に供した。

0014

試験結果:この試験の結果は図1,2に示す通りである。図1はリポ多糖投与後5時間目の腹腔洗浄液中のアルブミン貯留に及ぼすヒト型ラクトフェリンの貯留軽減効果を示している。縦軸実験群を、横軸は腹腔洗浄液中のアルブミン濃度を示す。図1から明らかなように、ヒト型ラクトフェリンを予め投与された群では、該物質を投与されなかった群に比べて、リポ多糖投与により誘発される炎症局所(この場合は腹腔内)へのアルブミンの貯留が著しく抑制された。図2にリポ多糖投与後5時間および24時間後の血中好中球数を示す。リポ多糖の投与後5時間では、好中球数はやや減少したがリンパ球は有意に減少した。リポ多糖投与後24時間目にはリンパ球数はほぼ回復した。しかし、図2で明らかなように好中球数は、ヒト型ラクトフェリンを投与されなかった群では異常な増多を来したが、予めヒト型ラクトフェリンを投与しておいた群ではリポ多糖を投与されない対照群と同程度であった。即ち、予めヒト型ラクトフェリンを投与しておくことにより、リポ多糖炎症が軽減され、血中好中球の異常な増多を防ぐことができた。

0015

LPS誘発性の炎症に伴う症状(腹腔内アルブミン貯留)の軽減作用に対するヒト型ラクトフェリンとウシ型ラクトフェリンの効果の比較検討
実験方法:ヒト型ラクトフェリンはSIGMA社製、ウシ型ラクトフェリンは和光純薬製を用いた。実験方法は実施例1と同様に行った。ヒト型およびウシ型ラクトフェリンは10%濃度になるように、リポ多糖フリーのリン酸緩衝生理食塩水に溶解し、フィルター殺菌後用いた。13日齢のラット哺乳仔(Sprague-Dawley rat:日本SLC)を親ごとに均等になるように5匹ずつ6群に分け、生体への蛋白刺激を均質化する目的で全ての群に5%-カゼイン溶液を投与した。具体的には、対照群を含む2つの群には5%-カゼイン溶液100マイクロリットルとリン酸緩衝-生理食塩水100マイクロリットルを、残りの4群のうち2つの群には5%-カゼイン溶液100マイクロリットルと10%-ヒト型ラクトフェリン溶液100マイクロリットルを、残りの2群には、5%-カゼイン溶液100マイクロリットルと10%-ウシ型ラクトフェリン溶液100マイクロリットルをそれぞれ腹腔内投与した。これらの投与後18時間目に、同じものを投与した2群の片方に大腸菌由来のリポ多糖を体重1グラムあたり0.2マイクログラムとなるように腹腔内投与し、もう片方には同様量のリン酸緩衝生理食塩水を投与した。リポ多糖投与の5時間後、エーテル麻酔下に実施例1と同様の方法で腹腔洗浄液を採取し、腹腔洗浄液中の総蛋白質およびアルブミン濃度を測定した。また、血漿中の腫瘍壊死因子の濃度をラット用のサンドイッチエライザキットを用いて測定した。

0016

実験結果:図3に示した結果で明らかなように、ヒト型ラクトフェリンを投与した群では、リポ多糖を投与しても腹腔洗浄液のアルブミンの濃度は、リポ多糖を投与しない対照群と同程度であり、アルブミンの貯留は認められなかったが、ウシ型ラクトフェリンを投与した群では、リポ多糖投与後アルブミンが貯留し、貯留の程度はラクトフェリンを投与しないでリポ多糖を投与した群と同程度に高い値だった。ウシ型ラクトフェリンとしてSigma社製のラクトフェリンを用いて同様の実験を行った場合も同じ結果となった。これらの結果は、リポ多糖誘発性の炎症に起因するアルブミンの炎症局所への貯留は、予めヒト型ラクトフェリンを投与しておくことにより予防できるが、ウシ型では該効果は期待できないことを示している。尚、ラクトフェリンを投与したが、リポ多糖を投与しなかった2つの群では腹腔内への蛋白・アルブミンの濃度は対照と同様に低かった。図4で明らかなように、血漿中のTNF濃度は、リポ多糖を投与しない3つの群では検出されなかったが、リポ多糖を投与し、ラクトフェリンを投与しなかった群では、高濃度に検出された。ラクトフェリンを投与された2つの群では、リポ多糖誘発性のTNFα生成をウシ型およびヒト型のどちらにおいても、有意に抑制した。即ち、これらの結果は、ラクトフェリンによるリポ多糖誘発性アルブミン貯留抑制作用は、血漿中へのTNFα抑制作用とは異なった機作によっていることを示している。

0017

LPS誘発性の炎症に伴う症状(腹腔内水分貯留および腹腔内アルブミン貯留)の軽減作用に対するヒト型ラクトフェリンの効果検討
実験方法:腹腔へ貯留した水分量に応じて、腹腔へ注入された一定量のフェノールレッド溶液の濃度が希釈されることを利用して、腹腔内水分量を算出した。13日齢のSprague-Dawley rat6匹を2匹ずつ3群に分けた。試験に用いたヒト型ラクトフェリンはSIGMA社製の試薬を用いた。生体への蛋白刺激を均質化する目的で全ての群に5%-カゼイン溶液を投与した。具体的には、対照群を含む2つの群には5%-カゼイン溶液100マイクロリットルとリン酸緩衝-生理食塩水100マイクロリットルを、残りの1群に5%-カゼイン溶液100マイクロリットルと10%-ヒト型ラクトフェリン溶液100マイクロリットルを投与した。その18時間後に大腸菌由来のリポ多糖(Difco:B.E.coli 055:B5)を体重あたり0.2マイクログラムになるように、腹腔内へ投与した。対照群にはリポ多糖の代わりに同量のリン酸緩衝-生理食塩水を投与した。リポ多糖投与後5時間目にラット仔をエーテル麻酔し、20マイクログラムのフェノールレッドを含む冷リン酸緩衝-生理食塩水1ミリリットルを腹腔内に注入しよく揉んで腹腔洗浄液を採取した。この腹腔洗浄液を遠心して腹腔細胞を除き、この上清50マイクロリットルを150マイクロリットルの0.5モル-リン酸緩衝液(pH 7.21)および蒸留水50マイクロリットルとをよく混合しフェノールレッドの発色を559 nmの吸光度で測定した。注入に用いたフェノールレッド液を段階希釈して、腹腔液試料と同様に0.5モルのリン酸緩衝液とよく懸濁後検量線を求めた。また、腹腔洗浄液中のアルブミン濃度を測定した。

0018

実験結果:図5水分貯留量を示した。対照群では腹腔内には色素液の濃度に影響を与えるほどの水分は認められなかった。ラクトフェリンとリポ多糖を投与した群では、水分の貯留はごくわずかに認められ、アルブミンの貯留は対照群の1.6倍と少なかったが、ラクトフェリンを投与せずにリポ多糖を投与した群では、水分はラクトフェリン投与群の約5倍量、アルブミンは濃度で2.2倍、個体あたりでは、約2.7倍多く貯留した。同様に対照群に対しては、アルブミンは濃度で3.6倍、個体あたりでは4.8倍多く貯留した。本個体の腹腔内アルブミン貯留濃度は図1とほぼ同様の結果となった。これらの結果から、水分貯留が多くなればアルブミン濃度は相対的に減少するため水分貯留量とアルブミン濃度が直接比例することはないがアルブミンの貯留が抑制された個体では、水分の貯留も抑制されたといえる。

0019

リポ多糖誘発性の炎症に伴う病態(腹腔内アルブミン貯留)の軽減作用に対するヒト型ラクトフェリンの投与時期の違いによる効果検討
実験方法:実験方法は、ラクトフェリンの投与をリポ多糖投与の18時間前、15分前、または60分後に行った他は、実施例1と同様に行った。

0020

実験結果:図6に明らかなように、リポ多糖誘発性の腹腔内アルブミン貯留の抑制効果は、リポ多糖投与の18時間前または15分前にラクトフェリンが投与された場合には、ラクトフェリンを投与せずにリポ多糖を投与した群に比べて有意に抑制効果が認められた。リポ多糖投与の60分後にラクトフェリンを投与した場合には、有意ではないが平均値が低くなった。リポ多糖誘発性の炎症に伴う病態に及ぼすラクトフェリンの改善効果は、ラクトフェリンをリポ多糖投与の前に予備的に投与することが最も効果的であるが、後で投与した場合にも、アルブミン貯留濃度が低くなる傾向があることがわかった。

0021

リポ多糖誘発性の炎症に伴う病態(腹腔内アルブミン貯留)の軽減作用に対するヒト型ラクトフェリンの投与経路の違いによる効果検討
リポ多糖誘発性の炎症に伴う症状の改善作用に関し、ラクトフェリンを腹腔内に投与する方法と経口的に投与する方法に関して比較検討した。
実験方法:11日齢のSprague-Dawrey ratを6匹ずつ4群に分け、対照群とラクトフェリンを投与せずにリポ多糖を投与する群に対して、実験例1と同様にラクトフェリンをリポ多糖投与の18時間前に一回だけ腹腔内投与する群と、リポ多糖投与の前日まで3日間連続で一日に一回ラクトフェリンを胃内強制投与する群を設けた。胃内投与群を除く3つの群には、ラクトフェリンの胃内投与量と同容量のリン酸緩衝生理食塩水を同様に投与した。

0022

実験結果:図7に明らかなように、ラクトフェリンを投与せずにリポ多糖を投与した群は、一匹を除く5匹は腹腔内に多量のアルブミンが貯留した。これに対してラクトフェリンを腹腔内に投与した群では、一匹を除く3匹ではアルブミン貯留がほぼ完全に抑制されたのに対して、ラクトフェリンを経口的に胃内投与した群では、全6匹中4匹でアルブミンが貯留したが、その程度について順位差検定を行うと、ラクトフェリンを投与せずにリポ多糖を投与した群に比べて有意に低いことが分かった。即ち、ラクトフェリンの腹腔投与に比べると、経口的な投与方法では、リポ多糖誘発性の症状を軽減する効果は弱いものの、一回だけでなく連続的に投与することにより、症状をある程度軽減することができることが分かった。

発明の効果

0023

本発明は細菌感染によって惹起される炎症症状、特に炎症部位への胸水や腹水等の体液貯留や血中の好中球増多等の症状を軽減する作用を有する炎症に伴う症状を軽減させる新たな剤を提供するものである。

図面の簡単な説明

0024

図1ヒト型ラクトフェリンによるリポ多糖投与後5時間目の腹腔洗浄液中のアルブミン濃度低減効果を見た図。
図2ヒト型ラクトフェリンによるリポ多糖投与後5時間目および24時間目の血中好中球数の増加抑制効果を見た図。
図3リポ多糖誘発性炎症による腹腔内アルブミン貯留の作用に及ぼすヒト型またはウシ型ラクトフェリンの改善効果を比較検討した図。
図4リポ多糖誘発性炎症による血漿中TNFα生成作用に及ぼすヒト型またはウシ型ラクトフェリンのTNFα生成抑制効果を比較検討した図。
図5ヒト型ラクトフェリンによるリポ多糖投与後5時間目の腹腔内への水分貯留量低減効果を見た図。
図6リポ多糖誘発性のアルブミン貯留低減効果に及ぼすラクトフェリンの投与時期の影響の有無を見た図。
図7リポ多糖誘発性のアルブミン貯留低減効果に及ぼすラクトフェリンの投与経路による差の有無を見た図。

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