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課題
解決手段
概要
背景
医療の分野でこれまで一般的に用いられている銀塩写真感光材料は、高価な銀塩を用いるほか、現像処理等の湿式処理が必要であり、それに付随して廃液の問題が有った。感熱転写方式では、インクのはがれの問題、昇華方式では印字濃度が低い問題が有った。これらに対してインクジェット記録材料は完全なドライ記録方式であり、騒音が少なく、記録パターンの変更が容易で、正確に迅速に画像が形成される等の利点が有る。
インクジェット記録記録材料としては、通常の紙やインクジェット記録用紙と称される支持体上に親水性ポリマーのインク受容層や非晶質シリカ等の顔料と水溶性バインダーからなる多孔質のインク受容層を設けてなる記録材料が知られている。
例えば、特開昭56−80489号、同59−174381号、同60−220750号、同61−32788号、同63−160875号、特開平3−69388号公報等に開示のごとく、澱粉、ポリビニルアルコール等の親水性ポリマーを支持体に塗布した記録材料が提案されている。
例えば、特開昭55−51583号、同56−157号、同57−107879号、同57−107880号、同59−230787号、同62−160277号、同62−184879号、同62−183382号、及び同64−11877号、特開平3−21508、同4−67986号公報等に開示のごとく、シリカ等の含珪素顔料やアルミナゾルを水系バインダーと共に紙支持体に塗布して得られる記録材料が提案されている。
また、特公平3−56552号、特開平2−188287号、同平8−132728号、同平10−81064号、同平10−119423号、同平10−175365号、同10−203006号、同10−217601号、同平11−20300号、同平11−20306号、同平11−34481号公報には、気相法による合成シリカ微粒子(以降、気相法シリカと称す)を用いた記録材料が開示されている。
一方、OHP用等の透明記録シートや医療用のフィルムをインクジェット記録方式で作製することも検討されている。これらの記録シートは、インク吸収性、耐水性、光透過性が重要であるが、特に連続で印字する場合等の積層によるブロッキングや画像の裏写りが問題であった。
特開平7−276789号には透明支持体に一次粒子の平均粒径が10nm以下のシリカ微粒子と水溶性樹脂の重量比が1.5:1〜10:1の色剤受容層を設けたインク吸収性や透明性の高い記録材料が開示されている。しかしながら、ブロッキング性や裏写りの改良についての記載は無い。
特開平8−174994号、同9−263043号公報には、インク受容層に表面から突出した微粒子やフィラーを含有することでブロッキングを改良する提案がなされている。しかしながら光沢性や画像鮮鋭性、手触り感からの制約が有り、インク受容層のみの対応ではまだ十分ではなく、特開平9−234944号公報にはインク受容層の反対面が水と高沸点のアルコールに対する吸収性を特定以上にすることでブロッキングや裏写りを改良する提案がなされているが裏写りの改良は不十分であった。
概要
インク吸収性、印字濃度が高く、プリンター搬送性、裏写りの問題の無い、バックライト方式での可視性が良好なインクジェット記録材料を提供する。
光透過性支持体の片面に少なくとも1層のインク受容層を設け、反対面に少なくとも1層の裏塗り層を設けたインクジェット記録材料において、裏塗り層が一次粒子の平均粒径5〜50nmの無機微粒子と親水性バインダーを含有し、空隙率が70容量%以下であるインクジェット記録材料。
目的
本発明の目的は、画像の裏写りが無く、インク吸収性、印字濃度、プリンター搬送性及び光透過性の良好なインクジェット記録材料を提供することである。
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 2件
- 牽制数
- 6件
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請求項1
光透過性支持体の片面に少なくとも1層のインク受容層を設け、反対面に少なくとも1層の裏塗り層を設けたインクジェット記録材料において、該裏塗り層が一次粒子の平均粒径5〜50nmの無機微粒子とバインダーを含有し、空隙率が70容量%以下であることを特徴とするインクジェット記録材料。
請求項2
前記インク受容層が一次粒子の平均粒径5〜30nmの無機微粒子と親水性バインダーを含有していることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録材料。
請求項3
請求項4
前記インク受容層が2層以上であり、光透過性支持体に近いインク受容層(A)が一次粒子の平均粒径10〜30nmの気相法シリカと親水性バインダーを含有し、光透過性支持体から離れたインク受容層(B)が一次粒子の平均粒径5〜30nmのアルミナまたはアルミナ水和物と親水性バインダーを含有していることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のインクジェット記録材料。
請求項5
前記インク受容層Bが平均粒径0.5〜10μmの無機顔料及び有機顔料の少なくとも1種を0.01〜1g/m2含有することを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録材料。
請求項6
前記インク受容層Aの気相法シリカに対する親水性バインダーの比率(C)が5〜20重量%であり、インク受容層Bのアルミナまたはアルミナ水和物に対する親水性バインダーの比率(D)が6〜22重量%であり、CがDよりも小さいことを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録材料。
請求項7
請求項8
前記裏塗り層の湿式法シリカがコロイダルシリカである請求項7に記載のインクジェット記録材料。
請求項9
前記裏塗り層のバインダーがポリビニルアルコールまたはその変性物であることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載のインクジェット記録材料。
請求項10
前記裏塗り層の固形分量が1〜10g/m2であることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載のインクジェット記録材料。
請求項11
前記光透過性支持体がポリエステルフィルムであることを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載のインクジェット記録材料。
技術分野
0001
本発明は、光透過性支持体を用いたインクジェット記録材料に関し、特に医療用途として、インク吸収性、印字濃度、光透過性、及びプリンター搬送性に優れ、印字画像の裏写りが良好なインクジェット記録材料に関する。
背景技術
0002
医療の分野でこれまで一般的に用いられている銀塩写真感光材料は、高価な銀塩を用いるほか、現像処理等の湿式処理が必要であり、それに付随して廃液の問題が有った。感熱転写方式では、インクのはがれの問題、昇華方式では印字濃度が低い問題が有った。これらに対してインクジェット記録材料は完全なドライ記録方式であり、騒音が少なく、記録パターンの変更が容易で、正確に迅速に画像が形成される等の利点が有る。
0003
インクジェット記録記録材料としては、通常の紙やインクジェット記録用紙と称される支持体上に親水性ポリマーのインク受容層や非晶質シリカ等の顔料と水溶性バインダーからなる多孔質のインク受容層を設けてなる記録材料が知られている。
0004
例えば、特開昭56−80489号、同59−174381号、同60−220750号、同61−32788号、同63−160875号、特開平3−69388号公報等に開示のごとく、澱粉、ポリビニルアルコール等の親水性ポリマーを支持体に塗布した記録材料が提案されている。
0005
例えば、特開昭55−51583号、同56−157号、同57−107879号、同57−107880号、同59−230787号、同62−160277号、同62−184879号、同62−183382号、及び同64−11877号、特開平3−21508、同4−67986号公報等に開示のごとく、シリカ等の含珪素顔料やアルミナゾルを水系バインダーと共に紙支持体に塗布して得られる記録材料が提案されている。
0006
また、特公平3−56552号、特開平2−188287号、同平8−132728号、同平10−81064号、同平10−119423号、同平10−175365号、同10−203006号、同10−217601号、同平11−20300号、同平11−20306号、同平11−34481号公報には、気相法による合成シリカ微粒子(以降、気相法シリカと称す)を用いた記録材料が開示されている。
0007
一方、OHP用等の透明記録シートや医療用のフィルムをインクジェット記録方式で作製することも検討されている。これらの記録シートは、インク吸収性、耐水性、光透過性が重要であるが、特に連続で印字する場合等の積層によるブロッキングや画像の裏写りが問題であった。
0008
特開平7−276789号には透明支持体に一次粒子の平均粒径が10nm以下のシリカ微粒子と水溶性樹脂の重量比が1.5:1〜10:1の色剤受容層を設けたインク吸収性や透明性の高い記録材料が開示されている。しかしながら、ブロッキング性や裏写りの改良についての記載は無い。
0009
特開平8−174994号、同9−263043号公報には、インク受容層に表面から突出した微粒子やフィラーを含有することでブロッキングを改良する提案がなされている。しかしながら光沢性や画像鮮鋭性、手触り感からの制約が有り、インク受容層のみの対応ではまだ十分ではなく、特開平9−234944号公報にはインク受容層の反対面が水と高沸点のアルコールに対する吸収性を特定以上にすることでブロッキングや裏写りを改良する提案がなされているが裏写りの改良は不十分であった。
発明が解決しようとする課題
0010
本発明の目的は、画像の裏写りが無く、インク吸収性、印字濃度、プリンター搬送性及び光透過性の良好なインクジェット記録材料を提供することである。
課題を解決するための手段
0011
本発明者らは上記課題を解決するために誠意検討の結果、画像の裏写りが2種類の異なった機構で発生していることを突き止めた。即ち、印字された画像のインクが直接記録材料裏面に接触して発生する機構(以後「インクの裏写り」という)と、印字された画像のインクに含有されている水や有機溶剤が揮発により裏面に吸着されて透明化や白濁化する機構(以後「溶剤の裏写り」という)である。特に透明性記録材料の場合には後者による透明化や白濁等の発生が重大欠陥となるため改良を鋭意検討した結果、以下の手段により、インク吸収性、耐水性、光透過性に優れ、裏写りの良好な本発明を完成させた。
0012
(1)光透過性支持体の片面に少なくとも1層のインク受容層を設け、反対面に少なくとも1層の裏塗り層を設けたインクジェット記録材料において、該裏塗り層が一次粒子の平均粒径5〜50nmの無機微粒子と親水性バインダーを含有し、空隙率が70容量%以下であることを特徴とするインクジェット記録材料。
0013
(2)前記インク受容層が一次粒子の平均粒径5〜30nmの無機微粒子と親水性バインダーを含有していることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録材料。
0015
(4)前記インク受容層が2層以上であり、光透過性支持体に近いインク受容層Aが一次粒子の平均粒径10〜30nmの気相法シリカと親水性バインダーを含有し、光透過性支持体から離れたインク受容層Bが一次粒子の平均粒径5〜30nmのアルミナまたはアルミナ水和物と親水性バインダーを含有していることを特徴とする前記1に記載のインクジェット記録材料。
0016
(5)前記インク受容層Bが平均粒径0.5〜10μmの無機顔料及び有機顔料の少なくとも1種を0.01〜1g/m2含有することを特徴とする前記4に記載のインクジェット記録材料。
0017
(6)前記インク受容層Aの気相法シリカに対する親水性バインダーの比率Cが5〜20重量%であり、インク受容層Bのアルミナまたはアルミナ水和物に対する親水性バインダーの比率Dが6〜22重量%であり、CがDよりも小さいことを特徴とする前記4に記載のインクジェット記録材料。
0019
(8)前記裏塗り層の湿式法シリカがコロイダルシリカであることを特徴とする前記7に記載のインクジェット記録材料。
0020
(9)前記裏塗り層の親水性バインダーがポリビニルアルコールまたはその変性物であることを特徴とする前記1〜8の何れか1項に記載のインクジェット記録材料。
0021
(10)前記裏塗り層の固形分量が1〜10g/m2であることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載のインクジェット記録材料。
0022
(11)前記光透過性支持体がポリエステルフィルムであることを特徴とする前記1〜10の何れか1項に記載のインクジェット記録材料。
発明を実施するための最良の形態
0023
以下、本発明を詳細に説明する。本発明に用いられる光透過性支持体としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレートのようなポリエステル樹脂、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、ニトロセルロース、セルロースアセテートのようなセルロースエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリイミド樹脂、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、セロハン、セルロイド等のプラスチック樹脂フィルムが挙げられる。特にポリエステル樹脂のフィルムが耐熱性等の特性と価格で好ましく用いられる。これらの樹脂フィルム支持体の厚みは、カール性や取り扱い安さ等から50〜250μm程度のものが好ましい。
0024
本発明において、光透過性支持体に塗設された少なくとも1層のインク受容層には、親水性バインダー、及び適時無機顔料、カチオン性ポリマー、硬膜剤、界面活性剤等を含有する場合(以下「膨潤性インク受容層」と記す)と、親水性ポリマー、無機微粒子、好ましくは一次粒子の平均粒径が5〜50nmの無機微粒子、及び適時架橋剤、カチオン性ポリマー、界面活性剤等を含有する場合(以下「空隙性インク受容層」と称す)が有る。インク受容層の塗布液は、支持体上に数十〜数百μmの厚みの塗布層が形成されるように塗布され、 次いで乾燥される。製造方法の好ましい一例は、光透過性支持体に塗布されたインク受容層は一旦20℃以下の雰囲気下で冷却し、その後乾燥工程で乾燥される。
0025
一般的な膨潤性インク受容層と空隙性インク受容層との比較では、前者は光沢は高いが表面のギラギラ感が出やすく、インク吸収性に劣る特性を有している。特に医療用で使用する場合にはインクジェットで印字された画像が実物を十分に再現していなければならないのでインク吸収性は重要な特性である。外部光の戻り光による表面のギラギラ感の増大は、印字面と反対面から光を照射して印字面から画像を観察するバックライト方式で使用する場合には見づらくなるので好ましくない。以上よりバックライト方式で使用する医療用等に関しては空隙性インク受容層のほうが好ましいが実用上まだ十分なレベルでは無かった。
0026
本発明において、膨潤性インク受容層の場合に使用する親水性ポリマーは、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジニウムハライド、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ソーダ、澱粉、カルボキシ澱粉、カチオン澱粉、ジアルデヒド澱粉、カゼイン、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、スチレン−無水マレイン酸共重合体やそれらの変性物等が挙げられる。
0027
本発明において、空隙性インク受容層の場合に使用する無機微粒子としては、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成シリカ、アルミナ、アルミナ水和水物、酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。好ましくは一次粒子の平均粒径が5〜30nmの無機微粒子が使用され、高い印字濃度、鮮明な画像、安い製造コストの点では気相法シリカ、アルミナ、アルミナ水和物が選択される。特に医療用で、高濃度で印字画像の再現性が要求されるので使用する無機微粒子の平均粒径は小さい方が好ましいが、インク吸収性との関係で決定される。
0028
合成シリカには、湿式法によるものと気相法によるものがある。通常シリカ微粒子といえば湿式法シリカを指す場合が多い。湿式法シリカとしては、ケイ酸ナトリウムの酸などによる複分解やイオン交換樹脂層を通して得られるシリカゾル、またはこのシリカゾルを加熱熟成して得られるコロイダルシリカ、シリカゾルをゲル化させ、その生成条件を変えることによって数μmから10μm位の一次粒子がシロキサン結合をした三次元的な二次粒子となったシリカゲル、更にはシリカゾル、ケイ酸ナトリウム、アルミン酸ナトリウム等を加熱生成させて得られるもののようなケイ酸を主体とする合成ケイ酸化合物等がある。湿式法シリカは一般的には表面のシラノール基は5個/nm2以上である。
0029
気相法シリカは、湿式法に対して乾式法とも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって作られる。具体的には四塩化ケイ素を水素及び酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化ケイ素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類も、単独または四塩化ケイ素と混合した状態で使用することができる。気相法シリカは、日本アエロジル(株)からアエロジル、トクヤマ(株)からQSタイプとして市販されており入手することができる。気相法シリカの表面のシラノール基は5個/nm2未満が一般的である。
0030
本発明では印字濃度、透明性、及び光沢性から一次粒子の平均粒径が5〜50nmの気相法シリカが用いられるが、インク吸収性、透明性や光沢性からは一次粒子の平均粒径が5〜30nmが好ましい。但し、粒径が小さくなると外部光により表面のギラギラ性が出やすい傾向である。
0031
本発明の無機微粒子の一次粒子の平均粒径は、一次粒子が判別できる程度まで分散された粒子の電子顕微鏡観察により一定面積内に存在する100個の粒子各々の投影面積に等しい円の直径を粒子の粒径として平均粒径を求めた。二次粒子も同様にして緩いせん断力で分散した粒子を電子顕微鏡で観察して求めた。
0032
本発明において、インク受容層の単位面積当たりの固形分は一般的には10g/m2以上であり、13〜35g/m2の範囲が好ましい。
0033
本発明の空隙性インク受容層には、皮膜としての特性を維持するためにバインダーを有する。このバインダーとしては、透明性が高くインクの高い浸透性が得られる親水性バインダーが用いられる。親水性バインダーの使用に当たっては、親水性バインダーがインクの初期の浸透時に膨潤して空隙を塞いでしまわないことが重要であり、この観点から膨潤性インク受容層で使用する親水性バインダーとして例示した種類等の中から比較的室温付近で膨潤性の低い親水性ポリマーが好ましく用いられる。例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキサイド、ヒドロキシエチルセルロース、カゼイン等やこれらの変性物であり、中でも完全または部分ケン化のポリビニルアルコールまたはカチオン変性ポリビニルアルコールが好ましい。
0035
また、カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば特開昭61−10483号に記載されているような、第1〜3級アミノ基や第4級アンモニウム基をポリビニルアルコールの主鎖あるいは側鎖中に有するポリビニルアルコールである。
0036
また、他の親水性ポリマーやラテックスも併用することができるが、ポリビニルアルコールに対して20重量%程度以下であることが好ましい。
0037
本発明で、空隙性インク受容層の無機微粒子に対する親水性ポリマーの重量比は、主としてインク受容層の透明性、インク吸収性や表面強度により決定されるが、一般的には5〜35重量%であり、好ましくは5〜30重量%の範囲である。親水性ポリマーに対して無機微粒子の比率を高くするとインク吸収性は向上するが、透明性の低下、乾燥時のひび割れが発生しやすく、表面強度が低下し、粉落ちが出やすい。逆に比率を低くすると透明性、表面強度は向上するがインク吸収性や溶剤の裏写りが低下する。
0038
本発明ではインクの裏写りの改良や外部光が記録材料表面から反射する面のギラギラ感を低下させるには好ましくは平均粒径が0.5μm以上、好ましくは0.5〜10μmの無機顔料及び有機顔料の少なくとも1種をインク受容層に使用する。例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成シリカ、アルミナ、アルミナ水和水物、酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機顔料やポリスチレン、ポリエチレン、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリ塩化ビニル、尿素樹脂等の有機顔料が挙げられる。インク吸収性や面のギラギラ感を低下する効果からは好ましくは合成シリカ、特に湿式法シリカが選択される。平均粒径が0.5μmより小さいと光反射による戻り光を減らす効果が得られない。好ましくは平均粒径が1μmより大きいほうがギラギラ感の改良やインクの裏写り改良からは良い。手触りによるザラツキ感や画像鮮明性からは平均粒径は10μm以下が好ましい。インク受容層の平均粒径が0.5μm以上の無機顔料や有機顔料の含有量は、記録材料単位面積中に0.01〜3g/m2程度含有される。好ましくは0.01〜2g/m2含有される。0.01g/m2より少ないとギラギラ感の改良効果が少なく、3g/m2より多いと透明性や手触り感が低下傾向である。尚、本発明で平均粒径0.5μm以上とは一次粒子、二次粒子の何れかが0.5μm以上であれば良い。
0039
本発明は裏塗り層の空隙率が70容量%以下であり、一次粒子の平均粒径5〜50nmの無機微粒子を使用することで溶剤の裏写りが良好で、搬送性が改良される。空隙率は無機微粒子と親水性バインダーの種類と比率を選択することで70容量%以下に調整される。使用される無機微粒子はインク受容層で使用される無機微粒子と同様のものの中から選択されるが、シラノール基が5個/nm2以上の湿式シリカ、特にコロイダルシリカが好ましい。
0040
本発明の裏塗り層で使用されるバインダーは、アクリロニトリル−ブタジェン共重合体、アクリル酸エステル重合体、酢酸ビニル重合体、スチレン−ブタジェン共重合体等の重合体やこれらの誘導体、インク受容層で使用されるものと同様の親水性バインダーが使用できるが、溶剤の裏写りからはポリビニルアルコールまたはその変性物が好ましい。
0041
本発明の裏塗り層の無機微粒子に対するバインダーの比率は一般的には10〜150重量%であり、好ましくは10〜80重量%である。150重量%より多いとプリンター搬送性が劣り、10重量%より少ないと層強度が大きく低下する。
0042
本発明の裏塗り層にはギラツキ感の低減からインク受容層に好ましく含有される平均粒径0.5〜10μmの有機顔料または無機顔料と同様の顔料を含有させることでプリンター搬送性やインクの裏写りが良好となるが、入れすぎると裏塗り層やインク受容層に傷が入りやすいので1g/m2以下が好ましい。特に溶剤の裏写りからは有機顔料が好ましい。
0043
本発明の裏塗り層の単位面積当たりの固形分量は一般には0.5〜15g/m2であり、好ましくは1〜10g/m2であるが、得られる記録材料のカール性により無機微粒子とバインダーの比率と固形分量が決定される。
0044
本発明の裏塗り層の空隙率は、裏塗り層の乾燥膜厚から出した容量から層中の無機微粒子やバインダー等の固形分総容量を差し引いた値である空隙容量の固形分総容量に対する割合である。本発明では70容量%以下、好ましくは65容量%以下である。空隙率が70容量%より多いとインクの溶剤が浸透や吸着しやすくなるので溶剤の裏写りが悪化し好ましくない。
0045
本発明で、インク受容層を2層以上とし、光透過性支持体に近いインク受容層Aが一次粒子の平均粒径10〜30nmの気相法シリカと親水性バインダーを含有し、光透過性支持体から離れたインク受容層Bが一次粒子の平均粒径5〜30nmのアルミナまたはアルミナ水和物と親水性バインダーとするほうが印字濃度、インク吸収性からは好ましい。
0046
前記インク受容層Aの気相法シリカに対する親水性バインダーの比率Cが5〜20重量%であり、インク受容層Bのアルミナまたはアルミナ水和物に対する親水性バインダーの比率Dが6〜22重量%であり、CをDよりも小さくすることでインク吸収性や溶剤の裏写りが良好となるので好ましい。
0047
インクジェット記録に使用されるインクは、溶剤系インクと水性インクが有るが、溶剤系インクは、アルコール類、ケトン類、エーテル類等の溶剤に着色剤を配合されており、水性インクは、水とメタノール、エタノール、ブタノール、エチレングリコール等の水溶性有機溶剤中にアニオン系着色剤等が配合されている。
0048
本発明によりインクの裏写りが良くなる理由は、裏塗りに無機微粒子を含有させることで表のインク受容層の印字画像面と裏塗り層面との間に空間が存在すること、好ましい態様としてギラギラ感改良でインク受容層に使用する平均粒径0.5μm以上の無機顔料、及び裏塗り層に好ましく使用する平均粒径0.5μm以上の有機顔料または無機顔料により更に空間が広がることによる。溶剤の裏写りが良くなる理由は、インクの裏写りが良好となるのと同様の理由で印字画像面と裏塗り層面の間に空間が存在するので揮発した溶剤が離散しやすいこと、及び非常に微細な無機微粒子、好ましくはコロイダルシリカを裏塗りに用いることで空隙率が70容量%以下の密な層構造となるので揮発したインク溶剤が吸着や浸透しにくいことによる。特に空隙型が好ましく、空隙性インク受容層に気相法シリカを用い、親水性バインダー比を少なくすることでよりインク吸収性が高く、溶剤がインク受容層中に拡散するので画像部分表面への直接の揮発が少なくなり、溶剤の裏写りがインクの裏写りとともに良好となるので好ましい。
0049
本発明では塗布適性、表面性向上等の目的で界面活性剤が使用できる。カチオン性界面活性剤としては、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩等、両性界面活性剤としては、カルボキシベタイン型、アミノカルボン酸塩、イミダゾリニウムベタイン、レシチン等、非イオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、しょ糖脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド等から適時1種類以上が選択される。カルボン酸塩、スルホン酸塩等のアニオン性界面活性剤も使用出来るが、インク受容層組成物との凝集性から量は制限される。
0050
本発明では、インク吸収性、透明性を大きく低下させない範囲でインク受容層上に保護層を設けても良く、一般的な保護層の厚さは5μm以下である。
0051
本発明のインクジェット記録材料は、JIS−K−7105に規定されるヘーズ値が25%以下が好ましく、より好ましくは18%以下である。数値が高いと特に医療用のバックライト方式で用いる場合は画像の鮮鋭性が低下し、見間違いを犯しやすくなる。
0052
本発明のインク受容層は、カチオン性化合物を含有するのが好ましい。本発明に用いられるカチオン性化合物としては、耐水性改良の目的で用いられるカチオン性ポリマー、水溶性金属化合物が挙げられる。カチオン性ポリマーは、気相法シリカと組み合わせて用いた場合、透明性を低下させる傾向にあるが、水溶性金属化合物は微細な亀裂の発生を押さえ、逆に透明性を向上させる。従って、本発明では、気相法シリカと水溶性金属化合物によってインク吸収性が良好で耐水性が有り、透明性が高くなる利点がある。
0053
本発明に用いられるカチオン性ポリマーとしては、ポリエチレンイミン、ポリジアリルアミン、ポリアリルアミン、特開昭59−20696号、同59−33176号、同59−33177号、同59−155088号、同60−11389号、同60−49990号、同60−83882号、同60−109894号、同62−198493号、同63−49478号、同63−115780号、同63−280681号、特開平1−40371号、同6−234268号、同7−125411号、同10−193776号公報等に記載された1〜3級アミノ基、4級アンモニウム塩基を有するポリマーが好ましく用いられる。これらのカチオンポリマーの分子量は、5,000以上、更に5,000〜10万程度が好ましい。
0054
これらのカチオン性ポリマーの使用量は無機微粒子に対して1〜10重量%、好ましくは2〜7重量%である。
0055
本発明に用いられる水溶性金属化合物として、例えば水溶性の多価金属塩が挙げられる。カルシウム、バリウム、マンガン、銅、コバルト、ニッケル、アルミニウム、鉄、亜鉛、ジルコニウム、クロム、マグネシウム、タングステン、モリブデンから選ばれる金属の水溶性塩が挙げられる。具体的には例えば、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸バリウム、硫酸バリウム、リン酸バリウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、ギ酸マンガンニ水和物、硫酸マンガンアンモニウム六水和物、塩化第二銅、塩化アンモニウム銅(II)二水和物、硫酸銅、塩化コバルト、チオシアン酸コバルト、硫酸コバルト、硫酸ニッケル六水和物、塩化ニッケル六水和物、酢酸ニッケル四水和物、硫酸ニッケルアンモニウム六水和物、アミド硫酸ニッケル四水和物、硫酸アルミニウム、亜硫酸アルミニウム、チオ硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム九水和物、塩化アルミニウム六水和物、臭化第一鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、フェノールスルホン酸亜鉛、臭化亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛六水和物、硫酸亜鉛、酢酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、塩化酸化ジルコニウム八水和物、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、酢酸クロム、硫酸クロム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム六水和物、クエン酸マグネシウム九水和物、りんタングステン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムタングステン、12タングストりん酸n水和物、12タングストけい酸26水和物、塩化モリブデン、12モリブドりん酸n水和物等が挙げられる。特性上好ましくはジルコニウム系化合物である。
0056
また、カチオン性化合物として、無機系の含アルミニウムカチオンポリマーである塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物が挙げられる。塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物とは、主成分が下記の一般式1、2又は3で示され、例えば[Al6(OH)15]3+、[Al8(OH)20]4+、[Al13(OH)34]5+、[Al21(OH)60]3+、等のような塩基性で高分子の多核縮合イオンを安定に含んでいる水溶性のポリ水酸化アルミニウムである。
0057
[Al2(OH)nCl6-n]m ・・式1
[Al(OH)3]nAlCl3 ・・式2
Aln(OH)mCl(3n-m) 0<m<3n ・・式3
0058
これらのものは多木化学(株)よりポリ塩化アルミニウム(PAC)の名で水処理剤として、浅田化学(株)よりポリ水酸化アルミニウム(Paho)の名で、また、(株)理研グリーンよりピュラケムWTの名で、また他のメーカーからも同様の目的を持って上市されており、各種グレードの物が容易に入手できる。本発明ではこれらの市販品をそのままでも使用できるが、pHが不適当に低い物もあり、その場合は適宜pHを調節して用いることも可能である。
0059
本発明において、上記水溶性の金属化合物のインク受容層中の含有量は、0.1g/m2〜10g/m2、好ましくは0.2g/m2〜5g/m2である。
0060
上記したカチオン性化合物は2種以上を併用することができる。例えば、カチオン性ポリマーと水溶性金属化合物を併用してもよい。
0061
本発明において、インク受容層には、耐水性、ドット再現性を向上させる目的で適当な硬膜剤で硬膜することができる。硬膜剤の具体的な例としては、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドの如きアルデヒド系化合物、ジアセチル、クロルペンタンジオンの如きケトン化合物、ビス(2−クロロエチル尿素)−2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5トリアジン、米国特許第3,288,775号記載の如き反応性のハロゲンを有する化合物、ジビニルスルホン、米国特許第3,635,718号記載の如き反応性のオレフィンを持つ化合物、米国特許第2,732,316号記載の如きN−メチロール化合物、米国特許第3,103,437号記載の如きイソシアナート類、米国特許第3,017,280号、同2,983,611号記載の如きアジリジン化合物類、米国特許第3,100,704号記載の如きカルボジイミド系化合物類、米国特許第3,091,537号記載の如きエポキシ化合物、ムコクロル酸の如きハロゲンカルボキシアルデヒド類、ジヒドロキシジオキサンの如きジオキサン誘導体、クロム明ばん、硫酸ジルコニウム、ほう酸及びほう酸塩の如き無機硬膜剤等があり、これらを1種または2種以上組み合わせて用いることができる。硬膜剤の添加量はインク受容層を構成する親水性ポリマー100gに対して0.01〜40gが好ましく、より好ましくは0.1〜30gである。
0062
本発明において、インク受容層には、更に、着色染料、着色顔料、インク染料の定着剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料の分散剤、消泡剤、有機溶剤、レベリング剤、防腐剤、蛍光増白剤、粘度安定剤、pH調節剤などの公知の各種添加剤を添加することもできる。
0063
本発明において、塗布方法は特に限定されず公知の塗布方法を用いることができる。例えば、スライドビード方式、カーテン方式、エクストルージョン方式、エアナイフ方式、ロールコーティング方式、ケッドバーコーティング方式等がある。
0064
光透過性支持体の透明性、色調を調整する場合には、例えば熱可塑性樹脂に無機微粒子等を配合して作成するが、無機微粒子としては炭酸カルシウム、二酸化チタン、タルク、シリカや、カーボンブラック等の着色顔料等が利用出来る。本発明では好ましくは支持体の不透明度は60%以下のものが使用される。60%より大きいと光透過性に劣り不鮮明な暗い画像になる。5%より低いと透過光が強くなり光源の照明によっては画像が見にくくなる。特に医療用には青色に着色されたブルーPETフィルムが好ましく使用される。
0066
本発明は、プラスチック樹脂フィルム等の光透過性支持体上に天然樹脂や合成樹脂を主体とするプライマー層を設けるのが好ましい。該プライマー層の上に、インク受容層の塗液を塗布した後、冷却し、比較的低温で乾燥することによって、更に透明性が向上する。
0067
上記プライマー層は、支持体上に0.01〜5μmの膜厚(乾燥膜厚)で設けられる。好ましくは0.05〜5μmの範囲である。
0068
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の内容は実施例に限られるものではない。
0069
実施例1
下記に示す光透過性支持体を用意した。
<支持体A>厚み175μmで青色着色したポリエチレンテレフタレートフィルム(不透明度15%)上に下記組成のプライマー層を乾燥膜厚が0.3μmになるように設けた。プライマー層:塩化ビニリデン:メチルアクリレート:アクリル酸(90:9:1、重量%)のラテックス(重量平均分子量42000)。
0070
上記の支持体上に、下記組成の裏塗り塗布液をスライドビード塗布装置で塗布し乾燥した。裏塗り層塗布液は12重量%の固形分濃度になるように調整し、固形分塗布量が5g/m2になるように塗布、乾燥した。続いて下記組成のインク受容層塗布液は10重量%の固形分濃度になるように調製し、固形分塗布量が22g/m2になるように塗布、乾燥し、インクジェット記録材料を得た。
0071
<裏塗り層塗布液>
コロイダルシリカ100部
(日産化学工業社製、一次粒子の平均粒径15nm、シラノール基7個/nm2)
ポリビニルアルコール(クラレ社製、PVA117) 20部
ポリスチレン粒子1部
(積水化成品工業社製、SBX−6、平均粒径6μm)
ほう酸2部
0072
<インク受容層塗布液>
気相法シリカ95部
(平均一次粒径12nm)
湿式法シリカ5部
(日本シリカ社製、ニップシールE−220A、平均粒径2μm)
ジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー3部
ほう酸4部
ポリビニルアルコール20部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
界面活性剤1.0部
酢酸ジルコニウム2部
0074
上記のようにして作成したインクジェット記録材料について下記の評価を行った。その結果を表1に示す。
0075
<インク吸収性>実施例で得られた記録材料にインクジェットプリンター(キャノン社製 F850)を用いて、シアン、マゼンタ、イエロー単色100%と、3重色300%を印字して、印字直後にPPC用紙を印字部に重ねて軽く圧着し、PPC用紙に転写したインク量の程度を目視で観察し、下記の基準で評価した。
○:全く転写しない。
△:転写は有るが実使用可。
×:転写が大きく実使用不可。
0077
<インクの裏写り>実施例で得られた記録材料に前記キャノン社製プリンターで印字し、直ちに印字面を同じ材料の裏面と重ね、更に20枚重ねた後、40℃で2時間放置後のインクの裏写りを評価した。
○:全くインクの裏写り無し。
△:ややインクの裏写り有るが実用下限。
×:インクの裏写り有り、実使用不可。
0078
<溶剤の裏写り>実施例で得られた記録材料に前記キャノン社製プリンターで印字し、直ちに印字面を同じ材料の裏面と重ね、更に1枚重ねた後、40℃で2時間放置後の溶剤の裏写りを評価した。
◎:全く溶剤の裏写り無し。
○:やや溶剤の裏写りが有る。
△:溶剤の裏写り有るが実用下限。
×:溶剤の裏写り有り、実使用不可。
0079
<搬送性>実施例で得られた記録材料を 23℃、55%RHの条件で前記キャノン社製プリンターで50枚連続印字を行って搬送性を評価した。
○;重送が全く発生しなかった。
△;重送が1〜2回発生した。
×;重送が3回以上発生した。
0080
<可視性>実施例で得られた記録材料に前記プロッターにより光学濃度が1.5〜2.5の黒画像を印字し、10000ルクスの光源によるシャウカステン(診断用投光装置)により目視で見やすさをギラギラ感も含めて評価した。
◎:非常に良好。
○:良好。
△:やや見にくいが実用可。×:見にくい。
0081
実施例2
実施例1で、インク受容層を2層とし、下記の組成とした以外は実施例1と同様にして実施例2のインクジェット記録材料を得た。下層用のインク受容層Aの気相法シリカはジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマーで、擬ベーマイトは硝酸により21重量%の固形分濃度で高圧ホモジナイザーにより分散し、続いて固形分濃度がインク受容層A塗布液は12重量%、インク受容層B塗布液は10重量%に調製した。これらの塗布液を、インク受容層Aは気相法シリカが固形で16g/m2、インク受容層Bの擬ベーマイトが固形で6g/m2になるように塗布した。評価結果を表1に示す。
0082
<インク受容層A塗布液>
気相法シリカ100部
(平均一次粒径20nm)
ジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー4部
ほう酸4部
ポリビニルアルコール10部
(ケン化度88%、平均重合度2000)
塩基性ポリ水酸化アルミニウム2部
(理研グリーン社製;ピュラケムWT)
界面活性剤0.3部
酢酸ジルコニウム2部
0083
<インク受容層B塗布液>
擬ベーマイト100部
(平均一次粒径15nm、アスペクト比5の平板状)
硝酸1部
ほう酸0.3部
ポリビニルアルコール15部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
界面活性剤0.3部
酢酸ジルコニウム2部
0084
上記のようにして作成したインクジェット用記録材料について実施例1と同様にして評価を行った。その結果を表1に示す。
0085
実施例3
実施例2でインク受容層B塗布液の配合を下記に変更した以外は実施例2と同様にして実施例3のインクジェット記録材料を得た、評価結果を表1に示す。
0086
<インク受容層B塗布液>
擬ベーマイト95部
(平均一次粒径15nm、アスペクト比5の平板状)
硝酸1部
湿式法シリカ5部
(日本シリカ社製、ニップシールE−220A、平均粒径2μm)
ほう酸0.3部
ポリビニルアルコール15部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
界面活性剤0.3部
酢酸ジルコニウム2部
0087
実施例4
実施例2でインク受容層B塗布液の配合を下記に変更した以外は実施例2と同様にして実施例4のインクジェット記録材料を得た。評価結果を表1に示す。
0088
<インク受容層B塗布液>
擬ベーマイト97部
(平均一次粒径15nm、アスペクト比5の平板状)
硝酸1部
ポリスチレン粒子3部
(積水化成品工業社製、SBX−6、平均粒径6μm)
ほう酸0.3部
ポリビニルアルコール15部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
界面活性剤0.3部
酢酸ジルコニウム2部
0089
実施例5
実施例1の裏塗り層塗布液組成を下記に代えた以外は実施例1と同様にして実施例5のインクジェット記録材料を得た。評価結果を表1に示す。
0090
<裏塗り層塗布液>
コロイダルシリカ(日産化学工業社製、ST−O) 97部
湿式法シリカ3部
(日本シリカ社製、ニップシールE−220A、平均粒径2μm)
ポリビニルアルコール(クラレ社製、PVA117) 20部
ほう酸2部
0091
実施例6
実施例2の裏塗り層塗布液を実施例5の組成とした以外は同様にして実施例6のインクジェット記録材料を得た。評価結果を表1に示す。
0092
実施例7
実施例1のインク受容層塗布液の湿式法シリカを抜き、裏塗り層塗布液のポリスチレン粒子を抜いてコロイダルシリカを100部とした以外は実施例1と同様にして実施例7のインクジェット記録材料を得た。評価結果を表1に示す。
0093
実施例8
実施例1の裏塗り層塗布液を下記組成に代えた以外は実施例1と同様にして実施例8のインクジェット記録材料を得た。評価結果を表1に示す。
0094
<裏塗り層塗布液>
コロイダルシリカ100部
(日産化学工業社製、一次粒子の平均粒径15nm、シラノール基7個/nm2)
ポリビニルアルコール(クラレ社製、PVA117) 90部
ポリスチレン粒子1部
(積水化成品工業社製、SBX−6、平均粒径6μm)
ほう酸2部
0095
比較例1
実施例7で裏塗り層のコロイダルシリカを抜いた以外は実施例7と同様にして比較例1のインクジェット記録材料を得た。評価結果を表1に示す。
0096
比較例2
実施例1のインク受容層塗布液を裏塗り塗布液として固形分塗布量が5g/m2になるように塗布、乾燥した以外は実施例1と同様にして比較例2のインクジェット記録材料を得た。評価結果を表1に示す。
0097
比較例3
実施例7で裏塗り層塗布液として下記の組成に代えた以外は実施例1と同様にして比較例3のインクジェット記録材料を得た。評価結果を表1に示す。
0098
<裏塗り層塗布液>
湿式法シリカ100部
(日本シリカ社製、ニップシールE−220A、平均粒径2μm)
ポリビニルアルコール(クラレ社製、PVA117) 20部
0099
────────────────────────────────────
インク印字濃度裏写り搬送性可視性裏塗り層の
吸収性 インク溶剤空隙率容量%
────────────────────────────────────
実施例1 ○ 2.19 ○ ○ ○ ◎ 55
実施例2 ○ 2.27 △ ○ △ ○ 55
実施例3 ○ 2.24 ○ ◎ ○ ◎ 55
実施例4 ○ 2.25 ○ ◎ ○ ◎ 55
実施例5 ○ 2.18 ○ △ ○ ◎ 52
実施例6 ○ 2.26 △ △ △ ○ 52
実施例7 ○ 2.20 △ ○ △ ○ 65
実施例8 ○ 2.22 ○ ◎ △ ◎ 22
────────────────────────────────────
比較例1 ○ 2.18 △ △ × ◎ 6
比較例2 ○ 2.19 × × × ○ 121
比較例3 ○ 2.17 △ × △ × 74
────────────────────────────────────
0100
結果;実施例2は、インク受容層を2層とし、上層にアルミナ水和物を用いた場合であるが、実施例1よりも印字濃度が高いが、平均粒径2μmの湿式法シリカを使用していないのでインクの裏写りと搬送性がやや低下した。実施例3、4は実施例2の上層に粒径が2μmの湿式法シリカ、6μmのポリスチレン粒子を使用した場合で、インクの裏写り、溶剤の裏写り、搬送性が大きく改良された。実施例5は実施例1で、裏塗り層のポリスチレン粒子を粒径2μmの湿式法シリカに代えた場合であるが、溶剤の裏写りがやや低下したが他は良好な特性を示した。実施例6は実施例2で裏塗りのポリスチレン粒子を湿式法シリカに代えた場合であるが、溶剤の裏写りはやや低下したが、他は同様の特性を示した。実施例7は実施例1でインク受容層の湿式法シリカと裏塗り層のポリスチレン粒子を抜いた場合であるが、インクの裏写り、搬送性がやや低下した。実施例1で裏塗り総のポリビニルアルコールを85部として空隙率を下げた実施例8は溶剤の裏写りが実施例1よりも良化したが、搬送性はやや低下した。尚、見た目のギラギラ感は実施例2、6と7がやや低下したが他は良好であった。
0101
比較例1は、実施例7で裏塗り層のコロイダルシリカを抜いた場合であるが、インクの裏写り、溶剤の裏写り同様であるが、搬送性が大きく悪化した。比較例2は実施例1のインク受容層を裏塗り層として塗布した場合であるが、インクと溶剤の裏写り、搬送性が大きく低下し、実使用不可であった。比較例3は実施例7の裏塗り層のコロイダルシリカを平均粒径2μmの湿式法シリカに代えた場合であるが、実施例1よりも溶剤の裏写りと可視性が悪化し、実使用不可であった。
発明の効果
0102
上記結果から明らかなように、本発明により、インク吸収性、印字濃度が高く、プリンター搬送性、裏写りが良好な、特に医療用途でバックライト方式で使用しても可視性に優れたインクジェット記録材料が得られる。
技術視点だけで見ていませんか?
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