図面 (/)

技術 残留熱除去系配管の原子力発電プラント運転中の保管方法

出願人 株式会社日立製作所
発明者 細川秀幸長瀬誠植竹直人
出願日 2001年2月7日 (19年4ヶ月経過) 出願番号 2001-031289
公開日 2002年8月23日 (17年10ヶ月経過) 公開番号 2002-236191
状態 特許登録済
技術分野 原子炉の冷却 燃料及び物質の取扱い並びに実験設備 原子力プラント 汚染除去及び汚染物処理
主要キーワード 駆動治具 不銹鋼 蓄積機構 予備系統 キャビテーション崩壊 キャビテーション発生装置 構造材表面 脱水領域
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2002年8月23日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (7)

課題

残留熱除去系配管への放射性核種付着を抑制するために、残留熱除去系配管の保管時に生成する腐食生成物発生量を抑制できる残留熱除去系配管の原子力発電プラント運転中の保管方法を提供する。

解決手段

除染後に除染で使用した装置の一部を併用して残留熱除去系配管の表面に乾食による酸化皮膜あるいは化成皮膜を形成させ、この状態で残留熱除去系配管の保管を行う。また、酸化皮膜あるいは化学皮膜の形成に代えて、保管水中の溶存酸素消費させて残留熱除去系配管の保管を行うようにすることもできる。

効果

保管水中の溶存酸素の残留熱除去系配管への拡散が抑制されることで腐食が抑制され、水酸化鉄の生成が抑制されるため放射性核種の蓄積が抑制されて、定検作業時の被曝量を低減できる。

概要

背景

BWRでは燃料で発生した熱を効率的に原子炉圧力容器内冷却水に移して蒸気にするため、冷却水は再循環ポンプインターナルポンプによって強制循環される。原子炉内で発生した蒸気は炉心上部に設けられたセパレータおよびドライヤ湿分を除去した後タービンへ送られ、一部はタービン抽気として取り出され、高圧および低圧ヒータ熱源として利用されるが、他の大部分の蒸気は発電に利用された後、復水器凝縮されて水に戻る。復水器内復水はほぼ完全に脱気され、その際、炉心での水の放射線分解によって発生した酸素および水素もほぼ完全に除去される。

復水は再び給水として原子炉に供給されるが、その際、原子炉での放射性腐食生成物の発生を抑制するため、復水中の主として金属不純物を除去する目的で復水全量を脱塩基などのイオン交換樹脂濾過装置で処理し、続いて多段低圧および高圧ヒータで200℃近くまで加熱される。一方、腐食生成物の発生は圧力容器内や再循環系等の接水部からも起こり、炉内を循環する放射性腐食生成物の源となるためこれらの主要な一次系構造材腐食の少ないステンレス鋼ステライト鋼などの不銹鋼の使用が原則となっている。また、炭素鋼製原子炉圧力容器にはステンレス鋼の内面肉盛りがなされ、炭素鋼が直接炉水と接触することを防いでいる。この様な材料上の配慮に加えて、炉水の一部を炉水浄化装置によって浄化し、炉水中に僅かに生成する金属不純物を積極的に除去している。

しかし、この様な材料および水質管理による腐食抑制対策にも関わらず、炉水中の極僅かな金属不純物の存在は避けられないため、一部の金属不純物は金属酸化物として燃料棒沸騰表面に付着する。燃料棒表面に付着した金属元素は燃料から放射される中性子照射を受けて原子核反応を起こしコバルト60コバルト58クロム51、マンガン54等の放射性核種を生成する。これらの放射性核種は大部分が酸化物の形態で燃料棒表面に付着したままであるが、一部は取り込まれている酸化物の溶解度にしたがって溶出したり、クラッドと呼ばれる不溶性固体として炉水中に再放出される。

これらの放射性物質は炉水浄化系によって取り除かれるが、除去できなかったものは炉水とともに再循環系などを循環している間に構造材接水部表面に蓄積して行く。このため構造材表面から放射線が放射され、定検作業時の従事者放射線被曝が生じる。作業被曝の量は各人毎規定値を超えないように管理されているが、近年この規定値が引き下げられ、各人の被曝量経済的に可能な限り低くする必要が生じてきている。そこで配管への放射性核種付着を低減する様々な方法や、配管への放射性核種付着の駆動力となる炉水放射性核種濃度を低減する様々な方法が検討されている。

このような方法の一つとして、亜鉛などの金属イオンを炉水中に共存させ、炉水と接触する原子炉冷却材再循環系配管表面に亜鉛を含む緻密な酸化皮膜を形成させることで、酸化皮膜中へのコバルト60やコバルト58等の放射性核種の取り込みを抑制する方法が特開昭58−79691号公報に記載されている。また特開昭62−95498号公報には、原子炉運転中に炉水が通水される再循環系配管および炉水浄化系配管に対して一定条件で予備酸化皮膜を形成させる技術が記載されている。また、特開平9−5489号公報には、原子炉残留熱除去系線量低減方法として、原子炉残留熱除去系の配管の流路面に酸化皮膜を形成することが開示されているが、この発明では、除洗との関連については何も触れられていない。

概要

残留熱除去系配管への放射性核種付着を抑制するために、残留熱除去系配管の保管時に生成する腐食生成物の発生量を抑制できる残留熱除去系配管の原子力発電プラント運転中の保管方法を提供する。

除染後に除染で使用した装置の一部を併用して残留熱除去系配管の表面に乾食による酸化皮膜あるいは化成皮膜を形成させ、この状態で残留熱除去系配管の保管を行う。また、酸化皮膜あるいは化学皮膜の形成に代えて、保管水中の溶存酸素消費させて残留熱除去系配管の保管を行うようにすることもできる。

保管水中の溶存酸素の残留熱除去系配管への拡散が抑制されることで腐食が抑制され、水酸化鉄の生成が抑制されるため放射性核種の蓄積が抑制されて、定検作業時の被曝量を低減できる。

目的

本発明は、このような背景に鑑みてなされたもので、その目的は原子炉運転中の残留熱除去系配管への放射性核種の付着を抑制できる残留熱除去系配管の保管方法を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
4件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

原子炉停止時に炉水中残留熱を除去するために炉水通水させる配管、弁、熱交換器からなる残留熱除去系配管原子力発電プラント運転中の保管方法において、前記残留熱除去系配管の炉水と接触する表面に蓄積した放射性核種を除去した後、もしくは除去しながら、炉水と接触する表面に酸化皮膜もしくは化成皮膜を形成させた状態で保管を行うことを特徴とする残留熱除去系配管の原子力発電プラント運転中の保管方法。

請求項2

前記残留熱除去系配管の表面に蓄積した放射性核種を除去するために一時的に設置した装置を使用して放射性核種を除去した後の残留熱除去系配管の炉水と接触する表面に前記酸化皮膜もしくは化成皮膜を形成させることを特徴とする請求項1記載の残留熱除去系配管の原子力発電プラント運転中の保管方法。

請求項3

放射性核種を除去した後の前記残留熱除去系配管の炉水と接触する表面に、酸素またはオゾンを含む150℃から600℃の気体を一定時間接触させて前記酸化皮膜を形成させることを特徴とする請求項1記載の残留熱除去系配管の原子力発電プラント運転中の保管方法。

請求項4

放射性核種を除去した後の前記残留熱除去系配管の炉水と接触する表面に、リン酸化合物またはクロム酸化合物を含む水溶液を接触させて化成皮膜を形成させることを特徴とする請求項1記載の残留熱除去系配管の原子力発電プラント運転中の保管方法。

請求項5

放射性核種を除去した後の前記残留熱除去系配管の炉水と接触する表面に、水酸化ナトリウムを含む水溶液を接触させて酸化皮膜を形成させることを特徴とする請求項1記載の残留熱除去系配管の原子力発電プラント運転中の保管方法。

請求項6

水酸化ナトリウムを含む水溶液を接触させて形成した前記酸化皮膜にクロム酸化合物を含む水溶液を接触させてクロム化合物を含む酸化皮膜を形成させることを特徴とする請求項5記載の残留熱除去系配管の原子力発電プラント運転中の保管方法。

請求項7

キャビテーションを伴う高速水中水噴流に放射性核種を除去した後の残留熱除去系配管の炉水と接触する表面をさらすことによって前記表面に前記酸化皮膜を形成させることを特徴とする請求項1記載の残留熱除去系配管の原子力発電プラント運転中の保管方法。

請求項8

キャビテーションを伴う高速水中水噴流を用いて炉水と接触する表面に蓄積した放射性核種を含む酸化物の除去を行うと同時に前記表面に新たな酸化皮膜を形成させることを特徴とする請求項1記載の残留熱除去系配管の原子力発電プラント運転中の保管方法。

請求項9

前記キャビテーションを伴う高速水中水噴流を噴出するノズルとノズルの掃引機構残留熱除去系の弁の弁箱から導入し、前記酸化皮膜を形成させることを特徴とする請求項7または8記載の残留熱除去系配管の原子力発電プラント運転中の保管方法。

請求項10

水中の粒子状物質を除去する浄化系を設置して残留熱除去系の水を浄化しながら、キャビテーションを伴う高速水中水噴流にさらして前記酸化皮膜を形成させることを特徴とする請求項7ないし9のいずれか1項に記載の残留熱除去系配管の原子力発電プラント運転中の保管方法。

請求項11

残留熱除去系配管に蓄積した酸化物を除去するために機械的な摩擦を利用して酸化物を除去すると同時に、摩擦によって前記表面を加熱して酸化皮膜を形成させることを特徴とする請求項1記載の残留熱除去系配管の原子力発電プラント運転中の保管方法。

請求項12

原子炉停止時に炉水中の残留熱を除去するために、炉水を通水させる配管、弁、熱交換器からなる残留熱除去系配管の原子力発電プラント運転中の保管方法において、前記残留熱除去系配管の炉水と接触する表面に蓄積した放射性核種を除去した後、前記残留熱除去系を満たす水中に腐食抑制剤を添加して保管を行うことを特徴とする残留熱除去系配管の原子力発電プラント運転中の保管方法。

請求項13

前記腐食抑制剤が前記残留熱除去系を満たす水中の溶存酸素消費する物質であることを特徴とする請求項12記載の残留熱除去系配管の原子力発電プラント運転中の保管方法。

請求項14

前記物質としてヒドラジンを使用することを特徴とする請求項13記載の残留熱除去系配管の原子力発電プラント運転中の保管方法。

技術分野

0001

本発明は沸騰水型原子力発電プラント(以下BWR略記する)の残留熱除去系配管保管方法係り、特にBWR運転中の残留熱除去系配管の保管時における配管表面での鉄腐食生成物の発生を抑制することで、原子炉停止時における残留熱除去系運転時の残留熱除去系配管への炉水中に含まれる放射性核種の付着を抑制するために好適な残留熱除去系配管のBWR運転中の保管方法に関する。

背景技術

0002

BWRでは燃料で発生した熱を効率的に原子炉圧力容器内冷却水に移して蒸気にするため、冷却水は再循環ポンプインターナルポンプによって強制循環される。原子炉内で発生した蒸気は炉心上部に設けられたセパレータおよびドライヤ湿分を除去した後タービンへ送られ、一部はタービン抽気として取り出され、高圧および低圧ヒータ熱源として利用されるが、他の大部分の蒸気は発電に利用された後、復水器凝縮されて水に戻る。復水器内復水はほぼ完全に脱気され、その際、炉心での水の放射線分解によって発生した酸素および水素もほぼ完全に除去される。

0003

復水は再び給水として原子炉に供給されるが、その際、原子炉での放射性腐食生成物の発生を抑制するため、復水中の主として金属不純物を除去する目的で復水全量を脱塩基などのイオン交換樹脂濾過装置で処理し、続いて多段低圧および高圧ヒータで200℃近くまで加熱される。一方、腐食生成物の発生は圧力容器内や再循環系等の接水部からも起こり、炉内を循環する放射性腐食生成物の源となるためこれらの主要な一次系構造材腐食の少ないステンレス鋼ステライト鋼などの不銹鋼の使用が原則となっている。また、炭素鋼製原子炉圧力容器にはステンレス鋼の内面肉盛りがなされ、炭素鋼が直接炉水と接触することを防いでいる。この様な材料上の配慮に加えて、炉水の一部を炉水浄化装置によって浄化し、炉水中に僅かに生成する金属不純物を積極的に除去している。

0004

しかし、この様な材料および水質管理による腐食抑制対策にも関わらず、炉水中の極僅かな金属不純物の存在は避けられないため、一部の金属不純物は金属酸化物として燃料棒沸騰表面に付着する。燃料棒表面に付着した金属元素は燃料から放射される中性子照射を受けて原子核反応を起こしコバルト60コバルト58クロム51、マンガン54等の放射性核種を生成する。これらの放射性核種は大部分が酸化物の形態で燃料棒表面に付着したままであるが、一部は取り込まれている酸化物の溶解度にしたがって溶出したり、クラッドと呼ばれる不溶性固体として炉水中に再放出される。

0005

これらの放射性物質は炉水浄化系によって取り除かれるが、除去できなかったものは炉水とともに再循環系などを循環している間に構造材接水部表面に蓄積して行く。このため構造材表面から放射線が放射され、定検作業時の従事者放射線被曝が生じる。作業被曝の量は各人毎規定値を超えないように管理されているが、近年この規定値が引き下げられ、各人の被曝量経済的に可能な限り低くする必要が生じてきている。そこで配管への放射性核種付着を低減する様々な方法や、配管への放射性核種付着の駆動力となる炉水放射性核種濃度を低減する様々な方法が検討されている。

0006

このような方法の一つとして、亜鉛などの金属イオンを炉水中に共存させ、炉水と接触する原子炉冷却材再循環系配管表面に亜鉛を含む緻密な酸化皮膜を形成させることで、酸化皮膜中へのコバルト60やコバルト58等の放射性核種の取り込みを抑制する方法が特開昭58−79691号公報に記載されている。また特開昭62−95498号公報には、原子炉運転中に炉水が通水される再循環系配管および炉水浄化系配管に対して一定条件で予備酸化皮膜を形成させる技術が記載されている。また、特開平9−5489号公報には、原子炉残留熱除去系の線量低減方法として、原子炉残留熱除去系の配管の流路面に酸化皮膜を形成することが開示されているが、この発明では、除洗との関連については何も触れられていない。

発明が解決しようとする課題

0007

しかしながら、上記従来技術では原子炉停止時に炉水が通水される残留熱除去系については考慮されておらず、炉水中の放射性核種の付着抑制対策は残留熱除去系には及んでいなかった。このため原子炉停止時の残留熱除去系運用によって、残留熱除去系が放射性核種を含む炉水に接触することで放射性核種の残留熱除去系への付着が起こり、定検作業時の被曝源となる。特に再循環系のない改良型沸騰水型軽水炉では定検作業時の被曝に与える影響が大きくなる。

0008

また、残留熱除去系は炭素鋼配管で構成されているため除染によって過去に付着した放射性核種を含む酸化物を除去しても、原子炉運転中の残留熱除去系の保管時に配管表面に生成する腐食生成物が、残留熱除去系運用時の炉水中放射性核種の再付着を促進させてしまい、除染の効果を維持できない。

0009

本発明は、このような背景に鑑みてなされたもので、その目的は原子炉運転中の残留熱除去系配管への放射性核種の付着を抑制できる残留熱除去系配管の保管方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0010

上記目的を達成するため本発明では、原子炉運転中の保管状態にある残留熱除去系配管において、放射性核種を含む既存の酸化物を除去した後、酸化皮膜もしくは化成皮膜を設けるか、または保管中の水に腐食抑制剤を加えて、保管水中の溶存酸素による残留熱除去系を構成する炭素鋼配管の腐食を抑制できる状態で保管する。

0011

すなわち、本発明は、原子炉停止時に炉水中の残留熱を除去するために炉水を通水させる配管、弁、熱交換器からなる残留熱除去系配管の原子力発電プラント運転中の保管方法において、前記残留熱除去系配管の炉水と接触する表面に蓄積した放射性核種を除去した後、もしくは除去しながら、炉水と接触する表面に酸化皮膜もしくは化成皮膜を形成させた状態で原子力発電プラント運転中の残留熱除去系配管の保管を行うようにした。

0012

この場合、前記残留熱除去系配管の表面に蓄積した放射性核種を除去するために一時的に設置した装置を使用して放射性核種を除去した後の残留熱除去系配管の炉水と接触する表面に前記酸化皮膜もしくは化成皮膜を形成させる。

0013

その際、放射性核種を除去した後の前記残留熱除去系配管の炉水と接触する表面に、酸素またはオゾンを含む150℃から600℃の気体を一定時間接触させて前記酸化皮膜を形成させ、また、リン酸化合物またはクロム酸化合物を含む水溶液を接触させて化成皮膜を形成させ、また、水酸化ナトリウムを含む水溶液を接触させて酸化皮膜を形成させる。さらには、水酸化ナトリウムを含む水溶液を接触させて形成した前記酸化皮膜にクロム酸化合物を含む水溶液を接触させてクロム化合物を含む酸化皮膜を形成させるようにしてもよい。

0014

また、キャビテーションを伴う高速水中水噴流に放射性核種を除去した後の残留熱除去系配管の炉水と接触する表面をさらすことによって前記表面に前記酸化皮膜を形成させたり、キャビテーションを伴う高速水中水噴流を用いて炉水と接触する表面に蓄積した放射性核種を含む酸化物の除去を行うと同時に前記表面に新たな酸化皮膜を形成させたりすることもできる。その際、前記キャビテーションを伴う高速水中水噴流を噴出するノズルとノズルの掃引機構を残留熱除去系の弁の弁箱から導入して、酸化皮膜を形成させることも可能である。また、水中の粒子状物質を除去する浄化系を設置して残留熱除去系の水を浄化しながら、キャビテーションを伴う高速水中水噴流にさらして前記酸化皮膜を形成させることもできる。

0015

この場合、前記高速水中水噴流による除去に代えて、残留熱除去系配管に蓄積した酸化物を除去するために機械的な摩擦を利用して酸化物を除去すると同時に、摩擦によって前記表面を加熱して酸化皮膜を形成させることもできる。

0016

さらに、原子炉停止時に炉水中の残留熱を除去するために、炉水を通水させる配管、弁、熱交換器からなる残留熱除去系配管の原子力発電プラント運転中の保管方法において、前記残留熱除去系配管の炉水と接触する表面に蓄積した放射性核種を除去した後、前記残留熱除去系を満たす水中に腐食抑制剤を添加して原子力発電プラント運転中の残留熱除去系配管の保管を行うこともできる。前記腐食抑制剤として例えば前記残留熱除去系を満たす水中の溶存酸素を消費する物質が使用できる。この物質としては、例えばヒドラジンが好適である。

0017

以下、前述のように構成した背景もしくは理由について説明する。

0018

原子炉運転中に炉水が通水される再循環系配管および炉水浄化系配管に比べて、残留熱除去系配管は通常、原子炉停止時にのみ炉水が通水される。BWRのプラント停止操作は、制御棒を挿入して原子燃料核分裂反応を停止させることから始まる。この操作により、280℃から150℃までは蒸気の発生量が多いため、主蒸気ラインから蒸気を復水器に送り、発生する蒸気の気化熱により原子炉を冷却する。150℃以下の温度では、気化熱による冷却効率が低下するため、炉水再循環系から分岐する残留熱除去系によって炉水を冷却する。冷却された炉水は原子炉再循環系を経由するか、あるいは直接原子炉に戻る。100℃以下の温度では気化熱による冷却ができなくなるため、残留熱除去系での冷却が主体となる。残留熱除去系は、予備系統を持つため2系統以上を有する。したがって、プラントの停止操作は停止毎に交互に運転される。さらに原子炉水を冷却する速度は残留熱除去系熱交換器に通水する流量と、この熱交換器のバイパスライン流量をコントロールすることで調整する。

0019

再循環系配管および炉水浄化系配管では、腐食による酸化皮膜の成長に伴って原子炉水中放射性イオンが酸化皮膜中に取り込まれ、放射性核種の蓄積が生じる。しかし、残留熱除去系では運用開始時原子炉水温度が150℃以下と低く、運用開始と同時に炉水温度が低下してくるので、100℃以上の原子炉水に晒されている期間も数時間程度と短い。このため上記プロセスの影響は小さい。このため、発明者らが残留熱除去系配管への放射性核種の蓄積機構を詳細に検討したところ、以下のように、再循環系配管や炉水浄化系配管とは異なるプロセスで放射性イオンの付着が生じていることが分かった。

0020

すなわち、残留熱除去系に使われているような炭素鋼配管では、炉水浄化系配管で見られるように、高温水中ではヘマタイトマグネタイトに加えて原子炉水中に含まれるニッケルなどのイオンを取り込んたフェライトを生成する。しかし、残留熱除去系の配管が原子炉運転中に晒されているような100℃以下の低温水中では水酸化鉄が主な腐食生成物となる。この条件で生成する水酸化鉄は藻状の形態で表面積が大きく、水中の各種イオン吸着する性質がある。このため、原子炉停止操作が行われ残留熱除去系の運用が始まると、炉水中の放射性イオンの吸着が起こる。炉水中の放射性イオン濃度は原子炉停止操作直後に一旦上昇してから下がるという挙動を示す。残留熱除去系運用開始時は既に温度の低下に伴って炉水放射能濃度も下がって行くので、運用開始時に水酸化鉄へ吸着した放射性イオンも、ただ吸着しているだけでは炉水放射能濃度の低下とともに放出されるため、残留熱除去系への放射性核種の蓄積による被曝はあまり問題にはならない。

0021

しかし、水酸化鉄では約100℃以上の条件で(化1)や(化2)に示したような反応で脱水反応を起こし、ヘマタイトやマグネタイトを生じる。この時、脱水領域にニッケル、コバルトおよびこれらの放射性イオンが吸着しているとこれらのニッケルやコバルトを含むフェライトが(化3)や(化4)のように生じて、脱離し難くなる。この様子を図2に模式的に示すが、残留熱除去系の炭素鋼配管上に生成した水酸化鉄に放射性コバルトイオンの吸着領域と、100℃以上の温度における脱水領域が生じ、この2つが重なった領域でコバルトフェライトが生じ、放射性コバルトイオンの蓄積が起こる。

0022

0023

しかしながら、既設のBWRでは残留熱除去系配管の表面に既に水酸化鉄や放射性核種を含んだ酸化物が蓄積しているため、そのままの状態では、上述の溶存酸素の配管表面への拡散を妨げる介在物を配置するのは難しい。また、保管水中の溶存酸素濃度下げたりしても、既存の水酸化鉄は減らないため大きな効果は得られない。このため、残留熱除去系配管を除染してからこれらの処置を施した方がより効果的である。

0024

残留熱除去系の除染後に、残留熱除去系配管の表面と保管水との間に、溶存酸素の配管表面への拡散を妨げる介在物を配置するのに最も適した除染方法は、既存の酸化物をほとんど除去してしまう化学除染である。化学除染では薬剤を用いて配管表面に付着している酸化物を、金属イオンまたは錯体として溶解し、配管表面から除去する。このため、化学除染後の配管表面は酸化物のほとんどない一様な金属表面となる。また、キャビテーションを伴う水中水噴流による除染などの機械除染でも、配管表面の酸化物と金属母材では、機械除染による衝撃力に対する脆さの違いから、金属母材に比べて脆い酸化物を破壊して除去できるため、配管表面と保管水との間に、溶存酸素の配管表面への拡散を妨げる介在物を配置する前の除染方法として適用可能である。

0025

残留熱除去系の除染後に、残留熱除去系配管の表面と保管水との間に溶存酸素の配管表面への拡散を妨げる介在物を配置する方法としては、配管の金属表面に乾食による酸化皮膜を形成させる方法がある。原子炉運転中に於ける残留熱除去系配管の保管時に生じるような酸化物は湿食によるもので、これは配管表面から一旦鉄イオンが水中に溶け出したのち、水酸化物を作って配管表面に析出するものであるため疎な状態としかならず、配管表面の腐食に必要な水や溶存酸素の移動の妨げとはなりにくい。これに対して乾食では酸素が配管表面の金属中を拡散によって浸透して行くことで、金属酸化物を形成するため、緻密な酸化皮膜となり易いという特徴がある。配管表面に乾食を起こさせるには酸素またはオゾンを含む150℃から600℃の気体と配管表面を接触させればよい。乾食を起こさせるには、乾食の機構が酸素の固体内拡散であるためより高温の方が好都合であるが、炭素鋼では720℃に変態点があるためこれ以下にする必要がある。

0026

このような高温の気体を残留熱除去系の配管内へ送り込むには送風機のような気体を送り込む装置と加熱装置、そして残留熱除去系とこれらの装置とを接続する仮設配管が必要となる。しかし、除染後に乾食被膜を作る酸化処理を行えば、除染で使用した仮設配管や加熱装置などそのまま使用でき、施工処置が大幅に軽減できる。残留熱除去系の除染後に、残留熱除去系配管の表面と保管水との間に、溶存酸素の配管表面への拡散を妨げる介在物を配置する方法としては上記以外にも化成皮膜を形成させる方法が適用できる。再循環系配管や炉水浄化系配管では通常運転中の使用温度が280℃程度であるため、化成皮膜では耐熱性がないためこれまではあまり検討されなかった。しかし、残留熱除去系の通常の運用開始温度は150℃程度で、しかも残留熱除去モードの運用が始まると数時間で100℃以下となるため、化成皮膜でも適用が可能である。化成皮膜処理としては炭素鋼の防錆処理として効果的なリン酸塩皮膜処理アルカリ酸化黒色皮膜処理を行うと良い。さらに、化成皮膜処理を除染後に行えば、除染のために設置した薬液注入系、薬液循環装置、仮設配管、加熱装置、循環水浄化装置などがそのまま使用でき、施工処置が大幅に軽減できる。

0027

残留熱除去系の除染後に、残留熱除去系配管の表面と保管水との間に、溶存酸素の配管表面への拡散を妨げる介在物を配置する別の方法としては機械除染による熱の発生を利用する方法がある。化学除染では薬液注入系の他にも薬液の分解や浄化処理が必要なため装置が大規模になるので、系統のごく一部を除染するよりは全系統を除染するような場合の方が向いている。したがって、系統のごく一部を除染するような場合は機械的な除染が効率的である。例えばグラインダーのような回転砥石を、放射性核種が含まれている酸化物の蓄積した残留熱除去系配管に当てて、配管内を円周方向に回転させながら長手方向に掃引すれば配管の一部を除染できる。この時、回転砥石の種類を硬いものにして摩擦熱が発生し易いものにしたり、回転速度を制御することで、配管表面と回転年との間で生じる摩擦熱を制御し、残留熱除去系配管の表面に蓄積していた放射性核種を含む酸化物を除去した後に、摩擦熱によって乾食による酸化皮膜を形成させることができる。

0028

残留熱除去系の除染後に残留熱除去系配管の表面と保管水との間に溶存酸素の配管表面への拡散を妨げる介在物を配置する際に、機械除染を用いる別の方法としてはキャビテーションを伴う高速水中水噴流による熱の発生を利用する方法がある。キャビテーションを伴う水中水噴流による除染では、配管表面の酸化物と金属母材との間に、キャビテーション崩壊による衝撃力に対する脆さの違いが有り、金属母材に比べて脆い酸化物が破壊されて除去される。酸化物が除去された配管に再びキャビテーションが当たって崩壊すると金属表面に直接、塑性変形を起こして圧縮応力を残すほどの数GPaに及ぶ衝撃波が当たる。このため、衝撃波に晒された部分は高温になり、乾食被膜が生じて耐食性が向上する。

0029

除染後の残留熱除去系配管を通常運転中に満水保管する際に、残留熱除去系配管の表面に水酸化鉄の発生を抑制する配管表面と保管水との間に介在物を配置する以外の方法として、水酸化鉄発生の原因である保管水中の溶存酸素を低減させるために腐食防止剤として例えばヒドラジンを加える方法がある。ヒドラジンを加えることにより、(化5)または(化6)のような反応によって保管水中の溶存酸素を消費し、原子炉運転中の残留熱除去系配管の保管時における溶存酸素による残留熱除去系配管の腐食を抑制できる。

0030

発明を実施するための最良の形態

0031

以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。

0032

<第1の実施形態>図1は第1の実施形態に係るBWRの残留熱除去系配管と他の配管系を含むBWRの構成を示す図である。同図において、BWRでは、通常運転中、原子炉1の炉水は2つある再循環系2と再循環ポンプ3とによって炉内を循環させられている。原子炉停止操作が始まって炉水温度が150℃程度まで降下すると、残留熱除去系4の運転が始まり、炉水の温度を定期点検(定検)ができる温度まで下げて行く。この残留熱除去系4は再循環系2の入口から分岐され、A系統とB系統の2系統に分かれている。2系統に分かれた後、原子炉格納容器5の内側に内側開閉弁6と、外側に外側開閉弁7が設けられている。その後、残留熱除去系ポンプ8によって残留熱除去系熱交換器9へ送り込まれる。残留熱除去系熱交換器9へ送り込む量はバイパス弁10と残留熱熱交換器系弁11の開度によって調節する。冷却された炉水は再循環系2の出口に戻される。

0033

定検が始まって再循環系2の除染の準備が始まると、再循環系2と残留熱除去系4の内、原子炉格納容器5内にある内側開閉弁6の手前までを含んだ除染系統を組み上げるため、再循環系2の出口側配管と残留熱除去系4の内側開閉弁6の再循環系2側の配管を切断して除染用の仮設配管12を接続する。除染系統は試薬注入系13と除染系統循環ポンプ14、加熱装置15、除染系統浄化系16からなる。除染系統浄化系は流量を調整するバルブ17、除染剤分解装置18、およびイオン交換樹脂塔19からなる。

0034

除染終了後は除染系統の内、除染系統を組み込んだときに予め準備しておいた再循環系2をバイパスするバイパスライン20とオゾンガス注入系21によって原子炉格納容器5内の残留熱除去系4配管内を、オゾンを含む気相で満たし、加熱装置15によって昇温させて残留熱除去系4の配管内面に乾食による酸化皮膜を形成させる。その後、仮設系を切り離し、仮設配管12のつなぎ込み口を本設配管に接続させ、定検終了後に満水保管すると、乾食酸化皮膜を持った残留熱除去系4配管では保管水による腐食が抑制され、水酸化鉄の形成も抑制される。これにより、次の原子炉停止操作時に放射性イオンが流れ込んできても、放射性イオンの蓄積に必要なフェライトの材料となる水酸化鉄が配管表面に存在しないので放射性核種の付着は抑制される。

0035

<第2の実施形態>図3は本発明の第2の実施形態に係るBWRの残留熱除去系配管と他の配管系を含むBWRの構成を示す図である。

0036

この実施形態は、図1に示した第1の実施形態におけるオゾン注入系21に代えてMn(H2PO4)2、Fe(H2PO4)2、H3PO4混合水溶液化成処理液注入系22としたもので、その他各部の構成は第1の実施形態と同等に構成されている。この実施形態では、化学除染終了後、除染系統の一部をバイパスライン20でつながるようにバルブ操作し、その後、化成処理液注入系22より試薬溶液注入する。加熱装置15により試薬溶液の温度を85℃から95℃として、その状態で1時間程度、残留熱除去系4配管を処理すると皮膜重量にして15〜25g/m2のMn5H2(PO4)4・H2O、FeHPO4・H2Oを含む化成皮膜が形成される。注入する試薬溶液としてはZn(H2PO4)2、Fe(H2PO4)2、H3PO4、NO3混合水溶液も使用できる。

0037

リン酸塩系以外の化成皮膜ではアルカリ酸化黒色皮膜処理がある。これは濃厚な水酸化ナトリウムの水溶液(35〜45%)に酸化剤として過酸化水素を加えて130〜150℃とした反応液を、残留熱除去系4の配管内面に接触させて表面に黒色のマグネタイトの酸化皮膜を化成する方法で、皮膜は厚さ0.2〜5μmになる。この皮膜はクラックが多く発生するため、さらにクロム酸処理を行うと防錆力は向上する。これらの化成処理終了後の廃液処理には除染系統で準備されている浄化系統を利用できる。その後、仮設系を切り離し、仮設配管12のつなぎ込み口を本設配管に接続させ、定検終了後に満水保管すると、化成処理皮膜を持った残留熱除去系4配管では保管水による腐食が抑制され、水酸化鉄の形成も抑制される。これにより、第1の実施形態と同様に、次の原子炉停止操作時に放射性イオンが流れ込んできても、放射性イオンの蓄積に必要なフェライトの材料となる水酸化鉄が配管内面に存在しないので放射性核種の付着は抑制される。

0038

その他、特に説明しない各部は前述の第1の実施形態と同等に構成されている。

0039

なお、この化学皮膜形成の場合には、化学除染に使用した装置をそのまま使用して皮膜形成を行うことができる。

0040

<第3の実施形態>図4は本発明の第3の実施形態に係る残留熱除去系配管の除染に機械除染を適用して酸化皮膜を形成する例を示す図である。BWRの各配管系図1に示したものと同等に構成されている。

0041

この実施形態に係る機械除染装置は、先端に回転砥石23が付いたアーム24と、このアーム24を円周方向に回転させながら配管の長手方向に掃引させる機構を備えた駆動治具25を、図1に示す残留熱除去系4の原子炉格納容器5内の内側開閉弁6を解体した弁箱から挿入して設置したものである。回転砥石23による研磨で放射性核種を含む既存の酸化物は除去され、除去された放射性核種を含む研磨粉吸引ポンプ26によって吸引口27より吸引され、吸引管28を通ってフィルタ29に捕集される。

0042

一方、配管表面の方は研磨による摩擦熱で加熱され、回転砥石23が通過した後は薄い乾食皮膜が形成される。その後、挿入した機械除染装置を撤去し、解体した内側開閉弁6を復旧する。定検終了後、残留熱除去系4配管を満水保管すると、乾食酸化皮膜を持った残留熱除去系4配管では保管水による腐食が抑制され、水酸化鉄の形成も抑制される。これにより、第1の実施形態と同様に次の原子炉停止操作時に放射性イオンが流れ込んできても、放射性イオンの蓄積に必要なフェライトの材料となる水酸化鉄が配管内面に存在しないので放射性核種の付着は抑制される。

0043

<第4の実施形態>図5は第4の実施形態に係る残留熱除去系配管の除染にキャビテーションを伴う高速水中水噴流を利用した例を示す図である。BWRの各配管系は図1に示したものと同等に構成されている。

0044

この実施形態に係るキャビテーション発生装置は、図4に示した第3の実施形態における回転砥石23の替わりに高速水中水噴流を噴出してキャビテーションを発生させるノズル30が取り付けられていることである。ノズル30には高圧ポンプ31より耐圧ホース32によって高圧水が供給される。ノズル30から噴出した高圧水は高速ウォータージェットとなり、水中でキャビテーションを発生させる。発生したキャビテーションはウォータージェットの流速の減少とともに崩壊するが、このキャビテーションの崩壊が配管表面で起こるとその衝撃力によって金属に比べて脆い水中析出由来の酸化物が破壊されて除去される。除去された放射性核種を含む酸化物は水中を浮游することになるので吸引ポンプ26によって水ごと吸引口27より吸引し、吸引管28を通してフィルタ29で捕集する。濾過後の水は再び残留熱除去系4配管内へ戻す。

0045

酸化物が除去された配管に再びキャビテーションが当たって崩壊すると、金属表面に直接塑性変形を起こして圧縮応力を残すほどの数GPaに及ぶ衝撃波が当たる。このため、衝撃波に晒された部分は高温になり、乾食被膜が生じて耐食性が向上する。施工終了後、ノズル等の仮設装置を撤去して解体した内側開閉弁6を復旧する。定検終了後、残留熱除去系4配管を満水保管すると、乾食酸化皮膜を持った残留熱除去系配管4では保管水による腐食が抑制され、水酸化鉄の形成も抑制される。これにより、第1の実施形態と同様に次の原子炉停止操作時に放射性イオンが流れ込んできても、放射性イオンの蓄積に必要なフェライトの材料となる水酸化鉄が配管内面に存在しないので放射性核種の付着は抑制される。

0046

なお、このウォータージェットキャビテーションによって配管内面を処理した場合には、除染と酸化皮膜の形成が同時に行える。

0047

<第5の実施形態>図6は保管水中の溶存酸素を消費させる第5の実施形態に係るBWRの残留熱除去系配管と他の配管系を含むBWRの構成を示す図である。

0048

同図において、BWRでは、通常運転中、原子炉1の炉水は2つある再循環系2と再循環ポンプ3によって炉内を循環させられている。原子炉停止操作が始まって炉水温度が150℃程度まで降下すると、残留熱除去系4の運転が始まり、炉水の温度を定検ができる温度まで下げて行く。この残留熱除去系4は再循環系2の入口から分岐され、A系統とB系統の2系統に分かれている。2系統に分かれた後、原子炉格納容器5の内側に内側開閉弁6と、外側に外側開閉弁7が設けられている。その後、残留熱除去系ポンプ8によって残留熱除去系熱交換器9へ送り込まれる。残留熱除去系熱交換器9へ送り込む量はバイパス弁10と残留熱熱交換器系弁11の開度によって調節する。冷却された炉水は再循環系2の出口に戻される。この実施形態では、さらに、残留熱除去系4配管の除染終了後に再循環系2配管と残留熱除去系4配管の分岐点付近ヒドラジン注入系33を設けておく。ここからヒドラジン溶液を注入しながら残留熱除去系4を運転して残留熱除去系4配管内にヒドラジン溶液を行き渡らせる。ヒドラジンの濃度は溶存酸素を消費する程度でよいので、大気飽和の水だとしても32ppm程度でよい。再循環系2にはヒドラジン溶液を注入する必要はないので、ヒドラジン溶液が再循環系2に到達する前に残留熱除去系4の運転を止め、ヒドラジンを含んだ保管水で残留熱除去系4をこのまま保管する。

0049

この実施形態では、(化5)または(化6)に示した反応によって保管水中の溶存酸素が消費され、原子炉運転中の残留熱除去系4の保管時における溶存酸素による残留熱除去系配管の腐食を抑制でき、水酸化鉄の形成も抑制される。これにより、次の原子炉停止操作時に放射性イオンが流れ込んできても、放射性イオンの蓄積に必要なフェライトの材料となる水酸化鉄が配管内面に存在しないので放射性核種の付着は抑制される。

発明の効果

0050

以上のように本発明によれば、残留熱除去系配管の炉水と接触する表面に蓄積した放射性核種を除去した後、もしくは除去しながら、炉水と接触する表面に酸化皮膜もしくは化成皮膜を形成させた状態で原子力発電プラント運転中の残留熱除去系配管の保管を行うので、原子炉運転中の残留熱除去系配管への放射性核種の付着を抑制することができる。

0051

また、本発明によれば、残留熱除去系配管の炉水と接触する表面に蓄積した放射性核種を除去した後、残留熱除去系を満たす水中に腐食抑制剤を添加して原子力発電プラント運転中の残留熱除去系配管の保管を行うので、原子炉運転中の残留熱除去系配管への放射性核種の付着を抑制することができる。

図面の簡単な説明

0052

図1本発明の実施例1の残留熱除去系配管に気相中酸化皮膜を形成させる方法の図面である。
図2残留熱除去系配管での放射性核種蓄積機構を示した図面である。
図3残留熱除去系配管に化成皮膜を形成させる方法を示した図面である。
図4残留熱除去系配管に機械研磨加熱によって酸化皮膜を形成させる方法を示した図面である。
図5残留熱除去系配管にキャビテーションを伴う高速水中水噴流による熱の発生を利用して酸化皮膜を形成させる方法を示した図面である。
図6ヒドラジンを含む保管水で残留熱除去系配管を保管する方法を示した図面である。

--

0053

1原子炉
2再循環系
3再循環ポンプ
4残留熱除去系
5原子炉格納容器
6内側開閉弁
7外側開閉弁
残留熱除去ポンプ
9残留熱除去系熱交換器
10バイパス弁
11残留熱熱交換器系弁
12仮設配管
13試薬注入系
14除染系統循環ポンプ
15加熱装置
16 除染系統浄化系
17バルブ
18除染剤分解装置
19イオン交換樹脂塔
20バイパスライン
21オゾンガス注入系
22化成処理注入系
23回転砥石
24アーム
25駆動治具
26吸引ポンプ
27吸引口
28吸引管
29フィルタ
30ノズル
31高圧ポンプ
32耐圧ホース
33ヒドラジン注入系

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • 日立GEニュークリア・エナジー株式会社の「 使用済燃料収納容器」が 公開されました。( 2020/04/30)

    【課題】放射性物質の閉じ込め機能と使用済燃料の冷却性能を低下させることなく、2つの蓋の間のガスの温度計測の精度を向上できる使用済燃料収納容器を提供する。【解決手段】本発明による使用済燃料収納容器1は、... 詳細

  • 株式会社東芝の「 蒸気タービンプラント及びその運転方法」が 公開されました。( 2020/04/30)

    【課題】加熱器で用いられる燃焼排ガスの熱を効率的に利用可能な蒸気タービンプラント及びその運転方法を提供する。【解決手段】一の実施形態によれば、蒸気タービンプラントは、原子炉で発生した熱または集熱器によ... 詳細

  • 日新工業株式会社の「 放射性汚染物質の炭化物の処理方法」が 公開されました。( 2020/04/30)

    【課題】 放射性汚染物質の炭化物を保管容器に入れて保管する際に、同炭化物の飛散が全く無く、保管容器への充填が容易で、長期間安全に保管できるようにする。【解決手段】 減容化され、炭化された放射性汚染... 詳細

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

関連する公募課題一覧

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ