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技術 摩擦式変速機

出願人 株式会社モートロン
発明者 広瀬良行
出願日 2001年1月24日 (19年5ヶ月経過) 出願番号 2001-016360
公開日 2002年8月9日 (17年10ヶ月経過) 公開番号 2002-221266
状態 未査定
技術分野 摩擦伝動装置
主要キーワード 心狂い 大径筒体 押圧構造 環状円盤 小径筒体 環状輪 円柱突起 円錐状突起
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (7)

課題

常に安定した状態で第一軸の回転を第二軸に伝達することができるようにする。

解決手段

第一軸20と同心で逆回転する第一駆動輪60と、第一軸20と同心で順回転する第二駆動輪90と、第一駆動輪60および第二駆動輪90の外周部に当接して第一軸20回りに公転しながら自転する回転子70と、この回転子70の円錐面の母線上に内周面が当接して第一軸20回りに回転する、第一軸20の軸心方向に移動可能な変速輪100と、この変速輪100の回転を第二軸30に伝達する伝達構造110とが設けられ、回転子70は、第二駆動輪90の周縁部と当接する円錐体71と、この円錐体71に設けられた円錐状突起72とを備えて形成され、円錐状突起72は、周面が第一駆動輪60の周縁部に当接するように寸法設定され、第一駆動輪60には、円錐体71の周縁部に当接する第一軸20回りに回転可能な環状当接突起63が設けられている。

概要

背景

従来、図6に示すような摩擦式変速機200が知られている。図6は、この摩擦式変速機200の要部を示す断面図であるが、この図に示すように、摩擦式変速機200は、第一軸201の軸心回り回転入力変速して第一軸201と同心の第二軸202に伝達するものであり、第一軸201と同心の第一駆動輪203と、第二駆動輪204とを備え、裏面側が第一駆動輪203および第二駆動輪204の外周面に当接して第一軸201回りに自転または公転する円錐状の回転子205と、この回転子205の円錐面の母線上に内周面が当接して第一軸201と同軸で、第一軸201の軸心方向に移動可能な変速輪206とを備えて構成されている。

上記回転子205に関する摩擦式変速機200の伝達系としての第一および第二駆動輪203,204は、変速輪206を回転させない上記母線上の中立位置が回転子205の中心の近傍位置に設定されるようにそれぞれ相対的な所定の周速度が設定されている。

かかる構成の摩擦式変速機200によれば、第一軸201の軸心回りの回転は、所定の伝達構造を介して一方向に向けて回転する第一駆動輪203および他方向に向けて回転する第二駆動輪204に伝達されるとともに、周面あるいは周面近傍が第一および第二駆動輪203,204の外周面に当接している回転子205に伝達され、これによって回転子205は、両駆動輪203,204の周速差により第一軸201回りに公転しながら自転する。

そして、この回転子205の円錐面の母線上に内周面が当接している変速輪206は、回転子205の公転と自転との兼ね合いによっていずれかの方向に第一軸201回りに回転する。

そして、第一および第二駆動輪203,204は、変速輪206を回転させない母線上の中立位置が回転子205の中心(回転子205を構成する円錐体頂点)の近傍位置に設定されるようにそれぞれ相対的に周速度が設定されているため、変速輪206が中立位置に位置した状態では、回転子205に対する第一および第二駆動輪203,204並びに変速輪206の各当接位置を結んで形成される三角形は、略二等辺三角形に近い形状になり、回転子205には良好なバランスで力が加えられることとなって第二軸202の低速域における回転力伝達効率は安定したものになる。

概要

常に安定した状態で第一軸の回転を第二軸に伝達することができるようにする。

第一軸20と同心で逆回転する第一駆動輪60と、第一軸20と同心で順回転する第二駆動輪90と、第一駆動輪60および第二駆動輪90の外周部に当接して第一軸20回りに公転しながら自転する回転子70と、この回転子70の円錐面の母線上に内周面が当接して第一軸20回りに回転する、第一軸20の軸心方向に移動可能な変速輪100と、この変速輪100の回転を第二軸30に伝達する伝達構造110とが設けられ、回転子70は、第二駆動輪90の周縁部と当接する円錐体71と、この円錐体71に設けられた円錐状突起72とを備えて形成され、円錐状突起72は、周面が第一駆動輪60の周縁部に当接するように寸法設定され、第一駆動輪60には、円錐体71の周縁部に当接する第一軸20回りに回転可能な環状当接突起63が設けられている。

目的

本発明は、上記のような問題点を解消するためになされたものであり、回転子がのように第一および第二駆動輪間に食い込むことがなく、これによって常に安定した状態で第一軸の回転を第二軸に伝達することが可能な摩擦式変速機を提供することを目的としている。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

第一軸の軸心回り回転入力を、第一軸回り自転しながら公転する複数の回転子を介して摩擦力により第一軸と同心の第二軸に伝達する摩擦式変速機において、上記回転子は、母線が第一軸と平行になるように配設される円錐体と、この円錐体と同心で頂部から外方に向かって延びる円形突起とを備えて形成されていることを特徴とする摩擦式変速機。

請求項2

上記第一軸と同心で回転する第一駆動輪および第二駆動輪が設けられ、上記回転子は、上記円錐体の周縁部が第二駆動輪の周縁部と当接するとともに、上記円形突起の周面が上記第一駆動輪の周縁部に当接するように寸法設定され、上記円錐体の円錐面の母線上に内周面が当接した状態で第一軸の軸心方向に移動可能な変速輪と、上記円錐体の周縁部に当接する第一軸回りに回転可能な当接輪と、第一および第二駆動輪で回転子を押圧挟持するように力を付与するスラスト力付与手段とが設けられていることを特徴とする請求項1記載の摩擦式変速機。

請求項3

上記第一駆動輪の上記円形突起に当接する第一当接面と、上記当接輪の上記円錐体に当接する第二当接面とはそれぞれ互いに平行になっていることを特徴とする請求項2記載の摩擦式変速機。

技術分野

0001

本発明は、乗用車トラック等の各種の乗物や各種の機械装置への適用が可能な摩擦式変速機に関するものである。

背景技術

0002

従来、図6に示すような摩擦式変速機200が知られている。図6は、この摩擦式変速機200の要部を示す断面図であるが、この図に示すように、摩擦式変速機200は、第一軸201の軸心回り回転入力変速して第一軸201と同心の第二軸202に伝達するものであり、第一軸201と同心の第一駆動輪203と、第二駆動輪204とを備え、裏面側が第一駆動輪203および第二駆動輪204の外周面に当接して第一軸201回りに自転または公転する円錐状の回転子205と、この回転子205の円錐面の母線上に内周面が当接して第一軸201と同軸で、第一軸201の軸心方向に移動可能な変速輪206とを備えて構成されている。

0003

上記回転子205に関する摩擦式変速機200の伝達系としての第一および第二駆動輪203,204は、変速輪206を回転させない上記母線上の中立位置が回転子205の中心の近傍位置に設定されるようにそれぞれ相対的な所定の周速度が設定されている。

0004

かかる構成の摩擦式変速機200によれば、第一軸201の軸心回りの回転は、所定の伝達構造を介して一方向に向けて回転する第一駆動輪203および他方向に向けて回転する第二駆動輪204に伝達されるとともに、周面あるいは周面近傍が第一および第二駆動輪203,204の外周面に当接している回転子205に伝達され、これによって回転子205は、両駆動輪203,204の周速差により第一軸201回りに公転しながら自転する。

0005

そして、この回転子205の円錐面の母線上に内周面が当接している変速輪206は、回転子205の公転と自転との兼ね合いによっていずれかの方向に第一軸201回りに回転する。

0006

そして、第一および第二駆動輪203,204は、変速輪206を回転させない母線上の中立位置が回転子205の中心(回転子205を構成する円錐体頂点)の近傍位置に設定されるようにそれぞれ相対的に周速度が設定されているため、変速輪206が中立位置に位置した状態では、回転子205に対する第一および第二駆動輪203,204並びに変速輪206の各当接位置を結んで形成される三角形は、略二等辺三角形に近い形状になり、回転子205には良好なバランスで力が加えられることとなって第二軸202の低速域における回転力伝達効率は安定したものになる。

発明が解決しようとする課題

0007

ところで、上記のような摩擦式変速機200においては、第二駆動輪204が回転することにより、第二駆動輪204を図6における右方に向けて押圧する図略の押圧構造が採用されている。そして、この押圧力によって第二駆動輪204の周縁部が回転子205の裏側を押圧するため、この押圧力で回転子205は、第二駆動輪204、変速輪206および第一駆動輪203に確実にだき抱えられた状態になり、第一軸201の回転が回転子205を介して摩擦力で第二軸202に伝達されることになる。

0008

そして、上記押圧力Fは、回転子205と第二駆動輪204との接点位置において回転子205に対してその軸心方向に延びる分力F1として作用するとともに、この分力F1と回転子205の有効径Dとの積であるモーメント(F1×D)が回転子205に対する変速輪206の当接位置に作用する。

0009

ところで、このモーメントにより変速輪206が回転子205から受ける力は、変速輪206の回転子205に対する当接位置が回転子205の中心に近づくに従って大きくなり、当接位置が回転子205の母線上の中立位置を越えた当りで回転子205がのように第二駆動輪204の外周部と変速輪206の内周部との間に食い込んだ状態になってしまい、変速輪206がその内径寸法を大きくする方向に歪むとともに、当接点の移動に伴って回転が変動することになる。この変動によって第一軸201に対する第二軸202の速度比に変動を来して回転が不安定になるという問題点が発生する。

0010

さらに、回転子205に対する第一駆動輪203、第二駆動輪204および変速輪206の各当接点については、これらを結ぶと三角形が形成され、各当接点に作用する接線力によって回転方向に向かうモーメントが発生するとともに回転子205の軸心が回転方向に傾斜して第一軸201と交差しなくなる。これに伴って上記三つの当接点には回転方向以外の力が作用して摩擦損失の増加を招き、回転力伝達効率の低下の原因になっていた。

0011

本発明は、上記のような問題点を解消するためになされたものであり、回転子が楔のように第一および第二駆動輪間に食い込むことがなく、これによって常に安定した状態で第一軸の回転を第二軸に伝達することが可能な摩擦式変速機を提供することを目的としている。

課題を解決するための手段

0012

請求項1記載の発明は、第一軸の軸心回りの回転入力を、第一軸回りに自転しながら公転する複数の回転子を介して摩擦力により第一軸と同心の第二軸に伝達する摩擦式変速機において、上記回転子は、母線が第一軸と平行になるように配設される円錐体と、この円錐体と同心で頂部から外方に向かって延びる円形突起とを備えて形成されていることを特徴とするものである。

0013

この発明によれば、回転子には、円錐体と同心で外方に向かって延びる円形突起が設けられているため、この円形突起を円錐体の軸心回りに回転可能に支持することにより、回転子の軸心が傾く方向に向かう力に対抗することが可能になり、軸心が傾くことによって回転子の周りに配された変速構造に対して楔が嵌まり込んでいくような作用が確実に防止され、楔効果で回転子の円滑な回転が阻害されるような不都合が回避される。

0014

請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、上記第一軸と同心で回転する第一駆動輪および第二駆動輪が設けられ、上記回転子は、上記円錐体の周縁部が第二駆動輪の周縁部と当接するとともに、上記円形突起の周面が上記第一駆動輪の周縁部に当接するように寸法設定され、上記円錐体の円錐面の母線上に内周面が当接した状態で第一軸の軸心方向に移動可能な変速輪と、上記円錐体の周縁部に当接する第一軸回りに回転可能な当接輪と、第一および第二駆動輪で回転子を押圧挟持するように力を付与するスラスト力付与手段とが設けられていることを特徴とするものである。

0015

この発明によれば、回転子は、円錐体の表面の母線位置が変速輪の内周面に当接し、これを点対称位置として円錐体の周縁部が第二駆動輪および円形突起の周面が第一駆動輪の周縁部に当接している。さらに円錐体の周縁部が当接輪に当接していることにより4点で支持されているため、被支持状態が安定するとともに、楔作用による食い込みが回避されて安定した回転を得ることができる。特に、変速輪が中立位置に近づくに連れて三角形状をつくる当接点は徐々に偏平になり、中立位置では略一直線状になるため、回転子をる方向のモーメントは発生しなくなる。

0016

そして、スラスト力付与手段により第二駆動輪が第一軸の方向に押圧されるため、この押圧によるモーメントで回転子には起される方向に向けて力が作用するが、円錐体の頂部に設けられた円形突起が第一駆動輪に当接していることにより回転子を起そうとする力が相殺され、従って、回転子が起される方向に力を受けることによる楔作用で円錐体が第二駆動輪と変速輪との間に食い込み、これによって回転子の円滑な回転が阻害されるような従来の不都合が解消される。

0017

請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、上記第一駆動輪の上記円形突起に当接する第一当接面と、上記当接輪の上記円錐体に当接する第二当接面とはそれぞれ互いに平行になるように面設定されていることを特徴とするものである。

0018

この発明によれば、回転子が第二駆動輪から受ける第一軸の方向に向かう力は、この力の方向に対して交差するとともに互いに平行な第一駆動輪の第一当接面と、同当接輪の第二当接面で受けることになるため、第一および第二当接面からは回転子を径方向に交差する方向に向けて回動させるような力が作用せず、従って、回転子が楔効果で第二駆動輪と変速輪との間に嵌り込んでいくような不都合が確実に回避される。

0019

また、第一当接面と第二当接面とを平行にすることによって、回転子は、両当接面から同一方向に向かう力を受けるため、異なる方向に向かう力を受けた場合に生じる回転子を捻じらせる方向に向かう力が生じないばかりか、変速輪は、第二駆動輪と第一および第二当接面とから適度な押圧力を付与され、これによって回転子の回転が高い伝達効率で適正に変速輪に伝達される。

発明を実施するための最良の形態

0020

図1は、本発明に係る摩擦式変速機の一実施形態を示す一部切欠き分解斜視図であり、図2は、その組立て斜視図である。また、図3図2のA−A線断面図である。なお、本明細書においては、回転中心となる回転軸そのものが第一軸20または第二軸30回りに回転することを公転といい、その他の回転を自転という。単に回転といったときは、公転および自転のいずれか一方または双方を指すものとする。

0021

なお、図3においては、第一軸20および第二軸30より上方に示した変速輪100は、その変速輪本体101が最右方に位置設定された状態、同下方に示した変速輪100は、その変速輪本体101が最左方に位置設定された状態をそれぞれ示している。

0022

図1図3に示すように、本実施形態の摩擦式変速機10は、減速機として用いられるときは入力軸として、増速機として用いられるときは出力軸としての役割を担う第一軸20と、第一軸20と逆の働きをする第二軸30と、第一軸20と同心で共回りする太陽輪太陽ローラ)40と、太陽輪40の中心周りに配されて軸心回りの回転により自転する遊星輪遊星ローラ)50と、外周面の一部が遊星輪50に当接して第一軸20回りに回転する第一駆動輪60と、第一駆動輪60の回転が摩擦力により伝達される複数の回転子70と、各回転子70を支持する回転子支持部材80と、上記第一駆動輪60との協働で回転子70を自転させるとともに公転させる第二駆動輪90と、内周面が回転子70の表面に当接しながら第一軸20の軸線方向にスライド可能な変速輪100と、変速輪100の回転を第二軸30に伝達する伝達構造110と、上記変速輪100をスライドしてその内周面と回転子70の表面との当接位置を変更する当接位置変更構造120と、上記第一駆動輪60に同心で内挿されるとともに遊星輪50を支持する後述の支持円盤53に同心で外挿されるスラストベアリング(当接輪)130とがケーシング140に装着されることによって形成されている。

0023

上記ケーシング140は、筒状を呈した有底の筒状ケーシング141と、この筒状ケーシング141の開口部を閉止する円形蓋体145とからなっている。筒状ケーシング141は、環状壁142とこの環状壁142の一方の側部を閉止する側板143とからなっている。環状壁142は、その上部が上方に向かって膨出した膨出部142aを有し、この膨出部142aに当接位置変更構造120を内装するようにしている。

0024

上記側板143の中心位置には、ベアリングBを介して第一軸20を支持する第一軸支持筒144が外方に向けて突設されている。第一軸支持筒144にはオイルシール144aが内装され、第一軸20は、このオイルシール144aを貫通した状態で第一軸支持筒144に支持されている。また、環状壁142の第一軸支持筒144と反対側の縁部には、同一幅寸法で径方向の内方に向かって突設された環状縁部142bが設けられている。

0025

上記蓋体145は、径寸法が筒状ケーシング141の径寸法より若干小さめに寸法設定された底浅の円錐筒状の蓋本体146と、この蓋本体146の開口縁部に形成されたフランジ部147と、2つのベアリングBを介して第二軸30を支持する第二軸支持筒148とからなっている。

0026

フランジ部147の内面側には、同心で筒状ケーシング141内に向けて突設された環状突起147aが設けられている。この環状突起147aは、外径寸法が上記環状縁部142bの内径寸法より僅かに小さく寸法設定され、この環状突起147aを環状縁部142b内に嵌め込んだ状態でフランジ部147を環状縁部142bにねじ止めすることにより蓋体145が筒状ケーシング141に固定されるようになっている。

0027

また、第二軸支持筒148の底板部分には第二軸30を挿通する挿通孔穿設され、この挿通孔に、環状のオイルシール148aが装着されている。第二軸30は、オイルシール148aに貫通した状態で第二軸支持筒148に内装された上記2つのベアリングBを介して支持され、図2に示すように、その先端部が外部に突出している。

0028

上記第一軸20は、筒状ケーシング141内に位置する軸本体21と、この軸本体21の図3おける右端部から同心で右方に向けて延設されて外部に突出した小径部22とからなっている。軸本体21には前後2個所キー溝が凹設され、これらのキー溝に嵌め込まれたキーを介して太陽輪40および第二駆動輪90が一体回転可能に軸本体21に装着されている。かかる軸本体21には、その端面から同心で突設された円柱突起23が設けられ、この円柱突起23が滑り軸受33を介して第二軸30の端面に穿設された嵌入孔34に嵌入されるようになっている。上記小径部22は、図略の駆動機器に連結されるものであり、この小径部22にもキー溝が凹設されている。

0029

上記第二軸30は、上記第一軸20の軸本体21より若干大径の軸本体31と、この軸本体31の図3における左端面に同心で突設された小径部32とからなっている。そして、軸本体31に2個のベアリングBを外嵌した状態で第二軸30を第二軸支持筒148に差し通すことにより、第二軸30が2個のベアリングBを介して蓋体145に支持されるようになっている。かかる第二軸30の軸本体31の端面には、円筒状の滑り軸受33を嵌入するための嵌入孔34が凹設されている。

0030

また、軸本体31の図3における右方位置にはキー溝が凹設され、このキー溝に嵌め込まれるキーを介して軸本体31に後述の伝達輪115が外嵌され、これによって伝達輪115が第二軸30と一体回転し得るようになっている。

0031

上記太陽輪40は、第一軸20の軸本体21に共回り可能に外嵌される太陽輪本体41と、この太陽輪本体41と同心で一体に形成された太陽円盤42と、この太陽円盤42の周縁部から図3における左方に向けて突設された環状輪43とを備えて構成されている。環状輪43の左面には、遊星輪50の外周面に当接する環状当接面43aが形成されている。

0032

上記遊星輪50は、外周面が上記環状輪43の当接面43aに当接することにより太陽輪40の回転が伝達され得るようにローラ状に形成された遊星輪本体51と、この遊星輪本体51の中心位置から突設されたローラ軸52とからなっている。かかる遊星輪50は、環状の支持円盤53に周方向等ピッチ複数個(本実施形態では3個)が装着されている。

0033

上記支持円盤53は、外径寸法が上記筒状ケーシング141の内径寸法より若干小さ目に寸法設定され、太陽輪40を挟んで筒状ケーシング141の内側から側板143に当接させた状態でピン57(図3)により回り止め状態で側板143に接続されている。かかる支持円盤53の周縁部には、周方向等ピッチで径方向に中心に向かって凹設された複数の遊星輪装着溝54が設けられ、この遊星輪装着溝54の溝底に穿設された装着孔にローラ軸52が螺着締結されることにより遊星輪本体51がローラ軸52回りに回転自在に遊星輪装着溝54内に装着されるようになっている。

0034

また、支持円盤53の図3における左面には、外径が遊星輪装着溝54の底部よりさらに中心寄りに設定された中径環状突起55が突設さられているとともに、この中径環状突起55の左面からは外径寸法がさらに小さい小径環状突起56が突設されている。中径環状突起55は、上記スラストベアリング130を外嵌するためのものであり、小径環状突起56は、回転子70の周縁部を支持するベアリングBを外嵌するためのものである。

0035

このような遊星輪50の構成によれば、太陽輪40が軸心回りに第一軸20と共回りすることにより、その回転力は太陽輪40の環状当接面43aを介して遊星輪本体51のローラ軸52回りの回転に伝達され、さらにこの遊星輪本体51の回転がその外周面を介して第一駆動輪60に逆方向に向かう回転として伝達されることになる。

0036

上記スラストベアリング130は、回転子70の後述する円錐体71の周縁部の図3における右方に向かう力を受けるためのものである。かかるスラストベアリング130の円錐体71周縁部に対する当接面が本発明に係る第二当接面である。この第二当接面は、第一軸20の軸心と直交するように面設定され、これによって第一および第二当接面は互いに平行になっている。

0037

上記第一駆動輪60は、3つの遊星輪本体51の外周面に当接して上記第一軸20回りに回転するとともに、この回転を回転子70に伝達して上記第二駆動輪90との協働で回転子70を駆動するものであり、図3における右側面が遊星輪本体51の外周面に当接する大径筒体61と、この大径筒体61の右側面から同心で突設された大径筒体61より小径の小径筒体62とからなっている。かかる第一駆動輪60は、第一軸20に対して同一の角速度で第一軸20と逆方向に回転する。

0038

上記小径筒体62は、図3に示すように、外径寸法が各遊星輪本体51の底面に摺接するように寸法設定されている。そして、第一駆動輪60が筒状ケーシング141内の定位置に装着された状態で3つの遊星輪本体51の底面が三方から小径筒体62の外周面に摺接することによって第一駆動輪60の心狂いが防止されるようになっている。

0039

また、大径筒体61の図3における左側面には、回転子70の後述する円錐状突起(円形突起)72に当接する環状当接突起63が設けられている。第一駆動輪60の回転は、この環状当接突起63が円錐状突起72に当接していることにより回転子70に伝達されるようになっている。かかる環状当接突起63の円錐状突起72に対する当接面で本発明に係る第一当接面が形成されている。この第一当接面は、第一軸20の軸心に対して直交するように面設定されている。

0040

そして、この第一当接面と上記第二当接面とが平行になっていることにより、回転子70は両当接面から捻られるような力を受けず、従って回転子70の軸心の延長線が第一軸20の軸心からずれるような不都合が回避される。

0041

そして、本実施形態においては、第一駆動輪60は、大径筒体61の周速度が第一軸20と一体回転する後述の第二駆動輪本体91の周速度に対して1.0倍〜3.0倍の範囲内の値に設定されている。大径筒体61の周速度がこのように設定されるのは、大径筒体61の周速度が第二駆動輪本体91の周速度より遅くなると(すなわち1.0倍より小さくなると)、回転子70の公転方向が第一軸20の回転方向と同一方向になり、これによって第一軸20が回転しているにも拘わらず第二軸30が回転しない、いわゆる中立点を回転子70の表面で得ることができなくなるからであり、3.0倍より大きくなると回転子70の公転速度が大きくなり過ぎることにより、ケーシング140内に装填されている潤滑オイルと公転している回転子70との間の抵抗が大きくなって回転力の伝達効率が低下するからである。

0042

上記回転子70は、周縁部の底面が第二駆動輪90の周縁部と当接する円錐体71と、この円錐体71と同心で外方に向かって延設された円錐状突起72と、円錐体71の底面から同心で突設された独楽軸73とを備えて構成されている。円錐体71は、外周縁部が図3に示すように側面視で円弧状に形成されている。本実施形態では、回転子70は4個が採用されている。

0043

上記円錐状突起72は、2つの円錐体が底面を互いに当接させた状態で一体化されて胴太の太鼓状に形成されている。かかる円錐状突起72は、太鼓状の基端側の第一円錐状突起72aと、先端側の第二円錐状突起72bとからなっている。そして、第二円錐状突起72bの周面が上記第一駆動輪60の環状当接突起63に当接し、第一駆動輪60の回転が環状当接突起63を介して第二円錐状突起72bに伝達され、これによって回転子70が独楽軸73回りに回転するようになっている。

0044

上記回転子支持部材80は、回転子70を独楽軸73回りに回転自在に支持するものであり、環状円盤81と、この環状円盤81の周縁部から左方に向けて径寸法が漸増するように延設された環状のラッパ筒82とからなっている。上記ラッパ筒82には、周方向に等ピッチで4つの装着孔83が穿設され、この装着孔83に摺接状態で独楽軸73が嵌挿されることによって回転子70が独楽軸73回りに回転自在に回転子支持部材80に装着されるようになっている。また、環状円盤81の中心位置には第二駆動輪90の後述する筒体92を摺接状態で嵌挿するための中心孔84が設けられている。

0045

そして、図3に示すように、ラッパ筒82の第一軸20に対する傾斜角度αは、円錐体71の摩擦円盤72に対する傾斜角度βと同一に角度設定され、これによって回転子70が回転子支持部材80に装着された状態で、円錐体71の母線が第一軸20と平行になるようにしている。

0046

上記第二駆動輪90は、その周面が円錐体71の周縁底部に当接することにより第一駆動輪60と協働して回転子70を独楽軸73回りに駆動回転させるものであり、第一軸20と軸心回りに共回りすることによる前記第一駆動輪60との回転数差によって回転子70を独楽軸73回りに回転させる役割を果たすものである。従って、第一軸20の回転数に変化がない限り回転子70は常に同一の回転数で自転しながら公転することになる。

0047

かかる第二駆動輪90は、第一軸20に共回り可能に外嵌される第二駆動輪本体91と、この第二駆動輪本体91の図3における右側から同心で突設された二段構造の筒体92とからなっている。筒体92は、その小径部分の外径寸法が上記回転子支持部材80の中心孔84の内径寸法より僅かに小さく寸法設定されているとともに、内径寸法が第一軸20の軸本体21に摺接状態で外嵌され得るように寸法設定されている。こうすることで筒体92を摺接状態で中心孔84に外嵌し得るとともに、図略のキーを軸本体21のキー溝に嵌め込むことで第二駆動輪90が第一軸20と一体回転し得るようになっている。

0048

また、第二駆動輪本体91の周縁部には、回転子70の裏面に密着状態で当接し得る当接面93が設けられ、この当接面93が回転子70の裏面に圧接されることによって第二駆動輪90の回転が確実に回転子70に伝達されるようになされている。

0049

上記変速輪100は、円錐体71の母線に対する当接位置を変えることによって第一軸20回りの回転速度を変化させて第二軸30に伝達するためのものである。かかる変速輪100は、環状の変速輪本体101と、この変速輪本体101の図3における左面から同心で左方に向けて突設された第二駆動輪本体91を収納する駆動輪収納筒102と、この駆動輪収納筒102から左方に向けて突設された内歯スプライン筒103とからなっている。

0050

上記変速輪本体101は、内径寸法が4個の回転子70の円錐体71の母線に当接するように寸法設定されている。そして、回転子70は、円錐体71の周縁底部が第二駆動輪90に当接するとともに、円錐状突起72の第二円錐状突起72bが第一駆動輪60に当接し、これらの当接によって第一軸20の回転数が一定である限り独楽軸73回りの自転および第一軸20回りの公転の回転数が一定になるようにしている。

0051

これに対し変速輪100は、回転子70に対する当接位置が後に詳述する当接位置変更構造120の操作によって変更し得るようになっている。そして、回転子70に対する変速輪100の当接位置が変化することにより回転子70の中心から当接位置までの距離、すなわち回転子70の有効径が異なることになるため、変速輪100は回転数が変化するのである。

0052

上記駆動輪収納筒102は、軸心方向の長さ寸法が回転子70の円錐体71の径寸法と略同一に寸法設定され、これによって変速輪100は、変速輪本体101が円錐体71の略中心位置に当接した位置と周縁位置に当接した位置との間で軸心方向に向けて正逆移動し得るようになっている。また、上記内歯スプライン筒103の内周面には、周方向に向けて等ピッチで凹設された軸心方向に延びる複数本スプライン溝104が設けられている。

0053

上記伝達構造110は、外径寸法が上記変速輪100の内歯スプライン筒103の内径寸法より僅かに小さい外径寸法を有する外歯スプライン筒111と、この外歯スプライン筒111と共回りする伝達輪115とからなっている。外歯スプライン筒111には、変速輪100側の側壁112の中心位置に第二軸30より径寸法が大きい中心孔112aが穿設されている。また、外歯スプライン筒111の外周面には、上記内歯スプライン筒103のスプライン溝104に対応した複数本のスプライン突条113が凸設されている。

0054

そして、スプライン突条113をスプライン溝104に嵌め込むようにして中心孔112aに第二軸30の内嵌された外歯スプライン筒111を内歯スプライン筒103に嵌挿することにより、相対回転が阻止され、かつ、軸心方向に向かう所定範囲相対移動許容された状態で外歯スプライン筒111と変速輪100とが互いに結合されるようになっている。また、外歯スプライン筒111の側壁112の裏面側には、中心孔112aの周縁部から径方向に向かって延びる所定長のV字溝114が周方向に等ピッチで複数条凹設されている。

0055

上記伝達輪115は、外径寸法が変速輪100の外歯スプライン筒111の内径寸法より若干小さい伝達輪本体116と、この伝達輪本体116から同心で図3における左右に向けて突設され、かつ、左方に突出した部分の外径寸法がベアリングBの内筒にのみ当止するように設定された突出筒体117とからなっている。

0056

伝達輪本体116には、上記外歯スプライン筒111の側壁112に設けられたV字溝114に対応するように伝達輪115側のV字溝118が凹設され、これらV字溝114,118間に鋼球Stがそれぞれ介設されている。そして、各V字溝114,118はいずれも断面形状が鋼球Stの球面に合致するようにV字状に形成されている。外歯スプライン筒111の回転は、これらV字溝114,118間に介設された鋼球Stを介して伝達輪115に伝達されることになる。

0057

そして、本実施形態においては、本発明に係るスラスト力付与手段は、外歯スプライン筒111におよび伝達輪115にそれぞれ設けられたV字溝114,118と、これらのV字溝114,118間に介設される鋼球Stとによって構成されている。

0058

従って、外歯スプライン筒111が回転すると、この回転力は、鋼球StをV字溝114,118の傾斜面に沿って乗り上げさせることになり、これによって軸方向に押圧する力(スラスト力)に分力され、外歯スプライン筒111はこのスラスト力によって右方に向かって押圧されるため、第二駆動輪90は回転子70に対してより確実に密着し、両者間の回転力に比例した摩擦力によって伝達効率が大幅に向上する。

0059

また、外歯スプライン筒111の側壁112には、図1に示すように、中心孔112aの孔心と同心で環状溝112bが凹設されているとともに、第二駆動輪本体91の上記側壁112に対する対向面にも同一径寸法で環状溝91a(図3)が凹設され、外歯スプライン筒111が変速輪100内に貫通された状態で、図3に示すように、各環状溝91a,112b間に複数個の鋼球Stが介設され、鋼球Stの各環状溝91a,112b内での転動によって外歯スプライン筒111と第二駆動輪90とがそれぞれ異なる回転数で軸心回りに円滑に回転し得るようになっている。そして、これら各環状溝91a,112bと鋼球Stとでスラストベアリングが形成されている。

0060

上記当接位置変更構造120は、筒状ケーシング141の膨出部142aの軸心方向対向壁に穿設されたロッド挿通孔142cに嵌挿される、周面に螺旋条121aの螺設された操作ロッド121と、この操作ロッド121の螺旋条121aに螺着されるとともに、変速輪本体101に摺接状態で連係されるコ字状部材122と、操作ロッド121の端部にねじ止めその他で固定される操作ハンドル123とからなっている。

0061

上記コ字状部材122は、螺旋条121aに螺着されるねじ孔122a(図3)を有しているとともに、このねじ孔122aに直交する外嵌溝122bを有している。外嵌溝122bは、溝幅寸法が変速輪本体101の外周縁部に摺接状態で嵌め込み得るように寸法設定されている。かかるコ字状部材122の外嵌溝122bが、図3に示すように、変速輪本体101の外周縁部に摺接状態で嵌め込まれることにより、当接位置変更構造120が変速輪100に連係されるようになっている。

0062

上記操作ハンドル123は、ハンドル円盤124と、このハンドル円盤124に取り付けられたハンドルレバー125とからなっている。ハンドル円盤124の中心位置には、操作ロッド121の先端が嵌入される装着孔124aが穿設され、筒状ケーシング141のロッド挿通孔142cから外部に導出された操作ロッド121の先端に装着孔124aを外嵌した状態でねじ止め等によりハンドル円盤124を操作ロッド121に固定することによって操作ハンドル123がケーシング140に装着されるようになっている。

0063

上記ハンドルレバー125は、ハンドル円盤124の上記操作ロッド121が取り付けられる面と反対側の面の縁部近傍に、盤面と直交するように突設されている。従って、ハンドルレバー125を操作ロッド121回りに正逆回動操作することによる操作ロッド121の螺旋条121aに螺合したコ字状部材122の正逆移動で縁部が外嵌溝122bに嵌まり込んでいる変速輪本体101が正逆移動してその内周面の回転子70に対する当接位置が変更され、第一軸20の回転が所定の減速比減速されて第二軸30に伝達されることになる。

0064

図4は、変速輪本体101の設定位置と回転速度との関係を説明するための説明図であり、(イ)は平面図であって回転子70の中心点Oからの変速輪本体101の変位(L)と、回転子70を基準にした変速輪本体101の回転数(N)との関係を示すグラフも合わせて記載している。また、(ロ)は変速機10の側面視の部分拡大断面図であって各部品の回転方向を矢印で示している。

0065

まず、図4の(ロ)に示すように、第一軸20が矢印で示すようにX線視で右方向(時計方向)に回転すると、この回転は太陽輪40および遊星輪50を介して増速状態で第一駆動輪60に伝達され、第一駆動輪60は第一軸20と逆方向の左回りをする。この第一駆動輪60の反時計方向への回転は、第一駆動輪60の環状当接突起63および回転子70の第二円錐状突起72bを介して回転子70にY線視で右方向に回転するように伝達される。

0066

一方、第一軸20と同一回転数で同一方向に共回りする第二駆動輪90も回転子70に当接して回転子70をY線視で右方向(時計方向)に回転させるが、回転子70に対する第一駆動輪60および第二駆動輪90の当接位置の位置関係によって本実施形態では回転子70が第一軸20回りにX線視で左回りに公転することになる。一方、回転子70はY線視で右回りに自転しているため、この自転と上記公転との兼ね合いで回転子70に当接している変速輪本体101は回転子70に対する当接位置によってX線視で左方向または右方向に回転する。

0067

そして、変速輪本体101の回転子70を基準とした時計方向に向かう回転(図4の(イ)に上向きの一点鎖線の矢印で表示)の回転数は、図4の(イ)のグラフに示すように、回転子70への当接位置によって異なったものになり、中心点O(円錐体71の頂点のこと)から遠ざかるに従って大きくなる。すなわち、「N=aL」の関係式成立する。なお、Nは回転子70を基準にした変速輪本体101の回転数であり、Lは変速輪本体101の中心点Oからの変位量である。またaは比例常数である。

0068

これに対し、先に説明したように、第一駆動輪60と第二駆動輪90との回転子70に対する当接位置の位置関係によって回転子70はX線視で第一軸20回りに反時計方向に公転しているから(図4の(イ)に点線矢印で表示)、この公転による影響を図4のグラフに書き入れると、「N=N1」の直線になる。従って、この「N=N1」の直線と、「N=aL」の直線との交点位置である中立位置L1は、回転子70の第一軸20回りの自転の右回りと公転の左回りとが互いに相殺された位置であり、従って、変速輪本体101はこの位置でケーシング140に対して実質的に回転しないのである。

0069

そして、変速輪本体101が中立位置L1から左側に移動すると、N=aLのNの値がN1の値より大きくなり、これによって回転子70の中心点O回りの時計方向に向かう回転(周速度)が回転子70の公転による第一軸20回りの反時計方向に向かう回転(周速度)に打ち勝つため、変速輪本体101は図4の(イ)に上向きの一点鎖線で示すように、X線視で右方向(時計方向)に回転する。

0070

これに対し、変速輪本体101が中立位置L1から右側に移動すると、Nの値がN1の値より小さくなるため、回転子70の公転による変速輪本体101の左回りの回転数が、回転子70の自転による変速輪本体101の右回りの回転をしのいだ状態になり、これによって変速輪本体101は、図4の(イ)に下向きの一点鎖線で示すように、左方向(反時計方向)に回転する。

0071

以上要約すれば、変速輪本体101の位置を変更することによって、その回転数および回転方向を変更することが可能になるとともに、回転数の変化は「N=aL」の直線に沿って漸減的にあるいは漸増的に行われるため、中立位置L1での安定した停止状態をも実現させることが可能になる。

0072

そして、中立位置L1については、設計段階で太陽輪40、遊星輪50および第一駆動輪60の有効径寸法を種々変化させることにより、予め任意に設定することが可能であり、変速機10の用途に応じて最適のものを得ることができる。

0073

つぎに、図4の(ロ)を基に変速機10の変速操作時に回転子70が伝達構造110から受ける力のバランスについて説明する。第一軸20の回転は、遊星輪50、第一および第二駆動輪60,90、回転子70、変速輪100、外歯スプライン筒111、鋼球Stおよび伝達輪115を介して第二軸30に伝達される。

0074

そして、このように第一軸20の回転が第二軸30に伝達された状態では、外歯スプライン筒111および伝達輪115の各V字溝114,118間に嵌め込まれている鋼球Stが各V字溝114,118の傾斜壁に乗り上げようとすることによる作用で外歯スプライン筒111が図4の右方に向かって押圧され、この押圧力は外歯スプライン筒111および第二駆動輪90間の鋼球Stを介して第二駆動輪90に伝達され、これによって回転子70の円錐体71は、第二駆動輪90から点P1において第一軸20の軸心に平行に力Fを受けることになる。

0075

この力Fは、点P1を作用点とし、円錐体71の周縁部がスラストベアリング130に当接している当接点P2を支点としたモーメントとして作用する。具体的には、力Fは、点P1から点P2に向かう分力F2と、直線P1〜P2に直交する方向に向かう分力F1に分解される。そして、直線P1〜P2間の距離をDとすると、モーメントMは、M=F1×Dとなり、回転子70は、このモーメントMの作用を受けて点P2回りに時計方向に向かおうとする。すなわち、回転子70は、点P2を回動中心として上方に向けてこじ上げられようとする。

0076

従って、図6に示すような従来の摩擦式変速機200にあっては、回転子205の底部が第二駆動輪204によってこじ上げられるのを変速輪206のみが回転子205の母線上で押えているような状態になり、これによって回転子205が楔効果で第二駆動輪204と変速輪206との隙間に嵌まり込んでいき、回転子205の円滑な回転が阻害されるという不都合が生じることになる。

0077

これに対し本発明においては、図4の(ロ)に示すように、回転子70が円錐体71と円錐状突起72とで構成され、しかも第一駆動輪60の大径筒体61の周縁部左面の環状当接突起63が第二円錐状突起72bの周面に当接しているため、この当接によって上記モーメントMによる点P2回りの回転子70のこじ上げ作用が相殺され、円錐体71の円錐面が変速輪本体101の内周面を過度に押圧するような不都合が発生せず、従って、楔効果で円錐体71が第二駆動輪90と変速輪100との間に嵌まり込んでいくような従来の不具合が確実に解消され、これによって、変速機10は、変速輪100の全可動範囲で確実に変速機能を果すことになる。

0078

さらに、環状当接突起63の当接面(第一当接面)とスラストベアリング130の当接面(第二当接面)とは、いずれも第一軸20の軸心に直交していることによって平行になっているため、回転子70は、第一および第二当接面の双方から同一方向に向かう力を受けることになる。従って、回転子70に対しては、異なる方向に向かう力を受けた場合に生じる捻じり作用が働かないばかりか、変速輪本体101の内周面は、円錐体71の円錐面を介して第二駆動輪90と、環状当接突起63およびスラストベアリング130とから適度な押圧力を付与され、回転子70の回転が高い伝達効率で適正に変速輪100に伝達される。

0079

本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、以下の内容をも包含するものである。

0080

(1)上記の実施形態においては、太陽輪40および遊星輪50としてそれぞれローラが採用され、各ローラが当接することによる摩擦力で駆動力を伝達するようにしているが、本発明は、太陽輪40および遊星輪50がローラであることに限定されるものではなく、太陽輪および遊星輪として互いに噛合する歯車を採用してもよい。但し、この場合は、第一駆動輪60の遊星輪に対向した面に歯車である遊星輪に噛合する歯を設ける必要がある。

0081

(2)上記の実施形態においては、円錐体71から延設される円形突起として円錐台状の第一円錐状突起72aおよび第二円錐状突起72bが設けられているが、本発明は、円形突起が円錐台状であることに限定されるものではなく、円柱状であってもよい。但しこの場合、相手方の第一駆動輪60の環状当接突起63は、円柱状の円形突起に当接するように円錐状の傾斜面を備えたものにする必要がある。

0082

(3)上記の実施形態においては、回転子70の円錐体71の周面に対するスラストベアリング130の当接面と、回転子70の第二円錐状突起72bに対する第一駆動輪60の環状当接突起63の当接面とがいずれも第一軸20に対して直交するように面設定されているが、本発明は、上記各当接面が第一軸20に対して直交することのみに限定されるものではなく、図5に示すように、それぞれ互いに平行になるように面設定してもよい。

0083

因みに、図5に示す例では、回転子70の軸心と第一軸20の軸心との間の角度が65°に設定され、スラストベアリング130の円錐体71に対する当接面、第一駆動輪60の環状当接突起63の円錐状突起72に対する当接面、および円錐体71の第二駆動輪90に対する当接面はいずれも回転子70を持ち上げる方向で第一軸20の軸心に対して45°に設定されている。また、各部材から回転子70に作用する法線力について矢印で示している。

0084

環状当接突起63の当接面とスラストベアリング130の当接面とを平行にすることによって、回転子70は、環状当接突起63の当接面およびスラストベアリング130の当接面の双方から同一方向に向かう力を受けるため、異なる方向に向かう力を受けた場合に生じる捻じり作用が生じないばかりか、変速輪本体101の内周面は、円錐体71の周面を介して第二駆動輪90と、環状当接突起63およびスラストベアリング130とから適度な押圧力を付与され、これによって回転子70の回転が高い伝達効率で適正に変速輪100に伝達される。

発明の効果

0085

請求項1記載の発明によれば、回転子には、円錐体と同心で外方に向かって延びる円形突起が設けられているため、この円形突起を円錐体の軸心回りに回転可能に支持することにより、回転子の軸心が傾く方向に向かう力に対抗することが可能になり、軸心が傾くことによって回転子の周りに配された変速構造に対して楔が嵌まり込んでいくような作用が確実に防止され、楔効果で回転子の円滑な回転が阻害されるような不都合を確実に防止することができる。

0086

請求項2記載の発明によれば、回転子の円錐体から延設された円形突起は、周面が上記第一駆動輪の周縁部に当接するように寸法設定されている一方、円錐体の周縁部に当接する第一軸回りに回転可能な当接輪が設けられているため、変速輪の回転が第二軸に伝達されるに際してスラスト力付与手段により第二駆動輪が第一軸の方向に押圧された状態で、この押圧によるモーメントにより回転子には起される方向に向けて力が作用するが、円錐体の頂部に設けられた円形突起が第一駆動輪に当接していることにより回転子を起そうとする力が相殺され、回転子が起される方向に力を受けることによる楔作用で円錐体が第二駆動輪と変速輪との間に食い込み、これによって回転子の円滑な回転が阻害されるような従来の不都合を解消することができ、変速輪の全可動範囲で第一軸の回転を常に適正に第二軸に伝達することができる。

0087

請求項3記載の発明によれば、第一駆動輪の円形突起に当接する第一当接面と、当接輪の円錐体に当接する第二当接面とはそれぞれ互いに平行になるように面設定されているため、回転子が第二駆動輪から受ける第一軸の延びる方向に向かう力は、この力の方向に対して交差するとともに互いに平行な第一駆動輪の第一当接面と、同当接輪の第二当接面で受けることになり、従って、第一および第二当接面からは回転子を径方向に交差する方向に向けて回動させるような力が作用せず、回転子が楔効果で第二駆動輪と変速輪との間に嵌り込んでいくような不都合を確実に回避することができる。

図面の簡単な説明

0088

図1本発明に係る摩擦式変速機の一実施形態を示す一部切欠き分解斜視図である。
図2図1に示す摩擦式変速機の組立て斜視図である。
図3図2のA−A線断面図である。
図4変速輪本体の設定位置と回転速度との関係を説明するための説明図であり、(イ)は平面図であって回転子の中心点からの変速輪本体の変位(L)と、回転子を基準にした変速輪本体の回転数(N)との関係を示すグラフも合わせて記載している。また、(ロ)は変速機の側面視の部分拡大断面図であって各部品の回転方向を矢印で示している。
図5第一駆動輪の回転子に対する当接面とスラストベアリングの回転子に対する当接面とが互いに平行でかつ第一軸に対して傾斜した例を示す断面図である。
図6従来の摩擦式変速機の一例を示す要部の断面図である。

--

0089

10変速機20 第一軸
21 軸本体 22小径部
23円柱突起30 第二軸
31 軸本体 32 小径部
33滑り軸受34嵌入孔
40太陽輪(太陽ローラ)
41 太陽輪本体
42 太陽円盤43a 環状当接面
43環状輪43a 当接面
50遊星輪(遊星ローラ)
51 遊星輪本体
52ローラ軸53支持円盤
54 遊星輪装着溝55 中径環状突起
56 小径環状突起57ピン
60 第一駆動輪61大径筒体
62小径筒体63環状当接突起
70回転子71円錐体
72円錐状突起(円形突起)
72a 第一円錐状突起 72b 第二円錐状突起
72摩擦円盤73独楽軸
80回転子支持部材81環状円盤
82ラッパ筒 83装着孔
84中心孔90 第二駆動輪
91a環状溝91 第二駆動輪本体
92筒体93 当接面
100変速輪101 変速輪本体
102 駆動輪収納筒103内歯スプライン筒
104スプライン溝110伝達構造
111外歯スプライン筒
112b 環状溝 112側壁
112a 中心孔 113スプライン突条
114,118 V字溝115伝達輪
116 伝達輪本体 117突出筒体
120 当接位置変更構造
121操作ロッド121a螺旋条
122コ字状部材122b 外嵌溝
122a ねじ孔 123操作ハンドル
124ハンドル円盤 124a 装着孔
125ハンドルレバー
130スラストベアリング(当接輪)
140ケーシング141 上記筒状ケーシング
141 筒状ケーシング 142cロッド挿通孔
142b環状縁部 142環状壁
142a膨出部 143側板
144aオイルシール144 第一軸支持筒
145蓋体146 蓋本体
147フランジ部 147a 環状突起
148a オイルシール 148 第二軸支持筒
St鋼球B ベアリング

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    【課題】増速機室内の圧力の上昇を抑えつつも、増速機に供給されるオイルの量が少なくなってしまうことを抑制すること。【解決手段】遠心圧縮機10の運転が停止している状態では、弁体63が、付勢ばね64の付勢力... 詳細

  • キヤノン株式会社の「 電子機器」が 公開されました。( 2020/03/26)

    【課題】動画撮影中でも騒音の少ない排熱性能の高い冷却装置を備えるとともに、排熱方向を制御して最適な撮影状態を得ることを可能とした電子機器を提供すること。【解決手段】回転自在に設けられた冷却ファンと、冷... 詳細

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