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課題
解決手段
概要
背景
概要
傾倒安全性と、可及的に少ない容積と、最適の重量変化補償とを備えた特に手術用顕微鏡などのための台架装置を提供する。
揺動自在な平行四辺形支持体(2)及び平衡荷重(AG)を有する台架装置において、平衡荷重(AG)は、ひき索(24)を介して、荷重(G)の重量を補償するために用いられる。平衡荷重(AG)は、台架装置のスタンド支柱(21) の領域に配されている。
目的
かくて、既知の構成に対し、本発明の課題は、傾倒安全性を示し、容積が可及的に少なく、荷重補償が最適になされるようにした、特に手術用顕微鏡のための新しい形式の台架装置を提供することにある。荷重補償とは、荷重の重量の補償を意味すると共に、この重量のあり得る変動に対する補償を意味する。
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 2件
- 牽制数
- 1件
この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
請求項1
スタンド支柱(21)と、手術用顕微鏡などの荷重(G)のための、垂直面内において揺動自在な平行四辺形支持体(2)と、所望の揺動位置において平行四辺形支持体(2)をバランスさせるための、ひき索により支持された荷重平衡力(AG)とを備えた台架装置であって、バランスを生じさせる平衡力が、ひき索装置(24、124)を介して直接又は間接に、スタンド支柱(21)からある距離において平行四辺形支持体(2)に作用すること、ひき索(24、124)は、スタンド支柱(21)に対し平行な方向へ方向変換されると共に、一定の平衡力(AGa、AGb)をもたらすための平衡装置に接続されたことを特徴とする台架装置。
請求項2
前記台架装置は、揺動自在な平行四辺形支持体(2)を支持するスタンド支柱(21)に少なくとも1つの水平アーム(29)を有し、方向変換手段(26、36、37)がスタンド支柱(21)の近傍もしくは内部へとひき索(24、124)をもたらすことを特徴とする請求項1に記載の台架装置。
請求項3
支持アームに近いひき索(24、124)のための作用点が平衡補償伝動装置(6)の伝動要素(5、8)又は伝動要素(5、8)に結合されたトランスファー要素(7、207)に固着され、該トランスファー要素がキャリッジもしくは折曲部材(207)として形成され、基体(12)に対し移動可能に固着されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の台架装置。
請求項4
平衡力として平衡荷重(AG)が用意され、該平衡荷重(AG)は、スタンド支柱(21)の内部もしくはその近傍に垂直方向に可動に配され、平衡荷重(AGa、AGb)は、スタンド支柱(21)に沿って滑動もしくは転動支承され、摩擦を少なくしか受けないか又は全く受けないことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の台架装置。
請求項5
技術分野
0002
手術用の顕微鏡は、ある所定の領域に亘って容易に揺動自在とされ、それにより設定された位置を保たねばならない。その理由のため、顕微鏡及びその補助装置の重量を補償する平衡荷重が、一群の既知の台架装置に設けられている。多くの場合平衡荷重は、天秤状に形成される。これらの天秤装置の特別の構造形態は、本出願人のOHS(商標登録)型の構造であり、ここで、平衡荷重は、平行四辺形の支持体を介して、台架装置の全体の重心が台架装置の構造の下部域にあるように、上方から下方に移動する。OHS(商標登録)の基本的な構造は、国際(特許)出願公開WO97/13997(1997)に象徴的に示されている。
0003
顕微鏡を使い易くし、また操作空間内においてそれを動かし易くするための、また顕微鏡に補助装置を付加したり取外したりすることによる重量変更の補償をそれに関して行うための荷重平衡補償は、本出願人の既知の台架装置”MS1”においては、平行四辺形支持体を対角方向に支持する圧縮ばねを介して行われる。この平行四辺形支持体は、MS1の構造にあっては、顕微鏡のための揺動自在な水平支持体として用いられる。この特別の平行四辺形支持体の構造は、本出願人により、欧州特許出願EP433426A1(WO91/472)により公開された。国際特許出願公開WO99/1693(1999)には、MS1の構造が象徴的に示されている。
0004
台架装置の改善された傾倒挙動を得るために、MS1は平衡荷重として、スイッチケーシングを使用する。このスイッチケーシングには、顕微鏡のための電流供給部だけでなく、そのための照明装置、制御装置並びに必要に応じて付加荷重が収納されている。スイッチケーシングは、台架装置のスタンド支柱に強く取付けてあり台架装置の傾倒モーメントを改善するために、スタンド支柱の垂直軸線の回りの重量を平衡させるためにのみ用いられる。
0005
DE19742050A1(1999)においては、定期刊行物Feingeraetetechnik 14巻、 H.Hilpert 2/1965号、論文"Gewichtsausgleich an feinmechanischen Geraeten"が引照されている。
0006
1965年刊行のこの論文には、精密装置技術の種々の荷重補償手段が解説されているが、これらの手段には、第一義的に、釣合錘によってではなく、ばね補償手段(例えばMS1の平行四辺形支持体構造参照)が用いられている。
0007
DD221571A1(1985)はひき索を介してレバーアームに結合されたばねによって荷重を補償するようにしたレバーアーム付き台架装置の構造を示している。レバーアームの先端には、手術用の顕微鏡が取付けられている。この手術用の顕微鏡の基本的な調整は、ねじスピンドルを介してなされ、ケーシングに固定したばねの先端は、このねじスピンドルによって、レバーアームから引離されたり、レバーアームに近付けられたりするように案内される。顕微鏡の重量の変動は、レバーアームに対するひき索の作用点(ないし係着点)をスピンドルを介して変位させることによって補償する。
0008
台架装置の全ての可能な角度位置において均等な対抗(カウンター)モーメントを実現するには、レバーアームの回動軸線顕微鏡の重心との間の連絡線上に、ひき索の前記作用点が存在することが必要とされる。これは、ウォームの形状の変位装置を操作することによって実現される。このウォームは、レバーアームに結合されたディスクをレバーアームの回動軸線の回りに回動させる。
0009
従って、この構成によれば、所望の効果を実現するために、変位手段の充足が必要とされる。これとは別に、この既知の構成の構造は、台架装置の全体の重心を高い位置にする。その理由は、荷重補償全体が顕微鏡の上方に存在することによる。
0010
DE3739080A1(1989)は、台架装置の荷重補償のためにばねと組合せてひき索を用いるようにした、台架装置のための荷重補償用ばね装置を開示している。この場合は、操作者はハンドルを使用して変位運動の力を支持する。もちろん、手術用顕微鏡において望まれるような、荷重を「浮遊状態」に保つことはここでは行われていない。
0011
これに対し、US5397323(1992)においては、平行四辺形支持体を備えた手術用ロボットが表象される。ここでは、特に、機器の重量はひき索を介して、釣合錘により荷重補償された形で保持される。ここではひき索は閉ざされた構造になっている。即ち、各1つのひき索は、上部室内ロール及び下部案内ロールを介して、機器から釣合錘まで導かれる(US-323、図3)。
0012
この構造の前提条件は、機器のすぐ近傍に釣合錘が取付けられることである。そのため、手術用顕微鏡についてこの構成を使用することは非常に困難であると考えられる。
0013
DE19742050A1(1999)に開示された、揺動自在な平行四辺形支持体を備えた台架装置は、補助的に設けられた釣合錘(前記の天秤の原理に従って作動する)を特に小形に形成されうるようにひき索及び荷重補償ばねによって荷重補償を行う。この構成によれば、ひき索は、最終的な操向半径によって規定される荷重補償の欠陥を揺動アームの広い揺動範囲に亘って最小とするように、ある特別の形態で案内される。しかし、荷重補償欠陥は、この手段によっても最小化されないので、所定の揺動位置で、従来と同様に、所望のバランスを得るために平衡荷重を移動させることが必要となる。
0014
US6070839(2000)はMS1について前述した対角方向の平行四辺形支持アームの平衡を得るための純粋な荷重補償を可能とする、揺動アーム及びひき索—ばね構造を備えた別の構成を開示している。しかし、傾動安全性を改善する上に寄与する補償モーメントは実現されない。重量が変動すると、前記DD221571の構成と対比されるひき索の枢支点がスピンドルを介して移動する。
0015
US5253832(1999)は荷重補償のための引張りばねを中央部に配した台架装置を開示している。この構成は、変動する負荷の簡単な変位可能性を提供する。引張りばね自身が多少の自重をもつため、荷重補償は示しても垂直軸線回りのバランス(傾動安全性)には役立たない。
0016
EP700665A1(1995)には、基本的に、レバー及びレバーアングルアームを介して荷重補償を実現するようにした台架装置の構成が示されている。この公開された特許出願の13、14図には、運動軸の回りの顕微鏡本体の運動を揺動アームに伝達するための運動伝達機構が開示されている。この非常に複雑な、多くの部材から成る複雑な構成によれば荷重補償はたしかに得られるが、多数のレバー及びアングルレバーが必要とされる。それは、荷重補償部が結局はこれらのレバーに取付けられるためである。
発明が解決しようとする課題
0017
本出願人のMS1並びに他の既知の台架装置の種々の構成及び前述した台架装置においては、荷重を直接に支受する主支持体は、台架装置のスタンド支柱に直接に取付けられているのではなく、この支柱から延長させた補助の水平アームに取付けられる。この構成によれば、傾倒安全性は、何よりもまず、対応して大きく重くする必要のある台架装置の支脚の対応した構造により達成される。荷重補償は、前述したように、ばねによって、平行四辺形支持体に、対角方向に、または他の手段によって達成される。傾倒安全性の改善と、傾倒防止のための確実な補償とは前述したように、必要により、スイッチケーシングの特別の構成によっても可能となる。しかしながら、これらの従来技術においては、尚下記の未解決の課題が存する。
0018
かくて、既知の構成に対し、本発明の課題は、傾倒安全性を示し、容積が可及的に少なく、荷重補償が最適になされるようにした、特に手術用顕微鏡のための新しい形式の台架装置を提供することにある。荷重補償とは、荷重の重量の補償を意味すると共に、この重量のあり得る変動に対する補償を意味する。
0019
この課題は、本発明の第1の視点によれば請求考1の特徴によって解決される。即ち、スタンド支柱と、手術用顕微鏡などの荷重(G)のための、垂直面内において揺動自在な平行四辺形支持体と、所望の揺動位置において平行四辺形支持体をバランスさせるための、ひき索により支持された荷重平衡力(AG)とを備えた台架装置であって、バランスを生じさせる平衡力が、ひき索装置を介して直接又は間接に、スタンド支柱からある距離において平行四辺形支持体に作用すること、ひき索は、スタンド支柱に対し平行な方向へ方向変換されると共に、一定の平衡力をもたらすための装置に接続されたことを特徴とする。本発明の第2〜第5の視点として、各請求項2〜5に記載の特徴が、挙げられる。
0020
本発明の第2の視点によれば、前記台架装置は、揺動自在な平行四辺形支持体を支持するスタンド支柱に少なくとも1つの水平アームを有し、方向変換手段がスタンド支柱の近傍もしくは内部へとひき索をもたらすことを特徴とする。
0021
本発明の第3の視点によれば、支持アームに近いひき索のための作用点が平衡補償伝動装置の伝動要素又は伝動要素に結合されたトランスファー要素に固着され、該トランスファー要素がキャリッジもしくは折曲部材として形成され、基体に対し移動可能に固着されたことを特徴とする。
0022
本発明の第4の視点によれば、平衡力として平衡荷重(AG)が用意され、該平衡荷重(AG)は、スタンド支柱の内部もしくはその近傍に垂直方向に可動に配され、平衡荷重(AGa、AGb)は、スタンド支柱に沿って滑動もしくは転動支承され、摩擦を少なくしか受けないか又は全く受けないことを特徴とする。
0023
本発明の第5の視点によれば、平行四辺形支持体の少なくとも1つの個所に、荷重の変動を検知するための測定装置が配され、該測定装置が少なくとも1つの電動駆動部を介して平衡補償伝動装置の設定を制御することを特徴とする。
発明を実施するための最良の形態
0024
概略すると、ひき索及び少なくとも1つの案内ロールを介して一定の平衡力、例えば荷重平衡のための錘を使用し、この錘が、柱の近傍に、例えばスタンド支柱と同心的に荷重の反対側に、又は好ましくはスタンド支柱の内部に取付けられることによって所望の平衡力を実現することができる。
0025
ここで、台架装置全体の重心は非常に低い位置にスタンド支柱又は台架装置の支脚の方向におかれるため、この点だけでも、傾倒挙動は改善される。
0026
本発明によるひき索と、少なくとも1つの案内ロールとによって、平衡荷重を、どんな所望の位置にも取付けることができ、即ちひき索を、いろいろの構造の支持アーム(水平アーム)又は支持アーム部分を介して案内(導くことが)でき、場所的な必要が少なくて済むと共に、ひき索上に特別の補助の錘を取付ける必要はない。ひき索はロープ、ワイヤ、ケーブル、ザイル、ベルト等とも称されるものを含むが、本発明の性質上、特に材質や性状は制限されない。
0027
荷重を取付けうる水平アームを支持するリングにスタンド支柱内の平衡荷重をスタンド支柱の回りにおいて連結するために、合成樹脂の帯状物を、案内ロールの上方に備えている、床式の台架装置は、以前から知られている(標準型ないし汎用型)。この構成は、揺動自在な支持体において、また水平面内において(スタンド支柱の回り及び別の軸線の回りに)揺動自在とした支持体において、荷重の平衡を許容するものではない。平衡荷重又は帯状体は、揺動アームに直接に作用するものではないので、スタンド支柱又はスタンド支柱への支持アームの枢着点は、傾倒について強く負荷される(スタンド支柱に対するアームの回転モーメント)。特に、既知の構造においては、荷重の重量が変動すると重量の付加もしくは除去によって平衡荷重を変えることが必要となる。これを行わない場合、ドリフトを防止するために、スタンド支柱にリングを固定しなければならない。そのため、この既知の構成においては、自動的にバランス補償を行うことは全体として不可能になる。
0028
本発明の好ましい構成は、同日付で出願された日本特許出願(整理番号P7083EE)(整理番号P7085EE)、及び(整理番号P7071EE)[対応ドイツ実用新案出願DE20019106、DE20019107及びDE20019109]との関連において明らかにされる。これらの特許出願(ないしドイツ実用新案出願)は、本願の開示の範囲に含まれると解釈すべきものである。即ち、これらの特許出願の記載内容は、ことにそれらへの引用をもって本書に繰込まれたものとみなす。これらの特許出願に示される平衡補償伝動装置、ひき索保安(安全)装置及び荷重変動測定装置の詳細は、これらの特許出願から、本願の教示と組合せる目的のために直接導出することができる。
0029
しかし本発明は、対応する平衡補償伝動装置の構成には限定されない。本発明の教示の知見を得た当業者には本発明の実施の態様の原理を全体として必要とする多くの構成が明らかとなるであろう。
0030
本発明の別の構成によれば、ひき索が回転について無結合とされていること(回転可能に係合されること)、即ち、支持アームが水平面内で揺動した際にひき索がよじり負荷されないこと、ないしは、可能なよじり負荷が回転可能係止点で解消されること、が望ましい。別の方法として、又は付加的に、よじり負荷に対して寛容な構成のひき索も使用することができる。これらのひき索は、一例として左右捻り合わせ(編上げ)構成のひき索又はその組合せとすることができる。
0031
本発明の特別の実施の形態によれば、平衡荷重は、滑車などプーリー式のひき索に吊下させることにより、力の倍増比(伝動比Uebersetzung)を高くし、平衡荷重の重量をある高い値に選定することができ、それにより、重心位置が特に低いことによって台架装置の直立耐性を改善できる。
0033
滑車ひき索とは別に、本発明によれば、ひき索を中断させ、その中断点で、大径のロールに作用させ、別のひき索の他端を、大径ロールに強く連結(ないし固着)した小径のロールに作用させることにより、平衡荷重の力の増倍又は低減が生ずるようにして、ロール伝動装置の伝動形態を任意に変更するようにしてもよい。ロールの他に同様ののレバー式伝動装置を使用してもよい。
0034
本発明の別の構成によれば、荷重用の支持アームとして天秤形の構造が用いられる。この構造によれば、荷重の反対側にガイドが形成され、このガイドに沿ってひき索の作用点(シュー)が滑動しうるようにする。ひき索の他端は、平衡荷重に連結してあり、この平衡荷重はスタンド支柱の領域に、高さについて自由に浮遊(ないし揺動)しうるように取付けられている。
0035
本発明の好ましい簡単な構成によれば、平衡アームに可動に支承されたロールが設けられ、このロールは、ひき索が作用する移動不可能な折曲(ないし湾曲)部材に突当っている。この構成によれば、支持アームが揺動した際に、折曲部材へのロールの作用点の比例変化が、各々の角度位置において相互に対し作用するモーメントが相互に対し同じ比率をもつように、自動的に適合される。
0036
例えばM1のように補助の水平アームを使用した場合、すぐれた荷重補償及び改善された耐傾倒安全性を示し、汎用可能であり、2つの垂直軸線回りに揺動可能な台架装置が得られる。しかし従来の技術に従った標準により傾動ユニットを負荷すると、支持アーム及び/又は水平アームの荷重を相当に減少させることが、本発明において可能となる。
0037
以下に、本発明の好ましい実施の形態について略述する。スピンドル変位の少なくとも1つは、電動式、電磁式、液圧式及び/又は空圧式により駆動されうる。駆動部は、前記アームをブロックするための制動部を備えること。少なくとも1つのスピンドル変位がコンピューター制御されること。台架装置スタンド支柱に補助の荷重平衡補償機能を備えた装置ケースが配されたこと。水平アームが配され、この水平アームが水平面内においてスタンド支柱にそれ自身揺動自在であり、平行四辺形支持体が水平面内において旋回自在に支承されたこと。ひき索が少なくとも1回中断されうる。中断点に回動自在継手が配されること。ひき索としてよじりに寛容性を示すものを用いること。ひき索には増倍もしくは減倍伝動装置により介在すること。増倍もしくは減倍装置が互いに回転不能に結合された少なくとも2つの滑車(ないしプーリー)から成り、これらの滑車は互いに異なった径を有するものとする。ひき索がシューに固着され、シューが、平行四辺形支持体に周りに結合された平衡アームに摺動自在に配されたこと。シューがスピンドルを介して平衡アームに沿って位置が変位されうること。少なくとも1つの案内ロールがスピンドルを介して、ひき索の必要に応じ変位可能な作用点に対する相対位置が可変されること。平衡補償伝動装置と案内ロールとの間にキャリッジが配され、キャリッジは、共通のベースに対して変位可能に支承され、ひき索と平衡補償伝動装置平行四辺形との間に力を伝達する働きをすること。平衡荷重(AG)が少なくとも2つの部分荷重から形成されること。ひき索に少なくとも2つの平衡ロープが配され、これらの巻回方向が互いに逆であること。伝動要素がスピンドルを介して折曲部材に対する相対位置を可変としたこと。平衡力として平衡荷重(AG)が配され、この平衡荷重(AG)が滑車式の伝動装置に吊下されたこと。
0038
次に図面に示した本発明の実施の形態について一層詳細に説明する。図1は、支持アーム2aの取付け点の垂直軸線の回りのバランス(天秤)の原理に従った考えられる荷重平衡手段の一例を表わしている。しかしこの手段は台架装置の傾倒安全性を差し当って改善しうるものではない。それは、Gも作用する垂直支柱(スタンド支柱)21の同じ側に付加荷重AG(必要に応じて取付けられる)が支持アーム2gがあるためにまず作用するからである。(有効距離kに亘る矢印の方向の傾倒モーメント)。平衡アーム22を対応して長目とし、スタンド支柱21の軸をこえて延在させて平衡アーム22への荷重AGの作用点を制限した場合にのみ、前記の荷重平衡装置によって、傾倒安全性も改善されるであろう。しかしその場合には、全体の構造の容積が明白に増大し、不利となる。該作用点の制限を解除すると、時に傾倒を生ずる。その他に、従来の台架装置の主支持アームでは、支持アーム2aは、高さ方向だけでなく、横方向にも、その取付け点の回りに揺動するので、その場合には、天秤式平衡システムを長目にしても、全体の荷重がスタンド支柱21の一側に載置されることによって傾倒の危険性を更に大きくするような、図の紙面から外方に(例えば手前に)約90°揺動した支持アームの位置(紙面に垂直に変位)が成立しうる。これは、実際に行われているように、十分に大きく又は重い台架装置の支脚台20によって補償されなければならない。
0039
図2に示した図1の構成の変形によれば、平行四辺形支持体2bの枢着点は、台架装置のスタンド支柱21にある。この場合には、平衡荷重AGが垂直軸線1の左側にあるため、傾倒挙動は改善される。図からわかるように、この構成によれば、操作者のための十分な場所のゆとりが円の内側において得られない。平行四辺形支持体2bは、図1の構成では占有されてなかったスペースに入りこんでいる。そのため、手術台(OT)(概略的に示す)において使用者が作業する場合の邪魔になる。
0041
図4に示した本発明による台架装置の基本的な構成は、垂直方向に自由に可動な平衡荷重AGaの形の補償荷重が形成された限りにおいて、前記の構成と相違している。この平衡荷重AGaの枢着点は、支持アーム2cの延長部分を形成する水平平衡アーム22aに取付けられている。ひき索24を係着(固定)したシュー23は、補償アームに沿って、スピンドル25を介して渦動自在(螺旋回動可能)とされている。シュー23が更に左方に押動されると、平衡荷重AGaの効果(モーメント)及び荷重Gの値は、更に増大することがある。ひき索24は、理論的には、シュー23と補償荷重との直接の結合を形成することができよう。しかし、そのような直接の結合が成立すると、ひき索24の位置の傾きによって、有効補償荷重の余弦誤差が、支持アーム2cの揺動時に成立する。
0042
しかし、図示した改良された実施の形態によれば、スタンド支柱21に対して強く回動点が固定されている案内ロール26に対してひき索24が作用する。そのため、ひき索24のひき索が平衡荷重AGaの領域及びその先の領域においてスタンド支柱21に対する平行位置から離脱しなくなる。しかしひき索24上部は、案内ロール26の上方の領域において、シュー23に従動するので、そこでスタンド支柱21に対してひき索が傾斜位置となることがある。
0043
図5は、伝動の役目もするこの案内ロール26の変形例を示している。この変形例では、ひき索24は、2つの部分に区画されている。ひき索24の上部24aは、ロール26aに結合されていると共に、シュー23に結合されている。シュー23は、スタンド支柱21により保持された平衡アーム22a上を滑る。小径のロール26bは、大径のロール26aに強く連結されている。これには、下方ひき索24bが固定されるか又は巻着されており、下方ひき索24bは、平衡荷重AGaに結合されている。そのため、平衡アーム22に沿ってシュー23が移動すると、案内ロール26aが回動されると共に、案内ロール26bが回動軸線27の回りに回動する。
0044
特に案内ロール26bの回動軸線27からのひき索24bの径方向の距離は、案内ロール26aの回動軸線27までのひき索24aの径方向の距離よりも小さいため、減倍が生じる。即ち、平衡荷重AGaは、ひき索24aがひき索24bに直結されていた場合に比べて、相当に大きくなりうる。平衡荷重AGを小さくする必要がある場合には、ロール26a、26bを交換することによって、増倍が得られ、この場合には、前記の場合に比べて大きな平衡作用が、わずかな平衡荷重AGによって生ずる。
0045
図4、5図において平衡荷重AGaは、象徴的にスタンド支柱21の回りにリング状に配置されている。しかし、本発明による特別の解決法によれば、平衡荷重は、スタンド支柱21の内側いか又はその軸線1の回りの荷重Gと向いあうその一側のみに配されている。
0046
図6に、平衡アーム22のない構成を示す。この構成によれば、−特願2001−346367(整理番号P7083EE、対応ドイツ実案出願DE20019106)の場合と同様に−平行四辺形支持体2に剛に連結されたアーム3が、平衡作用を行う。このアーム3と平行に、アーム4aが配設してある。アーム4aは、スピンドル(本発明において、一般にスクリュースピンドルを「スピンドル」と略称する)19aを備えている。アーム3、4aに枢着された連結アーム5aは、スピンドル19aによって高さ位置が変えられる。連結アーム5aに連結されたひき索24cは、案内ロール26cの回りに案内され、他端に平衡荷重AGbを支持している。ロール26cは、必要ならば、図3aの構成に対応して、やはり2部分から成る構成とし、減倍−増倍機能を具備したものとすることができる。
0047
図6の構成の変形とみることができる図7の構成においては、平衡補償伝動装置(ないしバランシング補正機構Tariergetriebe)として作動する平行四辺形6aが備えられていると共に、図6による簡単な支持部28の代わりに、案内ロール26cのために、スピンドル制御される支持部28bが備えられている。この支持部28bは、案内ロール26cの位置を、連結アーム5aと平行の方向にも変え得るように構成されている。これにより機械回りのコスト及び構造部材回りのコストは増大するが、全体の装置の平衡挙動はもちろん改善される。
0048
図8は、前述したドイツ実案出願DE20019106号の構成に対応している。このドイツ実案出願の荷重平衡ユニット18の構成と相違して、この実施の形態では、対応するユニットは、ひき索24c、案内ロール26c及び平衡荷重AGbから構成されている。スピンドル19aが変位すると、連結アーム5aがキャリッジ(摺動体ないしスライダ)7の側板上において高さ方向に移動する。キャリッジ7は、基体12に対して側方向に移動することができる。キャリッジ7に連結されたひき索24cを介して、一定の平衡力FAがキャリッジに従って連結アーム5aに加えられる。連結アーム5aは、荷重Gについて重量の変動のための対応する変倍を、基体12への距離(h)のみによって生ずるようになっている。
0049
ドイツ実案出願DE20019106号において既に述べたように、Gは、揺動自在な平行四辺形支持体2の先端によって保持された荷重ないし手術用の顕微鏡を示している。平行四辺形支持体2の上部アームは、アーム3に剛に固着してあり、このアームは、別の平行アーム4及び連結アーム(コネクティングアーム)5によって別の平行四辺形6aに連結されている。
0050
平行四辺形支持体2の上部アームは、別の平行アーム4及び連結アーム5を介して別の平行四辺形6aに連結されたアーム3に強く連結されている。この平行四辺形6aは、連結アーム5aが高さ方向に変位自在となっていることにより、平行四辺形6aの幾何学的形状がスピンドル19aを介して変倍されるようにした、平衡補償伝動装置(Tariergetriebe)を形成している。平行四辺形支持体2が上方又は下方に揺動(角度変位)すると、平行四辺形6aが、対応して左方又は右方に揺動する。
0051
破線hmaxは、最大のてこ比が成立する、即ちGが最大の荷重を受入れることのできる連結アーム5aの最外方の位置を表わしている。DE20019106号の図4からは、この揺動過程において、平行四辺形6aの幾何学的形状がどのように変動し、それにより平衡力においてのどんな自動補償効果(余弦補償)が生ずるかを特に読み取ることができる。
0052
式 M(G)=M(F)、又はl1×G=h1×F、又はl2×G=h2×F(式においてM(G)は荷重のモーメント、M(F)は対抗力のモーメントを示す。)において、
l2=l1×cosα、h2=h1×cosα、
ID=000003HE=010 WI=035 LX=0425 LY=1250
である。
0053
従って、本発明によれば、Gの荷重が変動した場合、連結アーム5aをアーム3に沿って平行移動させて、hmin/maxを対応して変化させればよく、それにより一定の平衡力FAにおいて、荷重変動の補償が達成される。
0054
図6〜8において、平衡荷重AGbは自由に垂下されるように図示されている。実際にはこの荷重AGbは、言うまでもなく、かごの中に入れられるか、案内ロッドに取付けられるか、又は、台架装置のスタンド支柱に、図9、10に示すように取付けられるものである。
0055
図9による構成は、垂直軸線及び水平軸線の回りに揺動自在に平行四辺形支持体2を支持する補助の水平アーム29を備えている点で、図4〜8による構成と基本的に相違している。水平アーム29と平行四辺形支持体2との間には、異別の形式の平衡補償伝動装置が設けられている。支持ロール30は、スピンドルを介して、平衡アーム22bに沿って変位させることができる。その場合、ロール30がナット上に着座されるか、又は、シュー上に支承され、このシューがロッド(平行四辺形支持体(アーム)2の上部アームの延長部分)上において平行ねじ軸を介して長手方向に変位可能とされるかは重要事ではない。
0056
折曲部材207は、ロール30上に載置されていると共に、ハウジングに固定された平衡補償伝動装置の平行案内部33中において案内される。折曲部材207はまた、ひき索24dにも連結されている。スピンドル31によって支持ロール30がスピンドルの長手方向に変位されると平衡荷重が、ひき索24dを介して平衡アーム22bに可変に作用する結果となる。ひき索24は個所34にて相互回動可能に連結されており、平行四辺形支持体2がそれにより水平面内において軸受35の回りに旋回(揺動)されうるようになっている。
0057
略水平方向のアーム(図示では水平面からわずか傾斜したアーム)2gに沿って2個の別の案内ロール36、37が配されている。これらの案内ロール36、37はひき索24dをスタンド支柱21bの内部に引き込む。スタンド支柱21bの内部には平衡荷重AGbがあり、この平衡荷重AGbは有利には、回り軸受34を介して回動結合されている。平衡荷重AGbは、有利には、搬送上の理由と郊外での取付けを容易にする目的とのために、少なくとも2つの部分から成るようにする。
0058
明らかなように、この構成は、最小の場所しか必要としない。更に比較的重量のある平衡荷重AGbは、スタンド支柱21bの垂直軸線1の回りに対称的に分布され、好ましくは、全体の重心を支脚20の方向に下行させる。
0059
また、図9の構成は特願2001−346367(整理番号P7083、対応ドイツ実案DE20019106)の請求項1〜5の保護範囲に含まれる。図9の種々の符号は、次のような対応関係を有する。平衡アーム22bは、図8のアーム3にほぼ対応している。
0060
スピンドル31は、図8の19aとほぼ同様の機能を示す。折曲部材207は、キャリッジ7又はその側板307(図8)と同等の機能を有している。平衡アーム22bの有効長さhmax−hminは図8のアームの長さhmax−hminに対応している。両方の構成において、余弦修正は、ガイド308a(図8)ないし308b(図9)により規制されて確実に行われる。
0061
図10の構成は、図9の構成を簡略化したものであり、ロール30も折曲部材207も備えていない。その代わりに、シュー23へのひき索24dの固着点は、スピンドル31を介して平衡アーム22bに沿って可動とされている。必要ならば、ひき索24dの増/減倍を実現させるために、図5に示した構成に対応した伝動装置ロールとして構成してもよい。
0062
hminとhmaxとの設定の間に、シュー23へのひき索の作用方向について不同の作用が生ずるので、十分な余弦補償は得られない。そのため、時には、平行四辺形支持体2の旋回(揺動)位置にもよるが、平衡荷重AGbによる可変の補償作用が生ずることがあるため、操作者はアンバランスを検知することがある。そのため、この構成は最適ではない。しかしこのような本発明による構成は、対角ばね支持による構成に比べ、同一の傾倒安全性において、より大きな張出し作動行程をもつように構成することができる。
0063
また、この構成は、特に廉価に製造することができる。
0064
図11には、簡単な滑車式のけん引装置を備えたひき索が図示されている。このひき索は、ロール36、37の間に可動に位置された滑車ロール55を備えている。ひき索124a〜124cは、滑車ロール55の図9に巻かれると共に、ハウジングに固着224されている。そのため、この構成においては、2:1の増倍が生ずる。本発明によれば、他の増倍比も可能である。当業者ならば、リフト装置のための同様の滑車式けん引装置を用いることができよう。
0065
図12にはひき索24a、24b、24cからの3本のひき索を受け入れるための3個の平行な案内溝55a、55b、55cを備えた滑車式のけん引装置52の滑車ロール55が詳示されている。滑車ロール55は、ロール状のフレーム85を有し、ロールグリップフレームには保持ひき索124a、124b、124cがそれぞれ結合されている。これらの保持ひき索124a〜124cは、折曲部材207(図9)又はシュー23(図10)に引張り力を伝達する。
0066
図13に、揺動・旋回ビーム79の荷重Gとしての顕微鏡を備えた、本発明による構成の台架装置の他の一実施例を示す。ビーム2bは、(略)水平アーム29の支承点119に揺動・旋回自在に支承され、水平アーム29はスタンド支柱21に支承されている。グリップフレーム88は、搬送ガイドとして用いられ、装置ケース89はMS1の構成に対応して、制御装置、給電、照明その他を受け入れると共に補助的な傾倒安全改善装置のために用いられる。
0067
本発明によれば、常に平衡荷重が問題にされる。本発明の知見を得た当業者は、平衡荷重の代りに他の平衡力生成処置、例えば引張りばねその他を、本発明の範囲から逸脱することなく備えることができよう。その場合、引張りばねその他が一定の平衡力を生成させることに留意すべきである。本発明はこの点でもUS5253832号による公知技術と本質的に相違している。特願2001-346367(整理番号P7083EE、対応ドイツ実案DE20019106)による本発明の新しい発明的な構成は、このようなばねによる力補償荷重された解決策を示している。
0068
請求項において、支持体とは、個別の支持アームだけでなく、平行四辺形支持体又は同種の構造を表わすものと解すべきである。
発明の効果
0069
本発明の基本構成(請求項1)により、優れた傾倒安全性を有すると共に、可及的に小さな占有容積をもち、負荷荷重の重量の変動に対する平衡補償が最適になしうる、台架装置が得られる。本発明の各従属請求項によれば、夫々、簡単な構成で低い重心の台架装置が得られる。さらに、操作者の操作上の自由度を制限せず、操作安全性にも優れた台架装置が得られ、特に手術用顕微鏡その他の精密装置などの支持に最適である。加うるに本発明の基本原理は様々な展開形態を許容することは、実施の形態及び実施例に詳述したとおりである。
図面の簡単な説明
0070
図1図1は、天秤原理による平衡荷重及び少なくとも2つの垂直軸線を備えた理論構造を図式的に示す参考図である。(但しこれは、傾倒安全度が低すぎることから本発明では採用しないであろう。)
図2図2は、平行四辺形支持体をスタンド支柱に直接固定した、図1の構成の変形例を示す参考図である。(これも作業スペースを過度に制限することから、本発明では採用しないであろう。)
図3図3は、図1、2による構成を作業位置において示す上面図である。
図4図4は、天秤原理による本発明の構成を示す。
図5図5は、天秤原理による本発明の構成を示す。
図6図6は余弦補償は用いずに、平衡補償伝動装置を備えた本発明による構成の変形を示す。
図7図7は余弦補償は用いずに、平衡補償伝動装置を備えた本発明による構成の変形を示す。
図8図8は、余弦補償を備えた本発明による構成の変形を示す。
図9図9は、余弦補償を用いた水平アームによる平衡補償伝動装置の変形の構成を示す。
図10図10は、余弦補償を用いない図9の構成の変形を示す。
図11図11はひき索内の複式滑車を象徴的に示す。
図12図12は、複式滑車の上部を示す斜視図である。
図13図13は、手術用顕微鏡を荷重とした台架装置の構成の一例示す。各図は、統一的に記述され、同じ記号は同一の部材を示すが、記号に後置されたインデックスが異なる場合、機能ないし作用は同一の、わずかだけ異なった部材を示すものとする。