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課題

解決手段

複数の連続した分解反応器(1)内において酸触媒存在下でのクメンヒドロペルオキシド(CHP)の分解反応を行い、その際、上記分解反応器に比べて小さいサイズを有するプラグ流れ型反応器(5)内に最後の分解反応器からの流出液の一部を導入し、上記プラグ流れ型反応器(5)の入口温度出口温度との差(ΔT)を4〜16℃の範囲内に収める。次いで、プラグ流れ型反応器(7)内においてDCPの分解を酸触媒存在下80〜110℃の温度で実施する。

概要

背景

フェノールは幾つかの方法によって商業的に製造されている。とは言え、基本的な製造方法の1つは、クメンクメンヒドロペルオキシド(CHP)に空気酸化し、次いで酸触媒の存在下でこのCHPをフェノール及びアセトンに分解するというものである。CHPの分解は高度の発熱反応であって、この反応は連続した攪拌型反応器又は逆混合型反応器内において商業的な規模で実施されるのが普通である。一般に、かかる反応器内に存在する未反応のCHPはいかなる時点においてもほんの僅かであって、反応媒質は主としてCHPの分解生成物(すなわち、フェノール及びアセトン)、供給液中に含まれる溶媒(たとえば、クメン)、並びにCHPと共に反応器に添加されるその他の物質から成っている。分解反応器への供給液中には、未反応のクメン及びCHPと共に、少量のジメチルベンジルアルコールDMBA)が存在するのが普通である。また、少量のアセトフェノンAP)も普通に見出される。CHPがフェノール及びアセトンに分解する間に、DMBAも反応を受けてα−メチルスチレンAMS)を生成するが、これは水素化によって容易にクメンに転化し得るので有用な生成物である。適当な条件下で単独に反応させた場合、DMBAは高収率のAMSを生成し得る。しかしながら、フェノールの存在下では、更に詳しく述べれば分解反応器内の混合物(すなわち、主としてフェノール、アセトン及びクメンから成る混合物)中においては、通常のAMS収率は一般にDMBAの約50〜60モル%である。主たる副生物はAMS二量体及び各種のクミルフェノール(CP)であって、これらは分解反応器内において見出されるような比較的不純な状態ではほとんどもしくは全く商業的価値を有しないのが普通である。

一般的に述べれば、かかる分解反応はこれまでほとんど研究されていなかった。アライド(Allied)の米国特許第4358618号明細書中には、かかる分解反応がある程度まで考察されている。この発明においても、分解容器に供給されるクメン酸化生成物中のDMBAはAMS及びその他の物質に転化することが認められている。しかるに、この発明によれば、分解反応器内に存在するDBMAはCHPと反応してジクミルペルオキシド(DCP)を生成すること、並びにかかる分解反応はCHP濃度が組成物の約0.5〜約5.0重量%にまで低下する約50〜約90℃の温度において実施すべきことが見出された。こうして得られた反応生成物導管内において十分な時間にわたり上記の温度に保持することにより、CHP濃度が約0.4重量%以下となるような第2の反応混合物が得られる。この新たな反応混合物をプラグ流れ反応条件下において非常に高い温度(一般に約120〜約150℃)で反応させれば、少なくとも90%のDCPがAMS、フェノール及びアセトンに転化することになる。

上記の発明においては、分解反応器に供給されるのは通常のクメン酸化生成物であることに注意されたい。分解反応器内に何らかの再循環物質が存在するという記載は無いし、またCHP供給液中に通例存在する物質の濃度をその他の手段で増加させるという記載も無い。更にまた、反応温度を特に制御することもなければ、第2及び第3の工程(特に高温下でDCPをAMS、フェノール及びアセトンに転化させる第3の工程)において酸触媒の濃度を変化させる試みも行われていない。

このような一連の反応は速度の早いものであることが知られており、そしてそれらは反応時間をできるだけ短くするため適度に高い温度下で実施されるのが普通である。中でも、DCPの分解によってAMS、フェノール及びアセトンを生成する反応は特に高い温度下で実施される。

概要

クメン法フェノール合成プロセスにおいて、酸触媒存在下でのジクミルベルオキシド(DCP)のα−メチルスチレンへの分解反応の選択性を高める。

複数の連続した分解反応器(1)内において酸触媒存在下でのクメンヒドロペルオキシド(CHP)の分解反応を行い、その際、上記分解反応器に比べて小さいサイズを有するプラグ流れ型反応器(5)内に最後の分解反応器からの流出液の一部を導入し、上記プラグ流れ型反応器(5)の入口温度出口温度との差(ΔT)を4〜16℃の範囲内に収める。次いで、プラグ流れ型反応器(7)内においてDCPの分解を酸触媒存在下80〜110℃の温度で実施する。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
1件

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請求項1

酸触媒存在下でのジクミルベルオキシド(DCP)のα−メチルスチレンへの分解反応選択性を高める方法であって、上記分解を80〜110℃の温度で実施することを特徴とする方法。

請求項2

前記酸触媒が、クメンヒドロペルオキシド(CHP)の分解を促進するために使用された酸触媒とアミンとの反応生成物を含んでなる、請求項1記載の方法。

請求項3

前記CHPの分解を促進するために使用された酸触媒が硫酸である、請求項1又は請求項2記載の方法。

請求項4

前記アミンがアンモニアである、請求項2記載の方法。

請求項5

前記反応生成物が硫酸水素アンモニウムである、請求項4記載の方法。

請求項6

複数の連続した分解反応器内における酸触媒存在下でのクメンヒドロペルオキシド(CHP)の分解反応を制御するための方法であって、上記分解反応器に比べて小さいサイズを有するプラグ流れ型反応器内に最後の分解反応器からの流出液の一部を導入する段階を含んでなり、上記プラグ流れ型反応器の入口温度出口温度との差(ΔT)が4〜16℃の範囲内にある、方法。

請求項7

前記ΔT)が5〜15℃の範囲内にある、請求項6記載の方法。

請求項8

クメンヒドロペルオキシド(CHP)をフェノール及びアセトンに分解する反応の効率を向上させるための方法であって、CHP分解反応器内に追加の水が存在する、方法。

技術分野

0001

本発明は、フェノールの製造方法に関する。

背景技術

0002

フェノールは幾つかの方法によって商業的に製造されている。とは言え、基本的な製造方法の1つは、クメンクメンヒドロペルオキシド(CHP)に空気酸化し、次いで酸触媒の存在下でこのCHPをフェノール及びアセトンに分解するというものである。CHPの分解は高度の発熱反応であって、この反応は連続した攪拌型反応器又は逆混合型反応器内において商業的な規模で実施されるのが普通である。一般に、かかる反応器内に存在する未反応のCHPはいかなる時点においてもほんの僅かであって、反応媒質は主としてCHPの分解生成物(すなわち、フェノール及びアセトン)、供給液中に含まれる溶媒(たとえば、クメン)、並びにCHPと共に反応器に添加されるその他の物質から成っている。分解反応器への供給液中には、未反応のクメン及びCHPと共に、少量のジメチルベンジルアルコールDMBA)が存在するのが普通である。また、少量のアセトフェノンAP)も普通に見出される。CHPがフェノール及びアセトンに分解する間に、DMBAも反応を受けてα−メチルスチレンAMS)を生成するが、これは水素化によって容易にクメンに転化し得るので有用な生成物である。適当な条件下で単独に反応させた場合、DMBAは高収率のAMSを生成し得る。しかしながら、フェノールの存在下では、更に詳しく述べれば分解反応器内の混合物(すなわち、主としてフェノール、アセトン及びクメンから成る混合物)中においては、通常のAMS収率は一般にDMBAの約50〜60モル%である。主たる副生物はAMS二量体及び各種のクミルフェノール(CP)であって、これらは分解反応器内において見出されるような比較的不純な状態ではほとんどもしくは全く商業的価値を有しないのが普通である。

0003

一般的に述べれば、かかる分解反応はこれまでほとんど研究されていなかった。アライド(Allied)の米国特許第4358618号明細書中には、かかる分解反応がある程度まで考察されている。この発明においても、分解容器に供給されるクメン酸化生成物中のDMBAはAMS及びその他の物質に転化することが認められている。しかるに、この発明によれば、分解反応器内に存在するDBMAはCHPと反応してジクミルペルオキシド(DCP)を生成すること、並びにかかる分解反応はCHP濃度が組成物の約0.5〜約5.0重量%にまで低下する約50〜約90℃の温度において実施すべきことが見出された。こうして得られた反応生成物導管内において十分な時間にわたり上記の温度に保持することにより、CHP濃度が約0.4重量%以下となるような第2の反応混合物が得られる。この新たな反応混合物をプラグ流れ反応条件下において非常に高い温度(一般に約120〜約150℃)で反応させれば、少なくとも90%のDCPがAMS、フェノール及びアセトンに転化することになる。

0004

上記の発明においては、分解反応器に供給されるのは通常のクメン酸化生成物であることに注意されたい。分解反応器内に何らかの再循環物質が存在するという記載は無いし、またCHP供給液中に通例存在する物質の濃度をその他の手段で増加させるという記載も無い。更にまた、反応温度を特に制御することもなければ、第2及び第3の工程(特に高温下でDCPをAMS、フェノール及びアセトンに転化させる第3の工程)において酸触媒の濃度を変化させる試みも行われていない。

0005

このような一連の反応は速度の早いものであることが知られており、そしてそれらは反応時間をできるだけ短くするため適度に高い温度下で実施されるのが普通である。中でも、DCPの分解によってAMS、フェノール及びアセトンを生成する反応は特に高い温度下で実施される。

発明が解決しようとする課題

0006

このたび、上記のごとき分解反応について詳細な研究が行われた。その結果、主としてDCPの分解に際してAMSに対する選択性を向上させることによって最終的に高収量のフェノール及びアセトンを得るためには、CHP分解反応及びDCP分解反応の速度を低下させればよいことが判明した。前述の通り、AMSは水素化を受けてクメンを生成する。AMSに対する選択性が低いと、AMS二量体及びいわゆるタールが多量に生成し、それによって有用なAMSの量が減少する。特に、CHPがフェノール及びアセトンに分解されかつCHPとDMBAとの反応によってDCPが生成される初期段階においては、再循環アセトン及びクメンの添加が特に有益な効果を有することが判明した。この場合、分解反応器への流入に先立って再循環物質をCHP供給液と十分に混合することが好ましい。かかる混合は顕著に優れた結果をもたらす。実際には、最初のCHP分解反応は(たとえば多管式熱交換器から成る)複数の連続した分解反応器内において非等温状態で実施される。この場合、一般に2〜5基(特に3基)の分解反応器が使用される。各々の分解反応器は特定の温度範囲内に維持され、それによって最適のCHP転化率及び収率が得られる。かかる最初のCHP分解反応は、プラグ流れ型の小形反応器の入口と出口との温度差測定値が一定の範囲内に維持されるようにして制御される。かかる小形反応器は、最後の分解反応器から排出される分解生成物に対してバイパスを成すように配置されることが好ましい。

0007

更にまた、120〜150℃の高温下でDCPを分解してAMS、フェノール及びアセトンを生成させる従来の方法は商業的なフェノール製造プロセスにとってあまり現実的とは言えないことも認められた。なぜなら、かかる従来方法はAMSの収率のごとき作業パラメーターが時間に対して大幅に変動し易いからである。また、CHPの流量や分解生成物の組成変化見掛け上は僅かな変化も、互いに独立にかつ協力してAMSの収率に悪影響を及ぼす。DCPの分解によってAMS、フェノール及びアセトンを生成する反応を一層良好に制御するためには、温度範囲を実質的に低下させると共に、存在する強酸触媒の量を減少させればよいことが見出された。すなわち、DCPを分解するための追加の反応器内においては強酸触媒とアミンとの反応生成物が生成される。その結果、かかる追加の反応器内には中和されない強酸触媒及び強酸触媒とアミンとの弱酸性反応生成物が存在することになる。強酸触媒(好ましくは硫酸)とアミン(好ましくはアンモニア)との反応生成物は、かかる環境中においては助触媒効果を有するように思われる。とは言え、本発明者はこの観察結果によって束縛されることを望まない。強酸触媒のみが存在する場合には、タールの生成が開始するまでにCHP供給液中のDCPの最大約90%をAMSに効率良く転化させることができる。しかるに、減少した量の強酸触媒及び強酸触媒とアミンとの反応生成物が存在する場合には、AMSに対する選択性を顕著に低下させることなく95%以上のDCPを転化させることができるのである。なお、硫酸をアンモニアと反応させた場合の反応生成物は硫酸水素アンモニウムである。

0008

このように、実際には本発明中に2つの独立した側面が存在するものと考えることができる。第一に、特に追加の再循環物質及び複数の分解反応器を使用することにより、CHP分解反応の第1段階におけるCHP分解生成物の収率及び選択性の向上が達成される。第二に、CHP分解反応の第1段階において生成されたDCPを追加の反応器内において選択的に分解することによってAMS、フェノール及びアセトンが生成されるが、この場合には特にAMSに対して高い選択性が得られる。これらの工程はいずれも、従来公知の合成プロセス組合わせて使用することができる。なお、CHPの分解によって最終生成物(すなわち、フェノール、アセトン及びAMS)を高い効率で製造するためには、本明細書中に開示された2つの独立した工程を併用することが好ましい。

課題を解決するための手段

0009

本発明の一側面に従えば、酸触媒によってクメンヒドロペルオキシド(CHP)をフェノール及びアセトンに分解する反応の効率を向上させるための方法において、分解反応器内におけるアセトンとフェノールとのモル比を約1.1:1〜1.5:1の範囲内に維持するような過剰のアセトンの存在下でCHPを非等温状態で分解することを特徴とする方法が提供される。

0010

本発明の別の側面に従えば、酸触媒の存在下でジクミルペルオキシドを分解してα−メチルスチレンを生成する反応の選択性を向上させるための方法において、該分解反応を約80〜110℃の温度下で実施することを特徴とする方法が提供される。本発明の更に別の側面に従えば、酸触媒系を用いてジクミルペルオキシドの分解反応を実施するための方法において、(1) CHPの分解を促進する酸性物質と(2)アミンとの反応生成物の存在下で該分解反応を実施することを特徴とする方法が提供される。

0011

本発明の更に別の側面に従えば、CHP、クメン、CHP分解用の酸触媒、ジクミルペルオキシド、ジメチルベンジルアルコール、フェノール及びアセトンを含んでなり、かつアセトンとフェノールとのモル比が約1.1:1〜1.5:1の範囲内にあることを特徴とする組成物が提供される。本発明の更に別の側面に従えば、クメン、CHP分解用の酸触媒、ジクミルペルオキシド、水、フェノール、アセトン、及び(1) CHPの分解を促進する酸と(2)アミンとの反応生成物を含んでなることを特徴とする組成物が提供される。

0012

本発明の更に別の側面に従えば、酸触媒を用いたCHPの分解によってフェノール及びアセトンを製造するための方法において、(a) 特定の酸触媒濃度及び温度の下でCHPを分解することにより、フェノール、アセトン及びジクミルペルオキシドを含んでなる組成物を生成させ、次いで(b) ジクミルペルオキシドをプラグ流れ型反応器内に移送し、そこにおいて工程(a) における酸触媒濃度及び温度に比べてより低い酸触媒濃度及びより高い温度の下でジクミルペルオキシドをフェノール、アセトン及びAMSに分解する両工程からなることを特徴とする方法が提供される。

0013

本発明の更に別の側面に従えば、複数の連続した分解反応器内において酸触媒の存在下でCHPを分解する反応の制御を支援するための方法において、分解反応器に比べて小さいサイズを有するプラグ流れ型反応器内に最後の分解反応器からの流出液の一部が導入され、かつ前記プラグ流れ型反応器の入口温度出口温度との差(ΔT)が約4〜16℃の範囲内にあることを特徴とする方法が提供される。

0014

本発明の更に別の側面に従えば、CHPの分解によってCHP分解生成物を得る反応の効率を向上させるための方法において、CHP供給液の重量の約10〜25倍に相当する量のCHP分解生成物をCHP供給液中に再循環させることを特徴とする方法が提供される。本発明の更に別の側面に従えば、CHPをフェノール及びアセトンに分解する反応の効率を向上させるための方法において、分解反応器内に追加の水が存在することを特徴とする方法が提供される。

0015

本発明の更に別の側面に従えば、アセトンとフェノールとのモル比が約1.1:1〜1.5:1の範囲内にあることを特徴とするCHP分解生成物が提供される。

0016

クメンからフェノール及びアセトンを製造する際の分解反応は公知である。製造プロセスにおいては、先ずクメンの供給液を酸化することによってクメンヒドロペルオキシド(CHP)が生成される。次いで、このCHPが分解装置内に供給される。そこにおいて、添加された酸触媒によりCHPが分解されてフェノール、アセトン及びその他の副生物を生成する。使用する酸触媒はいかなる酸性物質であってもよい。とは言え、腐食が問題となることがあるので、塩酸臭化水素酸のごとき腐食性の強い無機酸は使用されないのが普通である。実際には、リン酸、硫酸及びSO2 のごとき特定の酸を使用することができる。本発明の反応においては、一般に硫酸が触媒として好適である。

0017

CHP分解反応は極めて速度の早いものであることが知られている。高度の発熱性を有するため、かかる反応は大抵のプロセスにおいて短時間にわたり実施されてほぼ完了状態に達する。実際には、等温状態で分解反応を実施するために定常沸騰型又は還流型の装置が使用されるのが普通である。その結果、いかなる時点においても、反応温度は分解反応器内に存在するCHP供給液と反応生成物との混合物の定常沸騰温度にほぼ等しい。一般に、定常沸騰温度は約70〜90℃の範囲内にある。この定常沸騰温度はCHP供給液についても反応生成物についても同じであるから、反応過程全体を通じてフェノールとアセトンとのモル比はほぼ1:1である。

0018

このたび、分解反応器にアセトンを再循環させれば、分解反応の総合効率、選択性及び収率を向上させる点で極めて有益であることが見出された。そのためには、分解反応器内におけるアセトンとフェノールとのモル比を約1.1:1〜1.5:1好ましくは1.15:1〜1.4:1の範囲内に維持する必要がある。かかる追加のアセトンはCHP分解反応の速度を低下させる傾向を示し、それによって該反応の制御性及び選択性を向上させるために役立つ。実際、本発明に従えばCHP分解反応は非等温状態で実施されるのである。

0019

更にまた、分解反応器内に追加のクメンが存在すれば制御性の一層良い反応が達成されることも見出された。かかるクメンの量は、分解反応器内の組成物の約1〜約20重量%好ましくは約10〜18重量%であればよい。前述のごとく、初期の分解反応は複数の連続した反応器内において実施することが好ましい。一般に、分解反応の温度は約45〜約74℃の範囲内にあればよい。化学的な面から見れば、圧力はあまり重要でない。とは言え、装置の抵抗に打勝つと共にアセトンの蒸発を防止するためには、圧力は約1〜5気圧の範囲内にあればよい。一般的に述べれば、これらの反応器は1メートルトン/時の100%CHPに対して30〜35平方メートル以上の比表面積を有する多管式熱交換器である。最も好ましくは、3基の連続した反応器内においてCHP分解反応が実施される。この場合、第1の反応器内におけるCHP転化率は30〜60%、第2の反応器内におけるCHP転化率は25〜50%、かつ第3の反応器内におけるCHP転化率は30〜10%であることが好ましい。かかる反応器に供給される工業用CHP1メートルトン当りのアセトンの量は、下記の計算式に従って求められる。

0020

Gacetone =GCHP ×0.17([CHP])+40/(GCHP [CHP])
上記式中、Gacetone は供給されるアセトンの量(メートルトン/時)、GCHPは反応器に供給される工業用CHPの量(メートルトン/時)、そして[CHP]は工業用CHP中におけるCHPの濃度(重量%/100)である。3基の連続した反応器内における分解反応の温度は、第1の反応器について約50〜62℃、第2の反応器について約62〜57℃、かつ第3の反応器について約57〜50℃である。これらの温度はCHP分解混合物の定常沸騰温度よりも低く、従ってCHPは非等温状態で分解される。これらの反応器は、第3の最後の反応器の後にバイパス状態で配置されかつ最後の反応器から排出された分解生成物の一部が流されるプラグ流れ型の小形反応器によって制御されることが好ましい。この小形反応器は一般に3分以下の生成物滞留時間を有すると共に、それの入口と出口との温度差(ΔT)の測定値は約4〜16℃好ましくは5〜15℃の範囲内に維持される。この小形反応器は最適組成の生成物を得るための助けとなる。それの主たる機能は、小形反応器を通って流れる流出液中に残留するCHPをほぼ完全に分解し、それによってCHP分解反応の完了度に関する分析指標を与えることにある。

0021

存在する酸触媒の量は広範囲にわたって変化し得る。一般的に述べれば、酸触媒の量は分解反応器内の組成物を基準として約50〜約750ppm 好ましくは約150〜600ppm の範囲内にある。反応時間は、全ての分解反応器を通じてかなり短い。一般に、約30秒〜約3分の反応時間が適当である。とは言え、他の最適化されたパラメーターと組合わせて使用される最適反応時間は約45秒〜約2分の範囲内にある。重要なパラメーターの1つは、これらの分解反応器内において生成されたCHP分解生成物のうち、CHP供給液中に再循環させられる生成物の量である。このような再循環生成物の量は、CHP供給液の流量の約10〜25倍の範囲内にあればよい。かかる再循環は選択性の向上をもたらすばかりでなく、プロセスに対して重要な安全因子を付与することにもなる。

0022

もう1つの重要な因子は、分解反応器内における追加の水の存在である。これは、CHP分解反応において生成される通常の水の量を越えるものである。かかる水は初期において再循環生成物中に添加することができる。分解反応器内における水の量は分解混合物を基準として3重量%以下、好ましくは2重量%以下、そして最も好ましくは0.8〜1.2重量%の範囲内になければならない。

0023

このような分解反応においては、CHPがフェノール及びアセトンに分解されると共に、DMBAとCHPとが反応してDCP及び水を生成する。先行技術においては、米国特許第4356618号明細書中に示されているごとく、触媒濃度を変化させることなしに分解生成物を第2又は第3の反応器に移送すること以外は行われていなかった。しかるに、本発明においては触媒系が変化させられるのである。かかる変化は、CHP分解反応に由来する酸触媒を部分的に中和するため任意の種類の塩基性化合物を添加することによって達成することができる。特に酸触媒が硫酸である場合、アミンを用いて酸触媒濃度を低下させれば好ましいことが判明した。かかるアミンの実例としては、ヒドラジン、アンモニア、炭素原子数1〜5のアルキルアミンなどが挙げられる。特に酸触媒が硫酸である場合には、アンモニアを使用することが好ましい。一般に、アンモニアは約0.15〜10重量%の比較的低い濃度を有するアンモニア水溶液として添加される。元来存在していた酸触媒のうち、一般に約10〜99重量%の酸触媒が中和されるが、好ましくは約30〜約70重量%の酸触媒が中和される。硫酸(H2 SO4 )が酸触媒として使用される場合、あるいは分解反応器内に存在する水と反応して亜硫酸又は硫酸を生成し得るSO2 又はSO3 のごとき化合物が酸触媒として使用される場合には、亜硫酸又は硫酸と反応する物質としてアンモニアを使用することが好ましい。反応生成物は弱酸性の硫酸水素アンモニウムである。このような場合、硫酸水素アンモニウムは助触媒として働くものと考えられる。このような弱酸性物質の生成並びにCHP分解用酸触媒(特に硫酸)の濃度の低下は、DCPの分解によってフェノール、アセトン及びAMSを生成する反応の一層良好な制御を可能にし、それによって有用な生成物を増加させると共にAMS二量体やタールのごとき副生物を減少させるように思われる。後記の実施例中に示されるごとく、約120〜150℃の範囲内の温度及び変化しない酸触媒濃度を使用する米国特許第4358618号の方法に比べて遥かに低い温度を使用しかつCHP分解用酸触媒の濃度を低下させた場合には、DCPの分解によってAMS、フェノール及びアセトンが選択的かつ効率的に生成される。本発明においては、一般に、約0.3〜5気圧の圧力の下で80〜110℃好ましくは約85〜105℃の範囲内の温度が約20〜約60分間にわたって維持される。

0024

上記のごとき反応の後、独立した容器内におけるアセトンの蒸発によって分解生成物を冷却することができる。たとえば0.25〜約0.9気圧の減圧及び約80〜110℃の運転温度の下で蒸発したアセトンを凝縮させた後、得られたアセトンの少なくとも一部(好ましくは全部)が分解反応器に戻される。このようにして再循環アセトンの少なくとも一部を生成させれば、蒸気のより効率的な使用によってプラント総合エネルギー効率は上昇し、設備のより効率的な利用が可能となり、かつ設備内に存在するネックが解消することになる。更にまた、再循環アセトン中の水濃度を一層正確に制御することも可能となる。なぜなら、分解生成物全体の組成は一定であり、かつ蒸発器からの塔頂留出物(再循環アセトン)中に存在する水の量は蒸発器の運転温度及び圧力(すなわち、蒸発器内気液平衡)に依存するからである。従って、運転及び圧力が一定に保たれる限り、塔頂留出物中の水濃度は一定に自動制御されるわけである。

0025

ここで図1を見ると、DCPの生成並びにそれの分解によるフェノール、アセトン及びAMSの生成を含めたCHP分解のための反応経路を表わす流れ図が示されている。図1に関連して記載される特定の範囲や数は、本発明の特定の実施の態様に基づくものであることを理解すべきである。それらは本発明の範囲を不当に制限するものではない。

0026

先ず最初に、クメンが酸化されてCHPを生成する。主としてCHPを含んでなるが、DMBA、アセトフェノン、各種の有機酸及びその他の物質をも含有するCHP供給液は、組成物の重量を基準として約250ppm の量で硫酸触媒を含有する分解反応器に送られる。このようなCHP分解工程は、多管式熱交換器から成る3基の連続した分解反応器1内において1〜2分間で実施される。これらの分解反応器は、1メートルトン/時の100%CHPに対して約30〜35平方メートル以上の比表面積を有している。1回パスの場合、これらの分解反応器内におけるCHP転化率はそれぞれ30〜35%、30〜40%及び30〜15%である。分解反応器内に存在する間においては、アセトンとフェノールとのモル比は1.5:1に維持される。そのためのアセトンは、供給管路2によって示されるごとく、第1の分解反応器の前方において直列に配置されたミキサー3に供給される。CHPの流量が減少した場合、供給されるアセトンの量はアセトンとフェノールとのモル比がより大きくなるように増加される。再循環ループ4によって示されるごとく、3基の連続した分解反応器を通して再循環させられるCHP分解生成物のCHP供給液に対する比率重量基準で表わして20:1である。3基の連続した分解反応器内における分解反応の温度はそれぞれ50〜62℃、62〜57℃及び57〜50℃である。第3の分解反応器の後方にはプラグ流れ型の小形反応器5が配置されている。この小形反応器は、3基の連続した分解反応器に関する熱量計として働く。この小形反応器を通って流れるのは、最後の分解反応器からの流出液の僅かな部分である。ここで使用される「小形」という用語は、その反応器が3基の先行する分解反応器に比べて小さいことを表わすに過ぎない。かかるプラグ流れ型の小形反応器は一般に3分以下の生成物滞留時間を有すると共に、それの入口と出口との温度差(ΔT)の測定値は約5〜15℃の範囲内に維持される。最後の分解反応器1から流出した後の分解生成物中には、貯留タンク6内において、硫酸(触媒)とアンモニアとの重量比が11:1〜23:1となるような量のアンモニア水溶液が導入される。このタンク内においては、CHP濃度が最小レベル(好ましくはゼロ)にまで低下させられると共に、硫酸水素アンモニウムが生成される。次いで、分解生成物はプラグ流れ型反応器7に移送され、そして約25〜45分間にわたり85〜95℃の温度及び標準大気圧よりも0.3〜約0.5気圧だけ高い圧力に維持される。この反応器内においては、DCPの分解によってフェノール、AMS及びアセトンが生成される。その後、圧力が約0.35〜0.45気圧にまで低下させられ、そして蒸発器8内におけるアセトンの蒸発によって分解生成物が冷却される。蒸発したアセトンは蒸発器の塔頂から流出し、そして凝縮器9により凝縮されて容器10内に捕集される。このアセトンはポンプ11により再循環ループ4に送られる。

0027

以下に本発明の実施例を示す。これらの実施例は本発明の実施を例示するものに過ぎないのであって、本発明の範囲を制限するものと解すべきでない。これらの実施例の結果は本発明の方法における効率の向上を実証している。

0028

図1に示されたものと同様な装置において、12.16重量%のクメン、0.40重量%のアセトフェノン、3.64重量%のDMBA及び83.80重量%のCHPを含有する工業用CHPの分解を行った。かかる分解を行うための媒質としては、0.03重量%のH2 SO4 を含有すると共に、供給される工業用CHPを基準として14.96重量%の量で導入された追加のアセトンを含有するフェノールとアセトンとの等モル混合物を使用した。3基の連続した分解反応器は非等温状態に維持された。すなわち、それらの分解反応器内の温度はそれぞれ50〜62℃、62〜57℃及び57〜50℃の範囲内に維持され、また圧力は約1〜5気圧に維持された。生成物の再循環比率は重量基準で表わして17:1であった。かかる装置内には、流れ混合手段及び温度測定用の小形反応器が設置された。ΔTの値は9℃であった。また、CHP分解時間は2分であった。

0029

プラグ流れ型反応器内には、50重量%のH2 SO4 をNH4 HSO4 に転化させるために必要な量のアンモニア水溶液を導入した。かかるプラグ流れ型反応器内の温度は93℃に維持され、また圧力は1.5気圧に維持された。プラグ流れ型反応器内における生成物滞留時間は35〜60分の範囲内にあった。これらの実施例において得られたDCP濃度及びAMSの収率に関するデータを下記表1中に示す。

0030

追加供給されるアセトンを留去した後、実施例4の生成物(表1)100g中には12.16gのクメン、0.4gのAP、0.1gのDMBA、2.53gのAMS、0.05gのDCP、0.37gのAMS二量体及び0.30gの複合エーテルが見出された。フェノールタールの成分である副生物の合計量(AP+DMBA+DCP+AMS二量体+CP)は1.22gであった。

0031

0032

上記の実施例によれば、プラグ流れ型反応器内における様々な生成物滞留時間及び様々なDCP転化率の下でもAMSの収率が安定であることが実証された。

0033

実施例1〜4の場合と同じ組成を有する工業用CHPの分解を行った。この場合、一方ではベンチュリ型静止ミキサー内において工業用CHPと再循環生成物とを予備混合しながら分解を行い、また他方では予備混合せずに分解を行った。

0034

0035

上記の実施例によれば、CHPとそれの分解生成物とを予備混合した場合には、予備混合しない場合に比べてCHP分解速度が約20%だけ増大することが実証された。

0036

実施例1〜4の場合と同じ条件を使用しかつ工業用CHPと再循環生成物とを予備混合しながら、実施例1〜4の場合と同じ組成を有する工業用CHPの分解を行った。ただし、この場合には小形反応器の入口と出口との温度差(ΔT)の値を様々に変化させた。

0037

0038

実施例9〜11によれば、3基の連続した分解反応器にアセトンが追加供給されてアセトンとフェノールとのモル比が1.15:1〜1.5:1の範囲内に維持された場合には、1回パス時におけるCHP転化率が様々に変化してもAMSの収率によって示されるごとくに良好な結果が得られることが実証された。なお、ΔTの値は小形反応器を通って流れる分解生成物の中に残留する未反応CHPに応じて変化した。

0039

実施例7によれば、分解反応器内にアセトンを導入しないとAMSの収率は低くなることが実証された。なお、ΔTの値が0℃であることは、CHPが完全に消費されたことを示している。実施例12は、好適なモル比を越えて分解反応器に供給されたアセトンの影響を実証するものである。小形反応器のΔT値が高いことは、小形反応器を通って流れる分解生成物の中に高レベルの未反応CHPが存在することを示している。かかる高レベルのCHPは安全上の問題を引起こすことがある。

0040

実施例1〜4の場合と同じ条件を使用しながら、実施例1〜4の場合と同じ組成を有する工業用CHPの分解を行った。ただし、この場合にはH2 SO4 からNH4 HSO4 への転化率を様々に変化させた。分解反応器に追加供給されるアセトンを留去した後には、所望の生成物がほぼ一定の収量で得られた。

0041

0042

実施例1〜4の場合と同じ装置を使用しながら、実施例1〜4の場合と同じ組成を有する工業用CHPの分解を行った。この場合には、工業用CHPと再循環生成物との予備混合は行わず、また分解反応器への追加のアセトンの導入も行わなかった(すなわち、アセトンとフェノールとの等モル混合物を使用した)。プラグ流れ型反応器へのアンモニア水溶液の供給も行わず、またプラグ流れ型反応器内の温度は93℃に維持した。3基の連続した分解反応器内におけるCHP転化率はそれぞれ80%、20%及び0%であった。また、ΔTの値は0℃であった。

0043

図1中に7として示されたプラグ流れ型反応器の後で分析したところ、100gの分解生成物中には12.16gのクメン、0.6gのAP、0.10gのDMBA、1.64gのAMS、0.01gのDCP、1.25gのCP及び1.0gのAMS二量体が見出された。工業用CHP中に存在するDMBAを基準としたAMSの収率は、(実施例9〜11においては75〜80モル%であったのに対し)52モル%であった。フェノールタールの成分である副生物の合計量(AP+DMBA+DCP+CP+AMS二量体)は、(実施例1〜4においては1.22gであったのに対し)2.96gであった。かかる高レベルのフェノールタールは、この比較例の作業条件下ではCHPの一部が実際に追加のDMBAに転化したことを示している。収率の低下の追加分はかかる転化に由来するものである。

図面の簡単な説明

0044

図1DCPの生成並びにそれの分解によるフェノール、アセトン及びAMSの生成を含めたCHP分解のための反応経路を表わす流れ図である。

--

0045

1分解反応器
2供給管路
3ミキサー
4再循環ループ
5小形反応器
6貯留タンク
7プラグ流れ型反応器
8蒸発器
9凝縮器
10容器
11 ポンプ

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