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技術 光パラメトリック回路

出願人 日本電信電話株式会社
発明者 今宿亙森邦彦高田篤
出願日 2001年3月6日 (19年9ヶ月経過) 出願番号 2001-062608
公開日 2002年6月26日 (18年5ヶ月経過) 公開番号 2002-182256
状態 特許登録済
技術分野 光偏向、復調、非線型光学、光学的論理素子
主要キーワード 石英薄膜 波長空間 同一性能 GaAs半導体 材料パラメータ 伝搬係数 カスケーディング ゲイン変調
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図面 (20)

課題

進行波型パラメトリック波長変換において、入力信号光と発生した波長変換光位相共役光)の波長差が近接していても両者の完全分離を可能とする。さらに、入力信号光に対して増幅された波長変換光(位相共役光)を出力可能とする。

解決手段

非線形マッハツェンダ干渉計の一方の光経路には光分散媒質の次に2次の光非線形媒質を挿入し、他方の光経路には2次の光非線形媒質の次に光分散媒質を挿入し、第1の光合分波器の一方の入力ポートから信号光励起光合波光を入力し、第2の光合分波器の一方の出力ポートから信号光と励起光を出力し、他方の出力ポートから入力信号光に対する波長変換光(位相共役光)を出力する。

概要

背景

近年の波長変換には、光信号電気信号に変換することなく、光のままで波長変換を行う素子が開発されている。このような素子には、半導体光増幅器光ファイバ四光波混合を用いるものや、半導体光増幅器のクロスゲイン変調やクロスフェイズ変調を用いるものなどがある。

半導体光増幅器を用いた四光波混合では、図24(a)に示すように、光非線形媒質である半導体光増幅器91に信号光および励起光を入力し、励起光の光周波数fpに対して信号光の光周波数fsと対称な光周波数2fp-fsの波長変換光四光波混合光)を発生させ、光フィルタ92で信号光および励起光から分離して取り出す。

半導体光増幅器のクロスゲイン変調では、図24(b)に示すように、波長λpの励起光を入力して利得飽和状態にした半導体光増幅器93に、異なる波長λsの信号光を入力すると、信号光強度が強いときに励起光波長λpに対する利得が低下する。これにより、波長λpの励起光は信号光の反転論理で出力され、光フィルタ94で波長λsの信号光から分離して波長変換光として出力される。半導体光増幅器のクロスフェイズ変調は、図24(c)に示すように、波長λpの励起光を光カプラ95−1で2分岐して2つの半導体光増幅器96−1、96−2に入力し、波長λsの信号光を光カプラ95−2を介して反対方向から一方の半導体光増幅器96−1に入力し、2つの半導体光増幅器96−1,96−2の出力光を光カプラ95−3で合波する構成である。半導体光増幅器96−1に信号光を入力すると屈折率が変化し、通過する励起光の位相が変化する。そのため、2つの半導体光増幅器96−1,96−2の出力端に取り出される各励起光の位相が異なり、光カプラ95−3で結合すると、位相変化強度変化となって現れる。したがって、光カプラ95−3の出力端には、波長λsの信号光と同じ論理の波長λpの励起光が波長変換光として出力される。

以上の半導体光増幅器を用いた構成は、いずれも使用する半導体素子応答速度に限界があり、40Gbit/s以上の高速信号を処理するには、技術的な困難さと経済的な負担が大きい。

概要

進行波型パラメトリック波長変換において、入力信号光と発生した波長変換光(位相共役光)の波長差が近接していても両者の完全分離を可能とする。さらに、入力信号光に対して増幅された波長変換光(位相共役光)を出力可能とする。

非線形マッハツェンダ干渉計の一方の光経路には光分散媒質の次に2次の光非線形媒質を挿入し、他方の光経路には2次の光非線形媒質の次に光分散媒質を挿入し、第1の光合分波器の一方の入力ポートから信号光と励起光の合波光を入力し、第2の光合分波器の一方の出力ポートから信号光と励起光を出力し、他方の出力ポートから入力信号光に対する波長変換光(位相共役光)を出力する。

目的

本発明は、高効率な進行波型パラメトリック波長変換を実現し、かつ入力信号光と発生した波長変換光(または位相共役光)の波長差が近接していても両者を完全分離できる光パラメトリック回路を提供することを目的とする。さらに、入力信号光から波長シフトのない位相共役光を発生させ、かつ両者を完全分離できる光パラメトリック回路を提供することを目的とする。

また、本発明は、入力信号光に対して増幅された波長変換光(または位相共役光)を出力する波長変換(位相共役光発生)機能付き光増幅を可能とする光パラメトリック回路を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

2入力2出力の第1の光合分波器の2つの出力ポートと、2入力2出力の第2の光合分波器の2つの入力ポートとをそれぞれ接続する第1の光経路と第2の光経路を有し、前記第1の光経路および前記第2の光経路の各々に光分散媒質と2次の光非線形媒質とを備え、前記第1の光経路における光分散媒質と2次の光非線形媒質の配置の順番と、前記第2の光経路における光分散媒質と2次の光非線形媒質の配置の順番とを逆にしたことを特徴とする光パラメトリック回路

請求項2

2入力2出力の第1の光合分波器の2つの出力ポートと、2入力2出力の第2の光合分波器の2つの入力ポートとをそれぞれ接続する2つの光経路に、それそれ光分散媒質および2次の光非線形媒質を挿入した非線形マッハツェンダ干渉計を備え、前記第1の光合分波器と前記第2の光合分波器との間の一方の光経路には第1の光分散媒質の次に第1の2次の光非線形媒質を挿入し、他方の光経路には第2の2次の光非線形媒質の次に第2の光分散媒質を挿入し、前記第1の光合分波器の一方の入力ポートから信号光および励起光合波光を入力し、前記第2の光合分波器の一方の出力ポートから信号光および励起光を出力し、他方の出力ポートから入力信号光に対する波長変換光または位相共役光を出力する構成であることを特徴とする光パラメトリック回路。

請求項3

請求項2に記載の光パラメトリック回路において、前記第1の光合分波器の2つの入力ポートから信号光および励起光をそれぞれ入力し、前記第2の光合分波器の一方の出力ポートから信号光を出力し、他方の出力ポートから入力信号光に対する波長変換光または位相共役光と励起光を出力する構成であることを特徴とする光パラメトリック回路。

請求項4

請求項2または請求項3に記載の光パラメトリック回路において、前記非線形マッハツェンダ干渉計の少なくとも一方の光経路にその実効的光学長を制御する手段を備え、前記第2の光合分波器で前記第1および第2の2次の光非線形媒質を透過した2つの信号光の干渉条件と、前記第1および第2の2次の光非線形媒質で発生した2つの波長変換光または位相共役光の干渉条件が、nを整数としたときに(2n−1)π異なるように制御する構成であることを特徴とする光パラメトリック回路。

請求項5

2入力2出力の光合分波器の2つの出力ポートを、光分散媒質および2次の光非線形媒質を介してループ状に接続した非線形ループミラーを備え、前記光合分波器の一方の入力ポートから信号光および励起光の合波光を入出力し、前記光合分波器の他方の入力ポートから入力信号光に対する波長変換光または位相共役光を出力する構成であることを特徴とする光パラメトリック回路。

請求項6

請求項5に記載の光パラメトリック回路において、前記光合分波器の一方の入力ポートから信号光を入出力し、前記光合分波器の他方の入力ポートから励起光を入出力するとともに入力信号光に対する波長変換光または位相共役光を出力する構成であることを特徴とする光パラメトリック回路。

請求項7

請求項2〜6のいずれかに記載の光パラメトリック回路において、前記2次の光非線形媒質は光導波路により構成されることを特徴とする光パラメトリック回路。

請求項8

請求項2〜6のいずれかに記載の光パラメトリック回路において、前記光分散媒質および前記2次の光非線形媒質は、同一の2次光非線形媒質基板上に形成された光導波路により構成され、その光導波路の構造パラメータの違いにより前記光分散媒質あるいは前記2次の光非線形媒質の各機能を実現する構成であることを特徴とする光パラメトリック回路。

請求項9

請求項8に記載の光パラメトリック回路において、前記光分散媒質および前記2次の光非線形媒質に加えて前記光合分波器も、同一の2次光非線形媒質基板上に形成された光導波路により構成されたことを特徴とする光パラメトリック回路。

請求項10

講求項7〜9のいずれかに記載の光パラメトリック回路において、前記2次の光非線形媒質は疑似位相整合が図られていることを特徴とする光パラメトリック回路。

請求項11

請求項2〜6のいずれかに記載の光パラメトリック回路を2つと、前記信号光および励起光を偏波分離し、各偏波成分を前記2つの光パラメトリック回路にそれぞれ入力する偏波分離手段と、前記2つの光パラメトリック回路から出力される各偏波成分の波長変換光または位相共役光を偏波合成して出力する偏波合成手段とを備えたことを特徴とする光パラメトリック回路。

請求項12

請求項2〜6のいずれかに記載の光パラメトリック回路において、前記非線形マッハツェンダ干渉計または前記非線形ループミラーに入力する信号光と励起光の波長差が150nm以内であり、その励起光からSHG過程により2次の高調波を発生させて前記非線形マッハツェンダ干渉計または前記非線形ループミラーに入力するSHG手段を備えたことを特徴とする光パラメトリック回路。

請求項13

請求項12に記載の光パラメトリック回路において、前記SHG手段は、前記非線形マッハツェンダ干渉計の2つの光経路に挿入された構成であることを特徴とする光パラメトリック回路。

請求項14

請求項12に記載の光パラメトリック回路において、前記信号光との波長差が150nm以内である2つの励起光を用いた構成であることを特徴とする光パラメトリック回路。

請求項15

請求項2〜6のいずれかに記載の光パラメトリック回路において、前記非線形マッハツェンダ干渉計または前記非線形ループミラーに入力する励起光を発生する励起光源を含む構成であることを特徴とする光パラメトリック回路。

技術分野

0001

本発明は、光非線形媒質光パラメトリック効果を利用して入力信号光波長変換または位相共役光の発生を行い、またこれらの光に対する増幅も可能にする光パラメトリック回路に関する。

背景技術

0002

近年の波長変換には、光信号電気信号に変換することなく、光のままで波長変換を行う素子が開発されている。このような素子には、半導体光増幅器光ファイバ四光波混合を用いるものや、半導体光増幅器のクロスゲイン変調やクロスフェイズ変調を用いるものなどがある。

0003

半導体光増幅器を用いた四光波混合では、図24(a)に示すように、光非線形媒質である半導体光増幅器91に信号光および励起光を入力し、励起光の光周波数fpに対して信号光の光周波数fsと対称な光周波数2fp-fsの波長変換光四光波混合光)を発生させ、光フィルタ92で信号光および励起光から分離して取り出す。

0004

半導体光増幅器のクロスゲイン変調では、図24(b)に示すように、波長λpの励起光を入力して利得飽和状態にした半導体光増幅器93に、異なる波長λsの信号光を入力すると、信号光強度が強いときに励起光波長λpに対する利得が低下する。これにより、波長λpの励起光は信号光の反転論理で出力され、光フィルタ94で波長λsの信号光から分離して波長変換光として出力される。半導体光増幅器のクロスフェイズ変調は、図24(c)に示すように、波長λpの励起光を光カプラ95−1で2分岐して2つの半導体光増幅器96−1、96−2に入力し、波長λsの信号光を光カプラ95−2を介して反対方向から一方の半導体光増幅器96−1に入力し、2つの半導体光増幅器96−1,96−2の出力光を光カプラ95−3で合波する構成である。半導体光増幅器96−1に信号光を入力すると屈折率が変化し、通過する励起光の位相が変化する。そのため、2つの半導体光増幅器96−1,96−2の出力端に取り出される各励起光の位相が異なり、光カプラ95−3で結合すると、位相変化強度変化となって現れる。したがって、光カプラ95−3の出力端には、波長λsの信号光と同じ論理の波長λpの励起光が波長変換光として出力される。

0005

以上の半導体光増幅器を用いた構成は、いずれも使用する半導体素子応答速度に限界があり、40Gbit/s以上の高速信号を処理するには、技術的な困難さと経済的な負担が大きい。

発明が解決しようとする課題

0006

このような問題に対して、2次の光非線形媒質中における光パラメトリック過程を用いた波長変換が検討されている。2次の光非線形媒質は、応答速度が高速であり、100Gbit/s以上の超高速光信号の波長変換も可能である。なお、光パラメトリック過程を用いた波長変換は、3次の光非線形媒質でも可能であるが、一般に2次の光非線形媒質は3次の光非線形媒質よりも非線形係数が大きく、短い結晶長で高効率に波長変換光を発生できることが知られている(参考文献:M.H.cho他、IEEフォトニクスレター誌、11号、653頁、1999年)。

0007

この光パラメトリック過程による波長変換は、進行波型素子を用いる方が一般に変換効率が高く、入力信号光と波長変換光が同一方向に出力されるような構成が望ましいと言われている。しかし、この構成では、入力信号光と波長変換光の波長差が小さい場合に、出力側において両者の分離が事実上不可能になる問題がある。

0008

本発明は、高効率な進行波型パラメトリック波長変換を実現し、かつ入力信号光と発生した波長変換光(または位相共役光)の波長差が近接していても両者を完全分離できる光パラメトリック回路を提供することを目的とする。さらに、入力信号光から波長シフトのない位相共役光を発生させ、かつ両者を完全分離できる光パラメトリック回路を提供することを目的とする。

0009

また、本発明は、入力信号光に対して増幅された波長変換光(または位相共役光)を出力する波長変換(位相共役光発生)機能付き光増幅を可能とする光パラメトリック回路を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0010

図1は、本発明の光パラメトリック回路の基本構成を示す。

0011

図において、本発明の光パラメトリック回路は、内部の2つの光経路にそれぞれ光分散媒質と2次の光非線形媒質を有する非線形マッハツェンダ干渉計により構成される。ただし、2つの光経路では、光分散媒質と2次の光非線形媒質の順番が逆になる。

0012

信号光と励起光はWDMカプラ10で合波され、その合波光光合分波器11の一方の入力ポートから入力され、2つの光経路に分岐される。一方の光経路に分岐された合波光は、最初に光分散媒質12に入力され、次に2次の光非線形媒質13に入力される。他方の光経路に分岐された合波光は、最初に2次の光非線形媒質14に入力され、次に光分散媒質15に入力される。2次の光非線形媒質13,14で発生する波長変換光と、2つの光経路を通過する信号光および励起光は光合分波器16で合波され、一方の出力ポートに信号光および励起光が出力され、他方の出力ポートに波長変換光が出力される。すなわち、信号光と波長変換光の波長差が近接あるいは0でも、両者を分離して出力できる構成であるが、その原理について以下に説明する。

0013

信号光および励起光の電界をEs, Ep、その光角周波数をωS, ωPとすると、光合分波器11から2つの光経路に出力される合波光の出力電界は、それぞれ

0014

ID=000003HE=015 WI=076 LX=1120 LY=0500
となる。この一方の光経路に出力される合波光が光分散媒質12に入力されると、信号光と励起光の位相差が変化し、その出力電界は、

0015

ID=000004HE=020 WI=082 LX=0640 LY=0900
となる。ここで、β(ωS), β(ωP)は光角周波数ωS, ωPにおける光分散媒質12の伝搬定数、Ldは光分散媒質12の長さである。これが2次の光非線形媒質13に入力されると波長変換光が発生する。この波長変換光の出力電界は、

0016

ID=000005HE=030 WI=084 LX=0630 LY=1300
となる。ここで、ηPDは波長変換効率(ωP→ωS)であり、励起光の光角周波数をωP(rad/s)、信号光の光角周波数をωS(rad/s)、真空誘電率をε0(Fm−2)、光速をc(m/s)、光非線形媒質13の屈折率をn、有効長をLn(m)、有効断面積をA(m2)、非線形光学定数をd(m/V)、励起光パワーをPP(W)とすると、

0017

ID=000006HE=025 WI=061 LX=0295 LY=2050
となる。なお、ηPD′は変換パラメータである。また、各波長における2次の光非線形媒質13の屈折率nは同一であるとした。また、ここでは単純化のために、信号光および励起光のエネルギー不変としているが、厳密には光パラメトリック過程において信号光は増幅され、励起光は減衰することになる。

0018

一方、光合分波器11から他方の光経路に出力される合波光は、最初に2次の光非線形媒質14に入力され、波長変換光を発生させる。この波長変換光の出力電界は、

0019

ID=000007HE=025 WI=069 LX=1155 LY=2000
となる。これが光分散媒質15に入力されるので、その出力電界は、

0020

ID=000008HE=030 WI=082 LX=0640 LY=2500
となる。ここで、光分散媒質15の材料パラメータは光分散媒質12のものと全く同一としている。

0021

光合分波器16では、2次の光非線形媒質13の出力((3)式)と、光分散媒質15の出力((6)式)が合波されるので、出力ポート1および出力ポート2の出力電界は、

0022

ID=000009HE=055 WI=094 LX=0580 LY=0500
となる。

0023

すなわち、信号光および励起光は出力ポート1に出力され、波長変換光は出力ポート1および出力ポート2にそれぞれ出力される。ここで、各出力ポートに出力される波長変換光のパワーは、
P1=ηPD|Es|2[1+cos{β(ωP)-β(ωS)-β(ωP-ωS))Ld}] …(9)
P2=ηPD|Es|2[1-cos{β(ωP)-β(ωS)-β(ωP-ωS))Ld}] …(10)
となる。この式からも分かるように、波長変換光の出力は、光分散媒質12,15で与えられる位相シフトにより変化する。例えば、光分散媒質12,15において、nを整数とし、
ΔβLd=(β(ωP)-β(ωS)-β(ωP-ωS))Ld=(2n-1)π …(11)
の条件が成立すると、波長変換光は信号光および励起光の出力ポート1とは異なる出力ポート2に100%出力され、入力信号光との完全分離が実現する。

0024

これは、波長変換光の波長が入力信号光の波長と全く同一になった場合でも成立する。ただし、この場合の波長変換光は、入力信号光に対して同一波長の位相共役光となる。

0025

また、(3)式および(6)式において、ηPD>>1となるときは、入力信号光に対して波長変換光(位相共役光)が増幅されることになり、本光パラメトリック回路は光パラメトリック増幅器として機能することになる。

0026

また、以上の説明は、信号光と励起光を合波し、非線形マッハツェンダ干渉計の光合分波器11の一方の入力ポートから入力する構成に基づいたものであるが、光合分波器11の2つの入力ポートから信号光と励起光をそれぞれ入力してもよい。この場合でも、(11)式は波長変換光(位相共役光)と入力信号光の完全分離の条件となる。ただし、励起光は波長変換光(位相共役光)の出力ポートから出力されることになる。

発明を実施するための最良の形態

0027

(第1の実施形態:請求項1、請求項2)図2は、本発明の光パラメトリック回路の第1の実施形態を示す。ここでは、信号光の波長を光伝送において有利な1550nm、励起光はその2次の高調波に相当する775nmとし、入力信号光と同じ波長1550nmの位相共役光を出力させる構成例を示す。

0028

図において、半導体レーザ光源(LD)21は電源22により駆動され、波長775nmで発振している。信号光と半導体レーザ光源21から出力される励起光はWDMカプラ23で合波され、非線形マッハツェンダ干渉計24に入力される。非線形マッハツェンダ干渉計24は、2入力2出力の光合分波器25,26の間の2つの光経路に、光分散媒質としてのセレン化亜鉛27,28と、2次の光非線形媒質としてのAANP結晶29,30とを挿入した構成である。セレン化亜鉛27とAANP結晶29は一方の光経路を構成し、AANP結晶30とセレン化亜鉛28は他方の光経路を構成する。

0029

なお、本構成例では、各構成部品は空間系で光結合されており、2つの光経路内には反射ミラー31,32が設けられている。この実効的光学長は2つの光経路で同一になるように空間系部分の長さを同一とし、さらにAANP結晶29,30の光伝搬方向の長さを同一とし、かつセレン化亜鉛27,28の光伝搬方向の長さも同一とする。

0030

ここで、光非線形媒質として用いられるAANP結晶29,30の長さLn=0.5cm、有効断面積A=500μm2、2次の非線形係数d=10−22(MKS)とすると、(4)式より変換パラメータηPD′は、
ηPD′=3.6×10−5(mW−1cm−2) …(12)
となり、励起光パワーPP=1000mWとすると、波長変換効率ηPDは約4.5×10−3(−23.5dB)となる。

0031

次に、信号光と発生した位相共役光とを光パラメトリック回路の出力段で完全分離する鍵となるセレン化亜鉛27,28の長さLdは、次のように計算される。セレン化亜鉛の屈折率は、励起光波長λp=775nmにおいてn(λp)=2.56、信号光波長λS=1550nmにおいてn(λS)=2.47であるので、これを(11)式の左辺代入し、右辺の値と等しくなるセレン化亜鉛の長さLdを求める。ただし、λP=2πc/ωP、λS=2πc/ωSである。(11)式より、
ΔβLd=(β(ωP)-β(ωS)-β(ωP-ωS))Ld
=2π(n(λP)/λP-2n(λS)/λS)Ld
=2π(2.56/(775×10-9)-2×2.47/(1550×10-9))Ld
=(2n-1)π (nは整数) …(13)
であるので、Ld=4.3μm(ただし、n=1とする)が信号光と位相共役光を完全分離する条件となる。したがって、光分散媒質として長さ4.3μmのセレン化亜鉛膜を用いた光パラメトリック回路を構成することにより、信号光と同一波長の位相共役光を信号光と完全に分離して出力ポート2から出力させることができる。

0032

また、上記の構成において、光合分波器25の2つの入力ポートに信号光と励起光をそれぞれ入力した場合には、出力ポート1に信号光が出力され、出力ポート2に位相共役光と励起光が出力される。この場合でも、位相共役光と励起光の波長差は大きいので、両者を容易に分離することができる。

0033

なお、光非線形媒質を構成する光パラメトリック結晶としては、AANP結晶の他に同じ有機材料のMMAポリマやDAN結晶、無機結晶のLiNbO3、LiTaO3、KTP(KLiOPO4)、KDP(KH2PO4)、KNbO3等の材料、GaN、ZnSSe、GaAs/GaAlAs半導体、AgGaSe2、AgGaSを用いることができる。また、光分散媒質としてはセレン化亜鉛の他に、フューズシリカ、合成サファイヤ人工水晶熱膨張係数の小さいセラミックガラス等の材料を用いてもよい。

0034

(第2の実施形態:請求項1、2、4)図3は、本発明の光パラメトリック回路の第2の実施形態を示す。ここでは、信号光の波長を1545nmと1555nmの2チャネルとし、励起光はその2次の高調波に相当する775nmとし、チャネル1の信号光とチャネル2の信号光の波長を入れ替える「波長チャネル交換」の構成例を示す。

0035

非線形マッハツェンダ干渉計を用いた本実施形態の基本構成は、第1の実施形態とほぼ同じであるが、光分散媒質として合成サファイヤ33,34を用い、2次の光非線形媒質としてLiTaO3結晶35,36を用いる点が異なる。

0036

さらに、本実施形態では、非線形マッハツェンダ干渉計24の第2の光経路に挿入されるLiTaO3結晶36の両面に電極37,38を蒸着し、電源39からの電圧印加により光学長を調整する構成とする(図3(b))。これは、非線形マッハツェンダ干渉計24の2つの光経路の光学長誤差により、信号光および励起光と波長変換光(位相共役光)の出力ポートが入れ替わることがあるからである。

0037

そこで、本来信号光および励起光が出力される出力ポート1に受光器40を接続し、受光器内の帯域通過フィルタを介して励起光を選択的にモニタし、その受光量に応じた検出出力制御回路41に与える。制御回路41は、励起光の受光量が最大になるように電源39を制御する。これにより、出力ポート2に波長変換光を出力させることができる。このように、非線形マッハツェンダ干渉計24の製作誤差に対して、光学長の調整を行うフィードバック系を備えることにより、ロバストな系を実現することができる。

0038

ここで、光非線形媒質として用いるLiTaO3結晶35,36の長さLn=0.5cm、有効断面積A=500μm2、2次の非線形係数d=2.5×10−23(MKS)とすると、(4)式より変換パラメータηPD′は、
ηPD′=4.7×10−5(mW−1cm−2)(14)
となり、励起光パワーPP=1000mWとすると、波長変換効率ηPDは約5.125×10−3(−22.9d8)となる。

0039

次に、信号光と発生した波長変換光とを光パラメトリック回路の出力段で完全分離する鍵となる合成サファイヤ33,34の長さLdは、次のように計算される。合成サファイヤの屈折率は、励起光波長λp=775nmにおいてn(λp)=1.762、信号光波長λS=1550nmにおいてn(λS)=1.746であるので、これを(11)式の左辺に代入し、右辺の値と等しくなる合成サファイヤの長さLdを求める。(11)式より、
ΔβLd=(β(ωP)-β(ωS)-β(ωP-ωS))Ld
=2π(n(λP)/λP-2n(λS)/λS)Ld
=2π(1.762/(775×10-9)-2×1.746/(1550×10-9))Ld
=(2n-1)π (nは整数) …(15)
であるので、Ld=24.2μm(ただし、n=1とする)が信号光と波長変換光を完全分離する条件となる。したがって、光分散媒質として長さ24.2μmの合成サファイヤを用いた光パラメトリック回路を構成することにより、波長1545nmのチャネル1の信号光と、波長1555nmのチャネル2の信号光の波長を入れ替えた各波長変換光を、入力信号光と完全に分離して出力ポート2から出力させることができる。

0040

また、上記の構成において、光合分波器25の2つの入力ポートに信号光と励起光をそれそれ入力した場合には、出力ポート1に信号光が出力され、出力ポート2に波長変換光と励起光が出力される。したがって、励起光をモニタする受光器40は、出力ポート2側に光カプラまたは光分波器を介して接続される。この場合でも、波長変換光と励起光の波長差は大きいので、両者を容易に分離することができる。以下に説明する実施形態においても同様である。

0041

なお、光非線形媒質を構成する光パラメトリック結晶としては、LiTaO3結晶の他に同じ無機結晶のLiNbO3、KTP(KLiOPO4)、KDP(KH2PO4)、KNbO3等の材料、有機材料のAANP結晶、MMAポリマやDAN結晶、GaN、ZnSSe、GaAs/GaALAs半導体、AgGaSe2、AgGaSを用いることができる。また、光分散媒質として合成サファイヤの他に、セレン化亜鉛、フューズドシリカ、人工水晶、熱膨張係数の小さいセラミックガラス等の材料を用いてもよい。

0042

(第3の実施形態:請求項1、2、4、7)図4は、本発明の光パラメトリック回路の第3の実施形態を示す。ここでは、信号光の波長を光伝送において有利な1550nm、励起光はその2次の高調波に相当する775nmとし、入力信号光と同じ波長1550nmの位相共役光を出力させる構成例を示す。

0043

非線形マッハツェンダ干渉計を用いた本実施形態の基本構成は、第1の実施形態とほば同じであるが、光分散媒質としてフューズドシリカ42,43を用い、2次の光非線形媒質としてGaAlAs半導体導波路44,45を用いる点が異なる。GaAlAs半導体導波路44,45にはそれぞれ電源46,47が接続され、50mAの電流注入している。

0044

さらに、本実施形態は、第2の実施形態と同様に非線形マッハツェンダ干渉計24の光学長誤差を補償するために、励起光パワーをモニタする受光器40および制御回路41を備え、制御回路41の出力を電源47にフィードバックする構成とする。これにより、出力ポート2に位相共役光を出力させることができ、非線形マッハツェンダ干渉計24の製作誤差に対して、ロバストな系を実現することができる。

0045

ここで、2次の光非線形媒質として用いるGaAlAs半導体導波路44,45は、導波路構造になっている。これにより、励起光の光閉じ込め効果を高め、有効断面積を小さくして同じ励起光パワーでも変換効率が高まるようにしている。その長さLn=0.2cm、有効断面積A=50μm2、2次の非線形係数d=1.3×10−21(MKS)とすると、(4)式より変換パラメータηPD′は、
ηPD′=6.26×10−2(mW−1cm−2) …(16)
となり、励起光パワーPP=100mWとすると、波長変換効率ηPDは約1.25×10−1(−9.03dB)となり、第2の実施形態と比べて励起光パワーを一桁小さくしてもかなり大きな変換効率が得られる。

0046

次に、信号光と発生した位相共役光とを光パラメトリック回路の出力段で完全分離する鍵となるフューズドシリカ42,43の長さLdは、次のように計算される。フューズドシリカの屈折率は、励起光波長λp=775nmにおいてn(λp)=1.454、信号光波長λS=1550nmにおいてn(λS)=1.444であるので、(11)式より、
ΔβLd=(β(ωP)-β(ωS)-β(ωP-ωS))Ld
=2π(n(λP)/λP-2n(λS)/λS)Ld
=2π(1.454/(775×10-9)-2×1.444/(1550×10-9))Ld
=(2n-1)π (nは整数) …(17)
であるので、Ld=38.8μm(ただし、n=1とする)が信号光と位相共役光を完全分離する条件となる。したがって、光分散媒質として長さ38.8μmのフューズドシリカを用いた光パラメトリック回路を構成することにより、信号光と同一波長の位相共役光を信号光と完全に分離して出力ポート2から出力させることができる。

0047

なお、本実施形態に用いる光導波路としては、GaAlAs半導体の他にGaN系半導体、ZnSSe系半導体、LiNbO3、LiTaO3、KTP(KLiOPO4)、KDP(KH2PO4)、KNbO3等の材料を用いることができる。また、光分散媒質としてフューズドシリカ(長さ38.8μm)の他に、セレン化亜鉛(第1の実施形態:長さ4.3μm)、合成サファイヤ(第2の実施形態:長さ24.2μm)、人工水晶、熱膨張係数の小さいセラミックガラス等の材料を用いてもよい。

0048

(第4の実施形態:請求項1、2、4、7、10)図5は、本発明の光パラメトリック回路の第4の実施形態を示す。ここでは、信号光の波長を1549nm、励起光はその2次の高調波に相当する775nmとし、波長1551nmの波長変換光を出力させる構成例を示す。

0049

非線形マッハツェンダ干渉計を用いた本実施形態の基本構成は、第1の実施形態とほぼ同じであるが、光分散媒質として合成サファイヤ33,34を用い、2次の光非線形媒質として疑似位相整合LiNbO3導波路48,49を用いる点が異なる。疑似位相整合LiNbO3導波路48,49は、図5(b)に示すように、LiNbO3基板53に製作時の電圧印加により所定の間隔で分極反転領域50を形成し、かつチタン(Ti)を拡散することにより2本のLiNbO3導波路を形成したものである。この導波路構造により、励起光の閉じ込め効果を高め有効断面積を小さくするとともに、励起光と信号光間での位相整合が図られるように設計されている。

0050

第3の実施形態では、GaAlAs半導体導波路44,45を光非線形媒質として用いたが、励起光と信号光波長における屈折率が大きく異なるので、図6に示すように位相不整合が累積し、そのままでは位相整合を図ることが困難である。これは、LiNbO3等の無機結晶導波路、AANP等の有機結晶導波路を用いた場合でも生じる一般的な問題である。周期的な分極反転構造は、その対策として一般的に用いられており、所定の周期でLiNbO3の分極方向を反転させることにより、励起光と信号光の位相不整合の累積を抑圧し、位相整合条件を保ちながら導波路の長尺化を可能にしている。その結果、同一の励起光パワーでも変換効率を高めることが可能となる。

0051

さらに、本実施形態は、第2の実施形態と同様に非線形マッハツェンダ干渉計24の光学長誤差を補償するために、2次の光非線形媒質に電圧印加する電極37,38および電源39を備え、さらに励起光パワーをモニタする受光器40および制御回路41を備え、制御回路41の出力を電源39にフィードバックする構成とする。これにより、出力ポート2に波長変換光を出力させることができ、非線形マッハツェンダ干渉計24の製作誤差に対してロバストな系を実現することができる。

0052

ここで、光非線形媒質として用いる疑似位相整合LiNbO3導波路48,49の長さLn=6cm、有効断面積A=50μm2、2次の非線形係数d=5×10−23(MKS)とすると、(4)式より変換パラメータηPD′は、
ηPD′=9.2×10−5(mW−1cm−2) …(18)
となり、励起光パワーPP=1000mWとすると、波長変換効率ηPDは約1.66(2.2dB)となる。この場合には、波長変換のみならず、波長変換光の増幅も可能になっている。

0053

次に、信号光と発生した波長変換光とを光パラメトリック回路の出力段で完全分離する鍵となる合成サファイヤ33,34の長さLdは、第2の実施形態と同様である。すなわち、光分散媒質として長さ24.2μmの合成サファイヤを用いた光パラメトリック回路を構成することにより、波長変換光を信号光と完全に分離して出力ポート2から出力させることができる。

0054

なお、光非線形媒質を構成する疑似位相整合光導波路としては、LiNbO3の他に、LiTaO3、KTP(KLiOPO4)、KDP(KH2PO4)、KNbO3等の材料や、GaAlAs系半導体、GaN系半導体、ZnSSe系半導体を用いることができる。また、光分散媒質として合成サファイヤの他に、セレン化亜鉛、フューズドシリカ、人工水晶、熱膨張係数の小さいセラミックガラス等の材料を用いてもよい。

0055

(第5の実施形態:請求項1、2、4、7、10)図7は、本発明の光パラメトリック回路の第5の実施形態を示す。ここでは、信号光の波長を1550nm、励起光はその2次の高調波に相当する775nmとし、入力信号光と同じ波長1550nmの位相共役光を出力させる構成例を示す。

0056

本実施形態の基本構成は第4の実施形態とほぼ同じであるが、光分散媒質としてフューズドシリカ42,43を用い、2次の光非線形媒質として用いる疑似位相整合LiNbO3導波路48,49の入力端面または出力端面に蒸着し、これらをモノリシックに構成した点が異なる。このフューズドシリカ42,43は、第3の実施形態で光分散媒質として用いられているものと同じ38.8μmの厚さで蒸着される。これにより、第4の実施形態と同一性能を有しながら、光回路部品点数の削減によるコスト低減が可能となり、量産性にも優れたものとなる。

0057

なお、本実施形態に用いる光分散媒質としては、フューズドシリカの他に、合成サファイヤ薄膜石英薄膜数種類の屈折率が異なるガラス材料をはじめとする誘電体を積層した誘電体多層膜を用いてもよい。

0058

(第6の実施形態:請求項1、2、4、8、10)図8は、本発明の光パラメトリック回路の第6の実施形態を示す。ここでは、信号光の波長を1550nm、励起光はその2次の高調波に相当する775nmとし、信号光波長と同じ波長1550nmの位相共役光を出力させる構成例を示す。

0059

本実施形態の基本構成は第4の実施形態とほぼ同じであるが、LiNbO3基板53上に、光分散媒質として非疑似位相整合LiNbO3導波路51,52と、2次の光非線形媒質として疑似位相整合LiNbO3導波路48,49とをモノリシックに構成した点が異なる。第4の実施形態でも説明したように、通常のLiNbO3導波路では励起光と信号光間で伝搬係数が大きく異なるが、本実施形態ではこの性質を光分散媒質として利用し、非疑似位相整合LiNbO3導波路51,52として用いたものである。これにより、光分散媒質と光非線形媒質を集積化することができ、第4の実施形態に比べて結合損失等を低減できるとともに、光回路部品点数の削減によるコスト低減が可能となり、量産性にも優れたものとなる。

0060

さらに、本実施形態は、第2の実施形態と同様に非線形マッハツェンダ干渉計24の光学長誤差を補償するために、2次の光非線形媒質に電圧を印加する電源39を備え、さらに励起光パワーをモニタする受光器40および制御回路41を備え、制御回路41の出力を電源39にフィードバックする構成とする。これにより、出力ポート2に波長変換光を出力させることができ、非線形マッハツェンダ干渉計24の製作誤差に対してロバストな系を実現することができる。

0061

2次の光非線形媒質として疑似位相整合LiNbO3導波路48,49を用いたことによる波長変換効率ηPDは、第4の実施形態と同一条件で約1.66(2.2dB)となる。この場合には、位相共役光の増幅も可能になっている。

0062

次に、信号光と発生した位相共役光とを光パラメトリック回路の出力段で完全分離する鍵となる非疑似位相整合LiNbO3導波路51,52の長さLdは、次のように計算される。非疑似位相整合LiNbO3導波路51,52の屈折率は、励起光波長λp=775nmにおいてn(λp)=2.26、信号光波長λS=1550nmにおいてn(λS)=2.22であるので、(11)式より、
ΔβLd=(β(ωP)-β(ωS)-β(ωP-ωS))Ld
=2π(n(λP)/λP-2n(λS)/λS)Ld
=2π(2.26/(775×10-9)-2×2.22/(1550×10-9))Ld
=(2n-1)π (nは整数) …(19)
であるので、Ld=9.7μm(ただし、n=1とする)が信号光と位相共役光を完全分離する条件となる。したがって、光分散媒質として長さ9.7μmの非疑似位相整合LiNbO3導波路を用いた光パラメトリック回路を構成することにより、信号光と同一波長の位相共役光を信号光と完全に分離して出力ポート2から出力させることができる。

0063

なお、本実施形態に用いる光導波路としては、LiNbO3の他に、LiTaO3、KTP(KLiOPO4)、KDP(KH2PO4)、KNbO3等の材料を用いることができる。

0064

(第6の実施形態の変形1)疑似位相整合LiNbO3導波路48,49を形成するLiNbO3基板53は、図5(b)に示すように、分極反転領域50が所定の周期で繰り返され、その間に非分極反転領域が形成される。ここで、疑似位相整合LiNbO3導波路48,49の非分極反転領域の長さと、非疑似位相整合LiNbO3導波路51,52の長さLdが一致するように設定すると、疑似位相整合LiNbO3導波路48,49の非分極反転領域の1つを、非疑似位相整合LiNbO3導波路51,52として利用することが可能となる。

0065

図9は、第6の実施形態の変形1における光分散媒質および2次の光非線形媒質の構成例を示す。図において、2次の光非線形媒質となる疑似位相整合LiNbO3導波路48,49は、分極反転領域50と非分極反転領域70で(4)式の非線形光学定数dの絶対値が一致し、符号のみが反転しているものとする。すなわち、分極反転領域50と非分極反転領域70の長さが一致し、分極反転周期の1/2とする。

0066

ここで、図9(a)に示すように、疑似位相整合LiNbO3導波路48,49のそれぞれの分極反転領域50と非分極反転領域70が交互になるように形成し、かつそれぞれの長さを9.7μmとする。これにより、疑似位相整合LiNbO3導波路48の最初の非分極反転領域70を、一方の光分散媒質となる長さ9.7μmの非疑似位相整合LiNbO3導波路51とし、疑似位相整合LiNbO3導波路49の最後の非分極反転領域70を、他方の光分散媒質となる長さ9.7μmの非疑似位相整合LiNbO3導波路52とすることができる。すなわち、見かけ上、光分散媒質と光非線形媒質の区別がなくなる。

0067

また、図9(b)に示すように、凝似位相整合LiNbO3導波路48,49が分極反転周期の1/2だけずらして形成されるLiNbO3基板53を用い、疑似位相整合LiNbO3導波路48,49のそれぞれの分極反転領域50と非分極反転領域70の位置が重なるようにしても同様である。

0068

(第6の実施形態の変形2)第6の実施形態の変形1により、疑似位相整合LiNbO3導波路48,49の非分極反転領域の1つを、非疑似位相整合LiNbO3導波路51,52として利用できるという利点があるが、位相整合条件を満足し、変換効率を高めることができる780nm帯の励起光の波長範囲が単一であり、極めて狭く、励起光波長或いは波長変換光の変換波長を選択できないという問題がある。

0069

すなわち、図10(a)に示すような非線形光学定数dと−dの部分が交互に配置される疑似位相整合LiNbO3導波路(分極反転導波路)では、図10(b)に示すように、変換効率を高めることができる励起光の幅が1つしか現れず、極めて狭い(1nm程度)。

0070

この問題を解決する方法の一つとして、分極反転導波路に変調を加える方法がある。この方法を用いることにより、位相整合条件を複数の励起光波長帯で満足させることが可能になる。

0071

例えば、図11(a)の(2)に示すようなdと−dの部分が交互に配置される分極反転導波路に対して、(1)に示す変調パタン掛け合わせ、(3)に示す分極反転導波路を得る。この分極反転導波路を用いると、図11(b)に示すように、位相整合条件を満足させる励起光の波長範囲が2ヶ所となり、この場合、2波長から励起光を選択できることとなる。なお、掛け合わせるとは、例えば、変調パタンが+1の位置にある分極反転導波路の部分がdであれば+1×dとし、−dであれば+1×(−d)とすることをいう。

0072

本実施例では、分極反転に図12(a)に示すような3重の変調を加え8つの励起光波長帯で位相整合条件を満足できるようにした例を示す。それぞれの変調周期は、14mm、7mm、3.5mmである。これらにより、図12(b)に示すように、1550nmの二次の高調波に相当する775nmを中心に0.8nm間隔で772.2,773.0,773.8,774.6,775.4,776.2,777.0,777.8nmに位相整合波長が形成される。

0073

この場合においても、疑似位相整合LiNbO3導波路48、49の分極反転は、図13に示すように、互いに反相の関係にある。

0074

この構成により、励起光波長を変化させることで、波長変換光の波長を変化させることができる。例えば、1550nmの信号光入力に対して上記の励起光を適宜選択することにより、波長変換光の波長を1515nm〜1585nmの範囲で選択することができるようになる。

0075

(第7の実施形態:請求項1、2、4、8、9、10)図14は、本発明の光パラメトリック回路の第7の実施形態を示す。ここでは、信号光の波長を1550nm、励起光はその2次の高調波に相当する775nmとし、信号光波長と同じ波長1550nmの位相共役光を出力させる構成例を示す。

0076

本実施形態の基本構成は第6の実施形態とはぼ同じであるが、ここでは非線形マッハツェンダ干渉計24全体がLiNbO3基板53上の光導波路で構成された点が異なる。すなわち、光合分波器25,26、光分散媒質として用いる非疑似位相整合LiNbO3導波路51,52、2次の光非線形媒質として用いる疑似位相整合LiNbO3導波路48,49がモノリシックに構成される。これにより、第6の実施形態と同一の性能を有しながら、さらに光回路部品点数の削減によるコスト低減が可能となり、量産性にも優れたものとなる。

0077

2次の光非線形媒質として疑似位相整合LiNbO3導波路48,49を用いたことによる波長変換効率ηPDは、第4の実施形態と同一条件で約1.66(2.2dB)となる。この場合には、位相共役光の増幅も可能になっている。

0078

また、光分散媒質として用いる非疑似位相整合LiNbO3導波路51,52の長さLdは、第6の実施形態と同一条件で9.7μmとなる。すなわち、光分散媒質として長さ9.7μmの非疑似位相整合LiNbO3導波路を用いた光パラメトリック回路を構成することにより、信号光と同一波長の位相共役光を信号光と完全に分離して出力ポート2から出力させることができる。なお、非疑似位相整合LiNbO3導波路51,52と疑似位相整合LiNbO3導波路48,49について、図9(a)に示すような構成をとることができる。以下に示す各実施形態においても同様である。

0079

また、本実施形態に用いる光導波路としては、LiNbO3の他に、LiTaO3、KTP(KLiOPO4)、KDP(KH2PO4)、KNbO3等の材料を用いることができる。

0080

(第8の実施形態:請求項1、2、4、8、9、10)図15は、本発明の光パラメトリック回路の第8の実施形態を示す。ここでは、信号光の波長を1550nm、励起光はその2次の高調波に相当する775nmとし、信号光波長と同じ波長1550nmの位相共役光を出力させる構成例を示す。

0081

本実施形態の基本構成は第7の実施形態とほぼ同じであるが、ここでは非線形マッハツェンダ干渉計24全体が石英基板60上の光導波路で構成された点が異なる。すなわち、光合分波器25,26、光分散媒質として用いる石英光導波路61〜64、2次の光非線形媒質として用いる疑似位相整合GaAs/AlGaAs導波路65,66がモノリシックに構成される。なお、石英光導波路61〜64は、信号光と励起光間で伝搬係数が大きく異なるので、光分散媒質として用いたものである。また、本構成では見かけ上、光分散媒質が光非線形媒質の入出力両端に合計4箇所配置されているが、入力側の石英光導波路61,62の長さの差、出力側の石英光導波路63,64の長さの差が、それそれ信号光と位相共役光(波長変換光)とを分離する光分散媒質として機能することになる。

0082

疑似位相整合GaAs/AlGaAs導波路65,66は、図15(b)に示すように、Ga原子とAs原子の配置が逆転した分極反転領域を導波路の長手方向に周期的に配置して構成される。このような導波路の製作プロセスは、例えば1999年のJapanese Journal of Applied Physics誌 (Shinji Koh et al.,”GaAs/Ge/GaAs Sublattice Reversal Epitaxy on GaAs (100) and (111) Substrates for nonlinear Optical Devices”, Jpn. J. Appl. Phys. Vol.38, L508-L511, 1999)に記載されている。この導波路構造により、励起光の閉じ込め効果を高め有効断面積を小さくするとともに、励起光と信号光間での位相整合が図られるように設計されている。

0083

ここで、疑似位相整合GaAs/AlGaAs導波路65,66の長さLn=1mm、有効断面積A=12.5μm2、2次の非線形係数d=1×10−21(MKS)、屈折率3.5とすると、(4)式より変換パラメータηPD′は、
ηPD′=1.6×10−4(mW−1cm−2) …(20)
となり、励起光パワーPP=500mWとすると、波長変換効率ηPDは約2.7(1.4dB)となる。この場合には、波長変換のみならず、位相共役光の増幅も可能になっている。

0084

次に、信号光と発生した位相共役光とを光パラメトリック回路の出力段で完全分離する鍵となる石英光導波路61と62(63と64)の長さの差Ldは、次のように計算される。石英光導波路の等価屈折率は、励起光波長λp=775nmにおいてn(λp)=1.454、信号光波長λS=1550nmにおいてn(λS)=1.444であるので、(11)式より、
ΔβLd=(β(ωP)-β(ωS)-β(ωP-ωS))Ld
=2π(n(λP)/λP-2n(λS)/λS)Ld
=2π(2.26/(775×10-9)-2×2.22/(1550×10-9))Ld
=(2n-1)π (nは整数) …(21)
となり、Ld=38.8μm(ただし、n=1とする)が信号光と位相共役光を完全分離する条件となる。したがって、石英光導波路61と62の長さの差および石英光導波路63と64の長さの差を38.8μmの整数倍に設定すれば、信号光と同一波長の位相共役光を信号光と完全に分離して出力ポート2から出力させることができる。

0085

また、本実施形態も光分散媒質と光非線形媒質を集積化した構成となるので、光回路部品点数の削減によるコスト低減が可能となり、量産性にも優れたものとなる。

0086

なお、光非線形媒質を構成する疑似位相整合光導波路としては、GaAs/AlGaAs半導体の他に、GaN系半導体、ZnSSe系半導体、LiNbO3、LiTaO3、KTP(KLiOPO4)、KDP(KH2PO4)、KNbO3等の材料を用いることができる。また、基板材料としては、Si、Ge、GaN、ZnSe半導体を用いることができる。

0087

(第9の実施形態:請求項5、8、9、10)第2の実施形態〜第8の実施形態の構成では、非線形マッハツェンダ干渉計24の2つの光経路の光学長誤差を補償するために、2次の光非線形媒質に電圧を印加する電源39(47)を備え、さらに励起光パワーをモニタする受光器40および制御回路41を備え、制御回路41の出力を電源39(47)にフィードバックする構成により、出力ポート2に位相共役光(波長変換光)が出力されるようにしている。第9の実施形態は、非線形ループミラー(非線形サニャック干渉計)を用いることにより、非線形マッハツェンダ干渉計における光学長誤差の補償を不要とするものである。

0088

図16は、本発明の光パラメトリック回路の第9の実施形態を示す。ここでは、信号光の波長を1550nm、励起光はその2次の高調波に相当する775nmとし、信号光波長と同じ波長1550nmの位相共役光を出力させる構成例を示す。

0089

本実施形態の基本構成は第7の実施形態とほぼ同じであるが、非線形マッハツェンダ干渉計24に代わり非線形ループミラー54を用いた点が異なる。非線形ループミラー54は、光合分波器25の2つのポートを、光分散媒質として用いる非疑似位相整合LiNbO3導波路51と、2次の光非線形媒質として用いる疑似位相整合LiNbO3導波路48を介してループ状に接続した構成である。すなわち、右回りの光経路では、非疑似位相整合LiNbO3導波路51と疑似位相整合LiNbO3導波路48が順に接続され、左回りの光経路では、疑似位相整合LiNbO3導波路48と非疑似位相整合LiNbO3導波路51が順に接続され、それぞれ非線形マッハツェンダ干渉計における2つの光経路に相当している。ただし、右回りおよび左回りの各成分は同一の光経路を通過するので、非線形マッハツェンダ干渉計のような2つの光経路における光学長誤差は無くなり、光学長の制御手段は不要となる。

0090

2次の光非線形媒質として疑似位相整合LiNbO3導波路48を用いたことによる波長変換効率ηPDは、第4の実施形態と同一条件で約1.66(2.2dB)となる。この場合には、位相共役光の増幅も可能になっている。

0091

また、光分散媒質として用いる非疑似位相整合LiNbO3導波路51の長さLdは、第6の実施形態と同一条件で9.7μmとなる。すなわち、光分散媒質として長さ9.7μmの非疑似位相整合LiNbO3導波路を用いた光パラメトリック回路を構成することにより、信号光と同一波長の位相共役光を信号光と完全に分離して出力ポート2から出力させることができる。

0092

また、上記の構成において、光合分波器25の2つの入力ポートに信号光と励起光をそれぞれ入力した場合には、出力ポート1に信号光が出力され、出力ポート2に位相共役光と励起光が出力される。この場合でも、波長変換光と励起光の波長差は大きいので、両者を容易に分離することができる。

0093

なお、第7の実施形態の構成に限らず、他の実施形態においてもマッハツェンダ干渉計24に代わり非線形ループミラー54を用いた構成とすることができる。ただし、非線形ループミラー54を用いた構成では、信号光および励起光の入出力ポートが同一になるので、出力された信号光および励起光を遮断する光アイソレータまたは光サーキュレータを用いる(図16では省略)。

0094

(第10の実施形態:請求項1〜6、11)図17は、本発明の光パラメトリック回路の第10の実施形態を示す。ここでは信号光の波長を1550nm、励起光はその2次の高調波に相当する775nmとし、信号光波長と同じ波長1550nmの位相共役光を出力させる構成例を示す。

0095

図17(a)に示す実施形態は、LiNbO3基板53上に形成した偏波混合器55,56の間に、第7の実施形態の光学長制御系を含む非線形マッハツェンダ干渉計24を2組配置した構成である。偏波混合器55は、信号光および励起光をp偏光成分とs偏光成分に分離してそれぞれ非線形マッハツェンダ干渉計24−1,24−2に人力し、出力されるp偏光成分およびs偏光成分の位相共役光を偏波混合器56で合成して出力する。これにより、入力信号光の偏波状態に関係なく、位相共役光を一定値で出力する偏波無依存型の光パラメトリック回路を構成することができる。

0096

2次の光非線形媒質における波長変換効率ηPDおよび光分散媒質の長さLdについては、第7の実施形態と同様である。また、非線形マッハツェンダ干渉計24−1,24−2の代わりに、図17(b)に示すように第9の実施形態の非線形ループミラー54を用いた構成としてもよい。

0097

なお、本実施形態に用いる光導波路としては、LiNbO3の他に、LiTaO3、KTP(KLiOPO4)、KDP(KH2PO4)、KNbO3等の材料を用いることができる。

0098

(第11の実施形態:請求項1、2、4、8、9、10、12)図18は、本発明の光パラメトリック回路の第11の実施形態を示す。ここでは、信号光の波長を1545nm、励起光の波長を1550nmとし、波長1555nmの波長変換光を出力させる構成例を示す。

0099

本実施形態の基本構成は第7の実施形態とほぼ同じであるが、励起光波長が信号光の波長帯にある点と、2次の光非線形媒質中で波長1550nmの励起光を一旦波長775nmに変換し(光カスケーディング)、その後に第7の実施形態と同一過程により波長変換光を発生させる点が異なる。上記の実施形態では、信号光波長と励起光波長が大きく異なるので、両者を同時に光パラメトリック回路の基底導波路モードに結合させることが困難である。一方、光カスケーディングを用いる本実施形態の場合には、信号光波長と励起光波長が同一帯域なので、両者を光パラメトリック回路の基底導波路モードに結合させることが容易になる。

0100

ただし、励起光の波長1550nmを一旦SHG過程により波長775nmに変換する形態をとるので、同一の励起光パワーに対する変換効率が低下する。また、マッハツェンダ干渉計24の光合分波器25の前段に、光カスケーディングのための2次の光非線形媒質として用いる疑似位相整合LiNbO3導波路57を備える。すなわち、信号光と励起光の合波光を疑似位相整合LiNbO3導波路57に入力し、波長1545nmの信号光と波長775nmに変換した励起光を光合分波器25に入力する。

0101

ここで、励起光パワーPP=1000mW、波長1550nmの励起光は、長さLn=5cmの疑似位相整合LiNbO3導波路57でパワー800mW、波長775nmの励起光に変換される。この励起光と信号光が光合分波器25で2分岐され、一方の光経路では非疑似位相整合LiNbO3導波路51を介して疑似位相整合LiNbO3導波路48に入力されて波長変換光を発生させる。他方の光経路では、励起光と信号光が疑似位相整合LiNbO3導波路49に入力されて波長変換光を発生させ、さらに非疑似位相整合LiNbO3導波路52に入力される。そして、光合分波器26で信号光および励起光と波長変換光が分離され、それぞれ異なる出力ポートに出力される。

0102

ここで、光非線形媒質として用いる疑似位相整合LiNbO3導波路48,49の長さLn=6cm、有効断面積A=50μm2、2次の非線形係数d=5×10−23(MKS)とすると、(18)式より変換パラメータηPD′は9.2×10−5(mW−1cm−2)となる。波長775nmの励起光パワーPP=800mWとすると、波長変換効率ηPDは、約0.33(−4.8dB)となる。

0103

また、光分散媒質として用いる非疑似位相整合LiNbO3導波路51,52の長さLdは、第6の実施形態と同一条件で9.7μmとなる。すなわち、光分散媒質として長さ9.7μmの非疑似位相整合LiNbO3導波路を用いた光パラメトリック回路を構成することにより、信号光と同一波長の位相共役光を信号光と完全に分離して出力ポート2から出力させることができる。

0104

なお、本実施形態の光カスケーディングを用いた構成は、第10の実施形態に示す2つの非線形マッハツェンダ干渉計を用いた偏波無依存型の光パラメトリック回路にも適用することができる。以下に示す実施形態においても同様である。

0105

また、本実施形態に用いる光導波路としては、LiNbO3の他に、LiTaO3、KTP(KLiOPO4)、KDP(KH2PO4)、KNbO3等の材料を用いることができる。、
(第12の実施形態:請求項1、2、4、8、9、10、13)図19は、本発明の光パラメトリック回路の第12の実施形態を示す。ここでは、信号光の波長を1545nm、励起光の波長を1550nmとし、波長1555nmの波長変換光を出力させる構成例を示す。

0106

本実施形態の基本構成は第11の実施形態とほぼ同じであるが、マッハツェンダ干渉計24の2つの光経路の前段部に、光カスケーディングのための2次の光非線形媒質として用いる疑似位相整合LiNbO3導波路57,58を備えた点が異なる。すなわち、光合分波器25と光分散媒質として用いる非疑似位相整合LiNbO3導波路51との間に疑似位相整合LiNbO3導波路57を配置し、光合分波器25と2次の光非線形媒質として用いる疑似位相整合LiNbO3導波路49との間に疑似位相整合LiNbO3導波路58を配置する。なお、疑似位相整合LiNbO3導波路49,58は、実質的に1本の導波路を形成する。

0107

ここで、励起光パワーPP=1000mW、波長1550nmの励起光は、光合分波器25で2つの光経路に分岐され、長さLn=5cmの疑似位相整合LiNbO3導波路57,58で総計パワー800mW、波長775nmの励起光に変換される。一方の光経路では、この励起光と信号光が非疑似位相整合LiNbO3導波路51に入力され、さらに疑似位相整合LiNbO3導波路48に入力されて波長変換光を発生させる。他方の光経路では、励起光と信号光が疑似位相整合LiNbO3導波路49に入力されて波長変換光を発生させ、さらに非疑似位相整合LiNbO3導波路52に入力される。そして、光合分波器26で信号光および励起光と波長変換光が分離され、それぞれ異なる出力ポートに出力される。

0108

ここで、光非線形媒質として用いる疑似位相整合LiNbO3導波路48,49における波長変換効率ηPD、光分散媒質として用いる非疑似位相整合LiNbO3導波路51,52の長さLdは第11の実施形態と同様である。

0109

(第12の実施形態の変形)図20は、第12の実施形態における光分散媒質および2次の光非線形媒質の構成例1を示す。図21は、第12の実施形態における光分散媒質および2次の光非線形媒質の構成例2を示す。

0110

図において、光カスケーディングのための2次の光非線形媒質として用いる疑似位相整合LiNbO3導波路57,58、波長変換光を発生させる2次の光非線形媒質となる疑似位相整合LiNbO3導波路48,49は、分極反転領域50と非分極反転領域70で(4)式の非線形光学定数dの絶対値が一致し、符号のみが反転しているものとする。すなわち、分極反転領域50と非分極反転領域70の長さが一致し、分極反転周期の1/2とする。

0111

ここで、図20および図21(a)に示すように、疑似位相整合LiNbO3導波路48,49のそれそれの分極反転領域50と非分極反転領域70が交互になるように形成し、かつそれぞれの長さを9.7μmとする。これにより、疑似位相整合LiNbO3導波路48の最初の非分極反転領域70を、一方の光分散媒質として用いる長さ9.7μmの非疑似位相整合LiNbO3導波路51とし、疑似位相整合LiNbO3導波路49の最後の非分極反転領域70を、他方の光分散媒質として用いる長さ9.7μmの非疑似位相整合LiNbO3導波路52とすることができる。すなわち、見かけ上、光分散媒質と光非線形媒質の区別がなくなる。

0112

なお、図20は、疑似位相整合LiNbO3導波路57,58のそれぞれの分極反転領域50と非分極反転領域70の位置が重なるようにしたものであるが、図21(a)に示すように、疑似位相整合LiNbO3導波路57,58についても、それそれの分極反転領域50と非分極反転領域70が交互になるように形成してもよい。

0113

また、図21(b)は、図21(a)の構成において、疑似位相整合LiNbO3導波路57の最初の非分極反転領域70を、一方の光分散媒質として用いる非疑似位相整合LiNbO3導波路51としたものである。

0114

(第13の実施形態:請求項5、8、9、10、12)図22は、本発明の光パラメトリック回路の第13の実施形態を示す。ここでは、信号光の波長を1545nm、励起光の波長を1550nmとし、波長1555nmの波長変換光を出力させる構成例を示す。

0115

本実施形態の基本構成は第9の実施形態とほぼ同じであるが、励起光波長が信号光の波長帯にある点と、2次の光非線形媒質中で波長1550nmの励起光を一旦波長775nmに変換し(光カスケーディング)、その後に第9の実施形態と同一過程により波長変換光を発生させる点が異なる。すなわち、非線形ループミラー54の光合分波器25の前段に、光カスケーディングのための2次の光非線形媒質として用いる疑似位相整合LiNbO3導波路57を備える。そして、信号光と励起光の合波光を疑似位相整合LiNbO3導波路57に入力し、波長1545nmの信号光と波長775nmに変換した励起光を光合分波器25に入力する。

0116

2次の光非線形媒質として疑似位相整合LiNbO3導波路48を用いたことによる波長変換効率ηPDは、第4の実施形態と同一条件で約1.66(2.2dB)となる。この場合には、波長変換光の増幅も可能になっている。

0117

また、光分散媒質として用いる非疑似位相整合LiNbO3導波路51の長さLdは、第6の実施形態と同一条件で9.7μmとなる。すなわち、光分散媒質として長さ9.7μmの非疑似位相整合LiNbO3導波路を用いた光パラメトリック回路を構成することにより、波長1555nmの波長変換光を信号光と完全に分離して出力ポート2から出力させることができる。

0118

(第14の実施形態:請求項1、2、4、8、9、10、13、14)図23は、本発明の光パラメトリック回路の第14の実施形態を示す。ここでは、信号光の波長を1549.5nm、励起光の波長を1545nmおよび1555nmとし、波長1550.5nmの波長変換光を出力させる構成例を示す。

0119

本実施形態の基本構成は第12の実施形態とほぼ同じであるが、励起光として2波を用いる点と、2次の光非線形媒質中で波長1545,1555nmの励起光を結合して一旦波長775nmに変換する点が異なる(光カスケーディング)。その後に第12の実施形態と同一過程により、波長1550.5nmの波長変換光を発生させることができる。なお、励起光として信号光の波長を対称の中心とする波長を有する2波を用いた場合には、信号光波長と同一の波長を有する位相共役光を出力させることができる。

0120

また、本実施形態に用いる光導波路としては、LiNbO3の他に、LiTaO3、KTP(KLiOPO4)、KDP(KH2PO4)、KNbO3等の材料を用いることができる。

発明の効果

0121

以上説明したように、本発明の光パラメトリック回路は、光分散媒質と2次の光非線形媒質を組み合わせた非線形マッハツェンダ干渉計または非線形ループミラーを用いることにより、信号光および励起光と波長変換光(または位相共役光)とを波長差に関係なく分離して取り出すことができる。これにより、従来の光パラメトリック波長変換で要求された入力信号光遮断用の光フィルタが不要になり、フィルタリングに必要であったガードバンドも不要になるので、与えられた波長空間を有効に利用することができる。

0122

さらに、位相共役光を発生させる場合においても、入力信号光と同一波長の位相共役光を発生させ、かつ両者を完全分離することができ、従来技術では不可能であった機能を実現することができる。これを光伝送システムに用いることにより、光ファイバ伝送で問題となっているファイバ非線形効果に起因した信号光スペクトル広がりを抑制できる。これにより、さらに伝送可能距離の延伸通信品質の向上を図ることが可能となる。

0123

また、励起光パワーや光非線形媒質の長さ等を適当に設定することにより、入力信号光に対する波長変換光(または位相共役光)の光パラメトリック増幅を行うことができる。

0124

また、本発明の光パラメトリック回路は高速波長変換が可能であるので、光波長ルータ機能デバイスとしても利用可能である。

0125

本発明は、上記の実施例に限定されることなく、特許請求の範囲内で種々変更・応用が可能である。

図面の簡単な説明

0126

図1本発明の光パラメトリック回路の基本構成を示す図である。
図2本発明の光パラメトリック回路の第1の実施形態を示す図である。
図3本発明の光パラメトリック回路の第2の実施形態を示す図である。
図4本発明の光パラメトリック回路の第3の実施形態を示す図である。
図5本発明の光パラメトリック回路の第4の実施形態を示す図である。
図6疑似位相整合LiNbO3導波路の効果を説明するための図である。
図7本発明の光パラメトリック回路の第5の実施形態を示す図である。
図8本発明の光パラメトリック回路の第6の実施形態を示す図である。
図9第6の実施形態における光分散媒質および2次の光非線形媒質の構成例を示す図である。
図10第6の実施形態の変形1における問題点を説明するための図である。
図11変調パタンを用いる方法を説明するための図である。
図123重の変調を加え8つの励起光波長帯で位相整合条件を満足できるようにした例を示す図である。
図13第6の実施形態の変形2における疑似位相整合LiNbO3導波路48を示す図である。
図14本発明の光パラメトリック回路の第7の実施形態を示す図である。
図15本発明の光パラメトリック回路の第8の実施形態を示す図である。
図16本発明の光パラメトリック回路の第9の実施形態を示す図である。
図17本発明の光パラメトリック回路の第10の実施形態を示す図である。
図18本発明の光パラメトリック回路の第11の実施形態を示す図である。
図19本発明の光パラメトリック回路の第12の実施形態を示す図である。
図20第12の実施形態における光分散媒質および2次の光非線形媒質の構成例1を示す図である。
図21第12の実施形態における光分散媒質および2次の光非線形媒質の構成例2を示す図である。
図22本発明の光パラメトリック回路の第13の実施形態を示す図である。
図23本発明の光パラメトリック回路の第14の実施形態を示す図である。
図24従来の波長変換素子の基本構成を示す図である。

--

0127

10WDMカプラ
11、16光合分波器
12、15光分散媒質
13、14 2次の光非線形媒質
21半導体レーザ光源(LD)
22電源
23 WDMカプラ
24非線形マッハツェンダ干渉計
25、26 光合分波器
27、28セレン化亜鉛
29、30 AANP結晶
31、32反射ミラー
33、34 合成サファイヤ
35、36 LiTaO3結晶
37、38電極
39 電源
40受光器
41制御回路
42、43フューズドシリカ
44、45 GaAlAs半導体導波路
46、47 電源
48、49疑似位相整合LiNbO3導波路
50分極反転領域
51、52 非疑似位相整合LiNbO3導波路
53 LiNbO3基板
54非線形ループミラー
55、56偏波混合器
57、58 疑似位相整合LiNbO3導波路(光カスケーディング用)
60石英基板
61〜64石英光導波路
65、66 疑似位相整合GaAs/AlGaAs導波路
70 非分極反転領域

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