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技術 金属疲労識別装置及び金属疲労識別システム

出願人 株式会社マエダ
発明者 前田東吉大久保正喬齋藤雅彦齋藤周平関根和喜
出願日 2001年9月28日 (18年9ヶ月経過) 出願番号 2001-303377
公開日 2002年6月21日 (18年0ヶ月経過) 公開番号 2002-174625
状態 未査定
技術分野 磁気的手段による材料の調査、分析
主要キーワード 稼働装置 コイル仕様 危険域 疲れ試験 プラグインタイプ 渦流式 フィルタ類 測定個所
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2002年6月21日)のものです。
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図面 (10)

課題

金属に亀裂が発生する前の段階において、疲労の進行状態を定量的に検出し、さらに検出のための操作も簡略に行える金属疲労識別装置及び金属疲労識別システムを提供することを目的とする。

解決手段

金属材料からなる検査試料11の疲労を識別する装置であって、交流電流が入力されて磁場を形成する励磁コイル21と、励磁コイル21により電磁誘導され検査試料11による前記磁場の変化を出力する誘導コイル22とを備えた検出コイル部20を有し、検査試料11の検査時の励磁コイル21への交流電流は、基準試料12の検査時に検出コイル部20の出力が最大となる周波数f0に特定されることにより、上記課題を解決する。

概要

背景

現在、金属疲労の検出においては、金属の疲労が進行し破断する前段階の亀裂の発生を危険域として捉え、この亀裂の有無を発見することによって、金属の破断を未然に防止する方法が一般的に行われている。具体的には、X線や超音波による透過、反射などの技術を利用して、金属内部における亀裂を検出したり、あるいは磁力を利用して、金属表面の亀裂を検出したりする方法が用いられている。

中でも特に、非破壊検査において簡単に金属の亀裂を検出する方法として、磁気を用いた渦流式センサが広く利用されている。これは、励磁コイル交流電流印加して磁場を形成し、検査試料に生じせしめた渦流が、亀裂によって変化することを誘導コイルで検出するものである。

概要

金属に亀裂が発生する前の段階において、疲労の進行状態を定量的に検出し、さらに検出のための操作も簡略に行える金属疲労識別装置及び金属疲労識別システムを提供することを目的とする。

金属材料からなる検査試料11の疲労を識別する装置であって、交流電流が入力されて磁場を形成する励磁コイル21と、励磁コイル21により電磁誘導され検査試料11による前記磁場の変化を出力する誘導コイル22とを備えた検出コイル部20を有し、検査試料11の検査時の励磁コイル21への交流電流は、基準試料12の検査時に検出コイル部20の出力が最大となる周波数f0に特定されることにより、上記課題を解決する。

目的

このような従来の課題を考慮して、本発明は、金属に亀裂が発生する前の段階において、疲労の進行状態を定量的に検出し、さらに検出のための操作も簡略に行える金属疲労識別装置及び金属疲労識別システムを提供することを目的とするものである。

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
3件

この技術が所属する分野

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請求項1

金属材料からなる検査試料の疲労を識別する装置であって、交流電流が入力されて磁場を形成する励磁コイルと、励磁コイルにより電磁誘導され検査試料による前記磁場の変化を出力する誘導コイルとを備えた検出コイル部を有し、検査試料の検査時の励磁コイルへの交流電流は、基準試料の検査時に検出コイル部の出力が最大となる周波数f0に特定される金属疲労識別装置

請求項2

請求項1記載の金属疲労識別装置において、基準試料は、検査試料と同質で金属疲労のない試料であることを特徴とする金属疲労識別装置。

請求項3

請求項1または2記載の金属疲労識別装置において、検出コイル部には磁芯として高透磁性部材が備えられ、この高透磁性部材と基準試料と励磁コイルと誘導コイルとを有する系が同調回路を形成するときの周波数が、前記周波数f0として選択される金属疲労識別装置。

請求項4

請求項1から3のいずれかに記載の金属疲労識別装置において、検査試料の検査時の励磁コイルへの交流電流は、前記周波数f0の半値幅の範囲内から選ばれることを特徴とする金属疲労識別装置。

請求項5

請求項1から4のいずれかに記載の金属疲労識別装置において、金属材料として、磁性材料及び非磁性材料適用対象とすることを特徴とする金属疲労識別装置。

請求項6

請求項1から5のいずれかに記載の金属疲労識別装置において、検出コイル部は、携帯可能なケーシング内に収納され、このケーシング内には、励磁コイルに入力する交流電流の周波数を設定する周波数設定部と、検出コイル部の入出力から乗算値を出力する検出回路部と、この検出回路部の出力を定量化して表示する表示部と、電源部と、外部装置と接続するための端子部とが備えられることを特徴とする金属疲労識別装置。

請求項7

交流電流が入力されて磁場を形成する励磁コイルと励磁コイルにより電磁誘導され検査試料による前記磁場の変化を出力する誘導コイルとを有する検出コイル部を備え、基準試料を検査して、検出コイル部の出力が最大となる特定の周波数f0を求め、この特定の周波数f0を周波数設定部に設定して検査試料を検査し、検出コイル部の入出力の変化から検査試料の金属疲労の度合いを識別する金属疲労識別システム

--

0001

本発明は、金属の疲労を検出する装置及びシステムに関するものであって、特に金属疲労の中でも亀裂が発生する前段階を検出する装置及びシステムに関する技術分野に属する。

0003

現在、金属疲労の検出においては、金属の疲労が進行し破断する前段階の亀裂の発生を危険域として捉え、この亀裂の有無を発見することによって、金属の破断を未然に防止する方法が一般的に行われている。具体的には、X線や超音波による透過、反射などの技術を利用して、金属内部における亀裂を検出したり、あるいは磁力を利用して、金属表面の亀裂を検出したりする方法が用いられている。

背景技術

0004

中でも特に、非破壊検査において簡単に金属の亀裂を検出する方法として、磁気を用いた渦流式センサが広く利用されている。これは、励磁コイル交流電流印加して磁場を形成し、検査試料に生じせしめた渦流が、亀裂によって変化することを誘導コイルで検出するものである。

0005

しかし、このような渦流式では、亀裂の形状や大きさによって検出できる周波数が異なるため、感度良く検出するためには、検出時に励磁コイルに印加する交流電流の周波数を変化させたり、周波数を複数化したりといった方法が必要であった。そのため、操作や装置構成が複雑になり、特に、非破壊検査を目的として、機動性を有した測定が必要な場合には、装置を小型化したり操作性を向上させたりすることが望まれていた。

発明が解決しようとする課題

0006

また、金属疲労の検出において、亀裂が発生した状態というのは破壊の一歩手前の状態であり、その時点で金属疲労を検出しても、余寿命推定という観点では不十分であった。そのため、亀裂が発生する前のさらに早期の段階で疲労を発見し、疲労の有無だけでなくその度合いも識別できることが望まれていた。

0007

このような従来の課題を考慮して、本発明は、金属に亀裂が発生する前の段階において、疲労の進行状態を定量的に検出し、さらに検出のための操作も簡略に行える金属疲労識別装置及び金属疲労識別システムを提供することを目的とするものである。

0008

前記課題を解決するために、本発明の金属疲労識別装置は、次のような手段を採用する。

課題を解決するための手段

0009

すなわち、請求項1では、金属材料からなる検査試料の疲労を識別する装置であって、交流電流が入力されて磁場を形成する励磁コイルと、励磁コイルにより電磁誘導され検査試料による前記磁場の変化を出力する誘導コイルとを備えた検出コイル部を有し、検査試料の検査時の励磁コイルへの交流電流は、基準試料の検査時に検出コイル部の出力が最大となる周波数f0に特定される。

0010

この手段では、金属材料からなる検査試料の亀裂が発生する前の疲労を、励磁コイルにより形成された磁場の変化として捉え、誘導コイルの出力から検出して識別がなされる。特に、あらかじめ基準試料を検査して検出コイル部の出力が最大となる周波数f0を求め、この周波数f0に特定して検査試料を検査することにより、SN比が高められ検出精度が向上される。

0011

また、請求項2では、請求項1記載の金属疲労識別装置において、基準試料は、検査試料と同質で金属疲労のない試料であることを特徴とする。

0012

この手段では、検査試料と基準試料の金属疲労に起因する変化のみが感度良く検出される。

0013

また、請求項3では、請求項1または2記載の金属疲労識別装置において、検出コイル部には磁芯として高透磁性部材が備えられ、この高透磁性部材と基準試料と励磁コイルと誘導コイルとを有する系が同調回路を形成するときの周波数が、前記周波数f0として選択される。

0014

この手段では、励磁コイルと誘導コイルと高透磁性部材と基準試料とを全体として相互インダクタンスを有する系において、同調回路が形成されるとき検出コイル部の出力が最大となるため、このときの周波数を特定の周波数f0として決定する。そして、この周波数f0を用いて検査試料が検査されるため、高感度に金属疲労の検出がなされる。

0015

また、請求項4では、請求項1から3のいずれかに記載の金属疲労識別装置において、検査試料の検査時の励磁コイルへの交流電流は、前記周波数f0の半値幅の範囲内から選ばれることを特徴とする。

0016

この手段では、基準試料の検査時に検出コイル部の出力が最大となる周波数f0において、振幅半値となる周波数(振幅が3dB低下する周波数)をf0−Δf0、f0+Δf0とすると、検査試料の検査時の励磁コイルへの交流電流は、f0±Δf0の範囲内から選ばれて、金属疲労の検出がなされる。

0017

また、請求項5では、請求項1から4のいずれかに記載の金属疲労識別装置において、金属材料として、磁性材料及び非磁性材料適用対象とすることを特徴とする。

0018

この手段では、適用対象となる金属材料は、磁性の有無に拘わらず、鉄鋼アルミニウムステンレスを始めとする全ての金属材料から選ばれる。

0019

また、請求項6では、請求項1から5のいずれかに記載の金属疲労識別装置において、検出コイル部は、携帯可能なケーシング内に収納され、このケーシング内には、励磁コイルに入力する交流電流の周波数を設定する周波数設定部と、検出コイル部の入出力から乗算値を出力する検出回路部と、この検出回路部の出力を定量化して表示する表示部と、電源部と、外部装置と接続するための端子部とが備えられることを特徴とする。

0020

この手段では、検査試料の検出に必要な機能が全てケーシングに収納されているため、検査時の機動性が向上される。また、表示部により定量的に認識できるため、検査のその場で金属疲労の度合いが識別される。また、端子部により外部装置との接続が容易になされる。

0021

また、前記課題を解決するために、本発明の金属疲労識別システムは、次のような手段を採用する。

0022

すなわち、請求項7では、交流電流が入力されて磁場を形成する励磁コイルと励磁コイルにより電磁誘導され検査試料による前記磁場の変化を出力する誘導コイルとを有する検出コイル部を備え、基準試料を検査して、検出コイル部の出力が最大となる特定の周波数f0を求め、この特定の周波数f0を周波数設定部に設定して検査試料を検査し、検出コイル部の入出力の変化から検査試料の金属疲労の度合いを識別する金属疲労識別システム。

0023

この手段では、あらかじめ基準試料を用いて周波数f0を求めた後、その周波数f0に固定したまま検査試料を検査しているため、検査試料を検査する段階で、周波数を変化させたり、複数設定したりする操作が不要となり、操作の煩わしさが解消される。

0024

以下、本発明の金属疲労識別装置の基本的な実施の形態について図面に基づいて説明する。図1は実施の形態(1)の検出コイル部付近概念図、図2は実施の形態(1)の検出コイル部付近の等価回路図図3は実施の形態(1)で基準試料による周波数の特定を説明するモデル図、図4は実施の形態(1)の金属疲労識別装置のブロック図、図5は実施の形態(1)の金属疲労識別装置の構成図、図6は実施の形態(1)の検出コイル部の出力の変化を説明するモデル図、図7は実施の形態(1)の外観の一例を示す斜視図、図8は実施の形態(1)を用いたシステムのフローチャートを示している。

発明を実施するための最良の形態

0025

実施の形態(1)の金属疲労識別装置100は、金属材料からなる検査試料11の疲労を識別する装置であって、交流電流が入力されて磁場を形成する励磁コイル21と、励磁コイル21により電磁誘導され検査試料11による前記磁場の変化を出力する誘導コイル22とを備えた検出コイル部20を有し、検査試料11の検査時の励磁コイル21への交流電流は、基準試料12の検査時に検出コイル部20の出力が最大となる周波数f0に特定される。

0026

なお、ここ言う金属疲労とは、従来から一般的に言われている金属の透磁率導電率の低下した状態を指している。また、検査試料11とは、金属の疲労を検出しようとする試料を、基準試料12とは、検査試料11と同質で未疲労の試料を意味しており、これらを総合して試料10とする。

0027

検出コイル部20は、いわゆる渦流型のセンサ構造を呈しており、図1に示すように1次側となる励磁コイル21が高透磁性部材である磁芯23に巻回され、この励磁コイル21の磁束に鎖交して電磁誘導されるよう2次側となる誘導コイル22が設けられている。また、誘導コイル22は同一構成の一対の誘導コイル22a、22bが差動で出力されるように接続されている。具体的には励磁コイル21と誘導コイル22の構成としては、例えば磁芯23の外周に励磁コイル21を巻回し、その外周面に誘導コイル22を巻回する構成や、またはその逆の構成や、一列に並設する構成等が挙げられる。磁芯23には、透磁率の高いフェライトが好適であるが、この素材に限定されるものではない。

0028

検出コイル部20の磁芯23の一方端に対向する位置で、励磁コイル21が形成する磁場中が、被検査部24となり、ここに試料10が配置される。この試料10は、被検査部24の任意の位置に設置可能であるが、磁芯23に接触(リフトオフ=0)させ、磁芯23の中心線と試料10の接触面とが垂直になるよう設置することが好ましい。これにより、試料10の設置位置による検出誤差が防止されるとともに、検出感度も大幅に向上する。

0029

なお、検出コイル部20のコイル仕様(径や巻数等の諸条件)は、異なる材質の検査試料11であっても共用化することができるが、材質に応じてコイル仕様を最適化しておくと、検出の精度をさらに向上させることができる。

0030

このように構成された検出コイル部20付近の状態を、図2(なお、図1、2、5では差動で出力することを意味する●を回路図に図示している)の等価回路図を用いて説明する。検出コイル部20では、1次側の励磁コイル21が2つの励磁コイル21a、21bから構成されそれぞれインダクタンスL1a、L1bを有する。一方2次側の誘導コイル22は差動で出力されるよう接続された2つの誘導コイル22a、22bから構成されそれぞれインダクタンスL2a、L2bを有している。そしてこれらのコイルと磁芯23とで構成される電磁誘導の回路に、基準試料12を磁芯23に接触させて付加している。なおここでは、誘導コイル22a、22bのそれぞれに並列コンデンサC2a、C2bを接続し、全体として相互インダクタンスMを有する系を形成して、同調回路を形成させている。そして、この相互インダクタンスMを有する系が、同調回路となるときの周波数f0が求められる。すなわち、この図2に示す回路で図3に示すように、励磁コイル21側に入力する交流電流の周波数fを変化させ、誘導コイル22側からの出力V2を観察し、V2が最大となったときのfを同調周波数f0として求めるのである(以下この操作を初期調整と記す)。そして、基準試料12に替えて検査試料11を磁芯23に接触させて、先の同調周波数f0を入力し、このときの相互インダクタンスMの変化の度合いを検出することで、検査試料11の金属疲労の度合いが検出される。

0031

なお、同調周波数f0は厳密に設定することで検出精度は向上されるが、操作の効率等を考慮すると同調周波数f0の半値幅の範囲内から選んで設定して良い。すなわち、検出コイル部20からの出力V2の振幅がピーク値を示す同調周波数f0から、振幅が3dB低下する周波数をf0−Δf0、f0+Δf0とした場合に、f0±Δf0の範囲から選ばれた周波数を検査試料11の検出に用いて良い。

0032

基準試料12は、測定しようとする検査試料11が決まった段階で、検査試料11と同質でかつ未疲労の試料が準備される。そして、この基準試料12を用いて検査前に上述の初期調整を行うことで、検出コイル部20の製造上のバラツキを吸収した上で、同調周波数f0を決定するができる。そのため、金属疲労識別装置100は個体差補正された精度の良い測定が行うことができる。また、同調周波数f0は、基準試料12で最大出力V2が得られる周波数であるため、同質の検査試料11を検査した際にSN比が高く、検出の感度にも優れている。また、このように同調周波数f0を求める操作によって、検出コイル部20に形成される同調回路が1種のフィルタとして利用されるため、フィルタ類移相器等の回路が不要となり装置の構成が簡素化でき、全体として小型化、低価格化が図れる。

0033

この検出コイル部20を有する金属疲労識別装置100のブロック図を図4に示す。検出コイル部20の後段に設けられる検出回路部50には、励磁コイル21に入力される信号が分岐され基準の基準信号41として入力されるとともに、誘導コイル22から出力された検出信号25が入力される。また、その他に金属識別装置100には、検出コイル部20に入力される交流電流の周波数fを調整し設定するため周波数設定部40と、検出回路部50の出力を数値化して表示する表示部60と、電源となる電源部30とが設けられている。さらに、外部装置80を接続するための端子部70も設けられている。

0034

検出回路部50は、図5に示すように増幅器51と乗算器52とを備えており、入力された検出信号25が増幅されて基準信号41との乗算処理が施される。図6は、未疲労の基準試料12と金属疲労を生じている検査試料11の、誘導コイル22側の出力レベル(検出信号25)を比較した状態を模式的に示すグラフである。図6中のS1は基準試料12の場合を、S2は検査試料11の場合を示している。図6では、横軸の周波数(kHz)を共用し、図6中の上のグラフは、S1とS2の出力レベルの振幅(V)を比較したもの、図6中の下のグラフは、S1とS2の出力レベルの位相(°)を比較したものを示している。検査試料11に金属疲労が生じている場合には、透磁率と導電率が低下しているため、検出コイル部20において相互インダクタンスMの変化を引き起こす。そのため、検査試料11の検出信号25(S2)は、基準試料の検出信号25(S1)と比較すると、振幅においては、出力V2のピーク値の変化(ΔV2)とピーク周波数の変化(Δf)が表れる。また、位相においても、位相のずれ(Δθ)が表れる。従って、これらΔV2、Δf、Δθとして表出する変化の大きさは、金属疲労劣化進行度を測る識別信号として捉えることができるのである。なお、図6に示すこれらの変化の増減の傾向、及びその度合いは一例であるため、これに限定されるものではない。

0035

出力V2の振幅のピーク値、ピーク周波数、位相において変化を受けた状態の検出信号25(S2)は、乗算器52に入力されて、基準信号41と乗算処理されることで検出回路部50の出力に反映される。この乗算処理された結果を表示部60で乗算値として定量的に表示することにより、金属の疲労の状態が数値化される。そして、金属の疲労の度合いの識別は、基準試料12の検査時に表示される乗算値D0と、検査試料11の検査時に表示される乗算値Dxを比較することにより行われる。金属に疲労が生じている場合には、DxはD0を基点として正または負に変化する。(一般的には強磁性体ではDxはD0より低下し、非磁性体では上昇することが多い。)従って、基準試料11と検査試料12の乗算値を比較することにより、金属疲労の有無及びその進行度を定量的に評価することができるのである。金属材料の種類により乗算値Dxは乗算値D0より大きくなる場合も小さくなる場合もある。なお、ここでは乗算値として結果を取り出しているが、振幅のピーク値(V2)、ピーク周波数(f)、位相(°)をそれぞれ取り出して、基準試料11と検査試料12とを比較してもよい。

0036

上述の乗算値は、金属疲労のデータとして蓄積することで、識別の精度を向上させることができるとともに、金属疲労箇所の余寿命の推定などに有効に活用できる。

0037

このように構成された金属疲労識別装置100の各部は、携帯可能なケーシング90に収納されている。図7に外観の一例を示している。図7は、ハンディタイプで上置き型に構成した例で、先端に突出した磁芯23を試料10に接触させて検査し、表示部60の表示で試料10の金属疲労の度合いを定量的に識別できるように構成している。また、ケーシング90の側面には、外部装置への出力を可能とする端子部70としてプラグインタイプ端子や、周波数設定部40の調整器42としてボリュームが配置されている。また、電源部30には、携帯に便利な電池が使用されている。

0038

これにより、例えば、基準試料12を用いた初期調整をあらかじめ行い同調周波数f0に設定しておくと、ケーシング90だけ自由に持ち運んで、任意の場所で検査試料11の測定を行うことができ、運搬や操作がきわめて容易となる。そのため、実験室等で試験片を試料として検査するだけでなく、稼働設備現場にそのまま持ち込み、金属疲労が懸念される箇所を非破壊リアルタイムに測定することも可能となる。

0039

なお、図7で示した金属疲労識別装置100の形態は一例であり、ケーシング90の形もこれに限定されるものではない。また、必ずしも一括した形態でなくても良く、2部材またはそれ以上で構成しても良い。

0040

この金属疲労識別装置100の適用対象は、金属材料であり、磁性材料、非磁性材料に拘わらずすべて金属の疲労を検出することができ、例えば、鉄鋼、アルミニウム、ステンレス、また航空機に使用される特殊な金属等にも適用できる。

0041

次に、本発明の金属疲労識別装置100を用いた金属疲労識別システムの手順について図8に沿って説明する。

0042

まずステップ1で、基準試料12を被検査部24に設置する。これは検査試料11に応じた初期調整を行うためであり、基準試料12には、検査試料11と同質で金属疲労のない試料が選ばれる。なお、設置に際しては、磁芯23に垂直に接触するように設置される。

0043

次にステップ2で、端子部70に外部装置80として、オシロスコープ82を接続する。また、振幅と位相を定量的に確認するために、端子部70とオシロスコープ82との間にロックインアンプ81を接続しても良い。

0044

次にステップ3で、周波数設定部40を調整して、励磁コイル21に入力される交流電流の周波数fを動かし、オシロスコープ82で誘導コイル22の出力電圧V2を観察する。

0045

次にステップ4により、誘導コイル22側の出力電圧V2がピーク値になる点、すなわち同調周波数f0を求めて、このf0に周波数設定部40を設定し、同時に表示部60に表示された数値D0を読みとる。そして、外部装置80との接続を取り外す。

0046

次にステップ5により、被検査部24に検査試料11を設置する。基準試料12と同様に磁芯23に垂直に接触するように設置する。

0047

次にステップ6により、表示部60の数値Dxを読みとり、基準試料11を検査した時の表示部60の値D0と比較し、検査試料11の金属疲労の度合いを識別する。

0048

なお、同じ材質の検査試料11であれば、ステップ5からの作業を繰り返し、順次検査が行われる。また、ステップ5の測定時に、基準試料12の測定と同じ外部装置80を接続したままで検査を行っても良い。

0049

次に、実施例を用いて、本発明の金属疲労識別装置及び金属疲労識別システムをさらに詳細に説明する。

0050

(実施例1)本発明の金属疲労識別装置100による金属疲労の検出を確認するために、試験片を用いた実験を行った。実験方法は、JISZ2273「金属材料の疲れ試験方法通則」に準じて実施した。まず、鉄鋼(材質:S20C)の未疲労金属を用いて試験片を作製した。この試験片を被検査部24に設置し、磁芯23を垂直に接触させた。そして、端子部70にロックインアンプ81を介してオシロスコープ82を接続し、誘導コイル22の出力電圧を観察した。周波数設定部40のボリュームにて、励磁コイル21に印加される交流電流の周波数を変化させたところ、周波数2.09kHzにて、出力電圧がピーク値となったので、f0=2.09kHzとし、その状態で周波数設定部40での調節を終了した。この時、乗算値D0=222であり、ロックインアンプ81に表示される検出回路50の振幅及び検出コイル部20の入出力における位相の差は、振幅A=0.308V、位相φ=89.26°であった。この測定を行った試験片は210mm×11(一部35)mm、厚み6mmであった。

0051

次に、試験片を疲労機(サーボパルサー式2柱縦型試験機)にセットし、10Hzで187万2千回の疲労試験を行った。この状態では試験片には破断が生じていなかった。そして、再度被検査部24に設置し、先の測定と同じポイントを磁芯23に接触させ、初期調整のf0=2.09kHzを入力して検査をおこなった。その結果を図9に示す。図9では、試験片での測定個所測定値を関連させて示している。測定は、ポイントX〜Y間で間隔を開けて行っている。測定された乗算値としては、中央のポイントAが最も低く、Da=166(〜25%低下)であり、ロックインアンプ81に表示される検出回路部50の振幅及び検出コイル部20の入出力における位相の差は、振幅A=0.255V(〜19%低下)、位相φ=84、58°(4.68°の差)であった。そして、中央から両端側に近くなるに従って乗算値は上昇し、ポイントX、Yでは未疲労に近い乗算値を示した。

0052

このように、試験片を疲労試験にかけ、未疲労の状態と金属疲労が発生した状態を比較することによって、明らかに表示部に表示される乗算値に低下がみられ、金属の疲労の度合いに従って乗算値の低下の度合いも変わることことも確認できた。これにより、本発明の金属疲労識別装置、及び金属疲労識別システムは、金属の疲労を識別するのにきわめて有効な手段であることがわかった。

0053

以上、詳述してきたように、本発明の金属疲労識別装置は、検査試料の検査時に励磁コイルに入力される交流電流の周波数を、基準試料の検査時に検出コイル部の出力が最大となる周波数に特定することを特徴としている。これにより、金属に生じた疲労を亀裂が発生する前の段階で検出することができ、疲労箇所の余寿命の推定や、稼働設備の問題点の把握を容易に行うことができる。そして、金属疲労を早期に把握することにより、設備の効率的活用や、耐用年数延伸など経済的効果も得られる。

発明の効果

0054

また、検出コイル部の出力が最大となる周波数(同調周波数)に特定することで、SN比が向上し精度良く検出できるだけでなく、回路構成が簡略化できるため、装置全体として小型化が容易に行え低価格化も図れる。

0055

また、本発明の金属疲労識別システムは、基準試料による初期調整が完了すれば、測定は検査試料が被検査部に配置されるようにセットするだけでよくきわめて簡単に行われるため、運搬性や機動性に優れ、稼働装置測定現場でも速やかに検査が実施できる。

0056

図1実施の形態(1)の検出コイル部付近の概念図である。
図2実施の形態(1)の検出コイル部付近の等価回路図である。
図3実施の形態(1)で基準試料による周波数の特定を説明するモデル図である。
図4実施の形態(1)の金属疲労識別装置のブロック図である。
図5実施の形態(1)の金属疲労識別装置の構成図である。
図6実施の形態(1)の検出コイル部の出力の変化を説明するモデル図である。
図7実施の形態(1)の外観の一例を示す斜視図である。
図8実施の形態(1)を用いたシステムのフローチャートである。
図9実施例1による実験結果を示す説明図である。

図面の簡単な説明

0057

10試料
11検査試料
12基準試料
20検出コイル部
21励磁コイル
22誘導コイル
23磁芯
24 被検査部
25検出信号
30電源部
40周波数設定部
41基準信号
42調整器
50検出回路部
51増幅器
52乗算器
60 表示部
70端子部
80 外部装置
81ロックインアンプ
82オシロスコープ
90ケーシング
100 金属疲労識別装置

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