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課題

繰返し内圧疲労特性が優れた伝熱管及びこの伝熱管を使用する高圧運転が可能で非共沸混合冷媒に好適なフィンチューブ型熱交換器を提供する。

解決手段

銅又は銅合金からなる伝熱管について、この伝熱管の曲げ部に形成される張出し部の形状において管軸方向に直角な断面における張出し高さをa、張出し幅をbとするとき、(a/b)比を0.38以下とし、前記断面における結晶粒径を15乃至60μmとする。

概要

背景

近時、ルームエアコン及びパッケージエアコンとしてフッ素炭化水素フロン)を冷媒とした冷暖房兼用型のヒートポンプ式エアコンが主流となっている。このフロンには、冷媒として比較的低圧使用可能なクロロジフルオロメタン(R22)等が好んで使用されている。

また、このヒートポンプ式エアコン等に使用される熱交換器用伝熱管として、熱伝導性及び加工性が優れた銅又は銅合金製伝熱管(以下、伝熱管という)が使用されている。前記熱交換器はこの銅管の周囲に複数のアルミニウム合金薄板フィン材を平行に配設したものであり、フィンチューブ型熱交換器と呼ばれている。

図5(a)はフィンチューブ型熱交換器の構成を示す側面図であり、図5(b)は図5(a)に示すフィンチューブ型熱交換器をヘアピン管2側から見た斜視図である。また、図6(a)は図5(a)に示すフィンチューブ型熱交換器をUベンド管3側から見た斜視図であり、図6(b)は図6(a)の一部拡大図である。図5(a)に示すように、フィンチューブ型熱交換器は、軟質な銅又は銅合金からなる伝熱管をその中央部でヘアピン状曲げ加工してU字形のヘアピン管2を作製し、所定の間隔をおいて相互に平行に配置したアルミニウム又はアルミニウム合金製のフィン材1にヘアピン管2を挿通して両者を接合し、隣接するヘアピン管2の管端に予め曲げ加工を施してあるUベンド管3を嵌合し、ヘアピン管2とUベンド管3とをろう付けすることにより複数個のヘアピン管2がUベンド管3と全て連結される。

通常、エアコンの熱交換器用伝熱管等の小径薄肉管の曲げ加工は、回転引き曲げ法と呼ばれる方法により行われる。この方法においては、管の断面形状を維持するために心金を使用し、曲げ型の回転に沿って管を引伸ばしながら曲げることにより、小さな曲げ半径においても180°までの曲げ加工が可能である。但し、曲げ半径が小さくなるほど、曲げ型の寸法並びに心金の形状、寸法及び位置に注意が必要である。

図7(a)乃至(c)は、ヘアピン管2及びUベンド管3を作製するための回転引き曲げ法を工程順に示す断面図である。図7(a)乃至(c)に示すように、ヘアピン曲げ加工には、所望の曲げピッチ4に合わせて選ばれる当て金5に沿って曲げ加工を行うパイプベンダ20を使用する。先ず、伝熱管8の加工する部分を当て金5及びクランプ21により挟み込む。クランプ21は伝熱管8に押し当てて伝熱管8を固定するものである。通常、エアコン用伝熱管は肉厚が薄いため、伝熱管8内に予め心金6(マンドレル)を挿入し、心金6を引出すと共に伝熱管8を当て金5側に送り出しながら当て金5を回転させて曲げ加工を行い、曲げ部の変形、座屈及び破断が起こらないようにしてヘアピン管2及びUベンド管3を作製する。伝熱管8の断面形状は、曲げ加工部においても、それ以外の部分と同様に真円状であることが望ましいが、心金6の形状及び伝熱管8と心金6との間のクリアランス等により、変形が生じることが多い。

また、ろう付けは、予めヘアピン管2とUベンド管3との接合部にリング状のろう材取付けておき、前記接合部のみが加熱されるように配置されたバーナーに熱交換器を送る自動ろう付けにより行われる。

更に、伝熱管として、従来は内面が平滑な平滑管が使用されてきたが、伝熱管に特に優れた凝縮性能及び蒸発性能が要求される場合には、管内面に螺旋状の複数の平行溝を形成して熱伝達効率を向上させた内面溝付管が使用される。また、更に高性能化を図った伝熱管として、管内面にねじれ角が異なる溝付帯複数本形成された内面溝付管、前記溝付帯の少なくとも一部が交差溝により構成されている内面溝付管及び溝付帯間に溝のない平坦部を有する内面溝付管等、種々のパターンの内面形状を有する伝熱管が開発され、使用されている。

概要

繰返し内圧疲労特性が優れた伝熱管及びこの伝熱管を使用する高圧運転が可能で非共沸混合冷媒に好適なフィンチューブ型熱交換器を提供する。

銅又は銅合金からなる伝熱管について、この伝熱管の曲げ部に形成される張出し部の形状において管軸方向に直角な断面における張出し高さをa、張出し幅をbとするとき、(a/b)比を0.38以下とし、前記断面における結晶粒径を15乃至60μmとする。

目的

本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、繰返し内圧疲労特性が優れた伝熱管及びこの伝熱管を使用する高圧運転が可能で非共沸混合冷媒に好適なフィンチューブ型熱交換器を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
4件
牽制数
5件

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請求項1

非共沸混合冷媒を使用する熱交換器用の銅又は銅合金製伝熱管において、曲げ部に形成される張出し部の形状が、管軸方向に垂直な断面における張出し高さをa、張出し幅をbとするとき、(a/b)比が0.38以下であり、結晶粒径が15乃至60μmであることを特徴とする伝熱管。

請求項2

内面に、相互に平行な複数の螺旋状の溝からなる溝付帯が1ヶ所以上形成されていることを特徴とする請求項1に記載の伝熱管。

請求項3

内面の少なくとも一部に交差溝が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の伝熱管。

請求項4

内面の少なくとも一部に平坦部を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の伝熱管。

請求項5

相互に平行に配設された複数のアルミニウム又はアルミニウム合金製のフィンと、前記フィンとの間で熱伝導する銅又は銅合金製の伝熱管と、を有し、前記伝熱管は前記フィンを挿通するヘアピン管に対し前記フィンの外側においてUベンド管ろう付け直列に連結することにより構成され、前記伝熱管のヘアピン管はその曲げ部に形成される張出し部の形状が、管軸方向に垂直な断面における張出し高さをa、張出し幅をbとするとき、(a/b)比が0.38以下であり、結晶粒径が15乃至60μmであり、前記伝熱管のUベンド管はその曲げ部に形成される張出し部の形状が、管軸方向に垂直な断面において前記(a/b)比が0.25以下であり、結晶粒径が20乃至150μmであることを特徴とするフィンチューブ型熱交換器

技術分野

0001

本発明はルームエアコン及びパッケージエアコン等のヒートポンプ式冷凍空調機器に使用する銅又は銅合金製伝熱管及びこの伝熱管を使用するフィンチューブ型熱交換器に関し、特に、繰返し内圧疲労特性が優れ、R410A、R407c等の非共沸混合冷媒に好適な伝熱管及びこの伝熱管を使用するフィンチューブ型熱交換器に関する。

背景技術

0002

近時、ルームエアコン及びパッケージエアコンとしてフッ素炭化水素フロン)を冷媒とした冷暖房兼用型のヒートポンプ式エアコンが主流となっている。このフロンには、冷媒として比較的低圧使用可能なクロロジフルオロメタン(R22)等が好んで使用されている。

0003

また、このヒートポンプ式エアコン等に使用される熱交換器用伝熱管として、熱伝導性及び加工性が優れた銅又は銅合金製伝熱管(以下、伝熱管という)が使用されている。前記熱交換器はこの銅管の周囲に複数のアルミニウム合金薄板フィン材を平行に配設したものであり、フィンチューブ型熱交換器と呼ばれている。

0004

図5(a)はフィンチューブ型熱交換器の構成を示す側面図であり、図5(b)は図5(a)に示すフィンチューブ型熱交換器をヘアピン管2側から見た斜視図である。また、図6(a)は図5(a)に示すフィンチューブ型熱交換器をUベンド管3側から見た斜視図であり、図6(b)は図6(a)の一部拡大図である。図5(a)に示すように、フィンチューブ型熱交換器は、軟質な銅又は銅合金からなる伝熱管をその中央部でヘアピン状曲げ加工してU字形のヘアピン管2を作製し、所定の間隔をおいて相互に平行に配置したアルミニウム又はアルミニウム合金製のフィン材1にヘアピン管2を挿通して両者を接合し、隣接するヘアピン管2の管端に予め曲げ加工を施してあるUベンド管3を嵌合し、ヘアピン管2とUベンド管3とをろう付けすることにより複数個のヘアピン管2がUベンド管3と全て連結される。

0005

通常、エアコンの熱交換器用伝熱管等の小径薄肉管の曲げ加工は、回転引き曲げ法と呼ばれる方法により行われる。この方法においては、管の断面形状を維持するために心金を使用し、曲げ型の回転に沿って管を引伸ばしながら曲げることにより、小さな曲げ半径においても180°までの曲げ加工が可能である。但し、曲げ半径が小さくなるほど、曲げ型の寸法並びに心金の形状、寸法及び位置に注意が必要である。

0006

図7(a)乃至(c)は、ヘアピン管2及びUベンド管3を作製するための回転引き曲げ法を工程順に示す断面図である。図7(a)乃至(c)に示すように、ヘアピン曲げ加工には、所望の曲げピッチ4に合わせて選ばれる当て金5に沿って曲げ加工を行うパイプベンダ20を使用する。先ず、伝熱管8の加工する部分を当て金5及びクランプ21により挟み込む。クランプ21は伝熱管8に押し当てて伝熱管8を固定するものである。通常、エアコン用伝熱管は肉厚が薄いため、伝熱管8内に予め心金6(マンドレル)を挿入し、心金6を引出すと共に伝熱管8を当て金5側に送り出しながら当て金5を回転させて曲げ加工を行い、曲げ部の変形、座屈及び破断が起こらないようにしてヘアピン管2及びUベンド管3を作製する。伝熱管8の断面形状は、曲げ加工部においても、それ以外の部分と同様に真円状であることが望ましいが、心金6の形状及び伝熱管8と心金6との間のクリアランス等により、変形が生じることが多い。

0007

また、ろう付けは、予めヘアピン管2とUベンド管3との接合部にリング状のろう材取付けておき、前記接合部のみが加熱されるように配置されたバーナーに熱交換器を送る自動ろう付けにより行われる。

0008

更に、伝熱管として、従来は内面が平滑な平滑管が使用されてきたが、伝熱管に特に優れた凝縮性能及び蒸発性能が要求される場合には、管内面に螺旋状の複数の平行溝を形成して熱伝達効率を向上させた内面溝付管が使用される。また、更に高性能化を図った伝熱管として、管内面にねじれ角が異なる溝付帯複数本形成された内面溝付管、前記溝付帯の少なくとも一部が交差溝により構成されている内面溝付管及び溝付帯間に溝のない平坦部を有する内面溝付管等、種々のパターンの内面形状を有する伝熱管が開発され、使用されている。

発明が解決しようとする課題

0009

しかしながら、従来の伝熱管及びこの伝熱管を使用する熱交換器には以下に示すような問題点がある。近時、エアコンの価格競争が激化し、熱交換器の資材価格における伝熱管の比率を低減する必要から、単重、即ち単位長当りの質量ができるだけ小さい伝熱管が求められ、肉厚を薄くした薄肉銅管が使用されている。

0010

一方、近年の地球温暖化に対する世界的な取組みの中で、その分子構造塩素を配するために温暖化係数が極めて高いとされるクロロジフルオロメタン(R22)等の冷媒が規制対象となっており、西2020年以降にはその使用及び製造の中止が決定されている。これらの冷媒の代替冷媒として、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(R134a)が一部の大型空調機等に採用されたが、R134aはR22よりも液熱伝導率が低いため機器性能が大幅に低下し、熱交換器容積及び消費電力の増大を招くため、ルームエアコン及びパッケージエアコンにはほとんど採用されていない。ルームエアコン及びパッケージエアコンには、R22と比較して潜熱蒸気熱伝導率及び液熱伝導率が大きいジフルオロメタン(R32)を含む混合冷媒が採用され始めている。また、R32はR22と比較して可燃性が高いことから、使用時の安全性を考慮してR32にR125又はR134aを混合したR410A及びR407cも使用され始めている。また、これらのように、沸点が異なる冷媒を混合して使用する冷媒は非共沸混合冷媒と呼ばれる。

0011

しかしながら、R32に所定の伝熱性能を発揮させようとすると、その使用圧力がR22の1.6倍となる。そのため、R410A及びR407cのような非共沸混合冷媒を使用した熱交換器において従来の冷媒を使用したものと同等の熱交換性能を引き出すためには、より高い圧力で使用することが必要になり、その結果、伝熱管及び機内配管により高い圧力が加わるようになる。

0012

エアコンの始動電源入)−定常運転−停止(電源切)のサイクルにおいて、定常運転時におけるエアコン配管内の圧力変化は小さい。一方、エアコン配管内の圧力は、始動時には急上昇し、停止時には急激に低下する。非共沸混合冷媒を使用すると、R22等の従来の冷媒を使用する場合と比較して、定常運転時のエアコン配管内の圧力はより大きくなり、始動及び停止時の圧力変化もより大きくなる。このように、非共沸混合冷媒を使用する場合、従来よりも大きな圧力変化が繰返し発生するため、伝熱管に疲労破壊が発生し、伝熱管内の冷媒がリークする事故が発生するという問題点がある。これにより、エアコンの耐用年数極端に短くなってしまうことがある。

0013

なお、エアコンにおける伝熱管以外の機内配管は、通常比較的厚肉小径な管が使用されるため、前述のような繰返し内圧による疲労破壊の問題は生じない。しかしながら、伝熱管は比較的薄肉で使用され、特に、ヘアピン管のヘアピントップ部は熱交換器のアルミフィン材に接合されていないため外部からの拘束力が加えられず、繰返し内圧による疲労破壊が生じ易い。

0014

また、通常ろう材にはりん銅ろう等の硬ろうが使用されるため、ろう付け温度が高くなる。このため、ヘアピン管2とUベンド管3とのろう付け工程により、伝熱管の曲げ部に再結晶又は回復が生じ、これに伴う軟化が発生しやすい。これにより、繰返し内圧による疲労破壊が更に生じ易くなる。

0015

このように、使用圧力が大きい代替冷媒の普及に伴い、伝熱管の耐圧疲労が問題となっている。冷凍空調機器の寿命を維持するため、日本冷凍空調工業会は伝熱管の耐圧疲労特性の基準として、最高圧力を使用冷媒設計圧力(R410Aの場合4.15MPa)、最低圧力を0Paとする内圧の変動を伝熱管に繰り返し印加し、この内圧の変動を4.0×105回以上加えても冷媒のリークが発生しないことを推奨している。エアコンメーカーにおいてもこの基準を参考にして、メーカー毎に独自の規格を制定する動きが広がっている。

0016

本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、繰返し内圧疲労特性が優れた伝熱管及びこの伝熱管を使用する高圧運転が可能で非共沸混合冷媒に好適なフィンチューブ型熱交換器を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0017

本発明に係る伝熱管は、非共沸混合冷媒を使用する熱交換器用の銅又は銅合金製の伝熱管において、曲げ部に形成される張出し部の形状が、管軸方向に垂直な断面における張出し高さをa、張出し幅をbとするとき、(a/b)比が0.38以下であり、結晶粒径が15乃至60μmであることを特徴とする。

0018

本発明においては、前記(a/b)比の値を0.38以下とすることにより、張出し部先端内側における曲率半径が小さくなることを防止し、応力集中を緩和することができる。また、結晶粒径を15乃至60μmにすることにより、伝熱管の降伏応力の低下を防止すると共に、内圧による張出し部の変形を防止することができる。これにより、繰返し内圧疲労特性が向上する。なお、張出し部とは、前記伝熱管の曲げ部において伝熱管の正面の周方向の中央部を結ぶ線に沿って形成される伝熱管の外側に膨らんだ形状の変形部を指し、張出し高さとは、この変形部の最も膨らんだ部分における管の直径方向に沿った変形量をいい、張出し幅とは、この変形部における管周方向の長さをいう。

0019

また、前記伝熱管はその内面に、相互に平行な複数の螺旋状の溝からなる溝付帯が1ヶ所以上形成されることができ、また、内面の少なくとも一部に交差溝が形成されることができ、更に、内面の少なくとも一部に平坦部が形成されることができる。これにより、凝縮時においては伝熱管の内面に冷媒によって濡れていない乾いた面が形成されるため凝縮性能が向上し、蒸発時においては伝熱管の内面に冷媒液が濡れ広がるため蒸発性能が向上する。

0020

本発明に係るフィンチューブ型熱交換器は、相互に平行に配設された複数のアルミニウム又はアルミニウム合金製のフィンと、前記フィンとの間で熱伝導する銅又は銅合金製の伝熱管と、を有し、前記伝熱管は前記フィンを挿通するヘアピン管に対し前記フィンの外側においてUベンド管をろう付けし直列に連結することにより構成され、前記伝熱管のヘアピン管はその曲げ部に形成される張出し部の形状が、管軸方向に垂直な断面における張出し高さをa、張出し幅をbとするとき、(a/b)比が0.38以下であり、結晶粒径が15乃至60μmであり、前記伝熱管のUベンド管はその曲げ部に形成される張出し部の形状が、管軸方向に垂直な断面において前記(a/b)比が0.25以下であり、結晶粒径が20乃至150μmであることを特徴とする。

発明を実施するための最良の形態

0021

前述のように、フィンチューブ型熱交換器等に使用する伝熱管について、伝熱性能を損なうこと無く繰返し内圧疲労特性を向上させる必要がある。このため、本発明者等は鋭意実験研究を重ねた結果、ヘアピントップ部における張出し部の形状及びヘアピントップ部における結晶粒径を適正に規定することにより、エアコン使用期間中の繰返し内圧疲労破壊による冷媒のリークを防止できることを知見し、前記代替冷媒の使用によるエアコンの寿命低下を防止する方法を発明するに至った。なお、ヘアピントップ部というときは、図5(a)に示すヘアピン管2の曲げ部の頂点の外に、Uベンド管3の曲げ部の頂点も含むものである。Uベンド管3の加工方法がヘアピン管2の加工方法と全く同一であるからである。

0022

以下、本発明について詳細に説明する。本発明者等は種々の伝熱管を使用してエアコンを模擬した配管を作製し、前述の日本冷凍空調会の基準に準拠した繰返し内圧疲労試験を行い、繰返し内圧疲労特性を向上させる検討を行った。その結果、伝熱管の形状によってリークの発生しやすいものがあること及びリークは伝熱管の曲げ部、即ち、図5(a)に示すヘアピン管2及びUベンド管3において発生する頻度が高いことを見出した。

0023

そこで、前記繰返し内圧疲労試験においてリークが発生した伝熱管よりリーク発生部近傍を切出して調査したところ、いずれの伝熱管においても、リークは曲げ加工部の側面における曲げ外側部と曲げ内側部との間、即ち、伝熱管の正面の周方向の中央を結ぶ線に沿って伝熱管の外側に張出したような形状の変形(以下、張出し部という)において発生している。そして、リークの発生しやすさと、この張出し部の形状及び伝熱管の結晶粒径の大きさには明確な相関関係があることを見出した。本発明者等は更に、伝熱管の曲げ加工部における張出し部の形状を適正に制御すること及びその部位における結晶粒径を制御することにより問題解決が可能であることを見出した。

0024

以下、伝熱管の繰返し内圧疲労特性に及ぼす張出し部の形状の影響について説明する。図5(a)及び(b)並びに図6(a)及び(b)に示すように、本発明のフィンチューブ型熱交換器は、伝熱管の内部に非共沸混合冷媒が流通し、この冷媒が蒸発又は凝縮することによってアルミニウム又はアルミニウム合金からなる多段のアルミフィン材との間で熱交換を行うフィンチューブ型熱交換器である。本発明のフィンチューブ型熱交換器は、相互に平行に多段に配設されたアルミニウム又はアルミニウム合金製のフィン材1に、ヘアピン状に曲げ加工された伝熱管からなるヘアピン管2を貫通させ、隣接するヘアピン管2の管端に、予め曲げ加工されたUベンド管3を嵌合し、ヘアピン管2とUベンド管3とをりん銅ろう等によりろう付けして接合することにより作製される。なお、ヘアピン管2は、長さが0.6乃至2m程度の伝熱管を曲げて製作され、Uベンド管3は、任意の長さの伝熱管を曲げて製作したヘアピン管のトップ部を切断して製作される。

0025

また、図7(a)乃至(c)に示すように、伝熱管8のヘアピン曲げ加工には、所定の曲げピッチ4に合わせて選択される当て金5に沿って曲げ加工を行うパイプベンダ20が使用される。先ず、伝熱管8の加工する部分を当て金5及びクランプ21により挟み込む。クランプ21は伝熱管8に押し当てて伝熱管8を固定するものである。このとき、エアコン用伝熱管は通常肉厚が薄いため、伝熱管8内に予め心金6(マンドレル)を入れ、心金6を引出すと共に引出し伝熱管8を当て金5側に送り出しながら当て金5を回転させて曲げ加工を行う。

0026

図1は、このようにして作製されたヘアピン管2の構成を示す側面図である。伝熱管8の曲げ加工に際して、曲げ加工部の外側17には引張応力による塑性変形が発生し、また曲げ加工部の内側18には圧縮応力による塑性変形が発生することにより伝熱管8が曲げられていく。これらの部位と比較して、ヘアピン管2の正面の周方向の中央を結ぶ線19付近においては、作用する応力が小さいため加工硬化が小さく加工前の強度がほぼ維持されるが、曲げ加工部の外側17及び内側18の強度向上により生じる拘束から、線19に向かって管周方向に圧縮応力が発生する。このとき、伝熱管8と当て金5との間のクリアランスが大きいと、線19に沿って伝熱管8の外側に張出した張出し部7(図2及び図3参照)を生じる。伝熱管8と当て金5との間のクリアランスの大きさにより、張出し部7は伝熱管8の片側に発生したり、両側に発生したりする。

0027

また、張出し部7は、伝熱管8の内径に対して心金6の外径が小さすぎる場合にも生じ易い。しかしながら、心金6と伝熱管8との間のクリアランスを小さくすると、心金6の伝熱管8内への挿入がスムーズに行えなくなりヘアピン曲げ加工の自動化を阻害するため、心金6と伝熱管8との間のクリアランスを小さくすることはできない。

0028

図2は、外径7mm、肉厚0.3mmの平滑直管をヘアピン曲げ加工し、図1に示す位置Bにおいて管軸直交断面における断面の形状を観察し撮影した写真トレースした断面図である。曲げ加工されたヘアピン管2における片側の線19に沿って張出し部7が形成されている。なお、図2においては張出し部7がヘアピン管2の片側にのみ形成された例を示したが、張出し部7はヘアピン管2の両側に形成されることもある。

0029

図3は張出し部7における張出し高さa及び張出し幅bを示すヘアピン管2の断面図である。繰返し応力による疲労破壊の発生しやすさは、張出し部7の形状により異なる。本発明においては、ヘアピン管2における曲げ部の頂点、即ち、図1に示す位置Bにおける張出し部7の張出し高さa及び張出し幅bを測定し、(a/b)比の値を張出し部7の形状を示すパラメータとする。張出し部7がヘアピン管2の両側にある場合は、(a/b)比が大きい張出し部7の値を採用する。なお、図2に示すヘアピン管2の張出し部7における前記a及びbの測定値は、張出し高さa=0.536mm、張出し幅b=2.393mmであり、a/b=0.224である。また、結晶粒径は35μmである。図2に示すヘアピン管について日本冷凍空調工業会が推奨する繰返し内圧疲労試験、即ち、最高圧力4.15MPa、最低圧力0.0Pa、繰返し内圧サイクル約0.33Hzの条件の繰返し内圧疲労試験を行うと、繰返し数が4.0×105回を越えても割れ等の破壊は発生しない。

0030

前述のように、エアコンの始動時及び停止時には伝熱管内部には大きな圧力変化が発生するが、前述のような張出し部7を有する伝熱管がそのまま熱交換器に使用された場合、前記圧力変化によって張出し部7の曲率半径が変化する部分に応力集中が発生する。張出し部7は、図1に示す外側17及び内側18のように加工硬化を受けておらず、相対的に耐力が低い。このため、応力集中が繰り返し発生することによって、この部分で伝熱管の疲労破壊が発生しやすくなる。このような繰返し印加される応力により、伝熱管本来の耐圧強度よりも低い圧力により比較的繰返し回数が少ない時期に疲労破壊が起こる所謂低サイクル疲労破壊が生じ、伝熱管の繰返し寿命を極端に低下させる。なお、図2及び図3にはヘアピン管2の片側にのみ張出し部7が形成された例を示したが、両側に張出し部7が形成された場合は集中応力がより大きくなる側、即ち変形がより著しい側で破壊が起こりやすくなる。

0031

図1に示すように、ヘアピン管2においては、位置A→位置B→位置Cの順に曲げ加工が行われて行く。位置A乃至Cにおいてヘアピン管2の断面形状を調査すると、これらの部位における張出し部7の形状にはあまり違いが認められないが、後から加工を受けるほどヘアピントップ部の外側17及び内側18と線19付近との強度差が大きくなるため、位置Cに近いほど破壊が起こりやすい傾向がある。

0032

また、Hall−Petchの式で知られているように、結晶粒径は金属材料の降伏応力に影響を及ぼす。特に、フィンチューブ型熱交換器の組立においてはろう付け工程の加熱により伝熱管の結晶粒が粗大化するため、素材の降伏応力の低下が著しくなり、張出し部への応力集中の影響を受けやすくなる。

0033

なお、熱交換器製造工程において、ヘアピン管2の管端部を他のヘアピン管2の管端部に接続するためにろう付けして使用されるUベンド管3についても、その製造方法がヘアピン管2と全く同様の方法であるために、曲げ加工に伴い前述のような張出し部が形成され、また、ろう付け加熱による結晶粒の粗大化により強度が著しく低下する等ヘアピン管2と同様の問題が生じる。

0034

このように、薄肉銅管からなる伝熱管の疲労破壊は、張出し部の形状及び結晶粒径が主な原因となっているため、これらを適正な値に規定することにより解決可能である。一方、張出し部の形状及び結晶粒径が適切に制御されない限り、伝熱管の材質又は熱交換器の構造について改善を試みてもその効果は小さく、疲労破壊に起因する漏洩事故の虞がある。

0035

以下、本発明の構成要件である数値限定理由について説明する。

0036

ヘアピン管の曲げ部に形成される張出し部の形状が、管軸方向に垂直な断面における張出し高さをa、張出し幅をbとするとき、(a/b)比:0.38以下
ヘアピン管の曲げ部、即ち、伝熱管のろう付けされない側の曲げ部における(a/b)比が0.38を超えると、張出し部先端の内側における局部的な曲率半径が小さくなり、応力集中が生じやすくなって、R410Aの設計圧力である4.15MPaの圧力が負荷されたときに、張出し部に集中する応力が素材の降伏応力を超えてしまい、この負荷が繰返し印加されることにより低サイクル疲労破壊を生じる。これにより、伝熱管の繰返し内圧疲労特性が著しく劣化し、伝熱管の結晶粒径が15乃至60μmの範囲にあっても、日本冷凍空調工業会が推奨する試験条件により繰返し内圧疲労特性の試験を行った場合に、規定繰返し数である4.0×105回に到達できなくなる。従って、ヘアピン管の曲げ部の(a/b)比は0.38以下とする。

0037

ヘアピン管の曲げ部の管軸方向に垂直な断面における伝熱管の結晶粒径:15乃至60μm
ヘアピン管の曲げ部の結晶粒径が60μmを超えると、伝熱管の強度(降伏応力)が低下し、張出し部の形状が本発明の範囲内、即ち(a/b)比が0.38以下、にあっても、張出し部の変形が容易になってしまい、張出し部の集中応力が増大して繰返し内圧疲労特性が劣化する。このため、日本冷凍空調工業会が推奨する試験条件により繰返し内圧疲労特性の試験を行った場合に、規定繰返し数である4.0×105回に到達できなくなる。一方、結晶粒径が15μm未満である場合は、ヘアピン曲げ加工前の素材としての直管の強度が大きすぎて、ヘアピン曲げ加工時に座屈及び破断等を生じ易くなる。従って、ヘアピン管の曲げ部の結晶粒径は15乃至60μmとする。

0038

Uベンド管の曲げ部に形成される張出し部の形状が、管軸方向に垂直な断面における張出し高さをa、張出し幅をbとするとき、(a/b)比:0.25以下
Uベンド管は熱交換器を作製する際のろう付け工程において加熱されるが、これにより結晶粒径が粗大化し、伝熱管の強度(降伏応力)が低下する。Uベンド管の曲げ部において、(a/b)比が0.25を超えると、R410Aの設計圧力である4.15MPaの圧力が負荷されたときに、張出し部に集中する応力が素材の降伏応力を超えるようになり、この負荷が繰返し印加されることにより低サイクル疲労破壊を生じ、結晶粒径が20乃至150μmの範囲内にあっても、日本冷凍空調工業会が推奨する繰返し内圧特性試験基準満足することができなくなる。従って、Uベンド管の曲げ部の管軸方向に垂直な断面における(a/b)比は0.25以下とする。

0039

Uベンド管の曲げ部の管軸方向に垂直な断面における伝熱管の結晶粒径:20乃至150μm
Uベンド管の曲げ部の結晶粒径が150μmを超えると、伝熱管の強度(降伏応力)が低下し、張出し部の形状が本発明の範囲内、即ち(a/b)比が0.25以下、にあっても、張出し部の変形が容易になってしまい、張出し部の集中応力が増大して繰返し内圧疲労特性が劣化する。このため、日本冷凍空調工業会が推奨する試験条件により繰返し内圧疲労特性の試験を行った場合に、低サイクル疲労破壊を生じ、規定繰返し数である4.0×105回に到達できなくなる。一方、ろう付け前の結晶粒径は15μm以上であるため、ろう付け後の結晶粒径は20μm以上となる。従って、Uベンド管の曲げ部の結晶粒径は20乃至150μmとする。

0040

本発明は伝熱管の曲げ部に形成された張出し部の形状、即ち、管軸方向に垂直な断面における張出し高さと張出し幅との比及びヘアピントップ部の結晶粒径を規定するものであるため、所望の伝熱性能を得るための溝形状とは関係ない。このため、本発明の伝熱管は従来の伝熱管と比較して伝熱性能が劣ることはなく、本発明の熱交換器においても、熱交換器としての伝熱性能が損なわれることはない。

0041

従って、本発明に係る伝熱管の内面形状は、要求される伝熱性能に応じて任意に選択することができる。例えば、平滑であってもよいし、内面に螺旋状の溝又は交差溝が形成されていてもよく、また螺旋状の溝付帯と交差溝付帯とが共に形成されていてもよく、更に溝付帯間に溝のない平坦部が形成されていてもよい。また、これらの溝付管は、溝プラグを設置し転造ボール高速で回転させて外面から溝を転造するシームレス転造方式により形成することができ、又は、銅若しくは銅合金からなる板条に単純な溝若しくは複数の溝を組み合わせた複雑な形状の溝を転造圧延により形成した後、管軸方向に連続的に溶接する溶接管方式により形成することもできる。溶接管方式の場合、管軸方向に平行に延びる溝を形成しても繰返し内圧疲労特性は変わらない。

0042

なお、伝熱管の材料は、例えば無酸素銅りん脱酸銅タフピッチ銅、Cu−Fe−P、Cu−Mn−P、Cu−Ni−Si、Cu−Sn−P及びCu−Zn等の銅又は銅合金であるが、この他の銅合金でもヘアピン管に加工できる材質を有する材料であれば全て適用することができる。

0043

また、本発明に係る伝熱管において、ヘアピン管及びUベント管は直管をヘアピン状に曲げ加工することにより作製されるが、曲げ加工を施す装置は、通常のヘアピン曲げ加工用パイプベンダでよい。このとき、管径に適したクリアランスを持つ当て金を使用し、心金の直径、位置及びクランプ強度を調整し、曲げ部に座屈及び破断が起こらないように制御して加工することにより、ヘアピン加工部を形成することができる。

0044

本発明に係る伝熱管は、ルームエアコン等のヒートポンプ式冷凍空調機器に使用される熱交換器用伝熱管としてだけでなく、エアハンドリングユニット及び吸収式等水を冷媒として使用する空調機器用伝熱管にも使用可能である。また、本発明に係る伝熱管はその肉厚が限定されるものではないので、空調機器内において熱交換器内の配管と同等な圧力が加えられる熱交換器以外の機内配管にも適用可能である。

0045

以下、本発明の実施例に係る伝熱管及びこの伝熱管を使用した熱交換器について、本発明の範囲から外れる比較例と比較して具体的に説明する。先ず、以下の各試験例において共通する試験方法及び測定方法について述べる。

0046

先ず、供試材作製方法について説明する。供試材として、りん脱酸銅(JISH3300に記載されているC1220)からなる平滑管及び内面溝付管を以下の工程により作製した。平滑管は、前記りん脱酸銅を溶解し、鋳造し、熱間押出しし、冷間圧延し、冷間抽伸加工を施して管に成形し長さ3000mのコイルとした後、焼鈍し、整直した。一方、内面溝付管は、前記りん脱酸銅を溶解し、鋳造し、熱間押出しし、冷間圧延し、冷間抽伸加工を施して管に成形した後中間焼鈍し、内面溝転造加工を施して管の内面に溝を形成し、長さ3000mのコイルとして焼鈍し、整直した。

0047

次に、ヘアピン曲げ加工方法について説明する。前述のように整直された銅管を、図7に示すヘアピン曲げ加工用パイプベンダ20を使用してヘアピン曲げ加工を施した。このとき、心金6(マンドレル)の外径及び位置を調節することにより張出し部7の形状を調整した。また、ヘアピン曲げ加工部の内側に生じ易いしわを、クランプ21の押し当て強度を調整することにより抑制した。ヘアピン曲げ加工後単管での評価用としてヘアピントップ部先端から100mmの長さに切断し供試材とした。また、熱交換器作製用としてはヘアピントップ部先端から550mmの長さに切断し供試材とした。更に、同様にヘアピン管を各水準毎に1本余分に作製し、その1本を使用して曲げ部の頂点における管軸方向に垂直な断面の形状測定を行った。伝熱管8の外径は、6.35mm、7.00mm及び9.52mmとし、これらの伝熱管8のヘアピン曲げ加工における曲げピッチは、夫々15.9mm、21.0mm及び25.4mmとした。

0048

次に、前述の方法によりヘアピン曲げ加工を施した伝熱管の結晶粒径の調整方法について説明する。結晶粒径の調整は、伝熱管に前述のヘアピン曲げ加工を施した後、純度が99.99体積%の窒素ガス雰囲気中において加熱処理を施すことにより行った。この加熱処理は真空炉を使用し、炉内にヘアピン曲げ加工された伝熱管を入れて密封し、炉内を真空ポンプ減圧後、窒素ガス充填し、加熱することにより行った。加熱保持時間を5分間とし、加熱温度を約250乃至850℃の範囲で選択することにより所望の結晶粒径の供試材を作製した。所望する結晶粒径が整直後の伝熱管の結晶粒径よりも小さい場合は、整直後の伝熱管に抽伸加工を施し、その後低温で焼鈍を行い、結晶粒が小さい伝熱管を作製し、この伝熱管を使用してヘアピン曲げ加工を行い、供試材を作製した。

0049

結晶粒径の測定は、JISH0501に規定された「伸銅品結晶粒度試験方法」に従って、光学顕微鏡を使用して75倍の倍率で結晶粒の観察を行い、比較法により結晶粒径を測定した。測定位置は、各供試材のヘアピントップ部とし、測定面は管軸方向に垂直な断面とした。

0050

次に、熱交換器の作製方法について説明する。前述のとおり、平滑管又は内面溝付管にヘアピン曲げ加工を施し、ヘアピントップ先端から長さ550mmの位置で切断したヘアピン管を使用して熱交換器を作製した。アルミニウムフィンには、JISH4000に記載された1200のアルミニウム合金からなり、調質がH24、板厚が0.1mmで表面処理が施されていないアルミニウム板を使用した。

0051

アルミニウムフィンに形成された挿入孔に前記ヘアピン管を挿入し、ヘアピン管におけるアルミニウムフィンに挿入されている部分に外径基準105%の拡管加工を施した。また、アルミニウムフィンに挿入されているヘアピン管について、管端部をフレア拡管し、隣接するヘアピン管の管端部に夫々同径のUベンド管をろう付けにより接合し、全ての伝熱管を直列に連結し、伝熱有効面積の大きさが高さ250mm、幅550mmのフィンチューブ型熱交換器を作製した。

0052

次に、繰返し内圧疲労特性の評価方法について説明する。繰返し内圧疲労試験を自動的に行うために、繰返し内圧疲労試験装置を作製した。図4は、この繰返し内圧疲労試験装置の構成を示すブロック図である。この繰返し内圧疲労試験装置は、1次圧エアーとし、増圧器11によりこの1次圧を増圧して水又は鉱物油に2次圧を加え、この加圧された水又は鉱物油により供試材(伝熱管)に圧力を加えるものである。図4に示すように、この繰返し内圧疲労試験装置においては、コンプレッサ(図示せず)により供給されるエアーが導入されるエアー供給口9、水又は鉱物油を貯える供給タンク10、エアーの流通経路上に配置されエアーの供給を制御する電磁弁13及びエアーの流通経路上における電磁弁13の下流側に配置され電磁弁13を介して供給されたエアーの圧力を増圧しこの圧力を水又は鉱物油に加える増圧器11が設けられている。また、水又は鉱物油の流通経路上に配置され水又は鉱物油を供試材(図示せず)に対して供給する吐出口12が設けられている。更に、水又は鉱物油の流通経路上に配置され水又は鉱物油の圧力を測定する圧力センサ15が設けられ、増圧器11には増圧器11のピストンの進み過ぎにより働くリミットスイッチ16が設けられている。更にまた、圧力センサ15及びリミットスイッチ16の出力信号が入力され、電磁弁13の開閉を制御するタイマを備え、供試材が破壊するまでの電磁弁13の開閉回数カウントするカウンタを備えたコントローラ14が設けられている。

0053

この繰返し内圧疲労試験装置においては、コンプレッサ(図示せず)により供給されたエアーが、エアー供給口9を介して装置内に導入され、電磁弁13を通過して増圧器11に到達し、増圧器11により増圧される。一方、供給タンク10に貯えられた水又は鉱物油が増圧器11の2次側に供給され、エアーにより加圧され、吐出口12を介して供試材に供給され、供試材に圧力を印加する。このとき、水又は鉱物油のロス分はタンク10より補充される。内圧の繰返しサイクルは、電磁弁13の開閉により増圧器11が供試材に対して加圧及び減圧を繰返すことにより作られる。コントローラ14は、内蔵されたタイマにより電磁弁13の開閉を制御し、同時に圧力センサ15を介して供試材に印加される圧力を検知する。コントローラ14は圧力センサ15により供試材の破壊に伴う昇圧不足を検知し、更に、供試材の破壊に伴う増圧器11のピストンの進み過ぎにより働くリミットスイッチ16の動作を検知し、圧力の印加を停止する。また、コントローラ14は電磁弁13の開閉信号読み取り、コントローラ14中のカウンタにより圧力の繰返し数をカウントし、供試材の破壊に伴い装置が停止したときのカウンタ表示数を記録し、このカウンタ表示数をその供試材の破壊繰返し数とする。

0054

この繰返し内圧試験装置を使用して繰返し内圧疲労試験を行った。試験条件は、最高圧力を4.15MPa、最低圧力を0MPa、内圧繰返しサイクルを約0.33Hzとし、規定繰返し数を4.0×105回とした。ヘアピン単管は各試験水準につき5本を使用し、5本全てが破壊せずに規定繰返し数に到達すれば「○」、1本でも途中で破壊した場合は「×」とした。また、熱交換器は各試験水準につき1台を使用し、熱交換器中の伝熱管が全く破壊せずに規定繰返し数に到達すれば「○」、1台の熱交換器中において1本の伝熱管でも規定繰返し数である4.0×105回に到達する前に破壊すれば「×」とした。

0055

第1試験例
以下に本発明の第1試験例を示す。外径7.00mm、肉厚0.28mmの平滑管について、ヘアピントップ部の断面における張出し部の形状及び結晶粒径を夫々変えた供試材を使用した。単管としてろう付け加熱を施していない伝熱管を使用し、単管及び熱交換器の繰返し内圧疲労試験による評価を行った。表1に供試材の形状及び寸法並びに評価結果を示す。なお、表1におけるa及びbは夫々張出し部の張出し高さ及び張出し幅を示し、その単位はmmである。

0056

0057

表1に示す実施例1乃至6は、ヘアピントップ部に形成された張出し部の形状及びヘアピントップ部の断面における結晶粒径が管軸方向に垂直な断面から見て本発明の範囲内、即ち、(a/b)比が0.38以下であり結晶粒径が15乃至60μmであるため、繰返し内圧疲労試験において破壊を伴わず規定繰返し数に到達した。

0058

これに対し、比較例1は張出し部の形状、即ち、(a/b)比の値が本発明の範囲を超えているため、伝熱管に局部的な集中応力が発生し、この応力が降伏応力を超えて繰返し印加されたために、伝熱管は規定繰返し数到達前に破壊した。また、比較例2乃至4は、伝熱管の結晶粒径が70μmと本発明の範囲を超えているため、伝熱管の降伏応力が低下し、規定繰返し数到達前に破壊した。比較例1乃至4の伝熱管の破断面をSEM(scanning electron microscope:走査型電子顕微鏡)により観察すると、何れの伝熱管においても低サイクル疲労破壊に特有結晶粒界に沿ってき裂伝播した脆性破壊を起こしていた様子が認められた。

0059

また、本試験例においては、結晶粒径が本発明の範囲を下回るヘアピン管を作製するために、素材直管の状態で結晶粒径が10μmの伝熱管を使用してヘアピン曲げ加工を行ったが、曲げの途中で座屈又は破断が発生してしまい、供試材を作製することができなかった。

0060

第2試験例
次に、本発明の第2試験例を示す。外径6.35mm、肉厚0.24mmの平滑管及び外径9.52mm、肉厚0.36mmの平滑管について、ヘアピントップ部における張出し部の形状及び結晶粒径を夫々変えた供試材を使用した。単管としてろう付け加熱を施していない伝熱管を使用し、単管及び熱交換器での繰返し内圧疲労試験による評価を行った。表2に供試材の形状及び寸法並びに評価結果を示す。なお、表2におけるa及びbは夫々張出し部の張出し高さ及び張出し幅を示し、その単位はmmである。

0061

0062

表2に示す実施例7乃至12は、ヘアピントップ部に形成された張出し部の形状及びヘアピントップ部の断面における結晶粒径が本発明の範囲内、即ち、(a/b)比が0.38以下であり結晶粒径が15乃至60μmであるため、繰返し内圧疲労試験において破壊を伴わず規定繰返し数に到達した。

0063

これに対し、比較例5及び6は張出し部の形状、即ち、(a/b)比が本発明の範囲を超えているため、伝熱管に降伏応力を超えた応力集中が発生し、これが繰返し印加されたために、規定繰返し数到達前に破壊した。

0064

第3試験例
次に、本発明の第3試験例を示す。供試材として、外径7.00mm、溝深さ0.2mm、管の円周方向溝ピッチ0.41mm、管軸に対する捩じれ角度18°(右ねじ方向)、フィン頂角20°、溝底肉厚0.25mmの内面溝付管を使用した。この内面溝付管について、ヘアピントップ部における張出し部の形状及び結晶粒径を変えたものを使用した。単管としてろう付け加熱を施していない伝熱管を使用し、単管及び熱交換器について繰返し内圧疲労試験による評価を行った。表3に供試材の形状寸法及び評価結果を示す。なお、表3におけるa及びbは夫々張出し部の張出し高さ及び張出し幅を示し、その単位はmmである。

0065

0066

表3に示す実施例13乃至15は、ヘアピントップ部に形成された張出し部の形状及びヘアピントップ部断面における結晶粒径が本発明の範囲内、即ち、(a/b)比が0.38以下であり結晶粒径が15乃至60μmであるため、繰返し内圧疲労試験において破壊を伴わず規定繰返し数に到達した。

0067

これに対し、比較例7は張出し部の形状、即ち、(a/b)比が0.47と本発明の範囲を超えているため、規定繰返し数到達前に破壊した。

0068

第4試験例
次に、本発明の第4試験例を示す。単管の供試材は、種々の寸法の平滑管を使用して作製したUベンド管と、このUベンド管と同じ外径の2本の平滑管の直管を用意し、これらの直管の片側の端部を熱交換器作製時と同様に拡管し、これにUベンド管を嵌合し、ろう付けして作製した。ろう付けは、管内に窒素ガスを流量1リットル/分で流通させ、プロパンガスを使用してバーナーにより供試材を加熱して行った。このとき、加熱時間を制御してろう付け後の結晶粒径を変化させた。供試材には、ろう付け後の結晶粒径が90μm及び200μmになったものを選んで使用した。この供試材は6本作製し、その内5本を繰返し内圧疲労試験に使用した。残りの1本についてはろう付けされたUベンド管のヘアピントップ部からサンプルを採取し、管軸方向に対して垂直な断面をエッチングして組織観察し、前述の方法により結晶粒径を測定した。また、このUベンド管を使用して熱交換器を作製し、繰返し内圧疲労試験による評価を行った。表4に供試材、即ち、ろう付けされたUベンド管におけるヘアピントップ部の張出し部の形状及び結晶粒径を示し、また、ろう付け前の結晶粒径も示した。また、表4には、このUベンド管及びこのUベンド管を使用した熱交換器の内圧疲労試験の評価結果も示す。表4におけるa及びbは夫々張出し部の張出し高さ及び張出し幅を示し、その単位はmmである。なお、表4に示すいずれの例においても、熱交換器における伝熱管のろう付けされない側の曲げ部においては、(a/b)比は0.10乃至0.34、結晶粒径は15乃至50μmであった。

0069

0070

表4に示す実施例16乃至24は、Uベンド管、即ち、伝熱管のろう付けされた側において、管軸方向に垂直な断面から見てヘアピントップ部に形成された張出し部の(a/b)比が0.25以下であり、前記断面における結晶粒径が20乃至150μmであり、且つ、伝熱管のろう付けされない側において、(a/b)比が0.38以下であり、結晶粒径が15乃至60μmであるため、繰返し内圧疲労試験において破壊を伴わず規定繰返し数に到達した。

0071

これに対し、比較例8及び9はUベンド管の張出し部の形状、即ち、(a/b)比が0.25より大きく、本発明の範囲から外れているため、規定繰返し数到達前に破壊した。比較例10及び11は、Uベンド管の結晶粒径が200μmと本発明の範囲から外れているため規定繰返し数到達前に破壊した。比較例12は、Uベンド管の(a/b)比が0.25より大きく、且つ、Uベンド管の結晶粒径が200μmと本発明の範囲から外れているため規定繰返し数到達前に破壊した。また、比較例13はUベンド管の(a/b)比が0.33と本発明の範囲から外れているため、規定繰返し数到達前に破壊した。

発明の効果

0072

以上詳述したように、本発明によれば、銅又は銅合金からなる伝熱管について、曲げ加工部における張出し部の形状及び管軸方向に垂直な断面における結晶粒径を適正に規定することにより、繰返し内圧疲労特性が優れた伝熱管を得ることができる。本発明の伝熱管は、内面に所望の形状を形成することができるため伝熱性能を損なうことなく、繰返し内圧疲労特性が優れているため薄肉化することができる。また、この伝熱管を使用することにより、エアコン等の冷凍空調機器において今後益々使用される代替冷媒に好適な長時間の高圧運転化に耐え得る熱交換器を得ることができる。本発明によれば、繰返し内圧疲労特性を改善するために、熱交換器の構造的な設計の変更及び伝熱管の材質変更を行う必要がないため、低コストに前記伝熱管及び熱交換器を得ることができる。

図面の簡単な説明

0073

図1ヘアピン管2の構成を示す側面図である。
図2ヘアピン管2の図1に示す位置Bにおいて、管軸直交断面における断面の形状を観察し撮影した写真をトレースした断面図である
図3張出し部7における張出し高さa及び張出し幅bを示すヘアピン管2の断面図である。
図4繰返し内圧疲労試験装置の構成を示すブロック図である。
図5(a)はフィンチューブ型熱交換器の構成を示す側面図であり、(b)は(a)に示すフィンチューブ型熱交換器をヘアピン管2側から見た斜視図である。
図6(a)は図5(a)に示すフィンチューブ型熱交換器をUベンド管3側から見た斜視図であり、(b)は(a)の一部拡大図である。
図7(a)乃至(c)は、ヘアピン管2を作製するための回転引き曲げ法を工程順に示す断面図である。

--

0074

1;フィン材
2;ヘアピン管
3;Uベンド管
4;曲げピッチ
5;当て金(クランプ)
6;心金(マンドレル)
7;張出し部
8;伝熱管
9;エアー供給口
10;供給タンク
11;増圧器
12;吐出口
13;電磁弁
14;コントローラ
15;圧力センサ
16;リミットスイッチ
17;曲げ加工部の外側
18;曲げ加工部の内側
19;曲げ加工部の正面の周方向の中央を結ぶ線
20;パイプベンダ
21;クランプ
A乃至C;位置

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