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課題
解決手段
概要
背景
重量物を収納した電動式移動棚は、一旦移動し始めると、駆動源としてのモータへの電力供給を停止しただけでは惰性で移動するので、惰性による移動距離をなるべく短くするためにブレーキ装置が装着される。従来の電動式移動棚における駆動源は交流(AC)モータであり、次のような簡易なブレーキ装置を用いている。
(1)隣の移動棚との距離を測定し、この距離に応じてブレーキをかける距離センサ方式。
(2)隣の移動棚に接触したらブレーキをかけるリミットスイッチ方式。上記何れの方式にせよ、移動棚の揺れを考慮し、段階的にブレーキをかけていく必要がある。また、簡易的なブレーキ装置の特性上、積載荷重や偏荷重により停止距離が大きく変化する難点がある。
上記のように、従来の電動式移動棚は交流モータを使用している。交流モータの特性として、回転数と出力トルクとが正比例の関係にある。したがって、回転速度が立ち上がって走行速度が一定にならなければ所定のトルクが生起されないことになる。換言すれば、所定のトルクを得るためには回転速度を高くする必要があり、回転速度を高くすると、移動棚の停止距離が長くなる。このような交流モータの特性は、移動し始めるときにより大きなトルクを必要とする移動棚の駆動源としては好適なものではない。
そこで、交流モータを駆動源とする従来の電動式移動棚は、移動開始時のトルク不足を補完するために、移動方向先頭に位置する移動棚から順に駆動する順次駆動方式にして1台ごとに駆動するようにし、一つの移動棚にとって他の移動棚が負荷とならないようにしている。そして、停止するときは、最大速度状態において1台の移動棚ごとにブレーキを掛けることになるため、停止距離すなわちブレーキを掛け始めてから停止するまでの距離が長くなる難点がある。例えば、積載荷重1800kgの場合、停止距離の実測値は150mm程度になっていた。
従来一般の電動式移動棚では、通常のブレーキ制御と、緊急時のブレーキ制御との区別がなく、何れの場合も同じブレーキ制御が行われる。したがって、積載荷重1800kgの電動式移動棚において、積載荷重満載時にブレーキを掛けると、通常のブレーキ制御時も、緊急時のブレーキ制御時も、停止距離は上記のように150mm程度になっていた。
前記距離センサ方式のブレーキ装置では、ソフトウエアによって段階的なブレーキ制御を行っているため、各移動棚のモータ特性、距離センサの誤差等により停止距離にばらつきが発生する。その結果、停止した移動棚相互間に、10〜100mmの隙間が生じる。また、前記リミットスイッチ方式のブレーキ装置では、各移動棚のモータ特性のばらつきにより、後続の移動棚が先行する移動棚に追いつき、リミットスイッチが作動して一時的に停止し、やがてまた移動を開始する、というように、ブレーキ状態と駆動状態を繰り返しながら、見た目にはギクシャクした形で移動することがあった。このような問題をなくそうとすると、ある程度大きな間隔をおいた順次駆動を行う必要があり、通路形成に多くの時間を要するという難点がある。
概要
電動式移動棚において、積載荷重が大きい場合でも、あるいは積載荷重が偏っていても、停止距離を短くすることができるブレーキ装置を得る。
走行車輪と、走行車輪を正逆回転させて移動棚を往復移動させる直流モータ52と、移動棚の移動方向両側に設けられた右行き操作スイッチ4および左行き操作スイッチ6と、右行き操作スイッチ4を操作している間は移動棚を右に向かって移動させるようにモータ52を駆動し左行き操作スイッチ6を操作している間は移動棚を左に向かって移動させるようにモータ52を逆方向に駆動する制御回路50とを備えたパワーアシスト式移動棚であって、移動停止時に、直流モータ52に発電ブレーキが掛かる。
目的
本発明は以上のような問題点を解消するためになされたもので、電動式移動棚において、積載荷重が大きい場合でも、あるいは積載荷重が偏っていても、停止距離を短くすることができるブレーキ装置を提供することを目的とする。本発明はまた、通常の停止と緊急停止とを区別し、緊急停止時は通常停止時よりも停止距離を短くすることができる移動棚のブレーキ装置を提供することを目的とする。本発明はまた、右行き操作スイッチまたは左行き操作スイッチを操作している間は右または左に移動することができるとともに、一つの移動棚で他の移動棚を押し動かすことができるパワーアシスト式移動棚において、移動している全ての移動棚を、短い停止距離で停止させることができる移動棚のブレーキ装置を提供することを目的とする。本発明はまた、停止状態での移動棚相互間隔にばらつきがなく、通路形成に要する時間を短縮することができる移動棚のブレーキ装置を提供することを目的とする。
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 0件
- 牽制数
- 1件
この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
請求項1
走行車輪と、この走行車輪を正逆回転させて移動棚を往復移動させる直流モータと、操作スイッチの操作により上記直流モータを正逆回転駆動する制御回路とを備えた移動棚のブレーキ装置であって、移動停止時に、上記直流モータに発電ブレーキが掛かることを特徴とする移動棚のブレーキ装置。
請求項2
走行車輪と、この走行車輪を正逆回転させて移動棚を往復移動させる直流モータと、移動棚の移動方向両側に設けられた右行き操作スイッチおよび左行き操作スイッチと、上記右行き操作スイッチを操作している間は移動棚を右に向かって移動させるように上記モータを駆動し上記左行き操作スイッチを操作している間は移動棚を左に向かって移動させるように上記モータを逆方向に駆動する制御回路とを備えたパワーアシスト式移動棚のブレーキ装置であって、移動停止時に、上記直流モータに発電ブレーキが掛かることを特徴とする移動棚のブレーキ装置。
請求項3
走行車輪と、この走行車輪を正逆回転させて移動棚を往復移動させる直流モータと、移動棚の移動方向両側に設けられた右行き操作スイッチおよび左行き操作スイッチと、上記右行き操作スイッチを操作している間は移動棚を右に向かって移動させるように上記モータを駆動し上記左行き操作スイッチを操作している間は移動棚を左に向かって移動させるように上記モータを逆方向に駆動する制御回路とを備えたパワーアシスト式移動棚のブレーキ装置であって、一つの移動棚で他の移動棚を押し動かすことができるように複数の移動棚が置き並べられ、上記右行き操作スイッチまたは上記左行き操作スイッチの操作停止時に、上記直流モータに発電ブレーキが掛かることを特徴とする移動棚のブレーキ装置。
請求項4
請求項5
緊急停止信号の入力による発電ブレーキ力は、右行き操作スイッチまたは左行き操作スイッチの操作停止時の発電ブレーキ力よりも大きいことを特徴とする請求項4記載の移動棚のブレーキ装置。
請求項6
緊急停止信号の入力時は直流モータの端子が短絡され、右行き操作スイッチまたは左行き操作スイッチの操作停止時は直流モータの端子が抵抗の介在のもとに短絡されることを特徴とする請求項5記載の移動棚のブレーキ装置。
請求項7
技術分野
0001
本発明は、駆動源として電動モータを用いた移動棚のブレーキ装置に関するものであり、特に、駆動源として電動モータを用いた移動棚でありながら、手動操作感覚で移動棚を操作することができるようにしたパワーアシスト式移動棚に適したブレーキ装置に関するものである。
背景技術
0002
重量物を収納した電動式移動棚は、一旦移動し始めると、駆動源としてのモータへの電力供給を停止しただけでは惰性で移動するので、惰性による移動距離をなるべく短くするためにブレーキ装置が装着される。従来の電動式移動棚における駆動源は交流(AC)モータであり、次のような簡易なブレーキ装置を用いている。
(1)隣の移動棚との距離を測定し、この距離に応じてブレーキをかける距離センサ方式。
(2)隣の移動棚に接触したらブレーキをかけるリミットスイッチ方式。上記何れの方式にせよ、移動棚の揺れを考慮し、段階的にブレーキをかけていく必要がある。また、簡易的なブレーキ装置の特性上、積載荷重や偏荷重により停止距離が大きく変化する難点がある。
0003
上記のように、従来の電動式移動棚は交流モータを使用している。交流モータの特性として、回転数と出力トルクとが正比例の関係にある。したがって、回転速度が立ち上がって走行速度が一定にならなければ所定のトルクが生起されないことになる。換言すれば、所定のトルクを得るためには回転速度を高くする必要があり、回転速度を高くすると、移動棚の停止距離が長くなる。このような交流モータの特性は、移動し始めるときにより大きなトルクを必要とする移動棚の駆動源としては好適なものではない。
0004
そこで、交流モータを駆動源とする従来の電動式移動棚は、移動開始時のトルク不足を補完するために、移動方向先頭に位置する移動棚から順に駆動する順次駆動方式にして1台ごとに駆動するようにし、一つの移動棚にとって他の移動棚が負荷とならないようにしている。そして、停止するときは、最大速度状態において1台の移動棚ごとにブレーキを掛けることになるため、停止距離すなわちブレーキを掛け始めてから停止するまでの距離が長くなる難点がある。例えば、積載荷重1800kgの場合、停止距離の実測値は150mm程度になっていた。
0005
従来一般の電動式移動棚では、通常のブレーキ制御と、緊急時のブレーキ制御との区別がなく、何れの場合も同じブレーキ制御が行われる。したがって、積載荷重1800kgの電動式移動棚において、積載荷重満載時にブレーキを掛けると、通常のブレーキ制御時も、緊急時のブレーキ制御時も、停止距離は上記のように150mm程度になっていた。
0006
前記距離センサ方式のブレーキ装置では、ソフトウエアによって段階的なブレーキ制御を行っているため、各移動棚のモータ特性、距離センサの誤差等により停止距離にばらつきが発生する。その結果、停止した移動棚相互間に、10〜100mmの隙間が生じる。また、前記リミットスイッチ方式のブレーキ装置では、各移動棚のモータ特性のばらつきにより、後続の移動棚が先行する移動棚に追いつき、リミットスイッチが作動して一時的に停止し、やがてまた移動を開始する、というように、ブレーキ状態と駆動状態を繰り返しながら、見た目にはギクシャクした形で移動することがあった。このような問題をなくそうとすると、ある程度大きな間隔をおいた順次駆動を行う必要があり、通路形成に多くの時間を要するという難点がある。
発明が解決しようとする課題
0007
本発明は以上のような問題点を解消するためになされたもので、電動式移動棚において、積載荷重が大きい場合でも、あるいは積載荷重が偏っていても、停止距離を短くすることができるブレーキ装置を提供することを目的とする。本発明はまた、通常の停止と緊急停止とを区別し、緊急停止時は通常停止時よりも停止距離を短くすることができる移動棚のブレーキ装置を提供することを目的とする。本発明はまた、右行き操作スイッチまたは左行き操作スイッチを操作している間は右または左に移動することができるとともに、一つの移動棚で他の移動棚を押し動かすことができるパワーアシスト式移動棚において、移動している全ての移動棚を、短い停止距離で停止させることができる移動棚のブレーキ装置を提供することを目的とする。本発明はまた、停止状態での移動棚相互間隔にばらつきがなく、通路形成に要する時間を短縮することができる移動棚のブレーキ装置を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
0008
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、走行車輪と、この走行車輪を正逆回転させて移動棚を往復移動させる直流モータと、操作スイッチの操作により上記直流モータを正逆回転駆動する制御回路とを備えた移動棚のブレーキ装置であって、移動停止時に、上記直流モータに発電ブレーキを掛けることを特徴とする。
0009
請求項2記載の発明は、走行車輪と、この走行車輪を正逆回転させて移動棚を往復移動させる直流モータと、移動棚の移動方向両側に設けられた右行き操作スイッチおよび左行き操作スイッチと、右行き操作スイッチを操作している間は移動棚を右に向かって移動させるようにモータを駆動し左行き操作スイッチを操作している間は移動棚を左に向かって移動させるようにモータを逆方向に駆動する制御回路とを備えたパワーアシスト式移動棚のブレーキ装置であって、移動停止時に、直流モータに発電ブレーキが掛かることを特徴とする。
0010
請求項3記載の発明は、走行車輪と、この走行車輪を正逆回転させて移動棚を往復移動させる直流モータと、移動棚の移動方向両側に設けられた右行き操作スイッチおよび左行き操作スイッチと、右行き操作スイッチを操作している間は移動棚を右に向かって移動させるようにモータを駆動し左行き操作スイッチを操作している間は移動棚を左に向かって移動させるようにモータを逆方向に駆動する制御回路とを備えたパワーアシスト式移動棚のブレーキ装置であって、一つの移動棚で他の移動棚を押し動かすことができるように複数の移動棚が置き並べられ、右行き操作スイッチまたは左行き操作スイッチの操作停止時に、直流モータに発電ブレーキが掛かることを特徴とする。
0011
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明において、緊急停止信号の入力によって各棚のモータへの電力供給が停止するとともに、直流モータに発電ブレーキが掛かることを特徴とする。請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明において、緊急停止信号の入力による発電ブレーキ力は、右行き操作スイッチまたは左行き操作スイッチの操作停止時の発電ブレーキ力よりも大きいことを特徴とする。請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明において、緊急停止信号の入力時は直流モータの端子が短絡され、右行き操作スイッチまたは左行き操作スイッチの操作停止時は直流モータの端子が抵抗の介在のもとに短絡されることを特徴とする。
0012
請求項7記載の発明は、請求項1、2または3記載の発明において、移動棚の走行方向前後にはそれぞれ複数の走行車輪が配置されていて、前後の少なくとも一方の複数の走行車輪は軸で連結され、軸で連結された両端の車輪相互間の中央部において、直流モータから上記軸への動力伝達部が設けられていることを特徴とする。
発明を実施するための最良の形態
0013
以下、図面を参照しながら本発明にかかる式移動棚のブレーキ装置の実施形態について説明する。図2において、符号2は移動棚を示している。図2に示す例では4台の移動棚2が移動可能に置き並べられている。これらの移動棚2はそれぞれ底部の走行方向前後に走行車輪8を有すると共に、それぞれの走行車輪8を回転駆動するモータ52を有している。上記各走行車輪8は、床に敷設されたレール上を回転し、このレールに案内されて上記各移動棚2が移動できるようになっている。
0014
図2に示す例では、各移動棚の間口面すなわち物品出し入れ面が紙面に直角な方向に向いていて、各移動棚は間口面に直角方向(紙面と平行な左右方向)に移動するようになっている。本明細書では、各移動棚の間口面を右側面または左側面とし、間口面に直角をなす垂直面で図2に示すように操作部が現れている面を正面という。
0015
上記各モータ52は、特性上起動時に最大トルクを得ることができるという特徴を有する直流モータで、供給する直流電源の極性を切り替えることによって正逆回転し、それぞれの走行車輪8を正逆回転させて移動棚を往復移動させることができるようになっている。各移動棚には、その移動方向両側に操作スイッチ4、6が設けられている。図示の例では、各移動棚2の正面に側パネルが取り付けられ、この側パネルの、移動棚走行方向前後端にそれぞれ操作スイッチ4、6が設けられている。操作スイッチ4は、移動棚2を右側に移動させようとするときに右側に向かって押す右行き操作スイッチで、側パネルの左側に設けられている。操作スイッチ6は、移動棚2を左側に移動させようとするときに左側に向かって押す左行き操作スイッチで、側パネルの右側に設けられている。
0016
次に、各移動棚2に内蔵されている電気回路の例について図1を参照しながら説明する。図1において、符号50は、直流モータ52の正逆回転、停止およびブレーキ動作を制御する制御回路を示しており、マイクロコンピュータ(以下「マイコン」という)からなる。商用交流電源を直流の24Vに変換して制御回路50に電源として供給する直流安定化電源53を有している。制御回路50には、入力手段として、右行き操作スイッチ4、左行き操作スイッチ6、台枠安全バー左スイッチ61、台枠安全バー右スイッチ62、通路安全バー左スイッチ63、通路安全バー右スイッチ64および緊急解除スイッチ56が接続されている。
0017
上記台枠安全バー左スイッチ61および台枠安全バー右スイッチ62は、移動棚の台枠左側面および右側面に取り付けられた安全バースイッチで、移動棚間に形成されている作業通路内に作業者その他の異物があり、移動棚が移動して上記作業者その他の異物に接触することによって動作するスイッチである。上記通路安全バー左スイッチ63および通路安全バー右スイッチ64は、移動棚の左側間口面および右側間口面に取り付けられた隣接棚接近阻止バーを間口面に突出させることによって動作するスイッチである。上記隣接棚接近阻止バーは、移動棚の右側または左側の間口面から突出させると、隣接棚が接近してきても、隣接棚接近阻止バーによって接近が阻止され、移動棚と移動棚との間に隣接棚接近阻止バーの長さ分の通路空間を確保して、通路内の作業者の安全を確保するものである。上記隣接棚接近阻止バーを間口面から突出させると、通路安全バースイッチ63または64が切り替わり、どの右行き操作スイッチまたは左行き操作スイッチを操作しても移動棚を移動させることはできなくなる。またこのとき、隣接棚接近阻止バーを突出させた移動棚の安全バー作動ランプ65または66が点滅して、移動棚を移動させることができない状態にあることを表示する。隣接棚接近阻止バーを退避させると、移動棚が移動可能な状態に復帰する。上記隣接棚接近阻止バーは棚の移動を緊急停止させようとする場合に移動棚の間口面から突出させてもよい。隣接棚接近阻止バーの突出によってスイッチ61、62、63、64が動作し、移動中の移動棚が緊急停止する。上記緊急解除スイッチ56は、緊急停止した移動棚を原状に戻して移動可能にするためのスイッチである。
0018
制御回路50には、出力手段として前述の直流モータ52が接続されるとともに、右側安全バー作動ランプ65、左側安全バー作動ランプ66が接続されている。制御回路50は、右行き信号、左行き信号が入力されている間は直流モータ52を正逆回転駆動し、右行き信号、左行き信号の停止によって直流モータ52の駆動を停止するとともに直流モータ52に発電ブレーキを掛け、また、緊急停止信号の入力によっても直流モータ52に発電ブレーキを掛ける駆動回路も含んでいる。
0019
制御回路50は、右行き操作スイッチ4が操作されることによって上記駆動回路を制御し、移動棚2が右向きに移動するように直流モータ52を駆動し、これと同時に右行き信号を出力するようになっている。この右行き信号は、右台車通信回線を通じて右側に隣接する移動棚2に導入されるようになっている。また、制御回路50は、左行き操作スイッチ6が動作することによって上記駆動回路を制御し、移動棚2が左向きに移動するように直流モータ52を駆動し、これと同時に左行き信号を出力するようになっている。この左行き信号は、左台車通信回線を通じて左側に隣接する移動棚2に導入されるようになっている。
0020
制御回路50はまた、右隣の移動棚から右台車通信回線を通じて左行き信号が入力されると、上記駆動回路を制御し、移動棚2が左向きに移動するように直流モータ52を駆動するとともに、左行き信号を出力して左台車通信回線を通じて左隣の移動棚に伝達する。同様に、制御回路50は、左隣の移動棚から左台車通信回線を通じて右行き信号が入力されると、上記駆動回路を制御し、移動棚2が右向きに移動するように直流モータ52を駆動するとともに、右行き信号を出力して右台車通信回線を通じて右隣の移動棚に伝達する。
0021
そして、制御回路50は、その移動棚2の右行き操作スイッチ4または左行き操作スイッチ6が操作された場合は、その移動棚2の直流モータ52が定格出力運転されるように前記駆動回路を制御する。これに対して他の移動棚から右行き信号または左行き信号が入力されたときは、制御回路50は、その移動棚2の直流モータ52に、上記右行き操作スイッチ4または左行き操作スイッチ6が操作されたに供給され値電力よりも少ない電力、例えば、その移動棚2が単独では動き出すことができない程度の電力が供給されるように上記駆動回路を制御する。直流モータ52の上記定格出力は、例えば24Vで8Aの電流を供給することによって得られるとすれば、その移動棚2が単独では動き出すことができない程度の電力は、24Vで6A程度の電流を供給することによって得ることができる。
0022
各移動棚2に内蔵されている制御回路50の上記駆動回路には、移動棚の移動停止時に電気的なブレーキ力を生起させる発電ブレーキ回路が組み込まれている。図6は発電ブレーキ回路の例を示す。図6において、直流モータ52の端子間には、これまで説明したように、制御回路50に含まれる駆動回路から正逆方向に駆動電流が供給されることによって正逆回転駆動されるようになっている。また、直流モータ52の端子間には、発電ブレーキ回路の一つとして、端子間を短絡するスイッチ20が接続されている。さらに、2Ωの抵抗を介して端子間をつなぐスイッチ22が接続されている。さらに、42Ωの抵抗を介して端子間をつなぐスイッチ24が接続されている。各スイッチ20、22、24は、制御回路50によってオン、オフ制御されるリレースイッチまたはサイリスタなどで構成される。以上説明した図1、図6に示す回路と同じ構成の回路が、各移動棚2に内蔵されている。
0023
以上のように構成された実施の形態の動作を図7、図8、図9を参照しながら説明する。動作ステップごとに「S1」「S2」「S3」というように符号を付す。図7は、全般的な操作手順の例を示す。図7において、作業者の判断によって通路表示がなされているかどうか判断し(S1)、表示がなければ移動棚相互間に形成されている通路内での作業が行われていないものと判断できるので、次に移動棚を駆動しても危険はないかどうかを判断し(S2)、危険がなければ、操作スイッチをオンする(S3)。操作スイッチとは、前述の右行き操作スイッチ4または左行き操作スイッチ6のうちのいずれかである。操作スイッチのオンによって前記モータ52の駆動制御が行われ、移動棚が右または左に走行する(S4)。この駆動制御の詳細は後で説明する。
0024
駆動制御中は安全装置が働いたかどうか、すなわち、図1について説明した左右の台枠安全バー61、63、左右の通路安全バー63、64が働いたかどうかをチェック(S5)する。安全装置が働かなければ、操作スイッチがオフになる(S6)まで移動棚が走行し、操作スイッチがオフになることによって通常ブレーキ制御が行われる(S7)。通常ブレーキ制御については後で詳細に説明する。S5で、安全装置が働いた場合は緊急ブレーキ制御が行われ(S8)、移動中の移動棚に緊急ブレーキが掛けられる。緊急ブレーキ制御についても後で詳細に説明する。
0025
上記駆動制御の詳細について図8を参照しながら説明する。図8において、右行きまたは左行きの操作スイッチが押されてオンすると(S11)、操作スイッチが押された棚においては、モータ52に供給する電流を制御してモータ52を駆動することができる電流、例えば8アンペアを流す(S12)。一方、上記棚によって押される棚(以下「ディジチェーンによる下位の棚」という)においては、モータ52に供給する電流を制御して、上記右行きまたは左行きの操作スイッチが操作された棚のモータ52に供給する電流よりも少ない電流、例えば、モータ52があと少しで棚を駆動できる程度の電流(例えば6アンペア)を流す。これによって、操作スイッチが押された棚のモータ52が右または左に回転して右または左に移動し(S14)、右または左に位置している他の棚を押し動かす。
0026
他の棚から右行き信号または左行き信号が伝達された棚において直流モータに供給する電力をその棚単独では動き出すことができない程度の電力にした理由は、一つの移動棚で押し動かされる他の棚が先行することによって移動棚と移動棚との間に隙間ができることのないようにするためで、一つの移動棚で他の移動棚が押し動かされることを狙っていることによる。
0027
各移動棚52においては、別の移動棚において押し動かされたかどうかを判断する(S15)。押し動かされた棚においてはモータ52への電源供給を絶つ(S17)。押し動かされる棚においては、走行車輪の回転力がモータ52に伝達されモータ52が回転して発電する(S18)。このようにして、モータ52に給電されることによって駆動される棚(他の棚を押し動かす棚)も、この棚によって押し動かされる棚も所定の距離走行して所定幅の通路形成が完了する(S16)と、作業者は自己判断によって操作スイッチの操作を停止して操作スイッチをオフとする(S19)。
0028
操作スイッチのオフにより、その棚のモータへの給電が停止するとともに、各移動棚の直流モータに発電ブレーキが掛けられる。駆動源となって他の移動棚を押し動かした移動棚においては、直流モータの端子を適宜の抵抗を介して接続し、発電された電気の電流を制御して発電ブレーキをかける(S20)。同様に、ディジチェーン下位の棚、すなわち別の棚で押し動かされる棚においても、直流モータの端子を適宜の抵抗を介して接続し、発電された電気の電流を制御して発電ブレーキをかける(S21)。これらの棚以外の棚、すなわちディジチェーン上位の棚(移動しなかった棚)においても電流制御による発電ブレーキが掛けられる(S22)が、実際には発電されないのでブレーキ力も発生しない。このように、操作スイッチのオフに基づいて発電ブレーキを掛け、棚の走行を停止させる制御を通常のブレーキ制御という。
0029
上記のような発電ブレーキ力は、移動棚に積載されている収納物の荷重が大小に変動することによって変動するため、荷重が変動しても、停止距離をほぼ一定にすることができる。すなわち、荷重が大きい場合は慣性力も大きくなるが、発電力が大きく、発電ブレーキ力も大きくなるからである。これに対して荷重が小さく慣性力が小さい場合は、発電力も発電ブレーキ力も小さくなるからである。
0030
発電ブレーキが掛けられることによって移動棚は迅速に停止するが、停止したあとも0.1秒から1.0秒程度はモータの端子が短絡され、発電ブレーキが掛けられた状態が保持される(S23)。また、発電ブレーキ保持中は、モータに駆動電流が供給されることはない。次に、発電ブレーキ保持を解除し、モータをフリーの状態にし、次の動作に備えて一連の動作を終了する。
0031
次に、前記緊急ブレーキ制御の詳細について図9を参照しながら説明する。図9において、S31からS34までは図8のS1からS15までと同じであり、図9においてS36、S37は図8のS17、S18と同じである。一つの棚で他の棚を押し動かしている状態において、安全装置が働いたかどうかをチェックする(S35)。安全装置が働いたかどうかは、図1に示す左右の台枠安全バースイッチ61、62、左右の通路安全バースイッチ63、64が動作したかどうかということであり、安全装置が動作した場合は、左右の安全バー作動ランプ66、65が点灯する。安全装置が動作しない場合は、操作スイッチを押しつづけ、所定幅の通路形成が完了すると(S42)、操作スイッチの操作を解除してオフとし(S43)、通常のブレーキ制御を行う(S44)。通常のブレーキ制御については既に説明した。
0032
S35で、安全装置が働いた場合は、安全装置が働いた通路の作動ランプ65または66を点滅させて安全装置が働いたことを表示し(S38)、各棚に発電ブレーキをかける。この場合は、緊急停止信号が入力された場合であるから、他の棚を押し動かしている棚であっても、他の棚によって押し動かされている棚(ディジチェーン下位の棚)であっても、モータによって発電された電気を電流制御することなく、すなわち、図6においてスイッチ20を閉じてモータ52の端子を短絡することによって発電ブレーキを掛ける(S39)。したがって、モータには最大限の発電ブレーキがかかり、短い停止距離で停止する。さらに、その他の棚、すなわちディジチェーン上位の棚にも発電ブレーキを掛ける(40)。
0033
それ以後は、前記通常の発電ブレーキの場合と同様である。すなわち、発電ブレーキが掛けられることによって移動棚は迅速に停止するが、停止したあとも0.1秒から1.0秒程度はモータの端子が短絡され、発電ブレーキが掛けられた状態が保持される(S41)。次に、発電ブレーキ保持を解除し、モータをフリーの状態にし、次の動作に備えて一連の動作を終了する。
0034
以上説明した実施の形態によれば、駆動源として直流モータを用いた移動棚において、移動停止時に直流モータに発電ブレーキをかけるようにしたため、重量物を搭載した移動棚であっても、短い停止距離で迅速に停止させることができる。したがって、各棚ごとの停止距離のばらつきも少なく、停止状態での棚相互間の隙間のばらつきも少なくなる。
0035
図11は、発電ブレーキを掛けた場合の移動棚の停止距離と、従来の交流モータを駆動源とする移動棚においてブレーキを掛けた場合の停止距離とを比較して示す。線aは2Ωの抵抗を介して、線bは3Ωの抵抗を介して、線cは4Ωの抵抗を介してそれぞれ直流モータの端子を短絡し、発電ブレーキを掛けた場合を示す。線dは従来の交流モータを駆動源とする移動棚においてブレーキを掛けた場合を示す。線dから明らかなように、従来は移動量(停止距離)が全体として長くなるとともに、積載荷重が大きくなるのに比例して移動量が大幅に増加している。これに対して本願発明のように駆動源としての直流モータ発電ブレーキをかけるものにおいては、積載荷重が増えるにしたがって移動距離も長くなる傾向があるものの、全体として停止距離が短く、積載荷重が小さくても大きくても、停止距離には大差がないという利点がある。また、当然ながらモータの端子間の抵抗が小さいほど大きな発電ブレーキがかかり、停止距離が短くなる。
0036
本発明の前記実施の形態によれば、駆動源を直流モータとし、一つの移動棚で他の移動棚を押し動かすことができるようにするとともに、右行き操作スイッチまたは左行き操作スイッチを操作している間は移動棚を右または左に移動させることができるようにしたパワーアシスト式移動棚において、他の移動棚で押し動かされている移動棚においても発電ブレーキをかけることができるため、パワーアシスト式移動棚においても、迅速に停止させることができ、移動棚相互間の隙間のばらつきを少なくして停止させることができる。
0037
既に説明した実施の形態は、右行きまたは左行き操作スイッチ4または6が操作されている間は直流モータを正逆回転させて移動棚を右または左移動させるパワーアシスト式移動棚の例である。パワーアシスト式移動棚においては、右行きまたは左行き操作スイッチが操作しやすいこと、その反面、意図的にスイッチ操作する場合以外は不用意にスイッチに触れることのないような工夫が望まれる。図4、図5は、このような目的をもって工夫が施された右行き操作スイッチ4および左行き操作スイッチ6とその周辺部分の構成例を示す。
0038
図4、図5において、左右に近接する移動棚の側パネル10、10には、相対向する位置において、移動棚の走行方向にV字状に切り込まれた窪み12、12が形成されている。この窪み12、12にはスイッチパネル14、14が固定されている。スイッチパネル14、14は、移動棚の間口面に平行ではなく、間口面に対して15度程度曲げられて斜め正面側を向くように角度が決められ、ここに右行きまたは左行き操作スイッチ4、6が取り付けられている。したがって、右行きまたは左行き操作スイッチ4、6の操作ボタンは斜め正面側を向いていて、操作性が良好になるように工夫されている。その一方では、上記操作ボタンはは上記窪み12、12内にあって側パネル10、10の面から突出することはない。よって、意図的にスイッチ操作する場合以外は不用意にスイッチに触れることのないような工夫がなされている。
0039
また、相対向する操作スイッチ4、6は窪み12、12内に配置されるとともに、移動棚の間口面よりも後退した位置に配置されている。したがって、双方の移動棚が近接していても、操作スイッチ4、6間に生じている隙間に手指を入れて操作スイッチ4、6を操作することができる。上記右行きまたは左行き操作スイッチ4、6の、移動棚間口面に対する傾斜角度は、0度〜75度の範囲であればよい。好ましくは10度から45度程度がよい。また、上記右行きまたは左行き操作スイッチ4、6の床面からの高さ位置は、図示の実施例では図2に示すように1000mmになっているが、300〜1800mmの範囲であればよい。
0040
図示の実施形態のようなパワーアシスト式移動棚においては、所望の位置に作業通路を形成しようとする場合、作業通路を形成しようとする位置の両側にある移動棚を同時に右と左に移動させることもできる。例えば、図2に示すように4台の移動棚が集束している状態において、その中央に作業通路を形成しようとするときは、右から2番目の移動棚2の右行き操作スイッチ4と、左から2番目の移動棚2の左行き操作スイッチ4とを同時に操作して、右側2台の移動棚を右側に、左側2台の移動棚を左側に同時に走行させることもできる。こうすることによって、移動棚を片側にのみ移動させる場合と比較して、所望の幅の作業通路を1/2の所要時間で迅速に形成することができる。この場合、右から2番目と左から2番目の移動棚が、その直流モータ52への給電によって駆動され、右端と左端の移動棚は上記の移動棚によって押し動かされその移動棚のモータ52は空転している。
0041
既に説明した通り、本発明の実施形態によれば、移動棚の停止時に停止距離を短くすることができ、停止状態での移動棚相互間隔のばらつきを少なくすることができるという利点があるが、機械的な構造上においても移動棚相互間隔のばらつきが生じない構造であることが望ましい。特に、1台の移動棚においても、荷重の偏り、あるいは、駆動機構の構成上の問題などによって、進行方向から見て右側と左側とで走行速度に差を生じ、ねじれたような形でいわゆる斜行することがある。そうすると、停止位置での棚相互間の隙間が大きくなる。そこで、前後の少なくとも一方の複数の走行車輪はこれを軸で連結し、軸で連結した両端の車輪相互間の中央部において、直流モータから上記軸への動力伝達部を設けるとよい。そのようにした例を図10に示す。
0042
図10において、移動棚2の台枠内には、走行方向(図10において上下方向)前後に2個ずつ車輪8が配置されている。前後の2個ずつの車輪8は回転軸30、31でそれぞれ一体に連結され、回転軸30、31の両端部に走行車輪8が位置している。回転軸30、31は、台枠の構造部材をなす梁に固定された適宜数の軸受34によって回転自在に支持されている。前後の回転軸30、31のうち、一方の回転軸30には、その長さ方向の中央部、すなわち、回転軸30で連結した両端の車輪8、8相互間の中央部において動力伝達部としての歯車33が固着されている。歯車33には、直流モータ52の出力軸に固着された小径歯車32が噛み合っている。動力伝達部は、チェーンとスプロケット、ウオームとウオームホイルなどで構成してもよい。
0043
図10に示すような構成にしておけば、回転軸30の動力伝達部から両端の走行車輪8、8までの回転軸30の長さがほぼ均等であるため、モータ52から回転軸30への動力伝達時に、回転軸30のねじれがその両端部でほぼ均等になり、移動棚が斜行することなく平行に移動する。そのため、移動がスムーズであるとともに、移動停止時の隣接棚との隙間が均等になる利点もある。なお、従動側の車輪8、8(図10において下側の車輪)は、通し軸(図10において回転軸31)で一体に連結する必要はない。
0044
以上説明した実施の形態では、右行き操作スイッチおよび左行き操作スイッチとして、押しボタンスイッチ(プッシュスイッチ)を想定して説明したが、プルスイッチとしてもよい。すなわち、移動棚の右側には右行きスイッチとしてのプルスイッチを、左側には左行きスイッチとしてのプルスイッチを設け、移動棚を右に向かって移動させるときは、右行きスイッチを右側に向かって引っ張り、移動棚を左に向かって移動させるときは、左行きスイッチを左側に向かって引っ張るようにする。
0045
図示の実施形態は、いわゆるパワーアシスト式移動棚の例であったが、本発明の技術思想は、駆動源として直流モータを用いるものであれば、パワーアシスト式移動棚に限らず適用することができる。
発明の効果
0046
請求項1記載の発明によれば、駆動源を直流モータとし、移動停止時に直流モータに発電ブレーキをかけるようにしたため、移動棚を迅速に停止させることができるとともに、移動棚相互間の隙間のばらつきを少なくして停止させることができる。また、ブレーキをかけるために外部からエネルギーを供給する必要がないから、省エネルギーにも役立つ。さらに、停止時にギクシャクすることなくスムーズに停止する利点もある。
0047
請求項2記載の発明によれば、駆動源を直流モータとし、一つの移動棚で他の移動棚を押し動かすことができるようにするとともに、右行き操作スイッチまたは左行き操作スイッチを操作している間は移動棚を右または左に移動させることができるようにしたパワーアシスト式移動棚においても、迅速に停止させることができ、移動棚相互間の隙間のばらつきを少なくして停止させることができる。そのほか、請求項1記載の発明と同様の効果を得ることができる。
0048
請求項3記載の発明によれば、駆動源を直流モータとし、一つの移動棚で他の移動棚を押し動かすことができるようにするとともに、右行き操作スイッチまたは左行き操作スイッチを操作している間は移動棚を右または左に移動させることができるようにしたパワーアシスト式移動棚において、他の移動棚で押し動かされている移動棚においても発電ブレーキをかけることができるため、他の移動棚で押し動かされている移動棚においても、迅速に停止させることができ、移動棚相互間の隙間のばらつきを少なくして停止させることができる。そのほか、請求項1記載の発明と同様の効果を得ることができる。
0049
請求項4記載の発明によれば、請求項3記載の発明において、緊急停止信号の入力によって各棚のモータへの電力供給が停止するとともに、直流モータに発電ブレーキが掛かるようにしたため、緊急時も迅速に移動棚を停止させることができる。
0050
請求項5記載の発明によれば、請求項4記載の発明において、緊急停止信号の入力による発電ブレーキ力は、右行き操作スイッチまたは左行き操作スイッチの操作停止時の発電ブレーキ力よりも大きくしたため、緊急時はより迅速に移動棚を停止させることができる。
0051
請求項6記載の発明によれば、請求項5記載の発明において、緊急停止信号の入力時は直流モータの端子を短絡し、右行き操作スイッチまたは左行き操作スイッチの操作停止時は直流モータの端子を抵抗の介在のもとに短絡するようにしたため、緊急停止信号の入力による発電ブレーキ力は、右行き操作スイッチまたは左行き操作スイッチの操作停止時の発電ブレーキ力よりも大きくなり、緊急時はより迅速に移動棚を停止させることができる。
0052
請求項7記載の発明によれば、請求項1、2または3記載の発明において、移動棚の走行方向前後にはそれぞれ複数の走行車輪が配置されていて、前後の少なくとも一方の複数の走行車輪は軸で連結され、軸で連結された両端の車輪相互間の中央部において、直流モータから上記軸への動力伝達部が設けられているため、モータから軸への動力伝達時に、軸のねじれがその両端部でほぼ均等になり、移動棚が斜行することなく平行に移動する。そのため、移動がスムーズであるとともに、移動停止時の隣接棚との隙間が均等になる利点もある。
図面の簡単な説明
0053
図1本発明にかかる移動棚のブレーキ装置に適用可能な制御系統の例を示すブロック図である。
図2本発明にかかるブレーキ装置を有する移動棚の外観例を示す正面図である。
図3同上移動棚の動作例を示す外観正面図である。
図4同上移動棚の操作スイッチ部を拡大して示す正面図である。
図5図4中の線A−A´に沿う断面図である。
図6本発明に適用可能な発電ブレーキの例を示す回路図である。
図7上記本発明の実施形態の動作例を示すフローチャートである。
図8図7中の通常ブレーキ制御の詳細を示すフローチャートである。
図9図7中の緊急ブレーキ制御の詳細を示すフローチャートである。
図10本発明に適用可能な動力伝達機構部の例を示す底面図である。
図11積載荷重に対する停止時の移動量の関係を従来のブレーキ装置と本発明にかかるブレーキ装置とを比較して示すグラフである。
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0054
2移動棚
4 右行き操作スイッチ
6 左行き操作スイッチ
8走行車輪
52直流モータ
54 制御回路