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技術 キレート系重金属固定化剤の必要添加量の決定方法及び処理灰の重金属固定化効果の判定方法並びに装置

出願人 栗田工業株式会社
発明者 吉田恒行松本克美
出願日 2000年10月26日 (19年1ヶ月経過) 出願番号 2000-327313
公開日 2002年5月8日 (17年7ヶ月経過) 公開番号 2002-126685
状態 特許登録済
技術分野 固体廃棄物の処理
主要キーワード 単位添加量 スラリー容器 キレート剤添加量 無機系薬剤 キレート剤濃度 処理仕様 性状変動 現場毎
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (7)

課題

重金属含有灰キレート剤を加えて重金属溶出を防止するための適正添加量簡易にかつ的確に決定する。重金属含有灰にキレート剤を加えて重金属の溶出防止処理を行った処理灰について、重金属固定化効果を簡易にかつ的確に判定する。

解決手段

重金属含有灰の水スラリーに一定量のキレート剤を添加してORPを経時的に測定し、キレート剤添加後のORPの正の変化量を求め、この変化量からキレート剤の必要添加量を決定する。処理灰の水スラリーにキレート剤を添加したときのORPの正の変化量を測定し、この変化量を予め設定した値と比較してこの結果に基いて処理灰の重金属固定化効果を判定する。

概要

背景

都市ゴミ焼却工場等から排出される灰には、煙道集塵機捕集される飛灰焼却炉焼却残渣である焼却灰がある。このうち重金属含有率が高い飛灰に関しては、厚生省の定める方法により、適切な処理を施すことが義務付けられている。

厚生省の定める処理方法の一つに薬剤処理法があり、処理薬剤としては一般にキレート薬剤無機系薬剤が用いられている。

このような薬剤処理においては、薬剤コストを抑えた上で、重金属の溶出を確実に防止するために、薬剤を過不足なく適正な添加量となるように添加することが重要である。

また、処理済みの灰の重金属溶出防止効果が十分でない場合には、直ちに再処理を行う必要があることから、処理灰について、その重金属固定化効果が十分であるか否かの判定を現場にて迅速に行うことが重要である。

しかし、焼却炉で燃やすゴミ質、原料により、焼却飛灰性状は大きく変化することから、薬剤の適正添加率を決定することは非常に困難である。また、現状では、処理灰の重金属固定化効果を現場にて迅速かつ簡易に行う方法も提案されていない。

従来、無機系薬剤については一部、最適添加率の決定方法が設定されている薬剤もあるが、液体キレート系薬剤については最適添加率の決定方法が存在しない。このため、一般的には、飛灰の性状に対して、過剰気味に添加率を設定するか、薬剤を添加混練処理した後に環境の定める溶出試験法(環境庁告示13号試験法)に従って、重金属類(特に鉛、カドミウム)の溶出濃度を測定して最適添加量を決定するという手法が採用されている。

また、飛灰にキレート系薬剤を添加混練して処理した後、環境庁告示13号試験と同様の条件で、即ち、6時間という長時間をかけて水中に重金属を溶出させ、この溶出液酸化還元電位(ORP)を測定して、薬剤添加量を決定する手法(特開平8−309312号公報)も提案されているが、この方法では飛灰の性状変動即時的に対応した処理仕様を決定することができないため、安定した処理が困難であった。

この問題を解決し、キレート系薬剤の必要添加量を簡易かつ的確に決定する方法として、本出願人は先に、重金属含有灰水スラリーにキレート系薬剤を添加してゆき、その単位添加量当りの酸化還元電位の低下量が予め設定した値になるまでに添加したキレート系薬剤添加量をもとに、必要添加量を割り出す方法を提案した(特開2000−70902号公報)。

概要

重金属含有灰にキレート剤を加えて重金属の溶出を防止するための適正添加量を簡易にかつ的確に決定する。重金属含有灰にキレート剤を加えて重金属の溶出防止処理を行った処理灰について、重金属固定化効果を簡易にかつ的確に判定する。

重金属含有灰の水スラリーに一定量のキレート剤を添加してORPを経時的に測定し、キレート剤添加後のORPの正の変化量を求め、この変化量からキレート剤の必要添加量を決定する。処理灰の水スラリーにキレート剤を添加したときのORPの正の変化量を測定し、この変化量を予め設定した値と比較してこの結果に基いて処理灰の重金属固定化効果を判定する。

目的

本発明は上記従来の問題点を解決し、重金属含有灰にキレート系重金属固定化剤を加えて該重金属含有灰からの重金属の溶出を防止するに当り、該キレート系重金属固定化剤の必要添加量をより一層簡易にかつ的確に決定することができるキレート系重金属固定化剤の必要添加量の決定方法及びそのための装置を提供することを目的とする。

本発明はまた、重金属含有灰にキレート系重金属固定化剤を加えて該重金属含有灰からの重金属の溶出を防止するための処理を行った処理灰について、その重金属固定化効果をより一層簡易にかつ的確に判定することができる処理灰の重金属固定化効果の判定方法及びそのための装置を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

重金属含有灰キレート系重金属固定化剤を加えて該重金属含有灰からの重金属溶出を防止するための、該キレート系重金属固定化剤の必要添加量を決定する方法において、該重金属含有灰と水とのスラリーに、一定量の該キレート系重金属固定化剤を添加したときの該スラリーの酸化還元電位を経時的に測定し、該キレート系重金属固定化剤添加後の該酸化還元電位の正の変化量を求め、この正の変化量に基いて前記必要添加量を決定することを特徴とするキレート系重金属固定化剤の必要添加量の決定方法

請求項2

請求項1の方法において、該重金属含有灰と水とのスラリーに、一定量の該キレート系重金属固定化剤を間欠的に添加すると共に、該スラリーの酸化還元電位を経時的に測定し、該キレート系重金属固定化剤添加後の該スラリーの酸化還元電位の正の変化量が予め設定した値になるまで該キレート系重金属固定化剤を添加し、各該キレート系重金属固定化剤添加後の該スラリーの正の変化量の合計量を求め、この合計量に基いて前記必要添加量を決定することを特徴とするキレート系重金属固定化剤の必要添加量の決定方法。

請求項3

重金属含有灰にキレート系重金属固定化剤を加えて該重金属含有灰からの重金属の溶出を防止するための処理を行った処理灰について、その重金属固定化効果を判定する方法において、該処理灰と水のスラリーに、一定量の該キレート系重金属固定化剤を添加したときの該スラリーの酸化還元電位を経時的に測定し、該キレート系重金属固定化剤添加後の酸化還元電位の正の変化量を求め、この正の変化量を予め設定した値と比較してこの結果に基いて該処理灰の重金属固定化効果を判定することを特徴とする処理灰の重金属固定化効果の判定方法

請求項4

請求項3の方法において、該処理灰と水とのスラリーに、一定量の該キレート系重金属固定化剤を間欠的に添加すると共に、該スラリーの酸化還元電位を経時的に測定し、該キレート系重金属固定化剤添加後の該スラリーの酸化還元電位の正の変化量が予め設定した値になるまで該キレート系重金属固定化剤を添加し、各該キレート系重金属固定化剤添加後の該スラリーの正の変化量の合計量を求め、この合計量を予め設定した値と比較してこの結果に基いて該処理灰の重金属固定化効果を判定することを特徴とする処理灰の重金属固定化効果の判定方法。

請求項5

重金属含有灰にキレート系重金属固定化剤を加えて該重金属含有灰からの重金属の溶出を防止するための、該キレート系重金属固定化剤の必要添加量を決定する装置において、該重金属含有灰と水とのスラリーを調製する手段と、該スラリーに該キレート系重金属固定化剤を間欠的に添加する手段と、該キレート系重金属固定化剤を添加したときの該スラリーの酸化還元電位を経時的に測定する手段と、該酸化還元電位の正の変化量を算出する手段と、算出された酸化還元電位の正の変化量が予め設定した値になるまでキレート系重金属固定化剤を添加し続け、そのときまでの酸化還元電位の正の変化量を合計する手段と、この正の変化量の合計値を重金属の固定化に必要な該キレート系重金属固定化剤量に換算する手段とを備えてなることを特徴とするキレート系重金属固定化剤の必要添加量の決定装置

請求項6

重金属含有灰にキレート系重金属固定化剤を加えて該重金属含有灰からの重金属の溶出を防止するための処理を行った処理灰について、その重金属固定化効果を判定する装置において、該処理灰と水とのスラリーを調製する手段と、該スラリーに該キレート系重金属固定化剤を添加する手段と、該キレート系重金属固定化剤を添加したときの該スラリーの酸化還元電位を経時的に測定する手段と、該酸化還元電位の正の変化量を算出する手段とを備えてなることを特徴とする処理灰の重金属固定化効果の判定装置

技術分野

0001

本発明は、重金属含有灰キレート系重金属固定化剤を加えて該重金属含有灰からの重金属溶出を防止するための、該キレート系重金属固定化剤の必要添加量簡易にかつ的確に決定する方法及びそのための装置に関する。本発明はまた、重金属含有灰にキレート系重金属固定化剤を加えて該重金属含有灰からの重金属の溶出を防止するための処理を行った処理灰について、その重金属固定化効果を簡易かつ的確に判定する方法及びそのための装置に関する。

背景技術

0002

都市ゴミ焼却工場等から排出される灰には、煙道集塵機捕集される飛灰焼却炉焼却残渣である焼却灰がある。このうち重金属含有率が高い飛灰に関しては、厚生省の定める方法により、適切な処理を施すことが義務付けられている。

0003

厚生省の定める処理方法の一つに薬剤処理法があり、処理薬剤としては一般にキレート薬剤無機系薬剤が用いられている。

0004

このような薬剤処理においては、薬剤コストを抑えた上で、重金属の溶出を確実に防止するために、薬剤を過不足なく適正な添加量となるように添加することが重要である。

0005

また、処理済みの灰の重金属溶出防止効果が十分でない場合には、直ちに再処理を行う必要があることから、処理灰について、その重金属固定化効果が十分であるか否かの判定を現場にて迅速に行うことが重要である。

0006

しかし、焼却炉で燃やすゴミ質、原料により、焼却飛灰性状は大きく変化することから、薬剤の適正添加率を決定することは非常に困難である。また、現状では、処理灰の重金属固定化効果を現場にて迅速かつ簡易に行う方法も提案されていない。

0007

従来、無機系薬剤については一部、最適添加率の決定方法が設定されている薬剤もあるが、液体キレート系薬剤については最適添加率の決定方法が存在しない。このため、一般的には、飛灰の性状に対して、過剰気味に添加率を設定するか、薬剤を添加混練処理した後に環境の定める溶出試験法(環境庁告示13号試験法)に従って、重金属類(特に鉛、カドミウム)の溶出濃度を測定して最適添加量を決定するという手法が採用されている。

0008

また、飛灰にキレート系薬剤を添加混練して処理した後、環境庁告示13号試験と同様の条件で、即ち、6時間という長時間をかけて水中に重金属を溶出させ、この溶出液酸化還元電位(ORP)を測定して、薬剤添加量を決定する手法(特開平8−309312号公報)も提案されているが、この方法では飛灰の性状変動即時的に対応した処理仕様を決定することができないため、安定した処理が困難であった。

0009

この問題を解決し、キレート系薬剤の必要添加量を簡易かつ的確に決定する方法として、本出願人は先に、重金属含有灰の水スラリーにキレート系薬剤を添加してゆき、その単位添加量当りの酸化還元電位の低下量が予め設定した値になるまでに添加したキレート系薬剤添加量をもとに、必要添加量を割り出す方法を提案した(特開2000−70902号公報)。

発明が解決しようとする課題

0010

特開2000−70902号公報に記載される方法であれば、予め酸化還元電位の低下量を設定してキレート系薬剤で滴定を行うことにより、キレート系薬剤の必要添加量を簡易かつ的確に決定することができるが、この方法では、この酸化還元電位の低下量の値を予め設定することが煩雑であるという不具合があった。即ち、ストーカ炉飛灰、流動床炉飛灰、溶融飛灰、焼却灰等の灰の種類によってこの酸化還元電位の低下量の設定値が異なる場合があり、また、重金属含有量が高い灰では滴定曲線が複雑となり、この値を設定するのが困難になる場合があった。

0011

本発明は上記従来の問題点を解決し、重金属含有灰にキレート系重金属固定化剤を加えて該重金属含有灰からの重金属の溶出を防止するに当り、該キレート系重金属固定化剤の必要添加量をより一層簡易にかつ的確に決定することができるキレート系重金属固定化剤の必要添加量の決定方法及びそのための装置を提供することを目的とする。

0012

本発明はまた、重金属含有灰にキレート系重金属固定化剤を加えて該重金属含有灰からの重金属の溶出を防止するための処理を行った処理灰について、その重金属固定化効果をより一層簡易にかつ的確に判定することができる処理灰の重金属固定化効果の判定方法及びそのための装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0013

請求項1のキレート系重金属固定化剤の必要添加量の決定方法は、重金属含有灰にキレート系重金属固定化剤を加えて該重金属含有灰からの重金属の溶出を防止するための、該キレート系重金属固定化剤の必要添加量を決定する方法において、該重金属含有灰と水とのスラリーに、一定量の該キレート系重金属固定化剤を添加したときの該スラリーの酸化還元電位を経時的に測定し、該キレート系重金属固定化剤添加後の該酸化還元電位の正の変化量を求め、この正の変化量に基いて前記必要添加量を決定することを特徴とする。

0014

請求項2のキレート系重金属固定化剤の必要添加量の決定方法は、請求項1の方法において、該重金属含有灰と水とのスラリーに、一定量の該キレート系重金属固定化剤を間欠的に添加すると共に、該スラリーの酸化還元電位を経時的に測定し、該キレート系重金属固定化剤添加後の該スラリーの酸化還元電位の正の変化量が予め設定した値になるまで該キレート系重金属固定化剤を添加し、各該キレート系重金属固定化剤添加後の該スラリーの正の変化量の合計量を求め、この合計量に基いて前記必要添加量を決定することを特徴とする。

0015

請求項3の処理灰の重金属固定化効果の判定方法は、重金属含有灰にキレート系重金属固定化剤を加えて該重金属含有灰からの重金属の溶出を防止するための処理を行った処理灰について、その重金属固定化効果を判定する方法において、該処理灰と水のスラリーに、一定量の該キレート系重金属固定化剤を添加したときの該スラリーの酸化還元電位を経時的に測定し、該キレート系重金属固定化剤添加後の酸化還元電位の正の変化量を求め、この正の変化量を予め設定した値と比較してこの結果に基いて該処理灰の重金属固定化効果を判定することを特徴とする。

0016

請求項4の処理灰の重金属固定化効果の判定方法は、請求項3の方法において、該処理灰と水とのスラリーに、一定量の該キレート系重金属固定化剤を間欠的に添加すると共に、該スラリーの酸化還元電位を経時的に測定し、該キレート系重金属固定化剤添加後の該スラリーの酸化還元電位の正の変化量が予め設定した値になるまで該キレート系重金属固定化剤を添加し、各該キレート系重金属固定化剤添加後の該スラリーの正の変化量の合計量を求め、この合計量を予め設定した値と比較してこの結果に基いて該処理灰の重金属固定化効果を判定することを特徴とする。

0017

請求項5のキレート系重金属固定化剤の必要添加量の決定装置は、重金属含有灰にキレート系重金属固定化剤を加えて該重金属含有灰からの重金属の溶出を防止するための、該キレート系重金属固定化剤の必要添加量を決定する装置において、該重金属含有灰と水とのスラリーを調製する手段と、該スラリーに該キレート系重金属固定化剤を間欠的に添加する手段と、該キレート系重金属固定化剤を添加したときの該スラリーの酸化還元電位を経時的に測定する手段と、該酸化還元電位の正の変化量を算出する手段と、算出された酸化還元電位の正の変化量が予め設定した値になるまでキレート系重金属固定化剤を添加し続け、そのときまでの酸化還元電位の正の変化量を合計する手段と、この正の変化量の合計値を重金属の固定化に必要な該キレート系重金属固定化剤量に換算する手段とを備えてなることを特徴とする。

0018

請求項6の処理灰の重金属固定化効果の判定装置は、重金属含有灰にキレート系重金属固定化剤を加えて該重金属含有灰からの重金属の溶出を防止するための処理を行った処理灰について、その重金属固定化効果を判定する装置において、該処理灰と水とのスラリーを調製する手段と、該スラリーに該キレート系重金属固定化剤を添加する手段と、該キレート系重金属固定化剤を添加したときの該スラリーの酸化還元電位を経時的に測定する手段と、該酸化還元電位の正の変化量を算出する手段とを備えてなることを特徴とする。

0019

即ち、本発明者らは、重金属含有灰にキレート系重金属固定化剤(以下単に「キレート剤」と称す。)を加えて重金属の溶出を防止するに当って、重金属の溶出を確実に防止することができる必要最低限のキレート剤の添加量を決定する方法について種々検討した結果、重金属含有灰の水スラリーにキレート剤を添加すると酸化還元電位(ORP)が一旦低下した後再び上昇すること、そして、このORPの上昇量(正の変化量)がキレート剤の必要添加量と相関することを見出した。

0020

これは、次のような理由によるものと考えられる。

0021

即ち、キレート剤は還元性物質であるため、その溶液中の濃度はORPを測定することで予測できる。重金属含有灰の水スラリー中にはPb等の重金属等が溶解しているが、これにキレート剤を添加した場合、添加直後はキレート剤と重金属等の反応が十分でなく、スラリー中にはキレート剤が溶解して残留している(従って、ORPが低い)が、時間の経過と共にこれが重金属等と徐々に反応して沈殿することにより、スラリー中のキレート剤濃度は減少していく(従って、ORPが上昇していく)。

0022

従って、このORPの上昇量(正の変化量)を測定することにより、重金属等に消費されたキレート量を求めることができる。

0023

このORPの正の変化量と、環境庁告示13号試験で求めた灰の重金属の固定に必要なキレート剤添加量とは相関するので、この正の変化量と環境庁告示13号試験によるキレート剤の必要添加量との検量線を作成しておき、被処理灰のORPの正の変化量を測定し、この測定値から検量線でその灰に対してのキレート剤の必要添加量を予測することができる。

0024

また、この重金属含有灰の水スラリーに一定量のキレート剤を間欠的に添加すると、キレート剤の添加毎に一旦ORPが低下した後上昇するが、この上昇量は、キレート剤の間欠添加を繰り返すと次第に小さくなり、最終的にはキレート剤を添加してもORPが殆ど変化しなくなる。このときまでのキレート剤の添加毎のORPの正の変化量を合計して得られる合計値であれば、より一層正確に環境庁告示13号試験で求めた灰の重金属の固定に必要なキレート剤添加量と相関する。

0025

従って、予めこのORPの正の変化量の合計値とキレート剤の必要添加量との検量線を作成しておき、被処理灰のORPの正の変化量を測定し、この測定値から検量線でその灰に対してのキレート剤の必要添加量を予測することができる。

0026

同様に、重金属含有灰にキレート剤を加えて重金属の溶出防止処理を施した処理灰の水スラリーにキレート剤を添加したときのORPの正の変化量は、当該処理灰の重金属固定化効果と相関し、この正の変化量が所定値以下であれば、重金属固定化効果は十分であり、これを超える場合は、重金属固定化効果が不十分であるから、この正の変化量或いは正の変化量の合計値を予め設定した値と比較してこの結果に基いて該処理灰の重金属固定化効果を判定することができる。

0027

この重金属固定化効果の判定に当って、この正の変化量、或いは正の変化量の合計値の算出結果と上述の検量線とから、当該処理灰の再処理に際しての必要追加添加量を求めることもできる。

0028

なお、この必要添加量を求めるための検量線は、現場毎、例えば、焼却炉1基毎に作成しておくことが好ましい。

発明を実施するための最良の形態

0029

以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。

0030

まず、本発明のキレート剤の必要添加量の決定方法及び装置について説明する。

0031

キレート剤の必要添加量の決定に当っては、まず、重金属含有灰について、前述のORPの正の変化量或いはその合計値を測定する。

0032

本発明において、ORPの正の変化量を測定するには、まず、重金属含有灰又はその処理灰を水に添加して1〜10分程度攪拌混合してスラリー(以下、このスラリーを「灰スラリー」と称す場合がある。)を調製する。この灰スラリーの調製に当って、重金属含有灰又はその処理灰と水との混合割合は、液固比(L(mL)/s(g))で10〜1000、特に800〜1000程度とするのが好ましい。

0033

次に、この灰スラリーに一定量のキレート剤を添加して更に撹拌し、このときのスラリーのORPを継続的に測定する。前述の如く、キレート剤は、灰スラリーに添加された直後においては、灰スラリー中の重金属と反応せずに残留しているため、図1に示す如く、灰スラリーのORPはキレート剤の添加により一旦低下して最低値Eminをとるが、その後、灰スラリー中の重金属と反応してキレート剤が消費され、灰スラリー中のキレート剤濃度が低下するに伴って、灰スラリーのORPは徐々に上昇し、ある値Emaxで上げ止まり、その値で一定となる。このORPの最低値EminとORPが上げ止った点Emaxとの差ΔEを正の変化量とする。

0034

なお、このORPの正の変化量の測定に当たり、灰スラリーに添加するキレート剤の添加量が少な過ぎると、キレート剤添加後のORPの低下幅が小さく、EminとEmaxとの差ΔEが明確に現れないために、測定誤差を引き起こし易い。逆に、このキレート剤の添加量が過度に多くても、不経済であるため、このORPの正の変化量を測定する際のキレート剤の添加量は、灰スラリー中の灰に対してキレート剤の有効純分として0.1〜5.0好ましくは0.5〜1.0重量%で、好ましくは、予想されるキレート剤の必要添加量の1/10〜1/5程度の量とするのが好ましい。

0035

また、ORPが上げ止まるまでの測定時間(図1中のT)は、撹拌条件等によっても異なるが、一般的には、500〜2000秒、好ましくは1000〜1500秒程度である。

0036

このORPの正の変化量から、重金属含有灰のキレート剤の必要添加量を求めるには、数種類の重金属含有灰について上記と同様にしてORPの正の変化量を測定すると共に、環境庁告示13号試験によりキレート剤の添加量を変えたときの当該重金属含有灰からの重金属の溶出量を測定し、溶出量を一定以下とするために必要とされるキレート剤の添加量を測定し、この結果から、検量線を作成しておく。そして、キレート剤の必要添加量を求めたい重金属含有灰について上記と同様にしてORPの正の変化量を測定し、予め作成した検量線から、このORPの正の変化量に対応するキレート剤の必要添加量を求め、添加量を決定する。

0037

なお、検量線の作成に当っても、キレート剤の必要添加量の決定に当っても、ORPの正の変化量の測定を複数回行い、その平均値を算出して用いても良い。

0038

また、ORPの正の変化量の合計値を求めるには、上記と同様にして灰スラリーを調製し、この灰スラリーを撹拌しながら、一定量のキレート剤を間欠的に添加すると共に、ORPを継続的に測定する。前述の如く、灰スラリーに一定量のキレート剤を間欠的に添加すると、キレート剤の添加毎に灰スラリー中のキレート剤濃度が高くなって、一旦ORPが低下した後、キレート剤と灰スラリー中の重金属との反応でキレート剤が消費されることでORPが上昇する。図2に示す如く、この上昇量ΔE1〜ΔEnは、キレート剤の間欠添加(図2において、Cはキレート剤の添加時を示す。)を繰り返すと次第に小さくなり(即ち、ΔE1>ΔE2>ΔE3>ΔE4>ΔE5…>ΔEn)、最終的にはキレート剤を添加してもORPが殆ど変化しなくなる、このときまでのキレート剤の添加毎のORPの正の変化量を合計する(ΔE1+ΔE2+ΔE3+ΔE4+ΔE5…+ΔEn)。

0039

このORPの正の変化量の合計値の測定において、キレート剤を間欠添加する際の時間間隔は、添加されたキレート剤が灰スラリー中の重金属と完全に反応するまでの時間である必要はなく、キレート剤の大部分が反応する程度の時間で良い。一般的には、その作業効率の面から60〜600秒、特に120〜300秒に1回の間隔でキレート剤を添加し、次のキレート剤の添加の直前でORPを測定して正の変化量を求めるのが好ましい。

0040

そして、このORPの正の変化量が3〜4mV程度となったときを、ORPが殆ど変化しなくなったときと判断してよい。

0041

このようにしてORPの正の変化量の合計値を求める場合、1回に添加するキレート剤の添加量が過度に少ないと、キレート剤の間欠添加を何回も繰り返す必要があり、効率が悪くなる。キレート剤の添加量が多過ぎてもキレート剤の必要添加量と相関する適正なORPの正の変化量の合計値を求めることができないことから、1回に添加するキレート剤の添加量は、灰スラリー中の灰に対して、キレート剤の有効純分として0.1〜0.2重量%で、好ましくは予想されるキレート剤の必要添加量の1/50〜1/25程度の量とし、キレート剤の間欠添加を3〜10回繰り返すことにより、ORPの正の変化量の合計値が算出することができるようにするのが好ましい。

0042

このORPの正の変化量の合計値から、重金属含有灰のキレート剤の必要添加量を求めるには、数種類の重金属含有灰について上記と同様にしてORPの正の変化量の合計値を測定すると共に、環境庁告示13号試験により当該重金属含有灰からの重金属の溶出を確実に防止するために必要とされるキレート剤の添加量を測定し、この結果から、検量線を作成しておく。そして、キレート剤の必要添加量を求めたい重金属含有灰について上記と同様にしてORPの正の変化量の合計値を求め、予め作成した検量線から、このORPの正の変化量の合計値に対応するキレート剤の必要添加量を求め、添加量を決定する。

0043

なお、検量線の作成に当っても、キレート剤の必要添加量の決定に当っても、ORPの正の変化量の合計値の測定を複数回行い、その平均値を算出して用いても良い。

0044

このような本発明のキレート剤の必要添加量の決定方法は、該重金属含有灰と水とのスラリーを調製する手段と、該スラリーに該キレート系重金属固定化剤を間欠的に添加する手段と、該キレート系重金属固定化剤を添加したときの該スラリーの酸化還元電位を経時的に測定する手段と、該酸化還元電位の正の変化量を算出する手段と、算出された酸化還元電位の正の変化量が予め設定した値になるまでキレート系重金属固定化剤を添加し続け、そのときまでの酸化還元電位の正の変化量を合計する手段と、この正の変化量の合計値を重金属の固定化に必要な該キレート系重金属固定化剤量、例えば、環境庁告示13号試験量に換算する手段とを備えてなる本発明の装置を用いて、容易に実施することができる。この装置は、さらに前記スラリー調製手段のスラリー容器及び配管系を洗浄する手段を備えるのが好適である。

0045

次に、本発明の処理灰の重金属固定化効果の判定方法及び装置について説明する。この装置は、さらに前記スラリー調製手段のスラリー容器及び配管系を洗浄する手段を備えるのが好適である。

0046

本発明の処理灰の重金属固定化効果の判定方法に従って、処理灰の重金属固定化効果を判定するには、前述と同様にして、この処理灰のORPの正の変化量或いはその合計値を求め、この正の変化量或いはその合計値を予め設定した値と比較して、この設定値よりも大きければ重金属固定化効果が不十分であり、この設定値以下であれば重金属固定化効果が十分であると判定する。

0047

即ち、前述の方法に従って、処理灰のORPの正の変化量又はその合計値を測定した場合、重金属固定化効果が十分なものは、キレート剤の消費が殆どないことから、ORPの正の変化量又はその合計値は理論的にはゼロとなる。従って、例えば、このORPの正の変化量又はその合計値が3〜4mV以下であるような処理灰は重金属固定化効果が十分であると判定することができる。

0048

本発明の処理灰の重金属固定化効果の判定方法の実施に当っては、このようにして重金属固定化効果を判定すると共に、前述の本発明のキレート剤の必要添加量の決定方法の説明にある検量線を用いて、処理不良と判定された処理灰を再処理する際のキレート剤の必要追加添加量を求めるのが好ましい。

0049

このような本発明の処理灰の重金属固定化効果の判定方法は、該処理灰と水とのスラリーを調製する手段と、該スラリーに該キレート系重金属固定化剤を添加する手段と、該キレート系重金属固定化剤を添加したときの該スラリーの酸化還元電位を経時的に測定する手段と、該酸化還元電位の正の変化量を算出する手段とを備えてなる本発明の装置を用いて、容易に実施することができる。この装置は、さらに算出された酸化還元電位の正の変化量が予め設定した値になるまでキレート系重金属固定化剤を添加し続け、そのときまでの酸化還元電位の正の変化量を合計する手段と、この正の変化量の合計値を該処理灰の重金属固定化効果の判定値に換算する手段と、前記スラリー調製手段のスラリー容器及び配管系を洗浄する手段を備えるのが好適である。

0050

以下に実験例及び実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。

0051

なお、以下において、用いた供試灰の成分分析結果は表1に示す通りであり、また、これらの供試灰にキレート剤(田工業(株)製「アッシュイトS−801」)を各種の添加量で添加混練した処理灰の環境庁告示13号試験結果は表2に示す通りである。

0052

0053

0054

実験例1
5000mLのタンク脱イオン水3000mLと各供試灰及びA−1灰のNo.3の処理灰(キレート剤添加率10重量%対灰)5gをそれぞれ入れ、撹拌機を用いて10分間十分に撹拌してスラリーを作成した。これに100倍に希釈したキレート剤(アッシュナイトS801)を30mL添加して、緩やかに撹拌しながら、ORP計(東亜電波社製、電極白金、Ag−AgCl、3.3MKCl)を用いてそのスラリーのORPを1800秒(30分)間にわたって測定した。この結果を、横軸に経過時間、縦軸にORPとして図3に示す。

0055

図3より、環境庁告示13号試験でのキレート剤の必要添加量が多い供試灰(A−3灰)ほどORPの正の変化量(上昇量)が多いことがわかる。

0056

この正の変化量と環境庁告示13号試験でのキレート剤の必要添加量との関係を図4に示す。図4より、このORPの正の変化量とキレート剤の必要添加量とには相関があることがわかる。

0057

実験例2
5000mLのタンクに脱イオン水3000mLと供試灰A−1又はA−2の5gをそれぞれ入れ、撹拌機を用いて10分間十分に撹拌してスラリーを作成した。このスラリーを緩やかに撹拌しながら、これに100倍に希釈したキレート剤(アッシュナイトS801)を5mLずつ180秒毎に滴定して、ORP計でそのスラリーのORPの正の変化が殆どなくなるまで測定した。この結果を、横軸に経過時間、縦軸にORPとして図5に示す。また、このときのORPの正の変化量の合計値を横軸に、環境庁告示13号試験でのキレート剤の必要添加量を横軸にとったグラフ図6に示す。

0058

図5,6より、滴定時間内でのORPの変化が殆ど無くなるまでの正の変化量の合計値は環境庁告示13号試験でのキレート剤の必要添加量が多い供試灰(A−2灰)ほど多いことがわかる。

0059

実施例1
都市ゴミ焼却炉から排出された飛灰について、実験例2と同様にして滴定を行い、ORPの正の変化量の合計値を求め、この値から、実験例2の図6の検量線に基いて、キレート剤の必要添加量を決定して処理を行ったところ、3ヶ月間にわたって十分な重金属固定化効果を継続して得ることができた。

発明の効果

0060

以上詳述した通り、本発明のキレート系重金属固定化剤の必要添加量の決定方法及び装置によれば、重金属含有灰の処理に先立ち、キレート剤の適正添加量を容易かつ的確に求めることができ、
現場における測定も容易であることから、処理する重金属含有灰の性状変動に対応して即時的にかつきめ細かい薬注制御を行うことができ、これにより、安定かつ確実な処理を行える。
キレート剤の過剰添加が不要となり、薬剤コストの低減を図ることができる。といった効果が奏される。

0061

また、本発明の処理灰の重金属固定化効果の判定方法及び装置によれば、重金属含有灰にキレート剤を添加して処理した後の処理灰について、その重金属固定化効果を容易かつ的確に求めることができ、現場における判定も容易である上に、必要追加添加量も容易に求めることができることから、処理不良の処理灰を確認して直ちに再処理を行うことができ、これによりより一層確実な処理を行える。

図面の簡単な説明

0062

図1灰にキレート剤を添加したときのORPの経時変化を示すグラフである。
図2灰にキレート剤を間欠的に添加したときのORPの経時変化を示すグラフである。
図3実験例1において求めたORPの経時変化を示すグラフである。
図4実験例1において求めたORPの正の変化量とキレート剤の必要添加量との関係を示すグラフである。
図5実験例2において求めたORPの経時変化を示すグラフである。
図6実験例2において求めたORPの正の変化量の合計値とキレート剤の必要添加量との関係を示すグラフである。

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