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技術 二次電池およびその製造方法

出願人 日本電気株式会社
発明者 佐藤正春中原謙太郎森岡由紀子坂内裕岩佐繁之
出願日 2000年10月6日 (20年1ヶ月経過) 出願番号 2000-308521
公開日 2002年4月19日 (18年7ヶ月経過) 公開番号 2002-117855
状態 未査定
技術分野 二次電池(その他の蓄電池) 電池の電極及び活物質
主要キーワード エージング操作 多孔性ポリマービーズ 高周波電源電圧 プラズマ重合物 ポリテトラフルオロエチレン製シート 重合性ガス スピン濃度 陰極ターゲット
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2002年4月19日)のものです。
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図面 (3)

課題

エネルギー密度が高く、大容量で安定性に優れた新規二次電池およびその製造方法を提供する。

解決手段

活物質酸化還元反応充放電過程に利用する二次電池において、正極および負極あるいはいずれか一方の電極の活物質として、放電処理した有機化合物を含有する二次電池を、放電処理による有機化合物の活物質化工程を含む製造方法で製造することにより、充放電高エネルギー密度で行うことが可能な、大容量で安定性、安全性に優れた二次電池、およびその簡便なる製造が可能となる。

概要

背景

ノート型パソコン携帯電話などの急速な市場拡大に伴い、これらに用いられるエネルギー密度が大きな小型大容量電池への要求が高まっている。そして、この要求に応えるために、リチウムイオン等のアルカリ金属イオン荷電担体としてその電荷授受に伴う電気化学反応を利用した二次電池が開発されている。中でも、リチウムイオン二次電池は安定性に優れたエネルギー密度の大きな大容量電池として種々の電子機器に利用されている。このようなリチウムイオン二次電池で、例えば、活物質として正極にリチウム含有遷移金属酸化物、負極に炭素が用いられており、これらの活物質に対するリチウムイオンの挿入反応および脱離反応を利用して充放電を行っている。

しかしながら、このリチウムイオン二次電池は、正極の活物質として比重の大きい遷移金属酸化物を用いているため、単位質量当たりの電池容量が充分ではないという問題があった。

そこで、より軽量の電極材料を用いて大容量電池を開発しようとする試みが検討されてきた。例えば、米国特許第4,833,048号公報、および特許第2715778号公報には、ジスルフィド結合を有する有機化合物を正極の活物質に用いた電池が開示されている。これはジスルフィド結合の生成および解離に基づく有機化合物の電気化学的な酸化還元反応を電池の原理として利用したものである。しかしながら、この電池は硫黄や炭素といった比重の小さい元素を主成分とする有機化合物を電極材料として用いているので、高エネルギー密度の大容量電池を構成するという点においては一定の効果が得られるものの、解離したジスルフィド結合の再度結合効率が小さく、充電状態または放電状態における安定性が不充分であるという問題があった。

また、同じく有機化合物を活物質に利用した電池として、導電性高分子を電極材料に用いた電池が提案されている。これは導電性高分子に対する電解質イオンドープ反応および脱ドープ反応を原理とした電池である。なお、ここで述べるドープ反応とは、導電性高分子の電気化学的な酸化反応または還元反応によって生じる荷電ソリトンポーラロン等のエキシトン対イオンによって安定化させる反応と定義され、一方、脱ドープ反応とは、ドープ反応の逆反応、すなわち、対イオンによって安定化されたエキシトンを電気化学的に酸化または還元する反応と定義される。

米国特許第4,442,187号公報には、このような導電性高分子を正極または負極の活物質とする電池が開示されている。この電池は、炭素や窒素といった比重の小さい元素のみからなる有機化合物を電極材料に用いているため、大容量の電池として開発が期待されていた。しかしながら、導電性高分子には、電気化学的な酸化還元反応によって生じるエキシトンがπ電子共役系の広い範囲に亘って非局在化し、それらが相互作用するという性質があり、発生するエキシトンの濃度にも限界が生じるため、電池の容量が制限されるという問題があった。したがって、このような導電性高分子を電極材料とする電池では、電池の軽量化という点では一定の効果が得られるものの、電池の大容量化という点においては、依然として不充分であった。

一方、各種材料の表面処理方法の一つとして、放電処理技術が開発されている。この技術は、一般にコロナ放電処理プラズマ放電処理およびスパッタリング処理等によって基材表面の濡れ性接着性を改善しようとするものであり、様々な分野で工業的に実施されている。

二次電池の分野でも、このような放電処理を用いることによって電池の繰り返し寿命や安定性を改善しようとする試みが行われている。例えば、特開平7-183027号公報には、炭素質負極材料コロナ処理することによって、0℃以下での放電容量の劣化を改善する電池の製造方法が開示されている。また、特開平7-105938号公報には、プラズマ処理した炭素粉末負極材料とする電池の製造方法が開示されている。すなわち、この方法ではプラズマ処理によって炭素粉末の濡れ性を改善することによって、その分散性不足による電池容量の低下を抑制するというものである。さらに、特開平6-196154号公報、特開平6-223820号公報、特開平10-284079号公報、および特開平11-317217号公報には、電極、あるいは活物質表面をプラズマ処理して電解質や溶媒との副反応を抑えることによって、安定性が改善された電池が開示されている。

しかしながら、これらの放電処理では、電池の安定性等を改善するという点では一定の効果が得られるものの、電池の大容量化という点では十分な効果が得られなかった。

以上述べたように、大容量の電池を実現するために、様々な種類の電池が提案されているが、エネルギー密度が高く、大容量で安定性に優れた電池、およびそのような電池を簡便に製造する方法については、未だ確立されていない。

概要

エネルギー密度が高く、大容量で安定性に優れた新規な二次電池およびその製造方法を提供する。

活物質の酸化還元反応を充放電過程に利用する二次電池において、正極および負極あるいはいずれか一方の電極の活物質として、放電処理した有機化合物を含有する二次電池を、放電処理による有機化合物の活物質化工程を含む製造方法で製造することにより、充放電を高エネルギー密度で行うことが可能な、大容量で安定性、安全性に優れた二次電池、およびその簡便なる製造が可能となる。

目的

上記のように、正極の活物質として遷移金属酸化物を用いるリチウムイオン電池では、元素の比重が大きいため、現状を上回る大容量電池の製造が原理的に困難であった。また、電極や活物質を放電処理する方法も行われているが、電池の大容量化という観点からは効果が得られなかった。そこで、本発明者らは、鋭意検討した結果、電気化学的に不活性であり、これまでに電極活物質として利用することができなかった有機化合物が、放電処理されることにより、電気化学的な酸化還元反応を行うことが可能となり、電池の活物質として利用できることを見出した。したがって、本発明は、このような特定の有機化合物を電極の活物質として用いることにより、エネルギー密度が高く、大容量で安定性に優れた二次電池、およびそのような二次電池が簡便かつ、効率的に得られる製造方法を提供することを目的としている。

効果

実績

技術文献被引用数
3件
牽制数
1件

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請求項1

活物質酸化還元反応充放電過程に利用する二次電池において、正極および負極あるいはいずれか一方の電極の活物質として、放電処理した有機化合物を含有することを特徴とする二次電池。

請求項2

前記放電処理した有機化合物が、下記一般式(1)および一般式(2)あるいはいずれか一方の一般式で表される構造単位を含む高分子ラジカル化合物であることを特徴とする請求項1に記載の二次電池。

請求項

ID=000003HE=030 WI=045 LX=0375 LY=0800[一般式(1)中、置換基R1は、置換もしくは非置換のアルキレン基アルケニレン基、またはアリーレン基であり、Xはオキシラジカル基ニトロキシルラジカル基硫黄ラジカル基ヒドラジルラジカル基、炭素ラジカル基、またはホウ素ラジカル基である。]

請求項

ID=000004HE=020 WI=053 LX=0335 LY=1400[一般式(2)中、R2およびR3は相互に独立であり、置換もしくは非置換のアルキレン基、アルケニレン基、またはアリーレン基であり、Yはニトロキシルラジカル基、硫黄ラジカル基、ヒドラジルラジカル基、または炭素ラジカル基である。]

請求項3

前記放電処理した有機化合物が、その酸化還元反応を利用した充放電過程においてラジカル化合物を形成することを特徴とする請求項1または2に記載の二次電池。

請求項4

前記放電処理した有機化合物の電子スピン共鳴スペクトルにおけるスピン濃度が1020スピン/g以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の二次電池。

請求項5

前記二次電池がリチウムイオン二次電池であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の二次電池。

請求項6

活物質の酸化還元反応を充放電過程に利用する二次電池の製造方法において、放電処理による有機化合物の活物質化工程と、電極の形成工程と、エージング工程と、を含むことを特徴とする二次電池の製造方法。

請求項7

前記電極の形成工程が、前記有機化合物にバインダーおよび溶剤を混合して塗料を作製する工程と、前記塗料を集電体に塗布して集電体上に有機化合物層を形成する工程と、を含むことを特徴とする請求項6に記載の二次電池の製造方法。

請求項8

前記活物質化工程を、前記塗料を作製する工程の前に行うことを特徴とする請求項6に記載の二次電池の製造方法。

請求項9

前記活物質化工程を、前記有機化合物層を形成する工程の後で行うことを特徴とする請求項6に記載の二次電池の製造方法。

請求項10

前記エージング工程が加熱処理であることを特徴とする請求項6に記載の二次電池の製造方法。

請求項11

前記放電処理がコロナ放電処理プラズマ処理またはスパッタ処理であることを特徴とする請求項6に記載の二次電池の製造方法。

請求項12

前記プラズマ処理がラジオ波低温プラズマ処理またはマイクロ波低温プラズマ処理であることを特徴とする請求項11に記載の二次電池の製造方法。

技術分野

0001

本発明は活物質酸化還元反応充放電過程に利用する二次電池、およびその製造方法に関する。より詳細には、活物質の酸化還元反応を充放電過程に利用する二次電池であって、主な活物質として放電処理した有機化合物を含むとともに、エネルギー密度が大きく、安定性および安全性に優れた二次電池、およびその製造方法に関する。

背景技術

0002

ノート型パソコン携帯電話などの急速な市場拡大に伴い、これらに用いられるエネルギー密度が大きな小型大容量電池への要求が高まっている。そして、この要求に応えるために、リチウムイオン等のアルカリ金属イオン荷電担体としてその電荷授受に伴う電気化学反応を利用した二次電池が開発されている。中でも、リチウムイオン二次電池は安定性に優れたエネルギー密度の大きな大容量電池として種々の電子機器に利用されている。このようなリチウムイオン二次電池で、例えば、活物質として正極にリチウム含有遷移金属酸化物、負極に炭素が用いられており、これらの活物質に対するリチウムイオンの挿入反応および脱離反応を利用して充放電を行っている。

0003

しかしながら、このリチウムイオン二次電池は、正極の活物質として比重の大きい遷移金属酸化物を用いているため、単位質量当たりの電池容量が充分ではないという問題があった。

0004

そこで、より軽量の電極材料を用いて大容量電池を開発しようとする試みが検討されてきた。例えば、米国特許第4,833,048号公報、および特許第2715778号公報には、ジスルフィド結合を有する有機化合物を正極の活物質に用いた電池が開示されている。これはジスルフィド結合の生成および解離に基づく有機化合物の電気化学的な酸化還元反応を電池の原理として利用したものである。しかしながら、この電池は硫黄や炭素といった比重の小さい元素を主成分とする有機化合物を電極材料として用いているので、高エネルギー密度の大容量電池を構成するという点においては一定の効果が得られるものの、解離したジスルフィド結合の再度結合効率が小さく、充電状態または放電状態における安定性が不充分であるという問題があった。

0005

また、同じく有機化合物を活物質に利用した電池として、導電性高分子を電極材料に用いた電池が提案されている。これは導電性高分子に対する電解質イオンドープ反応および脱ドープ反応を原理とした電池である。なお、ここで述べるドープ反応とは、導電性高分子の電気化学的な酸化反応または還元反応によって生じる荷電ソリトンポーラロン等のエキシトン対イオンによって安定化させる反応と定義され、一方、脱ドープ反応とは、ドープ反応の逆反応、すなわち、対イオンによって安定化されたエキシトンを電気化学的に酸化または還元する反応と定義される。

0006

米国特許第4,442,187号公報には、このような導電性高分子を正極または負極の活物質とする電池が開示されている。この電池は、炭素や窒素といった比重の小さい元素のみからなる有機化合物を電極材料に用いているため、大容量の電池として開発が期待されていた。しかしながら、導電性高分子には、電気化学的な酸化還元反応によって生じるエキシトンがπ電子共役系の広い範囲に亘って非局在化し、それらが相互作用するという性質があり、発生するエキシトンの濃度にも限界が生じるため、電池の容量が制限されるという問題があった。したがって、このような導電性高分子を電極材料とする電池では、電池の軽量化という点では一定の効果が得られるものの、電池の大容量化という点においては、依然として不充分であった。

0007

一方、各種材料の表面処理方法の一つとして、放電処理技術が開発されている。この技術は、一般にコロナ放電処理プラズマ放電処理およびスパッタリング処理等によって基材表面の濡れ性接着性を改善しようとするものであり、様々な分野で工業的に実施されている。

0008

二次電池の分野でも、このような放電処理を用いることによって電池の繰り返し寿命や安定性を改善しようとする試みが行われている。例えば、特開平7-183027号公報には、炭素質負極材料コロナ処理することによって、0℃以下での放電容量の劣化を改善する電池の製造方法が開示されている。また、特開平7-105938号公報には、プラズマ処理した炭素粉末負極材料とする電池の製造方法が開示されている。すなわち、この方法ではプラズマ処理によって炭素粉末の濡れ性を改善することによって、その分散性不足による電池容量の低下を抑制するというものである。さらに、特開平6-196154号公報、特開平6-223820号公報、特開平10-284079号公報、および特開平11-317217号公報には、電極、あるいは活物質表面をプラズマ処理して電解質や溶媒との副反応を抑えることによって、安定性が改善された電池が開示されている。

0009

しかしながら、これらの放電処理では、電池の安定性等を改善するという点では一定の効果が得られるものの、電池の大容量化という点では十分な効果が得られなかった。

0010

以上述べたように、大容量の電池を実現するために、様々な種類の電池が提案されているが、エネルギー密度が高く、大容量で安定性に優れた電池、およびそのような電池を簡便に製造する方法については、未だ確立されていない。

発明が解決しようとする課題

0011

上記のように、正極の活物質として遷移金属酸化物を用いるリチウムイオン電池では、元素の比重が大きいため、現状を上回る大容量電池の製造が原理的に困難であった。また、電極や活物質を放電処理する方法も行われているが、電池の大容量化という観点からは効果が得られなかった。そこで、本発明者らは、鋭意検討した結果、電気化学的に不活性であり、これまでに電極活物質として利用することができなかった有機化合物が、放電処理されることにより、電気化学的な酸化還元反応を行うことが可能となり、電池の活物質として利用できることを見出した。したがって、本発明は、このような特定の有機化合物を電極の活物質として用いることにより、エネルギー密度が高く、大容量で安定性に優れた二次電池、およびそのような二次電池が簡便かつ、効率的に得られる製造方法を提供することを目的としている。

課題を解決するための手段

0012

前記目的を達成するため、本発明によれば、活物質の酸化還元反応を充放電過程に利用する二次電池において、正極および負極あるいはいずれか一方の電極の活物質として、放電処理した有機化合物を含有する二次電池が提供される。このように構成することにより、放電処理した有機化合物を容易に活物質として用いることができるとともに、エネルギー密度が高く、大容量で安定性に優れた二次電池を容易に得ることができる。

0013

なお、一般に放電とは、電池やコンデンサーなどの帯電体が系外に電流を流してエネルギーを失うという意味と、通常の状態では絶縁物である物体高電圧印加した場合に、電子なだれのような電離現象によって荷電粒子が急激に増殖されて大きな電流が発生するという意味の2つの意味がある。本発明における放電は、電離現象で電流が発生する後者の意味としての放電現象を利用したものである。

0014

また、本発明を構成するにあたり、放電処理した有機化合物が、下記一般式(1)および一般式(2)あるいはいずれか一方の一般式で表される構造単位を含む高分子ラジカル化合物であることが好ましい。

0015

0016

[一般式(1)中、置換基R1は、置換もしくは非置換のアルキレン基アルケニレン基、またはアリーレン基であり、Xはオキシラジカル基ニトロキシルラジカル基、硫黄ラジカル基ヒドラジルラジカル基、炭素ラジカル基、またはホウ素ラジカル基である。]

0017

0018

[一般式(2)中、R2およびR3は相互に独立であり、置換もしくは非置換のアルキレン基、アルケニレン基、またはアリーレン基であり、Yはニトロキシルラジカル基、硫黄ラジカル基、ヒドラジルラジカル基、または炭素ラジカル基である。]

0019

このように構成することにより、高分子ラジカル化合物中のラジカル部位でのみ酸化還元反応が進行するため、サイクル特性が活物質の拡散に依存しない安定性に優れた二次電池を容易に得ることができる。またこのような構造単位を有する高分子ラジカル化合物では、反応する不対電子ラジカル原子局在化して存在する結果、反応部位の濃度を増大させることができるため、高エネルギー密度、かつ大容量の二次電池を得ることができる。

0020

なお、一般に、ラジカルは不対電子を有する反応性に富んだ化学種であり、周囲の物質との相互作用によって、ある程度の寿命をもって消失するものが多いが、共鳴効果立体障害溶媒和の状態によっては安定ラジカル種となるものもある。また、有機化合物表面に生成したラジカルは内部に拡散することも考えられる。

0021

また、本発明の二次電池を構成するにあたり、放電処理した有機化合物が、その酸化還元反応を利用した充放電過程においてラジカル化合物を形成することが好ましい。このように構成することにより、質量の小さい炭素、水素、および酸素等の元素からなる有機化合物からラジカル化合物が形成されるため、単位質量当たりのエネルギー密度が大きな二次電池を容易に得ることができる。

0022

また、本発明の二次電池を構成するにあたり、放電処理した有機化合物の電子スピン共鳴(以下、ESR略記する。)スペクトルにおけるスピン濃度が1020スピン/g以上であることが好ましい。このように構成することにより、エネルギー密度が高く、大容量で安定性に優れた二次電池を容易に得ることができる。なお、上記の安定ラジカル種は、一般的にESRスペクトルにおけるスピン濃度が長時間にわたって1019〜1023スピン/gの範囲内にあることが知られている。

0023

また、本発明の二次電池を構成するにあたり、かかる二次電池がリチウムイオン二次電池であることが好ましい。このように構成することにより、安定性に優れた大容量の二次電池を得ることができる。

0024

なお、本発明では、放電処理した有機化合物を電極の活物質として用いるが、上述のように、炭素材料等の活物質に放電処理を行うことによってその濡れ性等を改善しようとする試みは従来技術として既に行われている。したがって、例えば、活物質層を構成するバインダー等に有機化合物を用いた場合には、結果として放電処理された有機化合物が生成する可能性も考えられるが、従来の電池の電極層に含まれる有機化合物は少なく、数wt.%程度に過ぎない。すなわち、そのような有機化合物に放電処理を行った場合であっても、得られる電池の容量やエネルギー密度はほとんど変化せず、本発明のような特有の効果は得られないと考えられる。

0025

一方、本発明の二次電池は、放電処理した有機化合物を主な活物質としているので、エネルギー密度が高く、大容量で安定性に優れた二次電池を容易に得ることができる。また、本発明において活物質層全体に対する放電処理した有機化合物の量は、この材料が主な活物質となり得る量であれば特に限定されないが、一般には、大容量化や高エネルギー密度化が顕著となる10wt.%以上で行われる。

0026

また、本発明の別の態様は、活物質の酸化還元反応を充放電過程に利用する二次電池の製造方法であって、放電処理による有機化合物の活物質化工程と、電極の形成工程と、エージング工程とを含むことを特徴としている。このようにすることにより、エネルギー密度が高く、大容量で安定性に優れた二次電池を容易に製造することができる。

0027

また、本発明の二次電池の製造方法を実施するにあたり、上記電極の形成工程に、有機化合物にバインダーおよび溶剤を混合して塗料を作製する工程と、上記塗料を集電体に塗布して集電体上に有機化合物層を形成する工程とを含むことが好ましい。このようにすることにより、エネルギー密度が高く、大容量で安定性に優れた二次電池を容易に製造することができる。

0028

また、本発明の二次電池の製造方法を実施するにあたり、上記活物質化工程を上記塗料を作成する工程の前に行うか、または上記有機化合物層を形成する工程の後で行うことが好ましい。このようにすることにより、エネルギー密度が高く、大容量で安定性に優れた二次電池を容易に製造することができる。

0029

また、本発明の二次電池の製造方法を実施するにあたり、上記エージング工程が加熱処理であることが好ましい。このようにすることにより、放電処理によって生成したラジカル化合物を安定化させることができる。

0030

また、本発明の二次電池の製造方法を実施するにあたり、上記放電処理がコロナ放電処理、プラズマ処理またはスパッタ処理であることが好ましい。このようにすることにより、有機化合物の放電処理を効率的に行うことができる。

0031

また、本発明の二次電池の製造方法を実施するにあたり、上記プラズマ処理がラジオ波低温プラズマ処理またはマイクロ波低温プラズマ処理であることが好ましい。このようにすることにより、有機化合物の放電処理を効率的に行うことができる。

発明を実施するための最良の形態

0032

[二次電池]本発明の二次電池の実施形態は、例えば、図1に示すように、負極層1と正極層2とを、電解質を含んだセパレーター5を介して重ね合わせた構成を有している。本発明では、負極層1または正極層2に用いられる活物質が、放電処理した有機化合物である。また、図2積層型電池の断面図を示すが、その構造は負極集電体3、負極層1、電解質を含んだセパレーター5、正極層2、および正極集電体4を順に重ね合わせた構造を有している。本発明では正極層、および負極層の積層方法は特に限定されず、多層積層したものや集電体の両面に積層したものを組み合わせたもの、巻回したもの等が利用できる。

0033

(1)活物質
材料1
本発明では、放電処理を行う材料として有機化合物が用いられるが、これは有機化合物を放電処理することによって、有機化合物の表面上にラジカルを生成させ、そのラジカルを利用することにより電気化学的な酸化還元反応が可能な活物質して使用することができるためである。したがって、放電処理を行う有機化合物の種類は特に制限されるものではないが、放電処理後の電気化学的な酸化還元反応が電池の充放電過程に利用できる有機化合物であることが好ましい。

0034

また、放電処理した有機化合物は、電極活物質層を形成する場合の加工性に優れることから、一般式(1)および一般式(2)あるいはいずれか一方の一般式で表される構造単位を含む高分子ラジカル化合物であることが好ましい。このような高分子ラジカル化合物としては、下記一般式(3)〜(11)で表される化合物を挙げることができる。

0035

0036

また、放電処理した有機化合物としては、上記の高分子ラジカル化合物以外にも下記式(12)〜(19)で表されるような低分子ラジカル化合物や、放電処理後の容量発現の点から不飽和ラジカル化合物であることが好ましい。なお、これらのラジカル化合物は、一種単独または二種以上を混合して用いることができる。

0037

0038

本発明において有機化合物とは、少数例外を除くすべての炭素化合物の総称である。ただし、グラファイトダイヤモンド、およびフラーレン等に代表される炭素原子のみから発達した結晶や、ソフトカーボンハードカーボン等に代表される炭素原子のみで構成される結晶が集合した多結晶体では、放電処理により得られる効果は小さい。この理由は、これらの化合物では、放電処理でその表面にラジカルが形成されるものの、その後のバルク内部へのラジカルの拡散が抑制される結果、その効果が固体の表面にのみ限定されてしまうためと考えられる。一方、上記の化合物以外の一般の有機化合物では、分子性結晶も含め、表面で生成したラジカルはバルク内部に容易に拡散することが可能であり、活物質として有効に利用することができる。

0039

材料2
本発明では、上述のように、放電処理した有機化合物を正極および負極あるいはいずれか一方の電極の活物質として使用することができるが、エネルギー密度の観点から、特に正極の活物質として放電処理した有機化合物を用いることが好ましい。

0040

なお、これらの有機化合物を正極および負極のどちらか一方の電極の活物質として用いる場合には、以下に挙げる材料を他の電極の活物質として用いることができる。すなわち、負極層の活物質として放電処理した有機化合物を用いる場合には、正極層の活物質として金属酸化物粒子ジスルフィド化合物、および導電性高分子等が用いられる。ここで、金属酸化物としては、例えば、LiMnO2、LixMn2O4(0<x<2)等のマンガン酸リチウムもしくはスピネル構造を有するマンガン酸リチウム、MnO2、LiCoO2、LiNiO2、またはLixV2O5(0<x<2)等が、ジスルフィド化合物としては、ジチオグリコール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、S−トリアジン−2,4,6−トリチオール等が、また、導電性高分子としては、ポリアセチレンポリフェニレンポリアニリンポリピロール等がそれぞれ挙げられる。本発明ではこれらの正極層材料を一種単独または二種以上を組み合わせて使用することができる。

0041

一方、正極層の活物質として放電処理した有機化合物を用いる場合には、負極層の活物質として、グラファイト、非晶質カーボンリチウム金属リチウム合金リチウムイオン吸蔵炭素、および導電性高分子等の一種単独または二種以上の組み合わせが用いられる。これらの形状としては特に限定されず、例えば、リチウム金属では薄膜状のもの以外に、バルク状のもの、粉末を固めたもの、繊維状のもの、フレーク状のもの等を使用することができる。さらに、従来公知の活物質と放電処理した有機化合物とを混合して複合活物質として用いてもよい。

0042

(2)補助導電材およびイオン伝導補助材
本発明では、放電処理した有機化合物を含む電極層を形成する際に、インピーダンスを低下させる目的で、補助導電材やイオン伝導補助材を混合させることもできる。これらの材料としては、補助導電材として、グラファイト、カーボンブラックアセチレンブラック等の炭素質微粒子、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリアセン等の導電性高分子が挙げられ、イオン伝導補助材として、高分子ゲル電解質高分子固体電解質等がそれぞれ挙げられる。

0043

(3)結着剤
本発明では、各構成材料間の結びつきを強めるために、結着剤を用いることもできる。このような結着剤としては、ポリフッ化ビニリデンビニリデンフロライドヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフロライド−テトラフルオロエチレン共重合体スチレンブタジエン共重合ゴムポリプロピレンポリエチレンポリイミド、各種ポリウレタン等の樹脂バインダーが挙げられる。

0044

(4)触媒
本発明では、電極反応をより潤滑に行うために、酸化還元反応を促進させる触媒を用いることもできる。このような触媒としては、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリアセン等の導電性高分子、ピリジン誘導体ピロリドン誘導体ベンズイミダゾール誘導体ベンゾチアゾール誘導体アクリジン誘導体等の塩基性化合物、および金属イオン錯体等が挙げられる。

0045

(5)集電体
本発明では、負極集電体3、正極集電体4として、ニッケルアルミニウム、銅、金、銀、アルミニウム合金、およびステンレス等の金属箔金属平板メッシュ状電極、および炭素電極等を用いることができる。また、このような集電体に触媒効果を持たせたり、活物質と集電体とを化学結合させたりしてもよい。一方、上記の正極、および負極が接触しないように多孔質フィルムからなるセパレーターや不織布を用いることも好ましい。

0046

(6)電解質
本発明において電解質5は、負極層1と正極層2の両極間の荷電担体輸送を行うものであり、一般には室温で10−5〜10−1S/cmのイオン伝導性を有している。本発明では、電解質として、例えば、電解質塩を溶剤に溶解した電解液を利用することができる。このような電解質塩としては、例えば、LiPF6、LiClO4、LiBF4、LiCF3SO3、Li(CF3SO2)2N、Li(C2F5SO2)2N、Li(CF3SO2)3C、Li(C2F5SO2)3C等の従来公知の材料を用いることができる。また、電解質の溶剤としては、例えば、エチレンカーボネートプロピレンカーボネートジメチルカーボネートジエチルカーボネートメチルエチルカーボネートγ−ブチロラクトンテトラヒドロフランジオキソランスルホランジメチルホルムアミドジメチルアセトアミドN−メチル−2−ピロリドン等の有機溶媒を用いることができる。なお、本発明では、これらの溶剤を一種単独または二種類以上の混合溶剤として用いることもできる。

0047

さらに、本発明では、電解質として固体電解質を用いることもできる。このような固体電解質に用いられる高分子化合物としては、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン共重合体、フッ化ビニリデン−モノフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレンテトラフルオロエチレン三元共重合体等のフッ化ビニリデン系重合体や、アクリロニトリルメチルメタクリレート共重合体、アクリロニトリル−メチルアクリレート共重合体、アクリロニトリル−エチルメタクリレート共重合体、アクリロニトリル−エチルアクリレート共重合体、アクリロニトリル−メタクリル酸共重合体、アクリロニトリル−アクリル酸共重合体、アクリロニトリル−ビニルアセテート共重合体等のアクリルニトリル系重合体、さらにポリエチレンオキサイドエチレンオキサイドプロピレンオキサイド共重合体、これらのアクリレート体メタクリレート体の重合体などが挙げられる。なお、固体電解質は、これらの高分子化合物に電解液を含ませてゲル状にしたものを用いても、高分子化合物のみでそのまま用いてもよい。

0048

(7)形状
また、二次電池の形状についても、活物質が放電処理した有機化合物である限り特に限定されず、円筒型電池コイン型電池角型電池フィルム型電池ボタン型電池等の形状に適用することができる。

0049

[製造方法]本発明の製造方法の実施形態は、活物質の酸化還元反応を充放電過程に利用する二次電池の製造方法であり、放電処理による有機化合物の活物質化工程と、電極の形成工程と、エージング工程とを含む。

0050

放電処理は、絶縁体の種類によって気体放電液体放電、および固体放電に区別され、これらの中でも、気体放電が一般的に用いられている。また、気体放電は、気体の圧力と電流密度とによって、グロー放電アーク放電、およびコロナ放電分類され、さらに周波数によって直流放電低周波放電、高周波放電、およびマイクロ波放電に分類される。

0051

本発明において、放電処理とは、絶縁体に高電圧を印加して生じた電離現象を利用するものであれば特に限定されるものではないが、大気圧中の放電を利用したコロナ放電処理、真空中での低気圧グロー放電放電を利用したプラズマ処理およびスパッタ処理等の方法を用いることが好ましい。

0052

また、上記方法による放電処理の際に使用する装置についても特に制限されるものではなく、材料の表面処理方法として従来から用いられている装置を使用することができる。例えば、コロナ放電処理を行う場合には、磁気テープベースフィルム(ポリエチレン、PET等)の表面処理や、印刷しにくいプラスチック表面に印刷する際の前処理として従来から行われているコロナ放電処理に使用されている処理装置と同様の装置を使用することができる。

0053

本発明において、プラズマ放電処理も従来のフッ素系ポリマー接着性改善等に用いられる装置と同様のものが使用できる。なお、プラズマ放電処理では、導入するガスの種類は特に制限されるものではないが、ガスの種類によって有機化合物に起こる変化が異なる場合がある。例えば、導入ガス不活性ガス等を用いた場合には、有機化合物の表面が酸化したり架橋が形成される。また、反応性ガスを用いた場合には、有機化合物の分解やエッチングが起こる。さらに、有機低分子化合物等の重合性ガスを用いた場合には、プラズマ重合物堆積が起こる。

0054

また、一般に、低温プラズマ処理に用いられる装置には、ラジオ波(13.56MHz)を用いるものとマイクロ波(2.54GHz)を用いるものがある。このうち、マイクロ波を用いる装置は、プラズマ処理によって生成する活性種の寿命が長く、均一な処理が可能であり、ラジオ波を用いる装置は、非処理物に対する熱ストレスが小さく、不必要な副反応を抑えることが可能である。本発明ではそのどちらも利用することができる。

0055

本発明において、スパッタ処理も従来のフッ素系ポリマーの接着性改善等に用いられる装置と同様のものが使用できる。スパッタ処理は低気圧グロー放電で生じたイオン電界加速して陰極ターゲット射突させ、ターゲットの物質を叩き出し析出させる方法である。本発明では有機化合物をターゲットとして用いるスパッタエッチング処理や、金やシリコン等をターゲットとしてこれらを有機化合物上に析出させるスパッタリング処理が利用できる。このうち、スパッタエッチングはプラズマ放電処理におけるエッチング作用と類似のものであるが、発生したイオンを電界で加速する点で異なり、エッチング効果は大きい。また、本発明ではスパッタリング処理に使用するターゲットの種類は特に限定されず、金やシリコン等の従来公知の材料や各種の有機化合物が用いられる。

0056

本発明では、有機化合物に放電処理を行う時期については特に制限されるものではない。例えば、本発明の二次電池を円筒型や角型電池として製造する場合には、電極の形成工程として、有機化合物にバインダーおよび溶剤を混合して塗料を作製する工程や、かかる塗料を集電体に塗布して集電体上に有機化合物層を形成する工程等が含まれるが、この場合、放電処理による有機化合物の活物質化工程は、塗料を作製する工程の前に行ってもよく、また、有機化合物層を形成する工程の後で行ってもよい。

0057

また、本発明では、放電処理によって生成したラジカル化合物は、充電または放電を伴ったエージング操作を行うことによって安定化される。したがって、エージング操作を電池形成後の放電過程で行うか、または充電過程で行うかは、ラジカル化合物とリチウム等のカチオンとの反応(塩化)が電池の充放電のいずれの過程で行われるかによって決定することができる。なお、このようなエージング操作では、放電処理によって生成したラジカル化合物が、リチウム等のカチオンと反応することによって、固体内部に拡散して行く機構が考えられている。また、本発明おけるエージング操作の条件は特に限定されないが、その効果が有効に発揮される点から室温以上で行うことが好ましく、40℃以上の加熱状態で行うことがより好ましい。

0058

以下、本発明の詳細について実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
(1)リチウムイオン二次電池の作製
ポリアクリロ二トリル1gを50gのジメチルホルムアミドに溶解し、これに補助導電材としてグラファイト粉末60mgをさらに添加し、全体が均一になるまで混合したところ、黒色スラリーが得られた。このスラリー2gをリード線を備えたアルミニウム箔面積:1.5cm×1.5cm、厚さ:100μm)の表面上に滴下し、ワイヤーバーで全体が均一な厚さとなるように展開し、120℃で6時間乾燥させたところ、溶剤のジメチルホルムアミドが蒸発し、アルミニウム箔上にポリアクリロニトリルを含む電極層が形成された。

0059

続いて、このようにして得られた電極層にコロナ放電処理を行った。コロナ放電処理装置としては、電気社製、HFSS103を使用し、高周波電源電圧200V、出力周波数30kHz、電極間電位差40kVの条件で、5分間放電処理を行った。

0060

次に、電解質塩として1mol/lのLiPF6を含んだエチレンカーボネート/プロピレンカーボネート混合溶液(混合比1:1)1,400mgにフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体600mgを混合し、テトラヒドロフラン11.3gを加えて室温で攪拌した。フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体が溶解した後、段差をつけたガラス板上に塗布し、室温で一時間放置してテトラヒドロフランを自然乾燥させ、厚さが1mmのキャストフィルムを得た。このゲル電解質フィルムを2.0cm×2.0cmに切り出し、先に作製したポリアクリロニトリルを含む電極層に積層し、さらに、リード線を備えたリチウム張り合わせ銅箔リチウム膜厚30μm、銅箔の膜厚20μm)を重ね合わせた。その後、全体を厚さ5mmのポリテトラフルオロエチレン製シートで挟み、圧力を加えてリチウムイオン二次電池を作製した。

0061

(2)リチウムイオン二次電池の評価
以上のように作製したリチウムイオン二次電池を充放電試験機に接続したところ、開放電圧が2.5Vであり、直ちに0.01mAの定電流で1.0Vまでの放電を行った。この電池を45℃でエージング処理し、次いで、コロナ放電処理したポリアクリロニトリルを含む電極層を正極、リチウム張り合わせ銅箔を負極として、0.01mAの定電流で充放電試験を行った。その結果、2.3V付近電圧平坦部が認められ、電池として動作していることが確認された。さらに、この電池を繰り返し充放電したところ、10サイクル以上にわたって充放電が可能であり、二次電池として動作することが確認された。

0062

(比較例1)実施例1と同様に、ポリアクリロニトリルおよびグラファイト粉末を混合して得られる黒色のスラリーをアルミニウム箔表面に展開して、ポリアクリロニトリルを含む電極層を得た。この電極層にコロナ放電を行うことなく実施例1で使用したゲル電解質層を積層し、実施例1と同様の方法でリード線を備えたリチウム張り合わせ銅箔を重ね合わせ、ポリテトラフルオロエチレン製シートで挟み、圧力を加えてリチウムイオン二次電池を作製した。

0063

以上のように作製したリチウムイオン二次電池を充放電試験機に接続したところ、開放電圧は0Vであった。また、ポリアクリロニトリルを含む電極層を正極、リチウム張り合わせ銅箔を負極として、0.01mAの定電流で充放電試験を行った。その結果、電圧平坦部は認められず、電池として動作しないことが確認された。

0064

(実施例2)
(1)リチウムイオン二次電池の作製
実施例1で使用したポリアクリルニトリルの代わりに、ポリフッ化ビニリデン粉末(エルアトケム(株)製 Kynar301F、粒径0.2μm)をポリエチレンフィルム上に均一に広げ、実施例1と同様の装置および条件でコロナ放電処理を行った。

0065

次に、コロナ放電処理したポリフッ化ビニリデン粉末1gを50gのN−メチルピロリドンに分散させ、これに補助導電材としてグラファイト粉末60mgをさらに添加して全体が均一になるまで混合したところ、黒色のスラリーが得られた。続いて、このスラリー2gをリード線を備えたアルミニウム箔(面積:1.5cm×1.5cm、厚さ:100μm)の表面上に滴下し、ワイヤーバーで全体が均一な厚さとなるように展開して、120℃で6時間減圧乾燥させたところ、溶剤が蒸発し、アルミニウム箔上にコロナ放電処理したポリフッ化ビニリデン微粒子を含む電極層が形成された。

0066

この電極層に実施例1で使用したゲル電解質層を積層し、実施例1と同様の方法でリード線を備えたリチウム張り合わせ銅箔を重ね合わせ、ポリテトラフルオロエチレン製シートで挟み、圧力を加えてリチウムイオン二次電池を作製した。

0067

(2)リチウムイオン二次電池の評価
以上のように作製したリチウムイオン二次電池を充放電試験機に接続したところ、開放電圧が1.8Vであり、直ちに0.01mAの定電流で1.0Vまでの放電を行った。この試料を45℃でエージング処理し、次いで、コロナ放電処理したポリフッ化ビニリデンを含む電極層を正極、リチウム張り合わせ銅箔を負極として、0.01mAの定電流で充放電試験を行った。その結果、1.8V付近に電圧平坦部が認められ、電池として動作していることが確認された。さらに、この電池を繰り返し充放電したところ、10サイクル以上にわたって充放電が可能な二次電池として動作することがわかった。

0068

(実施例3)平均粒径15μmのポリビニルフェノール多孔性ポリマービーズをポリエチレンフィルム上に均一に広げ、プラズマCVD装置反応容器内に導入した。プラズマ処理には、導入ガスとして酸素ガスアルゴンガスとの混合ガスを用い、酸素分圧70%、ガス流量15cm3/分、チャンバー内圧力6.67Pa、RF出力25Wの条件で2時間処理を行った。

0069

次に、得られたプラズマ放電処理したポリビニルフェノールの多孔性ポリマービーズ1gを50gのN−メチルピロリドンに分散させ、これに補助導電材としてグラファイト粉末60mgおよびバインダーとしてポリフッ化ビニリデン10mgをそれぞれ添加して全体が均一になるまで混合したところ、黒色のスラリーが得られた。このスラリー2gを、リード線を備えたアルミニウム箔(面積:1.5cm×1.5cm、厚さ:100μm)の表面上に滴下し、ワイヤーバーで全体が均一な厚さとなるように展開し、120℃で6時間減圧乾燥させたところ、溶剤が蒸発しアルミニウム箔上にプラズマ放電処理したポリビニルフェノールの多孔性ポリマービーズを含む電極層が形成された。

0070

この電極層に実施例1で使用したゲル電解質層を積層し、実施例1と同様の方法でリード線を備えたリチウム張り合わせ銅箔を重ね合わせ、ポリテトラフルオロエチレン製シートで挟み、圧力を加えてリチウムイオン二次電池を作製した。

0071

(2)リチウムイオン二次電池の評価
以上のように作製した電池を充放電試験機に接続したところ、開放電圧が2.2Vであり、直ちに0.01mAの定電流で1.0Vまでの放電を行った。この試料を45℃でエージング処理し、次いで、プラズマ放電処理したポリビニルフェノールの多孔性ポリマービーズを含む電極層を正極、リチウム張り合わせ銅箔を負極として、0.01mAの定電流で充放電試験を行った。その結果、2.2V付近に電圧平坦部が認められ、電池として動作していることが確認された。さらに、この電池を繰り返し充放電したところ、10サイクル以上にわたって充放電が可能であり、二次電池として動作することが確認された。

0072

(実施例4)
(1)リチウムイオン二次電池の作製
2,6−ジブチルフェノールモノエステル付加物(旭電化(株)製、アデカスタブAO−50)の白色粉末をポリエチレンフィルム上に均一に広げ、プラズマCVD装置の反応容器内に導入した。プラズマ処理には、導入ガスとしてアルゴンガスを用い、ガス流量15cm3/分、チャンバー内圧力6.67Pa、RF出力25Wの条件で2時間処理を行った。

0073

次に、得られたプラズマ放電処理した2,6−ジブチルフェノールのモノエステル付加物1gを50gのN−メチルピロリドンに分散させ、これに補助導電材としてグラファイト粉末60mgおよびバインダーとしてポリフッ化ビニリデン10mgをそれぞれ添加して全体が均一になるまで混合したところ、黒色のスラリーが得られた。このスラリー2gをリード線を備えたアルミニウム箔(面積:1.5cm×1.5cm、厚さ:100μm)の表面上に滴下し、ワイヤーバーで全体が均一な厚さとなるように展開し、120℃で6時間減圧乾燥させたところ、溶剤が蒸発しアルミニウム箔上にプラズマ放電処理した2,6−ジブチルフェノールのモノエステル付加物を含む電極層が形成された。

0074

この電極層に実施例1で使用したゲル電解質層を積層し、実施例1と同様の方法でリード線を備えたリチウム張り合わせ銅箔を重ね合わせ、ポリテトラフルオロエチレン製シートで挟み、圧力を加えてリチウムイオン二次電池を作製した。

0075

(2)リチウムイオン二次電池の評価
以上のように作製した電池を充放電試験機に接続したところ、開放電圧が2.6Vであり、直ちに0.01mAの定電流で1.0Vまでの放電を行った。この試料を45℃でエージング処理し、次いで、プラズマ放電処理した2,6−ジブチルフェノールのモノエステル付加物を含む電極層を正極、リチウム張り合わせ銅箔を負極として、0.01mAの定電流で充放電試験を行った。その結果、2.6V付近に電圧平坦部が認められ、電池として動作していることが確認された。さらに、この電池を繰り返し充放電したところ、10サイクル以上にわたって充放電が可能であり、二次電池として動作することが確認された。

0076

(実施例5)
(1)リチウムイオン二次電池の作製
平均分子量2,000のピロガロールアセトン縮合体1gを50gのN−メチルピロリドンに溶解させ、これに補助導電材としてグラファイト粉末60mgをさらに添加し、全体が均一になるまで混合したところ黒色のスラリーが得られた。このスラリー2gをリード線を備えたアルミニウム箔(面積:1.5cm×1.5cm、厚さ:100μm)の表面上に滴下し、ワイヤーバーで全体が均一な厚さとなるように展開し、120℃で6時間減圧乾燥させたところ、溶剤が蒸発しアルミニウム箔上にピロガロールアセトン縮合体を含む電極層が形成された。

0077

次に、この電極層にスパッタ処理を行った。試料をプラズマCVD装置の反応容器内に導入し、スパッタ処理には、導入ガスとしてアンモニアガスを用い、ガス流量10cm3/分、チャンバー内圧力6.67Pa、RF出力25Wの条件で6時間処理を行った。なお、RF電極対極には、厚さ100μmのAl箔を貼り付けた。その結果、スパッタエッチングされたピロガロールアセトン縮合体を含む電極層、およびスパッタリングされたピロガロールアセトン縮合体を含む電極層が得られた。

0078

この2種類の電極層のそれぞれに実施例1で使用したゲル電解質層を積層し、実施例1と同様の方法でリード線を備えたリチウム張り合わせ銅箔を重ね合わせ、ポリテトラフルオロエチレン製シートで挟み、圧力を加えてリチウムイオン二次電池を作製した。

0079

(2)リチウムイオン二次電池の評価
以上のように作製したリチウムイオン二次電池を充放電試験機に接続したところ、開放電圧はスパッタエッチングした電極層では2.8Vであり、またスパッタリングした電極層では2.1Vであり、直ちに0.005mAの定電流で1.0Vまでの放電を行った。これらの試料を45℃でエージング処理し、次いで、スパッタエッチング、およびスパッタリング処理したピロガロールアセトン縮合体を含む電極層を正極、リチウム張り合わせ銅箔を負極として、0.005mAの定電流で充放電試験を行った。その結果、電圧平坦部がスパッタエッチングした電極層では2.8V、またスパッタリングした電極層では2.1Vにそれぞれ認められ、電池として動作していることが確認された。さらに、これらの電池を繰り返し充放電したところ、10サイクル以上にわたって充放電が可能であり、二次電池として動作することが確認された。

発明の効果

0080

以上説明したように、本発明の二次電池は活物質の酸化還元反応を充放電過程に利用する二次電池であって、正極および負極あるいはいずれか一方の電極の活物質として、放電処理した有機化合物を含有するため、エネルギー密度が大きく安定性、安全性に優れた二次電池を容易に得ることができる。

図面の簡単な説明

0081

図1本発明の二次電池の一実施形態を示す正面断面図である。
図2本発明の二次電池の一実施形態を示す中央縦断面図である。

--

0082

1 負極層
2 正極層
3負極集電体
4正極集電体
電解質層を含むセパレーター
6 封止材

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