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図面 (2)

課題

熱交換器用内面溝付伝熱管製造に用いられる溝付き圧延ロール耐摩耗性及び耐食性を向上させ、長寿命化を図る。

解決手段

内面溝付き伝熱管製造用WC基超硬合金溝付きロールに、非晶質炭素被膜被覆する。さらに好ましくは中間層被膜として炭化けい素被膜を被覆する。

概要

背景

冷凍機空調機等の熱交換器に使用されている銅やアルミニウム等の金属又は合金製伝熱管には、伝熱性能を向上させるために、その内面に多数の溝が形成されている。この溝付き伝熱管の製造方法の一つとして、図2にその概念図を示すように、金属板の片面に多数の溝を溝付きロールによって転写し、その面を内側にして管状に成形した後、当接部を溶接する方法が特開平10−328729に開示されている。

上記の伝熱管製造方法で用いられる溝付きロールには、従来炭化タングステン(WC)基超硬合金のうち、比較的強度かつ靭性に優れ、また、耐食性耐酸化性に優れる、WC平均粒度が1.0〜3.0μm、結合相金属であるCo及び/又はNi量が合計10〜20質量%である合金が多く用いられてきた。

概要

熱交換器用内面溝付き伝熱管製造に用いられる溝付き圧延ロール耐摩耗性及び耐食性を向上させ、長寿命化を図る。

内面溝付き伝熱管製造用WC基超硬合金製溝付きロールに、非晶質炭素被膜被覆する。さらに好ましくは中間層被膜として炭化けい素被膜を被覆する。

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請求項1

伝熱管製造用帯状金属板片側表面に、圧延加工により溝状凹凸を形成するために用いられる溝付き圧延ロールにおいて、該ロールの外周部に非晶質炭素被膜被覆されていることを特徴とする溝付き伝熱管製造用WC基超硬合金製ロール。

請求項2

非晶質炭素被膜の厚さが0.5μm以上、5.0μm以下であり、かつ被膜微小ビッカース硬さが1000HV以上、3000HV以下であることを特徴とする請求項1に記載の伝熱管製造用ロール。

請求項3

非晶質炭素被膜と基材超硬合金との間に、中間層として被膜厚さが0.2μm以上、2.0μm未満である炭化けい素被膜を被覆したことを特徴とする請求項1または2に記載の伝熱管製造用ロール。

請求項4

非晶質炭素被膜中に1.0質量%以上、30質量%以下のフッ素を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の溝付き伝熱管製造用ロール。

技術分野

0001

本発明は、内面に多数の溝状凹凸(以下、単に溝と略記)が形成された伝熱管を製造するために用いられる帯状金属板に溝を転写加工する溝付きロールに関する。

背景技術

0002

冷凍機空調機等の熱交換器に使用されている銅やアルミニウム等の金属又は合金製伝熱管には、伝熱性能を向上させるために、その内面に多数の溝が形成されている。この溝付き伝熱管の製造方法の一つとして、図2にその概念図を示すように、金属板の片面に多数の溝を溝付きロールによって転写し、その面を内側にして管状に成形した後、当接部を溶接する方法が特開平10−328729に開示されている。

0003

上記の伝熱管製造方法で用いられる溝付きロールには、従来炭化タングステン(WC)基超硬合金のうち、比較的強度かつ靭性に優れ、また、耐食性耐酸化性に優れる、WC平均粒度が1.0〜3.0μm、結合相金属であるCo及び/又はNi量が合計10〜20質量%である合金が多く用いられてきた。

発明が解決しようとする課題

0004

しかし、上記の溝付きロールにおいては、被加工材凝着・分離によるロール溝部の摩耗や、使用する潤滑剤の種類によっては超硬合金の結合相腐食により寿命に至るため、ロール交換頻度が高く、製造コスト上昇の原因となるという問題点があった。本発明は、従来の溝付き伝熱管製造用ロールに比べ、耐摩耗性及び耐食性に優れる、溝付き伝熱管製造用ロールの提供を目的としている。

課題を解決するための手段

0005

本発明は、上記の問題点を解決するために、WC基超硬合金からなるロール基材の表面に非晶質炭素被膜被覆したものである。非晶質炭素被膜は銅やアルミニウムとの親和性が低く、それらに対する摩擦係数も比較的低いことから、伝熱管製造時にロールに被加工材が凝着しにくく、ロール溝部の摩耗を抑えることができ、さらにこの被膜化学的に極めて安定であるため、潤滑剤による腐食を防止することができる。

0006

非晶質炭素被膜をロール基材の表面に被覆するには、例えば1〜100Pa程度の低圧炭化水素ガス雰囲気中で、高周波発振器によりガスプラズマを発生させて炭化水素ガスを分解し、一方、ロール基材に100〜2000Vのバイアス電圧を加えるプラズマCVD法により被覆することができる。

0007

非晶質炭素被膜の厚さは0.5〜5.0μm程度とすることが望ましく、0.5μm未満の場合は、寿命向上の効果が低く、また5.0μmを超えると、基材との熱膨張係数差に起因する被膜中残留応力が大きくなり、使用時に被膜が破壊または剥離しやすくなる。被膜硬さは被覆処理時の基材温度バイアス電圧などにより変化させることができ、その硬さ値は1000〜3000HVであることが望ましい。1000HV未満では被膜は軟質なため、耐摩耗効果が低く、3000HVを超えると、被膜そのものの靭性が低下するため、使用時に被膜中にクラックが生じやすくなることに起因して、被膜が剥離しやすくなる。

0008

一方、非晶質炭素被膜と基材超硬合金との間に中間層として炭化けい素被膜を被覆することにより、基材/中間層被膜/非晶質炭素被膜間の密着力が向上し、伝熱管製造時の被膜の耐剥離性を改善することができる。

0009

上記炭化けい素被膜の厚さは0.2〜2.0μm程度とすることが望ましく、0.2μm未満の場合は、密着力向上の効果が低く、2.0μmを超えると基材及び非晶質炭素被膜との熱膨張係数差による被膜中の残留応力が大きくなり、使用時に被膜が剥離しやすくなる。

0010

また、非晶質炭素被膜中に1.0質量%(以下、すべて%と略記)以上、30%以下のフッ素を含ませることにより、被膜への被加工材の凝着をさらに抑制し、被膜の耐摩耗性を一層向上させることができるが、1.0%未満ではフッ素添加の効果が見られず、また30%を超えると被膜の強度が低下し、被膜が剥離しやすくなる。

0011

ロール基材はWC基超硬合金よりなるが、その結合相は合金中含有量が10〜28%のFe、Co、Niのうちの1種または2種以上の鉄族金属とし、WCの平均粒度は0.4μm以上、5μm以下で、合金硬さを1000HV以上、1400HV以下とするのが望ましい。これは1000HV未満ではロール溝が加工応力により塑性変形しやすくなり、また1400HVを超える場合では靭性が低下し、ロール溝が欠損しやすくなるためである。

0012

以下、本発明の好適な実施例を、図面を参照して説明する。
例1)WC−15%Ni超硬合金(WC平均粒度1.5μm、硬さ1190HV30)を用いて、図1の概念図に示すような外径150mm、厚さ25.0mmの伝熱管製造用溝付きロールを作製した。この時、溝の形状及び円周方向に対する角度の異なる各セグメントロールは、真空中、980℃×3hrの拡散処理により接合した。ロールの表面にはまず、反応性イオンプレーティング法により、厚さ0.5μmの炭化けい素中間層被膜を被覆した。すなわち熱電子ビーム銃にて金属けい素蒸発させ、流量2ml/min、圧力1PaのCH4雰囲気中、基材温度100℃、高周波出力50W、バイアス電圧−1000V、被覆時間0.3hrにてけい素蒸気イオン化し、炭化物として、基材表面に生成させた。次いで、プラズマCVD法により流量80ml/min、圧力10PaのCH4雰囲気中で、基材温度100℃、高周波出力50W、バイアス電圧−1000Vにて被覆時間を変えることにより、種々厚さの非晶質炭素被膜を被覆した。得られた本発明品No.1〜7の非晶質炭素被膜の厚さ及び硬さを表1に示した。

0013

ここで被膜硬さは被覆処理後被膜表面で、微小ビッカース硬さ計荷重、10gf)によって測定した。この場合の硬さ測定値には、基材の硬さの影響が避けられないが、被膜のみの硬さを正確に測定することは困難であるので、便宜上これをもって被膜硬さとした。

0014

上記の被覆ロールを用いて、図2の概念図に示すような伝熱管の溝転写加工を行った。すなわち被加工材は幅25.0mm、厚さ0.4mmの帯状銅板とし、その片面に水溶性潤滑剤を用いながら溝転写加工を行った。加工後のロール溝凸部の摩耗量を測定し、その結果及びロールの形状保持寿命を被覆処理なしのロール(No.8)と比較して表1に併示した。ここで形状保持寿命とは、所定の長さの帯状銅板1コイルを加工した時点で、転写された溝形状がコイル全長にわたって所定の公差内にある場合を100%としたときの公差内形状維持長さのことである。

0015

表1より、非晶質炭素被膜の厚さが0.5μm未満または5.0μmを超えるロール(No.6、7)は、被覆処理なしのロールよりは優れるものの、いずれも被膜の消失や剥離により形状保持寿命が短くなることが分かる。非晶質炭素被膜の被膜厚さが0.5〜5.0μmの範囲内にあるロール(No.1〜5)は溝凸部の摩耗量が少なく、さらに使用可能であった。

0016

0017

例2)基材超硬合金及び中間層被膜を例1と同様にし、その後被膜厚さ約2.0μmの非晶質炭素被膜を被覆したロールを作製した。この時、基材温度及び/又はバイアス電圧を変化させて非晶質炭素被膜の硬さを種々変化させた。得られた非晶質炭素被膜の硬さ、例1と同様に帯状銅板1コイルの溝転写加工を行った後のロール溝凸部の摩耗量、及びロールの形状保持寿命を表2に示した。被膜硬さが1000〜3000HVの範囲内にあるロール(No.9〜12)は加工後の摩耗量が比較的少なく、なお使用可能であったが、被膜硬さが低いロール(No.13)では、摩耗量は多くなり、また被膜硬さが高いロール(No.14)では被膜の一部が剥離し、溝部への銅の凝着が生じ、いずれも形状保持寿命が短くなった。

0018

0019

例3)例1と同様の超硬合金を基材として、中間層被膜の被覆時間を変化させ、その他の被覆条件は例1と同様にして、種々厚さの炭化けい素中間層被膜及び被膜厚さ約2.0μmの非晶質炭素被膜を被覆したロールを作製した。得られた中間層被膜の厚さ及び例1と同様に帯状銅板1コイルの溝転写加工を行った後のロール溝凸部の摩耗量、及びロールの形状保持寿命を表3に示した。

0020

中間層被膜厚さが0.5μm以上、2.0μm未満の範囲内にあるロール(No.15〜17)は、加工後の被膜の摩耗量が少なくさらに使用可能であった。一方、中間層被膜無しのロール(No.18)及び中間層被膜厚さが2.0μm以上のロール(No.19)は、いずれも帯状銅板1コイルに達する前に被膜が剥離し、寿命に達した。

0021

0022

例4)例1と同様の超硬合金を基材として、例1と同様に被膜厚さ0.5μmの炭化けい素中間層被膜を被覆した。その後続けて、CH4及びHFガスを用いて例1と同様の条件で、被膜中にフッ素を含む被膜厚さ2.0μmの非晶質炭素被膜を被覆した。この時、CH4/HF比を種々変化させ、得られた非晶質炭素被膜の被膜中フッ素量(EPMAにより分析)、被膜硬さ及び例1と同様に帯状銅板1コイルの溝転写加工を行った後のロール溝凸部の摩耗量、及びロールの形状保持寿命を表4に示した。被膜中フッ素量が1.0%以上、30%以下であるロール(No.21〜24)は、フッ素を含まない例1で示した本発明品No.3に比べ、加工後の摩耗量が少なく、なお使用可能であった。被膜中フッ素量が1.0%未満であるロール(No.20)では、摩耗量は本発明品No.3と同程度であった。また被膜中フッ素量が30%を超える場合(No.25)は、転写加工中に被膜の剥離が発生した。このことから、非晶質炭素被膜中に1.0%以上、30%以下のフッ素を含ませることにより、被膜の耐摩耗性がさらに向上することが分かる。

0023

発明の効果

0024

以上説明したように、超硬合金基材に非晶質炭素被膜をプラズマ被覆した本発明の伝熱管製造用溝付き圧延ロールは、優れた溝形状転写性を示すとともに、高耐摩耗性を有することにより、被加工材の品質が向上するとともに、ロールの寿命が長くなり、工業上極めて有益である。

図面の簡単な説明

0025

図1本発明に係わる伝熱管製造用の溝付き圧延ロールの概念図である。
図2本発明に係わる伝熱管の溝転写加工の概念図である。

--

0026

1溝付き圧延ロール
2帯状銅板
成形ロール
接合ロール
絞りロール
6 銅管

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