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技術 豆乳、豆腐またはその二次加工品の製造方法

出願人 株式会社高井製作所社団法人食品需給研究センター
発明者 眞木秀朗新井邦夫阿尻雅文高井東一郎栗津透笠間健二西正人天野原成
出願日 2000年9月22日 (19年9ヶ月経過) 出願番号 2000-289027
公開日 2002年4月2日 (18年2ヶ月経過) 公開番号 2002-095433
状態 特許登録済
技術分野 乳製品 非アルコール性飲料 飼料または食品用豆類
主要キーワード 高温高圧処理後 高圧ボイラー 製品条 半割れ状 インパクトリング 影響成分 水蒸気状態 直接加熱法
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (6)

課題

従来ほとんど廃棄されていたオカラを出さない豆乳豆乳飲料)および豆腐二次加工品を含む)の製造方法を提供する。

解決手段

大豆スラリーを、374°C以上かつ22.1MPa以上の水の超臨界条件と、100°C以上〜374°C未満でその温度における水の飽和蒸気圧以上の亜臨界条件とのいずれかの高温高圧条件またはこれらを組み合わせた条件の下で0.1秒〜60分加熱処理し、加工用豆乳や豆乳飲料を得る。必要に応じて、加熱前または加熱後に大豆スラリーを高圧ホモジナイザー等の湿式微粉砕処理し、またはpHを3〜10に調整する。さらに、この豆乳に凝固剤ゲル化剤を加えて凝固させ、豆腐またはその二次加工品を製造する。

概要

背景

超臨界状態亜臨界状態においては、水の性質は大きく変化し、水の極性下がり、水に油が溶けるようになる。特に超臨界状態では水のイオン積常温常圧下で10-14)は10-11〜10-12と常温常圧下の100〜1000倍に高まり、高密度水蒸気状態になる(図3参照)。このような状態においては高分子低分子化加水分解熱分解等)が起こり、また酸素存在下では「水の中で燃える」というような酸化燃焼、熱分解)反応が起こる。そこで種々の高分子化合物超臨界水亜臨界水を用いて加水分解する技術が開示され(特公昭62−17509号公報)、ダイオキシン有害廃棄物の処理の点から注目されている。また酸化反応を用いる方法は自己発熱により投入エネルギーがほとんど不要であり、ゴミ発電廃棄物処理のようにすべての物質を水と炭酸ガス等に分解・燃焼する方法としても注目されている。なお今までの超臨界水や亜臨界水を用いる技術は、酸化反応を利用するものが先行し、難分解性物やゴミ処理など環境分野の技術として研究開発が進んできており、一部で実用化されている。

近年、超臨界水や亜臨界水中での加水分解や酸化反応を利用して産業廃棄物家庭廃棄物を無害化したり有効利用できる生成物を得る試みがなされている。たとえば特許第3042076号公報にはセルロースナイロンなど種々の高分子化合物を超臨界水や亜臨界水を用いて加水分解する方法が開示されている。化学原料回収方法については、タンパク質からアミノ酸への加水分解やペプチド(アミノ酸からの再合成)、グルコース等の低分子成分への加水分解(酸やアルカリの存在下も含む)に関するものが開示されている(特開平9−268166号公報、特許第3042076号公報、特開平5−31000号公報、特公平3−36871号公報など)。また廃棄有機物を水の亜臨界条件(1.5〜15MPa、200〜300℃、5〜10分)ないし超臨界条件(22.1MPa、375℃以上、1〜10分)で処理(加水分解)し、有機酸、アミノ酸など有用物質を製造する方法(特開平11−342379号公報)が開示されている。なお特開平9−9268166号公報には、タンパク質を加水分解してアミノ酸を製造する方法において加水分解を超臨界状態または亜臨界状態の水で行うことが開示されている。

また超臨界水や亜臨界水中での加水分解や酸化反応は、食品残渣の有効利用の観点からも期待されており、焼酎絞り粕、のあら・内臓籾殻の加水分解による工業原料分離回収等の研究が試みられている。特に豆腐製造過程で多量に生じるオカラのように、食品を製造する過程で生じる可食性の未利用副生成物食品原料として再利用するために、超臨界水や亜臨界水中での高分子の変性や一部の分解を利用する加工方法を発明者らは考案している(特願平11−325710)。またオカラを出さない豆腐の製造方法として、過去様々な方法が開示されており、最近では特開2000−139391号等でも開示されている。発明者らも高圧ホモジナイザーを用いる方法を開示している(特公昭62−17509号公報:特許第1423285号)。この方法はオカラを56MPaで3回通す必要があり、処理液豆乳に混合する。しかし従来の全粒豆腐は凝固剤凝固させても豆腐の食感(咽越し感)はまだザラついており、保水性に乏しく、製品品質として十分ではなかった。一方、大豆全粒から80〜200℃の水蒸気を利用して生理阻害物質を除去したカードを得る方法も開示されている(特公昭56−35136号公報)。

また、大豆やオカラを澱粉等と混合し水分9〜30%に調整した後、エクストルーダーによって例えば5MPa、130〜155℃で膨化組織化食品を製造する方法(特開昭63−84454号公報)や、大豆等を1.1〜3MPa、120〜200°Cで処理する2軸エキストルーダーを使う方法(特開平04−58853号公報)もあるが、低圧処理であるから極めて短時間の反応を正確に行うには問題がある。超高圧処理の研究では60°C以下1,000MPa以下の条件で、大豆タンパク質の変性や耐熱性胞子の殺菌に関する事例があるが、150°Cを越える条件での知見はなく、トリプシンインヒビターはほとんど失活しないという問題がある(さんえい出版株式会社発行加圧食品」参照)。これに関連して特開昭58−51750号公報には、オカラの記述はないが、水分40%以下の難消化性多糖穀粉の混合物を130〜180℃(圧力は明示されていない)で加工する方法が開示されている。また酵母含有物穀物の混合物をエクストルーダーにて3〜20MPa下、60〜200℃で処理し、溶融と殺菌を行う方法(特開昭61−119167号公報)や、浸漬丸大豆を80℃〜200℃の範囲で1分以下の高温瞬間処理(水蒸気または油浴)によって、リポキシゲナーゼを失活する方法(特開昭52−57353号公報;ただしオカラは分離する)など、食品素材加工法としては比較的高温高圧での加工方法が開示されている。またロングライフ牛乳のように、滅菌を目的としても食品成分へのダメージを考慮し、1MPa、150°Cを超える条件は採用されない。

いずれにしても、高水分(水分40%以上)の大豆スラリー原材料を水の亜臨界条件または超臨界条件で高温高圧加工し、選択的にその前後に高圧ホモジナイザーによる微粉砕均質化、pH調整等を行うことによって、食感を滑らかにするとともに大豆スラリー原材料のほとんどすべてを豆乳や豆腐に利用するような方法は未だ開示されていない。

これら従来の技術では、産業廃棄物・家庭廃棄物の処理および低水分原料のエクストルーダーによる処理が主旨であり、食品原料一般に対し超臨界水や亜臨界水中での高分子の変性や粗分解を利用して食感や保水性を改良する加工方法は未だ開示されていない。なお従来の豆腐の製造においては、常圧ないし0.2MPa、100〜110°C数分間という条件で加熱加工が行われている。

概要

従来ほとんど廃棄されていたオカラを出さない豆乳(豆乳飲料)および豆腐(二次加工品を含む)の製造方法を提供する。

大豆スラリーを、374°C以上かつ22.1MPa以上の水の超臨界条件と、100°C以上〜374°C未満でその温度における水の飽和蒸気圧以上の亜臨界条件とのいずれかの高温高圧条件またはこれらを組み合わせた条件の下で0.1秒〜60分加熱処理し、加工用豆乳や豆乳飲料を得る。必要に応じて、加熱前または加熱後に大豆スラリーを高圧ホモジナイザー等の湿式微粉砕処理し、またはpHを3〜10に調整する。さらに、この豆乳に凝固剤やゲル化剤を加えて凝固させ、豆腐またはその二次加工品を製造する。

目的

そこで本発明の目的は、大豆全粒を、オカラを排出することなく食品素材として食感評価栄養価、安全性の高い豆乳または豆腐(二次加工品を含む)に加工する方法を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
11件

この技術が所属する分野

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請求項1

大豆に適量の水を加え、必要に応じて粉砕し、混練してなるスラリーを、水の亜臨界条件または超臨界条件のいずれか一方または両方を組み合わせた高温高圧条件下で0.001秒〜60分間加熱することを特徴とする豆乳の製造方法。

請求項2

請求項1において、加熱前および/または加熱後に大豆スラリー湿式微粉砕処理することを特徴とする豆乳の製造方法。

請求項3

請求項1または請求項2において、大豆スラリーのpHを3〜10に調整することを特徴とする豆乳の製造方法。

請求項4

請求項1〜3のいずれか1項記載の製造方法によって得られる豆乳に、必要に応じてタンパク質濃度を高めたのち、凝固剤または/およびゲル化剤を加えて前記豆乳を凝固させることを特徴とする豆腐またはその二次加工品の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、オカラをほとんど分離することなく滑らかな食感豆乳豆腐またはその二次加工品を製造する方法に関する。

背景技術

0002

超臨界状態亜臨界状態においては、水の性質は大きく変化し、水の極性下がり、水に油が溶けるようになる。特に超臨界状態では水のイオン積常温常圧下で10-14)は10-11〜10-12と常温常圧下の100〜1000倍に高まり、高密度水蒸気状態になる(図3参照)。このような状態においては高分子低分子化加水分解熱分解等)が起こり、また酸素存在下では「水の中で燃える」というような酸化燃焼、熱分解)反応が起こる。そこで種々の高分子化合物超臨界水亜臨界水を用いて加水分解する技術が開示され(特公昭62−17509号公報)、ダイオキシン有害廃棄物の処理の点から注目されている。また酸化反応を用いる方法は自己発熱により投入エネルギーがほとんど不要であり、ゴミ発電廃棄物処理のようにすべての物質を水と炭酸ガス等に分解・燃焼する方法としても注目されている。なお今までの超臨界水や亜臨界水を用いる技術は、酸化反応を利用するものが先行し、難分解性物やゴミ処理など環境分野の技術として研究開発が進んできており、一部で実用化されている。

0003

近年、超臨界水や亜臨界水中での加水分解や酸化反応を利用して産業廃棄物家庭廃棄物を無害化したり有効利用できる生成物を得る試みがなされている。たとえば特許第3042076号公報にはセルロースナイロンなど種々の高分子化合物を超臨界水や亜臨界水を用いて加水分解する方法が開示されている。化学原料回収方法については、タンパク質からアミノ酸への加水分解やペプチド(アミノ酸からの再合成)、グルコース等の低分子成分への加水分解(酸やアルカリの存在下も含む)に関するものが開示されている(特開平9−268166号公報、特許第3042076号公報、特開平5−31000号公報、特公平3−36871号公報など)。また廃棄有機物を水の亜臨界条件(1.5〜15MPa、200〜300℃、5〜10分)ないし超臨界条件(22.1MPa、375℃以上、1〜10分)で処理(加水分解)し、有機酸、アミノ酸など有用物質を製造する方法(特開平11−342379号公報)が開示されている。なお特開平9−9268166号公報には、タンパク質を加水分解してアミノ酸を製造する方法において加水分解を超臨界状態または亜臨界状態の水で行うことが開示されている。

0004

また超臨界水や亜臨界水中での加水分解や酸化反応は、食品残渣の有効利用の観点からも期待されており、焼酎絞り粕、のあら・内臓籾殻の加水分解による工業原料分離回収等の研究が試みられている。特に豆腐の製造過程で多量に生じるオカラのように、食品を製造する過程で生じる可食性の未利用副生成物食品原料として再利用するために、超臨界水や亜臨界水中での高分子の変性や一部の分解を利用する加工方法を発明者らは考案している(特願平11−325710)。またオカラを出さない豆腐の製造方法として、過去様々な方法が開示されており、最近では特開2000−139391号等でも開示されている。発明者らも高圧ホモジナイザーを用いる方法を開示している(特公昭62−17509号公報:特許第1423285号)。この方法はオカラを56MPaで3回通す必要があり、処理液を豆乳に混合する。しかし従来の全粒豆腐は凝固剤凝固させても豆腐の食感(咽越し感)はまだザラついており、保水性に乏しく、製品品質として十分ではなかった。一方、大豆全粒から80〜200℃の水蒸気を利用して生理阻害物質を除去したカードを得る方法も開示されている(特公昭56−35136号公報)。

0005

また、大豆やオカラを澱粉等と混合し水分9〜30%に調整した後、エクストルーダーによって例えば5MPa、130〜155℃で膨化組織化食品を製造する方法(特開昭63−84454号公報)や、大豆等を1.1〜3MPa、120〜200°Cで処理する2軸エキストルーダーを使う方法(特開平04−58853号公報)もあるが、低圧処理であるから極めて短時間の反応を正確に行うには問題がある。超高圧処理の研究では60°C以下1,000MPa以下の条件で、大豆タンパク質の変性や耐熱性胞子の殺菌に関する事例があるが、150°Cを越える条件での知見はなく、トリプシンインヒビターはほとんど失活しないという問題がある(さんえい出版株式会社発行加圧食品」参照)。これに関連して特開昭58−51750号公報には、オカラの記述はないが、水分40%以下の難消化性多糖穀粉の混合物を130〜180℃(圧力は明示されていない)で加工する方法が開示されている。また酵母含有物穀物の混合物をエクストルーダーにて3〜20MPa下、60〜200℃で処理し、溶融と殺菌を行う方法(特開昭61−119167号公報)や、浸漬丸大豆を80℃〜200℃の範囲で1分以下の高温瞬間処理(水蒸気または油浴)によって、リポキシゲナーゼを失活する方法(特開昭52−57353号公報;ただしオカラは分離する)など、食品素材加工法としては比較的高温高圧での加工方法が開示されている。またロングライフ牛乳のように、滅菌を目的としても食品成分へのダメージを考慮し、1MPa、150°Cを超える条件は採用されない。

0006

いずれにしても、高水分(水分40%以上)の大豆スラリー原材料を水の亜臨界条件または超臨界条件で高温高圧加工し、選択的にその前後に高圧ホモジナイザーによる微粉砕均質化、pH調整等を行うことによって、食感を滑らかにするとともに大豆スラリー原材料のほとんどすべてを豆乳や豆腐に利用するような方法は未だ開示されていない。

0007

これら従来の技術では、産業廃棄物・家庭廃棄物の処理および低水分原料のエクストルーダーによる処理が主旨であり、食品原料一般に対し超臨界水や亜臨界水中での高分子の変性や粗分解を利用して食感や保水性を改良する加工方法は未だ開示されていない。なお従来の豆腐の製造においては、常圧ないし0.2MPa、100〜110°C数分間という条件で加熱加工が行われている。

発明が解決しようとする課題

0008

このように従来においては、超臨界水や亜臨界水中での高分子の変性や一部の分解を利用する新しい食品原料の加工方法は未だ開発されていない。特にオカラのような多成分系では複雑な反応が起こり分析が難しいことや日持ちが悪いこと等から、食品素材として栄養価も安全性も高いにもかかわらず、多量のオカラの再利用を図る加工方法は未だ開発されておらず、従来ほとんど廃棄されていた。

0009

そこで本発明の目的は、大豆全粒を、オカラを排出することなく食品素材として食感評価、栄養価、安全性の高い豆乳または豆腐(二次加工品を含む)に加工する方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0010

本発明者らは、水の亜臨界条件および超臨界条件における大豆スラリーの加工処理の研究を長年行い、オカラを排出させない、安全かつ有効で経済的な加工方法を見出し本発明を完成した。

0011

すなわち請求項1記載の発明は、大豆に適量の水を加え、必要に応じて粉砕し、混練してなるスラリーを、水の亜臨界条件または超臨界条件のいずれか一方または両方を組み合わせた高温高圧条件下で0.001秒〜60分間加熱することを特徴とする豆乳の製造方法である。ここで豆乳とは、いわゆる豆乳のほかに、豆腐加工用豆乳、豆乳飲料、豆乳を含む清涼飲料等をいう。

0012

水の亜臨界条件とは、100°C以上374°C未満においてその温度での水の飽和蒸気圧以上の圧力条件をいう。また水の超臨界条件とは、374°C以上かつ22.1MPa以上の条件をいう(図3参照)。

0013

大豆は、通常流通している丸大豆以外に、大豆を脱皮・脱胚軸脱脂処理したものや、粗粉砕した半割状・粗粒状、微粉砕した微粉状圧偏したフレーク状のもの等、如何なる加工大豆原料でも構わない。

0014

大豆に加えられる水としては、浸漬時に大豆に吸収される水、粉砕時に入る挽き水、粒状または粉状のものを溶くときの水、濃度調整のための希釈水、その後の加熱の際に入る熱水蒸気凝縮水急速冷却のための注入水、添加物の溶き水などがあるが、最終的に大豆(水分約10wt%前後)1に対し水を0.2以上の比率で加えることが望ましい。なお、一般に大豆スラリー中の大豆固形分は75wt%未満(すなわち水分は25wt%以上)である。

0015

また使用される水の種類としては、井戸水飲用可)、水道水、純水、蒸留水海水温泉水(飲用可)、それらの100℃未満の温水蒸気、100℃以上の高温高圧水(超臨界水も含む)、または100℃以上の高温高圧の飽和水蒸気過加熱水蒸気などがある。そのほか短時間反応制御する冷却水加水の一部であり、反応温度以下の水である。

0016

大豆の粉砕は、バッチ式連続式のいずれを選択しても構わない。

0017

大豆スラリーの加熱方法は、原料液に高温高圧水もしくは高圧水蒸気を注入するか、または原料液に対し通電によるジュール加熱高周波マイクロ波)による加熱などの直接加熱法や、電磁誘導加熱電気炉直火流動砂浴溶融塩浴などの間接加熱法を単独でまたは組み合わせて高温高圧条件を段階的または勾配的に調節するなど、どのような加熱手段や加熱条件を採用しても構わない(特願平11−325710号参照)。補助的な加熱方法として、請求項2における高圧ホモジナイザー処理等の湿式微粉砕処理の際に発生する発熱も利用しても構わない。なお、高温高圧水や高温水蒸気についても上記の各種加熱法を利用することができる。

0018

また上記の各加熱は、連続式、セミバッチ式(半回分式)、バッチ式(回分式)のいずれを選択しても構わない。

0019

なお高温高圧水を注入する方法(熱水注入法)は、スラリーの流動性を増大させるとともに伝熱面の焦げ付きも少なく熱伝達が良くなるので、均一かつ急速な昇温を実現することができる最も有効な方法である。また原料を過度に傷めず、反応停止用の冷水注入や減圧によるフラッシング等と組み合わせることによって正確な反応を行うことができる。

0020

大豆スラリーの加熱時間は0.001秒ないし60分、好ましくは0.1秒ないし1分である。極短時間(数秒以下)の場合、例えば超臨界水または亜臨界水(または100〜374°Cの飽和水蒸気)を室温ないし100°Cの大豆スラリーに少量注入して混合し、十分混合した時点の温度が使用した超臨界水または亜臨界水の温度より十分低くなるケースを指す。その他、高温の極瞬間反応を得るいかなる方法でも構わない。

0021

上記構成を採用したことにより、オカラをほとんど分離せずに豆乳を製造することができる。すなわち、従来法では生大豆1に対して1〜1.5倍(湿重量)のオカラが分離されているのに対して、本発明では少なくとも従来法よりは少量であり、ゼロ倍(湿重量)に限りなく近いことを表している。すなわち、本発明は大豆の全粒またはほぼ全粒を利用する方法である。なお、上記の「ほとんど」とは焦げ粕、スケール湯葉状の粕などの異物フィルターで除去する場合、粒子の大きい一部のオカラ状のものも同時に分離されることもあるからである。

0022

このように請求項1の発明によれば、水の超臨界亜臨界各条件という高温高圧処理によって、大豆スラリーは例えば「高圧圧力で高温極短時間、調理」された状態になる。大豆中の繊維質の形態はほとんど損なわれないか、または物理的に軟化微細化された状態になる。大豆スラリー中の各組織・各成分は有為に選択的かつ部分的に変性・粗分解し、豆乳(または豆腐)として利用しやすくなる。ここで、上記高温高圧処理は栄養成分(タンパク質、アミノ酸、脂質、糖質食物繊維等)の分解、風味(味、香り、色など)の低下を防ぐため、できるだけ低温短時間処理が好ましい。なお本発明では、主として変性・軟化・微細化(コロイド粒子化)などが中心であり、成分の分解はあくまで副反応で起こりうる。一般に調理加熱は、喫食かつ消化しやすくするために物性を改良することが主たる目的であるが、副次的に甘み旨味、香りの生成が知られている(例えば炊飯や石焼いも等)。請求項1の発明でも同様にタンパク質や繊維質を部分的にわずかに分解させることによってブドウ糖グルタミン酸などの甘み・旨味成分官能的感じるだけ極少量生成させ(ただし、このような低分子化合物を大量に生成させることを目的とはしていない。)、また一方で、ヘキサナール等の青臭みを除去し、風味向上も図り、タンパク質や食物繊維のような栄養的価値をできるだけ保持した加工方法を目指している。そして本発明によれば、大豆スラリーの一般細菌耐熱性細菌胞子死滅して日持ちが良くなるとともに、不溶性繊維成分が軟化・微細化して滑らかな風味の良い豆乳になる。この豆乳中のタンパク質は適度な変性状態になっており、豆腐の副原料として使っても保水性や凝固反応には悪影響を及ぼさず、少なくとも豆腐製造用の食品原料や飲料用のものとしては何ら問題なく、むしろ栄養価も安全性も高い。豆腐製造用に使用すると、豆腐中の可溶性食物繊維量が増え、保水性も高まり、栄養特性が向上する。オカラを廃棄物として排出せず、食品としての加工特性を有する有機食品原料としてほとんど全てを再利用することができる。このような高温高圧水加工において、大豆スラリー中の各成分・各組織や加工後の性状、用途・目的に応じて調整することができる。例えば大豆スラリーを30MPaの圧力下、200℃前後の低温(水の亜臨界条件)で数十秒処理して組織の軟化・微細化、タンパク質抽出・熱変性や食物繊維の可溶化等を行った後、350〜400℃の高温(水の超臨界条件)で極短時間(数秒以下)処理して香ばしい風味の付けや青臭さの除去の加工を行うことによって、食品原料としての付加価値を向上させることが可能である。

0023

請求項2の発明は、請求項1の発明の前工程で原料の大豆スラリーを、または後工程で生成液である(ややザラツキの残る)豆乳を湿式微粉砕処理する。具体的には、大豆スリラー中の沈殿物の90%以上が16メッシュパスする状態(1mm以下)、好ましくは32メッシュをパスする状態(0.5mm以下)、さらに好ましくは60メッシュをパスする状態(0.25mm以下)する。装置は高圧ホモジナイザーやコロイドミル等の湿式微粉砕手段で、前記粉砕状態が得られる手段ならば如何なる方法でも構わない。(以後、高圧ホモジナイザーを使用した場合を例に取り記述する。因みに、高圧ホモジナイザーは10MPa、1回処理で、ほぼ全てを150メッシュパス、0.1mm以下にできる。)実際は次のような態様になる。最初に、高圧ホモジナイザーで処理し、次いで高温高圧水加工を行う。最初に高圧ホモジナイザーで処理し、次いで高温高圧水加工を行い、再度高ホモジナイザーで処理する。最初に高温高圧水加工を行い、次いで高圧ホモジナイザーで処理する。高圧ホモジナイザー処理と、高温高圧水加工をほぼ同時に行う。両装置を一体化して行う;具体的には高圧ホモジナイザーの高圧粉砕部の第1ステージと第2ステージの中間またはその直前・直後に熱水を注入。これらを、交互に数回繰り返し、その回数は問わない。なお高圧ホモジナイザーは1段または2段以上の高圧粉砕部(第1ステージ、第2ステージ)を有しており、一般に第1ステージ処理後の粒子の再凝集を防ぐ等の目的で第2ステージは第1ステージの1/10の圧力設定にする。本発明では、そのいずれかまたは両方で1〜2000MPa、好ましくは10〜200MPaの圧力を発生させる。また、高温高圧処理部と高圧粉砕部とを一体に形成した装置としてもよい。

0024

まず大豆スラリーを含む原料を高圧ホモジナイザーによって前処理すると、原料粒子の微細化やタンパク質、繊維質など高分子高次構造の変性が起きる。そのため分子各部位で様々な反応に敏感になり、後工程の高温高圧水による部分分解や熱・圧力による変性を、より穏やかな温度・圧力条件又はより短時間かつ正確に行なうことが可能になる。流動性もよくなって高圧ポンプによる送液が容易になり、閉塞などのトラブルも避けることができる。高圧ホモジナイザーによる前処理では、急激な圧力変化によって大豆組織細胞微生物細胞壁を傷つけることもできるのでタンパク質の抽出も容易になり、後工程の高温高圧処理によって枯草菌の耐熱性胞子も十分殺菌することができる。高圧ホモジナイザー等の物理的な微粉砕処理では、豆乳や豆乳飲料、豆腐の品質としてザラツキのある食感があり限界はあるが、請求項1記載のその後の高温高圧水加工によりほとんど滑らかな食感にすることができる。

0025

他方、高圧ホモジナイザー等の湿式微粉砕処理を高温高圧水加工の後処理に使うと、軟化した原料スラリーを滑らかな沈殿物のないコロイド分散液に加工することができる。高温高圧加工済みの原料はひと茹でした状態であり、高圧粉砕によって容易に舌触りはざらつくが、分散液体状(微粒子状、コロイド状)にすることができる。この高温高圧加工にあたっては、着色や焦げ臭酸味など好ましくない性状になるのを抑えるため、できるだけ短時間かつ低温での加工が望ましい。すなわち食品原料の加工度を抑えて、細胞壁や細胞膜の軟化、高分子成分の高次構造の変性にとどめ、なおかつ有用低分子成分(遊離糖遊離アミノ酸など)の分解をできるだけ抑えた条件を設定するのが実用的である。したがって高温高圧工程では若干ざらつきが残る状態として、後工程で高圧ホモジナイザー処理を行うことが望ましい。前工程または後工程において高圧ホモジナイザー等の湿式微粉砕処理を併用すれば、高温高圧加工の条件を一層穏和なひと茹で程度の必要最小限の条件に緩和することができる。

0026

請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明を前提として、高温高圧処理、高圧ホモジナイザー処理の前後においてpHを3〜10に調整することを特徴とするものである。pH調整は通常、pH調整剤食品添加物や食品素材)を添加することにより行う。なお商品差別化のために、乳化安定剤、品質安定剤、色素香料コーヒー、糖質・油脂・タンパク質等の食品素材を使用しても構わない。

0027

食品添加物(化学合成品以外の食品添加物;いわゆる天然添加物も含む)とは、主としてクエン酸ナトリウム炭酸水素ナトリウム(以下、重曹という)、酢酸ナトリウムリン酸三ナトリウムアンモニアなどの弱アルカリ性剤や低濃度かつ少量の炭酸ナトリウム水酸化ナトリウムかんすい等の強アルカリ性剤、クエン酸酢酸などの弱酸性剤や低濃度かつ少量の塩酸などの強酸性剤である。

0028

食品素材とは、例えばヨーグルトなどの乳酸発酵食品柑橘系酸性果汁等のほか、使用する水(原料に加える水、それに混合する熱水、反応停止用の冷却水、その後他の成分を調合する際に添加される水や希釈水等を含む)が酸性・アルカリイオン水、温泉水、地下水、海水、それらの氷水、それらを逆浸透膜ろ過処理、活性炭処理等により浄化処理した飲料水適合水など)も含む。

0029

pH調整の時期は、高温高圧処理、高圧ホモジナイザー処理の前後、すなわち、前工程において原料(液)をあらかじめpH調整しておく方法、途中の工程において熱水のpHを調整しておく方法、直後の工程において注入冷却水のpHを調整しておく方法、または後工程において系外に出た生成液の中和を含めてpHを調整する方法のいずれを選択しても構わない。

0030

pH調整剤については、従来、塩酸などの強酸高濃度で大量に用いる加水分解(pH3未満)によってタンパク質原料から調味料液などを製造したり、水酸化ナトリウムなどの強アルカリを高濃度で大量に用いる加水分解によってセルロール原料を可溶化する。そして塩酸や水酸化ナトリウム等は食品加工助剤として使用許可を受けた食品添加物であるが、劇薬を大量に扱う危険性、作業環境の悪化、脱塩工程の手間、装置の腐食、中和に逆液性の強アルカリや強酸などを使用する等、問題点が多い。これに対して請求項3の発明では、主としてクエン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸三ナトリウムなどの弱アルカリ成分や少量の炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の強アルカリ成分を低濃度で用いることによって、原料液のpHをアルカリ側にpH10までの範囲で調整するか、または主としてクエン酸、酢酸などの弱酸成分やそれらを含む食品素材、少量の塩酸などの強酸成分を低濃度で用いて原料液のpHを酸性側にpH3までの範囲で調整することによって、大豆スラリーの物性改良や部分分解、選択的な成分分解をより安全にかつ経済的にも有利に行うことができる。

0031

過去、超臨界条件において酸やアルカリ添加によって、加水分解反応が促進される知見は得られている(特公平03−36871;森ら、化学工学徳島大講演要旨集p161、1999年)。本発明者らは、食品原材料を水の亜臨界または超臨界条件で高温高圧加工する場合において、pH調節が色調や物性を有効に制御する手段であることを見出した。これによって温度、圧力、時間の要素とともに調節の幅が増え、生成物(液)の品質調整、差別化を多彩に行うことが可能になる。また、グルコースの生成(すなわちセルロースの部分的な分解=食感の改良;ただし本発明ではグルコースの生成は主たる目的ではなく、分析手法上グルコースの生成を指標にしたが、実際にはセルロース高分子の部分的な崩壊が本来の目的である。条件的にはグルコース生成最適条件よりも穏和な条件である)に付加価値を見出す場合など、他の目的によっては圧力や温度条件を低く設定することも可能であり、装置コスト運転コストを大幅に軽減することが可能になる。

0032

請求項4の発明は、請求項1または請求項2または請求項3の発明を前提として、得られた豆乳に通常の凝固剤(ニガリ塩化マグネシウム、すまし粉;硫酸カルシウムGDL;グルコノデルタラクトン塩化カルシウム硫酸マグネシウム、クエン酸などの有機酸、トランスグルタミナーゼ(以下、TGという)など)、またはゲル化剤寒天ゼラチンカラギーナンカードランデンプンなど)を加え、凝固を行うことを特徴とするものであり、凝固物成形するなどして豆腐(絹ごし豆腐木綿豆腐)やその2次加工品生揚げ厚揚げ油揚げ生地ガンドキ生地)を製造することが可能である。タンパク質とは原料大豆由来の大豆タンパク質のほか、分離大豆タンパク質、ゼラチン、グルテン卵白乳清タンパク質などを指す。

0033

請求項4の発明によれば、大豆(ほぼ全粒)スラリーから得た滑らかな食感の豆乳に対して通常の凝固剤を添加することによって、大豆のほぼ全粒を豆乳(豆乳飲料)や豆腐などに利用することができ、豆腐としての収率は生大豆1に対して約8倍(湿重量)となる。従来の豆腐製造方法では生大豆1に対して約5倍(湿重量、約12%brix)であるので、およそ40〜60%の歩留り向上になる。また、繊維質、特にペクチン質などの高分子構造の変化によって保水性が高まり、従来よりも保水力のある豆腐となる(ただし、温度や時間等の条件によっては高熱によるタンパク質の過変性が起こり、若干硬さが出にくくなるケースもある)。さらに高熱によるタンパク質の過変性が多少あっても、TGの作用によって十分な弾力を付与することが可能になる。また大豆タンパク質や卵白などの添加や濃縮装置によって、タンパク質濃度を高め、かつその熱凝固性や高分子間の相互作用も寄与してTG併用の効果も増強され、またはカードランやカラギーナンなどのゲル化剤の添加によって、食感的にしっかりした豆腐または豆腐様食品を形成することができる。ちなみに、絹豆腐状に凝固させるには、タンパク質の種類にもよるが、タンパク質濃度はおよそ3wt%以上、好ましくは5〜6wt%が必要である。

発明を実施するための最良の形態

0034

以下、本発明の一実施形態として丸大豆スラリーの加工を例に図面を参照しながら説明するが、本発明は、大豆(全脂丸大豆・脱皮大豆・脱胚軸大豆・脱脂大豆など)またはその浸漬大豆に水を加えながら粗粉砕したスラリー、または大豆もしくは浸漬大豆の半割れ状、粗粒状、微粉状、フレーク状のものに水を加え、混練したスラリーについても適用できる。なお水の亜臨界条件と超臨界条件については、図3に示す。

0035

本発明による大豆スラリーの加工システムの基本的構成は、図2図5に示すような各工程と装置を適宜組み合わせたシステムである。なお従来の加工システムを図1図4に示す。

0036

図2図5に示すように大豆スラリーは、大豆を浸漬し湿式粉砕機で加水しながら得るか、脱皮機で脱皮した脱皮大豆(半割れ状態も含む)を浸漬したのち湿式粉砕機で加水しながら得るか、大豆を乾式粉砕機にて粗粉砕したのち分級機によって種皮や胚軸を除いた脱皮・脱胚軸大豆に水を加え混練して得るか、大豆を乾式粉砕機によって粉状にしたのち(あるいは市販粉大豆をそのまま使用する)水を加えて混練して得るか、または大豆を圧偏機にて圧偏した後の圧偏大豆(あるいは市販圧偏大豆をそのまま使用する)に水を加え混練して得ることができ、その際公知の装置を使うことができる。なおスラリー調製に用いる水としては、氷、氷水、100℃以下の温水や水蒸気、100℃以上の高温高圧水や水蒸気(過熱水蒸気)も使用できる。

0037

大豆スラリーには、必要に応じてpH調整剤を添加し、また必要に応じて高圧ホモジナイザーを1回〜数回通すなどの前処理を行う。未処理または前処理済みの大豆スラリーは、供給ポンプを介して高圧ポンプによって予熱装置を経て反応混合部へ送られる。次いで反応混合部で別途調製された熱水(水蒸気)と混合され、所定の温度、所定の時間保持した後、水(反応温度より低い水)を注入するか、オリフィス等により減圧しフラッシングするか、熱交換器プレート式シェルチューブ式、掻き取り式など)を通過させることによって、急激に冷却を行う。こうして高温高圧短時間の加熱を行う。そのまま豆腐等の製造を行う場合は、凝固温度(一般に60〜90℃、充填豆腐の場合は0〜20℃)付近まで冷却する。次にオリフィス、比例弁背圧弁ロータリーバルブバルブオリフイスポンプシリンダー等の取出装置を介して、高圧系内から豆乳(大豆スラリー)を得る。まだざらつきが残る場合、必要に応じて供給ポンプを介して接続される高圧ホモジナイザーに1回〜数回通して豆乳を得る。また必要に応じて豆乳のpHを調整する。

0038

得られた豆乳はそのまま飲料用製品としてもよいが、その豆乳をベースに風味、味、濃度、pH、安全性等を調整した上で豆乳飲料、清涼飲料などとして商品化することもできる。

0039

また前記豆乳は、必要に応じてpH調整や適度な加熱を行い、豆腐や生揚油揚などの加工品を製造する工程にも利用できる。

0040

高圧ホモジナイザーは、例えば10〜200MPaに加圧した原液試料を極少の隙間から噴射させインパクトリング激突させることによりせん断破砕、均質化するものである。

0041

高温高圧装置は超臨界または亜臨界流体用の加熱装置であり、水や原料(大豆スラリー)を加熱する熱源としては、溶融塩浴装置、流動砂浴装置、電気炉装置、電磁誘導加熱装置ジュール加熱装置、または高圧ボイラーからの高圧水蒸気による蒸気吹き込み等があり、直接式加熱または間接式加熱など各方式に限定されず、これらを組み合わせて使用することも可能である。原料または得られる豆乳のpH調整、高圧ホモジナイザー処理等の湿式微粉砕は必要に応じて行われる。ただし、酸化剤(酸素、過酸化水素など)の添加による酸化反応(燃焼など酸化分解、熱分解)は本発明の意図するところではない。

0042

また上記加工システムには、高温高圧装置と連結される高圧ポンプや、加熱装置として高温高圧水を注入する高温高圧水注入装置、または高圧水蒸気を吹き込む高圧水蒸気吹き込み装置が備えられると共に、冷却装置(冷水注入装置)、減圧装置(オリフィス、背圧弁、蒸発缶などで構成される)、熱交換器(多管式、プレート式、掻き取り式など)、取出装置(背圧弁、ポンプ、ロータリーバルブ、比例バルブ、オリフイス、シリンダーなど)が配設されている。熱交換器としては多管式、プレート式、掻き取り式等いずれのものでもよく、その種類は問わない。

0043

このような構成により上記大豆スラリーに対し、飽和蒸気圧以上の高温高圧条件で1段ないし多段階または連続的に温度、圧力を加減させる。冷却水注入装置によって水を注入するか、減圧装置を介して減圧前の流体温度における飽和水蒸気圧未満に1段ないし多段階に減圧し、水蒸気を放出させ(この場合、濃縮も伴う)、急速あるいは多段階的冷却工程を行う。多段階的または連続的温度降下の場合、上記加熱工程と同様な加工(反応)が行なわれる。最終的には、取出装置を介して取出すときに大気圧および大気圧時の水沸点以下の温度に調節する。これらの段階的加熱工程や段階的冷却工程はそれぞれ複数の条件を組み合わせてもよい。高温高圧水の注入や高圧水蒸気の吹き込みは数回行ってもよい。また減圧装置から得た高圧高温水蒸気や、熱交換器で排出した高温水や温水(またはシリコーンオイル等の熱媒)は、再び原料の加熱に使うことができるため、エネルギー循環による経済的なシステムを構築しやすい。特に水蒸気は、気体であり移送しやすく、直接加熱や間接加熱でその潜熱を利用できるので、効率の良い経済的な加工システムを実現できる。

0044

以上の加工システムには次のような使用の態様が考えられる。最初に、高圧ホモジナイザーで処理し、次いで高温高圧水加工を行う。最初に高圧ホモジナイザーで処理し、次いで高温高圧水加工を行い、再度高圧ホモジナイザーで処理する。最初に高温高圧水加工を行い、次いで高圧ホモジナイザーで処理する。高圧ホモジナイザー処理と、高温高圧水加工をほぼ同時に行う。両装置を一体化して行う;具体的には高圧ホモジナイザーの高圧粉砕部の第1ステージと第2ステージの中間またはその直前・直後に熱水を注入。これらを、交互に数回繰り返し、その回数は問わない。またこれらの前後において必要に応じてpH調整を行う。得られた豆乳は必要に応じて調味、風味を調整して豆乳(飲料)や清涼飲料水となる。また、得られた豆乳に必要に応じて豆乳や大豆タンパク質などを添加し、その豆乳または調整豆乳に凝固剤またはゲル化剤を添加して凝固させ、豆腐(豆腐様食品)またはその2次加工品を製造する。

0045

また上記加工システムは、豆乳飲料や清涼飲料の製造工程に組み込まれるように構成されている。すなわち豆乳飲料や清涼飲料の製造に使う場合、通常の豆乳の代わりに本発明による(全粒)豆乳を使用する。本発明の豆乳は大豆種子中のほとんどの成分を含んでいる一方で、不溶性の繊維質や沈殿物をほとんど含まない滑らかな液体であり、条件によっては独特の青臭みを除去し、香ばしい炒り豆臭コーヒー風味を持たせることができる。また条件によっては大豆中のトリプシンインヒビターをほとんど失活させることも可能である。そしてすでに無菌状態であり、あえて従来法による殺菌工程は要しない。また本発明による豆乳は大豆のほぼ全量を使用するので、同じ濃度を得る場合は歩留まりが約10〜60%増加する。最近豆乳の消費量は増加傾向にあり、その収率アップにより、天然食物繊維の豊富な飲料としての需要拍車がかかることが見込まれている。

0046

また上記加工システムは、豆腐の製造工程に組み込まれるようにも構成されている。すなわち通常の豆腐の加工に使う場合、通常の豆乳の代わりに本発明による豆乳を使用する。本発明による豆乳は大豆種子中のほとんどの成分を含んでいるが、不溶性の繊維質や沈殿物をほとんど含まない滑らかな液体であり、豆腐用豆乳として使用しても豆腐の品質に影響を及ぼさない。条件によっては保水性のある状態も得られ、豆腐の保水性を補強するような付加価値がある。豆乳の場合と同様に歩留まりが約10〜60%増加する。表1に示したように、中規模生産工場では設備費やランニングコストを考慮しても1丁当たり数円の増収になるので経済性評価も良い。

0047

以下、上記の加工システムについてさらに具体的に説明する。まず、各種方法で得た大豆スラリーを必要に応じて高圧ホモジナイザーにより例えば10〜200MPaで前処理し、微細化、細胞組織破壊、微乳化等する。また必要に応じてpH調整を行う。次に高圧ポンプで圧送し、高温高圧装置に送る。ここで、高温高圧系内(すなわち高圧ポンプから取出装置までの間)の最高温度における飽和蒸気圧以上(例えば200°Cのとき1.5538MPa以上、300°Cのとき8.581MPa以上;日本機械学会偏「蒸気表」参照)で圧送する(図3参照)。また、例えば400°C、30MPaの高温高圧水注入装置による注入や、高圧水蒸気(その高圧系の圧力と同等以上の圧力で水蒸気状態または超臨界流体状態、例えば300°C、8.5MPaや400℃、30MPa等)の吹き込み装置による吹込みによって直接加熱する。すなわち、水の亜臨界状態が100°C以上かつその温度における飽和蒸気圧以上の圧力(例えば150°Cのとき0.476MPa以上)、または水の超臨界条件(374°C以上かつ22.1 MPa以上)を、1または2以上の条件を組み合わせて、各条件を所定時間(0.001秒〜60分)維持形成する。

0048

この工程によって、大豆中の成分(タンパク質、繊維質、糖質等)を豆乳飲料として滑らかでかつ栄養特性を保つように加工できる。条件によって青臭みの除去や香ばしい風味を持たせることも可能である。またやや穏やかな条件では、大豆タンパク質を適正な変性状態(高次構造の変化)にすることができ、豆腐用豆乳として凝固性、保水性などの加工特性、食感、栄養特性を損なわないように加工できる。これらは食品流通上、ほぼ無菌状態になる。条件によっては負の栄養成分である大豆オリゴ糖ラフィノーススタキオースなど鼓腸成分)の分解やトリプシンインヒビターの完全失活も行うことができる。遺伝子組み換え大豆を原料とした場合、導入遺伝子由来のDNAやタンパク質を機能を発揮しないように十分変性させることもできる。

0049

高温高圧処理の前工程である高圧ホモジナイザー処理では、10MPa、1回処理によって、大豆スラリーの粒子(0.5〜2mm程度)が微細化されて、100〜10μm以下の滑らかなペースト状になり、多少ざらつき感が残るがそのまま食品原料としても利用できる。例えばそのまま豆乳飲料としたり、通常の凝固剤やゲル化剤を用いて豆腐(豆腐様食品)またはその2次加工品として製品にすることも可能である。

0050

前処理に高圧ホモジナイザーを用いる利点は、後工程で高圧系に導入する際高圧ポンプによる送液が容易になり、流動性が高くなり、熱伝達、伝熱の効率が良くなることである。すなわち、大きな粒子があると高圧ポンプの逆止弁の全閉を阻害して送液ができなくなる恐れがあり、また物理的にもできるだけ細かくした方ができる限り低い温度圧力条件で、しかもできるだけ短時間の条件によって原料全体を均一、正確かつスムーズに加工することができ、風味や色合いに違和感のない食品原料としての特性を維持することができる。さらに細粒化により流動性が高まるので、原料への加水を最小限にできる効果もある。

0051

また上記高温高圧加熱加工済みの「大豆スラリーを含む高温高圧流体」を、直接または冷却工程途中または冷却工程を終えた後、背圧弁またはロータリーバルブ、比例バルブ、ポンプ、オリフイス、シリンダー等の取出装置を介して高温高圧系から加工済み原料を取り出す工程が設けられている。

0052

また上記加熱加工済みの「大豆スラリーを含む高温高圧流体」を、直接または冷却工程途中または冷却工程を終えた後、高圧ホモジナイザーを用いて例えば10〜200MPaで後処理(微細化、細胞組織破壊、微乳化等)する工程が設けられている。なお同様の微粉砕効果が得られるならば高圧ホモジナイザーに限らず、いかなる湿式粉砕機(コロイドミル等)を用いても構わない。

0053

ここで大豆スラリーの高温高圧加工では、前処理の高圧ホモジナイザーによって原料粒子の微細化やタンパク質や繊維質など高分子の高次構造の変性が起きる。そのため分子各部位で様々な反応に敏感になり、その後の工程の高温高圧水による粗分解や熱・圧力による変性をより穏やかな温度・圧力条件により短時間かつ正確に行なうことが可能になる。また大豆や大豆成分を含む場合は、大豆組織すなわち「へそ」や種皮等の柔軟化、細胞膜や細胞壁組織等の柔軟化・粗分解、大豆中の構成高分子(セルロース、ペクチン、タンパク質、DNA、例えば遺伝子組換大豆中の微生物由来DNAやタンパク質等)に対する熱・圧力・時間による変性、タンパク質であればSS結合イオン結合静電結合疎水結合水素結合)やサブユニット結合の解離再結合による高分子の高次構造(一次構造ないし四次構造)の変化や、大豆中の構成成分、即ち前記高分子や消化酵素阻害成分トリプシンインヒビター(タンパク質)の失活や、スタキオースやラフィノースといった鼓腸性オリゴ糖(嫌われる成分)や、ダイジンゲニスチンというイソフラボン配糖体糖鎖を切ったイソフラボンはより高い女性ホルモン活性がある)等の低分子成分が副反応として部分的に分解し、付随的に栄養価を高め得る。青臭みの原因とされるn−ヘキサナール等の分解もでき、嗜好性を向上させ得る。またタンパク質や不溶性繊維質の一部分もわずかに副反応として粗分解し、甘みや旨味成分(低ないし中分子)を生成し得る。

0054

このような加工システムにより超臨界条件と亜臨界条件の温度条件を段階的または連続的に選択すると、次のような各成分に応じた加工が可能である。

0055

(1)亜臨界条件(100〜374°C、各温度における飽和蒸気圧以上の圧力下)では、繊維質やタンパク質など大豆の構成高分子が変性し、細胞壁など繊維質が軟化し、タンパク質で生理活性物質(悪影響成分)であるトリプシンインヒビターを失活させ消化性を向上させる。高分子、例えばタンパク質であれば、サブユニット集合体(四次構造)から個々のサブユニット(三次構造)への解離、個々のサブユニット(三次構造)の緩みや疎水性領域露出などの変化、アルファー螺旋構造ベータ構造(折りたたみ構造)のランダム構造への変化(二次構造)が起こる。繊維質であれば、高次構造が変化し、粘性や保水性の増強を行うことができる。

0056

また糖鎖やアミノ酸鎖(一次構造)は、部分的には分解を受け、中程度の分子(例えば、繊維質はポリデキストリンへ、タンパク質はポリペプチドへ)に分解できる。本発明では原料はほとんど分解せず、その一部分について変性した状態からβ−D−グルコース(セルロースの構成成分であり、甘み成分)やそれが数個から数百個連なったいわゆる可溶性食物繊維、グルタミン酸(大豆中最も多いアミノ酸であり、旨味成分)、アミノ酸が2個以上つながったペプチドや10個以上つながったポリペプチドのような甘みや旨味、生理活性成分への低分子化が可能である。完全に分解しなくとも中程度に分解した分子も選択的に適量含有させ得る。また、きな粉や煎り豆のような香ばしい香りやコーヒー風味等の微量な臭い成分の風味付けや青臭みの軽減・除去など、付加価値のある成分を加工生成物中に含ませることができる。このような風味成分味覚に感じる程度の少量でよい。例えばグルタミン酸であれば、最終食品中0.03〜0.1%程度含有すれば十分旨みを感じると言われている。このように本発明の実施形態は食品添加物を使用しない風味付け加工も含んでいる。

0057

一方、遺伝子組み換え作物(大豆等)の場合、バクテリア由来のDNA(除草剤「Roundup Ready」耐性遺伝子)を含めて、DNAやRNA(遺伝子)を変性させ、一部をオリゴヌクレオシドに分解することが可能である。完全に分解しなくとも中程度に分解した分子がより多く含まれるように加工された状態になる。

0058

本発明の条件は通常の豆乳や豆腐製造の加熱条件よりも強い条件であるため、遺伝子や遺伝子由来のタンパク質も十分に変性し機能し得ない状態になるため、GMO大豆を使った豆乳や豆腐への信頼が高まる。

0059

(2)超臨界条件(374°C以上、22.1MPa以上)では高分子は大半が分解を受け、したがって低分子にすることができる。例えば、繊維質やポリデキストリンからは例えば単糖であるβ−D−グルコースのような甘み成分を生成させ、タンパク質やポリペプチドからは例えばアミノ酸の1種であるグルタミン酸(大豆中最も多いアミノ酸)のようないわゆる旨味成分を生成させ、これらを多く含む味を向上させた加工品を得ることができる。バクテリア由来の組み換え遺伝子をヌクレオシドヌクレオチドアグリコングアニンシトシンアデニンチミンウラシルなどの塩基)まで分解し、より安心できる加工品を得ることもできる。また大豆オリゴ糖(ラフィノース、スタキオースなど鼓腸成分)を単糖に部分分解し、鼓腸作用を低減できる。また大豆イソフラボン配糖体(ゲニスチンやダイジン等)の糖質残基を除去し、アグリコン(ゲニステインダイゼイン等)に分解し、女性ホルモンとしての生理活性効果を高めることができる(糖質部分は分解を受けやすく、イソフラボン骨格は比較的安定と見られる)。また青臭みの分解、除去も可能になる。また水の超臨界条件によっては原料のほとんどが分解し、清涼飲料水(たとえば黒酢蜂蜜飲料様製品)としての利用、食品製造水としての再利用、排水設備での生物処理による浄水などの用途が考えられる。

0060

ただし、超臨界条件の反応時間が極短時間の場合には亜臨界条件と同様な現象が起きる場合があるので、過度の分解までは起きないように例えば0.1秒以下の反応時間をとることによって本来の目的を達し得る(前述したように本発明の趣旨は水の亜臨界条件や超臨界条件を採用することによって原料のほとんどを分解せず上記のような変性・変化した状態に加工することにある)。

0061

上記の加工システムによれば、高圧液ポンプは高価なスラリー対応ポンプである必要がなくなり、初期コストの軽減が図られる。また背圧弁などが閉塞する心配が少なくなり、安定な稼動と運転コストの軽減が図られる。また高温高圧系(原料送液ポンプ、加熱工程、冷却工程、取出装置工程を含む)において、高温高圧条件から高温高圧系内の最低温度における飽和水蒸気圧以上の圧力までの範囲で、オリフィス、比例バルブ、背圧弁等を介して1段ないし多段階に減圧変更し、各圧力条件を所定時間設けてもよい。亜臨界域での減圧過程では当該温度における飽和蒸気圧以下に減圧した場合、水蒸気化と同時に濃縮が可能であり、ほぼ原料濃度を維持することができる。一方、超臨界域では減圧しても相の変化や濃縮は起こらない。

0062

また前記加熱加工済みの大豆スラリーの高温高圧流体(豆乳)を、熱交換器を通して急速あるいは多段階的または連続的な冷却を行う冷却工程および多段階的または連続的温度降下の場合、上記加熱工程と同様な加工(反応)を行う。なお目的に応じて100°C以下に保持しながら通常の豆腐製造法と同様にタンパク質の変性を行い、最適な製品条件を設定してもよい。

0063

さらに上記加工システムにおいて加熱工程(原料液の予熱など)と冷却工程(減圧工程を含む)等は、熱エネルギー循環的なシステムとして構成することが好ましく経済的である。すなわち上記加工システムにおいて更に、冷却工程で得た飽和水蒸気、またはその飽和水蒸気を加圧し再凝縮させた高温高圧水、または熱交換器を経て得た高温高圧水または飽和水蒸気の熱回収を行い、その熱を再び原料の流入側に戻し、熱交換器による間接加熱または直接加熱によって原料を予熱する。

0064

上記加工システムの製造規模に応じた使用方法図5を用いて概説する。図5に示すように通常の豆腐製造法によって浸漬丸大豆から挽き水を加えて粉砕して得た大豆スラリー(いわゆる「生ゴ」)や、脱皮半割れ大豆、粗粉砕大豆大豆粉、圧偏大豆などに加水、混練して得た大豆スラリーを、供給ポンプを用いて高温高圧装置に供給する。ただし、その前処理として高圧ホモジナイザーで微粉砕する場合や予熱装置にて予熱する場合もある。一方、水を供給ポンプにて高温高圧装置に送り、加熱装置によって加熱し、熱水(100〜800°C前後)を調製する。その熱水を原料スラリーに混合し、所定の温度に所定の時間保持する。その後直ちに冷水注入またはフラッシングまたは熱交換による冷却を行う。必要に応じて複数段階の条件を経て所定温度まで冷却する。その後取出装置を経て高圧系内から豆乳を取り出す。取り出した豆乳は再度高圧ホモジナイザーにて処理してもよい。得られた豆乳はそのまま豆乳飲料または清涼飲料の原料として風味やpHの調整を行い製品化できる。また、得られた豆乳は必要に応じてpHや濃度の調整、品質安定剤の添加等を行い、ニガリ、すまし粉、GDL、TG、ゲル化剤等によって凝固を行い、豆腐または豆腐様食品を製造する。なお高温高圧装置は連続式が基本であるが、極少量の処理であればバッチ式を採用してもよい。

0065

以上から明らかなように本発明は、大豆スラリーのみならず、同様な植物性食品原料、例えばミカンリンゴブドウなどの果実スラリー茶葉コーヒー豆のスラリー、日本酒ワインビール醤油などの発酵後の「もろみ」のスラリー等、可食性植物性廃棄物を伴う加工食品や飲料にも適用することができる。

0066

以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。以下の実施例では、蒸留水をプランジャー2連式高圧ポンプ(NP−AX−15日本精密科学製)で送液し、出口の背圧弁にて所定の高圧力に調整し、次いで高温高圧装置を通過させ所定の高温度まで加熱し、高温高圧水すなわち超臨界水または亜臨界水を得た。一方別経路で、原料液を同じく高圧で送液し前記高温高圧水と合流させ、大豆スラリーを100℃未満に予備加熱し、一気に所定温度(100〜500°C)に加熱し、さらに所定の時間(0.001〜60秒)経過後、冷却装置を通過させてできるだけ急速に水温まで冷却し、背圧弁を介して加工液を得た。なお高温高圧反応の時間は加熱装置から冷却装置までの配管長ポンプ流速を考慮しながら調整した。

0067

(実施例1)生大豆(平成10年度産米国産オハイオ、GMO混入大豆)10kgを水温15℃の井戸水で15時間浸漬した。この漬大豆22kgを湿式粉砕機(コニカルグラインダーG08型)にて井戸水27.5kgを加水しながら粗粉砕し、生ゴ(大豆スラリー:A)49.5kg(生大豆約4倍加水)を得た。この大豆スラリーAは高圧ポンプを介して7ml/分で高温高圧装置へ導入した。別途に、高圧ポンプを介して水を7ml/分で高温高圧装置へ導入し、電気炉内を通過させ、120〜800℃の熱水を調整した。出口部の背圧弁によって内圧を30MPaに調整した。反応部で大豆スラリーに熱水を注入・混合し、100〜400℃の反応温度で水熱反応を行った。水の密度を考慮して約15秒間反応させた後、反応停止のため高圧ポンプを介して水を7ml/分の速度で注入した。なお混合から水注入までの反応部の容積は約3.8mlであった。反応液(豆乳)は熱交換器を介して常温まで冷却後、背圧弁より取り出した。各反応温度による生成液(豆乳)について、その反応条件、分析結果を表1に示す。

0068

また各豆乳に対し、ニガリ(ホワイトニガリ、ナイカイ塩業製)を0.12、0.18、0.24、0.30、0.31%添加し、十分に混合した後、80℃の湯浴中で40分間静置して豆腐を調製した。冷却後、3,000rpmで15分間遠心分離を行い、各反応条件における保水性を測定した。その結果も併せて表1に示す。

0069

0070

表1に示すように、混合温度180°Cを超えると、豆乳のざらつきが無くなり、滑らかな舌触りになった。また香ばしい風味と同時に青臭みが軽減した。固形分は280°Cを超えると減少したが、360°Cまでは30%の減少、400°Cでは約1/2となった。グルコース生成量をみると、380°Cで最大値を示した。一般細菌数は140°C以上でゼロになった。豆腐の保水力は、260〜280°Cまでは有しており、TGを補強するとさらに320°Cまでは増強された。豆乳の粘度は200〜220°Cで最大値を示したが、このことはペクチンやタンパク質など水溶性高分子構造がほぐれて(変性して)、保水性が高まったことを示している。豆腐の保水性をみると、220°Cまでは豆腐の保水性は対照試料の約50%近くを維持していたが、240°Cを超えると50%以下に急に低下している点と一致していた。

0071

(実施例2)実施例1において、大豆スラリーAを高圧ホモジナイザー(NS2006LPONY、Niro Soavi社製)により140MPaで1回処理し、微粉砕した(大豆スラリーB)。この大豆スラリーBを同様に高圧ポンプを介して7ml/分で高温高圧装置へ導入した。同様に、反応温度140℃(亜臨界条件)および380℃(超臨界条件)で水熱反応を行った。また高温高圧処理後の豆乳についても高圧ホモジナイザーにより140MPaで1回処理し、微粉砕した。高圧ホモジナイザーによる前後処理を組み合わせた場合も同様に処理した。その結果を表2に示す。

0072

0073

表2に示すように、140°Cでは豆乳のざらつきは残るが、前処理あるいは後処理に高圧ホモジナイザーを使用した場合、ざらつきは僅かに少なくなった。さらに高圧ホモジナイザーを前後に使用した場合、ほぼ滑らかな食感になった。実施例1でも180°Cから食感が滑らかになったが、高圧ホモジナイザーを前後処理に使用した場合、140°Cでも同様の効果が得られた。また、380°Cでは高圧ホモジナイザーを使用しなくとも滑らかな食感が得られた。特に後処理で高圧ホモジナイザーを使用すると、分離しにくく均質になり、豆乳や清涼飲料水として製品の品質を向上させることが可能であった。

0074

(実施例3)実施例1において、原料の大豆スラリーに対して最終濃度が1wt%になるように、クエン酸あるいは重曹を混合した。それぞれの大豆スラリーと対照原料について、混合温度260°C、340°C、400°Cにおける高温高圧処理を行い、同様に豆乳の品質を評価した。反応時間は約0.1秒であった。その結果を表3に示す。

0075

0076

表3に示すように、1%クエン酸区ではグルコース生成が260°C、340°Cで検出され、約13mg/dlと高濃度であった。対照の無調整区では400°Cで約4mg/dlの生成であったので、約3倍の収率になった。このことはセルロースの加水分解が酸性区ではかなり低温条件でも起こることを示している。グルコースまでの分解は本発明の趣旨ではないが、中程度の分解や高分子の構造変化もかなり低温側にシフトするものと考えられる。また酸性区では高温になっても着色が少なかった。このことは食品品質としても有利になる。一方1%重曹区では、若干着色が進みやすく、グルコースの生成は400°Cでも認められなかった。しかし260°Cや340°Cにおける凝固性のタンパク質量やタンパク変性度をみると、コントロールや1%クエン酸区に比べて大きな値を示した。このことから、豆腐加工適性として重要なタンパク質の性質がより好ましいと言える。このように食品添加物である弱酸や弱アルカリを用いて、目的に応じて豆乳品質を有意にコントロールできることが実証された(高濃度の強酸や強アルカリを大量に用いないことも食品危害防止上有利である)。

0077

以上、実施例1〜3は大豆を用いた例であるが、上述したところから明らかなように本発明は植物性繊維質を含む食品原料にも広く適用することができる。

発明の効果

0078

本発明によれば、水の亜臨界条件および超臨界条件における高温高圧処理によって、大豆スラリー中の各成分(タンパク質や、セルロース、ヘミセルロース、ペクチン質などの繊維質等の高分子、オリゴ糖、生理活性阻害物質等)は有為に選択的または部分的に変性・粗分解し、食品原料として再利用しやすく、安全で、しかも香ばしい香りや青臭み除去、生理活性物質の失活(トリプシンインヒビター)・増強(イソフラボン)など、品質付加価値を高めることができる。また高圧ホモジナイザー等による微粉砕加工を前処理として行うことにより、安価な装置を構成でき、安定な稼働が可能になる。さらに高温高圧処理の前工程または後工程で高圧ホモジナイザー処理を行うことにより、高温高圧水による部分分解や熱・圧力による変性を、より穏やかな温度・圧力条件でより短時間で、いわゆる「ひと茹で」程度の加工を正確に行うことが可能になる。またpHを調整することによって更に穏やかな条件を選択でき、経済的な装置コスト、ランニングコストを実現できる。しかもpH調整による各成分の選択性や部分的分解にも効果的な手法となる。

0079

さらに高温高圧水を注入したり、高圧水蒸気を吹込むことにより、不溶性食物繊維やタンパク質、DNA、大豆オリゴ糖、イソフラボン、青臭み等各成分に応じた加工条件を設定することが可能であり、大豆スラリーを豆乳や豆腐への加工に最適であり汎用性に優れている。また他の食品(パン、うどん、菓子、ケーキ、清涼飲料など)の原料にも適用することができる。

図面の簡単な説明

0080

図1従来の豆腐製造工程を示すフロー図である。
図2本発明による豆腐製造工程を示すフロー図である。
図3水の超臨界・亜臨界条件を示す水の飽和蒸気線図である。
図4従来の大豆スラリー加工システムを示す装置構成図である。
図5本発明による大豆スラリー加工システムを示す装置構成図である。

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